説明

農作業機

【課題】車輪通過跡部分のみが時間経過とともに凹むのを防止できる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、トラクタ2に連結する機体5を備える。機体5には、回転軸体20を回転可能に設ける。回転軸体20の爪ホルダ22には耕耘爪23を取り付ける。回転軸体20の爪ホルダ22には螺旋爪24a,24b,24c,24dを取り付ける。螺旋爪24a,24b,24c,24dは、トラクタ2の車輪3の位置に応じて回転軸体20に対して左右方向に位置調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪通過跡部分のみが時間経過とともに凹んでしまうことを防止できる農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、走行車であるトラクタの後部に連結される機体と、機体に回転可能に設けられた回転軸と、回転軸に設けられた複数の爪ホルダと、各爪ホルダに取り付けられた耕耘爪とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−304710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の農作業機では、トラクタの車輪が通過した車輪通過跡部分(轍)は、土が車輪にて側方に押されて盛り上がる結果、他の部分に比べて土量が少なくなるため、車輪通過跡部分のみが時間経過とともに凹んでしまう問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、車輪通過跡部分のみが時間経過とともに凹んでしまうことを防止できる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の農作業機は、走行車に連結される機体と、この機体に回転可能に取り付けられた回転軸体と、この回転軸体に取り付けられた複数の耕耘爪と、前記回転軸体に取り付けられ、前記走行車の車輪の通過により盛り上がった土を車輪通過跡部分に戻す螺旋爪とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、螺旋爪は、走行車の車輪の位置に応じて回転軸体に対して左右方向に位置調整可能となっているものである。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、請求項1または2記載の農作業機において、回転軸体は、回転軸およびこの回転軸の外周面に突設された複数の爪ホルダを有し、耕耘爪は、前記複数の爪ホルダの各々に取り付けられ、螺旋爪は、前記複数の爪ホルダのうち走行車の車輪の後方付近に位置する爪ホルダに取り付けられているものである。
【0010】
請求項4記載の農作業機は、請求項3記載の農作業機において、螺旋爪は、走行車の車輪の後方付近に位置する複数の爪ホルダの中から前記車輪の位置に応じて選択された爪ホルダに脱着可能に取り付けられているものである。
【0011】
請求項5記載の農作業機は、請求項4記載の農作業機において、螺旋爪は、螺旋方向一端部に一端取付部を有しかつ螺旋方向他端部に他端取付部を有し、前記一端取付部が、前記複数の爪ホルダ体の中から車輪の位置に応じて選択された一の爪ホルダに脱着可能に取り付けられ、前記他端取付部が、前記複数の爪ホルダ体の中から車輪の位置に応じて選択された他の爪ホルダに脱着可能に取り付けられているものである。
【0012】
請求項6記載の農作業機は、請求項3ないし5のいずれか一記載の農作業機において、爪ホルダは、第1孔および第2孔を有し、耕耘爪は、第1取付用孔および第2取付用孔を有し、螺旋爪は、取付用孔を有し、前記爪ホルダの第1孔、前記耕耘爪の第1取付用孔および前記螺旋爪の取付用孔に第1ボルトが挿入されてこの第1ボルトに第1ナットが螺合され、前記爪ホルダの第2孔および前記耕耘爪の第2取付用孔に第2ボルトが挿入されてこの第2ボルトに第2ナットが螺合されているものである。
【0013】
請求項7記載の農作業機は、請求項3ないし6のいずれか一記載の農作業機において、回転軸の端部付近に位置する爪ホルダに取り付けられ、土を内側方に向けて誘導する螺旋爪を備えるものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、走行車の車輪の通過により盛り上がった土を車輪通過跡部分に戻す螺旋爪を備えるため、車輪通過跡部分の土量が他の部分に比べて少なくなるようなことがなく、車輪通過跡部分のみが時間経過とともに凹んでしまうことを防止できる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、螺旋爪は走行車の車輪の位置に応じて回転軸体に対して左右方向に位置調整可能となっているため、大きさの異なる各種の走行車に適切に対応できる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、走行車の車輪の後方付近に位置する爪ホルダに取り付けられた螺旋爪にて、走行車の車輪の通過により盛り上がった土を車輪通過跡部分に適切に戻すことができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、螺旋爪は走行車の車輪の後方付近に位置する複数の爪ホルダの中から車輪の位置に応じて選択された爪ホルダに脱着可能に取り付けられているため、螺旋爪を取り付ける爪ホルダを変更することにより、螺旋爪の位置調整を容易に行うことができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、螺旋爪の一端取付部を一の爪ホルダに取り付けかつ螺旋爪の他端取付部を他の爪ホルダに取り付けることにより、螺旋爪を適切に取り付けることができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、爪ホルダの第1孔、耕耘爪の第1取付用孔および螺旋爪の取付用孔に第1ボルトを挿入してこの第1ボルトに第1ナットを螺合しかつ爪ホルダの第2孔および耕耘爪の第2取付用孔に第2ボルトを挿入してこの第2ボルトに第2ナットを螺合することにより、爪ホルダに対して耕耘爪および螺旋爪を適切に取り付けることができる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、走行車の車輪の後方付近に位置する爪ホルダに取り付けられた螺旋爪にて走行車の車輪の通過により盛り上がった土を車輪通過跡部分に適切に戻すことができるとともに、回転軸の端部付近に位置する爪ホルダに取り付けられた螺旋爪にて土を内側方に向けて誘導して土が外側方へ逃げるのを適切に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る農作業機の概略図である。
【図2】トラクタに合わせて螺旋爪の位置を調整した後の農作業機の概略図である。
【図3】左右両端の螺旋爪を示す農作業機の概略図である。
【図4】同上農作業機の動力伝達手段を示す一部断面図である。
【図5】同上農作業機の螺旋爪を示す斜視図である。
【図6】同上農作業機の部分背面図である。
【図7】螺旋爪の位置を調整した後の農作業機の部分背面図である。
【図8】走行車の車輪の通過により形成される車輪通過跡部分および盛土を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る農作業機の要部側面図である。
【図10】同上農作業機の要部正面図である。
【図11】同上農作業機の耕耘爪の側面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る農作業機の要部側面図である。
【図13】同上農作業機の要部正面図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係る農作業機の要部側面図である。
【図15】同上農作業機の要部正面図である。
【図16】本発明の第5の実施の形態に係る農作業機の概略図である。
【図17】本発明の第6の実施の形態に係る農作業機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の農作業機の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1ないし図4において、1は農作業機で、この農作業機1は、圃場を走行する走行車であるトラクタ2の後部に連結して使用する代掻作業機である。農作業機1は、トラクタ2の後部に連結された状態で、トラクタ2の前進走行により水田等の圃場を前方(図中、矢印方向)に移動しながら農作業である代掻作業(耕耘整地作業)をする。
【0024】
トラクタ2は、トラクタ本体(図示せず)を備え、このトラクタ本体には前後左右で4本の車輪(タイヤ)3が設けられている。また、トラクタ本体には、図示しないが、3点リンク部(作業機昇降支持装置)およびPTO軸等が設けられている。
【0025】
農作業機1は、トラクタ2の後部の3点リンク部に連結される機体5を備えている。機体5は、入力軸6を回転可能に支持するミッションケース等の軸保持部7を有し、入力軸6はジョイント等の動力伝達手段(図示せず)を介してトラクタ2のPTO軸に接続される。
【0026】
軸保持部7は、左右方向長手状のフレーム部であるフレームパイプ部8の左右方向中央部に設けられている。フレームパイプ部8の一端部である左端部には伝動ケース部であるチェーンケース部9が設けられ、フレームパイプ部8の他端部である右端部には支持板部であるブラケット部10が設けられている。
【0027】
そして、互いに離間対向する左右のチェーンケース部9およびブラケット部10間には、入力軸6に接続された動力伝達手段12から動力を受けて所定方向、例えばダウンカット方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘手段である耕耘体11が回転可能に設けられている。
【0028】
動力伝達手段12は、例えば軸保持部7内のギア14と、フレームパイプ部8内のシャフト15と、チェーンケース部9内のスプロケット16およびチェーン17とにて構成されている(図4参照)。
【0029】
耕耘体11は、機体5に回転可能に取り付けられ動力伝達手段12からの動力で回転する左右方向長手状の回転軸21を有している。回転軸21の一端部である左端部がチェーンケース部9の下部によって回転可能に支持され、回転軸21の他端部である右端部がブラケット部10の下部によって回転可能に支持されている。回転軸21のうちチェーンケース部9内に位置する部分にスプロケット16が固着されている。
【0030】
回転軸21の外周面には、それそれが同一形状の複数の爪ホルダ22が固定的に突設されている。複数の爪ホルダ22は、互いに間隔をおいて螺旋方向に沿って並ぶように回転軸21の外周面に設けられている。なお、回転軸21に設けられた複数の爪ホルダ22のうち、少なくともトラクタ2の車輪3の後方付近に位置する複数の爪ホルダ22は、互いに等間隔で規則正しく並んでいる。また、回転軸21および爪ホルダ22にて回転軸体(爪ホルダ付耕耘軸)20が構成されている。
【0031】
そして、回転軸21に設けられた複数の爪ホルダ22の各々には、回転軸21とともに回転しながら耕耘作業をする正面視略L字状の耕耘爪(代掻爪)23が脱着可能に取り付けられている。つまり、全部の爪ホルダ22には、耕耘爪23がそれぞれ取り付けられている。
【0032】
また、回転軸21に設けられた複数の爪ホルダ(全部の爪ホルダ)22のうち、トラクタ2の左右の車輪3の後方付近に位置する爪ホルダ(一部の爪ホルダ)22には、車輪3の通過により圃場面に盛り上がった土(図8に示す盛土b)を凹状の車輪通過跡部分(轍)aに向けて誘導してその車輪通過跡部分aに戻す螺旋板形状の螺旋爪24a,24b,24c,24dが脱着可能に取り付けられている。つまり、螺旋爪24a,24b,24c,24dは、トラクタ2の車輪3の後方付近に位置する複数の爪ホルダ22の中から車輪3の位置(左右の車輪3間の距離)に応じて選択された爪ホルダ22に脱着可能に取り付けられている。
【0033】
図1および図2に示されるように、進行方向左側の車輪3の後方付近に位置する爪ホルダ22に2つの螺旋爪24a,24bが取り付けられ、これら左右1対の螺旋爪24a,24bにて左側の車輪3の通過により盛り上がった左右両側の土が車輪通過跡部分aに戻される。また、進行方向右側の車輪3の後方付近に位置する爪ホルダ22に2つの螺旋爪24c,24dが取り付けられ、これら左右1対の螺旋爪24c,24d にて右側の車輪3の通過により盛り上がった左右両側の土が車輪通過跡部分aに戻される。
【0034】
なお、図1に示すトラクタ2の左右の車輪3間の距離A1は、図2に示すトラクタ2の左右の車輪3間の距離A2に比べて長くなっており、螺旋爪24a,24b,24c,24dはこのような大きさの異なる各種のトラクタ2の車輪3の位置に応じて回転軸体20に対して左右方向に位置調整可能となっている。つまり車輪3の位置に応じて螺旋爪24a,24b,24c,24dを取り付ける爪ホルダ22を変更可能である。
【0035】
さらに、回転軸21に設けられた複数の爪ホルダ(全部の爪ホルダ)22のうち、回転軸21の左右両端部付近に位置する爪ホルダ(一部の爪ホルダ)22には、土が外側方へ逃げるのを抑制するように土を内側方に向けて誘導する螺旋板形状の螺旋爪24e,24fが脱着可能に取り付けられている。
【0036】
図3に示されるように、回転軸21の左端部付近に位置する爪ホルダ22に1つの螺旋爪24eが取り付けられ、この螺旋爪24eにて土が右内側方に向けて誘導される。また、回転軸21の右端部付近に位置する爪ホルダ22に1つの螺旋爪24fが取り付けられ、この螺旋爪24fにて土が左内側方に向けて誘導される。
【0037】
ここで、螺旋爪24a,24c,24eは、それぞれが同一形状のもので、図5に示されるように、回転軸21の軸方向からみて略半円弧状をなす螺旋板形状のものある。そして、螺旋爪24a,24c,24eは、螺旋方向一端部に板状の一端取付部26を有し、かつ螺旋方向他端部に板状の他端取付部27を有している。つまり、螺旋爪24a,24c,24eは、螺旋板部25を有し、この螺旋板部25の一端部に一端取付部26が一体に設けられ、この螺旋板部25の他端部に他端取付部27が一体に設けられている。
【0038】
また、螺旋爪24b,24d,24fは、上記螺旋爪24a,24c,24eとは螺旋方向が反対のものであり、上記螺旋爪24a,24c,24eと同様、螺旋板部25、一端取付部26および他端取付部27を有している。つまり螺旋爪24a,24c,24eが回転軸21とともに回転しながら土を右側方(一側方)に誘導するものであり、螺旋爪24b,24d,24fが回転軸21とともに回転しながら土を左側方(一側方とは反対の他側方)に誘導するものである。なお、一端取付部26および他端取付部27には取付用孔28が形成されている。
【0039】
そして、螺旋爪24a,24b,24c,24d,24e,24fの一端取付部26が1つの一の爪ホルダ22に脱着可能に取り付けられ、螺旋爪24a,24b,24c,24d,24e,24fの他端取付部27が1つの他の爪ホルダ22に脱着可能に取り付けられている。つまり、2つの爪ホルダ22に対して1つの螺旋爪が取り付けられている。なお、図9から明らかなように、螺旋爪24a〜24fの外径寸法r1は、耕耘爪23の外径寸法r2より小さい。
【0040】
爪ホルダ22は、図6および図7に示されるように、略筒状のホルダ本体部31を有している。そして、所望の爪ホルダ22のホルダ本体部31に耕耘爪23および螺旋爪24a〜24fが取付手段を構成するボルト32およびナット33にて共締めされて取り付けられている。
【0041】
ホルダ本体部31は、互いに離間対向する対向板34を有し、これら両対向板34間に耕耘爪23の基端部が嵌入されている。両対向板34には孔35,36が形成され、一方の孔35は他方の孔36より大きく、この一方の孔35内にボルト32の頭部32aが収容されている。耕耘爪23の基端部には取付用孔37が形成されている。そして、互いに一致したホルダ本体部31の孔35,36、耕耘爪23の取付用孔37および螺旋爪24a〜24fの取付用孔28にボルト32が挿入されてこのボルト32にナット33が螺合され、このナット33の螺合により耕耘爪23および螺旋爪24a〜24fがホルダ本体部31に取り付けられている。なお、耕耘体11は、回転軸体20、耕耘爪23および螺旋爪24a〜24fにて構成されている。
【0042】
一方、機体5は、図示しないが、耕耘体11の上方部を覆う耕耘カバー部を有し、この耕耘カバー部の後端部には耕耘体11の後方で圃場面に追従するように上下回動しながら整地作業つまり圃場面を均平にならす作業をする整地体(図示せず)が設けられている。整地体は、例えば第1整地板(均平板)および第2整地板(レーキ)等にて構成されている。
【0043】
次に、上記農作業機1の作用等を説明する。
【0044】
トラクタ2の走行により農作業機1が進行方向に移動すると、耕耘爪23が回転軸21とともに所定方向に回転し、耕耘作業をする。
【0045】
また、螺旋爪24a,24b,24c,24dが回転軸21とともに所定方向に回転し、車輪3の通過により圃場面に盛り上がった土(図8に示す盛土b)を凹状の車輪通過跡部分aに向けて誘導し、その結果、圃場面に形成された車輪通過跡部分aの凹みがなくなる。
【0046】
さらに、螺旋爪24e,24fが回転軸21とともに所定方向に回転し、土を内側方に向けて誘導し、その結果、土が機体5の左右両端から外側方へ逃げることが抑制される。
【0047】
そして、このような農作業機1によれば、トラクタ2の車輪3の通過により圃場面上に盛り上がった土を凹部である車輪通過跡部分aに戻す4つの螺旋爪24a,24b,24c,24dを備えるため、車輪通過跡部分aの土量が他の部分に比べて少なくなるようなことがなく、圃場面の土量が均一になり、よって、車輪通過跡部分aのみが水に対する土の比率が少なく土が沈殿することによって時間経過とともに凹んでしまうことを防止でき、均平性の向上を図ることができ、仕上げ均平度を高めることができる。
【0048】
また、螺旋爪24a,24b,24c,24dは、取り付ける爪ホルダ22の選択変更によりトラクタ2の車輪3の位置に応じて回転軸体20に対して左右方向に位置調整可能となっているため、大きさが異なる各種のトラクタに適切に対応できる。
【0049】
さらに、トラクタ2の車輪3の後方付近に位置する爪ホルダ22に取り付けられた螺旋爪24a,24b,24c,24dにてトラクタ2の車輪3の通過により盛り上がった土を車輪通過跡部分aに適切に戻すことができるとともに、回転軸21の左右両端部付近に位置する爪ホルダ22に取り付けられた螺旋爪24e,24fにて土を内側方に向けて誘導して土が機体5の端部から外側方へ逃げるのを適切に抑制でき、よって、均平性の向上をより一層図ることができ、仕上げ均平度を更に高めることができる。
【0050】
なお、上記第1の実施の形態では、耕耘爪23および螺旋爪24a〜24fが爪ホルダ22のホルダ本体部31にボルト32およびナット33にて共締めされて脱着可能に取り付けられた構成について説明したが、例えば図9および図10に示すように、第1取付手段を構成する第1ボルト51および第1ナット52と第2取付手段を構成する第2ボルト53および第2ナット54とによって、耕耘爪23および螺旋爪24a〜24fが爪ホルダ22のホルダ本体部31に脱着可能に取り付けられた構成でもよい。
【0051】
図9および図10に示すホルダ本体部31の対向板34には第1孔(貫通孔)41,42および第2孔(貫通孔)43,44が貫通して形成されている。一方の第2孔44は他方の第2孔43より大きく、この一方の第2孔44内に第2ボルト53の頭部53aの全体が収容されている。図11に示されるように、耕耘爪23の基端部には、第1取付用孔46および第2取付用孔47が形成されている。第1取付用孔46が第2取付用孔47よりも耕耘爪23の基端寄りに位置する。
【0052】
そして、互いに一致したホルダ本体部31の第1孔41,42、耕耘爪23の第1取付用孔46および螺旋爪24a〜24fの取付用孔28に第1ボルト51が挿入されてこの第1ボルト51に第1ナット52が螺合され、この第1ナット52の螺合により耕耘爪23および螺旋爪24a〜24fがホルダ本体部31に取り付けられている。また、互いに一致したホルダ本体部31の第2孔43,44および耕耘爪23の第2取付用孔47に第2ボルト53が挿入されてこの第2ボルト53に第2ナット54が螺合され、この第2ナット54の螺合により耕耘爪23がホルダ本体部31に取り付けられている。
【0053】
こうして耕耘爪23が爪ホルダ22のホルダ本体部31に対して第1ボルト51および第2ボルト53等にて2箇所で固定的に取り付けられているため、上記共締の構成に比べて、耕耘爪23を爪ホルダ22に安定的に固定できるとともに、第1ボルト51および第2ボルト53等にかかる負荷を軽減でき、耐久性の向上を図ることができる。
【0054】
また、例えば図12および図13に示すように、爪ホルダ22のホルダ本体部31に板状の螺旋爪用取付部61が一体に設けられ、この爪ホルダ22の螺旋爪用取付部61に螺旋爪24a〜24fが取付手段を構成するボルト62およびナット63にて脱着可能に取り付けられた構成でもよい。
【0055】
さらに、例えば図14および図15に示すように、爪ホルダ22とは別体の螺旋爪用取付部である螺旋爪用取付板71が回転軸21の外周面に突設され、この螺旋爪用取付板71に螺旋爪24a〜24fが取付手段を構成するボルト72およびナット73にて脱着可能に取り付けられた構成でもよい。
【0056】
また、例えば図16や図17に示すような3分割式の折り畳み可能な農作業機1にも適用可能である。
【0057】
図16に示す農作業機1は、中央作業部76とこの中央作業部76の左右両端部に軸78を中心として回動可能に設けられた延長作業部77とを備え、中央作業部76の回転軸体20の左右両端側に螺旋爪24a,24b,24c,24dが取り付けられ、延長作業部77の回転軸体20の外端側に螺旋爪24e,24fが取り付けられている。
【0058】
図17に示す農作業機1は、中央作業部76とこの中央作業部76の左右両端部に回動可能に設けられた延長作業部77とを備え、中央作業部76の回転軸体20の左右両端側に螺旋爪24b,24cが取り付けられ、延長作業部77の回転軸体20の内端側に螺旋爪24a,24dが取り付けられ、延長作業部77の回転軸体20の外端側に螺旋爪24e,24fが取り付けられている。
【0059】
また一方、農作業機1は、6つの螺旋爪24a,24b,24c,24d,24e,24fを備える構成には限定されず、例えば4つの螺旋爪24a,24b,24c,24dのみを備える構成や、2つの螺旋爪24a,24dのみを備える構成等でもよい。
【0060】
また、例えば螺旋爪を全部の爪ホルダ22に対して取り付けることができるように、全部の爪ホルダ22を回転軸21の外周面に互いに等間隔で規則正しく並設してもよい。
【0061】
さらに、螺旋爪は、略180度の螺旋形状には限定されず、例えば略180未満のもの等でもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 農作業機
2 走行車であるトラクタ
3 車輪
5 機体
20 回転軸体
21 回転軸
22 爪ホルダ
23 耕耘爪
24a,24b,24c,24d,24e,24f 螺旋爪
26 一端取付部
27 他端取付部
28 取付用孔
41,42 第1孔
43,44 第2孔
46 第1取付用孔
47 第2取付用孔
51 第1ボルト
52 第1ナット
53 第2ボルト
54 第2ナット
a 車輪通過跡部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車に連結される機体と、
この機体に回転可能に取り付けられた回転軸体と、
この回転軸体に取り付けられた複数の耕耘爪と、
前記回転軸体に取り付けられ、前記走行車の車輪の通過により盛り上がった土を車輪通過跡部分に戻す螺旋爪と
を備えることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
螺旋爪は、走行車の車輪の位置に応じて回転軸体に対して左右方向に位置調整可能となっている
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
回転軸体は、回転軸およびこの回転軸の外周面に突設された複数の爪ホルダを有し、
耕耘爪は、前記複数の爪ホルダの各々に取り付けられ、
螺旋爪は、前記複数の爪ホルダのうち走行車の車輪の後方付近に位置する爪ホルダに取り付けられている
ことを特徴とする請求項1または2記載の農作業機。
【請求項4】
螺旋爪は、走行車の車輪の後方付近に位置する複数の爪ホルダの中から前記車輪の位置に応じて選択された爪ホルダに脱着可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項3記載の農作業機。
【請求項5】
螺旋爪は、螺旋方向一端部に一端取付部を有しかつ螺旋方向他端部に他端取付部を有し、
前記一端取付部が、前記複数の爪ホルダ体の中から車輪の位置に応じて選択された一の爪ホルダに脱着可能に取り付けられ、
前記他端取付部が、前記複数の爪ホルダ体の中から車輪の位置に応じて選択された他の爪ホルダに脱着可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項4記載の農作業機。
【請求項6】
爪ホルダは、第1孔および第2孔を有し、
耕耘爪は、第1取付用孔および第2取付用孔を有し、
螺旋爪は、取付用孔を有し、
前記爪ホルダの第1孔、前記耕耘爪の第1取付用孔および前記螺旋爪の取付用孔に第1ボルトが挿入されてこの第1ボルトに第1ナットが螺合され、
前記爪ホルダの第2孔および前記耕耘爪の第2取付用孔に第2ボルトが挿入されてこの第2ボルトに第2ナットが螺合されている
ことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか一記載の農作業機。
【請求項7】
回転軸の端部付近に位置する爪ホルダに取り付けられ、土を内側方に向けて誘導する螺旋爪を備える
ことを特徴とする請求項3ないし6のいずれか一記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−246469(P2010−246469A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99627(P2009−99627)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】