説明

近赤外吸収フィルタ

【課題】可視部の吸収が小さく、近赤外領域において、吸収極大を有し、堅牢性が高く、実用的な光学材料として良好な特性を発揮する近赤外吸収フィルタを提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される塩化合物を含んでなる近赤外吸収フィルタ。


[式中、X、X、X、およびXは、それぞれ独立に、酸素原子、イオウ原子、−CR−、−CH=CH−、またはNRを表わし、Y、Y、Y、およびYは、それぞれ独立に、5または6員環の芳香環を形成するために必要な原子群を表わし、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、アルキル基を表わし、L、およびLは、それぞれ独立に、5または7個のメチン基からなるメチン鎖を表わし、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表わす。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外吸収フィルタに関し、詳しくは、シアニン塩化合物を含む近赤外吸収フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
シアニン色素には、写真用色素、フィルタ用色素等の用途が知られている(特許文献1,2,3,6)。また、光電変換素子およびレーザー記録材料にも広く使われている(特許文献4,5)。
【0003】
一方、近赤外吸収色素は、熱線吸収フィルタ、バンドパスフィルター、光学フィルタ等のフィルタ染料、不可視印刷用のインク、レーザー光反射防止用としての赤外線吸収塗料、フラッシュトナー、電子写真感光体、光重合または光架橋用の増感剤、光ディスク等の光記録材料、光センサー等の用途に有用である。
熱線吸収フィルタにおける近赤外吸収色素の使用形態としては、透明プラスチックに含有させる、透明プラスチックあるいは透明ガラスの表面に塗布する等の手段がある。これにより、透明な熱線遮断フィルタが得られる。用途としては、メガネ、自動車あるいは建材の熱線遮光剤等が挙げられる。
【0004】
CCD等の撮像素子に近赤外線吸収フィルタを光学フィルタとして用いることも可能である。これら撮像素子に近赤外線吸収光学フィルタを用い、入射する近赤外線を遮断することにより、該撮像素子の分光感度を視感度に近づけることができる。この近赤外吸収フィルタとして近赤外吸収色素を用いることができる。
プラズマディスプレイ(PDP)の画像表示装置の表面に、誤動作防止のために、近赤外吸収フィルタとして近赤外吸収色素を用いることが出来る。
近赤外吸収色素を不可視印刷用のインクとして用いた場合、機密文書の複写防止が可能となる。
【0005】
従来、近赤外線吸収色素としてシアニン色素、オキシムまたはチオールの金属錯体、ナフトキノン化合物、ジインモニウム化合物、フタロシアニン化合物、およびナフタロシアニン化合物が知られているが、可視部の吸収が大きかったり、IR領域(700〜1100nm)に十分な吸収がなかったり、耐光堅牢性が低いという問題点があった。
【0006】
以上のように、種々の用途で近赤外吸収色素が求められているが、従来知られている近赤外吸収色素は、吸収波長の制御及び光堅牢性の実用的な観点では、いまだ満足できる性能のものではなかった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−90521号公報
【特許文献2】特開平4−362932号公報
【特許文献3】特開2002−90521号公報
【特許文献4】特開2005−093307号公報
【特許文献5】特開平6−191153号公報
【特許文献6】米国特許US6790590B2号明細書
【非特許文献1】Journal of Information Recording Materials,(1988),16(1),23−31
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、近赤外吸収フィルタの提供を目的とし、詳しくは、シアニン塩化合物(シアニン色素)を含有する、吸収極大波長の制御および堅牢性に優れた実用的な近赤外吸収フィルタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の化学構造を有するチアゾールシアニン塩化合物は、可視部の吸収が少なく近赤外領域に吸収極大を有し、堅牢性に優れることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
上記の課題は下記の具体的手段により達成された。
【0010】
<1>一般式(1)で表される塩化合物を含んでなることを特徴とする近赤外吸収フィルタ。
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、X、X、X、およびXは、それぞれ独立に、酸素原子、イオウ原子、−CR−、−CH=CH−、またはNRを表わし、Y、Y、Y、およびYは、それぞれ独立に、5または6員環の芳香環を形成するために必要な原子群を表わし、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、アルキル基を表わし、L、およびLは、それぞれ独立に、5または7個のメチン基からなるメチン鎖を表わし、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表わす。]
<2>前記一般式(1)で表される塩化合物が、下記一般式(2)で表される塩化合物であることを特徴とする<1>に記載の近赤外吸収フィルタ。
【0013】
【化2】

【0014】
[式中、X、X、X、およびXは、それぞれ独立に、酸素原子、イオウ原子、−CR−、−CH=CH−、またはNRを表わし、Y、Y、Y、およびYは、それぞれ独立に、5または6員環の芳香環を形成するために必要な原子群を表わし、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、アルキル基を表わし、R、R、R11、およびR12は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、RとR、またはR11とR12が連結し、5、6、または7員環を形成する原子群を表わし、R10、およびR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはアミノ基を表わし、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表わす。]
【0015】
<3>前記一般式(1)において、XとXが同一であり、XとXが同一であり、YとYが同一であり、YとYが同一であり、RとRが同一であり、RとRが同一である<1>に記載の近赤外吸収フィルタ。
<4>前記一般式(2)において、XとXが同一であり、XとXが同一であり、YとYが同一であり、YとYが同一であり、RとRが同一であり、RとRが同一である<2>に記載の近赤外吸収フィルタ。
<5>前記一般式(1)において、X、X、X、およびXが、それぞれ独立に、イオウ原子、または、−CR−である<1>または<3>に記載の近赤外吸収フィルタ。
<6>前記一般式(2)において、X、X、X、およびXが、それぞれ独立に、イオウ原子、または、−CR−である<2>または<4>に記載の近赤外吸収フィルタ。
<7>前記一般式(1)で表される塩化合物が会合体を形成している色素であることを特徴とする<1>、<3>、または<5>に記載の近赤外吸収フィルタ。
<8>前記一般式(2)で表される塩化合物が会合体を形成している色素であることを特徴とする<2>、<4>、または<6>に記載の近赤外吸収フィルタ。
<9>近赤外吸収領域が、吸収波長700nm〜1100nmの領域であることを特徴とする<1>〜<8>のいずれか1項に記載の近赤外吸収フィルタ。
<10>前記一般式(1)で表される塩化合物の固体微粒子分散体を含んでなることを特徴とする<1>、<3>、<5>、<7>または<9>に記載の近赤外吸収フィルタ。
<11>前記一般式(2)で表される塩化合物の固体微粒子分散体を含んでなることを特徴とする<2>、<4>、<6>、<8>または<9>に記載の近赤外吸収フィルタ。
【発明の効果】
【0016】
本発明の近赤外吸収フィルタは、可視部の吸収が小さく、近赤外領域において、吸収極大を有し、堅牢性が高く、実用的な光学材料として良好な特性を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の近赤外吸収フィルタについて詳細に説明する。
本発明の近赤外吸収フィルタは一般式(1)で表される塩化合物を含んでなるものである。先ず、一般式(1)で表される塩化合物について説明する。
【0018】
【化3】

【0019】
[式中、X、X、X、およびXは、それぞれ独立に、酸素原子、イオウ原子、−CR−、−CH=CH−、またはNRを表わし、Y、Y、Y、およびYは、それぞれ独立に、5または6員環の芳香環を形成するために必要な原子群を表わし、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、アルキル基を表わし、L、およびLは、それぞれ独立に、5または7個のメチン基からなるメチン鎖を表わし、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表わす。]
【0020】
、Y、Y、およびYで表わされる5または6員環の芳香環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、フラン環、チアゾール環、チオフェン環等が含まれる。中でも、ベンゼン環が特に好ましい。Y、Y、Y、およびYで表わされる5または6員環の芳香環は、さらに置換基を有していてもよいし、縮環していてもよい。縮環できる環は、5または6員環が好ましく、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、フラン環、チアゾール環、チオフェン環、ジオキサン環、ジオキソラン環等が含まれる。中でも、ベンゼン環が特に好ましい。これら縮環できる環は、さらに置換基を有していてもよいし、縮環していてもよい。Y、Y、Y、およびYで表わされる5または6員環の芳香環およびこれに縮環していてもよい環が有していてもよい置換基は、例えば、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I原子)、アルキル基、アリール基、複素環基、−OR20、−COR21、−COOR22、−OCOR23、−NR2425、−NHCOR26、−CONR2728、−NHCONR2930、−NHCOOR31、−SR32、−SO33、−SOOR34、−NHSO35、または−SONR3637である。R20〜R37は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、または複素環基である。ここで、R24とR25、R27とR28、R29とR30、またはR36とR37が結合し、環を形成していてもよい。なお、−COOR22のR22が水素の場合(すなわち、カルボキシル基の場合)および、−SOOR34のR34が水素原子の場合(すなわち、スルホ基の場合)は、水素原子が解離しても、塩の状態であってもよい。
【0021】
上記に示したR20〜R37で表わされるアルキル基は、環状であっても鎖状であってもよく、さらに置換基を有していてもよい。鎖状アルキル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至12であることがさらに好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。このアルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、2−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、2−メトキシエチル、2−ジエチルアミノエチル、ビニル、アリル、2−ブテン−1−イル、3−メチル−2−ブテン−1−イル、プロパギル、ベンジル、フェネチル、およびフルフリル基が含まれる。
【0022】
上記に示したR20〜R37で表わされるアリール基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数は、6乃至25であることが好ましく、6乃至15であることがさらに好ましく、6乃至10であることが最も好ましい。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、4−メチルフェニル、4−カルボキシフェニル、4−アセトアミドフェニル、3−メタンスルホンアミドフェニル、4−メトキシフェニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、および4−ブタンスルホンアミドフェニル基が含まれる。中でも、フェニル基が好ましい。
【0023】
上記に示したR20〜R37で表わされる複素環基は、5または6員環であることが好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよいし、置換基を有していてもよい。複素環(縮合環を含む)の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、ピリジン環、キノリン環、インドール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環、およびチアジアゾール環が含まれる。
【0024】
24とR25、R27とR28、R29とR30、またはR36とR37が結合して環を形成する場合、5または6員環の含窒素複素環であることが好ましい。例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、およびヘキサメチレンイミノ環が好ましく、ピロリジン環、ピペリジン環、およびモルホリン環が特に好ましい。
【0025】
、Y、Y、およびYで表わされる5または6員環の芳香環およびこれに縮環していてもよい環が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、スルホ基、およびカルボキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子が特に好ましい。アルキル基としては、メチル基が特に好ましい。アリール基としては、フェニル基が特に好ましい。Y、Y、Y、およびYで表わされる5または6員環の芳香環およびこれに縮環していてもよい環は、無置換であってもよい。
【0026】
、R、R、およびRで表わされるアルキル基は、炭素数1から20のアルキル基が好ましく、炭素数1から5のアルキル基が特に好ましい。例えば、メチル、エチル、ノルマルプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ノルマルオクチル、2−エチルヘキシル、ノルマルデシル、ノルマルドデシル、ノルマルオクタデシル、アリル、メタリル、プレニル、プロパギル、ベンジル、4−メトキシベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−メトキシエチル、2−(2−エトキシエトキシ)エチル、カルボキシメチル、1−カルボキシエチル、2−カルボキシエチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、および4−スルホブチル基が好ましく、メチル、エチル、ノルマルブチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、3−スルホブチル、および4−スルホブチル基が特に好ましい。
【0027】
、およびLで表わされる5または7個のメチン基からなるメチン鎖は、7個のメチン基からなるメチン鎖が特に好ましい。メチン基同士が結合して、5、6、または7員環(例えば、シクロペンテン、シクロへキセン、シクロヘプテン)を形成していてもよい。また、置換基を有していてもよい。L、およびLで表わされるメチン鎖は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、およびアミノ基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、1〜4のアルキル基が特に好ましい。メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、およびジシアノメチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。アリール基としては、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数6〜8のアリール基が特に好ましい。フェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基、4−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、および4−ヒドロキシフェニル基が好ましく、フェニル基、および4−メチルフェニル基が特に好ましい。複素環基としては、5または6員環の複素環基が好ましい。ピロール−1−イル、4−ピリジル、1−ピロリジノ、1−ピペリジノ、1−モルホリノ、ヘキサメチレンイミノ、4−エトキシカルボニルピペラジノ、4−メタンスルホニルピペラジノ、および1−インドリノ基が好ましく4−ピリジル、1−モルホリノ、4−エトキシカルボニルピペラジノ基が特に好ましい。アルキルチオ基としては、炭素数1〜12のアルキルチオ基が好ましく、炭素数1〜8のアルキルチオ基が特に好ましい。メチルチオ、エチルチオ、ノルマルブチルチオ、ノルマルヘキシルチオ、2−エチルヘキシルチオ、およびシクロヘキシルチオ基が好ましく、メチルチオ、およびエチルチオ基が特に好ましい。アリールチオ基としては、炭素数6〜12のアリールチオ基が好ましく、フェニルチオ、2−メチルチオ、4−メチルチオ、2−クロルチオ、4−クロルチオ、4−アセトアミドチオ、および4−メトキシチオ基が好ましく、フェニルチオ、4−メチルチオ、および4−クロルチオ基が特に好ましい。アミノ基としては、置換基を有したアミノ基が好ましく、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、モノアリールアミノ基、およびジアリールアミノ基が含まれる。ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、およびジアリールアミノ基が好ましい。ジアルキルアミノ基として、ジメチルアミノ基、およびジエチルアミノ基が好ましい。アルキルアリールアミノ基として、N−メチル−N−フェニルアミノ基、およびN−エチル−N−フェニルアミノ基が好ましい。ジアリールアミノ基として、ジフェニルアミノ基、およびビス(4−メトキシフェニル)アミノ基が好ましい。
【0028】
、およびRで表わされるアルキル基は、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましい。メチル、エチル、およびノルマルブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。R、およびRは、連結して環を形成していてもよい。R、およびRにより形成される環としては、シクロペンタン環、およびシクロヘキサン環が好ましく、シクロヘキサン環が特に好ましい。
【0029】
で表わされるアルキル基は、環状であっても鎖状であってもよく、さらに置換基を有していてもよい。鎖状アルキル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至12であることがさらに好ましく、1乃至8であることが最も好ましい。このアルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、2−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、2−メトキシエチル、2−ジエチルアミノエチル、ビニル、アリル、2−ブテン−1−イル、3−メチル−2−ブテン−1−イル、プロパギル、ベンジル、フェネチル、およびフルフリル基が含まれる。
【0030】
一般式(1)で表される塩化合物のうち、一般式(2)で表される塩化合物が特に好ましい。次に、一般式(2)で表される塩化合物について説明する。
【0031】
【化4】

【0032】
[式中、X、X、X、およびXは、それぞれ独立に、酸素原子、イオウ原子、−CR−、−CH=CH−、またはNRを表わし、Y、Y、Y、およびYは、それぞれ独立して、5または6員環の芳香環を形成するために必要な原子群を表わし、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、アルキル基を表わし、R、R、R11、およびR12は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、RとR、またはR11とR12が連結し、5、6、または7員環を形成する原子群を表わし、R10、およびR13はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはアミノ基を表わし、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表わす。]
【0033】
、X、X、X、Y、Y、Y、Y、R、R、R、R、R、R、およびRは、先に一般式(1)について示したものとそれぞれ同義である。
【0034】
、R、R11、およびR12は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、RとR、またはR11とR12が連結し、5、6、または7員環を形成する原子群を表わす。RとR、またはR11とR12が連結し形成する5員環としては、シクロペンテン環が好ましい。6員環としては、シクロヘキセン環が好ましい。7員環としては、シクロヘプテン環が好ましい。RとR、またはR11とR12が連結し形成する環は、シクロペンテン環、およびシクロヘキセン環が特に好ましい。
【0035】
10、およびR13で表わされるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、および臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、1〜4のアルキル基が特に好ましい。メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、およびジシアノメチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。アリール基としては、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数6〜8のアリール基が特に好ましい。フェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基、4−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、および4−ヒドロキシフェニル基が好ましく、フェニル基、および4−メチルフェニル基が特に好ましい。複素環基としては、5または6員環の複素環基が好ましい。ピロール−1−イル、4−ピリジル、1−ピロリジノ、1−ピペリジノ、1−モルホリノ、ヘキサメチレンイミノ、4−エトキシカルボニルピペラジノ、4−メタンスルホニルピペラジノ、および1−インドリノ基が好ましく、4−ピリジル、1−モルホリノ、および4−エトキシカルボニルピペラジノが特に好ましい。アルキルチオ基としては、炭素数1〜12のアルキルチオ基が好ましく、炭素数1〜8のアルキルチオ基が特に好ましい。メチルチオ、エチルチオ、ノルマルブチルチオ、ノルマルヘキシルチオ、2−エチルヘキシルチオ、およびシクロヘキシルチオ基が好ましく、メチルチオ、およびエチルチオ基が特に好ましい。アリールチオ基としては、炭素数6〜12のアリールチオ基が好ましく、フェニルチオ、2−メチルチオ、4−メチルチオ、2−クロルチオ、4−クロルチオ、4−アセトアミドチオ、および4−メトキシチオ基が好ましく、フェニルチオ、4−メチルチオ、および4−クロルチオ基が特に好ましい。アミノ基としては、置換基を有したアミノ基が好ましく、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、モノアリールアミノ基、およびジアリールアミノ基が含まれる。ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、およびジアリールアミノ基が好ましい。ジアルキルアミノ基として、ジメチルアミノ基、およびジエチルアミノ基が好ましい。アルキルアリールアミノ基として、N−メチル−N−フェニルアミノ基、およびN−エチル−N−フェニルアミノ基が好ましい。ジアリールアミノ基として、ジフェニルアミノ基、およびビス(4−メトキシフェニル)アミノ基が好ましい。
【0036】
さらに、前記一般式(1)または(2)において、XとXが同一であり、XとXが同一であり、YとYが同一であり、YとYが同一であり、RとRが同一でありRとRが同一であることが好ましい。
【0037】
さらに、前記一般式(1)または(2)において、X、X、X、およびXが、それぞれ独立に、イオウ原子、または、−CR−であることが好ましい。R、およびRは、先に示したものと同一である。
【0038】
一般式(1)または(2)で表される塩化合物は、好ましくは、複数(通常4分子以上、好ましくは10〜30分子)が会合して会合体を形成する色素である。この会合体は、後述するように、溶液状態での吸収極大とフィルタでの吸収極大との差を測定することによって確認される。
【0039】
以下に、一般式(1)または(2)で表される塩化合物の具体例を示すが、本発明は、これらの例示化合物により限定されるものではない。
【0040】
【化5】

【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

【0043】
【化8】

【0044】
【化9】

【0045】
【化10】

【0046】
【化11】

【0047】
【化12】

【0048】
一般式(1)で表される塩化合物は、一般式(3)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物を、水中、有機溶媒中、あるいはこれらの混合溶媒中で、混合することにより合成することができる。一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物の混合比(モル比)は(3):(4)で1.0:1.2〜1.2:1.0が好ましい。混合の温度は0〜120℃が好ましい。
【0049】
【化13】

【0050】
【化14】

【0051】
一般式(3)および(4)中、X、X、X、X、Y、Y、Y、Y、R、R、R、R、L、およびLは、一般式(1)におけるそれらと同一の意味を表わし、Mn+はn価のカチオンを表わし、Xm−はm価のアニオンを表わし、n、mは1、2または3を表わす。
当該n価のカチオンとしては、金属カチオン、または有機カチオンが挙げられる。当該金属カチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、およびマグネシウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、およびカリウムイオンが特に好ましい。当該有機カチオンとしては、トリエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、およびテトラブチルアンモニウムが好ましく、トリエチルアンモニウム、およびトリブチルアンモニウムが特に好ましい。当該n価のカチオンには水素イオンも含まれる。
当該m価のアニオンとしては、ハロゲンイオン(例えば、塩素イオン、臭素イオン、およびヨウ素イオンが好ましく、ヨウ素イオンが特に好ましい)、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、硫酸モノメチルイオン、および硫酸モノエチルイオンが好ましい。
【0052】
一般式(2)で表される塩化合物は、一般式(5)で表される化合物と、一般式(6)で表される化合物を、水中、有機溶媒中、あるいはこれらの混合溶媒中で、混合することにより合成することができる。一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物の混合比(モル比)は(5):(6)で1.0:1.2〜1.2:1.0が好ましい。混合の温度は0〜120℃が好ましい。
【0053】
【化15】

【0054】
【化16】

【0055】
一般式(5)および(6)中、X、X、X、X、Y、Y、Y、Y、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、およびR13は、それぞれ一般式(2)におけるそれらと同一の意味を表わし、Mn+はn価のカチオンを表わし、Xm−はm価のアニオンを表わし、n、mは1、2または3を表わす。
当該n価のカチオンおよび当該m価のアニオンの具体例は、先に一般式(3)および(4)で示したものと同一である。
【0056】
一般式(3)、(4)、(5)、および(6)で表される化合物は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ・シアニン・ダイズ・アンド・リレイテッド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds Cyanine Dyes and Related Compounds)」,ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社,ニューヨーク,ロンドン,1964年刊、およびデー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・トッピクス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds−Special topics in heterocyclic chemistry)」,第18章,第14節,482〜515頁,ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社,ニューヨーク,ロンドン,1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodds Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,part B,1977年刊,第15章,369〜422頁、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、および特開平4−362932号の記載およびその参考文献を参照して合成することができる。
【0057】
本発明の近赤外吸収フィルタには、一般式(1)、好ましくは一般式(2)で表される塩化合物が含まれるが、その波長は、700〜1100nmの範囲に吸収極大を示すものであることが好ましい。上記の吸収極大を示す波長(吸収極大波長)は、前記塩化合物が会合体を形成したときのものであってもよい。さらに本発明の近赤外線吸収フィルタの吸収スペクトルとしては、可視域(400〜600nm)の副吸収が少ないことが好ましい。より具体的には、吸収波長400nmにおける吸光度(Dv)が吸収極大波長における吸光度(Dm)の1/10以下であることが好ましく、1/15以下であることがより好ましく、1/20以下であることが特に好ましい。
【0058】
好ましい吸収波形を得るために、本発明の近赤外線フィルタは、前記塩化合物を水や溶剤等に溶解させた組成物としてもよいが、吸収および堅牢性向上のために前記塩化合物を会合状態にすることが好ましく(以下、この状態の化合物を「会合体色素」とも言う。)、J会合体を含む会合体状態の色素を用いることがより好ましい。なお、会合体色素は、いわゆるJバンドを形成するため、シャープな吸収スペクトルピークを示す。色素の会合とJバンドについては、例えば、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering),Vol18,No.323−335(1974))に詳細な記載がある。J会合状態の色素の吸収極大は、溶液状態の色素の吸収極大よりも長波長側に移動する。従って、近赤外吸収フィルタに含まれる色素が会合状態であるか、非会合状態であるかは、吸収極大を測定することで判断することができる。
【0059】
本発明においては、島津製作所社製、UV−3100Pc(商品名)を用いて測定した溶剤中での色素の吸収極大波長(λma)に対して、同装置により測定した会合後(例えば、膜)の吸収極大波長(λmb)が30nm以上長波長であるとき、その会合後の色素を会合状態の色素(会合体色素)という。ここで、より良好な会合状態として、溶液状態での吸収極大波長と会合後の吸収極大波長との差(λmb−λma)を、50nm以上とした会合体色素であることが好ましく、70nm以上とした会合体色素であることがより好ましい。
【0060】
本発明における会合体色素の形成は、一般式(1)または(2)で表される塩化合物(色素)を水に溶解し、ゼラチンまたは塩(例えば、塩化バリウム、塩化カルシウムなど)を添加して、水中で会合体色素とすることができる。また、固体微粒子(平均粒径が好ましくは0.001〜100μm、より好ましくは0.005〜50μm)として分散させて会合体色素とすることもできる。
【0061】
本発明の近赤外吸収フィルタにおける一般式(1)または(2)で表される塩化合物の含有量は、必要に応じて調節することができるが、組成物中に0.1〜30質量%含有させることが好ましく、0.5〜10質量%含有させることがより好ましい。
【0062】
本発明において上記の色素は、固体微粒子分散物としても使用できる。このような固体微粒子分散物については、例えば、株式会社技術情報協会発行の「顔料分散技術−表面処理と分散剤の使い方および分散性評価−」、株式会社朝倉書店発行の「顔料の事典」、株式会社技術情報協会発行の「最新『顔料分散』実務ノウハウ・事例集」に詳しく記載されている。固体微粒子分散物とするためには、通常の分散機を用いることができる。分散機の例には、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、及びローラミルが含まれる。分散機については、特開昭52−92716号公報及び国際公開第88/074794号パンフレットに記載がある。縦型又は横型の媒体分散機が好ましい。
【0063】
分散は、適当な媒体(例、水、アルコール、シクロヘキサノン、2−メトキシー1−メチルエチルアセテート)の存在下で実施してもよい。分散用界面活性剤を用いることが好ましい。分散用界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(特開昭52−92716号公報及び国際公開第88/074794号パンフレットに記載がある)が好ましく用いられる。必要に応じて、アニオン性ポリマー、ノニオン性界面活性剤、あるいはカチオン性界面活性剤を用いてもよい。
【0064】
また、微粒子化法としては、本発明に用いられる色素を適当な溶媒中に溶解した後、その溶液に貧溶媒を添加して、微粒子化し、必要に応じて常法によりそれを粉末としてもよい。この場合も、上記の分散用界面活性剤を用いてもよい。あるいはpHを調整することによって溶解し、次にpHを変化させて色素の微粒子を析出させてもよい。この微粒子も上述した会合体色素であることが好ましい。会合体色素が微粒子(または微結晶)である場合、平均粒径1000μm以下であることが好ましく、0.001μm〜100μmであることがより好ましく、0.005μm〜50μmであることが特に好ましい。なお、本発明において、平均粒径とは特に断わらない限り、体積平均粒径をいい、レーザー回折散乱法または動的光散乱法を用いて測定したものをいう。
【0065】
本発明に用いられる色素の分散性を向上させる目的で、通常の顔料用分散剤や界面活性剤を添加することができる。これらの分散剤としては、多くの種類の化合物が用いられるが、例えば、フタロシアニン誘導体(市販品:EFKA−745(商品名、エフカ社製))、ソルスパース5000(商品名、ゼネカ社製);
オルガノシロキサンポリマーKP341(商品名、信越化学工業(株)社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフロー No.75、No.90、No.95(商品名、共栄社油脂化学工業(株)社製)、W001(商品名、裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、エマルゲンA60(商品名、花王(株)社製)等のノニオン系界面活性剤;
W004、W005、W017(商品名、裕商(株)社製)、ドデシルベンゼンスルホン酸Na、デモールSNB(商品名、花王(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;
EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上、商品名、森下産業(株)製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(商品名、サンノプコ(株)社製)等の高分子分散剤;
ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(商品名、ゼネカ(株)社製);
アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123(商品名、旭電化(株)社製)、およびイソネットS−20(商品名、三洋化成(株)社製)が挙げられる。
【0066】
上記分散剤は、単独で用いてもよくまた2種以上組み合わせて用いてもよい。上記分散剤の添加量は、色素100質量部に対して1〜150質量部程度が好ましい。
【0067】
本発明の近赤外吸収フィルタは、例えば、上記の色素を含む組成物、好ましくは上記の固体微粒子分散物を含む組成物を、透明支持体上に塗布、乾燥して、膜状のフィルタ層を形成することで製造することができる。
【0068】
本発明の色素を含む近赤外吸収フィルタのフィルタ層には、褪色防止剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤を添加してもよい。褪色防止剤には、ハイドロキノン誘導体、ハイドロキノンジエーテル、フェノール誘導体、スピロインダン、メチレンジオキシベンゼン、クロマン、スピロクロマン、クマラン誘導体、ハイドロキノンモノエーテル、p−アミノフェノール誘導体、およびビスフェノール誘導体が含まれる。ハイドロキノン誘導体については、米国特許3935016号、同3982944号の各明細書に記載がある。ハイドロキノンジエーテルについては、米国特許4254216号明細書、特開昭55−21004号公報に記載がある。フェノール誘導体については、特開昭54−145530号公報に記載がある。スピロインダン、メチレンジオキシベンゼンについては、英国特許2062888号、同2077455号の各明細書に記載がある。クロマン、スピロクロマン、クマラン誘導体については、米国特許3432300号、同3573050号、同3574627号、同3764337号の各明細書、特開昭52−152225、同53−17729号、同53−20327号、同61−90156号の各公報に記載がある。ハイドロキノンモノエーテル、p−アミノフェノール誘導体については、英国特許1347556号、同2066975号の各明細書、特公昭54−12337号、特開昭55−6321号の各公報に記載がある。ビスフェノール誘導体については、米国特許3700455号明細書、特公昭48−31625号公報に記載がある。
【0069】
金属錯体(米国特許4245018号明細書、特開昭60−97353号公報記載)や一重項酸素クウェンチャーをフィルタ層に添加しても良い。一重項酸素クウェンチャーには、ニトロソ化合物(特開平2−300288号公報記載)、ジインモニウム化合物(米国特許465612号明細書記載)、ニッケル錯体(特開平4−146189号公報記載)、および酸化防止剤(欧州特許820057A1号明細書記載)が含まれる。
【0070】
フィルタ層の厚さは、0.1μm〜1cmであることが好ましく、0.5μm〜100μmであることがさらに好ましい。
【0071】
フィルタ層は、さらにポリマーバインダーを含むことが好ましい。ポリマーバインダーとしては、天然ポリマー(例、ゼラチン、セルロース誘導体、またはアルギン酸)、または合成ポリマー(例、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、または水溶性ポリアミド)をポリマーバインダーとして用いることができる。親水性ポリマー(例、上記天然ポリマー、および上記合成ポリマー中、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポビニルアルコール、または水溶性ポリアミド)が特に好ましい。
【0072】
本発明のフィルタは、上記のように透明支持体を用いて作成することが好ましい。透明支持体は、ガラス、またはポリマーフイルムからなることが好ましい。ポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、またはセルロースニトレート)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、またはポリブチレンテレフタレート)、ポリアリレート(例、ビスフェノールAとフタル酸の縮合物)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリメチルペンテン)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、およびポリオキシエチレンが含まれる。セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートが好ましい。透明支持体の厚みは、5μm〜5cmが好ましく、25μm〜1cmがさらに好ましく、80μm〜1.2mmが最も好ましい。この場合のフィルタ層の厚さは前記のとおりである。
【0073】
透明支持体の波長400〜1100nmの光に対して透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましい。
【0074】
透明支持体に、紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤の添加量は、透明支持体に対し0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がさらに好ましい。滑剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO、TiO、BaSO、CaCO、タルク、およびカオリンが含まれる。透明支持体に表面処理を施すことが好ましい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、および火炎処理が好ましく、コロナ放電処理がさらに好ましい。
【0075】
また、本発明の近赤外吸収フィルタは、光硬化性組成物中、または熱硬化性組成物中に一般式(1)または(2)で示される塩化合物を含んでなるものであってもよい。光硬化性組成物、または熱硬化性組成物として、エチレン性不飽和基を持つ化合物を含む組成物が好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートや、メタアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能のアクリレートやメタクリレートが挙げられる。また、更に、日本接着協会誌Vol.20,No.7,300〜308頁に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。
【実施例】
【0076】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0077】
合成例1:例示化合物D-1の合成
カリウム1,3,3−トリメチル−2−(7−(1,3,3−トリメチル−6−スルホナトベンゾ[e]インドリン−2−イリデン)−4−クロロ−3,5−トリメチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル}ベンゾ[e]インドレニウム−6−スルホナート0.78g、水5mL、メタノール5mLの混合物を60℃に加熱した。この混合物の中に、1,3,3−トリメチル−2−{7−(1,3,3−トリメチルベンゾ[e]インドリン−2−イリデン)−4−クロロ−3,5−トリメチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル}ベンゾ[e]インドレニウムp−トルエンスルホナート0.76gとメタノール5mLを加え、60℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した結晶をろ取し、水、メタノールで、順次、かけ洗いした。乾燥し、例示化合物D−1を1.30g得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:8.42−8.20(m,10H),8.18−8.04(m,6H),7.88−7.76(m,6H),7.66(dd,2H),7.52(dd,2H),6.34(d,4H),3.82(s,12H),2.80−2.70(m,8H),1.94(s,24H),1.82−2.00(m,4H)
【0078】
合成例2:例示化合物D−2の合成
カリウム3−[3,3−ジメチル―2−{7−(3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)ベンゾ[e]インドリン−2−イリデン)−4−クロロ−3,5−トリメチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル}ベンゾ[e]インドレニウム]プロパンスルホナート0.67g、水4mL、メタノール4mLの混合物を50℃に加熱した。この混合物の中に、1,3,3−トリメチル−2−{7−(1,3,3−トリメチルベンゾ[e]インドリン−2−イリデン)−4−クロロ−3,5−トリメチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル}ベンゾ[e]インドレニウムp−トルエンスルホナート0.60gとメタノール8mLを加え、50℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した結晶をろ取し、メタノールで洗浄した。乾燥し、例示化合物D−2を0.87g得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:8.40−8.27(m,8H),8.12−8.02(m,8H),7.88(d,2H),7.80(d,2H),7.70−7.60(m,4H),7.58−7.48(m,4H),6.55(d,2H),6.33(d,2H),4.50(t,4H),3.83(s,6H),2.82−2.68(m,8H),2.62(t,4H),2.08(m,4H),1.98(s,24H),1.82−1.95(m,4H)
【0079】
合成例3:例示化合物D−3の合成
トリエチルアンモニウム1,3,3−トリメチル−2−{7−(1,3,3−トリメチル−6−スルホナトベンゾ[e]インドリン−2−イリデン)−4−クロロ−3,5−エチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル}ベンゾ[e]インドレニウム−6−スルホナート0.50g、メタノール3mLの混合物を50℃に加熱した。この混合物の中に、1,3,3−トリメチル−2−{7−(1,3,3−トリメチルベンゾ[e]インドリン−2−イリデン)−4−クロロ−3,5−エチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル}ベンゾ[e]インドレニウムp−トルエンスルホナート0.44gとメタノール3mLを加え、40℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した結晶をろ取し、メタノールで洗浄した。乾燥し、例示化合物D−3を0.69g得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:8.34−8.18(m,6H),8.18−8.14(m,2H),8.12−8.02(m,4H),7.88−7.80(m.6H),7.78−7.72(m,4H),7.68−7.60(m,2H),7.56−7.46(m,2H),6.16(d,4H),3.78(s,12H),2.98(brs,8H),1.94(s,24H)
【0080】
合成例4:例示化合物D−4の合成
カリウム3−[3,3−ジメチル―2−{7−(3,3−ジメチル−1−(3−スルホナトプロピル)ベンゾ[e]インドリン−2−イリデン)−4−クロロ−3,5−エチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル}ベンゾ[e]インドレニウム]プロパンスルホナート0.57g、メタノール7mLの混合物を50℃に加熱した。この混合物の中に、1,3,3−トリメチル−2−{7−(1,3,3−トリメチルベンゾ[e]インドリン−2−イリデン)−4−クロロ−3,5−エチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル}ベンゾ[e]インドレニウムp−トルエンスルホナート0.51gを加え、50℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した結晶をろ取し、メタノール、水、メタノールで、順次、洗浄した。乾燥し、例示化合物D−4を0.67g得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:8.30−8.22(m,4H),8.14−8.02(m,8H),7.90−7.78(m,6H),7.76(d,2H),7.70−7.60(m,4H),7.56−7.46(m,4H),6.38(d,2H),6.16(d,2H),4.48(t,4H),3.78(s,6H),3.02−2.94(m,8H),2.58(m,4H),2.08(m,4H),1.94(s,24H)
【0081】
合成例5:例示化合物D−19の合成
トリエチルアンモニウム3−[5−クロル−{7−(3−(3−スルホナトプロピル)ベンゾ[d]チアゾリン−2−イリデン)−4−クロロ−3,5−トリメチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル}ベンゾ[d]チアゾリウム]プロパンスルホナート0.61g、5−クロル−3−エチル−{7−(5−クロル−3−エチルベンゾ[d]チアゾリン−2−イリデン)−4−クロロ−3,5−トリメチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル}ベンゾ[d]チアゾリウムp−トルエンスルホナート0.44g、メタノール12mLの混合物を1時間、加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した結晶をろ取し、メタノールで洗浄した。乾燥し、例示化合物D−19を0.80g得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:8.00−7.84(m,8H),7.78−7.64(m,4H),7.44−7.28(m,4H),6.68(d,2H),7.46(d,2H),7.54(brt,4H),4.46(brt,4H),2.74−2.54(m,12H),2.10−1.96(m,4H),1.86−1.72(m,4H),1.30(t,6H)
【0082】
合成例6:例示化合物D−20の合成
カリウム3−[5−クロル−{7−(3−(3−スルホナトプロピル)ベンゾ[d]チアゾリン−2−イリデン)−4−クロロ−3,5−エチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル}ベンゾ[d]チアゾリウム]プロパンスルホナート0.54g、5−クロル−3−エチル−{7−(5−クロル−3−エチルベンゾ[d]チアゾリン−2−イリデン)−4−クロロ−3,5−エチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル}ベンゾ[d]チアゾリウムp−トルエンスルホナート0.50g、メタノール14mLの混合物を2時間、加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、析出した結晶をろ取し、メタノールで洗浄した。乾燥し、例示化合物D−20を0.94g得た。
H−NMR(DMSO−d)δ:7.80−7.72(m,4H),7.72−7.50(m,4H),7.46(d,2H),7.20−7.08(m,4H),7.04−6.90(m,4H),6.10(d,2H),4.40−4.16(m,8H),3.0−2.58(m,12H),2.02−1.84(m,4H),1.24(t,6H)
【0083】
なお、その他の例示化合物も、上記合成例と同様にして合成することができる。
【0084】
実施例1
本発明の例示化合物D−1 0.5g、エマルゲンA60(花王(株)社製)0.05g、ジルコニアビーズ(0.1mm)10g、蒸留水4.5gの混合物を、遊星型ボールミル(ドイツ フリッチュ社製)を用いて分散し分散物を得た。得られた粒子の平均粒半径は0.21μmであった。
【0085】
4質量%ゼラチン水溶液2.0gに、上記で得られた分散物0.6gを40℃にて加え、混合した。この液をガラス基板上にスピンコートし、100℃で2分乾燥して、厚み2μmのフィルタ層を形成し、近赤外吸収フィルタAを作成した。
【0086】
実施例2
実施例1で使用した本発明の例示化合物D−1の代わりに、本発明の例示化合物D−2を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、分散物および近赤外吸収フィルタBを作成した。
【0087】
実施例3
実施例1で使用した本発明の例示化合物D−1の代わりに、本発明の例示化合物D−3を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、分散物および近赤外吸収フィルタCを作成した。
【0088】
実施例4
実施例1で使用した本発明の例示化合物D−1の代わりに、本発明の例示化合物D−4を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、分散物および近赤外吸収フィルタEを作成した。
【0089】
実施例5
実施例1で使用した本発明の例示化合物D−1の代わりに、本発明の例示化合物D−19を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、分散物および近赤外吸収フィルタEを作成した。
【0090】
実施例6
実施例1で使用した本発明の例示化合物D−1の代わりに、本発明の例示化合物D−20を用いた以外は、実施例1と全く同様にして、分散物および近赤外吸収フィルタFを作成した。
【0091】
比較例1
実施例1で使用した本発明の例示化合物D−1の代わりに、下式で示される比較色素aを用いた以外は、実施例1と全く同様にして、分散物および近赤外吸収フィルタGを作成した。本比較例で用いた比較色素aは、特開2002−90521号公報に記載の色素である。
【0092】
【化17】

【0093】
比較例2
実施例1で使用した本発明の例示化合物D−1の代わりに、下式で示される比較色素bを用いた以外は、実施例1と全く同様にして、分散物および近赤外吸収フィルタHを作成した。本比較例で用いた比較色素bは、特開2002−90521号公報に記載の色素である。
【0094】
【化18】

【0095】
比較例3
実施例1で使用した本発明の例示化合物D−1の代わりに、下式で示される比較色素cを用いた以外は、実施例1と全く同様にして、分散を行なった。しかしながら、分散物は非常に粘度が高く、近赤外吸収フィルタを作成できなかった。
【0096】
【化19】

【0097】
試験例
作成した各フィルタについて、下記評価試験を行った。その結果を表1に示した。
<吸収>
UV−3100Pc(商品名、島津製作所社製)を用いて、フィルタの吸収極大波長(λmb)を測定した。また、ジメチルスルホキシドまたは水中に溶解した各色素の吸収極大波長(λma)を測定した。また、近赤外吸収フィルタCおよびGについては、UV−3100Pcを用いて測定した透過スペクトルをそれぞれ図1および図2に示す。
<耐光性>
ウェザーメーター(アトラスC.I65、商品名、アトラス社製)を用いて、キセノン光(10万lx)をフィルタに18時間照射し、キセノン照射前後の濃度を上記3100PCを用いて測定し、
(照射後濃度/照射前濃度)×100=色素残存率(%)
として評価した。
【0098】
【表1】

【0099】
表1から明らかなように、本発明のフィルタは、溶液吸収より吸収極大波長を長波長化しており、耐光性に優れるものであった。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】赤外吸収フィルタの透過スペクトルを示すグラフである。
【図2】赤外吸収フィルタの透過スペクトルを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される塩化合物を含んでなることを特徴とする近赤外吸収フィルタ。
【化1】

[式中、X、X、X、およびXは、それぞれ独立に、酸素原子、イオウ原子、−CR−、−CH=CH−、またはNRを表わし、Y、Y、Y、およびYは、それぞれ独立に、5または6員環の芳香環を形成するために必要な原子群を表わし、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、アルキル基を表わし、L、およびLは、それぞれ独立に、5または7個のメチン基からなるメチン鎖を表わし、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表わす。]
【請求項2】
前記一般式(1)で表される塩化合物が、下記一般式(2)で表される塩化合物であることを特徴とする請求項1記載の近赤外吸収フィルタ。
【化2】

[式中、X、X、X、およびXは、それぞれ独立に、酸素原子、イオウ原子、−CR−、−CH=CH−、またはNRを表わし、Y、Y、Y、およびYは、それぞれ独立に、5または6員環の芳香環を形成するために必要な原子群を表わし、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、アルキル基を表わし、R、R、R11、およびR12は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、RとR、またはR11とR12が連結し、5、6、または7員環を形成する原子群を表わし、R10、およびR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはアミノ基を表わし、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表わす。]
【請求項3】
前記一般式(1)において、XとXが同一であり、XとXが同一であり、YとYが同一であり、YとYが同一であり、RとRが同一であり、RとRが同一である請求項1に記載の近赤外吸収フィルタ。
【請求項4】
前記一般式(2)において、XとXが同一であり、XとXが同一であり、YとYが同一であり、YとYが同一であり、RとRが同一であり、RとRが同一である請求項2に記載の近赤外吸収フィルタ。
【請求項5】
前記一般式(1)において、X、X、X、およびXが、それぞれ独立に、イオウ原子、または、−CR−である請求項1または3に記載の近赤外吸収フィルタ。
【請求項6】
前記一般式(2)において、X、X、X、およびXが、それぞれ独立に、イオウ原子、または、−CR−である請求項2または4に記載の近赤外吸収フィルタ。
【請求項7】
前記一般式(1)で表される塩化合物が会合体を形成している色素であることを特徴とする請求項1、3、または5に記載の近赤外吸収フィルタ。
【請求項8】
前記一般式(2)で表される塩化合物が会合体を形成している色素であることを特徴とする請求項2、4、または6に記載の近赤外吸収フィルタ。
【請求項9】
近赤外吸収領域が、吸収波長700nm〜1100nmの領域であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の近赤外吸収フィルタ。
【請求項10】
前記一般式(1)で表される塩化合物の固体微粒子分散体を含んでなることを特徴とする請求項1、3、5、7または9に記載の近赤外吸収フィルタ。
【請求項11】
前記一般式(2)で表される塩化合物の固体微粒子分散体を含んでなることを特徴とする請求項2、4、6、8または9に記載の近赤外吸収フィルタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−210929(P2009−210929A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55420(P2008−55420)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】