送信方式決定装置、基地局装置、プロセッサ、送信方式決定方法、送信方式決定プログラム、及び送信装置
【課題】スループットや周波数利用効率を向上すること。
【解決手段】第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する少なくとも1つの第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【解決手段】第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する少なくとも1つの第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信方式決定装置、基地局装置、プロセッサ、送信方式決定方法、送信方式決定プログラム、及び送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第3.9世代の携帯電話の無線通信システムであるLTE(Long Term Evolution)システムの標準化が完了し、現在は第4世代の無線通信システムの1つとして、LTEシステムをより発展させたLTE−A(LTE−Advanced、IMT−Aなどとも称する。)システムの標準化が行われている。
【0003】
LTE−Aシステムのアップリンク(移動局から基地局への伝送)では、シングルキャリアスペクトルを分割したクラスタを離散的に割り当てるClustered DFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform Spread Orthogonal Frequency Division Multiplexing)がアクセス方式として採用されている(非特許文献1参照)。また、LTE−Aシステムのアップリンクでは、LTEシステムとの後方互換性を保つために、SC−FDMA(Single Carrier−Frequency Division Multiplexing Access)も採用されている。一方、LTEやLTE−Aのダウンリンク(基地局から移動局への伝送)ではOFDMがアクセス方式として採用されている。
このように、LTE−Aシステムでは、直交アクセス方式が検討されている。
【0004】
一方、セルラーシステムにおける無線通信では、リンクアダプテーションが一般的に用いられる。リンクアダプテーションは、移動局装置の受信レベルに応じて、変調方式と符号化率から構成されるMCS(Modulation and Coding Scheme)を制御する手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/022709号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS 36.212 V10.1.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、マルチユーザ環境下においても高い周波数選択ダイバーシチ効果を獲得するため、周波数領域での直交性を崩す非直交アクセス方式が検討されている(特許文献1参照)。この方式では、ユーザ装置間で周波数領域での直交性を崩すと干渉が生じるが、受信処理でターボ等化やSIC(Successive Interference Cancellation)のような干渉を除去する受信処理を行う。そのため、非直交アクセス方式では、干渉を受信処理で完全に除去できる場合は、最大限に伝搬路利得を活用することができ、周波数利用効率の向上が見込める。
しかしながら、非直交アクセス方式において、従来技術に係るリンクアダプテーションを用いると、スループットや周波数利用効率の低下を招く場合があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、スループットや周波数利用効率を向上できる送信方式決定装置、基地局装置、プロセッサ、送信方式決定方法、送信方式決定プログラム、及び送信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する送信方式決定部を備える送信方式決定装置である。
【0010】
(2)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、第1の送信装置と少なくとも1つの第2の送信装置とで重複して割り当てられた重複周波数帯域に関する重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【0011】
(3)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、前記重複周波数帯域の大きさを示す重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【0012】
(4)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域の大きさと前記重複周波数帯域との比率を示す重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【0013】
(5)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、前記重複周波数帯域の有無を示す重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【0014】
(6)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、前記重複情報に基づいて、受信装置による等化を行った場合における伝送品質を算出し、算出した伝送品質を示す情報に基づいて前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【0015】
(7)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、前記重複情報に基づいて、受信装置によって繰り返し等化を行った場合における伝搬路情報を算出し、算出した伝搬路情報に基づいて前記伝送品質を算出する。
【0016】
(8)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、前記重複情報に基づいて、受信装置によって繰り返し等化を行った場合における干渉除去残差を算出し、算出した干渉除去残差に基づいて前記伝搬路情報を算出する。
【0017】
(9)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、受信装置によって繰り返し等化以外の等化を行った場合における伝搬路情報を算出し、算出した伝搬路情報に基づいて前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定し、決定した変調方式及び符号化率の少なくとも一方と前記重複情報に基づいて受信装置による等化を行った場合における伝搬路情報を算出する。
【0018】
(10)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記干渉残差決定部は、ユーザ間干渉の干渉除去残差を算出する。
【0019】
(11)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記干渉残差決定部は、シンボル間干渉の干渉除去残差を算出する。
【0020】
(12)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、前記第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、前記第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域とに基づき算出した相互情報量であって、受信装置によって繰り返し等化を行った後の相互情報量に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【0021】
(13)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置を備える基地局装置である。
【0022】
(14)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定するプロセッサである。
【0023】
(15)また、本発明の一態様は、送信方式決定部が、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する送信方式決定過程を有する送信方式決定方法である。
【0024】
(16)また、本発明の一態様は、コンピュータに、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する手順を実行させるための送信方式決定プログラムである。
【0025】
(17)また、本発明の一態様は、第1の送信装置と少なくとも1つの第2の送信装置とで重複して割り当てられた重複周波数帯域に関する重複情報に応じた変調方式で、変調を行う変調部を備える送信装置である。
【0026】
(18)また、本発明の一態様は、第1の送信装置と少なくとも1つの第2の送信装置とで重複して割り当てられた重複周波数帯域に関する重複情報に応じた符号化率で、符号を行う符号部を備える送信装置である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、スループットや周波数利用効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る通信システムを示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る帯域割当の一例を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る伝送レート決定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図5】本実施形態に係るIUI残差テーブルの一例を示す概略図である。
【図6】本実施形態に係るIUI残差テーブルの一例を示す別の概略図である。
【図7】本実施形態に係る移動局装置の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図8】本実施形態に係る基地局装置の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図9】スループット特性を表す概略図である。
【図10】スループット特性を表す別の概略図である。
【図11】変形例1に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図12】本変形例に係る伝送レート決定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図13】本変形例に係るISI残差テーブルの一例を示す概略図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図15】本実施形態に係る伝送レート決定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図16】本実施形態に係るIUI残差テーブルの一例を示す概略図である。
【図17】変形例2に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図18】本変形例に係る伝送レート決定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図19】本変形例に係るISI残差テーブルの一例を示す概略図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図21】本実施形態に係る移動局装置の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図22】本実施形態に係るMCS決定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図23】本実施形態に係る第1MCS変換テーブルの一例を示す概略図である。
【図24】本実施形態に係る第2MCS変換テーブルの一例を示す概略図である。
【図25】本実施形態に係る基地局装置の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図26】本実施形態に係る伝送レート決定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図27】本実施形態に係るMCS設定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図28】本実施形態に係る送信タイミングの一例を示す概略ブロック図である。
【図29】本発明の第4の実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図30】本実施形態に係るステップS604における相互情報量の算出処理の一例を表すフローチャートである。
【図31】本実施形態に係る等化後のEs/N0と、等化器の出力相互情報量との関係を示すグラフである。
【図32】本実施形態に係る符号器の入力相互情報量と出力相互情報量との関係を示すグラフである。
【図33】本実施形態に係る伝送レート決定部21eの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図34】本実施形態に係る相互情報量算出部254eの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図35】本実施形態に係るスループット特性と、IUIの除去残差Δi,jIUIを固定値とした場合のスループット特性とを比較するグラフ(最大重複率10%)である。
【図36】本実施形態に係るスループット特性と、IUIの除去残差Δi,jIUIを固定値とした場合のスループット特性とを比較するグラフ(最大重複率30%)である。
【図37】本発明の第5の実施形態に係るUEiの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図38】本実施形態に係るクリッピング部810の入力信号と出力信号の一例を示す概念図である。
【図39】本実施形態に係る基地局装置eNBの構成を示す概略ブロック図である。
【図40】本実施形態に係る伝送レート決定部21fの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図41】本実施形態に係る相互情報量算出部254fの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の各実施形態では、データ伝送を行う送信装置を移動局装置(ユーザ装置;UE)とし、データを受信する受信装置を基地局装置(e−NodeB)とする。各実施形態では、移動局装置から基地局装置への伝送であるアップリンクについて説明するが、本発明はこれに限らず、基地局装置から移動局装置への伝送であるダウンリンクにも適用可能である。また、移動局装置又は基地局装置は、伝送を中継する中継局装置であっても良い。
【0030】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システムを示す概略図である。この図において、通信システムは、I個の移動局装置UEi(i=1、2、・・・I)及び基地局装置eNBを具備する。
基地局装置eNBは、少なくとも2以上の移動局装置UEi間で、一部を重複させて周波数帯域を割り当てる場合がある。つまり、基地局装置eNBは、移動局装置UE1〜UEIの少なくとも2個に対して、少なくとも一部の周波数帯域が重複した帯域割当(非直交アクセス方式)を許容する。なお、基地局装置eNBは、直交アクセス方式及び非直交アクセス方式の双方を用いても良い。
非直交アクセス方式の場合、基地局装置eNBは、各移動局装置UEiについて、割り当てた周波数帯域の重複率Rioverに基づいてMCS(Modulation and Coding Scheme)を決定する。なお、MCSとは、変調方式及び符号化率に対応付けられた情報である。ただし、本発明はこれに限らず、MCSは、トランスポートブロックサイズ(又は個数)のような情報ビット数と変調方式、帯域幅の組み合わせと対応付けられていても良い。移動局装置UEi各々は、基地局装置eNBが割り当てた周波数帯域及び基地局装置eNBが決定したMCSを用いて、信号を送信する。
【0031】
図2は、本実施形態に係る帯域割当の一例を示す概略図である。この図は、移動局装置UE1、UE2各々が、Clustered DFT−S−OFDMの伝送を行う場合の帯域割当を示す。Clustered DFT−S−OFDMとは、DFT−S−OFDMの信号を、複数のクラスタ(集合、グループ)に分割して伝送する伝送方式である。
【0032】
符号P21が示す割当は、複数の移動局装置UE1、2間で直交アクセス方式の伝送を行う場合の帯域割当を示す。この場合には、周波数領域で直交性が保たれており、移動局装置UE1、UE2間では、同一時刻に同一周波数帯域が割り当てられない。
符号P22が示す割当は、複数の移動局装置UE1、2間で非直交アクセス方式の伝送を行う場合の帯域割当を示す。この場合には、複数の移動局装置UE1、UE2間では、同一時刻に少なくとも一部の同一周波数帯域が割り当てられる。例えば、符号r221、r222、r223を付した周波数帯域は、UE1とUE2に対して、同一時刻に重複して割り当てられた帯域である。
【0033】
<MCS決定処理について>
図3は、本実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
(ステップS101)基地局装置eNBは、各移動局装置UEiの伝搬路特性情報Hiを推定する。また、基地局装置eNBは、推定した伝搬路特性より移動局装置UE1〜UEIの帯域割当を決定し、決定した帯域割当に基づいて、各移動局装置UEiにおける周波数帯域の重複率Riover(単に重複率Rioverともいう)を算出する。その後、ステップS102へ進む。
(ステップS102)基地局装置eNBは、ステップS101で算出した重複率Rioverに基づいて、移動局装置UEiにおけるIUI(ユーザ間干渉)の除去残差Δi,jIUIを決定する。その後、ステップS103へ進む。
【0034】
(ステップS103)基地局装置eNBは、ステップS101で決定した帯域割当、推定した伝搬路特性情報Hi、及び、ステップS102で決定した除去残差Δi,jIUIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバー(Hiの上に「−」を付したもの)を算出する。ただし、Hiバーは、ステップS101で推定した伝搬路特性から移動局装置UEiに割り当てた帯域の伝搬路特性のみを、帯域割当情報に基づいて基地局装置eNBが抽出したものである。その後、ステップS104へ進む。
(ステップS104)基地局装置eNBは、ステップS103で算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、各移動局装置UEiについての送信電力対雑音比(Es/N0;伝送品質)を算出する。その後、ステップS105へ進む。
(ステップS105)基地局装置eNBは、ステップS104で算出したEs/N0に基づいて、各移動局装置UEiについてのMCSを決定する。
【0035】
以下、基地局装置eNBの伝送レート決定部21(送信方式決定部;図8参照)が行うMCS決定処理について説明をする。
図4は、本実施形態に係る伝送レート決定部21の構成の一例を示す概略ブロック図である。この図において、伝送レート決定部21は、重複率算出部210、IUI残差情報記憶部211、IUI残差決定部212、等化後伝搬路算出部213、品質算出部214、MCS決定部215、及び送信パラメータ出力部216を含んで構成される。
【0036】
伝送レート決定部21には、後述する割当決定部205から帯域割当情報及び伝搬路特性情報Hiが入力される。伝搬路特性情報Hiは、移動局装置UEiが送信したSRS(Sounding Reference Signal)に基づいて、基地局装置eNBが推定した伝搬路特性の周波数応答である。なお、SRS系列は、移動局装置UEi及び基地局装置eNBで既知である。
【0037】
重複率算出部210は、割当決定部205から入力された帯域割当情報に基づいて、各移動局装置UEiの重複率Rioverを算出する。ここで、重複率Rioverは、(他の移動局装置UEj(j=1〜Iかつj≠i。以下同じ)と重複して割り当てられた移動局装置UEiの周波数帯域の帯域幅の合計値)/(移動局装置UEiに割り当てられた周波数帯域の帯域幅の合計値)である。なお、移動局装置UEiに割り当てられた周波数帯域が、他の移動局装置UEjに割り当てられた周波数帯域と重複しない場合には、重複率Rioverは「0」となる。重複率算出部210は、算出した重複率RioverをIUI残差決定部212へ出力する。
IUI残差情報記憶部211は、重複率Roverと除去残差ΔIUIが対応付けられたIUI残差テーブル(図5、図6)を記憶する。
【0038】
IUI残差決定部212は、重複率算出部210から入力された重複率Rioverに基づいて、各移動局装置UEiの除去残差Δi,jIUIを決定する。具体的には、IUI残差決定部212は、IUI残差情報記憶部211が記憶するIUI残差テーブルから、重複率算出部210から入力された重複率Rioverに対応付けられた除去残差ΔIUI(移動局装置UEiについてのΔIUIをΔi,jIUIで表す)を選択する。
なお、本実施形態では、IUI残差決定部212は、移動局装置UEiの重複率RioverによりIUI除去残差Δi,jIUIを決定しているが、本発明はこれに限らず、移動局装置UEiと重複した周波数帯域を使用する移動局装置UEjの重複率RjoverによりIUI除去残差Δi,jIUIを決定しても良い。その場合は、IUI除去残差Δi,jIUIは移動局装置UEj毎に異なる値に決定される場合もある。
IUI残差決定部212は、選択した除去残差Δi,jIUIを等化後伝搬路算出部213へ出力する。
【0039】
等化後伝搬路算出部213は、IUI残差決定部212から入力された除去残差Δi,jIUI、割当決定部205から入力された帯域割当情報及び伝搬路特性情報Hiに基づいて、次式(1)を用いて各移動局装置UEiの等化後伝搬路wiHiバーを算出する。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、wiは等化重みであり、干渉除去処理を伴う等化を行った場合における重みである。Hiバーは、NIFFT行NIFFT列のi番目の移動局装置UEiの割り当て帯域の周波数応答行列であり、対角成分に周波数応答の成分があり、非対角成分は「0」である。ここで、NIFFTはシステム帯域内のサブキャリア数である。Hi,jIUIバーは、移動局装置UEjと基地局装置eNBとの間の伝搬路特性の周波数成分のうち、移動局装置UEiと重複する周波数帯域の伝搬路特性のみを抽出した情報である。また、移動局装置UEiと重複しない周波数帯域については、Hi,jIUIバーは「0」である。
また、wiHiバーは、等化を行った場合における伝搬路特性情報に相当する。また、σ2は、加法性白色ガウス雑音の電力であり、Iは単位行列である。XHは、Xのエルミート行列を表す。なお、本実施形態における等化後伝搬路算出部213は、ΔiISIに「1」を代入する。等化後伝搬路算出部213は、算出した等化後伝搬路wiHiバーを、品質算出部214へ出力する。
【0042】
品質算出部214は、等化後伝搬路算出部213から入力された等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、次式(2)を用いてγiを算出する。また、品質算出部214は、次式(3)を用いてδiを算出する。なお、本実施形態における品質算出部214は、ΔiISIに「1」を代入する。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、δiは、時間レプリカの大きさについて、DFT(Discrete Fourier transformation)処理を行う変調シンボル単位で平均値を取った値である。ただし、伝送レートを決定時には受信処理で得られるレプリカの精度がわからないため、品質算出部214は、除去残差よりδiを算出する。
品質算出部214は、算出したγi及びδiに基づいて、次式(4)を用いて等価振幅利得μiを算出する。
【0045】
【数3】
【0046】
なお、品質算出部214は、レプリカが得られないとする場合には、δi=0となる。
品質算出部214は、算出した等価振幅利得μiに基づいて、次式(5)を用いて、移動局装置UEiのEs/N0を算出する。
【0047】
【数4】
【0048】
品質算出部214は、算出した移動局装置UEiのEs/N0を、MCS決定部215へ出力する。
MCS決定部215は、各移動局装置UEiについて、品質算出部214から入力されたEs/N0に基づいてMCSを決定する。具体的には、MCS決定部215は、Es/N0とMCSが対応付けられたMCSテーブルを予め記憶する。なお、Es/N0とMCSの対応関係は、例えば、AWGNチャネルでFER(Frame Error Rate)=0.1を満たすような関係である。ここで、Es/N0とMCSの対応関係は、FER=0.1を満たす関係としたが、本発明はこれに限らず、FERが他の値を満たす関係でも良いし、FER以外の関係でも良い。なお、Es/N0とMCSの対応関係は、Es/N0が高いほど、つまり、受信品質が高いほど、変調方式の多値数が高くなり、また、符号化率も高くなる関係である。
MCS決定部215は、記憶されているMCSテーブルを用いて、品質算出部214から入力された移動局装置UEiのEs/N0に対応付けられたMCSを選択することで、移動局装置UEiのMCSを決定する。MCS決定部215は、決定した各移動局装置UEiのMCSを、送信パラメータ出力部216へ出力する。
【0049】
送信パラメータ出力部216は、MCS決定部215から入力された各移動局装置UEiのMCS、及び、割当決定部205から入力された帯域割当情報を、後述する制御情報生成部206へ出力する。基地局装置eNBは、送信パラメータ出力部216が出力した情報を、制御情報として各移動局装置UEiへ通知する。
【0050】
図5は、本実施形態に係るIUI残差テーブルの一例を示す概略図である。図示するようにIUI残差テーブルは、重複率Rover、及び除去残差ΔIUIの各項目の列を有している。
この図において、「Om−1」以上で「Om」より低い重複率Roverに対して「dm」が対付けられている。例えば、「O1」より低い重複率Roverに対して「d1」が対応付けられ、「O1」以上で「O2」より低い重複率Roverに対して「d2」が対応付けられている。ここで、0≦Om−1<Om≦1、0≦dm−1<dm≦1を満たす。すなわち、重複率Roverと除去残差ΔIUIの関係は、重複率Roverが低いほど除去残差が小さくなり、重複率Roverが高いほど除去残差が大きくなる関係である。
【0051】
図6は、本実施形態に係るIUI残差テーブルの一例を示す別の概略図である。図示するようにIUI残差テーブルは、重複率Rover、及び除去残差ΔIUIの各項目の列を有している。
例えば、図6では、「0.3」より低い重複率Roverに対して「0.2」が対応付けられ、「0.3」以上で「0.5」より低い重複率Roverに対して「0.6」が対応付けられている。ただし、本発明は、この対応付けに限られない。
【0052】
<移動局装置UEiについて>
図7は、本実施形態に係る移動局装置UEiの構成の一例を示す概略ブロック図である。なお、図7では、移動局装置UE1の構成のみを表すが、移動局装置UE2〜UEI各々が持つ構成は移動局装置UE1と同じである。また、移動局装置UEiは、図7に示す構成の他、一般の移動局装置が有する構成を備える。また、図7では、移動局装置UEiは、アンテナ数を1本としているが、本発明はこれに限らず、複数のアンテナを送受信に用い、送信ダイバーシチやMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送を行っても良い。ここで、アンテナ数とは物理的なアンテナの数に限らず、アンテナポート数としても良いし、レイヤ数であっても良い。このアンテナポートは、複数のアンテナがあることを受信装置側で認識する必要がない構成であれば、アンテナポート数を1とされる。
【0053】
移動局装置UEiは、制御情報受信部109、符号部101、変調部102、DFT部103、周波数マッピング部104、IFFT(Inverse Fast Fourier transformation)部105、参照信号多重部106、送信処理部107、アンテナ108を含んで構成される。
【0054】
制御情報受信部109は、基地局装置eNBから通知された制御情報を受信する。この制御情報には、移動局装置UEiについての帯域割当情報やMCSに関する情報などが含まれる。制御情報受信部109は、受信した制御情報に含まれるMCSから変調方式及び符号化率を選択する。制御情報受信部109は、選択した符号化率を示す情報を符号部101に出力し、選択した変調方式を示す情報を変調部102に出力する。制御情報受信部109は、制御情報に含まれる帯域割当情報を周波数マッピング部104に出力する。
【0055】
符号部101は、制御情報受信部109から入力された情報が示す符号化率で、入力されたデータビットに対し、誤り訂正符号の符号化を施す。誤り訂正符号には、例えば、ターボ符号やLDPC(Low Density Parity Check)符号などが用いられる。符号部101で施す誤り訂正符号の種類は、送受信装置毎又は送受信毎に予め決められていても良いし、制御情報として通知されても良い。また、この訂正符号化の種類は、周波数帯域の重複率に基づいて決定されても良い。
符号部101は、制御情報受信部109から入力された符号化率を示す情報に基づいて、符号化を施したデータビットに対してパンクチャを行うことで、符号ビットを生成する。符号部101は、生成した符号ビットを変調部102へ出力する。
【0056】
変調部102は、符号部101から入力された符号ビットに対して、制御情報受信部109から入力された情報が示す変調方式で変調を施すことで、変調シンボルを生成する。変調方式には、例えば、QPSK(Quaternary Phase Shift Keying;四相位相偏移変調)、16QAM(16−ary Quadrature Amplitude Modulation;16直交振幅変調)や64QAMなどがある。変調部102は、生成した変調シンボルをDFT部103へ出力する。
DFT部103は、変調部102から入力された変調シンボルを離散フーリエ変換することで、時間領域から周波数領域の信号に変換し、変換後の信号を周波数マッピング部104へ出力する。
【0057】
周波数マッピング部104は、制御情報受信部109から入力された帯域割当情報に基づいて、DFT部103から入力された信号を配置する。例えば、非直交アクセス方式の伝送の場合、移動局装置UEiの周波数マッピング部104は、他の移動局装置UEjに割り当てられた周波数帯域と同じ周波数帯域に、信号を配置する。周波数マッピング部104は、配置した信号をIFFT部105へ出力する。
IFFT部105は、周波数マッピング部104から入力された信号を逆高速フーリエ変換することで、周波数領域から時間領域の信号(データ信号)に変換する。IFFT部105は、変換後のデータ信号を、参照信号多重部106へ出力する。
参照信号多重部106は、時間領域において、送受信機で既知である参照信号をIFFT部105から入力されたデータ信号に多重することで、送信フレームを構成する処理を行う。ただし、本発明はこれに限らず、移動局装置UEiは、周波数領域において、参照信号を多重することで、送信フレームを構成する処理を行っても良い。参照信号多重部106は、参照信号を多重した信号を送信処理部107へ出力する。
【0058】
送信処理部107は、参照信号多重部106から入力された信号にCP(Cyclic Prefix;サイクリックプレフィックス)を挿入する。送信処理部107は、CPを挿入した信号を、D/A(Digital/Analog;ディジタル/アナログ)変換でアナログの信号に変換し、変換後の信号を無線周波数にアップコンバートする。送信処理部107は、アップコンバートした信号を、PA(Power Amplifier)で増幅し、増幅後の信号をアンテナ108を介して送信する。
【0059】
<基地局装置eNBについて>
図8は、本実施形態に係る基地局装置eNBの構成の一例を示す概略ブロック図である。この図は、1本の受信アンテナを有する基地局装置eNBの構成例を示すが、本発明はこれに限らず、基地局装置eNBは、複数の受信アンテナを有していても良い。
【0060】
この図において、基地局装置eNBは、アンテナ201、受信処理部202、参照信号分離部203、伝搬路推定部204、割当決定部205、伝送レート決定部21、制御情報生成部206、制御情報送信部207、FFT(Fast Fourier transformation)部208、デマッピング部209、繰返等化部T1を含んで構成される。
繰返等化部T1は、残差算出部221−1〜221−I、ソフトキャンセラ部222−1〜222−I、等化部223−1〜223−I、IDFT(Inverse Discrete Fourier transformation)部224−1〜224−I、合成部225−1〜225−I、復調部226−1〜226−I、復号部227−1〜227−I、レプリカ生成部228−1〜228−I、DFT部229−1〜229−I、伝搬路乗算部230−1〜230−I、IUI抽出部231−1〜231−Iを含んで構成される。なお、繰返等化部T1の処理は、予め定められた処理単位(例えば、1回の伝送機会で伝送する信号単位やDFTを行う信号単位)の信号に対して、繰り返し行われる(繰り返し等化処理又はターボ等化処理とも称する)。また、繰返等化部T1の処理は、SICによる受信処理であっても良い。
【0061】
受信部202は、アンテナ201が受信した信号をベースバンド周波数にダウンコンバートし、ダウンコンバートした信号に対してA/D変換を行うことでディジタル信号を生成する。受信部202は、生成したディジタル信号からサイクリックプレフィックスを除去し、除去後の信号を参照信号分離部203へ出力する。
参照信号分離部203は、受信処理部202から入力された信号を、参照信号(SRS)とデータ信号に分離する。参照信号分離部203は、分離した参照信号を伝搬路推定部204へ出力し、分離したデータ信号をFFT部208へ出力する。
【0062】
伝搬路推定部204は、参照信号分離部203から入力された参照信号により、移動局装置UEi毎の伝搬路特性(周波数応答)を推定する。伝搬路推定部204は、推定した伝搬路特性を示す伝搬路特性情報Hiを割当決定部205及び等化部223−1〜223−Iへ出力する。また、伝搬路推定部204は、伝搬路特性情報Hiから帯域割当情報により抽出した伝搬路特性情報Hiバーを伝搬路乗算部230−iへ出力する(図示せず)。
割当決定部205は、伝搬路推定部204から入力された伝搬路特性情報H1〜Hiに基づいて、各移動局装置UE1〜UEIの帯域割当を決定する。ここで、割当決定部205は、非直交アクセス方式の帯域割当を許容する(図2参照)。割当決定部205は、決定した帯域割当を示す情報(帯域割当情報)、及び、伝搬路特性情報Hiを伝送レート決定部21へ出力する。
【0063】
伝送レート決定部21は、割当決定部205から入力された帯域割当情報及び伝搬路特性情報Hiに基づいて、上述のMCS決定処理を行うことで、各移動局装置UEiのMCSを決定する。伝送レート決定部21は、決定したMCSを示す情報と、割当決定部205から入力された帯域割当情報と、を制御情報生成部206へ出力する。
【0064】
制御情報生成部206は、伝送レート決定部21から入力された情報を、予め決められている制御情報のフォーマットに変換することで、制御情報を生成する。制御情報生成部206は、生成した制御情報を制御情報送信部207へ出力する。制御情報生成部206は、伝送レート決定部21から入力された情報を、デマッピング部209、残差算出部221−i、復調部226−i、復号部227−i、及びレプリカ生成部228−iへ出力する。
制御情報送信部207は、制御情報生成部206から入力された制御情報を、次回の伝送機会のために移動局装置UE1〜UEIへ通知する。これらの制御情報は、基地局装置eNB(例えば、制御情報生成部206)によって、次回の伝送機会まで保持され、次回の伝送機会の信号処理を行う際に用いられる。
【0065】
FFT部208は、参照信号分離部203から入力されたデータ信号を高速フーリエ変換することで、周波数領域のデータ信号に変換し、変換後の信号をデマッピング部209へ出力する。
デマッピング部209は、制御情報生成部206から入力された帯域割当情報に基づいて、各移動局装置UEiに割り当てた帯域の信号を抽出する。なお、この帯域割当情報は、基地局装置eNBから複数の移動局装置UE1〜Iに通知された制御情報に含まれる帯域割当情報と同等のものである。デマッピング部209は、移動局装置UEiに割り当てた帯域から抽出した信号を、ソフトキャンセラ部222−iへ出力する。
【0066】
残差算出部221−iは、MCSと平均所望信号値s(平均電力)が対応付けられた対応情報を予め記憶する。残差算出部221−iは、この対応情報に基づいて、制御情報生成部206から入力された情報が示す移動局装置UEi、UEjのMCSに対応する平均所望信号値si、sjを決定する。なお、平均所望信号値si、sjは、変調シンボル毎の成分を持つベクトルであり、DFT処理を行う単位の変調シンボル数(DFTシンボル数とも称する)の成分を持つ。
残差算出部221−iは、決定した平均所望信号値si、sj、後述するレプリカ生成部228−iから入力された時間レプリカ、及び、制御情報生成部206から入力された帯域割当情報に基づいて、シンボル間干渉(ISI:Inter Symbol Interference)の除去残差ΔiISI及びユーザ間干渉(IUI;Inter−User Interference)の除去残差Δi,jIUIを算出する。具体的には、残差算出部221−iは、次式(6)、(7)を用いて除去残差ΔiISI及びΔi,jIUIを算出する。ここで、残差算出部221−iは、式(7)を用いて除去残差Δi,jIUIを算出する。ただし、移動局装置UEiと重複した周波数帯域を割り当てられていない移動局装置UEjの除去残差Δi,jIUIは、「0」となる。
【0067】
【数5】
【0068】
ここで、信号siは移動局装置UEiの平均所望信号値であり、siハットは移動局装置UEiの変調シンボルのレプリカ(時間レプリカと称する)を表す。E[X]はXの上記処理単位での時間平均を示す。また、tr[X]は、行列Xの対角成分の和である。Ni、Njは、それぞれ、移動局装置UEi、UEjの信号についてのDFTシンボル数である。
また、信号sjIUIは、移動局装置UEiに対してユーザ間干渉を及ぼす移動局装置UEjの平均所望信号値である。また、信号sjIUIハットは、移動局装置UEjの時間レプリカを表す。
残差算出部221−iは、算出した移動局装置UEiについての除去残差ΔiISI及びΔi,jIUIを等化部223−iへ出力する。
【0069】
ソフトキャンセラ部222−iは、デマッピング部209から入力された移動局装置UEiの信号Ri(受信信号Riとも称する)を記憶する。ソフトキャンセラ部222−iは、後述する伝搬路乗算部230iから移動局装置UEiの周波数レプリカと、後述するIUI抽出部231−jから移動局装置UEjのIUI周波数レプリカと、を入力される。
ここで、移動局装置UEiの周波数レプリカとは、基地局装置eNBが移動局装置UEiから受信した信号に対応するレプリカである。また、移動局装置UEiのIUI周波数レプリカとは、基地局装置eNBが移動局装置UEjから受信した信号のうち、移動局装置UEiに対してユーザ間干渉を及ぼす信号のみを抽出した信号のレプリカである。なお、何れのレプリカも周波数領域のレプリカである。移動局装置UEiの周波数レプリカとIUI周波数レプリカは、それぞれ、次式(8)、(9)で表される。
【0070】
【数6】
【0071】
ここで、Siハット(Siの上に「^」を付したもの)は、移動局装置UEiの周波数レプリカである。SIUIjハットは、移動局装置UEjの周波数レプリカのうち、移動局装置UEiと重複する周波数帯域が割り当てられた移動局装置UEjの周波数レプリカであり、全く重複しない移動局装置UEjの場合は「0」となる。
【0072】
ソフトキャンセラ部222−iは、記憶した移動局装置UEiの受信信号Riから、移動局装置UEiの周波数レプリカとIUI周波数レプリカと、をキャンセル(差し引く、削除する、除去する)することで、信号Riチルダを生成する。信号Riチルダは、次式(10)により表される。
【0073】
【数7】
【0074】
ソフトキャンセラ部222−iは、生成した信号Riチルダを等化部223−iへ出力する。ただし、ターボ等化処理の繰り返し1回目では、ソフトキャンセラ部222−iは、伝搬路乗算部230−i及びIUI抽出部231−jからの入力がないため、デマッピング部209から入力された受信信号Riを、信号Riチルダとして等化部223−iへ出力する。
【0075】
等化部223−iは、伝搬路推定部204から入力された伝搬路特性情報、残差算出部221−iから入力された除去残差ΔiISI及びΔi,jIUI、及び加法性白色ガウス雑音の電力σ2に基づいて、MMSE規範の重みwiを乗算する。具体的には、等化部223−iは、次式(11)を用いて重みwiを乗算する。なお、この重みwiの計算式は、式(1)中の重みwiの計算式と同じである。
【0076】
【数8】
【0077】
等化部223−iは、ソフトキャンセラ部222−iから入力された信号Riチルダに対して、算出した重みwiを乗算することにより、等化処理を行う。等化部223−iは、等化処理後の信号をIDFT部224−iへ出力する。また、等化部223−iは、伝搬路特性及び算出した重みwiに基づいて、式(2)を用いてγiを算出し、算出したγiを合成部225−iへ出力する(図示せず)。
【0078】
IDFT部224−iは、等化部223−iから入力された信号を逆離散速フーリエ変換することで、周波数領域から時間領域の信号に変換する。IDFT部224−iは、変換後の信号を合成部225−iへ出力する。
合成部225−iは、レプリカ生成部228−iから入力された時間レプリカに基づいて、式(12)を用いてδiを算出する。
【0079】
【数9】
【0080】
ここで、siハット(k)は、ベクトルsiハットのk番目の成分である。つまり、δiは、時間レプリカの大きさについて、DFT処理を行う変調シンボル単位で平均値を取った値である。
合成部225−iは、算出したδi、等化部223−iから入力されたγi、レプリカ生成部228−iから入力された時間レプリカに基づいて、IDFT部224−iから入力された信号(FHwiRiチルダ)から次式(13)で表される信号ziを生成する。つまり、合成部225−iは、IDFT部224−iから入力された信号に対して、ソフトキャンセラ部222−iでキャンセルした所望信号を加算する。
【0081】
【数10】
【0082】
ここで、行列FHは、IDFT部224−iによるIDFT(逆離散高速フーリエ変換)を行列で表したものである。
合成部225−iは、算出した信号zを復調部226−iへ出力する。
【0083】
復調部226−iは、制御情報生成部206から入力された情報が示す変調方式であって、移動局装置UEiのMCSに対応する変調方式を用いて、合成部225−iから入力された信号ziを復調する。これにより、復調部226−iは、時間領域のLLR(Log Likelihood Ratio;対数尤度比)を得る。復調部226−iは、得られたLLRを、復号部227−iへ出力する。
【0084】
復号部227−iは、制御情報生成部206から入力された情報が示す符号化率であって、移動局装置UEiのMCSに対応する符号化率を用いて、復調部226−iから入力されたLLRに対し、誤り訂正復号の復号化を施す。これにより、復号部227−iは、データビットを得る。復号部227−iは、誤りがなくなったと判定した場合、又はターボ等化処理を予め定めた回数繰り返したと判定した場合には、得られたデータビットを出力する。一方、それ以外の場合には、得られたデータビットをレプリカ生成部228−iへ出力する。なお、復号部227−iは、誤りがなくなったか否かの判定を、例えば、巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)で誤りが検出されなくなったか否かを判定することで行う。
【0085】
レプリカ生成部228−iは、制御情報生成部206から入力された情報が示す符号化率及び変調方式であって、移動局装置UEiのMCSに対応する符号化率及び変調方式を用いて、復号部227−iから入力されたデータビットに対して符号化及び変調を施す。これにより、レプリカ生成部228−iは、移動局装置UEiの変調シンボル、つまり、時間レプリカを生成する。レプリカ生成部228−iは、生成した移動局装置UEiの時間レプリカを残差算出部228−1〜228−I、合成部225−i、及びDFT部229−iへ出力する。
DFT部229−iは、レプリカ生成部228−iから入力された移動局装置UEiの時間レプリカを離散フーリエ変換することで、時間領域から周波数領域の信号に変換し、変換後の信号を伝搬路乗算部230−iへ出力する。
【0086】
伝搬路乗算部230−iは、DFT部229−iから入力された信号に対して、伝搬路推定部204から入力された伝搬路特性情報が示す伝搬路特性を乗算する。これにより、伝搬路乗算部230−iは、移動局装置UEiの周波数レプリカを生成する。伝搬路乗算部230−iは、生成した周波数レプリカをソフトキャンセラ部222−i及びIUI抽出部231−iへ出力する。
IUI抽出部231−iは、制御情報生成部206から入力された帯域割当情報に基づいて、伝搬路乗算部230−iから入力された周波数レプリカから、移動局装置UEiと移動局装置UEjとで重複して割り当てられた周波数帯域の周波数レプリカ(移動局装置UEjのIUI周波数レプリカ)を抽出する。IUI抽出部231−iは、抽出した移動局装置UEjのIUI周波数レプリカを、ソフトキャンセラ部222−jへ出力する。
【0087】
このように、本実施形態によれば、基地局装置eNBでは、IUI残差決定部212は、重複率Rioverに基づいて、基地局装置eNBによって繰り返し等化を行った場合における除去残差ΔIUIを決定する。等化後伝搬路算出部213は、IUI残差決定部212が決定した除去残差ΔIUIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。品質算出部214は、等化後伝搬路算出部213が算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、Es/N0を算出する。MCS決定部215は、品質算出部214が算出したEs/N0を示す情報に基づいて、移動局装置UEiのMCSを決定する。
【0088】
つまり、伝送レート決定部21は、移動局装置UEiと少なくとも1つの移動局装置UEj(j≠i)とで重複して割り当てられた周波数帯域の重複率Rioverに基づいて、移動局装置UEiのMCSを決定する。すなわち、伝送レート決定部21は、移動局装置UEiに割り当てられた周波数帯域と、少なくとも1つの移動局装置UEjに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、移動局装置UEiのMCSを決定する。
これにより、通信システムは、非直交アクセス方式の場合でも、移動局装置UEjと重複する周波数帯域での影響を考慮したMCSを決定できる。例えば、通信システムは、MCSの決定時に必要以上にIUIを考慮して伝送レートの低いMCSとすることやIUIを考慮せずに所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。よって、通信システムは、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率もしくはスループットを向上できる。
【0089】
図9、図10は、スループット特性を表す概略図である。これらの図は、受信処理にターボ等化を用いる非直交アクセス方式の伝送におけるスループット特性を示す。これらの図において、横軸はEs/N0であり、縦軸はスループットである。図9、図10は、除去残差Δi,jIUIの値によって、スループットが変わることを表す。
【0090】
図9は、重複率Rioverの最大値を10%とした場合の図である。この図は、例えば、除去残差Δi,jIUIが「0.2」の場合は、除去残差Δi,jIUIが「0.4」や「1.0」の場合と比較して、スループットが高いことを表す。
図10は、重複率Rioverの最大値を30%とした場合の図である。この図は、例えば、除去残差Δi,jIUIが「0.4」の場合は、除去残差Δi,jIUIが「0.2」や「1.0」の場合と比較して、Es/N0が「6」以上でスループットが高いことを表す。
つまり、重複率Rioverに応じて、スループットが高い除去残差Δi,jIUIの値が異なる。よって、重複率Rioverによって除去残差Δi,jIUIを変えることで、スループット特性を改善できる。本実施形態では、基地局装置eNBは、重複率Rioverに基づいて除去残差ΔIUIを算出するので、スループット特性を改善できる。
【0091】
(変形例1)
以下、変形例1について説明をする。なお、変形例1に係る通信システムは図1と同じであり、移動局装置UEiの構成の一例は図7と同じである。
【0092】
<MCS決定処理について>
図11は、本変形例に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。変形例1に係るMCS決定処理(図11)と第1の実施形態に係るMCS決定処理(図3)とを比較すると、ステップS202、S203の処理が異なる。その他の処理は、図3と同じであるので、説明を省略する。
【0093】
(ステップS202)基地局装置eNBは、ステップS101で算出した重複率Rioverに基づいて、移動局装置UEiにおけるISI(シンボル間干渉)の除去残差ΔiISIを決定する。その後、ステップS203へ進む。
(ステップS203)基地局装置eNBは、ステップS101で決定した帯域割当、推定した伝搬路特性情報Hi、ステップS102で決定した除去残差Δi,jIUI、及び、ステップS202で決定した除去残差ΔiISIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。その後、ステップS104へ進む。
【0094】
<基地局装置eNBについて>
変形例1に係る基地局装置eNBは、第1の実施形態にかかる基地局装置eNB(図8)の伝送レート決定部21に代えて、伝送レート決定部21aを備えるものである。
図12は、変形例1に係る伝送レート決定部21aの構成の一例を示す概略ブロック図である。伝送レート決定部21a(図12)と伝送レート決定部21(図4)とを比較すると、ISI残差情報記憶部211a、ISI残差決定部212a、等価後伝搬路算出部213aが異なる。しかし、他の構成要素が持つ機能は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0095】
ISI残差情報記憶部211aは、重複率Roverと除去残差ΔISIが対応付けられたISI残差テーブル(図13)を記憶する。
ISI残差決定部212aは、各移動局装置UEiについて、重複率算出部210から入力された重複率Rioverに基づいて、除去残差ΔiISIを決定する。具体的には、ISI残差決定部212aは、ISI残差情報記憶部211aが記憶するISI残差テーブルから、重複率算出部210から入力された重複率Rioverに対応付けられた除去残差ΔISI(移動局装置UEiについてのΔISIをΔiISIで表す)を選択する。ISI残差決定部212aは、選択した除去残差ΔiISIを等化後伝搬路算出部213aへ出力する。
【0096】
等化後伝搬路算出部213aは、IUI残差決定部212から入力された除去残差ΔIUI、ISI残差決定部212aから入力された除去残差ΔISI、及び、割当決定部205から入力された帯域割当情報、伝搬路特性情報Hiに基づいて、式(1)を用いて、各移動局装置UEiについての等化後伝搬路wiHiバーを算出する。
等化後伝搬路算出部213aは、算出した等化後伝搬路wiHiバーを、品質算出部214へ出力する。
【0097】
図13は、本変形例に係るISI残差テーブルの一例を示す概略図である。図示するようにISI残差テーブルは、重複率Rover、及び除去残差ΔISIの各項目の列を有している。
この図において、「O’m−1」以上で「O’m」より低い重複率Roverに対して「d’m」が対付けられている。ここで、0≦O’m−1<O’m≦1、0≦d’m−1<d’m≦1を満たす。すなわち、重複率Roverと除去残差ΔISIの関係は、重複率Roverが低いほど除去残差が小さくなり、重複率Roverが高いほど除去残差が大きくなる関係である。例えば、図13では、「O’1」より低い重複率Roverに対して「d’1」が対応付けられ、「O’1」以上で「O’2」より低い重複率Roverに対して「d2」が対応付けられている。
【0098】
このように、本変形例によれば、基地局装置eNBでは、IUI残差決定部212及びISI残差決定部212aは、重複率Rioverに基づいて、基地局装置eNBによって繰り返し等化を行った場合における除去残差ΔIUI及びΔISIを決定する。等化後伝搬路算出部213aは、IUI残差決定部212が決定した除去残差ΔIUI及びISI残差決定部212aが決定した除去残差ΔISIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。品質算出部214は、等化後伝搬路算出部213が算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、Es/N0を算出する。MCS決定部215は、品質算出部214が算出したEs/N0を示す情報に基づいて、移動局装置UEiのMCSを決定する。
【0099】
つまり、伝送レート決定部21は、移動局装置UEiと少なくとも1つの移動局装置UEj(j≠i)とで重複して割り当てられた周波数帯域の重複率Rioverに基づいて、移動局装置UEiのMCSを決定する。
これにより、例えば、通信システムは、MCSの決定時に必要以上にIUI及びISIを考慮して伝送レートの低いMCSとすることやIUI及びISIを考慮せずに所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。よって、通信システムは、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率もしくはスループットを向上できる。
【0100】
なお、本変形例では、IUI及びISIを考慮する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、ISIのみを考慮しても良い。その場合、等化後伝搬路算出部213aは、ISI残差決定部212aが算出した除去残差ΔiISIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。ここで、等化後伝搬路算出部213aは、式(1)を用いるときに、例えば、Δi,jIUIに「1」を代入するが、本発明はこれに限られない。
【0101】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。なお、第2の実施形態に係る通信システムは図1と同じであり、移動局装置UEiの構成の一例は図7と同じである。
【0102】
<MCS決定処理について>
図14は、本発明の第2の実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【0103】
(ステップS301)基地局装置eNBは、各移動局装置UEiの伝搬路特性情報Hiを推定し、推定した伝搬路特性情報Hiより移動局装置UE1〜UEIの帯域割当を決定する。基地局装置eNBは、決定した帯域割当に基づいて、各移動局装置UEiにおける重複率Rioverを算出する。その後、ステップS302へ進む。
(ステップS302)基地局装置eNBは、ステップS301で決定した帯域割当に基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。その後、ステップS303へ進む。
【0104】
(ステップS303)基地局装置eNBは、ステップS302で算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、Es/N0を算出する。基地局装置eNBは、算出したEs/N0に基づいて、MCS(第1MCSと称する)を決定する。その後、ステップS304へ進む。
(ステップS304)基地局装置eNBは、ステップS301で算出した重複率Riover及びステップS303で算出したMCS基づいて、移動局装置UEiにおける除去残差Δi,jIUIを決定する。その後、ステップS305へ進む。
【0105】
(ステップS305)基地局装置eNBは、ステップS101で決定した帯域割当、推定した伝搬路特性情報Hi、及び、ステップS304で決定した除去残差Δi,jIUIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。その後、ステップS306へ進む。
(ステップS306)基地局装置eNBは、ステップS305で算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、各移動局装置UEiについてのEs/N0を算出する。その後、ステップS307へ進む。
(ステップS307)基地局装置eNBは、ステップS306で算出したEs/N0に基づいて、各移動局装置UEiのMCS(第2MCSと称する)を決定する。なお、基地局装置eNBは、移動局装置UEiの第2MCSを示す情報を含む制御情報を、移動局装置UEiへ通知する。基地局装置eNBと移動局装置UEiとは、第2MCSに対応する変調方式及び符号化率で通信を行う。
【0106】
<基地局装置eNBについて>
本実施形態に係る基地局装置eNBは、第1の実施形態にかかる基地局装置eNB(図8)の伝送レート決定部21に代えて、伝送レート決定部21bを備えるものである。
図15は、本実施形態に係る伝送レート決定部21bの構成の一例を示す概略ブロック図である。伝送レート決定部21b(図15)と伝送レート決定部21(図4)とを比較すると、第1等化後伝搬路算出部217b、第1品質算出部218b、第1MCS決定部219b、IUI残差情報記憶部211b、IUI残差決定部212bが異なる。しかし、他の構成要素が持つ機能は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0107】
第1等化後伝搬路算出部217bは、割当決定部205から入力された帯域割当情報及び等化後伝搬路wiHiバーに基づいて式(1)を用いて、各移動局装置UEiについての等化後伝搬路wiHiバーを算出する。ここで、第1等化後伝搬路算出部217bは、式(1)において、除去残差Δi,jIUI及びΔiISIに「1」を代入する。この代入は、ターボ等化により除去可能な干渉(ISIやIUI)が分からずに除去されないこと、つまり、繰り返し等化処理が行われずにレプリカがフィードバックされないことに相当する。すなわち、第1等化後伝搬路算出部217bは、基地局装置eNBによって繰り返し等化(干渉除去を伴う等化)以外の等化を行った場合における等化重みwiを算出する。
第1等化後伝搬路算出部217bは、算出した等化後伝搬路wiHiバーを、第1品質算出部218bへ出力する。
【0108】
第1品質算出部218bは、第1等化後伝搬路算出部217bから入力された等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、式(2)を用いてγiを算出し、式(3)を用いてδiを算出する。第1品質算出部218bは、算出したγi及びδiに基づいて、式(4)を用いて等価振幅利得μiを算出し、算出した等価振幅利得μiに基づいて、式(5)を用いて、移動局装置UEiのEs/N0を算出する。第1品質算出部218bは、算出した移動局装置UEiのEs/N0を、第1MCS決定部219bへ出力する。
第1MCS決定部219bは、各移動局装置UEiについて、第1品質算出部218bから入力されたEs/N0に基づいてMCS(第1MCS)を決定する。第1MCS決定部219bは、決定した各移動局装置UEiの第1MCSを、IUI残差決定部212bへ出力する。
【0109】
IUI残差情報記憶部211bは、重複率Roverと除去残差ΔIUIが対応付けられたIUI残差テーブル(図16)を、MCS毎に記憶する。つまり、重複率Roverと除去残差ΔIUIの対応は、MCSに応じて異なるものが含まれる。
【0110】
IUI残差決定部212bは、重複率算出部210から入力された重複率Riover及び第1MCS決定部219bから入力された第1MCSに基づいて、各移動局装置UEiの除去残差Δi,jIUIを決定する。
具体的には、IUI残差決定部212bは、IUI残差情報記憶部211bが記憶するIUI残差テーブルのうち、第1MCS決定部219bから入力された第1MCSのIUI残差テーブルを読み出す。IUI残差決定部212bは、読み出したIUI残差テーブルから、重複率算出部210から入力された重複率Rioverに対応付けられた除去残差Δi,jIUIを選択する。
IUI残差決定部212bは、決定した除去残差Δi,jIUIを等化後伝搬路算出部213へ出力する。この場合、MCS決定部215は、IUI残差決定部212bが決定した除去残差Δi,jIUIに基づいて、MCS(第2MCS)を決定することとなる。MCS決定部215は、決定した第2MCSを移動局装置UEiのMCSとして、送信パラメータ出力部216へ出力する。
【0111】
図16は、本実施形態に係るIUI残差テーブルの一例を示す概略図である。図示するようにIUI残差テーブルは、重複率Rover、及び除去残差ΔIUIの各項目の列を有している。
この図において、「Om−1」以上で「Om」より低い重複率Roverに対して「dm+mm」が対付けられている。例えば、「O1」より低い重複率Roverに対して「d1+m1」が対応付けられ、「O1」以上で「O2」より低い重複率Roverに対して「d2+m2」が対応付けられている。
【0112】
ここで、m1、m2、…、mMは、変調方式によるターボ等化の干渉除去能力の低下を反映するものであり、0以上の値である。例えば、mmは、多値数が高いほど又は符号化率が高くなるほど、大きな値となる。また、0≦Om−1<Om≦1、0≦dm−1+mm−1<dm+mm≦1を満たす。すなわち、同じMCSに対しては、重複率Roverと除去残差ΔIUIの関係は、重複率Roverが低いほど除去残差が小さくなり、重複率Roverが高いほど除去残差が大きくなる関係である。
【0113】
このように、本実施形態によれば、基地局装置eNBでは、第1品質算出部218bは、受信装置によって繰り返し等化以外の等化を行った場合における等化後伝搬路wiHiバーを算出する。第1MCS決定部219bは、第1品質算出部218bが算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、移動局装置UEiの第1MCSを決定する。IUI残差決定部212bは、重複率Riover及び第1MCS決定部219bが決定した第1MCSに基づいて、各移動局装置UEiの除去残差Δi,jIUIを決定する。等化後伝搬路算出部213は、IUI残差決定部212が決定した除去残差ΔIUIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。品質算出部214は、等化後伝搬路算出部213が算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、Es/N0を算出する。MCS決定部215は、品質算出部214が算出したEs/N0を示す情報に基づいて、移動局装置UEiの第2MCSを決定する。
【0114】
つまり、伝送レート決定部21bは、非直交アクセス方式による伝送時にターボ等化による信号検出を行う場合において、重複率Rioverと暫定のMCS(第1MCS)に応じてIUIの除去残差ΔIUIを決定し、決定された除去残差ΔIUIを用いてMCS(第2MCS)を決定する。
これにより、例えば、通信システムは、MCSの決定時に必要以上にIUIを考慮して伝送レートの低いMCSとすることやIUIを考慮せずに所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。さらに、通信システムは、変調方式によるターボ等化の干渉除去能力の劣化分もMCSの決定に反映できる。よって、通信システムは、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率もしくはスループットを向上できる。
【0115】
(変形例2)
以下、変形例2について説明をする。なお、変形例2に係る通信システムは図1と同じであり、移動局装置UEiの構成の一例は図7と同じである。
【0116】
<MCS決定処理について>
図17は、変形例2に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。変形例2に係るMCS決定処理(図17)と第2の実施形態に係るMCS決定処理(図13)とを比較すると、ステップS404、S405の処理が異なる。その他の処理は、図13と同じであるので、説明を省略する。
【0117】
(ステップS404)基地局装置eNBは、ステップS301で算出した重複率Riover及びステップS303で算出したMCS基づいて、移動局装置UEiにおける除去残差ΔiISIを決定する。その後、ステップS405へ進む。
(ステップS405)基地局装置eNBは、ステップS101で決定した帯域割当、推定した伝搬路特性情報Hi、ステップS304で決定した除去残差Δi,jIUI、及び、ステップS404で決定した除去残差ΔiISIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。その後、ステップS306へ進む。
【0118】
<基地局装置eNBについて>
変形例2に係る基地局装置eNBは、第1の実施形態にかかる基地局装置eNB(図8)の伝送レート決定部21に代えて、伝送レート決定部21cを備えるものである。
図18は、本変形例に係る伝送レート決定部21cの構成の一例を示す概略ブロック図である。伝送レート決定部21c(図18)と伝送レート決定部21b(図15)とを比較すると、ISI残差情報記憶部211c、ISI残差決定部212c、等価後伝搬路算出部213aが異なる。しかし、他の構成要素が持つ機能は第2の実施形態と同じであるので、第2の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0119】
ISI残差情報記憶部211cは、重複率Roverと除去残差ΔISIが対応付けられたISI残差テーブル(図19)を、MCS毎に記憶する。つまり、重複率Roverと除去残差ΔISIの対応は、MCSに応じて異なるものが含まれる。
【0120】
ISI残差決定部212cは、重複率算出部210から入力された重複率Riover及び第1MCS決定部219bから入力された情報が示すMCSに基づいて、各移動局装置UEiの除去残差ΔiISIを決定する。
具体的には、ISI残差決定部212cは、ISI残差情報記憶部211cが記憶するISI残差テーブルのうち、第1MCS決定部219bから入力された第1MCSのISI残差テーブルを読み出す。ISI残差決定部212cは、読み出したISI残差テーブルから、重複率算出部210から入力された重複率Rioverに対応付けられた除去残差ΔiISIを選択する。
ISI残差決定部212cは、決定した除去残差ΔiISIを等化後伝搬路算出部213aへ出力する。
【0121】
等化後伝搬路算出部213aは、IUI残差決定部212bから入力された除去残差ΔIUI、ISI残差決定部212cから入力された除去残差ΔISI、及び、割当決定部205から入力された帯域割当情報、伝搬路特性情報Hiに基づいて、式(1)を用いて、各移動局装置UEiについての等化後伝搬路wiHiバーを算出する。等化後伝搬路算出部213aは、算出した等化後伝搬路wiHiバーを、品質算出部214へ出力する。
この場合、MCS決定部215は、IUI残差決定部212bが決定した除去残差Δi,jIUI及びにISI残差決定部212cが決定した除去残差ΔiISI基づいて、MCS(第2MCS)を決定することとなる。MCS決定部215は、決定した第2MCSを移動局装置UEiのMCSとして、送信パラメータ出力部216へ出力する。
【0122】
図19は、本変形例に係るISI残差テーブルの一例を示す概略図である。図示するようにISI残差テーブルは、重複率Rover、及び除去残差ΔISIの各項目の列を有している。
この図において、「O’m−1」以上で「O’m」より低い重複率Roverに対して「d’m+m’m」が対付けられている。例えば、「O’1」より低い重複率Roverに対して「d’1+m’1」が対応付けられ、「O’1」以上で「O’2」より低い重複率Roverに対して「d’2+m’2」が対応付けられている。
【0123】
ここで、m’1、m’2、…、m’Mは、変調方式によるターボ等化の干渉除去能力の低下を反映するものであり、0以上の値である。例えば、m’mは、多値数及び符号化率の少なくとも一方が高くなるほど、大きな値となる。しかし、本発明はこれに限らず、m’mは、多値数及び符号化率の少なくとも一方が低くなるほど、低い値となっても良い。また、0≦O’m−1≦O’m≦1、0≦d’m−1+m’m−1<d’m+m’m≦1を満たす。すなわち、同じMCSに対しては、重複率Roverと除去残差ΔISIの関係は、重複率Roverが低いほど除去残差が小さくなり、重複率Roverが高いほど除去残差が大きくなる関係である。
【0124】
このように、本実施形態によれば、ISI残差決定部212cは、重複率Riover及び第1MCS決定部219cが決定した第1MCSに基づいて、各移動局装置UEiの除去残差ΔiISIを決定する。等化後伝搬路算出部213aは、IUI残差決定部212が決定した除去残差ΔIUI及びISI残差決定部212cが決定した除去残差ΔISIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。品質算出部214は、等化後伝搬路算出部213が算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、Es/N0を算出する。MCS決定部215は、品質算出部214が算出したEs/N0を示す情報に基づいて、移動局装置UEiのMCSを決定する。
【0125】
つまり、伝送レート決定部21cは、非直交アクセス方式による伝送時にターボ等化による信号検出を行う場合において、重複率Rioverと暫定のMCS(第1MCS)に応じて除去残差ΔIUI及びΔISI決定し、決定された除去残差ΔIUI及びΔISIを用いてMCSを決定する。
これにより、例えば、通信システムは、MCSの決定時に必要以上にIUI及びISIを考慮して伝送レートの低いMCSとすることやIUI及びISIを考慮せずに所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。よって、通信システムは、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率もしくはスループットを向上できる。
【0126】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について詳しく説明する。なお、第2の実施形態に係る通信システムは図1と同じである。
【0127】
<MCS決定処理について>
図20は、本発明の第3の実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【0128】
(ステップS501)基地局装置eNBは、MCS(第1MCSと称する)を決定する。
その後、ステップS502へ進む。
(ステップS502)基地局装置eNBは、各移動局装置UEiにおける重複率Rioverを算出する。その後、ステップS503へ進む。
(ステップS502)基地局装置eNB及び移動局装置UEiは、ステップS502で算出された重複率Rioverに基づいて、MCS(第2MCSと称する)を決定する。
【0129】
<移動局装置UEiについて>
図21は、本実施形態に係る移動局装置UEiの構成の一例を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る移動局装置UEi(図21)と第1の実施形態に係る移動局装置UEi(図7)とを比較すると、MCS決定部11dが異なる。しかし、他の構成要素が持つ機能は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
MCS決定部11dには、制御情報受信部109から、基地局装置eNBから通知された制御情報が入力される。MCS決定部11dは、この制御情報に含まれる自装置のMCS(第1MCSとも称する)を示す情報(第1MCS指標IiMCSとも称する)、及び、重複率情報に基づいて、自装置が用いるMCSを決定する。
MCS決定部11dは、決定したMCSに対応する符号化率を示す情報を符号部101へ出力し、決定したMCSに対応する変調方式を示す情報を変調部102へ出力する。符号部101はMCS決定部11dから入力された情報が示す符号化率でデータビットに符号化を施し、変調部102はMCS決定部11dから入力された情報が示す変調方式で符号ビットに変調を施す。
【0130】
図22は、本実施形態に係るMCS決定部11dの構成の一例を示す概略ブロック図である。この図において、MCS決定部11dは、第1MCS取得部111d、MCS変換情報記憶部112d、符号変調設定部113d、MCS値記憶部114d、重複率取得部115d、第2MCS決定部116dを含んで構成される。
【0131】
第1MCS取得部111dは、制御情報受信部109から入力された制御情報に含まれる第1MCS指標IiMCSを取得する。第1MCS取得部111dは、取得した第1MCS指標IiMCSを、符号変調設定部113dへ出力し、また、MCS値記憶部114dに記憶させる。
MCS変換情報記憶部112dは、第1MCS変換テーブル(図23)及び第2MCS変換テーブル(図24)を記憶する。
【0132】
符号変調設定部113dは、直交アクセス方式の場合、つまり、後述する重複率取得部115から入力された重複率情報が示す重複率Roverが「0」である場合には、MCS変換情報記憶部112dが記憶する第1MCS変換テーブルに基づいて、第1MCS取得部111dから入力された第1MCS指標IiMCSを符号化率及び変調方式に変換する。
符号変調設定部113dは、非直交アクセス方式の場合、つまり、後述する重複率取得部115から入力された重複率情報が示す重複率Roverが「0」でない場合には、MCS変換情報記憶部112dが記憶する第2MCS変換テーブルに基づいて、後述する第2MCS決定部116dから入力された第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)を符号化率及び変調方式に変換する。
符号変調設定部113dは、変換後の符号化率を示す情報を符号部101へ出力し、変換後の変調方式を示す情報を変調部102へ出力する。
【0133】
重複率取得部115dは、制御情報受信部109から入力された制御情報に含まれる重複率情報を取得する。重複率取得部115dは、取得した重複率情報を第2MCS決定部116d及び符号変調設定部113dへ出力する。
第2MCS決定部116dは、重複率取得部115dから入力された重複率情報に基づいて、第1MCS指標の修正値IiOVERを生成する。なお、第2MCS決定部116dは、修正値IiOVERと重複率情報との対応情報を予め記憶し、この対応情報に基づいて修正値IiOVERを生成する。第2MCS決定部116dは、MCS値記憶部114dが記憶する第1指標IiMCSを、算出した修正値IiOVERで修正することで、第2MCS指標を生成する。例えば、第2MCS決定部116dは、第1指標IiMCSから修正値IiOVERを差し引いた第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)を算出する。
第2MCS決定部116dは、生成した第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)を、符号変調設定部113dへ出力する。
【0134】
図23は、本実施形態に係る第1MCS変換テーブルの一例を示す概略図である。図示するように第1MCS変換テーブルは、MCS指標(Index)、変調多値数、TBS指標(Index)の各項目の列を有している。なお、変調多値数は変調方式と対応付けられ、TBS指標は符号化率と対応付けられている。
例えば、図23では、MCS指標「0」に変調多値数「2」及びTBS指標「0」が対応けられ、MCS指標「1」に変調多値数「2」及びTBS指標「1」が対応けられている。また、図23では、MCS指標「10」に変調多値数「4」及びTBS指標「9」が対応けられている。
【0135】
図23は、MCS指標が大きくなるほど、変調多値数が高くなり、また、TBS指標が大きくなることを表す。つまり、MCS指標は、変調多値数の増加関数及びTBS指標の少なくとも1つの増加関数で表される。
なお、符号変調設定部113dは、第1MCS指標IiMCSと第1MCS変換テーブルのMCS指標とを比較し、変調多値数及びTBS指標に変換することで、第1MCS指標IiMCSを符号化率及び変調方式に変換する。
【0136】
図24は、本実施形態に係る第2MCS変換テーブルの一例を示す概略図である。図示するように第2MCS変換テーブルは、MCS指標(Index)、変調多値数、TBS指標(Index)の各項目の列を有している。
図24は、MCS指標が大きくなるほど、変調多値数が高くなり、また、TBS指標が大きくなることを表す。つまり、MCS指標は、変調多値数の増加関数及びTBS指標の少なくとも1つの増加関数で表される。
なお、符号変調設定部113dは、第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)と第2MCS変換テーブルのMCS指標とを比較し、変調多値数及びTBS指標に変換することで、第1MCS指標(IiMCS−IiOVER)を符号化率及び変調方式に変換する。
【0137】
例えば、修正値IiOVERは、重複率Roverの増加関数である。この場合、第2MCS決定部116dは、重複率情報が示す重複率Roverが高いほど小さなMCS指標、つまり、低い多値数の変調方式及び符号化率に決定する。
なお、図23と図24では、第1MCS変換テーブルと第2MCS変換テーブルが同じテーブルである場合について説明したが、本発明はこれに限らず、第1MCS変換テーブルと第2MCS変換テーブルは、MCS指標、変調多値数、TBS指標のいずれかの関係が異なっていても良い。
【0138】
<基地局装置eNBについて>
図25は、本実施形態に係る基地局装置eNBの構成の一例を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る基地局装置eNB(図25)と第1の実施形態に係る基地局装置eNB(図8)とを比較すると、伝送レート決定部21d及びMCS設定部24dが異なる。しかし、他の構成要素が持つ機能は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0139】
伝送レート決定部21dは、割当決定部205から入力された帯域割当情報及び伝搬路特性情報Hiに基づいて、各移動局装置UEiの第1MCSを決定する。伝送レート決定部21dは、各移動局装置UEiについて、決定した第1MCSを示す第1MCS指標IiMCS、割当決定部205から入力された帯域割当情報、及び、重複率を示す重複率情報を制御情報生成部206へ出力する。
MCS設定部24dには、制御情報生成部206から入力された第1MCS指標IiMCS及び重複率情報に基づいて、第2MCS決定部116dと同様の処理を行うことで、各移動局装置UEiが用いる第2MCS(第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)が示すMCSと同じもの)を決定する。MCS設定部24dは、決定した移動局装置UEiのMCSに対応する変調方式を示す情報を復調部226−iへ出力し、決定した移動局装置UEiのMCSに対応する符号化率を示す情報を復号部227−iへ出力する。
復調部226−iはMCS設定部24dから入力された情報が示す変調方式に基づいて復調を施し、復号部227−iはMCS設定部24dから入力された情報が示す符号化率でデータビットに復号化を施す。
【0140】
図26は、本実施形態に係る伝送レート決定部21dの構成の一例を示す概略ブロック図である。この図において、伝送レート決定部21dは、重複率算出部210、重複率情報生成部210d、等化後伝搬路算出部213d、品質算出部214、MCS決定部215、及び送信パラメータ出力部216dを含んで構成される。なお、重複率算出部210、品質算出部214、MCS決定部215が持つ機能は、第1の実施形態と同じであるので、その説明は省略する。
【0141】
重複率情報生成部210dは、重複率算出部210から入力された重複率Rioverを示す重複率情報を生成する。重複率情報生成部210dは、生成した重複率情報を送信パラメータ出力部216dへ出力する。
等化後伝搬路算出部213dは、割当決定部205から入力された帯域割当情報及び等化後伝搬路wiHiバーに基づいて式(1)を用いて、各移動局装置UEiについての等化後伝搬路wiHiバーを算出する。ここで、等化後伝搬路算出部213dは、式(1)において、除去残差Δi,jIUI及びΔiISIに「1」を代入する。
送信パラメータ出力部216dは、重複率情報生成部210dから入力された帯域割当情報、MCS決定部215から入力された各移動局装置UEiのMCS(第1MCS)を示す情報(第1MCS指標IiMCS)、及び、割当決定部205から入力された帯域割当情報を、制御情報生成部206へ出力する。なお、この重複率情報の信号は、例えば、制御チャネルに配置され、移動局装置UEiに通知される。
【0142】
図27は、本実施形態に係るMCS設定部24dの構成の一例を示す概略ブロック図である。この図において、MCS設定部24dは、第1MCS取得部241d、MCS変換情報記憶部242d、符号変調設定部243d、MCS値記憶部244d、重複率取得部245d、第2MCS決定部246dを含んで構成される。
【0143】
第1MCS取得部241dは、各移動局装置UEiの第1MCS指標IiMCSを、制御情報生成部206から取得する。この第1MCS指標IiMCSは、基地局装置eNBから移動局装置UEiへ通知された制御情報に含まれる第1MCS指標IiMCSと同じものである。第1MCS取得部241dは、取得した第1MCS指標IiMCSを、符号変調設定部243dへ出力し、また、MCS値記憶部244dに記憶させる。
MCS変換情報記憶部242dは、第1MCS変換テーブル(図23)及び第2MCS変換テーブル(図24)を記憶する。
【0144】
符号変調設定部243dは、直交アクセス方式の場合、つまり、後述する重複率取得部245dから入力された重複率情報が示す重複率Rioverが「0」である場合には、MCS変換情報記憶部242dが記憶する第1MCS変換テーブルに基づいて、第1MCS取得部241dから入力された第1MCS指標IiMCSを符号化率及び変調方式に変換する。
符号変調設定部243dは、非直交アクセス方式の場合、つまり、後述する重複率取得部245dから入力された重複率情報が示す重複率Rioverが「0」でない場合には、MCS変換情報記憶部242dが記憶する第2MCS変換テーブルに基づいて、後述する第2MCS決定部246dから入力された第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)を符号化率及び変調方式に変換する。
符号変調設定部243dは、変換後の各移動局装置UE1〜UEIの符号化率を示す情報を、それぞれ復調部226−1〜226−I及びレプリカ生成部228−1〜228−Iへ出力する。符号変調設定部113dは、変換後の各移動局装置UE1〜UEIの変調方式を示す情報を、それぞれ復号部227−1〜227−I及びレプリカ生成部228−1〜228−Iへ出力する。
【0145】
重複率取得部245dは、制御情報生成部206から取得した重複率情報を第2MCS決定部246d及び符号変調設定部243dへ出力する。
第2MCS決定部246dは、重複率取得部245dから入力された重複率情報に基づいて、第1MCS指標の修正値IiOVERを生成する。なお、第2MCS決定部246dは、修正値IiOVERと重複率情報との対応情報を予め記憶し、この対応情報に基づいて修正値IiOVERを生成する。この対応情報は移動局装置UEiのものと同じである。
第2MCS決定部246dは、MCS値記憶部244dが記憶する第1指標IiMCSを、算出した修正値IiOVERで修正することで、第2MCS指標を生成する。例えば、第2MCS決定部246dは、第1指標IiMCSから修正値IiOVERを差し引いた第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)を算出する。
第2MCS決定部246dは、生成した第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)を、符号変調設定部243dへ出力する。
【0146】
このように、本実施形態では、基地局装置eNBの伝送レート決定部21dが第1MCSを決定し、重複率情報を含む制御情報を生成する。移動局装置UEiのMCS決定部11d及び基地局装置eNBのMCS設定部24dは、伝送レート決定部21dが決定した第1MCS及び重複率情報に基づいて、第2MCSを決定する。
これにより、例えば、通信システムは、MCSの決定時に必要以上にIUI及びISIを考慮して伝送レートの低いMCSとすることやIUI及びISIを考慮せずに所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。よって、通信システムは、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率もしくはスループットを向上できる。
【0147】
なお、本実施形態において、第1MCS取得部111d及び241dが第1MCS指標を取得するタイミングと、重複率取得部241dが重複率情報を取得するタイミングとは、同じであっても良いし、異なっていても良い。換言すれば、送信パラメータ出力部216や制御情報生成部206、制御情報送信部207、が行う第1MCS指標及び重複率情報に対する処理は、同じタイミングの処理であっても良いし、異なるタイミングの処理であっても良い。また、第2MCS決定部116d及び246dが第2MCSを決定するタイミングは、第1MCS取得部111d及び241dが第1MCS指標を取得した直後であっても良いし、また、第1MCS取得部111d及び241dが第1MCS指標を取得するタイミングとは異なっていても良い。
【0148】
図28は、本実施形態に係る制御情報の送信タイミングの一例を表す概略図である。この図において、縦軸は時間(t)である。また、破線の矢印は第1MCS指標を含む制御情報を表し、実線の矢印は重複率情報を含む制御情報を表す。ただし、制御情報は、第1MCS指標と重複率情報の両方が含まれても良い。図28は、重複率情報を含む制御情報は、第1MCS指標を含む制御情報よりも、柔軟なタイミングで、例えば短い間隔でも送信できることを表している。
【0149】
例えば、矢印I11、I12、I13、I14は、移動局装置eNBから移動局装置UE1へ、第1MCS指標を含む制御情報が送信されたことを示す。矢印I31、I32、I33は、移動局装置eNBから移動局装置UE2へ、第1MCS指標を含む制御情報が送信されたことを示す。矢印I21、I22、I23、I24は、移動局装置eNBから移動局装置UE1へ、重複率情報を含む制御情報が送信されたことを示す。矢印I41、I42は、移動局装置eNBから移動局装置UE2へ、重複率情報を含む制御情報が送信されたことを示す。
【0150】
例えば、図28では、移動局装置UE1と接続中の基地局装置eNBにおいて、移動局装置UE2の帯域割当を開始又は変更した場合、矢印I31、I21が表す送信が行われる。つまり、矢印I31は、基地局装置eNBから移動局装置UE2へ帯域割当情報と第1MCSを含む制御情報が送信されたことを示す。矢印I21は、移動局装置UE2の帯域割当の開始又は変更によって移動局装置UE1の重複率R1overが変わり、地局装置eNBから移動局装置UE1へこの重複率R1overを含む制御情報が送信されたことを示す。
図28の場合には、基地局装置eNBは、第1MCS指標と重複率情報を異なるタイミングで送信できるので、他の移動局装置UEj(j≠i)の帯域割当を開始又は変更した場合に、移動局装置UEiに重複率情報を柔軟なタイミングで通知できる。これにより、移動局装置UEiは、柔軟にMCSを変更でき、スループットや周波数利用効率、又は受信品質を向上できる。なお、重複率情報の送信タイミングは、予め定められた時間間隔であってもよく、例えば、タイマーを用いても良い。
【0151】
また、本実施形態では、基地局装置eNBが移動局装置UEiへ、重複率Rioverを示す重複率情報を通知する場合について説明した。なお、この重複率情報は、アクセス方式を示す情報(重複率Rioverが「0」である場合は「直交アクセス方式」、重複率Rioverが「0」でない場合は「非直交アクセス方式」)でもある。しかし、本発明はこれに限らず、基地局装置eNBが移動局装置UEiへ、アクセス方式を示す情報(例えば、「直交アクセス方式」の場合は「0」、「非直交アクセス方式」の場合は「0」以外の整数、例えば「1」)としても良い。
【0152】
また、本実施形態では、基地局装置eNBが重複率情報を送信する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、基地局装置eNBは、重複率情報に代えて第2MCS指標、又は修正値IiOVERのいずれかを送信しても良い。また、移動局装置UEiは、第2MCSを決定した場合、その第2MCSを示す第2MCS指標を基地局装置eNBへ通知しても良い。その場合、基地局装置eNBでは、MCS設定部24dが通知された第2MCS指標を用いて変調方式及び符号化率を変更しても良い。
【0153】
なお、上記第2、3の実施形態及び変形例2では、基地局装置eNBが除去残差Δi,jIUI及びΔiISIの少なくとも一方を「1」として、等化後伝搬路wiHiバーを算出して第1MCSを決定する場合について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、除去残差Δi,jIUI及びΔiISIの少なくとも一方は予め定められた値であればよく、「0」〜「1」の間の値である。例えば、基地局装置eNBは、除去残差Δi,jIUIを「0.6」としても良く、また、除去残差Δi,jIUIを「0.6」、ΔiISIを「0.8」としても良い。
また、上記第2、3の実施形態及び変形例2では、基地局装置eNBは、第1MCSを決定し、第1MCSに基づいて除去残差Δi,jIUI及び除去残差ΔiISIの少なくとも一方を決定する場合について説明をした。しかし、本発明はこれに限らず、基地局装置eNBは、変調方式又は符号化率の一方を決定し、変調方式又は符号化率の一方に基づいて除去残差Δi,jIUI及び除去残差ΔiISIの少なくとも一方を決定しても良い。
【0154】
また、上記各実施形態において、基地局装置eNBがMCSを決定する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、重複率Rioverに基づいて、変調方式又は符号化率を決定しても良い。つまり、基地局装置eNBは、重複率Rioverに基づいて、移動局装置UEiの変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。なお、基地局装置eNBは、重複率Rioverが高いほど多値数の低い変調方式に決定し、また、低い符号化率に決定する。また、基地局装置eNBは、重複率Rioverに基づいて、MCS、変調方式、又は符号化率の修正を行う為の修正値を決定しても良い。
【0155】
また、上記実施形態において、基地局装置eNBは、重複率に基づいて、伝送レート(例えば、TTI(Transmit Time Interval;送信間隔)で受信するトランスポートブロックビットの最大数や、トランスポートブロックの最大ビット数)を修正又は決定しても良いし、伝送レートに対応付けられた値(例えば、移動局カテゴリ)を修正又は決定しても良い。
【0156】
(第4の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第4の実施形態について詳しく説明する。なお、第4の実施形態に係る通信システムは図1と同じであり、移動局装置UEiの構成の一例は図7と同じである。
【0157】
<MCS決定処理について>
図29は、本発明の第4の実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。後述する伝送レート決定部21eが、このMCS決定処理を行う。本実施形態に係るMCS決定処理(図29)と第2の実施形態に係るMCS決定処理(図17)とを比較すると、ステップS302からS303は同様であり、ステップS302の前のステップ601の処理と、ステップS303に続くステップS604以降の処理が異なる。その他の処理(ステップS302〜S303)は、図17と同じであるので、説明を省略する。
【0158】
(ステップS601)基地局装置eNBは、各移動局装置UEiの伝搬路特性情報Hiを推定し、推定した伝搬路特性情報Hiより移動局装置UE1〜UEIの帯域割当を決定する。その後、ステップS302へ進む。
(ステップS604)基地局装置eNBは、ステップS303あるいは後述するステップS606で決定された全移動局のMCSと伝搬路推定値により、各移動局からの受信信号にターボ等化(繰り返し等化)を行った後の相互情報量を算出する。相互情報量の算出方法は、後述する。その後、ステップS605へ進む。
(ステップS605)基地局装置eNBは、ステップS604で算出された全移動局からの受信信号に対するターボ等化後の相互情報量が「1」であるか否かを判定する。全ての相互情報量が「1」の場合には、ステップS606へ進み、移動局の受信信号を正しく復調できないことを意味する相互情報量が「1」より小さい場合はステップS607へ進む。ここで、相互情報量が「1」より小さいかの判断は、一部の移動局の受信信号のみが相互情報量が「1」より小さい場合でもステップS607へ進むものとする。ただし、相互情報量の判定の閾値は本例に限らず、相互情報量が「1」より小さい移動局が一定数以下である場合にはステップS606へ進むものとしても良い。また、別の例として、相互情報量の閾値を「1」より小さい値としても良い。例えば、「0.95」より小さいか否かで判定行うなどである。
【0159】
(ステップS606)基地局装置eNBは、相互情報量により全移動局の受信信号が正しく検出できると判定した場合(S605−Yes)、全移動局のMCSを記憶し、特定の移動局UEkのMCSを「IkMCS+1」とする。これは、特定の移動局UEkのMCSを伝送レートの高いMCSへ変更することを意味する。ただし、MCSの伝送レートの上げ幅は上記に限らず、mを1以上の自然数として「IkMCS+m」としても良い。
このステップS606において、伝送レートを高いMCSに変更する特定の移動局UEkの決定方法としては、ステップS604で算出する相互情報量がより少ないターボ等化の繰り返し回数で「1」になる移動局や等化後のEs/N0が高い移動局を優先的にUEkとするなどがある。また、MCSを変更するUEkは1つの移動局である必要はなく、上記のUEkの決定方法で同一の優先順位の複数の移動局のMCSを伝送レートの高いMCSへ変更しても良い。その他の例として、上記のUEkの決定方法で優先順位が上位となる複数の移動局のMCSを伝送レートの高いMCSへ変更しても良い。UEkのMCSの変更を行った後、再度ステップS604に進み、更新されたMCSを用いた場合の相互情報量の算出を行う。
(ステップS607)基地局装置eNBは、相互情報量により全移動局の受信信号の少なくとも一部が正しく検出できないと判定した場合(S605−No)、ステップS606で記憶された全移動局の受信信号が正しく検出できると判定された全移動局のMCSを取得し、出力する。具体的には、全移動局からの受信信号に対するターボ等化後の相互情報量が「1」となる直近のMCSを取得する。
(ステップS608)基地局装置eNBは、ステップS607で取得した全移動局のMCSを移動局に通知するMCSに決定する。
【0160】
図30は、ステップS604における相互情報量の算出処理の一例を表すフローチャートである。なお、下記のステップS702〜S706およびS709は、各移動局について処理を行う。
(ステップS701)ターボ等化の繰り返し回数を示すSを「1」に初期化する。
(ステップS702)ISIの除去残差ΔiISIとIUIの除去残差Δi,jIUIに「1」を代入する。
(ステップS703)基地局装置eNBは、各移動局装置UEiの伝搬路特性情報Hiと除去残差であるΔiISIとΔi,jIUIと式(1)を用いて、等化後の伝搬路利得を算出する。ここで、算出された等化後の伝搬路利得には、ISIやIUIの干渉が考慮された値が得られる。
(ステップS704)ステップS703で算出した等化後の伝搬路利得より、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)を用いて等化後のEs/N0を算出する。さらに、図31に示す変調方式毎(BPSK、QPSK、16QAM、64QAM)の等化後のEs/N0と、等化器の出力相互情報量(mutual information)との関係を参照して、等化器の出力相互情報量を算出する。すなわち、まず、選択されているMCSが示す変調方式に基づき、Es/N0と、等化器の出力相互情報量との関係を示すグラフを選択する。次に、算出したEs/N0に対応する等化器の出力相互情報量を、該選択したグラフを参照して、求める。なお、この図31は、AWGN(Additive White Gaussian Noise)チャネルにおける復調後のLLRより算出した相互情報量を示したものである。このようにEs/N0から相互情報量を算出することは、図31の変調方式毎の特性を予めテーブル化、もしくは近似式を求めておくことで可能である。
【0161】
(ステップS705)ステップS303またはS606で決定したMCSが示す符号化率に基づき、復号器の入力相互情報量と出力相互情報量との関係であるEXIT(Extrinsic Information Transfer)特性を取得する。図32は、ターボ符号を用いた場合の符号化率毎(r=1/3、1/2、2/3、3/4)のEXIT特性を図32に示す。図32において、縦軸は入力相互情報量(mutual information(input))、横軸は出力相互情報量(mutual information(output))である。なお、EXIT特性は、符号化率だけでなく、符号化方法にも依存するが、本実施形態では、符号化方法としてターボ符号のみを用いているため、符号化率のみに基づきEXIT特性を選択している。複数の符号化方法の中から選択して用いるような形態の場合は、符号化方法と符号化率との組合せごとにEXIT特性を記憶しておき、符号化方法と符号化率との組合せに基づき、記憶している中からEXIT特性を選択するようにすればよい。これらのEXIT特性は、ステップS704と同様にテーブル化、もしくは近似式を求めておいて、予め記憶しておき、それらの中から選択することで取得する。
(ステップS706)ステップS705で取得したEXIT特性と、ステップS704にて算出した等化器の出力相互情報量とにより復号器の出力相互情報量を算出する。具体的には、等化器の出力相互情報量を、復号器の入力相互情報量としたときに、EXIT特性が示す出力相互情報量を、復号器の出力相互情報量とする。
(ステップS707)ターボ等化の繰り返し回数をインクリメントする。
(ステップS708)ターボ等化の繰り返し回数が上限のSMAXを超えているか否かの判定を行う。ターボ等化の繰り返し回数の上限まで処理を行った場合は、ステップS706で得られた各移動局の出力相互情報量が、各移動局におけるターボ等化を行った後の相互情報量に相当するため、出力する。一方、ターボ等化の繰り返し回数が上限となっていない場合には、ステップS709に進む。
【0162】
(ステップS709)ステップS706で得られた各移動局の相互情報量(復号器の出力相互情報量)より、各移動局の復号器出力のLLRを算出する。LLRの算出方法は、まず、各移動局の相互情報量Idec_out(復号器の出力相互情報量)より次式(14)の関数で、各移動局についてノイズの平均電力σ2を求める。
【0163】
【数11】
【0164】
そして、例えば、BPSK変調を用いる場合には、一貫性条件に基づいてノイズの平均電力σ2より次式(16)でLLRを算出する。
【0165】
【数12】
【0166】
ただし、nは平均0、分散σ2の加法性白色ガウス雑音である。また、sは送信信号であるが、基地局でMCSの決定時には受信する変調信号を得ることはできない。そのため、乱数により発生したビットに対して、ステップS703で用いた変調方式で変調を行った信号を式(16)のsとして用いる。
算出した全移動局のLLRにより、式(6)と式(7)を用いて、ISIの除去残差ΔiISIとIUIの除去残差Δi,jIUIを求める。ステップS703に進み、これらの除去残差により、再度等化後の伝搬路の算出を行う。
以上の処理を行うことで、全移動局の受信信号のターボ等化後の相互情報量を算出する。
【0167】
<基地局装置eNBについて>
本実施形態に係る基地局装置eNBは、第2の実施形態にかかる基地局装置eNB(図15)の伝送レート決定部21bに代えて、伝送レート決定部21eを備えるものである。
図33は、本実施形態に係る伝送レート決定部21eの構成の一例を示す概略ブロック図である。伝送レート決定部21eは、等化後伝搬路算出部217b、品質算出部218b、第1MCS決定部219b、相互情報量算出部254e、信号検出判定部255e、第2MCS決定部256e、送信パラメータ出力部216を含んで構成される。図33において、図15と同様の部分には同一の符号(216、217b〜219b)を付し、説明を省略する。伝送レート決定部21eは、割当決定部205より帯域割当情報及び伝搬路推定値が入力される。また、これらの情報は、等化後伝搬路算出部217b、相互情報量算出部254eへ入力される。また、帯域割当情報は送信パラメータ出力部216にも入力される。等化後伝搬路算出部217bから第1MCS決定部219bまでの信号処理は、第2の実施形態と同じであるので、説明を省略する。第1MCS決定部219bにより決定された全移動局UEのMCSは、相互情報量算出部254eと第2MCS決定部256eに入力される。
【0168】
相互情報量算出部254eは、帯域割当情報、伝搬路推定値、全移動局UEのMCS情報I1MCS、I2MCS、…、IIMCSが入力される。相互情報量算出部254eは、これらの情報に基づき、全移動局の受信信号のターボ等化後の相互情報量を算出する。すなわち、相互情報量算出部254eは、図29のステップS604の処理を行う。なお、MCS情報I1MCS、I2MCS、…、IIMCSは、繰り返し処理の初回は、第1MCS決定部219bから入力され、2回目以降は、第2MCS決定部256eから入力される。信号検出判定部255eは、相互情報量算出部254eより全移動局の受信信号のターボ等化後の相互情報量が入力され、全移動局からの受信信号が正しく検出できるかの判定を行う。信号の検出が正しくできるか否かは、相互情報量が「1」か「1」未満かで判定を行う。すなわち、信号検出判定部255eは、図29のステップS605の処理を行う。
【0169】
第2MCS決定部256eは、信号検出判定部255eより現在選択されている全移動局のMCSの組合せで信号が正しく検出できているかの情報が入力される。さらに、第2MCS決定部256eは、第1MCS決定部219bより全移動局のMCS情報I1MCS、I2MCS、…、IIMCSが入力される。第2MCS決定部256eは、現在選択されている全移動局のMCSの組合せで信号が正しく検出できると信号検出判定部255eが判定した場合には、少なくとも1つの移動局UEkのMCSを伝送レートの高いMCSに変更する。すなわち、第2MCS決定部256eは、図29のステップS606の処理を行う。さらに、第2MCS決定部256eは、変更したMCS情報I1MCS’、I2MCS’、…、IIMCS’を記憶し、相互情報量算出部254eへ入力する。その結果、変更したMCS情報I1MCS’、I2MCS’、…、IIMCS’に基づく相互情報量が相互情報量算出部254eにより算出され、算出された相互情報量により得られる信号検出が正しくできるか否かの判定結果が信号検出判定部255eから第2MCS決定部256eへ入力されるというように繰り返し処理が行われる。
【0170】
一方、第2MCS決定部256eは、現在選択されている全移動局のMCSの組合せで信号が正しく検出できないと信号検出判定部255eが判定した場合、第2MCS決定部256eが記憶しているMCS情報を送信パラメータ出力部216に出力する。ここで、第2MCS決定部256eが出力するMCS情報の一例は、全移動局の信号が正しく検出できる全移動局のMCSの組合せの中で、全移動局のスループットの合計が最大になるMCS情報とするなどである。すなわち、第2MCS決定部256eは、図29のステップS607、S608の処理も行う。送信パラメータ出力部216の処理は、第2の実施形態と同じである。
【0171】
図34は、本実施形態に係る相互情報量算出部254eの構成の一例を示す概略ブロック図である。相互情報量算出部254eは、MCS情報取得部260e、等化後伝搬路算出部261e、品質算出部262e、等化器出力相互情報量算出部263e、復号器出力相互情報量算出部264e、復号器EXIT特性取得部265e、除去残差算出部266eを含んで構成される。相互情報量算出部254eでは、等化後伝搬路算出部261eへ割当決定部205より帯域割当情報及び伝搬路推定値が入力され、MCS情報取得部260eへ第1MCS決定部219bもしくは第2MCS決定部256eのいずれかから全移動局のMCS情報が入力される。MCS情報取得部260eは、MCS情報より変調方式の情報を抽出し、等化器出力相互情報量算出部263eへ入力し、MCS情報より符号化率の情報を抽出し、復号器EXIT特性取得部265eへ入力する。
【0172】
等化後伝搬路算出部261eは、除去残差算出部266eより除去残差ΔiISI、Δi,jIUIが入力され、式(1)で等化後の伝搬路利得を算出する。ただし、除去残差算出部266eは、復号器出力相互情報量算出部264eからの入力がない場合、ΔiISI=Δi,jIUI=1を出力する。すなわち、等化後伝搬路算出部261eは、図30のステップS702、S703の処理を行う。品質算出部262eは、等化後の伝搬路利得より、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)で等化後のEs/N0を算出する。等化器出力相互情報量算出部263eは、図31の変調方式毎の等化後のEs/N0と等化器の出力相互情報量の関係より出力相互情報量を算出する。すなわち、品質算出部262eは、図30のステップ704の処理を行う。一方、復号器EXIT特性取得部265eは、入力された符号化率に相当する復号器のEXIT特性を取得し、復号器出力相互情報量算出部264eへ出力する。複数の誤り訂正符号化が可能な場合には、復号器EXIT特性取得部265eへ符号化方法も入力され、符号化方法と符号化率によって決定される復号器のEXIT特性を出力する。すなわち、復号器EXIT特性取得部265eは、図30のステップS705の処理を行う。
【0173】
復号器出力相互情報量算出部264eは、等化器出力相互情報量算出部263eで算出された等化器の出力相互情報量と、復号器EXIT特性取得部265eで取得されたEXIT特性が入力される。復号器出力相互情報量算出部264eは、EXIT特性を参照して、等化器の出力相互情報量を、復号器の入力相互情報量としたときの復号器の出力相互情報量を算出する。算出された復号の出力相互情報量は、ターボ等化の繰り返し回数が上限値に達していない場合、除去残差算出部266eへ入力される。復号の出力相互情報量は、ターボ等化の繰り返し回数が上限値に達した場合には、信号検出判定部255eへ入力される。すなわち、復号器出力相互情報算出部264eは、図30のステップS706からS708の処理を行う。
除去残差算出部266eは、式(14)、(15)でLLRを算出する。さらに、除去残差算出部266eは、算出したLLRより式(6)と式(7)を用いて、ISIの除去残差ΔiISIとIUIの除去残差Δi,jIUIを算出し、等化後伝搬路算出部261eへ入力する。すなわち、除去残差算出部266eは、図30のステップS709の処理を行う。
【0174】
図35、図36は、本実施形態によりMCSを決定した場合とIUIの除去残差Δi,jIUIを固定値(0.2、0.4、1.0)とした場合(図9、図10と同様)のスループット特性である。図35は最大重複率を10%とし、図36は最大重複率を30%とした場合である。誤り訂正符号はターボ符号を用い、MCSは符号化率を1/3、1/2、2/3、3/4、変調方式をQPSK、16QAMから選択した場合である。どちらの条件でも本実施形態におけるMCSの選択方法を用いることで、スループット(単位周波数帯域当りに誤りなく送信できる情報ビット数、すなわち後述する伝送レート×(1−誤り率))の改善効果があるかことがわかる。
【0175】
本実施形態により、MCSの決定時に過大にIUIを評価して伝送レート(単位周波数帯域当りに送信する情報ビット数)の低いMCSとすることや、過小にIUIを評価してビット誤り率などの所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。さらに、変調方式によるターボ等化の干渉除去能力の劣化分もMCSの決定に反映できる。よって、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率やスループットを向上できる。
【0176】
(第5の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第5の実施形態について詳しく説明する。なお、第5の実施形態に係る通信システムは図1と同じである。
【0177】
<移動局装置UEiについて>
図37は、本実施形態に係るUEiの構成の一例を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る移動局装置UEi(図37)と第1の実施形態に係る移動局装置UEi(図7)とを比較すると、DFT部103と周波数マッピング部104との間にクリッピング部810が追加されている点が異なる。しかし、他の構成要素(符号101〜109)が持つ機能は第1、2の実施形態と同じであるので、第1、2の実施形態と同じ機能の説明は省略する。クリッピング部810は、DFT部103より周波数領域の信号が入力され、この周波数領域の信号の一部をゼロに置き換えて出力する。これは、周波数領域の信号の一部(ゼロに置き換えた部分)を送信しないことを意味する。クリッピング部810から出力された信号は、周波数マッピング部104へ入力される。図38にクリッピング部810の入力信号と出力信号の一例を示す。P23は、クリッピング部810への入力信号であり、P24はクリッピング部810からの出力信号である。同図に示すように、クリッピング部810は一部の周波数領域の信号を欠落させる処理である。また、本実施形態では、複数の移動局UE1〜UEIが直交アクセス方式であるものとして説明するが、非直交アクセス方式にも適用可能である。
【0178】
<基地局装置eNBについて>
図39は、本実施形態に係る基地局装置eNBの構成を示す概略ブロック図である。基地局装置eNBは、アンテナ201、受信処理部202、参照信号分離部203、伝搬路推定部204、割当決定部205、制御情報生成部206、制御情報送信部207、FFT部208、デマッピング部209、残差算出部221−1〜221−I、ソフトキャンセラ部222−1〜222−I、等化部223−1〜223−I、IDFT部224−1〜224−I、合成部225−1〜225−I、復調部226−1〜226−I、復号部227−1〜227−I、レプリカ生成部228−1〜228−I、DFT部229−1〜229−I、伝搬路乗算部230−1〜230−I、伝送レート決定部21f、MCS設定部24d、クリッピング部820−1〜820−Iを含んで構成される。本実施形態に係る基地局装置eNBは、第1の実施形態にかかる基地局装置eNB(図8)の伝送レート決定部21に代えて、伝送レート決定部21fを備えるものである。さらに、DFT部229−1〜229−Iと伝搬路乗算部230−1〜230−Iとの間にクリッピング820−1〜820−Iが追加になっている。しかし、他の構成要素(符号201〜209、221−1〜230−1、・・・221−I〜230−I、24d)が持つ機能は第1、2の実施形態と同じであるので、第1、2の実施形態と同じ機能の説明は省略する。クリッピング部820−iは、DFT部229−iから入力された信号に対して、移動局装置UEiのクリッピング部と同様の周波数領域の信号の一部をゼロにする処理を施し、伝搬路乗算部230−iに入力する。
【0179】
図40は、本実施形態に係る伝送レート決定部21fの構成の一例を示す概略ブロック図である。伝送レート決定部21fは、等化後伝搬路算出部217b、品質算出部218b、第1MCS決定部219b、相互情報量算出部254f、信号検出判定部255e、第2MCS決定部256e、送信パラメータ出力部216を含んで構成される。本実施形態に係る伝送レート決定部21fは、第4の実施形態に係る伝送レート決定部21e(図33)と比較すると、相互情報量算出部254fが異なる。しかし、他の構成要素(符号217b〜219b、255e、256e、216)が持つ機能は第4の実施形態と同じであるので、第4の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0180】
図41は、本実施形態に係る相互情報量算出部254fの構成の一例を示す概略ブロック図である。相互情報量算出部254fは、MCS情報取得部260e、等化後伝搬路算出部261f、品質算出部262e、等化器出力相互情報量算出部263e、復号器出力相互情報量算出部264e、復号器EXIT特性取得部265e、除去残差算出部266fを含んで構成される。本実施形態に係る相互情報量算出部254fは、第4の実施形態に係る相互情報量算出部254e(図34)と比較すると、等化後伝搬路算出部261fと除去残差算出部266fが異なる。しかし、他の構成要素(符号260e、262e〜265e)が持つ機能は第4の実施形態と同じであるので、第4の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0181】
等化後伝搬路算出部261fは、除去残差算出部266fより除去残差ΔiISIが入力され、式(1)で等化後の伝搬路利得を算出する。ただし、Hi,jIUIバーは直交アクセス方式のため「0」であり、除去残差Δi,jIUIは除去残差算出部266fより入力されないが、「0」であるものとして処理する。また、除去残差算出部266fは、復号器出力相互情報量算出部264eからの入力がない場合、ΔiISI=1を出力する。除去残差算出部266fは、式(14)、(15)でLLRを算出する。さらに、除去残差算出部266fは、算出したLLRより式(6)と式(7)を用いて、ISIの除去残差ΔiISIを算出し、等化後伝搬路算出部261fへ入力する。
【0182】
本実施形態では、直交アクセス方式として説明したが、非直交アクセス方式にも適用可能であり、その場合は伝送レート決定部21fが第4の実施形態の伝送レート決定部21eと同じ構成となる。
【0183】
本実施形態により、MCSの決定時に必要以上にISIを考慮して伝送レートの低いMCSとすることやISIを考慮せずに所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。さらに、変調方式によるターボ等化の干渉除去能力の劣化分もMCSの決定に反映できる。よって、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率もしくはスループットを向上できる。
【0184】
なお、上記各実施形態において、重複率に代えて、重複帯域幅を用いても良い。ここで、移動局装置UEiにおける重複帯域幅とは、他の移動局装置UEj(i=1〜I、j≠i)と重複して割り当てられた周波数帯域の帯域幅の合計値である。この場合、基地局装置eNBは、重複帯域幅が広いいほど多値数の低い変調方式に決定し、また、低い符号化率に決定する。
また、重複率に代えて、非重複率や非重複率帯域幅を用いても良い。ここで、移動局装置UEiにおける非重複率とは、(他の移動局装置UEj(i=1〜I、j≠i)と重複しないで割り当てられた移動局装置UEiの周波数帯域の帯域幅の合計値)/(移動局装置UEiに割り当てられた周波数帯域の帯域幅の合計値)である。また、移動局装置UEiにおける非重複率帯域幅とは、他の移動局装置UEj(i=1〜I、j≠i)と重複しないで割り当てられた移動局装置UEiの周波数帯域の帯域幅の合計値である。これらの場合、基地局装置eNBは、非重複率や非重複率帯域幅が広いほど多値数の高い変調方式に決定し、また、高い符号化率に決定する。
上記の重複率、非重複率、重複帯域幅、非重複帯域幅は、予め定められた周波数帯域(例えば、システム帯域、バンド、要素キャリア)毎に算出されても良い。
【0185】
また、上記各実施形態において、周波数帯域幅は、例えば、Hz(ヘルツ)で表されても良いし、サブキャリア数やリソースブロックの個数(NRB)で表されても良い。
なお、上記において、基地局装置eNBがターボ等化処理を行う場合について説明したが、本発明はこれに限らず、基地局装置eNBは、SIC(Successive Interference Cancellation)処理を行っても良い。また例えば、基地局装置eNBは、繰り返し等化処理の種類(ターボ等化、SIC等)に応じて、異なる対応付けのIUI残差テーブル、ISI残差テーブルを用いて、除去残差Δi,jIUIや除去残差ΔiISI、MCSを決定しても良い。また、基地局装置eNBは、繰り返し等化処理の種類に応じて、重複率Rioverに対応する除去残差Δi,jIUIやΔiISIの値を修正しても良い。
【0186】
なお、上記実施形態において、伝送レート決定部21、21a、21b、21c、21d、21e、21f、MCS決定部11d、又はMCS設定部24dが決定した除去残差Δi,jIUIやΔiISIを、等化部223−1〜223−Iへ入力しても良い。等化部223−1〜223−Iは、例えばターボ等化処理の繰り返し1回目に、伝送レート決定部21、21aから入力された除去残差Δi,jIUIやΔiISIを用いて、重みwiを算出しても良い。また、等化部223−1〜223−Iは、例えばターボ等化処理の繰り返し1回目に、伝送レート決定部21、21a、21b、21c、21d、21e、21f、MCS決定部11d、又はMCS設定部24dが算出した重みwiを用いて、等化処理を行っても良い。
また、上記各実施形態において、基地局装置eNBは、移動局装置UEiとUEjの帯域が全く同一に割り当てられる場合は、上記のMCS決定処理以外の処理によってMCSを決定してもよい。つまり、基地局装置eNBは、例えば、マルチユーザMIMOの場合には他の処理でMCSを決定し、それ以外の場合には上記のMCS決定処理を行っても良い。また例えば、第2MCS決定部116d及び第2MCS決定部246は、マルチユーザMIMOの場合には他の処理で第2MCSを決定して、それ以外の場合には上記の処理を行っても良い。
【0187】
なお、上述した実施形態に係る基地局装置eNB、移動局装置UEiの一部、をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、基地局装置eNB又は移動局装置UEiに内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上述した実施形態に係る基地局装置eNB及び移動局装置UEiの一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現しても良い。基地局装置eNB及び移動局装置UEiの各機能ブロックは個別にプロセッサ化しても良いし、一部、または全部を集積してプロセッサ化しても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いても良い。
【0188】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0189】
eNB・・・基地局装置(受信装置)、UE1〜UEI・・・移動局装置(送信装置)、201・・・アンテナ、202・・・受信処理部、203・・・参照信号分離部、204・・・伝搬路推定部、205・・・割当決定部、206・・・制御情報生成部、207・・・制御情報送信部、208・・・FFT部、209・・・デマッピング部、T1・・・繰返等化部、221−1〜221−I・・・残差算出部、222−1〜222−I・・・ソフトキャンセラ部、223−1〜223−I・・・等化部、224−1〜224−I・・・IDFT部、225−1〜225−I・・・合成部、226−1〜226−I・・・復調部、227−1〜227−I・・・復号部、228−1〜228−I・・・レプリカ生成部、229−1〜229−I・・・DFT部、230−1〜230−I・・・伝搬路乗算部、231−1〜231−I・・・IUI抽出部、24d・・・MCS設定部、21、21a、21b、21c、21d、21e、21f・・・伝送レート決定部(送信方式決定部)、210、210d・・・重複率算出部、211、211b・・・IUI残差情報記憶部、212、212b・・・IUI残差決定部、213、213a、213d・・・等化後伝搬路算出部、214・・・品質算出部、215・・・MCS決定部、216、216d・・・送信パラメータ出力部、211a、211c・・・ISI残差情報記憶部、212a、212c・・・ISI残差決定部、217b・・・第1等化後伝搬路算出部、218b・・・第1品質算出部、219b・・・第1MCS決定部、241d・・・第1MCS取得部、242d・・・MCS変換情報記憶部、243d・・・符号変調設定部、244d・・・MCS値記憶部、245d・・・重複率取得部、246d・・・第2MCS決定部、254e、254f・・・相互情報量算出部、255e・・・信号検出判定部、256e・・・第2MCS決定部、260e・・・MCS情報取得部、261e、261f・・・等化後伝搬路算出部、262e・・・品質算出部、263e・・・等化器出力相互情報量算出部、264e・・・復号器出力相互情報量算出部、265e・・・復号器EXIT特性取得部、266e、266f・・・除去残差算出部、810・・・クリッピング部、820−1〜820−I・・・クリッピング部、109・・・制御情報受信部、101・・・符号部、102・・・変調部、103・・・DFT部、104・・・周波数マッピング部、105・・・IFFT部、106・・・参照信号多重部、107・・・送信処理部、108・・・アンテナ、11d・・・MCS決定部、111d・・・第1MCS取得部、112d・・・MCS変換情報記憶部、113d・・・符号変調設定部、114d・・・MCS値記憶部、115d・・・重複率取得部、116d・・・第2MCS決定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信方式決定装置、基地局装置、プロセッサ、送信方式決定方法、送信方式決定プログラム、及び送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第3.9世代の携帯電話の無線通信システムであるLTE(Long Term Evolution)システムの標準化が完了し、現在は第4世代の無線通信システムの1つとして、LTEシステムをより発展させたLTE−A(LTE−Advanced、IMT−Aなどとも称する。)システムの標準化が行われている。
【0003】
LTE−Aシステムのアップリンク(移動局から基地局への伝送)では、シングルキャリアスペクトルを分割したクラスタを離散的に割り当てるClustered DFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform Spread Orthogonal Frequency Division Multiplexing)がアクセス方式として採用されている(非特許文献1参照)。また、LTE−Aシステムのアップリンクでは、LTEシステムとの後方互換性を保つために、SC−FDMA(Single Carrier−Frequency Division Multiplexing Access)も採用されている。一方、LTEやLTE−Aのダウンリンク(基地局から移動局への伝送)ではOFDMがアクセス方式として採用されている。
このように、LTE−Aシステムでは、直交アクセス方式が検討されている。
【0004】
一方、セルラーシステムにおける無線通信では、リンクアダプテーションが一般的に用いられる。リンクアダプテーションは、移動局装置の受信レベルに応じて、変調方式と符号化率から構成されるMCS(Modulation and Coding Scheme)を制御する手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/022709号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS 36.212 V10.1.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、マルチユーザ環境下においても高い周波数選択ダイバーシチ効果を獲得するため、周波数領域での直交性を崩す非直交アクセス方式が検討されている(特許文献1参照)。この方式では、ユーザ装置間で周波数領域での直交性を崩すと干渉が生じるが、受信処理でターボ等化やSIC(Successive Interference Cancellation)のような干渉を除去する受信処理を行う。そのため、非直交アクセス方式では、干渉を受信処理で完全に除去できる場合は、最大限に伝搬路利得を活用することができ、周波数利用効率の向上が見込める。
しかしながら、非直交アクセス方式において、従来技術に係るリンクアダプテーションを用いると、スループットや周波数利用効率の低下を招く場合があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、スループットや周波数利用効率を向上できる送信方式決定装置、基地局装置、プロセッサ、送信方式決定方法、送信方式決定プログラム、及び送信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する送信方式決定部を備える送信方式決定装置である。
【0010】
(2)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、第1の送信装置と少なくとも1つの第2の送信装置とで重複して割り当てられた重複周波数帯域に関する重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【0011】
(3)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、前記重複周波数帯域の大きさを示す重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【0012】
(4)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域の大きさと前記重複周波数帯域との比率を示す重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【0013】
(5)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、前記重複周波数帯域の有無を示す重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【0014】
(6)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、前記重複情報に基づいて、受信装置による等化を行った場合における伝送品質を算出し、算出した伝送品質を示す情報に基づいて前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【0015】
(7)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、前記重複情報に基づいて、受信装置によって繰り返し等化を行った場合における伝搬路情報を算出し、算出した伝搬路情報に基づいて前記伝送品質を算出する。
【0016】
(8)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、前記重複情報に基づいて、受信装置によって繰り返し等化を行った場合における干渉除去残差を算出し、算出した干渉除去残差に基づいて前記伝搬路情報を算出する。
【0017】
(9)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、受信装置によって繰り返し等化以外の等化を行った場合における伝搬路情報を算出し、算出した伝搬路情報に基づいて前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定し、決定した変調方式及び符号化率の少なくとも一方と前記重複情報に基づいて受信装置による等化を行った場合における伝搬路情報を算出する。
【0018】
(10)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記干渉残差決定部は、ユーザ間干渉の干渉除去残差を算出する。
【0019】
(11)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記干渉残差決定部は、シンボル間干渉の干渉除去残差を算出する。
【0020】
(12)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、前記送信方式決定部は、前記第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、前記第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域とに基づき算出した相互情報量であって、受信装置によって繰り返し等化を行った後の相互情報量に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。
【0021】
(13)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置を備える基地局装置である。
【0022】
(14)また、本発明の一態様は、上記の送信方式決定装置において、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定するプロセッサである。
【0023】
(15)また、本発明の一態様は、送信方式決定部が、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する送信方式決定過程を有する送信方式決定方法である。
【0024】
(16)また、本発明の一態様は、コンピュータに、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する手順を実行させるための送信方式決定プログラムである。
【0025】
(17)また、本発明の一態様は、第1の送信装置と少なくとも1つの第2の送信装置とで重複して割り当てられた重複周波数帯域に関する重複情報に応じた変調方式で、変調を行う変調部を備える送信装置である。
【0026】
(18)また、本発明の一態様は、第1の送信装置と少なくとも1つの第2の送信装置とで重複して割り当てられた重複周波数帯域に関する重複情報に応じた符号化率で、符号を行う符号部を備える送信装置である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、スループットや周波数利用効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る通信システムを示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る帯域割当の一例を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る伝送レート決定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図5】本実施形態に係るIUI残差テーブルの一例を示す概略図である。
【図6】本実施形態に係るIUI残差テーブルの一例を示す別の概略図である。
【図7】本実施形態に係る移動局装置の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図8】本実施形態に係る基地局装置の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図9】スループット特性を表す概略図である。
【図10】スループット特性を表す別の概略図である。
【図11】変形例1に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図12】本変形例に係る伝送レート決定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図13】本変形例に係るISI残差テーブルの一例を示す概略図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図15】本実施形態に係る伝送レート決定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図16】本実施形態に係るIUI残差テーブルの一例を示す概略図である。
【図17】変形例2に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図18】本変形例に係る伝送レート決定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図19】本変形例に係るISI残差テーブルの一例を示す概略図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図21】本実施形態に係る移動局装置の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図22】本実施形態に係るMCS決定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図23】本実施形態に係る第1MCS変換テーブルの一例を示す概略図である。
【図24】本実施形態に係る第2MCS変換テーブルの一例を示す概略図である。
【図25】本実施形態に係る基地局装置の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図26】本実施形態に係る伝送レート決定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図27】本実施形態に係るMCS設定部の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図28】本実施形態に係る送信タイミングの一例を示す概略ブロック図である。
【図29】本発明の第4の実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【図30】本実施形態に係るステップS604における相互情報量の算出処理の一例を表すフローチャートである。
【図31】本実施形態に係る等化後のEs/N0と、等化器の出力相互情報量との関係を示すグラフである。
【図32】本実施形態に係る符号器の入力相互情報量と出力相互情報量との関係を示すグラフである。
【図33】本実施形態に係る伝送レート決定部21eの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図34】本実施形態に係る相互情報量算出部254eの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図35】本実施形態に係るスループット特性と、IUIの除去残差Δi,jIUIを固定値とした場合のスループット特性とを比較するグラフ(最大重複率10%)である。
【図36】本実施形態に係るスループット特性と、IUIの除去残差Δi,jIUIを固定値とした場合のスループット特性とを比較するグラフ(最大重複率30%)である。
【図37】本発明の第5の実施形態に係るUEiの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図38】本実施形態に係るクリッピング部810の入力信号と出力信号の一例を示す概念図である。
【図39】本実施形態に係る基地局装置eNBの構成を示す概略ブロック図である。
【図40】本実施形態に係る伝送レート決定部21fの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図41】本実施形態に係る相互情報量算出部254fの構成の一例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の各実施形態では、データ伝送を行う送信装置を移動局装置(ユーザ装置;UE)とし、データを受信する受信装置を基地局装置(e−NodeB)とする。各実施形態では、移動局装置から基地局装置への伝送であるアップリンクについて説明するが、本発明はこれに限らず、基地局装置から移動局装置への伝送であるダウンリンクにも適用可能である。また、移動局装置又は基地局装置は、伝送を中継する中継局装置であっても良い。
【0030】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システムを示す概略図である。この図において、通信システムは、I個の移動局装置UEi(i=1、2、・・・I)及び基地局装置eNBを具備する。
基地局装置eNBは、少なくとも2以上の移動局装置UEi間で、一部を重複させて周波数帯域を割り当てる場合がある。つまり、基地局装置eNBは、移動局装置UE1〜UEIの少なくとも2個に対して、少なくとも一部の周波数帯域が重複した帯域割当(非直交アクセス方式)を許容する。なお、基地局装置eNBは、直交アクセス方式及び非直交アクセス方式の双方を用いても良い。
非直交アクセス方式の場合、基地局装置eNBは、各移動局装置UEiについて、割り当てた周波数帯域の重複率Rioverに基づいてMCS(Modulation and Coding Scheme)を決定する。なお、MCSとは、変調方式及び符号化率に対応付けられた情報である。ただし、本発明はこれに限らず、MCSは、トランスポートブロックサイズ(又は個数)のような情報ビット数と変調方式、帯域幅の組み合わせと対応付けられていても良い。移動局装置UEi各々は、基地局装置eNBが割り当てた周波数帯域及び基地局装置eNBが決定したMCSを用いて、信号を送信する。
【0031】
図2は、本実施形態に係る帯域割当の一例を示す概略図である。この図は、移動局装置UE1、UE2各々が、Clustered DFT−S−OFDMの伝送を行う場合の帯域割当を示す。Clustered DFT−S−OFDMとは、DFT−S−OFDMの信号を、複数のクラスタ(集合、グループ)に分割して伝送する伝送方式である。
【0032】
符号P21が示す割当は、複数の移動局装置UE1、2間で直交アクセス方式の伝送を行う場合の帯域割当を示す。この場合には、周波数領域で直交性が保たれており、移動局装置UE1、UE2間では、同一時刻に同一周波数帯域が割り当てられない。
符号P22が示す割当は、複数の移動局装置UE1、2間で非直交アクセス方式の伝送を行う場合の帯域割当を示す。この場合には、複数の移動局装置UE1、UE2間では、同一時刻に少なくとも一部の同一周波数帯域が割り当てられる。例えば、符号r221、r222、r223を付した周波数帯域は、UE1とUE2に対して、同一時刻に重複して割り当てられた帯域である。
【0033】
<MCS決定処理について>
図3は、本実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
(ステップS101)基地局装置eNBは、各移動局装置UEiの伝搬路特性情報Hiを推定する。また、基地局装置eNBは、推定した伝搬路特性より移動局装置UE1〜UEIの帯域割当を決定し、決定した帯域割当に基づいて、各移動局装置UEiにおける周波数帯域の重複率Riover(単に重複率Rioverともいう)を算出する。その後、ステップS102へ進む。
(ステップS102)基地局装置eNBは、ステップS101で算出した重複率Rioverに基づいて、移動局装置UEiにおけるIUI(ユーザ間干渉)の除去残差Δi,jIUIを決定する。その後、ステップS103へ進む。
【0034】
(ステップS103)基地局装置eNBは、ステップS101で決定した帯域割当、推定した伝搬路特性情報Hi、及び、ステップS102で決定した除去残差Δi,jIUIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバー(Hiの上に「−」を付したもの)を算出する。ただし、Hiバーは、ステップS101で推定した伝搬路特性から移動局装置UEiに割り当てた帯域の伝搬路特性のみを、帯域割当情報に基づいて基地局装置eNBが抽出したものである。その後、ステップS104へ進む。
(ステップS104)基地局装置eNBは、ステップS103で算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、各移動局装置UEiについての送信電力対雑音比(Es/N0;伝送品質)を算出する。その後、ステップS105へ進む。
(ステップS105)基地局装置eNBは、ステップS104で算出したEs/N0に基づいて、各移動局装置UEiについてのMCSを決定する。
【0035】
以下、基地局装置eNBの伝送レート決定部21(送信方式決定部;図8参照)が行うMCS決定処理について説明をする。
図4は、本実施形態に係る伝送レート決定部21の構成の一例を示す概略ブロック図である。この図において、伝送レート決定部21は、重複率算出部210、IUI残差情報記憶部211、IUI残差決定部212、等化後伝搬路算出部213、品質算出部214、MCS決定部215、及び送信パラメータ出力部216を含んで構成される。
【0036】
伝送レート決定部21には、後述する割当決定部205から帯域割当情報及び伝搬路特性情報Hiが入力される。伝搬路特性情報Hiは、移動局装置UEiが送信したSRS(Sounding Reference Signal)に基づいて、基地局装置eNBが推定した伝搬路特性の周波数応答である。なお、SRS系列は、移動局装置UEi及び基地局装置eNBで既知である。
【0037】
重複率算出部210は、割当決定部205から入力された帯域割当情報に基づいて、各移動局装置UEiの重複率Rioverを算出する。ここで、重複率Rioverは、(他の移動局装置UEj(j=1〜Iかつj≠i。以下同じ)と重複して割り当てられた移動局装置UEiの周波数帯域の帯域幅の合計値)/(移動局装置UEiに割り当てられた周波数帯域の帯域幅の合計値)である。なお、移動局装置UEiに割り当てられた周波数帯域が、他の移動局装置UEjに割り当てられた周波数帯域と重複しない場合には、重複率Rioverは「0」となる。重複率算出部210は、算出した重複率RioverをIUI残差決定部212へ出力する。
IUI残差情報記憶部211は、重複率Roverと除去残差ΔIUIが対応付けられたIUI残差テーブル(図5、図6)を記憶する。
【0038】
IUI残差決定部212は、重複率算出部210から入力された重複率Rioverに基づいて、各移動局装置UEiの除去残差Δi,jIUIを決定する。具体的には、IUI残差決定部212は、IUI残差情報記憶部211が記憶するIUI残差テーブルから、重複率算出部210から入力された重複率Rioverに対応付けられた除去残差ΔIUI(移動局装置UEiについてのΔIUIをΔi,jIUIで表す)を選択する。
なお、本実施形態では、IUI残差決定部212は、移動局装置UEiの重複率RioverによりIUI除去残差Δi,jIUIを決定しているが、本発明はこれに限らず、移動局装置UEiと重複した周波数帯域を使用する移動局装置UEjの重複率RjoverによりIUI除去残差Δi,jIUIを決定しても良い。その場合は、IUI除去残差Δi,jIUIは移動局装置UEj毎に異なる値に決定される場合もある。
IUI残差決定部212は、選択した除去残差Δi,jIUIを等化後伝搬路算出部213へ出力する。
【0039】
等化後伝搬路算出部213は、IUI残差決定部212から入力された除去残差Δi,jIUI、割当決定部205から入力された帯域割当情報及び伝搬路特性情報Hiに基づいて、次式(1)を用いて各移動局装置UEiの等化後伝搬路wiHiバーを算出する。
【0040】
【数1】
【0041】
ここで、wiは等化重みであり、干渉除去処理を伴う等化を行った場合における重みである。Hiバーは、NIFFT行NIFFT列のi番目の移動局装置UEiの割り当て帯域の周波数応答行列であり、対角成分に周波数応答の成分があり、非対角成分は「0」である。ここで、NIFFTはシステム帯域内のサブキャリア数である。Hi,jIUIバーは、移動局装置UEjと基地局装置eNBとの間の伝搬路特性の周波数成分のうち、移動局装置UEiと重複する周波数帯域の伝搬路特性のみを抽出した情報である。また、移動局装置UEiと重複しない周波数帯域については、Hi,jIUIバーは「0」である。
また、wiHiバーは、等化を行った場合における伝搬路特性情報に相当する。また、σ2は、加法性白色ガウス雑音の電力であり、Iは単位行列である。XHは、Xのエルミート行列を表す。なお、本実施形態における等化後伝搬路算出部213は、ΔiISIに「1」を代入する。等化後伝搬路算出部213は、算出した等化後伝搬路wiHiバーを、品質算出部214へ出力する。
【0042】
品質算出部214は、等化後伝搬路算出部213から入力された等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、次式(2)を用いてγiを算出する。また、品質算出部214は、次式(3)を用いてδiを算出する。なお、本実施形態における品質算出部214は、ΔiISIに「1」を代入する。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、δiは、時間レプリカの大きさについて、DFT(Discrete Fourier transformation)処理を行う変調シンボル単位で平均値を取った値である。ただし、伝送レートを決定時には受信処理で得られるレプリカの精度がわからないため、品質算出部214は、除去残差よりδiを算出する。
品質算出部214は、算出したγi及びδiに基づいて、次式(4)を用いて等価振幅利得μiを算出する。
【0045】
【数3】
【0046】
なお、品質算出部214は、レプリカが得られないとする場合には、δi=0となる。
品質算出部214は、算出した等価振幅利得μiに基づいて、次式(5)を用いて、移動局装置UEiのEs/N0を算出する。
【0047】
【数4】
【0048】
品質算出部214は、算出した移動局装置UEiのEs/N0を、MCS決定部215へ出力する。
MCS決定部215は、各移動局装置UEiについて、品質算出部214から入力されたEs/N0に基づいてMCSを決定する。具体的には、MCS決定部215は、Es/N0とMCSが対応付けられたMCSテーブルを予め記憶する。なお、Es/N0とMCSの対応関係は、例えば、AWGNチャネルでFER(Frame Error Rate)=0.1を満たすような関係である。ここで、Es/N0とMCSの対応関係は、FER=0.1を満たす関係としたが、本発明はこれに限らず、FERが他の値を満たす関係でも良いし、FER以外の関係でも良い。なお、Es/N0とMCSの対応関係は、Es/N0が高いほど、つまり、受信品質が高いほど、変調方式の多値数が高くなり、また、符号化率も高くなる関係である。
MCS決定部215は、記憶されているMCSテーブルを用いて、品質算出部214から入力された移動局装置UEiのEs/N0に対応付けられたMCSを選択することで、移動局装置UEiのMCSを決定する。MCS決定部215は、決定した各移動局装置UEiのMCSを、送信パラメータ出力部216へ出力する。
【0049】
送信パラメータ出力部216は、MCS決定部215から入力された各移動局装置UEiのMCS、及び、割当決定部205から入力された帯域割当情報を、後述する制御情報生成部206へ出力する。基地局装置eNBは、送信パラメータ出力部216が出力した情報を、制御情報として各移動局装置UEiへ通知する。
【0050】
図5は、本実施形態に係るIUI残差テーブルの一例を示す概略図である。図示するようにIUI残差テーブルは、重複率Rover、及び除去残差ΔIUIの各項目の列を有している。
この図において、「Om−1」以上で「Om」より低い重複率Roverに対して「dm」が対付けられている。例えば、「O1」より低い重複率Roverに対して「d1」が対応付けられ、「O1」以上で「O2」より低い重複率Roverに対して「d2」が対応付けられている。ここで、0≦Om−1<Om≦1、0≦dm−1<dm≦1を満たす。すなわち、重複率Roverと除去残差ΔIUIの関係は、重複率Roverが低いほど除去残差が小さくなり、重複率Roverが高いほど除去残差が大きくなる関係である。
【0051】
図6は、本実施形態に係るIUI残差テーブルの一例を示す別の概略図である。図示するようにIUI残差テーブルは、重複率Rover、及び除去残差ΔIUIの各項目の列を有している。
例えば、図6では、「0.3」より低い重複率Roverに対して「0.2」が対応付けられ、「0.3」以上で「0.5」より低い重複率Roverに対して「0.6」が対応付けられている。ただし、本発明は、この対応付けに限られない。
【0052】
<移動局装置UEiについて>
図7は、本実施形態に係る移動局装置UEiの構成の一例を示す概略ブロック図である。なお、図7では、移動局装置UE1の構成のみを表すが、移動局装置UE2〜UEI各々が持つ構成は移動局装置UE1と同じである。また、移動局装置UEiは、図7に示す構成の他、一般の移動局装置が有する構成を備える。また、図7では、移動局装置UEiは、アンテナ数を1本としているが、本発明はこれに限らず、複数のアンテナを送受信に用い、送信ダイバーシチやMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送を行っても良い。ここで、アンテナ数とは物理的なアンテナの数に限らず、アンテナポート数としても良いし、レイヤ数であっても良い。このアンテナポートは、複数のアンテナがあることを受信装置側で認識する必要がない構成であれば、アンテナポート数を1とされる。
【0053】
移動局装置UEiは、制御情報受信部109、符号部101、変調部102、DFT部103、周波数マッピング部104、IFFT(Inverse Fast Fourier transformation)部105、参照信号多重部106、送信処理部107、アンテナ108を含んで構成される。
【0054】
制御情報受信部109は、基地局装置eNBから通知された制御情報を受信する。この制御情報には、移動局装置UEiについての帯域割当情報やMCSに関する情報などが含まれる。制御情報受信部109は、受信した制御情報に含まれるMCSから変調方式及び符号化率を選択する。制御情報受信部109は、選択した符号化率を示す情報を符号部101に出力し、選択した変調方式を示す情報を変調部102に出力する。制御情報受信部109は、制御情報に含まれる帯域割当情報を周波数マッピング部104に出力する。
【0055】
符号部101は、制御情報受信部109から入力された情報が示す符号化率で、入力されたデータビットに対し、誤り訂正符号の符号化を施す。誤り訂正符号には、例えば、ターボ符号やLDPC(Low Density Parity Check)符号などが用いられる。符号部101で施す誤り訂正符号の種類は、送受信装置毎又は送受信毎に予め決められていても良いし、制御情報として通知されても良い。また、この訂正符号化の種類は、周波数帯域の重複率に基づいて決定されても良い。
符号部101は、制御情報受信部109から入力された符号化率を示す情報に基づいて、符号化を施したデータビットに対してパンクチャを行うことで、符号ビットを生成する。符号部101は、生成した符号ビットを変調部102へ出力する。
【0056】
変調部102は、符号部101から入力された符号ビットに対して、制御情報受信部109から入力された情報が示す変調方式で変調を施すことで、変調シンボルを生成する。変調方式には、例えば、QPSK(Quaternary Phase Shift Keying;四相位相偏移変調)、16QAM(16−ary Quadrature Amplitude Modulation;16直交振幅変調)や64QAMなどがある。変調部102は、生成した変調シンボルをDFT部103へ出力する。
DFT部103は、変調部102から入力された変調シンボルを離散フーリエ変換することで、時間領域から周波数領域の信号に変換し、変換後の信号を周波数マッピング部104へ出力する。
【0057】
周波数マッピング部104は、制御情報受信部109から入力された帯域割当情報に基づいて、DFT部103から入力された信号を配置する。例えば、非直交アクセス方式の伝送の場合、移動局装置UEiの周波数マッピング部104は、他の移動局装置UEjに割り当てられた周波数帯域と同じ周波数帯域に、信号を配置する。周波数マッピング部104は、配置した信号をIFFT部105へ出力する。
IFFT部105は、周波数マッピング部104から入力された信号を逆高速フーリエ変換することで、周波数領域から時間領域の信号(データ信号)に変換する。IFFT部105は、変換後のデータ信号を、参照信号多重部106へ出力する。
参照信号多重部106は、時間領域において、送受信機で既知である参照信号をIFFT部105から入力されたデータ信号に多重することで、送信フレームを構成する処理を行う。ただし、本発明はこれに限らず、移動局装置UEiは、周波数領域において、参照信号を多重することで、送信フレームを構成する処理を行っても良い。参照信号多重部106は、参照信号を多重した信号を送信処理部107へ出力する。
【0058】
送信処理部107は、参照信号多重部106から入力された信号にCP(Cyclic Prefix;サイクリックプレフィックス)を挿入する。送信処理部107は、CPを挿入した信号を、D/A(Digital/Analog;ディジタル/アナログ)変換でアナログの信号に変換し、変換後の信号を無線周波数にアップコンバートする。送信処理部107は、アップコンバートした信号を、PA(Power Amplifier)で増幅し、増幅後の信号をアンテナ108を介して送信する。
【0059】
<基地局装置eNBについて>
図8は、本実施形態に係る基地局装置eNBの構成の一例を示す概略ブロック図である。この図は、1本の受信アンテナを有する基地局装置eNBの構成例を示すが、本発明はこれに限らず、基地局装置eNBは、複数の受信アンテナを有していても良い。
【0060】
この図において、基地局装置eNBは、アンテナ201、受信処理部202、参照信号分離部203、伝搬路推定部204、割当決定部205、伝送レート決定部21、制御情報生成部206、制御情報送信部207、FFT(Fast Fourier transformation)部208、デマッピング部209、繰返等化部T1を含んで構成される。
繰返等化部T1は、残差算出部221−1〜221−I、ソフトキャンセラ部222−1〜222−I、等化部223−1〜223−I、IDFT(Inverse Discrete Fourier transformation)部224−1〜224−I、合成部225−1〜225−I、復調部226−1〜226−I、復号部227−1〜227−I、レプリカ生成部228−1〜228−I、DFT部229−1〜229−I、伝搬路乗算部230−1〜230−I、IUI抽出部231−1〜231−Iを含んで構成される。なお、繰返等化部T1の処理は、予め定められた処理単位(例えば、1回の伝送機会で伝送する信号単位やDFTを行う信号単位)の信号に対して、繰り返し行われる(繰り返し等化処理又はターボ等化処理とも称する)。また、繰返等化部T1の処理は、SICによる受信処理であっても良い。
【0061】
受信部202は、アンテナ201が受信した信号をベースバンド周波数にダウンコンバートし、ダウンコンバートした信号に対してA/D変換を行うことでディジタル信号を生成する。受信部202は、生成したディジタル信号からサイクリックプレフィックスを除去し、除去後の信号を参照信号分離部203へ出力する。
参照信号分離部203は、受信処理部202から入力された信号を、参照信号(SRS)とデータ信号に分離する。参照信号分離部203は、分離した参照信号を伝搬路推定部204へ出力し、分離したデータ信号をFFT部208へ出力する。
【0062】
伝搬路推定部204は、参照信号分離部203から入力された参照信号により、移動局装置UEi毎の伝搬路特性(周波数応答)を推定する。伝搬路推定部204は、推定した伝搬路特性を示す伝搬路特性情報Hiを割当決定部205及び等化部223−1〜223−Iへ出力する。また、伝搬路推定部204は、伝搬路特性情報Hiから帯域割当情報により抽出した伝搬路特性情報Hiバーを伝搬路乗算部230−iへ出力する(図示せず)。
割当決定部205は、伝搬路推定部204から入力された伝搬路特性情報H1〜Hiに基づいて、各移動局装置UE1〜UEIの帯域割当を決定する。ここで、割当決定部205は、非直交アクセス方式の帯域割当を許容する(図2参照)。割当決定部205は、決定した帯域割当を示す情報(帯域割当情報)、及び、伝搬路特性情報Hiを伝送レート決定部21へ出力する。
【0063】
伝送レート決定部21は、割当決定部205から入力された帯域割当情報及び伝搬路特性情報Hiに基づいて、上述のMCS決定処理を行うことで、各移動局装置UEiのMCSを決定する。伝送レート決定部21は、決定したMCSを示す情報と、割当決定部205から入力された帯域割当情報と、を制御情報生成部206へ出力する。
【0064】
制御情報生成部206は、伝送レート決定部21から入力された情報を、予め決められている制御情報のフォーマットに変換することで、制御情報を生成する。制御情報生成部206は、生成した制御情報を制御情報送信部207へ出力する。制御情報生成部206は、伝送レート決定部21から入力された情報を、デマッピング部209、残差算出部221−i、復調部226−i、復号部227−i、及びレプリカ生成部228−iへ出力する。
制御情報送信部207は、制御情報生成部206から入力された制御情報を、次回の伝送機会のために移動局装置UE1〜UEIへ通知する。これらの制御情報は、基地局装置eNB(例えば、制御情報生成部206)によって、次回の伝送機会まで保持され、次回の伝送機会の信号処理を行う際に用いられる。
【0065】
FFT部208は、参照信号分離部203から入力されたデータ信号を高速フーリエ変換することで、周波数領域のデータ信号に変換し、変換後の信号をデマッピング部209へ出力する。
デマッピング部209は、制御情報生成部206から入力された帯域割当情報に基づいて、各移動局装置UEiに割り当てた帯域の信号を抽出する。なお、この帯域割当情報は、基地局装置eNBから複数の移動局装置UE1〜Iに通知された制御情報に含まれる帯域割当情報と同等のものである。デマッピング部209は、移動局装置UEiに割り当てた帯域から抽出した信号を、ソフトキャンセラ部222−iへ出力する。
【0066】
残差算出部221−iは、MCSと平均所望信号値s(平均電力)が対応付けられた対応情報を予め記憶する。残差算出部221−iは、この対応情報に基づいて、制御情報生成部206から入力された情報が示す移動局装置UEi、UEjのMCSに対応する平均所望信号値si、sjを決定する。なお、平均所望信号値si、sjは、変調シンボル毎の成分を持つベクトルであり、DFT処理を行う単位の変調シンボル数(DFTシンボル数とも称する)の成分を持つ。
残差算出部221−iは、決定した平均所望信号値si、sj、後述するレプリカ生成部228−iから入力された時間レプリカ、及び、制御情報生成部206から入力された帯域割当情報に基づいて、シンボル間干渉(ISI:Inter Symbol Interference)の除去残差ΔiISI及びユーザ間干渉(IUI;Inter−User Interference)の除去残差Δi,jIUIを算出する。具体的には、残差算出部221−iは、次式(6)、(7)を用いて除去残差ΔiISI及びΔi,jIUIを算出する。ここで、残差算出部221−iは、式(7)を用いて除去残差Δi,jIUIを算出する。ただし、移動局装置UEiと重複した周波数帯域を割り当てられていない移動局装置UEjの除去残差Δi,jIUIは、「0」となる。
【0067】
【数5】
【0068】
ここで、信号siは移動局装置UEiの平均所望信号値であり、siハットは移動局装置UEiの変調シンボルのレプリカ(時間レプリカと称する)を表す。E[X]はXの上記処理単位での時間平均を示す。また、tr[X]は、行列Xの対角成分の和である。Ni、Njは、それぞれ、移動局装置UEi、UEjの信号についてのDFTシンボル数である。
また、信号sjIUIは、移動局装置UEiに対してユーザ間干渉を及ぼす移動局装置UEjの平均所望信号値である。また、信号sjIUIハットは、移動局装置UEjの時間レプリカを表す。
残差算出部221−iは、算出した移動局装置UEiについての除去残差ΔiISI及びΔi,jIUIを等化部223−iへ出力する。
【0069】
ソフトキャンセラ部222−iは、デマッピング部209から入力された移動局装置UEiの信号Ri(受信信号Riとも称する)を記憶する。ソフトキャンセラ部222−iは、後述する伝搬路乗算部230iから移動局装置UEiの周波数レプリカと、後述するIUI抽出部231−jから移動局装置UEjのIUI周波数レプリカと、を入力される。
ここで、移動局装置UEiの周波数レプリカとは、基地局装置eNBが移動局装置UEiから受信した信号に対応するレプリカである。また、移動局装置UEiのIUI周波数レプリカとは、基地局装置eNBが移動局装置UEjから受信した信号のうち、移動局装置UEiに対してユーザ間干渉を及ぼす信号のみを抽出した信号のレプリカである。なお、何れのレプリカも周波数領域のレプリカである。移動局装置UEiの周波数レプリカとIUI周波数レプリカは、それぞれ、次式(8)、(9)で表される。
【0070】
【数6】
【0071】
ここで、Siハット(Siの上に「^」を付したもの)は、移動局装置UEiの周波数レプリカである。SIUIjハットは、移動局装置UEjの周波数レプリカのうち、移動局装置UEiと重複する周波数帯域が割り当てられた移動局装置UEjの周波数レプリカであり、全く重複しない移動局装置UEjの場合は「0」となる。
【0072】
ソフトキャンセラ部222−iは、記憶した移動局装置UEiの受信信号Riから、移動局装置UEiの周波数レプリカとIUI周波数レプリカと、をキャンセル(差し引く、削除する、除去する)することで、信号Riチルダを生成する。信号Riチルダは、次式(10)により表される。
【0073】
【数7】
【0074】
ソフトキャンセラ部222−iは、生成した信号Riチルダを等化部223−iへ出力する。ただし、ターボ等化処理の繰り返し1回目では、ソフトキャンセラ部222−iは、伝搬路乗算部230−i及びIUI抽出部231−jからの入力がないため、デマッピング部209から入力された受信信号Riを、信号Riチルダとして等化部223−iへ出力する。
【0075】
等化部223−iは、伝搬路推定部204から入力された伝搬路特性情報、残差算出部221−iから入力された除去残差ΔiISI及びΔi,jIUI、及び加法性白色ガウス雑音の電力σ2に基づいて、MMSE規範の重みwiを乗算する。具体的には、等化部223−iは、次式(11)を用いて重みwiを乗算する。なお、この重みwiの計算式は、式(1)中の重みwiの計算式と同じである。
【0076】
【数8】
【0077】
等化部223−iは、ソフトキャンセラ部222−iから入力された信号Riチルダに対して、算出した重みwiを乗算することにより、等化処理を行う。等化部223−iは、等化処理後の信号をIDFT部224−iへ出力する。また、等化部223−iは、伝搬路特性及び算出した重みwiに基づいて、式(2)を用いてγiを算出し、算出したγiを合成部225−iへ出力する(図示せず)。
【0078】
IDFT部224−iは、等化部223−iから入力された信号を逆離散速フーリエ変換することで、周波数領域から時間領域の信号に変換する。IDFT部224−iは、変換後の信号を合成部225−iへ出力する。
合成部225−iは、レプリカ生成部228−iから入力された時間レプリカに基づいて、式(12)を用いてδiを算出する。
【0079】
【数9】
【0080】
ここで、siハット(k)は、ベクトルsiハットのk番目の成分である。つまり、δiは、時間レプリカの大きさについて、DFT処理を行う変調シンボル単位で平均値を取った値である。
合成部225−iは、算出したδi、等化部223−iから入力されたγi、レプリカ生成部228−iから入力された時間レプリカに基づいて、IDFT部224−iから入力された信号(FHwiRiチルダ)から次式(13)で表される信号ziを生成する。つまり、合成部225−iは、IDFT部224−iから入力された信号に対して、ソフトキャンセラ部222−iでキャンセルした所望信号を加算する。
【0081】
【数10】
【0082】
ここで、行列FHは、IDFT部224−iによるIDFT(逆離散高速フーリエ変換)を行列で表したものである。
合成部225−iは、算出した信号zを復調部226−iへ出力する。
【0083】
復調部226−iは、制御情報生成部206から入力された情報が示す変調方式であって、移動局装置UEiのMCSに対応する変調方式を用いて、合成部225−iから入力された信号ziを復調する。これにより、復調部226−iは、時間領域のLLR(Log Likelihood Ratio;対数尤度比)を得る。復調部226−iは、得られたLLRを、復号部227−iへ出力する。
【0084】
復号部227−iは、制御情報生成部206から入力された情報が示す符号化率であって、移動局装置UEiのMCSに対応する符号化率を用いて、復調部226−iから入力されたLLRに対し、誤り訂正復号の復号化を施す。これにより、復号部227−iは、データビットを得る。復号部227−iは、誤りがなくなったと判定した場合、又はターボ等化処理を予め定めた回数繰り返したと判定した場合には、得られたデータビットを出力する。一方、それ以外の場合には、得られたデータビットをレプリカ生成部228−iへ出力する。なお、復号部227−iは、誤りがなくなったか否かの判定を、例えば、巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)で誤りが検出されなくなったか否かを判定することで行う。
【0085】
レプリカ生成部228−iは、制御情報生成部206から入力された情報が示す符号化率及び変調方式であって、移動局装置UEiのMCSに対応する符号化率及び変調方式を用いて、復号部227−iから入力されたデータビットに対して符号化及び変調を施す。これにより、レプリカ生成部228−iは、移動局装置UEiの変調シンボル、つまり、時間レプリカを生成する。レプリカ生成部228−iは、生成した移動局装置UEiの時間レプリカを残差算出部228−1〜228−I、合成部225−i、及びDFT部229−iへ出力する。
DFT部229−iは、レプリカ生成部228−iから入力された移動局装置UEiの時間レプリカを離散フーリエ変換することで、時間領域から周波数領域の信号に変換し、変換後の信号を伝搬路乗算部230−iへ出力する。
【0086】
伝搬路乗算部230−iは、DFT部229−iから入力された信号に対して、伝搬路推定部204から入力された伝搬路特性情報が示す伝搬路特性を乗算する。これにより、伝搬路乗算部230−iは、移動局装置UEiの周波数レプリカを生成する。伝搬路乗算部230−iは、生成した周波数レプリカをソフトキャンセラ部222−i及びIUI抽出部231−iへ出力する。
IUI抽出部231−iは、制御情報生成部206から入力された帯域割当情報に基づいて、伝搬路乗算部230−iから入力された周波数レプリカから、移動局装置UEiと移動局装置UEjとで重複して割り当てられた周波数帯域の周波数レプリカ(移動局装置UEjのIUI周波数レプリカ)を抽出する。IUI抽出部231−iは、抽出した移動局装置UEjのIUI周波数レプリカを、ソフトキャンセラ部222−jへ出力する。
【0087】
このように、本実施形態によれば、基地局装置eNBでは、IUI残差決定部212は、重複率Rioverに基づいて、基地局装置eNBによって繰り返し等化を行った場合における除去残差ΔIUIを決定する。等化後伝搬路算出部213は、IUI残差決定部212が決定した除去残差ΔIUIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。品質算出部214は、等化後伝搬路算出部213が算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、Es/N0を算出する。MCS決定部215は、品質算出部214が算出したEs/N0を示す情報に基づいて、移動局装置UEiのMCSを決定する。
【0088】
つまり、伝送レート決定部21は、移動局装置UEiと少なくとも1つの移動局装置UEj(j≠i)とで重複して割り当てられた周波数帯域の重複率Rioverに基づいて、移動局装置UEiのMCSを決定する。すなわち、伝送レート決定部21は、移動局装置UEiに割り当てられた周波数帯域と、少なくとも1つの移動局装置UEjに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、移動局装置UEiのMCSを決定する。
これにより、通信システムは、非直交アクセス方式の場合でも、移動局装置UEjと重複する周波数帯域での影響を考慮したMCSを決定できる。例えば、通信システムは、MCSの決定時に必要以上にIUIを考慮して伝送レートの低いMCSとすることやIUIを考慮せずに所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。よって、通信システムは、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率もしくはスループットを向上できる。
【0089】
図9、図10は、スループット特性を表す概略図である。これらの図は、受信処理にターボ等化を用いる非直交アクセス方式の伝送におけるスループット特性を示す。これらの図において、横軸はEs/N0であり、縦軸はスループットである。図9、図10は、除去残差Δi,jIUIの値によって、スループットが変わることを表す。
【0090】
図9は、重複率Rioverの最大値を10%とした場合の図である。この図は、例えば、除去残差Δi,jIUIが「0.2」の場合は、除去残差Δi,jIUIが「0.4」や「1.0」の場合と比較して、スループットが高いことを表す。
図10は、重複率Rioverの最大値を30%とした場合の図である。この図は、例えば、除去残差Δi,jIUIが「0.4」の場合は、除去残差Δi,jIUIが「0.2」や「1.0」の場合と比較して、Es/N0が「6」以上でスループットが高いことを表す。
つまり、重複率Rioverに応じて、スループットが高い除去残差Δi,jIUIの値が異なる。よって、重複率Rioverによって除去残差Δi,jIUIを変えることで、スループット特性を改善できる。本実施形態では、基地局装置eNBは、重複率Rioverに基づいて除去残差ΔIUIを算出するので、スループット特性を改善できる。
【0091】
(変形例1)
以下、変形例1について説明をする。なお、変形例1に係る通信システムは図1と同じであり、移動局装置UEiの構成の一例は図7と同じである。
【0092】
<MCS決定処理について>
図11は、本変形例に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。変形例1に係るMCS決定処理(図11)と第1の実施形態に係るMCS決定処理(図3)とを比較すると、ステップS202、S203の処理が異なる。その他の処理は、図3と同じであるので、説明を省略する。
【0093】
(ステップS202)基地局装置eNBは、ステップS101で算出した重複率Rioverに基づいて、移動局装置UEiにおけるISI(シンボル間干渉)の除去残差ΔiISIを決定する。その後、ステップS203へ進む。
(ステップS203)基地局装置eNBは、ステップS101で決定した帯域割当、推定した伝搬路特性情報Hi、ステップS102で決定した除去残差Δi,jIUI、及び、ステップS202で決定した除去残差ΔiISIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。その後、ステップS104へ進む。
【0094】
<基地局装置eNBについて>
変形例1に係る基地局装置eNBは、第1の実施形態にかかる基地局装置eNB(図8)の伝送レート決定部21に代えて、伝送レート決定部21aを備えるものである。
図12は、変形例1に係る伝送レート決定部21aの構成の一例を示す概略ブロック図である。伝送レート決定部21a(図12)と伝送レート決定部21(図4)とを比較すると、ISI残差情報記憶部211a、ISI残差決定部212a、等価後伝搬路算出部213aが異なる。しかし、他の構成要素が持つ機能は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0095】
ISI残差情報記憶部211aは、重複率Roverと除去残差ΔISIが対応付けられたISI残差テーブル(図13)を記憶する。
ISI残差決定部212aは、各移動局装置UEiについて、重複率算出部210から入力された重複率Rioverに基づいて、除去残差ΔiISIを決定する。具体的には、ISI残差決定部212aは、ISI残差情報記憶部211aが記憶するISI残差テーブルから、重複率算出部210から入力された重複率Rioverに対応付けられた除去残差ΔISI(移動局装置UEiについてのΔISIをΔiISIで表す)を選択する。ISI残差決定部212aは、選択した除去残差ΔiISIを等化後伝搬路算出部213aへ出力する。
【0096】
等化後伝搬路算出部213aは、IUI残差決定部212から入力された除去残差ΔIUI、ISI残差決定部212aから入力された除去残差ΔISI、及び、割当決定部205から入力された帯域割当情報、伝搬路特性情報Hiに基づいて、式(1)を用いて、各移動局装置UEiについての等化後伝搬路wiHiバーを算出する。
等化後伝搬路算出部213aは、算出した等化後伝搬路wiHiバーを、品質算出部214へ出力する。
【0097】
図13は、本変形例に係るISI残差テーブルの一例を示す概略図である。図示するようにISI残差テーブルは、重複率Rover、及び除去残差ΔISIの各項目の列を有している。
この図において、「O’m−1」以上で「O’m」より低い重複率Roverに対して「d’m」が対付けられている。ここで、0≦O’m−1<O’m≦1、0≦d’m−1<d’m≦1を満たす。すなわち、重複率Roverと除去残差ΔISIの関係は、重複率Roverが低いほど除去残差が小さくなり、重複率Roverが高いほど除去残差が大きくなる関係である。例えば、図13では、「O’1」より低い重複率Roverに対して「d’1」が対応付けられ、「O’1」以上で「O’2」より低い重複率Roverに対して「d2」が対応付けられている。
【0098】
このように、本変形例によれば、基地局装置eNBでは、IUI残差決定部212及びISI残差決定部212aは、重複率Rioverに基づいて、基地局装置eNBによって繰り返し等化を行った場合における除去残差ΔIUI及びΔISIを決定する。等化後伝搬路算出部213aは、IUI残差決定部212が決定した除去残差ΔIUI及びISI残差決定部212aが決定した除去残差ΔISIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。品質算出部214は、等化後伝搬路算出部213が算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、Es/N0を算出する。MCS決定部215は、品質算出部214が算出したEs/N0を示す情報に基づいて、移動局装置UEiのMCSを決定する。
【0099】
つまり、伝送レート決定部21は、移動局装置UEiと少なくとも1つの移動局装置UEj(j≠i)とで重複して割り当てられた周波数帯域の重複率Rioverに基づいて、移動局装置UEiのMCSを決定する。
これにより、例えば、通信システムは、MCSの決定時に必要以上にIUI及びISIを考慮して伝送レートの低いMCSとすることやIUI及びISIを考慮せずに所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。よって、通信システムは、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率もしくはスループットを向上できる。
【0100】
なお、本変形例では、IUI及びISIを考慮する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、ISIのみを考慮しても良い。その場合、等化後伝搬路算出部213aは、ISI残差決定部212aが算出した除去残差ΔiISIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。ここで、等化後伝搬路算出部213aは、式(1)を用いるときに、例えば、Δi,jIUIに「1」を代入するが、本発明はこれに限られない。
【0101】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。なお、第2の実施形態に係る通信システムは図1と同じであり、移動局装置UEiの構成の一例は図7と同じである。
【0102】
<MCS決定処理について>
図14は、本発明の第2の実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【0103】
(ステップS301)基地局装置eNBは、各移動局装置UEiの伝搬路特性情報Hiを推定し、推定した伝搬路特性情報Hiより移動局装置UE1〜UEIの帯域割当を決定する。基地局装置eNBは、決定した帯域割当に基づいて、各移動局装置UEiにおける重複率Rioverを算出する。その後、ステップS302へ進む。
(ステップS302)基地局装置eNBは、ステップS301で決定した帯域割当に基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。その後、ステップS303へ進む。
【0104】
(ステップS303)基地局装置eNBは、ステップS302で算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、Es/N0を算出する。基地局装置eNBは、算出したEs/N0に基づいて、MCS(第1MCSと称する)を決定する。その後、ステップS304へ進む。
(ステップS304)基地局装置eNBは、ステップS301で算出した重複率Riover及びステップS303で算出したMCS基づいて、移動局装置UEiにおける除去残差Δi,jIUIを決定する。その後、ステップS305へ進む。
【0105】
(ステップS305)基地局装置eNBは、ステップS101で決定した帯域割当、推定した伝搬路特性情報Hi、及び、ステップS304で決定した除去残差Δi,jIUIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。その後、ステップS306へ進む。
(ステップS306)基地局装置eNBは、ステップS305で算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、各移動局装置UEiについてのEs/N0を算出する。その後、ステップS307へ進む。
(ステップS307)基地局装置eNBは、ステップS306で算出したEs/N0に基づいて、各移動局装置UEiのMCS(第2MCSと称する)を決定する。なお、基地局装置eNBは、移動局装置UEiの第2MCSを示す情報を含む制御情報を、移動局装置UEiへ通知する。基地局装置eNBと移動局装置UEiとは、第2MCSに対応する変調方式及び符号化率で通信を行う。
【0106】
<基地局装置eNBについて>
本実施形態に係る基地局装置eNBは、第1の実施形態にかかる基地局装置eNB(図8)の伝送レート決定部21に代えて、伝送レート決定部21bを備えるものである。
図15は、本実施形態に係る伝送レート決定部21bの構成の一例を示す概略ブロック図である。伝送レート決定部21b(図15)と伝送レート決定部21(図4)とを比較すると、第1等化後伝搬路算出部217b、第1品質算出部218b、第1MCS決定部219b、IUI残差情報記憶部211b、IUI残差決定部212bが異なる。しかし、他の構成要素が持つ機能は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0107】
第1等化後伝搬路算出部217bは、割当決定部205から入力された帯域割当情報及び等化後伝搬路wiHiバーに基づいて式(1)を用いて、各移動局装置UEiについての等化後伝搬路wiHiバーを算出する。ここで、第1等化後伝搬路算出部217bは、式(1)において、除去残差Δi,jIUI及びΔiISIに「1」を代入する。この代入は、ターボ等化により除去可能な干渉(ISIやIUI)が分からずに除去されないこと、つまり、繰り返し等化処理が行われずにレプリカがフィードバックされないことに相当する。すなわち、第1等化後伝搬路算出部217bは、基地局装置eNBによって繰り返し等化(干渉除去を伴う等化)以外の等化を行った場合における等化重みwiを算出する。
第1等化後伝搬路算出部217bは、算出した等化後伝搬路wiHiバーを、第1品質算出部218bへ出力する。
【0108】
第1品質算出部218bは、第1等化後伝搬路算出部217bから入力された等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、式(2)を用いてγiを算出し、式(3)を用いてδiを算出する。第1品質算出部218bは、算出したγi及びδiに基づいて、式(4)を用いて等価振幅利得μiを算出し、算出した等価振幅利得μiに基づいて、式(5)を用いて、移動局装置UEiのEs/N0を算出する。第1品質算出部218bは、算出した移動局装置UEiのEs/N0を、第1MCS決定部219bへ出力する。
第1MCS決定部219bは、各移動局装置UEiについて、第1品質算出部218bから入力されたEs/N0に基づいてMCS(第1MCS)を決定する。第1MCS決定部219bは、決定した各移動局装置UEiの第1MCSを、IUI残差決定部212bへ出力する。
【0109】
IUI残差情報記憶部211bは、重複率Roverと除去残差ΔIUIが対応付けられたIUI残差テーブル(図16)を、MCS毎に記憶する。つまり、重複率Roverと除去残差ΔIUIの対応は、MCSに応じて異なるものが含まれる。
【0110】
IUI残差決定部212bは、重複率算出部210から入力された重複率Riover及び第1MCS決定部219bから入力された第1MCSに基づいて、各移動局装置UEiの除去残差Δi,jIUIを決定する。
具体的には、IUI残差決定部212bは、IUI残差情報記憶部211bが記憶するIUI残差テーブルのうち、第1MCS決定部219bから入力された第1MCSのIUI残差テーブルを読み出す。IUI残差決定部212bは、読み出したIUI残差テーブルから、重複率算出部210から入力された重複率Rioverに対応付けられた除去残差Δi,jIUIを選択する。
IUI残差決定部212bは、決定した除去残差Δi,jIUIを等化後伝搬路算出部213へ出力する。この場合、MCS決定部215は、IUI残差決定部212bが決定した除去残差Δi,jIUIに基づいて、MCS(第2MCS)を決定することとなる。MCS決定部215は、決定した第2MCSを移動局装置UEiのMCSとして、送信パラメータ出力部216へ出力する。
【0111】
図16は、本実施形態に係るIUI残差テーブルの一例を示す概略図である。図示するようにIUI残差テーブルは、重複率Rover、及び除去残差ΔIUIの各項目の列を有している。
この図において、「Om−1」以上で「Om」より低い重複率Roverに対して「dm+mm」が対付けられている。例えば、「O1」より低い重複率Roverに対して「d1+m1」が対応付けられ、「O1」以上で「O2」より低い重複率Roverに対して「d2+m2」が対応付けられている。
【0112】
ここで、m1、m2、…、mMは、変調方式によるターボ等化の干渉除去能力の低下を反映するものであり、0以上の値である。例えば、mmは、多値数が高いほど又は符号化率が高くなるほど、大きな値となる。また、0≦Om−1<Om≦1、0≦dm−1+mm−1<dm+mm≦1を満たす。すなわち、同じMCSに対しては、重複率Roverと除去残差ΔIUIの関係は、重複率Roverが低いほど除去残差が小さくなり、重複率Roverが高いほど除去残差が大きくなる関係である。
【0113】
このように、本実施形態によれば、基地局装置eNBでは、第1品質算出部218bは、受信装置によって繰り返し等化以外の等化を行った場合における等化後伝搬路wiHiバーを算出する。第1MCS決定部219bは、第1品質算出部218bが算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、移動局装置UEiの第1MCSを決定する。IUI残差決定部212bは、重複率Riover及び第1MCS決定部219bが決定した第1MCSに基づいて、各移動局装置UEiの除去残差Δi,jIUIを決定する。等化後伝搬路算出部213は、IUI残差決定部212が決定した除去残差ΔIUIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。品質算出部214は、等化後伝搬路算出部213が算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、Es/N0を算出する。MCS決定部215は、品質算出部214が算出したEs/N0を示す情報に基づいて、移動局装置UEiの第2MCSを決定する。
【0114】
つまり、伝送レート決定部21bは、非直交アクセス方式による伝送時にターボ等化による信号検出を行う場合において、重複率Rioverと暫定のMCS(第1MCS)に応じてIUIの除去残差ΔIUIを決定し、決定された除去残差ΔIUIを用いてMCS(第2MCS)を決定する。
これにより、例えば、通信システムは、MCSの決定時に必要以上にIUIを考慮して伝送レートの低いMCSとすることやIUIを考慮せずに所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。さらに、通信システムは、変調方式によるターボ等化の干渉除去能力の劣化分もMCSの決定に反映できる。よって、通信システムは、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率もしくはスループットを向上できる。
【0115】
(変形例2)
以下、変形例2について説明をする。なお、変形例2に係る通信システムは図1と同じであり、移動局装置UEiの構成の一例は図7と同じである。
【0116】
<MCS決定処理について>
図17は、変形例2に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。変形例2に係るMCS決定処理(図17)と第2の実施形態に係るMCS決定処理(図13)とを比較すると、ステップS404、S405の処理が異なる。その他の処理は、図13と同じであるので、説明を省略する。
【0117】
(ステップS404)基地局装置eNBは、ステップS301で算出した重複率Riover及びステップS303で算出したMCS基づいて、移動局装置UEiにおける除去残差ΔiISIを決定する。その後、ステップS405へ進む。
(ステップS405)基地局装置eNBは、ステップS101で決定した帯域割当、推定した伝搬路特性情報Hi、ステップS304で決定した除去残差Δi,jIUI、及び、ステップS404で決定した除去残差ΔiISIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。その後、ステップS306へ進む。
【0118】
<基地局装置eNBについて>
変形例2に係る基地局装置eNBは、第1の実施形態にかかる基地局装置eNB(図8)の伝送レート決定部21に代えて、伝送レート決定部21cを備えるものである。
図18は、本変形例に係る伝送レート決定部21cの構成の一例を示す概略ブロック図である。伝送レート決定部21c(図18)と伝送レート決定部21b(図15)とを比較すると、ISI残差情報記憶部211c、ISI残差決定部212c、等価後伝搬路算出部213aが異なる。しかし、他の構成要素が持つ機能は第2の実施形態と同じであるので、第2の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0119】
ISI残差情報記憶部211cは、重複率Roverと除去残差ΔISIが対応付けられたISI残差テーブル(図19)を、MCS毎に記憶する。つまり、重複率Roverと除去残差ΔISIの対応は、MCSに応じて異なるものが含まれる。
【0120】
ISI残差決定部212cは、重複率算出部210から入力された重複率Riover及び第1MCS決定部219bから入力された情報が示すMCSに基づいて、各移動局装置UEiの除去残差ΔiISIを決定する。
具体的には、ISI残差決定部212cは、ISI残差情報記憶部211cが記憶するISI残差テーブルのうち、第1MCS決定部219bから入力された第1MCSのISI残差テーブルを読み出す。ISI残差決定部212cは、読み出したISI残差テーブルから、重複率算出部210から入力された重複率Rioverに対応付けられた除去残差ΔiISIを選択する。
ISI残差決定部212cは、決定した除去残差ΔiISIを等化後伝搬路算出部213aへ出力する。
【0121】
等化後伝搬路算出部213aは、IUI残差決定部212bから入力された除去残差ΔIUI、ISI残差決定部212cから入力された除去残差ΔISI、及び、割当決定部205から入力された帯域割当情報、伝搬路特性情報Hiに基づいて、式(1)を用いて、各移動局装置UEiについての等化後伝搬路wiHiバーを算出する。等化後伝搬路算出部213aは、算出した等化後伝搬路wiHiバーを、品質算出部214へ出力する。
この場合、MCS決定部215は、IUI残差決定部212bが決定した除去残差Δi,jIUI及びにISI残差決定部212cが決定した除去残差ΔiISI基づいて、MCS(第2MCS)を決定することとなる。MCS決定部215は、決定した第2MCSを移動局装置UEiのMCSとして、送信パラメータ出力部216へ出力する。
【0122】
図19は、本変形例に係るISI残差テーブルの一例を示す概略図である。図示するようにISI残差テーブルは、重複率Rover、及び除去残差ΔISIの各項目の列を有している。
この図において、「O’m−1」以上で「O’m」より低い重複率Roverに対して「d’m+m’m」が対付けられている。例えば、「O’1」より低い重複率Roverに対して「d’1+m’1」が対応付けられ、「O’1」以上で「O’2」より低い重複率Roverに対して「d’2+m’2」が対応付けられている。
【0123】
ここで、m’1、m’2、…、m’Mは、変調方式によるターボ等化の干渉除去能力の低下を反映するものであり、0以上の値である。例えば、m’mは、多値数及び符号化率の少なくとも一方が高くなるほど、大きな値となる。しかし、本発明はこれに限らず、m’mは、多値数及び符号化率の少なくとも一方が低くなるほど、低い値となっても良い。また、0≦O’m−1≦O’m≦1、0≦d’m−1+m’m−1<d’m+m’m≦1を満たす。すなわち、同じMCSに対しては、重複率Roverと除去残差ΔISIの関係は、重複率Roverが低いほど除去残差が小さくなり、重複率Roverが高いほど除去残差が大きくなる関係である。
【0124】
このように、本実施形態によれば、ISI残差決定部212cは、重複率Riover及び第1MCS決定部219cが決定した第1MCSに基づいて、各移動局装置UEiの除去残差ΔiISIを決定する。等化後伝搬路算出部213aは、IUI残差決定部212が決定した除去残差ΔIUI及びISI残差決定部212cが決定した除去残差ΔISIに基づいて、等化後伝搬路wiHiバーを算出する。品質算出部214は、等化後伝搬路算出部213が算出した等化後伝搬路wiHiバーに基づいて、Es/N0を算出する。MCS決定部215は、品質算出部214が算出したEs/N0を示す情報に基づいて、移動局装置UEiのMCSを決定する。
【0125】
つまり、伝送レート決定部21cは、非直交アクセス方式による伝送時にターボ等化による信号検出を行う場合において、重複率Rioverと暫定のMCS(第1MCS)に応じて除去残差ΔIUI及びΔISI決定し、決定された除去残差ΔIUI及びΔISIを用いてMCSを決定する。
これにより、例えば、通信システムは、MCSの決定時に必要以上にIUI及びISIを考慮して伝送レートの低いMCSとすることやIUI及びISIを考慮せずに所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。よって、通信システムは、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率もしくはスループットを向上できる。
【0126】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について詳しく説明する。なお、第2の実施形態に係る通信システムは図1と同じである。
【0127】
<MCS決定処理について>
図20は、本発明の第3の実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。
【0128】
(ステップS501)基地局装置eNBは、MCS(第1MCSと称する)を決定する。
その後、ステップS502へ進む。
(ステップS502)基地局装置eNBは、各移動局装置UEiにおける重複率Rioverを算出する。その後、ステップS503へ進む。
(ステップS502)基地局装置eNB及び移動局装置UEiは、ステップS502で算出された重複率Rioverに基づいて、MCS(第2MCSと称する)を決定する。
【0129】
<移動局装置UEiについて>
図21は、本実施形態に係る移動局装置UEiの構成の一例を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る移動局装置UEi(図21)と第1の実施形態に係る移動局装置UEi(図7)とを比較すると、MCS決定部11dが異なる。しかし、他の構成要素が持つ機能は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
MCS決定部11dには、制御情報受信部109から、基地局装置eNBから通知された制御情報が入力される。MCS決定部11dは、この制御情報に含まれる自装置のMCS(第1MCSとも称する)を示す情報(第1MCS指標IiMCSとも称する)、及び、重複率情報に基づいて、自装置が用いるMCSを決定する。
MCS決定部11dは、決定したMCSに対応する符号化率を示す情報を符号部101へ出力し、決定したMCSに対応する変調方式を示す情報を変調部102へ出力する。符号部101はMCS決定部11dから入力された情報が示す符号化率でデータビットに符号化を施し、変調部102はMCS決定部11dから入力された情報が示す変調方式で符号ビットに変調を施す。
【0130】
図22は、本実施形態に係るMCS決定部11dの構成の一例を示す概略ブロック図である。この図において、MCS決定部11dは、第1MCS取得部111d、MCS変換情報記憶部112d、符号変調設定部113d、MCS値記憶部114d、重複率取得部115d、第2MCS決定部116dを含んで構成される。
【0131】
第1MCS取得部111dは、制御情報受信部109から入力された制御情報に含まれる第1MCS指標IiMCSを取得する。第1MCS取得部111dは、取得した第1MCS指標IiMCSを、符号変調設定部113dへ出力し、また、MCS値記憶部114dに記憶させる。
MCS変換情報記憶部112dは、第1MCS変換テーブル(図23)及び第2MCS変換テーブル(図24)を記憶する。
【0132】
符号変調設定部113dは、直交アクセス方式の場合、つまり、後述する重複率取得部115から入力された重複率情報が示す重複率Roverが「0」である場合には、MCS変換情報記憶部112dが記憶する第1MCS変換テーブルに基づいて、第1MCS取得部111dから入力された第1MCS指標IiMCSを符号化率及び変調方式に変換する。
符号変調設定部113dは、非直交アクセス方式の場合、つまり、後述する重複率取得部115から入力された重複率情報が示す重複率Roverが「0」でない場合には、MCS変換情報記憶部112dが記憶する第2MCS変換テーブルに基づいて、後述する第2MCS決定部116dから入力された第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)を符号化率及び変調方式に変換する。
符号変調設定部113dは、変換後の符号化率を示す情報を符号部101へ出力し、変換後の変調方式を示す情報を変調部102へ出力する。
【0133】
重複率取得部115dは、制御情報受信部109から入力された制御情報に含まれる重複率情報を取得する。重複率取得部115dは、取得した重複率情報を第2MCS決定部116d及び符号変調設定部113dへ出力する。
第2MCS決定部116dは、重複率取得部115dから入力された重複率情報に基づいて、第1MCS指標の修正値IiOVERを生成する。なお、第2MCS決定部116dは、修正値IiOVERと重複率情報との対応情報を予め記憶し、この対応情報に基づいて修正値IiOVERを生成する。第2MCS決定部116dは、MCS値記憶部114dが記憶する第1指標IiMCSを、算出した修正値IiOVERで修正することで、第2MCS指標を生成する。例えば、第2MCS決定部116dは、第1指標IiMCSから修正値IiOVERを差し引いた第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)を算出する。
第2MCS決定部116dは、生成した第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)を、符号変調設定部113dへ出力する。
【0134】
図23は、本実施形態に係る第1MCS変換テーブルの一例を示す概略図である。図示するように第1MCS変換テーブルは、MCS指標(Index)、変調多値数、TBS指標(Index)の各項目の列を有している。なお、変調多値数は変調方式と対応付けられ、TBS指標は符号化率と対応付けられている。
例えば、図23では、MCS指標「0」に変調多値数「2」及びTBS指標「0」が対応けられ、MCS指標「1」に変調多値数「2」及びTBS指標「1」が対応けられている。また、図23では、MCS指標「10」に変調多値数「4」及びTBS指標「9」が対応けられている。
【0135】
図23は、MCS指標が大きくなるほど、変調多値数が高くなり、また、TBS指標が大きくなることを表す。つまり、MCS指標は、変調多値数の増加関数及びTBS指標の少なくとも1つの増加関数で表される。
なお、符号変調設定部113dは、第1MCS指標IiMCSと第1MCS変換テーブルのMCS指標とを比較し、変調多値数及びTBS指標に変換することで、第1MCS指標IiMCSを符号化率及び変調方式に変換する。
【0136】
図24は、本実施形態に係る第2MCS変換テーブルの一例を示す概略図である。図示するように第2MCS変換テーブルは、MCS指標(Index)、変調多値数、TBS指標(Index)の各項目の列を有している。
図24は、MCS指標が大きくなるほど、変調多値数が高くなり、また、TBS指標が大きくなることを表す。つまり、MCS指標は、変調多値数の増加関数及びTBS指標の少なくとも1つの増加関数で表される。
なお、符号変調設定部113dは、第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)と第2MCS変換テーブルのMCS指標とを比較し、変調多値数及びTBS指標に変換することで、第1MCS指標(IiMCS−IiOVER)を符号化率及び変調方式に変換する。
【0137】
例えば、修正値IiOVERは、重複率Roverの増加関数である。この場合、第2MCS決定部116dは、重複率情報が示す重複率Roverが高いほど小さなMCS指標、つまり、低い多値数の変調方式及び符号化率に決定する。
なお、図23と図24では、第1MCS変換テーブルと第2MCS変換テーブルが同じテーブルである場合について説明したが、本発明はこれに限らず、第1MCS変換テーブルと第2MCS変換テーブルは、MCS指標、変調多値数、TBS指標のいずれかの関係が異なっていても良い。
【0138】
<基地局装置eNBについて>
図25は、本実施形態に係る基地局装置eNBの構成の一例を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る基地局装置eNB(図25)と第1の実施形態に係る基地局装置eNB(図8)とを比較すると、伝送レート決定部21d及びMCS設定部24dが異なる。しかし、他の構成要素が持つ機能は第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0139】
伝送レート決定部21dは、割当決定部205から入力された帯域割当情報及び伝搬路特性情報Hiに基づいて、各移動局装置UEiの第1MCSを決定する。伝送レート決定部21dは、各移動局装置UEiについて、決定した第1MCSを示す第1MCS指標IiMCS、割当決定部205から入力された帯域割当情報、及び、重複率を示す重複率情報を制御情報生成部206へ出力する。
MCS設定部24dには、制御情報生成部206から入力された第1MCS指標IiMCS及び重複率情報に基づいて、第2MCS決定部116dと同様の処理を行うことで、各移動局装置UEiが用いる第2MCS(第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)が示すMCSと同じもの)を決定する。MCS設定部24dは、決定した移動局装置UEiのMCSに対応する変調方式を示す情報を復調部226−iへ出力し、決定した移動局装置UEiのMCSに対応する符号化率を示す情報を復号部227−iへ出力する。
復調部226−iはMCS設定部24dから入力された情報が示す変調方式に基づいて復調を施し、復号部227−iはMCS設定部24dから入力された情報が示す符号化率でデータビットに復号化を施す。
【0140】
図26は、本実施形態に係る伝送レート決定部21dの構成の一例を示す概略ブロック図である。この図において、伝送レート決定部21dは、重複率算出部210、重複率情報生成部210d、等化後伝搬路算出部213d、品質算出部214、MCS決定部215、及び送信パラメータ出力部216dを含んで構成される。なお、重複率算出部210、品質算出部214、MCS決定部215が持つ機能は、第1の実施形態と同じであるので、その説明は省略する。
【0141】
重複率情報生成部210dは、重複率算出部210から入力された重複率Rioverを示す重複率情報を生成する。重複率情報生成部210dは、生成した重複率情報を送信パラメータ出力部216dへ出力する。
等化後伝搬路算出部213dは、割当決定部205から入力された帯域割当情報及び等化後伝搬路wiHiバーに基づいて式(1)を用いて、各移動局装置UEiについての等化後伝搬路wiHiバーを算出する。ここで、等化後伝搬路算出部213dは、式(1)において、除去残差Δi,jIUI及びΔiISIに「1」を代入する。
送信パラメータ出力部216dは、重複率情報生成部210dから入力された帯域割当情報、MCS決定部215から入力された各移動局装置UEiのMCS(第1MCS)を示す情報(第1MCS指標IiMCS)、及び、割当決定部205から入力された帯域割当情報を、制御情報生成部206へ出力する。なお、この重複率情報の信号は、例えば、制御チャネルに配置され、移動局装置UEiに通知される。
【0142】
図27は、本実施形態に係るMCS設定部24dの構成の一例を示す概略ブロック図である。この図において、MCS設定部24dは、第1MCS取得部241d、MCS変換情報記憶部242d、符号変調設定部243d、MCS値記憶部244d、重複率取得部245d、第2MCS決定部246dを含んで構成される。
【0143】
第1MCS取得部241dは、各移動局装置UEiの第1MCS指標IiMCSを、制御情報生成部206から取得する。この第1MCS指標IiMCSは、基地局装置eNBから移動局装置UEiへ通知された制御情報に含まれる第1MCS指標IiMCSと同じものである。第1MCS取得部241dは、取得した第1MCS指標IiMCSを、符号変調設定部243dへ出力し、また、MCS値記憶部244dに記憶させる。
MCS変換情報記憶部242dは、第1MCS変換テーブル(図23)及び第2MCS変換テーブル(図24)を記憶する。
【0144】
符号変調設定部243dは、直交アクセス方式の場合、つまり、後述する重複率取得部245dから入力された重複率情報が示す重複率Rioverが「0」である場合には、MCS変換情報記憶部242dが記憶する第1MCS変換テーブルに基づいて、第1MCS取得部241dから入力された第1MCS指標IiMCSを符号化率及び変調方式に変換する。
符号変調設定部243dは、非直交アクセス方式の場合、つまり、後述する重複率取得部245dから入力された重複率情報が示す重複率Rioverが「0」でない場合には、MCS変換情報記憶部242dが記憶する第2MCS変換テーブルに基づいて、後述する第2MCS決定部246dから入力された第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)を符号化率及び変調方式に変換する。
符号変調設定部243dは、変換後の各移動局装置UE1〜UEIの符号化率を示す情報を、それぞれ復調部226−1〜226−I及びレプリカ生成部228−1〜228−Iへ出力する。符号変調設定部113dは、変換後の各移動局装置UE1〜UEIの変調方式を示す情報を、それぞれ復号部227−1〜227−I及びレプリカ生成部228−1〜228−Iへ出力する。
【0145】
重複率取得部245dは、制御情報生成部206から取得した重複率情報を第2MCS決定部246d及び符号変調設定部243dへ出力する。
第2MCS決定部246dは、重複率取得部245dから入力された重複率情報に基づいて、第1MCS指標の修正値IiOVERを生成する。なお、第2MCS決定部246dは、修正値IiOVERと重複率情報との対応情報を予め記憶し、この対応情報に基づいて修正値IiOVERを生成する。この対応情報は移動局装置UEiのものと同じである。
第2MCS決定部246dは、MCS値記憶部244dが記憶する第1指標IiMCSを、算出した修正値IiOVERで修正することで、第2MCS指標を生成する。例えば、第2MCS決定部246dは、第1指標IiMCSから修正値IiOVERを差し引いた第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)を算出する。
第2MCS決定部246dは、生成した第2MCS指標(IiMCS−IiOVER)を、符号変調設定部243dへ出力する。
【0146】
このように、本実施形態では、基地局装置eNBの伝送レート決定部21dが第1MCSを決定し、重複率情報を含む制御情報を生成する。移動局装置UEiのMCS決定部11d及び基地局装置eNBのMCS設定部24dは、伝送レート決定部21dが決定した第1MCS及び重複率情報に基づいて、第2MCSを決定する。
これにより、例えば、通信システムは、MCSの決定時に必要以上にIUI及びISIを考慮して伝送レートの低いMCSとすることやIUI及びISIを考慮せずに所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。よって、通信システムは、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率もしくはスループットを向上できる。
【0147】
なお、本実施形態において、第1MCS取得部111d及び241dが第1MCS指標を取得するタイミングと、重複率取得部241dが重複率情報を取得するタイミングとは、同じであっても良いし、異なっていても良い。換言すれば、送信パラメータ出力部216や制御情報生成部206、制御情報送信部207、が行う第1MCS指標及び重複率情報に対する処理は、同じタイミングの処理であっても良いし、異なるタイミングの処理であっても良い。また、第2MCS決定部116d及び246dが第2MCSを決定するタイミングは、第1MCS取得部111d及び241dが第1MCS指標を取得した直後であっても良いし、また、第1MCS取得部111d及び241dが第1MCS指標を取得するタイミングとは異なっていても良い。
【0148】
図28は、本実施形態に係る制御情報の送信タイミングの一例を表す概略図である。この図において、縦軸は時間(t)である。また、破線の矢印は第1MCS指標を含む制御情報を表し、実線の矢印は重複率情報を含む制御情報を表す。ただし、制御情報は、第1MCS指標と重複率情報の両方が含まれても良い。図28は、重複率情報を含む制御情報は、第1MCS指標を含む制御情報よりも、柔軟なタイミングで、例えば短い間隔でも送信できることを表している。
【0149】
例えば、矢印I11、I12、I13、I14は、移動局装置eNBから移動局装置UE1へ、第1MCS指標を含む制御情報が送信されたことを示す。矢印I31、I32、I33は、移動局装置eNBから移動局装置UE2へ、第1MCS指標を含む制御情報が送信されたことを示す。矢印I21、I22、I23、I24は、移動局装置eNBから移動局装置UE1へ、重複率情報を含む制御情報が送信されたことを示す。矢印I41、I42は、移動局装置eNBから移動局装置UE2へ、重複率情報を含む制御情報が送信されたことを示す。
【0150】
例えば、図28では、移動局装置UE1と接続中の基地局装置eNBにおいて、移動局装置UE2の帯域割当を開始又は変更した場合、矢印I31、I21が表す送信が行われる。つまり、矢印I31は、基地局装置eNBから移動局装置UE2へ帯域割当情報と第1MCSを含む制御情報が送信されたことを示す。矢印I21は、移動局装置UE2の帯域割当の開始又は変更によって移動局装置UE1の重複率R1overが変わり、地局装置eNBから移動局装置UE1へこの重複率R1overを含む制御情報が送信されたことを示す。
図28の場合には、基地局装置eNBは、第1MCS指標と重複率情報を異なるタイミングで送信できるので、他の移動局装置UEj(j≠i)の帯域割当を開始又は変更した場合に、移動局装置UEiに重複率情報を柔軟なタイミングで通知できる。これにより、移動局装置UEiは、柔軟にMCSを変更でき、スループットや周波数利用効率、又は受信品質を向上できる。なお、重複率情報の送信タイミングは、予め定められた時間間隔であってもよく、例えば、タイマーを用いても良い。
【0151】
また、本実施形態では、基地局装置eNBが移動局装置UEiへ、重複率Rioverを示す重複率情報を通知する場合について説明した。なお、この重複率情報は、アクセス方式を示す情報(重複率Rioverが「0」である場合は「直交アクセス方式」、重複率Rioverが「0」でない場合は「非直交アクセス方式」)でもある。しかし、本発明はこれに限らず、基地局装置eNBが移動局装置UEiへ、アクセス方式を示す情報(例えば、「直交アクセス方式」の場合は「0」、「非直交アクセス方式」の場合は「0」以外の整数、例えば「1」)としても良い。
【0152】
また、本実施形態では、基地局装置eNBが重複率情報を送信する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、基地局装置eNBは、重複率情報に代えて第2MCS指標、又は修正値IiOVERのいずれかを送信しても良い。また、移動局装置UEiは、第2MCSを決定した場合、その第2MCSを示す第2MCS指標を基地局装置eNBへ通知しても良い。その場合、基地局装置eNBでは、MCS設定部24dが通知された第2MCS指標を用いて変調方式及び符号化率を変更しても良い。
【0153】
なお、上記第2、3の実施形態及び変形例2では、基地局装置eNBが除去残差Δi,jIUI及びΔiISIの少なくとも一方を「1」として、等化後伝搬路wiHiバーを算出して第1MCSを決定する場合について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、除去残差Δi,jIUI及びΔiISIの少なくとも一方は予め定められた値であればよく、「0」〜「1」の間の値である。例えば、基地局装置eNBは、除去残差Δi,jIUIを「0.6」としても良く、また、除去残差Δi,jIUIを「0.6」、ΔiISIを「0.8」としても良い。
また、上記第2、3の実施形態及び変形例2では、基地局装置eNBは、第1MCSを決定し、第1MCSに基づいて除去残差Δi,jIUI及び除去残差ΔiISIの少なくとも一方を決定する場合について説明をした。しかし、本発明はこれに限らず、基地局装置eNBは、変調方式又は符号化率の一方を決定し、変調方式又は符号化率の一方に基づいて除去残差Δi,jIUI及び除去残差ΔiISIの少なくとも一方を決定しても良い。
【0154】
また、上記各実施形態において、基地局装置eNBがMCSを決定する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、重複率Rioverに基づいて、変調方式又は符号化率を決定しても良い。つまり、基地局装置eNBは、重複率Rioverに基づいて、移動局装置UEiの変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する。なお、基地局装置eNBは、重複率Rioverが高いほど多値数の低い変調方式に決定し、また、低い符号化率に決定する。また、基地局装置eNBは、重複率Rioverに基づいて、MCS、変調方式、又は符号化率の修正を行う為の修正値を決定しても良い。
【0155】
また、上記実施形態において、基地局装置eNBは、重複率に基づいて、伝送レート(例えば、TTI(Transmit Time Interval;送信間隔)で受信するトランスポートブロックビットの最大数や、トランスポートブロックの最大ビット数)を修正又は決定しても良いし、伝送レートに対応付けられた値(例えば、移動局カテゴリ)を修正又は決定しても良い。
【0156】
(第4の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第4の実施形態について詳しく説明する。なお、第4の実施形態に係る通信システムは図1と同じであり、移動局装置UEiの構成の一例は図7と同じである。
【0157】
<MCS決定処理について>
図29は、本発明の第4の実施形態に係るMCS決定処理の一例を表すフローチャートである。後述する伝送レート決定部21eが、このMCS決定処理を行う。本実施形態に係るMCS決定処理(図29)と第2の実施形態に係るMCS決定処理(図17)とを比較すると、ステップS302からS303は同様であり、ステップS302の前のステップ601の処理と、ステップS303に続くステップS604以降の処理が異なる。その他の処理(ステップS302〜S303)は、図17と同じであるので、説明を省略する。
【0158】
(ステップS601)基地局装置eNBは、各移動局装置UEiの伝搬路特性情報Hiを推定し、推定した伝搬路特性情報Hiより移動局装置UE1〜UEIの帯域割当を決定する。その後、ステップS302へ進む。
(ステップS604)基地局装置eNBは、ステップS303あるいは後述するステップS606で決定された全移動局のMCSと伝搬路推定値により、各移動局からの受信信号にターボ等化(繰り返し等化)を行った後の相互情報量を算出する。相互情報量の算出方法は、後述する。その後、ステップS605へ進む。
(ステップS605)基地局装置eNBは、ステップS604で算出された全移動局からの受信信号に対するターボ等化後の相互情報量が「1」であるか否かを判定する。全ての相互情報量が「1」の場合には、ステップS606へ進み、移動局の受信信号を正しく復調できないことを意味する相互情報量が「1」より小さい場合はステップS607へ進む。ここで、相互情報量が「1」より小さいかの判断は、一部の移動局の受信信号のみが相互情報量が「1」より小さい場合でもステップS607へ進むものとする。ただし、相互情報量の判定の閾値は本例に限らず、相互情報量が「1」より小さい移動局が一定数以下である場合にはステップS606へ進むものとしても良い。また、別の例として、相互情報量の閾値を「1」より小さい値としても良い。例えば、「0.95」より小さいか否かで判定行うなどである。
【0159】
(ステップS606)基地局装置eNBは、相互情報量により全移動局の受信信号が正しく検出できると判定した場合(S605−Yes)、全移動局のMCSを記憶し、特定の移動局UEkのMCSを「IkMCS+1」とする。これは、特定の移動局UEkのMCSを伝送レートの高いMCSへ変更することを意味する。ただし、MCSの伝送レートの上げ幅は上記に限らず、mを1以上の自然数として「IkMCS+m」としても良い。
このステップS606において、伝送レートを高いMCSに変更する特定の移動局UEkの決定方法としては、ステップS604で算出する相互情報量がより少ないターボ等化の繰り返し回数で「1」になる移動局や等化後のEs/N0が高い移動局を優先的にUEkとするなどがある。また、MCSを変更するUEkは1つの移動局である必要はなく、上記のUEkの決定方法で同一の優先順位の複数の移動局のMCSを伝送レートの高いMCSへ変更しても良い。その他の例として、上記のUEkの決定方法で優先順位が上位となる複数の移動局のMCSを伝送レートの高いMCSへ変更しても良い。UEkのMCSの変更を行った後、再度ステップS604に進み、更新されたMCSを用いた場合の相互情報量の算出を行う。
(ステップS607)基地局装置eNBは、相互情報量により全移動局の受信信号の少なくとも一部が正しく検出できないと判定した場合(S605−No)、ステップS606で記憶された全移動局の受信信号が正しく検出できると判定された全移動局のMCSを取得し、出力する。具体的には、全移動局からの受信信号に対するターボ等化後の相互情報量が「1」となる直近のMCSを取得する。
(ステップS608)基地局装置eNBは、ステップS607で取得した全移動局のMCSを移動局に通知するMCSに決定する。
【0160】
図30は、ステップS604における相互情報量の算出処理の一例を表すフローチャートである。なお、下記のステップS702〜S706およびS709は、各移動局について処理を行う。
(ステップS701)ターボ等化の繰り返し回数を示すSを「1」に初期化する。
(ステップS702)ISIの除去残差ΔiISIとIUIの除去残差Δi,jIUIに「1」を代入する。
(ステップS703)基地局装置eNBは、各移動局装置UEiの伝搬路特性情報Hiと除去残差であるΔiISIとΔi,jIUIと式(1)を用いて、等化後の伝搬路利得を算出する。ここで、算出された等化後の伝搬路利得には、ISIやIUIの干渉が考慮された値が得られる。
(ステップS704)ステップS703で算出した等化後の伝搬路利得より、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)を用いて等化後のEs/N0を算出する。さらに、図31に示す変調方式毎(BPSK、QPSK、16QAM、64QAM)の等化後のEs/N0と、等化器の出力相互情報量(mutual information)との関係を参照して、等化器の出力相互情報量を算出する。すなわち、まず、選択されているMCSが示す変調方式に基づき、Es/N0と、等化器の出力相互情報量との関係を示すグラフを選択する。次に、算出したEs/N0に対応する等化器の出力相互情報量を、該選択したグラフを参照して、求める。なお、この図31は、AWGN(Additive White Gaussian Noise)チャネルにおける復調後のLLRより算出した相互情報量を示したものである。このようにEs/N0から相互情報量を算出することは、図31の変調方式毎の特性を予めテーブル化、もしくは近似式を求めておくことで可能である。
【0161】
(ステップS705)ステップS303またはS606で決定したMCSが示す符号化率に基づき、復号器の入力相互情報量と出力相互情報量との関係であるEXIT(Extrinsic Information Transfer)特性を取得する。図32は、ターボ符号を用いた場合の符号化率毎(r=1/3、1/2、2/3、3/4)のEXIT特性を図32に示す。図32において、縦軸は入力相互情報量(mutual information(input))、横軸は出力相互情報量(mutual information(output))である。なお、EXIT特性は、符号化率だけでなく、符号化方法にも依存するが、本実施形態では、符号化方法としてターボ符号のみを用いているため、符号化率のみに基づきEXIT特性を選択している。複数の符号化方法の中から選択して用いるような形態の場合は、符号化方法と符号化率との組合せごとにEXIT特性を記憶しておき、符号化方法と符号化率との組合せに基づき、記憶している中からEXIT特性を選択するようにすればよい。これらのEXIT特性は、ステップS704と同様にテーブル化、もしくは近似式を求めておいて、予め記憶しておき、それらの中から選択することで取得する。
(ステップS706)ステップS705で取得したEXIT特性と、ステップS704にて算出した等化器の出力相互情報量とにより復号器の出力相互情報量を算出する。具体的には、等化器の出力相互情報量を、復号器の入力相互情報量としたときに、EXIT特性が示す出力相互情報量を、復号器の出力相互情報量とする。
(ステップS707)ターボ等化の繰り返し回数をインクリメントする。
(ステップS708)ターボ等化の繰り返し回数が上限のSMAXを超えているか否かの判定を行う。ターボ等化の繰り返し回数の上限まで処理を行った場合は、ステップS706で得られた各移動局の出力相互情報量が、各移動局におけるターボ等化を行った後の相互情報量に相当するため、出力する。一方、ターボ等化の繰り返し回数が上限となっていない場合には、ステップS709に進む。
【0162】
(ステップS709)ステップS706で得られた各移動局の相互情報量(復号器の出力相互情報量)より、各移動局の復号器出力のLLRを算出する。LLRの算出方法は、まず、各移動局の相互情報量Idec_out(復号器の出力相互情報量)より次式(14)の関数で、各移動局についてノイズの平均電力σ2を求める。
【0163】
【数11】
【0164】
そして、例えば、BPSK変調を用いる場合には、一貫性条件に基づいてノイズの平均電力σ2より次式(16)でLLRを算出する。
【0165】
【数12】
【0166】
ただし、nは平均0、分散σ2の加法性白色ガウス雑音である。また、sは送信信号であるが、基地局でMCSの決定時には受信する変調信号を得ることはできない。そのため、乱数により発生したビットに対して、ステップS703で用いた変調方式で変調を行った信号を式(16)のsとして用いる。
算出した全移動局のLLRにより、式(6)と式(7)を用いて、ISIの除去残差ΔiISIとIUIの除去残差Δi,jIUIを求める。ステップS703に進み、これらの除去残差により、再度等化後の伝搬路の算出を行う。
以上の処理を行うことで、全移動局の受信信号のターボ等化後の相互情報量を算出する。
【0167】
<基地局装置eNBについて>
本実施形態に係る基地局装置eNBは、第2の実施形態にかかる基地局装置eNB(図15)の伝送レート決定部21bに代えて、伝送レート決定部21eを備えるものである。
図33は、本実施形態に係る伝送レート決定部21eの構成の一例を示す概略ブロック図である。伝送レート決定部21eは、等化後伝搬路算出部217b、品質算出部218b、第1MCS決定部219b、相互情報量算出部254e、信号検出判定部255e、第2MCS決定部256e、送信パラメータ出力部216を含んで構成される。図33において、図15と同様の部分には同一の符号(216、217b〜219b)を付し、説明を省略する。伝送レート決定部21eは、割当決定部205より帯域割当情報及び伝搬路推定値が入力される。また、これらの情報は、等化後伝搬路算出部217b、相互情報量算出部254eへ入力される。また、帯域割当情報は送信パラメータ出力部216にも入力される。等化後伝搬路算出部217bから第1MCS決定部219bまでの信号処理は、第2の実施形態と同じであるので、説明を省略する。第1MCS決定部219bにより決定された全移動局UEのMCSは、相互情報量算出部254eと第2MCS決定部256eに入力される。
【0168】
相互情報量算出部254eは、帯域割当情報、伝搬路推定値、全移動局UEのMCS情報I1MCS、I2MCS、…、IIMCSが入力される。相互情報量算出部254eは、これらの情報に基づき、全移動局の受信信号のターボ等化後の相互情報量を算出する。すなわち、相互情報量算出部254eは、図29のステップS604の処理を行う。なお、MCS情報I1MCS、I2MCS、…、IIMCSは、繰り返し処理の初回は、第1MCS決定部219bから入力され、2回目以降は、第2MCS決定部256eから入力される。信号検出判定部255eは、相互情報量算出部254eより全移動局の受信信号のターボ等化後の相互情報量が入力され、全移動局からの受信信号が正しく検出できるかの判定を行う。信号の検出が正しくできるか否かは、相互情報量が「1」か「1」未満かで判定を行う。すなわち、信号検出判定部255eは、図29のステップS605の処理を行う。
【0169】
第2MCS決定部256eは、信号検出判定部255eより現在選択されている全移動局のMCSの組合せで信号が正しく検出できているかの情報が入力される。さらに、第2MCS決定部256eは、第1MCS決定部219bより全移動局のMCS情報I1MCS、I2MCS、…、IIMCSが入力される。第2MCS決定部256eは、現在選択されている全移動局のMCSの組合せで信号が正しく検出できると信号検出判定部255eが判定した場合には、少なくとも1つの移動局UEkのMCSを伝送レートの高いMCSに変更する。すなわち、第2MCS決定部256eは、図29のステップS606の処理を行う。さらに、第2MCS決定部256eは、変更したMCS情報I1MCS’、I2MCS’、…、IIMCS’を記憶し、相互情報量算出部254eへ入力する。その結果、変更したMCS情報I1MCS’、I2MCS’、…、IIMCS’に基づく相互情報量が相互情報量算出部254eにより算出され、算出された相互情報量により得られる信号検出が正しくできるか否かの判定結果が信号検出判定部255eから第2MCS決定部256eへ入力されるというように繰り返し処理が行われる。
【0170】
一方、第2MCS決定部256eは、現在選択されている全移動局のMCSの組合せで信号が正しく検出できないと信号検出判定部255eが判定した場合、第2MCS決定部256eが記憶しているMCS情報を送信パラメータ出力部216に出力する。ここで、第2MCS決定部256eが出力するMCS情報の一例は、全移動局の信号が正しく検出できる全移動局のMCSの組合せの中で、全移動局のスループットの合計が最大になるMCS情報とするなどである。すなわち、第2MCS決定部256eは、図29のステップS607、S608の処理も行う。送信パラメータ出力部216の処理は、第2の実施形態と同じである。
【0171】
図34は、本実施形態に係る相互情報量算出部254eの構成の一例を示す概略ブロック図である。相互情報量算出部254eは、MCS情報取得部260e、等化後伝搬路算出部261e、品質算出部262e、等化器出力相互情報量算出部263e、復号器出力相互情報量算出部264e、復号器EXIT特性取得部265e、除去残差算出部266eを含んで構成される。相互情報量算出部254eでは、等化後伝搬路算出部261eへ割当決定部205より帯域割当情報及び伝搬路推定値が入力され、MCS情報取得部260eへ第1MCS決定部219bもしくは第2MCS決定部256eのいずれかから全移動局のMCS情報が入力される。MCS情報取得部260eは、MCS情報より変調方式の情報を抽出し、等化器出力相互情報量算出部263eへ入力し、MCS情報より符号化率の情報を抽出し、復号器EXIT特性取得部265eへ入力する。
【0172】
等化後伝搬路算出部261eは、除去残差算出部266eより除去残差ΔiISI、Δi,jIUIが入力され、式(1)で等化後の伝搬路利得を算出する。ただし、除去残差算出部266eは、復号器出力相互情報量算出部264eからの入力がない場合、ΔiISI=Δi,jIUI=1を出力する。すなわち、等化後伝搬路算出部261eは、図30のステップS702、S703の処理を行う。品質算出部262eは、等化後の伝搬路利得より、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)で等化後のEs/N0を算出する。等化器出力相互情報量算出部263eは、図31の変調方式毎の等化後のEs/N0と等化器の出力相互情報量の関係より出力相互情報量を算出する。すなわち、品質算出部262eは、図30のステップ704の処理を行う。一方、復号器EXIT特性取得部265eは、入力された符号化率に相当する復号器のEXIT特性を取得し、復号器出力相互情報量算出部264eへ出力する。複数の誤り訂正符号化が可能な場合には、復号器EXIT特性取得部265eへ符号化方法も入力され、符号化方法と符号化率によって決定される復号器のEXIT特性を出力する。すなわち、復号器EXIT特性取得部265eは、図30のステップS705の処理を行う。
【0173】
復号器出力相互情報量算出部264eは、等化器出力相互情報量算出部263eで算出された等化器の出力相互情報量と、復号器EXIT特性取得部265eで取得されたEXIT特性が入力される。復号器出力相互情報量算出部264eは、EXIT特性を参照して、等化器の出力相互情報量を、復号器の入力相互情報量としたときの復号器の出力相互情報量を算出する。算出された復号の出力相互情報量は、ターボ等化の繰り返し回数が上限値に達していない場合、除去残差算出部266eへ入力される。復号の出力相互情報量は、ターボ等化の繰り返し回数が上限値に達した場合には、信号検出判定部255eへ入力される。すなわち、復号器出力相互情報算出部264eは、図30のステップS706からS708の処理を行う。
除去残差算出部266eは、式(14)、(15)でLLRを算出する。さらに、除去残差算出部266eは、算出したLLRより式(6)と式(7)を用いて、ISIの除去残差ΔiISIとIUIの除去残差Δi,jIUIを算出し、等化後伝搬路算出部261eへ入力する。すなわち、除去残差算出部266eは、図30のステップS709の処理を行う。
【0174】
図35、図36は、本実施形態によりMCSを決定した場合とIUIの除去残差Δi,jIUIを固定値(0.2、0.4、1.0)とした場合(図9、図10と同様)のスループット特性である。図35は最大重複率を10%とし、図36は最大重複率を30%とした場合である。誤り訂正符号はターボ符号を用い、MCSは符号化率を1/3、1/2、2/3、3/4、変調方式をQPSK、16QAMから選択した場合である。どちらの条件でも本実施形態におけるMCSの選択方法を用いることで、スループット(単位周波数帯域当りに誤りなく送信できる情報ビット数、すなわち後述する伝送レート×(1−誤り率))の改善効果があるかことがわかる。
【0175】
本実施形態により、MCSの決定時に過大にIUIを評価して伝送レート(単位周波数帯域当りに送信する情報ビット数)の低いMCSとすることや、過小にIUIを評価してビット誤り率などの所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。さらに、変調方式によるターボ等化の干渉除去能力の劣化分もMCSの決定に反映できる。よって、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率やスループットを向上できる。
【0176】
(第5の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第5の実施形態について詳しく説明する。なお、第5の実施形態に係る通信システムは図1と同じである。
【0177】
<移動局装置UEiについて>
図37は、本実施形態に係るUEiの構成の一例を示す概略ブロック図である。本実施形態に係る移動局装置UEi(図37)と第1の実施形態に係る移動局装置UEi(図7)とを比較すると、DFT部103と周波数マッピング部104との間にクリッピング部810が追加されている点が異なる。しかし、他の構成要素(符号101〜109)が持つ機能は第1、2の実施形態と同じであるので、第1、2の実施形態と同じ機能の説明は省略する。クリッピング部810は、DFT部103より周波数領域の信号が入力され、この周波数領域の信号の一部をゼロに置き換えて出力する。これは、周波数領域の信号の一部(ゼロに置き換えた部分)を送信しないことを意味する。クリッピング部810から出力された信号は、周波数マッピング部104へ入力される。図38にクリッピング部810の入力信号と出力信号の一例を示す。P23は、クリッピング部810への入力信号であり、P24はクリッピング部810からの出力信号である。同図に示すように、クリッピング部810は一部の周波数領域の信号を欠落させる処理である。また、本実施形態では、複数の移動局UE1〜UEIが直交アクセス方式であるものとして説明するが、非直交アクセス方式にも適用可能である。
【0178】
<基地局装置eNBについて>
図39は、本実施形態に係る基地局装置eNBの構成を示す概略ブロック図である。基地局装置eNBは、アンテナ201、受信処理部202、参照信号分離部203、伝搬路推定部204、割当決定部205、制御情報生成部206、制御情報送信部207、FFT部208、デマッピング部209、残差算出部221−1〜221−I、ソフトキャンセラ部222−1〜222−I、等化部223−1〜223−I、IDFT部224−1〜224−I、合成部225−1〜225−I、復調部226−1〜226−I、復号部227−1〜227−I、レプリカ生成部228−1〜228−I、DFT部229−1〜229−I、伝搬路乗算部230−1〜230−I、伝送レート決定部21f、MCS設定部24d、クリッピング部820−1〜820−Iを含んで構成される。本実施形態に係る基地局装置eNBは、第1の実施形態にかかる基地局装置eNB(図8)の伝送レート決定部21に代えて、伝送レート決定部21fを備えるものである。さらに、DFT部229−1〜229−Iと伝搬路乗算部230−1〜230−Iとの間にクリッピング820−1〜820−Iが追加になっている。しかし、他の構成要素(符号201〜209、221−1〜230−1、・・・221−I〜230−I、24d)が持つ機能は第1、2の実施形態と同じであるので、第1、2の実施形態と同じ機能の説明は省略する。クリッピング部820−iは、DFT部229−iから入力された信号に対して、移動局装置UEiのクリッピング部と同様の周波数領域の信号の一部をゼロにする処理を施し、伝搬路乗算部230−iに入力する。
【0179】
図40は、本実施形態に係る伝送レート決定部21fの構成の一例を示す概略ブロック図である。伝送レート決定部21fは、等化後伝搬路算出部217b、品質算出部218b、第1MCS決定部219b、相互情報量算出部254f、信号検出判定部255e、第2MCS決定部256e、送信パラメータ出力部216を含んで構成される。本実施形態に係る伝送レート決定部21fは、第4の実施形態に係る伝送レート決定部21e(図33)と比較すると、相互情報量算出部254fが異なる。しかし、他の構成要素(符号217b〜219b、255e、256e、216)が持つ機能は第4の実施形態と同じであるので、第4の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0180】
図41は、本実施形態に係る相互情報量算出部254fの構成の一例を示す概略ブロック図である。相互情報量算出部254fは、MCS情報取得部260e、等化後伝搬路算出部261f、品質算出部262e、等化器出力相互情報量算出部263e、復号器出力相互情報量算出部264e、復号器EXIT特性取得部265e、除去残差算出部266fを含んで構成される。本実施形態に係る相互情報量算出部254fは、第4の実施形態に係る相互情報量算出部254e(図34)と比較すると、等化後伝搬路算出部261fと除去残差算出部266fが異なる。しかし、他の構成要素(符号260e、262e〜265e)が持つ機能は第4の実施形態と同じであるので、第4の実施形態と同じ機能の説明は省略する。
【0181】
等化後伝搬路算出部261fは、除去残差算出部266fより除去残差ΔiISIが入力され、式(1)で等化後の伝搬路利得を算出する。ただし、Hi,jIUIバーは直交アクセス方式のため「0」であり、除去残差Δi,jIUIは除去残差算出部266fより入力されないが、「0」であるものとして処理する。また、除去残差算出部266fは、復号器出力相互情報量算出部264eからの入力がない場合、ΔiISI=1を出力する。除去残差算出部266fは、式(14)、(15)でLLRを算出する。さらに、除去残差算出部266fは、算出したLLRより式(6)と式(7)を用いて、ISIの除去残差ΔiISIを算出し、等化後伝搬路算出部261fへ入力する。
【0182】
本実施形態では、直交アクセス方式として説明したが、非直交アクセス方式にも適用可能であり、その場合は伝送レート決定部21fが第4の実施形態の伝送レート決定部21eと同じ構成となる。
【0183】
本実施形態により、MCSの決定時に必要以上にISIを考慮して伝送レートの低いMCSとすることやISIを考慮せずに所要品質を満たせない伝送レートの高いMCSとすることがなくなり、適切な伝送レートのMCSを決定できる。さらに、変調方式によるターボ等化の干渉除去能力の劣化分もMCSの決定に反映できる。よって、受信処理に繰り返し等化を用いる非直交アクセス方式を用いる場合でも、リンクアダプテーションを適切に行うことができ、周波数利用効率もしくはスループットを向上できる。
【0184】
なお、上記各実施形態において、重複率に代えて、重複帯域幅を用いても良い。ここで、移動局装置UEiにおける重複帯域幅とは、他の移動局装置UEj(i=1〜I、j≠i)と重複して割り当てられた周波数帯域の帯域幅の合計値である。この場合、基地局装置eNBは、重複帯域幅が広いいほど多値数の低い変調方式に決定し、また、低い符号化率に決定する。
また、重複率に代えて、非重複率や非重複率帯域幅を用いても良い。ここで、移動局装置UEiにおける非重複率とは、(他の移動局装置UEj(i=1〜I、j≠i)と重複しないで割り当てられた移動局装置UEiの周波数帯域の帯域幅の合計値)/(移動局装置UEiに割り当てられた周波数帯域の帯域幅の合計値)である。また、移動局装置UEiにおける非重複率帯域幅とは、他の移動局装置UEj(i=1〜I、j≠i)と重複しないで割り当てられた移動局装置UEiの周波数帯域の帯域幅の合計値である。これらの場合、基地局装置eNBは、非重複率や非重複率帯域幅が広いほど多値数の高い変調方式に決定し、また、高い符号化率に決定する。
上記の重複率、非重複率、重複帯域幅、非重複帯域幅は、予め定められた周波数帯域(例えば、システム帯域、バンド、要素キャリア)毎に算出されても良い。
【0185】
また、上記各実施形態において、周波数帯域幅は、例えば、Hz(ヘルツ)で表されても良いし、サブキャリア数やリソースブロックの個数(NRB)で表されても良い。
なお、上記において、基地局装置eNBがターボ等化処理を行う場合について説明したが、本発明はこれに限らず、基地局装置eNBは、SIC(Successive Interference Cancellation)処理を行っても良い。また例えば、基地局装置eNBは、繰り返し等化処理の種類(ターボ等化、SIC等)に応じて、異なる対応付けのIUI残差テーブル、ISI残差テーブルを用いて、除去残差Δi,jIUIや除去残差ΔiISI、MCSを決定しても良い。また、基地局装置eNBは、繰り返し等化処理の種類に応じて、重複率Rioverに対応する除去残差Δi,jIUIやΔiISIの値を修正しても良い。
【0186】
なお、上記実施形態において、伝送レート決定部21、21a、21b、21c、21d、21e、21f、MCS決定部11d、又はMCS設定部24dが決定した除去残差Δi,jIUIやΔiISIを、等化部223−1〜223−Iへ入力しても良い。等化部223−1〜223−Iは、例えばターボ等化処理の繰り返し1回目に、伝送レート決定部21、21aから入力された除去残差Δi,jIUIやΔiISIを用いて、重みwiを算出しても良い。また、等化部223−1〜223−Iは、例えばターボ等化処理の繰り返し1回目に、伝送レート決定部21、21a、21b、21c、21d、21e、21f、MCS決定部11d、又はMCS設定部24dが算出した重みwiを用いて、等化処理を行っても良い。
また、上記各実施形態において、基地局装置eNBは、移動局装置UEiとUEjの帯域が全く同一に割り当てられる場合は、上記のMCS決定処理以外の処理によってMCSを決定してもよい。つまり、基地局装置eNBは、例えば、マルチユーザMIMOの場合には他の処理でMCSを決定し、それ以外の場合には上記のMCS決定処理を行っても良い。また例えば、第2MCS決定部116d及び第2MCS決定部246は、マルチユーザMIMOの場合には他の処理で第2MCSを決定して、それ以外の場合には上記の処理を行っても良い。
【0187】
なお、上述した実施形態に係る基地局装置eNB、移動局装置UEiの一部、をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、基地局装置eNB又は移動局装置UEiに内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上述した実施形態に係る基地局装置eNB及び移動局装置UEiの一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現しても良い。基地局装置eNB及び移動局装置UEiの各機能ブロックは個別にプロセッサ化しても良いし、一部、または全部を集積してプロセッサ化しても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いても良い。
【0188】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0189】
eNB・・・基地局装置(受信装置)、UE1〜UEI・・・移動局装置(送信装置)、201・・・アンテナ、202・・・受信処理部、203・・・参照信号分離部、204・・・伝搬路推定部、205・・・割当決定部、206・・・制御情報生成部、207・・・制御情報送信部、208・・・FFT部、209・・・デマッピング部、T1・・・繰返等化部、221−1〜221−I・・・残差算出部、222−1〜222−I・・・ソフトキャンセラ部、223−1〜223−I・・・等化部、224−1〜224−I・・・IDFT部、225−1〜225−I・・・合成部、226−1〜226−I・・・復調部、227−1〜227−I・・・復号部、228−1〜228−I・・・レプリカ生成部、229−1〜229−I・・・DFT部、230−1〜230−I・・・伝搬路乗算部、231−1〜231−I・・・IUI抽出部、24d・・・MCS設定部、21、21a、21b、21c、21d、21e、21f・・・伝送レート決定部(送信方式決定部)、210、210d・・・重複率算出部、211、211b・・・IUI残差情報記憶部、212、212b・・・IUI残差決定部、213、213a、213d・・・等化後伝搬路算出部、214・・・品質算出部、215・・・MCS決定部、216、216d・・・送信パラメータ出力部、211a、211c・・・ISI残差情報記憶部、212a、212c・・・ISI残差決定部、217b・・・第1等化後伝搬路算出部、218b・・・第1品質算出部、219b・・・第1MCS決定部、241d・・・第1MCS取得部、242d・・・MCS変換情報記憶部、243d・・・符号変調設定部、244d・・・MCS値記憶部、245d・・・重複率取得部、246d・・・第2MCS決定部、254e、254f・・・相互情報量算出部、255e・・・信号検出判定部、256e・・・第2MCS決定部、260e・・・MCS情報取得部、261e、261f・・・等化後伝搬路算出部、262e・・・品質算出部、263e・・・等化器出力相互情報量算出部、264e・・・復号器出力相互情報量算出部、265e・・・復号器EXIT特性取得部、266e、266f・・・除去残差算出部、810・・・クリッピング部、820−1〜820−I・・・クリッピング部、109・・・制御情報受信部、101・・・符号部、102・・・変調部、103・・・DFT部、104・・・周波数マッピング部、105・・・IFFT部、106・・・参照信号多重部、107・・・送信処理部、108・・・アンテナ、11d・・・MCS決定部、111d・・・第1MCS取得部、112d・・・MCS変換情報記憶部、113d・・・符号変調設定部、114d・・・MCS値記憶部、115d・・・重複率取得部、116d・・・第2MCS決定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する送信方式決定部を備える送信方式決定装置。
【請求項2】
前記送信方式決定部は、第1の送信装置と少なくとも1つの第2の送信装置とで重複して割り当てられた重複周波数帯域に関する重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する請求項1に記載の送信方式決定装置。
【請求項3】
前記送信方式決定部は、前記重複周波数帯域の大きさを示す重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する請求項2に記載の送信方式決定装置。
【請求項4】
前記送信方式決定部は、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域の大きさと前記重複周波数帯域との比率を示す重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する請求項2又は請求項3に記載の送信方式決定装置。
【請求項5】
前記送信方式決定部は、前記重複周波数帯域の有無を示す重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する請求項2に記載の送信方式決定装置。
【請求項6】
前記送信方式決定部は、前記重複情報に基づいて、受信装置による等化を行った場合における伝送品質を算出し、算出した伝送品質を示す情報に基づいて前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の送信方式決定装置。
【請求項7】
前記送信方式決定部は、前記重複情報に基づいて、受信装置によって繰り返し等化を行った場合における等化重みを算出し、算出した等化重みに基づいて前記伝送品質を算出する請求項6に記載の送信方式決定装置。
【請求項8】
前記送信方式決定部は、前記重複情報に基づいて、受信装置によって繰り返し等化を行った場合における干渉除去残差を算出し、算出した干渉除去残差に基づいて前記等化重みを算出する請求項7に記載の送信方式決定装置。
【請求項9】
前記送信方式決定部は、受信装置によって繰り返し等化以外の等化を行った場合における等化重みを算出し、算出した等化重みに基づいて前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定し、決定した変調方式及び符号化率の少なくとも一方と前記重複情報に基づいて受信装置による等化を行った場合における等化重みを算出する請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の送信方式決定装置。
【請求項10】
前記送信方式決定部は、ユーザ間干渉の干渉除去残差を算出する請求項8に記載の送信方式決定装置。
【請求項11】
前記送信方式決定部は、シンボル間干渉の干渉除去残差を算出する請求項8に記載の送信方式決定装置。
【請求項12】
前記送信方式決定部は、前記第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、前記第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域とに基づき算出した相互情報量であって、受信装置によって繰り返し等化を行った後の相互情報量に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する請求項1に記載の送信方式決定装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の送信方式決定装置を備える基地局装置。
【請求項14】
第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定するプロセッサ。
【請求項15】
送信方式決定部が、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する送信方式決定過程を有する送信方式決定方法。
【請求項16】
コンピュータに、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する手順を実行させるための送信方式決定プログラム。
【請求項17】
第1の送信装置と少なくとも1つの第2の送信装置とで重複して割り当てられた重複周波数帯域に関する重複情報に応じた変調方式で、変調を行う変調部を備える送信装置。
【請求項18】
第1の送信装置と少なくとも1つの第2の送信装置とで重複して割り当てられた重複周波数帯域に関する重複情報に応じた符号化率で、符号を行う符号部を備える送信装置。
【請求項1】
第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する送信方式決定部を備える送信方式決定装置。
【請求項2】
前記送信方式決定部は、第1の送信装置と少なくとも1つの第2の送信装置とで重複して割り当てられた重複周波数帯域に関する重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する請求項1に記載の送信方式決定装置。
【請求項3】
前記送信方式決定部は、前記重複周波数帯域の大きさを示す重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する請求項2に記載の送信方式決定装置。
【請求項4】
前記送信方式決定部は、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域の大きさと前記重複周波数帯域との比率を示す重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する請求項2又は請求項3に記載の送信方式決定装置。
【請求項5】
前記送信方式決定部は、前記重複周波数帯域の有無を示す重複情報に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する請求項2に記載の送信方式決定装置。
【請求項6】
前記送信方式決定部は、前記重複情報に基づいて、受信装置による等化を行った場合における伝送品質を算出し、算出した伝送品質を示す情報に基づいて前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の送信方式決定装置。
【請求項7】
前記送信方式決定部は、前記重複情報に基づいて、受信装置によって繰り返し等化を行った場合における等化重みを算出し、算出した等化重みに基づいて前記伝送品質を算出する請求項6に記載の送信方式決定装置。
【請求項8】
前記送信方式決定部は、前記重複情報に基づいて、受信装置によって繰り返し等化を行った場合における干渉除去残差を算出し、算出した干渉除去残差に基づいて前記等化重みを算出する請求項7に記載の送信方式決定装置。
【請求項9】
前記送信方式決定部は、受信装置によって繰り返し等化以外の等化を行った場合における等化重みを算出し、算出した等化重みに基づいて前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定し、決定した変調方式及び符号化率の少なくとも一方と前記重複情報に基づいて受信装置による等化を行った場合における等化重みを算出する請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の送信方式決定装置。
【請求項10】
前記送信方式決定部は、ユーザ間干渉の干渉除去残差を算出する請求項8に記載の送信方式決定装置。
【請求項11】
前記送信方式決定部は、シンボル間干渉の干渉除去残差を算出する請求項8に記載の送信方式決定装置。
【請求項12】
前記送信方式決定部は、前記第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、前記第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域とに基づき算出した相互情報量であって、受信装置によって繰り返し等化を行った後の相互情報量に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する請求項1に記載の送信方式決定装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の送信方式決定装置を備える基地局装置。
【請求項14】
第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定するプロセッサ。
【請求項15】
送信方式決定部が、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する送信方式決定過程を有する送信方式決定方法。
【請求項16】
コンピュータに、第1の送信装置に割り当てられた周波数帯域と、当該周波数帯域と一部が重複する周波数帯域を使用する第2の送信装置の少なくとも1つに割り当てられた周波数帯域と、に基づいて、前記第1の送信装置の変調方式及び符号化率の少なくとも一方を決定する手順を実行させるための送信方式決定プログラム。
【請求項17】
第1の送信装置と少なくとも1つの第2の送信装置とで重複して割り当てられた重複周波数帯域に関する重複情報に応じた変調方式で、変調を行う変調部を備える送信装置。
【請求項18】
第1の送信装置と少なくとも1つの第2の送信装置とで重複して割り当てられた重複周波数帯域に関する重複情報に応じた符号化率で、符号を行う符号部を備える送信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【公開番号】特開2013−66148(P2013−66148A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−7049(P2012−7049)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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