説明

送信方法及び送信装置

【課題】複数の送信データを空間多重で無線通信する場合に、実データ部分の信号長が不均一になることによる通信品質の低下を抑止する。
【解決手段】複数の送信データを空間多重で送信する送信方法であって、各送信データの送信先に応じたチャネル情報に基づいて、送信データ毎に変調モードと送信電力割り当てを決定し、送信データ毎に、決定された変調モードで信号が生成された場合の信号長を算出し、最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データについて、最も長い信号長よりも短く且つ算出された信号長よりも信号長が長くなる新たな変調モードを選択し、選択された新たな変調モードに基づいて、送信データから送信信号を生成し、送信信号を無線で送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間多重を用いて複数の送信データを同時に通信する無線通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、2.4GHz帯または5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムとして、IEEE802.11g規格、IEEE802.11a規格などの普及が目覚しい。これらのシステムでは、マルチパスフェージング環境での特性を安定化させるための技術である直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用い、最大で54Mbpsの物理層伝送速度を実現している。
【0003】
ただし、ここでの伝送速度とは物理レイヤ上での伝送速度である。MAC(Medium Access Control)レイヤでの伝送効率は50〜70%程度であるため、実際のスループットの上限値は30Mbps程度である。その上、情報を必要とする通信相手が増えればこの特性は更に低下する。一方で、各家庭にも光ファイバを用いたFTTH(Fiber to the home)が普及したことにより、有線LAN(Local Area Network)の世界ではEthernet(登録商標)の100Base−Tインタフェースをはじめ、100Mbpsの高速回線の提供が普及している。そのため、無線LANの世界においても更なる伝送速度の高速化が求められている。
【0004】
そのための技術として、IEEE802.11nにおいて、空間多重送信技術としてMIMO(Multiple input multiple output)技術が導入された。さらに、IEEE802.11acでは、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)通信方法が検討されている(非特許文献1)。下り回線におけるMU−MIMO通信では、複数の端末に対し、同一タイムスロット、同一周波数チャネルで送信が行われる。
【0005】
図5は、従来のMU−MIMOによる送受信システムの構成を示す図である。図5に示す送受信システムは、基地局9と複数台の端末98(98−1〜98−M)を備える。基地局9は、データ選択・出力回路91、送信信号生成回路92、無線信号送受信回路93、複数のアンテナ94(94−1〜94−N)、受信信号復調回路95、チャネル情報記憶回路96、変調モード決定回路97を備える。Mは端末装置98の台数を表し、Nは基地局9のアンテナ94の数を表す。
【0006】
基地局9から端末装置98への送信において、データ選択・出力回路91は、通信相手となる1又は複数の端末装置98を決定し、決定した通信相手へ送信する1又は複数の情報(送信データ)を送信信号生成回路92に出力する。同一のタイミングで出力された一組の送信データは、同一のタイムスロット且つ同一の周波数チャネルで空間多重により送信される。また、データ選択・出力回路91は、通信相手となる端末装置98を表す情報を、変調モード決定回路97に出力する。
【0007】
変調モード決定回路97は、チャネル情報記憶回路96が記憶しているチャネル情報を用いて、通信相手への空間多重数、送信ウエイト、変調方式、符号化率、送信電力割り当てを決定する。また、変調モード決定回路97は、チャネル情報に基づいて通信相手を選択し、データ選択・出力回路91に通信相手を示す情報を出力することで、当該通信相手の送信データを選択させても良い。また、変調モード決定回路97は、データ選択・出力回路91で選択されている通信相手の中から、実際に送信する通信相手を選んでも良い。変調モード決定回路97は、決定した空間多重数、送信ウエイト、変調方式、符号化率、送信電力割り当てを送信信号生成回路92に出力する。ここで、送信電力割り当ては、常に等電力配分とすることもできる。
【0008】
送信信号生成回路92は、変調モード決定回路97によって決められた空間多重数、送信ウエイト、変調方式、符号化率を用いて、送信データに変調・符号化を行い、実データ部分信号を生成する。実データ部分信号とは、送信データ(実データ)を変調・符号化することによって生成される信号であり、他の信号(トレーニング信号やパディングなど)を含まない信号である。実データ部分信号に対して他の制御信号等が付加されることによって、実際に送信される対象となる信号(送信信号)が生成される。
【0009】
送信信号生成回路92は、実データ部分信号に対し送信ウエイトを乗算し、信号検出や通信情報伝達に用いるパイロット信号(既知信号)やpaddingを挿入して、送信信号を生成する。送信信号生成回路92は、生成した送信信号を無線信号送受信回路93へ出力する。無線信号送受信回路93は、入力された送信信号を搬送波周波数にアップコンバートし、アンテナ94−1〜94−Nを介して送信する。このとき、無線信号送受信回路93は、各送信データについて生成された各送信信号を、少なくとも一つのアンテナ94を介して送信する。
【0010】
基地局9のアンテナ94から送信された各送信信号は、各端末装置98によって受信される。各端末装置98は、自装置宛ての送信信号を選択して復号化・復調する。
端末装置98から送信される信号は、アンテナ94−1〜94−Nを介して受信される。無線信号送受信回路93は、受信された信号をベースバンド信号に変換し、デジタル信号を取得する。受信信号復調回路95は、データの復調とチャネル情報の推定を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】IEEE、 “Proposed specification framework for TGac,” doc.: IEEE 802.11-09/0992r21、2011年1月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、端末装置98宛ての各送信信号の長さは必ずしも同じにならない。そのため、MU−MIMO通信は、送信する複数の端末装置98宛てのパケット信号のうち、その一部しか多重できないという問題があった。詳しくは以下の通りである。
【0013】
従来のMU−MIMO通信では、通信相手となる端末装置98に対して生成される送信信号の信号長は必ずしも同じとは限らない。図6は、従来のMU−MIMOにける通信で複数の通信相手に送信される送信信号の概略を示す図である。図6に示される例では、一組の送信データとして、端末装置98−1、98−2、98−3に送信される各送信データが処理の対象となる。図6において、STは、タイミング同期のためのショート・トレーニング・シンボルを示す。LTは、周波数同期及びチャネル情報推定のためのロング・トレーニング・シンボルを示す。xLTは、送信ウエイトを含む各端末装置98へのチャネル情報を推定するためのトレーニングシンボルを示す。Data for STA 1〜3は、それぞれ通信相手となる端末装置98−1、98−2、98−3に対し送信される送信データから生成された信号(実データ部分信号)を示す。Paddingはダミーの信号であり、最も長い信号長の送信信号に合わせて送信信号に付加される。
【0014】
MU−MIMOのメリットを得ることができるのは、Data for STA 1〜3の送信信号のうち、複数の端末に対して同時に送信が行われている時間帯の送信信号のみである。したがって、Data for STA 1〜3のうちData for STA 1の送信信号しか送信されていない時間帯(T1)では、単に端末装置98−1への送信電力が低下しているだけであり、MU−MIMOとしてのメリットは得られない。それどころか、周波数利用効率はシングルユーザMIMOに比べて低下してしまう。
【0015】
上記事情に鑑み、本発明は、複数の送信データを空間多重で無線通信する場合に、各通信相手への送信ビットが不均一である場合にも、MU−MIMOが有効に活用できる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様は、複数の送信データを空間多重で送信する送信方法であって、前記各送信データの送信先に応じたチャネル情報に基づいて、前記送信データ毎に変調モードと送信電力割り当て、を決定する変調モード決定ステップと、前記送信データ毎に、前記変調モード決定ステップにおいて決定された変調モードで信号が生成された場合の信号長を算出する信号長算出ステップと、最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データについて、前記最も長い信号長よりも短く且つ前記算出された信号長よりも信号長が長くなる新たな変調モードを選択する変調モード変更ステップと、前記変調モード変更ステップにおいて選択された前記新たな変調モードに基づいて、前記送信データから送信信号を生成する送信信号生成ステップと、前記送信信号を無線で送信する送信ステップと、を有する。
【0017】
本発明の一態様は、上記の送信方法であって、最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データに対応する各送信信号の送信電力について、前記選択ステップにおいて選択された前記新たな変調モードに基づいて、ノイズに対する耐性の基準を満たした上で、前記変調モード決定ステップで決定された送信電力割り当てよりも低く決定し、前記送信電力割り当てを更新する電力配分ステップをさらに有する、ことを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様は、上記の送信方法であって、前記電力配分ステップにおいて、送信電力割り当てを減らす量を、前記変調モード変更ステップにおいて選択された前記新たな変調モードに変更することで得られる所要信号対雑音電力比の減少分以下の値となるように、前記送信電力割り当てを更新することを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様は、上記の送信方法であって、前記電力配分ステップにおいて、最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データに対応する各送信信号の送信電力と前記変調モード決定ステップで決定された送信電力割り当てとの差分に相当する送信電力の一部又は全部を、前記最も長い信号長となる送信信号の送信電力に割り当てるように、前記送信電力割り当てを更新することを特徴とする。
【0020】
本発明の一態様は、複数の送信データを空間多重で送信する送信装置であって、前記各送信データの送信先に応じたチャネル情報に基づいて、前記送信データ毎に変調モードと送信電力割り当てを決定する変調モード決定部と、前記送信データ毎に、前記変調モード決定部によって決定された変調モードで信号が生成された場合の信号長を算出し、最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データについて、前記最も長い信号長よりも短く且つ前記算出された信号長よりも信号長が長くなる新たな変調モードを選択する信号長評価部と、前記信号長評価部によって選択された前記新たな変調モードに基づいて、前記送信データから送信信号を生成する送信信号生成部と、前記送信信号を無線で送信する無線信号送信部と、を備える。
【0021】
本発明の一態様は、上記の送信装置であって、最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データに対応する各送信信号の送信電力について、前記信号長評価部によって選択された前記新たな変調モードに基づいて、ノイズに対する耐性の基準を満たした上で、前記変調モード決定部で決定された送信電力割り当てよりも低く決定し、前記送信電力割り当てを更新する電力配分部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0022】
本発明の一態様は、上記の送信装置であって、前記電力配分部は、送信電力の割り当てを減らす量を、前記信号長評価部において選択された前記新たな変調モードに変更することで得られる所要信号対雑音電力比の減少分以下の値となるように、前記送信電力割り当てを更新することを特徴とする。
【0023】
本発明の一態様は、上記の送信装置であって、前記電力配分部は、最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データに対応する各送信信号の送信電力と前記変調モード決定ステップで決定された送信電力割り当てとの差分に相当する送信電力の一部又は全部を、前記最も長い信号長となる送信信号の送信電力に割り当てるように前記送信電力割り当てを更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、複数の送信データを空間多重で無線通信する場合において、実データ部分の信号長の不均一を低減させることが可能となる。そのため、通信品質の低下を抑止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本願発明の一実施形態に係る送受信システムの構成を示す図である。
【図2】MCSインデックスの具体例を示す図である。
【図3】信号長評価送信制御回路の処理の具体例を示す図である。
【図4】基地局の送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】従来のMU−MIMOによる送受信システムの構成を示す図である。
【図6】従来のMU−MIMOにける通信で複数の通信相手に送信される送信信号の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本願発明の一実施形態に係る送受信システムの構成を示す図である。図1に示す送受信システムは、基地局1と複数台の端末2(2−1〜2−M)を備える。基地局1は、データ選択・出力回路11、送信信号生成回路12、無線信号送受信回路13、複数のアンテナ14(14−1〜14−N)、受信信号復調回路15、チャネル情報記憶回路16、変調モード決定回路17、信号長評価送信制御回路18、電力配分制御回路19を備える。Mは端末装置2の台数を表し、Nは基地局1のアンテナ14の数を表す。
【0027】
基地局9は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、通信プログラムを実行することによって、以下に説明するような基地局1として機能する。なお、基地局1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。通信プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、通信プログラムは通信伝送路を介して送受信されても良い。
【0028】
基地局1から端末装置2への送信において、データ選択・出力回路11は、通信相手となる1又は複数の端末装置18を決定し、決定した通信相手へ送信する1又は複数の情報(送信データ)を送信信号生成回路12及び信号長評価送信制御回路18に出力する。同一のタイミングで出力された一組の送信データは、同一のタイムスロット且つ同一の周波数チャネルで空間多重により送信される。また、データ選択・出力回路11は、通信相手となる端末装置2を表す情報を、変調モード決定回路17に出力する。
【0029】
チャネル情報記憶回路16は、端末装置2及びアンテナ14の組合せ毎に、そのアンテナ14とその端末装置2との間における無線通信のチャネル情報を記憶する。端末装置2が複数のアンテナを備える場合には、さらに端末装置2の備えるアンテナ毎にチャネル情報が記憶される。各チャネル情報は、基地局1と端末装置2との間の無線通信に応じて推定され、チャネル情報記憶回路16に記録される。例えば、受信信号復調回路15は、端末装置2及びアンテナ14の組合せ毎に、その組合せで行われた無線通信の信号に基づいてチャネル情報を推定する。
【0030】
変調モード決定回路17は、チャネル情報記憶回路16が記憶しているチャネル情報を用いて、通信相手への空間多重数、送信ウエイト、変調モード、送信電力割り当てを決定する。変調モードは、変調方式及び符号化率のいずれか一方又は双方を含む情報である。以下の説明では、変調モードという表現を用いず、変調方式及び符号化率という文言を用い、変調モード決定回路17が変調方式及び符号化率の双方を決定する構成について説明する。変調モード決定回路17は、決定した空間多重数、送信ウエイト、変調方式、符号化率、送信電力割り当てを信号長評価送信制御回路18に出力する。また、変調モード決定回路17は、チャネル情報に基づいて通信相手を選択し、データ選択・出力回路11に通信相手を示す情報を出力することで、当該通信相手の送信データを選択させても良い。また、変調モード決定回路17は、データ選択・出力回路11で選択されている通信相手の中から、実際に送信する通信相手を選んでも良い。また、変調モード決定回路17が決める送信電力割り当ては、例えば全ての送信信号に対して常に等しい電力を配分しても良いし、送信信号毎に異なる送信電力を配分しても良い。送信信号毎に異なる送信電力を配分する場合、変調モード決定回路17は、例えば変調方式や符号化率に応じて送信電力を配分しても良い。
【0031】
信号長評価送信制御回路18は、まず、空間多重で送信される一組の送信データそれぞれについて、変調モード決定回路17によって決定された変調方式及び符号化率に基づいて生成される各送信信号の信号長を算出する。信号長評価送信制御回路18は、算出結果に基づいて、各送信データに適用される変調方式及び符号化率を変更するか否か評価する。なお、本実施形態では、信号長評価送信制御回路18は、変調方式及び符号化率の組合せを示すMCSインデックスを変更することによって、各送信データに適用される変調方式及び符号化率を変更する。
【0032】
図2は、MCSインデックスの具体例を示す図である。図2において、MCS IndexはMCSインデックスの識別番号を示す。Modulationは変調方式を示す。Rateは符号化率を示す。Minimum sensitivityは、最小検出感度を表し、単位はdBmである。各MCSインデックスは、少なくとも変調方式及び符号化率の値の組合せを有する。
【0033】
図1に戻って基地局1の構成の説明を続ける。信号長評価送信制御回路18の具体的な動作は以下の通りである。まず、信号長評価送信制御回路18は、一組の送信データそれぞれについて、変調モード決定回路17によって決定された変調方式及び符号化率で生成される実データ部分信号の信号長(以下、「基準信号長」という。)を算出する。信号長評価送信制御回路18は、基準信号長が最も長い実データ部分信号を検出する。なお、以下の説明では、最も長い実データ部分信号の基準信号長を「最長信号長D」と表す。
【0034】
次に、信号長評価送信制御回路18は、最長信号長Dよりも短い信号長の実データ部分信号(以下、「被調整信号」という。)毎に、最長信号長Dよりも短い信号長の中で基準信号長よりも長い信号長となるMCSインデックス(すなわち、変調方式及び符号化率の組合せ)を選択する。基準信号長よりも長い信号長となるMCSインデックスは、変調モード決定回路17によって決定されたMCSインデックスよりもビットレートが低いMCSインデックスである。このとき、信号長評価送信制御回路18は、被調整信号毎に、最長信号長Dよりも短い信号長となる条件の中で最も長い信号長となるMCSインデックス(すなわち、変調方式及び符号化率の組合せ)を選択しても良い。
【0035】
そして、信号長評価送信制御回路18は、各送信データについて、選択したMCSインデックスに対応する変調方式及び符号化率を、送信信号生成回路12及び電力配分制御回路19へ出力する。このとき、信号長評価送信制御回路18は、信号長が最長信号長Dとなる送信データについては、変調モード決定回路17によって決定された変調方式及び符号化率をそのまま出力する。また、信号長評価送信制御回路18は、各送信データについての空間多重数及び送信ウエイトを送信信号生成回路12に出力する。
【0036】
送信信号生成回路12は、信号長評価送信制御回路18によって決められた空間多重数、送信ウエイト、変調方式、符号化率を用いて、送信データに変調・符号化を行い、実データ部分信号を生成する。送信信号生成回路12は、実データ部分信号に対し送信ウエイトを乗算し、信号検出や通信情報伝達に用いるパイロット信号(既知信号)やpaddingを挿入して、送信信号を生成する。送信信号生成回路12は、生成した送信信号を無線信号送受信回路13へ出力する。
【0037】
電力配分制御回路19は、各送信信号に配分される送信電力を決定し、決定された送信電力を表す情報を無線信号送受信回路13に出力する。電力配分制御回路19によって決定された送信電力に応じて、変調モード決定回路17によって決定された送信電力割り当てが変更される。常に各端末装置に対して等電力配分、または各データストリームに対して等電力配分とする場合には、この電力配分制御回路19を省略することもできる。
無線信号送受信回路13は、入力された送信信号を搬送波周波数にアップコンバートし、電力配分制御回路19によって決定された送信電力で各送信信号をアンテナ14−1〜14−Nを介して送信する。このとき、無線信号送受信回路13は、各送信データについて生成された各送信信号を、少なくとも一つのアンテナ14を介して送信する。
【0038】
データ選択・出力回路11が通信相手を選択する方法としては以下のような方法がある。送信されるデータ(送信データ)がメモリに保存され、送信を行う準備ができている通信相手を所定のタイミング毎に選択する方法。メモリに保存されている複数の送信データのうち、最も古いデータに対応する通信相手から順に所定のタイミング毎に選択する方法。各端末装置2のQoS(Quality of service)に基づいて所定のタイミング毎に選択する方法。予めグループIDで決められた端末装置2の組み合わせを所定のタイミング毎に選択する方法。チャネル情報の相関が低い端末装置2の組み合わせを所定のタイミング毎に選択する方法。通信相手を選択する方法は、上述したいずれかの方法に限定される必要は無く、他の方法であっても良い。
【0039】
基地局1のアンテナ14から送信された各送信信号は、各端末装置2によって受信される。各端末装置2は、自装置宛ての送信信号を選択して復号化・復調する。
端末装置2から送信される信号は、アンテナ14−1〜14−Nを介して受信される。無線信号送受信回路13は、受信された信号をベースバンド信号に変換し、デジタル信号を取得する。受信信号復調回路15は、データの復調とチャネル情報の推定を行う。そして、受信信号復調回路15は、推定したチャネル情報をチャネル情報記憶回路16に書き込む。書き込まれたチャネル情報は、以降の処理において変調モード決定回路17によって用いられる。
【0040】
図3は、信号長評価送信制御回路18の処理の具体例を示す図である。以下、図3に示される具体例について説明する。
基地局1が通信相手として端末装置2−1〜2−3(以下、それぞれ「STA1」〜「STA3」とも表す)へ空間多重により送信データを送信することを決定すると、変調モード決定回路17は、それぞれの通信相手との間の伝搬路に関するチャネル情報に基づいて、通信相手毎に空間多重数とMCSインデックス(変調方式及び符号化率)と送信ウエイトとを決定する。図3の場合、変調モード決定回路17は、端末装置2−1、端末装置2−2、端末装置2−3の空間多重数は、それぞれ2、1、1と決定する。また、変調モード決定回路17は、変調方式及び符号化率を表すMCSインデックスを、それぞれ7、6、5と決定する。
【0041】
信号長評価送信制御回路18は、変調モード決定回路17によって決定されたMCSインデックス及び空間多重数と、各送信データのデータ量とに基づいて、各送信データの実データ部分信号の信号長を算出する。図3Aは、変調モード決定回路17によって決定されたMCSインデックス及び空間多重数に基づいて算出される信号長の具体例を示す図である。図3Aの例では、端末装置2−2と端末装置2−3への実データ部分信号の信号長が、最長信号長Dよりも短い。そのため、もしこのままの信号長で各送信信号が送信される場合には、図3Aに示されるように、端末装置2−2と端末装置2−3への実データ部分信号の後半部分にPaddingが挿入される。
【0042】
図3Bは、信号長評価送信制御回路18によるMCSインデックスの選択結果の具体例を示す図である。信号長評価送信制御回路18は、最長信号長Dよりも短い信号長の実データ部分信号(Data for STA 2及びData for STA 3)それぞれについて、最長信号長Dよりも短い信号長の中で最も長い信号長となるMCSインデックスを選択する。
【0043】
Data for STA 2に対応するMCSインデックスを、6(64−QAM、符号化率3/4)から0、1、2、3、4、5にそれぞれ変更すると、データレートを11.1%、22.2%、33.3%、44.4%、66.7%、88.9%にすることができる。データレートの低下分に応じて信号長を伸ばす必要がある。そのため、各実データ部分信号の信号長は、それぞれ9倍、4.5倍、3倍、2.25倍、1.5倍、1.125倍となる。ここで、最長信号長Dに対しData for STA 2の信号長が7/8だったとする。この場合、MCSインデックスを5として信号長が1.125倍になっても、Data for STA 2の信号長は最長信号長Dよりも短い。一方、MCSインデックスを4として信号長が1.5倍になると、Data for STA 2の信号長は最長信号長Dよりも長くなってしまう。したがって、Data for STA 2について、最長信号長Dよりも短い信号長の中で最も長い信号長となるMCSインデックスは、5である。そのため、信号長評価送信制御回路18は、Data for STA 2に対応するMCSインデックスとして5を選択する。
【0044】
Data for STA 3に対応するMCSインデックスを、5(64−QAM、符号化率2/3)から0、1、2、3、4にそれぞれ変更すると、各実データ部分信号の信号長は、それぞれ8倍、4倍、2.67倍、2倍、1.33倍となる。ここで、最長信号長Dに対しData for STA 3の信号長が1/3だったとする。この場合、MCSインデックスを2として信号長が2.67倍になっても、Data for STA 3の信号長は最長信号長Dよりも短い。一方、MCSインデックスを1として信号長が4倍になると、Data for STA 3の信号長は最長信号長Dよりも長くなってしまう。したがって、Data for STA 3について、最長信号長Dよりも短い信号長の中で最も長い信号長となるMCSインデックスは、2である。そのため、信号長評価送信制御回路18は、MCSインデックスとして2を選択する。
【0045】
上述した信号長評価送信制御回路18の処理によって選択されたMCSインデックスに基づいて送信信号生成回路12が送信信号を生成すると、図3Bに示されるような送信信号が生成される。図3Bに示されるように、最長信号長Dよりも短い信号長の実データ部分信号(Data for STA 2及びData for STA 3)の信号長と最長信号長Dとの差が小さくなっている。そのため、より長い時間に亘ってMU−MIMOによる通信が可能となる。また、端末装置2−2及び端末装置2−3において、変調モードがよりビットレートの低いものに変更されるため、それぞれのSNRマージンが増大され、誤りの少ない通信が期待できる。
【0046】
また、端末装置2−2と端末装置2−3に対し、増大したSNRマージンの一部を用いて、端末装置2−1に対する通信品質を向上することもできる。以下、詳細に説明する。
端末装置2−2に対して送信される送信信号は、MCSインデックスが6から5に変更されたことにより、最小検出感度が1dB下がる。同様に、端末装置2−3に対して送信される送信信号は、MCSインデックスが5から2に変更されたことにより、最小検出感度が11dB下がる。このことは、端末装置2−2と端末装置2−3への送信電力を、変調モード決定回路17で決定された送信電力の割り当てよりも、それぞれ最大で1dB、11dB下げることができることを示している。
【0047】
i番目の端末装置2−iにおいて、j番目の周波数チャネルにおける受信信号ベクトルは以下の式1のように表せる。
【0048】
【数1】

【0049】
i,j,mは、端末装置2−iのm番目の受信アンテナの受信信号を表す。なお、以下の説明では、[]で囲まれた文字は、数式におけるベクトルを示す太字を示す。[H]i,jは、j番目の周波数チャネルにおける基地局1のアンテナと、端末装置2−iのアンテナとの間の伝搬係数からなるチャネル行列である。[W]i,jは、j番目の周波数チャネルにおける端末装置2−iへの送信ウエイトである。[P]i,jは、j番目の周波数チャネルにおける端末装置2−iへの送信電力配分行列である。[W]i,jは、端末装置2−i以外の端末装置2−k(iとkとは異なる値)に対し、ヌルを向けるように決定される。
【0050】
また、基地局1で送信ウエイト演算に用いたチャネル行列の情報が推定誤差を含まない場合、式1の右辺第2項は0となる。しかし、実際には、チャネル情報には必ず誤差が含まれるため、式1の右辺第2項は0にはならず、ユーザ間干渉電力として通信品質の劣化が引き起こされる。ただし、MU−MIMOのアルゴリズムによっては、ユーザ間干渉が式1の右辺第2項とは必ずしも一致しないことはあるが、基地局1におけるチャネル推定誤差によりユーザ間干渉を生じることはいずれのMU−MIMOアルゴリズムでも同様である。式1において、右辺第1項は端末装置2−iで受信される所望信号(端末装置2−iへの送信信号)の受信電力に対応する。そのため、[P]i,jを大きく設定すれば、所望信号の受信電力を大きくし、通信品質を向上することができる。一方、[P]k,jを小さくすれば、端末装置2−iにおけるユーザ間干渉を低下させることができる。
【0051】
図3の例において、基地局1から三つの端末装置2−1〜2−3に対する送信電力の配分が均等割り当て(つまり1/3ずつの割り当て)だと仮定する。この場合、端末装置2−2及び端末装置2−3における送信電力の配分をそれぞれ、予め変調モード決定回路17で決定された送信電力割り当て(1/3ずつの割り当て)より、1dB、11dB低下させると、端末装置2−1以外の端末装置への送信信号(ユーザ干渉を引き起こす信号)の電力を46%にまで下げることができる。そのため、端末装置2−1におけるユーザ間干渉を56%低下させる効果が期待できる。
【0052】
また、低下させた送信電力を更に端末装置2−1への送信に用いることによって、端末装置2−1へ向けた信号送信における送信電力を増加させることができる。ただし、端末装置2−1への送信電力を増大させれば、端末装置2−2及び端末装置2−3のユーザ間干渉が増大する。そのため、図3の例で端末装置2−2及び端末装置2−3への送信電力をそれぞれ1dB、11dB低下させることが可能であったとしても、この分を全て端末装置2−1への送信電力に回してしまうと、端末装置2−2及び端末装置2−3においてユーザ間干渉が増大してしまい、受信精度の低下を招いてしまう。
各端末装置2における送信電力の調整値をα1〜α3とすると、i番目の端末装置2(2−i)におけるSINRは、以下の式2のように定義される。
【0053】
【数2】

【0054】
ここで、Sは送信電力を各端末装置2に対して均等に配分した場合に端末装置2−iで受信される所望信号(端末装置2−iへの送信信号)の受信電力である。Iは、送信電力を各端末装置2に対して均等に配分した場合に端末装置2−iで受信される干渉信号(端末装置2−i以外の端末装置2への信号)の受信電力(干渉電力)である。Nは、熱雑音の電力である。Kは、基地局1が同時に通信を行う端末装置2の台数である。α=1と全てのkに対して設定すると、各端末装置2に対して均等に送信電力を配分した場合に対応することとなる。Sは端末装置2−iとの位置関係で決まっており、上りや下り回線の受信電力に基づいて推定することができる。Iは、チャネルの推定誤差により決まるため、基地局において予め決定する必要がある。この値は、端末装置2において、ユーザ間干渉やSINRを推定し、基地局1にフィードバックしてもよい。また、この値は、上り回線や下り回線のチャネルの時間変動量から時間変動が大きいほど大きい値とするように基地局1で決定しても良い。また、この値は、熱雑音量に対してどのくらいの大きさとなるかを予め固定値として記憶しておいても良い。
【0055】
SNRのマージンが生じたことによる送信電力の配分の低下分を、最長信号長Dに対応する端末装置(図3の場合は端末装置2−1)への送信信号で用いる場合には、新たな電力配分により得られるSINRが、所要値を満たす必要がある。Iが、Nの1/10であったとすると、自端末装置以外の端末装置への電力割り当てが2倍になった場合、熱雑音と干渉電力の和は最大で0.3779dB増加する。よって、端末装置2−2と端末装置2−3への送信電力の配分に、MCSインデックスのSNRマージンのみから得られた値に補正を加え、1−0.3779=0.622dB、11−0.3779dB=10.622dB、予め変調モード決定回路で決定された送信電力割り当てより、低下させるように制御することもできる。このような電力の配分によって、端末装置2−1への電力割り当てを2.06倍にすることもできる。電力配分制御回路19は、このような処理に基づいて、ユーザ間干渉の増大を考慮して、各送信信号に対して用いる送信電力を決定する。
【0056】
図4は、基地局1の送信処理の流れを示すフローチャートである。まず、MU−MIMO通信の通信相手が決定し、各端末装置2のチャネル情報の収集が行われると、送信処理が開始される。まず、変調モード決定回路17が、チャネル情報記憶回路16に記憶されているチャネル情報に基づいて、空間多重数とMCSインデックスと送信電力割り当てを決定する(ステップS301)。送信電力割り当ては等電力配分として、予め設定されていても良い。信号長評価送信制御回路18は、各端末装置2に送信される実データ部分信号の信号長を算出する(ステップS302)。信号長評価送信制御回路18は、被調整信号毎に、最長信号長Dよりも短い信号長の中で最も長い信号長となるMCSインデックスを選択する。
【0057】
信号長評価送信制御回路18によって選択されたMCSインデックスが、変調モード決定回路17によって選択されたMCSインデックスと全て一致する場合(ステップS303−No)、信号長評価送信制御回路18は、変調モード決定回路17によって選択された空間多重数、送信ウエイト、変調方式、符号化率を送信信号生成回路12に出力する。この場合、MCSインデックスの変更や電力配分は行われることなく、MU−MIMO送信が行われる(ステップS306)。
【0058】
一方、信号長評価送信制御回路18によって選択されたMCSインデックスが、変調モード決定回路17によって選択されたMCSインデックスと一致しない場合(ステップS303−YES)、信号長評価送信制御回路18は、MCSインデックスの再設定として、自身が選択したMCSインデックスに係る変調方式及び符号化率を送信信号生成回路12及び電力配分制御回路19に出力する(ステップS304)。電力配分制御回路19は、信号長評価送信制御回路18によって選択されたMCSインデックスによるSNRマージンに基づいて、変調モード決定回路17によって決定された送信電力割り当てを変更し、各端末装置2への送信電力の配分を決定する(ステップS305)。そして、無線信号送受信回路13は、電力配分制御回路19によって決定された配分の送信電力に基づいて、MU−MIMO送信を行う(ステップS306)。また、図4において、ステップS305を用いず、変調モード決定回路17で決定された送信電力割り当てをそのまま用いることもできる。
【0059】
<変形例>
Paddingのブロックにおいて、ダミー信号を挿入せずに、その部分の送信時間帯において送信処理を行わないように構成されても良い。
【0060】
信号長評価送信制御回路18は、上述したようなMCSインデックス毎の相対的な信号長の比を表すテーブルを参照するのではなく、以下のようにしてMCSインデックスを選択しても良い。まず、信号長評価送信制御回路18は、最長信号長Dよりも短い各実データ部分信号について、MCSインデックス毎に、そのMCSインデックスに基づいて実データ部分信号を生成した場合の信号長を算出する。そして、信号長評価送信制御回路18は、実データ部分信号毎に、最長信号長Dよりも短い信号長の中で最も長い信号長となるMCSインデックスを選択する。また、信号長評価送信制御回路18が実際にどのような処理によってMCSインデックスを選択するかは限定されない。
【0061】
また、送信電力の割り当てを低下させると、ショート・トレーニング・シンボルやロング・トレーニング・シンボルの部分から受信電力が低下し、量子化誤差が増大する場合がある。そのため、電力配分制御回路19は、図2から得られるSNRマージンよりXdB分の補正を行い、各端末装置2への送信電力を予め変調モード決定回路17で決定された送信電力割り当てより低下させても良い。このような処理により、変調方式の低下により得られるメリットを全ての端末装置2において享受できる。i番目の端末装置2−iに得られたSNRマージンがQとすると、以下に示す式3によって得られる端末装置2−iへの送信電力が低減される。
【0062】
【数3】

【0063】
なお、式3で得られる値の単位はdBである。ここで、Xを2dBとし、図3の例で考えると、端末装置2−2ではQ=1[dB]、端末装置2−3ではQ=11[dB]である。そのため、端末装置2−2への送信電力はMax(0,1−2)=0dB、端末装置2−3への送信電力はMax(0,11−2)=9dBとなる。したがって、端末装置2−2は送信電力を変更せず、端末装置2−3は送信電力を9dB低減できる。電力配分制御回路19は、このような処理に基づいて、各送信信号に対して用いる送信電力を決定しても良い。
【0064】
また、電力配分制御回路19は、低減された送信電力を他の端末装置2に割り当てる場合に、受信側のアナログ・デジタル変換器でオーバーレンジが起こらないように、送信電力増大の最大値をZ[dB]としても良い。
また、各端末装置に対しMCSインデックスを変更することで得られたSNRの一部を送信電力の低下量として用いることができる。例えば、図3の例で考えると、端末装置2−2では1[dB]、端末装置2−3では11[dB]のSNRマージンが得られる場合に、その半分、つまり端末装置2−2では、0.5[dB]、端末装置2−3では5.5[dB]だけ送信電力を予め変調モード決定回路17で決定された送信電力割り当てより低下するようにしても良い。このように構成されることにより、端末装置2−2と端末装置2−3にSNRマージンを残しつつ、端末装置2−1の送信電力を予め変調モード決定回路17で決定された送信電力割り当てより高めることができる。
【0065】
また、電力配分制御回路19は、各端末装置2への送信電力の低減により、CSMA/CAなどのキャリアセンスのプロトコルに問題を生じないように、送信電力の低減量の最大値をV[dB]としても良い。式3とVの条件を組み合わせると、以下に示す式4のように送信電力の低減量を決定できる。
【0066】
【数4】

【0067】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1…基地局(送信装置), 11…データ選択・出力回路, 12…送信信号生成回路(送信信号生成部), 13…無線信号送受信回路(無線信号送信部), 14−1〜14−N…アンテナ, 15…受信信号復調回路, 16…チャネル情報記憶回路, 17…変調モード決定回路(変調モード決定部), 18…信号長評価送信制御回路(信号長評価部), 19…電力配分制御回路(電力配分部), 2−1〜2−M…端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信データを空間多重で送信する送信方法であって、
前記各送信データの送信先に応じたチャネル情報に基づいて、前記送信データ毎に変調モードと送信電力割り当て、を決定する変調モード決定ステップと、
前記送信データ毎に、前記変調モード決定ステップにおいて決定された変調モードで信号が生成された場合の信号長を算出する信号長算出ステップと、
最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データについて、前記最も長い信号長よりも短く且つ前記算出された信号長よりも信号長が長くなる新たな変調モードを選択する変調モード変更ステップと、
前記変調モード変更ステップにおいて選択された前記新たな変調モードに基づいて、前記送信データから送信信号を生成する送信信号生成ステップと、
前記送信信号を無線で送信する送信ステップと、
を有する送信方法。
【請求項2】
最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データに対応する各送信信号の送信電力について、前記選択ステップにおいて選択された前記新たな変調モードに基づいて、ノイズに対する耐性の基準を満たした上で、前記変調モード決定ステップで決定された送信電力割り当てよりも低く決定し、前記送信電力割り当てを更新する電力配分ステップをさらに有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の送信方法。
【請求項3】
前記電力配分ステップにおいて、送信電力割り当てを減らす量を、前記変調モード変更ステップにおいて選択された前記新たな変調モードに変更することで得られる所要信号対雑音電力比の減少分以下の値となるように、前記送信電力割り当てを更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の送信方法。
【請求項4】
前記電力配分ステップにおいて、最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データに対応する各送信信号の送信電力と前記変調モード決定ステップで決定された送信電力割り当てとの差分に相当する送信電力の一部又は全部を、前記最も長い信号長となる送信信号の送信電力に割り当てるように、前記送信電力割り当てを更新する
ことを特徴とする請求項2に記載の送信方法。
【請求項5】
複数の送信データを空間多重で送信する送信装置であって、
前記各送信データの送信先に応じたチャネル情報に基づいて、前記送信データ毎に変調モードと送信電力割り当てを決定する変調モード決定部と、
前記送信データ毎に、前記変調モード決定部によって決定された変調モードで信号が生成された場合の信号長を算出し、最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データについて、前記最も長い信号長よりも短く且つ前記算出された信号長よりも信号長が長くなる新たな変調モードを選択する信号長評価部と、
前記信号長評価部によって選択された前記新たな変調モードに基づいて、前記送信データから送信信号を生成する送信信号生成部と、
前記送信信号を無線で送信する無線信号送信部と、
を備える送信装置。
【請求項6】
最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データに対応する各送信信号の送信電力について、前記信号長評価部によって選択された前記新たな変調モードに基づいて、ノイズに対する耐性の基準を満たした上で、前記変調モード決定部で決定された送信電力割り当てよりも低く決定し、前記送信電力割り当てを更新する電力配分部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の送信装置。
【請求項7】
前記電力配分部は、送信電力の割り当てを減らす量を、前記信号長評価部において選択された前記新たな変調モードに変更することで得られる所要信号対雑音電力比の減少分以下の値となるように、前記送信電力割り当てを更新する
ことを特徴とする請求項5に記載の送信装置。
【請求項8】
前記電力配分部は、最も長い信号長となる送信データ以外の各送信データに対応する各送信信号の送信電力と前記変調モード決定ステップで決定された送信電力割り当てとの差分に相当する送信電力の一部又は全部を、前記最も長い信号長となる送信信号の送信電力に割り当てるように前記送信電力割り当てを更新する
ことを特徴とする請求項6に記載の送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−70157(P2013−70157A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206060(P2011−206060)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】