説明

農薬組成物

【課題】農薬組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、農薬及び再分散性ポリマーを含む農薬組成物、及び、農薬及び再分散性ポリマーを含む農薬組成物を、有害生物又は有害生物の所在箇所に施すことによって、農業有害生物を防除する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬組成物に関する。特に、本発明は、農薬及び再分散性ポリマーを含む農薬組成物に関する。本発明は、また、農薬及び再分散性ポリマーを含む農薬組成物を、有害生物又は有害生物の所在箇所に施すことによって、農業有害生物を防除する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
農業有害生物の防除を目的とする組成物は、典型的には、キャリア液体として水を用いて、農薬を含む組成物を噴霧することによって施される。この理由のために、農薬組成物は、水中で溶解するか又は分散するように意図される配合物として、成長植物に供給される。これらの配合物は、水溶液、または乳剤のような液体配合物であっても、或いは水和剤、または粒状配合物のような固体配合物であってもよい。固体配合物は、コスト、保存性及び包装の廃棄を含めた包装性の見地から、液体配合物を凌ぐ多くの有利性を有している。
【0003】
農薬の生物学的効力は、多くのファクター、特に、しばしば植物の葉の表面である、処理された表面上における農薬の残留時間によって影響を受ける。残留時間に影響を与える主たるファクターは、農薬が雨による洗い流しに抵抗する度合い、即ち耐雨性(rainfastness)である。液体配合物に関しては、耐雨性は、配合物中に、乾燥中に農薬と基材との間の水抵抗性結合を与える成分を含ませるか、又はかかる成分をスプレータンク(タンク混合物)に加えることによって改良することができる。例えば、乳化油又はエマルジョンで調製された水不溶性ポリマーが、液体配合物の耐雨性を改良するために用いられてきた。一つの幅広く用いられている材料は、カルボキシレート化合成ラテックスエマルジョンポリマー、1級脂肪族オキシアルキレートアルコール、及び水を含む配合物である。この材料は、種々の農薬の効力を改良することが示されている。しかしながら、これは液体配合物であるので、固体農薬配合物の一成分として用いることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固体配合物には、液体配合物と比較すると、競合する異なる組の問題が存在する。固体配合物を水中で速やかに分散させるためには、配合物中において耐水性添加剤を用いることはできない。実際、固体配合物がスプレータンク中で分散するように、高レベルの水溶性分散剤が通常必要とされる。乳化油又はエマルジョンで調製された水不溶性ポリマーは、液体配合物と共に又はタンク混合中で用いられているが、別個のタンク混合物添加剤を必要とせずに、固体配合物の耐雨性を改良する問題点に向けた説明はない。これは、乾燥した固体農薬配合物を用いることが望ましい成長植物にとって、不都合であり且つ問題である。乾燥固体配合物は、液体の対応物よりも、より容易に保存し、包装し、輸送することができるので、特に重要である。したがって、固体農薬配合物に適合することのできる添加剤に対する継続した必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、再分散性ポリマー(redispersible polymer)を農薬添加剤として用いることができることを見出した。再分散性ポリマーは、乾燥前に水溶性ポリマーを一緒にした、エマルジョンで調製された水不溶性ポリマーを含む固体組成物である。かかる組成物は、典型的には、噴霧乾燥によって単離され、生成物は再分散性粉末と称される。水溶性ポリマーは、水不溶性ポリマーの再分散のために重要である。これらのポリマーは、固体農薬配合物におけるアジュバントとしてエマルジョンポリマーを用いることに関連する問題点の多くを解決する。更に、これらは、多くの農薬の効力における驚くべき向上、及び雨による洗い流しに対する改良された耐性を与える。
【0006】
而して、本発明は、(a)1以上の農薬;及び(b)(1)エマルジョンで調製された1以上の水不溶性ポリマー;及び(2)1以上の水溶性ポリマー;を含む1以上の再分散性ポリマー;を含む農薬組成物を提供する。
【0007】
本組成物は、更に、水中における農薬の分散性を促進させ、噴霧の表面張力を変え、水不溶性ポリマーの接着を促進させる他の成分を含むことができる。
【0008】
「農薬」という用語は、昆虫、雑草、菌類及び関連する有機物を包含する有害生物を防除することを意図する化学物質を意味する。本発明の目的のためには、農薬は、安定な粒子として観察されるか又は安定な粒子を形成するように変性することができる、他の有害生物を防除することができるウィルス、バクテリア、又は、他の有機物も包含する。農薬は、好ましくは、農薬組成物の5〜90重量%を構成する。本発明組成物の農薬は、純粋な活性成分、活性成分の原体、又は1以上の農学的に許容し得るキャリアと配合した活性成分の形態であってよい。「農学的に許容し得るキャリア」とは、活性成分の有効性を損なうことなく、水中における組成物中の活性成分の分散を促進するのに用いることができ、それ自体、土壌、装置、所望の植物、又は栽培雰囲気に対して大きな悪影響を有しない任意の物質を意味する。粒子の形態の農薬が好ましい。直径0.1〜20ミクロンの範囲の粒子が最も好ましい。
【0009】
「再分散性ポリマー」という用語は、1以上の水不溶性ポリマー及び1以上の水溶性ポリマーを含み、エマルジョンポリマー分散液を乾燥させることによって製造され、水中で速やかに再分散するが、2度目に乾燥すると耐水性のフィルムを形成する自由流動乾燥粉末(free-flowing dry powder)を意味する。再分散性ポリマーは当該技術において周知である。例えば、米国特許第3,784,648号(再発行特許RE28,780号)(スルホネート基を有するメラミンとホルムアルデヒドとの水溶性縮合生成物を含む水不溶性合成樹脂);米国特許第5,536,779号(不飽和モノマー及び少なくとも一つの添加スターチ分解生成物から誘導されるポリマー粉末);米国特許第5,519,084号(アクリルエマルジョンポリマー及びポリビニルアルコール);ドイツ特許DE4,402,408号(不飽和コポリマー及び後添加保護コロイド);特開平7−53730号(アクリルエマルジョンポリマー並びにナトリウムスチレンスルホネート及び重合性乳化剤から調製されるコロイド);ヨーロッパ特許EP632096号(アミノ官能性ポリビニルアルコールを含むアクリル及びビニルエマルジョンポリマー);米国特許第5,252,704号(ポリビニルピロリドンを含むアクリル及びビニルエマルジョンポリマー);米国特許第5,225,478号(オレフィン性不飽和モノマーと、フェノールスルホン酸の水溶性金属塩/ホルムアルデヒド縮合物とのエマルジョンポリマー);及びヨーロッパ特許EP723975号(水溶性コロイドを含むスチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのエマルジョンコポリマー)を参照。
【0010】
多くの再分散性ポリマーは、第2段階の水溶性ポリマーが、第1段階の水不溶性ポリマーの不連続のドメイン、又は「コア」の周りの「シェル」又は被覆から形成される2段階エマルジョンポリマーである。かかるコア−シェルポリマーの例が、米国特許第4,916,171号及び5,403,894号に開示されている。これらの例においては、水溶性ポリマーは、塩基によって中和されたメタクリル酸のコポリマーである。また、米国特許第4,876,313号には、水溶性ポリマー及び水不溶性ポリマーを部分的にグラフト又は結合させるために多官能性化合物を用いることが開示されている。
【0011】
本発明の一態様は、水和剤、粉剤又は分散性粒状物として配合された農薬、及び、上記の文献において開示されたもののような、エマルジョンで調製された1以上の水不溶性ポリマー及び1以上の水溶性ポリマーを含む再分散性粉末を含む組成物を提供する。
【0012】
本発明の他の態様は、1以上の農薬、及び、1以上の再分散性ポリマーを含む水和剤、粉剤又は分散性粒状物農薬配合物であって、(a)水中の農薬の分散液を、エマルジョンで形成された1以上の水不溶性ポリマー及び1以上の水溶性ポリマーと配合し;そして(b)配合物を乾燥する;工程を含む方法によって調製される配合物を提供する。
【0013】
本発明の他の態様は、(1)エマルジョンで調製された1以上の水不溶性ポリマー;及び(2)1以上の水溶性ポリマー;を含む1以上の再分散性ポリマーを含む、乾燥農薬アジュバントを提供する。
【0014】
本発明の更に他の態様は、(a)1以上の農薬;及び(b)(1)エマルジョンで調製された1以上の水不溶性ポリマー;及び(2)1以上の水溶性ポリマー;を含む再分散性ポリマー;を含む農薬組成物を、有害生物、有害生物の所在箇所又は有害生物の食物源に施すことを特徴とする、有害生物を防除する方法を提供する。
【0015】
好ましい水不溶性ポリマーは、エマルジョンで重合され、0.1〜5ミクロンのエマルジョン粒径を有するものである。適当な特性のバランスを得るために、好ましい水不溶性ポリマーは、(1)1以上のアクリルエステルモノマー;アクリルアミド又は置換アクリルアミド;スチレン又は置換スチレン;ブタジエン;ビニルアセテート又は他のビニルエステル;ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、N−ビニルピロリドンのようなビニルモノマー;アクリロニトリル及びメタクリロニトリルの1以上(この場合、水不溶性ポリマーは、0〜60℃、好ましくは0〜40℃のガラス転移温度を有する)、及び(2)エチレン及びビニルエステル(この場合、水不溶性ポリマーは、−20〜40℃のガラス転移温度を有する)から誘導されるポリマー単位を独立して含む1以上のホモポリマー及びコポリマーから選択される。アクリルエステルモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルアクリレートが挙げられる。好ましい水不溶性ポリマーは、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン及びビニルアセテートから誘導されるモノマー単位を含む。水不溶性ポリマーが、ビニルアセテートから誘導される単位を含む場合には、より好ましい形態のポリマーは、3%を超える量の、無機塩基の添加によって加水分解されたビニルアセテート単位を有する。水不溶性ポリマーは、好ましくは、農薬組成物の5〜80重量%を構成する。
【0016】
好ましい水溶性ポリマーは、例えば、ポリビニルアルコール、メチルメタクリレート及びメタクリル酸の1以上から誘導される単位を含むポリマー及びコポリマーのような、2,000amuを超える分子量を有する非イオン性ポリマーである。ポリビニルアルコール、又は、ビニルエステル、例えばビニルアセテートの部分的に加水分解されたコポリマーが好ましい非イオン性ポリマーである。水溶性ポリマーは、好ましくは、農薬組成物の1〜40重量%を構成する。
【0017】
本発明の組成物は、しばしば、更なる界面活性剤の存在によって利益を受ける。当業者は、界面活性剤が、通常、施される農薬と組み合わせられる状況を理解するであろう。本発明者らは、幾つかの場合において、界面活性剤と再分散性ポリマーとの組み合わせによって、界面活性剤又は再分散性ポリマーのいずれか単独の存在下での農薬の生物学的活性に基づいて予想されるものを超える、農薬の生物学的活性における向上が与えられる。この現象に対する一つの可能な説明は、再分散性ポリマーによって、農薬/界面活性剤混合物の、洗い流しに対する耐性が改良されるということである。再分散性ポリマーと組み合わせて用いることのできる界面活性剤としては、種々の非イオン性、アニオン性及び両性界面活性剤の1以上が挙げられる。有用な非イオン性界面活性剤の例としては、ポリアルキレングリコールエーテル、及び、アルキルフェノール、脂肪族アルコール、脂肪族アミン及び脂肪酸と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はこれらの混合物との縮合生成物、例えばエトキシレート化アルキルフェノール又はエトキシレート化アリール及びポリアリールフェノール、並びにポリオール又はポリオキシエチレンで可溶化されたカルボン酸エステルが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、アルキルアリールスルホン酸の塩、スルフェート化ポリグリコールエーテル、スルホコハク酸エステルと2−エチルヘキサノールのような疎水性物質との塩、ホスフェート化ポリグリコールエーテルの塩、アルキルサルコシン塩、アルキルイセチオネート塩、及びタウリンの誘導体が挙げられる。更なる有利性は、再分散性ポリマーの接着性を向上させる界面活性剤によって与えられる。農薬/再分散性ポリマー組成物と乾燥配合することのできる固体界面活性剤が最も好ましい。かかる界面活性剤の例としては、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、ナトリウムラウリルスルフェート、及びN−メチルタウリンの脂肪酸アミドが挙げられる。
【0018】
農薬を施す表面上における農薬を含むフィルムの形成を更に促進させるために、1以上の更なるフィルム形成助剤を組成物に加えることができる。かかる助剤としては、水及びポリマーの両方に可溶性の低分子量固形物が挙げられる。好ましいフィルム形成助剤としては、カプロラクタム及びネオペンチルグリコールが挙げられる。ジオクチルナトリウムスルホスクシネートのような幾つかの固体界面活性剤は、フィルム形成助剤としても機能することができる。
【0019】
本発明の組成物は、種々の方法で調製することができる。一つの方法は、どちらの成分も固体の形態の、農薬と再分散性ポリマーとを機械的に配合することである。この混合方法は、二つの固体材料を一緒に物理的に配合するような単純な工程から、二つの成分を更なる成分と一緒に配合し、粒状化された粒子が両方の成分を含む粒状材料を形成するような複雑な工程まで、変化させることができる。また、再分散性粉末を、分散性粒状物と混合して、粒状物上に表面被覆を形成することもできる。組成物は、また、少なくとも一つの水不溶性ポリマーを含む農薬成分の水性分散液を、水溶性ポリマーと配合し、次に固体形態に乾燥することによって調製することもできる。
【0020】
再分散性ポリマーそれ自体を、農薬を添加する前又は後に、スプレータンクに加えることもできる。
【0021】
幾つかの用途のためには、1以上の農薬を本発明の組成物中で配合し、それによって、農薬を別々に施した場合よりもより少ない全農薬施用量とすることができることをはじめとして、更なる有利性及び有効性を与えることができる。農薬の混合物を用いる場合には、組成物中におけるそれぞれの相対割合は、処理される農作物及び/又は雑草に対するそれぞれの農薬の相対的効力及び所望の施用割合に依存する。当業者は、農薬の混合物によって、一つの農薬を単独で用いた場合よりもより広い活性スペクトルのような有利性を提供することができることを認識するであろう。
【0022】
本発明の組成物中において配合することのできる農薬の例としては、(1)例えば、(a)ジチオカルバメート及び、第2鉄ジメチルジチオカルバメート(ファーバム(ferbam))、亜鉛ジメチルジチオカルバメート(ジラム(ziram))、マンガンエチレンビスジチオカルバメート(マネブ(maneb))及び亜鉛イオンとのその配位生成物(マンコゼブ(mancozeb))、亜鉛エチレンビスジチオカルバメート(ジネブ(zineb))、亜鉛プロピレンビスジチオカルバメート(プロピネブ(propineb))、ナトリウムメチルジチオカルバメート(メタム(metham))、テトラメチルチウラムジスルフィド(チラム(thiram))、ジネブ及びポリエチレンチウラムジスルフィドのコンプレックス、3,5−ジメチル−1,3,5−2H−テトラヒドロチアジアジン−2−チオン(ダゾメット(dazomet));及びこれらの混合物及び銅塩との混合物のような誘導体;(b)ジニトロ−(1−メチルヘプチル)フェニルクロトネート(ジノキャップ(dinocap))、2−sec−ブチル−4,6−ジニトロフェニル−3,3−ジメチルアクリレート(ビナパクリル(binapacryl))、及び2−sec−ブチル−4,6−ジニトロフェニルイソプロピルカルボネートのようなニトロフェノール誘導体;(c)N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド(キャプタン(captan))、N−トリクロロメチルチオフタルイミド(フォルペット(folpet))、2−ヘプタデシル−2−イミダゾールアセテート(グリオジン(glyodine)),2−オクチルイソチアゾロン−3,2,4−ジクロロ−6−(o−クロロアニリノ)−s−トリアジン、ジエチルフタルイミドホスホロチオエート、4−ブチル−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−1−(ビス(ジメチルアミノ)ホスフィニル)−3−フェニル−1,2,4−トリアゾール、5−エトキシ−3−トリクロロメチル−1,2,4−チアジアゾール、2,3−ジシアノ−1,4−ジチアアントラキノン(ジチアノン(dithianon))、1,3−ジチオロ−(4,5−b)キノキサリン−2−チオン(チオキノックス(thioquinox))、エチル−1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバメート(ベノミル(benomyl))、2−4’−(チアゾリル)ベンズイミダゾール(チアベンダゾール(thiabendazole)、4−(2−クロロフェニルヒドラゾノ)−3−メチル−5−イソオキサゾロン、3−(3,5−ジクロロフェニル)−5−エテニル−5−メチル−2,4−オキサゾリジンジオン(ビノロゾリン(vinolozolin));3−(3,5−ジクロロフェニル)−N−(1−メチルエチル)−2,4−ジオキソ−1−イミダゾリジンカルボキサミド(イプロジオン(iprodione));N−(3,5−ジクロロフェニル)−1,2−ジメチルシクドプロパン−1,2−ジカルボキシイミド(プロシミドン(procymidone));β−(4−ジクロロフェノキシ)−α−(1,1−ジメチルエチル)−1”H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(トリアジメノール(triadimenol));1−(4−クロロフェノキシ)−3,3−ジメチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−2−ブタノン(トリアジメホン(triadimefon));β−(1,1’−ビフェニル)−4−イルオキシル)−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(ビテルタノール(bitertanol));2,3−ジクロロ−N−(4−フルオロフェニル)マレイミド(フルオロイミド(fluoroimide));1−(2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)−1”H−1,2,4−トリアゾール;ピリジン−2−チオール−1−オキシド、8−ヒドロキシキノリンスルフェート及びその金属塩;2,3−ジヒドロ−5−カルボキサニリド−6−メチル−1,4−オキサチイン−4,4−ジオキシド,2,3−ジヒドロ−5−カルボキサニリド−6−メチル−1,4−オキサチイン、α(フェニル)−α−(2,4−ジクロロフェニル)−5−ピリミジニルメタノール(トリアリモール(triarimol)),cis−N−(1,1,2,2−テトラクロロエチル)チオ)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシミド、3−(2−(3,5−ジメチル−2−オキシシクロヘキシル)−2−ヒドロキシ)グルタルイミド(シクロヘキシミド(cycloheximide))、デヒドロ酢酸、N−(1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ)−3a,4,7,7−テトラヒドロフタルイミド(カプタフォール(captafol))、ブチル−2−エチルアミノ−4−ヒドロキシ−6−メチルピリミジン(エチリモール(ethirimol))、4−シクロデシル−2,6−ジメチルモルホリンのアセテート(ドデモルフ(dodemorph)),4−(3−(4−クロロフェニル)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)アクリロイル)モルホリン(ジメトモルフ(dimethomorph))、チフルザミド、及び6−メチル−2−オキソ−1,3−ジチオロ(4,5−b)−キノキサリン(キノメチオネート(quinomethionate)のような複素環式構造体;(d)テトラクロロ−p−ベンゾキノン(クロラニル(chloranil)),2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン(ジクロン(dichlone))、1,4−ジクロロ−2,5−ジメトキシベンゼン(クロロネブ(chloroneb))、3,5,6−トリクロロ−o−アニシン酸(トリカンバ(tricamba))、2,4,5,6−テトラクロロイソフタノロニトリル(TCPN)、2,6−ジクロロ−4−ニトロアニリン(ジクロラン(dichloran)),2−クロロ−1−ニトロプロパン、ポリクロロニトロベンゼン、例えばペンタクロロニトロベンゼン(PCNB)、及びテトラフルオロジクロロアセトンのような種々のハロゲン化殺菌剤;(e)グリセオフルビン、カスガマイシン及びストレプトマイシンのような殺菌性抗生物質;(f)水酸化銅、酸化第1銅、塩基性塩化第2銅、塩基性炭酸銅、銅テレフタレート、銅ナフテネート及びBordeaux混合物のような銅ベースの殺菌剤;及び(g)ジフェニル、スルホン、ドデシルグアニジンアセテート(ドジン(dodine))、アルミニウムトリス−o−エチルホスホネート(フォセチラール(fosetylal))、N−(2,6−ジメチルフェニル)−N−(メトキシアセチル)アラニンメチルエステル(メトキシル(methoxyl))及び他のアルカリ性殺菌剤、フェニル水銀アセテート、N−エチル水銀−1,2,3,6−テトラヒドロ−3,6−エンドメタノ−3,4,5,6,7,7−ヘキサクロロフタルイミド、フェニル水銀モノエタノールアンモニウムラクテート、p−ジメチルアミノベンゼンナトリウムスルホネート、メチルイソチオシアネート、1−チオシアノ−2,4−ジニトロベンゼン、1−フェニルチオセミカルバジド、ニッケル含有化合物、カルシウムシアナミド、石灰硫黄合剤、1,2−ビス(3−メトキシカルボニル−2−チオウレイド)ベンゼン(チオファネート−メチル(thiophanate-methyl))及び2−シアノ−N−(エチルアミノ)カルボニル)−2−(メトキシイミン)アセトアミド(シモキサニル(cymoxanil))のような種々の殺菌剤;並びに、フララキシル、シプロフラム、オフレース、ベナラキシル及びオキサジキシルのようなアシルアラニン;フラジナム、フルメトバー、ヨーロッパ特許EP578586A1において開示されているようなフェニルベンズアミド誘導体、ヨーロッパ特許EP550788A1において開示されているバリン誘導体のようなアミノ酸誘導体、メチル(E)−2−(2−(6−(2−シアノフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ)フェニル)−3−メトキシアクリレートのようなメトキシアクリレート;ベンゾ(1,2,3)チアジアゾール−7−カルボチオイン酸S−メチルエステル;プロパモカルブ;イマザリル;カルベンダジム;マイクロブタニル(miclobutanil);フェンブコナゾール(fenbuconazole);トリデモルフ;ピラゾホス;フェナリモール;フェンピクロニル;ピリメタニル;及びスズ殺菌剤;のような殺菌剤;(2)(a)カルボン酸誘導体、例えば安息香酸及びそれらの塩;フェノキシ及びフェニル置換カルボン酸及びそれらの塩;及びトリクロロ酢酸及びそれらの塩;(b)カルバミン酸誘導体、例えばエチル−N,N−ジ(n−プロピル)チオカルバメート及びプロンアミド;(c)置換尿素;(d)置換トリアジン;(e)オキシフルオルフェン(oxyfluorfen)及びフルオログリコフェンのようなジフェニルエーテル誘導体;(f)プロパニル(propanil)のようなアニリド;(g)オキシフェニキシ除草剤;(h)ウラシル;(i)ニトリル;及び(j)ジチオピー(dithiopy)及びチアゾピル(thiazopyr)のような他の有機除草剤;のような除草剤;並びに(3)殺虫剤、例えば、アセフェート、アセチオン、アセトキソン、アルジカルブ、アルドキシカルブ、アルドリン、アレトリン、アリルキシカルブ、α−シペルメトリン、アミジチオン、アミトラズ、アムルアー、アネトール、アゼチオン、アジンホス−エチル、アジンホス−メチル、アゾシクロチン、バチルスチューリンゲンシス、BCPE、ベンジオカルブ、ベンスルタップ、ベンゾキシメート、ベンジルアセテート、ベンジルベンゾエート、BHC、ビフェントリン、ビナパクリル、ボミル、BPMC、ブロモフォス、ブロモフォス−エチル、ブロモプロピレート、ブフェンカルブ、ブプロフェジン、ブタカルブ、ブトカルボキシム、ブトネート、ブトキシカルボキシム、カルシウムアルセネート、カルバリール(carbaryl)、カルボフラン(carbofuran)、カルボフェノチオン、カルボスルファン、カルタップ(cartap)、クロロダン、クロロデコン、クロロジメホルム、クロロフェネトール、クロロフェンソン、クロロフェンスルフィド、クロロフェンビンフォス、クロロメフォス、クロロベンジレート、クロロペノジド、クロロプロピレート、クロロホキシム、クロロピリフォス、クロロピリフォスメチル、クロロチオフォス、クロフェンテジン、CPCBS、CPMC、クロトキシフォス、クルフォメート、クリオライト、クフラネブ、シアノフェンホス、シアノフォス、シアントエート、シフルトリン、シヘキサチン、シペルトリン、シフェノトリン、シロマジン、DAEP、DDT、DDVP、デルタメトリン、デメトン、デメトン−S−メチル、デメトン−O−メチル、デメトン−S、デメトン−S−メチルスルホキシド、デメフィオン−O−、デメフィオン−S、ジアリフォー、ジアジノン、ジカプトン、ジクロロフェンチオン、ジコフォール(dicofol)、ジクロトフォス、ジエルドリン、ジエノクロル、ジフルベンズロン、ジヒドロテノン、ジメフォックス、ジメタン、ジメトエート、ジメトリン、ジネックス、ジニトロフェノール、ジノブトン、ジノキャップ、ジオキサベンゾフォス、ジオキサカルブ、ジオキサチオン、ジスパルアー、ジスルフォトン、DMCP、DNOC、d−トランスアレトリン、エンドスルファン、エンドチオン、エンドリン、エンタイス、EPBP、EPN、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチオン、エトエート−メチル(ethoate-methyl)、エトプロップ、エトリムフォス、フェナミフォス、フェナザフロー、フェンブタチン−オキシド、フェニトロチオン、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンソン、フェンスルホチオン、フェンチオン、フェンバレレート、フルベンジミン、フルシトリネート、フルエネチル、フルフェノクスロン、フルバリネート、フォノフォス、ホルメタネートヒドロクロリド、ホルモチオン、フォスメチラン、フォスチエタン、フラチオカルブ、フレトリン、グランドルアー(grandlure)、ヘプタクロル、HETP、ヘキシチアゾックス、ヒドラメチルノン、ヒドロプレン、IPSP、イサゾフォス、イソベンザン、イソフェンフォス、イソプロカルブ、イソプロチオレーン、イソチオエート、イソキサチオン、ヨドフェンフォス(jodfenphos)、キノプレン、鉛アルセネート、レプトフォス、レタン、リンダン、リチダチオン、マラチオン、マジドックス、メカルバム、メカルフォン、メナゾン、メフォスフォラン、メタミドフォス、メチダチオン、メチオカルブ、メトミル、メトプレン、メトキシクロル、メトキシフェノジド、メチルパラチオン、メチルフェンカプトン、メビンフォス、メキサカルベート、MIPC、ミ

レックス、モノクロトフォス、MTMC、ナレド(naled)、ニコチン、ノナクロル、オメトエート、オベックス、オキサミル、オキシデプロフス、オキシジスルフォトン、オキシチオキノックス、パラオキソン、パラチオン、パリスグリーン、ペルメトリン、ペルタン、フェンカプトン、フェントエート、フォレート、フォサロン、フォスフォラン、フォスメット、フォスニクロル、フォスファミドン、フォキシム、ピリミカルブ、ピリミフォス−エチル、ピリミフォス−メチル、プリフェネート、プロフェノフォス、プロメカルブ、プロパルガイト、プロペタンフォス、プロポキスール、プロチダチオン、プロチオフォス、プロトエート、PTMD、ピリダベン、ピリダフェンチオン、キナルフォス、レスメトリン、ロネル、ロテノン、リアニア、s−ビオアレトリン、サリチオン、シュラダン、ナトリウムフルオシリケート、ソファミド、スルフォテップ、スルプロフォス、テブフェノジド(tebufenozide)、テフルトリン、テメフォス、TEPP、テルブフォス、テトラクロロビンフォス、テトラジフォン、テトラメトリン、テトラスル、タリウムスルフェート、チオカルボキシム、チオシクラム、ヒドロジェノキサレート、チオメトン、トルクロフォス−メチル、トキサフェン、トリアザメート、トリアゾフォス、トリクロルフォン、トリクロロネート、トリフルムロン、トリメタカルブ、バミドチオン及びキシリルカルブ;が挙げられる。
【0023】
本発明の組成物は、通常の高リットル液圧スプレー、低リットルスプレー、エアブラスト及び気圧スプレーのような通常用いられている方法によって、水性噴霧として、植物の葉に施すことができる。希釈割合及び施用量は、用いる装置のタイプ、所望の施用方法及び頻度、農薬施用速度、及び防除すべき有害生物に依存する。再分散性ポリマーを用いることにより他のアジュバントに関する必要性は減少するが、スプレータンク中に更なるアジュバントを含ませることが望ましい場合がある。かかるアジュバントとしては、界面活性剤、分散剤、展着剤、固着剤、消泡剤、乳化剤、及びMcCutcheon's Emulsifiers and Detergents、McCutcheon's Emulsifiers and Detergents/Functional Materials、及びMcCutcheon's Functional Materials(いずれも、MC Publishing CompanyのMcCutcheon's Division(New Jersey)によって毎年出版されている)に記載されている他の同様の材料が挙げられる。
【0024】
本発明の組成物は、また、それらを施す前に、肥料又は成長促進材料と混合することもできる。一つのタイプの固体成長促進組成物においては、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム又は燐酸アンモニウムのような肥料又は成長促進成分の粒子を、1以上の組成物で被覆することができる。組成物及び固体成長促進材料は、また、混合又はブレンド装置内で混合することもでき、或いは、粒状配合物中に肥料とともに加えることができる。処理される作物又は雑草に対して好適な任意の相対割合の肥料を用いることができる。本発明の組成物は、通常、肥料組成物の5〜50%を構成する。これらの組成物は、所望の植物の迅速な成長を促進し、同時に有害生物を防除する成長促進材料を提供する。
【0025】
本発明の再分散性ポリマーにおいて用いられるエマルジョンポリマーは、例えば、アクリルエステルモノマー、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルアクリレート;アクリルアミド又は置換アクリルアミド;スチレン又は置換スチレン;ブタジエン;ビニルアセテート又は他のビニルエステル;ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、N−ビニルピリロドンのようなビニルモノマー;及びアクリロニトリル又はメタクリロニトリル;のような1以上のエチレン性不飽和モノマーの付加重合によって調製することができる。例えば、乳化重合ポリマーの重量を基準として0.1〜7重量%の、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ホスホエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、ナトリウムビニルスルホネート、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノブチルフマレート、及び無水マレイン酸のような、共重合性エチレン性不飽和酸モノマーの少量を用いることができる。スチレンとの好ましいアクリルコポリマーは、ポリマーの全重量を基準として10〜60%のスチレンを含む。ポリマーは、単段又は多段ポリマーであってよい。
【0026】
再分散性ポリマーを調製するのに用いる乳化重合法は、当該技術において周知である。例えば、米国特許第5,346,954号を参照。多段ポリマーは、当該技術において周知であり、例えば、米国特許第4,325,856号、4,654,397号及び4,814,373号において開示されている。例えば、アルキルスルフェート、アルキルスルホン酸、脂肪酸、及びオキシエチレート化アルキルフェノールのアルカリ又はアンモニウム塩のようなアニオン性及び/又は非イオン性乳化剤のような界面活性剤を、これらのタイプの重合において用いることができる。用いる界面活性剤の量は、通常、全モノマーの重量を基準として0.1〜6重量%である。調製される具体的な再分散性ポリマーに応じて、熱開始法又はレドックス開始法のいずれかを用いることができる。例えば、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、アンモニウム及びアルカリペルスルフェートのような通常のフリーラジカル開始剤を、典型的には全モノマーの重量を基準として0.05〜3重量%のレベルで用いることができる。例えば、イソアスコルビン酸及び重亜硫酸ナトリウムのような好適な還元剤と組み合わせた同一の開始剤を用いるレドックス系を、同等のレベルで用いることができる。用いる具体的手順は、調製する具体的ポリマーに依存し、全ての条件が全ての場合において適用されるわけではない。しかしながら、当業者は、過度の実験を行なうことなく、適当な条件を容易に決定することができる。
【0027】
再分散性ポリマーの調製のための手順以下の手順は、以下の実施例において粉末IIIとして示される再分散性ポリマーの調製を説明するものである。
【実施例】
【0028】
メカニカルスターラー、熱電対、凝縮器及び窒素スパージを取り付けた5リットルの4つ口丸底フラスコに、(a)ブチルアクリレート19.1重量%、ビニルアセテート80.65g、及びナトリウムビニルスルホネート0.25重量%のモノマー組成を有するエマルジョンポリマーの、ポリマー固形分55重量%の水性エマルジョン3000g、及び(b)ポリビニルアルコール水溶液(17.3重量%、Vinol 203、エアープロダクツ社製)363gを入れた。次に、混合物に、水1200g中の水酸化カルシウム150gを加えた。次に、混合物を85℃に2時間加熱した。次に、加水分解生成物を冷却し、100メッシュのスクリーンを通して濾過した。
【0029】
Bowen Model BLSA実験室用スプレードライヤーを用いて、濾過された加水分解生成物をスプレードライした。入口空気温度を122℃に調節し、出口空気温度は、供給速度によって調節し、57℃とした。得られた生成物は、4%未満の残留湿分レベルを有しており、自由流動白色粉末で、水中に速やかに再分散された。
【0030】
水による洗い流しに対する農薬配合物の耐性に関するポリマー添加剤の効果を評価するための手順農薬アジュバントの効力を評価するための一つの方法は、農薬組成物の、表面からの洗い流しに抵抗する能力に対するその影響を測定することである。当業者は、植物の表面上に残留する農薬は向上された効力を有すると予測されることを認識するであろう。
【0031】
ポリマー添加剤を加えたものと、加えないものとについて、水及び界面活性剤の予備混合物を加え、次に、混合物を手によって激しく振盪することによって、農薬配合物の懸濁液を調製した。極めて柔軟で、可撓性で疎水性のフィルムであるParafilm-M実験用フィルムの片を、プラスチック製のペトリ皿にテープで固定した。付着したフィルムを有するペトリ皿を、噴霧器の下側を標準的な速度で移動させながら、懸濁液を自動化噴霧器で噴霧した。噴霧残留物を乾燥させ、2回目の噴霧を施した。フィルムの一つの組を、45°に傾けて、試料の上を前後に移動する噴霧バー(TX−4コーンタイプの噴霧ノズルを取り付けた)によって、約1時間に亙って、水約25mmに曝露した。曝露されたフィルムを乾燥させた。フィルムの他の組は水に曝露しなかった。
【0032】
全反射減衰分光法(ATR法)によってフィルムの赤外スペクトルを得た。フィルムを、予めメタノールによって清浄化されたセレン化亜鉛結晶に対して押し付けた。Spectoratech Allied Systemsフーリエ変換赤外分光光度計を用いてスペクトルを記録し、コンピューターに保存した。視認によって農薬残留物に関連するピークを同定し、ピーク面積をコンピューターによって算出した(農薬ピーク面積「PA」)。(同一のスペクトルにおいて)ピーク配置及び寸法において可能な限り同様なParafilmピークに関する対応する面積を算出した(フィルムピーク面積「FA」)。同様の計算を、農薬を噴霧しなかったフィルムのスペクトルに関して行ない、対応する対照ピーク面積「RPA」及び「RFA」を得た。表面上の農薬の測定値「P」は、以下の計算式から誘導した。
【0033】
P=PA/FA−RPA/RFA
【0034】
次に、水に対する上記の曝露の後に残留する農薬の量の相対的な測定値を、以下の計算式から誘導した。
残留相対量=100×曝露されたフィルムに関する(PA/FA−RPA/RFA)/曝露されないフィルムに関する(PA/FA−RPA/RFA)
【0035】
ATR法によって記録されるスペクトルピークの強度は、フィルムとの接触の詳細に大きく依存するが、これらは、農薬の吸収及びフィルムの吸収の強度に対して同等の効果を有するので、同一のスペクトル記録中のフィルムピークに対する農薬ピークの比を得ることによって、異なるスペクトルを、接触の詳細について補償して比較することができる。フィルムピークに対する農薬ピークの強度は、農薬によってフィルムが被覆された度合いに依存する。被覆率を最大にするために、噴霧を2回行なった。更に、湿潤剤(界面活性剤)を予備混合物中に含ませて、噴霧液滴によるフィルムの湿潤を促進させた。水に対する曝露によって、農薬の再分配並びに農薬の洗い流しが行なわれるので、残留量の測定値は相対的なものである。洗い流しが少ししかない場合には、再分散効果によって、上記の比を100を超えるようにすることができる。
【0036】
以下の表は、噴霧混合物及び噴霧条件並びに存在する農薬の量を測定するために用いた農薬及びParafilm(対照)に関するIRバンドの詳細を示す。全ての場合において、測定量の農薬を、脱イオン水270g及び0.5%のSilwet L-77界面活性剤30gと混合した。この予備混合物を、50gの部分に分けた。一つの部分を、ポリマーを添加しないで噴霧した。ポリマーを含む混合物に関しては、粉末ポリマー66.6mg又はエマルジョンポリマーの固形分5%の希釈液1.32gを、予備混合物50gに加えた。
【0037】
以下の農薬タイプ及び農薬を評価した。(1)殺菌剤:マンコゼブ80%水和剤(WP)、マネブ80%WP、ジラム76%分散性粒状物(DG)、クロロタロニル82.5%DG、水酸化銅77%WP、マイクロブタニル40%WP、フェンブコナゾール75%WP、キャプタン50%WP;(2)殺虫剤:カルバリールフロアブル(FLO)、カルタップ50%WP、カルボフラン4ポンド/ガロンFLO、テブフェノジド70%WP、ジコフォール50%WP、ジノキャップWP;及び(3)除草剤:プロパニル80%DG、及びオキシフルオルフェン75%FLO。
【0038】


噴霧条件A:実験用フィルムの12インチ上にTX−2ノズル。58psi(150cc/分で供給)。実験用フィルムは1マイル/時で移動する。
噴霧条件B:実験用フィルムの14インチ上にファンノズル。29psi(25ガロン/エーカーを与える速度で実験用フィルム上に2回で15ccを噴霧。
【0039】
三つの異なる固体再分散性ポリマーを評価した。粉末Iは、エチレン/ビニルアセテートとポリビニルアルコールのコポリマー(エアープロダクツ社からのAirflex RP-245再分散性粉末;セメント変成剤);粉末IIは、スチレン/ブチルアクリレートとポリビニルアルコールのコポリマー(Wacker Chemical CompanyからのVinnapas LL-564再分散性粉末;セメント変成剤);粉末IIIは、上記の合成実施例において記載するようにして調製した再分散性粉末であった。
【0040】
スプレータンク添加剤として用いられるタイプの一つの水性エマルジョンポリマーを対照のために包含させた。エマルジョンIVは、界面活性剤を含むスチレン/ブタジエンコポリマー(Mallard Creek Polymers CompanyからのRovene 4150エマルジョン;カーペット裏塗り用の接着剤)であった。
【0041】




【0042】
これらのデータは、再分散性ポリマーがエマルジョンポリマーとしても機能することを示す。
【0043】
マンコゼブ殺菌剤を用いたブドウ及び落花生に対する疾病防除の評価ブドウに関しては、単一の苗木プロットを、7日間の間隔で、全部で7回の施用によって処理し、三つの反復実験/処理を行った。処理は、マンコゼブの水ベースの噴霧混合物により、噴霧の少し前に水にポリマー添加剤を加えたもの、又は加えないもので行った。三つのD3(コーン)ノズルを有するブームを具備する二酸化炭素圧力霧化器(45psi)を用いたバックパック噴霧器で、混合物を、640リットル/ヘクタールの割合で施した。殺菌剤を施さない対照試料、添加剤を用いない全活性分量のマンコゼブ(1ヘクタールあたり活性成分2.8kg)、及び添加剤を用いたもの又は用いないものの半活性分量のマンコゼブ(1ヘクタールあたり活性成分1.4kg)で処理を行った。ポリマー添加剤は、1/3kg添加剤固形分/kg活性成分で用いた。マンコゼブ配合物は、活性成分75%を有する水和剤であった。
【0044】
葉の感染パーセント(Plasmopara viticolaによって発生するブドウべと病)の評価を、処置#7の7日後に行なった(7DAT#7)。これらの評価を下表に示す。データは、P=0.05(共通の文字を有しない平均は、95%の確率において大きく異なる)を用いたDuncanの多重範囲試験によって分析した。
【0045】
落花生は、プロットが1メートル×5メートル(1列)であり、処置あたり4回の反復実験を行ない、9回の施用を施し、ブームが5つのD2(C45)ノズルを有しており、マンコゼブの全活性分量が1ヘクタールあたり活性成分1.6kgであり、最終評価が処置#9の23日後(23DAT#9)であり、この時点における主たる疾病がCercospora arachidicola(褐斑病:Early Leaf Spot)であった他は、ブドウと同様に評価した。
【0046】
三つの異なる固体再分散性粉末を評価した。粉末I及びIIは上記の実施例からのものであり、粉末Vはアクリルコポリマー(Drycryl DP-2904再分散性粉末、ローム アンド ハース カンパニーのセメント変成剤)であった。三つの異なるエマルジョンポリマーを対照のために評価した。エマルジョンIVは上記の実施例からのものであり、エマルジョンVIはポリ(ビニルアセテート)エマルジョン(一般的な目的の接着剤成分として用いられるローム アンド ハースカンパニーからのRovace 117エマルジョン)であり、エマルジョンVIIはアクリルエマルジョンポリマー(ローム アンド ハース カンパニーからのロープレックス2438エマルジョン、エラストマー壁被覆剤の一成分)であった。
【0047】
幾つかの評価においては、界面活性剤を噴霧混合物に加えた。用いる場合には、界面活性剤は、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート90%及びナトリウムベンゾエート10%の固体粉末(Cytec CompanyからのAerosol OTB界面活性剤)であった。
【0048】



【0049】
これらの評価の結果は、ポリマー添加剤の全てが、マンコゼブの半活性分量における効力を大きく向上させ(感染の減少)、添加剤を有しない全施用割合の場合と同程度に良好な効力を与えたことを示す。ポリマーに加えて界面活性剤を用いると、効力の更に大きな向上が得られた。異なる組成の再分散性ポリマーによる効力の向上は、二つのエマルジョンポリマー(エマルジョンVI及びVII)に関しては同等であり、他のエマルジョンポリマー(エマルジョンIV)に関してもほぼ同程度に良好であった。
【0050】
これらのデータは、再分散性ポリマーアジュバントの存在下又は非存在下の両方における、マンコゼブの効力に対する添加された界面活性剤の効果を示す。データは、適当なレベルにおいて、界面活性剤が効力の向上を与えることを示す。
【0051】
テブフェノジドを用いたコメに対するシロイチモジヨトウ防除の評価ポット中で成長するコメ苗木に、水中のテブフェノジドの300ppm(活性成分レベル基準)の懸濁液の二つの異なるバージョンの一つを噴霧した。一つのバージョンにおいては、テブフェノジドを、ローム アンド ハース カンパニーからの水和剤であるMimic 10W殺虫剤として供給した。第2のバージョンにおいては、Mimic 10W殺虫剤中のキャリアの約30重量%を、上記実施例からの粉末Vに置き換え、クレーキャリアの約10重量%をAerosol OTB界面活性剤に置き換えた。噴霧された苗木試料のそれぞれの一部に、噴霧バーによって供給される水約25mmをかけて、雨をシミュレートした。苗木を切断し、シロイチモジヨトウを供給した。次に、死滅率%を評価した。
【0052】

【0053】
圃場条件下でのシロイチモジヨトウ防除の評価典型的な圃場条件下で成長したチャイニーズケール(Chinese kale)の二つの異なるプロットのそれぞれを、1ヘクタールあたり750リットルの水中の1ヘクタールあたり300gのテブフェノジドの施用割合で、上記記載の二つのテブフェノジド配合物の一つで処理した。それぞれのプロットにおけるシロイチモジヨトウの死滅率%を、未処理の対照プロットと比較した。
【0054】

【0055】
これらのデータは、再分散性ポリマーが、ポリマーを有しない同一の組成物と比較して向上した効力を有する農薬組成物を与えることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1以上の農薬;及び
(b)(1)1以上の水不溶性ポリマー;及び(2)1以上の水溶性ポリマー;
を含む1以上の再分散性ポリマー;を含む固体農薬組成物。
【請求項2】
(1)1以上の水不溶性ポリマー;及び(2)1以上の水溶性ポリマー;
を含む再分散性ポリマーの農薬アジュバントとしての使用。
【請求項3】
請求項1に記載の固体農薬組成物を、有害生物、有害生物の所在箇所又は有害生物の食物源に施すことを特徴とする有害生物の防除方法。
【請求項4】
(a)1以上の農薬5〜90重量%;
(b)少なくとも一つの水不溶性ポリマー5〜80重量%;及び
(c)少なくとも一つの水溶性ポリマー1〜40重量%;
を含む請求項1に記載の固体農薬組成物。
【請求項5】
組成物が水中で、40ミクロン未満の寸法の粒子に分散する請求項1に記載の農薬組成物。
【請求項6】
水不溶性ポリマーが、エチレン及びビニルエステルからなる群の1以上から誘導される単位を含み、該ポリマーが−20〜40℃のガラス転移温度を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
水不溶性ポリマーが、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート及びビニルアセテートの1以上から誘導されるポリマー単位を独立して含む1以上のホモポリマー又はコポリマーから選択され、該水不溶性ポリマーが0〜60℃のガラス転移温度を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
水不溶性ポリマーが0〜40℃のガラス転移温度を有する請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
存在するビニルアセテートから誘導される全ての単位の3%を超える量が加水分解されている請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
農薬が、水和剤及び分散性粒状物からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
農薬が、マンコゼブ、マネブ、ジラム、クロロタロニル、銅ヒドロキシド、マイクロブタニル、フェンブコナゾール、キャプタン、カルバリール、カルタップ、カルボフラン、テブフェノジド、ジコフォール,ジノキャップ、プロパニル及びオキシフルオルフェンからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
(a)少なくとも一つの農薬5〜90重量%;
(b)エマルジョンで調製された少なくとも一つの水不溶性高分子量ポリマー5〜80重量%;及び
(c)2,000amuを超える分子量を有する少なくとも一つの水溶性ポリマー1〜40重量%;
を含み、疎水性基材上に噴霧すると、ポリマーを有しない組成物と比較して、雨による洗い流しに対する改良された耐性を有する、水中で40ミクロンより小さな粒子に分散する固体組成物。


【公開番号】特開2011−93932(P2011−93932A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11271(P2011−11271)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【分割の表示】特願平10−66055の分割
【原出願日】平成10年3月3日(1998.3.3)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】