説明

輸送システム

【課題】大部分の架線を省いた輸送システムにおいて、車両の重量を大きくせず、且つ車両内のスペースを確保し、システムの運転を継続しながら蓄電装置に充電を行なうことを可能とした輸送システムを提供する。
【解決手段】本発明にかかる輸送システムは、上り傾斜を有する第1のレール31及び下り傾斜を有する第2のレール32を含む軌道3と、前記第2のレール32上を傾斜した状態で重力を受けて走行すると共に、内部の負荷装置5に電力を供給するための蓄電装置60を有する車両1と、引揚装置4と、前記車両1を停止させる停車装置80を有する複数の駅2と、前記車両1が所定の速度以下で走行する低速エリアに位置しているとき又は前記駅2に停車しているときに、前記負荷装置5に電力を供給しながら蓄電装置60に対して充電を行なう給電装置61とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人や物などを運ぶための輸送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人や物などを運ぶための輸送システムとして、例えば特許文献1,2により示されたものが知られている。この特許文献1,2により示された輸送システムは、上り傾斜を有するレール及び下り傾斜を有するレールを含んだ軌道と、この下り傾斜を有するレール上を、傾斜した状態で重力を受けて走行する車両とを備えている。この輸送システムは、軌道に沿って複数の駅が隔設されており、任意の駅からその先の駅まで、車両に人や物を載せて運ぶことができる。この車両は、レールに沿って上方から下方に向けて走行するようになっており、位置エネルギーを運動エネルギーに変換することで動力を得るから、駆動装置による駆動力がなくても移動することができる。
【0003】
特許文献1,2の輸送システムにおける車両は、このように駆動装置による駆動力がなくても移動することができるため、主な駆動装置を必要としないが、所定の速度以下となった場合に駆動モータによる走行ができるよう補助的に駆動装置が設けられている。
【0004】
この補助的に設けられた駆動装置は、小型駆動モータと、この小型駆動モータに連結された駆動輪と、この駆動輪を軌道側に設けられた被接触面に対し接触又は離間させるアクチュエータとを備え、このアクチュエータを駆動させることで、小型駆動モータの動力により車両を走行させる場合と、小型駆動モータの動力を使用しない場合とを、車両の速度に応じて使い分ける。この駆動モータやアクチュエータは、電力の供給を受ける必要があり、その電力はレールに沿って設けられた架線から給電装置を介して供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3510196号公報
【特許文献2】特許第3510187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでこの駆動装置は、上記のように小型駆動モータと駆動輪とアクチュエータとを必要とし、さらに、その制御を行なうための制御装置や給電装置を必要とする。これらすべての装置が車両に搭載されると、車両自体の重量が増すばかりか、これら装置が車両内のかなりの部分を占めてしまい、人や物を載せるスペースが少なくなってしまうという問題があった。また架線が長く設けられていると、設備コストが高くなってしまう。
【0007】
そこで本発明者は、補助的な駆動装置を含めた軌道上を走行するための駆動装置を車両から取り除き、車両の軽量化を図ると共に、車両内に人や物を載せるスペースをより広く確保しようとした。そして、当該駆動装置を無くすのと同時に、レールに沿って設けられた架線の大部分を、輸送システムから省くことを試みた。
【0008】
ところで車両には、空調装置・照明装置・放送装置・扉開閉装置などといった負荷装置が設けられており、この負荷装置には電力の供給が必要となる。そこで架線の大部分を輸送システムから省くためには、負荷装置に電力を供給するための蓄電装置を車両に搭載することが必要となる。
【0009】
しかし蓄電装置に充電を行なうためには、現在の輸送システムの運行時間とは別に、新たに充電のための時間を設ける必要があり、システムの運行を停滞させるおそれがある。特に、大容量の電気を急速に充電するためには、充電中、負荷装置の運転を停止させる必要があるため、それほど頻繁には充電することができない。
【0010】
一方、蓄電装置の蓄電容量を大きくして、充電の回数を減らすことも考えられるが、この場合、相当な大きさの蓄電装置が必要であり、結局、車両の軽量化や車両内に人や物を載せるスペースの確保が困難になってしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、大部分の架線を省きながら、車両の重量を大きくせず且つ車両内のスペースをより広く確保し、システムの運転を続けながら蓄電装置に充電を行なうことを可能とした輸送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる輸送システムは、上り傾斜を有する第1のレール31及び下り傾斜を有する第2のレール32を含んでおり、当該第1のレール31と第2のレール32とが連接された軌道3と、前記第2のレール32上を重力を受けて走行すると共に、軌道3上を走行するための駆動装置を有しておらず、且つ内部の負荷装置5に電力を供給するための蓄電装置60を有する車両1と、前記車両1を第1のレール31に沿って前記第2のレール32の上方側の端部へと移動させる引揚装置4と、前記車両1を停止させる停車装置80を有すると共に、前記軌道3に沿って互いに隔設された複数の駅2と、前記車両1が、所定の速度以下で走行する低速エリアに位置しているとき又は前記駅2に停車しているときに、前記負荷装置5に電力を供給しながら蓄電装置60に対して充電を行なう給電装置61とを備えている。
【0013】
このような構成によれば、車両1が駆動装置を有しておらず、この駆動装置への給電を必要としないため蓄電装置60を小さくすることができる。また給電装置61によって、負荷装置5に電力を供給しながら蓄電装置60に対しても充電を行なうことができるため、蓄電装置60の負荷装置5に対する電力の消費を抑えながら充電することができ、早期に充電を完了することができる。そのうえ、低速エリアに位置しているとき又は前記駅2に停車しているときに充電を行なうよう構成されているため、充電のための時間を別途設けなくても、充電を行なうことができる。つまり、急速な充電を頻繁に行なうことができるようになったことで、蓄電装置60をさらに小さくすることができ、車両1の重量を大きくせず且つ車両1内のスペースをより広く確保することができる。
【0014】
また本発明の輸送システムは、前記軌道3における駅2の手前に、車両1を減速させる制動装置84が設けられており、この制動装置84から前記停車装置80までの領域が前記低速エリアであることが好ましい。
【0015】
また本発明の輸送システムは、第1のレール31上の領域が前記低速エリアであることが好ましい。
【0016】
また本発明の輸送システムは、軌道3上に設けられると共に、前記車両1が所定の速度以下にまで減速した場合に当該車両1を進行方向に推進する車両推進装置90をさらに備えていることが好ましい。
【0017】
また本発明の輸送システムは、前記第1のレール31及び第2のレール32は、一対の軌条37が並設されたものであり、前記車両1は、各軌条37に対し、左右方向のうちのいずれか一方及び上方及び下方の3方向にて接する車輪によって、前記第1のレール31上又は第2のレール32上に支持されていることが好ましい。
【0018】
また本発明の輸送システムは、前記駅2の車両1進行方向手前に前記車両1を停止させる停車装置80をさらに備え、複数連結した車両1又は単数の車両1からなる列車が複数設けられ、前記第2のレール32の上方側の端部からこの停車装置80までを含む区間と、この停車装置80の前方から前記駅2までを含む区間と、この駅2の前方から第2のレール32の上方側の端部までの区間とにおけるそれぞれの区間内に、2以上の前記列車が位置しないよう前記各停車装置80と前記引揚装置4とを制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の輸送システムによれば、大部分の架線を省きながら、車両の重量を大きくせず且つ車両内のスペースをより広く確保し、システムの運転を続けながら蓄電装置に充電を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の全体を示した概略平面図である。
【図2】同上の実施形態の駅,引揚装置の周辺の詳細を示した側面図である。
【図3】同上の実施形態の正面図である。
【図4】同上の実施形態の引揚装置の係止部の要部を示した詳細図であり、(a)は平面図であり(b)は側面図である。
【図5】同上の実施形態の車両を示す側面図であり、被係止部を説明するため一部破断している。
【図6】(a)は、同上の実施形態の車両の走行車輪部の詳細を示す拡大正面図であり、(b)は、他例の要部正面図である。
【図7】同上の実施形態の給電装置と負荷装置との概略を示したブロック図である。
【図8】同上の実施形態の駅内の正面図であり、停車装置を省略している。
【図9】同上の実施形態の停車装置の平面図である。
【図10】同上の停車装置の正面図である。
【図11】同上の実施形態の制動装置から駅までの概略平面図である。
【図12】同上の実施形態の制動装置の側面図であり、車両を制動可能な姿勢を示している。
【図13】同上の制動装置の側面図であり、車両を制動不能な姿勢を示している。
【図14】同上の実施形態の車両推進装置を示す平面図であり、車両に推進力を与えない状態を示している。
【図15】同上の車両推進装置を示す平面図であり、車両に推進力を与えることが可能な状態を示している。
【図16】同上の実施形態の給電装置の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。図1には、本実施形態の輸送システムの全体の概略図を示し、図2〜図16には、本実施形態の輸送システムの各部分を拡大した図を示す。なお、説明の便宜上、軌道3に沿った方向において、任意の位置から車両1の進行方向に向いた方向を前方とし、その反対方向を後方と定義する。
【0022】
本実施形態の輸送システムは、車両1に搭乗した人を駅2から駅2へ運ぶ交通システムである。この輸送システムは、図1に示されるように、車両1が走行するための環状の軌道3を有している。この軌道3は、図2に示されるように、前方に向けて上り傾斜を有する第1のレール31と、前方に向けて下り傾斜を有する第2のレール32とを有しており、この第1のレール31及び第2のレール32から構成されたユニットが、複数(本実施形態では4箇所)連接されて全体が構成されている。この第1のレール31及び第2のレール32から構成された各ユニット(第1のユニット、第2のユニット・・・)は同じ構造をしているため、以下、第1のユニットの周辺の構造を中心として説明を行なう。
【0023】
第1のレール31は、図2に示されるように、前方に向けた上り傾斜を有している。第1のレール31は、第1の高さL1を有する第1の端部33と、第2の高さL2を有する第2の端部34とを有しており、第2の高さL2は第1の高さL1よりも高くなっている。第1のレール31は上昇エリア310と下降エリア311とを有しており、上昇エリア310と下降エリア311とは、第1の端部33と第2の端部34の間の最上部312を介して隣接している。上昇エリア310は、最上部312に近づく程漸次上方に位置するように傾斜しており、下降エリア311は、最上部312から第2の端部34にかけて徐々に下方に位置するように傾斜している。
【0024】
第2のレール32は、前方に向けた下り傾斜を有している。第2のレール32は、第3の高さL3を有する第3の端部35と、第4の高さL4を有する第4の端部36とを有しており、この第4の高さL4は第3の高さL3よりも低くなっている。第2のレール32は、第1のレール31の第2の端部34に連接されている。つまり、第3の高さL3は、第2の高さL2と略同じ高さとなっている。この第2のレール32は、およそ2°の傾斜角度となっている。この第2のレール32は、図1に示されるように、平面視で弧状のレールと直線状のレールとが繋がれた形状をしており、第4の端部36が、第2のユニットの第1のレール31の端部に連接される。
【0025】
第1のレール31及び第2のレール32は、図3等に示されるように、全長に亙って一定の間隔を有する一対の軌条から構成されている。一対の軌条は、鋼管軌条37により構成されており、正面視略Y字状の支持部38によって支持されている。この支持部38は、鋼管軌条37と平行な断面円形の鋼管39に載設されている。
【0026】
第1のレール31には、引揚装置4が取り付けられている。この引揚装置4は、車両1を第1のレール31に沿って前記第2のレール32の上方側の端部(第3の端部35)へと移動させるための装置である。引揚装置4は、図2に示されるように、第1のレール31に沿って配設されたワイヤー41と、ワイヤー41の一部に接続されると共に車両1に設けられた被係止部19と係合する係止部42と、ワイヤー41に連結され当該ワイヤー41を巻上げ又は巻戻す回転駆動装置43とを有している。ここで図4に、このワイヤー41と係止部42との連結部分の詳細を示す。
【0027】
この係止部42は、複数のリンク44がそれぞれ連結軸45により連結されたチェーンによって構成されている。このチェーンは、ワイヤー41に回動自在に連結される第1のワイヤー取付部46と第2のワイヤー取付部47とを有する。ワイヤー41は、その一端が第1のワイヤー取付部46に回動自在に連結されるリフト用ワイヤー410と、その一端が第2のワイヤー取付部47に回動自在に連結されるリターン用ワイヤー411とを備えている。ワイヤー41は、リフト用ワイヤー410及びリターン用ワイヤー411のそれぞれの他端が相互に連結されており、全体としてループ状となっている。このリフト用ワイヤー410は、チェーンを軌道に沿って上昇させるためのものである。リターン用ワイヤー411はチェーンを元の位置に戻すためのものである。このチェーンの各リンク44は、車両1側に設けられた被係止部19が挿入される隙間48を有している。この隙間48に車両1の被係止部19が挿入され、この状態でチェーンがその長手方向に移動すると、被係止部19は、チェーンの連結軸45と係合してチェーンと共に移動する。
【0028】
図2に示されるように、このワイヤー41には回転駆動装置43が接続されており、回転駆動装置43を正回転させると、リフト用ワイヤー410は、係止部42を第1のレール31に沿って上昇させる。他方、回転駆動装置43を逆回転させると、リターン用ワイヤー411は、係止部42を第1のレール31に沿って下降させる。
【0029】
なお引揚装置4としては、上記構成のものだけではなく、車両1を第1のレール31に沿って前記第2のレール32の上方側の端部へと移動させるものであれば、種々のものを採用することができる。例えば、上記構成では係止部42の部分のみをチェーンで構成していたが、ワイヤー41を排除してチェーンを輪状に連結し、このチェーンを第1のレール31に沿うよう配設し、回転駆動装置43によって、当該チェーンをその長手方向に移動させるようにしたものであってもよい。また、上記構成とは異なり、第1のレール31に沿って電磁石を複数並設し、当該電磁石から磁界を発生させ、この磁界中に、車両1下面に設けられた導体フィン18を横切らせて当該導体フィン18に渦電流を発生させ、これより生じる力を車両1の推進力に換える、リニアモータのような構造を利用して引き揚げるものであってもよい。
【0030】
車両1は、軌道3上を走行する。車両1は、第2のレール32上を重力を受けて無駆動で走行する。特に、本実施形態の車両1は、軌道3上を走行するのに用いられる駆動装置が設けられておらず、補助的に駆動する補助モータすらも搭載されていない。この車両1は、図5に示されるように、人を搭乗させる車両本体11と、車両本体11の下部に設けられると共に軌道3上に車両本体11を走行自在に支持する移動機構部12と備えている。
【0031】
車両本体11は、その外側面に出入り口13が設けられており、その出入り口13を塞ぐようにして扉14が開閉可能に取り付けられている。この扉14は、扉開閉装置(図示せず)によって開閉駆動される。車両本体11の内部には座席15が複数列設されている。本実施形態の車両本体11は、その内部が、屋根110・窓111・扉14によって外周(側方及び前後方向)及び上方が閉じられており、降雨時においても乗客が濡れないよう構成されている。
【0032】
移動機構部12は、フレーム部16と、フレーム部16を軌道上に支持する走行車輪部17と、フレーム部16に固設され且つフレーム部16下面から下方に突出した導体フィン18と、フレーム部16の下面から下方に向けて突出した被係止部19を備える。各走行車輪部17は、図6(a)に示されるように、鋼管軌条37の上部に接する回転自在な本車輪170と、鋼管軌条37の下部に接する回転自在な下車輪171と、鋼管軌条37の側部に接する回転自在な側車輪172とを有しており、これらの車輪によって鋼管軌条37を上下及び側方の一方の3点で挟み込んでいる。
【0033】
なおこの走行車輪部17は、例えば、図6(b)のように、鉛直下方から水平方向までの領域内の一点及び上方の計2点で挟み込むよう構成されたものであってもよい。この場合、鉛直下方から水平方向までの領域内の一点で接する下方傾斜輪173は、上記構成の下車輪171と側車輪172とを兼ねる。
【0034】
導体フィン18は、その長手方向が前後に沿うようにフレーム部16の左右方向の略中央に設けられており、対向する鋼管軌条37の略中間部に位置している。導体フィン18は、図5,8に示されるように、板状をした側面視矩形形状となっており、その下端が、レールの下端と略同じ高さに位置している。なお、図5中の符号180は導体フィン18を軽量化するために設けられた切欠部である。本実施形態の導体フィン18は、アルミニウムを主体として形成されている。その他の例としては、導体フィン18に非磁性体の銅,ジュラルミン等が用いられる。
【0035】
被係止部19は、図5に示されるように、側面視略L字状をしたフック190と、このフック190の中心部を回動自在に軸支する支持部191と、フック190の所定角度以上の回動を規制する回動規制部192と、フック190の上端が回動規制部192に当接する方向に向けて回動するよう当該フック190を付勢するコイルばねからなる付勢体(図示せず)とを備えている。この被係止部19は、車両1がチェーンに対し、進行方向に前進しているときは係止部42に係止されず、チェーンが車両1に対し、進行方向に前進したときに、係止部42に係止される。
【0036】
車両1は、車両1内に取り付けられた負荷装置5と、この負荷装置5に電力を供給するための蓄電装置60とを備えている。負荷装置5は、車両1内に取り付けられた電力消費装置を総称したものであり、例えば、空調装置(図7中のエアコン,ヒータ),放送装置(図7中の放送設備),照明装置(図7中の車内照明),扉開閉装置,速度計測装置,又はこれらを制御する制御装置などを指す。なおこの制御装置は、後述のGPS(Global Positioning System)装置の演算部も兼ねる。
【0037】
本実施形態の車両1は、図1に示されるように、複数の車両1(具体的には2つの車両1)が前後方向に連結されて列車を構成している。この列車は、軌道3上に複数(本実施形態では4つ)配設されている。なおこの列車は、単数の車両1によって構成されたものであってもよく、この単数の車両1から構成されたものについても列車と称するものとする。
【0038】
蓄電装置60は、図7に示されるように、電気二重層キャパシタ,リチウム電池等といった蓄電器68と、蓄電器68からの直流電流を交流電流に変換させる変換インバータ69と、変換インバータ69及び蓄電器68の入力側に設けられると共に、商用電源73からの交流電流を直流電流に変換するAC/DCコンバータを含み且つ所定の電圧に変換可能なスイッチング式の直流電源装置70と有している。この蓄電器68は、変換インバータ69を介して、各負荷装置5に接続されている。
【0039】
車両1は、GPS装置を有している。このGPS装置は、地球軌道を周回する複数の人工衛星から出力された信号波(GPS信号)を受信する受信部と、この受信部により受信された信号から車両1の位置を検出する演算部と、演算部により検出された位置情報を外部の制御室の制御装置(図示せず)へ出力する送信部とを備えている。本実施形態の輸送システムは、このGPS装置により車両1の位置を特定することで、車両1の軌道3全体に対する走行位置を、制御室の制御装置で一括管理している。このGPS装置と後述する区間閉塞システムとを併用することにより、本実施形態の輸送システムは、複数の車両1を軌道3内で安全に走行させることを実現している。
【0040】
軌道3には、当該軌道3に沿って複数の駅2が隔設されている。駅2は、車両1への人の乗降や、貨物の積降に使用される場所である。各駅2は互いに離間しており、各駅2は軌道3によって互いに接続されている。駅2は、図8に示されるように、軌道3に面する部分に開閉ドア21が設けられており、この開閉ドア21は、車両1が到着し所定の位置に停車すると、開放するようになっている。駅2は、車両1を所定の位置に停車させるため、停車装置80(第1の停車装置800)を有している(なお、図8において停車装置80の図示は省略している)。
【0041】
停車装置80は、車両1の下面から突設された導体フィン18を挟圧し、ブレーキパッド81の摩擦力によって、運動エネルギーを熱エネルギーに変換して車両1を停止させる。停車装置80は、図9,10に示されるように、ブレーキパッド81と、このブレーキパッド81を接離自在に駆動させるブレーキ機構部82と、このブレーキ機構部82を鋼管39に固設するためのブレーキ架台83とを備えている。ブレーキパッド81は、前後両端部に、端部側ほど対向間隔が広くなったガイド部を有しており、このガイド部により、車両1の導体フィン18を確実にブレーキパッド間に導入する。
【0042】
ここで本実施形態の輸送システムは、図11に示されるように、駅2に設けられた第1の停車装置800の手前(進行方向における駅2の直前)に、車両1を減速させるための制動装置84が設けられており、制動装置84と第1の停車装置800との間に車両推進装置90が複数並設されている。本実施形態の輸送システムは、車両1が駅2に入る直前で一旦停止ができるよう、駅2手前に、前記第1の停車装置800とは別に第2の停車装置801が設けられており、一旦停止した車両1が再度前進できるよう当該停車装置801に隣接して車両推進装置90が配設されている。
【0043】
制動装置84は、図12,13に示されるように、当該装置84に取り付けられた永久磁石85が生成する磁界により車両1の導体フィン18に渦電流を発生させ、この渦電流と磁界とから生ずる力を車両1への制動力として利用するものである。この制動装置84は、鋼管39に沿って配置される基台86と、この基台86に枢軸を介して回動自在に枢支された回動アーム87と、回動アーム87の上方側の端部に設けられた永久磁石85と、この回動アーム87にそのロッドが枢着されると共に当該ロッドを突没自在とするシリンダ88とを備えている。このシリンダ88がロッドを没入させると、それに連動して回動アーム87が起立し、永久磁石85が導体フィン18の移動軌跡と重なる高さにまで突出する(図12参照)。一方、シリンダ88がロッドを突出させると、それに連動して回動アーム87が傾倒し、永久磁石85が下方に下がり導体フィン18と重ならない高さに移動する(図13参照)。図12,13において、想像線で示した符号181は、車両の導体フィン18の移動軌跡を示している。
【0044】
なお、本実施形態の制動装置84は、回動アーム87の永久磁石85が設けられた側とは反対側におもり89が取り付けられており、シリンダ88による駆動力が回動アーム87に負荷されていない状態で、永久磁石85を上限に位置させる。またおもり89は、少なくとも永久磁石85よりも重くなっていると共に、シリンダ88による駆動力よりも上回らないような重量となっている。これにより、仮に、シリンダ88が故障した場合であっても、おもり89の自重により永久磁石85が、導体フィン18の移動軌跡181と重なる高さに移動するため、走行する車両1に制動力を与えることができる。
【0045】
車両推進装置90は、制動装置84により減速した車両1を、駅2に到着する前に停止させることなく、駅2の停車装置80まで一定の速度で移動させるために、又は、停車装置80により一旦停止した車両1を再び前進させるために補助的に用いられるものである。車両推進装置90は、車両1の速度が所定の値以下になった場合に当該車両1を前方に推進し、あるいは停車した車両1を前方に推進する。車両推進装置90は、図14,15に示されるように、一対の回転自在なタイヤ91と、その中間部分で揺動自在に枢支されると共に一端に前記タイヤ91が設けられた一対の平面視略L字状のアーム92と、タイヤ91を接離自在に駆動させるためにアーム92の他端部に接続されたエアシリンダ93とを備える。このエアシリンダ93のロッドを突出させると、アーム92が回動し、一対のタイヤ91が互いに接触する方向に移動する(図15参照)。一方、エアシリンダ93のロッドを没入させると、アーム92が回動し、一対のタイヤ91が互いに離間する方向に移動する(図14参照)。このタイヤ91は、相互に逆回転するようにチェーンを介してモータ94に取り付けられており、それぞれ同じ回転数で回転しているので、互いに近接または接触した状態でも回転できる。これにより、このタイヤ91間に車両1の導体フィン18が挟まれると、タイヤ91の回転駆動力により車両1が推進される。
【0046】
この車両推進装置90は、制動装置84との間に取り付けられたセンサー(図示せず)を有しており、当該センサーが車両1の進入を検知すると、エアシリンダ93のロッドを突出させてタイヤ91を駆動させ、且つモータ94によってタイヤ91を一定の回転速度で回転させる。また車両推進装置90は、前方側に隣接する停車装置80の動作と連動するようにもなっており、停車装置80により車両1が停止されると、エアシリンダ93のロッドを没入させ、車両1に対して推進力を与えない状態となる。
【0047】
第2のレール32上を走行した車両1は、およそ30km/hの速度で制動装置84に到着する。制御室の制御装置は、車両1がおよそ30km/hの速度で制動装置84に侵入したことを検知すると、制動装置84を、車両1を減速させるよう制御する。すると車両1は、その速度が5km/h程度にまで減速される。次いで、制動装置84を経た車両1は、車両推進装置90により5km/hの速度に保たれ、駅2にまで移動する。所定の速度(5km/h)で駅2に入構した車両1は、第1の停車装置800によって、所定の位置に完全に止められる。
【0048】
また車両1が、対向する風等により減速し、5km/h未満で制動装置84に到着した場合、制御室の制御装置は、制動装置84を、その永久磁石85を没入させて制動力が働かないよう制御する。車両1は、制動装置85による制動力を受けないまま車両推進装置90に到達し、車両推進装置90により進行方向に推進されて5km/h程度の速度に保たれ、駅2内に入構する。
【0049】
駅2に既に別の車両1が停車している場合、制御室の制御装置は、駅2手前側に設けられた第2の停車装置801を制御し、後方から駅2に近付く車両1を、駅2の手前で一旦停車させる。そして制御装置は、駅2に停車中の車両1が前進したことを検知すると、車両推進装置90を、一旦停止した車両1を再び前進させるように制御する。
【0050】
本実施形態の輸送システムは、車両1の蓄電装置60に充電を行なうための給電装置61が設けられている。この給電装置61は、車両1が、所定の速度以下(例えば5km/h以下)で走行する低速エリアに位置しているとき及び前記駅2に停車しているときに充電を行なうものである。本実施形態の低速エリアは、制動装置84から第1の停車装置800までの領域、及び第1のレール31上の領域が該当する。
【0051】
給電装置61は、図16に示されるように、鋼管軌条37の下方に当該鋼管軌条37に沿って設けられた給電トロリー62と、車両1の車輪の下方に設けられると共に給電トロリー62に摺接する集電子65とを備えている。この給電トロリー62は、正面視略Y字状の支持部38に、所定の間隔ごとに支持されている。給電トロリー62は、図16に示されるように、第1の電極640と第2の電極641とを有しており、各電極640,641が断面C字状の絶縁外郭体63の内部に収容されている。これら電極640,641は支持部38を介して外部の商用電源73に接続されており、特に、第2の電極641は、図7に示されるように、その入力側に変圧器71が接続されている。給電トロリー62は、制動装置84が設けられた位置から第1のレール31の第2の端部34に亙る範囲で且つ各ユニットごとに取り付けられており、それ以外の部分には取り付けられていない。なお、図16中の符号642はアース電極である。
【0052】
車両1側に取り付けられた集電子65は、図16に示されるように、給電トロリー62の電極640,641に接触する接触子66と、この接触子66を電極64側に付勢する付勢体67とを有している。この接触子66は、第1の電極640に接続される第1の接触子660と、第2の電極641に接続される第2の接触子661とを有している。
【0053】
第1の接触子660は、図7に示されるように、上述の直流電源装置70が接続された第1のルート74を介して、蓄電器68及び車両1内の各負荷装置5に接続される。この各負荷装置5は、所定の電力(例えば、1kVA)よりも小さい電力で運転可能な第1の負荷装置51と、所定の電力よりも大きな電力が必要となる第2の負荷装置52とを有している。
【0054】
第2の接触子661は、蓄電装置60が接続された第1のルート74とは別に、第2のルート75を介して車両1内の各負荷装置5に接続される。この各負荷装置5は、所定の電力よりも大きな電力が必要となる第3の負荷装置53及び第4の負荷装置54を有しており、特に第3の負荷装置53は、第2の負荷装置52と同機能を有するものとなっている。
【0055】
接触子66が給電トロリー62に接続されると、第1の電極640と第1の接触子660が接続され、第2の電極641と第2の接触子661が接続される。すると、給電トロリー62から送られた交流電流が、第1の電極640及び第1の接触子660を介して直流電源装置70に送られ、直流電流に変換されると共に所定の電圧になるよう昇圧又は降圧される。直流電源装置70から出力された直流電流は、その大部分が蓄電器68に充電され、それ以外が変換インバータ69を介して再度交流電流に変換されて第1の負荷装置51及び第2の負荷装置52に送られる。
【0056】
一方、商用電源73から分岐され、変圧器71を介して所定の電圧に昇圧又は降圧された交流電流は、第2の電極641及び第2の接触子661を介して、第3の負荷装置53及び第4の負荷装置54に送られる。
【0057】
本実施形態において、第2の負荷装置52である空調装置(エアコン)は、その入力側にスイッチ72が接続されている。このスイッチ72は、蓄電装置60への充電を開始するのとほぼ同じタイミングで当該負荷装置52への電力の供給を遮断するよう制御される。つまり蓄電装置60へ充電するに際しては、蓄電装置60により電力を供給される負荷装置51,52のうち、所定の電力よりも大きな電力を要する第2の負荷装置52への電力の供給を遮断したうえで、その充電が行なわれるよう構成されている。
【0058】
そして、運転を停止した第2の負荷装置52と同機能を有する第3の負荷装置53に対して、蓄電装置60に接続されたルート74とは別の第2のルート75を介して、給電が行なわれる。
【0059】
したがって、蓄電装置60への充電に対しては十分な量の電力を供給することができ、そのうえ、所定の電力よりも大きな電力を要する負荷装置5に対しては、蓄電装置60への配線とは別の配線により電力を供給することができる。
【0060】
このように本実施形態の輸送システムは、蓄電装置60への電力の供給を十分に確保しながら、負荷装置5の運転も継続させることができるため、急速に充電を完了することができ、また充電中に負荷装置5を停止させる必要がない。このため、輸送システムの運転に支障をきたすことなく充電を行なうことができ、この結果、頻繁に充電することができるようになる。このように頻繁に充電できれば、蓄電装置60は、車両1が給電装置61のない第2のレール32上の区間を走行するときの負荷装置5に対する電気容量のみを蓄えればよくなり、蓄電装置60を従来のもの以上に小さくすることができる。また、本実施形態の輸送システムは、補助的に用いられるものを含め駆動装置が車両1に設けられていないため、一層、蓄電装置60を小さくすることができる。
【0061】
また本実施形態の輸送システムは、車両1に設けられる蓄電装置60を小さくすることができるため、車両1内の空間を有効に利用することができる。つまり、人が乗るスペースや物を載せるスペースをより広く確保することができる。
【0062】
また本実施形態の輸送システムは、車両1が、電力を大きく消費する駆動装置やブレーキ装置を備えないうえに、駅2及び低速エリアごとに充電を行ない蓄電装置60を小さくしたため、車両1の軽量化を図ることができる。一方、軽量化された車両1は、突風や地震等により横転しやすくなってしまうが、本実施形態の車両1は、各鋼管軌条37に対し、3方向にて接する車輪170,171,172によって支持されており、横転の心配がない。また車両1が軽量化されていることにより、軌道3や支持部38・鋼管29・鋼管39を支持する支柱の強度を小さくさせることも可能であり、したがってコストダウンを行なうことができる。
【0063】
また給電装置61は、各駅2と、第1のレール31の全長に亙る領域と、制動装置84から第1の停車装置800までの領域とに配設されている。このため車両1は、低速走行しているとき又は停車しているときに給電を受けるから、電極64と接触子66の摩擦による磨耗を低減でき、そのうえ電極64から接触子66が離脱する可能性を大幅に低減することができるという利点もある。更に言えば、給電に必要な架線が駅2近傍にのみ配設されているため、メンテナンスが容易であり、また架線に対する安全上の監視の負担が軽減される。
【0064】
また本実施形態の輸送システムは、車両1に駆動装置が設けられていないが、その代わりに、軌道3上に車両推進装置90が設けられている。これにより車両1は、走行中、仮に運動エネルギーが不足し、途中で停止しそうになっても、車両推進装置90により、確実に駅2に到着することができる。
【0065】
また本実施形態の輸送システムは、制動装置84や停車装置80がレール側に設けられており、車両1には設けられていないので、車両1の1台当たりのコストを下げることができる。
【0066】
また、本実施形態の輸送システムは、給電装置61が、低速エリアと駅2とにのみ設けられており、軌道3の大部分が給電装置61を有していないため、架線を大幅に減らすことができて、設備コストを低減することができる。
【0067】
また本実施形態の輸送システムは、第2のレール32に沿って必要に応じて適宜停車装置(図示せず)が取り付けられている。この停車装置は、駅2に設けられた上述の停車装置80と同じものである。この停車装置は、緊急時に車両1を停車させるためのものであり、例えば、車両1に取り付けられた速度計測装置が、所定の数値以上または所定の数値以下のいずれかを検知した場合(すなわち、速度値が所定の数値範囲を逸脱した場合)、制御室の制御装置が、異常が発生したものと判断して、車両1を停車させる。本実施形態の輸送システムは、車両1内に取り付けられた速度計測装置が、車両1の速度を検出して、その速度情報を外部の制御室にある制御装置に送信する。制御装置は、速度情報を受けるのと同時に、GPS装置による車両1の位置情報をも受け取り、車両1が今現在どこに位置し、どの速度で走行しているかを管理する。このとき車両1が、所定の速度範囲を逸脱して走行した場合には、制御装置が停車装置を駆動させ、その車両1を停止させる。
【0068】
本実施形態の輸送システムでは、上述のように区間閉塞システムを併用して安全管理を行なっている。この区間閉塞システムは、第2のレール32の上方側の端部から駅2手前の第2の停車装置801までで且つ当該停車装置801を含む区間と、この停車装置801の前方から前記駅2までで且つ当該駅2を含む区間と、この駅2の前方から第2のレール32の上方側の端部までの区間と、におけるそれぞれの区間内に、2以上の列車が位置しないように各停車装置80と引揚装置4とを制御するシステムである。本実施形態の輸送システムでは、軌道3、制動装置84、車両推進装置90、駅2、引揚装置4、停車装置80等の所定の部位に設けられた近接センサーにより、列車(車両1)の位置を検知し、制御室の制御装置が停車装置80と引揚装置4と車両推進装置90とを制御する。具体的に制御装置は、前方の区間に列車が位置していないのを確認した上で、後方に控える列車を、その区間へ推進し又はその区間への侵入を許可するよう制御する。
【0069】
これにより本実施形態の輸送システムは、高度な安全管理が実現されている。しかもこの区間閉塞システムは、GPS装置と近接センサーとの2系統から車両位置を検出し、この検出信号に基づいて停車装置80と引揚装置4と車両推進装置90とが制御されているため、GPS装置又は近接センサーのいずれかが動作不良を起こしても、確実に安全管理を行なうことができ、これらにより十分な安全性が確保される。
【0070】
以上、本発明の輸送システムを本実施形態の交通システムに基づいて説明したが、本発明の輸送システムは上記実施形態に限定されるものではない。また本実施形態の給電装置61は、車両1が低速エリアに位置しているとき及び駅2に停車しているときに充電を行なうよう構成されていたが、本発明の給電装置は、車両が低速エリアに位置しているとき、又は駅に停車しているときのいずれかに充電を行なうようにしてもよく、本実施形態の給電装置61に限定されるものではない。
【0071】
また本実施形態の輸送システムは、軌道3が環状の軌道3となっていたが、本発明の輸送システムは、例えば往復型の軌道であってもよく、軌道の形状は環状のみに限定されるものではない。
【0072】
また、本実施形態の車両推進装置90は、車両1を、その導体フィン18を回転駆動したタイヤ91に挟んで前進させるものであったが、本発明の車両推進装置は、例えば、軌道に沿って、磁極を切り替え可能な電磁石を複数列設し、導体フィンに渦電流を発生させ、そのとき生じる力を車両の推進力とするような、いわゆるリニアモータにより構成されたものであってもよい。
【0073】
なお本実施形態の輸送システムは、引揚装置4の車両1進行方向手前側に駅2が設けられ、この駅2を通過した車両1が引揚装置4にて引き揚げられる構成となっていたが、本発明の輸送システムは、車両1が、引揚装置4により引き揚げられた直後に駅2に到着するよう構成されていてもよく、本実施形態の構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0074】
1 車両
2 駅
3 軌道
31 第1のレール
310 上昇エリア
311 下降エリア
312 最上部
32 第2のレール
33 第1の端部
34 第2の端部
35 第3の端部
36 第4の端部
37 鋼管軌条
38 支柱
4 引揚装置
41 ワイヤー
42 係止部
43 回転駆動装置
5 負荷装置
60 蓄電装置
61 給電装置
62 給電トロリー
65 集電子
80 停車装置
84 制動装置
90 車両推進装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上り傾斜を有する第1のレール及び下り傾斜を有する第2のレールを含んでおり、当該第1のレールと第2のレールとが連接された軌道と、
前記第2のレール上を傾斜した状態で重力を受けて走行すると共に、軌道上を走行するための駆動装置を有しておらず、且つ内部の負荷装置に電力を供給するための蓄電装置を有する車両と、
前記車両を第1のレールに沿って前記第2のレールの上方側の端部へと移動させる引揚装置と、
前記車両を停止させる停車装置を有すると共に、前記軌道に沿って互いに隔設された複数の駅と、
前記車両が、所定の速度以下で走行する低速エリアに位置しているとき又は前記駅に停車しているときに、車両の負荷装置に電力を供給しながら蓄電装置に対して充電を行なう給電装置と
を備えていることを特徴とする輸送システム。
【請求項2】
前記軌道における駅の手前に、車両を減速させる制動装置が設けられており、
この制動装置から前記停車装置までの領域が前記低速エリアである
請求項1記載の輸送システム。
【請求項3】
前記第1のレール上の領域が前記低速エリアである
請求項1または請求項2のいずれかに記載の輸送システム。
【請求項4】
軌道上に設けられると共に、前記車両が所定の速度以下にまで減速した場合に当該車両を進行方向に推進する車両推進装置をさらに備えている
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の輸送システム。
【請求項5】
前記第1のレール及び第2のレールは、一対の軌条が並設されたものであり、
前記車両は、各軌条に対し、左右方向のうちのいずれか一方及び上方及び下方の3方向にて接する車輪によって、前記第1のレール上又は第2のレール上に支持されている
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の輸送システム。
【請求項6】
前記駅の車両進行方向手前に前記車両を停止させる停車装置をさらに備え、
複数連結した車両又は単数の車両からなる列車が複数設けられ、
前記第2のレールの上方側の端部からこの停車装置までを含む区間と、
この停車装置の前方から前記駅までを含む区間と、
この駅の前方から第2のレールの上方側の端部までの区間と
におけるそれぞれの区間内に、2以上の前記列車が位置しないよう前記各停車装置と前記引揚装置とを制御する
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の輸送システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−40957(P2012−40957A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184196(P2010−184196)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(390002196)泉陽興業株式会社 (28)
【Fターム(参考)】