説明

農作業機

【課題】農作業機を保持するスタンドを、非使用時に、農作業機の昇降の際にトラクタに接触しないように農作業機にコンパクトに収納する。
【解決手段】農業用砕土装置101(農作業機)の機体102は、トラクタ501の後部に装着され、中央作業部104とその左右にある延長作業部105と回動アーム106とを有する。延長作業部105は、中央作業部104の上方位置105Uと中央作業部104の左右の展開位置105Sとの間を動くよう、回動アーム106の回動軸107を中心に折畳まれる。スタンド103は、中央作業部104の下方側に位置して機体102を支持する使用位置103Aと、中央作業部104の上方側に位置して機体102を支持しない非使用位置103Bとに位置付けられる。非使用位置103Bにあるスタンド103は、中央作業部104と延長作業部105と回動アーム106とにより形成された空間領域119内に位置付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタの後部に着脱可能に装着され、各農作業が可能で、離脱された状態ではスタンドにより保持される農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタの後部に着脱可能に装着され、装着された状態では作業者がトラクタに乗ったままで操作を行なうことで昇降し、離脱された状態ではスタンドにより保持される農作業機が普及している。このような農作業機の一例は、特許文献1に記載の耕耘作業機である。別の一例は、農業用砕土装置である。以下、特許文献1に記載の耕耘作業機について述べる。
【0003】
特許文献1に記載の耕耘作業機1は、走行機体90の後部に装着されて昇降するものである。耕耘作業機1は、所定方向に回転する耕耘ロータ7を有する。耕耘ロータ7の上側は、シールドカバー8により覆われる。シールドカバー8の左右両端部には、側枠9が設けられる。側枠9の前端部には、キャスタ付スタンド15が設けられる。キャスタ付スタンド15は、走行機体90に対して耕耘作業機1を着脱するときに、その姿勢を一定に保持するためのものである。キャスタ付スタンド15は、上下方向に延びる連結部16と、連結部16の下部に繋がって屈曲して前後方向に延びる本体部17と、本体部17の前端部と後端部に設けられるキャスタ18と、を有する。
【0004】
特許文献1には、「キャスタ付スタンド15の連結部16は、側枠9に設けられたホルダ20に対して上下方向にほぼ180度回動可能に取り付けられている。ホルダ20には前後方向に延びる回動中心軸21が設けられており、連結部16に設けられた挿通孔に、回動中心軸21を、ホルダ20を介して差し込むことにより、キャスタ付スタンド15が上下方向に回動可能に取り付けられる。」、及び、「キャスタ付スタンド15は、回動中心軸21を中心として回動すると、その殆どが機体2の幅方向端部の外側を回動し、連結部16が略垂直下方に延びた状態になると、本体部17が機体2の下方に位置して機体前側から後側に延びた使用位置Psに移動し、連結部16が略垂直上方に延びた状態になると、本体部17が機体2の上方に位置して機体前側から後側に延びた非使用位置Pnに移動して収納される。なお、キャスタ付スタンド15が収納されると、連結部16は略垂直方向に延びた状態となるが、キャスタ付スタンド15が収納された状態で、連結部16が機体内側方向に斜めに傾斜するようにすると、キャスタ付スタンド15をより安定性の高い状態で収納することができる。」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−136443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図17は、特許文献1に記載の技術を用いた仮想例の模式図である。図17に示すように、特許文献1に記載の技術を用いて、キャスタ904付きのスタンド902を、耕耘作業機901の作業部903(特許文献1でいうところの、チェーン伝動ケース6、耕耘ロータ7、エプロン10、レベラ11等を含んで耕耘作業がなされる部分に相当)よりも上方に位置させて、スタンド902を非使用状態とすることを考える。この場合、スタンド902の前端部と後端部とからキャスタ904が上方に突出しているために、トラクタ905に設けられた三点リンク機構906を上下に動かして耕耘作業機1を昇降させると、図17に符号Qで示す箇所で、キャスタ904がトラクタ905に接触しやすくなる。そして、特許文献1に記載の技術では、耕耘作業機901の昇降移動が難しく、作業部903と接地面GLとの距離Hを大きく取ることができない。即ち、特許文献1に記載の技術では、耕耘作業機901をトラクタ905の後部に装着した状態で耕耘作業機901を高い位置に位置づけることができず、起伏がある場所等での走行で耕耘作業機901が地面に接触する等の不都合が発生する。
【0007】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、農作業機を保持するスタンドを、非使用時に、農作業機の昇降の際にトラクタに接触しないように農作業機にコンパクトに収納することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の農作業機は、中央作業部と前記中央作業部の左右に位置する延長作業部とを有し、走行機の後部に着脱可能に装着される機体と、前記機体の一部をなし、前記中央作業部と前記延長作業部との双方から延出し、前後方向に延びる回動軸を有し、この回動軸を中心に折畳み可能な回動アームと、スタンドと、を備え、前記延長作業部は、前記回動アームの回動軸によって、前記中央作業部の上方位置と前記中央作業部の左右の展開位置との間で折畳み可能であり、前記スタンドは、前記中央作業部の下方側に位置して前記機体を支持する使用位置と、前記中央作業部の上方側に位置して前記機体を不支持とする非使用位置とに位置付けでき、前記非使用位置に位置付けられたスタンドは、前記中央作業部と前記延長作業部と前記回動アームとにより形成された空間内に位置付けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スタンドは、機体を支持しないときに中央作業部と延長作業部と回動アームとにより形成された空間内に位置付けられる。従って、農作業機を保持するスタンドを、非使用時に、農作業機の昇降の際にトラクタに接触しないように農作業機にコンパクトに収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一の実施の形態において、延長作業部が折り畳まれた状態で上方に位置付けられた農業用砕土装置の側面図である。
【図2】第一の実施の形態において、延長作業部が展開された状態での農業用砕土装置の正面図である。
【図3】第一の実施の形態において、延長作業部が展開された状態での農業用砕土装置の側面図である。
【図4】第一の実施の形態において、延長作業部が折り畳まれた状態での農業用砕土装置の正面図である。
【図5】第一の実施の形態において、延長作業部が折り畳まれた状態での農業用砕土装置の側面図である。
【図6】第一の実施の形態において、図4に示す状態からスタンドアームを回動させた状態での農業用砕土装置の正面図である。
【図7】第一の実施の形態において、図5に示す状態からスタンドアームを回動させた状態での農業用砕土装置の側面図である。
【図8】第一の実施の形態において、図6に示す状態から延長作業部を展開位置に位置付けた状態での農業用砕土装置の正面図である。
【図9】第一の実施の形態において、図7に示す状態から延長作業部を展開位置に位置付けた状態での農業用砕土装置の側面図である。
【図10】第二の実施の形態において、スタンドが使用位置に位置付けられ、且つ、延長作業部が展開された状態での農業用砕土装置の正面図である。
【図11】第二の実施の形態において、スタンドが非使用位置に位置付けられ、且つ、延長作業部を展開された状態での農業用砕土装置の正面図である。
【図12】第三の実施の形態において、延長作業部が展開された状態での農業用砕土装置の正面図である。
【図13】第三の実施の形態において、中央作業部の左方に位置する保持部及びスタンドのスタンドアームの斜視図である。
【図14】第三の実施の形態において、延長作業部が折り畳まれた状態での農業用砕土装置の正面図である。
【図15】第三の実施の形態において、図14に示す状態からスタンドアームを非使用位置に位置付けた状態での農業用砕土装置の正面図である。
【図16】第三の実施の形態において、図15に示す状態から延長作業部を展開位置に位置付けた状態での農業用砕土装置の正面図である。
【図17】特許文献1に記載の技術を用いた仮想例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の一形態を、図1ないし図9に基づいて説明する。本実施の形態では、農作業機として農業用砕土装置101を適用した例を説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第一の実施の形態と呼ぶ。
【0012】
図1は、延長作業部105が折り畳まれた状態で上方に位置付けられた農業用砕土装置101の側面図である。図2は、延長作業部105が展開された状態での農業用砕土装置101の正面図である。農業用砕土装置101は、機体102と、スタンド103とを有する。機体102は、走行機としてのトラクタ501の後部に着脱可能に装着される。機体102は、中央作業部104と、延長作業部105と、回動アーム106とを有する。延長作業部105は、中央作業部104の左右両側に位置し、かつ、回動アーム106に設けられた回動軸107を中心にして折り畳んで中央作業部104の上方に位置づけることができるようになっている。即ち、延長作業部105は、回動軸107によって、中央作業部104の上方位置105U(図1に示す状態)と、中央作業部104の左右の展開位置105S(図2に示す状態)との間を動くことができる。
【0013】
中央作業部104について説明する。中央作業部104は、左右方向に延びる中央回転軸111と、複数の砕土爪112と、パイプ状のセンタフレーム113とを有する。中央回転軸111は、それ自身の軸回り方向に回転自在となっている。複数の砕土爪112は、中央回転軸111から放射方向に延びている。中央回転軸111と砕土爪112とは、カバー112Aに覆われている。カバー112Aの後端側には、整地板112Bが設けられる。
【0014】
センタフレーム113の左右方向略中央には、動力入力軸114Aを有してトラクタ501から動力を受領する動力入力部114が設けられる。ユニバーサルジョイント(図示せず)を介してトラクタ501から動力入力部114の動力入力軸114Aに入力された動力は、センタフレーム113内の動力伝達シャフト(図示せず)、中央回転軸111の一方の端部に設けられる伝動チェーンケース114B内のベベルギア群やチェーン(いずれも図示せず)を経由して、中央回転軸111を回転させる。中央作業部104では、中央回転軸111が回転することにより、砕土爪112が砕土する。
【0015】
センタフレーム113における動力入力部114の近傍からは、トップマスト115と二つのロアピン116とが突出する。トップマスト115及びロアピン116には、三点リンク機構502が連結される。三点リンク機構502は、トラクタ501の後部に設けられるもので、作業者がトラクタ501に乗ったままで操作を行うことで昇降移動されるようになっている。トラクタ501において三点リンク機構502を昇降移動する操作がなされると、農業用砕土装置101はその操作に応じて上下方向に動く。
【0016】
中央回転軸111の左右両端には、ドッグクラッチ117が設けられる。ドッグクラッチ117は、延長作業部105に設けられるドッグクラッチ118(後述)と噛み合ったときに、中央回転軸111の回転動力が延長作業部105の延長回転軸121(後述)に伝わる。
【0017】
延長作業部105について説明する。延長作業部105は、中央作業部104に対し左右のそれぞれに隣接して設けられる。左右の延長作業部105は、いずれも、延長回転軸121と、複数の砕土爪122とを有する。延長回転軸121は、それ自身の軸回り方向に回転自在となっている。延長回転軸121における中央作業部104側の端部には、ドッグクラッチ118が設けられる。複数の砕土爪122は、延長回転軸121から放射方向に延びている。延長回転軸121と砕土爪122とは、カバー122Aに覆われている。カバー122Aの後端側には、整地板122Bが設けられる。このような延長作業部105では、ドッグクラッチ117とドッグクラッチ118とが噛み合っているときに、中央作業部104の中央回転軸111の回転動力が延長回転軸121に伝わり、延長回転軸121が回転して砕土爪122が砕土する。
【0018】
回動アーム106について説明する。回動アーム106は、中央作業部104と延長作業部105とを連結するもので、中央作業部側アーム131と、延長作業部側アーム132と、回動軸107とを有する。中央作業部側アーム131は、中央作業部104のセンタフレーム113における左右方向両端部のそれぞれから上方側に向けて延び、そこからさらに、左右方向外側に向けて屈曲している。延長作業部側アーム132は、延長作業部105のそれぞれについて、カバー122Aの中央作業部104側の端部から上方側に向けて延び、そこからさらに、左右方向内側に向けて屈曲している。回動軸107は、前後方向に延び、一つの延長作業部105から延びる延長作業部側アーム132と、この延長作業部側アーム132に対応する中央作業部側アーム131とを連結している。
【0019】
回動アーム106では、中央作業部側アーム131と延長作業部側アーム132とが回動軸107を中心として回動自在となっており、延長作業部105は、回動軸107を中心として上方位置105Uと展開位置105Sとの間を移動するように折畳まれる。延長作業部105が展開位置105Sにいるときには、ドッグクラッチ117とドッグクラッチ118とが噛み合い、中央作業部104と延長作業部105と回動アーム106とで囲われた略矩形状の空間領域119が形成される。延長作業部105が展開位置105Sから上方位置105Uに向けて動くと、ドッグクラッチ118がドッグクラッチ117から離れる。また、前述の空間領域119は、開放され、中央作業部側アーム131と中央作業部104とによってコ字型をなす(図4参照)。
【0020】
図3は、延長作業部105が展開された状態での農業用砕土装置101の側面図である。以下、図2及び図3に基づいて、スタンド103について説明する。
【0021】
スタンド103は、接地面GL(図1参照)に載置されるときに接地面GLと平行をなす基部141を有する。基部141の前後方向の両端部には、キャスタ142が設けられる。キャスタ142は、スタンド103が接地面GLに載置されたときに接地面GLに載置され、スタンド103がGLに対して移動自在となる。また、基部141の前端部からは、スタンドアーム143が、基部141に対して傾斜し、キャスタ142から離反する方向且つ前方に延びている。
【0022】
本実施の形態では、スタンド103がスタンド回動軸145によって保持部144に保持されると、キャスタ142は前後方向に向き、基部141は、スタンドアーム143から前後方向に延びている。
【0023】
図4は、延長作業部105が折り畳まれた状態での農業用砕土装置101の正面図である。図5は、延長作業部105が折り畳まれた状態での農業用砕土装置101の側面図である。機体102を構成する中央作業部104の両端部には、保持部144が設けられる。保持部144は、スタンド103のスタンドアーム143を嵌合させて保持する。なお、延長作業部105が折り畳まれて上方位置105Uに位置付けられると、側面視にて保持部144が視認できるようになる。
【0024】
スタンドアーム143と保持部144とは、スタンド回動軸145によって連結される。スタンド回動軸145によって、スタンドアーム143は、スタンド回動軸145を中心に回動自在となっていて、図4に示す矢印R1の方向に動く。ここで、スタンドアーム143と保持部144とには、回動ロックピン146が挿通される孔部147が設けられる。本実施の形態の保持部144では、スタンド回動軸145とこれに前後方向に隣り合う二つの孔部147とは、前後方向に直線状に並んでいる。また、回動ロックピン146は、孔部147に着脱できる。回動ロックピン146をスタンドアーム143と保持部144とに挿通すると、スタンドアーム143は保持部144に対して回動しなくなる。
【0025】
図4及び図5では、スタンド103は、中央作業部104よりも下方側に位置している。このような状態でスタンド103が接地面GL(図1参照)に載置されると、スタンド103は機体102を支持する。このようなスタンド103の位置を、使用位置103Aと呼ぶ。
【0026】
図6は、図4に示す状態からスタンドアーム143を回動させた状態での農業用砕土装置101の正面図である。図7は、図5に示す状態からスタンドアーム143を回動させた状態での農業用砕土装置101の側面図である。図6及び図7では、スタンド103は、中央作業部104よりも上方側に位置している。このとき、スタンド103が機体102を支持することはない。このようなスタンド103の位置を、非使用位置103Bと呼ぶ。
【0027】
スタンド103を使用位置103A(図4及び図5参照)から非使用位置103Bまで動かす場合、延長作業部105を上方位置105Uに位置付けた状態で、保持部144から回動ロックピン146を抜き、スタンド103を持ち上げてスタンド回動軸145を中心に回動させ、スタンド103を非使用位置103Bに位置付けてスタンドアーム143を保持部144に嵌合させ、回動ロックピン146を孔部147に差し込んでスタンドアーム143と保持部144とを固定する。なお、スタンド103を非使用位置103Bから使用位置103Aまで動かす場合の操作は、延長作業部105を上方位置105Uに位置付けた状態で、上記と逆の手順で回動ロックピン146を抜きスタンド103を回動させ、再びスタンドアーム143を保持部144に嵌合させて回動ロックピン146でスタンドアーム143と保持部144とを固定する。
【0028】
図8は、図6に示す状態から延長作業部105を展開位置105Sに位置付けた状態での農業用砕土装置101の正面図である。図9は、図7に示す状態から延長作業部105を展開位置105Sに位置付けた状態での農業用砕土装置101の側面図である。スタンド103を非使用位置103Bに位置付けた状態で、回動軸107を中心に延長作業部105を回動させて上方位置105Uから展開位置105Sに動かすと、延長作業部105は非使用位置103Bに位置付けられたスタンド103の基部141及びキャスタ142のいずれにも干渉しない形状をなしている。このために、延長作業部105は、スタンド103に接触せずに展開位置105Sまで動き、ドッグクラッチ118(図7等参照)とドッグクラッチ117(図7等参照)とが噛み合う。このように、本実施の形態の農業用砕土装置101では、スタンド103を非使用位置103Bに位置付けた状態のままで、延長作業部105が、上方位置105U(図6及び図7参照)と展開位置105Sとの間で折畳み可能となっている。
【0029】
図8を参照する。スタンド103を非使用位置103Bに位置付けた状態で延長作業部105を展開位置105Sに位置付けると、スタンド103は、空間領域119内に位置付けられる。このように、本実施の形態の農業用砕土装置101では、スタンド103をコンパクトに収納することが出来る。
【0030】
本実施の形態の農業用砕土装置101をトラクタ501の後部に装着し、作業者がトラクタ501を操作して三点リンク機構502を昇降移動させると、農業用砕土装置101は上下に動く。ここで、農業用砕土装置101の延長作業部105が折り畳まれて上方位置105Uに位置していても、スタンド103は、図6及び図7に示すように延長作業部105より下方に位置しており、スタンド103(特にキャスタ142)がトラクタ501に接触しない。さらに、延長作業部105を折り畳んだときに延長作業部105の上方にスタンド103が位置しておらず、このために、トラクタ501の走行時や砕土爪112、122による砕土作業時でのスタンド103の振動が小さくなる。即ち、本実施の形態の農業用砕土装置101では、スタンド103が保持部144に与える負荷が少なく、騒音が低減する。
【0031】
なお、本実施の形態の農業用砕土装置101では、図6及び図7に示すように、延長作業部105を上方位置105Uに位置させ、且つ、スタンド103を非使用位置103Bに位置させた状態で用いられ、中央作業部104の砕土爪112のみを回転駆動させて砕土作業(代掻き作業)を行うことできる。また、一方の延長作業部105を展開位置105Sに位置させ、他方の延長作業部105を上方位置105Uに位置させ、且つ、スタンド103を非使用位置103Bに位置させた上で、中央作業部104の砕土爪112及び一方の延長作業部105の砕土爪122を回転駆動させて砕土作業(代掻き作業)を行うこともできる。
【0032】
別の実施の一形態を、図10及び図11に基づいて説明する。本実施の形態は、第一の実施の形態に準ずるものである。この場合、第一の実施の形態と同じ部分には同じ符号を用い、説明を省略する。説明の便宜上、本実施の形態を第二の実施の形態と呼ぶ。
【0033】
図10は、スタンド103が使用位置103Aに位置付けられ、且つ、延長作業部105が展開された状態での農業用砕土装置101の正面図である。図11は、スタンド103が非使用位置103Bに位置付けられ、且つ、延長作業部105を展開された状態での農業用砕土装置101の正面図である。本実施の形態では、保持部144は、第一の実施の形態と比較して中央作業部104の中央側に寄った位置に設けられる。詳細には、保持部144は、中央作業部104のカバー112Aの前方側でこのカバー112Aにおける左右方向の端部領域112Aaに設けられ、このカバー112Aから前方側に突出している。
【0034】
本実施の形態では、スタンド103がスタンド回動軸145によって保持部144に保持されると、キャスタ142は前後方向に向き、基部141は、正面視において、前後方向から外側に傾斜した方向にスタンドアーム143から延びている。
【0035】
本実施の形態の保持部144では、スタンド回動軸145とこれよりも下方側の孔部147(符号147Aで示す)は上下方向に並び、回動ロックピン146よりも上方側の孔部147(符号147Bで示す)は、スタンド回動軸145に対して延長作業部105側の左右方向外側に位置する。
【0036】
本実施の形態でも、スタンド103を使用位置103A(図10)から非使用位置103B(図11)まで動かす場合、延長作業部105を上方位置105Uに位置付けた状態で、保持部144から回動ロックピン146を抜き、スタンド103を持ち上げてスタンド回動軸145を中心に回動させ、スタンド103を非使用位置103Bに位置付けてスタンドアーム143を保持部144に嵌合させ、回動ロックピン146を孔部147に差し込んでスタンドアーム143と保持部144とを固定する。本実施の形態では、スタンド103が非使用位置103Bに位置付けられると、スタンド回動軸145と符号147Bで示した孔部147との位置関係から、図11に示すように、キャスタ142とスタンドアーム143とが中央作業部104の左右方向外側かつ上方に向かう向きに延び、基部141は、空間領域119内に位置して正面視にてスタンドアーム143よりも中央作業部104に近づく向きに傾斜する。その結果、本実施の形態では、非使用位置103Bに位置付けられたスタンド103は、第一の実施の形態よりもさらに低い位置に位置付けられる。
【0037】
スタンド103を非使用位置103Bに位置付けた状態で、回動軸107を中心に延長作業部105を回動させて上方位置105Uから展開位置105Sに動かすと、第一の実施の形態と同じように、延長作業部105は非使用位置103Bに位置付けられたスタンド103の基部141及びキャスタ142のいずれにも干渉しない形状をなしているために、延長作業部105は、スタンド103に接触せずに展開位置105Sまで動く。このように、本実施の形態の農業用砕土装置101では、スタンド103を非使用位置103Bに位置付けた状態のままで、延長作業部105が、上方位置105U(図6及び図7参照)と展開位置105Sとの間で折畳み可能となっている。
【0038】
本実施の形態でも、第一の実施の形態と同様に、スタンド103を非使用位置103Bに位置付けた状態で延長作業部105を展開位置105Sに位置付けると、スタンド103は、空間領域119内に位置付けられ、本実施の形態の農業用砕土装置101では、スタンド103をコンパクトに収納することが出来る。
【0039】
別の実施の一形態を、図12ないし図16に基づいて説明する。本実施の形態は、第一の実施の形態に準ずるものである。この場合、第一の実施の形態と同じ部分には同じ符号を用い、説明を省略する。説明の便宜上、本実施の形態を第三の実施の形態と呼ぶ。
【0040】
図12は、延長作業部105が展開された状態での農業用砕土装置101の正面図である。図13は、中央作業部104の左方に位置する保持部144及びスタンド103のスタンドアーム143の斜視図である。本実施の形態では、スタンド103が保持部144に対して着脱自在となっている。詳細には、保持部144は、正面視において略L字型をなしている。孔部147は、保持部144において左右方向に並んでいる。延長作業部105に近い一方の孔部147の下方にあたる保持部144の縁部、及び、延長作業部105から遠い他方の孔部147の上方にあたる保持部144の縁部には、U字孔部148が設けられる。また、スタンド103のスタンドアーム143の端部143Aの近傍には、保持部144とともに回動ロックピン146に挿通される孔部147(符号147Aで示す)が設けられる。さらに、スタンド103のスタンドアーム143からは、孔部147Aよりも端部143Aから離れた箇所に、U字孔部148に入り込む突起部149が突出する。なお、本実施の形態の保持部144には、スタンド回動軸145(図4、図5等参照)が設けられていない。
【0041】
図14は、延長作業部105が折り畳まれた状態での農業用砕土装置101の正面図である。図15は、図14に示す状態からスタンドアーム143を非使用位置に位置付けた状態での農業用砕土装置101の正面図である。図16は、図15に示す状態から延長作業部105を展開位置105Sに位置付けた状態での農業用砕土装置101の正面図である。図12、図14,図15及び図16を参照する。本実施の形態では、スタンド103を使用位置103A(図12、図14)から非使用位置103B(図15、図16)まで動かす場合、延長作業部105を上方位置105Uに位置付け(図14)、この状態で、保持部144から回動ロックピン146を抜き、U字孔部148から突起部149を離反させて、保持部144からスタンド103を取り外す。続いて、スタンド103を上下反転し、上向きに開くU字孔部148(図15において符号148Aで示す)に突起部149を入れてスタンド103を非使用位置103Bに位置付ける。続いて、回動ロックピン146を孔部147に差し込んでスタンドアーム143と保持部144とを固定する(図15)。なお、スタンド103を非使用位置103Bから使用位置103Aまで動かす場合の操作は、延長作業部105を上方位置105Uに位置付けた状態で、上記と逆の手順で回動ロックピン146を抜き、スタンド103を上下反転し、下向きに開くU字孔部148(図15において符号148Bで示す)に突起部149を入れてスタンド103を使用位置103Aに位置づけ、回動ロックピン146を用いてスタンドアーム143と保持部144とを固定する。
【0042】
ここで、スタンド103を非使用位置103Bに位置付けた状態で、回動軸107を中心に延長作業部105を回動させて上方位置105Uから展開位置105Sに動かすと、延長作業部105は非使用位置103Bに位置付けられたスタンド103の基部141及びキャスタ142のいずれにも干渉しない形状をなしているために、延長作業部105は、スタンド103に接触せずに展開位置105Sまで動く。このように、本実施の形態の農業用砕土装置101では、スタンド103を非使用位置103Bに位置付けた状態のままで、延長作業部105が、上方位置105U(図14及び図15参照)と展開位置105S(図12及び図16参照)との間で折畳み可能となっている。
【0043】
本実施の形態でも、第一の実施の形態と同様に、スタンド103を非使用位置103Bに位置付けた状態で延長作業部105を展開位置105Sに位置付けると、スタンド103は、空間領域119内に位置付けられ、本実施の形態の農業用砕土装置101では、スタンド103をコンパクトに収納することが出来る。
【符号の説明】
【0044】
101 農業用砕土装置(農作業機)
102 機体
103 スタンド
103A 使用位置
103B 非使用位置
104 中央作業部
105 延長作業部
105S 展開位置
105U 上方位置
106 回動アーム
107 回動軸
119 空間領域(中央作業部と延長作業部と回動アームとにより形成された空間)
145 スタンド回動軸
501 トラクタ(走行機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央作業部と前記中央作業部の左右に位置する延長作業部とを有し、走行機の後部に着脱可能に装着される機体と、
前記機体の一部をなし、前記中央作業部と前記延長作業部との双方から延出し、前後方向に延びる回動軸を有し、この回動軸を中心に折畳み可能な回動アームと、
スタンドと、
を備え、
前記延長作業部は、前記回動アームの回動軸によって、前記中央作業部の上方位置と前記中央作業部の左右の展開位置との間で折畳み可能であり、
前記スタンドは、前記中央作業部の下方側に位置して前記機体を支持する使用位置と、前記中央作業部の上方側に位置して前記機体を不支持とする非使用位置とに位置付けでき、
前記非使用位置に位置付けられたスタンドは、前記中央作業部と前記延長作業部と前記回動アームとにより形成された空間内に位置付けられる、
農作業機。
【請求項2】
前記スタンドは、前記中央作業部に設けられたスタンド回動軸によって前記使用位置と前記不使用位置との間を回動可能である、
請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
前記スタンドは、前記中央作業部に設けられた保持部に着脱可能である、
請求項1記載の農作業機。
【請求項4】
前記スタンドを非使用位置に位置付けた状態で、前記延長作業部が、前記中央作業部の上方位置と前記中央作業部の左右の展開位置との間で折畳み可能である、
請求項1から3のいずれか一に記載の農作業機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−217429(P2012−217429A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88982(P2011−88982)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000171746)株式会社ササキコーポレーション (192)
【Fターム(参考)】