説明

送信装置及び受信装置

【課題】伝送路応答を高い頻度で求め、且つ、パイロット信号伝送時の消費電力を低減させる。
【解決手段】送信装置1は、4種類の送信信号に異なるパターンのパイロット信号を挿入して4種類のOFDMシンボルを生成するパイロット信号挿入部136と、前記4種類のOFDMシンボルの各キャリアを変調して4つのOFDM信号を生成するOFDM信号生成部137とを備える。パイロット信号挿入部136は、第1及び第2の送信信号に対し、有意パイロット信号及び無信号パイロット信号を挿入し、第3及び第4の送信信号に対し、有意パイロット信号、符号反転パイロット信号、及び無信号パイロット信号を挿入し、第1及び第3の送信信号に対し、同じ所定位置に無信号パイロット信号を挿入し、第2及び第4の送信信号に対し、前記同じ所定位置と異なる位置に無信号パイロット信号を挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一周波数帯域の複数のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)信号を用いてMIMO(Multi Input Multi Output)伝送を行う伝送システムにおける、送信装置及び受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、同一周波数帯域で送信された複数のOFDM信号について、ある一つのOFDM信号の伝送路応答の推定を行うとき、他のOFDM信号のパイロット信号を無信号にして伝送路応答の推定を行う方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。本明細書では、この方式をヌルパイロット方式と称する。また、パイロット信号の符号を反転させてパイロット信号に直交性をもたせることにより、伝送路応答の推定を行う方式が知られている(例えば、特許文献2参照)。本明細書では、この方式を符号反転型パイロット方式と称する。
【0003】
送信装置の送信アンテナ数が2本、受信装置の受信アンテナ数が2本以上であり、2つのOFDM信号を同一周波数帯域で伝送するOFDM信号伝送システムを例に、ヌルパイロット方式及び符号反転型パイロット方式のパイロット信号パターンについて図18〜図21を参照して説明する。図18〜図21では、OFDMシンボルのうちパイロット信号の繰り返しの最小単位のみを示しており、データ信号などの非パイロット信号は省略している。また、パターン1は一方の送信アンテナから送信されるOFDM信号のパイロット信号パターンを示し、パターン2は他方の送信アンテナから送信されるOFDM信号のパイロット信号パターンを示している。なお、図中のOFDMシンボルは、右方向がキャリア(周波数)方向であり、下方向がシンボル(時間)方向である。
【0004】
図18は、2つのOFDM信号を同一周波数帯域で伝送するシステムにおいて、ヌルパイロット方式を適用した場合のパイロット信号パターンを示す図である。図中の四角はある有意の値を有するパイロット信号を示し、丸は無信号のパイロット信号を示している。図19に、図18のパイロット信号により直接(すなわち、補間によらず)求まる伝送路応答の位置を斜線付きの丸で示す。本明細書では、シンボル番号s,キャリア番号cにおけるパイロット信号をP(s,c)と表す。ヌルパイロット方式では、図18のパターン1ではP(1,1),P(2,2)の位置の伝送路応答が求まり、図18のパターン2ではP(1,2),P(2,1)の位置の伝送路応答が求まる。ヌルパイロット方式では、パイロット信号を無信号とする区間において伝送に使用される消費電力をゼロとすることができる。
【0005】
図20は、符号反転型パイロット方式におけるOFDM信号のパイロット信号パターンを示す図である。図中の四角はある有意の値を有するパイロット信号を示し、丸は無信号のパイロット信号を示し、四角に記された1と−1は、符号が反転したパイロット信号であることを意味する。図21に、図20のパイロット信号により直接求まる伝送路応答の位置を斜線付きの丸で示す。本明細書では、パイロット信号P(s,c)の受信信号をRx(s,c)と表す。符号反転型パイロット方式では、例えば図中の点P1,P2の位置の伝送路応答は、パイロット信号の振幅値を1としたとき、以下の式で求められる。
P1:(Rx(1,1)+Rx(1,2))/2
P2:(Rx(1,1)−Rx(1,2))/2
【0006】
2つのOFDM信号を同一周波数帯域で送信する場合、ヌルパイロット方式ではパイロット信号の1/2は無信号となることから、パイロット信号の伝送に使用される消費電力は1/2となり、直接求まる伝送路応答の頻度もまた1/2となる。符号反転型パイロット方式では、無信号となるパイロット信号はないため、パイロット信号の伝送に使用される消費電力は減らないが、高い頻度で伝送路応答を求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−96186号公報
【特許文献2】特許第4336281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
同一周波数帯域で送信するOFDM信号の数が2より大きくなる場合における、ヌルパイロット方式、符号反転型パイロット方式の課題を述べる。ここでは、送信装置の送信アンテナ数が4本、受信装置の受信アンテナ数が4本以上であり、4つのOFDM信号を同一周波数帯域で伝送する場合について説明する。
【0009】
図22は、4つのOFDM信号を同一周波数帯域で伝送するシステムにおいてヌルパイロット方式を適用した場合のパイロット信号パターンを示す図である。図22(a)は有意の値を有するパイロット信号をシンボル方向に直線状に配置した例であり、図22(b)は有意の値を有するパイロット信号をキャリア方向に直線状に配置した例であり、図22(c)は有意の値を有するパイロット信号を斜めに配置した例である。また、パイロット信号により直接求められる伝送路応答の位置を斜線付きの丸で示す。図22(a)では、4つのOFDM信号の異なるキャリアにパイロット信号を挿入しており、ある1つのOFDM信号がパイロット信号を送信している区間では、他のOFDM信号は無信号となっているため、特別な演算を行うことなく、有意の値を有するパイロット信号の挿入位置において伝送路応答が求まる。図22(b),(c)でも同様に、有意の値を有するパイロット信号の挿入位置において伝送路応答が求まる。つまり、図22では、4シンボル×4キャリア区間において直接4回の伝送路応答が求まり、パイロット信号の伝送に使用される消費電力は1/4となる。
【0010】
このように、ヌルパイロット方式を適用すると、パイロット信号の伝送に使用する消費電力は1/4に抑えられる。しかし、各OFDM信号に対して4シンボル×4キャリア区間で直接求まる伝送路応答の数が4つだけとなり、伝送路応答の推定頻度が低くなってしまうという課題があった。
【0011】
図23は、4つのOFDM信号を同一周波数帯域で伝送するシステムにおいて符号反転型パイロット方式を適用した場合のパイロット信号パターンを示す図である。図23に示すパイロット信号では、各キャリアのそれぞれについて4シンボル区間のパイロット信号の加減算を行うことにより、伝送路応答が求まる。パイロット信号により直接求められる伝送路応答の位置を、斜線付きの丸で示す。
【0012】
図23(a)は符号を反転させたパイロット信号をシンボル方向に直線状に配置した例であり、図23(b)は符号を反転させたパイロット信号をキャリア方向に直線状に配置した例である。図23(a)において点P1〜P4の伝送路応答は、以下の式で求まる。
P1:(Rx(1,1)+Rx(1,2)+Rx(1,3)+Rx(1,4))/4
P2:(Rx(1,1)+Rx(1,2)−Rx(1,3)−Rx(1,4))/4
P3:(Rx(1,1)−Rx(1,2)−Rx(1,3)+Rx(1,4))/4
P4:(Rx(1,1)−Rx(1,2)+Rx(1,3)−Rx(1,4))/4
図23(a)(b)おいて、各OFDM信号に対して4シンボル×4キャリア区間で直接求まる伝送路応答の数は8つである。
【0013】
図23(c)は符号を反転させたパイロット信号を斜め方向に配置した例であり、図23(d)は符号を反転させたパイロット信号を縦・横・斜めに配置した例である。図23(c)(d)では、各OFDM信号に対して4シンボル×4キャリア区間で直接求まる伝送路応答の数は16となる。このように、符号反転型パイロット方式を適用すると、図23(c)(d)の例では、4シンボル×4キャリア区間で直接求まる伝送路応答数が16となり伝送路応答を高い頻度で求めることができるが、パイロット信号の伝送に使用される消費電力は減らすことができないという課題があった。
【0014】
本発明の目的は、上記問題を解決するため、伝送路応答を高い頻度で求め、且つ、パイロット信号の伝送に使用される消費電力を低減させることが可能なOFDM信号の送信装置及び受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明に係る送信装置は、4つのOFDM信号を4本の送信アンテナから送信する送信装置であって、4種類の送信信号にそれぞれ異なるパターンのパイロット信号を挿入して4種類のOFDMシンボルを生成するパイロット信号挿入部と、前記4種類のOFDMシンボルの各キャリアを変調して4パターンのOFDM信号を生成するOFDM信号生成部と、を備え、前記パイロット信号挿入部は、第1及び第2の送信信号に対して、有意な値を有するパイロット信号及び無信号のパイロット信号を挿入し、第3及び第4の送信信号に対して、有意な値を有するパイロット信号、該有意な値を有するパイロット信号の符号を反転させたパイロット信号、及び無信号のパイロット信号を挿入し、前記第1及び第3の送信信号に対して、同じ所定位置に前記無信号のパイロット信号を挿入し、前記第2及び前記第4の送信信号に対して、前記同じ所定位置と異なる位置に前記無信号のパイロット信号を挿入することを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明に係る送信装置において、2系統の信号に対してそれぞれ時空間符号化し、4種類の時空間符号化信号を生成する時空間符号化部を更に備え、前記4種類の送信信号は、前記時空間符号化部により生成された4種類の時空間符号化信号であることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明に係る送信装置において、前記パイロット信号挿入部は、前記4種類の送信信号に対して、挿入するパイロット信号のうちの半数を無信号のパイロット信号とし、前記第3及び第4の送信信号に対して、前記有意な値を有するパイロット信号、及び前記有意な値を有するパイロット信号の符号を反転させたパイロット信号の数を同数とするようにパイロット信号を挿入することを特徴とする。
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る受信装置は、上述した送信装置から送信される4つのOFDM信号を4本の受信アンテナで受信する受信装置であって、前記受信した4つのOFDM信号を復調して各受信アンテナに対応するベースバンド信号及び伝送路応答を推定するOFDM復調部を備えることを特徴とする。
【0019】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る受信装置は、上述した送信装置から送信される4つのOFDM信号を2本の受信アンテナで受信する受信装置であって、前記受信した4つのOFDM信号を復調して各受信アンテナに対応するベースバンド信号及び伝送路応答を推定するOFDM復調部と、前記ベースバンド信号及び前記伝送路応答を用いて時空間復号し、時空間復号信号を生成する時空間復号部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る受信装置は、上述した送信装置から送信される4つのOFDM信号を4本以上の受信アンテナで受信する受信装置であって、前記受信した4つのOFDM信号を復調して各受信アンテナに対応するベースバンド信号及び伝送路応答を推定するOFDM復調部と、前記ベースバンド信号及び前記伝送路応答を用いて時空間復号し、時空間復号信号を生成する時空間復号部と、前記時空間復号信号をダイバーシティ合成する合成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、同一周波数帯域の複数のOFDM信号を用いる伝送システムにおいて、伝送路応答を高い頻度で求め、且つ、パイロット信号の伝送に使用される消費電力を低減させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1に係る送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係る送信装置におけるOFDM変調部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例1に係る受信装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例1に係る受信装置におけるOFDM復調部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る符号反転型ヌルパイロット方式における第1のパイロット信号パターンを示す図である。
【図6】本発明に係る符号反転型ヌルパイロット方式における第2のパイロット信号パターンを示す図である。
【図7】本発明に係る符号反転型ヌルパイロット方式における第3のパイロット信号パターンを示す図である。
【図8】本発明に係る符号反転型ヌルパイロット方式における第4のパイロット信号パターンを示す図である。
【図9】本発明に係る符号反転型ヌルパイロット方式における第5のパイロット信号パターンを示す図である。
【図10】本発明に係る符号反転型ヌルパイロット方式における第6のパイロット信号パターンを示す図である。
【図11】本発明に係る符号反転型ヌルパイロット方式のパイロット信号の配置を示す図である。
【図12】地上デジタル放送におけるパイロット信号の配置を示す図である。
【図13】図11に示したパイロット信号配置に対し、図9に示したパイロット信号パターンを適用した例を示す図である。
【図14】本発明の実施例2に係る送信装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の実施例2に係る受信装置の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施例2に係る受信装置におけるOFDM復調部の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の実施例3に係る受信装置の構成を示すブロック図である。
【図18】2つのOFDM信号を同一周波数帯域で伝送するシステムにおいて、ヌルパイロット方式を適用した場合のパイロット信号パターンを示す図である。
【図19】図15のパイロット信号により求まる伝送路応答の位置を示す図である。
【図20】2つのOFDM信号を同一周波数帯域で伝送するシステムにおいて、符号反転型パイロット方式を適用した場合のパイロット信号パターンを示す図である。
【図21】図17のパイロット信号により求まる伝送路応答の位置を示す図である。
【図22】4つのOFDM信号を同一周波数帯域で伝送するシステムにおいて、ヌルパイロット方式を適用した場合のパイロット信号パターンを示す図である。
【図23】4つのOFDM信号を同一周波数帯域で伝送するシステムにおいて、反転型パイロット方式を適用した場合のパイロット信号パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
実施例1では、4×4MIMO伝送をするシステムについて説明する。本システムにおける送信装置は、1つの送信所にOFDM信号を送信し、1つの送信所において4本の送信アンテナからSDMによるMIMO送信を行う。本システムにおける受信装置は、4本の受信アンテナを用いてSDMのMIMO受信を行う。
【0025】
[実施例1に係るOFDM信号の送信装置]
実施例1に係るOFDM信号の送信装置について説明する。図1は、実施例1に係るOFDM信号の送信装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、送信装置1aは、誤り訂正符号化部10(10−1〜10−4)と、キャリア変調部11(11−1〜11−4)と、OFDM変調部13とを備える。送信装置1aへの入力信号は、4系統のTS(Transport Stream)信号(TS1〜TS4)とする。なお、送信装置1aの入力前段にTS分割装置などを配置し、1系統のTSを4系統に分割した後のTS信号を送信装置1aに入力してもよい。送信装置1aは4系統4つのOFDM信号を出力し、4つのOFDM信号は1つの送信所14に送られる。
【0026】
送信所14は、アンテナAT−tx1〜AT−tx4から、SDMによるMIMO送信を行う。
【0027】
誤り訂正符号化部10は、TS信号を誤り訂正符号化し、キャリア変調部11へ出力する。誤り訂正は、例えば外符号としてBCH符号を用い、内符号としてLDPC(Low Density Parity Check)符号を用いる。
【0028】
キャリア変調部11は、サブキャリアごとに所定の変調方式に応じてIQ平面へのマッピングを行い、OFDM変調部13に出力する。
【0029】
OFDM変調部13は、キャリア変調部11から入力される4種類の送信信号(a1,a2,b1,b2)から4系統4つのOFDM信号を生成し、送信所14に送信する。図2は、OFDM変調部13の構成を示すブロック図である。図2に示すように、OFDM変調部13は、パイロット信号挿入部136と、OFDM信号生成部137とを備える。
【0030】
パイロット信号挿入部136は、キャリア変調部11から入力される4種類の送信信号(a1,b1,a2,b2)にそれぞれ異なるパターンのパイロット信号を挿入して4種類のOFDMシンボルを生成する。パイロット信号挿入部136は、パイロット信号生成部130と、OFDMシンボル構成部131(131−1〜131−4)とを備える。
【0031】
パイロット信号生成部130は、予め定められた振幅と位相を有するパイロット信号を、予め定められた位置に挿入するために、パイロット信号を生成し、OFDMシンボル構成部131に出力する。
【0032】
OFDMシンボル構成部131は、キャリア変調部11から入力される4種類の送信信号(a1,b1,a2,b2)に対して、パイロット信号生成部130から入力されるパイロット信号を挿入して配置することによりOFDMシンボルを生成し、IFFT部132に出力する。
【0033】
[パイロット信号のパターン及び配置]
ここで、パイロット信号挿入部136が挿入するパイロット信号のパターン及び配置について説明する。本明細書では、本発明に係るパイロット信号の伝送方式を、符号反転型ヌルパイロット方式と称する。図5〜10は、本発明に係る符号反転型ヌルパイロット方式におけるパイロット信号パターン例を示す図である。図5〜10ではデータ信号などの非パイロット信号を省略し、パイロット信号の繰り返しの最小単位のみを示しており、パイロット信号により直接求められる伝送路応答の位置を斜線付きの丸で示している。また、パターン1〜4は、送信アンテナAT−t1〜AT−t4のうちそれぞれ異なる送信アンテナから送信されるOFDM信号のパイロット信号の配置を示している。図中において、四角で示したパイロット信号はある有意の値を有する信号であることを意味し、丸で示したパイロット信号は無信号であることを意味する。また、1と示したパイロット信号と−1と示したパイロット信号とは、符号が反転した信号であることを意味する。なお、図中のOFDMシンボルは、右方向がキャリア(周波数)方向であり、下方向がシンボル(時間)方向である。図5〜図7は無信号のパイロット信号をシンボル方向に配置した例を示しており、図8及び図9は無信号のパイロット信号を斜めに配置した例を示している。図10は図5のパイロット信号パターンに対して第1シンボルのパイロット信号のパターンを変更した例であり、パターン2,4はパターン1,3よりもキャリア方向に密な伝送路応答を推定できる。
【0034】
なお、図示はしていないが、パイロット信号生成部130は、無信号のパイロット信号をキャリア方向に配置してもよい。この場合のパイロット信号パターンは、図5〜7に示したパターンに対し、それぞれシンボル方向とキャリア方向を反転させたパターンとなる。
【0035】
このように、パイロット信号挿入部136は、第1の送信信号及び第2の送信信号に対しては、有意な値を有するパイロット信号及び無信号のパイロット信号を挿入し、第3の送信信号及び第4の送信信号に対しては、有意な値を有するパイロット信号、該有意な値を有するパイロット信号の符号を反転させたパイロット信号、及び無信号のパイロット信号を挿入する。また、第1の送信信号及び第3の送信信号に対しては、同じ位置に無信号のパイロット信号を挿入し、第2の送信信号及び第4の送信信号に対しては、第1の送信信号及び第3の送信信号に無信号のパイロット信号を挿入した位置と異なる位置に無信号のパイロット信号を挿入する。
【0036】
第1〜第4の送信信号は、キャリア変調部11から入力される4種類の送信信号(a1,b1,a2,b2)のいずれかである。図5〜10では、第1の送信信号に対するパイロット信号の挿入パターンをパターン1として示し、第2の送信信号に対するパイロット信号の挿入パターンをパターン2として示し、第3の送信信号に対するパイロット信号の挿入パターンをパターン3として示し、第4の送信信号に対するパイロット信号の挿入パターンをパターン4として示している。
【0037】
パイロット信号挿入部136は、図5〜9に示したように、さらに前記4種類の送信信号に対して、挿入するパイロット信号のうちの半数を無信号のパイロット信号とし、第3の送信信号及び第4の送信信号に対して、有意な値を有するパイロット信号、及び有意な値を有するパイロット信号の符号を反転させたパイロット信号の数を同数とするようにパイロット信号を挿入すると、伝送路応答が直接求まる位置が均等となり好適である。
【0038】
図11は、符号反転型ヌルパイロット方式のパイロット信号の配置を示す図である。図中の斜線で示す部分はパイロット信号の配置位置を示しており、白色の部分は非パイロット信号の配置位置を示している。非パイロット信号はデータ信号のみとしてもよいし、データ信号に加えて制御情報を示すTMCC信号や付加情報を示すAC信号を含めてもよい。パイロット信号は、図11(a)に示すように格子状に配置するか、図11(b)に示すように千鳥状に配置するか、図11(c)に示すように斜めに配置するのが好適である。図11ではパイロット信号のシンボル方向・キャリア方向の配置間隔が狭い場合を示している。パイロット信号のシンボル方向・キャリア方向の配置間隔が広くなるほど、信号全体に対するパイロット信号の比率を下げる(データ信号の伝送効率を上げる)ことができるが、伝送路応答の直接求まる位置が少なくなる。一方、パイロット信号のシンボル方向・キャリア方向の配置間隔が狭くなるほど、信号全体に対するパイロット信号の比率は高くなる(データ信号の伝送効率が下がる)が、伝送路応答の直接求まる位置を多くすることができる。
【0039】
地上デジタル放送では、パイロット信号としてスキャッタードパイロット(SP:Scattered Pilot)信号が使用されている。図12は、地上デジタル放送におけるSP信号の配置を示す図である。図12は、図11(c)に例示したパイロット信号を斜めに配置する例の一態様であり、12キャリアに1回、4シンボルに1回の割合でパイロット信号が挿入されている。図13は、図12に示したパイロット信号配置に対し、図9に示したパイロット信号パターンを適用した例を示す図である。
【0040】
OFDM信号生成部137は、パイロット信号挿入部136により入力されるOFDMシンボルの各キャリアを変調して4つのOFDM信号を生成し、送信所14を介して4本の送信アンテナAT−Tx1〜AT−Tx4に出力する。OFDM信号生成部137は、IFFT部132(132−1〜132−4)と、GI付加部133(133−1〜133−4)と、直交変調部134(134−1〜134−4)と、D/A変換部135(135−1〜135−4)とを備える。なお、4本のOFDM信号の同期を取るために、OFDM信号生成部137は、各ブロックに同一周波数のクロックを供給する。
【0041】
IFFT部132は、OFDMシンボル構成部131から入力されるOFDMシンボルに対して、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)処理を施して時間領域の有効シンボル信号を生成し、GI付加部133に出力する。
【0042】
GI付加部133は、IFFT部132から入力される有効シンボル信号の先頭に、有効シンボル信号の後半部分をコピーしたガードインターバルを挿入し、直交変調部134に出力する。ガードインターバルは、OFDM信号を受信する際にシンボル間干渉を低減させるために挿入されるものであり、マルチパス遅延波の遅延時間がガードインターバル長を超えないように設定される。
【0043】
直交変調部134は、GI付加部133から入力されるベースバンド信号に対して直交変調処理を施してOFDM信号を生成し、D/A変換部135に出力する。
【0044】
D/A変換部135は、直交変調部134から入力されるOFDM信号をアナログ信号に変換する。
【0045】
このように、実施例1に係る送信装置1aは、パイロット信号挿入部136により、図5〜図10に示したように、第1及び第2の送信信号に対して、有意な値を有するパイロット信号及び無信号のパイロット信号を挿入し、第3及び第4の送信信号に対して、有意な値を有するパイロット信号、該有意な値を有するパイロット信号の符号を反転させたパイロット信号、及び無信号のパイロット信号を挿入し、第1及び第3の送信信号に対して、同じ所定位置に無信号のパイロット信号を挿入し、第2及び前記第4の送信信号に対して、前記同じ所定位置と異なる位置に無信号のパイロット信号を挿入する。このため、4シンボル×4キャリア区間において、伝送路応答を高い頻度で求め、且つ、パイロット信号の伝送に使用される消費電力を低減させることができる。例えば、4種類の送信信号に対して、挿入するパイロット信号のうちの半数を無信号のパイロット信号とし、第3及び第4の送信信号に対して、前記有意な値を有するパイロット信号、及び前記有意な値を有するパイロット信号の符号を反転させたパイロット信号の数を同数とするようにパイロット信号を挿入する場合には、16点の伝送路応答を直接(補間によらず)求めることができ、パイロット信号の伝送に使用される消費電力を1/2とすることができる。
【0046】
[実施例1に係るOFDM信号の受信装置]
次に、実施例1に係るOFDM信号の受信装置について説明する。図3は、実施例1に係るOFDM信号の受信装置の構成を示すブロック図である。図3に示すように、OFDM信号の受信装置2aは、OFDM復調部20aと、MIMO検出部25と、キャリア復調部22(22−1〜22−4)と、誤り訂正復号部23(23−1〜23−4)とを備える。受信装置2aは、送信装置1aから送信される4系統4つのOFDM信号を4本の受信アンテナAT−rx1〜AT−rx4で受信する。
【0047】
OFDM復調部20aは、受信した4つのOFDM信号を復調して4種類のベースバンド信号(c1,c2,c3,c4)を生成するとともに、パイロット信号を用いて4種類の伝送路応答(h1,h2,h3,h4)を推定する。図4は、OFDM復調部20aの構成を示すブロック図である。図4に示すように、OFDM復調部20aは、A/D変換部200(200−1〜200−4)と、直交復調部201(201−1〜201−4)と、GI除去部202(202−1〜202−4)と、FFT部203(203−1〜203−4)と、パイロット信号生成部204と、パイロット信号抽出部205(205−1〜205−4)と、伝送路応答推定部206(206−1〜206−4)と、伝送路応答補間部207(207−1〜207−4)とを備える。
【0048】
A/D変換部200は、アンテナAT−rxから入力されるアナログの受信信号をデジタル信号に変換し、直交復調部201に出力する。
【0049】
直交復調部201は、A/D変換部200から入力される信号に対してベースバンド信号を生成し、GI除去部202に出力する。
【0050】
GI除去部202は、直交復調部201から入力される信号に対して、ガードインターバルを除去して有効シンボル信号を抽出し、FFT部203に出力する。
【0051】
FFT部203は、GI除去部202から入力される有効シンボル信号に対して、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理を施して複素ベースバンド信号c1,c2を生成し、パイロット信号抽出部205に出力する。
【0052】
パイロット信号生成部204は、送信装置1aにより挿入されるパイロット信号と同じ振幅及び位相をもつパイロット信号を生成し、送信装置1aにより挿入されるパイロット信号の位置情報をパイロット信号抽出部205に出力し、パイロット信号の振幅値及び位相値を伝送路応答推定部206に出力する。
【0053】
パイロット信号抽出部205は、FFT部203から入力される複素ベースバンド信号c1,c2から、パイロット信号生成部204から入力される位置情報に基づいてパイロット信号を抽出し、伝送路応答推定部206に出力する。
【0054】
伝送路応答推定部206は、パイロット信号抽出部205において抽出したパイロット信号を使って伝送路応答を算出する。例えば、図8の点P1〜P4の位置の伝送路応答は、パイロット信号の振幅値を1としたとき、以下の式で求められる。
P1:h1=(Rx(1,1)+Rx(2,2))/2
P2:h2=(Rx(1,2)+Rx(2,1))/2
P3:h3=(Rx(1,1)−Rx(2,2))/2
P4:h4=(Rx(1,2)−Rx(2,1))/2
また、図9の点P1〜P4の位置の伝送路応答は、パイロット信号の振幅値を1としたとき、以下の式で求められる。
P1:h1=(Rx(1,1)+Rx(2,2))/2
P2:h2=(Rx(2,1)+Rx(2,3))/2
P3:h3=(Rx(1,1)−Rx(2,2))/2
P4:h4=(Rx(2,1)−Rx(2,3))/2
【0055】
伝送路応答補間部207は、伝送路応答推定部206により算出された伝送路応答の一部又は全部を基にして、伝送路応答の補間処理を行い、全サブキャリアについて伝送路応答を算出する。
【0056】
MIMO検出部25は、OFDM復調部20aから入力されるベースバンド信号c及び伝送路応答hを用いてMIMO信号を検出する。MIMOの検出には、ZF(Zero Forcing)、MMSE(Minimum Mean Squared Error)、BLAST(Bell Laboratories Layered Space-Time)、MLD(Maximum Likelihood Detection)などの既知の手法を適用できる。
【0057】
キャリア復調部22は、OFDM復調部20aから入力される信号に対して、サブキャリアごとに復調を行い、誤り訂正復号部23に出力する。
【0058】
誤り訂正復号部23は、キャリア復調部22から入力される信号に対して、誤り訂正を行い、送信装置1aから送信された信号を復号する。
【0059】
このように、実施例1に係る受信装置2aによれば、送信装置1aから送信されるOFDM信号を4本の受信アンテナで受信し、受信したOFDM信号を復号することができる。
【実施例2】
【0060】
現行の地上デジタルテレビジョン放送において、周波数の有効利用の観点からSFN(Single Frequency Network)の構築が進められているが、SFN希望波とSFN干渉波のD/U(Desired to Undesired signal ratio)が0dBに近くなるSFN干渉エリアでは、伝送特性が悪くなってしまう。時空間符号化(Space-Time Coding:STC)を用いたOFDM信号の伝送システムでは、D/Uが0dB付近のSFN干渉エリアにおいて伝送特性を改善し、周波数の有効利用を可能とする。そこで、実施例2では、STCを用いたOFDM信号の送信装置及び受信装置について説明する。また、実施例2では、4×2MIMO伝送をするシステムについて説明する。本システムにおける送信装置は、2つの送信所にOFDM信号を送信し、1つの送信所において2本の送信アンテナからSDMによるMIMO送信を行う。本システムにおける受信装置は、2本の受信アンテナを用いてSDMのMIMO受信を行う。
【0061】
[実施例2に係るOFDM信号の送信装置]
実施例2に係るOFDM信号の送信装置について説明する。図14は、実施例2に係るOFDM信号の送信装置の構成を示すブロック図である。なお、実施例1の送信装置1aと同じ構成要素には同一の参照番号を付して適宜説明を省略する。図14に示すように、送信装置1bは、誤り訂正符号化部10(10−1及び10−2)と、キャリア変調部11(11−1及び11−2)と、時空間符号化部12(12−1及び12−2)と、OFDM変調部13とを備える。送信装置1bへの入力信号は、2系統のTS信号(TS1,TS2)とする。なお、送信装置1bの入力前段にTS分割装置などを配置し、1系統のTSを2系統に分割した後のTS信号を送信装置1bに入力してもよい。送信装置1bは2系統4つのOFDM信号を出力し、2つのOFDM信号は送信所14−1に送られ、残り2つのOFDM信号は送信所14−2に送られる。
【0062】
送信所14−1は、アンテナAT−tx1及びAT−tx2から、SDMによるMIMO送信を行う。送信所14−2は、アンテナAT−tx3及びAT−tx4から、SDMによるMIMO送信を行う。
【0063】
実施例1に係る送信装置1aと同様に、誤り訂正符号化部10は、TS信号を誤り訂正符号化し、キャリア変調部11は、サブキャリアごとに所定の変調方式に応じてIQ平面へのマッピングを行う。
【0064】
時空間符号化部12は、キャリア変調部11から入力される2系統の信号(a,b)に対して、それぞれ時空間符号化して4種類の時空間符号化信号(a1,a2,b1,b2)を生成し、OFDM変調部13に出力する。時空間符号化としてAlamoutiのSTBC(Space-Time Block Coding)を適用した場合、時空間符号化部12−1は、送信したい複素ベースバンド信号aを時空間符号化(STBC符号化)し、a1,a2として出力し、時空間符号化部12−2は、送信したい複素ベースバンド信号bを時空間符号化(STBC符号化)し、b1,b2として出力する。送信したい複素ベースバンド信号の値がx1,x2,x3,x4(ここで、x=a(m),x=a(m+1),x=b(m),x=b(m+1)である)とすると、STBC符号化によりa1,a2,b1,b2は以下のような値となる。
(m)=x
(m+1)=−x
(m)=x
(m+1)=x
(m)=x
(m+1)=−x
(m)=x
(m+1)=x
ここで、mはある離散時間を表し、は複素共役を表す。
【0065】
OFDM変調部13は、時空間符号化部12から入力される4種類の時空間符号化信号(a1,a2,b1,b2)から2系統4つのOFDM信号を生成し、送信所14−1及び14−2に送信する。送信所14−1及び14−2は、同一周波数帯域でSDMによるMIMO−OFDM信号を送信する。OFDM変調部13の構成は図2に示した通りであるので、説明を省略する。
【0066】
このように、実施例2に係る送信装置1bは、2系統の信号に対してそれぞれ時空間符号化し、4種類の時空間符号化信号を生成する時空間符号化部する時空間符号化部12を更に備える。このため、D/Uが0dB付近のSFN干渉エリアにおいて伝送特性を改善することができる。
【0067】
[実施例2に係るOFDM信号の受信装置]
次に、実施例2に係るOFDM信号の受信装置について説明する。図15は、実施例2に係るOFDM信号の受信装置の構成を示すブロック図である。なお、実施例1の受信装置2aと同じ構成要素には同一の参照番号を付して適宜説明を省略する。図15に示すように、OFDM信号の受信装置2bは、OFDM復調部20bと、時空間復号部21と、キャリア復調部22(22−1及び22−2)と、誤り訂正復号部23(23−1及び23−2)とを備える。受信装置2bは、送信装置1bから送信される2系統4つのOFDM信号を2本の受信アンテナAT−rx1及びAT−rx2で受信する。
【0068】
OFDM復調部20bは、受信した2系統4つのOFDM信号を復調して2種類のベースバンド信号(c1,c2)を生成するとともに、パイロット信号を用いて2種類の伝送路応答(h1,h2)を推定する。図16は、OFDM復調部20bの構成を示すブロック図である。図16に示すように、OFDM復調部20bは、A/D変換部200(200−1及び200−2)と、直交復調部201(201−1及び201−2)と、GI除去部202(202−1及び202−2)と、FFT部203(203−1及び203−2)と、パイロット信号生成部204と、パイロット信号抽出部205(205−1及び205−2)と、伝送路応答推定部206(206−1及び206−2)と、伝送路応答補間部207(207−1及び207−2)を備える。実施例1のOFDM復調部20aでは4つのOFDM信号の復調処理を行うが、実施例2のOFDM復調部20bでは2つのOFDM信号の復調処理を行う。各処理ブロックの処理内容は実施例1のOFDM復調部20aと同様であるため、説明を省略する。
【0069】
時空間復号部21は、OFDM復調部20bから入力される複素ベースバンド信号c1,c2、伝送路応答h11,h12,h13,h14(図15中ではh1と記す)、及び伝送路応答h21,h22,h23,h24(図15中ではh2と記す)を用いて、時空間復号し、時空間復号信号を生成する。以下に、時空間復号信号の算出方法について説明する。
【0070】
時空間復号部21への入力となる複素ベースバンド信号c1,c2は、送信装置1bから送信された複素ベースバンド信号a1,a2,b1,b2が、伝送路応答が

である伝送路を通過し、ノイズz1,z2が付加されたものと考えられる。よって、複素ベースバンド信号c1,c2は次式(1)で表される。
【0071】
【数1】

時刻m+1において伝送路応答が変化しないとすると、時刻m+1における入力c1,c2は次式(2)で表され、式(2)の両辺の複素共役をとると、次式(3)が導出される。
【0072】
【数2】

式(1),(3)より、STBCの復号は、次式(4)を解いてx1,x2,x3,x4を求めることに相当する。
【0073】
【数3】

【0074】
式(4)を解くには、ZF(Zero Forcing)、MMSE(Minimum Mean Squared Error)、MLD(Maximum Likelihood Detection)などを適用することができる。4つのストリームの分離にZFを適用する場合、以下の手順となる。式(4)において、ウェイト行列Wを次式(5)で定義する。
【0075】
【数4】


式(5)の両辺に、左からウェイト行列Wを乗算すると、次式(6)が導出される。
【0076】
【数5】

式(6)の雑音成分を無視すると、x1,x2,x3,x4は次式(7)により求められる。
【0077】
【数6】

【0078】
このように、時空間復号部21は、OFDM復調部20bから入力される複素ベースバンド信号c1,c2、伝送路応答h11,h12,h13,h14、及び伝送路応答h21,h22,h23,h24を用いて、式(7)により時空間復号信号x,x,x,x(すなわち、a(m),a(m+1),b(m),b(m+1))を算出する。
【0079】
なお、時空間符号化としてSFBC(Space-Frequency Block Coding)を適用した場合も、STBCと同様の手順で符号化、復号が可能である。STBCの説明において、mはある離散時間を表しているが、mがあるサブキャリア番号を表すものとして読みかえることで、SFBCを適用できる。
【0080】
キャリア復調部22は、時空間復号部21から入力される信号に対して、サブキャリアごとに復調を行い、誤り訂正復号部23に出力する。
【0081】
誤り訂正復号部23は、キャリア復調部22から入力される信号に対して、誤り訂正を行い、送信装置1bから送信された信号を復号する。
【0082】
このように、受信装置2bによれば、送信装置1bから送信されるOFDM信号を2本の受信アンテナで受信し、受信したOFDM信号をOFDM復調部20bにより復調し、時空間復号部21により時空間復号することができる。
【実施例3】
【0083】
次に、実施例3として、4×4MIMOの伝送システムを構成するOFDM信号の送信装置及び受信装置について説明する。この実施例3では、送信装置は実施例2と同じであり、送信所数を2つとし、1つの送信所において、2本の送信アンテナからSDMによるMIMO送信を行う。受信装置は、4本の受信アンテナを用いてSDMのMIMO受信を行う。
【0084】
実施例3に係る送信装置は、実施例2の図14に示した4×2MIMO送信を行う送信装置1bと同じであるため、説明を省略する。図17は、実施例3に係る受信装置2cの構成を示すブロック図である。なお、実施例2に係る受信装置2bと同じ構成要素には同一の参照番号を付して適宜説明を省略する。実施例3に係る受信装置2cは、OFDM復調部20aと、時空間復号部21と、キャリア復調部22と、誤り訂正復号部23と、合成部24とを備える。受信装置2cは、送信装置1bから送信される4つのOFDM信号を4本の受信アンテナAT−rx1〜AT−rx4で受信する。実施例3に係る受信装置2cは、実施例2に係る受信装置2bと比較して、OFDM復調部20aが4本の受信アンテナに対応する4種類の伝送路応答を推定する点、及び合成部24を備える点で相違する。
【0085】
OFDM復調部20aについては、実施例1にて図4を参照して説明した通りであるため、説明を省略する。
【0086】
時空間復号部21−1は、OFDM復調部20aから入力される複素ベースバンド信号c1,c2、伝送路応答h11,h12,h13,h14(図17中ではh1と示す)、及び伝送路応答h21,h22,h23,h24(図17中ではh2と示す)を用いて、式(7)により時空間復号し、時空間復号信号x1,x2,x3,x4を生成する。同様に、時空間復号部21−2は、OFDM復調部20aから入力される複素ベースバンド信号c3,c4、伝送路応答h31,h32,h33,h34(図17中ではh3と示す)、及び伝送路応答h41,h42,h43,h44(図17中ではh4と示す)を用いて、時空間復号し、時空間復号信号x1,x2,x3,x4を生成する
【0087】
合成部24は、時空間復号部21−1,21−2からそれぞれについて復号結果が得られるため、2つずつ求まった時空間復号信号x1,x2,x3,x4に対して、既知の選択合成法、同相合成法、最大比合成法などを適用してダイバーシティ合成を行い、最終的に1つのx1,x2,x3,x4を求める。
【0088】
なお、STCとしてSFBCを適用した場合も、STBCと同様の手順で符号化、復号が可能である。実施例1のSTBCの説明においてmはある離散時間を表していたが、mがあるサブキャリア番号を表すものとして実施例1を読みかえるとSFBCを適用でき、受信信号c1,c2からx1,x2,x3,x4を求めることができる。また受信信号c3,c4からも同様に、x1,x2,x3,x4が求まる。2つずつ求まったx1,x2,x3,x4に対してダイバーシティ合成を行い、最終的なx1,x2,x3,x4を推定するため、4×2MIMOに対してダイバーシティ利得が得られる。
【0089】
このように、実施例3に係る受信装置2cは、送信装置1bから送信されるOFDM信号を4本の受信アンテナで受信し、受信したOFDM信号をOFDM復調部20aにより復調し、時空間復号21により時空間復号した後に、合成部24により時空間復号信号をダイバーシティ合成する。このため、実施例2の4×2MIMOに対してダイバーシティ利得を得ることができる。なお、受信アンテナ数をさらに増やすことにより、ダイバーシティ利得を向上させることも可能である。
【0090】
上述の実施例は、個々に代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
このように、本発明によれば、伝送路応答を高い頻度で求め、且つ、パイロット信号の伝送に使用される消費電力を低減させることができるので、MIMO伝送を行う任意の用途に有用である。
【符号の説明】
【0092】
1a,1b 送信装置
2a,2b,2c 受信装置
10 誤り訂正符号化部
11 キャリア変調部
12 時空間符号化部
13 OFDM変調部
14 送信所
20a,20b OFDM復調部
21 時空間復号部
22 キャリア復調部
23 誤り訂正復号部
24 合成部
25 MIMO検出部
130 パイロット信号生成部
131 OFDMシンボル構成部
132 IFFT部
133 GI付加部
134 直交変調部
135 D/A変換部
136 パイロット信号挿入部
137 OFDM信号生成部
200 A/D変換部
201 直交復調部
202 GI除去部
203 FFT部
204 パイロット信号生成部
205 パイロット信号抽出部
206 伝送路応答推定部
207 伝送路応答補間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つのOFDM信号を4本の送信アンテナから送信する送信装置であって、
4種類の送信信号にそれぞれ異なるパターンのパイロット信号を挿入して4種類のOFDMシンボルを生成するパイロット信号挿入部と、
前記4種類のOFDMシンボルの各キャリアを変調して4つのOFDM信号を生成するOFDM信号生成部と、を備え、
前記パイロット信号挿入部は、
第1及び第2の送信信号に対して、有意な値を有するパイロット信号及び無信号のパイロット信号を挿入し、第3及び第4の送信信号に対して、有意な値を有するパイロット信号、該有意な値を有するパイロット信号の符号を反転させたパイロット信号、及び無信号のパイロット信号を挿入し、
前記第1及び第3の送信信号に対して、同じ所定位置に前記無信号のパイロット信号を挿入し、前記第2及び前記第4の送信信号に対して、前記同じ所定位置と異なる位置に前記無信号のパイロット信号を挿入することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
2系統の信号に対してそれぞれ時空間符号化し、4種類の時空間符号化信号を生成する時空間符号化部を更に備え、
前記4種類の送信信号は、前記時空間符号化部により生成された4種類の時空間符号化信号であることを特徴とする、請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記パイロット信号挿入部は、
前記4種類の送信信号に対して、挿入するパイロット信号のうちの半数を無信号のパイロット信号とし、
前記第3及び第4の送信信号に対して、前記有意な値を有するパイロット信号、及び前記有意な値を有するパイロット信号の符号を反転させたパイロット信号の数を同数とするようにパイロット信号を挿入することを特徴とする、請求項1又は2に記載の送信装置。
【請求項4】
請求項1、又は請求項1に従属する請求項3に記載の送信装置から送信される4つのOFDM信号を4本の受信アンテナで受信する受信装置であって、
前記受信した4つのOFDM信号を復調して各受信アンテナに対応するベースバンド信号及び伝送路応答を推定するOFDM復調部
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項2、又は請求項2に従属する請求項3に記載の送信装置から送信される4つのOFDM信号を2本の受信アンテナで受信する受信装置であって、
前記受信した4つのOFDM信号を復調して各受信アンテナに対応するベースバンド信号及び伝送路応答を推定するOFDM復調部と、
前記ベースバンド信号及び前記伝送路応答を用いて時空間復号し、時空間復号信号を生成する時空間復号部と、
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項6】
請求項2、又は請求項2に従属する請求項3に記載の送信装置から送信される4つのOFDM信号を4本以上の受信アンテナで受信する受信装置であって、
前記受信した4つのOFDM信号を復調して各受信アンテナに対応するベースバンド信号及び伝送路応答を推定するOFDM復調部と、
前記ベースバンド信号及び前記伝送路応答を用いて時空間復号し、時空間復号信号を生成する時空間復号部と、
前記時空間復号信号をダイバーシティ合成する合成部と、
を備えることを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−62565(P2013−62565A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197891(P2011−197891)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】