説明

農薬としての5−(アシルアミノ)ピラゾール誘導体

式(I):
【化1】


(式中、種々の記号は、明細書に定義された通りである)の置換されたアシルアミノピラゾール誘導体またはその塩、その製造方法、その組成物、および害虫、例えば節足動物(昆虫および蛛形類動物)および蠕虫を防除するためのそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−置換されたアシルアミノピラゾール誘導体、その製造方法、その組成物、および有害な節足動物(昆虫および蛛形類動物を含む)や蠕虫(線虫を含む)といったような害虫防除のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
1−アリールピラゾール化合物を用いた昆虫または蠕虫、例えば線虫の防除は、例えば、特許公開番号WO 93/06089、WO 94/21606、WO 87/03781、EP 0295117、EP 659745、EP 679650、EP 201852およびU.S.5,232,940に記載さている。また、1−アリールピラゾール化合物を用いた動物における寄生虫の防除は、例えば、特許公開番号WO 00/35884、EP 0846686、WO 98/24769およびWO 97/28126に記載されている。
【0003】
しかし、これらの先行技術の化合物の作用レベルおよび/または作用持続期間は、全ての分野の用途、特にある種の微生物に対してまたは低濃度で適用した時に完全に満足のいくものではない。
【0004】
最新の農薬は、例えば、作用のレベル、持続期間およびスペクトル、使用スペクトル、毒性、他の活性物質との組み合わせ、処方補助剤または合成との組み合わせに関して広範囲にわたる要求を満たさなければならず、そして耐性が生じる可能性があるため、このような物質の開発は、決して完了したとみなすことができず、少なくともいくつかの態様が関与する限り、知られている化合物よりも有益である新規な化合物について高い需要が常にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、式(I)
【化1】

の5−置換されたアシルアミノピラゾール誘導体である化合物またはその農薬上許容しうる塩を提供する。
【0006】
式中:
1は、(C1−C6)−ハロアルキル、CN、NO2またはハロゲンであり;
2は、H、ハロゲンまたはCH3であり;
3は、(C1−C3)−ハロアルキル、(C1−C3)−ハロアルコキシまたはS(O)p−(C1−C3)−ハロアルキルであり;
Wは、NまたはC−R4であり;
4は、ハロゲンまたはCH3であり;
Aは、(C2−C6)−アルキレンまたは(C2−C6)−ハロアルキレンであるか;
または(C3−C6)−アルキレンであり、ここにおいて鎖中の炭素は、O、S、SO、SO2またはNR8によって置き換えられているが、置き換える基は、隣接したR5またはカルボニル基に結合しておらず;または(C2−C6)−アルケニレンまたは(C2−C6)−ハロアルケニレンであるか;または−[(C1−C3)−アルキル]r−アリール−[(C1−C3)−アルキル]s−、または−[(C1−C3)−アルキル]r−ヘテロシクリル−[(C1−C3)−アルキル]s−、または−[(C1−C3)−アルキル]r−(C3−C6)−シクロアルキル−[(C1−C3)−アルキル]s−、または−[(C1−C3)−アルキル]r−(C5−C6)−シクロアルケニル−[(C1−C3)−アルキル]s−であり、ここにおいて最後に記載された4個の基、アリール、ヘテロシクリル、シクロアルキルおよびシクロアルケニルは、非置換であるか、またはハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−ハロアルコキシ、OR11、CN、NO2、S(O)p10、COR10、COOR10、CONR910、SO2NR910、NR910、OH、SO3Hおよび(C1−C6)−アルキリデンイミノからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されおり;
mが0または1である場合、R5はCONR910またはCO210であるか;または、mが1である場合、R5はNR917であり;
【0007】
6は、(C1−C3)−アルキルまたは(C1−C3)−ハロアルキルであり;
7は、H、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−ハロアルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C2−C6)−ハロアルキニル、(C3−C7)−シクロアルキル、COR11、COR12、COR13、−CO2−(C1−C6)−アルキル、−CO2−(CH2)q11、−CO2−(CH2)q13、−CO2−(C3−C7)−シクロアルキル、−CO2−(C1−C6)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキル、CO−(C2−C6)−アルケニル、−CH211またはCH213;または非置換もしくはハロゲン、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−ハロアルコキシ、(C3−C7)−シクロアルキル、S(O)p14、CO2−(C1−C6)−アルキル、−O(C=O)−(C1−C6)−アルキル、NR910、CONR910、SO2NR910、OH、CN、NO2、OR11、OR13、NR10COR9、NR10SO214およびCOR12からなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換された(C1−C6)−アルキルであり;
8は、R9、CO−R9、CO−R11、CO212またはアミノによって置換されたCO−(C1−C6)−アルキルであり;
9は、H、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−ハロアルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C2−C6)−ハロアルキニル、(C3−C7)−シクロアルキルまたは−(C1−C6)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキルであり;
10は、R9、−[(C1−C6)−アルキル]q−R11、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル−、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル−または(C1−C3)−アルキル−S(O)p−(C1−C3)−アルキル−であるか;または
9およびR10もしくはR9およびR17は、それぞれ結合したN原子と一緒になって環中にO、SおよびNから選ばれるさらなるヘテロ原子を場合により含有する4〜7員飽和環を形成し、環は、非置換であるか、またはハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキルおよびCO2−(C1−C6)−アルキルからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されており;
11は、非置換またはハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、
(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−ハロアルコキシ、OR16、CN、NO2、S(O)p12、COR9、COOH、COOR12、CONR915、SO2NR915、NR915、OH、SO3Hおよび(C1−C6)−アルキリデンイミノからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであり;
【0008】
12は、(C1−C6)−アルキルまたは(C1−C6)−ハロアルキルであり;
13は、非置換またはハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−ハロアルキル、(C1−C4)−アルコキシ、S(O)p12、OHおよびオキソからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたヘテロシクリルであり;
14は、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキルまたは−(C1−C6)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキルであり;
15は、H、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキルまたは−(C1−C6)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキルであり;
16は、非置換またはハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−ハロアルコキシ、CN、NO2、S(O)p12、COR15、COOH、COOR12、CONR915、SO2NR915、NR915およびOHからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであり;
17は、R10、CO2(C1−C6)−アルキル、−CH2CO2(C1−C6)−アルキル、CO2CH218またはCO(C1−C6)−アルキルであり;
18は、非置換またはハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキルおよび(C1−C6)−アルコキシからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであり;
nおよびpは、それぞれ独立して0、1または2であり;
mおよびqは、それぞれ独立して0または1であり;
rおよびsは、それぞれ独立して0または1であり;そして
上述の基中のそれぞれのヘテロシクリルは、独立して3〜7個の環原子ならびに環中にN、0およびSからなる群より選ばれる1、2または3個のヘテロ原子を有する複素環式基である;
またはその農薬上許容しうる塩。
【0009】
これらの化合物は、有益な農薬の性質を所有する。
【0010】
また、本発明は、すべての立体異性体、鏡像異性体または幾何異性体およびそれらの混合物を包含する。
【0011】
用語「農薬上許容しうる塩」は、農薬用途の塩形成について当分野で知られ、及び認められたアニオンまたはカチオンの塩を意味する。塩基との適切な塩、例えばカルボン酸またはスルホンアミド基を含有する式(I)の化合物によって形成されるものとしては、アルカリ金属(例えばナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウムおよびマグネシウム)、アンモニウムおよびアミン(例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、オクチルアミン、モルホリンおよびジオクチルメチルアミン)の塩が含まれる。適切な酸付加塩、例えばアミノ基を含有する式(I)の化合物によって形成されるものとしては、無機酸との塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩および硝酸塩および有機酸、例えば酢酸との塩が含まれる。
【0012】
上記但し書きが含まれるのは、特定の排除された部分が化学的に不安定であるためのみであって、先行技術のためではないことを理解すべきである。
【0013】
特許請求の範囲を含めた本明細書において、前記の置換基は、以下の意味を有する。
【0014】
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0015】
基の名称の前の「ハロ」なる用語は、この基が部分的にまたは完全にハロゲン化されている、すなわち、任意の組み合わせでF、Cl、BrまたはIによって、好ましくはFまたはClによって置換されていることを意味する。
【0016】
アルキル基およびその部分(特に明記しない限り)は、直鎖または分枝鎖であることができる。
【0017】
「(C1−C6)−アルキル」なる語句は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する非分枝または分枝炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチルプロピルまたはtert−ブチル基を意味するものとして理解される。
【0018】
アルキル基、そしてまた複合基中のものは、特に明記しない限り、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。
【0019】
「(C1−C6)ハロアルキル」は、1個またはそれ以上の水素原子が、同じ数の同一または異なるハロゲン原子によって置換された「(C1−C6)アルキル」なる語句の下で記載されたアルキル基、例えばモノハロアルキル、パーハロアルキル、CF3、CHF2、CH2F、CHFCH3、CF3CH2、CF3CF2、CHF2CF2、CH2FCHCl、CH2Cl、CCl3、CHCl2またはCH2CH2Clである。
【0020】
「(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル−」なる語句は、(C1−C3)アルコキシ基によって置換された(C1−C3)アルキル基を意味する。
【0021】
「−CO2−(C1−C6)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキル」は、例えば−CO2CH2−シクロプロピルまたは−CO2CH2CH2シクロヘキシルを意味する。
【0022】
「−[(C1−C3)−アルキル]−アリール−[(C1−C3)−アルキル]r−なる語句は、例えば−CH2−(1,4−フェニレン)−CH2−または−CH2CH2(1,3−フェニレン)−CH2−を意味する。
【0023】
「(C1−C6)−アルキレン」なる語句は、1〜6個の炭素原子を有する非分枝または分枝飽和炭素鎖を意味するものとして理解される。
【0024】
「(C1−C6)−ハロアルキレン」なる語句は、 1個またはそれ以上の水素原子が同じ数の同一または異なるハロゲン原子によって置き換えられた1〜6個の炭素原子を有する非分枝または分枝飽和炭素鎖を意味するものとして理解される。
【0025】
「(C2−C6)−アルケニレン」なる語句は、2〜6個の炭素原子を有し、それぞれの不飽和基の任意の位置にあることができる少なくとも1つの二重結合を含有する非分枝または分枝飽和炭素鎖を意味するものとして理解される。
【0026】
「(C1−C6)アルコキシ」は、炭素鎖が「(C1−C6)アルキル」なる語句の下で示された意味を有するアルコキシ基である。「ハロアルコキシ」は、例えばOCF3、OCHF2、OCH2F、CF3CF2O、OCH2CF3またはOCH2CH2Clである。
【0027】
「(C2−C6)アルケニル」は、この記載された範囲に相当する数の炭素原子を有し、それぞれの不飽和基の任意の位置にあることができる1つの二重結合を含有する非分枝または分枝非環式炭素鎖を意味する。従って、「(C2−C6)アルケニル」は、例えばビニル、アリル、2−メチル−2−プロペニル、2−ブテニル、ペンテニル、2−メチルペンテニルまたはヘキセニル基を表す。
【0028】
「(C2−C6)アルキニル」は、この記載された範囲に相当する数の炭素原子を有し、それぞれの不飽和基の任意の位置にあることができる少なくとも1つの三重結合を含有する非分枝または分枝非環式炭素鎖を意味する。従って、「(C2−C6)アルキニル」は、例えばプロパルギル、1−メチル−2−プロピニル、2−ブチニルまたは3−ブチニル基を表す。
【0029】
また、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基は、橋架け構造、例えばノルボルナンおよびノルボルネンを含み、好ましくは環中に3〜7個の炭素原子を有し、ハロゲンまたはアルキルによって場合により置換されていると理解される。
【0030】
式(I)の化合物では、以下の基の例:シクロアルキルによって置換されたアルキルの例は、シクロプロピルメチルであり;アルコキシによって置換されたアルキルの例は、メトキシメチル(CH3OCH2−)であり;そしてアルキルチオによって置換されたアルキルの例は、メチルチオメチル(CH3SCH2−)である;が記載されている。
【0031】
アリールは、6〜10個の炭素原子を含有する単または二環式芳香族系、例えばフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、インダニル等、好ましくはフェニルである。
【0032】
「ヘテロシクリル」基は飽和、不飽和または複素芳香族であることができ;複素環式環中には、好ましくはN、OおよびSからなる群より選ばれる1またはそれ以上、特に1、2または3個のヘテロ原子を含有することが好ましく;3〜7個の環原子を有する脂肪族ヘテロシクリル基または5または6個の環原子を有する複素芳香族基であることが好ましい。複素環式基は、例えば複素芳香族基または環(ヘテロアリール)、例えば少なくとも1つの環が、1個またはそれ以上のヘテロ原子を含有する単、二または多環芳香族系、例えばピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、チエニル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリルおよびトリアゾリルであるか、または部分的にまたは完全に水素化された基、例えばオキシラニル、オキセタニル、オキソラニル(=テトラヒドロフリル)、オキサニル、ピロリジル、ピペリジル、ピペラジニル、ジオキソラニル、オキサゾリニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニルおよびモルホリニルである。「ヘテロシクリル」基は、非置換であるか、または好ましくはハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、カルボキシル、シアノ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、カルバモイル、モノおよびジアルキルアミノカルボニル、置換されたアミノ、例えばアシルアミノ、モノおよびジアルキルアミノ、およびアルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、アルキルおよびハロアルキルおよび、さらにまたオキソからなる群より選ばれる1または複数の基(好ましくは1、2または3個の基)によって置換されている。また、オキソ基は、例えばNおよびSの場合、さまざまは酸化数が可能であるヘテロ環原子に存在することができる。
【0033】
害虫なる用語は、節足動物の害虫(昆虫および蛛形類動物を含む)および蠕虫(線虫を含む)を意味する。
【0034】
好ましくは、R1は、CNである。
好ましくは、R2は、Clである。
好ましくは、R3は、CF3である。
好ましくは、Wは、C−R4であり、そしてR4は、Clである。好ましくは、アリールは、フェニルとしてAにおいて定義された通りである。
【0035】
好ましくは、ヘテロシクリルは、5または6個の環原子ならびに環中にN、OおよびSからなる群より選ばれる1、2または3個のヘテロ原子を有する複素芳香族基であり、そして非置換であるか、またはハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−ハロアルキル、(C1−C4)−アルコキシおよびS(O)p12からなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されている。
【0036】
好ましくは、Aは、(C1−C6)−アルキレンであるか;または鎖中の炭素が、O、S、SO、SO2もしくはNR8によって置き換えられた(C1−C6)−アルキレンであるが、但し、置き換える基は、隣接したR5またはカルボニル基に結合しておらず;または非置換もしくはハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−ハロアルキル、(C1−C4)−アルコキシ、CNおよびNO2からなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであるか;または非置換もしくはハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−ハロアルキルおよび(C1−C4)−アルコキシからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたピリジルである。
【0037】
好ましくは、mが0または1である場合、R5はCONR910またはCO210であるか;またはmが1である場合、R5はNR917である。
好ましくは、R6は、(C1−C2)−アルキルまたは(C1−C2)−ハロアルキルである(より好ましくは、R6はCF3である)。
好ましくは、R7は、Hまたは(C1−C2)−アルキルである。
【0038】
上記の定義においては以下の意味が好ましい:
8は、R9、CO−R9またはCO−R11であり;ここにおいてR9およびR10は、それぞれ独立してHまたは(C1−C6)−アルキルであり;
11は、非置換またはハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−ハロアルキル、(C1−C4)−アルコキシ、CN、NO2、S(O)p12およびNR915からなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであり;
12は、(C1−C2)−アルキルまたは(C1−C3)−ハロアルキルであり;そして
15はH、(C1−C2)−アルキルまたは(C1−C2)−ハロアルキルであり;
17は、R10、CO2(C1−C2)−アルキル、CO2CH218またはCO(C1−C2)−アルキルであり;そして
18は、非置換またはハロゲン、(C1−C2)−アルキル、(C1−C2)−ハロアルキルおよび(C1−C2)−アルコキシからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルである。
【0039】
式(I)の化合物の好ましい種類は、
10は、R9、−[(C1−C6)−アルキル]q−R11、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル−または(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル−であり;
17は、R10、CO2(C1−C6)−アルキル、CO2CH218またはCO(C1−C6)−アルキルであり;そして
他の意味は、式(I)において定義された通りであるものである。
【0040】
式(I)の化合物のさらなる好ましい種類は、
1は、CNであり;
2は、Clであり;
3は、CF3であり;
Wは、CR4であり、そしてR4は、Clであり;
Aは、(C1−C6)−アルキレンであるか;または鎖中の炭素がO、S、SO、SO2またはNR8によって置き換えられた(C1−C6)−アルキレンであるが、但し、置き換える基は、隣接したR5またはカルボニル基に結合しておらず;または非置換もしくはハロゲン、(C1−C2)−アルキル、(C1−C2)−ハロアルキル、(C1−C2)−アルコキシ、CNおよびNO2からなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであるか;または非置換もしくはハロゲン、(C1−C2)−アルキル、(C1−C2)−ハロアルキルおよび(C1−C2)−アルコキシからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたピリジルであり;
mが0または1である場合、R5は、CONR910またはCO210であるか;または、mが1である場合、R5は、NR917であり;
6は、(C1−C2)−アルキルまたは(C1−C2)−ハロアルキルであり;
7は、水素または(C1−C2)−アルキルであり;
8は、R9、CO−R9またはCO−R11であり;
9は、Hまたは(C1−C6)−アルキルであり;
10は、H、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−ハロアルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C2−C6)−ハロアルキニル、(C3−C7)−シクロアルキル、−(C1−C6)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキルまたは−(CH2)q11であるか;または
9およびR10は、結合しているN原子と一緒になって環中にO、SおよびNから選ばれるさらなるヘテロ原子を場合により含有する5または6員飽和環を形成し、環は、非置換であるか、またはハロゲンおよび(C1−C2)−アルキルからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されており;
11は、非置換またはハロゲン、(C1−C2)−アルキル、(C1−C2)−ハロアルキル、(C1−C2)−アルコキシ、CN、NO2、S(O)p12およびNR915からなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであり;
12は、(C1−C2)−アルキルまたは(C1−C2)−ハロアルキルであり;
15は、H、(C1−C2)−アルキルまたは(C1−C2)−ハロアルキルであり;
17は、R10、CO2(C1−C2)−アルキル、CO2CH218またはCO(C1−C2)−アルキルであり;そして
18は、非置換またはハロゲン、(C1−C2)−アルキル、(C1−C2)−ハロアルキルおよび(C1−C2)−アルコキシからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであるものである。
【0041】
式(I)の化合物のより好ましい種類は、
1は、CNであり;
2は、Clであり;
3は、CF3であり;
Wは、CR4であり、そしてR4はClであり;
i) mは、0であり;R5は、CONH(C1−C2)−アルキル、CON[(C1−C2)−アルキル]2またはCO2(C1−C2)−アルキルであり;そしてR7は、Hまたは(C1−C2)−アルキルであるか;または
ii) mは、1であり;R5は、CO2H、CO2(C1−C2)−アルキルまたはCON[(C1−C2)−アルキル]2であり;R7は、Hまたは(C1−C2)−アルキルであり;そしてAは、CH2CH2、CH=CH、CH2SCH2、フェニルまたはピリジルであるか;または
iii) mは、1であり;R5は、NH(C1−C2)−アルキル、N[(C1−C2)−アルキル]2、NHCO2(C1−C2)−アルキルまたはN[(C1−C2)−アルキル]CO2(C1−C2)−アルキル;またはNR917であり、ここにおいてR9およびR17は、結合しているN原子と一緒になってピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルまたはピペラジニル環を形成
し、環は、非置換であるか、(C1−C2)−アルキルおよびCO2−(C1−C2)−アルキルからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されており;
7は、Hであり;そしてAは、CH(CH)3またはCH2CH2であり;そして
6はCF3であるものである。
【0042】
式(I)の化合物のさらなる好ましい種類は、
1は、CNであり;
2は、Clであり;
3は、CF3であり;
Wは、CR4であり、そしてR4は、Clであり;
mは、0であり;
6は、CF3であり;そして
i)R5は、CO210であり;R7は、H、(C1−C3)−アルキル、(C3−C4)−アルケニルまたはベンジルであり;そしてR10は、H、(C1−C6)−アルキル、(C1−C3)−ハロアルキル、(C3−C4)−アルケニル、(C3−C7)−シクロアルキル、−(C1−C3)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキル、−(C1−C3)−アルキル−(C1−C3)−アルコキシ、ベンジルまたは−CH(CH3)フェニルであるか;または
ii)R5は、CONR910であり;そしてR9およびR10は、それぞれ独立してHまたは(C1−C6)−アルキルであるか、またはR9およびR10は、結合しているN原子と一緒になって環中にO、SおよびNから選ばれるさらなるヘテロ原子を場合により含有する5または6員飽和環を形成し;そしてR7は、H、(C1−C3)−アルキル、(C3−C4)−アルケニル、−(C1−C3)−アルキル−(C1−C3)−アルコキシまたはベンジルであるものである。
【0043】
式(I)の化合物のさらなる好ましい種類は、
1は、CNであり;
2は、Clであり;
3は、CF3であり;
Wは、CR4であり、そしてR4は、Clであり;
mは、1であり、そしてAは、−CH2CH2−であり;
6は、CF3であり;そして
i)R5は、CO210であり;R7は、H、(C1−C3)−アルキル、(C3−C4)−アルケニルまたはベンジルであり;そしてR10は、H、(C1−C6)−アルキル、(C1−C3)−ハロアルキル、(C3−C4)−アルケニル、(C3−C7)−シクロアルキル、−(C1−C3)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキル、−(C1−C3)−アルキル−(C1−C3)−アルコキシ、ベンジル、−CH(CH3)フェニル、(C1−C3)−アルキル−S(O)p−(C1−C3)−アルキルまたは(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル−であるか;または
ii)R5は、CONR910であり;そしてR9およびR10は、それぞれ独立してHまたは(C1−C6)−アルキルであるか、またはR9およびR10は、結合しているN原子と一緒になって環中にO、SおよびNから選ばれるさらなるヘテロ原子を場合により含有する5または6員飽和環を形成し;そしてR7は、H、(C1−C3)−アルキル、(C3−C4)−アルケニル、−(C1−C3)−アルキル−(C1−C3)−アルコキシまたはベンジルであるものである。
【0044】
式(I)の化合物のさらなる好ましい種類は、
1は、CNであり;
2は、Clであり;
3は、CF3であり;
Wは、CR4であり、そしてR4は、Clであり;
mは、1であり;
Aは、−CH=CH−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH=CHCH2−、−CH2SCH2−、−CH2N(CH3)CH2−、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、2,6−ピリジルまたは2,5−ピリジルであり;
6は、CF3であり;
5は、CO210であり;
7は、メチルであり;そして
10は、H、(C1−C6)−アルキルまたはベンジルであるものである。
【0045】
式(I)の化合物のさらなる好ましい種類は、
1は、CNであり;
2は、Clであり;
3は、CF3であり;
Wは、CR4であり、そしてR4は、Clであり;
mは、1であり;
Aは、1,2−シクロプロピル、1,2−シクロブチル、トランス−1,2−シクロペンチル、1,2,2−トリメチル−1,3−シクロペンチル、2,3−(5−ノルボルネニル)、1,2−シクロヘキシル、1,2−シクロヘキセン−1−イル、1,3−シクロヘキシルまたは1,4−シクロヘキシルであり;
6は、CF3であり;
5は、CO210であり;
7は、メチルであり;そして
10は、Hまたは(C1−C6)−アルキルであるものである。
【0046】
式(I)の化合物のさらなる好ましい種類は、
1は、CNであり;
2は、Clであり;
3は、CF3であり;
Wは、CR4であり、そしてR4は、Clであり;
mは、1であり;
Aは、−CH2CH2−、−CH(CH3)−または−CH(CH3)CH2−であり;
5は、NR917であり;
6は、CF3であり;
7は、Hまたはメチルであり;
9は、Hまたは(C1−C6)−アルキルであり;そして
17は、H、(C1−C6)−アルキル、CO2(C1−C6)−アルキル、−CH2CO2(C1−C6)−アルキル、CO2CH2フェニルまたはCO(C1−C3)−アルキルであるか;
またはR9およびR17は、結合しているN原子と一緒になって環中にO、SおよびNから選ばれるさらなるヘテロ原子を場合により含有する5または6員飽和環を形成し、環は、非置換であるか、またはCO2−(C1−C6)−アルキルによって置換されているものである。
【0047】
一般式(I)の化合物は、知られている方法(すなわち以前に使用されたまたは化学文献中に記載された方法)を適用するかまたは適合させることによって製造することができる。ある種の場合には、満足な収率を得るために、当分野でよく知られている保護剤が必要でありうることが理解される。以下の方法の説明において式中に現れる記号が具体的に定義されてない場合、それは、明細書中のそれぞれの記号の最初の定義に従って「上記定義された通り」であるものとして理解される。
【0048】
本発明の特徴によれば、式(I)(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、W、A、mお
よびnは、上記定義された通りである)の化合物は、式(II):
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R6、R7、Wおよびnは、上記定義された通りである)の化合物を、式(III):
5−(A)m−CO−L (III)
(式中、R5、Aおよびmは上記定義された通りであり、Lは、脱離基、例えばハロゲン、カルボキシレート、スルホネート、複素環である)の化合物でアシル化することによって製造することができ、すなわち、式(III)の化合物は、ハロゲン化アシル、カルボン酸無水物、活性エステルまたは活性アミドであることができる。式(III)の化合物は、対応するカルボン酸またはその塩からその場で生成することができる。反応は、一般に、溶媒、例えばジオキサン、テトラヒドロフランまたはN,N−ジメチルホルムアミド中、塩基、例えば第三級アミン、アルカリ金属水素化物、水酸化物、炭酸塩またはアルコラート、例えば水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムまたはナトリウムエトキシドの存在下、0°〜150℃(好ましくは0°〜100℃)の温度で実施される。
【0049】
さらなる本発明の特徴によれば、式(I)(式中、R1、R2、R3、R5、R6、W、A、mおよびnは、上記定義された通りであり、そしてR7は、水素を除いて上記定義された通りである)の化合物は、対応する式(I)(式中、R7は水素である)の化合物を式(IV):
7−L1 (VI)
(式中、R7は、水素を除いて上記定義された通りであり、そしてL1は、脱離基、一般にハロゲン、そして好ましくは塩素またはヨウ素である)の化合物でアルキル化またはアシル化することによって製造することができる。反応は、一般に溶媒、例えばジオキサン、テトラヒドロフランまたはN,N−ジメチルホルムアミド中、塩基、例えば水素化ナトリウムの存在下、0°〜100℃(好ましくは0°〜50℃)の温度で実施される。
【0050】
さらなる本発明の特徴によれば、式(I)(式中、R1、R2、R3、R6、R7、W、Aおよびnは、上記定義された通りであり、R5は、NR910であり、そしてmは1である)の化合物は、対応する式(V):
【化3】

(式中、R1、R2、R3、R6、R7、A、Wおよびnは、上記定義された通りであり、mは1であり、そしてL2は、脱離基、例えばハロゲン(好ましくは塩素)またはスルホネートである)の化合物を式(VI):
H−NR910 (VI)
(式中、R9およびR10は、上記定義された通りである)の化合物で求核置換することによって製造することができる。反応は、一般に溶媒、例えばジオキサン、テトラヒドロフランまたはN,N−ジメチルホルムアミド中、塩基、例えば第三級アミン、例えばトリエチルアミンまたは金属水素化物、例えば水素化ナトリウムの存在下、0°〜100℃(好ましくは0°〜50℃)の温度で実施される。
【0051】
本発明の特徴によれば、式(V)(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、W、A、L2、mおよびnは、上記定義された通りである)の中間体は、式(II)の化合物を、式(VII):
2−(A)m−COCl (VII)
(式中、L2、Aおよびmは上記定義された通りである)の化合物を使用してアシル化することによって製造することができる。反応は、一般に式(II)および(III)の化合物から式(I)の化合物を製造するための上記手法に従って実施される。
【0052】
本発明のさらなる特徴によれば、式(I)(式中、R1、R2、R3、R5、R6、R7、W、Aおよびmは、上記定義された通りであり、そしてnは1または2である)の化合物は、nが0または1である対応する化合物を酸化させることによって製造することができる。酸化は、一般に溶媒、例えばジクロロメタンまたは1,2−ジクロロエタン中で過酸、例えば3−クロロ過安息香酸を使用して0℃から溶媒の還流温度までの温度で実施される。
【0053】
また、上記方法によって合成することができる式(I)の化合物のコレクションは、パラレル方法で製造することができ、これは手動でまたは半自動化もしくは完全に自動化された方法で実施することができる。この場合、例えば反応操作、生成物または中間体の処理または精製を自動化することができる。全体として、これは、例えばS.H. DeWitt in “Annual Reports in Combinatorial Chemistry and Molecular Diversity: Automated Synthesis", Volume 1, Verlag Escom 1997, pages 69 to 77に記載されたような手法を意味するものとして理解すべきである。
【0054】
一連の商業的に入手可能な装置は、例えばStem Corporation, Woodrolfe Road, Tollesbury, Essex, CM9 8SE, EnglandまたはH+P Labortechnik GmbH, Bruckmannring 28, 85764 Oberschleiβheim, Germany or Radleys, Shirehill, Saffron Walden, Essex, Englandによって提供され、反応および処理のパラレル手法に使用することができる。式(I)の化合物または製造中に得られる中間体のパラレル精製については、とりわけクロマトグラフィ装置、例えばISCO, Inc., 4700 Superior Street, Lincoln, NE 68504, USAによるものを使用することができる。
【0055】
記載した装置は、モジュラ手法で誘導され、その際、個々の処理工程は自動化されているが、処理工程の間では手動操作を行わなければならない。これは、該当する自動化モジュールが例えばロボットによって運転される半一体化または完全一体化された自動化系を使用することによって回避することができる。このような自動化系は、例えばZymark Corporation, Zymark Center, Hopkinton, MA 01748, USAから入手することができる。
【0056】
ここで記載したことに加えて、式(I)の化合物は、固相担持法によって部分的にまたは完全に製造することができる。この目的のために、合成のまたは当該手法に合うように適応させた合成の個々の中間工程または全ての中間工程を、合成樹脂に結合させる。固相担持合成方法は、専門家の文献例えばBarry A. Bunin in “The Combinatorial Index", Academic Press, 1998に広く記載されている。
【0057】
固相担持合成方法の使用により、文献から知られている一連のプロトコールを順に、手動でまたは自動化された方法で実施することができる。例えば、「ティーバッグ法」(Houghten, US 4,631,211; Houghten et al., Proc. Natl. Acad. Sci, 1985, 82, 5131-5135)では、 IRORI, 11149 North Torrey Pines Road, La Jolla, CA 92037, USAの製品を使用し、半自動化することができる。固相担持されたパラレル合成の自動化は、例えば、Argonaut Technologies, Inc., 887 Industrial Road, San Carlos, CA 94070, USAまたはMultiSynTech GmbH, Wullener Feld 4, 58454 Witten, Germanyの装置によって実施することが成功している。
【0058】
本明細書に記載された製造方法により、ライブラリと称する物質コレクションの形態で式(I)の化合物が得られる。また、本発明は、式(I)の少なくとも2つの化合物を含んでなるライブラリに関する。
【0059】
式(V)のいくつかの化合物は、新規であり、このようにさらなる本発明の特徴を構成するが、式(V)の別の化合物は、知られている方法によって製造することができる。式(II)、(III)、(IV)、(VI)および(VII)の化合物は、知られているかまたは知られている方法によって製造することができる。
【0060】
以下の非限定的な実施例により、式(I)の化合物の製造を説明する。特に明記しない限り、NMRスペクトルは、重クロロホルム中で実施した。以下の実施例において、特に明記しない限り、量(またパーセンテージ)は、重量基準である。化合物番号は、参照する目的にのみ記載した。
【0061】
実施例1:
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−(エトキシカルボニル)カルボニルアミノ−4−トリフルオロメチルチオピラゾール(化合物番号1−04)
テトラヒドロフラン中の5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4(トリフルオロメチルチオピラゾール)(10.0g,23.7mmol)の溶液にトリエチルアミン(3.36g,33.2mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.58g,4.7mmol)を添加し、続いてテトラヒドロフラン中のエチルオキサリルクロリド(4.21g,30.9mmol)を50〜70℃で滴加した。混合物を還流に8時間加熱した。抽出処理(ヘプタン−酢酸エチル、水、HCl)後、標題生成物を得た(13.9g)。
【0062】
実施例2:
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−N−(エトキシカルボニル)カルボニル−N−メチルアミノ−4−トリフルオロメチルチオピラゾール(化合物番号1−19)
N,N−ジメチルホルムアミド中の1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−(エトキシカルボニル)カルボニルアミノ−4−トリフルオロメチルチオピラゾール(化合物1−04,2.50g,4.8mmol)溶液に炭酸カリウム(0.80g,9.6mmol)およびヨウ化メチル(1.36g,5.8mmol)を添加した。混合物を35〜40℃で6時間加熱した。抽出処理後、標題生成物を得た(2.29g)。
【0063】
実施例3:
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−N−(2−カルボキシエチル)カルボニル−Nメチルアミノ−4−トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール(化合物番号3−20)
テトラヒドロフラン中の1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−メチルアミノ−4−トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール(3.0g,7.1mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(60%,0.32g,8.5mmol)、次いでコハク酸無水物(1.00g,10.6mmol)を添加した。混合物を25℃で36時間撹拌した。抽出処理および酢酸エチル−メタノール(95:5)を用いたカラムクロマトグラフィの後、標題生成物を得た(0.87g)。
【0064】
実施例4:
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−(2−ジエチルアミノプロピオニルアミノ)−4−トリフルオロメチルチオピラゾール(化合物番号7−13)
テトラヒドロフラン中の5−(2−クロロプロピオニルアミノ)−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4−トリフルオロメチルチオピラゾール(2.0g,3.9mmol)の溶液に、ジエチルアミン(0.86g,11.7mmol)およびヨウ化ナトリウム(0.59g,3.9mmol)を添加した。マイクロ波オーブン中の密閉容器中で混合物を130℃で30分間撹拌した。抽出処理およびヘプタン−酢酸エチル(2:1)を用いたカラムクロマトグラフィの後、標題生成物を得た(0.71g)。
【0065】
実施例5:
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−[3−(ベンジルオキシカルボニルアミノ]−プロピオニルアミノ)−4−トリフルオロメチルチオピラゾール(化合物番号7−50)
ジオキサン中の5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4−トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール(1.0g,2.29mmol)の溶液に、ベンジルオキシカルボニル−ベータ−アラニン(0.56g,2.5mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.61g,2.9mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.06g,0.46mmol)を添加した。混合物を25℃で24時間撹拌した。抽出処理(酢酸エチル、水)およびヘプタン−酢酸エチル(1:1)を用いたカラムクロマトグラフィの後、標題生成物を得た(0.81g)。
【0066】
実施例6:
1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−5−(3−N−ピペリジニルプロピオニルアミノ)−4−トリフルオロメチルチオピラゾール(化合物番号7−73)
テトラヒドロフラン中の3−クロロプロピオニルアミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4−トリフルオロメチルチオピラゾール(0.8g,1.6mmol)の溶液にピペリジン(0.32g,3.8mmol)を添加した。混合物を還流で6時間加熱した。抽出処理およびヘプタン−酢酸エチル(1:1)を用いたカラムクロマトグラフィの後、標題生成物を得た(0.80g)。
【0067】
以下の中間体の実施例により、上記の実施例の合成で使用した中間体の製造を説明する。
【0068】
中間体実施例1
5−(2−クロロプロピオニルアミノ)−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4−トリフルオロメチルチオピラゾール
トルエン中の5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4−トリフルオロメチルチオピラゾール(8.0g,19.0mmol)の混合物に2−クロロプロピオニルクロリド(3.62g,28.5mmol)、次いで塩化亜鉛(0.77g,5.7mmol)を添加した。混合物を還流で16時間加熱した。抽出処理およびヘプタン−酢酸エチル(1:1)を用いた再結晶の後、標題生成物を得た(7.02g),19F−NMR:−43,7;−64,2ppm。
【0069】
中間体実施例2:
3−クロロプロピオニルアミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4−トリフルオロメチルチオピラゾール
トルエン中の5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−4−トリフルオロメチルフェニル)−3−シアノ−4−トリフルオロメチルチオピラゾール(10.0g,19.0mmol)の混合物に、3−クロロプロピオニルクロリド(3.92g,30.9mmol)、次いで塩化亜鉛(0.97g,7.1mmol)を添加した。混合物を還流で4時間加熱した。抽出処理およびヘプタン−酢酸エチル(1:1)を用いた再結晶の後、標題生成物を得た(9.05g),19F−NMR:−43,3;−63,7ppm。
【0070】
また、表1〜8に示した以下の好ましい化合物は、本発明の一部を構成し、そして上記実施例1〜6または上記一般方法に従ってまたは同様にして製造したまたは製造することができる。下付き文字が原子の後で省かれている場合、それは、例えばCH3はCH3を意味するものとして理解される。
【0071】
表中、Etはエチルのことであり;i−Prは、イソプロピルのことであり;t−Buは、tert−ブチルのことであり;Phは、フェニルのことであり;cC35は、シクロプロピルのことであり;cC611は、シクロヘキシルのことであり;C24OMeは、2−メトキシエチルのことであり;C36は、プロピレン(−CH2CH2CH2−)のことであり;C36Clは、3−クロロプロピルのことであり;そして1,2−C64は、1および2−位でR5およびCONR7−基に結合したフェニル(すなわち1,2−フェニレン)のことである。Aが記載されている場合、Aの左側の炭素がR5に結合している。Z−およびE−は、それぞれシスおよびトランス異性体に相当する。19F−NMRスペクトルシフト値は、ppmで示した。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【0076】
【表5】

【0077】
【表6】

【0078】
【表7】

【0079】
【表8】

【0080】
【表9】

【0081】
【表10】

【0082】
【表11】

【0083】
【表12】

【0084】
【表13】

【0085】
【表14】

【0086】
【表15】

【0087】
【表16】

【0088】
【表17】

【0089】
【表18】

【0090】
【表19】

【0091】
【表20】

【0092】
【表21】

【0093】
【表22】

【0094】
【表23】

【0095】
【表24】

【0096】
【表25】

【0097】
【表26】

【0098】
【表27】

【0099】
本発明のさらなる特徴によれば、式(I)の化合物またはその塩の有効量を適用することを含む、現場で害虫を防除する方法が提供される。この目的では、前記化合物は、通常、例えば、以下に記載するような農薬の組成物の形態で(すなわち、農薬の組成物に使用するのに好適な適合しうる希釈剤または担体および/または表面活性剤と共に)使用される。
【0100】
以下に使用する用語「本発明の化合物」は、上記定義された式(I)の5−置換アルキルアミノピラゾールおよびその農薬上許容しうる塩を包含する。
【0101】
上記定義された本発明の一態様は、現場での害虫の防除方法である。現場には、例えば、害虫それ自体、害虫がいる場所(植物、畑、森林、果樹園、水路、土壌、植物生産物、等)または飼料、または将来的に害虫が発生しやすい場所が含まれる。従って、本発明の化合物は、害虫、害虫がいる場所または飼料、または将来的に害虫が発生しやすい場所に直接適用することができる。前述の農薬の使用から明らかなように、本発明は、農薬上活性な化合物および節足動物、特に昆虫または蛛形類動物、例えばハダニまたは植物線虫を含めた多くの害虫種を防除するための前記化合物の使用方法を提供する。従って、本発明の化合物は、実用的な使用、例えば農業もしくは園芸作物、林業、動物用医薬品または家畜農業、または公衆衛生において都合よく使用することができる。
【0102】
本発明の化合物は、例えば、以下の用途および以下の害虫に使用することができる。
【0103】
土壌昆虫の防除では、例えばハムシモドキの幼虫、シロアリ(特に構造物の保護のため)、根ウジ、ハリガネムシ、根ゾウムシ、茎穿孔虫、ヨトウムシ、根アブラムシまたは地虫。また、本発明の化合物は、植物病原性の線虫、例えば根瘤病、嚢胞、ダガー、病変または茎もしくは球根の線虫に対する、またはダニに対する活性を提供するために使用することができる。土壌の害虫、例えばハムシモドキの幼虫の防除では、化合物を、作物が植えらているもしくは作物を植える土壌または種子または成長している植物根中に有効速度で適用するまたは取り込ませるのが都合がよい。
【0104】
公衆衛生の分野では、化合物は、多くの昆虫、特に汚物バエまたは別の双翅目の害虫、例えばイエバエ、サシバエ、兵ハエ、ツノサシバエ、メクラアブ、ウシアブ、ユスリカ、ヌカカ、ブユまたはカを防除するのに特に有用である。
【0105】
保存された生産物、例えば穀粒または穀粉を含めた穀物、落花生類、動物飼料、木材または家財道具、例えばカーペットおよび布地の保護において、本発明の化合物は、節足動物、より具体的には甲虫類、例えばゾウムシ、ガまたはダニ、例えばEphestia spp.(フラウアーモス)、Anthrenus spp.(ハナマルカツオブシムシ)、Tribolium spp.(コクヌストモドキ)、Sitophilus spp.(コクゾウムシ)またはAcarus spp.(ハダニ)の攻撃に対して有用である。
【0106】
害虫がはびこる家屋もしくは産業上の建物中でゴキブリ、アリもしくはシロアリもしくは同様の節足動物の害虫の防除において、または水路、井戸、貯水槽もしくは他の流水もしくは静置水中のボウフラの防除において。
【0107】
シロアリ、例えばReticulitermes spp., Heterotermes spp., Coptotermes spp.による建物の攻撃を防止する際の基礎、構造物または土壌の処理のため。
【0108】
農業において、鱗翅目(チョウおよびガ)、例えばHeliothis spp.例えばHeliothis virescens(オオタバコガ)、Heliothis armigeraおよびHeliothis zeaの成虫、幼虫および卵に対して。甲虫目(カブトムシ)の成虫および幼虫、例えばAnthonomus spp.、例えばgrandis(メキシコワタミゾウムシ)、Leptinotarsa decemlineata(コロラドハムシ)、Diabrotica spp.(ハムシモドキの幼虫)に対して。異翅目(半翅目および同翅目)、例えばPsylla spp.、Bemisia spp.、Trialeurodes spp.、Aphis spp.、Myzus spp.、Megoura viciae、Phylloxera spp.、Nephotettix spp.(イネヨコバイ)、Nilaparvata spp.に対して。
【0109】
双翅目、例えばMusca spp.に対して。アザミウマ目、例えばThrips tabaciに対して。
【0110】
直翅目、例えばLocustaおよびSchistocerca spp.(イナゴおよびコオロギ)、例えばGryllus spp.およびAcheta spp.、例えばBlatta orientalis、Periplaneta americana、Blatella germanica、Locusta migratoria migratorioidesおよびSchistocerca gregariaに対して。トビムシ目、例えばPeriplaneta spp.およびBlatella spp.(ゴキブリ)に対して。
【0111】
農業上意義のある節足動物、例えばAcari(ハダニ)、例えばTetranychus spp.およびPanonychus spp.に対して。
【0112】
農業、林業または園芸に重要な植物または木を攻撃する線虫に対して、植物の細菌性、ウイルス性、マイコプラズマまたは菌性の疾患に直接または散布することによって。例えば根瘤線虫、例えばMeloidogyne spp.、(例えばM. incognita)。
【0113】
動物用医薬品または家畜農業の分野においてまたは公衆衛生の維持において、脊椎動物、特に温血脊椎動物、例えば飼われた動物、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、家禽、イヌまたはネコに内的にまたは外的に寄生性である節足動物、例えばダニ目、例えばマダニ(例えば柔らかいマダニ、例えばArgasidae spp.(例えばArgas spp.およびOrnithodorus spp.(例えばOrnithodorus moubata);固いマダニ、例えばIxodidae spp.、例えばBoophilus spp.、例えばBoophilus microplus、Rhipicephalus spp.、例えばRhipicephalus appendiculatusおよびRhipicephalus sanguineus;ハダニ(例えばDamalinia spp.);ノミ(例えばCtenocephalides spp.、例えばCtenocephalides felis(ネコノミ)およびCtenocephalides canis(イヌノミ));シラミ、例えばMenopon spp.;双翅目(例えばAedes spp.、Anopheles spp.、Musca spp.、Hypoderma spp.);半翅目;網翅目(例えばPeriplaneta spp.、Blatella spp.);膜翅目に対して;例えば寄生性の線虫類、例えばTrichostrongylidae科の構成メンバによって生じる胃腸管の感染に対して。
【0114】
好ましい本発明の態様において、式(I)の化合物は、動物の寄生虫の防除に使用される。好ましくは、治療する動物は、飼われた伴侶動物、例えばイヌまたはネコである。
【0115】
本発明の更なる態様において、式(I)の化合物またはその塩または組成物は、獣医学上の医薬の製造について使用される。
【0116】
節足動物、特に昆虫もしくはハダニ、または植物線虫の害虫を防除するための実際的な使用において、方法は、例えば、植物にまたは媒体に適用することを含み、その際、本発
明の化合物の有効量になる。このような方法では、本発明の化合物は、一般に節足動物または線虫の発生を防除すべき場所に、処理する場所1ヘクタール当たり活性化合物約2g〜約1kgの範囲の有効な比率で適用される。理想的な条件下では、防除する害虫に応じて、より低い比率で十分に保護することができる。一方、不利な気象状況、害虫の耐性または別の因子のため、活性成分をより高い比率で使用する必要がありうる。最適な比率は、通常、多くの因子、例えば、防除する害虫のタイプ、害虫がはびこる植物のタイプまたは成長段階、列の間隔または適用方法にも左右される。好ましくは、活性化合物の有効比率の範囲は、約10g/ha〜約400g/ha、より好ましくは約50g/ha〜約200g/haである。害虫が土壌にいる場合、一般に組成物中に処方された活性化合物を、なんらかの都合のよい方法で処理する領域に均一に分散させ(すなわち、例えば散布または帯域処理)、そして約10g/ha〜約400g ai/ha、好ましくは約50g/ha〜約200g ai/haの比率で適用する。根の浸液として実生にまたは滴下灌流液として植物に適用する場合、液体の溶液または懸濁液は、約0.075〜約1000mgai/l、好ましくは約25〜約200mgai/lを含有する。所望により、一般に畑もしくは作物成長領域にまたは攻撃から保護すべき種子もしくは植物の近くに適用することができる。本発明の化合物は、領域上に水を散布することによって土壌に洗い落とすことができ、または天然の降雨作用にまかせることができる。適用中または適用後、処方された化合物は、所望により例えば、耕す、円板すきで耕す、またはドラッグチェーンの使用によって土壌中に機械的に分散させることができる。植付け前、植付け時、植付け後、しかし発芽が起こる前、または発芽後に適用することができる。
【0117】
本発明の化合物およびそれによる害虫の防除方法は、畑、飼料、農園、ガラス温室、果樹園またはブドウ園の作物、観賞植物、または農園または森林樹、例えば:穀物(例えばコムギまたはイネ)、ワタ、野菜(例えばコショウ)、農作物(例えばテンサイ、ダイズまたはアブラナ)、牧草地または飼料作物(例えばトウモロコシまたはモロコシ)、果樹園または果樹林(例えば核または種果実または柑橘類)、観賞植物、温室下または庭園または公園の花または野菜または潅木、または森林における森林樹(落葉および常緑)、農園または苗床の保護において特に重要である。また、それらは、木材(放置された、倒された、転化された、保存されたまたは構造上の)を、例えばハバチまたはカブトムシまたはシロアリによる攻撃から保護するのに有益である。それらは、保存された生産物、例えば穀粒、果実、堅果、香辛料またはタバコが、未加工、製粉または調合して製品になっているかどうかにかかわらず、ガ、カブトムシ、ハダニまたはコクゾウムシの攻撃から保護する用途を有する。また、天然のまたは変換された形態(例えばカーペットまたは布地として)における保存された動物生産物、例えば皮膚、毛髪、羊毛または羽毛を、ガまたはカブトムシの攻撃から保護するだけでなく、保存された肉、魚または穀粒をカブトムシ、ハダニまたはハエの攻撃から保護する。
【0118】
さらに、本発明の化合物およびその使用方法は、疾患の媒介体として飼われた動物に有害である、または広まるまたは作用する節足動物または蠕虫の防除、例えば上記のもの、より具体的にはマダニ、ハダニ、シラミ、ノミ、ユスリカ、またはサシバエ、迷惑ハエ(nuisance flies)またはハエウジ病のハエ(myiasis flies)の防除において特に重要である。本発明の化合物は、飼われた宿主動物内に存在するか、または皮膚の中または上で養われているか、または動物の血液を吸う節足動物または蠕虫の防除に特に有用であり、この目的では、それを経口的、非経口的、経皮的または局所的に投与することができる。
【0119】
別法として、成長作物または作物成長場所へまたは種子粉衣として適用するため以下に記載された組成物は、一般に、保存された生産物、家財道具、全般的な環境の特性または領域を保護するのに使用される。本発明の化合物を適用する適切な手段としては、成長作物に、葉面散布剤(例えば畦間散布剤)、粉剤、粒剤、噴霧剤またはフォームとしてまたは、また微粉砕されたもしくはカプセル化された組成物の懸濁剤として、液体灌注剤、粉剤、粒剤、煙またはフォームによる土壌もしくは根処理として;作物の種子に、液体スラリーまたは粉剤による種子粉衣として適用して;節足動物または蠕虫がはびこるまたは発生にさらされた動物に、活性成分が節足動物または蠕虫に対して一定期間にわたって即時および/または持続的に作用を示す組成物を非経口、経口または局所的に適用して、例えば飼料または適切な経口的に摂取できる医薬製剤、食用の餌、家畜用岩塩、食事補助食品、pour−on製剤、散布剤、浴、浸液、シャワー、ジェット、粉剤、グリース、シャンプー、クリーム、ロウ軟膏または家畜自己処理系中に配合することによって適用し;全般的な環境または害虫は潜みうる特定の場所、例えば保存された生産物、木材、家財道具または家屋または産業上の建物に、散布剤、噴霧剤、粉剤、煙、ロウ軟膏、ラッカー、粒剤または餌として、または水路、井戸、貯水槽または別の流水または静置水に飼料を少しずつ流して適用することが含まれる。
【0120】
式(I)の化合物は、経口的に適用する場合、動物の寄生虫の防除に特に有用であり、そしてさらに好ましい本発明の態様において式(I)の化合物は、経口適用によって動物の寄生虫の防除に使用される。式(I)の化合物またはその塩は、食事前、食事中または食後に投与することができる。式(I)の化合物またはその塩は、担体および/または食料と混合することができる。
【0121】
式(I)の化合物またはその塩は、一般に動物体重1キログラム当たり(mg/kg)式(I)の化合物またはその塩0.1〜500mg/kgの用量範囲の動物に対する用量で経口的に投与される。式(I)の化合物またはその塩によって処理される動物、好ましくは飼われた動物の処理頻度は、一般に1週間に約1回から1年に約1回、好ましくは2週間に約1回から3ヶ月毎に1回である。
【0122】
本発明の化合物は、殺寄生虫的に有効な他の物質、例えば内部寄生虫駆除剤、および/または外部寄生虫駆除剤、および/または内部外部寄生虫駆除剤と共に投与するのが最も都合がよい。例えば、このような化合物には、大環状ラクトン、例えばアベルメクチンまたはミルベマイシン、例えばイベルメクチン、ピラテルまたは昆虫成長調整剤、例えばルフェヌロンまたはメトプレンが含まれる。
【0123】
また、式(I)の化合物は、知られている遺伝子工学による植物の作物またはまだ開発中の遺伝子工学による植物の作物における有害微生物の防除に使用することができる。一般に、トランスジェニック植物は、特に有益な性質、例えば特定の作物保護剤に対する耐性、植物疾患または植物疾患の病原体、例えば特定の昆虫または微生物、例えば真菌、細菌またはウイルスに対する耐性を特徴としている。他の特定の性質は、例えば、収穫された物質の量、質、保存性、組成および特定の成分に関する。従って、デンプン含量が高められた、またはデンプンの質が変更された、または収穫された物質が異なる脂肪酸構成を有するトランスジェニック植物が知られている。
【0124】
有用植物および観賞植物、例えば穀物、例えばコムギ、オオムギ、ライムギ、カラスムギ、キビ、イネ、カッサバおよびトウモロコシまたは他にテンサイ、ワタ、ダイズ、アブラナ、ジャガイモ、トマト、エンドウの作物および他のタイプの野菜の経済的に重要なトランスジェニック作物における使用が好ましい。
【0125】
トランスジェニック作物、特に昆虫に対して耐性を有するものに使用する場合、別の作物で観察される有害微生物に対する効果に加えて、当該トランスジェニック作物における適用に特異的な、例えば、防除することができる害虫のスペクトルが変わる、または具体的には広がる、または適用に使用することができる施用量が変わるといった効果がしばしば観察される。
【0126】
従って、また、本発明は、トランスジェニック作物植物において有害微生物を防除するための式(I)の化合物の使用に関する。
【0127】
本発明のさらなる特徴によれば、上記定義された1つまたはそれ以上の本発明の化合物を、1つまたはそれ以上の適合しうる農薬上許容しうる希釈剤または担体および/または表面活性薬剤[すなわち、農薬組成物における使用に適しており、本発明の化合物と適合しうる、当分野で一般に認められたタイプの希釈剤または担体および/または表面活性剤]と会合させて、好ましくは均一に分散させて含んでなる農薬組成物が提供される。
【0128】
実際には、本発明の化合物は、多くの場合、組成物の一部を構成する。これらの組成物は、節足動物、特に昆虫および蛛形類動物、例えばハダニまたは蠕虫、例えば植物線虫の防除に使用することができる。組成物は、あらゆる建物または屋内もしくは屋外の領域において所望の害虫に適用するのに適した、当分野で知られている任意のタイプであることができる。これらの組成物は、以下に記載する1つまたはそれ以上の他の適合しうる成分と組み合わせまたは会合において活性成分として本発明の少なくとも1つの化合物を含有する。成分は、意図する使用に適した、例えば固体もしくは液体担体、または希釈剤、補助剤、表面活性剤等であり、そして上記の成分は作物栽培学上または医薬として許容しうる。これらの組成物は、当分野で知られているいずれかの方法によって製造することができ、同様に、本発明の一部を構成する。
【0129】
商業的に入手可能な製剤におけるおよびこれらの製剤から調合される使用形態における本発明の化合物は、他の活性物質、例えば殺虫剤、誘引物質、殺菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺真菌剤、成長調整物質または除草剤との混合物中に存在することができる。
【0130】
農薬には、例えばリン酸エステル、カルバメート、カルボン酸エステル、ホルムアミジン、スズ化合物および微生物によって産生される物質が含まれる。
【0131】
混合物中の好ましい成分は、以下の通りである。
【0132】
1.リン化合物の群からは、アセフェート、アザメチホス、アジンホス−エチル、アジンホス−メチル、ブロモホス、ブロモホス−エチル、カズサホス(F−67825)、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルメホス、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、デメトン、デメトン−S−メチル、デメトン−S−メチルスルホン、ジアリホス、ジアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルフォトン、EPN、エチオン、エトプロホス、エトリムホス、ファンファ、フェナミホス、フェニトリオチオン、フェンスルホチオン、フェンチオン、フルピラゾホス、フォノホス、ホルモチオン、ホスチアゼート、ヘプテノホス、イサゾホス、イソチオエート、イソキサチオン、マラチオン、メタクリホス、メタミドホス、メチダチオン、サリチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オメトエート、オキシデメトン−メチル、パラチオン、パラチオン−メチル、フェントアート、ホレート、ホサロン、ホスホラン、ホスホカルブ(BAS−301)、ホスメト、ホスファミドン、ホキシム、ピリミホス、ピリミホス−エチル、ピリミホス−メチル、プロフェノホス、プロパホス、プロエタミホス(proetamphos)、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダペンチオン、キナルホス、スルプロホス、テメホス、テルブホス、テブリムホス、テトラクロルビンホス、チオメトン、トリアゾホス、トリクロルホン、バミドチオン;
【0133】
2.カルバメートの群からは、アラニカルブ(OK−135)、アルジカルブ、2−sec−ブチルフェニルメチルカルバメート(BPMC)、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、クロエトカルブ、ベンフラカルブ、エチオフェンカルブ、フラチオカルブ、HCN−801、イソプロカルブ、メトミル、5−メチル−m−クメニルブチリル(メチル)
カルバメート、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキサー、チオジカルブ、チオファノックス、1−メチルチオ(エチリデンアミノ)−N−メチル−N−(モルホリノチオ)カルバメート(UC51717)、トリアザメート;
【0134】
3.カルボン酸エステルの群からは、アクリナトリン、アレスリン、アルファメトリン、5−ベンジル−3−フリルメチル(E)−(1R)−シス−2,2−ジメチル−3−(2−オキソチオラン−3−イリデンメチル)シクロプロパンカルボキレート、ベータ−シフルトリン、アルファ−シペルメトリン、ベータ−シペルメトリン、ビオアレトリン、ビオアレトリン((S)−シクロペンチル異性体)、ビオレスメトリン、ビフェントリン、(RS)−1−シアノ−1−(6−フェノキシ−2−ピリジル)メチル(1RS)−トランス−3−(4−tert−ブチルフェニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(NCI 85193)、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シチトリン(cythithrin)、シペルメトリン、シフェノトリン、デルタメトリン、エンペントリン、エスフェンバレレート、フェンフルトリン、フェンプロパトリン、フェンバレート、フルシトリネート、フルメトリン、フルバリネート(D異性体)、イミプロトリン(S−41311)、ランブダ−シハロトリン、ペルメトリン、フェノトリン((R)異性体)、プラレトリン、ピレトリン(天然生成物)、レスメトリン、テフルトリン、テトラメトリン、シータ−シペルメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、ゼータ−シペルメトリン(F−56701);
4.アミジンの群からは、アミトラズ、クロルジメホルム;
5.スズ化合物の群からは、シヘキサチン、フェンブタチンオキシド;
【0135】
6. 他の群、アバメクチン、ABG−9008、アセタミピリド、アセキノシル、Anagrapha falcitera、AKD−1022、AKD−3059、ANS−118、アザジラクチン、Bacillus thuringiensis、Beauveria bassianea、ベンスルタップ、ビフェナゼート、ビナプアクリル、BJL−932、ブロモプロピレート、BTG−504、BTG−505、ブプロフェジン、カンフェクロル、カルタップ、クロロベンジレート、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、2−(4−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルチオフェン(UBI−T930)、クロルフェンテジン、クロルプロキシフェン、クロマフェノジド、クロチアニジン、2−ナフチルメチルシクロプロパンカルボキシレート(Ro12−0470)、シロマジン、ジアクロデン(チアメトキサム)、ジアフェンチウロン、DBI−3204、エチル2−クロロ−N−(3,5−ジクロロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロピルオキシ)フェニル)カルバモイル)−2−カルボキシミデート、DDT、ジコホール、ジフルベンズロン、N−(2,3−ジヒドロ−3−メチル−1,3−チアゾール−2−イリデン)−2,4−キシリジン、ジヒドロキシメチルジヒドロキシピロリジン、ジノブトン、ジノカップ、ジオフェノラン、エマメクチンベンゾエート、エンドスルファン、エチプロール(スルフェチプロール)、エトフェンプロックス、エトキサゾール、フェナザキン、フェノキシカルブ、フィプロニル、フルアズロン、フルミット(フルフェンジン、SZ1−121)、2−フルオロ−5−(4−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−ペンチル)ジフェニルエーテル(MTI 800)、顆粒病および核多角体病ウイルス、フェンプロキシメート、フェンチオカルブ、フルアクリピリム、フルベンジミン、フルブロシトリネート、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、フルフェンジン、フルフェンプロクス、フルプロキシフェン、ガンマ−HCH、ハルフェノジド、ハロフェンプロクス、ヘキサフルムロン(DE 473)、ヘキシチアジアゾクス、HOI−9004、ヒドラメチルノン(AC 217300)、IKI−220、インドキサカルブ、イベルメクチン、L−14165、イミダクロピリド、インドキサカルブ(DPX−MP062)、カネミット(AKD−2023)、ルフェヌロン、M−020、M−020、メトキシフェノジド、ミルベメクチン、NC−196、ネームガード(neemgard)、ニジノテルフラン、ニテンピラム、2−ニトロメチル−4,5−ジヒドロ−6H−チアジン(DS 52618)、2−ニトロメチル−3,4−ジヒドロチアゾール(SD 35651)、2−ニトロメチレン−1,2−チアジナン−3−イルカルバムアルデヒド(WL 108477)、ノバルロン、ピリダリル、プロパルギット、プロトリフェンブト(protrifenbute)、ピメトロジン、ピリダベン、ピリミジフェン、ピリプロキシフェン、NC−196、NC−1111、NNI−9768、ノバルロン(MCW−275)、OK−9701、OK−9601、OK−9602、OK−9802、R−195、RH−0345、RH−2485、RYI−210、S−1283、S−1833、SI−8601、シラフルオフェン、シロマジン(CG−177)、スピノサッド、スピロジクロフェン、SU−9118、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルベンズロン、テトラジホン、テトラスル、チアクロピリド、チオシクラム、チアメトキサム、トルフェンピラド、トリアザメート、トリエトキシスピノシンA、トリフルムロン、ベルブチン、バータレック(マイコタール)、YI−5301。
【0136】
組み合わせのための上記成分は、知られている活性物質であり、これらの多くは、Ch.R
Worthing, S.B. Walker, The Pesticide Manual, 12th Edition, British Crop Protection Council, Farnham 2000に記載されている。
【0137】
本発明に使用される化合物の有効使用の用量は、特に、例えばこれらの害虫のいる作物について、排除すべき害虫の性質または発生の程度に応じて広い範囲内で変化することができる。一般に、本発明の組成物は、通常、1つまたはそれ以上の本発明の活性成分約0.05〜約95%(重量による)、1つまたはそれ以上の固体または液体担体約1〜約95%、および場合により1つまたはそれ以上の他の適合しうる成分、例えば表面活性剤等約0.1〜約50%を含有する。これに関して、用語「担体」は、活性成分と組み合わせて、例えば植物、種子または土壌への適用を容易にする天然または合成の有機または無機の成分を表す。従って、この担体は、一般に不活性であり、そして許容されなければならない(例えば、特に処理した植物に対して作物栽培学上許容しうる)。
【0138】
担体は、固形物、例えば、クレー、天然または合成シリケート、シリカ、樹脂、ロウ、固形肥料(例えばアンモニウム塩)、粉砕された天然鉱物、例えばカオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイトまたは珪藻土、または粉砕された合成鉱物、例えばシリカ、アルミナまたはシリケート、特にアルミニウムまたはケイ酸マグネシウムであってもよい。粒剤用の固形担体としては、以下:圧砕されたまたは分別された天然の岩石、例えば方解石、大理石、軽石、海泡石および苦灰石;無機のまたは有機ミールの合成顆粒;有機物質の顆粒、例えばおがくず、ココナツシェル、トウモロコシの穂軸、トウモロコシ外皮またはタバコ茎;珪藻土、リン酸三カルシウム、粉末状のコルクまたは吸収性カーボンブラック;水溶性ポリマー、樹脂、ロウ;または固形肥料が適切である。このような固形組成物は、所望により、1つまたはそれ以上の適合しうる湿潤剤、分散剤、乳化剤または着色剤を含有し、これらは、固体の場合、希釈剤としても作用することができる。
【0139】
また、担体は、液体、例えば水;アルコール、特にブタノールまたはグリコールだけでなく、それらのエーテルまたはエステル、特にメチルグリコールアセテート;ケトン、特にアセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンまたはイソホロン;石油留分、例えばパラフィン系または芳香族炭化水素、特にキシレンまたはアルキルナフタレン;鉱物または植物油;脂肪族塩素化炭化水素、特にトリクロロエタンまたは塩化メチレン;芳香族塩素化炭化水素、特にクロロベンゼン;水溶性または強い極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはN−メチルピロリドン;液化ガス;等またはそれらの混合物であってもよい。
【0140】
表面活性剤は、イオン性または非イオン性のタイプの乳化剤、分散剤または湿潤剤またはこのような表面活性剤の混合物であることができる。これらの中には、例えば、ポリアクリル酸の塩、リグニンスルホン酸の塩、フェノールスルホン酸もしくはナフタレンスル
ホン酸の塩、エチレンオキシドと脂肪族アルコールもしくは脂肪酸もしくは脂肪酸エステルもしくは脂肪族アミンとの多縮合物、置換されたフェノール(特にアルキルフェノールまたはアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(特にアルキルタウレート)、アルコールのリン酸エステルまたはエチレンオキシドとフェノールとの多縮合物のリン酸エステル、脂肪酸とポリオールとのエステル、または上記の化合物の硫酸、スルホン酸もしくはリン酸官能性誘導体がある。
【0141】
一般に、活性成分および/または不活性担体の水溶性が僅かである、または水溶性でない場合、少なくとも1つの表面活性剤の存在が必須であり、適用するための組成物の担体物質は、水である。本発明の組成物は、別の添加剤、例えば接着剤または着色剤を更に含有することができる。接着剤、例えばカルボキシメチルセルロースまたは粉末、顆粒または格子の形態の天然または合成ポリマー、例えばアラビアゴム、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアセテート、天然リン脂質、例えばケファリンまたはレシチン、または合成リン脂質を製剤に使用することができる。着色剤、例えば無機顔料、例えば:酸化鉄、酸化チタンまたはペルシャンブルー;有機染料、例えばアリザリン染料、アゾ染料または金属フタロシアニン染料;または微量栄養素、例えば鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデンまたは亜鉛の塩を使用することができる。
【0142】
従って、それらの農業用途では、本発明の化合物は、一般に種々の固体または液体形態にある組成物の形態である。使用することができる組成物の固体形態は、粉剤(80%までの範囲の本発明の化合物の含量を有する)、水和剤または粒剤(顆粒水和剤を含む)、特に粒状担体の押出し、成形、含浸または粉末から出発して造粒によって得たもの(これらの水和剤または粒剤中の本発明の化合物の含量は、約0.5〜約80%の間である)であることができる。1つまたはそれ以上の本発明の化合物を含有する固体の均質または不均質の組成物、例えば粒剤、ペレット、ブリケットまたはカプセル剤は、一定期間にわたって静置水または流水を処理するために使用することができる。同様の効果は、本明細書に記載された水分散性濃縮物を少しずつまたは断続的に供給して得ることができる。
【0143】
液体組成物には、例えば水性または非水性の液剤または懸濁剤(例えば乳剤、エマルション、フロアブル、ディスパージョンまたは液剤)またはエアゾル剤が含まれる。また、液体組成物には、特に、乳剤、ディスパージョン、エマルション、フロアブル、エアゾル剤、水和剤(または散布用粉末)、ドライフロアブルまたはペーストが含まれ、組成物の形態は、例えば水性散布剤(低および超低体積を含む)または噴霧剤またはエアゾル剤として適用する場合、液体であるかまたは適用した時に液体組成物を形成するものである。
【0144】
液体組成物、例えば乳化性または可溶性濃縮物の形態のものは、活性成分約5〜約80重量%を含むことが最も多く、その一方で即時適用されるエマルションまたは液剤は、この場合、活性成分約0.01〜約20%を含む。乳化性または可溶性の濃縮物は、溶媒の他に、必要に応じて約2〜約50%の適切な添加剤、例えば安定剤、表面活性剤、浸透剤、腐食抑制剤、着色剤または接着剤を含有することができる、例えば植物への適用に特に適した任意の必要な濃度のエマルションは、これらの濃縮物から水で希釈することによって得ることができる。これらの組成物は、本発明で使用することができる組成物の範囲内に含まれる。エマルションは、油中水型または水中油型の形態をとることができ、それらは濃厚な粘稠度を有しうる。
【0145】
本発明の液体組成物は、通常の農業の使用用途に加えて、例えば節足動物(または本発明の化合物によって防除される別の害虫)がはびこるまたは発生しやすいところまたは部位、例えば建物、屋外もしくは屋内の保存もしくは処理領域、容器もしくは装置または静置水もしくは流水を処理するのに使用される。
【0146】
全てのこれらの水性ディスパージョンまたはエマルションまたは散布混合物は、例えば、なんらかの適切な手段、主に散布によって、一般に1ヘクタール当たり散布混合物約100〜約1,200リットルのオーダーであるが、必要に応じてまたは適用技術に応じてそれより高いまたはそれより低い(例えば、低または超低体積)比率で作物に適用することができる。本発明の化合物または組成物は、植生、そして特に排除すべき害虫のいる根または葉に適用するのが好都合である。本発明の化合物または組成物の別の適用方法は、ケミゲーション、すなわち活性成分を含有する製剤を灌漑水に添加することである。この潅漑は、葉面農薬用のスプリンクラー潅漑であってもよいし、または土壌用または浸透性農薬用の地上潅漑または地下潅漑であってもよい。
【0147】
散布によって適用することができる濃縮された懸濁製剤は、沈降しない(微粉砕)安定な流動性の生成物となるように製造され、通常、活性成分約10〜約75重量%、表面活性剤約0.5〜約30%、チクソトロピック剤約0.1〜約10%、適切な添加剤、例えば消泡剤、腐食抑制剤、安定剤、浸透剤、接着剤約0〜約30%および担体として水または活性成分があまり可溶性でないまたは不溶性である有機液体を含有する。いくつかの有機固形物または無機塩は、沈降防止を助ける担体中にまたは水については不凍剤として溶解することができる。
【0148】
水和剤(すなわち散布用粉末)は、通常、活性成分約10〜約80重量%、固形担体約20〜約90%、湿潤剤約0〜約5%、分散剤約3〜約10%および必要に応じて1つまたはそれ以上の安定剤および/または別の添加剤、例えば浸透剤、接着剤、固化防止剤、着色剤等約0〜約80%を含有するように製造される。この水和剤を得るには、適切な配合機中で活性成分をさらなる物質と完全に混合し、これを多孔性の充填剤上で含浸させてミルまたは他の適切な粉砕機を使用して粉砕する。これにより湿潤性および懸濁性が好都合な水和剤が製造される。これは水中に懸濁して任意の所望の濃度にすることができ、この懸濁液は、特に植物の葉に適用するのに非常に都合よく使用することができる。
【0149】
「顆粒水和剤(WG)」(水中に容易に分散する粒剤)は、実質的に水和剤のものに近い組成を有する。これは、湿式経路(微粉砕された活性成分を不活性充填剤および少量の水、例えば1〜20重量%、または分散剤または結合剤の水性溶液と接触させ、続いて乾燥およびスクリーニングする)、または乾式経路(粉砕した後、成形してスクリーニングする)のいずれかによって水和剤に記載された製剤の造粒によって製造することができる。
【0150】
処方した組成物の比率および濃度は、適用方法または組成物の性質またはその使用によって変化しうる。一般的に、節足動物または植物線虫の害虫の防除に適用する組成物は、通常、1つまたはそれ以上の本発明の化合物または全活性成分(すなわち本発明の化合物、節足動物または植物線虫に対して毒性の他の物質、相乗剤、微量元素または安定剤)約0.00001重量%〜約95重量%、より詳しくは約0.0005%〜約50重量%を含有する。使用する実際の組成物およびその適用比率は、農民、家畜生産者、医学または獣医学従事者、害虫防除オペレータまたは他の当業者によって所望の効果が得られるように選ばれる。
【0151】
動物、木材、保存生産物または家財道具に局所適用するための固体または液体組成物は、通常、1つまたはそれ以上の本発明の化合物約0.00005重量%〜約90重量%、より詳しくは約0.001重量%〜約10重量%を含有する。経皮的な固体または液体組成物を含めた、動物への経口的にまたは非経口的に投与では、これは、通常、1つまたはそれ以上の本発明の化合物約0.1重量%〜約90重量%を含有する。医薬飼料は、通常、1つまたはそれ以上の本発明の化合物約0.001重量%〜約3重量%を含有する。飼料と混合するための濃縮物または補助食品は、1つまたはそれ以上の本発明の化合物約5重量%〜約90重量%、好ましくは約5重量%〜約50重量%を含有する。家畜用岩塩は、通常、1つまたはそれ以上の式(I)の化合物またはその農薬上許容しうる塩約0.1重量%〜約10重量%を含有する。家畜、商品、建物または屋外領域へ適用するための粉剤または液体組成物は、1つまたはそれ以上の本発明の化合物約0.0001重量%〜約15重量%、より詳しくは約0.005重量%〜約2.0重量%を含有することができる。処理水中の適切な濃度は、1つまたはそれ以上の本発明の化合物約0.0001ppm〜約20ppm、より詳しくは約0.001ppm〜約5.0ppmの間であり、適当な曝露時間で魚の養殖において治療上使用することができる。食用の餌は、1つまたはそれ以上の本発明の化合物約0.01重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜約1.0重量%を含有することができる。
【0152】
非経口的に、経口的にまたは経皮的にまたは別の手段によって脊椎動物に投与する場合、本発明の化合物の用量は、脊椎動物の種、年齢または健康および節足動物または蠕虫の害虫が実際に発生するまたは発生する可能性の性質および程度に左右される。経口または非経口投与による持続薬物療法では、動物体重1kg当たり約0.1〜約100mg、好ましくは約2.0〜約20.0mgの一用量または1日当たり動物体重1kg当たり約0.01〜約20.0mg、好ましくは約0.1〜約5.0mgの用量が、一般に適切である。持続放出製剤またはデバイスを用いて、数ヶ月にわたって必要な日用量を合わせて1回で動物に投与することができる。
【0153】
以下の組成物実施例2A−2Mは、 節足動物、特にハダニまたは昆虫または植物線虫に使用するための活性成分として、本発明の化合物、例えば製造実施例に記載されたものを含んでなる組成物を説明する。実施例2A−2Mに記載された組成物は、それぞれ希釈して畑に使用するための適切な濃度で散布組成物を得ることができる。以下に説明する組成物実施例2A−2Mで使用する成分(これについて、以下のパーセンテージのすべては重量パーセントである)の一般的な化学的説明は、次の通りである:
商品名 化学的説明
Ethylan BCP ノニルフェノールエチレンオキシド縮合物
Soprophor BSU トリスチリルフェノールエチレンオキシド縮合物
Arylan CA ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム70%w/v溶液
Solvesso 150 軽いC10芳香族溶媒
Arylan S ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
Darvan NO2 ナトリウムリグノスルホネート
Celite PF 合成ケイ酸マグネシウム担体
Sopropon T36 ポリカルボン酸のナトリウム塩
Rhodigel 23 多糖類キサンタンガム
Bentone 38 マグネシウムモンモリロナイトの有機誘導体
Aerosil 微細二酸化ケイ素
【0154】
実施例2A
水溶性濃縮物を、次のような組成で製造した:
活性成分 7%
Ethylan BCP 10%
N−メチルピロリドン 83%
N−メチルピロリドンの一部に溶解したEthylan BCPの溶液に、溶解するまで加熱および撹拌しながら活性成分を加えた。生成した溶液を溶媒の残りを用いて体積を構成した。
【0155】
実施例2B
乳剤(EC)は、次のような組成で製造した:
活性成分 25%(最大)
Soprophor BSU 10%
Arylan CA 5%
N−メチルピロリドン 50%
Solvesso 150 10%
最初の3つの成分をN−メチルピロリドン中に溶解し、次いで、これにSolvesso 150を添加して最終的な体積にした。
【0156】
実施例2C
水和剤(WP)は、次のような組成で製造した:
活性成分 40%
Arylan S 2%
Darvan NO2 5%
Celite PF 53%
成分を混合し、ハンマーミル中で粉砕して50ミクロン未満の粒径を有する粉末にした。
【0157】
実施例2D
水性フロアブル製剤は、次のような組成で製造した:
活性成分 40.00%
Ethylan BCP 1.00%
Sopropon T360 0.20%
エチレングリコール 5.00%
Rhodigel 230 0.15%
水 53.65%
成分をよく混合し、3ミクロン未満のの平均粒径が得られるまでビーズミル中で粉砕した。
【0158】
実施例2E
乳化性懸濁製剤は、次のような組成で製造した:
活性成分 30.0%
Ethylan BCP 10.0%
Bentone 38 0.5%
Solvesso 150 59.5%
成分をよく混合し、3ミクロン未満の平均粒径が得られるまでビーズミル中で粉砕した。
【0159】
実施例2F
水分散性粒剤は、次のような組成で製造した:
活性成分 30%
Darvan No.2 15%
Arylan S 8%
Celite PF 47%
成分を混合し、流体エネルギーミル中で微粉砕し、次いで、水(10%まで)で噴霧することによって回転ペレタイザー中で造粒した。生成した粒剤は、流動床乾燥機中で乾燥させて過剰の水を除去した。
【0160】
実施例2G
粉剤は、次のような組成で製造した:
活性成分 1〜10%
タルク粉末−超微細 99〜90%
成分をよく混合し、必要に応じてさらに粉砕して微細な粉末を得た。この粉末は、節足
動物の発生場所、例えばごみ処理場、保存生産物または家財道具または経口摂取によって節足動物を防除するすることができる、節足動物が発生するまたは発生する危険性のある動物に適用することができる。粉剤を節足動物の発生場所に分散させるのに適切な手段は、機械的ブロワ、ハンドシェーカーまたは家畜セルフトリートメントデバイスが含まれる。
【0161】
実施例2H
食用の餌は、次のような組成で製造した:
活性成分 0.1〜1.0%
コムギ粉 80%
糖蜜 19.9〜19%
成分をよく混合し、必要に応じて成形して餌の形態にした。この食用の餌は、節足動物、例えばアリ、イナゴ、ゴキブリまたはハエがはびこる場所、例えば家屋または産業上の建物、例えば台所、病院または店または屋外領域に分配して、経口摂取によって節足動物を防除することができる。
【0162】
実施例2I
液剤製剤は、次のような組成で製造した:
活性成分 15%
ジメチルスルホキシド 85%
活性成分をジメチルスルホキシド中に溶解し、混合しそしてまたは必要に応じて加熱した。この液剤は、節足動物がはびこる飼われた動物にpour−on適用として経皮的にまたは四フッ化エチレン樹脂膜(0.22マイクロメータ細孔径)を通して濾過して滅菌した後、動物体重100kg当たり1.2〜12mlの液剤の適用比率で非経口注射によって適用することができる。
【0163】
実施例2J
水和剤は、次のような組成で製造した:
活性成分 50%
Ethylan BCP 5%
Aerosil 5%
Celite PF 40%
Ethylan BCPをAerosil上へ吸収させ、次いでこれを他の成分と混合し、ハンマーミル中で粉砕して水和剤を得、これを水で希釈して活性化合物0.001%〜2重量%の濃度にし、節足動物、例えば双翅目の幼虫または植物線虫が発生する場所に散布することによって、または節足動物がはびこるまたは感染の危険性がある飼われた動物に散布または浸漬することによって、または飲用水で経口投与することによって、適用して節足動物を防除することができる。
【0164】
実施例2K
遅延放出ボーラス組成物は、必要に応じてパーセンテージを変化させて以下の成分を含有する粒剤から形成した(前の組成物について記載したものと同様に):
活性成分
稠密化剤(Density agent)
遅延放出剤
結合剤
よく混合した成分を成形して粒剤にしこれを2またはそれ以上の比重を有するボーラスに圧縮した。これを、反芻類の飼われた動物に経口投与し、反芻胃内に保持され長時間にわたって活性化合物が継続的に遅延放出され、反芻類の飼われた動物で節足動物が発生するのを防除することができる。
【0165】
実施例2L
粒剤、ペレット、ブリケット等の形態の遅延放出組成物は、次のような組成で製造することができる:
活性成分 0.5〜25%
ポリ塩化ビニル 75〜99.5%
フタル酸ジオクチル(可塑剤)
成分を混合し、次いで溶融押出しまたは成型によって適切な形状に成形した。これらの組成物は、例えば放置水に添加する、または飼われた動物に付けるカラーまたは耳タグ中へ加工して遅延放出によって害虫を防除するのに有用である。
【0166】
実施例2M
顆粒水和剤は、次のような組成で製造した:
活性成分 85%(最大)
ポリビニルピロリドン 5%
アタパルジャイトクレー 6%
ラウリル硫酸ナトリウム 2%
グリセリン 2%
成分を、水で45%スラリーとして混合し、湿式ミルして4ミクロンの粒径にし、次いで噴霧乾燥させて水を除去した。
【0167】
農薬の使用方法
本発明の化合物を使用して、以下の代表的な試験方法を実施して、本発明の化合物の殺寄生虫および農薬活性を測定した。
【0168】
方法A:Ctenocephalides felis(ネコノミ)に対する化合物の系統性を試験するためのスクリーニング方法
試験容器にCtenocephalides felisの10匹の成虫を入れた。ガラス円筒の一端をパラフィルムで閉じ、試験容器の上に置いた。次いで、試験化合物の溶液をウシの血液中へピペットで移し、ガラス円筒に添加した。処理したCtenocephalides felisを、この人工のイヌ試験中に保持し(血液37℃,相対湿度40−60%;Ctenocephalides felis 20−22℃,相対湿度40−60%)適用後、24および48時間で評価を行った。化合物番号2−22、3−04、3−35、4−20、5−95、5−113、7−13、7−34、7−40、7−73、7−85、7−79は、5ppm以下の試験濃度でCtenocephalides felisの少なくとも90%防除を示した。
【0169】
方法B:Diabrotica undecimpunctata (southern corn rootworm)スクリーン
適用前2日に、トウモロコシの種子を温暖条件下で水中に浸漬して急速に発芽を誘発させた。適用前1日に、Diabrotica undecimpunctataの卵をプラスチックのペトリ皿中に置いた日本製ろ紙の半分へ移した。その後、発芽したトウモロコシ種子をろ紙のそばの湿ったパッド上に置いた。試験化合物の溶液200μlの3滴を注意深くピペットで卵上へ移した。溶液の残りをトウモロコシ上に置き、次いでペトリ皿を密閉した。ペトリ皿中の処理された卵を人工気候室中で6日間保持した。化合物の有効性(非処理の対照と比較した死んだ卵および/または幼虫のパーセンテージ)を適用後6日に双眼顕微鏡を用いて評価した。化合物番号1−02、1−05、1−16、1−20、1−88、3−20および3−35は、10ppmの試験濃度で、Diabrotica undecimpunctataの少なくとも90%防除を示した。
【0170】
方法C:Nephotettix Cinciceps(イネヨコバイ)スクリーン
8cmの茎長を有する12のイネ植物の葉を、処方した試験化合物の水性溶液中に5秒間浸漬した。溶液が流れ落ちた後、このように処理したイネをペトリ皿中に置き、Nephotettix cincticepsの幼虫(t−3段階)約20匹を棲息させた。ペトリ皿を密閉し、それから、人工気候室中で保存した(16時間照光/日,25℃,相対湿度40〜60%)。保存6日後、ヨコバイ幼虫のパーセンテージ死亡率を測定した。化合物番号1−20は、100ppmの試験濃度で、Nephotettix cinciceps幼虫の少なくとも98%の死亡率を示した。
【0171】
方法D:Ctenocephalides felis(ネコノミ)に対する接触活性を試験するためのスクリーニング法
試験化合物の溶液をろ紙に落とし、乾燥させて試験管中にろ紙を置き、Ctenocephalides felisの成虫10匹を棲息させた。処理されたCtenocephalides felisを人工気候室(26℃、80%RH)中に保持し、適用後24時間および48時間で非処理対照と比較して有効性のパーセンテージを評価した。化合物番号3−35、7−13、7−34は、1000ppmの試験濃度で、Ctenocephalides felisの少なくとも70%の接触防除を示した。
【0172】
方法E:Rhipicephalus sanguineus(Brown dog tick)に対する接触活性を試験するためのスクリーニング法
試験化合物の溶液をろ紙上へ落とし、乾燥させて試験管中にろ紙を置き、Rhipicephalus sanguineusの幼虫(L1)20〜30匹を棲息させてクリップで管を密閉した。処理されたRhipicephalus sanguineusを、人工気候室(25℃,90%RH)中に保持し、有効性のパーセンテージを、非処理対照と比較して適用後24時間で評価した。化合物番号3−04、3−35、7−13、7−34は、100ppmの試験濃度で、Rhipicephalus sanguineusの少なくとも70%の接触防除を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物またはその農薬上許容しうる塩。
式中:
1は、(C1−C6)−ハロアルキル、CN、NO2またはハロゲンであり;
2は、H、ハロゲンまたはCH3であり;
3は、(C1−C3)−ハロアルキル、(C1−C3)−ハロアルコキシまたはS(O)p−(C1−C3)−ハロアルキルであり;
Wは、NまたはC−R4であり;
4は、ハロゲンまたはCH3であり;
Aは、(C2−C6)−アルキレンまたは(C2−C6)−ハロアルキレンであるか;
または(C3−C6)−アルキレンであり、ここにおいて鎖中の炭素は、O、S、SO、SO2またはNR8によって置き換えられているが、置き換える基は、隣接したR5またはカルボニル基に結合しておらず;または(C2−C6)−アルケニレンまたは(C2−C6)−ハロアルケニレンであるか;または−[(C1−C3)−アルキル]r−アリール−[(C1−C3)−アルキル]s−、または−[(C1−C3)−アルキル]r−ヘテロシクリル−[(C1−C3)−アルキル]s−、または−[(C1−C3)−アルキル]r−(C3−C6)−シクロアルキル−[(C1−C3)−アルキル]s−、または−[(C1−C3)−アルキル]r−(C5−C6)−シクロアルケニル−[(C1−C3)−アルキル]s−であり、ここにおいて最後に記載された4個の基、アリール、ヘテロシクリル、シクロアルキルおよびシクロアルケニルは、非置換であるか、またはハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−ハロアルコキシ、OR11、CN、NO2、S(O)p10、COR10、COOR10、CONR910、SO2NR910、NR910、OH、SO3Hおよび(C1−C6)−アルキリデンイミノからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されおり;
mが0または1である場合、R5はCONR910またはCO210であるか;または、mが1である場合、R5はNR917であり;
6は、(C1−C3)−アルキルまたは(C1−C3)−ハロアルキルであり;
7は、H、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−ハロアルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C2−C6)−ハロアルキニル、(C3−C7)−シクロアルキル、COR11、COR12、COR13、−CO2−(C1−C6)−アルキル、−CO2−(CH2)q11、−CO2−(CH2)q13、−CO2−(C3−C7)−シクロアルキル、−CO2−(C1−C6)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキル、CO−(C2−C6)−アルケニル、−CH211またはCH213;または非置換もしくはハロゲン、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−ハロアルコキシ、(C3−C7)−シクロアルキル、S(O)p14、CO2−(C1−C6)−アルキル、−O(C=O)−(C1−C6)−アルキル、NR910、CONR910、SO2NR910
OH、CN、NO2、OR11、OR13、NR10COR9、NR10SO214およびCOR12からなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換された(C1−C6)−アルキルであり;
8は、R9、CO−R9、CO−R11、CO212またはアミノによって置換されたCO−(C1−C6)−アルキルであり;
9は、H、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−ハロアルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C2−C6)−ハロアルキニル、(C3−C7)−シクロアルキルまたは−(C1−C6)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキルであり;
10は、R9、−[(C1−C6)−アルキル]q−R11、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル−、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル−または(C1−C3)−アルキル−S(O)p−(C1−C3)−アルキル−であるか;また

9およびR10もしくはR9およびR17は、それぞれ結合したN原子と一緒になって環中にO、SおよびNから選ばれるさらなるヘテロ原子を場合により含有する4〜7員飽和環を形成し、該環は、非置換であるか、またはハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキルおよびCO2−(C1−C6)−アルキルからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されており;
11は、非置換またはハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−ハロアルコキシ、OR16、CN、NO2、S(O)p12、COR9、COOH、COOR12、CONR915、SO2NR915、NR915、OH、SO3Hおよび(C1−C6)−アルキリデンイミノからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであり;
12は、(C1−C6)−アルキルまたは(C1−C6)−ハロアルキルであり;
13は、非置換またはハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−ハロアルキル、(C1−C4)−アルコキシ、S(O)p12、OHおよびオキソからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換された複素環であり;
14は、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキルまたは−(C1−C6)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキルであり;
15は、H、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C3−C7)−シクロアルキルまたは−(C1−C6)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキルであり;
16は、非置換またはハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)−ハロアルコキシ、CN、NO2、S(O)p12、COR15、COOH、COOR12、CONR915、SO2NR915、NR915およびOHからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであり;
17は、R10、CO2(C1−C6)−アルキル、−CH2CO2(C1−C6)−アルキル、CO2CH218またはCO(C1−C6)−アルキルであり;
18は、非置換またはハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキルおよび(C1−C6)−アルコキシからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであり;
nおよびpは、それぞれ独立して0、1または2であり;
mおよびqは、それぞれ独立して0または1であり;
rおよびsは、それぞれ独立して0または1であり;そして
上述した基中のそれぞれの複素環は、独立して3〜7個の環原子ならびに環中にN、0およびSからなる群より選ばれる1、2または3個のヘテロ原子を有する複素環式基である。
【請求項2】
10は、R9、−[(C1−C6)−アルキル]q−R11、(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル−または(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルコキシ−(C1−C3)−アルキル−であり;
17は、R10、CO2(C1−C6)−アルキル、CO2CH218またはCO(C1−C6)−アルキルであり;そして他の意味は、式(I)において定義された通りであるものである、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
1は、CNである、請求項1または2に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
2は、Clである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
3は、CF3である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
Aは、(C1−C6)−アルキレンであるか;または鎖中の炭素がO、S、SO、SO2
たはNR8によって置き換えられた(C1−C6)−アルキレンであるが、但し、置き換える基は、隣接したR5またはカルボニル基に結合しておらず;または非置換もしくはハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−ハロアルキル、(C1−C4)−アルコキシ、CNおよびNO2からなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであるか;または非置換もしくはハロゲン、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−ハロアルキルおよび(C1−C4)−アルコキシからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたピリジルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
6は、CF3である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項8】
1は、CNであり;
2は、Clであり;
3は、CF3であり;
Wは、CR4であり、そしてR4は、Clであり;
Aは、(C1−C6)−アルキレンであるか;または鎖中の炭素がO、S、SO、SO2またはNR8によって置き換えられた(C1−C6)−アルキレンであるが、但し、置き換える基は、隣接したR5またはカルボニル基に結合しておらず;または非置換もしくはハロゲン、(C1−C2)−アルキル、(C1−C2)−ハロアルキル、(C1−C2)−アルコキシ、CNおよびNO2からなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであるか;または非置換もしくはハロゲン、(C1−C2)−アルキル、(C1−C2)−ハロアルキルおよび(C1−C2)−アルコキシからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたピリジルであり;
mが0または1である場合、R5は、CONR910またはCO210であるか;または、mが1である場合、R5は、NR917であり;
6は、(C1−C2)−アルキルまたは(C1−C2)−ハロアルキルであり;
7は、水素または(C1−C2)−アルキルであり;
8は、R9、CO−R9またはCO−R12であり;
9は、Hまたは(C1−C6)−アルキルであり;
10は、H、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−ハロアルキル、(C2−C6)−アルケニル、(C2−C6)−ハロアルケニル、(C2−C6)−アルキニル、(C2−C6)−ハロアルキニル、(C3−C7)−シクロアルキル、−(C1−C6)−アルキル−(C3−C7)−シクロアルキルまたは−(CH2)q11であるか;または
9およびR10は、結合しているN原子と一緒になって環中にO、SおよびNから選ばれるさらなるヘテロ原子を場合により含有する5または6員飽和環を形成し、該環は、非置換であるか、またはハロゲンおよび(C1−C2)−アルキルからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されており;
11は、非置換またはハロゲン、(C1−C2)−アルキル、(C1−C2)−ハロアルキル、(C1−C2)−アルコキシ、CN、NO2、S(O)p12およびNR915からなる群より選
ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルであり;
12は、(C1−C2)−アルキルまたは(C1−C2)−ハロアルキルであり;
15は、H、(C1−C2)−アルキルまたは(C1−C2)−ハロアルキルであり;
17は、R10、CO2(C1−C2)−アルキル、CO2CH218またはCO(C1−C2)−アルキルであり;そして
18は、非置換またはハロゲン、(C1−C2)−アルキル、(C1−C2)−ハロアルキルおよび(C1−C2)−アルコキシからなる群より選ばれる1個またはそれ以上の基によって置換されたフェニルである、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項9】
a)R1、R2、R3、R5、R6、R7、W、A、mおよびnは、請求項1に定義された通りである場合、式(II):
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R6、R7、Wおよびnは、請求項1に定義された通りである)の化合物を、式(III):
5−(A)m−CO−L (III)
(式中、R5、Aおよびmは請求項1に定義された通りであり、Lは、脱離基である)の化合物と反応させるか;または
b)R1、R2、R3、R5、R6、W、A、mおよびnは、請求項1に定義された通りであり、そしてR7は、水素を除いて請求項1に定義された通りである場合、対応する式(I)(式中、R7は水素である)の化合物を式(IV):
7−L1 (VI)
(式中、R7は、水素を除いて請求項1に定義された通りであり、そしてL1は、脱離基である)の化合物でアルキル化またはアシル化するか;または
c)R1、R2、R3、R6、R7、W、Aおよびnは、請求項1に定義された通りであり、R5は、NR910であり、そしてmは1である場合、対応する式(V):
【化3】

(式中、R1、R2、R3、R6、R7、A、Wおよびnは、請求項1に定義された通りであり、mは1であり、そしてL2は、脱離基である)の化合物を式(VI):
H−NR910 (VI)
(式中、R9およびR10は、請求項1に定義された通りである)の化合物で求核置換するか;または
d)R1、R2、R3、R5、R6、R7、W、A、L2、mおよびnは、請求項1に定義された通りである場合、式(II)の化合物を、式(VII):
2−(A)m−COCl (VII)
(式中、L2、Aおよびmは、請求項1に定義された通りである)の化合物を使用してアシル化するか;または
e) R1、R2、R3、R5、R6、R7、W、A、L2およびmは、請求項1に定義された通りであり、そしてnは、1または2である場合、対応する化合物(式中、nは0または1である)を酸化し;そして
f)所望により、生成した式(I)の化合物をその農薬上許容しうる塩に転化する;
ことからなる、請求項1〜8のいずれかに定義された式(I)の化合物またはその塩の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に定義された式(I)の化合物またはその農薬上許容しうる塩を、農薬上許容しうる希釈剤または担体および/または表面活性剤と共に含む農薬組成物。
【請求項11】
獣医学上の医薬製造のための、請求項1〜8のいずれか1項記載の式(I)の化合物もしくはその塩または請求項10に記載の組成物の使用。
【請求項12】
害虫防除のための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の式(I)の化合物もしくはその塩または請求項10に記載の組成物の使用。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の式(I)の化合物もしくはその塩または請求項10に記載の組成物の有効量を施用することからなる現場における害虫の防除方法。

【公表番号】特表2006−509004(P2006−509004A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556131(P2004−556131)
【出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012619
【国際公開番号】WO2004/049803
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(502316197)バイエル・クロップサイエンス・ソシエテ・アノニム (3)
【Fターム(参考)】