説明

送信制御プログラム、送信制御方法および送信制御装置

【課題】名前解決にかかる処理時間を短縮すること。
【解決手段】通信端末装置100は、IPアドレス変換部163が、名前解決処理部162からDNSパケットを取得した場合に、フルサービスリゾルバ管理テーブル151を参照し、宛先となるフルサービスリゾルバが故障しているか否かを判定する。そして、IPアドレス変換部163は、宛先となるフルサービスリゾルバサーバが故障している場合に、DNSパケットの宛先を正常なフルサービスリゾルバサーバに変換して送信する。また、IPアドレス変換部163は、フルサービスリゾルバサーバから応答パケットを取得した場合に、取得した応答パケットの送信元を、名前解決処理部162が元々送信先として設定していたフルサービスリゾルバサーバのIPアドレスに変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、名前解決を要求するパケットの送信制御を行う送信制御プログラム、送信制御方法および送信制御装置に関し、特に、名前解決にかかる時間を短縮することができる送信制御プログラム、送信制御方法および送信制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネット環境において、DNS(Domain Name System)によるドメイン名(ホスト名)/IP(Internet Protocol)アドレス変換が必須である。すなわち、クライアント端末が、Webサーバ上のコンテンツにアクセスする場合、フルサービスリゾルバサーバを介してDNSサーバにアクセスし、ドメイン名/IPアドレス変換を行った後に、Webサーバ上のコンテンツにアクセスすることが可能となる。
【0003】
また、フルサービスリゾルバサーバに不具合等が発生し、DNSサーバが使用不可能になった場合には、全てのインターネットアクセスに影響を及ぼすため、現在の運用では、フルサービスリゾルバサーバが使用不可能とならないように、通常使用するフルサービスリゾルバサーバ(以下、プライマリと表記する)と予備用のフルサービスリゾルバサーバ(以下、セカンダリと表記する)とを用意し、冗長化がなされている。
【0004】
なお、特許文献1では、DNSサーバを冗長化し、通常使用するDNSサーバが故障した場合に、予備用のDNSサーバのゾーン情報を有効にすることで、ネットワークの運用効率を高めることを可能とする技術が公開されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−9768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術では、プライマリが故障しているか否かに関わらず、一旦、プライマリにアドレス変換要求を行う(すなわち、一度プライマリにアドレス変換要求を行い、応答がないなどの場合に、セカンダリに再度アドレス変換要求を行う仕組みになっている)ので、名前解決に時間がかかってしまうという問題があった。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、名前解決にかかる時間を短縮することができる送信制御プログラム、送信制御方法および送信制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、名前解決を要求するパケットの送信制御を行う送信制御プログラムであって、冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、稼動中のサーバに障害が発生したか否かを判定する判定手順と、前記判定手順によって稼働中のサーバに障害が発生したと判定された場合に、前記パケットの宛先を予備用のサーバの宛先に変換し、当該パケットを送信する送信制御手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記予備用のサーバから前記パケットの応答を取得した場合に、当該応答の送信元となる予備用のサーバの識別情報を障害の発生したサーバの識別情報に変換する変換手順を更にコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、当該サーバの状態にかかる情報を状態情報として記録装置に記録する記録手順を更にコンピュータに実行させ、前記判定手順は、前記記録装置に記録された状態情報を基にして、サーバに障害が発生したか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、名前解決を要求するパケットの送信制御を行う送信制御方法であって、冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、稼動中のサーバに障害が発生したか否かを判定する判定工程と、前記判定工程によって稼働中のサーバに障害が発生したと判定された場合に、前記パケットの宛先を予備用のサーバの宛先に変換し、当該パケットを送信する送信制御工程と、を含んだことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、名前解決を要求するパケットの送信制御を行う送信制御装置であって、冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、稼動中のサーバに障害が発生したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって稼働中のサーバに障害が発生したと判定された場合に、前記パケットの宛先を予備用のサーバの宛先に変換し、当該パケットを送信する送信制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、稼動中のサーバに障害が発生したか否かを判定し、稼働中のサーバに障害が発生している場合には、前パケットの宛先を予備用のサーバの宛先に変換し、当該パケットを送信するので、故障したサーバを迂回して正常な予備用のサーバにパケットを直接送信することができ、名前解決にかかる処理時間を短縮することができる。
【0014】
また、本発明によれば、予備用のサーバからパケットの応答を取得した場合に、この応答の送信元となる予備用のサーバの識別情報を障害の発生したサーバの識別情報に変換するので、名前解決を要求するパケットを作成する処理部に特別な処理を実行させる必要をなくし、コストを削減することができる。
【0015】
また、本発明によれば、冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、当該サーバの状態にかかる情報を状態情報として記録装置に記録し、この状態情報を基にして、稼働中のサーバが故障したか否かを判定するので、名前解決にかかる処理を正確に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る送信制御プログラム、送信制御方法および送信制御装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
まず、本発明の特徴について説明する。図1は、本発明の特徴を説明するための説明図である。本発明では、フルサービスリゾルバに対応する処理を行うサーバ(以下、フルサービスリゾルバサーバと表記する。また、このフルサービスリゾルバサーバは冗長化されているものとする)にDNS(Domain Name System)パケットを送信し、名前解決を要求する場合に、プライマリとなるフルサービスリゾルバサーバ(以下、プライマリと表記する)が故障しているか否かを判定する。
【0018】
そして、プライマリが故障している場合には、DNSパケットの宛先となるIP(Internet Protocol)アドレスをセカンダリとなるフルサービスリゾルバサーバ(以下、セカンダリと表記する)のIPアドレスに変換して、DNSパケットを送信する。また、セカンダリからDNSパケットの応答を取得した場合には、この応答の送信元となるセカンダリのIPアドレスを、プライマリのIPアドレスに変換する。
【0019】
このように、本発明では、プライマリが故障している場合に、DNSパケットの宛先となるIPアドレスをセカンダリのIPアドレスに変換するので、故障したプライマリを迂回して直接セカンダリにDNSパケットを送信することができるようになり、名前解決にかかる時間を短縮することができる。
【0020】
また、本発明では、セカンダリからDNSパケットの応答を取得した場合に、この応答の送信元となるセカンダリのIPアドレスをプライマリのIPアドレスに変換するので、DNSパケットを使用するアプリケーションなどに特別な処理を行わせる必要がなくなり、コストを抑えることができる。
【0021】
次に、本実施例にかかるアドレス変換システムについて説明する。図2は、本実施例にかかるアドレス変換システムの構成を示すブロック図である。同図に示すように、このアドレス変換システムは、通信端末装置100と、フルサービスリゾルバサーバ(以下、プライマリ)200,300と、フルサービスリゾルバサーバ(以下、セカンダリ)210,310と、ルータ250と、DNSサーバ400とを備えて構成される。
【0022】
また、通信端末装置100は、LAN(Local Area Network)を介してプライマリ200、セカンダリ210およびルータ250に接続されており、ルータ250は、LANを介してプライマリ300およびセカンダリ310に接続されている。また、ルータ250は、ネットワーク350を介してDNSサーバ400に接続されている。
【0023】
このうち、通信端末装置100は、名前解決を行うためのDNSパケットをプライマリ200,300、セカンダリ210,310のいずれかに送信する装置であり、プライマリ200,300は、通信端末装置100からDNSパケットを受信した場合に、受信したDNSパケットをDNSサーバ400に送信する装置であり、それぞれ、セカンダリ210,310によって冗長化されている。また、プライマリ200,300は、DNSパケットに対する応答をDNSサーバ400から取得した場合には、取得した応答を通信端末装置100に送信する。
【0024】
ルータ250は、通信端末装置100、プライマリ200、セカンダリ210からなるネットワークと、プライマリ300、セカンダリ310、DNSサーバ400からなるネットワークとを中継する装置である。
【0025】
DNSサーバ400は、DNSパケットを受信した場合に、受信したDNSパケットに含まれるドメイン名をIPアドレスに変換し、送信元となるフルサービスリゾルバサーバにドメイン名に対応するIPアドレスの情報を含んだDNSパケットを返信する装置である。
【0026】
次に、図2に示した通信端末装置100の構成について説明する。図3は、通信端末装置100の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この通信端末装置100は、入力部110と、出力部120と、通信制御IF部130と、入出力制御IF部140と、記憶部150と、制御部160とを備えて構成される。
【0027】
このうち、入力部110は、各種の情報を入力する入力手段であり、キーボードやマウス、マイクなどによって構成される。なお、後述するモニタ(出力部120)も、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
【0028】
出力部120は、各種の情報を出力する出力手段であり、モニタ(若しくはディスプレイ、タッチパネル)やスピーカなどによって構成される。また、通信制御IF装置130は、プライマリ200,300、セカンダリ210,310との間における通信を制御する手段である。そして、入出力制御IF部140は、入力部110、出力部120、通信制御IF部130によるデータの入出力を制御する手段である。
【0029】
記憶部150は、制御部160による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶手段(格納手段)であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図3に示すように、フルサービスリゾルバ管理テーブル151と、フルサービスリゾルバ情報152とを備える。
【0030】
図4は、フルサービスリゾルバ管理テーブル151のデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、このフルサービスリゾルバ管理テーブル151は、優先順位と、リゾルバ識別情報と、IPアドレスと、状態とを備える。このうち、「優先順位」は、各フルサービスリゾルバサーバの優先順位を示し、1、2、3、・・・の順に優先順位が低くなる。すなわち、通信端末装置100は、優先順位が最も高いフルサービスリゾルバサーバ(図4に示す例では、リゾルバ識別番号「10001」によって識別されるフルサービスリゾルバサーバが最も優先順位が高い)に対してDNSパケットを送信することとなる(フルサービスリゾルバに障害が発生していない場合)。
【0031】
「リゾルバ識別情報」は、フルサービスリゾルバサーバ(図2に示したプライマリ200,300、セカンダリ210,310)を識別するための情報であり、「状態」は、フルサービスリゾルバサーバが故障したか否かを示す情報である。具体的には、状態が「○」の場合は、フルサービスリゾルバサーバが正常であることを示し、状態が「×」の場合には、フルサービスリゾルバサーバに異常が発生した(故障した)ことを示す。
【0032】
図5は、フルサービスリゾルバ情報152のデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、このフルサービスリゾルバ情報152は、リゾルバ識別情報と、IPアドレスとを備える。このフルサービスリゾルバ情報152は、各フルサービスリゾルバサーバ(図2に示したプライマリ200,300、セカンダリ210,310)のIPアドレスを管理するための情報であり、フルサービスリゾルバサーバのIPアドレスが変更された場合などに更新される。
【0033】
制御部160は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種種の処理を実行する制御手段であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、図3に示すように、アプリケーション実行部161と、名前解決処理部162と、IPアドレス交換部163と、フルサービスリゾルバ監視部164と備える。
【0034】
このうち、アプリケーション実行部161は、種種のアプリケーションにかかわる処理を実行する処理部であり、例えば、入力部110からWebサーバ上のコンテンツに対するアクセス要求を取得した場合に、アクセス先となるコンテンツの情報を名前解決処理部162に渡す。
【0035】
名前解決処理部162は、コンテンツの情報をアプリケーション実行部161から取得した場合に、このコンテンツに対する名前解決を要求するためのDNSパケットを生成する処理部である。また、名前解決処理部162は、フルサービスリゾルバ管理テーブル151を参照し、優先順位の最も高いフルサービスリゾルバサーバのIPアドレスをDNSパケットの宛先として設定し、このDNSパケットをIPアドレス変換部163に渡す。
【0036】
IPアドレス変換部163は、故障したフルサービスリゾルバサーバにDNSパケットが送信されないように、DNSパケットの宛先(IPアドレス)を変換する処理部である。具体的に、このIPアドレス変換部163は、名前解決処理部162からDNSパケットを取得した場合に、フルサービスリゾルバ管理テーブル151を参照して、DNSパケットの宛先に設定されたフルサービスリゾルバサーバが故障中であるか否かを判定する。
【0037】
そして、フルサービスリゾルバサーバが故障中である場合には、IPアドレス変換部163は、DNSパケットの宛先に設定されたIPアドレスを故障中のフルサービスリゾルバサーバの次に優先順位の高いフルサービスリゾルバサーバのIPアドレスに変換し、このDNSパケットを送信する。
【0038】
図6は、IPアドレス変換部163の処理を補足説明するための図である。同図に示すように、DNSサーバの宛先となるIPアドレスが「192.168.1.1」に設定されている場合には、IPアドレス「192.168.1.1」にかかるフルサービスリゾルバサーバが故障中であるため、IPアドレス変換部163は、宛先のIPアドレスを変換する。すなわち、IPアドレス変換部163は、故障しているフルサービスリゾルバサーバ(識別番号「10001」)の次に優先順位の高いフルサービスリゾルバサーバ(識別番号「10002」)のIPアドレス「192.168.2.1」をDNSパケットの宛先として設定する。
【0039】
一方、IPアドレス変換部163は、DNSパケットの宛先に設定されたIPアドレスに対応するフルサービスリゾルバサーバが故障中でないと判定した場合には、そのままDNSパケットを送信する。
【0040】
また、IPアドレス変換部163は、フルサービスリゾルバサーバからDNSパケットの応答(以下、応答パケットと表記する)を取得した場合には、取得した応答パケットを名前解決処理部162に渡す。ただし、IPアドレス変換部163は、DNSパケットの宛先IPアドレスを変換して、フルサービスリゾルバサーバに送信した後に、このフルサービスリゾルバサーバから応答パケットを取得した場合には、送信元となるフルサービスリゾルバサーバのIPアドレスを元のIPアドレスに戻し、名前解決処理部162に応答パケットを渡す。
【0041】
図6を使用して具体的に説明すると、IPアドレス変換部163は、DNSパケットのIPアドレスを「192.168.1.1」から「192.168.2.1」に変換してフルサービスリゾルバサーバに送信し、このDNSパケットに対応する応答パケットを取得した場合には、送信元となるIPアドレスを「192.168.2.1」から「192.168.1.1」に変換してから、応答パケットを名前解決処理部162に渡す。
【0042】
フルサービスリゾルバ監視部164は、図2に示したプライマリ200,300およびセカンダリ210,310を監視し、監視対象となるフルサービスリゾルバサーバが故障した場合には、フルサービスリゾルバ管理テーブル151の状態を更新する処理部である。具体的に、フルサービスリゾルバ監視部164は、フルサービスリゾルバサーバが故障した場合には、故障したフルサービスリゾルバサーバに対応する「状態」を「○」から「×」に設定し、故障していたフルサービスリゾルバサーバが復旧した場合には、対応する「状態」を「×」から「○」に設定し直す。
【0043】
また、フルサービスリゾルバ監視部164は、プライマリ200,300、セカンダリ210,310と定期的にデータ通信を行い、フルサービスリゾルバサーバのIPアドレスが変更された場合には、フルサービスリゾルバ管理テーブル151およびフルサービスリゾルバ情報に登録されたIPアドレスを更新する。
【0044】
更に、フルサービスリゾルバ監視部164は、各フルサービスリゾルバサーバとデータ通信を行って、フルサービスリゾルバサーバにかかっている負荷の情報を取得し、フルサービスリゾルバ管理テーブル151の優先順位を変更してもよい。例えば、負荷の量が少ないフルサービスリゾルバサーバの優先順位を高くし、負荷の量が多いフルサービスリゾルバサーバの優先順位を低くする。このように、動的に、フルサービスリゾルバサーバの優先順位を変更することによって、名前解決にかかる処理を効率よく実行することが可能となる。
【0045】
次に、フルサービスリゾルバ監視部164がフルサービスリゾルバ管理テーブル151およびフルサービスリゾルバ情報152を更新する更新処理について説明する。図7は、更新処理を示すフローチャートである。同図に示すように、フルサービスリゾルバ監視部164は、各フルサービスリゾルバサーバ(プライマリ200,300、セカンダリ210,310)からIPアドレスの情報を取得し(ステップS101)、IPアドレスが変更されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0046】
そして、IPアドレスが変更されている場合には(ステップS103,Yes)、フルサービスリゾルバ管理テーブル151およびフルサービスリゾルバ情報152を更新する(ステップS104)。一方、IPアドレスが変更されていない場合には(ステップS103,No)、そのまま、ステップS105に移行する。
【0047】
続いて、フルサービスリゾルバ監視部164は、故障しているフルサービスリゾルバサーバが存在するか否かを判定し(ステップS105)、故障しているフルサービスリゾルバサーバが存在する場合には(ステップS106,Yes)、フルサービスリゾルバ管理テーブルを更新する(ステップS107)。一方、故障しているフルサービスリゾルバが存在しない場合には(ステップS106,No)、そのまま処理を終了する(図7に示した処理は、周期的に実行される。)。
【0048】
このように、フルサービスリゾルバ監視部164は、フルサービスリゾルバサーバ(プライマリ200,300、セカンダリ210,310)を監視し、フルサービスリゾルバ管理テーブル151およびフルサービスリゾルバ情報152を更新するので、フルサービスリゾルバサーバの状態を正確に把握することができる。
【0049】
次に、IPアドレス変換部163が行う送信処理について説明する。図8は、送信処理を示すフローチャートである。同図に示すように、IPアドレス変換部163は、名前解決処理部162からDNSパケットを取得し(ステップS201)、フルサービスリゾルバ管理テーブル151を参照して、DNSパケットの宛先に設定されているIPアドレスのフルサービスリゾルバが故障しているか否かを判定する(ステップS202)。
【0050】
そして、故障している場合には(ステップS203,Yes)、宛先のIPアドレスを変換し(ステップS204)、フルサービスリゾルバサーバにDNSパケットを送信する(ステップS205)。一方、フルサービスリゾルバサーバが故障していない場合には(ステップS203,No)、そのままステップS205に移行する。
【0051】
このように、IPアドレス変換部163は、DNSパケットの送信先となるフルサービスリゾルバサーバが故障している場合には、IPアドレスを変換して正常なフルサービスリゾルバサーバに直接DNSパケットを送信するので名前解決にかかる時間を短縮することができる。
【0052】
次に、IPアドレス変換部163が行う受信処理について説明する。図9は、受信処理を示すフローチャートである。同図に示すように、IPアドレス変換部163は、DNSパケット(フルサービスリゾルバサーバからの応答パケット)を受信し(ステップS301)、名前解決処理部162によってDNSパケットに設定されたIPアドレスに対応するフルサービスリゾルバサーバが故障しているか否かを判定する(ステップS302)。
【0053】
そして、フルサービスリゾルバサーバが故障している場合には(ステップS303,Yes)、応答パケットの送信元のIPアドレスを変換(名前解決処理部162がDNSパケットの送信先として選択したフルサービスリゾルバのIPアドレスに変換する)し(ステップS304)、DNSパケットを名前解決処理部162に渡す(ステップS305)。一方、名前解決処理部162によってDNSパケットに設定されたIPアドレスに対応するフルサービスリゾルバサーバが故障していない場合には(ステップS303,No)、そのままステップS305に移行する。
【0054】
このように、IPアドレス変換部160は、DNSパケットに対する応答パケットをフルサービスリゾルバサーバから取得した場合に、この応答パケットの送信元となるフルサービスリゾルバサーバのIPアドレスを、名前解決処理部160によって選択されていたフルサービスリゾルバサーバのIPアドレスに変換するので、名前解決処理部162に特別な処理を実行させる必要をなくし、コストを抑えることができる。
【0055】
上述してきたように、本実施例にかかる通信端末装置100は、IPアドレス変換部163が、名前解決処理部162からDNSパケットを取得した場合に、フルサービスリゾルバ管理テーブル151を参照し、宛先となるフルサービスリゾルバが故障しているか否かを判定する。そして、IPアドレス変換部163は、宛先となるフルサービスリゾルバサーバが故障している場合に、DNSパケットの宛先を正常なフルサービスリゾルバサーバに変換して送信するので、故障したフルサービスリゾルバサーバを迂回して直接セカンダリにDNSパケットを送信することができるようになり、名前解決にかかる時間を短縮することができる。また、通信端末装置100は、余計なDNSパケットをネットワーク上に送信しないので、ネットワークのトラフィック量を抑えることができる。
【0056】
また、本実施例によれば、IPアドレス変換部163は、フルサービスリゾルバサーバから応答パケットを取得した場合に、取得した応答パケットの送信元を、名前解決処理部162が元々送信先として設定していたフルサービスリゾルバサーバのIPアドレスに変換するので、名前解決処理部162に特別な処理を実行させる必要をなくし、通信端末装置100のコストを抑えることができる。
【0057】
なお、本実施例では、通信端末装置100が各フルサービスリゾルバサーバにDNSパケットを送信する場合に、フルサービスリゾルバサーバの状態に応じて宛先のIPアドレスを変換していたが、これに限定されるものではなく、例えば、フルサービスリゾルバサーバがDNSサーバにパケットを送信する場合にでも、本発明を適応することができる。
【0058】
例えば、送信先となるDNSサーバが故障している場合に、フルサービスリゾルバサーバは、パケットの送信先を、故障していないDNSサーバのIPアドレスに変換し、パケットを送信する。
【0059】
ところで、上記の実施例で説明した通信端末装置の各処理は、IPアドレス変換処理に係るプログラムをコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図10を用いて、上記の実施例の通信端末装置と同様の機能を有するIPアドレス変換処理プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図10は、IPアドレス変換処理プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0060】
同図に示すように、コンピュータ30は、入力装置31、出力装置32、通信制御IF装置33、RAM34、HDD35、ROM36、CPU37をバス38で接続して構成される。このうち、入力装置31、出力装置32、通信制御IF装置33は、図3に示した入力部110、出力部120、通信制御IF部130にそれぞれ対応する。
【0061】
また、RAM34は、フルサービスリゾルバ管理テーブル34aおよびフルサービスリゾルバ情報34bを記録する記録装置である。ここで、フルサービスリゾルバ管理テーブル34aおよびフルサービスリゾルバ情報34bは、図3に示したフルサービスリゾルバ管理テーブル151およびフルサービスリゾルバ情報152にそれぞれ対応する。なお、フルサービスリゾルバ管理テーブル34aおよびフルサービスリゾルバ情報34bは、予めHDD35に記録されており、RAM34に読み出されて使用される。
【0062】
そして、コンピュータ30におけるROM36には、上記の実施例の通信端末装置と同様の機能を発揮するIPアドレス変換処理プログラム、つまり、図10に示すように、IPアドレス変換処理プログラム36aが予め記憶されている。
【0063】
CPU37は、このIPアドレス変換処理プログラム36aをROM36から読み出して実行することで、図10に示すように、IPアドレス変換処理プログラム36aは、IPアドレス変換処理プロセス37aとして機能するようになる。CPU37は、RAM34に記録された各データを用いて、DNSパケットの宛先を変換する。
【0064】
(付記1)名前解決を要求するパケットの送信制御を行う送信制御プログラムであって、
冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、稼動中のサーバに障害が発生したか否かを判定する判定手順と、
前記判定手順によって稼働中のサーバに障害が発生したと判定された場合に、前記パケットの宛先を予備用のサーバの宛先に変換し、当該パケットを送信する送信制御手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする送信制御プログラム。
【0065】
(付記2)前記予備用のサーバから前記パケットの応答を取得した場合に、当該応答の送信元となる予備用のサーバの識別情報を障害の発生したサーバの識別情報に変換する変換手順を更にコンピュータに実行させることを特徴とする付記1に記載の送信制御プログラム。
【0066】
(付記3)冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、当該サーバの状態にかかる情報を状態情報として記録装置に記録する記録手順を更にコンピュータに実行させ、前記判定手順は、前記記録装置に記録された状態情報を基にして、サーバに障害が発生したか否かを判定することを特徴とする付記1または2に記載の送信制御プログラム。
【0067】
(付記4)前記送信制御手順は、冗長化された名前解決を行うサーバの負荷の情報を取得し、前記パケットの宛先を、負荷が最もかかっておらずかつ故障していないサーバの宛先に変換し、当該パケットを送信することを特徴とする付記1、2または3に記載の送信制御プログラム。
【0068】
(付記5)名前解決を要求するパケットの送信制御を行う送信制御方法であって、
冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、稼動中のサーバに障害が発生したか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程によって稼働中のサーバに障害が発生したと判定された場合に、前記パケットの宛先を予備用のサーバの宛先に変換し、当該パケットを送信する送信制御工程と、
を含んだことを特徴とする送信制御方法。
【0069】
(付記6)前記予備用のサーバから前記パケットの応答を取得した場合に、当該応答の送信元となる予備用のサーバの識別情報を障害の発生したサーバの識別情報に変換する変換工程を更に含んだことを特徴とする付記5に記載の送信制御方法。
【0070】
(付記7)名前解決を要求するパケットの送信制御を行う送信制御装置であって、
冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、稼動中のサーバに障害が発生したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって稼働中のサーバに障害が発生したと判定された場合に、前記パケットの宛先を予備用のサーバの宛先に変換し、当該パケットを送信する送信制御手段と、
を備えたことを特徴とする送信制御装置。
【0071】
(付記8)前記予備用のサーバから前記パケットの応答を取得した場合に、当該応答の送信元となる予備用のサーバの識別情報を障害の発生したサーバの識別情報に変換する変換手段を更に備えたことを特徴とする付記7に記載の送信制御装置。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明にかかる送信制御プログラム、送信制御方法および送信制御装置は、ドメイン名(ホスト名)/IPアドレス変換を行うアドレス変換システムなどに対して有用であり、特に、名前解決に対する処理時間を短縮する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の特徴を説明するための説明図である。
【図2】本実施例にかかるアドレス変換システムの構成を示すブロック図である。
【図3】通信端末装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】フルサービスリゾルバ管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】フルサービスリゾルバ情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】IPアドレス変換部の処理を補足説明するための図である。
【図7】更新処理を示すフローチャートである。
【図8】送信処理を示すフローチャートである。
【図9】受信処理を示すフローチャートである。
【図10】IPアドレス変換処理プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【符号の説明】
【0074】
100 通信端末装置
110 入力部
120 出力部
130 通信制御IF部
140 入出力制御IF部
150 記憶部
151 フルサービスリゾルバ管理テーブル
152 フルサービスリゾルバ情報
160 制御部
161 アプリケーション実行部
162 名前解決処理部
163 IPアドレス変換部
164 フルサービスリゾルバ監視部
200,300 フルサービスリゾルバサーバ(プライマリ)
210,310 フルサービスリゾルバサーバ(セカンダリ)
250 ルータ
350 ネットワーク
400 DNSサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
名前解決を要求するパケットの送信制御を行う送信制御プログラムであって、
冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、稼動中のサーバに障害が発生したか否かを判定する判定手順と、
前記判定手順によって稼働中のサーバに障害が発生したと判定された場合に、前記パケットの宛先を予備用のサーバの宛先に変換し、当該パケットを送信する送信制御手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする送信制御プログラム。
【請求項2】
前記予備用のサーバから前記パケットの応答を取得した場合に、当該応答の送信元となる予備用のサーバの識別情報を障害の発生したサーバの識別情報に変換する変換手順を更にコンピュータに実行させることを特徴とする請求項1に記載の送信制御プログラム。
【請求項3】
冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、当該サーバの状態にかかる情報を状態情報として記録装置に記録する記録手順を更にコンピュータに実行させ、前記判定手順は、前記記録装置に記録された状態情報を基にして、サーバに障害が発生したか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の送信制御プログラム。
【請求項4】
名前解決を要求するパケットの送信制御を行う送信制御方法であって、
冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、稼動中のサーバに障害が発生したか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程によって稼働中のサーバに障害が発生したと判定された場合に、前記パケットの宛先を予備用のサーバの宛先に変換し、当該パケットを送信する送信制御工程と、
を含んだことを特徴とする送信制御方法。
【請求項5】
名前解決を要求するパケットの送信制御を行う送信制御装置であって、
冗長化された名前解決を行うサーバの状態を監視し、稼動中のサーバに障害が発生したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって稼働中のサーバに障害が発生したと判定された場合に、前記パケットの宛先を予備用のサーバの宛先に変換し、当該パケットを送信する送信制御手段と、
を備えたことを特徴とする送信制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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