説明

送電線路設備異常点検装置及び方法

【課題】送電線路設備について、音の発生する現象を収集し、解析すると共に、音の発生しない現象を収集し、解析して、異常であるか否かを判断することができる送電線路設備異常点検装置及び方法を提供すること。
【解決手段】送電線路設備異常点検装置10は、送電線路設備の状態が通常の状態において、振動音データを通常振動音DB31に記憶させ、受信した電波から抽出した高調波データを通常高調波DB32に記憶させる。そして、送電線路設備異常点検装置10は、収集した振動音データと、通常振動音DB31に記憶された振動音データとの差を算出し、算出したデータが不定期な振動音又は特定の振動音を含む場合に、異常と判断する。さらに、送電線路設備異常点検装置10は、受信した高調波データと、通常高調波DB32に記憶された高調波データとの差を算出し、算出したデータが周期的なパルスを含む場合に、異常と判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線路設備異常点検装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、送電線路の設備異常を発見するために,点検者が巡視して発見したり、定期的に碍子を検査したりしている。ここで、点検者による巡視や検査は、人間の視覚及び聴力等によって行うので、注意力や経験等の個人差に依存する部分が大きく、数値化が難しい。このような点検者の経験等に依存せずに、送電設備を音響分析することにより診断する、特許文献1に開示されたシステムが知られている。
【0003】
特許文献1に開示された異常診断システムは、鉄塔の構成部材内を伝わる音波を聴診器によって検出し、検出した音波を音波インターフェースユニット(I/F)及び光式データ多重伝送装置(MUX)によって光信号に変換して光ファイバを介して中央監視室に送信する。中央管理室のMUX及びI/Fは、受信した光信号を音波に変換する。そして、異常診断システムは、音波解析装置及びコンピュータによって、その音波を解析して異常の発生及び異常が発生した位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−280639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された異常診断システムは、鉄塔の構成部材内を伝わる音波を解析して、異常の発生及び異常が発生した位置を検出するので、例えば、碍子のクラックや、連結金具の接触不良による絶縁破壊等のように音の発生しない異常を検出することができない。
【0006】
そこで、鉄塔の構成部材内を伝わる音波を解析することによって異常か否かを判断するだけでなく、音の発生しない現象を収集して異常であるか否かを判断できる装置及び方法が求められている。
【0007】
本発明は、送電線路設備について、音の発生する現象を収集し、解析すると共に、音の発生しない現象を収集し、解析して、異常であるか否かを判断することができる送電線路設備異常点検装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
(1) 送電線路設備を点検する送電線路設備異常点検装置であって、前記送電線路設備を構成する部材に伝わる振動音を収集する振動音収集手段と、前記振動音収集手段によって収集された振動音から振動音データを作成する振動音データ作成手段と、前記送電線路設備の状態が通常の状態において、前記振動音収集手段によって収集された振動音から前記振動音データ作成手段によって作成された振動音データを記憶する通常振動音記憶手段と、送電線から生じる電波のうちVHF帯の電波を受信する高調波受信手段と、前記高調波受信手段によって受信された電波から高調波データを抽出する高調波データ抽出手段と、前記送電線路設備の状態が通常の状態において、前記高調波受信手段によって受信された電波から前記高調波データ抽出手段によって抽出された高調波データを記憶する通常高調波記憶手段と、前記振動音収集手段によって収集され、前記振動音データ作成手段によって作成された振動音データと、前記通常振動音記憶手段に記憶された振動音データとの差を算出する振動音差算出手段と、前記振動音差算出手段によって算出されたデータが不定期な振動音又は特定の振動音を含む場合に、異常と判断する振動音判断手段と、前記高調波受信手段によって受信され、前記高調波データ抽出手段によって抽出された高調波データと、前記通常高調波記憶手段に記憶された高調波データとの差を算出する高調波差算出手段と、前記高調波差算出手段によって算出されたデータが周期的なパルスを含む場合に、異常と判断する高調波判断手段と、を備える送電線路設備異常点検装置。
【0010】
(1)の構成によれば、送電線路設備異常点検装置は、送電線路設備を構成する部材に伝わる振動音を収集し、収集した振動音から振動音データを作成し、送電線路設備の状態が通常の状態において、収集した振動音から作成した振動音データを通常振動音記憶手段に記憶させる。また、送電線路設備異常点検装置は、送電線から生じる電波のうちVHF帯の電波を受信し、受信した電波から高調波データを抽出し、送電線路設備の状態が通常の状態において、受信した電波から抽出した高調波データを通常高調波記憶手段に記憶させる。そして、送電線路設備異常点検装置は、収集し、作成した振動音データと、通常振動音記憶手段に記憶された振動音データとの差を算出し、算出したデータが不定期な振動音又は特定の振動音を含む場合に、異常と判断する。さらに、送電線路設備異常点検装置は、受信し、抽出した高調波データと、通常高調波記憶手段に記憶された高調波データとの差を算出し、算出したデータが周期的なパルスを含む場合に、異常と判断する。
【0011】
すなわち、本発明に係る送電線路設備異常点検装置は、収集した振動音データ及び高調波データと、通常の振動音データ及び高調波データとを比較し、収集した振動音データ及び高調波データが不定期な振動音又は特定の振動音を含む場合や、定期的なパルスを含む場合に、異常と判断する。したがって、本発明に係る送電線路設備異常点検装置は、送電線路設備について、音の発生する現象を部材に伝わる振動音として収集し、解析すると共に、音の発生しない現象を高調波として収集し、解析して、異常であるか否かを判断することができる。
【0012】
(2) 前記送電線路設備の状態が通常の状態において打診された前記部材から伝わる振動音であって前記振動音収集手段によって収集された振動音から、前記振動音データ作成手段によって作成された振動音データを記憶する打診通常振動音記憶手段、をさらに備え、前記振動音収集手段は、打診された前記部材から伝わる振動音を収集し、前記振動音差算出手段は、前記振動音収集手段によって収集された、前記打診された前記部材から伝わる振動音から前記振動音データ作成手段によって作成された振動音データと、前記打診通常振動音記憶手段に記憶された振動音データとの差を算出する(1)に記載の送電線路設備異常点検装置。
【0013】
(2)の構成によれば、送電線路設備異常点検装置は、送電線路設備の状態が通常の状態において打診された部材から伝わる振動音であって収集された振動音から、作成された振動音データを記憶する打診通常振動音記憶手段をさらに備える。そして、送電線路設備異常点検装置は、打診された部材から伝わる振動音を収集し、収集された、打診された部材から伝わる振動音から作成した振動音データと、打診通常振動音記憶手段に記憶された振動音データとの差を算出し、算出したデータを解析する。すなわち、(2)の送電線路設備異常点検装置は、送電線路設備を構成する部材に伝わる振動音に加えて、打診された部材から伝わる振動音によって、異常であるか否かを判断する。したがって、送電線路設備異常点検装置は、送電線路設備について、巡視時に打診によって異常を検出しやすい状態にした現場で、異常であるか否かを判断することができる。
【0014】
(3) 前記振動音判断手段によって異常であると判断されない場合に、前記振動音データ作成手段によって作成された振動音データを前記通常振動音記憶手段又は前記打診通常振動音記憶手段に累積して記憶させる振動音累積手段と、前記高調波判断手段によって異常であると判断されない場合に、前記高調波データ抽出手段によって抽出された高調波データを前記通常高調波記憶手段に累積して記憶させる高調波累積手段と、をさらに備える(2)に記載の送電線路設備異常点検装置。
【0015】
(3)の構成によれば、送電線路設備異常点検装置は、振動音について異常であると判断しない場合に、作成した振動音データを通常振動音記憶手段又は打診通常振動音記憶手段に累積して記憶させる。また、送電線路設備異常点検装置は、高調波について異常であると判断しない場合に、抽出した高調波データを通常高調波記憶手段に累積して記憶させる。したがって、送電線路設備異常点検装置は、送電線路設備について、累積して通常の振動音データ及び高調波データを記憶させているので、送電線路設備について、さらに精度よく解析することができる。
【0016】
(4) 送電線路設備の状態が通常の状態における振動音データを記憶する通常振動音記憶手段と、送電線路設備の状態が通常の状態における高調波データを記憶する通常高調波記憶手段とを備える送電線路設備異常点検装置が送電線路設備を点検する方法であって、前記送電線路設備を構成する部材に伝わる振動音を収集する振動音収集ステップと、収集された前記振動音から振動音データを作成する振動音データ作成ステップと、送電線から生じる電波のうちVHF帯の電波を受信する電波受信ステップと、受信された前記電波から高調波データを抽出する高調波データ抽出ステップと、前記振動音収集ステップによって収集され、前記振動音データ作成ステップによって作成された振動音データと、前記通常振動音記憶手段に記憶された振動音データとの差を算出する振動音差算出ステップと、前記振動音差算出ステップによって算出されたデータが不定期な振動音又は特定の振動音を含む場合に、異常と判断する振動音判断ステップと、前記電波受信ステップによって受信され、前記高調波データ抽出ステップによって抽出された高調波データと、前記通常高調波記憶手段に記憶された高調波データとの差を算出する高調波データ差算出ステップと、前記高調波データ差算出ステップによって算出されたデータが定期的なパルスを含む場合に、異常と判断する高調波判断ステップと、を備える方法。
【0017】
したがって、本発明に係る方法は、送電線路設備について、音の発生する現象を収集し、解析すると共に、音の発生しない現象を収集し、解析して、異常であるか否かを判断することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、送電線路設備について、音の発生する現象を部材に伝わる振動音として収集し、解析すると共に、音の発生しない現象を高調波として収集し、解析して、異常であるか否かを判断することができる。したがって、本発明は、送電線路設備について、パルスノイズ管理により電気障害の未然防止(早期発見)が図れる。また、本発明は、異常の発見を,聴覚や経験に頼ることなく未経験者にも容易に行えるようにすることができる。その結果、本発明は、送電線路設備について、異常の発見をするためのコストの低減を図ることができる。そして、本発明は、数値化されたデータ管理によって適格な設備維持管理を行うための、送電線路設備の振動音データ及び高調波データを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置の概要を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置の判断処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置の、振動音の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置の、打診された場合の振動音の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置の、高調波の一例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置の実施形態2の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0021】
[実施形態1]
図1は、本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置10の概要を示す図である。図1(1)は、振動音収集手段としてのマイク111、及び高調波受信手段としてのVHFアンテナ112を備える送電線路設備異常点検装置10の設置の例を示す図である。図1(2)は、マイク111の構成の例を示す図である。
【0022】
図1(1)の例は、送電線路設備、例えば鉄塔101にマイク111が密着され、VHFアンテナ112が送電線102の下方に設置され、送電線路設備異常点検装置10がマイク111及びVHFアンテナ112によってデータを収集している例である。VHFアンテナ112は、送電線から生じる電波のうちVHF(Very High Frequency)帯の電波を受信する。さらに、図1(1)の例は、送電線路設備異常点検装置10がハンマー121によって打診された振動音をマイク111によって収集している例である。そして、図1(1)の例は、送電線路設備異常点検装置10が収集した振動音データ及び高調波データと、通常の振動音データ及び高調波データとを比較して、送電線路設備に異常があるか否かを判断し、表示部2014に表示している例である。
【0023】
図1(2)の例は、マイク111が外音遮断リング115と集音部116とから構成されている例である。マイク111は、送電線路設備(例えば、鉄塔101等)を構成する部材(例えば、鋼管や、ボルト、碍子、電線等)に伝わる振動音を収集するために、例えば、聴診器のような機能を備えている。そして、マイク111は、外音遮断リング115を介して鉄塔101の鋼管に密着されるので、送電線路設備を伝わる振動音だけを聴診器のように収集し、電気信号に変換して送信する。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置10の機能を示す機能ブロック図である。送電線路設備異常点検装置10は、振動音データ作成手段としての振動音データ作成部11と、高調波データ抽出手段としての高調波データ抽出部12と、振動音差算出手段としての振動音差算出部13と、振動音判断手段としての振動音判断部14と、高調波差算出手段としての高調波差算出部15と、高調波判断手段としての高調波判断部16と、振動音累積手段としての振動音累積部17と、高調波累積手段としての高調波累積部18と、報知部19と、通常振動音記憶手段としての通常振動音DB31と、打診通常振動音記憶手段としての打診通常振動音DB41と、通常高調波記憶手段としての通常高調波DB32と、を備える。そして、送電線路設備異常点検装置10は、収集した振動音データ及び高調波データと、通常の振動音データ及び高調波データとを比較して、送電線路設備に異常があるか否かを判断する。
【0025】
振動音データ作成部11は、マイク111によって収集された振動音から振動音データを作成する。例えば、振動音データ作成部11は、マイク111によって電気信号に変換された振動音の音圧を所定の間隔でサンプリングし、デジタル値化した振動音データを作成する。
【0026】
通常振動音DB31は、送電線路設備の状態が通常の状態において、マイク111によって収集された振動音から振動音データ作成部11によって作成された振動音データを記憶する。送電線は、風やその他の干渉により常に振動音を発生させている。そこで、通常振動音DB31は、風やその他の干渉による影響が少ない状態である通常の状態において収集され、作成された振動音データを記憶する。例えば、通常振動音DB31は、時間ごとの音圧データとして振動音データを記憶する。
【0027】
打診通常振動音DB41は、送電線路設備の状態が通常の状態において打診された部材から伝わる振動音であってマイク111によって収集された振動音から、振動音データ作成部11によって作成された振動音データを、通常振動音DB31と同様に記憶する。
【0028】
高調波データ抽出部12は、VHFアンテナ112によって受信された電波から高調波データを抽出する。例えば、送電線の下方に設置されたVHFアンテナ112は、映像搬送波(例えば、アナログTV3ch等)の電波と共に、送電線から生じた高調波の電波を受信する。
【0029】
例えば、碍子のクラック(不良碍子)や、連結金具の接触不良(腐食等による電気的絶縁)、帯電部分への異物の接触(ホーンの倒れ掛かり等)によって、高調波が発生する場合がある。この高調波の周波数は、送電線によって配電される電圧の基本周波数(関東では50Hz、関西では60Hz)の整数倍である。発生した高調波は、送電線を伝わって発信され、発信された高調波は、VHF−Low帯において検出されやすい。ここで、VHF帯の周波数は、30〜300MHzであり、地上アナログテレビジョン放送やFM放送、地上デジタル音声放送等で利用されている。特に、FM放送帯の76MHzよりも低い周波数帯域をVHF−Low帯という。高調波データ抽出部12は、VHFアンテナ112によって受信された電波のVHF−Low帯を音波に変換し、高調波を抽出する。
【0030】
通常高調波DB32は、送電線路設備の状態が通常の状態において、VHFアンテナ112によって受信された電波から高調波データ抽出部12によって抽出された高調波データを記憶する。送電線路設備の状態が通常の状態には、送電線路設備の状態が通常であることの他に、天候の良好や、VHF帯の無線を使用している機器が近くにない状態等の、通常の電波状態であることも含まれる。すなわち、通常高調波DB32は、通常の高調波データを記憶する。
【0031】
振動音差算出部13は、マイク111によって収集され、振動音データ作成部11によって作成された振動音データと、通常振動音DB31に記憶された振動音データとの差を算出する(通常の点検)。また、振動音差算出部13は、点検時の指定が打診による点検の場合、マイク111によって収集された、打診された部材から伝わる振動音から振動音データ作成部11によって作成された振動音データと、打診通常振動音DB41に記憶された振動音データとの差を算出する。
【0032】
振動音判断部14は、振動音差算出部13によって算出されたデータが不定期な振動音又は特定の振動音を含む場合に、異常と判断する。例えば、振動音差算出部13によって算出されたデータが、無音又は安定した振動音データである場合、振動音判断部14は、正常と判断する。また、例えば、振動音差算出部13によって算出されたデータが、時間の経過と共に安定した値を示さず、時間経過によって大きい値や小さい値(振幅が大きくなったり、小さくなったり)を含む場合、振動音判断部14は、電線が振動しているだけの場合もあるので、異常の恐れがあると判断する。また、例えば、振動音差算出部13によって算出されたデータが、不定期な高音ノイズを含む(ボルト・ナットの緩みや、諸装置、標識、部材等の接触不良がある)場合、振動音判断部14は、異常と判断する。また、例えば、振動音差算出部13によって算出されたデータが、ほぼ定期的にノイズがある(共振によるホーンの緩み等によって振り子式に揺れている)場合、振動音判断部14は、異常と判断する。
【0033】
高調波差算出部15は、VHFアンテナ112によって受信され、高調波データ抽出部12によって抽出された高調波データと、通常高調波DB32に記憶された高調波データとの差を算出する。
【0034】
高調波判断部16は、高調波差算出部15によって算出されたデータが周期的なパルスを含む場合に、異常と判断する。例えば、高調波差算出部15によって算出されたデータが、周期性のないノイズである場合、高調波判断部16は、正常と判断する。また、例えば、高調波差算出部15によって算出されたデータが、周期的なパルスノイズを含む(碍子のクラック(不良碍子)、連結金具の接触不良(腐食等による電気的絶縁)、帯電部分への異物の接触(ホーンの倒れ掛かり等)の恐れがある)場合、高調波判断部16は、異常と判断する。
【0035】
振動音累積部17は、振動音判断部14によって異常であると判断されない場合に、振動音データ作成部11によって作成された振動音データを通常振動音DB31又は打診通常振動音DB41に累積して記憶させる。例えば、振動音判断部14によって異常であると判断されない場合に、振動音累積部17は、振動音データと、通常振動音DB31又は打診通常振動音DB41の振動音データとの加重平均を行う。通常振動音DB31に累積するか打診通常振動音DB41に累積するかは、点検時の指定(通常の点検か、打診による点検か)による。よって、通常振動音DB31又は打診通常振動音DB41は、さらに精度のよい通常の振動音データを記憶することができる。
【0036】
高調波累積部18は、高調波判断部16によって異常であると判断されない場合に、高調波データ抽出部12によって抽出された高調波データを通常高調波DB32に累積して記憶させる。例えば、高調波判断部16によって異常であると判断されない場合に、高調波累積部18は、高調波データと、通常高調波DB32の高調波データとの加重平均を行う。よって、通常高調波DB32は、さらに精度のよい通常の高調波データを記憶することができる。
【0037】
報知部19は、振動音判断部14の判断と、高調波判断部16の判断とを報知する。例えば、報知部19は、振動音判断部14及び高調波判断部16の判断に基づく警告メッセージを表示部2014に表示させる。なお、報知部19は、警告音や光の点滅によって注意を喚起させるとしてもよい。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、送電線路設備異常点検装置10は、CPU(Central Processing Unit)2011、メモリ2012、操作部2013、表示部2014、補助記憶部2015、機器I/F2016及びネットワーク通信I/F2040がバスライン2050により接続されて構成されている。
【0039】
CPU2011は、送電線路設備異常点検装置10を統括的に制御する部分であり、メモリ2012に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。メモリ2012は、適宜読み出して実行されるプログラムを記憶し、プログラムの実行によって作成される種々の情報を記憶する。
【0040】
操作部2013は、各種設定や入力操作を行う操作ボタン(打診点検ボタンを含む)群、決定操作ボタン等を備えており、操作部2013による入力情報はCPU2011の制御下で処理される。すなわち、ユーザは、操作部2013を介して、必要な各種の設定操作、又は指定操作等が可能である。表示部2014は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)によって構成され、各種情報を表示する。
【0041】
補助記憶部2015は、フラッシュメモリ等により構成され、送電線路設備異常点検装置10が機能するための各種プログラム及び本発明の機能を実行するプログラムを記憶している。さらに、補助記憶部2015は、通常振動音DB31、打診通常振動音DB41及び通常高調波DB32を構成し、各種データを記憶している。
【0042】
機器I/F2016は、送電線路設備異常点検装置10と、マイク111やVHFアンテナ112等とを接続できるようにするためのインターフェースである。
【0043】
ネットワーク通信I/F2040は、送電線路設備異常点検装置10を専用ネットワーク又は公共ネットワークを介して送電線路設備を管理するサーバ(図示せず)等と接続できるようにするためのネットワーク・アダプタである。
【0044】
図4は、本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置10の処理内容を示すフローチャートである。
【0045】
ステップS100において、CPU2011は、打診による点検か否かを判断する。より具体的には、CPU2011は、操作部2013から打診による点検を示す信号を受信した(例えば、打診による点検を示す打診点検ボタンがON)か否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU2011は、処理をステップS103に移し、NOの場合、CPU2011は、処理をステップS101に移す。
【0046】
ステップS101において、CPU2011(マイク111及び振動音データ作成部11)は、振動音を収集し、振動音データを作成する。より具体的には、CPU2011は、マイク111によって電気信号に変換された振動音の音圧を所定の間隔でサンプリングし、デジタル値化した振動音データを作成する。その後、CPU2011は、処理をステップS102に移す。
【0047】
ステップS102において、CPU2011(振動音差算出部13)は、作成した振動音データと、通常振動音DB31に記憶された振動音データとの差を算出する。その後、CPU2011は、処理をステップS105に移す。
【0048】
ステップS103において、CPU2011(マイク111及び振動音データ作成部11)は、打診音を収集し、振動音データを作成する。より具体的には、CPU2011は、マイク111によって電気信号に変換された、打診音の振動音の音圧を所定の間隔でサンプリングし、デジタル値化した振動音データを作成する。その後、CPU2011は、処理をステップS104に移す。
【0049】
ステップS104において、CPU2011(振動音差算出部13)は、打診音から作成した振動音データと、打診通常振動音DB41に記憶された振動音データとの差を算出する。その後、CPU2011は、処理をステップS105に移す。
【0050】
ステップS105において、CPU2011(高調波データ抽出部12)は、VHFアンテナ112によって受信された電波から高調波データを抽出する。より具体的には、CPU2011は、VHFアンテナ112によって受信された、映像搬送波から、VHF−Low帯を音波に変換し、高調波を抽出する。その後、CPU2011は、処理をステップS106に移す。
【0051】
ステップS106において、CPU2011(高調波差算出部15)は、抽出した高調波データと、通常高調波DB32に記憶された高調波データとの差を算出する。その後、CPU2011は、処理をステップS107に移す。
【0052】
ステップS107において、CPU2011(振動音判断部14部及び高調波判断部16)は、判断処理(後述する図5参照)を行う。その後、CPU2011は、処理を終了する。
【0053】
図5は、本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置10の判断処理を示すフローチャートである。本判断処理は、振動音データと、通常振動音DB31に記憶された通常の振動音データとの差である振動音差データについて異常か否かの判断、及び高調波データと、通常高調波DB32に記憶された通常の高調波データとの差である高調波差データについて異常か否かの判断をする。
【0054】
ステップS201において、CPU2011(振動音判断部14部)は、振動音差データが時間経過により変化する振動音を含むか否かを判断する。より具体的には、CPU2011は、振動音差データが時間経過により、振幅が大きくなったり小さくなったりする振動音を含むか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU2011は、処理をステップS202に移し、NOの場合、CPU2011は、処理をステップS203に移す。
【0055】
ステップS202において、CPU2011(振動音判断部14部及び報知部19)は、異常の恐れがあると判断し、警告を報知する。より具体的には、CPU2011は、振動音に関連する異常の恐れがある(電線振動の場合もある)ので、表示部2014に振動音の異常についての警告を表示する。その後、CPU2011は、処理を終了し本処理に移るステップの次のステップに処理を戻す。
【0056】
ステップS203において、CPU2011(振動音判断部14部)は、振動音差データが不定期な振動音を含むか否かを判断する。より具体的には、CPU2011は、振動音差データが不定期な高音のノイズを含むか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU2011は、処理をステップS204に移し、NOの場合、CPU2011は、処理をステップS205に移す。
【0057】
ステップS204において、CPU2011(振動音判断部14部及び報知部19)は、接触不良があると判断し、異常を報知する。より具体的には、CPU2011は、ボルト・ナットの緩みや、諸装置、標識、部材等の接触不良を示す表示を、表示部2014にさせる。その後、CPU2011は、処理を終了し本処理に移るステップの次のステップに処理を戻す。
【0058】
ステップS205において、CPU2011(振動音判断部14部)は、振動音差データが特定の振動音を含むか否かを判断する。より具体的には、CPU2011は、振動音差データが定期的なノイズを含むか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU2011は、処理をステップS206に移し、NOの場合、CPU2011は、処理をステップS207に移す。
【0059】
ステップS206において、CPU2011(振動音判断部14部及び報知部19)は、振動音に関連する異常と判断し、異常を報知する。より具体的には、CPU2011は、共振によるホーンの緩み等によって振り子式に揺れていることを示す表示を、表示部2014にさせる。その後、CPU2011は、処理を終了し本処理に移るステップの次のステップに処理を戻す。
【0060】
ステップS207において、CPU2011(高調波判断部16)は、高調波差データが周期的なパルスを含むか否かを判断する。より具体的には、CPU2011は、高調波差データが周期的なパルスノイズを含むか否かを判断する。この判断がYESの場合、CPU2011は、処理をステップS208に移し、NOの場合、CPU2011は、処理をステップS209に移す。
【0061】
ステップS208において、CPU2011(高調波判断部16及び報知部19)は、高調波に関連する異常の恐れがあると判断し、警告を報知する。より具体的には、CPU2011は、碍子のクラック(不良碍子)、連結金具の接触不良(腐食等による電気的絶縁)、帯電部分への異物の接触(ホーンの倒れ掛かり等)の恐れがあることを示す表示を、表示部2014にさせる。その後、CPU2011は、処理を終了し本処理に移るステップの次のステップに処理を戻す。
【0062】
ステップS209において、CPU2011(振動音判断部14部、高調波判断部16及び報知部19)は、正常と判断し、正常を報知する。より具体的には、CPU2011は、正常であることを示す表示を、表示部2014にさせる。その後、CPU2011は、処理をステップS210に移す。
【0063】
ステップS210において、CPU2011(振動音累積部17部及び高調波累積部18)は、振動音データ及び高調波データを累積して記憶させる。より具体的には、CPU2011は、振動音データと、通常振動音DB31又は打診通常振動音DB41の振動音データとの加重平均を行い、加重平均した振動音データを通常振動音DB31又は打診通常振動音DB41に記憶させる。また、CPU2011は、高調波データと、通常高調波DB32の高調波データとの加重平均を行い、加重平均した高調波データを通常高調波DB32に記憶させる。その後、CPU2011は、処理を終了し本処理に移るステップの次のステップに処理を戻す。
【0064】
図6は、本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置10の、振動音の一例を示す図である。図6(1)は、通常振動音DB31に記憶された、通常状態の振動音データ201の例を示す図である。図6(2)は、マイク111によって収集された、異常がある場合の振動音データ301の例を示す図である。
【0065】
図6(1)の例は、不定期な振動音や特定の振動音を含まない、通常状態の振動音データ201の例である。図6(2)の例は、不定期な振動音を含む、異常がある場合の振動音データ301の例である。この様な例において、異常がある場合の振動音データ301と、通常状態の振動音データ201との差である振動音差データは、不定期な振動音からなるデータである。送電線路設備異常点検装置10は、このような振動音差データを周波数解析等により解析し、例えば、不定期な振動音を含むとして異常と判断する。
【0066】
図7は、本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置10の、打診された場合の振動音の一例を示す図である。図7(1)は、通常振動音DB31に記憶された、通常状態で打診された場合の振動音データ202の例を示す図である。図7(2)は、マイク111によって収集された、異常がある状態で打診された場合の振動音データ302の例を示す図である。
【0067】
図7(1)の例は、打診された振動音データを含み、不定期な振動音や特定の振動音を含まない、通常状態で打診された振動音データ202の例である。図7(2)の例は、不定期な振動音を含む、異常がある状態で打診された場合の振動音データ302の例である。打診されることによって発生した振動音データは、不定期な振動音又は特定の振動音を、顕著に含む場合がある。この様な例において、異常がある状態で打診された場合の振動音データ302と、通常状態で打診された振動音データ202との差である打診された振動音差データは、不定期な振動音からなるデータである。送電線路設備異常点検装置10は、このような打診された振動音差データを周波数解析等により解析し、例えば、不定期な振動音を含むとして異常と判断する。
【0068】
図8は、本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置10の、高調波の一例を示す図である。図8(1)は、通常高調波DB32に記憶された、通常状態で受信した場合の高調波データ211の例を示す図である。図8(2)は、異常がある状態で受信した場合の高調波データ311の例を示す図である。
【0069】
図8(1)の例は、定期的なパルスノイズを含まない、通常状態の高調波データ211の例である。図8(2)の例は、定期的なパルスノイズを含む、異常がある場合の高調波データ311の例である。この様な例において、異常がある場合の高調波データ311と、通常状態の高調波データ211との差である高調波差データは、定期的なパルスノイズからなるデータである。送電線路設備異常点検装置10は、このような高調波差データを周波数解析等により解析し、例えば、定期的なパルスノイズを含むとして異常と判断する。
【0070】
実施形態1によれば、送電線路設備異常点検装置10は、送電線路設備を構成する部材に伝わる振動音を収集し、収集した振動音から振動音データを作成し、送電線路設備の状態が通常の状態において、収集した振動音から作成した振動音データを通常振動音DB31に記憶させる。また、送電線路設備異常点検装置10は、送電線から生じる電波のうちVHF帯の電波を受信し、受信した電波から高調波データを抽出し、送電線路設備の状態が通常の状態において、受信した電波から抽出した高調波データを通常高調波DB32に記憶させる。そして、送電線路設備異常点検装置10は、収集し、作成した振動音データと、通常振動音DB31に記憶された振動音データとの差を算出し、算出したデータが不定期な振動音又は特定の振動音を含む場合に、異常と判断する。さらに、送電線路設備異常点検装置10は、受信し、抽出した高調波データと、通常高調波DB32に記憶された高調波データとの差を算出し、算出したデータが周期的なパルスを含む場合に、異常と判断する。したがって、送電線路設備異常点検装置10は、送電線路設備について、部材に伝わる振動音を収集し、解析すると共に、高調波を収集し、解析して、送電線路設備が異常であるか否かを判断することができる。
【0071】
さらに、送電線路設備異常点検装置10は、打診された部材から伝わる振動音を収集し、収集した振動音から作成した振動音データと、打診通常振動音DB41に記憶された振動音データとの差を算出し、算出したデータを解析する。したがって、送電線路設備異常点検装置10は、巡視時に打診によって異常を検出しやすい状態にした現場で、異常であるか否かを判断することができる。さらに、送電線路設備異常点検装置10は、振動音について異常であると判断しない場合に、作成した振動音データを通常振動音DB31又は打診通常振動音DB41に累積して記憶させ、高調波について異常であると判断しない場合に、抽出した高調波データを通常高調波DB32に累積して記憶させる。したがって、送電線路設備異常点検装置10は、累積した通常の振動音データ及び高調波データによって、収集した振動音データ及び高調波データを、さらに精度よく解析することができる。
【0072】
なお、送電線路設備異常点検装置10は、送電線路設備を管理するサーバに、振動音データ及び高調波データをネットワーク通信I/F2040を介して送信するとしてもよい。サーバは、個々の送電線路設備を点検した送電線路設備異常点検装置10のデータに基づいて、送電線路設備の異状原因や異常個所等を検出することができる。
【0073】
[実施形態2]
図9は、本発明の一実施形態に係る送電線路設備異常点検装置10の実施形態2の概要を示す図である。図9は、送電線路設備異常点検装置10が図1の実施形態1に加えて、送電線路設備を打診する打診手段としての打診器131を備えていることを示す図である。送電線路設備異常点検装置10は、機器I/F2016を介して打診器131に信号を送信し、打診器131は、受信した信号によって打診する。送電線路設備異常点検装置10は、一定の時間間隔と、一定の強度とによる打診をすることができる。
【0074】
実施形態2によれば、送電線路設備異常点検装置10は、送電線路設備異常点検装置10は、送電線路設備を構成する部材を伝わる音波の解析及び送電線路設備から発生する高調波の解析に加えて、一定の時間間隔及び一定の強度による打診により部材を伝わる音波の解析を行う。したがって、送電線路設備異常点検装置10は、送電線路設備に異常があるか否かをさらに精度よく判断することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0076】
10 送電線路設備異常点検装置
11 振動音データ作成部
12 高調波データ抽出部
13 振動音差算出部
14 振動音判断部
15 高調波差算出部
16 高調波判断部
17 振動音累積部
18 高調波累積部
19 報知部
31 通常振動音DB
32 通常高調波DB
41 打診通常振動音DB
111 マイク
112 VHFアンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電線路設備を点検する送電線路設備異常点検装置であって、
前記送電線路設備を構成する部材に伝わる振動音を収集する振動音収集手段と、
前記振動音収集手段によって収集された振動音から振動音データを作成する振動音データ作成手段と、
前記送電線路設備の状態が通常の状態において、前記振動音収集手段によって収集された振動音から前記振動音データ作成手段によって作成された振動音データを記憶する通常振動音記憶手段と、
送電線から生じる電波のうちVHF帯の電波を受信する高調波受信手段と、
前記高調波受信手段によって受信された電波から高調波データを抽出する高調波データ抽出手段と、
前記送電線路設備の状態が通常の状態において、前記高調波受信手段によって受信された電波から前記高調波データ抽出手段によって抽出された高調波データを記憶する通常高調波記憶手段と、
前記振動音収集手段によって収集され、前記振動音データ作成手段によって作成された振動音データと、前記通常振動音記憶手段に記憶された振動音データとの差を算出する振動音差算出手段と、
前記振動音差算出手段によって算出されたデータが不定期な振動音又は特定の振動音を含む場合に、異常と判断する振動音判断手段と、
前記高調波受信手段によって受信され、前記高調波データ抽出手段によって抽出された高調波データと、前記通常高調波記憶手段に記憶された高調波データとの差を算出する高調波差算出手段と、
前記高調波差算出手段によって算出されたデータが周期的なパルスを含む場合に、異常と判断する高調波判断手段と、
を備える送電線路設備異常点検装置。
【請求項2】
前記送電線路設備の状態が通常の状態において打診された前記部材から伝わる振動音であって前記振動音収集手段によって収集された振動音から、前記振動音データ作成手段によって作成された振動音データを記憶する打診通常振動音記憶手段、をさらに備え、
前記振動音収集手段は、打診された前記部材から伝わる振動音を収集し、
前記振動音差算出手段は、前記振動音収集手段によって収集された、前記打診された前記部材から伝わる振動音から前記振動音データ作成手段によって作成された振動音データと、前記打診通常振動音記憶手段に記憶された振動音データとの差を算出する請求項1に記載の送電線路設備異常点検装置。
【請求項3】
前記振動音判断手段によって異常であると判断されない場合に、前記振動音データ作成手段によって作成された振動音データを前記通常振動音記憶手段又は前記打診通常振動音記憶手段に累積して記憶させる振動音累積手段と、
前記高調波判断手段によって異常であると判断されない場合に、前記高調波データ抽出手段によって抽出された高調波データを前記通常高調波記憶手段に累積して記憶させる高調波累積手段と、
をさらに備える請求項2に記載の送電線路設備異常点検装置。
【請求項4】
送電線路設備の状態が通常の状態における振動音データを記憶する通常振動音記憶手段と、送電線路設備の状態が通常の状態における高調波データを記憶する通常高調波記憶手段とを備える送電線路設備異常点検装置が送電線路設備を点検する方法であって、
前記送電線路設備を構成する部材に伝わる振動音を収集する振動音収集ステップと、
収集された前記振動音から振動音データを作成する振動音データ作成ステップと、
送電線から生じる電波のうちVHF帯の電波を受信する電波受信ステップと、
受信された前記電波から高調波データを抽出する高調波データ抽出ステップと、
前記振動音収集ステップによって収集され、前記振動音データ作成ステップによって作成された振動音データと、前記通常振動音記憶手段に記憶された振動音データとの差を算出する振動音差算出ステップと、
前記振動音差算出ステップによって算出されたデータが不定期な振動音又は特定の振動音を含む場合に、異常と判断する振動音判断ステップと、
前記電波受信ステップによって受信され、前記高調波データ抽出ステップによって抽出された高調波データと、前記通常高調波記憶手段に記憶された高調波データとの差を算出する高調波データ差算出ステップと、
前記高調波データ差算出ステップによって算出されたデータが定期的なパルスを含む場合に、異常と判断する高調波判断ステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−193567(P2011−193567A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55400(P2010−55400)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】