説明

農作業機

【課題】作業者が走行機体の運転席に乗ったままで、重量が大きなスタンドを容易に移動可能な農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機の一例である耕耘作業機1は、キャスタ付スタンド15を、機体2に設けられた回動中心軸21を中心として機体2の幅方向端部の外側を回動可能に連結する。キャスタ付スタンド15は機体2に設けた電動式油圧シリンダによって回動し、このシリンダは走行機体90に搭乗した作業者によって遠隔操作されて駆動して、キャスタ付スタンド15が使用位置Psと非使用位置Pnとの間を移動する。耕耘作業機1は、キャスタ付スタンド15が使用位置Psに移動すると、機体2に設けられたフック38がキャスタ付スタンド15に取り付けられたピン部材39に係止されてキャスタ付スタンド15を機体2に自動的に固定するロック装置30と、手動操作式のサブロック装置50を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の後部に着脱可能に装着されて、スタンド或いはキャスタ付スタンドを設けた農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタ等の走行機体の後部に着脱可能に装着され、作業者が走行機体の運転席に乗ったままで、スタンドを、機体を支持する使用位置と機体を非支持状態にする非使用位置に切り替え変え可能な農作業機が知られている。このような農作業機80は、例えば、特許文献1に記載されており、図7(a)(全体背面図)及び図7(b)(部分構成図)に示すように、機体81の幅方向端部の側面にスタンド82を上下方向に回動自在に取り付け、機体81の前部に傾動可能に設けられた操作レバー83とスタンド82との間をワイヤー84で繋ぎ、操作レバー83を傾動操作すると、ワイヤー84及びこの移動を案内するワイヤーガイド85を介してスタンド82が上下方向に回動するように構成されている。
【0003】
【特許文献1】実開平4−28002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来の農作業機に、大型の作業機や近年急速に普及が進んだ折り畳み作業機等の重量の大きい作業機に用いられる高強度大型スタンドや移動用キャスタ付スタンドを取り付けて、ワイヤーを引っ張ることによってスタンドを上方へ回動させようとすると、操作レバーを相当の力で動かす必要があり、スタンドを移動させる操作が困難になるという問題が発生する。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、作業者が走行機体の運転席に乗ったままで、重量が大きなスタンドを容易に移動させることができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するため、本発明は、以下の特徴を有する。特徴の一つは、走行機体の後部に着脱可能に装着され、機体にスタンド或いはキャスタ付スタンドを設けた農作業機(例えば、実施形態における耕耘作業機1,1',60)において、スタンド或いはキャスタ付スタンドを、機体を支持する使用位置と、機体を非支持状態にする非使用位置との間で回動可能に連結し、スタンド或いはキャスタ付スタンドを機体に設けたアクチュエータ(例えば、実施形態における電動式油圧シリンダ23)によって回動し、アクチュエータを遠隔操作によって駆動して、スタンド或いはキャスタ付スタンドを使用位置と非使用位置に移動させることを特徴とする。
【0007】
この特徴によれば、スタンド或いはキャスタ付スタンドを機体に設けたアクチュエータによって回動させることで、スタンド或いはキャスタ付スタンドの重量が大きい場合でも、このスタンド或いはキャスタ付スタンドを容易に移動させることができる。またアクチュエータを遠隔操作によって駆動して、スタンド或いはキャスタ付スタンドを使用位置と非使用位置に移動させることで、農作業機を連結した走行機体に作業者が搭乗したままで、スタンド或いはキャスタ付スタンドを、容易に使用位置及び非使用位置に移動させることができる。
【0008】
また特徴の一つは、スタンド或いはキャスタ付スタンドを、機体に対して上方に回動させて、機体の上方の非使用位置に収納することを特徴とする。
【0009】
この特徴によれば、スタンド或いはキャスタ付スタンドを機体の上方の非使用位置に収納することで、スタンド或いはキャスタ付スタンドが農作業機の側方へ突出することがなく、スタンド或いはキャスタ付スタンドを収納した農作業機の幅方向長さを短くしたままで農作業をすることができ、さらに農作業機の移動を容易にすることもできる。
【0010】
さらに特徴の一つは、スタンド或いはキャスタ付スタンドが使用位置に移動すると、該スタンド或いは該キャスタ付スタンドを機体に固定するロック装置を設けたことを特徴とする。
【0011】
この特徴によれば、スタンド或いはキャスタ付スタンドが使用位置に移動すると、ロック装置によってスタンド或いはキャスタ付スタンドが機体に固定されることにより、使用位置に移動したスタンド或いはキャスタ付スタンドのロック作業を自動化することができ、ロック作業にともなう作業者の労力を軽減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係わる農作業機によれば、上記特徴を有することで、作業者が走行機体の運転席に乗ったままで、重量が大きなスタンドを容易に動かすことができる農作業機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係わる農作業機の実施形態を図1から図6に基づいて説明する。なお、本実施形態は、農作業機のうち耕耘作業機を例にして説明する。
【0014】
〔第1実施形態〕
第1実施形態では、代掻き用の耕耘作業機について説明する。この耕耘作業機1は、図1(側面図)及び図2(正面図)に示すように、機体2の前部に、走行機体90の後部に設けられた図示しない3点リンク連結機構に連結されるトップマスト3とロアーリンク連結部が設けられて、耕耘作業機1は走行機体90の後部に昇降可能に装着される。また、走行機体90のPTO軸からユニバーサルジョイント等の動力伝達手段を介して、耕耘作業機1の幅方向中央部に設けられたギアボックス4から前方へ突出する入力軸4aに動力が伝達されるようになっている。
【0015】
ギアボックス4から幅方向両側には、主フレーム5が延び、進行方向左側の主フレーム5の端部には、チェーン伝動ケース6が垂設され、右側の主フレーム5の端部には側部フレームがチェーン伝動ケース6と対向して垂設されている。左側の主フレーム5及びチェーン伝動ケース6内には図示しない伝動機構が設けられ、チェーン伝動ケース6と側部フレームの下端部間に多数の耕耘爪が取り付けられた耕耘ロータ7が回転自在に支持されている。そして、入力軸4aに伝達された動力は、ギアボックス4を介して主フレーム5及びチェーン伝動ケー6ス内の伝動機構に伝達されて、耕耘ロータ7を所定方向に回転させる。
【0016】
耕耘ロータ7の上側はシールドカバー8により覆われ、このシールドカバー8の左右両端部には側枠9が設けられている。シールドカバー8の後端部には、エプロン10の前端部が上下方向に回動可能に枢支されている。エプロン10は後方側へ延びてその先端部が接地し、レベラ11が最後に作用することで耕土表面を均平にする。
【0017】
また側枠9の前端部には、走行機体90に対して耕耘作業機1を着脱するときに、その姿勢を一定に保持するためのキャスタ付スタンド15が設けられている。キャスタ付スタンド15は、上下方向に延びる連結部16と連結部16の下部に繋がって屈曲して前後方向に延びる本体部17とを有し、本体部17の前端部と後端部にはキャスタ18が取り付けられている。キャスタ付スタンド15の連結部16は、側枠9に設けられたホルダ20に対して上下方向にほぼ180度回動可能に取り付けられている。ホルダ20には前後方向に延びる回動中心軸21が設けられており、連結部16に設けられた挿通孔に、回動中心軸21を、ホルダ20を介して差し込むことにより、キャスタ付スタンド15が上下方向に回動可能に取り付けられる。
【0018】
キャスタ付スタンド15は、回動中心軸21を中心として回動すると、その殆どが機体2の幅方向端部の外側を回動し、連結部16が略垂直下方に延びた状態になると、本体部17が機体2の下方に位置して機体前側から後側に延びた使用位置Psに移動し、連結部16が略垂直上方に延びた状態になると、本体部17が機体2の上方に位置して機体前側から後側に延びた非使用位置Pnに移動して収納される。なお、キャスタ付スタンド15が収納されると、連結部16は略垂直方向に延びた状態となるが、キャスタ付スタンド15が収納された状態で、連結部16が機体内側方向に斜めに傾斜するようにすると、キャスタ付スタンド15をより安定性の高い状態で収納することができる。
【0019】
キャスタ付スタンド15は、シールドカバー8の前側端部に設けられた電動式油圧シリンダ23の伸縮によって回動するように構成されている。電動式油圧シリンダ23は機体幅方向に沿って延びるように配置されており、そのシリンダチューブ23aの基端部が側枠9の内側であってシールドカバー8の表側前端部に枢結され、シリンダロッド23bの先端部がリンク部材24を介してキャスタ付スタンド15の連結部16の上部に枢結されている。リンク部材24は、弯曲状に形成され、図3(a)〜図3(c)に示すように、電動式油圧シリンダ23が略全伸長状態になると、キャスタ付スタンド15の連結部16を略垂直下方へ延ばした状態にしてキャスタ付スタンド15を使用位置Psに移動させ、電動式油圧シリンダ23が略全縮状態になると、キャスタ付スタンド15の連結部16を略垂直上方へ延ばした状態にしてキャスタ付スタンド15を非使用位置Pnに移動させるように形成されている。
【0020】
電動式油圧シリンダ23は、電気的に接続された制御部26によってその作動が制御され、走行機体90の運転席に設けられた操作スイッチ27からの操作信号に応じて作動して全伸長状態及び全縮状態になる。なお、キャスタ付スタンド15を回動させるアクチュエータは油圧シリンダや電動モータでもよい。また操作スイッチ27は、走行機体90に搭乗した作業者の手が届く範囲内に設置されていればよく、耕耘作業機1側に設けられてもよい。
【0021】
ホルダ20の周辺には、キャスタ付スタンド15を機体2に固定するロック装置30が設けられている。ロック装置30は、電動式油圧シリンダ23と、このシリンダロッド23bの先端部に枢結されたリンク部材31と、リンク部材31の先端部に枢結された連結部材33と、連結部材33の先端部に枢結されて上下方向に回動自在なフック38と、キャスタ付スタンド15の連結部16に取り付けられてフック38を係止可能なピン部材39とを有して構成されている。
【0022】
ロック装置30は、電動式油圧シリンダ23の伸縮によって作動し、電動式油圧シリンダ23が全伸長状態になると、リンク部材31及び連結部材33を介してフック38の先端部が上方へ回動してフック38がピン部材39に係止されて使用位置Psに移動したキャスタ付スタンド15をロックする。また、ロック装置30は、電動式油圧シリンダ23が全伸長状態から縮小し始めると、リンク部材31及び連結部材33を介してフック38の先端部が下方へ回動してフック38がピン部材39から外れてキャスタ付スタンド15のロック状態を解除する。
【0023】
連結部材33は、下端部がフック38に回動自在に連結されて軸方向に摺動自在に支持された軸部34とこの軸部34を付勢する圧縮ばね35とを備えており、この圧縮ばね35によってフック38がピン部材39から外れる方向の回動を抑制して、フック38がピン部材39から外れ難くしている。
【0024】
また、走行機体90から耕耘作業機1を外し、キャスタ付スタンド15を利用して手作業で耕耘作業機1を移動させる場合のさらなる安全対策として、キャスタ付スタンド15の連結部16に、キャスタ付スタンド15を手動で機体2に固定するサブロック装置50を設けている。このサブロック装置50は、ホルダ20に設けられた機体側固定孔20aと、キャスタ付スタンド15の連結部16の上部に設けられたスタンド側固定孔16aと、機体側固定孔20aを介してスタンド側固定孔16aに挿着される固定ピン51とを有して構成される。ホルダ20に設けられた機体側固定孔20aは、回動中心軸21の下方の所定距離を有した位置に設けられている。
【0025】
このように構成された耕耘作業機1のキャスタ付スタンド15によって耕耘作業機1を支持するには、図1及び図3(a)に示すように、走行機体90に搭乗した作業者が操作スイッチ27を操作して、電動式油圧シリンダ23を伸長させる。電動式油圧シリンダ23が伸長すると、リンク部材24を介してキャスタ付スタンド15の連結部16が回動中心軸21を支点として下方へ回動して、キャスタ付スタンド15が耕耘作業機1の幅方向端部の外側を回動する。そして、電動式油圧シリンダ23が略全伸長状態になると、キャスタ付スタンド15は使用位置Psに移動する。このように、キャスタ付スタンド15は、耕耘作業機1の幅方向端部の外側を回動するので、走行機体90の後輪91に当接することなく使用位置Psに移動することができる。
【0026】
また、キャスタ付スタンド15の回動と同時に、ロック装置30のフック38がリンク部材31及び連結部材33を介して上方へ回動して、フック38の先端部がピン部材39の下方から接近する方向に移動してピン部材39に係止される。そして、走行機体90から耕耘作業機1を外してキャスタ付スタンド15を利用して手作業で耕耘作業機1を移動させたい場合には、さらなる安全対策を施すために作業者が走行機体90から降りて、サブロック装置50の固定ピン51を、図3(b)に示す機体側固定孔20aを介してスタンド側固定孔16aに挿通する。
【0027】
このように、キャスタ付スタンド15は機体2に設けられた電動式油圧シリンダ23によって回動され、作業者が走行機体90に搭乗したままで操作スイッチ27を操作するだけで電動式油圧シリンダ23が駆動するので、キャスタ付スタンド15の重量が大きい場合でも、このキャスタ付スタンド15を容易に移動させることができる。またキャスタ付スタンド15が使用位置Psに移動すると、ロック装置30によってキャスタ付スタンド15が機体2に対してロックされるので、使用位置Psに移動したキャスタ付スタンド15のロック作業を自動化することができ、ロック作業にともなう作業者の労力を軽減することができる。また、サブロック装置50によってキャスタ付スタンド15を機体2に対してロックするようにしておけば、二重ロック構造となり、より安全である。
【0028】
ここで、走行機体90から耕耘作業機1が外された状態から、走行機体90に装着しようとするときには、先ず、走行機体90と耕耘作業機1とを近づける。そして、あらかじめサブロック装置50の固定ピン51を抜脱しておく。その後、作業者は走行機体90に乗り、3点リンク連結機構を作動させ、耕耘作業機1を走行機体90に連結する。そして、使用位置Psにあるキャスタ付スタンド15を非使用位置Pnに移動させて収納する場合には、作業者は走行機体90に搭乗したまま操作スイッチ27を操作すると、図3(b)(部分正面図)に示すように、電動式油圧シリンダ23が縮小して、ロック装置30のリンク部材31及び連結部材33を介してフック38が下方へ回動してキャスタ付スタンド15のロック状態が解除される。そして、リンク部材24を介してキャスタ付スタンド15が上方へ回動し、電動式油圧シリンダ23が略全縮状態になると、図3(c)(部分正面図)に示すように、キャスタ付スタンド15は非使用位置Pnに移動して機体2の上方に収納される。
【0029】
このように、作業者が走行機体90に搭乗したままで操作スイッチ27を操作するだけで、キャスタ付スタンド15を非使用位置Pnに移動させて収納することができるので、キャスタ付スタンド15の重量が大きい場合でも、このキャスタ付スタンド15を容易に非使用位置Pnに移動させることができ、キャスタ付スタンド15を収納する際の作業者の労力を軽減することができる。
【0030】
なお、前述した実施例では、耕耘作業機1の機体2を支持する手段としてキャスタ付スタンド15を示したが、図4(側面図)に示すように、キャスタが付いていないスタンド15'によって機体2を支持してもよい。
【0031】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、前述した第1実施形態との相違点のみを説明し、第1実施形態と同一態様部分については、同一符号を附してその説明を省略する。
【0032】
耕耘作業機60は、図5(側面図)に示すように、機体2に設けられて耕耘作業を行う耕耘体を有する作業機本体61と作業機本体61の背面側に折り畳み可能に設けられて耕耘体の作業幅を延長する延長耕耘体62とを備え、作業機本体61及び延長作業体62,62によって3分割構造になっている。
【0033】
キャスタ付スタンド15は、延長耕耘体62が作業機本体61の背面側に折り畳まれた状態で、作業機本体61の前方の機体2の左右両側に配設された側枠9に設けられたホルダ20の回動中心軸21に対して上下方向にほぼ180度回動可能に取り付けられている。回動中心軸21は前後方向に延びており、キャスタ付スタンド15は、この回動中心軸21を中心として折り畳まれた延長作業体62の外側を機体幅方向に回動して、使用位置Psと非使用位置Pnとの間を移動する。
【0034】
このように構成された3分割構造の耕耘作業機60は、走行機体90に耕耘作業機60を連結した直後では、延長耕耘体62が作業機本体61の背面側に折り畳まれた状態で、キャスタ付スタンド15が使用位置Psにある。この状態でキャスタ付スタンド15を上方へ回動させると、キャスタ付スタンド15が非使用位置Pnに移動する。
【0035】
そして、この非使用位置Pnは、作業機本体61の上方に位置しているため、背面側に折り畳まれた延長耕耘体62の回動を遮ることはない。このため、キャスタ付スタンド15が非使用位置Pnにある場合は、延長耕耘体62はキャスタ付スタンド15に干渉することなく、折り畳まれた状態と展開作業状態との間を移動可能である。
【0036】
そして、キャスタ付スタンド15を非使用位置Pnにしたままで、作業機本体61のみを使った耕耘作業と、延長耕耘体62を展開状態にしての耕耘作業を任意に選択し、耕耘作業終了後は耕耘作業機60を折り畳んだ状態にした後に、キャスタ付スタンド15を非使用位置Pnから使用位置Psへ移動させる。そして、作業者は走行機体90に乗ったまま3点リンク連結機構を操作して耕耘作業機60と走行機体90との連結を解除する。
【0037】
その後、作業者は走行機体90から降り、必要に応じて、さらなる安全対策を講じるために、サブロック装置50の固定ピン51を図3(b)に示す機体側固定孔20aを介してスタンド側固定孔11aに挿通する。
【0038】
このように、3分割構造の耕耘作業機60にキャスタ付スタンド15を設けることで、前述した第1実施形態と同様に、作業者が走行機体90から降りることなく、キャスタ付スタンド15を使用位置Ps及び非使用位置Pnに移動させることができ、これらの位置にキャスタ付スタンド15を移動させるための作業者の労力を軽減することができる。
【0039】
〔第3実施形態〕
第3実施形態は、前述した第1実施形態の耕耘作業機1を耕起・砕土用にしたものであり、第1実施形態と同一態様部分については、同一符号を附してその説明を省略する。この耕耘作業機1'は、図6(側面図)に示すように、機体前側の側枠9の内側、即ちキャスタ付スタンド15よりも内側には、上下位置調整可能に設けられて耕耘ロータ7による作業深さを一定にしながら圃場に接して走行する接地輪55がホイールアーム56を介して機体2に設けられている。
【0040】
このように構成された耕耘作業機1'が走行機体90から外された状態にあるときには、先ず、走行機体90と耕耘作業機1'とを近づけ、あらかじめサブロック装置50の固定ピン51を抜脱しておく。そして、作業者は走行機体90に乗って3点リンク連結機構を作動させて耕耘作業機1'を走行機体90に連結する。そして、使用位置Psにあるキャスタ付スタンド15を非使用位置Pnに移動させるには、作業者が走行機体90に設けられた図3(a)に示す操作スイッチ27を操作して、ロック装置30によるキャスタ付スタンド15のロック状態を解除し、キャスタ付スタンド15を非使用位置Pnに移動させる。そして、キャスタ付スタンド15を非使用位置Pnにしたままで、耕耘作業を行い、耕耘作業終了後はキャスタ付スタンド15を非使用位置Pnから使用位置Psへ移動させる。そして、作業者は走行機体90に乗ったまま3点リンク連結機構を操作して耕耘作業機1'と走行機体90との連結を解除する。
【0041】
その後、作業者は走行機体90から降り、必要に応じて、さらなる安全対策を講じるために、サブロック装置50の固定ピン51を図3(b)に示す機体側固定孔20aを介してスタンド側固定孔11aに挿通する。
【0042】
このように、耕耘作業機1'にキャスタ付スタンド15を設けることで、前述した第1実施形態と同様に、作業者が走行機体90から降りることなく、キャスタ付スタンド15を使用位置Ps及び非使用位置Pnに移動させることができ、これらの位置にキャスタ付スタンド15を移動させるための作業者の労力を軽減することができる。
【0043】
なお、農作業機として代掻き用及び耕起・砕土用の耕耘作業機について説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではなく、農作業機は、畦塗り機など他機種にも適用可能である。また、前述した実施例では、キャスタ付スタンド15を耕耘作業機1,1',60の機体幅方向に回動可能に設けた例を示したが、キャスタ付スタンド15を機体後部に取り付けて機体前後方向に回動可能に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるキャスタ付スタンドを設けた耕耘作業機の側面図を示す。
【図2】本発明の第1実施形態に係わるキャスタ付スタンドを設けた耕耘作業機の正面図を示す。
【図3】本発明の第1実施形態に係わるキャスタ付スタンドの動作を説明するためのキャスタ付スタンドの部分正面図を示す。
【図4】本発明の第1実施形態に係わるスタンドを設けた耕耘作業機の側面図を示す。
【図5】本発明の第2実施形態に係わるキャスタ付スタンドを設けた耕耘作業機の側面図を示す。
【図6】本発明の第3実施形態に係わるキャスタ付スタンドを設けた耕耘作業機の側面図を示す。
【図7】従来のキャスタ付スタンドを設けた農作業機を示し、同図(a)は農作業機の全体背面図であり、同図(b)は農作業機の部分構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1,1',60 耕耘作業機(農作業機)
2 機体
15 キャスタ付スタンド
15' スタンド
23 電動式油圧シリンダ(アクチュエータ)
30 ロック装置
90 走行機体
Ps 使用位置
Pn 非使用位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に着脱可能に装着され、機体にスタンド或いはキャスタ付スタンドを設けた農作業機において、
前記スタンド或いは前記キャスタ付スタンドを、前記機体を支持する使用位置と、前記機体を非支持状態にする非使用位置との間で回動可能に連結し、
前記スタンド或いは前記キャスタ付スタンドを前記機体に設けたアクチュエータによって回動し、
前記アクチュエータを遠隔操作によって駆動して、前記スタンド或いは前記キャスタ付スタンドを前記使用位置と前記非使用位置に移動させることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記スタンド或いは前記キャスタ付スタンドを、前記機体に対して上方に回動させて、該機体の上方の非使用位置に収納することを特徴とする請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
前記スタンド或いは前記キャスタ付スタンドが前記使用位置に移動すると、該スタンド或いは該キャスタ付スタンドを前記機体に固定するロック装置を設けたことを特徴とする請求項2に記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−136443(P2008−136443A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327732(P2006−327732)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(390010836)小橋工業株式会社 (198)
【Fターム(参考)】