迅速な血液の圧出およびサンプリング
体液を受け取るための採取ゾーンを有する皮膚穿刺部材を含む体液サンプリング装置で、該装置はさらに採取ゾーンから離れて置かれた液体受け取り手段を含む。これは採取ゾーンにある体液が体液受け取り手段に初めは接触しないようにするためである。採取ゾーンは0.5秒未満の大変短い時間でおよそ10〜500nlのごく少量の体液を吸収する。液体受け取り手段は分析用の反応を行うための検査ゾーンを有する場合もある。液体を検査ゾーンに触れさせるために、採取ゾーンからの液体サンプルは自動的にまたは手動で液体受け取り手段へと運ばれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して体液サンプルの採取および分析の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば血中グルコースやコレステロールなどのための移動式血液検査装置は、利便性の改善により家庭診断、医学および/または獣医学の環境において人気を得た。移動式検査における1つの重大な欠点は、体液を採取するための皮膚の穿刺に伴う痛みである。痛みは浅い深さで皮膚に貫入することで減少され得るが、取り出される血液および/または間隙の体液は一般的に少なくなる。家庭診断のマーケットに関しては、消費者は日々の活動への妨げを最小限にするため、痛みがなく、便利で、短時間の検査を望む。今日のマーケットにおいて、切り離されたランセットおよび検査ストリップが体液の採取および分析に使用されるような非一体化型検査製品が普及している。しかしながら検査を確実に成功するためには、これらの非一体化型検査製品は通常比較的多くのサンプル量を必要とし、それゆえ痛みを伴う深い穿刺が必要である。含まれている分離した処置の数のために、これらの非一体化型検査製品はあまり便利ではなく、好結果な検査を行うためにはかなりの時間を必要とする。
【0003】
穿刺、液体の採取、およびサンプル分析の段階が単一の装置中でほぼ同時に起きるように、検査ストリップなどの検査手段にランセットまたは針が組み込まれた、一体化型使い捨て用品が提案されてきた。一体化型使い捨て用品はより便利でより少量の血液を浅い深さで採取できるが、いくつかの要因によりいまだに商業的な成功を収めていない。商業的に成功した一体化型使い捨て用品はいくつかの要因のために提供されてこなかった。1つの主要な要因は一体化型使い捨て用品の現用のバッチの、検査成功率の低さである。現行の検査方法は切り離されたランセットおよび検査ストリップを使用している。従来の検査ではランセットが皮膚を穿刺するために使用され、血液の滴が皮膚上に生じたら切り離された検査ストリップがサンプルを採取および分析を行うために使用される。このような現行の検査方法では、検査段階の1つに問題があると判明すると、手順全てを諦める必要なく有用な検査がなされるように他の段階またはオプションがとられる。言い換えれば、従来の非一体化型の方法では、使用者は正確な検査を行うために一連の検査過程の間に介入できる。例えば、使用者は検査ストリップを無駄にすることなく、付加的な液体を圧出するために皮膚を再度穿刺したり穿刺箇所の周りをつまんだりできる。対照的に、一体化型使い捨て用品における体液の採取失敗の様々な原因は、該装置が事実上累積式のもので1つの検査の失敗が一体型使い捨て用品全てを無駄にしてしまうということである。一般的に一体化型使い捨て用品では、皮膚の穿刺、液体の採取、該液体の分析という様々な操作段階の全てが完全に行われるように、使用者は一度のみ操作を行う。もし1つの操作段階が成功しなかった場合、検査全体が失敗し、一体型使い捨て用品は無駄となって新しいものと取り替えられ、ゆえに一体化型システムのいくつかの利点を除く。認識されるべきことは、これらの検査の失敗はシステムの操作コストを大変高額にし得るということである。さらに、検査を成功させるために複数回検査を行わなければならないことは、使用者に不満を抱かせる。
【0004】
それゆえ、本技術分野において改良の必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
前述した問題の観点において、本発明者は一体化型使い捨て用品で液体を採取し、高い採取の成功率を達成することの問題は、反射行為が生じる前に皮膚を穿刺し、体液を採取することで解決されるということを発見した。反射行為は通常皮膚の穿刺に伴う痛みに反応してサンプル採取中に生じる。一例として、指を切ってしまった時、最初の性行は痛みの原因から指を離そうと指を引っ込めることである。この反射行為は多くの場合にさらなる怪我を避けるために有用であるが、反射的な動作は体液の採取および検査に不利益である可能性がある。特に、使用者は適切な量のサンプルが採取される前に、指または他の身体の部分を採取装置から急に引いたり動かしたりする可能性がある。さらに、指や他の身体の部分は痛みにより緊張する可能性があり、その結果血管を収縮させ関連する出血量が減る。反射的な動作はまた、装置を損傷させたり、装置から液体を奪ったりして検査の失敗を招く。一方で、反射行為が生じる前に体液を採取しランセットや針などの皮膚穿刺装置を皮膚または他の組織から取り除くことで、体液は高い成功率で採取され得る。
【0006】
現在の痛みに関する理論の下では、痛みに対する神経インパルスは1秒につき10メートル程度の速度(m/s)で伝わる。個体の大きさ、年齢、健康などによって、指で感知した痛みへの反応時間は200〜500ミリセカンド(ms)だと予測される。本発明者によって行われる検査では、検査した個体における痛みに対する最速の反応時間は150msほどであることが発見された。感知する痛みに加えて、反射行為は他の視覚的または知覚的な刺激などの知覚問題の結果としても生じる。例えば、光の閃光の開始を検知する単純な反応時間はおよそ200〜300msである。一流アスリートの聴覚的な刺激に対する反応時間は通常120〜160msの範囲内である。彼らの洞察力および検査結果により強化された結果から、本発明者は切開部から穿刺器具を200ms以内、より詳細には150ms以内に取り除くことが望ましいということを発見した。安全な緩衝液を提供するために、穿刺の全てのプロセスは100ms未満に行われることが望ましい。後述することであるが、本発明者は穿刺器具の最初の貫入から75ms以内に穿刺器具を抜き取ることで、体液サンプルを商業的な成功を収められるレベルで集めた。
【0007】
不正確な検査結果は一体化型装置における検査失敗の懸念となり得るだけでなく原因ともなり得る。前述したように、一体化型装置のための体液サンプルの量は比較的少なく、マイクロリットル未満の範囲内である。ある特定の実施例では、比較的短時間で正確な検査結果を達成できるにもかかわらず、サンプル量の範囲は20〜200ナノリットル(nl)である。これら少ない量のサンプルはより速い検査を可能にするが、不正確さを引き起こす多くの原因になりやすく、実施上の問題としては正確に体液を検査するための量制限が低くなる。本発明者はマイクロリットル未満またはナノリットルの範囲におけるサンプル中の不正確な検査結果を招く1つの原因は液体の採取および分析の間の、液体の蒸発により起こるということを発見した。これらの微小な検査量では、容量中のわずかな変異すら被検体における濃度測定に重大な違いを生じさせる。開放式のキャピラリーチャネルを備えた一体化型装置は特に液体の蒸発に関する問題に影響を受けやすい。開放式のキャピラリーチャネルを備えた一体化型装置において、サンプル量が1マイクロリットル未満の際に生じる不正確な検査結果に関する問題は、皮膚の穿刺から500ms以内にサンプルを抜き取りサンプル分析手段の上に置くことで解決される。他の態様では、液体は蒸発をさらに軽減するために150または200ms以内に置かれ、さらなる態様では、100ms以内および75ms以内に置かれ、さらなる利益を提供する。採取した液体をこのように迅速な方法で置くことで最小限の蒸発しか生じず、それゆえより正確な結果を導く。
【0008】
一体化型装置において短時間で高い液体採取成功率を達成するために、本発明者は少なくとも3つの一般的な要因が好結果の液体採取に寄与することを発見した。その要因とは穿刺器具の先端のデザイン、穿刺プロフィール、皮膚に対して使用される力の量である。さらに本発明者は、上述した要因のどれもが、1つのみでは一貫した迅速な液体採取を導かないということを発見した。かわりに、これら要因の特定の組み合わせおよび水準が必要とされた。特に本発明者は、高い採取成功率を達成するために液体を採取することの問題は、皮膚の下にある液体を加圧することで体液が容易にキャピラリーチャネルに導かれて解決されるということを発見した。該キャピラリーチャネルは穿刺器具の先端からのチャネル入口オフセットを有し、反射行為が起こる前に皮膚から完全に取り除かれた穿刺器具で皮膚に貫入する間よりも遅い速度で穿刺器具を皮膚から抜き取る。
【0009】
キャピラリーチャネルが液体を採取しなければならない比較的短い時間枠を考えると、穿刺器具中のキャピラリーチャネルは皮膚から抜き取られる前に充分満ちない場合もあるかもしれない。採取された血液(および/または他の体液)の粘度または他の性質が、キャピラリーチャネルが満たされる速度を制限し得るという仮説が立てられる。被験者が穿刺器具による皮膚の穿刺に関する痛みに反応する前に検査に適した量の体液を採取することの問題は、穿刺器具を皮膚から抜き取った後に、キャピラリーチャネルを穿刺器具に付着した体液で完全に満たすことで解決される。言い換えれば、本発明者はキャピラリーチャネル内のサンプル全てを穿刺器具が抜き取られる前に集める必要はなく、キャピラリーチャネルの中のサンプルおよび/または穿刺器具を抜き取った後にキャピラリーチャネルに入ることができる位置にある、穿刺器具に付着したサンプルのみを集めればよいということを発見した。すでに示唆したように、穿刺器具の先端デザインが好結果の液体採取において役割を果たしているということが思いがけなく発見された。ある実施形態では穿刺器具の先端は、穿刺器具が皮膚および皮膚上にたまった液体から抜き取られた後も体液がキャピラリーチャネルの入口に付着したままになるようデザインされた。
【0010】
以前は液体採取速度において要因になるとは認識されていなかったが、キャピラリーチャネル入口のオフセットの距離が液体採取速度を速める要因であるということが意外にも発見された。ある特定の態様では、穿刺部材におけるキャピラリーチャネルの入口が当該穿刺部材の先端から特定の距離だけオフセットしている。本発明者はキャピラリーチャネルの入口が近すぎると、皮膚を穿刺することで生まれる痛みは受け入れ不能なほど高いということを発見した。さらに、短時間の穿刺時間に関係して、毛細管入口が先端に近すぎると検査に充分なサンプル量が得られないということが思いがけなく発見された。決定的な答えは得られていないが、本発明者はこの結果を説明するいくつかの理論を有している。1つの理論は、毛細管入口が先端に近いと皮膚の下にある液体が溜まる場所が少ししかないということである。もう1つの潜在的な理論は、毛細管入口が先端に相対的に近いことは液体が、穿刺器具が抜き取られた後も穿刺器具に付着することを防ぐということである。なぜなら穿刺器具上の液体は皮膚上の液体の滴および/または切開部の方に流れ、または付着するからである。キャピラリーチャネルの入口と穿刺器具の先端との間の距離が増加することは、溜められる量が増大するため採取の成功率を改善すると考えられた。しかしながら、キャピラリーチャネルの入口が穿刺器具の先端から離れすぎていることは、液体採取の成功率に不利益であるということが思いがけず発見された。この予期せぬ結果の実際の原因は不明であるが、キャピラリーチャネルの入口が離れすぎていて切開部からの少量の液体しか穿刺器具が抜き取られる前にキャピラリーチャネルの入口に付着できなかった可能性がある。1つの態様においては、キャピラリーチャネルの開口部または入口を先端から350〜600μmの間に位置付けることで望ましい採取成功率を提供したということが発見され、より詳細な実施形態では、キャピラリーチャネルの入口は先端から382〜5730μmに位置付けられた。1つの特定の実施形態では開口部は先端から425μmほどの所に望ましく位置付けられた。後に認識されるだろうが、この穿刺器具の先端デザインは迅速な液体採取の他の側面にも同様に有益である。
【0011】
迅速かつ正確な液体採取を達成するために、本発明者は圧力が皮膚に適用されるべきだということを発見した。詳細には、迅速に液体を表出するために10〜12ニュートン(N)の力が表出リングに適用される必要がある。12Nより大きい力が皮膚に適用されると、重大な痛みを生じさせおよび/または怪我に導く傾向にある。さらなる実験方法に関して、本発明者は8Nの力を適用することが商業的に受け入れ可能な結果を生み出し、いくつかの例では少なくとも6Nの力が表出リングにより適用され、迅速な液体採取が依然として実用的であったことを発見した。本質において、規定の力で皮膚に対抗して表出リングを押すことにより皮膚の下にある血液に圧力をかけ、それにより次はおそらく加圧された血液が迅速な方法でキャピラリーチャネルへと注入される。
【0012】
穿刺プロフィールもまた迅速な液体採取を促進するための要因だということが発見されている。詳細には、迅速に穿刺を行い抜き取りを長く行うことが痛みを最小限にするとともに液体採取を促進する傾向にあることがわかった。一定時間で抜き取ること、または皮膚の下で一定の滞留時間を経た後迅速に皮膚から抜き取ることはどちらも迅速な液体採取の目的に適しているということが発見されている。1つの特定の態様では、3〜5msで穿刺を行い、より長い70〜197msで抜き取ることが迅速で一貫した結果を達成した。穿刺の間、穿刺部材の一般的な挿入の深さは1.6mm程度に設定されたが、実際の挿入の深さは0.8mm〜1.2mmまで変化し得る。
【0013】
その他の態様は痛みを最小限にし、液体採取を強化するための穿刺部材の特定の大きさおよび表出部分の特定の特徴に関する。1つの態様では、先端が20°〜40°の挟角または羽根角を有し、より好ましくは30°ほどである。先端軸は300〜700μmの幅を有し、ある特定の形式では300μmほどの幅を有する。穿刺部材は50〜150μmの太さを有し、ある特定の形式では127μmほどの太さを有する。先端にあるキャピラリーチャネルは親水性で0.7〜1.6の縦横比(深さ/幅)を有し、ある特定の形式ではキャピラリーチャネルは1.4の縦横比を有する。
【0014】
他の特徴および利点は下記の詳細な説明により理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】1つの実施形態による一体化型測定システムの概略図である。
【図2】図1記載のシステムにおいて使用される微量サンプル採取器の上部から見た拡大平面図である。
【図3】図2記載の微量サンプル採取器の先端部分の拡大平面図である。
【図4】図2記載の微量サンプル採取器の先端部分の拡大側面図である。
【図5】図4の線5−5から先の、図2記載の微量サンプル採取器の横断面図である。
【図6】もう1つの実施形態による微量サンプル採取器の上部から見た拡大平面図である。
【図7】図2の微量サンプル採取器を組み込む表出組立て部品の斜視図である。
【図8】Oリング型表出リングの斜視図である。
【図9】ネガティブS字型(negative S type)の表出リングの斜視図である。
【図10】コーヌス型の表出リングの斜視図である。
【図11】ゴムにより覆われ成形された真鍮の表出リングの斜視図である。
【図12】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図13】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図14】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図15】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図16】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図17】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図18】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図19】1つの実施形態による、低速の連続的な抜き取りを行う穿刺プロフィールを描くグラフである。
【図20】もう1つの実施形態による、滞留段階のグラフである。
【図21】図2記載の微量サンプル採取器を使用して行われる実験に関する成功率を示すグラフである。
【図22】図8記載のOリング型表出リングを使用して行われる実験に関する成功率を示すグラフである。
【図23】図9記載のネガティブS字型の表出リングを使用して行われる実験に関する成功率を示すグラフである。
【図24】図10記載のコーヌス型の表出リングを使用して行われる実験に関する成功率を示すグラフである。
【図25】図11記載の硬性リング型の表出リングを使用して行われる実験に関する成功率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の原理の理解を促進するために、図面に記載された実施形態および実施形態を説明するために使用される特定の用語に言及する。しかしながら本発明の範囲を限定する意図ではないと理解されたい。記載された実施形態においてあらゆる変更や修正およびここに記載された本発明の原理のさらなる応用は、本発明に関する分野の技術者により通常予期されることである。
【0017】
すでに詳細に説明したように、商業上現実味がある一体化型検査装置を開発することは、診断に関する産業における目標であった。「一体化型装置」という語は通例産業において、体液(血液や間質液)を検査するのに必要な様々な段階の全てを自動的に行う装置を言及して使用される。一体化型装置におけるこれらの段階は通常皮膚または他の組織の穿刺、皮膚からの体液サンプルの抜き取り、サンプルの検査、および任意の切開部からの体液生成の表出または促進を含む。一体化型装置は商業的に販売されてきたが、メディセンス社(登録商標)のSOF−TACT(商標)のような糖尿病管理システムなどこれらの一体化型装置は、装置のかさ高性および検査成功率の低さを含むいくつかの理由によりこれまでのところ市場において失敗してきた。すでに示唆したように、検査の信頼度または成功は一体化型装置において特に重要である。なぜなら、自動で行うという性質上検査の誤りを検査途中で正すことは大変難しいからである。
【0018】
交差汚染の問題を防ぐために、検査ごとに体液に触れる様々な部品が廃棄され、新しいものと取り替えられる一体化型使い捨て用品が提案されてきた。これらの一体化型使い捨て用品は一般的に少量のサンプル量を分析および採取できるので、体液が身体から採取される際の柔軟性を高めると共に採取に伴う痛みを減らすことができる。産業において、「使い捨て用品」という語は一般に、皮膚の穿刺、サンプル抜き取り、少なくとも部分的なサンプルの分析などの検査段階をほとんどまたは全て行う比較的小さく安価な装置を指す。一体化型使い捨て用品は通常ランセットや針のようなある種の穿刺手段を、サンプル分析のための検査ストリップおよび/または薬剤のような検査または分析手段と共に組み込む。一体化型使い捨て用品における検査手段は液体を検査するため一般に電極、酵素、試薬、媒介物質などを含む。一体化型使い捨て用品が備えられる計測器は電子機器やディスプレイなどを含み、一体化型使い捨て用品の検査手段は電気化学および/または光度計測の技術などの、いくつもの分析手段を用いてサンプルの分析を容易にする。通常、計測器はより高価な部品を含むが、一体化型使い捨て用品は使用ごとに使い捨てできるあまり高価でない部品を含んでいる。ほとんどの例において、検査手段は何らかの形で穿刺手段に固定されているが、いくつかの一体化型使い捨て用品のデザインでは穿刺手段と検査手段が検査中に少しの間だけ接する。
【0019】
一体化型使い捨て用品は特定のデザイン区分へとさらに下位区分に分けられる。いくつかのより一般的な一体化型使い捨て用品のタイプは検査要素に統合されたランセット(略称、LITs)および微量サンプル採取器を含む。LITsは通常、検査ストリップが固定式または可動式どちらかの方法でランセットに取り付けられる一体化型使い捨て用品だと考えられる。LITsは一般的に血吸いコウモリと類似した方法で皮膚の表面から体液を採取する。一方で微量サンプル採取器は一般的に蚊と類似した方法で皮膚の下にある体液のほとんどを採取する。「微量サンプル採取器」という語は一般的に機能上針と似ており、検査手段に取り付けられ、もしくは検査手段と結合する穿刺部材を備えた一体化型使い捨て用品を言及する。微量サンプル採取器にある穿刺部材は体液を皮膚の下から検査手段へと導くキャピラリーチャネルを有する。微量サンプル採取器中のキャピラリーチャネルは閉鎖式のデザインでも開放式のデザインでも両方の組み合わせでもよい。閉鎖式のキャピラリーチャネルデザインでは先端にあるキャピラリーチャネルの端のみが外部に開かれており、液体を採取できる。一方で、開放式のキャピラリーチャネルデザインではキャピラリーチャネル全体が外部に開かれており、液体を採取できる。開放式のキャピラリーチャネルデザインは製造を単純化すると共に液体採取を改善する。なぜなら液体はチャネルの長さ全体および皮膚の表面上部に渡って採取されるからである。しかしながら、本発明者はいくつかの例においては検査結果に影響し得る、これら開放式のキャピラリーチャネルデザインの問題を発見した。詳細には、一般的にマイクロリットル未満(1μl未満)の範囲で液体を採取する微量サンプル採取器では、20〜200nlの間のいくつかの例で開放式のキャピラリーチャネルに沿ってかなりわずかではあるが蒸発が見られ濃度の値を変える可能性があり、ゆえに検査結果に不利益に影響するということを本発明者が発見した。開放式のキャピラリーチャネルは蒸発を促す比較的大きなサンプルの表面積を生むことがわかった。本発明者は、サンプルを抜き取り迅速に検査手段の上に置くことが蒸発の影響を大きく減らすとういことを発見した。特に、本発明者は最初の皮膚の穿刺から500ms以内にサンプルを検査手段の上に置くことが蒸発を減らすということを見つけた。そのように迅速に液体を置くことが可能なのかどうかという疑問が生じる。しかしながら、150msまたは200ms以内でさえも液体を置くことが可能であるということが発見されておりさらに蒸発を減らす。また、100msまたは75ms以内で置くことはさらなる利益を提供した。
【0020】
すでに記したように、商業的な成功が見込める一体化型装置を達成するための主な障害の1つは、一貫した基礎に基づいて液体サンプルを確実に採取する能力である。従来の非一体化の方法では、使用者は検査が成功して行われることを確実にするために採取のプロセスにおいて介入できる。一体化型装置、特に一体化型使い捨て用品は自動的に液体採取の段階を行うため、一般的には成功を確実にするために液体採取段階を繰り返す余裕がない。高い液体採取の成功率は一体化型装置が商業上現実味のあるものになるかを決定する主要な要因の1つである。採取の成功率を決定する目的で、採取された体液サンプルが、検査手段が正確に体液サンプルを分析するのに充分な量である場合検査は成功と見なされる。検査手段にとっての充分な量は使用される検査技術による。光度計測および電気化学の検査ストリップのような、今日流通する検査ストリップのほとんどは、1μl未満の量を有する体液サンプルを10秒未満または5秒以内に適切に分析できる。しかしながら、サンプル量が少なすぎると正確な検査結果を達成できない。言い換えれば今日の検査技術は正確な液体の分析に必要な液体量の最小値について制限を有する。現在の商品は最小値として200〜300nlほどの体液を正確に検査できる。今日の科学技術/化学を用いればこの正確な検査に必要な量の最小値は20nlにまで減らせるが、今のところ、20nlより少ないサンプル量はどれも一貫した基礎に基づく正確な検査結果を生み出せていない。商業的に受容可能な一体化型装置の、液体採取成功率の最小の要求値は少なくとも80%ほどである必要がある。実践上の問題から、商業上の成功が見込める一体化型装置のためには、成功率は95%以上であるべきである。現在、本発明者によればこれらの高い液体採取成功率を実際の生活環境で達成できる市販の一体化型使い捨て用品または他の一体化型装置は1つも確認されていない。
【0021】
実際の環境において液体検査の成功に不利益である主な要因の1つは、皮膚の穿刺の際に感じた痛みの結果として生じる反射行為であるということを本発明者は発見した。一体化型装置を用いて液体を採取し商業上受け入れ可能な採取成功率を達成することの問題は、反射行為が生じる前に皮膚を穿刺し、皮膚から体液を採取し、皮膚から穿刺部材を取り除くことで解決されるということがわかった。予想される最悪の筋書では、反射行為が最初の皮膚穿刺から200ms以内に生じることが個体によっては考えられる。それゆえ、本発明者は最初の皮膚穿刺から200ms以内ぐらいで、より詳しくは150ms以内ぐらいで切開部から穿刺部材を取り除くことが望ましいということを発見した。さらに成功率の高い検査は穿刺部材を最初に挿入してから100msさらには75ms以内で達成され、さらに安全な緩衝材を提供する。
【0022】
当初は数ナノリットルの液体の内の極微量が迅速な方法で採取され得ると考えられたが、現実的には、採取されたサンプル量は正確な検査には少なすぎるだろう。すでに記したように、液体採取は採取された液体の量が正確な検査を行うのに充分な場合のみ成功すると考えられ、その数値は現在の科学技術の下では20nl〜200nlであり、理想の状況下で理論上は20nl、実際の検査状況下での最小値で200nlである。多くの予期し得なかった結果の1つは、すべての液体が、穿刺部材が皮膚から抜き取られたと同時にキャピラリーチャネルの中にある必要はないというものであった。むしろ、体液は皮膚から穿刺部材が抜き取られたと同時にキャピラリーチャネルの外にある穿刺部材に付着し、後でキャピラリーチャネルに導かれる可能性がある。開放式のキャピラリーチャネルデザインの穿刺部材は、液体がキャピラリーチャネルの長さ全体に渡って導かれるので、この点で役に立った。
【0023】
一体化型装置において短時間で高い液体採取成功率を達成するために、本発明者は皮膚に対して適用される力の量、穿刺部材の先端デザイン、穿刺プロフィールという3つの一般的な要因が成功する液体採取に貢献するということを発見した。さらに、本発明者は上記の要因のどれもが1つのみでは一貫した迅速な液体採取を導かないということも発見した。これらの要因の特定の組み合わせおよび水準が必要とされた。特に、そのような短い期間で商業的に受け入れ可能な基礎に基づき成功する液体採取が生じるためには、体液を加圧するために少なくとも6Nの力が皮膚に対して適用され、キャピラリーチャネルの入口は先端から350〜600μmの間に置かれ、抜き取りの時間は穿刺の時間より長くあるべきである。
【0024】
迅速なサンプル採取および/または配置を達成するための1つの実施形態による一体化型装置またはシステム30は図1に記載されている。図1に見られるように、システム30は分析結果および他の情報を提供するためにディスプレイ50を備えた計測器40、計測器への入力データを管理する少なくとも1つのボタン60、および発射装置(firing mechanism)70を含む。計測器40はさらにあらかじめ定められた力で皮膚を押すと同時に発射装置70を作動させる、圧力に反応するトリガー80を組み込む。そのような計測器および圧力に反応するトリガーの一例はDouglasに与えられた米国特許第6,319,210号明細書に記載されており、これより該特許全体を参考文献として取り込む。圧力に反応するトリガーは他の方法でも構成され得る。例えば、圧力に反応するトリガー80は機械的なものでも、電気的なものでも、両方の組み合わせでもよい。ある態様では、トリガー80はオペレータが手動で発射装置70を発射することを認める安全装置を解除し、一方で他の実施形態では、あらかじめ定められた力が適用されるとディスプレイ50が、発射装置70が発射する指標を提供する。システム30はさらに皮膚の下にある液体を圧出するために使用される表出または液体圧出部分90および皮膚を穿刺し液体サンプルを分析する一体化型使い捨て用品100を組み込む。一体化型用品100は単体もしくは群としてカートリッジ、円筒形、車輪、小箱などで取り付けられおよび/または取り外される。認識されるべきことは、計測器30は他の実施形態ではより多い、もしくは少ない構成要素を備えられおよび/または異なるように形成されるということである。
【0025】
記載された実施形態においては、一体化型使い捨て用品100は微量サンプル採取器であるが、特定の特徴は他の型の一体化型使い捨て用品および装置での使用に適用され得るということが認識されるべきである。迅速な液体採取を行うために使用される微量サンプル採取器100の一例は、図2〜4に関して初めに説明される。認識されるであろうことだが、一体化型使い捨て用品の他の種類は、記載された微量サンプル採取器100から特徴を組みこむように変更され得る。他の種類の一体化型使い捨て用品と同様に、図2の微量サンプル採取器は一般的には切り口を形成し、液体サンプルを抜き取り、集めた液体サンプルを分析するように構成された、単一使用の装置である。微量サンプル採取器100は個々にまたは一群で(例えばカートリッジで)、その後発射装置70を介して微量サンプル採取器を皮膚へと発射する計測器40または穿刺装置へと取り付けられる。個々に取り付けられる場合、微量サンプル採取器は通常交差汚染の危険性を最小限にするために各検査の後計測器から取り外され、捨てられる。カートリッジ、小箱、円筒形などで積載される場合は、カートリッジ全体が微量サンプル採取器100の全てもしくはほとんどが使用された後で取り外され、適切に捨てられる。微量サンプル採取器のカートリッジデザインの例については、これより引用文献として取り入れられる2006年10月13日に提出された米国特許出願第11/549,302号明細書を参照されたい。
【0026】
図2は微量サンプル採取器の平面図である。見ての通り、微量サンプル採取器100は本体部分102、本体102から伸びるシャンクまたはシャフト部分104および切開部を切るために鋭くされたシャフト104の端にある先端106を含む。本体102は発射装置と連動する開口部108を有し、開口部108では測定器40の発射装置70が皮膚または他の組織へ穿刺する間微量サンプル採取器100を支える。認識されるべきは、微量サンプル採取器100は他の方法でも発射装置70に固定され、また機械的に発射装置に取り付けなくても電磁力の使用などを通して間接的に発射されるということである。本体102はさらに液体サンプルが採取され検査装置または分析手段111を介して分析されるサンプル分析空間またはチャンバ110をもつ。微量サンプル採取器100にある該検査装置111は試薬、酵素、媒介物質などの化学的性質を含み、同様に電極など、液体サンプルを分析するための他の関連する構成要素も含む。もう1つの形状では、分析チャンバ110は分析の目的でサンプルを分離する検査ストリップに置くための採取地点としても使用され得る。どちらにしろ、液体サンプルはあらゆる分析技術を通して分析され、ほんの2、3例を挙げると電気化学(例えば電流滴定や電解電量など)および/または光度計測の分析技術などである。液体は10秒未満で、さらには0、1〜6秒以内でも迅速に分析され得る。このような迅速に分析を行う技術は米国特許第7,276,146号明細書に記載されており、これより参考文献として組み込まれる。さらに図2に関して、毛細管現象を通して血液サンプルを移動させるよう構成されたキャピラリーチャネル112は先端106から検査装置に隣接する分析チャンバ110までのシャフト104に沿って伸びる。微量サンプル採取器100は金属、セラミックおよび/またはプラスティックなどの様々な物質で製造されるが、1つの実施形態における微量サンプル採取器100は外科的な品等のステンレススチールで製造される。通常、外科的な品等のステンレススチールは疎水性であり、疎水性の場合サンプル分析チャンバ110に沿うキャピラリーチャネル112は全体的または部分的に毛細管現象を促進する親水性に処理および/または製造される。
【0027】
前述のように、特に先端106に近い微量サンプル採取器100の寸法および構造が痛みを減じるとともに、比較的短い期間(反射行為が生じる前)での採取成功率を大きく改良することで液体採取を強化する。図3は微量サンプル採取器100の先端106に近いシャフト104の拡大平面図を描き、図4は先端106に近いシャフト104の側面図を描く。見てのとおり、微量サンプル採取器100は挟角または羽根角116を形成するために先端106で交差する2つの鋭い切刃114を有する。1つの形状では、羽根角116は20°〜40°であり、ある特定の形状では、羽根角116は30°ほどである。切刃114は先端106から離れ、シャフト104の向かい合う平行な側面118へと移動する。側面118でシャフト104は300〜700μmの幅120をもち、ある特定の形状では300μmほどの幅をもつ。ある実施形態での微量サンプル採取器100は50〜150μmの厚み119をもち、ある特定の形状では127μmほどの厚み119をもつ。
【0028】
図3および図4を見ると、シャフト104の側面118はキャピラリーチャネル112を定義付ける側壁122をもつ。キャピラリーチャネル112は側壁122と共に処理、コーティングおよび/または別の方法による親水性への処理がなされ、これは毛細管現象を通して抜き取られる体液を増すためである。キャピラリーチャネル112は毛細管現象を通して切開部から分析チャンバ110へと体液サンプルを引き寄せるような大きさに作られ構成される。キャピラリーチャネル112が開かれた状態で、体液は該チャネル全体にわたって採取される。これは単一の開口部を通って液体を抜き取る従来の(閉鎖式の)皮下針とはっきりと対照をなす。切り込まれる皮膚の下の毛細管(または血管)の区域は無原則なものなので、切開部内の血液または他の体液の区域は必然的でない場合さえある可能性がある。言い換えれば、他の場所よりも多い液体を供給し得る切開部に沿った場所があるかもしれない。キャピラリーチャネル112が開かれた状態で、微量サンプル採取器100が引き抜かれる間に供給の多い場所から過剰な血液が拭われ、または長さに沿ってキャピラリーチャネル112に引き寄せられ得る。
【0029】
記載された実施形態においては、側壁122は先端106まで完全には伸びておらず、むしろ開口部124が側壁122の端128により定義付けられるキャピラリーチャネル112の開口部126と微量サンプル採取器100の先端106の間に形成される。図4に記載されているように側壁122の端と先端106の間で、微量サンプル採取器100は微量サンプル採取器100の下部134に関する角度132で伸びる開口部124で壁部130を曲げる。1つの形状においては、角のある壁部の角度132は35°ほどである。記されるべきは、キャピラリーチャネル112に沿う横壁122は一般的に毛細管現象を通して体液を抜き取るために充分な高さを有する。一方、開口部124に沿う角度のある壁部130は一般的には毛細管現象を通して液体を抜き取るには不充分な接触域を有する。そのため横壁122の端128がキャピラリーチャネル112の開口部126を定義付け、横壁122の端128と先端106との間の部分が開口部124と考えられる。代わりにまたは付加的に、他の実施形態における開口部124は疎水性か、あるいは開口部124に沿う毛細管現象を阻害するように製造される。ある形状では、開口部124は先端106からキャピラリーチャネルの開口部126(または端128)までの距離として定義付けられる350〜600μmの長さ136を有し、ある特定の実施形態においては、チャネル開口部126は先端106〜425μmほどのところに位置付けられる。後述されることであるが、開口部124の長さ136が液体サンプル採取を成功させるために必要な時間をかなり減少させるということが思いがけなく発見された。
【0030】
前述のように、キャピラリーチャネル112は親水性で、毛細管現象を通して体液サンプルを切開部から分析チャンバ110へと導くような大きさにされる。一般的には、毛細管現象はサンプルとキャピラリーチャネルの間の癒着力と共に抜き取られる液体(サンプル)の表面張力に基づく。とりわけ、キャピラリーチャネル112の壁にサンプルが癒着することはサンプルの端が前に移動することを引き起こし、ゆえに凸形状のメニスカスを生じさせる。サンプルの表面張力は表面を無傷の状態に保つので、端だけの移動ではなくサンプルの表面全体がキャピラリーチャネル112へとさらに移動する。認識されるべきは、サンプルのメニスカスとチャネルの壁が全体に接触することはサンプルと壁の間の癒着力を調整する要因の1つであるということである。該癒着力はその後毛細管現象が生じているか否かと共に毛管流の範囲および毛管流率を決定する。開放式のキャピラリーチャネルデザインではサンプルと壁との癒着力全体を減らすために、通常癒着力を生じさせる側面の1つが取り除かれる。微量サンプル採取器におけるキャピラリーチャネル112の壁は迅速な毛細管現象が生じるように、この影響を相殺するような大きさにされる。図5は図4の線5−5から前のキャピラリーチャネルの横断面図を示す。キャピラリーチャネル112は深さ138と幅140の両方を有する。1つの実施形態では、深さ138が0.501mmほどで幅が0.358mmほどである。キャピラリーチャネル112の縦横比は幅140で割られた深さ138である。ある形状においては、キャピラリーチャネル112は親水性で0.7〜1.6の縦横比(深さ138/幅140)をもち、ある特定の形状においてはキャピラリーチャネルは1.4ほどの縦横比をもつ。上記の開放式のキャピラリーチャネルデザインにおける縦横比は血液と同様の粘度を有する体液サンプルで迅速な液体採取を促進することが発見された。
【0031】
図6は本体、シャフト104、先端106およびキャピラリーチャネル112のようないくつかの特徴を図2の微量サンプル採取器と共有する微量サンプル採取器142を示す。図6の微量サンプル採取器142の様々な大きさおよび特徴は図3および図4に記載されたものと同様である。分析チャンバ110および本体102の全体の形状はしかしながら、前記のものとは異なる形状である。とりわけ、図6の分析チャンバ110は液体が検査要素の上に溜まることを許容する開口部の形状である。さらに、図6の微量サンプル採取器142はより確実な発射の安定性を提供するために、開口部108に接続する発射装置を1つではなく2つ有する。
【0032】
反射行為が生じる前に体液が採取されるように液体採取時間を減じる目的で、切開部の周りの液体を加圧することで切開部からの出血率を増加する液体表出が使用される。本発明者の調査の間、迅速な液体採取のための成功率に関して様々な種類の表出部分90の効果が調査された。様々な表出部分に関する発明者の発見は以下に詳説されるだろう。図7〜11は図1のシステムと結合して皮膚の下の体液を圧出するために使用される、他の様々な種類の表出部分90の例を示す。
【0033】
図7は微量サンプル採取器100および体液を表出するために使用される表出ユニットまたは表出部分146を含む表出部品144を示す。表出ユニット146は巻きつけ式のデザインを有するため、該ユニット146は液体表出の間指などの身体の部分を覆うことができる。見てのとおり、表出ユニットは身体の一部を受け入れる空洞150の周りに伸びる、カフス型の本体148を有する。切開部分の開口部152は、微量サンプル採取器100またはランセットや針などの他の切開部形成手段が切開部を形成することを許容する本体148の中に定義付けられる。1つの形状では、切開部分の開口部152の内径は4.0〜7.0mmである。空洞150の内部で、表出ユニット146は切開部分の開口部152を囲む円錐部分154を有する。円錐部分154の周りに、表出ユニット146は切開部の周りにある体液の抑留を促進する分離リング156を有する。記載された実施形態において、分離リングは鞍型であり、表出ユニット146の内部表面から突出する。
【0034】
図8はOリング型の表出部分またはOリングを半硬物質の硬さで使用するリング160を描く。このようなOリング型表出リングの一例は2006年8月26日に提出された米国特許出願第11/466,202号明細書で説明されており、これより該特許全体を参考文献として取り込む。図9はネガティブS字型表出リングまたは硬性の物質の硬さを有する部分162を描く。ネガティブS字型表出リング162の形状全体に関するさらなる説明についてはこれより特許全体が参考文献として取り込まれる、2005年9月29日に公開された米国特許出願公開第2005/0215923号明細書を参照されたい。図10は「コーヌス」または軟性の円錐型表出部分もしくは可変性または軟性の物質で生成されるリング164を描く(ショア硬度Aの35)。ゴムに覆われて成形された金属の表出リング166は図11で描かれ、通常表出リング166は剛性を有する。認識されるべきは、図11の硬性の表出リングはスチールや鉄などにより生成され、様々なプラスティックなど他の種類の弾性物質で覆われ得るということである。図8〜11の表出部分90は全て内径5.5mmをもつ。図8のOリング型表出リング160、図9のネガティブS字型表出リング162、図10のコーヌス表出リングおよび図11の硬性の表出リング166の外径はそれぞれ9.8、10.0、10.7、8.3mmである。
【0035】
理解および認識を促すために、迅速に液体サンプルを採取する全般的な技術はまず図12〜18に関して説明され、その後反射行為が生じる前に商業的に成功できる体液採取を達成するために必要な特定の態様について詳細な考察がなされる。図12〜18は様々な液体採取段階にある微量サンプル採取器100の拡大斜視図を描く。体液を採取する技術は指168からの体液採取に関して記述されるが、液体は他の身体の部位からも同様に採取され得るということを認識されたい。さらに、該技術は図2の微量サンプル採取器100に関して記述されるが、他の種類の一体化型装置または使い捨て用品もこの技術を伴って使用され得る。切開部を形成する前に、表出部分90は図12で描かれるように指168に対して押圧される。表出部分90は指168上の望ましい切開部分170に対して充分な力で押圧され、それにより表出部分90は穿刺の間に切開部分170から血液(および/または間質液)が漏れ出ることを制限するために分離領域の周界を決定する。周界の力は皮膚に分離した灌流域を作り出すために表出部分90によって短時間適用される。図13を見ると、微量サンプル採取器100は先端106が表出部分90の開口部を通って伸び、比較的短い時間で皮膚168を1つまたはそれ以上の毛細管を切断するのに充分な深さまで切断するように発射装置70により発射される。1つの形状では、微量サンプル採取器100は1.2m/sと等しいまたはそれよりも速い速度で発射され、最適速度は1.5m/sである。微量サンプル採取器100は最大の貫入の深さまで5ms以内で到達し、好適には3ms以内である。このような迅速な穿刺が痛みを最小限にすることが発見された。
【0036】
最初の貫入の間にいくらかの体液がキャピラリーチャネル上に集まるかもしれないが、ほとんどの液体は貫入の深さが最大まで到達した後で採取される。貫入の深さが最大まで到達した後、微量サンプル採取器100の先端106は深さが最大のところに残るまたは滞留するか、または部分的に引き抜かれるものの皮膚168の表面の下に滞留する。本発明者は少なくとも開放式のキャピラリーチャネル112の一部分が微量サンプル採取器100の最初の穿刺よりも長い時間の間皮膚の内部に滞留することが、迅速な液体採取をかなり改善するということを発見した。キャピラリーチャネルがとどまっている間、微量サンプル採取器は停止したままでもよいし皮膚168から抜き取られる過程にあってもよい。
【0037】
使用される一体化型使い捨て用品によって、液体採取はいくつかの方法で生じ得る。例えば、液体採取は蚊のように皮膚168の下に生じることもあれば血吸いコウモリのように皮膚168の上に生じることもあり、両方の技術を組み合わせて使用する場合もある。例えば、前述した微量サンプル採取器100は皮膚表面の下および/または上の体液を採取できるが、選択された実施形態においては、微量サンプル採取器100は一般的には蚊のように皮膚の下にある体液のほとんどを採取する。微量サンプル採取器のキャピラリーチャネル112は、開放式のキャピラリーチャネル112が皮膚表面の上を伸び皮膚表面にたまる血液(または他の体液)を採取すると同時に、毛細管現象を介して皮膚の下にある血液を抜き取るようにその長さ全てに渡って開いている。より少量のサンプル量は貫入の深さをより浅くすることを認め、結果として穿刺の間に感じる痛みを和らげるので、分析のためのサンプルの量はできる限り少ないことが望ましい。さらに、少量のサンプル量は一般的に分析時間を早め、これは消費者にとって望ましい特性である。
【0038】
図14は先端106が皮膚168の下に滞留する間にキャピラリーチャネル112に引き寄せられる体液172を描く。符号番号174はキャピラリーチャネル112に沿って引き寄せられる体液172の前縁またはメニスカスを示す。より詳細については後に説明されるが、体液172のいくらかはキャピラリーチャネルの外側の微量サンプル採取器100に付着したままであり、これは液体が後でキャピラリーチャネル112に引き寄せられる場所である。体液172の一滴またはそれ以上の滴176はキャピラリーチャネル112に沿っておよび/または皮膚168の上に形成し得る。図15に見られるように、一滴の滴176は先端106が皮膚168から抜き取られそうになると微量サンプル採取器100のシャフト104に沿って皮膚168上に形成する。特に、滴176はキャピラリーチャネルの開口部126の近くに形成する。滴176は他の場所でも同様に形成され得る。図16を見ると、体液172の2滴目178(または気泡の場合もある)は本体102と微量サンプル採取器100にあるシャフト104との間の移行部に形成される。滴の形成を容易にするために、シャフト104および/またはキャピラリーチャネル112に沿う部分などの微量サンプル採取器100の部分は親水性に処理されるか、他の方法で親水性にされ得る。体液172がキャピラリーチャネル112および/または開口部124に引き寄せられないような微量サンプル採取器100の他の場所は疎水性に処理されるか、他の方法で疎水性にされ得、これにより選択された場所における滴の形成を阻害する。
【0039】
前述したように、微量サンプル採取器100にある開口部124の特定の大きさが、迅速な液体採取を促進する一因になるということが思いがけなく発見された。絶対的に確かなことでなないが、開口部124が体液172の滴176を微量サンプル採取器100のキャピラリーチャネル入口126で保持することにおいて役割を果たす可能性があると考えられている。これは微量サンプル採取器100が皮膚168から取り除かれた後にキャピラリーチャネル112に引き寄せられるようにするためである。図16に関して、キャピラリーチャネル入口126の滴176は開口部124で皮膚上の滴180から分離する。図16、17に描かれているように、開口部124は微量サンプル採取器100上の滴176および皮膚168上の滴180が、皮膚168上の滴180が体液172を微量サンプル採取器100上の滴176から抜き取ることなしに分離することを認めるということが理論づけられる。微量サンプル採取器100は一般的には反射反応の時間内に皮膚168から完全に抜き取られ、反射反応の時間は個体によるがおよそ100〜200ms以内である。先端106が皮膚168から抜き取られる時、滴176は微量サンプル採取器100の上でキャピラリーチャネル126の周りに滞留する。微量サンプル採取器100を皮膚168から抜き取る前、抜き取る間、または抜き取った後に、表出部分90により加えられていた力は緩められる。
【0040】
微量サンプル採取器100の滴176、178は本質的には微量サンプル採取器100上に貯蔵所を形成する。該貯蔵所はキャピラリーチャネル112の充填が、微量サンプル採取器100の先端106が皮膚168から抜き取られた後も継続することを認める。抜き取りの後もキャピラリーチャネル112を充填する能力は、微量サンプル採取器100が皮膚168を貫入し、反射行為が生じる前のように短い時間で抜き取られる場合でさえも、好結果の液体採取を容易にする。図17および18はどのようにして微量サンプル採取器100上の体液172の滴176、178がキャピラリーチャネル112の充填を完全にするかを描く。図17の体液172の前縁174によって分かるように、体液172はまだ完全にはキャピラリーチャネル112を満たしていないが、滴176(滴178も同様)は毛細管に引き寄せられ得る体液172の貯蔵を提供する。図18は一度キャピラリーチャネル入口126で滴176を形成した体液172が、体液172の前縁174がキャピラリーチャネル112の端に位置付けられるように、キャピラリーチャネル112を満たすことを示す。
【0041】
前述の図(図12〜18)の全てにおいて、体液172がキャピラリーチャネル112を充填する様子が簡単に見られるように検査装置111は示されていない。体液172は毛細管が部分的または完全に充填されると検査装置111の上に置かれ始め得るということが認識されるべきである。1つの実施形態では、キャピラリーチャネル112は正確な検査に必要な量と等しいまたはそれよりも多い量を有し、微量サンプル採取器100はキャピラリーチャネル112が体液172で満たされた後にのみ検査装置111の上に液体を置くよう構成される。
【0042】
前述のように、本発明者はマイクロリットル未満またはナノリットルの範囲のサンプルにおける不正確な検査結果の一因は液体採取および分析の間にサンプルが生じることによって起こるということを発見した。これら微小な検査量では、検査量中のわずかな変化も被検体の濃度測定において重大な違いを生じ得る。微小サンプル採取器100のキャピラリーチャネル112は蒸発しやすい開放式のデザインであるということが認識されるべきである。このような開放式のキャピラリーチャネルにおける蒸発の問題は、皮膚の穿刺から500ms以内にサンプルを抜き取りサンプル分析装置111に置くことで取り組まれる。他の態様では、液体はさらに蒸発を減らすために150〜200ms以内に置かれ、さらなる態様では100ms以内および75msでも置かれ、さらなる利益を提供する。採取された液体をこのように素早い方法で置くことにより最小限の蒸発のみが生じ、より正確な結果を導く。上記の時間は微量サンプル採取器100の皮膚168への最初の穿刺から測定される。ある実施形態では、これら時間の測定は検査のために充分な量の体液が検査装置111に置かれるとすぐに止められる。この終了時間は微量サンプル採取器100中にある滴を検出する装置などの使用を通して感知される。迅速な堆積は他の期間に基づいても測定され得るということを認識されたい。例えば、堆積時間はサンプルが検査手段の上に置かれおよび/または検査手段に吸収される前にどれぐらいの間空気にさらされていたかに基づくかもしれない。
【0043】
前述した、反射行為が生じる前に好結果の液体採取を達成するための一因は、切開部を形成する間微量サンプル採取器100を伸ばし、引き抜くために使用される穿刺または貫入のプロフィールである。概要は比較的短い穿刺または伸長段階およびそれに続く比較的長い微量サンプル採取器100の皮膚からの抜き取り段階を含むべきである。素早い貫入は痛みを減らすと共に抜き取りに使用できる時間を増やすと考えられる。一方でより長い抜き取り時間はキャピラリーチャネル112が皮膚の下に存在する時間を増やし、これは採取される液体を増加させると考えられる。
【0044】
図19は、迅速な方法で液体の見本を採る技術の1つによる、微量サンプル採取器100の穿刺プロフィールを説明するグラフ190を示す。グラフ190のX軸192は時間を表わし、Y軸194は微量サンプル採取器100の先端106の移動距離を表わす。輪郭線196は微量サンプル採取器100の穿刺プロフィールを描き、破線198は皮膚表面を表わす。見てのとおり、微量サンプル採取器100は発射され、貫入の深さの最大値に3ミリセカンド(ms)以内に到達する。本実施例では1.6〜1.7mmであるが、一度先端106が穿刺の深さの最大値に到達すると微量サンプル採取器100は一般的には一定の割合で抜き取られ始める。言い換えれば、本実施例の微量サンプル採取器100の先端106は一般的には皮膚から引き抜かれる前に、貫入の深さの最大値で滞留または存在しない。記載されている場合においては、先端106は一般的には連続的な割合で皮膚から抜き取られる前におよそ497msかかり、皮膚中での滞留時間の合計はおよそ500msである。微量サンプル採取器100の先端106が皮膚中で抜き取られる間、微量サンプル採取器100は体液を採取し、一度皮膚から取り除かれた後でも微量サンプル採取器100は少なくとも短い距離の間で皮膚の表面から液体を採取できる。
【0045】
図20は迅速な方法で液体の見本を採るもう1つの技術による、微量サンプル採取器100の穿刺プロフィールを説明するグラフ200を示す。輪郭線206は微量サンプル採取器100の穿刺プロフィールを描き、破線198は皮膚の表面を表わす。見てのとおり、サンプル採取器100の先端106はおよそ1.6〜1.7mmの貫入の深さの最大値に到達し、3msでおよそ0.8mmの深さまで引き抜かれる。先端106の部分的な抜き取りは切開部内に体液がたまることを促進し、その後キャピラリーチャネル112により採取され得る。微量サンプル採取器100の先端106はおよそ477msの間液体を採取するために0.8mmの深さで滞留し、その後微量サンプル採取器100の先端106はおよそ5ms以内で迅速に皮膚から取り除かれる。本実施例で微量サンプル採取器100が皮膚中にある合計時間はおよそ485msである。図20に記載した技術における素早い穿刺部材的な抜き取り、長い滞留時間および素早い完全な抜き取りの段階は好結果の迅速な液体採取を促進すると考えられている。特定の時間は他の実施例で変わり得る。
【0046】
1つの実験においては、微量サンプル採取器を充填する成功率は20人の被験者に関して評価され、各デザインにつき140本の微量サンプル採取器が含まれた。3種類の微量サンプル採取器のデザインA、B、Cが使用された。実際の実験では、微量サンプル採取器A、B、Cはそれぞれ微量サンプル採取器デザイン「87」、「88」、「89」と呼ばれた。微量サンプル採取器デザインA、B、Cは図2〜5に記載された微量サンプル採取器100と類似していた。しかしながら、先端106からキャピラリーチャネル入口126までの距離によって定義付けられる開口部124の長さ136は、これらのデザインでは異なっている(図3参照)。詳細には、微量サンプル採取器デザインA、B、Cの開口部124の長さ136はそれぞれ382μm、425μm、573μmであった。実験においては、4.5mmおよび8.6mmの長さをもつキャピラリーチャネル112が検査された。充填はキャピラリーチャネル112の長さ全体が体液で満たされた場合に成功したと考えられ、この場合血液も体液に含まれた。認識されるべきは、キャピラリーチャネル112の長さのほぼ全体が充填されなかった場合、血液を分析装置111に置くことは不可能であったということである。
【0047】
全ての被験者は1.6mmという同じ深さまで穿刺された。実験においては、表出部品144(または「コーヌス」と呼ばれる場合もある)は液体表出のために被験者の指に10Nの力を加えた。力は切開部が形成される前に、皮膚中の液体を圧出するために表出ユニット146と共に指へ加えられた。この力は切開部が切られる時およびサンプル採取の間絶えず加えられた。前述した図19のグラフ190は本実験で使用される穿刺プロフィールの一例を示す。概要の内、穿刺部材は比較的速く一定で、微量サンプル採取器の抜き取りは比較的遅い連続的な単一段階であった。ある実施例においては、最初の接触時点での微量サンプル採取器100の速度は1.3m/s以上で、微量サンプル採取器100の先端106は穿刺の深さの最大値である1.6mmに3〜5msで到達した。抜き取り時間は25ミリセカンド〜500ミリセカンドまで変化した。本実施例の全ての例において、微量サンプル採取器の皮膚からの完全な抜き取りは1000ms未満に生じた。以下の表1は微量サンプル採取器デザインA、B、Cで長さが4.5mmおよび8.6mmであるキャピラリーチャネル112の、充填の成功率を表わす。図21のグラフ210は長さ4.5mmのキャピラリーチャネル112のデザインに関する同一のデータを詳述したものである。図21のグラフ210における「チャネル充填時間」は以下の表1に示される「抜き取り時間」と同一であるということが記されるべきである。また該抜き取り時間は、穿刺の深さの最大値に到達するために必要な時間と微量サンプル採取器100を皮膚から抜き取るために必要な時間の両方を含むような時点までに経過した合計時間に基づくということも記されるべきである。例えば、以下の表1における抜き取り時間500msは穿刺の深さの最大値に到達するために必要な時間3msと、微量サンプル採取器100を皮膚から抜き取るために必要な時間497msを含む。
【0048】
【表1】
【0049】
開口部124の長さ136が比較的短い液体採取時間での成功率を劇的に改善するということが思いがけず発見された。図21に見られるように、100%(n=140本)の毛細管充填の成功率は長さ4.5mmのキャピラリーチャネルの微量サンプル採取器デザインB(開口部124が425μmの長さ136を有する)により達成され、この時表出ユニット146は10Nの力を指に加え、穿刺プロフィールは200msの抜き取り時間を含む。他のデザインと比べて、微量サンプル採取器Bのデザインはかなり短い時間で100%の充填成功率を達成した。切開部の形成およびサンプル採取段階の両方でチャネル充填成功率が100%であることに関して、検査全体に対する成功率を支配する唯一の変数は液体サンプルの分析に使用される検査ストリップ(または他の検査手段)の信頼度である。この100%のサンプル採取成功率の意義は、微量サンプル採取器に関する全体の成功率が今日の(または将来的な)検査ストリップと匹敵するか、あるいは同一であるということである。
【0050】
全ての検査段階が迅速に行われるように一体化されたデザインでは、使用者による手動操作が少ないことから、全体の検査成功率が従来のデザインよりも高い可能性があることが予測される。従来の(一体化型でない)検査ストリップでは、液体サンプルの量は使用者の手と目の協調および運動技能によりいくらか制限される。血液の滴が少なすぎると、使用者は検査ストリップを血液または他の液体サンプルを採取するための適切な場所に位置付けられないだろう。より少ないサンプル量を可能にする検査ストリップ技術の出現により、制限因子は使用者のサンプルを採取する能力となるだろう。認識されるべきは、より少ないサンプル量はより浅い穿刺の深さで得られ、そのため使用者が感じる痛みが少ないということである。同様に、サンプルが採取され分析される時点での速度は使用者がサンプルを採取し、検査ストリップを計測器に載せる能力に制限される。使用者が検査に費やす時間が短くなるので、検査が早く完了すればするほど使用者にとっては便利である。
【0051】
肌の弾力性などの肌の性質における差異は、実際の皮膚への穿刺の深さを変え得る。例えば発射装置70は1.6mmに設定されているが、実際の穿刺の深さは1.2mmの場合もある。この点で、2つ目の調査が皮膚の差異に関して調整された2つの個体に行われた。言い換えれば、皮膚の穿刺の深さは個体によって精密に調整または測定がなされた。本実験における穿刺の深さは、始めは1.6mmに設定された。被験者は穿刺を施され、液体が採取された。上記の型の表出ユニット146が、皮膚が穿刺される前およびサンプルが採取されるまでの間指の皮膚に4〜10Nの力を加えるために使用された。図19に記載されたグラフ190の穿刺プロフィールが本実験の間使用された(例えば、深さの最大値までの素早い到達および比較的遅い、連続的な皮膚からの抜き取り)。液体の300nlが採取された場合発射装置への設置は半分にまで減らされ、液体採取のプロセスは深さの最小値が、300nlが常に採取され得るところで確立されるまで繰り返された。
【0052】
最小または調整された深さの設定はその後個々の被検者から液体を採取するために使用された。以下の表2および3は8.6mmのチャネルを微量サンプル採取器デザインAおよびBでそれぞれ充填する本実験における成功率を示す。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
表2および3に見られるように、100%の成功率は微量サンプル採取器デザインAおよびBの両方で、8.6mm(または8.6mm以下)のチャネル充填に関して少なくとも10Nの表出の力が加えられ、抜き取り時間が75msの場合に達成された。75msの抜き取り時間では、液体採取は個体の反射行為よりも前に生じ得る。デザインAと比べて、微量サンプル採取器Bのデザインは他の抜き取り時間において液体採取の成功率を改良した。
【0056】
好結果の迅速な液体採取を達成する範囲で、表出により皮膚に対して加えられ得る最小の力を決定するために、さらなる実験が行われた。図8〜11で記載される表出ユニット90は異なる力の値で微量サンプル採取器Bに関して検査された。詳細には、4.0、6.0、8.0Nがそれぞれの表出ユニット90により皮膚に対して加えられた。さらに、微量サンプル採取器100が皮膚中に滞留する合計時間(最初の穿刺から完全に取り除くまで)は3つの異なる時点、75ms、500ms、1000msで調べられた。液体採取の間図19記載のグラフによる穿刺プロフィール196が使用された。それぞれの検査において、少なくとも長さ4.5mmのキャピラリーチャネル112が充填された場合、キャピラリーチャネルの充填は成功とみなされた。図22のグラフ220は図8記載のOリング型表出部分160の検査結果を説明する。図23では、グラフ230が図9記載のネガティブS型表出部分162の検査結果を説明する。図24のグラフ240は図10記載のコーヌス型表出部分164の検査結果を説明し、グラフ250は図11記載の硬性の表出部分166の検査結果を示す。これらの結果から、微量サンプル採取器100が反射行為が生じ得る前の、最初の穿刺から75ms以内に抜き取られ、一般的に検査された全て種類の表出ユニット90を使用して8.0Nの表出または圧出の力が皮膚に加えられる場合、体液は好結果に採取され得るということが認識されるべきである。6.0Nの力の値では、コーヌス164および硬性166の表出ユニットを使用し75msの時点で商業的に受容可能なサンプル採取成功率が達成された。
【0057】
本発明は図面および上記の説明で詳細に記載および説明されてきたが、これらは例証とみなされるべきで性質に関して制限的なものではない。好適な実施例のみが示され説明されており、以下の特許請求の範囲により定義付けられた本発明の精神を逸脱しない範囲で起こるあらゆる変更、相当物、および改変は保護されることが望まれるということを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本発明は概して体液サンプルの採取および分析の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば血中グルコースやコレステロールなどのための移動式血液検査装置は、利便性の改善により家庭診断、医学および/または獣医学の環境において人気を得た。移動式検査における1つの重大な欠点は、体液を採取するための皮膚の穿刺に伴う痛みである。痛みは浅い深さで皮膚に貫入することで減少され得るが、取り出される血液および/または間隙の体液は一般的に少なくなる。家庭診断のマーケットに関しては、消費者は日々の活動への妨げを最小限にするため、痛みがなく、便利で、短時間の検査を望む。今日のマーケットにおいて、切り離されたランセットおよび検査ストリップが体液の採取および分析に使用されるような非一体化型検査製品が普及している。しかしながら検査を確実に成功するためには、これらの非一体化型検査製品は通常比較的多くのサンプル量を必要とし、それゆえ痛みを伴う深い穿刺が必要である。含まれている分離した処置の数のために、これらの非一体化型検査製品はあまり便利ではなく、好結果な検査を行うためにはかなりの時間を必要とする。
【0003】
穿刺、液体の採取、およびサンプル分析の段階が単一の装置中でほぼ同時に起きるように、検査ストリップなどの検査手段にランセットまたは針が組み込まれた、一体化型使い捨て用品が提案されてきた。一体化型使い捨て用品はより便利でより少量の血液を浅い深さで採取できるが、いくつかの要因によりいまだに商業的な成功を収めていない。商業的に成功した一体化型使い捨て用品はいくつかの要因のために提供されてこなかった。1つの主要な要因は一体化型使い捨て用品の現用のバッチの、検査成功率の低さである。現行の検査方法は切り離されたランセットおよび検査ストリップを使用している。従来の検査ではランセットが皮膚を穿刺するために使用され、血液の滴が皮膚上に生じたら切り離された検査ストリップがサンプルを採取および分析を行うために使用される。このような現行の検査方法では、検査段階の1つに問題があると判明すると、手順全てを諦める必要なく有用な検査がなされるように他の段階またはオプションがとられる。言い換えれば、従来の非一体化型の方法では、使用者は正確な検査を行うために一連の検査過程の間に介入できる。例えば、使用者は検査ストリップを無駄にすることなく、付加的な液体を圧出するために皮膚を再度穿刺したり穿刺箇所の周りをつまんだりできる。対照的に、一体化型使い捨て用品における体液の採取失敗の様々な原因は、該装置が事実上累積式のもので1つの検査の失敗が一体型使い捨て用品全てを無駄にしてしまうということである。一般的に一体化型使い捨て用品では、皮膚の穿刺、液体の採取、該液体の分析という様々な操作段階の全てが完全に行われるように、使用者は一度のみ操作を行う。もし1つの操作段階が成功しなかった場合、検査全体が失敗し、一体型使い捨て用品は無駄となって新しいものと取り替えられ、ゆえに一体化型システムのいくつかの利点を除く。認識されるべきことは、これらの検査の失敗はシステムの操作コストを大変高額にし得るということである。さらに、検査を成功させるために複数回検査を行わなければならないことは、使用者に不満を抱かせる。
【0004】
それゆえ、本技術分野において改良の必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
前述した問題の観点において、本発明者は一体化型使い捨て用品で液体を採取し、高い採取の成功率を達成することの問題は、反射行為が生じる前に皮膚を穿刺し、体液を採取することで解決されるということを発見した。反射行為は通常皮膚の穿刺に伴う痛みに反応してサンプル採取中に生じる。一例として、指を切ってしまった時、最初の性行は痛みの原因から指を離そうと指を引っ込めることである。この反射行為は多くの場合にさらなる怪我を避けるために有用であるが、反射的な動作は体液の採取および検査に不利益である可能性がある。特に、使用者は適切な量のサンプルが採取される前に、指または他の身体の部分を採取装置から急に引いたり動かしたりする可能性がある。さらに、指や他の身体の部分は痛みにより緊張する可能性があり、その結果血管を収縮させ関連する出血量が減る。反射的な動作はまた、装置を損傷させたり、装置から液体を奪ったりして検査の失敗を招く。一方で、反射行為が生じる前に体液を採取しランセットや針などの皮膚穿刺装置を皮膚または他の組織から取り除くことで、体液は高い成功率で採取され得る。
【0006】
現在の痛みに関する理論の下では、痛みに対する神経インパルスは1秒につき10メートル程度の速度(m/s)で伝わる。個体の大きさ、年齢、健康などによって、指で感知した痛みへの反応時間は200〜500ミリセカンド(ms)だと予測される。本発明者によって行われる検査では、検査した個体における痛みに対する最速の反応時間は150msほどであることが発見された。感知する痛みに加えて、反射行為は他の視覚的または知覚的な刺激などの知覚問題の結果としても生じる。例えば、光の閃光の開始を検知する単純な反応時間はおよそ200〜300msである。一流アスリートの聴覚的な刺激に対する反応時間は通常120〜160msの範囲内である。彼らの洞察力および検査結果により強化された結果から、本発明者は切開部から穿刺器具を200ms以内、より詳細には150ms以内に取り除くことが望ましいということを発見した。安全な緩衝液を提供するために、穿刺の全てのプロセスは100ms未満に行われることが望ましい。後述することであるが、本発明者は穿刺器具の最初の貫入から75ms以内に穿刺器具を抜き取ることで、体液サンプルを商業的な成功を収められるレベルで集めた。
【0007】
不正確な検査結果は一体化型装置における検査失敗の懸念となり得るだけでなく原因ともなり得る。前述したように、一体化型装置のための体液サンプルの量は比較的少なく、マイクロリットル未満の範囲内である。ある特定の実施例では、比較的短時間で正確な検査結果を達成できるにもかかわらず、サンプル量の範囲は20〜200ナノリットル(nl)である。これら少ない量のサンプルはより速い検査を可能にするが、不正確さを引き起こす多くの原因になりやすく、実施上の問題としては正確に体液を検査するための量制限が低くなる。本発明者はマイクロリットル未満またはナノリットルの範囲におけるサンプル中の不正確な検査結果を招く1つの原因は液体の採取および分析の間の、液体の蒸発により起こるということを発見した。これらの微小な検査量では、容量中のわずかな変異すら被検体における濃度測定に重大な違いを生じさせる。開放式のキャピラリーチャネルを備えた一体化型装置は特に液体の蒸発に関する問題に影響を受けやすい。開放式のキャピラリーチャネルを備えた一体化型装置において、サンプル量が1マイクロリットル未満の際に生じる不正確な検査結果に関する問題は、皮膚の穿刺から500ms以内にサンプルを抜き取りサンプル分析手段の上に置くことで解決される。他の態様では、液体は蒸発をさらに軽減するために150または200ms以内に置かれ、さらなる態様では、100ms以内および75ms以内に置かれ、さらなる利益を提供する。採取した液体をこのように迅速な方法で置くことで最小限の蒸発しか生じず、それゆえより正確な結果を導く。
【0008】
一体化型装置において短時間で高い液体採取成功率を達成するために、本発明者は少なくとも3つの一般的な要因が好結果の液体採取に寄与することを発見した。その要因とは穿刺器具の先端のデザイン、穿刺プロフィール、皮膚に対して使用される力の量である。さらに本発明者は、上述した要因のどれもが、1つのみでは一貫した迅速な液体採取を導かないということを発見した。かわりに、これら要因の特定の組み合わせおよび水準が必要とされた。特に本発明者は、高い採取成功率を達成するために液体を採取することの問題は、皮膚の下にある液体を加圧することで体液が容易にキャピラリーチャネルに導かれて解決されるということを発見した。該キャピラリーチャネルは穿刺器具の先端からのチャネル入口オフセットを有し、反射行為が起こる前に皮膚から完全に取り除かれた穿刺器具で皮膚に貫入する間よりも遅い速度で穿刺器具を皮膚から抜き取る。
【0009】
キャピラリーチャネルが液体を採取しなければならない比較的短い時間枠を考えると、穿刺器具中のキャピラリーチャネルは皮膚から抜き取られる前に充分満ちない場合もあるかもしれない。採取された血液(および/または他の体液)の粘度または他の性質が、キャピラリーチャネルが満たされる速度を制限し得るという仮説が立てられる。被験者が穿刺器具による皮膚の穿刺に関する痛みに反応する前に検査に適した量の体液を採取することの問題は、穿刺器具を皮膚から抜き取った後に、キャピラリーチャネルを穿刺器具に付着した体液で完全に満たすことで解決される。言い換えれば、本発明者はキャピラリーチャネル内のサンプル全てを穿刺器具が抜き取られる前に集める必要はなく、キャピラリーチャネルの中のサンプルおよび/または穿刺器具を抜き取った後にキャピラリーチャネルに入ることができる位置にある、穿刺器具に付着したサンプルのみを集めればよいということを発見した。すでに示唆したように、穿刺器具の先端デザインが好結果の液体採取において役割を果たしているということが思いがけなく発見された。ある実施形態では穿刺器具の先端は、穿刺器具が皮膚および皮膚上にたまった液体から抜き取られた後も体液がキャピラリーチャネルの入口に付着したままになるようデザインされた。
【0010】
以前は液体採取速度において要因になるとは認識されていなかったが、キャピラリーチャネル入口のオフセットの距離が液体採取速度を速める要因であるということが意外にも発見された。ある特定の態様では、穿刺部材におけるキャピラリーチャネルの入口が当該穿刺部材の先端から特定の距離だけオフセットしている。本発明者はキャピラリーチャネルの入口が近すぎると、皮膚を穿刺することで生まれる痛みは受け入れ不能なほど高いということを発見した。さらに、短時間の穿刺時間に関係して、毛細管入口が先端に近すぎると検査に充分なサンプル量が得られないということが思いがけなく発見された。決定的な答えは得られていないが、本発明者はこの結果を説明するいくつかの理論を有している。1つの理論は、毛細管入口が先端に近いと皮膚の下にある液体が溜まる場所が少ししかないということである。もう1つの潜在的な理論は、毛細管入口が先端に相対的に近いことは液体が、穿刺器具が抜き取られた後も穿刺器具に付着することを防ぐということである。なぜなら穿刺器具上の液体は皮膚上の液体の滴および/または切開部の方に流れ、または付着するからである。キャピラリーチャネルの入口と穿刺器具の先端との間の距離が増加することは、溜められる量が増大するため採取の成功率を改善すると考えられた。しかしながら、キャピラリーチャネルの入口が穿刺器具の先端から離れすぎていることは、液体採取の成功率に不利益であるということが思いがけず発見された。この予期せぬ結果の実際の原因は不明であるが、キャピラリーチャネルの入口が離れすぎていて切開部からの少量の液体しか穿刺器具が抜き取られる前にキャピラリーチャネルの入口に付着できなかった可能性がある。1つの態様においては、キャピラリーチャネルの開口部または入口を先端から350〜600μmの間に位置付けることで望ましい採取成功率を提供したということが発見され、より詳細な実施形態では、キャピラリーチャネルの入口は先端から382〜5730μmに位置付けられた。1つの特定の実施形態では開口部は先端から425μmほどの所に望ましく位置付けられた。後に認識されるだろうが、この穿刺器具の先端デザインは迅速な液体採取の他の側面にも同様に有益である。
【0011】
迅速かつ正確な液体採取を達成するために、本発明者は圧力が皮膚に適用されるべきだということを発見した。詳細には、迅速に液体を表出するために10〜12ニュートン(N)の力が表出リングに適用される必要がある。12Nより大きい力が皮膚に適用されると、重大な痛みを生じさせおよび/または怪我に導く傾向にある。さらなる実験方法に関して、本発明者は8Nの力を適用することが商業的に受け入れ可能な結果を生み出し、いくつかの例では少なくとも6Nの力が表出リングにより適用され、迅速な液体採取が依然として実用的であったことを発見した。本質において、規定の力で皮膚に対抗して表出リングを押すことにより皮膚の下にある血液に圧力をかけ、それにより次はおそらく加圧された血液が迅速な方法でキャピラリーチャネルへと注入される。
【0012】
穿刺プロフィールもまた迅速な液体採取を促進するための要因だということが発見されている。詳細には、迅速に穿刺を行い抜き取りを長く行うことが痛みを最小限にするとともに液体採取を促進する傾向にあることがわかった。一定時間で抜き取ること、または皮膚の下で一定の滞留時間を経た後迅速に皮膚から抜き取ることはどちらも迅速な液体採取の目的に適しているということが発見されている。1つの特定の態様では、3〜5msで穿刺を行い、より長い70〜197msで抜き取ることが迅速で一貫した結果を達成した。穿刺の間、穿刺部材の一般的な挿入の深さは1.6mm程度に設定されたが、実際の挿入の深さは0.8mm〜1.2mmまで変化し得る。
【0013】
その他の態様は痛みを最小限にし、液体採取を強化するための穿刺部材の特定の大きさおよび表出部分の特定の特徴に関する。1つの態様では、先端が20°〜40°の挟角または羽根角を有し、より好ましくは30°ほどである。先端軸は300〜700μmの幅を有し、ある特定の形式では300μmほどの幅を有する。穿刺部材は50〜150μmの太さを有し、ある特定の形式では127μmほどの太さを有する。先端にあるキャピラリーチャネルは親水性で0.7〜1.6の縦横比(深さ/幅)を有し、ある特定の形式ではキャピラリーチャネルは1.4の縦横比を有する。
【0014】
他の特徴および利点は下記の詳細な説明により理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】1つの実施形態による一体化型測定システムの概略図である。
【図2】図1記載のシステムにおいて使用される微量サンプル採取器の上部から見た拡大平面図である。
【図3】図2記載の微量サンプル採取器の先端部分の拡大平面図である。
【図4】図2記載の微量サンプル採取器の先端部分の拡大側面図である。
【図5】図4の線5−5から先の、図2記載の微量サンプル採取器の横断面図である。
【図6】もう1つの実施形態による微量サンプル採取器の上部から見た拡大平面図である。
【図7】図2の微量サンプル採取器を組み込む表出組立て部品の斜視図である。
【図8】Oリング型表出リングの斜視図である。
【図9】ネガティブS字型(negative S type)の表出リングの斜視図である。
【図10】コーヌス型の表出リングの斜視図である。
【図11】ゴムにより覆われ成形された真鍮の表出リングの斜視図である。
【図12】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図13】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図14】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図15】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図16】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図17】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図18】体液サンプルを採取するための様々な段階の、微量サンプル採取器の拡大斜視図である。
【図19】1つの実施形態による、低速の連続的な抜き取りを行う穿刺プロフィールを描くグラフである。
【図20】もう1つの実施形態による、滞留段階のグラフである。
【図21】図2記載の微量サンプル採取器を使用して行われる実験に関する成功率を示すグラフである。
【図22】図8記載のOリング型表出リングを使用して行われる実験に関する成功率を示すグラフである。
【図23】図9記載のネガティブS字型の表出リングを使用して行われる実験に関する成功率を示すグラフである。
【図24】図10記載のコーヌス型の表出リングを使用して行われる実験に関する成功率を示すグラフである。
【図25】図11記載の硬性リング型の表出リングを使用して行われる実験に関する成功率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の原理の理解を促進するために、図面に記載された実施形態および実施形態を説明するために使用される特定の用語に言及する。しかしながら本発明の範囲を限定する意図ではないと理解されたい。記載された実施形態においてあらゆる変更や修正およびここに記載された本発明の原理のさらなる応用は、本発明に関する分野の技術者により通常予期されることである。
【0017】
すでに詳細に説明したように、商業上現実味がある一体化型検査装置を開発することは、診断に関する産業における目標であった。「一体化型装置」という語は通例産業において、体液(血液や間質液)を検査するのに必要な様々な段階の全てを自動的に行う装置を言及して使用される。一体化型装置におけるこれらの段階は通常皮膚または他の組織の穿刺、皮膚からの体液サンプルの抜き取り、サンプルの検査、および任意の切開部からの体液生成の表出または促進を含む。一体化型装置は商業的に販売されてきたが、メディセンス社(登録商標)のSOF−TACT(商標)のような糖尿病管理システムなどこれらの一体化型装置は、装置のかさ高性および検査成功率の低さを含むいくつかの理由によりこれまでのところ市場において失敗してきた。すでに示唆したように、検査の信頼度または成功は一体化型装置において特に重要である。なぜなら、自動で行うという性質上検査の誤りを検査途中で正すことは大変難しいからである。
【0018】
交差汚染の問題を防ぐために、検査ごとに体液に触れる様々な部品が廃棄され、新しいものと取り替えられる一体化型使い捨て用品が提案されてきた。これらの一体化型使い捨て用品は一般的に少量のサンプル量を分析および採取できるので、体液が身体から採取される際の柔軟性を高めると共に採取に伴う痛みを減らすことができる。産業において、「使い捨て用品」という語は一般に、皮膚の穿刺、サンプル抜き取り、少なくとも部分的なサンプルの分析などの検査段階をほとんどまたは全て行う比較的小さく安価な装置を指す。一体化型使い捨て用品は通常ランセットや針のようなある種の穿刺手段を、サンプル分析のための検査ストリップおよび/または薬剤のような検査または分析手段と共に組み込む。一体化型使い捨て用品における検査手段は液体を検査するため一般に電極、酵素、試薬、媒介物質などを含む。一体化型使い捨て用品が備えられる計測器は電子機器やディスプレイなどを含み、一体化型使い捨て用品の検査手段は電気化学および/または光度計測の技術などの、いくつもの分析手段を用いてサンプルの分析を容易にする。通常、計測器はより高価な部品を含むが、一体化型使い捨て用品は使用ごとに使い捨てできるあまり高価でない部品を含んでいる。ほとんどの例において、検査手段は何らかの形で穿刺手段に固定されているが、いくつかの一体化型使い捨て用品のデザインでは穿刺手段と検査手段が検査中に少しの間だけ接する。
【0019】
一体化型使い捨て用品は特定のデザイン区分へとさらに下位区分に分けられる。いくつかのより一般的な一体化型使い捨て用品のタイプは検査要素に統合されたランセット(略称、LITs)および微量サンプル採取器を含む。LITsは通常、検査ストリップが固定式または可動式どちらかの方法でランセットに取り付けられる一体化型使い捨て用品だと考えられる。LITsは一般的に血吸いコウモリと類似した方法で皮膚の表面から体液を採取する。一方で微量サンプル採取器は一般的に蚊と類似した方法で皮膚の下にある体液のほとんどを採取する。「微量サンプル採取器」という語は一般的に機能上針と似ており、検査手段に取り付けられ、もしくは検査手段と結合する穿刺部材を備えた一体化型使い捨て用品を言及する。微量サンプル採取器にある穿刺部材は体液を皮膚の下から検査手段へと導くキャピラリーチャネルを有する。微量サンプル採取器中のキャピラリーチャネルは閉鎖式のデザインでも開放式のデザインでも両方の組み合わせでもよい。閉鎖式のキャピラリーチャネルデザインでは先端にあるキャピラリーチャネルの端のみが外部に開かれており、液体を採取できる。一方で、開放式のキャピラリーチャネルデザインではキャピラリーチャネル全体が外部に開かれており、液体を採取できる。開放式のキャピラリーチャネルデザインは製造を単純化すると共に液体採取を改善する。なぜなら液体はチャネルの長さ全体および皮膚の表面上部に渡って採取されるからである。しかしながら、本発明者はいくつかの例においては検査結果に影響し得る、これら開放式のキャピラリーチャネルデザインの問題を発見した。詳細には、一般的にマイクロリットル未満(1μl未満)の範囲で液体を採取する微量サンプル採取器では、20〜200nlの間のいくつかの例で開放式のキャピラリーチャネルに沿ってかなりわずかではあるが蒸発が見られ濃度の値を変える可能性があり、ゆえに検査結果に不利益に影響するということを本発明者が発見した。開放式のキャピラリーチャネルは蒸発を促す比較的大きなサンプルの表面積を生むことがわかった。本発明者は、サンプルを抜き取り迅速に検査手段の上に置くことが蒸発の影響を大きく減らすとういことを発見した。特に、本発明者は最初の皮膚の穿刺から500ms以内にサンプルを検査手段の上に置くことが蒸発を減らすということを見つけた。そのように迅速に液体を置くことが可能なのかどうかという疑問が生じる。しかしながら、150msまたは200ms以内でさえも液体を置くことが可能であるということが発見されておりさらに蒸発を減らす。また、100msまたは75ms以内で置くことはさらなる利益を提供した。
【0020】
すでに記したように、商業的な成功が見込める一体化型装置を達成するための主な障害の1つは、一貫した基礎に基づいて液体サンプルを確実に採取する能力である。従来の非一体化の方法では、使用者は検査が成功して行われることを確実にするために採取のプロセスにおいて介入できる。一体化型装置、特に一体化型使い捨て用品は自動的に液体採取の段階を行うため、一般的には成功を確実にするために液体採取段階を繰り返す余裕がない。高い液体採取の成功率は一体化型装置が商業上現実味のあるものになるかを決定する主要な要因の1つである。採取の成功率を決定する目的で、採取された体液サンプルが、検査手段が正確に体液サンプルを分析するのに充分な量である場合検査は成功と見なされる。検査手段にとっての充分な量は使用される検査技術による。光度計測および電気化学の検査ストリップのような、今日流通する検査ストリップのほとんどは、1μl未満の量を有する体液サンプルを10秒未満または5秒以内に適切に分析できる。しかしながら、サンプル量が少なすぎると正確な検査結果を達成できない。言い換えれば今日の検査技術は正確な液体の分析に必要な液体量の最小値について制限を有する。現在の商品は最小値として200〜300nlほどの体液を正確に検査できる。今日の科学技術/化学を用いればこの正確な検査に必要な量の最小値は20nlにまで減らせるが、今のところ、20nlより少ないサンプル量はどれも一貫した基礎に基づく正確な検査結果を生み出せていない。商業的に受容可能な一体化型装置の、液体採取成功率の最小の要求値は少なくとも80%ほどである必要がある。実践上の問題から、商業上の成功が見込める一体化型装置のためには、成功率は95%以上であるべきである。現在、本発明者によればこれらの高い液体採取成功率を実際の生活環境で達成できる市販の一体化型使い捨て用品または他の一体化型装置は1つも確認されていない。
【0021】
実際の環境において液体検査の成功に不利益である主な要因の1つは、皮膚の穿刺の際に感じた痛みの結果として生じる反射行為であるということを本発明者は発見した。一体化型装置を用いて液体を採取し商業上受け入れ可能な採取成功率を達成することの問題は、反射行為が生じる前に皮膚を穿刺し、皮膚から体液を採取し、皮膚から穿刺部材を取り除くことで解決されるということがわかった。予想される最悪の筋書では、反射行為が最初の皮膚穿刺から200ms以内に生じることが個体によっては考えられる。それゆえ、本発明者は最初の皮膚穿刺から200ms以内ぐらいで、より詳しくは150ms以内ぐらいで切開部から穿刺部材を取り除くことが望ましいということを発見した。さらに成功率の高い検査は穿刺部材を最初に挿入してから100msさらには75ms以内で達成され、さらに安全な緩衝材を提供する。
【0022】
当初は数ナノリットルの液体の内の極微量が迅速な方法で採取され得ると考えられたが、現実的には、採取されたサンプル量は正確な検査には少なすぎるだろう。すでに記したように、液体採取は採取された液体の量が正確な検査を行うのに充分な場合のみ成功すると考えられ、その数値は現在の科学技術の下では20nl〜200nlであり、理想の状況下で理論上は20nl、実際の検査状況下での最小値で200nlである。多くの予期し得なかった結果の1つは、すべての液体が、穿刺部材が皮膚から抜き取られたと同時にキャピラリーチャネルの中にある必要はないというものであった。むしろ、体液は皮膚から穿刺部材が抜き取られたと同時にキャピラリーチャネルの外にある穿刺部材に付着し、後でキャピラリーチャネルに導かれる可能性がある。開放式のキャピラリーチャネルデザインの穿刺部材は、液体がキャピラリーチャネルの長さ全体に渡って導かれるので、この点で役に立った。
【0023】
一体化型装置において短時間で高い液体採取成功率を達成するために、本発明者は皮膚に対して適用される力の量、穿刺部材の先端デザイン、穿刺プロフィールという3つの一般的な要因が成功する液体採取に貢献するということを発見した。さらに、本発明者は上記の要因のどれもが1つのみでは一貫した迅速な液体採取を導かないということも発見した。これらの要因の特定の組み合わせおよび水準が必要とされた。特に、そのような短い期間で商業的に受け入れ可能な基礎に基づき成功する液体採取が生じるためには、体液を加圧するために少なくとも6Nの力が皮膚に対して適用され、キャピラリーチャネルの入口は先端から350〜600μmの間に置かれ、抜き取りの時間は穿刺の時間より長くあるべきである。
【0024】
迅速なサンプル採取および/または配置を達成するための1つの実施形態による一体化型装置またはシステム30は図1に記載されている。図1に見られるように、システム30は分析結果および他の情報を提供するためにディスプレイ50を備えた計測器40、計測器への入力データを管理する少なくとも1つのボタン60、および発射装置(firing mechanism)70を含む。計測器40はさらにあらかじめ定められた力で皮膚を押すと同時に発射装置70を作動させる、圧力に反応するトリガー80を組み込む。そのような計測器および圧力に反応するトリガーの一例はDouglasに与えられた米国特許第6,319,210号明細書に記載されており、これより該特許全体を参考文献として取り込む。圧力に反応するトリガーは他の方法でも構成され得る。例えば、圧力に反応するトリガー80は機械的なものでも、電気的なものでも、両方の組み合わせでもよい。ある態様では、トリガー80はオペレータが手動で発射装置70を発射することを認める安全装置を解除し、一方で他の実施形態では、あらかじめ定められた力が適用されるとディスプレイ50が、発射装置70が発射する指標を提供する。システム30はさらに皮膚の下にある液体を圧出するために使用される表出または液体圧出部分90および皮膚を穿刺し液体サンプルを分析する一体化型使い捨て用品100を組み込む。一体化型用品100は単体もしくは群としてカートリッジ、円筒形、車輪、小箱などで取り付けられおよび/または取り外される。認識されるべきことは、計測器30は他の実施形態ではより多い、もしくは少ない構成要素を備えられおよび/または異なるように形成されるということである。
【0025】
記載された実施形態においては、一体化型使い捨て用品100は微量サンプル採取器であるが、特定の特徴は他の型の一体化型使い捨て用品および装置での使用に適用され得るということが認識されるべきである。迅速な液体採取を行うために使用される微量サンプル採取器100の一例は、図2〜4に関して初めに説明される。認識されるであろうことだが、一体化型使い捨て用品の他の種類は、記載された微量サンプル採取器100から特徴を組みこむように変更され得る。他の種類の一体化型使い捨て用品と同様に、図2の微量サンプル採取器は一般的には切り口を形成し、液体サンプルを抜き取り、集めた液体サンプルを分析するように構成された、単一使用の装置である。微量サンプル採取器100は個々にまたは一群で(例えばカートリッジで)、その後発射装置70を介して微量サンプル採取器を皮膚へと発射する計測器40または穿刺装置へと取り付けられる。個々に取り付けられる場合、微量サンプル採取器は通常交差汚染の危険性を最小限にするために各検査の後計測器から取り外され、捨てられる。カートリッジ、小箱、円筒形などで積載される場合は、カートリッジ全体が微量サンプル採取器100の全てもしくはほとんどが使用された後で取り外され、適切に捨てられる。微量サンプル採取器のカートリッジデザインの例については、これより引用文献として取り入れられる2006年10月13日に提出された米国特許出願第11/549,302号明細書を参照されたい。
【0026】
図2は微量サンプル採取器の平面図である。見ての通り、微量サンプル採取器100は本体部分102、本体102から伸びるシャンクまたはシャフト部分104および切開部を切るために鋭くされたシャフト104の端にある先端106を含む。本体102は発射装置と連動する開口部108を有し、開口部108では測定器40の発射装置70が皮膚または他の組織へ穿刺する間微量サンプル採取器100を支える。認識されるべきは、微量サンプル採取器100は他の方法でも発射装置70に固定され、また機械的に発射装置に取り付けなくても電磁力の使用などを通して間接的に発射されるということである。本体102はさらに液体サンプルが採取され検査装置または分析手段111を介して分析されるサンプル分析空間またはチャンバ110をもつ。微量サンプル採取器100にある該検査装置111は試薬、酵素、媒介物質などの化学的性質を含み、同様に電極など、液体サンプルを分析するための他の関連する構成要素も含む。もう1つの形状では、分析チャンバ110は分析の目的でサンプルを分離する検査ストリップに置くための採取地点としても使用され得る。どちらにしろ、液体サンプルはあらゆる分析技術を通して分析され、ほんの2、3例を挙げると電気化学(例えば電流滴定や電解電量など)および/または光度計測の分析技術などである。液体は10秒未満で、さらには0、1〜6秒以内でも迅速に分析され得る。このような迅速に分析を行う技術は米国特許第7,276,146号明細書に記載されており、これより参考文献として組み込まれる。さらに図2に関して、毛細管現象を通して血液サンプルを移動させるよう構成されたキャピラリーチャネル112は先端106から検査装置に隣接する分析チャンバ110までのシャフト104に沿って伸びる。微量サンプル採取器100は金属、セラミックおよび/またはプラスティックなどの様々な物質で製造されるが、1つの実施形態における微量サンプル採取器100は外科的な品等のステンレススチールで製造される。通常、外科的な品等のステンレススチールは疎水性であり、疎水性の場合サンプル分析チャンバ110に沿うキャピラリーチャネル112は全体的または部分的に毛細管現象を促進する親水性に処理および/または製造される。
【0027】
前述のように、特に先端106に近い微量サンプル採取器100の寸法および構造が痛みを減じるとともに、比較的短い期間(反射行為が生じる前)での採取成功率を大きく改良することで液体採取を強化する。図3は微量サンプル採取器100の先端106に近いシャフト104の拡大平面図を描き、図4は先端106に近いシャフト104の側面図を描く。見てのとおり、微量サンプル採取器100は挟角または羽根角116を形成するために先端106で交差する2つの鋭い切刃114を有する。1つの形状では、羽根角116は20°〜40°であり、ある特定の形状では、羽根角116は30°ほどである。切刃114は先端106から離れ、シャフト104の向かい合う平行な側面118へと移動する。側面118でシャフト104は300〜700μmの幅120をもち、ある特定の形状では300μmほどの幅をもつ。ある実施形態での微量サンプル採取器100は50〜150μmの厚み119をもち、ある特定の形状では127μmほどの厚み119をもつ。
【0028】
図3および図4を見ると、シャフト104の側面118はキャピラリーチャネル112を定義付ける側壁122をもつ。キャピラリーチャネル112は側壁122と共に処理、コーティングおよび/または別の方法による親水性への処理がなされ、これは毛細管現象を通して抜き取られる体液を増すためである。キャピラリーチャネル112は毛細管現象を通して切開部から分析チャンバ110へと体液サンプルを引き寄せるような大きさに作られ構成される。キャピラリーチャネル112が開かれた状態で、体液は該チャネル全体にわたって採取される。これは単一の開口部を通って液体を抜き取る従来の(閉鎖式の)皮下針とはっきりと対照をなす。切り込まれる皮膚の下の毛細管(または血管)の区域は無原則なものなので、切開部内の血液または他の体液の区域は必然的でない場合さえある可能性がある。言い換えれば、他の場所よりも多い液体を供給し得る切開部に沿った場所があるかもしれない。キャピラリーチャネル112が開かれた状態で、微量サンプル採取器100が引き抜かれる間に供給の多い場所から過剰な血液が拭われ、または長さに沿ってキャピラリーチャネル112に引き寄せられ得る。
【0029】
記載された実施形態においては、側壁122は先端106まで完全には伸びておらず、むしろ開口部124が側壁122の端128により定義付けられるキャピラリーチャネル112の開口部126と微量サンプル採取器100の先端106の間に形成される。図4に記載されているように側壁122の端と先端106の間で、微量サンプル採取器100は微量サンプル採取器100の下部134に関する角度132で伸びる開口部124で壁部130を曲げる。1つの形状においては、角のある壁部の角度132は35°ほどである。記されるべきは、キャピラリーチャネル112に沿う横壁122は一般的に毛細管現象を通して体液を抜き取るために充分な高さを有する。一方、開口部124に沿う角度のある壁部130は一般的には毛細管現象を通して液体を抜き取るには不充分な接触域を有する。そのため横壁122の端128がキャピラリーチャネル112の開口部126を定義付け、横壁122の端128と先端106との間の部分が開口部124と考えられる。代わりにまたは付加的に、他の実施形態における開口部124は疎水性か、あるいは開口部124に沿う毛細管現象を阻害するように製造される。ある形状では、開口部124は先端106からキャピラリーチャネルの開口部126(または端128)までの距離として定義付けられる350〜600μmの長さ136を有し、ある特定の実施形態においては、チャネル開口部126は先端106〜425μmほどのところに位置付けられる。後述されることであるが、開口部124の長さ136が液体サンプル採取を成功させるために必要な時間をかなり減少させるということが思いがけなく発見された。
【0030】
前述のように、キャピラリーチャネル112は親水性で、毛細管現象を通して体液サンプルを切開部から分析チャンバ110へと導くような大きさにされる。一般的には、毛細管現象はサンプルとキャピラリーチャネルの間の癒着力と共に抜き取られる液体(サンプル)の表面張力に基づく。とりわけ、キャピラリーチャネル112の壁にサンプルが癒着することはサンプルの端が前に移動することを引き起こし、ゆえに凸形状のメニスカスを生じさせる。サンプルの表面張力は表面を無傷の状態に保つので、端だけの移動ではなくサンプルの表面全体がキャピラリーチャネル112へとさらに移動する。認識されるべきは、サンプルのメニスカスとチャネルの壁が全体に接触することはサンプルと壁の間の癒着力を調整する要因の1つであるということである。該癒着力はその後毛細管現象が生じているか否かと共に毛管流の範囲および毛管流率を決定する。開放式のキャピラリーチャネルデザインではサンプルと壁との癒着力全体を減らすために、通常癒着力を生じさせる側面の1つが取り除かれる。微量サンプル採取器におけるキャピラリーチャネル112の壁は迅速な毛細管現象が生じるように、この影響を相殺するような大きさにされる。図5は図4の線5−5から前のキャピラリーチャネルの横断面図を示す。キャピラリーチャネル112は深さ138と幅140の両方を有する。1つの実施形態では、深さ138が0.501mmほどで幅が0.358mmほどである。キャピラリーチャネル112の縦横比は幅140で割られた深さ138である。ある形状においては、キャピラリーチャネル112は親水性で0.7〜1.6の縦横比(深さ138/幅140)をもち、ある特定の形状においてはキャピラリーチャネルは1.4ほどの縦横比をもつ。上記の開放式のキャピラリーチャネルデザインにおける縦横比は血液と同様の粘度を有する体液サンプルで迅速な液体採取を促進することが発見された。
【0031】
図6は本体、シャフト104、先端106およびキャピラリーチャネル112のようないくつかの特徴を図2の微量サンプル採取器と共有する微量サンプル採取器142を示す。図6の微量サンプル採取器142の様々な大きさおよび特徴は図3および図4に記載されたものと同様である。分析チャンバ110および本体102の全体の形状はしかしながら、前記のものとは異なる形状である。とりわけ、図6の分析チャンバ110は液体が検査要素の上に溜まることを許容する開口部の形状である。さらに、図6の微量サンプル採取器142はより確実な発射の安定性を提供するために、開口部108に接続する発射装置を1つではなく2つ有する。
【0032】
反射行為が生じる前に体液が採取されるように液体採取時間を減じる目的で、切開部の周りの液体を加圧することで切開部からの出血率を増加する液体表出が使用される。本発明者の調査の間、迅速な液体採取のための成功率に関して様々な種類の表出部分90の効果が調査された。様々な表出部分に関する発明者の発見は以下に詳説されるだろう。図7〜11は図1のシステムと結合して皮膚の下の体液を圧出するために使用される、他の様々な種類の表出部分90の例を示す。
【0033】
図7は微量サンプル採取器100および体液を表出するために使用される表出ユニットまたは表出部分146を含む表出部品144を示す。表出ユニット146は巻きつけ式のデザインを有するため、該ユニット146は液体表出の間指などの身体の部分を覆うことができる。見てのとおり、表出ユニットは身体の一部を受け入れる空洞150の周りに伸びる、カフス型の本体148を有する。切開部分の開口部152は、微量サンプル採取器100またはランセットや針などの他の切開部形成手段が切開部を形成することを許容する本体148の中に定義付けられる。1つの形状では、切開部分の開口部152の内径は4.0〜7.0mmである。空洞150の内部で、表出ユニット146は切開部分の開口部152を囲む円錐部分154を有する。円錐部分154の周りに、表出ユニット146は切開部の周りにある体液の抑留を促進する分離リング156を有する。記載された実施形態において、分離リングは鞍型であり、表出ユニット146の内部表面から突出する。
【0034】
図8はOリング型の表出部分またはOリングを半硬物質の硬さで使用するリング160を描く。このようなOリング型表出リングの一例は2006年8月26日に提出された米国特許出願第11/466,202号明細書で説明されており、これより該特許全体を参考文献として取り込む。図9はネガティブS字型表出リングまたは硬性の物質の硬さを有する部分162を描く。ネガティブS字型表出リング162の形状全体に関するさらなる説明についてはこれより特許全体が参考文献として取り込まれる、2005年9月29日に公開された米国特許出願公開第2005/0215923号明細書を参照されたい。図10は「コーヌス」または軟性の円錐型表出部分もしくは可変性または軟性の物質で生成されるリング164を描く(ショア硬度Aの35)。ゴムに覆われて成形された金属の表出リング166は図11で描かれ、通常表出リング166は剛性を有する。認識されるべきは、図11の硬性の表出リングはスチールや鉄などにより生成され、様々なプラスティックなど他の種類の弾性物質で覆われ得るということである。図8〜11の表出部分90は全て内径5.5mmをもつ。図8のOリング型表出リング160、図9のネガティブS字型表出リング162、図10のコーヌス表出リングおよび図11の硬性の表出リング166の外径はそれぞれ9.8、10.0、10.7、8.3mmである。
【0035】
理解および認識を促すために、迅速に液体サンプルを採取する全般的な技術はまず図12〜18に関して説明され、その後反射行為が生じる前に商業的に成功できる体液採取を達成するために必要な特定の態様について詳細な考察がなされる。図12〜18は様々な液体採取段階にある微量サンプル採取器100の拡大斜視図を描く。体液を採取する技術は指168からの体液採取に関して記述されるが、液体は他の身体の部位からも同様に採取され得るということを認識されたい。さらに、該技術は図2の微量サンプル採取器100に関して記述されるが、他の種類の一体化型装置または使い捨て用品もこの技術を伴って使用され得る。切開部を形成する前に、表出部分90は図12で描かれるように指168に対して押圧される。表出部分90は指168上の望ましい切開部分170に対して充分な力で押圧され、それにより表出部分90は穿刺の間に切開部分170から血液(および/または間質液)が漏れ出ることを制限するために分離領域の周界を決定する。周界の力は皮膚に分離した灌流域を作り出すために表出部分90によって短時間適用される。図13を見ると、微量サンプル採取器100は先端106が表出部分90の開口部を通って伸び、比較的短い時間で皮膚168を1つまたはそれ以上の毛細管を切断するのに充分な深さまで切断するように発射装置70により発射される。1つの形状では、微量サンプル採取器100は1.2m/sと等しいまたはそれよりも速い速度で発射され、最適速度は1.5m/sである。微量サンプル採取器100は最大の貫入の深さまで5ms以内で到達し、好適には3ms以内である。このような迅速な穿刺が痛みを最小限にすることが発見された。
【0036】
最初の貫入の間にいくらかの体液がキャピラリーチャネル上に集まるかもしれないが、ほとんどの液体は貫入の深さが最大まで到達した後で採取される。貫入の深さが最大まで到達した後、微量サンプル採取器100の先端106は深さが最大のところに残るまたは滞留するか、または部分的に引き抜かれるものの皮膚168の表面の下に滞留する。本発明者は少なくとも開放式のキャピラリーチャネル112の一部分が微量サンプル採取器100の最初の穿刺よりも長い時間の間皮膚の内部に滞留することが、迅速な液体採取をかなり改善するということを発見した。キャピラリーチャネルがとどまっている間、微量サンプル採取器は停止したままでもよいし皮膚168から抜き取られる過程にあってもよい。
【0037】
使用される一体化型使い捨て用品によって、液体採取はいくつかの方法で生じ得る。例えば、液体採取は蚊のように皮膚168の下に生じることもあれば血吸いコウモリのように皮膚168の上に生じることもあり、両方の技術を組み合わせて使用する場合もある。例えば、前述した微量サンプル採取器100は皮膚表面の下および/または上の体液を採取できるが、選択された実施形態においては、微量サンプル採取器100は一般的には蚊のように皮膚の下にある体液のほとんどを採取する。微量サンプル採取器のキャピラリーチャネル112は、開放式のキャピラリーチャネル112が皮膚表面の上を伸び皮膚表面にたまる血液(または他の体液)を採取すると同時に、毛細管現象を介して皮膚の下にある血液を抜き取るようにその長さ全てに渡って開いている。より少量のサンプル量は貫入の深さをより浅くすることを認め、結果として穿刺の間に感じる痛みを和らげるので、分析のためのサンプルの量はできる限り少ないことが望ましい。さらに、少量のサンプル量は一般的に分析時間を早め、これは消費者にとって望ましい特性である。
【0038】
図14は先端106が皮膚168の下に滞留する間にキャピラリーチャネル112に引き寄せられる体液172を描く。符号番号174はキャピラリーチャネル112に沿って引き寄せられる体液172の前縁またはメニスカスを示す。より詳細については後に説明されるが、体液172のいくらかはキャピラリーチャネルの外側の微量サンプル採取器100に付着したままであり、これは液体が後でキャピラリーチャネル112に引き寄せられる場所である。体液172の一滴またはそれ以上の滴176はキャピラリーチャネル112に沿っておよび/または皮膚168の上に形成し得る。図15に見られるように、一滴の滴176は先端106が皮膚168から抜き取られそうになると微量サンプル採取器100のシャフト104に沿って皮膚168上に形成する。特に、滴176はキャピラリーチャネルの開口部126の近くに形成する。滴176は他の場所でも同様に形成され得る。図16を見ると、体液172の2滴目178(または気泡の場合もある)は本体102と微量サンプル採取器100にあるシャフト104との間の移行部に形成される。滴の形成を容易にするために、シャフト104および/またはキャピラリーチャネル112に沿う部分などの微量サンプル採取器100の部分は親水性に処理されるか、他の方法で親水性にされ得る。体液172がキャピラリーチャネル112および/または開口部124に引き寄せられないような微量サンプル採取器100の他の場所は疎水性に処理されるか、他の方法で疎水性にされ得、これにより選択された場所における滴の形成を阻害する。
【0039】
前述したように、微量サンプル採取器100にある開口部124の特定の大きさが、迅速な液体採取を促進する一因になるということが思いがけなく発見された。絶対的に確かなことでなないが、開口部124が体液172の滴176を微量サンプル採取器100のキャピラリーチャネル入口126で保持することにおいて役割を果たす可能性があると考えられている。これは微量サンプル採取器100が皮膚168から取り除かれた後にキャピラリーチャネル112に引き寄せられるようにするためである。図16に関して、キャピラリーチャネル入口126の滴176は開口部124で皮膚上の滴180から分離する。図16、17に描かれているように、開口部124は微量サンプル採取器100上の滴176および皮膚168上の滴180が、皮膚168上の滴180が体液172を微量サンプル採取器100上の滴176から抜き取ることなしに分離することを認めるということが理論づけられる。微量サンプル採取器100は一般的には反射反応の時間内に皮膚168から完全に抜き取られ、反射反応の時間は個体によるがおよそ100〜200ms以内である。先端106が皮膚168から抜き取られる時、滴176は微量サンプル採取器100の上でキャピラリーチャネル126の周りに滞留する。微量サンプル採取器100を皮膚168から抜き取る前、抜き取る間、または抜き取った後に、表出部分90により加えられていた力は緩められる。
【0040】
微量サンプル採取器100の滴176、178は本質的には微量サンプル採取器100上に貯蔵所を形成する。該貯蔵所はキャピラリーチャネル112の充填が、微量サンプル採取器100の先端106が皮膚168から抜き取られた後も継続することを認める。抜き取りの後もキャピラリーチャネル112を充填する能力は、微量サンプル採取器100が皮膚168を貫入し、反射行為が生じる前のように短い時間で抜き取られる場合でさえも、好結果の液体採取を容易にする。図17および18はどのようにして微量サンプル採取器100上の体液172の滴176、178がキャピラリーチャネル112の充填を完全にするかを描く。図17の体液172の前縁174によって分かるように、体液172はまだ完全にはキャピラリーチャネル112を満たしていないが、滴176(滴178も同様)は毛細管に引き寄せられ得る体液172の貯蔵を提供する。図18は一度キャピラリーチャネル入口126で滴176を形成した体液172が、体液172の前縁174がキャピラリーチャネル112の端に位置付けられるように、キャピラリーチャネル112を満たすことを示す。
【0041】
前述の図(図12〜18)の全てにおいて、体液172がキャピラリーチャネル112を充填する様子が簡単に見られるように検査装置111は示されていない。体液172は毛細管が部分的または完全に充填されると検査装置111の上に置かれ始め得るということが認識されるべきである。1つの実施形態では、キャピラリーチャネル112は正確な検査に必要な量と等しいまたはそれよりも多い量を有し、微量サンプル採取器100はキャピラリーチャネル112が体液172で満たされた後にのみ検査装置111の上に液体を置くよう構成される。
【0042】
前述のように、本発明者はマイクロリットル未満またはナノリットルの範囲のサンプルにおける不正確な検査結果の一因は液体採取および分析の間にサンプルが生じることによって起こるということを発見した。これら微小な検査量では、検査量中のわずかな変化も被検体の濃度測定において重大な違いを生じ得る。微小サンプル採取器100のキャピラリーチャネル112は蒸発しやすい開放式のデザインであるということが認識されるべきである。このような開放式のキャピラリーチャネルにおける蒸発の問題は、皮膚の穿刺から500ms以内にサンプルを抜き取りサンプル分析装置111に置くことで取り組まれる。他の態様では、液体はさらに蒸発を減らすために150〜200ms以内に置かれ、さらなる態様では100ms以内および75msでも置かれ、さらなる利益を提供する。採取された液体をこのように素早い方法で置くことにより最小限の蒸発のみが生じ、より正確な結果を導く。上記の時間は微量サンプル採取器100の皮膚168への最初の穿刺から測定される。ある実施形態では、これら時間の測定は検査のために充分な量の体液が検査装置111に置かれるとすぐに止められる。この終了時間は微量サンプル採取器100中にある滴を検出する装置などの使用を通して感知される。迅速な堆積は他の期間に基づいても測定され得るということを認識されたい。例えば、堆積時間はサンプルが検査手段の上に置かれおよび/または検査手段に吸収される前にどれぐらいの間空気にさらされていたかに基づくかもしれない。
【0043】
前述した、反射行為が生じる前に好結果の液体採取を達成するための一因は、切開部を形成する間微量サンプル採取器100を伸ばし、引き抜くために使用される穿刺または貫入のプロフィールである。概要は比較的短い穿刺または伸長段階およびそれに続く比較的長い微量サンプル採取器100の皮膚からの抜き取り段階を含むべきである。素早い貫入は痛みを減らすと共に抜き取りに使用できる時間を増やすと考えられる。一方でより長い抜き取り時間はキャピラリーチャネル112が皮膚の下に存在する時間を増やし、これは採取される液体を増加させると考えられる。
【0044】
図19は、迅速な方法で液体の見本を採る技術の1つによる、微量サンプル採取器100の穿刺プロフィールを説明するグラフ190を示す。グラフ190のX軸192は時間を表わし、Y軸194は微量サンプル採取器100の先端106の移動距離を表わす。輪郭線196は微量サンプル採取器100の穿刺プロフィールを描き、破線198は皮膚表面を表わす。見てのとおり、微量サンプル採取器100は発射され、貫入の深さの最大値に3ミリセカンド(ms)以内に到達する。本実施例では1.6〜1.7mmであるが、一度先端106が穿刺の深さの最大値に到達すると微量サンプル採取器100は一般的には一定の割合で抜き取られ始める。言い換えれば、本実施例の微量サンプル採取器100の先端106は一般的には皮膚から引き抜かれる前に、貫入の深さの最大値で滞留または存在しない。記載されている場合においては、先端106は一般的には連続的な割合で皮膚から抜き取られる前におよそ497msかかり、皮膚中での滞留時間の合計はおよそ500msである。微量サンプル採取器100の先端106が皮膚中で抜き取られる間、微量サンプル採取器100は体液を採取し、一度皮膚から取り除かれた後でも微量サンプル採取器100は少なくとも短い距離の間で皮膚の表面から液体を採取できる。
【0045】
図20は迅速な方法で液体の見本を採るもう1つの技術による、微量サンプル採取器100の穿刺プロフィールを説明するグラフ200を示す。輪郭線206は微量サンプル採取器100の穿刺プロフィールを描き、破線198は皮膚の表面を表わす。見てのとおり、サンプル採取器100の先端106はおよそ1.6〜1.7mmの貫入の深さの最大値に到達し、3msでおよそ0.8mmの深さまで引き抜かれる。先端106の部分的な抜き取りは切開部内に体液がたまることを促進し、その後キャピラリーチャネル112により採取され得る。微量サンプル採取器100の先端106はおよそ477msの間液体を採取するために0.8mmの深さで滞留し、その後微量サンプル採取器100の先端106はおよそ5ms以内で迅速に皮膚から取り除かれる。本実施例で微量サンプル採取器100が皮膚中にある合計時間はおよそ485msである。図20に記載した技術における素早い穿刺部材的な抜き取り、長い滞留時間および素早い完全な抜き取りの段階は好結果の迅速な液体採取を促進すると考えられている。特定の時間は他の実施例で変わり得る。
【0046】
1つの実験においては、微量サンプル採取器を充填する成功率は20人の被験者に関して評価され、各デザインにつき140本の微量サンプル採取器が含まれた。3種類の微量サンプル採取器のデザインA、B、Cが使用された。実際の実験では、微量サンプル採取器A、B、Cはそれぞれ微量サンプル採取器デザイン「87」、「88」、「89」と呼ばれた。微量サンプル採取器デザインA、B、Cは図2〜5に記載された微量サンプル採取器100と類似していた。しかしながら、先端106からキャピラリーチャネル入口126までの距離によって定義付けられる開口部124の長さ136は、これらのデザインでは異なっている(図3参照)。詳細には、微量サンプル採取器デザインA、B、Cの開口部124の長さ136はそれぞれ382μm、425μm、573μmであった。実験においては、4.5mmおよび8.6mmの長さをもつキャピラリーチャネル112が検査された。充填はキャピラリーチャネル112の長さ全体が体液で満たされた場合に成功したと考えられ、この場合血液も体液に含まれた。認識されるべきは、キャピラリーチャネル112の長さのほぼ全体が充填されなかった場合、血液を分析装置111に置くことは不可能であったということである。
【0047】
全ての被験者は1.6mmという同じ深さまで穿刺された。実験においては、表出部品144(または「コーヌス」と呼ばれる場合もある)は液体表出のために被験者の指に10Nの力を加えた。力は切開部が形成される前に、皮膚中の液体を圧出するために表出ユニット146と共に指へ加えられた。この力は切開部が切られる時およびサンプル採取の間絶えず加えられた。前述した図19のグラフ190は本実験で使用される穿刺プロフィールの一例を示す。概要の内、穿刺部材は比較的速く一定で、微量サンプル採取器の抜き取りは比較的遅い連続的な単一段階であった。ある実施例においては、最初の接触時点での微量サンプル採取器100の速度は1.3m/s以上で、微量サンプル採取器100の先端106は穿刺の深さの最大値である1.6mmに3〜5msで到達した。抜き取り時間は25ミリセカンド〜500ミリセカンドまで変化した。本実施例の全ての例において、微量サンプル採取器の皮膚からの完全な抜き取りは1000ms未満に生じた。以下の表1は微量サンプル採取器デザインA、B、Cで長さが4.5mmおよび8.6mmであるキャピラリーチャネル112の、充填の成功率を表わす。図21のグラフ210は長さ4.5mmのキャピラリーチャネル112のデザインに関する同一のデータを詳述したものである。図21のグラフ210における「チャネル充填時間」は以下の表1に示される「抜き取り時間」と同一であるということが記されるべきである。また該抜き取り時間は、穿刺の深さの最大値に到達するために必要な時間と微量サンプル採取器100を皮膚から抜き取るために必要な時間の両方を含むような時点までに経過した合計時間に基づくということも記されるべきである。例えば、以下の表1における抜き取り時間500msは穿刺の深さの最大値に到達するために必要な時間3msと、微量サンプル採取器100を皮膚から抜き取るために必要な時間497msを含む。
【0048】
【表1】
【0049】
開口部124の長さ136が比較的短い液体採取時間での成功率を劇的に改善するということが思いがけず発見された。図21に見られるように、100%(n=140本)の毛細管充填の成功率は長さ4.5mmのキャピラリーチャネルの微量サンプル採取器デザインB(開口部124が425μmの長さ136を有する)により達成され、この時表出ユニット146は10Nの力を指に加え、穿刺プロフィールは200msの抜き取り時間を含む。他のデザインと比べて、微量サンプル採取器Bのデザインはかなり短い時間で100%の充填成功率を達成した。切開部の形成およびサンプル採取段階の両方でチャネル充填成功率が100%であることに関して、検査全体に対する成功率を支配する唯一の変数は液体サンプルの分析に使用される検査ストリップ(または他の検査手段)の信頼度である。この100%のサンプル採取成功率の意義は、微量サンプル採取器に関する全体の成功率が今日の(または将来的な)検査ストリップと匹敵するか、あるいは同一であるということである。
【0050】
全ての検査段階が迅速に行われるように一体化されたデザインでは、使用者による手動操作が少ないことから、全体の検査成功率が従来のデザインよりも高い可能性があることが予測される。従来の(一体化型でない)検査ストリップでは、液体サンプルの量は使用者の手と目の協調および運動技能によりいくらか制限される。血液の滴が少なすぎると、使用者は検査ストリップを血液または他の液体サンプルを採取するための適切な場所に位置付けられないだろう。より少ないサンプル量を可能にする検査ストリップ技術の出現により、制限因子は使用者のサンプルを採取する能力となるだろう。認識されるべきは、より少ないサンプル量はより浅い穿刺の深さで得られ、そのため使用者が感じる痛みが少ないということである。同様に、サンプルが採取され分析される時点での速度は使用者がサンプルを採取し、検査ストリップを計測器に載せる能力に制限される。使用者が検査に費やす時間が短くなるので、検査が早く完了すればするほど使用者にとっては便利である。
【0051】
肌の弾力性などの肌の性質における差異は、実際の皮膚への穿刺の深さを変え得る。例えば発射装置70は1.6mmに設定されているが、実際の穿刺の深さは1.2mmの場合もある。この点で、2つ目の調査が皮膚の差異に関して調整された2つの個体に行われた。言い換えれば、皮膚の穿刺の深さは個体によって精密に調整または測定がなされた。本実験における穿刺の深さは、始めは1.6mmに設定された。被験者は穿刺を施され、液体が採取された。上記の型の表出ユニット146が、皮膚が穿刺される前およびサンプルが採取されるまでの間指の皮膚に4〜10Nの力を加えるために使用された。図19に記載されたグラフ190の穿刺プロフィールが本実験の間使用された(例えば、深さの最大値までの素早い到達および比較的遅い、連続的な皮膚からの抜き取り)。液体の300nlが採取された場合発射装置への設置は半分にまで減らされ、液体採取のプロセスは深さの最小値が、300nlが常に採取され得るところで確立されるまで繰り返された。
【0052】
最小または調整された深さの設定はその後個々の被検者から液体を採取するために使用された。以下の表2および3は8.6mmのチャネルを微量サンプル採取器デザインAおよびBでそれぞれ充填する本実験における成功率を示す。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
表2および3に見られるように、100%の成功率は微量サンプル採取器デザインAおよびBの両方で、8.6mm(または8.6mm以下)のチャネル充填に関して少なくとも10Nの表出の力が加えられ、抜き取り時間が75msの場合に達成された。75msの抜き取り時間では、液体採取は個体の反射行為よりも前に生じ得る。デザインAと比べて、微量サンプル採取器Bのデザインは他の抜き取り時間において液体採取の成功率を改良した。
【0056】
好結果の迅速な液体採取を達成する範囲で、表出により皮膚に対して加えられ得る最小の力を決定するために、さらなる実験が行われた。図8〜11で記載される表出ユニット90は異なる力の値で微量サンプル採取器Bに関して検査された。詳細には、4.0、6.0、8.0Nがそれぞれの表出ユニット90により皮膚に対して加えられた。さらに、微量サンプル採取器100が皮膚中に滞留する合計時間(最初の穿刺から完全に取り除くまで)は3つの異なる時点、75ms、500ms、1000msで調べられた。液体採取の間図19記載のグラフによる穿刺プロフィール196が使用された。それぞれの検査において、少なくとも長さ4.5mmのキャピラリーチャネル112が充填された場合、キャピラリーチャネルの充填は成功とみなされた。図22のグラフ220は図8記載のOリング型表出部分160の検査結果を説明する。図23では、グラフ230が図9記載のネガティブS型表出部分162の検査結果を説明する。図24のグラフ240は図10記載のコーヌス型表出部分164の検査結果を説明し、グラフ250は図11記載の硬性の表出部分166の検査結果を示す。これらの結果から、微量サンプル採取器100が反射行為が生じ得る前の、最初の穿刺から75ms以内に抜き取られ、一般的に検査された全て種類の表出ユニット90を使用して8.0Nの表出または圧出の力が皮膚に加えられる場合、体液は好結果に採取され得るということが認識されるべきである。6.0Nの力の値では、コーヌス164および硬性166の表出ユニットを使用し75msの時点で商業的に受容可能なサンプル採取成功率が達成された。
【0057】
本発明は図面および上記の説明で詳細に記載および説明されてきたが、これらは例証とみなされるべきで性質に関して制限的なものではない。好適な実施例のみが示され説明されており、以下の特許請求の範囲により定義付けられた本発明の精神を逸脱しない範囲で起こるあらゆる変更、相当物、および改変は保護されることが望まれるということを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に対して押圧するための表出ユニット、
皮膚を穿刺した後に体液を集めるための液体採取構造を含む、皮膚を穿刺するための皮膚穿刺部材、および
該皮膚穿刺部材を皮膚から取り除く手段
を含む装置であって、前記皮膚の穿刺の結果として生じる反射行為の前に体液を採取し、該穿刺部材を取り除く装置。
【請求項2】
前記体液の採取が、少なくとも350μm〜600μmの長さを有する開口部を備えた先端をもつ皮膚穿刺部材による体液採取を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
皮膚から液体を抜き取るための開放式のキャピラリーチャネルを備える微量サンプル採取器および該開放式のキャピラリーチャネルからの液体が検査結果に重大に影響し得るサンプルの蒸発を減少させるような間隔で置かれる分析手段を含む装置。
【請求項4】
前記液体の配置が前記液体の抜き取りから500ms以内に生じる、請求項3記載の装置。
【請求項5】
皮膚に対する表出ユニットの押圧、
液体採取構造を含む皮膚穿刺部材による皮膚の穿刺、および
該皮膚穿刺部材の皮膚からの除去
を含む方法で、該体液採取と該皮膚穿刺部材の除去が前記皮膚の穿刺の結果として反射行為が起こる前に生じる方法。
【請求項6】
前記体液の採取が、少なくとも350μm〜600μmの長さを有する開口部を備えた先端をもつ皮膚穿刺部材による体液採取を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記開口部の長さが425μmほどである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記体液の採取および前記皮膚穿刺部材の除去が前記皮膚の穿刺の初めから150ms以内に起こる、請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記体液の採取および前記皮膚穿刺部材の除去が前記皮膚の穿刺の初めから100ms以内に起こる、請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記体液の採取および前記皮膚穿刺部材の除去が前記皮膚の穿刺の初めから75ms以内に起こる、請求項5記載の方法。
【請求項11】
あらかじめ定められた力が圧力に反応するトリガーにより達成されたことの検知および該検知に応じる前記皮膚の穿刺の開始をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項12】
前記押圧が少なくとも6Nの力を皮膚に対して加えることを含む、請求項5記載の方法。
【請求項13】
前記押圧が少なくとも8Nの力を皮膚に対して加えることを含む、請求項5記載の方法。
【請求項14】
前記押圧が少なくとも10Nの力を皮膚に対して加えることを含む、請求項5記載の方法。
【請求項15】
前記押圧が少なくとも12Nの力を皮膚に対して加えることを含む、請求項5記載の方法。
【請求項16】
前記体液の採取が20nl〜1μlの体液採取を含む、請求項5記載の方法。
【請求項17】
前記体液の採取が200〜300nlの体液採取を含む、請求項5記載の方法。
【請求項18】
前記穿刺が、前記穿刺部材が穿刺の深さの最大値まで伸びる伸長段階および該穿刺部材が穿刺の深さの最大値から抜き取られる抜き取り段階を含み、該抜き取り段階が該伸長段階よりも長い、請求項5記載の方法。
【請求項19】
前記穿刺が、抜き取り段階の間前記穿刺部材を皮膚の下の滞留の深さで保つことを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記液体採取構造が開放式のキャピラリーチャネルおよび前記皮膚の穿刺から200ms以内に体液を分析手段に配置することをさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項21】
前記配置が前記皮膚の穿刺から75ms以内に生じる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
分析手段で体液を分析することをさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記体液採取が体液を前記皮膚穿刺部材の外側に付着させることおよび該皮膚穿刺部材の上の体液を、該皮膚穿刺部材を皮膚から抜き取った後前記液体採取構造へと導くことをさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項24】
前記穿刺から10秒以内に前記液体サンプルを分析することさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項25】
前記体液の採取および前記皮膚穿刺部材の除去が前記皮膚の穿刺の初めから75〜200msで起こる、請求項5記載の方法。
【請求項26】
微量サンプル採取器を有し、前記微量サンプル採取器が先端を備えるシャフト、該シャフトに沿って定義付けられる開放式のキャピラリーチャネル、該シャフトの先端から350〜600μmのところに設けられる該キャピラリーチャネルの入口を有する皮膚穿刺部材、
前記皮膚の穿刺の間よりも遅い速度での皮膚からの該微量サンプル採取器の除去、
少なくとも正確な検査に充分な液体サンプルが該微量サンプル採取器に付着した状態での、反射行為が生じる前の皮膚からの該微量サンプル採取器の完全な除去
をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項27】
前記圧出が、皮膚に対して前記表出部分を少なくとも6Nの力で押すことを含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記除去が前記穿刺から75ms以内に生じる、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記圧出が皮膚に対して前記表出部分を少なくとも8Nの力で押すことを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記表出部分がリング状である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記表出部分が軟性の円錐型表出リングを含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記キャピラリーチャネルの入口が前記シャフトの先端から425μmほどのところに設けられる、請求項29記載の方法。
【請求項33】
前記圧出が皮膚に対して前記表出部分を少なくとも8Nの力で押すことを含む、請求項26記載の方法。
【請求項34】
前記圧出が皮膚に対して前記表出部分を少なくとも12Nの力で押すことを含む、請求項26記載の方法。
【請求項35】
正確な検査のために充分な前記液体サンプルが少なくとも200nlで多くとも1μlである、請求項26記載の方法。
【請求項36】
前記除去が前記穿刺から150ms以内に生じる、請求項26記載の方法。
【請求項37】
前記キャピラリーチャネルの外側にある、前記微量サンプルに付着する液体の少なくともいくらかを、前記微量サンプル採取器の皮膚からの完全な除去の後該キャピラリーチャネルへ導くことをさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項38】
正確な検査のために充分な前記液体サンプルを、前記微量サンプル採取器の皮膚からの完全な除去の前に前記キャピラリーチャネルの内側に導く、請求項26記載の方法。
【請求項39】
前記微量サンプル採取器の皮膚からの完全な除去が触覚に基づく反射作用の前に生じる、請求項26記載の方法。
【請求項40】
前記微量サンプル採取器の皮膚からの完全な除去が視覚に基づく反射作用の前に生じる、請求項26記載の方法。
【請求項41】
前記表出部分が少なくともあらかじめ定められた力までの力で皮膚に対して押される場合の前記微量サンプル採取器の発射を含む、請求項26記載の方法。
【請求項42】
前記液体サンプルの重大な蒸発が生じる前に該液体サンプルを前記微量サンプル採取器の分析手段の上に配置することをさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項43】
前記分析手段への体液の配置が前記皮膚の穿刺からおよそ500ms以内に生じる、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記分析手段への体液の配置が前記皮膚の穿刺からおよそ75ms以内に生じる、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記皮膚の穿刺の前に前記微量サンプル採取器を計測器へ取り付けること、および
前記微量サンプル採取器の皮膚からの完全な除去の後に該サンプル採取器を該計測器から取り外すこと
をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項46】
皮膚からの液体を微量サンプル採取器の開放式のキャピラリーチャネルへと導くこと、および
検査結果に重大に影響し得るサンプルの蒸発を減少させるような間隔で該開放式のキャピラリーチャネルからの液体を分析手段の上に配置すること
を含む方法。
【請求項47】
前記液体の配置が前記液体の抜き取りから500ms以内に生じる、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記液体の配置が前記液体の抜き取りから75ms以内に生じる、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記抜き取りの前に前記微量サンプル採取器で皮膚を穿刺すること、および
前記液体の配置が前記皮膚の穿刺から75ms以内に生じること
をさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項50】
微量サンプル採取器が、反射行為が生じる前に皮膚から体液を採取するように構成され、該微量サンプル採取器が
本体、
皮膚を穿刺するために該本体から伸びる突出した先端を備えるシャフト、および
毛細管現象を介して体液を採取するためのキャピラリーチャネルの開口部と共に該シャフトに沿って伸びる開放式のキャピラリーチャネル
を含み、該キャピラリーチャネルが親水性で、該キャピラリーチャネルの開口部が突出した先端から350〜600μmの間に位置付けられる装置。
【請求項51】
前記キャピラリーチャネルの開口部が該突出した先端からおよそ425μmのところに位置づけられる、請求項50記載の装置。
【請求項52】
前記突出した先端が20〜40°の羽根角を有する、請求項50記載の装置。
【請求項53】
前記キャピラリーチャネルが0.7〜1.6の縦横比を有する、請求項50記載の装置。
【請求項54】
前記微量サンプル採取器を皮膚へと発射する発射装置をさらに含み、該発射装置が少なくとも6Nの力が皮膚に対して加えられる場合に該発射装置を発射するように構成された圧力に反応するトリガーを含む、請求項50記載の方法。
【請求項55】
前記微量サンプル採取器が取り付けられる計測器をさらに含み、該測定器が軟性の物質で覆われて成形された硬性の内部のリングにより製造された表出リングを含む、請求項50記載の装置。
【請求項56】
請求項5〜50の方法を実施するための、請求項1または3記載の装置。
【請求項1】
皮膚に対して押圧するための表出ユニット、
皮膚を穿刺した後に体液を集めるための液体採取構造を含む、皮膚を穿刺するための皮膚穿刺部材、および
該皮膚穿刺部材を皮膚から取り除く手段
を含む装置であって、前記皮膚の穿刺の結果として生じる反射行為の前に体液を採取し、該穿刺部材を取り除く装置。
【請求項2】
前記体液の採取が、少なくとも350μm〜600μmの長さを有する開口部を備えた先端をもつ皮膚穿刺部材による体液採取を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
皮膚から液体を抜き取るための開放式のキャピラリーチャネルを備える微量サンプル採取器および該開放式のキャピラリーチャネルからの液体が検査結果に重大に影響し得るサンプルの蒸発を減少させるような間隔で置かれる分析手段を含む装置。
【請求項4】
前記液体の配置が前記液体の抜き取りから500ms以内に生じる、請求項3記載の装置。
【請求項5】
皮膚に対する表出ユニットの押圧、
液体採取構造を含む皮膚穿刺部材による皮膚の穿刺、および
該皮膚穿刺部材の皮膚からの除去
を含む方法で、該体液採取と該皮膚穿刺部材の除去が前記皮膚の穿刺の結果として反射行為が起こる前に生じる方法。
【請求項6】
前記体液の採取が、少なくとも350μm〜600μmの長さを有する開口部を備えた先端をもつ皮膚穿刺部材による体液採取を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記開口部の長さが425μmほどである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記体液の採取および前記皮膚穿刺部材の除去が前記皮膚の穿刺の初めから150ms以内に起こる、請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記体液の採取および前記皮膚穿刺部材の除去が前記皮膚の穿刺の初めから100ms以内に起こる、請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記体液の採取および前記皮膚穿刺部材の除去が前記皮膚の穿刺の初めから75ms以内に起こる、請求項5記載の方法。
【請求項11】
あらかじめ定められた力が圧力に反応するトリガーにより達成されたことの検知および該検知に応じる前記皮膚の穿刺の開始をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項12】
前記押圧が少なくとも6Nの力を皮膚に対して加えることを含む、請求項5記載の方法。
【請求項13】
前記押圧が少なくとも8Nの力を皮膚に対して加えることを含む、請求項5記載の方法。
【請求項14】
前記押圧が少なくとも10Nの力を皮膚に対して加えることを含む、請求項5記載の方法。
【請求項15】
前記押圧が少なくとも12Nの力を皮膚に対して加えることを含む、請求項5記載の方法。
【請求項16】
前記体液の採取が20nl〜1μlの体液採取を含む、請求項5記載の方法。
【請求項17】
前記体液の採取が200〜300nlの体液採取を含む、請求項5記載の方法。
【請求項18】
前記穿刺が、前記穿刺部材が穿刺の深さの最大値まで伸びる伸長段階および該穿刺部材が穿刺の深さの最大値から抜き取られる抜き取り段階を含み、該抜き取り段階が該伸長段階よりも長い、請求項5記載の方法。
【請求項19】
前記穿刺が、抜き取り段階の間前記穿刺部材を皮膚の下の滞留の深さで保つことを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記液体採取構造が開放式のキャピラリーチャネルおよび前記皮膚の穿刺から200ms以内に体液を分析手段に配置することをさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項21】
前記配置が前記皮膚の穿刺から75ms以内に生じる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
分析手段で体液を分析することをさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記体液採取が体液を前記皮膚穿刺部材の外側に付着させることおよび該皮膚穿刺部材の上の体液を、該皮膚穿刺部材を皮膚から抜き取った後前記液体採取構造へと導くことをさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項24】
前記穿刺から10秒以内に前記液体サンプルを分析することさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項25】
前記体液の採取および前記皮膚穿刺部材の除去が前記皮膚の穿刺の初めから75〜200msで起こる、請求項5記載の方法。
【請求項26】
微量サンプル採取器を有し、前記微量サンプル採取器が先端を備えるシャフト、該シャフトに沿って定義付けられる開放式のキャピラリーチャネル、該シャフトの先端から350〜600μmのところに設けられる該キャピラリーチャネルの入口を有する皮膚穿刺部材、
前記皮膚の穿刺の間よりも遅い速度での皮膚からの該微量サンプル採取器の除去、
少なくとも正確な検査に充分な液体サンプルが該微量サンプル採取器に付着した状態での、反射行為が生じる前の皮膚からの該微量サンプル採取器の完全な除去
をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項27】
前記圧出が、皮膚に対して前記表出部分を少なくとも6Nの力で押すことを含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記除去が前記穿刺から75ms以内に生じる、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記圧出が皮膚に対して前記表出部分を少なくとも8Nの力で押すことを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記表出部分がリング状である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記表出部分が軟性の円錐型表出リングを含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記キャピラリーチャネルの入口が前記シャフトの先端から425μmほどのところに設けられる、請求項29記載の方法。
【請求項33】
前記圧出が皮膚に対して前記表出部分を少なくとも8Nの力で押すことを含む、請求項26記載の方法。
【請求項34】
前記圧出が皮膚に対して前記表出部分を少なくとも12Nの力で押すことを含む、請求項26記載の方法。
【請求項35】
正確な検査のために充分な前記液体サンプルが少なくとも200nlで多くとも1μlである、請求項26記載の方法。
【請求項36】
前記除去が前記穿刺から150ms以内に生じる、請求項26記載の方法。
【請求項37】
前記キャピラリーチャネルの外側にある、前記微量サンプルに付着する液体の少なくともいくらかを、前記微量サンプル採取器の皮膚からの完全な除去の後該キャピラリーチャネルへ導くことをさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項38】
正確な検査のために充分な前記液体サンプルを、前記微量サンプル採取器の皮膚からの完全な除去の前に前記キャピラリーチャネルの内側に導く、請求項26記載の方法。
【請求項39】
前記微量サンプル採取器の皮膚からの完全な除去が触覚に基づく反射作用の前に生じる、請求項26記載の方法。
【請求項40】
前記微量サンプル採取器の皮膚からの完全な除去が視覚に基づく反射作用の前に生じる、請求項26記載の方法。
【請求項41】
前記表出部分が少なくともあらかじめ定められた力までの力で皮膚に対して押される場合の前記微量サンプル採取器の発射を含む、請求項26記載の方法。
【請求項42】
前記液体サンプルの重大な蒸発が生じる前に該液体サンプルを前記微量サンプル採取器の分析手段の上に配置することをさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項43】
前記分析手段への体液の配置が前記皮膚の穿刺からおよそ500ms以内に生じる、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記分析手段への体液の配置が前記皮膚の穿刺からおよそ75ms以内に生じる、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記皮膚の穿刺の前に前記微量サンプル採取器を計測器へ取り付けること、および
前記微量サンプル採取器の皮膚からの完全な除去の後に該サンプル採取器を該計測器から取り外すこと
をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項46】
皮膚からの液体を微量サンプル採取器の開放式のキャピラリーチャネルへと導くこと、および
検査結果に重大に影響し得るサンプルの蒸発を減少させるような間隔で該開放式のキャピラリーチャネルからの液体を分析手段の上に配置すること
を含む方法。
【請求項47】
前記液体の配置が前記液体の抜き取りから500ms以内に生じる、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記液体の配置が前記液体の抜き取りから75ms以内に生じる、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記抜き取りの前に前記微量サンプル採取器で皮膚を穿刺すること、および
前記液体の配置が前記皮膚の穿刺から75ms以内に生じること
をさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項50】
微量サンプル採取器が、反射行為が生じる前に皮膚から体液を採取するように構成され、該微量サンプル採取器が
本体、
皮膚を穿刺するために該本体から伸びる突出した先端を備えるシャフト、および
毛細管現象を介して体液を採取するためのキャピラリーチャネルの開口部と共に該シャフトに沿って伸びる開放式のキャピラリーチャネル
を含み、該キャピラリーチャネルが親水性で、該キャピラリーチャネルの開口部が突出した先端から350〜600μmの間に位置付けられる装置。
【請求項51】
前記キャピラリーチャネルの開口部が該突出した先端からおよそ425μmのところに位置づけられる、請求項50記載の装置。
【請求項52】
前記突出した先端が20〜40°の羽根角を有する、請求項50記載の装置。
【請求項53】
前記キャピラリーチャネルが0.7〜1.6の縦横比を有する、請求項50記載の装置。
【請求項54】
前記微量サンプル採取器を皮膚へと発射する発射装置をさらに含み、該発射装置が少なくとも6Nの力が皮膚に対して加えられる場合に該発射装置を発射するように構成された圧力に反応するトリガーを含む、請求項50記載の方法。
【請求項55】
前記微量サンプル採取器が取り付けられる計測器をさらに含み、該測定器が軟性の物質で覆われて成形された硬性の内部のリングにより製造された表出リングを含む、請求項50記載の装置。
【請求項56】
請求項5〜50の方法を実施するための、請求項1または3記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
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【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公表番号】特表2011−510696(P2011−510696A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543431(P2010−543431)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000413
【国際公開番号】WO2009/095184
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000413
【国際公開番号】WO2009/095184
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
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