説明

輸送機器用結合部材

【課題】結合部材を小型化して軽量化を図り、更に、居住室への結合部材の張り出しを小さくして、居住室のスペースを確保すると共に、締結具に作用する荷重を複数の締結具に分散させて、耐久性の向上を図ることができる輸送用機器を提供すること。
【解決手段】結合部材1の斜辺1aに沿って配設される各リベット41a,41bが仮想直線L上にそれぞれ位置するので、側フレーム10及び床フレーム20に負荷された荷重の合力を、仮想直線L上に位置する各リベット41a,41bのそれぞれに分散させ、耐久性の向上を図ることができる。また、結合部材1の斜辺1aの位置を居住室R側から離れる方向へ後退させることができるので、居住室R側への張り出し量を小さくして、居住室Rのスペースを確保することができる。更に、結合部材1の面積を小さくして、その分、軽量化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送機器用結合部材に関し、特に、結合部材を小型化して軽量化を図り、更に、居住室への結合部材の張り出しを小さくして、居住室のスペースを確保すると共に、締結具に作用する荷重を複数の締結具に分散させて、耐久性の向上を図ることができる輸送機器用結合部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両、航空機、船舶、或いは、車両などの輸送機器では、一般に、複数のフレーム同士を結合して組み立てられた構造体の内部に居住室が形成される。例えば、輸送機器の一例として、鉄道車両の構造を例に説明すると、縦横4本のフレームの端部同士を結合した正面視額縁状の構造体の内部に居住室が形成される。各フレームの端部にはガセット(結合部材)がリベット(締結具)により締結され、この結合部材を介してフレーム同士が結合される(特許文献1)。
【0003】
ここで、従来の結合部材の構成について、図3を参照して説明する。図3(a)及び図3(b)は、側構体に配設される第1フレーム10と、床構体に配設される第2フレーム20とを結合する従来の結合部材101,102の正面図である。図3(a)に示すように、結合部材101は、居住室R側の端縁101aが、第1フレーム10及び第2フレーム20の居住室R側の端縁に滑らかに連なる円弧状に湾曲して形成され、また、両フレーム10,20の長手方向および幅方向に沿って格子状に配置されたリベット40により、両フレーム10,20にそれぞれ締結されている。
【0004】
しかしながら、この結合部材101では、端縁101aが円弧状に湾曲されているので、第1フレーム10及び第2フレーム20に荷重F1が負荷されると、結合部材101に曲げモーメントが作用して、端縁101aに応力が集中する。そのため、結合部材101の板厚を増加させ、強度を確保する必要が生じ、重量の増加を招く。また、端縁101aに曲線加工を施す必要があり、その分、加工工数が嵩む。
【0005】
そこで、図3(b)に示すように、居住室R側の端縁102aを直線状に形成した結合部材102が提案されている。この結合部材102によれば、端縁102aが直線状に形成されているので、端縁102aへの応力の集中や加工工数の増加を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−269197号公報(例えば、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の結合部材102では、その結合部材102の面積が大きくなるため、重量が嵩むという問題点があった。また、端縁102aの居住室R側への張り出し量が大きくなるため、その分、居住室Rのスペースが減少するという問題点があった。更に、第1フレーム10及び第2フレーム20に荷重F1が負荷されると、複数のリベット40の内の端縁101a,102aの端部に最も近接するリベット40a(図3参照)のみに合力F2が集中するため、耐久性の低下を招くという問題点があった。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、結合部材を小型化して軽量化を図り、更に、居住室への結合部材の張り出しを小さくして、居住室のスペースを確保すると共に、締結具に作用する荷重を複数の締結具に分散させて、耐久性の向上を図ることができる輸送機器用結合部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、請求項1記載の輸送機器用結合部材は、第1フレームと、その第1フレームに対して交差する方向へ延びる第2フレームと、それら第1フレーム及び第2フレームに当接される平板状の結合部材と、その結合部材を前記第1フレーム及び第2フレームにそれぞれ締結する締結具とを備え、前記第1フレームと第2フレームとの間に居住室が形成されるものであって、前記結合部材は、前記居住室側に位置し直線状に形成される斜辺を備え、前記締結具は、前記結合部材の斜辺に沿って配設され前記結合部材を前記第1フレームに締結する複数の第1締結具と、前記結合部材の斜辺に沿って配設され前記結合部材を前記第2フレームに締結する複数の第2締結具とを備え、前記複数の第1締結具と前記複数の第2締結具とが、前記斜辺に平行な仮想直線上に位置している。
【0010】
請求項2記載の輸送機器用結合部材は、請求項1記載の輸送機器用結合部材において、前記複数の第1締結具が前記第1フレームの中心線を挟んで位置すると共に、前記複数の第2締結具が前記第2フレームの中心線を挟んで位置し、前記斜辺の両端が、前記第1フレームの中心線および第2フレームの中心線よりも外側に位置している。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の輸送機器用結合部材によれば、平板状の結合部材に第1フレームと第2フレームとがそれぞれ複数の締結具により締結されることで、これら第1フレームと第2フレームとが結合部材を介して結合される。
【0012】
この場合、結合部材は、居住室側に位置し直線状に形成される斜辺を備え、その結合部材を第1フレームに締結する複数の第1締結具と、結合部材を第2フレームに締結する複数の第2締結具とが、結合部材の斜辺に平行な仮想直線上に位置するので、第1フレーム及び第2フレームに荷重が負荷された場合には、その荷重の合力を上述した仮想直線上に位置する第1締結具および第2締結具のそれぞれが分担することができる。即ち、仮想直線上に位置する各締結具のそれぞれに合力を分散させることができるので、斜辺の端部に最も近接するリベット40a(図3参照)のみに合力が集中する従来品と比較して、耐久性の向上を図ることができるという効果がある。また、締結具を小型化することができるので、その分、軽量化を図ることができるという効果がある。
【0013】
更に、このように、結合部材の斜辺に沿って配設される(即ち、斜辺に最も近接する)各2つの締結具を、結合部材の斜辺に平行な仮想直線上に配置することで、締結具を縦横に格子状に配置する従来品と比較して、結合部材の斜辺の位置を居住室側から離れる方向へ後退させることができる。その結果、居住室側への張り出し量を小さくして、その分、居住室のスペースを確保することができるという効果がある。更に、結合部材の面積を小さくして、軽量化を図ることができるという効果がある。
【0014】
請求項2記載の輸送機器用結合部材によれば、請求項1記載の輸送機器用結合部材の奏する効果に加え、結合部材を第1フレームに締結する複数の第1締結具が、第1フレームの中心線を挟んで位置するので、これら複数の第1締結具を第1フレームに対して一部に偏らせることなく配置することができる。よって、複数の第1締結具から第1フレーム及び結合部材が荷重を受ける領域を分散させることができるので、その分、第1フレーム及び結合部材の耐久性の向上を図ることができるという効果がある。また、荷重を受ける領域の分散により、第1フレーム及び結合部材を薄肉とすることができるので、その分、第1フレーム及び結合部材の軽量化を図ることができるという効果がある。
【0015】
また、第2フレームについても、結合部材を第2フレームに締結する複数の第2締結具が、第2フレームの中心線を挟んで位置するので、第1フレームの場合と同様に、第2フレーム及び結合部材の耐久性の向上と軽量化とを図ることができるという効果がある。
【0016】
更に、結合部材の斜辺の両端が、第1フレームの中心線および第2フレームの中心線をそれぞれ越えて位置する(即ち、両端が第1フレームの中心線および第2フレームの中心線の外側に位置する)ので、結合部材の斜辺の位置を上述した各2つの第1締結具および第2締結具に近接させることができる。その結果、居住室側への張り出し量を小さくして、その分、居住室のスペースを確保することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態における鉄道車両を構成する構造体の正面図である。
【図2】構造体の部分拡大正面図である。
【図3】(a)及び(b)は、従来の結合部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態における鉄道車両を構成する構造体Kの正面図である。本実施の形態では、本発明の適用対象として、鉄道車両を例に説明する。まず、図1を参照して、鉄道車両を構成する構造体Kの概略構成について説明する。
【0019】
構造体Kは、車両構体の骨組となる部位であり、所定間隔を隔てつつ対向して配置され側構体の骨組の一部を構成する一対の側フレーム10と、それら一対の側フレーム10に対して交差する方向へ延び床構体の骨組の一部を構成する床フレーム20と、その床フレーム20と所定間隔を隔てつつ対向し屋根構体の骨組の一部を構成する屋根フレーム30と、それら各フレーム10,20,30の端部にリベット41a〜41e(図2参照)により締結される結合部材1とを備える。
【0020】
図1に示すように、構造体Kは、結合部材1を介して各フレーム10,20,30の端部同士が4箇所で結合されることで、正面視額縁状に形成される。車両構体は、構造体Kを鉄道車両の長手方向(図1紙面垂直方向)へ所定間隔毎に複数配置し、その外面側に外壁となる外板を装着することで、内部に居住室Rを有する箱状に形成される。
【0021】
次いで、図2を参照して、結合部材1による結合構造について説明する。図2は、構造体Kの部分拡大正面図である。なお、結合部材1による結合構造は、各フレーム10,20,30において同様であるので、本実施の形態では、側フレーム10及び床フレーム20のみについて説明し、側フレーム10及び屋根フレーム30についての説明は省略する。
【0022】
図2に示すように、側フレーム10及び床フレーム20は、L形断面を有する長尺板状の部材である。即ち、リベット41a〜41eが締結される板面の縁部(外板が装着される側)には、板面に垂直となる方向(図2紙面垂直方向)へ向けてリブが立設されている。なお、屋根フレーム30(図1参照)も側フレーム10及び床フレーム20と同様の構成である。
【0023】
結合部材1は、上述したように、各フレーム10,20,30同士を結合するための平板状の部材であり、正面視二等辺三角形状に形成されている。ここで、結合部材1は、二等辺三角形の頂角をつくる2本の辺が、側フレーム10の中心線C1及び床フレーム20の中心線C2にそれぞれ平行となり、頂角の対辺となる底辺(以下「斜辺1a」と称す)が、居住室R側に位置する状態に配設される。
【0024】
なお、側フレーム10及び床フレーム20の中心線C1,C2とは、側フレーム10及び床フレーム20の幅方向(居住室R側の縁部とリブ側の縁部とを結ぶ方向)中央を通り長手方向に延びる仮想直線である。
【0025】
結合部材1は、本実施の形態では、側フレーム10及び床フレーム20に対してそれぞれ5本のリベット41a〜41eにより締結される。即ち、リベット41a〜41eは、例えば、側フレーム10側では、2本のリベット41a,41eを結ぶ第1列と、3本のリベット41b〜41dを結び第1列よりも居住室R側に位置する第2列とが、中心線C1を挟みつつその中心線C1に対して平行となるように配置されている。
【0026】
第1列のリベット41eと第2列のリベット41dとを結ぶ方向は中心線C1に対して直交し、第1列のリベット41a,41e間の離間距離は、第2列のリベット41b,41d間の離間距離よりも大きくされている。また、第2列では、各リベット41b〜41dが等間隔に配置されている。なお、床フレーム20側のリベット41a〜41eも同様の構成(配置)である。
【0027】
ここで、結合部材1を側フレーム10に締結するリベット41a〜41eであって、結合部材1の斜辺1aに沿って配設される(斜辺1aに最も近接する)2つのリベット41a,41bと、結合部材1を床フレーム20に締結するリベット41a〜41eであって、結合部材1の斜辺1aに沿って配設される(斜辺1aに最も近接する)2つのリベット41a,41bとは、結合部材1の斜辺1aに平行な仮想直線L上にそれぞれ位置する。
【0028】
これにより、側フレーム10及び床フレーム20に荷重が負荷された場合には(図3参照)、その荷重の合力を仮想直線L上に位置する各リベット41a,41bが分担することができる。即ち、仮想直線L上に位置する各リベット41a,41bのそれぞれに合力を分散させることができるので、端縁(斜辺)の端部に最も近接するリベット40a(図3参照)のみに合力が集中する従来品と比較して、耐久性の向上を図ることができる。また、リベット41a〜41eを小型化(小径化)することができるので、その分、軽量化を図ることができる。
【0029】
更に、このように、結合部材1の斜辺1aに沿って配設される(即ち、斜辺1aに最も近接する)各2つのリベット41a,41bを仮想直線L上に配置することで、リベットを縦横に格子状に配置する従来品と比較して、結合部材1の斜辺1aの位置を居住室R側から離れる方向へ後退させることができる。その結果、居住室R側への張り出し量を小さくして、その分、居住室Rのスペースを確保することができる。また、結合部材1の面積を小さくすることができるので、その分、軽量化を図ることができる。
【0030】
この場合、側フレーム10側において、結合部材1の斜辺1aに沿って配設される(最も近接する)2つのリベット41a,41bは、側フレーム10の中心線C1を挟んで位置するので、これら2つのリベット41a,41bを側フレーム10に対して一部に偏らせることなく配置することができる。
【0031】
よって、2つのリベット41a,41bから側フレーム10及び結合部材1が荷重を受ける領域を分散させることができるので、その分、側フレーム10及び結合部材1の耐久性の向上を図ることができる。また、荷重を受ける領域の分散により、側フレーム10及び結合部材1を薄肉とすることができるので、その分、側フレーム10及び結合部材1の軽量化を図ることができる。
【0032】
また、床フレーム20についても、結合部材1の斜辺1aに沿って配設される(最も近接する)2つのリベット41a,41bが、床フレーム20の中心線C2を挟んで位置するので、側フレーム10の場合と同様に、床フレーム20及び結合部材1の耐久性の向上と軽量化とを図ることができる。
【0033】
更に、結合部材1の斜辺1aは、その両端eg1,eg2が、側フレーム10の中心線C1及び床フレーム20の中心線C2をそれぞれ越えて位置する(即ち、両端eg1,eg2が側フレーム10の中心線C1及び床フレーム20の中心線C2の外側に位置する)ので、結合部材1の斜辺1aの位置をリベット41a,41bに近接させることができる。その結果、居住室R側への張り出し量を小さくして、その分、居住室Rのスペースを確保することができる。また、結合部材1の面積を小さくすることができるので、その分、軽量化を図ることができる。
【0034】
以上、各実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0035】
上記実施の形態では、本発明の適用対象として鉄道車両を例に説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の輸送機器に本発明を適用することは当然可能である。他の輸送機器としては、例えば、航空機、船舶、車両、或いは、宇宙船などが例示される。
【0036】
上記実施の形態ではその説明を省略したが、各フレーム10,20,30に囲まれて形成される居住室Rは、人間が居住するための空間に限られるものではなく、荷物などを収容するための収容空間であっても良い。請求項1記載の「居住室」についても同様の趣旨である。
【0037】
上記実施の形態では、結合部材1と各フレーム10,20,30との締結にリベット41a〜41eを使用する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の締結具を使用することは当然可能である。他の締結具としては、例えば、ボルト及びナットが例示される。
【0038】
上記実施の形態では、結合部材1と各フレーム10,20,30とを5本のリベット41a〜41eにより締結する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、リベットの本数は、4本以下であっても良く、或いは、6本以上であっても良い。
【0039】
この場合、外板側に位置する第1列のリベット(上記実施の形態ではリベット41a,41e)の本数を、居住室R側に位置する第2列のリベット(上記実施の形態ではリベット41b〜41d)の本数よりも少なくすることが好ましい。各リベットに作用する荷重を均一化して、より少ない本数のリベットで強度を確保することができるからである。これにより、リベットの本数を少なくして、部品コストの削減と軽量化とを図ることができる。
【0040】
具体的には、例えば、リベットの本数を4本とする場合には、上記実施の形態において、リベット41a,41b,41d,41eの配置は変更せず、リベット41cを省略する配置とすることが好ましい。これにより、上述したように、強度を確保しつつ、部品コストの削減と軽量化とを図ることができる。
【0041】
また、例えば、リベットの本数を6本以上とする場合には、上記実施の形態において、リベット41a,41b,41d,41eの配置は変更せず、第1列のリベット41a,41e間と、第2列のリベット41b,41d間とに、第1列のリベットの本数が第2列のリベットの本数よりも少なくなる状態を保ちつつ、リベットをそれぞれ追加することが好ましい。これにより、上述したように、強度を確保しつつ、部品コストの削減と軽量化とを図ることができる。
【0042】
但し、リベットの本数(4本以下、5本、6本以上)に関わらず、仮想直線L上に位置する複数のリベット(本実施の形態では、リベット41a,41b)を除く他のリベット(本実施の形態では、リベット41c〜41e)については、結合部材1の形状を維持するため、或いは、補強のため必要に応じて適宜配置することができる。即ち、これら他のリベットについては、本数のみならず、配置についても限定されるものではなく、任意の位置に任意の本数を配置することができる。
【0043】
よって、他のリベット(本実施の形態では、リベット41c〜41e)は、第1列および第2列に沿った直線状の配置に限定されるものでは無く、また、側フレーム10側における他のリベットの配置および本数と、床フレーム20側における他のリベットの配置および本数とが、互いに異なる配置および本数であっても良い。なお、側フレーム10と屋根フレーム30との結合においても同様である。
【0044】
上記実施の形態では説明を省略したが、第2列の両端に位置するリベット(上記実施の形態ではリベット41b,41d)間の離間距離を、仮想線L上のリベット(上記実施の形態ではリベット41a,41b)間の離間距離よりも大きくすることが好ましい。各リベットに作用する荷重を均一化して、より少ない本数のリベットで強度を確保することができるからである。従って、この構成によっても、リベットの本数を少なくして、部品コストの削減と軽量化とを図ることができる。
【0045】
また、上記実施の形態では説明を省略したが、リベット41a,41bと斜辺1aとの間の最短距離は、第1列のリベット41a,41eと結合部材1の二等辺三角形の頂角をつくる辺との間の最短距離(以下「基準距離」と称す)よりも大きくされ、かつ、その基準距離の2倍よりも小さくされている。これにより、結合部材1の縁部における強度を確保しつつ、結合部材1(斜辺1a)の居住室Rへの張り出しを小さくして、居住室Rのスペースを確保できる。
【0046】
上記実施の形態では、結合部材1と側フレーム10との締結において、仮想直線L上に2つのリベット(リベット41a,41b)が位置する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、少なくとも2つ(複数)が位置していれば足りる趣旨であり、3つ以上のリベットが位置する構成であっても良い。結合部材1と床フレーム20との締結においても同様であり、仮想直線L上に3つ以上のリベットが位置する構成であって良い。
【0047】
上記実施の形態では、側フレーム10、床フレーム20及び屋根フレーム30がL形断面を有するL形鋼(山形鋼)から構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これら各フレーム10〜30を他の断面形状を有する鋼材から構成することは当然可能である。他の断面形状を有する鋼材としては、例えば、Z形断面を有するZ形鋼やコ字断面を有するC形鋼(溝形鋼)などが例示される。なお、各フレーム10〜30は全て同じ断面形状を有する必要はなく、それぞれが異なる断面形状を有することは当然可能である。
【符号の説明】
【0048】
K 構造体(鉄道車両の一部、輸送機器用結合部材)
1 結合部材
1a 斜辺
eg1,eg2 斜辺の両端
10 側フレーム(第1フレーム)
20 床フレーム(第2フレーム)
30 屋根フレーム(第2フレーム)
41a〜41e リベット(締結具の一部)
41a,41b リベット(第1締結具、第2締結具)
R 居住室
L 仮想直線
C1 中心線(第1フレームの中心線)
C2 中心線(第2フレームの中心線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フレームと、その第1フレームに対して交差する方向へ延びる第2フレームと、それら第1フレーム及び第2フレームに当接される平板状の結合部材と、その結合部材を前記第1フレーム及び第2フレームにそれぞれ締結する締結具とを備え、前記第1フレームと第2フレームとの間に居住室が形成される輸送機器用結合部材において、
前記結合部材は、前記居住室側に位置し直線状に形成される斜辺を備え、
前記締結具は、前記結合部材の斜辺に沿って配設され前記結合部材を前記第1フレームに締結する複数の第1締結具と、前記結合部材の斜辺に沿って配設され前記結合部材を前記第2フレームに締結する複数の第2締結具とを備え、
前記複数の第1締結具と前記複数の第2締結具とが、前記斜辺に平行な仮想直線上に位置していることを特徴とする輸送機器用結合部材。
【請求項2】
前記複数の第1締結具が前記第1フレームの中心線を挟んで位置すると共に、前記複数の第2締結具が前記第2フレームの中心線を挟んで位置し、
前記斜辺の両端が、前記第1フレームの中心線および第2フレームの中心線よりも外側に位置していることを特徴とする請求項1記載の輸送機器用結合部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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