迅速交換型腸ステント搬送システム
迅速交換型の腸ステント配置カテーテルを使用して胃腸の狭窄部を軽減するための方法及び装置。カテーテルは内側部材及び外側部材を含み、これらの2つの部材は相互に対して摺動自在である。様々な装置の実施例において、外側部材や成型したマンドレルの部分を使用してガイドワイヤをカテーテル内部から退出させるべく配向する傾斜部が設けられる。内側部材は管状先端部、基端部を含み、切断されるか長尺状中間区分に一体的に取り付けられることを含め、任意の数の形状を採る。マンドレルはガイドワイヤ傾斜部の基端側の部分において使用される。マンドレルはいくつかの開示された形状のうち1つを採る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療装置及び医療処置に関する。より詳細には本発明は腸の閉塞症を処置するステント及びステント搬送システム等の装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消化管系及び(胆管、肝管、及び膵管を含む)胆管系内の病変を処置するための内視鏡による処置の数が増加している。内視鏡は直接映像化することにより所望の管の領域へ進入させる。しかしながら、管自体は蛍光透視下においてガイドワイヤと組み合わせたカテーテルを使用して案内される必要がある。上記目的の組織上の領域の処置のための幅広いタイプのカテーテルが公知である。胆管カテーテルの例がArgo等による特許文献1、及びDe Toledo等による特許文献2に開示され、その全体がここで開示されたものとする。
【0003】
特許文献1は胆管の処置に使用されるカテーテルを開示し、カテーテルは基端部及び先端部を有するシャフトを含む。ガイドワイヤルーメンはシャフトを通過してシャフトの先端部の基端側に設けられる基端側ガイドワイヤポートからシャフトの先端部に設けられる先端側ガイドワイヤポートに延びる。シャフトは更にシャフトの基端部から基端側ガイドワイヤポートに延びるスロット又はチャネルを含む。上記ガイドワイヤ開口部及びチャネルを含むカテーテルは通常迅速交換型又はシングルオペレータ交換型胆管カテーテルと呼ばれる。
【0004】
特許文献2はガイド部材の先端部を通過して延びるガイドワイヤを有し、基端側ガイドワイヤポートが基端部の先端側に設けられたガイド部材を備えるシングルオペレータ排水カテーテル搬送システムを開示する。ガイド部材全体にわたって設けられる配置カテーテルはその先端部を通過して延びるカテーテルルーメンを有し、基端側ガイドワイヤポートが基端部の先端側に設けられる。上述したように基端側ガイドワイヤポートを設けることにより、搬送システムは1人の操作者によって短いガイドワイヤにより使用可能である。排水カテーテル(プラスチックステントとして公知である)は配置カテーテルの先端側にガイド部材の周囲に設けられる。排水カテーテル搬送システムは好適に配置カテーテルを排水カテーテルに解放自在に連結する手段を備え、解放自在な連結手段はガイド部材が移動すると、排水カテーテルを外す。しかしながら、特許文献2は収納式シースを要する金属製の自己拡張型ステントを搬送するための迅速交換型胆管カテーテルシステムを開示していない。
【0005】
Brauschweiler等による特許文献3及びLukic等による特許文献4は長尺状シースを有し、自己拡張可能なステントがシースの先端側領域内に正反対の状態に位置されるステント搬送装置を開示する。長尺状コアがシース内において容易にステントを搬送させるべくシースに対して長手方向に相対移動可能に位置される。しかしながら、特許文献3及び特許文献4は特許文献2に開示されるような迅速交換型の特徴を開示していない。
【0006】
Fischell等による特許文献5は自己拡張型ステントの搬送が後に続くバルーンによる血管形成術を施すことが可能なカテーテルを開示する。カテーテルは自己拡張型ステントを配備すべく引き戻すことの可能な外側シースを含む。実施例においてカテーテルは迅速に交換することができるようにステントのすぐ基端側に設けられるガイドワイヤ入口ポートを含む。ガイドワイヤ入口ポートを設けるために、特許文献5は内側管内に傾斜したプラグを設け、外側シース内に長尺状をなす側面開口部を設けている。外側シースの長尺状側面開口部はステントを配置すべく外側シースを後退させるために必要である。上記長尺状側面開口部を設けることにより、カテーテルの内側機構の主要部は体液に暴露され、別の装置に妨害されるため、ステント搬送カテーテルの性能を落とす。上記望ましくない特性の他、ここでは具体的に開示しないがその他の望ましくない特性により、改善された迅速交換型のステント搬送カテーテルに対する要求に応じ得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5921971号明細書
【特許文献2】国際公開第00/69498号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5484444号明細書
【特許文献4】米国特許第5709703号明細書
【特許文献5】米国特許第5743874号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
十二指腸及び腸内の胃腸の狭窄症は様々な原因により生じ、通常隣接する腫瘍による衝突や圧迫により生じることが周知である。胃腸の組織を軽減させるべくステントが腸の領域に位置され、部位の閉塞が防止され、これにより患者が狭窄症でなければしたであろう通常の食事及び生活様式が可能となる。例えばステントはガイドワイヤ及び内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ERCP)カテーテルを内視鏡のワーキングチャネルを通じて造影剤注入のために腸の領域内に前進させることにより位置される。続いてERCPカテーテルは回収され、自己拡張型ステントを備えるカテーテルはガイドワイヤを伝って狭窄症の確認された部位に、又は部位の近傍に前進する。続いてステントは解放され、自己拡張し、狭窄部位を開放する。しかしながら、腸へのステント配置はオーバーザワイヤタイプの装置を使用してのみ行われてきた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例において、迅速交換型の腸へのステント配置カテーテルを使用して胃腸の狭窄症を軽減する方法が開示される。カテーテルは内側部材及び外側部材を備え、これらの2つの部材は相互に対して摺動自在である。外側部材は内側部材のガイドワイヤチャネル内に下方に延びる傾斜部を含む。傾斜部もガイドワイヤチャネル内を摺動自在である。傾斜部はガイドワイヤが内側部材の先端側区分を横断するだけの空隙を設けてカテーテルの先端部の近傍に位置される。カテーテルの先端部の近傍には、外側部材が第1の位置にある場合に自己拡張型ステントが内側部材及び外側部材の間に位置される。内側部材及び外側部材の間を相対移動させることにより、外側部材は自己拡張型ステントを覆わなくなるためステントは解放される。解放されると、ステントは狭窄部位を少なくとも部分的に開放すべく自己拡張する。
【0010】
別例において自己拡張型ステントを配置する迅速交換型カテーテルは、先端側管状抑制区分の他ガイドワイヤポートを有する外側部材と、抑制区分内にて自己拡張型ステントを搬送すべく調整される先端部を有する内側部材とを備える。マンドレルが外側部材内に設けられる。マンドレルはガイドワイヤポートに対するマンドレルの先端部の軸方向の配向を保持するために外側部材に連結される。マンドレルの先端部は傾斜部をなすような形状に形成され、これによりガイドワイヤは外側管状部材内からガイドワイヤポートを通過してカテーテルの外側に円滑に退出可能である。
【0011】
本発明の更なる実施例において迅速交換型ステント配置カテーテルとして使用すべく調整される装置が開示される。第1の実施例において、自己拡張型ステントと共に使用される迅速交換型カテーテルは外側管状部材、内側部材、及びマンドレルを備える。実施例において内側部材は基端側長尺状部材の先端部に連結される先端側管状部材を含む。実施例において外側管状部材はガイドワイヤ開口部を含む。マンドレルは外側管状部材内の基端側長尺状部材に隣接して適合するような寸法及び形状に形成され、外側管状部材のガイドワイヤ開口部の基端部近傍にて終端する。更なるいくつかの実施例において基端側長尺状部材は先端側管状部材に連結する押圧ワイヤ(push wire )やその他の中実の部材の形状を採る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例において搬送状態にある迅速交換型ステント搬送カテーテルシステムを示す平面図。
【図2】本発明の実施例において配置状態にある図1に示す迅速交換型ステント搬送カテーテルシステムを示す平面図。
【図3】図1に示す迅速交換型カテーテルの外側管状部材の先端部を示す平面図。
【図4】図1に示す迅速交換型カテーテルの内側管状部材を示す平面図。
【図5A】図4の5A−5A線における断面図。
【図5B】図4の5B−5B線における断面図。
【図6】図1に示す迅速交換型カテーテルによる搬送に好適な自己拡張型金属製ステントを示す平面図。
【図7A】図3に示す外側管状部材のガイドワイヤスリーブを示す等角図。
【図7B】図7Aに示すガイドワイヤスリーブの長尺状区分を示す図。
【図8A】図1に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図。
【図8B】図1に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図。
【図8C】図1に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図。
【図9】別例において傾斜により終端するマンドレルを有するガイドワイヤ入口傾斜部を示す等角図。
【図10】傾斜部により終端するマンドレルを有する迅速交換型ステント搬送カテーテルを示す平面図。
【図11A】図10に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図。
【図11B】図10に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図。
【図11C】図10に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図。
【図12A】図10のA−A線における断面図。
【図12B】図10のB−B線における断面図。
【図12C】図10のC−C線における断面図。
【図12D】図10のD−D線における断面図。
【図12E】図10のE−E線における断面図。
【図12F】図10のF−F線における断面図。
【図13】基端側押圧ワイヤを有する迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図。
【図14A】別例において傾斜状のマンドレルと基端側押圧ワイヤとを有するカテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図。
【図14B】別例において傾斜状のマンドレルと基端側押圧ワイヤとを有するカテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図。
【図15】更なる別例において迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図。
【図16】更なる別例において迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図。
【図17】ガイドワイヤ入口ポートを形成するための、バンドを含むマンドレル−傾斜部材を示す分解図。
【図18】図17に示すバンドを含むマンドレル−傾斜部材を組み込んだ組立後のカテーテルを示す等角図。
【図19】ガイドワイヤ入口ポートを横断する中間部の管状部材を含む迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図。
【図20A】別例において傾斜部が内側マンドレルに連結され外側部材の外側に延びることを示す分解図。
【図20B】別例において傾斜部が内側マンドレルに連結され外側部材の外側に延びることを示す分解図。
【図21A】図20Bの線21A−21Aにおける断面図。
【図21B】図20Bの線21B−21Bにおける断面図。
【図21C】図20Bの線21C−21Cにおける断面図。
【図21D】図20Bの線21D−21Dにおける断面図。
【図21E】図20Bの線21E−21Eにおける断面図。
【図22】図20A、20B、21A乃至21Eの実施例における組立方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき詳細に説明する。図面は、必ずしも寸法比率が等しいものではなく、例示する実施形態を示すためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。当業者は開示される寸法及び材料が例示に過ぎず添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を制限することを意図したものではないことを認識するだろう。
【0014】
ここで使用されるように用語の押圧ワイヤはカテーテルが可動タイプであることを示すことを意図したものではない。その代わりに用語押圧ワイヤはカテーテルの先端部に押圧力を付与することを意味する。いくつかの実施例において押圧ワイヤは押圧力(通常対応する張引力と組み合わせて)を付与するために使用され、これにより自己拡張型ステントは第1の管状部材により搬送され、第2の管状部材により第2の管状部材から放出され所望の部位に位置される。
【0015】
図1,2は本発明の実施例における迅速交換型ステント搬送カテーテルシステム10を示す平面図である。迅速交換型ステント搬送カテーテルシステム10は自己拡張型ステント20を体腔内に搬送及び配置すべくガイドワイヤ30を伝って(破線で示す)前進する迅速交換型カテーテル100を含む。
【0016】
迅速交換型ステント搬送カテーテルシステム10は胆管における実施及び胃腸における実施の少なくともいずれか一方に対して好適である。胆管における実施例において迅速交換型ステント搬送カテーテルシステム10は内視鏡(図示しない)内に嵌入し、胆管の所望の部位に案内できるような寸法に形成される。血管における実施例において迅速交換型ステント搬送カテーテルシステム10は案内シース(図示しない)及び案内カテーテルのうち少なくともいずれか一方の内部に嵌入し、血管の所望の部位に案内できるような寸法に形成される。腸の実施例において、迅速交換型ステント搬送カテーテルシステムは内視鏡(図示しない)に嵌入し、腸の所望の部位に案内し、自己拡張型ステント(ボストンサイエンティフィックコーポレーション(Boston Scientific Corporation )により製造されている登録商標名Wallstent 等)が腸の狭窄症を軽減して消化活動が生じるために十分に拡大できるような寸法に形成される。
【0017】
迅速交換型ステント搬送カテーテル100は外側管状部材140内に摺動自在に位置される内側管状部材120を含む。外側管状部材140は内側管状部材120を摺動自在に収容すべく内部を通過して延びる管腔(図示しない)を含む。内側管状部材120はガイドワイヤ30を収容すべくその先端部を通過して延びるガイドワイヤルーメン130(図5Aに示す)を含む。
【0018】
迅速交換型ステント搬送カテーテル100の迅速交換性能を実現するためにガイドワイヤ30は外側管状部材140のガイドワイヤ開口部170を通過して退出する。これらは図3,7Aを参照して詳細に後述する。ガイドワイヤ30は比較的短いガイドワイヤルーメンを通過して延び、内側管状部材120の先端側ガイドワイヤ開口部を通過して延びる。これらは図4,5A,5Bを参照して詳細に後述する。実施例において、装置100は最初にガイドワイヤ30を伝って先端から挿入される。
【0019】
基端側ハンドル122は内側管状部材120の基端部124に連結される。同様に先端側ハンドル142は外側管状部材140の基端部144に連結される。先端側ハンドル142は内側管状部材120の先端部の周囲に設けられる自己拡張型ステント20を選択的に暴露するか覆うべく基端側ハンドル122に対して長手方向に位置される。図1において先端側ハンドル142は基端側ハンドル122に対して長手方向において先端側方向に移動され、これにより外側管状部材140は自己拡張型ステント20を覆う。図2において先端側ハンドル142は基端側ハンドル122に対して長手方向において基端側方向に移動され、内側管状部材120に対して外側管状部材140を後退させ、自己拡張型ステント20を暴露及び配置する。
【0020】
図3は更に、外側管状部材140が基端部から先端部に向けて基端部144、主外側部分(図示しない)、ガイドワイヤスリーブ160、及び先端側外側部分146を備えることを示す。基端側外側部分144の基端部は先端側ハンドル142に連結されている。先端側ハンドル142は基端側外側部分144を覆って射出成形により形成される。基端側外側部分144の先端部は主外側部分(図示しない)の基端部に連結されている。主外側部分(図示しない)の先端部はガイドワイヤスリーブ160の基端部に連結され、ガイドワイヤスリーブ160の先端部は先端側外側部分146の基端部に連結されている。外側管状部材140の様々な部分は接着剤、加熱手段や、その他の当業者に公知の好適な手段により連結される。
【0021】
胆管の実施例において基端側外側部分144は、約8.0インチ(20.3cm)の長さ、約0.120インチ(9フレンチ)(0.30cm)の外形、及び約0.083インチ(0.21cm)の内径を有し、登録商標名PEBAXから形成されてもよい。ガイドワイヤスリーブ160は図7A,7Bを参照して詳細に後述する。主外側部分(図示しない)は、約55.0インチ(140cm)の長さ、約6フレンチ(0.079インチ)(約0.2cm)の外形、及び約0.057インチ(0.145cm)の内径を有し、登録商標名PEBAX又はワイヤ編組又はポリテトラフルオロエチレン合成物から形成されてもよい。先端側外側部分146は、約10.6インチ(27cm)の長さ、約8フレンチ(0.105インチ)(約0.267cm)の外形、及び約0.090インチ(0.229cm)の内径を有し、登録商標名PEBAX又はワイヤ編組又はポリテトラフルオロエチレン合成物から形成されてもよい。
【0022】
腸の実施例において基端側外側部分144は、約8.0インチ(20.3cm)の長さ、約0.120インチ(9フレンチ)(0.30cm)の外形、及び約0.083インチ(0.21cm)の内径を有し、登録商標名PEBAXから形成されてもよい。主外側部分(図示しない)は、約55.0インチ(140cm)の長さ、約6フレンチ乃至8フレンチ(0.079インチ乃至0.105インチ)(約0.2cm乃至0.267cm)の外形、及び約0.057インチ(0.145cm)の内径を有し、登録商標名PEBAX又はワイヤ編組又はポリテトラフルオロエチレン合成物から形成されてもよい。先端側外側部分146は、約10.6インチ(27cm)の長さ、約10フレンチ(0.131インチ)(約0.333cm)の外形、及び約0.113インチ(0.286cm)の内径を有し、登録商標名PEBAX又はワイヤ編組又はポリテトラフルオロエチレン合成物から形成されてもよい。軽減させる狭窄部の寸法に応じてより長くより大型の先端側外側部分も使用可能である。
【0023】
放射線不透過性バンド42は先端側外側部分146の先端部に隣接して設けられ、これによりカテーテル100を放射線により容易に配置させ、放射線により内側管状部材120に対して外側管状部材140の位置を示し、自己拡張型ステント20の配置を補助する。
【0024】
図4,5A,5Bは内側管状部材120が基端側内側部分124の先端部に連結される先端側内側部分126を含むことを更に示す。基端側内側部分124及び先端側内側部分126は基端側内側部分124がステンレス鋼ハイポチューブにより補強されていることを除き略同一である。内側部分124,126は、約88.6インチ(225cm)の長さ、約0.052インチ(0.13cm)の外形、及び0.037インチ(0.094cm)の内径を有し、ポリエーテル−エーテル−ケトンから形成されてもよい。約5.9インチ(15cm)の長さ、約0.080インチ(0.20cm)の外形、及び0.055インチ(0.14cm)の内径を有し、低密度ポリエチレンから形成されるジャケットが内側部材120の周囲に設けられ、ステント20の基端側にて内側部材120及び外側部材140の間の間隙を占め捩れを防止する。内側管状部材120の様々な部分は接着剤、加熱手段や、当業者に公知のその他の好適な手段により連結される。
【0025】
先端側ヘッド132は先端側内側部分126の先端部に連結され、外側管状部材140の先端側への移動を制限する。先端側結合領域134が先端側ヘッド132のすぐ基端側に設けられる。保持スリーブ136及びステントカップ138はステント20のずれを防止する。放射線不透過性バンド44,48は先端側内側部分126に設けられ、ステント20の長手方向部分に略等しい長さにて分離される。外側管状部材140の先端側外側部分146は搬送中に自己拡張型ステント20を含む。
【0026】
先端側内側部分126は基端側ガイドワイヤ開口部128及び先端側ガイドワイヤ開口部129を含む。ガイドワイヤルーメン130は基端側ガイドワイヤ開口部128及び先端側ガイドワイヤ開口部129の間を延びて内部にガイドワイヤ30を収容する。基端側ガイドワイヤ開口部128はガイドワイヤスリーブ160のガイドワイヤ開口部170の長さより大きな長さを有する。基端側ガイドワイヤ開口部128の長さは自己拡張型ステント20を十分暴露及び配置すべく内側管状部材120に対して外側管状部材140を長手方向に移動させるために十分である。基端側ガイドワイヤ開口部128の長さはステント20の制限された部分の長さより好適に僅かに長く、これによりステント20を完全に配置するに先立って内側管状部材120及び外側管状部材140の間にてガイドワイヤ30が押し込まれることを回避する。
【0027】
図5A,5Bに示すようにガイドワイヤルーメン130は先端側内側部分126から偏心して位置される。例えば上側壁部は約0.003インチ(約0.0076cm)の厚みを有し、下側壁部は約0.011インチ(約0.028cm)の厚みを有する。上側の肉薄な壁部は基端側ガイドワイヤ開口部128を形成すべく取り除かれ(切断され)る。先端側内側部分126の肉薄な壁部のみを取り除くことにより、内側管状部材120のコラム強さは有意に妥協されない。
【0028】
中実のマンドレル(図示しない)はコラム強さを高めるべくガイドワイヤ開口部128の基端側にて内側管状部材120の基端側ルーメン(図示しない)内に挿入される。中実のマンドレルは先細の端部を備えた約0.030インチ(約0.076cm)の外径を有し、ステンレス鋼から形成される。約0.079インチ(約0.2cm)の外径を有するステンレス鋼ハイポチューブ(図示しない)がコラム強さ及び耐久性を高めるために基端側内側部分124の周囲に位置される。基端側ハンドル122はハイポチューブの基端部及び基端側内側部分124の基端部を覆うように射出成形される。
【0029】
先端側の放射線不透過性マーカー44は先端側内側部分126に設けられ放射線によりステント20の先端部を示す。基端側の放射線不透過性マーカー48は先端側内側部分126に設けられ放射線によりステント20の基端部を示す。中間部の放射線不透過性マーカー46は放射線により示してステント20を容易に位置させるべく保持スリーブ136の先端側にて先端側内側部分126に設けられる。
【0030】
図6は腸、胆管、血管の実施例において好適な自己拡張型ステントからなるステント20を示す。例えば自己拡張型ステント20はボストンサイエンティフィックコーポレーションから登録商標名Wallstentにて販売されている金属製ステントからなる。
【0031】
図7A,7Bは、基端部164、先端部162、及びこれら両端部間に貫挿されるルーメン166を含むガイドワイヤスリーブ160を示す。先端部162は広がって先端側外側部分146に適合し連結する。基端部164は主外側部分に嵌入し連結されるような寸法に形成される。
【0032】
ガイドワイヤ開口部170はガイドワイヤスリーブ160の外側壁部を貫挿する。傾斜部172は外側壁部からルーメン166内に延びる。組み立てられると傾斜部172は内側管状部材120の基端側ガイドワイヤ開口部128を通過してガイドワイヤルーメン130内に延びる。傾斜部172は基端側ガイドワイヤ開口部128内を移動自在であり、これにより内側管状部材120に対する外側管状部材140の位置に拘わらずガイドワイヤルーメン130からカテーテル100の外側にガイドワイヤ30を容易に且つ円滑に移動させることができる。
【0033】
ガイドワイヤスリーブ160は約1.0インチ(約2.54cm)の長さ、約0.122インチ(約0.31cm)の先端側外径、約0.087インチ(約0.221cm)の基端側外径、約0.107インチ(約0.27cm)の先端側内径、及び約0.070インチ(約0.178cm)の基端側内径を有する。傾斜部172はガイドワイヤスリーブ160の外側壁部の一体的な延伸部であり、約0.090インチ(約0.229cm)の長さと約0.50インチ(約1.27cm)の幅を有する。傾斜部172は約30°の角度をなしてルーメン166内に延びる。
【0034】
ガイドワイヤスリーブ160は外側管状部材140の一体的な部分であってもよいが好適には別体として形成される要素である。例えばガイドワイヤスリーブ160はナイロンやポリプロピレンの射出成形により形成可能である。ガイドワイヤスリーブ160が射出成形により形成される場合に、所定の応用に応じて穴168等の製造の要素は充填されるか、取り除かれてもよい。個別にガイドワイヤスリーブ160を形成することにより、製造の柔軟性及び能率がより高まる。例えばガイドワイヤスリーブ160は接着剤や加熱手段を使用してカテーテルのその他の要素に容易に連結できるように敏感に溶解しない材料か容易に接着可能な材料により形成される。付加的に、ガイドワイヤスリーブ160は不適合部品を取り除き、能率を高めるため製造フロアに進入するに先立って検査される。更に寸法がより制御され接着部分における精度を高める。上記及びその他の効果はガイドワイヤスリーブ160を別体の要素として形成することにより得られるが、本発明において不可欠なことではない。
【0035】
図8A乃至図8Cは図1に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図である。図示のガイドワイヤ入口ポート200はカテーテル204を退出するガイドワイヤ202を有する。カテーテルは外側部材206、内側部材208、及びマンドレル210を有する。マンドレル210は上述したように内側部材206内に設けられ、カテーテルの基端部に対するコラム強さを高める。
【0036】
図8Aはステントが外側部材206に制限される構成を示す。内側部材が外側部材206に対して先端側に摺動すると、図8Bに示すように内側部材206内のマンドレル210も同様に先端側に摺動する。図8Cはステントが完全に配置されたときのガイドワイヤ入口ポート200における構成を示す。図示のようにマンドレル210はガイドワイヤ202を妨害することを回避すべく入口ポート200の直前に位置するような寸法に形成される必要がある。
【0037】
図8A乃至8Cに示す構造体における潜在的な課題はマンドレル210の先端側端部及びガイドワイヤ入口ポート200の間の距離である。マンドレル210はコラム強さを高めるべく設けられるが、ガイドワイヤ入口ポート200には至らない。外側部材206はガイドワイヤ入口ポート200にて切断されるため外側部材206が弱化する。内側部材208はガイドワイヤ入口ポート200を横断して切断されるため、同様に弱化する。上記3つの状態によりガイドワイヤ入口ポート200は隣接する部分と比較して相対的に脆弱であるため湾曲し易い。カテーテルが前進すると、図8Aに示すようにステントは制限されることに留意する必要がある。ステントが配置されるとカテーテルは更に前進させる必要がなくなるため上記はカテーテルの押圧性が最も重要である期間である。にもかかわらず前進する態様は、マンドレル210がその基端側において終端するためガイドワイヤ入口ポート200の領域においてカテーテルが最も脆弱である期間である。
【0038】
ステントが位置される場合に更なる課題が生じる。特に内側部材208及び外側部材206の間において相互に対して押圧及び張引が生じる場合に、カテーテルが偏向してステントが不正確に位置される原因となる潜在的な可能性がある。例えば外側部材206がステント(図示しない)を位置させるべく退去されると、切断された内側部材208は切断領域の部分において(特に切断された側に)湾曲し、カテーテルの先端部を湾曲させ得る。同様に部分的に位置させる工程において、ステントの配置が不正確であると判断された場合に、ステントを抑制位置に引き戻すべく外側部材を先端側に押圧しようと判断されるだろう。再びこのような工程において側面の湾曲が生じ得る。ガイドワイヤがカテーテル内に位置される部分においては、ガイドワイヤがカテーテルを少なくともいくらか支持するため容易に直線的な構造を保持することができる。しかしながらこの支持はガイドワイヤポートの基端側の近傍においては容易に得られない。
【0039】
図9は別例において傾斜部により終端するマンドレルを有するガイドワイヤ入口傾斜部を示す等角図である。カテーテル240はガイドワイヤ入口ポート242、外側部材246、内側部材248、及び傾斜した又は傾斜状の先端部を有するマンドレル250を備える。図7Aにおいては外側部材を使用して傾斜部を形成するが、図9においてはこれに代えて特別な形状のマンドレル250を使用する。この変形により外側部材246の取り扱いが単純なものとなる。ガイドワイヤがカテーテルを退出するように傾斜部をなすマンドレル250を有することにより、ガイドワイヤ入口ポート242の領域における押圧性が向上する。この理由としてガイドワイヤによりガイドワイヤ入口ポート242及びその先端側にて支持力が得られること、及びマンドレルがガイドワイヤ入口ポート242に延びることが挙げられる。
【0040】
図10は図9に示す迅速交換型ステント搬送カテーテルの平面切断図である。図示のカテーテル240はガイドワイヤ244がカテーテル240を退出できるようにガイドワイヤポート242を有する。図示の内側部材248はステント252を搬送し(外側部材246の一部を切り取って示す)、先端側キャップ256を有する。内側部材248はガイドワイヤポート242を横断して湾曲されるか切断される。ガイドワイヤ244の配置によって示すように内側部材248はガイドワイヤ244が進入できるように開口部を備え、内側部材248のルーメンを通じたカテーテル240の先端部への通路を備える。
【0041】
カテーテル240は更に2つの基端部ハンドル、即ち外側部材246に連結される第1のハンドル258と、内側部材248に連結される第2のハンドル260を備える。ハンドル258,260により医師は内側部材248を外側部材246に対して容易に摺動させることができる。上記いくつかの設計とは対称的に図示のようにマンドレル250は内側部材248よりむしろ外側部材246に連結されるように第1のハンドル258に取り付けられる。
【0042】
図11A乃至11Cは図10に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図である。図11Aはマンドレル250が出口傾斜部をなし、ガイドワイヤ244がガイドワイヤポート242から退出することを示す。図11Bに示すようにステントが部分的に位置され、図11Cに示すように完全に位置されると、マンドレル250はガイドワイヤポート242に対して移動しない。この理由としてポート242及びマンドレル250が外側部材246に直接連結されることが挙げられる。即ち図11A乃至11Cに示すようにマンドレル250は外側部材246及びガイドワイヤポート242に対して移動しない。従ってマンドレル250により得られる付加的な押圧性がステント252の配置に先立ってカテーテル240の挿入及び前進時に利用可能である。
【0043】
図12A乃至12Fはそれぞれ図10のA−A線、B−B線、C−C線、D−D線、E−E線、及びF−F線における断面図である。図12D乃至12Fはマンドレル250及び内側部材248の相互に異なる構成を示すことに留意する必要がある。図12Aに示すように外側部材246及び内側部材248は通常同心上にある。ガイドワイヤ244は内側部材248により画定されるルーメンを通過して延びる。
【0044】
図12Bは図10に示すガイドワイヤポート242のより近傍にて内側部材248の一部が切り取られるか取り払われガイドワイヤ244が内側部材248のルーメンに進入することを示す。図12Cに示すように図10のガイドワイヤポート242において内側部材248及び外側部材246の両者は通常三日月状の形状を有し、これによりガイドワイヤ244はカテーテルに進入する。図12D乃至12Fに別例における図10のガイドワイヤポート242の基端側の構造体を示す。
【0045】
図12Dは図10に示す実施例に通常対応し、内側部材248が図10のガイドワイヤポート242の基端側において管状の形状に復帰し、マンドレル250がそこを通過することを示す。マンドレル250を図10の第1のハンドル258に連結させるために、内側部材248は切断されるか、内側部材248の基端部の近傍において取り除かれた部分を有する。これによりマンドレル250は内側部材248から退出し、外側部材246か図10の第1のハンドル258のいずれかに連結する。この連結により外側部材246及びマンドレル250の相互に対する軸方向の移動は制限される。
【0046】
図12Eは第1の別例による構成を示し、内側部材248は図10のガイドワイヤポート242の基端側にて少なくともマンドレル250の基端部に向かって(例えばハイポチューブの一部を取り除くことにより)三日月状の形状を有する。図12Fは別例において内側部材248が押圧ワイヤ又はコアワイヤであることを示す。マンドレル250は図示のように内側部材248及びワイヤを捩れのない構成又は屈曲した構成に固定するような形状に形成される。図12Fに示す実施例において内側部材248のワイヤ部分は任意の方法(例えば溶接、ろう着や、接着剤)により内側部材248のより先端側の三日月状部及び管状部のうち少なくともいずれか一方に対して取付可能である。図示のマンドレル250は明瞭に示すべく内側部材248より遙かに大きいが、必ずしもそうである必要はない。
【0047】
図13は基端側押圧ワイヤを有する迅速交換型ステント搬送カテーテル280のガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図である。ガイドワイヤ入口ポート282によりガイドワイヤ284はカテーテルを退出可能である。内側部材は先端側管状区分286及びワイヤの形状にて示す基端側押圧部材288を備える。外側部材は外側先端側部材290を備え、ここから傾斜部292をなすべくフラップが使用される。外側先端側部材290は外側基端側部材294に固定される。
【0048】
実施例において、外側基端側部材294は小口径ハイポチューブであり、外側先端側部材290は大口径ポリマー部材である。別例において外側基端側部材294は長尺状の隣接する二重ルーメン部材の形状を採る。マンドレル296が任意により設けられてもよい。カテーテル280のいくつかの部分が加熱処理や接着剤による処理を含む任意の方法により一体的に連結される。
【0049】
図14A,14Bは別例において傾斜状のマンドレルと基端側押圧ワイヤとを有するカテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図である。図14Aはカテーテル300がガイドワイヤポート302を備え、ここにおいてガイドワイヤ304がカテーテル300を退出することを示す。内側部材は先端側管状部材306、先端側管状部材306に設けられるステント308を備え、先端側ヘッド310にて終端する。先端側管状部材306はその基端部近傍の外側にてカテーテル300の基端部(図示しない)に向かって延びる押圧ワイヤ312に取り付けられる。
【0050】
図示の先端側外側部材314も外側部材314がガイドワイヤポート302をなすべく参照符号316にて示すように一部を切り取られるか取り払われている。先端側外側部材314は基端側外側部材318に取り付けられている。傾斜状の先端部を有するマンドレル320が設けられ外側部材314,318に対して1対1の比により軸方向に移動するように取り付けられる。
【0051】
実施例においてカテーテル300の基端部(図示しない)におけるハンドルはマンドレル320及び基端側外側部材318の両者に取り付けられる。別例においてマンドレル320は基端側外側部材318にその長手方向部分に沿った位置にて固定される。例えば基端側外側部材318がハイポチューブとして設けられた場合に、金属製のマンドレル320がろう着又は溶接によりハイポチューブに固定されてもよい。
【0052】
相互に対して摺動自在な内側部材及び外側部材を有する迅速交換型カテーテルにおける周知の課題は配置である。内側部材がガイドワイヤポートを横断する長手方向部分に沿った管状部材である場合に、ガイドワイヤが退出するための内側部材の開口部はガイドワイヤ出口ポートをなすべく外側部材の開口部に一致するように位置させる必要がある。これが不可能な場合にガイドワイヤはガイドワイヤ出口ポートにおいて付加的な摩擦や圧迫にさらされガイドワイヤ及びカテーテル間の相互に対する運動が困難なものとなる。しかしながら図14A,14Bに示す後述するいくつかの実施例において内側部材がガイドワイヤポートを横断する管状部材でない場合に、配置の課題は軽減される。
【0053】
図14Aは配置されてない状態におけるカテーテル300を示す。ステント308を配置するために内側管状部材306は押圧ワイヤ312に作用する押圧力と、基端側外側部材318に作用する張引力とを組み合わせることにより前進する。ステント308が外側部材314の先端部を通過すると、図14Bに示すように体腔の閉塞を開くか狭窄症を軽減すべく自己拡張する。
【0054】
図15は更なる別例において迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図である。カテーテル400はガイドワイヤ404をカテーテル400内から外側に退出させるガイドワイヤポート402を備える。先端側管状部材406はステント408を搬送し、先端側ヘッド410に取り付けられる。押圧ワイヤ412は先端側管状部材406に取り付けられる。
【0055】
先端側外側部材414はガイドワイヤポート402にて内部に形成される傾斜部を有する。傾斜部は任意の方法により形成される。例えば、傾斜部は部分的に先端側外側部材414の周囲を切断し、周囲の部分的な切断部から基端側に延びる先端側外側部材に長尺状スリットを形成し、1つ以上のマンドレルを使用して切断部を所望の傾斜状に保持し、先端側外側部材414の材料を熔解させるか少なくともリフロー(re-flow )をなすべく加熱することにより形成可能である。長尺状スリットに代えて先端側外側部材414は湾曲した構造体に保持され、傾斜部をなすべく加熱されてもよい。
【0056】
図13A,14A,14Bにおいて押圧ワイヤ288,312は先端側管状部材286,306の外側に取り付けられる。図15に示すように押圧ワイヤ412は先端側管状部材406の内部に取り付けられる。図15に示すようにこの内側への取付により先端側管状部材406は先端側外側部材414の寸法のより近傍の寸法に形成可能である。押圧ワイヤ412を先端側管状部材406内に十分に、特に先端側ヘッド410まで延ばすことにより、押圧ワイヤ412は押圧力を伝達することに使用され、これにより先端側管状部材を非常に肉薄な壁部からなる部分にすることができる。
【0057】
図16は更なる別例において迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図である。カテーテル500はガイドワイヤポート502を備え、これによりガイドワイヤ504はカテーテル500を退出可能である。先端側内側部材506はステント508を搬送し、先端側ヘッド510に延びる。先端側内側部材506は押圧ワイヤ512に連結される。押圧ワイヤ512はガイドワイヤポート502にわたり基端側部材514に連結される。図示のように基端側部材514は中空又は中実、或いは充填された円筒形の長尺状部材の形状を採る。
【0058】
カテーテル500の外側は3つの主要な部分、即ち先端側外側部材516、ミッドシャフト518、及び基端側部材520を含む。ガイドワイヤポート503における傾斜部はミッドシャフト518により形成されるが、その形状は図15において上述した切断、スリット、リフロー、湾曲、及び熔解等の任意の方法により形成される。先端側外側部材516は傾斜部を形成する工程時に取り付けられるか、後に取り付けられてもよい。また、ミッドシャフト518は基端側部材520に取り付けられるが、いくつかの実施例において基端側部材520はハイポチューブである。
【0059】
ここで開示される実施例において、カテーテルは「転換可能」であることに留意する必要がある。例えばカテーテル500はガイドワイヤポート502にてカテーテルを退出する第1のガイドワイヤを伝って最初に位置される。第1のガイドワイヤが処置される特定の部位や狭窄部に対して不適である(例えば狭窄部を通過するには可撓性が過ぎるか、正確に前進させることに対して不適である)場合にはガイドワイヤは退去され、第2のガイドワイヤが基端側内側部材514を通じて傾斜部に前進される。
【0060】
内側部材は外側部材に対して移動自在であり、傾斜部はその周囲を完全に又は気密にシールする必要はない(実際あまりにシールが気密である場合にステント508を配置するための移動が妨害される)。血管の実施例において、血液は比較的粘着性の流体であるため、血液のガイドワイヤルーメンへの進入、及びガイドワイヤの移動の制限を防止すべく気密にシールするためには有用である。しかしながら、この課題は気密なシールが不要であるような胆管の実施例において大いに低減される(しかしながら流体はより腐食性を備え別の課題を生じる)。第2のガイドワイヤは傾斜部の後方に前進するため、内側部材(即ち、押圧ワイヤ512)が傾斜部を通過する部分に傾斜部によって配向され、内側部材(押圧ワイヤ512)に隣接して通過することによって傾斜部により通過する。続いて第2のガイドワイヤはカテーテル500の先端部に前進される。
【0061】
図17はガイドワイヤ入口ポートを形成するための、バンドを含む傾斜部材を示す分解図である。マンドレル及び傾斜部材530は傾斜部536を有する傾斜片534にその先端部にて連結されるマンドレル部532を有してなる。傾斜片534を外側部材(図示しない)に固定することを補助すべく、バンド538が設けられる。図18に示すように傾斜部536及びバンド538は外側部材540の周囲に固定される。外側部材540は内側部材542を少なくとも部分的に包囲する。バンド538は接着剤、溶接及び/又はスナップ式等の実施を含む好適な方法により傾斜部536に固定される。
【0062】
図19はガイドワイヤ入口ポートを横断する中間部の管状部材を含む迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図である。カテーテル600はガイドワイヤ604をカテーテル600から退出させるガイドワイヤポート602を備える。先端側管状部材606はステント608を搬送し、先端側ヘッド610にて終端する。先端側管状部材606はガイドワイヤポート602の基端側に移動する押圧ワイヤ612に取り付けられる。
【0063】
先端側外側部材614はガイドワイヤポート602にて一部を取り払うべく切断される。先端側外側部材614の基端部は基端側外側部材616に取り付けられる。基端側外側部材616はポリマーチューブや補強したポリマーチューブであってもよいが、好適にはハイポチューブである。図19に示す実施例において、参照符号622にて先端に向かって漸減する部分により示すように先端側外側部材614の基端部は湾曲するか切れ込みが入れられ、基端側外側部材616の先端部に対して圧着される。これにより小さな外形の基端側外側部材616が使用可能である。
【0064】
中間部の管状部材618も図示される。中間部の管状部材618はガイドワイヤ604をカテーテル600の外側に配向する傾斜部620を形成することを補助することに使用される。傾斜部を形成するために第1のマンドレルが中間部の管状部材618を貫挿し、中間部の管状部材618は先端側外側部材614内に位置される。先端側外側部材614に部分的に周囲を切断され、ガイドワイヤポート602の先端側縁部をなす。切断部の基端側にて先端側外側部材614は中間部の管状部材618に向かって下方に湾曲される。付加的なマンドレルが次の工程において先端側管状部材614の開存性を保持すべく位置される。次の工程は傾斜部620の領域にて先端側外側部材614を加熱し、カテーテル600の材料を熔解させ、且つ/又はリフロー(reflow)させる。中間部の管状部材618は、カテーテル600全体に対する押圧性を生じさせることを補助するほかガイドワイヤポート602を横断する押圧ワイヤ612の配向の制御を補助する。
【0065】
図20A及び図20Bは別例において傾斜部が内側マンドレルに連結され外側部材の外側に延びることを示す分解側面図である。カテーテル700はマンドレル702、内側部材704、及び外側部材706を備える。マンドレル702の先端部はガイドワイヤ傾斜部710を含む傾斜部材708に連結される。内側部材704は切断部712を含む。図示のように傾斜部材708はマンドレル702及び外側部材706の両者に固定される。本実施例において、マンドレル702は固定されない基端部を有し、剛性を支持すべく設けられる。別例においてマンドレル702はその基端部近傍にて外側部材706に固定されるか、外側部材706に固定される要素に取り付けられている。
【0066】
図21A乃至図21Eはそれぞれ図20Bの線21A−21A、線21B−21B、線21C−21C、線21D−21D、線21E−21Eにおける断面図である。図21Aに示すようにマンドレル702は内側部材704及び外側部材706の内部に設けられる。先端側の図21Bに移動するとマンドレル702はその先端部近傍にて、即ち内側部材の切断部712に対応する部分にて傾斜部材708に固定される。傾斜部材708は例えば加熱、溶接、接着剤、及び/又はインサート成型等の好適な方法によりマンドレル702に固定される。
【0067】
再び先端側に図21Cに移動すると、傾斜部材708及びガイドワイヤ傾斜部710が図示される。傾斜部材708は好適な方法により外側部材706に固定される。図21Cに示す実施例において傾斜部材708は例えば一体的に加熱溶接される重ね継ぎを使用し、三日月状のマンドレル及び加熱金型を使用するかレ―ザーによる方法により外側部材706に固定される。これに代えて、接着剤が使用されてもよい。傾斜部材708は図21Bに示すマンドレル702及び外側部材706の両者に固定されるため、マンドレル702の先端部から傾斜部710及び/又は開口部、即ち外側部材706の切断部714にかけて可変の「空隙」は存在しない。
【0068】
図21Dは図21Cに示す傾斜部のすぐ先端側を示す。外側部材716は内側部材704の切断部712の周囲に設けられる。好適に内側部材704の切断部712は内側部材704が切断部712に沿って傾斜部材710に対して摺動自在となるようにステントの少なくとも長さ部分にわたって延びる。図21Eに示すように図21C,21Dの切断部712の先端側において、内側部材704は再び円筒形状を有する。所望に応じて内側部材704はハイポチューブ部材からなる少なくとも1つの切断部と、ハイポチューブか管状ポリマー部分か編み込んだ支持部材を含む1つ以上のポリマー部分からなるその他の部分とを有する多片からなる部材であってもよい。図示のステント716は内側部材704及び外側部材706の間に設けられる。
【0069】
図22は図20A、20B、21A乃至21Eの実施例において組立方法を示す図である。図示のように内側部材及び外側部材は内側部材704の切断部712が通常外側部材706の比較的短い開口部714に並ぶように位置される。続いてマンドレル702の基端部はマンドレル702の基端部が内側部材704内に移動するように開口部714を通じて基端側方向に挿入され前進する。マンドレル702は傾斜部材708が開口部714に進入し、傾斜部710が外側部材706に対して係合するまで基端側に移動する。
【0070】
当業者には、本発明は、本願に記載され、意図される特定の実施例以外にも、様々な形態で実施できることが理解されるであろう。したがって、請求の範囲に記載される本発明の範囲および精神から逸脱することなく、形態および詳細を変更することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は医療装置及び医療処置に関する。より詳細には本発明は腸の閉塞症を処置するステント及びステント搬送システム等の装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消化管系及び(胆管、肝管、及び膵管を含む)胆管系内の病変を処置するための内視鏡による処置の数が増加している。内視鏡は直接映像化することにより所望の管の領域へ進入させる。しかしながら、管自体は蛍光透視下においてガイドワイヤと組み合わせたカテーテルを使用して案内される必要がある。上記目的の組織上の領域の処置のための幅広いタイプのカテーテルが公知である。胆管カテーテルの例がArgo等による特許文献1、及びDe Toledo等による特許文献2に開示され、その全体がここで開示されたものとする。
【0003】
特許文献1は胆管の処置に使用されるカテーテルを開示し、カテーテルは基端部及び先端部を有するシャフトを含む。ガイドワイヤルーメンはシャフトを通過してシャフトの先端部の基端側に設けられる基端側ガイドワイヤポートからシャフトの先端部に設けられる先端側ガイドワイヤポートに延びる。シャフトは更にシャフトの基端部から基端側ガイドワイヤポートに延びるスロット又はチャネルを含む。上記ガイドワイヤ開口部及びチャネルを含むカテーテルは通常迅速交換型又はシングルオペレータ交換型胆管カテーテルと呼ばれる。
【0004】
特許文献2はガイド部材の先端部を通過して延びるガイドワイヤを有し、基端側ガイドワイヤポートが基端部の先端側に設けられたガイド部材を備えるシングルオペレータ排水カテーテル搬送システムを開示する。ガイド部材全体にわたって設けられる配置カテーテルはその先端部を通過して延びるカテーテルルーメンを有し、基端側ガイドワイヤポートが基端部の先端側に設けられる。上述したように基端側ガイドワイヤポートを設けることにより、搬送システムは1人の操作者によって短いガイドワイヤにより使用可能である。排水カテーテル(プラスチックステントとして公知である)は配置カテーテルの先端側にガイド部材の周囲に設けられる。排水カテーテル搬送システムは好適に配置カテーテルを排水カテーテルに解放自在に連結する手段を備え、解放自在な連結手段はガイド部材が移動すると、排水カテーテルを外す。しかしながら、特許文献2は収納式シースを要する金属製の自己拡張型ステントを搬送するための迅速交換型胆管カテーテルシステムを開示していない。
【0005】
Brauschweiler等による特許文献3及びLukic等による特許文献4は長尺状シースを有し、自己拡張可能なステントがシースの先端側領域内に正反対の状態に位置されるステント搬送装置を開示する。長尺状コアがシース内において容易にステントを搬送させるべくシースに対して長手方向に相対移動可能に位置される。しかしながら、特許文献3及び特許文献4は特許文献2に開示されるような迅速交換型の特徴を開示していない。
【0006】
Fischell等による特許文献5は自己拡張型ステントの搬送が後に続くバルーンによる血管形成術を施すことが可能なカテーテルを開示する。カテーテルは自己拡張型ステントを配備すべく引き戻すことの可能な外側シースを含む。実施例においてカテーテルは迅速に交換することができるようにステントのすぐ基端側に設けられるガイドワイヤ入口ポートを含む。ガイドワイヤ入口ポートを設けるために、特許文献5は内側管内に傾斜したプラグを設け、外側シース内に長尺状をなす側面開口部を設けている。外側シースの長尺状側面開口部はステントを配置すべく外側シースを後退させるために必要である。上記長尺状側面開口部を設けることにより、カテーテルの内側機構の主要部は体液に暴露され、別の装置に妨害されるため、ステント搬送カテーテルの性能を落とす。上記望ましくない特性の他、ここでは具体的に開示しないがその他の望ましくない特性により、改善された迅速交換型のステント搬送カテーテルに対する要求に応じ得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5921971号明細書
【特許文献2】国際公開第00/69498号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5484444号明細書
【特許文献4】米国特許第5709703号明細書
【特許文献5】米国特許第5743874号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
十二指腸及び腸内の胃腸の狭窄症は様々な原因により生じ、通常隣接する腫瘍による衝突や圧迫により生じることが周知である。胃腸の組織を軽減させるべくステントが腸の領域に位置され、部位の閉塞が防止され、これにより患者が狭窄症でなければしたであろう通常の食事及び生活様式が可能となる。例えばステントはガイドワイヤ及び内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ERCP)カテーテルを内視鏡のワーキングチャネルを通じて造影剤注入のために腸の領域内に前進させることにより位置される。続いてERCPカテーテルは回収され、自己拡張型ステントを備えるカテーテルはガイドワイヤを伝って狭窄症の確認された部位に、又は部位の近傍に前進する。続いてステントは解放され、自己拡張し、狭窄部位を開放する。しかしながら、腸へのステント配置はオーバーザワイヤタイプの装置を使用してのみ行われてきた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施例において、迅速交換型の腸へのステント配置カテーテルを使用して胃腸の狭窄症を軽減する方法が開示される。カテーテルは内側部材及び外側部材を備え、これらの2つの部材は相互に対して摺動自在である。外側部材は内側部材のガイドワイヤチャネル内に下方に延びる傾斜部を含む。傾斜部もガイドワイヤチャネル内を摺動自在である。傾斜部はガイドワイヤが内側部材の先端側区分を横断するだけの空隙を設けてカテーテルの先端部の近傍に位置される。カテーテルの先端部の近傍には、外側部材が第1の位置にある場合に自己拡張型ステントが内側部材及び外側部材の間に位置される。内側部材及び外側部材の間を相対移動させることにより、外側部材は自己拡張型ステントを覆わなくなるためステントは解放される。解放されると、ステントは狭窄部位を少なくとも部分的に開放すべく自己拡張する。
【0010】
別例において自己拡張型ステントを配置する迅速交換型カテーテルは、先端側管状抑制区分の他ガイドワイヤポートを有する外側部材と、抑制区分内にて自己拡張型ステントを搬送すべく調整される先端部を有する内側部材とを備える。マンドレルが外側部材内に設けられる。マンドレルはガイドワイヤポートに対するマンドレルの先端部の軸方向の配向を保持するために外側部材に連結される。マンドレルの先端部は傾斜部をなすような形状に形成され、これによりガイドワイヤは外側管状部材内からガイドワイヤポートを通過してカテーテルの外側に円滑に退出可能である。
【0011】
本発明の更なる実施例において迅速交換型ステント配置カテーテルとして使用すべく調整される装置が開示される。第1の実施例において、自己拡張型ステントと共に使用される迅速交換型カテーテルは外側管状部材、内側部材、及びマンドレルを備える。実施例において内側部材は基端側長尺状部材の先端部に連結される先端側管状部材を含む。実施例において外側管状部材はガイドワイヤ開口部を含む。マンドレルは外側管状部材内の基端側長尺状部材に隣接して適合するような寸法及び形状に形成され、外側管状部材のガイドワイヤ開口部の基端部近傍にて終端する。更なるいくつかの実施例において基端側長尺状部材は先端側管状部材に連結する押圧ワイヤ(push wire )やその他の中実の部材の形状を採る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例において搬送状態にある迅速交換型ステント搬送カテーテルシステムを示す平面図。
【図2】本発明の実施例において配置状態にある図1に示す迅速交換型ステント搬送カテーテルシステムを示す平面図。
【図3】図1に示す迅速交換型カテーテルの外側管状部材の先端部を示す平面図。
【図4】図1に示す迅速交換型カテーテルの内側管状部材を示す平面図。
【図5A】図4の5A−5A線における断面図。
【図5B】図4の5B−5B線における断面図。
【図6】図1に示す迅速交換型カテーテルによる搬送に好適な自己拡張型金属製ステントを示す平面図。
【図7A】図3に示す外側管状部材のガイドワイヤスリーブを示す等角図。
【図7B】図7Aに示すガイドワイヤスリーブの長尺状区分を示す図。
【図8A】図1に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図。
【図8B】図1に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図。
【図8C】図1に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図。
【図9】別例において傾斜により終端するマンドレルを有するガイドワイヤ入口傾斜部を示す等角図。
【図10】傾斜部により終端するマンドレルを有する迅速交換型ステント搬送カテーテルを示す平面図。
【図11A】図10に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図。
【図11B】図10に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図。
【図11C】図10に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図。
【図12A】図10のA−A線における断面図。
【図12B】図10のB−B線における断面図。
【図12C】図10のC−C線における断面図。
【図12D】図10のD−D線における断面図。
【図12E】図10のE−E線における断面図。
【図12F】図10のF−F線における断面図。
【図13】基端側押圧ワイヤを有する迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図。
【図14A】別例において傾斜状のマンドレルと基端側押圧ワイヤとを有するカテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図。
【図14B】別例において傾斜状のマンドレルと基端側押圧ワイヤとを有するカテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図。
【図15】更なる別例において迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図。
【図16】更なる別例において迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図。
【図17】ガイドワイヤ入口ポートを形成するための、バンドを含むマンドレル−傾斜部材を示す分解図。
【図18】図17に示すバンドを含むマンドレル−傾斜部材を組み込んだ組立後のカテーテルを示す等角図。
【図19】ガイドワイヤ入口ポートを横断する中間部の管状部材を含む迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図。
【図20A】別例において傾斜部が内側マンドレルに連結され外側部材の外側に延びることを示す分解図。
【図20B】別例において傾斜部が内側マンドレルに連結され外側部材の外側に延びることを示す分解図。
【図21A】図20Bの線21A−21Aにおける断面図。
【図21B】図20Bの線21B−21Bにおける断面図。
【図21C】図20Bの線21C−21Cにおける断面図。
【図21D】図20Bの線21D−21Dにおける断面図。
【図21E】図20Bの線21E−21Eにおける断面図。
【図22】図20A、20B、21A乃至21Eの実施例における組立方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき詳細に説明する。図面は、必ずしも寸法比率が等しいものではなく、例示する実施形態を示すためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。当業者は開示される寸法及び材料が例示に過ぎず添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を制限することを意図したものではないことを認識するだろう。
【0014】
ここで使用されるように用語の押圧ワイヤはカテーテルが可動タイプであることを示すことを意図したものではない。その代わりに用語押圧ワイヤはカテーテルの先端部に押圧力を付与することを意味する。いくつかの実施例において押圧ワイヤは押圧力(通常対応する張引力と組み合わせて)を付与するために使用され、これにより自己拡張型ステントは第1の管状部材により搬送され、第2の管状部材により第2の管状部材から放出され所望の部位に位置される。
【0015】
図1,2は本発明の実施例における迅速交換型ステント搬送カテーテルシステム10を示す平面図である。迅速交換型ステント搬送カテーテルシステム10は自己拡張型ステント20を体腔内に搬送及び配置すべくガイドワイヤ30を伝って(破線で示す)前進する迅速交換型カテーテル100を含む。
【0016】
迅速交換型ステント搬送カテーテルシステム10は胆管における実施及び胃腸における実施の少なくともいずれか一方に対して好適である。胆管における実施例において迅速交換型ステント搬送カテーテルシステム10は内視鏡(図示しない)内に嵌入し、胆管の所望の部位に案内できるような寸法に形成される。血管における実施例において迅速交換型ステント搬送カテーテルシステム10は案内シース(図示しない)及び案内カテーテルのうち少なくともいずれか一方の内部に嵌入し、血管の所望の部位に案内できるような寸法に形成される。腸の実施例において、迅速交換型ステント搬送カテーテルシステムは内視鏡(図示しない)に嵌入し、腸の所望の部位に案内し、自己拡張型ステント(ボストンサイエンティフィックコーポレーション(Boston Scientific Corporation )により製造されている登録商標名Wallstent 等)が腸の狭窄症を軽減して消化活動が生じるために十分に拡大できるような寸法に形成される。
【0017】
迅速交換型ステント搬送カテーテル100は外側管状部材140内に摺動自在に位置される内側管状部材120を含む。外側管状部材140は内側管状部材120を摺動自在に収容すべく内部を通過して延びる管腔(図示しない)を含む。内側管状部材120はガイドワイヤ30を収容すべくその先端部を通過して延びるガイドワイヤルーメン130(図5Aに示す)を含む。
【0018】
迅速交換型ステント搬送カテーテル100の迅速交換性能を実現するためにガイドワイヤ30は外側管状部材140のガイドワイヤ開口部170を通過して退出する。これらは図3,7Aを参照して詳細に後述する。ガイドワイヤ30は比較的短いガイドワイヤルーメンを通過して延び、内側管状部材120の先端側ガイドワイヤ開口部を通過して延びる。これらは図4,5A,5Bを参照して詳細に後述する。実施例において、装置100は最初にガイドワイヤ30を伝って先端から挿入される。
【0019】
基端側ハンドル122は内側管状部材120の基端部124に連結される。同様に先端側ハンドル142は外側管状部材140の基端部144に連結される。先端側ハンドル142は内側管状部材120の先端部の周囲に設けられる自己拡張型ステント20を選択的に暴露するか覆うべく基端側ハンドル122に対して長手方向に位置される。図1において先端側ハンドル142は基端側ハンドル122に対して長手方向において先端側方向に移動され、これにより外側管状部材140は自己拡張型ステント20を覆う。図2において先端側ハンドル142は基端側ハンドル122に対して長手方向において基端側方向に移動され、内側管状部材120に対して外側管状部材140を後退させ、自己拡張型ステント20を暴露及び配置する。
【0020】
図3は更に、外側管状部材140が基端部から先端部に向けて基端部144、主外側部分(図示しない)、ガイドワイヤスリーブ160、及び先端側外側部分146を備えることを示す。基端側外側部分144の基端部は先端側ハンドル142に連結されている。先端側ハンドル142は基端側外側部分144を覆って射出成形により形成される。基端側外側部分144の先端部は主外側部分(図示しない)の基端部に連結されている。主外側部分(図示しない)の先端部はガイドワイヤスリーブ160の基端部に連結され、ガイドワイヤスリーブ160の先端部は先端側外側部分146の基端部に連結されている。外側管状部材140の様々な部分は接着剤、加熱手段や、その他の当業者に公知の好適な手段により連結される。
【0021】
胆管の実施例において基端側外側部分144は、約8.0インチ(20.3cm)の長さ、約0.120インチ(9フレンチ)(0.30cm)の外形、及び約0.083インチ(0.21cm)の内径を有し、登録商標名PEBAXから形成されてもよい。ガイドワイヤスリーブ160は図7A,7Bを参照して詳細に後述する。主外側部分(図示しない)は、約55.0インチ(140cm)の長さ、約6フレンチ(0.079インチ)(約0.2cm)の外形、及び約0.057インチ(0.145cm)の内径を有し、登録商標名PEBAX又はワイヤ編組又はポリテトラフルオロエチレン合成物から形成されてもよい。先端側外側部分146は、約10.6インチ(27cm)の長さ、約8フレンチ(0.105インチ)(約0.267cm)の外形、及び約0.090インチ(0.229cm)の内径を有し、登録商標名PEBAX又はワイヤ編組又はポリテトラフルオロエチレン合成物から形成されてもよい。
【0022】
腸の実施例において基端側外側部分144は、約8.0インチ(20.3cm)の長さ、約0.120インチ(9フレンチ)(0.30cm)の外形、及び約0.083インチ(0.21cm)の内径を有し、登録商標名PEBAXから形成されてもよい。主外側部分(図示しない)は、約55.0インチ(140cm)の長さ、約6フレンチ乃至8フレンチ(0.079インチ乃至0.105インチ)(約0.2cm乃至0.267cm)の外形、及び約0.057インチ(0.145cm)の内径を有し、登録商標名PEBAX又はワイヤ編組又はポリテトラフルオロエチレン合成物から形成されてもよい。先端側外側部分146は、約10.6インチ(27cm)の長さ、約10フレンチ(0.131インチ)(約0.333cm)の外形、及び約0.113インチ(0.286cm)の内径を有し、登録商標名PEBAX又はワイヤ編組又はポリテトラフルオロエチレン合成物から形成されてもよい。軽減させる狭窄部の寸法に応じてより長くより大型の先端側外側部分も使用可能である。
【0023】
放射線不透過性バンド42は先端側外側部分146の先端部に隣接して設けられ、これによりカテーテル100を放射線により容易に配置させ、放射線により内側管状部材120に対して外側管状部材140の位置を示し、自己拡張型ステント20の配置を補助する。
【0024】
図4,5A,5Bは内側管状部材120が基端側内側部分124の先端部に連結される先端側内側部分126を含むことを更に示す。基端側内側部分124及び先端側内側部分126は基端側内側部分124がステンレス鋼ハイポチューブにより補強されていることを除き略同一である。内側部分124,126は、約88.6インチ(225cm)の長さ、約0.052インチ(0.13cm)の外形、及び0.037インチ(0.094cm)の内径を有し、ポリエーテル−エーテル−ケトンから形成されてもよい。約5.9インチ(15cm)の長さ、約0.080インチ(0.20cm)の外形、及び0.055インチ(0.14cm)の内径を有し、低密度ポリエチレンから形成されるジャケットが内側部材120の周囲に設けられ、ステント20の基端側にて内側部材120及び外側部材140の間の間隙を占め捩れを防止する。内側管状部材120の様々な部分は接着剤、加熱手段や、当業者に公知のその他の好適な手段により連結される。
【0025】
先端側ヘッド132は先端側内側部分126の先端部に連結され、外側管状部材140の先端側への移動を制限する。先端側結合領域134が先端側ヘッド132のすぐ基端側に設けられる。保持スリーブ136及びステントカップ138はステント20のずれを防止する。放射線不透過性バンド44,48は先端側内側部分126に設けられ、ステント20の長手方向部分に略等しい長さにて分離される。外側管状部材140の先端側外側部分146は搬送中に自己拡張型ステント20を含む。
【0026】
先端側内側部分126は基端側ガイドワイヤ開口部128及び先端側ガイドワイヤ開口部129を含む。ガイドワイヤルーメン130は基端側ガイドワイヤ開口部128及び先端側ガイドワイヤ開口部129の間を延びて内部にガイドワイヤ30を収容する。基端側ガイドワイヤ開口部128はガイドワイヤスリーブ160のガイドワイヤ開口部170の長さより大きな長さを有する。基端側ガイドワイヤ開口部128の長さは自己拡張型ステント20を十分暴露及び配置すべく内側管状部材120に対して外側管状部材140を長手方向に移動させるために十分である。基端側ガイドワイヤ開口部128の長さはステント20の制限された部分の長さより好適に僅かに長く、これによりステント20を完全に配置するに先立って内側管状部材120及び外側管状部材140の間にてガイドワイヤ30が押し込まれることを回避する。
【0027】
図5A,5Bに示すようにガイドワイヤルーメン130は先端側内側部分126から偏心して位置される。例えば上側壁部は約0.003インチ(約0.0076cm)の厚みを有し、下側壁部は約0.011インチ(約0.028cm)の厚みを有する。上側の肉薄な壁部は基端側ガイドワイヤ開口部128を形成すべく取り除かれ(切断され)る。先端側内側部分126の肉薄な壁部のみを取り除くことにより、内側管状部材120のコラム強さは有意に妥協されない。
【0028】
中実のマンドレル(図示しない)はコラム強さを高めるべくガイドワイヤ開口部128の基端側にて内側管状部材120の基端側ルーメン(図示しない)内に挿入される。中実のマンドレルは先細の端部を備えた約0.030インチ(約0.076cm)の外径を有し、ステンレス鋼から形成される。約0.079インチ(約0.2cm)の外径を有するステンレス鋼ハイポチューブ(図示しない)がコラム強さ及び耐久性を高めるために基端側内側部分124の周囲に位置される。基端側ハンドル122はハイポチューブの基端部及び基端側内側部分124の基端部を覆うように射出成形される。
【0029】
先端側の放射線不透過性マーカー44は先端側内側部分126に設けられ放射線によりステント20の先端部を示す。基端側の放射線不透過性マーカー48は先端側内側部分126に設けられ放射線によりステント20の基端部を示す。中間部の放射線不透過性マーカー46は放射線により示してステント20を容易に位置させるべく保持スリーブ136の先端側にて先端側内側部分126に設けられる。
【0030】
図6は腸、胆管、血管の実施例において好適な自己拡張型ステントからなるステント20を示す。例えば自己拡張型ステント20はボストンサイエンティフィックコーポレーションから登録商標名Wallstentにて販売されている金属製ステントからなる。
【0031】
図7A,7Bは、基端部164、先端部162、及びこれら両端部間に貫挿されるルーメン166を含むガイドワイヤスリーブ160を示す。先端部162は広がって先端側外側部分146に適合し連結する。基端部164は主外側部分に嵌入し連結されるような寸法に形成される。
【0032】
ガイドワイヤ開口部170はガイドワイヤスリーブ160の外側壁部を貫挿する。傾斜部172は外側壁部からルーメン166内に延びる。組み立てられると傾斜部172は内側管状部材120の基端側ガイドワイヤ開口部128を通過してガイドワイヤルーメン130内に延びる。傾斜部172は基端側ガイドワイヤ開口部128内を移動自在であり、これにより内側管状部材120に対する外側管状部材140の位置に拘わらずガイドワイヤルーメン130からカテーテル100の外側にガイドワイヤ30を容易に且つ円滑に移動させることができる。
【0033】
ガイドワイヤスリーブ160は約1.0インチ(約2.54cm)の長さ、約0.122インチ(約0.31cm)の先端側外径、約0.087インチ(約0.221cm)の基端側外径、約0.107インチ(約0.27cm)の先端側内径、及び約0.070インチ(約0.178cm)の基端側内径を有する。傾斜部172はガイドワイヤスリーブ160の外側壁部の一体的な延伸部であり、約0.090インチ(約0.229cm)の長さと約0.50インチ(約1.27cm)の幅を有する。傾斜部172は約30°の角度をなしてルーメン166内に延びる。
【0034】
ガイドワイヤスリーブ160は外側管状部材140の一体的な部分であってもよいが好適には別体として形成される要素である。例えばガイドワイヤスリーブ160はナイロンやポリプロピレンの射出成形により形成可能である。ガイドワイヤスリーブ160が射出成形により形成される場合に、所定の応用に応じて穴168等の製造の要素は充填されるか、取り除かれてもよい。個別にガイドワイヤスリーブ160を形成することにより、製造の柔軟性及び能率がより高まる。例えばガイドワイヤスリーブ160は接着剤や加熱手段を使用してカテーテルのその他の要素に容易に連結できるように敏感に溶解しない材料か容易に接着可能な材料により形成される。付加的に、ガイドワイヤスリーブ160は不適合部品を取り除き、能率を高めるため製造フロアに進入するに先立って検査される。更に寸法がより制御され接着部分における精度を高める。上記及びその他の効果はガイドワイヤスリーブ160を別体の要素として形成することにより得られるが、本発明において不可欠なことではない。
【0035】
図8A乃至図8Cは図1に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図である。図示のガイドワイヤ入口ポート200はカテーテル204を退出するガイドワイヤ202を有する。カテーテルは外側部材206、内側部材208、及びマンドレル210を有する。マンドレル210は上述したように内側部材206内に設けられ、カテーテルの基端部に対するコラム強さを高める。
【0036】
図8Aはステントが外側部材206に制限される構成を示す。内側部材が外側部材206に対して先端側に摺動すると、図8Bに示すように内側部材206内のマンドレル210も同様に先端側に摺動する。図8Cはステントが完全に配置されたときのガイドワイヤ入口ポート200における構成を示す。図示のようにマンドレル210はガイドワイヤ202を妨害することを回避すべく入口ポート200の直前に位置するような寸法に形成される必要がある。
【0037】
図8A乃至8Cに示す構造体における潜在的な課題はマンドレル210の先端側端部及びガイドワイヤ入口ポート200の間の距離である。マンドレル210はコラム強さを高めるべく設けられるが、ガイドワイヤ入口ポート200には至らない。外側部材206はガイドワイヤ入口ポート200にて切断されるため外側部材206が弱化する。内側部材208はガイドワイヤ入口ポート200を横断して切断されるため、同様に弱化する。上記3つの状態によりガイドワイヤ入口ポート200は隣接する部分と比較して相対的に脆弱であるため湾曲し易い。カテーテルが前進すると、図8Aに示すようにステントは制限されることに留意する必要がある。ステントが配置されるとカテーテルは更に前進させる必要がなくなるため上記はカテーテルの押圧性が最も重要である期間である。にもかかわらず前進する態様は、マンドレル210がその基端側において終端するためガイドワイヤ入口ポート200の領域においてカテーテルが最も脆弱である期間である。
【0038】
ステントが位置される場合に更なる課題が生じる。特に内側部材208及び外側部材206の間において相互に対して押圧及び張引が生じる場合に、カテーテルが偏向してステントが不正確に位置される原因となる潜在的な可能性がある。例えば外側部材206がステント(図示しない)を位置させるべく退去されると、切断された内側部材208は切断領域の部分において(特に切断された側に)湾曲し、カテーテルの先端部を湾曲させ得る。同様に部分的に位置させる工程において、ステントの配置が不正確であると判断された場合に、ステントを抑制位置に引き戻すべく外側部材を先端側に押圧しようと判断されるだろう。再びこのような工程において側面の湾曲が生じ得る。ガイドワイヤがカテーテル内に位置される部分においては、ガイドワイヤがカテーテルを少なくともいくらか支持するため容易に直線的な構造を保持することができる。しかしながらこの支持はガイドワイヤポートの基端側の近傍においては容易に得られない。
【0039】
図9は別例において傾斜部により終端するマンドレルを有するガイドワイヤ入口傾斜部を示す等角図である。カテーテル240はガイドワイヤ入口ポート242、外側部材246、内側部材248、及び傾斜した又は傾斜状の先端部を有するマンドレル250を備える。図7Aにおいては外側部材を使用して傾斜部を形成するが、図9においてはこれに代えて特別な形状のマンドレル250を使用する。この変形により外側部材246の取り扱いが単純なものとなる。ガイドワイヤがカテーテルを退出するように傾斜部をなすマンドレル250を有することにより、ガイドワイヤ入口ポート242の領域における押圧性が向上する。この理由としてガイドワイヤによりガイドワイヤ入口ポート242及びその先端側にて支持力が得られること、及びマンドレルがガイドワイヤ入口ポート242に延びることが挙げられる。
【0040】
図10は図9に示す迅速交換型ステント搬送カテーテルの平面切断図である。図示のカテーテル240はガイドワイヤ244がカテーテル240を退出できるようにガイドワイヤポート242を有する。図示の内側部材248はステント252を搬送し(外側部材246の一部を切り取って示す)、先端側キャップ256を有する。内側部材248はガイドワイヤポート242を横断して湾曲されるか切断される。ガイドワイヤ244の配置によって示すように内側部材248はガイドワイヤ244が進入できるように開口部を備え、内側部材248のルーメンを通じたカテーテル240の先端部への通路を備える。
【0041】
カテーテル240は更に2つの基端部ハンドル、即ち外側部材246に連結される第1のハンドル258と、内側部材248に連結される第2のハンドル260を備える。ハンドル258,260により医師は内側部材248を外側部材246に対して容易に摺動させることができる。上記いくつかの設計とは対称的に図示のようにマンドレル250は内側部材248よりむしろ外側部材246に連結されるように第1のハンドル258に取り付けられる。
【0042】
図11A乃至11Cは図10に対応する実施例において自己拡張型ステントが解放されたときのガイドワイヤ入口ポートを示す長手方向断面図である。図11Aはマンドレル250が出口傾斜部をなし、ガイドワイヤ244がガイドワイヤポート242から退出することを示す。図11Bに示すようにステントが部分的に位置され、図11Cに示すように完全に位置されると、マンドレル250はガイドワイヤポート242に対して移動しない。この理由としてポート242及びマンドレル250が外側部材246に直接連結されることが挙げられる。即ち図11A乃至11Cに示すようにマンドレル250は外側部材246及びガイドワイヤポート242に対して移動しない。従ってマンドレル250により得られる付加的な押圧性がステント252の配置に先立ってカテーテル240の挿入及び前進時に利用可能である。
【0043】
図12A乃至12Fはそれぞれ図10のA−A線、B−B線、C−C線、D−D線、E−E線、及びF−F線における断面図である。図12D乃至12Fはマンドレル250及び内側部材248の相互に異なる構成を示すことに留意する必要がある。図12Aに示すように外側部材246及び内側部材248は通常同心上にある。ガイドワイヤ244は内側部材248により画定されるルーメンを通過して延びる。
【0044】
図12Bは図10に示すガイドワイヤポート242のより近傍にて内側部材248の一部が切り取られるか取り払われガイドワイヤ244が内側部材248のルーメンに進入することを示す。図12Cに示すように図10のガイドワイヤポート242において内側部材248及び外側部材246の両者は通常三日月状の形状を有し、これによりガイドワイヤ244はカテーテルに進入する。図12D乃至12Fに別例における図10のガイドワイヤポート242の基端側の構造体を示す。
【0045】
図12Dは図10に示す実施例に通常対応し、内側部材248が図10のガイドワイヤポート242の基端側において管状の形状に復帰し、マンドレル250がそこを通過することを示す。マンドレル250を図10の第1のハンドル258に連結させるために、内側部材248は切断されるか、内側部材248の基端部の近傍において取り除かれた部分を有する。これによりマンドレル250は内側部材248から退出し、外側部材246か図10の第1のハンドル258のいずれかに連結する。この連結により外側部材246及びマンドレル250の相互に対する軸方向の移動は制限される。
【0046】
図12Eは第1の別例による構成を示し、内側部材248は図10のガイドワイヤポート242の基端側にて少なくともマンドレル250の基端部に向かって(例えばハイポチューブの一部を取り除くことにより)三日月状の形状を有する。図12Fは別例において内側部材248が押圧ワイヤ又はコアワイヤであることを示す。マンドレル250は図示のように内側部材248及びワイヤを捩れのない構成又は屈曲した構成に固定するような形状に形成される。図12Fに示す実施例において内側部材248のワイヤ部分は任意の方法(例えば溶接、ろう着や、接着剤)により内側部材248のより先端側の三日月状部及び管状部のうち少なくともいずれか一方に対して取付可能である。図示のマンドレル250は明瞭に示すべく内側部材248より遙かに大きいが、必ずしもそうである必要はない。
【0047】
図13は基端側押圧ワイヤを有する迅速交換型ステント搬送カテーテル280のガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図である。ガイドワイヤ入口ポート282によりガイドワイヤ284はカテーテルを退出可能である。内側部材は先端側管状区分286及びワイヤの形状にて示す基端側押圧部材288を備える。外側部材は外側先端側部材290を備え、ここから傾斜部292をなすべくフラップが使用される。外側先端側部材290は外側基端側部材294に固定される。
【0048】
実施例において、外側基端側部材294は小口径ハイポチューブであり、外側先端側部材290は大口径ポリマー部材である。別例において外側基端側部材294は長尺状の隣接する二重ルーメン部材の形状を採る。マンドレル296が任意により設けられてもよい。カテーテル280のいくつかの部分が加熱処理や接着剤による処理を含む任意の方法により一体的に連結される。
【0049】
図14A,14Bは別例において傾斜状のマンドレルと基端側押圧ワイヤとを有するカテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図である。図14Aはカテーテル300がガイドワイヤポート302を備え、ここにおいてガイドワイヤ304がカテーテル300を退出することを示す。内側部材は先端側管状部材306、先端側管状部材306に設けられるステント308を備え、先端側ヘッド310にて終端する。先端側管状部材306はその基端部近傍の外側にてカテーテル300の基端部(図示しない)に向かって延びる押圧ワイヤ312に取り付けられる。
【0050】
図示の先端側外側部材314も外側部材314がガイドワイヤポート302をなすべく参照符号316にて示すように一部を切り取られるか取り払われている。先端側外側部材314は基端側外側部材318に取り付けられている。傾斜状の先端部を有するマンドレル320が設けられ外側部材314,318に対して1対1の比により軸方向に移動するように取り付けられる。
【0051】
実施例においてカテーテル300の基端部(図示しない)におけるハンドルはマンドレル320及び基端側外側部材318の両者に取り付けられる。別例においてマンドレル320は基端側外側部材318にその長手方向部分に沿った位置にて固定される。例えば基端側外側部材318がハイポチューブとして設けられた場合に、金属製のマンドレル320がろう着又は溶接によりハイポチューブに固定されてもよい。
【0052】
相互に対して摺動自在な内側部材及び外側部材を有する迅速交換型カテーテルにおける周知の課題は配置である。内側部材がガイドワイヤポートを横断する長手方向部分に沿った管状部材である場合に、ガイドワイヤが退出するための内側部材の開口部はガイドワイヤ出口ポートをなすべく外側部材の開口部に一致するように位置させる必要がある。これが不可能な場合にガイドワイヤはガイドワイヤ出口ポートにおいて付加的な摩擦や圧迫にさらされガイドワイヤ及びカテーテル間の相互に対する運動が困難なものとなる。しかしながら図14A,14Bに示す後述するいくつかの実施例において内側部材がガイドワイヤポートを横断する管状部材でない場合に、配置の課題は軽減される。
【0053】
図14Aは配置されてない状態におけるカテーテル300を示す。ステント308を配置するために内側管状部材306は押圧ワイヤ312に作用する押圧力と、基端側外側部材318に作用する張引力とを組み合わせることにより前進する。ステント308が外側部材314の先端部を通過すると、図14Bに示すように体腔の閉塞を開くか狭窄症を軽減すべく自己拡張する。
【0054】
図15は更なる別例において迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図である。カテーテル400はガイドワイヤ404をカテーテル400内から外側に退出させるガイドワイヤポート402を備える。先端側管状部材406はステント408を搬送し、先端側ヘッド410に取り付けられる。押圧ワイヤ412は先端側管状部材406に取り付けられる。
【0055】
先端側外側部材414はガイドワイヤポート402にて内部に形成される傾斜部を有する。傾斜部は任意の方法により形成される。例えば、傾斜部は部分的に先端側外側部材414の周囲を切断し、周囲の部分的な切断部から基端側に延びる先端側外側部材に長尺状スリットを形成し、1つ以上のマンドレルを使用して切断部を所望の傾斜状に保持し、先端側外側部材414の材料を熔解させるか少なくともリフロー(re-flow )をなすべく加熱することにより形成可能である。長尺状スリットに代えて先端側外側部材414は湾曲した構造体に保持され、傾斜部をなすべく加熱されてもよい。
【0056】
図13A,14A,14Bにおいて押圧ワイヤ288,312は先端側管状部材286,306の外側に取り付けられる。図15に示すように押圧ワイヤ412は先端側管状部材406の内部に取り付けられる。図15に示すようにこの内側への取付により先端側管状部材406は先端側外側部材414の寸法のより近傍の寸法に形成可能である。押圧ワイヤ412を先端側管状部材406内に十分に、特に先端側ヘッド410まで延ばすことにより、押圧ワイヤ412は押圧力を伝達することに使用され、これにより先端側管状部材を非常に肉薄な壁部からなる部分にすることができる。
【0057】
図16は更なる別例において迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図である。カテーテル500はガイドワイヤポート502を備え、これによりガイドワイヤ504はカテーテル500を退出可能である。先端側内側部材506はステント508を搬送し、先端側ヘッド510に延びる。先端側内側部材506は押圧ワイヤ512に連結される。押圧ワイヤ512はガイドワイヤポート502にわたり基端側部材514に連結される。図示のように基端側部材514は中空又は中実、或いは充填された円筒形の長尺状部材の形状を採る。
【0058】
カテーテル500の外側は3つの主要な部分、即ち先端側外側部材516、ミッドシャフト518、及び基端側部材520を含む。ガイドワイヤポート503における傾斜部はミッドシャフト518により形成されるが、その形状は図15において上述した切断、スリット、リフロー、湾曲、及び熔解等の任意の方法により形成される。先端側外側部材516は傾斜部を形成する工程時に取り付けられるか、後に取り付けられてもよい。また、ミッドシャフト518は基端側部材520に取り付けられるが、いくつかの実施例において基端側部材520はハイポチューブである。
【0059】
ここで開示される実施例において、カテーテルは「転換可能」であることに留意する必要がある。例えばカテーテル500はガイドワイヤポート502にてカテーテルを退出する第1のガイドワイヤを伝って最初に位置される。第1のガイドワイヤが処置される特定の部位や狭窄部に対して不適である(例えば狭窄部を通過するには可撓性が過ぎるか、正確に前進させることに対して不適である)場合にはガイドワイヤは退去され、第2のガイドワイヤが基端側内側部材514を通じて傾斜部に前進される。
【0060】
内側部材は外側部材に対して移動自在であり、傾斜部はその周囲を完全に又は気密にシールする必要はない(実際あまりにシールが気密である場合にステント508を配置するための移動が妨害される)。血管の実施例において、血液は比較的粘着性の流体であるため、血液のガイドワイヤルーメンへの進入、及びガイドワイヤの移動の制限を防止すべく気密にシールするためには有用である。しかしながら、この課題は気密なシールが不要であるような胆管の実施例において大いに低減される(しかしながら流体はより腐食性を備え別の課題を生じる)。第2のガイドワイヤは傾斜部の後方に前進するため、内側部材(即ち、押圧ワイヤ512)が傾斜部を通過する部分に傾斜部によって配向され、内側部材(押圧ワイヤ512)に隣接して通過することによって傾斜部により通過する。続いて第2のガイドワイヤはカテーテル500の先端部に前進される。
【0061】
図17はガイドワイヤ入口ポートを形成するための、バンドを含む傾斜部材を示す分解図である。マンドレル及び傾斜部材530は傾斜部536を有する傾斜片534にその先端部にて連結されるマンドレル部532を有してなる。傾斜片534を外側部材(図示しない)に固定することを補助すべく、バンド538が設けられる。図18に示すように傾斜部536及びバンド538は外側部材540の周囲に固定される。外側部材540は内側部材542を少なくとも部分的に包囲する。バンド538は接着剤、溶接及び/又はスナップ式等の実施を含む好適な方法により傾斜部536に固定される。
【0062】
図19はガイドワイヤ入口ポートを横断する中間部の管状部材を含む迅速交換型ステント搬送カテーテルのガイドワイヤ入口ポート及び先端部を示す長手方向断面図である。カテーテル600はガイドワイヤ604をカテーテル600から退出させるガイドワイヤポート602を備える。先端側管状部材606はステント608を搬送し、先端側ヘッド610にて終端する。先端側管状部材606はガイドワイヤポート602の基端側に移動する押圧ワイヤ612に取り付けられる。
【0063】
先端側外側部材614はガイドワイヤポート602にて一部を取り払うべく切断される。先端側外側部材614の基端部は基端側外側部材616に取り付けられる。基端側外側部材616はポリマーチューブや補強したポリマーチューブであってもよいが、好適にはハイポチューブである。図19に示す実施例において、参照符号622にて先端に向かって漸減する部分により示すように先端側外側部材614の基端部は湾曲するか切れ込みが入れられ、基端側外側部材616の先端部に対して圧着される。これにより小さな外形の基端側外側部材616が使用可能である。
【0064】
中間部の管状部材618も図示される。中間部の管状部材618はガイドワイヤ604をカテーテル600の外側に配向する傾斜部620を形成することを補助することに使用される。傾斜部を形成するために第1のマンドレルが中間部の管状部材618を貫挿し、中間部の管状部材618は先端側外側部材614内に位置される。先端側外側部材614に部分的に周囲を切断され、ガイドワイヤポート602の先端側縁部をなす。切断部の基端側にて先端側外側部材614は中間部の管状部材618に向かって下方に湾曲される。付加的なマンドレルが次の工程において先端側管状部材614の開存性を保持すべく位置される。次の工程は傾斜部620の領域にて先端側外側部材614を加熱し、カテーテル600の材料を熔解させ、且つ/又はリフロー(reflow)させる。中間部の管状部材618は、カテーテル600全体に対する押圧性を生じさせることを補助するほかガイドワイヤポート602を横断する押圧ワイヤ612の配向の制御を補助する。
【0065】
図20A及び図20Bは別例において傾斜部が内側マンドレルに連結され外側部材の外側に延びることを示す分解側面図である。カテーテル700はマンドレル702、内側部材704、及び外側部材706を備える。マンドレル702の先端部はガイドワイヤ傾斜部710を含む傾斜部材708に連結される。内側部材704は切断部712を含む。図示のように傾斜部材708はマンドレル702及び外側部材706の両者に固定される。本実施例において、マンドレル702は固定されない基端部を有し、剛性を支持すべく設けられる。別例においてマンドレル702はその基端部近傍にて外側部材706に固定されるか、外側部材706に固定される要素に取り付けられている。
【0066】
図21A乃至図21Eはそれぞれ図20Bの線21A−21A、線21B−21B、線21C−21C、線21D−21D、線21E−21Eにおける断面図である。図21Aに示すようにマンドレル702は内側部材704及び外側部材706の内部に設けられる。先端側の図21Bに移動するとマンドレル702はその先端部近傍にて、即ち内側部材の切断部712に対応する部分にて傾斜部材708に固定される。傾斜部材708は例えば加熱、溶接、接着剤、及び/又はインサート成型等の好適な方法によりマンドレル702に固定される。
【0067】
再び先端側に図21Cに移動すると、傾斜部材708及びガイドワイヤ傾斜部710が図示される。傾斜部材708は好適な方法により外側部材706に固定される。図21Cに示す実施例において傾斜部材708は例えば一体的に加熱溶接される重ね継ぎを使用し、三日月状のマンドレル及び加熱金型を使用するかレ―ザーによる方法により外側部材706に固定される。これに代えて、接着剤が使用されてもよい。傾斜部材708は図21Bに示すマンドレル702及び外側部材706の両者に固定されるため、マンドレル702の先端部から傾斜部710及び/又は開口部、即ち外側部材706の切断部714にかけて可変の「空隙」は存在しない。
【0068】
図21Dは図21Cに示す傾斜部のすぐ先端側を示す。外側部材716は内側部材704の切断部712の周囲に設けられる。好適に内側部材704の切断部712は内側部材704が切断部712に沿って傾斜部材710に対して摺動自在となるようにステントの少なくとも長さ部分にわたって延びる。図21Eに示すように図21C,21Dの切断部712の先端側において、内側部材704は再び円筒形状を有する。所望に応じて内側部材704はハイポチューブ部材からなる少なくとも1つの切断部と、ハイポチューブか管状ポリマー部分か編み込んだ支持部材を含む1つ以上のポリマー部分からなるその他の部分とを有する多片からなる部材であってもよい。図示のステント716は内側部材704及び外側部材706の間に設けられる。
【0069】
図22は図20A、20B、21A乃至21Eの実施例において組立方法を示す図である。図示のように内側部材及び外側部材は内側部材704の切断部712が通常外側部材706の比較的短い開口部714に並ぶように位置される。続いてマンドレル702の基端部はマンドレル702の基端部が内側部材704内に移動するように開口部714を通じて基端側方向に挿入され前進する。マンドレル702は傾斜部材708が開口部714に進入し、傾斜部710が外側部材706に対して係合するまで基端側に移動する。
【0070】
当業者には、本発明は、本願に記載され、意図される特定の実施例以外にも、様々な形態で実施できることが理解されるであろう。したがって、請求の範囲に記載される本発明の範囲および精神から逸脱することなく、形態および詳細を変更することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己拡張型ステントを位置させるための、基端部及び先端部を有する迅速交換型カテーテルであって、
基端部及び先端部を有し、先端側保持部分、及び先端側保持部分の基端側且つその基端部の先端側にガイドワイヤポートを含む外側部材と、
基端部及び先端部を有し、自己拡張型ステントを受承するための先端側ステント部を含む内側部材と、
基端部及び先端部を有するマンドレルとを備え、
内側部材はカテーテルが第1の構成にある場合に先端側保持部が先端側ステント部の周囲に位置され、カテーテルが第2の構成にある場合に先端側保持部が先端側ステント部の周囲に位置されないように外側部材に対して摺動自在であることと、
カテーテルが第1の構成にある場合にマンドレルの先端部はガイドワイヤポートの近傍の部分に延び、カテーテルが第2の構成にある場合にマンドレルが略同じ部分に延びることとを特徴とする迅速交換型カテーテル。
【請求項2】
前記内側部材は先端側ステント部の基端側の部分から内側部材の先端部に延びるガイドワイヤルーメンを含み、ガイドワイヤポートはガイドワイヤルーメン内に下方に延びる傾斜部からなることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
基端部、先端部、内側部材、及び内側部材に対して摺動自在な外側部材を有するカテーテルを提供する工程において、内側部材は外側部材の先端部近傍に延びるチャネルを有し、チャネルはガイドワイヤを受承するような寸法に形成され、外側部材はチャネル内に延びる傾斜部を有し、チャネルは内側部材及び傾斜部の先端側の外側部材の間に自己拡張型ステントを更に有するカテーテル提供工程と、
ガイドワイヤがカテーテル内にて傾斜部からカテーテルの先端部の近傍の部分まで延びるようにカテーテルをガイドワイヤを伝って前進させる工程と、
ガイドワイヤを胃腸の狭窄部を通過させて前進させる工程と、
ステントが狭窄部に対して所望の位置に位置されるまでカテーテルをガイドワイヤを伝って前進させる工程と、
内側部材及び外側部材を自己拡張型ステントが外側部材及び内側部材の間に位置しないようにすべく相対移動させる工程と、
自己拡張型ステントを拡張させる工程とを含むことを特徴とする胃腸の狭窄部を軽減させる方法。
【請求項4】
前記外側部材の先端部の外側は5フレンチ以上の寸法を有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記狭窄部は患者の胃腸管内に位置されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ガイドワイヤを胃腸の狭窄部を通過させて前進させる工程はガイドワイヤを患者の胃及び十二指腸を通過させ、患者の小腸内に前進させる工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
基端部、先端部、基端部及び先端部の間のガイドワイヤポートを有する外側部材と、先端部は自己拡張型ステントを覆うように調整されることと、
基端部及び先端部を有する内側部材と、先端部はガイドワイヤを通過させるべくガイドワイヤチャネルを含み、先端部は自己拡張型ステントを受承するように調整されることと、
その先端部に傾斜部を有するマンドレル部材とを備えることを特徴とする自己拡張型ステントを位置させるべく調整される迅速交換型カテーテル。
【請求項8】
前記マンドレルは傾斜部が外側部材のガイドワイヤポートの近傍に位置されるように外側部材内に設けられることを特徴とする請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記内側部材、外側部材、及びマンドレルはマンドレル及び内側部材が外側部材内に延びるような形状及び寸法に形成されることを特徴とする請求項7に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記マンドレルは内側部材の長手方向部分の基端側部分にわたって内側部材に嵌入することを特徴とする請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記マンドレルは内側部材の基端側部分に嵌入しないことを特徴とする請求項9に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記マンドレル及び内側部材の基端部は通常並列構成により外側部材内に位置されることを特徴とする請求項9に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記外側部材は内側部材に対して移動自在であることを特徴とする請求項7に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記外側部材及びマンドレルは内側部材が外側部材に対して移動される場合に通常相互に同一の構成に保持されることを特徴とする請求項13に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記外側部材及びマンドレルは一体的に連結され、外側部材及びマンドレル間の相互に対する軸方向運動を防止することを特徴とする請求項13に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記外側部材及びマンドレルは共通の要素に連結され、これにより外側部材及びマンドレル間の軸方向運動が防止されることを特徴とする請求項13に記載のカテーテル。
【請求項17】
第1の基端側装置及び第2の基端側装置を更に備え、第1の基端側装置は外側部材の基端部及びマンドレルの基端部に取り付けられ、第2の基端側装置は内側部材の基端部に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載のカテーテル。
【請求項18】
基端部、先端部、及び基端部と比較して先端部のより近傍に位置されるガイドワイヤ入口ポートを有する外側管状部材と、
該ガイドワイヤ入口ポートの先端側の部分から先端側に延びる内側管状部材と、
該内側管状部材に取り付けられガイドワイヤ入口ポートの先端側の部分から外側管状部材の基端部の基端側の部分に基端側に延びる長尺状押圧部材とを備え、
前記内側管状部材は外側管状部材に対して軸方向に移動自在であることを特徴とする迅速交換型ステント搬送カテーテル。
【請求項19】
前記内側管状部材は、ステントが内側管状部材に設けられた場合に、
内側管状部材が第1の位置に位置されステントが外側管状部材によって制限される程度に軸方向に移動自在であり、
内側管状部材が第2の位置に位置されステントが外側管状部材によって制限されない程度に軸方向に移動自在であることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記長尺状押圧部材は非管状であることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記外側管状部材内に設けられ、外側管状部材の基端部の近傍の部分からガイドワイヤポートの基端側の部分に延びるマンドレルを更に備えることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記マンドレル及び長尺状押圧部材はカテーテルの長手方向部分の主要部に対して並列構成にあることを特徴とする請求項21に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記外側管状部材は外径を有するハイポチューブを含む基端側区分と、ハイポチューブの外径より大きな外径を有する先端側管状部材からなる先端側区分とを備えることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記先端側管状部材は変形されハイポチューブに取り付けられることを特徴とする請求項23に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記長尺状押圧部材はガイドワイヤポートの基端側の部分にて第1の外形を有するハイポチューブを備え、同ハイポチューブはガイドワイヤポートを交差する部分に沿って圧縮され減少した外形になることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記内側管状部材は内部及び外部をなし、長尺状押圧部材は内側管状部材の内部に取り付けられることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記内側管状部材は内部及び外部をなし、長尺状押圧部材は内側管状部材の外部に取り付けられることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項28】
基端部、先端部、及び基端部と比較して先端部のより近傍に位置されるガイドワイヤを有する外側管状部材と、
ガイドワイヤポートの先端側の部分から先端側に延びる管状先端部を有するカテーテルの先端部に延び、且つガイドワイヤを受承するように調整される内側部材と、
ガイドワイヤポートの基端側の部分からガイドワイヤポートの先端側の部分に延び、且つ内側部材の一部を摺動して受承するように調整される管状補強部材とを備え、
該外側管状部材は管状補強部材に取り付けられガイドワイヤポートにて傾斜部をなすことを特徴とする迅速交換型ステント搬送カテーテル。
【請求項29】
基端部及び先端部を有する内側部材と、
基端部及び先端部を有し、通常内側部材の周囲に設けられる外側部材と、
通常内側部材の内部に設けられるマンドレルと、
外側部材の外部から内側部材の内部にガイドワイヤを配向するための傾斜部とを備え、
同傾斜部はマンドレル及び外側部材に固定されることを特徴とする迅速交換型の、自己拡張型ステント搬送カテーテル。
【請求項30】
前記内側部材はその軸方向部分にわたって延びる切断部を含み、傾斜部は切断部に対応する部分にて内側部材に対して設けられることを特徴とする請求項29に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記マンドレルは傾斜部に取り付けられ、マンドレルがその取付け部分から基端側に延びることを特徴とする請求項30に記載のカテーテル。
【請求項1】
自己拡張型ステントを位置させるための、基端部及び先端部を有する迅速交換型カテーテルであって、
基端部及び先端部を有し、先端側保持部分、及び先端側保持部分の基端側且つその基端部の先端側にガイドワイヤポートを含む外側部材と、
基端部及び先端部を有し、自己拡張型ステントを受承するための先端側ステント部を含む内側部材と、
基端部及び先端部を有するマンドレルとを備え、
内側部材はカテーテルが第1の構成にある場合に先端側保持部が先端側ステント部の周囲に位置され、カテーテルが第2の構成にある場合に先端側保持部が先端側ステント部の周囲に位置されないように外側部材に対して摺動自在であることと、
カテーテルが第1の構成にある場合にマンドレルの先端部はガイドワイヤポートの近傍の部分に延び、カテーテルが第2の構成にある場合にマンドレルが略同じ部分に延びることとを特徴とする迅速交換型カテーテル。
【請求項2】
前記内側部材は先端側ステント部の基端側の部分から内側部材の先端部に延びるガイドワイヤルーメンを含み、ガイドワイヤポートはガイドワイヤルーメン内に下方に延びる傾斜部からなることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
基端部、先端部、内側部材、及び内側部材に対して摺動自在な外側部材を有するカテーテルを提供する工程において、内側部材は外側部材の先端部近傍に延びるチャネルを有し、チャネルはガイドワイヤを受承するような寸法に形成され、外側部材はチャネル内に延びる傾斜部を有し、チャネルは内側部材及び傾斜部の先端側の外側部材の間に自己拡張型ステントを更に有するカテーテル提供工程と、
ガイドワイヤがカテーテル内にて傾斜部からカテーテルの先端部の近傍の部分まで延びるようにカテーテルをガイドワイヤを伝って前進させる工程と、
ガイドワイヤを胃腸の狭窄部を通過させて前進させる工程と、
ステントが狭窄部に対して所望の位置に位置されるまでカテーテルをガイドワイヤを伝って前進させる工程と、
内側部材及び外側部材を自己拡張型ステントが外側部材及び内側部材の間に位置しないようにすべく相対移動させる工程と、
自己拡張型ステントを拡張させる工程とを含むことを特徴とする胃腸の狭窄部を軽減させる方法。
【請求項4】
前記外側部材の先端部の外側は5フレンチ以上の寸法を有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記狭窄部は患者の胃腸管内に位置されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ガイドワイヤを胃腸の狭窄部を通過させて前進させる工程はガイドワイヤを患者の胃及び十二指腸を通過させ、患者の小腸内に前進させる工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
基端部、先端部、基端部及び先端部の間のガイドワイヤポートを有する外側部材と、先端部は自己拡張型ステントを覆うように調整されることと、
基端部及び先端部を有する内側部材と、先端部はガイドワイヤを通過させるべくガイドワイヤチャネルを含み、先端部は自己拡張型ステントを受承するように調整されることと、
その先端部に傾斜部を有するマンドレル部材とを備えることを特徴とする自己拡張型ステントを位置させるべく調整される迅速交換型カテーテル。
【請求項8】
前記マンドレルは傾斜部が外側部材のガイドワイヤポートの近傍に位置されるように外側部材内に設けられることを特徴とする請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記内側部材、外側部材、及びマンドレルはマンドレル及び内側部材が外側部材内に延びるような形状及び寸法に形成されることを特徴とする請求項7に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記マンドレルは内側部材の長手方向部分の基端側部分にわたって内側部材に嵌入することを特徴とする請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記マンドレルは内側部材の基端側部分に嵌入しないことを特徴とする請求項9に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記マンドレル及び内側部材の基端部は通常並列構成により外側部材内に位置されることを特徴とする請求項9に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記外側部材は内側部材に対して移動自在であることを特徴とする請求項7に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記外側部材及びマンドレルは内側部材が外側部材に対して移動される場合に通常相互に同一の構成に保持されることを特徴とする請求項13に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記外側部材及びマンドレルは一体的に連結され、外側部材及びマンドレル間の相互に対する軸方向運動を防止することを特徴とする請求項13に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記外側部材及びマンドレルは共通の要素に連結され、これにより外側部材及びマンドレル間の軸方向運動が防止されることを特徴とする請求項13に記載のカテーテル。
【請求項17】
第1の基端側装置及び第2の基端側装置を更に備え、第1の基端側装置は外側部材の基端部及びマンドレルの基端部に取り付けられ、第2の基端側装置は内側部材の基端部に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載のカテーテル。
【請求項18】
基端部、先端部、及び基端部と比較して先端部のより近傍に位置されるガイドワイヤ入口ポートを有する外側管状部材と、
該ガイドワイヤ入口ポートの先端側の部分から先端側に延びる内側管状部材と、
該内側管状部材に取り付けられガイドワイヤ入口ポートの先端側の部分から外側管状部材の基端部の基端側の部分に基端側に延びる長尺状押圧部材とを備え、
前記内側管状部材は外側管状部材に対して軸方向に移動自在であることを特徴とする迅速交換型ステント搬送カテーテル。
【請求項19】
前記内側管状部材は、ステントが内側管状部材に設けられた場合に、
内側管状部材が第1の位置に位置されステントが外側管状部材によって制限される程度に軸方向に移動自在であり、
内側管状部材が第2の位置に位置されステントが外側管状部材によって制限されない程度に軸方向に移動自在であることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記長尺状押圧部材は非管状であることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記外側管状部材内に設けられ、外側管状部材の基端部の近傍の部分からガイドワイヤポートの基端側の部分に延びるマンドレルを更に備えることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記マンドレル及び長尺状押圧部材はカテーテルの長手方向部分の主要部に対して並列構成にあることを特徴とする請求項21に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記外側管状部材は外径を有するハイポチューブを含む基端側区分と、ハイポチューブの外径より大きな外径を有する先端側管状部材からなる先端側区分とを備えることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記先端側管状部材は変形されハイポチューブに取り付けられることを特徴とする請求項23に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記長尺状押圧部材はガイドワイヤポートの基端側の部分にて第1の外形を有するハイポチューブを備え、同ハイポチューブはガイドワイヤポートを交差する部分に沿って圧縮され減少した外形になることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記内側管状部材は内部及び外部をなし、長尺状押圧部材は内側管状部材の内部に取り付けられることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記内側管状部材は内部及び外部をなし、長尺状押圧部材は内側管状部材の外部に取り付けられることを特徴とする請求項18に記載のカテーテル。
【請求項28】
基端部、先端部、及び基端部と比較して先端部のより近傍に位置されるガイドワイヤを有する外側管状部材と、
ガイドワイヤポートの先端側の部分から先端側に延びる管状先端部を有するカテーテルの先端部に延び、且つガイドワイヤを受承するように調整される内側部材と、
ガイドワイヤポートの基端側の部分からガイドワイヤポートの先端側の部分に延び、且つ内側部材の一部を摺動して受承するように調整される管状補強部材とを備え、
該外側管状部材は管状補強部材に取り付けられガイドワイヤポートにて傾斜部をなすことを特徴とする迅速交換型ステント搬送カテーテル。
【請求項29】
基端部及び先端部を有する内側部材と、
基端部及び先端部を有し、通常内側部材の周囲に設けられる外側部材と、
通常内側部材の内部に設けられるマンドレルと、
外側部材の外部から内側部材の内部にガイドワイヤを配向するための傾斜部とを備え、
同傾斜部はマンドレル及び外側部材に固定されることを特徴とする迅速交換型の、自己拡張型ステント搬送カテーテル。
【請求項30】
前記内側部材はその軸方向部分にわたって延びる切断部を含み、傾斜部は切断部に対応する部分にて内側部材に対して設けられることを特徴とする請求項29に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記マンドレルは傾斜部に取り付けられ、マンドレルがその取付け部分から基端側に延びることを特徴とする請求項30に記載のカテーテル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図21E】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図21D】
【図21E】
【図22】
【公表番号】特表2010−517735(P2010−517735A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554608(P2009−554608)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/052622
【国際公開番号】WO2009/105089
【国際公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/052622
【国際公開番号】WO2009/105089
【国際公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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