返送汚泥の活性化強化装置
【課題】汚水処理ラインにおいて返送される返送汚泥の活性を、この返送の過程において、簡素な構造をもって効果的に高めることができるようにする。
【解決手段】汚水処理ラインにおける返送汚泥Ｍの返送ライン１の一部となる装置Ｂである。返送汚泥Ｍへのエアの供給手段２の下流において、交互に有する拡径部３ａと縮径部３ｂとにより通過される返送汚泥Ｍとエアとを混合する管状混合手段３と、この管状混合手段３の下流にあって返送汚泥Ｍを受け入れる槽状混合手段４とを備えている。この槽状混合手段４は、槽上側に設けられた返送汚泥Ｍの流入部４ａの前方にあって槽内をこの流入部側の一次側空間４ｅと流出部４ｏ側の二次側空間４ｆとに区分し且つ板下端４ｃと槽底部４ｇとの間を返送汚泥Ｍの二次側空間４ｆへの吐出部４ｈとする仕切り板４ｂを有すると共に、この二次側空間４ｆを上方に向かうに連れて広くさせるようにしてなる。
【解決手段】汚水処理ラインにおける返送汚泥Ｍの返送ライン１の一部となる装置Ｂである。返送汚泥Ｍへのエアの供給手段２の下流において、交互に有する拡径部３ａと縮径部３ｂとにより通過される返送汚泥Ｍとエアとを混合する管状混合手段３と、この管状混合手段３の下流にあって返送汚泥Ｍを受け入れる槽状混合手段４とを備えている。この槽状混合手段４は、槽上側に設けられた返送汚泥Ｍの流入部４ａの前方にあって槽内をこの流入部側の一次側空間４ｅと流出部４ｏ側の二次側空間４ｆとに区分し且つ板下端４ｃと槽底部４ｇとの間を返送汚泥Ｍの二次側空間４ｆへの吐出部４ｈとする仕切り板４ｂを有すると共に、この二次側空間４ｆを上方に向かうに連れて広くさせるようにしてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、汚水処理ラインにおける返送汚泥の返送ラインの一部となって、通過する返送汚泥にエアを付与すると共に、付与されたエアにより返送汚泥中の微生物の活性を効果的に高め得る返送汚泥の活性化強化装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
下水処理場、し尿処理場、浄化槽などにおいては、活性汚泥を利用した汚水の処理がなされている。これらの設備における汚水処理ラインでは、典型的には曝気槽に続き沈殿槽が配される。活性汚泥の入れられた曝気槽に汚水が流入され汚水中の汚濁物質が活性汚泥中の微生物の餌となって汚水の浄化が図られる。曝気槽からあふれ出る活性汚泥を含んだ水は沈殿槽に送られる。この沈殿槽において活性汚泥は沈降し沈降した活性汚泥は曝気槽に返送汚泥として返送される。したがって、かかる汚水処理ラインにおいては、返送汚泥の活性を一定以上に保つ管理が重要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、前記汚水処理ラインにおいて返送される返送汚泥の活性を、この返送の過程において、簡素な構造をもって効果的に高めることができるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、返送汚泥の活性化強化装置を、汚水処理ラインにおける返送汚泥の返送ラインの一部となる装置であって、
返送汚泥へのエアの供給手段と、
この供給手段の下流において、交互に有する拡径部と縮径部とにより通過される返送汚泥とエアとを混合する管状混合手段と、
この管状混合手段の下流にあって返送汚泥を受け入れる槽状混合手段とを備えており、
この槽状混合手段は、槽上側に設けられた返送汚泥の流入部の前方にあって槽内をこの流入部側の一次側空間と流出部側の二次側空間とに区分し且つ板下端と槽底部との間を返送汚泥の二次側空間への吐出部とする仕切り板を有すると共に、
この二次側空間を上方に向かうに連れて広くさせるようにしてなるものとした。
【０００５】
エアの供給手段においてエアを混合された返送汚泥には、管状混合手段においてキャビテーション現象によるエネルギーによってこのエアを微細混合させることができる。この管状混合手段を経た返送汚泥は、槽状混合手段の一次側空間に圧送され吐出部から二次側空間に送り込まれるが、返送汚泥の流れはこの吐出部で速くなり二次側空間の上方に向けて遅くなることから、この槽状混合手段においても管状混合手段と同様の効果に加え適度な反応時間を与えることにより更に返送汚泥にエアの供給手段において取り込まれたエアを微細混合させることができる。また、エアの供給手段において返送汚泥に混合される余剰のエアにより一次側空間の上部にエア溜まりを生成させ、流入部から圧送される返送汚泥は仕切り板の板面に押し広げられるようになってこのエア溜まりのエアに曝され流下する。これにより、この一次側空間においても返送汚泥へのエアの混合をなすことができる。二次側空間では上方に向かうに連れて返送汚泥の流速を低下させながら微細混合されたエアを返送汚泥に馴染ませ返送汚泥中の微生物の活性を高めさせることができる。
【０００６】
前記槽状混合手段を、先行する槽状混合手段の流出部が後続の槽状混合手段の流入部となるように、複数連結させておくこともある。このようにした場合、槽状混合手段の作用が返送汚泥の返送の過程で複数回繰り返され、返送汚泥中の微生物の活性を一層高めさせることができる。
【発明の効果】
【０００７】
この発明によれば、汚水処理ラインにおいて返送される返送汚泥の活性を、この返送の過程において、簡素な構造をもって効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】図１は活性化処理装置Ｂの一例を示した平面構成図である。
【図２】図２は活性化処理装置Ｂの一例を示した縦断面構成図である。
【図３】図３は活性化処理装置Ｂを構成するエアの供給手段２としてのエジェクター２ａの断面構成図である。
【図４】図４は活性化処理装置Ｂを構成する管状混合手段３の断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
以下、図１〜図４に基づいて、この発明を適用して構成された返送汚泥Ｍの活性化強化装置Ｂの一例について説明する。
【００１０】
かかる活性化強化装置Ｂは、汚水処理ラインにおける返送汚泥Ｍの返送ライン１の一部となって、この装置Ｂの通過の過程で返送汚泥Ｍにエアを付与すると共に、付与されたエアにより返送汚泥Ｍ中の微生物の活性を効果的に高め得るものである。
【００１１】
かかる装置Ｂは、典型的には、汚水処理ラインにおける図示しない沈殿槽から図示しない曝気槽に返送される濁水状の活性汚泥、すなわち返送汚泥Ｍの返送ライン１中に備えられて用いられる。あるいはまた、沈殿槽に続く汚泥槽ないしは汚泥濃縮槽からの曝気槽への返送ライン１中に備えられて用いられる。
【００１２】
かかる装置Ｂは、
（１）返送汚泥Ｍへのエアの供給手段２と、
（２）この供給手段２の下流において、交互に有する拡径部３ａと縮径部３ｂとにより通過される返送汚泥Ｍとエアとを混合する管状混合手段３と、
（３）この管状混合手段３の下流にあって返送汚泥Ｍを受け入れる槽状混合手段４とを備えている。
【００１３】
前記返送汚泥Ｍは、ポンプにより返送ライン１を経由して例えば沈殿槽から曝気槽に圧送される。この返送ライン１の一次側１ａ（返送汚泥Ｍの流入側）にエアの供給手段２が、二次側１ｂ（返送汚泥Ｍの流出側）に槽状混合手段４が配されると共に、両者の間に管状混合手段３が配される。
【００１４】
図示の例では、エアの供給手段２として、エジェクター２ａを利用している。図示の例では、かかるエジェクター２ａは、主管部２ｂと、分岐管部２ｆとを組み合わせてなる。主管部２ｂはその一次側端２ｃと二次側端２ｄとの間に、狭窄部２ｅを備えている。分岐管部２ｆはこの狭窄部２ｅにおいて主管部２ｂ内に管一端２ｇを連通させると共に、管他端２ｈからエアを受け入れるようになっている。前記圧送によりエジェクター２ａの主管部２ｂを通過する返送汚泥Ｍの流速は狭窄部２ｅで速まり狭窄部２ｅの圧力が低下することから、分岐管部２ｆを通じてエアが主管部２ｂ内に引き込まれ返送汚泥Ｍに供給混合される。典型的には、かかる分岐管部２ｆにはコンプレッサーによりエアを送り込むようにする。また、かかる分岐管部２ｆを複数設け、かかるエジェクター２ａにおいてエアの他に活性汚泥の調整剤（栄養剤やバルキング防止剤など）を返送汚泥Ｍに送り込むようにすることもできる。
【００１５】
また、図示の例では、管状混合手段３は、その一次側端３ｃと二次側端３ｄとの間に、その長さ方向において間隔を開けて複数の縮径部３ｂを有している。図示の例では、縮径部３ｂは三箇所備えられている。そして、管状混合手段３の一次側端３ｃと最初の縮径部３ｂとの間がこの縮径部３ｂに向かうに連れて内径を漸減させる漏斗管状に構成されており、管状混合手段３の二次側端３ｄと最後の縮径部３ｂとの間もこの縮径部３ｂに向かうに連れて内径を漸減させる漏斗管状に構成されている。また、最初の縮径部３ｂと中間の縮径部３ｂとの間が両者の間に向かうに連れて内径を漸増させる紡錘状の輪郭を持つように構成されると共に、最後の縮径部３ｂと中間の縮径部３ｂとの間も両者の間に向かうに連れて内径を漸増させる紡錘状を輪郭を持つように構成されている。これにより、図示の例では、この管状混合手段３の縮径部３ｂにおいてキャビテーション現象によるエネルギーによってこの管状混合手段３を通過する返送汚泥Ｍにエアの供給手段２において取り込まれたエアを微細混合させるようになっている。
【００１６】
次いで、前記槽状混合手段４は、槽上側に設けられた返送汚泥Ｍの流入部４ａの前方にあって槽内をこの流入部４ａ側の一次側空間４ｅと流出部４ｏ側の二次側空間４ｆとに区分し且つ板下端４ｃと槽底部４ｇとの間を返送汚泥Ｍの二次側空間４ｆへの吐出部４ｈとする仕切り板４ｂを有している。それと共に、かかる槽状混合手段４は、この二次側空間４ｆを上方に向かうに連れて広くさせるようにしてなる。
【００１７】
図示の例では、三つのかかる槽状混合手段４を直列状に連結させると共に、このように直列状に連結された槽状混合手段４の上部に前記エアの供給手段２と管状混合手段３とを配設させて活性化強化装置Ｂが構成されている。図示の例では、連結された槽状混合手段４の上面を塞ぐ天板４ｉ上に、平面視でＵ字状をなすように返送ライン１の配管１ｃが配置され、この配管１ｃの一部が前記エアの供給手段２と管状混合手段３となっている。この配管１ｃにおける管状混合手段３の二次側端３ｄに連通して垂下する配管１ｃが前記のように連結された最初の槽状混合手段４の槽上側に接続されており、この接続箇所がこの最初の槽状混合手段４の前記流入部４ａとなっている。
【００１８】
各槽状混合手段４はそれぞれ、返送ライン１の連続方向において幅狭の一次側空間４ｅと、これより幅広の二次側空間４ｆとを有するようになっている。仕切り板４ｂは、板面を鉛直に配し、かつ、一次側空間４ｅを前記吐出部４ｈでのみその二次側空間４ｆに連通させるように上辺部４ｄと左右両辺部において槽外郭構成体４ｊに水密に連接されている。また、各槽状混合手段４はそれぞれ、吐出部４ｈ近傍において板下端を槽底部４ｇに水密に連接させてそこから板上端４ｍに向かうに連れて斜上する傾斜板４ｋを備えており、この傾斜板４ｋにより二次側空間４ｆを上方に向かうに連れて広くさせるようにしている。かかる傾斜板４ｋの左右両辺は槽外郭構成体４ｊに水密に連接されている。また、かかる傾斜板４ｋの板上端４ｍと天板４ｉの間には間隔が形成されている。また、かかる傾斜板４ｋの二次側にはこの傾斜板４ｋの板上端４ｍに上辺を連接させると共に、左右両辺と下辺とを共に槽外郭構成体４ｊに水密に連接させた垂直板４ｎが備えられている。これにより、各槽状混合手段４はそれぞれ、傾斜板４ｋの板上端４ｍ上を返送汚泥Ｍの流出部４ｏとするようになっている。そして、図示の例では、三つの槽状混合手段４を、先行する槽状混合手段４の流出部４ｏが後続の槽状混合手段４の流入部４ａとなるように、直列状に連結させて活性化強化装置Ｂを構成させている。槽状混合手段４に送り込まれた返送汚泥Ｍは、最後に位置される槽状混合手段４の垂直板４ｎと槽外郭構成体４ｊの間の空間に最終的には送り込まれ、この空間の下部に連通した最終流出部４ｐから曝気槽に送られるようになっている。
【００１９】
エアの供給手段２においてエアを混合され、次いで管状混合手段３においてこのエアを微細混合された返送汚泥Ｍは、槽状混合手段４の一次側空間４ｅに圧送され吐出部４ｈから二次側空間４ｆに送り込まれるが、返送汚泥Ｍの流れはこの吐出部４ｈで速くなり二次側空間４ｆの上方に向けて遅くなることから、この槽状混合手段４においても管状混合手段３と同様の効果（キャビテーション現象による効果）に加え適度な反応時間を与えることにより更に返送汚泥Ｍにエアの供給手段２において取り込まれたエアを微細混合させることができる。また、エアの供給手段２において返送汚泥Ｍに混合される余剰のエアにより一次側空間４ｅの上部にエア溜まりＳを生成させ、流入部から圧送される返送汚泥Ｍは仕切り板４ｂの板面に押し広げられるようになってこのエア溜まりＳのエアに曝され流下する。これにより、この一次側空間４ｅにおいても返送汚泥Ｍへのエアの混合をなすことができる。二次側空間４ｆでは上方に向かうに連れて返送汚泥Ｍの流速を低下させながら微細混合されたエアを返送汚泥Ｍに馴染ませ返送汚泥Ｍ中の微生物の活性を高めさせることができる。
【００２０】
図示の例では、複数の槽状混合手段４を前記のように連結させることで、槽状混合手段４の作用が返送汚泥Ｍの返送の過程で複数回繰り返され、返送汚泥Ｍ中の微生物の活性を一層高められるようになっている。
【符号の説明】
【００２１】
Ｍ 返送汚泥
１ 返送ライン
２ 供給手段
３ 管状混合手段
３ａ 拡径部
３ｂ 縮径部
４ 槽状混合手段
４ａ 流入部
４ｂ 仕切り板
４ｃ 板下端
４ｅ 一次側空間
４ｆ 二次側空間
４ｇ 槽底部
４ｈ 吐出部
【技術分野】
【０００１】
この発明は、汚水処理ラインにおける返送汚泥の返送ラインの一部となって、通過する返送汚泥にエアを付与すると共に、付与されたエアにより返送汚泥中の微生物の活性を効果的に高め得る返送汚泥の活性化強化装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
下水処理場、し尿処理場、浄化槽などにおいては、活性汚泥を利用した汚水の処理がなされている。これらの設備における汚水処理ラインでは、典型的には曝気槽に続き沈殿槽が配される。活性汚泥の入れられた曝気槽に汚水が流入され汚水中の汚濁物質が活性汚泥中の微生物の餌となって汚水の浄化が図られる。曝気槽からあふれ出る活性汚泥を含んだ水は沈殿槽に送られる。この沈殿槽において活性汚泥は沈降し沈降した活性汚泥は曝気槽に返送汚泥として返送される。したがって、かかる汚水処理ラインにおいては、返送汚泥の活性を一定以上に保つ管理が重要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、前記汚水処理ラインにおいて返送される返送汚泥の活性を、この返送の過程において、簡素な構造をもって効果的に高めることができるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、返送汚泥の活性化強化装置を、汚水処理ラインにおける返送汚泥の返送ラインの一部となる装置であって、
返送汚泥へのエアの供給手段と、
この供給手段の下流において、交互に有する拡径部と縮径部とにより通過される返送汚泥とエアとを混合する管状混合手段と、
この管状混合手段の下流にあって返送汚泥を受け入れる槽状混合手段とを備えており、
この槽状混合手段は、槽上側に設けられた返送汚泥の流入部の前方にあって槽内をこの流入部側の一次側空間と流出部側の二次側空間とに区分し且つ板下端と槽底部との間を返送汚泥の二次側空間への吐出部とする仕切り板を有すると共に、
この二次側空間を上方に向かうに連れて広くさせるようにしてなるものとした。
【０００５】
エアの供給手段においてエアを混合された返送汚泥には、管状混合手段においてキャビテーション現象によるエネルギーによってこのエアを微細混合させることができる。この管状混合手段を経た返送汚泥は、槽状混合手段の一次側空間に圧送され吐出部から二次側空間に送り込まれるが、返送汚泥の流れはこの吐出部で速くなり二次側空間の上方に向けて遅くなることから、この槽状混合手段においても管状混合手段と同様の効果に加え適度な反応時間を与えることにより更に返送汚泥にエアの供給手段において取り込まれたエアを微細混合させることができる。また、エアの供給手段において返送汚泥に混合される余剰のエアにより一次側空間の上部にエア溜まりを生成させ、流入部から圧送される返送汚泥は仕切り板の板面に押し広げられるようになってこのエア溜まりのエアに曝され流下する。これにより、この一次側空間においても返送汚泥へのエアの混合をなすことができる。二次側空間では上方に向かうに連れて返送汚泥の流速を低下させながら微細混合されたエアを返送汚泥に馴染ませ返送汚泥中の微生物の活性を高めさせることができる。
【０００６】
前記槽状混合手段を、先行する槽状混合手段の流出部が後続の槽状混合手段の流入部となるように、複数連結させておくこともある。このようにした場合、槽状混合手段の作用が返送汚泥の返送の過程で複数回繰り返され、返送汚泥中の微生物の活性を一層高めさせることができる。
【発明の効果】
【０００７】
この発明によれば、汚水処理ラインにおいて返送される返送汚泥の活性を、この返送の過程において、簡素な構造をもって効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】図１は活性化処理装置Ｂの一例を示した平面構成図である。
【図２】図２は活性化処理装置Ｂの一例を示した縦断面構成図である。
【図３】図３は活性化処理装置Ｂを構成するエアの供給手段２としてのエジェクター２ａの断面構成図である。
【図４】図４は活性化処理装置Ｂを構成する管状混合手段３の断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
以下、図１〜図４に基づいて、この発明を適用して構成された返送汚泥Ｍの活性化強化装置Ｂの一例について説明する。
【００１０】
かかる活性化強化装置Ｂは、汚水処理ラインにおける返送汚泥Ｍの返送ライン１の一部となって、この装置Ｂの通過の過程で返送汚泥Ｍにエアを付与すると共に、付与されたエアにより返送汚泥Ｍ中の微生物の活性を効果的に高め得るものである。
【００１１】
かかる装置Ｂは、典型的には、汚水処理ラインにおける図示しない沈殿槽から図示しない曝気槽に返送される濁水状の活性汚泥、すなわち返送汚泥Ｍの返送ライン１中に備えられて用いられる。あるいはまた、沈殿槽に続く汚泥槽ないしは汚泥濃縮槽からの曝気槽への返送ライン１中に備えられて用いられる。
【００１２】
かかる装置Ｂは、
（１）返送汚泥Ｍへのエアの供給手段２と、
（２）この供給手段２の下流において、交互に有する拡径部３ａと縮径部３ｂとにより通過される返送汚泥Ｍとエアとを混合する管状混合手段３と、
（３）この管状混合手段３の下流にあって返送汚泥Ｍを受け入れる槽状混合手段４とを備えている。
【００１３】
前記返送汚泥Ｍは、ポンプにより返送ライン１を経由して例えば沈殿槽から曝気槽に圧送される。この返送ライン１の一次側１ａ（返送汚泥Ｍの流入側）にエアの供給手段２が、二次側１ｂ（返送汚泥Ｍの流出側）に槽状混合手段４が配されると共に、両者の間に管状混合手段３が配される。
【００１４】
図示の例では、エアの供給手段２として、エジェクター２ａを利用している。図示の例では、かかるエジェクター２ａは、主管部２ｂと、分岐管部２ｆとを組み合わせてなる。主管部２ｂはその一次側端２ｃと二次側端２ｄとの間に、狭窄部２ｅを備えている。分岐管部２ｆはこの狭窄部２ｅにおいて主管部２ｂ内に管一端２ｇを連通させると共に、管他端２ｈからエアを受け入れるようになっている。前記圧送によりエジェクター２ａの主管部２ｂを通過する返送汚泥Ｍの流速は狭窄部２ｅで速まり狭窄部２ｅの圧力が低下することから、分岐管部２ｆを通じてエアが主管部２ｂ内に引き込まれ返送汚泥Ｍに供給混合される。典型的には、かかる分岐管部２ｆにはコンプレッサーによりエアを送り込むようにする。また、かかる分岐管部２ｆを複数設け、かかるエジェクター２ａにおいてエアの他に活性汚泥の調整剤（栄養剤やバルキング防止剤など）を返送汚泥Ｍに送り込むようにすることもできる。
【００１５】
また、図示の例では、管状混合手段３は、その一次側端３ｃと二次側端３ｄとの間に、その長さ方向において間隔を開けて複数の縮径部３ｂを有している。図示の例では、縮径部３ｂは三箇所備えられている。そして、管状混合手段３の一次側端３ｃと最初の縮径部３ｂとの間がこの縮径部３ｂに向かうに連れて内径を漸減させる漏斗管状に構成されており、管状混合手段３の二次側端３ｄと最後の縮径部３ｂとの間もこの縮径部３ｂに向かうに連れて内径を漸減させる漏斗管状に構成されている。また、最初の縮径部３ｂと中間の縮径部３ｂとの間が両者の間に向かうに連れて内径を漸増させる紡錘状の輪郭を持つように構成されると共に、最後の縮径部３ｂと中間の縮径部３ｂとの間も両者の間に向かうに連れて内径を漸増させる紡錘状を輪郭を持つように構成されている。これにより、図示の例では、この管状混合手段３の縮径部３ｂにおいてキャビテーション現象によるエネルギーによってこの管状混合手段３を通過する返送汚泥Ｍにエアの供給手段２において取り込まれたエアを微細混合させるようになっている。
【００１６】
次いで、前記槽状混合手段４は、槽上側に設けられた返送汚泥Ｍの流入部４ａの前方にあって槽内をこの流入部４ａ側の一次側空間４ｅと流出部４ｏ側の二次側空間４ｆとに区分し且つ板下端４ｃと槽底部４ｇとの間を返送汚泥Ｍの二次側空間４ｆへの吐出部４ｈとする仕切り板４ｂを有している。それと共に、かかる槽状混合手段４は、この二次側空間４ｆを上方に向かうに連れて広くさせるようにしてなる。
【００１７】
図示の例では、三つのかかる槽状混合手段４を直列状に連結させると共に、このように直列状に連結された槽状混合手段４の上部に前記エアの供給手段２と管状混合手段３とを配設させて活性化強化装置Ｂが構成されている。図示の例では、連結された槽状混合手段４の上面を塞ぐ天板４ｉ上に、平面視でＵ字状をなすように返送ライン１の配管１ｃが配置され、この配管１ｃの一部が前記エアの供給手段２と管状混合手段３となっている。この配管１ｃにおける管状混合手段３の二次側端３ｄに連通して垂下する配管１ｃが前記のように連結された最初の槽状混合手段４の槽上側に接続されており、この接続箇所がこの最初の槽状混合手段４の前記流入部４ａとなっている。
【００１８】
各槽状混合手段４はそれぞれ、返送ライン１の連続方向において幅狭の一次側空間４ｅと、これより幅広の二次側空間４ｆとを有するようになっている。仕切り板４ｂは、板面を鉛直に配し、かつ、一次側空間４ｅを前記吐出部４ｈでのみその二次側空間４ｆに連通させるように上辺部４ｄと左右両辺部において槽外郭構成体４ｊに水密に連接されている。また、各槽状混合手段４はそれぞれ、吐出部４ｈ近傍において板下端を槽底部４ｇに水密に連接させてそこから板上端４ｍに向かうに連れて斜上する傾斜板４ｋを備えており、この傾斜板４ｋにより二次側空間４ｆを上方に向かうに連れて広くさせるようにしている。かかる傾斜板４ｋの左右両辺は槽外郭構成体４ｊに水密に連接されている。また、かかる傾斜板４ｋの板上端４ｍと天板４ｉの間には間隔が形成されている。また、かかる傾斜板４ｋの二次側にはこの傾斜板４ｋの板上端４ｍに上辺を連接させると共に、左右両辺と下辺とを共に槽外郭構成体４ｊに水密に連接させた垂直板４ｎが備えられている。これにより、各槽状混合手段４はそれぞれ、傾斜板４ｋの板上端４ｍ上を返送汚泥Ｍの流出部４ｏとするようになっている。そして、図示の例では、三つの槽状混合手段４を、先行する槽状混合手段４の流出部４ｏが後続の槽状混合手段４の流入部４ａとなるように、直列状に連結させて活性化強化装置Ｂを構成させている。槽状混合手段４に送り込まれた返送汚泥Ｍは、最後に位置される槽状混合手段４の垂直板４ｎと槽外郭構成体４ｊの間の空間に最終的には送り込まれ、この空間の下部に連通した最終流出部４ｐから曝気槽に送られるようになっている。
【００１９】
エアの供給手段２においてエアを混合され、次いで管状混合手段３においてこのエアを微細混合された返送汚泥Ｍは、槽状混合手段４の一次側空間４ｅに圧送され吐出部４ｈから二次側空間４ｆに送り込まれるが、返送汚泥Ｍの流れはこの吐出部４ｈで速くなり二次側空間４ｆの上方に向けて遅くなることから、この槽状混合手段４においても管状混合手段３と同様の効果（キャビテーション現象による効果）に加え適度な反応時間を与えることにより更に返送汚泥Ｍにエアの供給手段２において取り込まれたエアを微細混合させることができる。また、エアの供給手段２において返送汚泥Ｍに混合される余剰のエアにより一次側空間４ｅの上部にエア溜まりＳを生成させ、流入部から圧送される返送汚泥Ｍは仕切り板４ｂの板面に押し広げられるようになってこのエア溜まりＳのエアに曝され流下する。これにより、この一次側空間４ｅにおいても返送汚泥Ｍへのエアの混合をなすことができる。二次側空間４ｆでは上方に向かうに連れて返送汚泥Ｍの流速を低下させながら微細混合されたエアを返送汚泥Ｍに馴染ませ返送汚泥Ｍ中の微生物の活性を高めさせることができる。
【００２０】
図示の例では、複数の槽状混合手段４を前記のように連結させることで、槽状混合手段４の作用が返送汚泥Ｍの返送の過程で複数回繰り返され、返送汚泥Ｍ中の微生物の活性を一層高められるようになっている。
【符号の説明】
【００２１】
Ｍ 返送汚泥
１ 返送ライン
２ 供給手段
３ 管状混合手段
３ａ 拡径部
３ｂ 縮径部
４ 槽状混合手段
４ａ 流入部
４ｂ 仕切り板
４ｃ 板下端
４ｅ 一次側空間
４ｆ 二次側空間
４ｇ 槽底部
４ｈ 吐出部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
汚水処理ラインにおける返送汚泥の返送ラインの一部となる装置であって、
返送汚泥へのエアの供給手段と、
この供給手段の下流において、交互に有する拡径部と縮径部とにより通過される返送汚泥とエアとを混合する管状混合手段と、
この管状混合手段の下流にあって返送汚泥を受け入れる槽状混合手段とを備えており、
この槽状混合手段は、槽上側に設けられた返送汚泥の流入部の前方にあって槽内をこの流入部側の一次側空間と流出部側の二次側空間とに区分し且つ板下端と槽底部との間を返送汚泥の二次側空間への吐出部とする仕切り板を有すると共に、
この二次側空間を上方に向かうに連れて広くさせるようにしてなることを特徴とする返送汚泥の活性化強化装置。
【請求項２】
槽状混合手段を、先行する槽状混合手段の流出部が後続の槽状混合手段の流入部となるように、複数連結させてなることを特徴とする請求項１に記載の返送汚泥の活性化強化装置。
【請求項１】
汚水処理ラインにおける返送汚泥の返送ラインの一部となる装置であって、
返送汚泥へのエアの供給手段と、
この供給手段の下流において、交互に有する拡径部と縮径部とにより通過される返送汚泥とエアとを混合する管状混合手段と、
この管状混合手段の下流にあって返送汚泥を受け入れる槽状混合手段とを備えており、
この槽状混合手段は、槽上側に設けられた返送汚泥の流入部の前方にあって槽内をこの流入部側の一次側空間と流出部側の二次側空間とに区分し且つ板下端と槽底部との間を返送汚泥の二次側空間への吐出部とする仕切り板を有すると共に、
この二次側空間を上方に向かうに連れて広くさせるようにしてなることを特徴とする返送汚泥の活性化強化装置。
【請求項２】
槽状混合手段を、先行する槽状混合手段の流出部が後続の槽状混合手段の流入部となるように、複数連結させてなることを特徴とする請求項１に記載の返送汚泥の活性化強化装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１０−１７９２３２（Ｐ２０１０−１７９２３２Ａ）
【公開日】平成２２年８月１９日（２０１０．８．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２４５２０（Ｐ２００９−２４５２０）
【出願日】平成２１年２月５日（２００９．２．５）
【出願人】（５０９０３６７９１）明豊工業株式会社 (3)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年８月１９日（２０１０．８．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年２月５日（２００９．２．５）
【出願人】（５０９０３６７９１）明豊工業株式会社 (3)
【Ｆターム（参考）】
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