説明

送風機の羽根車のボス構造及びそれを備えた送風機の羽根車

【課題】羽根車の強度を向上させることが可能な送風機の羽根車のボス構造及びそれを備えた送風機の羽根車を提供する。
【解決手段】ボス構造1は、送風機の羽根車100を回転駆動させるモータ105の回転軸106が軸着されるボス構造であって、回転軸方向に延びる筒状部12を有するハブ10と、筒状部12を径方向両側から挟む防振部材20と、防振部材20のうち筒状部12の径方向一方側に接する部分を支持しており回転軸106が軸着される第1ボス31と、防振部材20のうち筒状部12の径方向他方側に接する部分を支持しており第1ボス31と一体回転する第2ボス32とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機の羽根車のボス構造及びそれを備えた送風機の羽根車、特に、送風機の羽根車を回転駆動させるモータの回転軸が軸着されるボス構造及びそれを備えた羽根車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、送風機の羽根車のボス構造として、モータからの振動を低減することを主目的として、送風機の羽根車のハブが、ゴム材料等からなる防振部材を介して、羽根車を回転駆動させるモータの回転軸が軸着されたボスの外周部に固着されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】2003−269382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ハブが防振部材を介してボスの外周部に固着されたボス構造では、モータからの振動を低減する効果が高いが、羽根車のアンバランス等により防振部材に対して外力が加わった場合に、防振部材の変形が生じてしまい、これにより、さらに外力が大きくなり、その結果、羽根車の振れや騒音が大きくなるという問題が生じる。特に、防振部材の半径方向の変形については、羽根車の半径方向の振れを大きくし、羽根車の強度低下につながるため、極力抑えることが望ましい。
【0004】
本発明の課題は、羽根車の強度を向上させることが可能な送風機の羽根車のボス構造及びそれを備えた送風機の羽根車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明にかかるボス構造は、送風機の羽根車を回転駆動させるモータの回転軸が軸着されるボス構造であって、回転軸方向に延びる筒状部を有するハブと、筒状部を径方向両側から挟む防振部材と、防振部材のうち筒状部の径方向一方側に接する部分を支持しており回転軸が軸着される第1ボスと、防振部材のうち筒状部の径方向他方側に接する部分を支持しており第1ボスと一体回転する第2ボスとを備えている。尚、防振部材の材質としては、ゴム材料等の弾性材料が使用される。
【0006】
このボス構造では、ハブの筒状部の径方向両側が防振部材に接しており、かつ、防振部材が第1ボス及び第2ボスによって径方向両側から挟まれるため、例えば、従来のハブが防振部材を介してボスの外周部に固着されただけのボス構造と比べて、外力に対する防振部材の径方向の変位量が約半分となる。
【0007】
これにより、このボス構造では、外力に対する防振部材の径方向への変形を小さくすることができるため、羽根車としての強度を向上させることができる。
【0008】
第2の発明にかかるボス構造は、第1の発明にかかるボス構造において、第2ボスは、第1ボスと一体成形されている。
【0009】
このボス構造では、第1ボスと第2ボスとが一体成形されているため、ボス構造を構成する部品点数を減らすことができる。
【0010】
第3の発明にかかるボス構造は、第1又は第2の発明にかかるボス構造において、第1ボス及び第2ボスは、防振部材を収容する空間を形成している。
【0011】
このボス構造では、第1ボス及び第2ボスが防振部材を収容する空間を形成しているため、例えば、防振部材がゴム材料からなる場合には、ハブの筒状部をこの空間の所定位置に配置した状態で、ゴム材料を注入又は充填して、加硫成形したり、防振部材が弾性を有する樹脂材料からなる場合には、ハブの筒状部をこの空間の所定位置に配置した状態で、樹脂材料を注入又は充填して、インサート成形することができる。
【0012】
このように、このボス構造では、第1ボス及び第2ボスが形成する空間に防振部材を構成する材料を注入又は充填して、防振部材を第1ボス、第2ボス及びハブと一体成形することができるため、製造が容易である。
【0013】
第4の発明にかかるボス構造は、第3の発明にかかるボス構造において、第1ボス及び/又は第2ボスには、防振部材を収容する空間と外部とを連通する開口が形成されている。
【0014】
このボス構造では、防振部材を収容する空間と外部とを連通する開口が形成されているため、防振部材を第1ボス、第2ボス及びハブと一体成形を行う際に、空間に外部から防振部材を構成する材料を注入又は充填することができるため、製造がさらに容易になる。
【0015】
第5の発明にかかる送風機の羽根車は、第1〜第4の発明のいずれかにかかるボス構造と、ハブと一体の又はハブに固定された羽根車本体とを備えている。
【0016】
この送風機の羽根車では、ハブの筒状部の径方向両側が防振部材に接しており、かつ、防振部材が第1ボス及び第2ボスによって径方向両側から挟まれたボス構造を備えているため、外力に対する防振部材の径方向への変形が小さくすることができ、羽根車としての強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0018】
第1及び第5の発明では、外力に対する防振部材の径方向への変形を小さくすることができるため、羽根車としての強度を向上させることができる。
【0019】
第2の発明では、ボス構造を構成する部品点数を減らすことができる。
【0020】
第3の発明では、防振部材を第1ボス、第2ボス及びハブと一体成形することができるため、製造が容易である。
【0021】
第4の発明では、製造がさらに容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明にかかる送風機の羽根車のボス構造及びそれを備えた送風機の羽根車の実施形態について説明する。
【0023】
(1)送風機の羽根車のボス構造及びそれを備えた送風機の羽根車の構成
図1に、本発明の一実施形態にかかるボス構造1を備えた送風機の羽根車100の径方向断面図を示す。図2に、図1のボス構造1のみを拡大した図を示す。
【0024】
羽根車100は、両吸込タイプの多翼送風機の羽根車であり、主として、羽根車本体101と、ボス構造1とを備えている。ここで、図中のO−Oは、羽根車100の回転軸線である。羽根車本体101は、円板状のエンドプレート102の両面の外周部に多数の翼103の一端が固定され、これらの翼103の他端の外周縁が環状のエンドリング104で結ばれている。エンドプレート102の中心には、ボス構造1を構成するハブ10が固定されている。尚、本実施形態においては、羽根車本体101のエンドプレート102は、ハブ10に固定されているが、これに限られるものではなく、ハブ10と一体であってもよい。
【0025】
ボス構造1は、羽根車100を回転駆動させるモータ105の回転軸106が軸着されるものであり、ハブ10が防振部材20を介してボス30に固着されることによって構成されている。
【0026】
ハブ10は、本実施形態において、板金製の部材であり、主として、環状部11と、筒状部12とを有している。環状部11は、本実施形態において、その外周端が羽根車本体101のエンドプレート102の内周部に固定された環状の部分である。筒状部12は、回転軸方向に延びる筒状の部分であり、本実施形態において、環状部11の内周端から回転軸方向一方側(ここでは、モータ105側)に向かって延びている。
【0027】
防振部材20は、本実施形態において、ゴム材料や弾性を有する樹脂材料からなり、筒状部12の少なくとも一部を径方向両側から挟むように配置されている。防振部材20は、本実施形態において、内筒部21と、外筒部22と、延出部23とを有している。内筒部21は、筒状部12の内周面に接する筒状の部分であり、筒状部12の回転軸方向環状部側(ここでは、反モータ105側)の近傍から筒状部12の回転軸方向反環状部側(ここでは、モータ105側)まで延びている。外筒部22は、筒状部12の外周面に接する筒状の部分であり、内筒部21の回転軸方向反環状部11側端から筒状部12の回転軸方向環状部11側に折り返して、筒状部12の回転軸方向環状部11側端まで延びている。延出部23は、環状部11の回転軸方向一方側(ここでは、モータ105側)の面に接する環状の部分であり、外筒部22の回転軸方向環状部11側端から環状部11がエンドプレート102に固定された位置よりも内周側の位置まで延びている。ここで、内筒部21と外筒部22とが筒状部12を径方向両側から挟んでいる部分の長さを長さL1とする。
【0028】
ボス30は、本実施形態において、金属製の部材であり、主として、第1ボス31と、第2ボス32とを有している。第1ボス31は、防振部材20のうち筒状部12の径方向一方側(ここでは、径方向内周側)に接する部分(ここでは、内筒部21)を支持しており、回転軸106が軸着される貫通孔31aが形成された円柱状の部分である。ここで、第1ボス31の回転軸方向の長さを長さL2とする。第2ボス32は、防振部材20のうち筒状部12の径方向他方側(ここでは、径方向外周側)に接する部分(ここでは、外筒部22)を支持しており、第1ボス31と一体回転する部分である。本実施形態において、第2ボス32は、環状部32aと、筒状部32bとを有しており、第1ボス31と一体成形されている。環状部32aは、防振部材20の内筒部21の回転軸方向反環状部11側端及び外筒部22の回転軸方向反環状部11側端に接する環状の部分であり、第1ボス31の回転軸方向略中央の位置から径方向外周側に向かって延びている。筒状部32bは、防振部材20の外筒部22の外周面に接する筒状の部分であり、環状部32aの径方向外周側端から延出部23の回転軸方向一方側(ここでは、モータ105側)の面に接する位置まで延びている。そして、ボス30(すなわち、第1ボス31及び第2ボス32)は、第1ボス31の外周面と、第2ボス32の環状部32aの回転軸方向他方側(ここでは、反モータ105側)の面と、第2ボス32の筒状部32bの内周面とによって、囲まれる環状の空間S1を形成しており、この空間S1にハブ10の筒状部12を径方向両側から挟んだ状態の防振部材20が収容されている。ここで、ボス30(すなわち、第1ボス31及び第2ボス32)のうち、防振部材20(ここでは、内筒部21及び外筒部22)がハブ10(ここでは、筒状部12)を径方向両側から挟んでいる部分に対応する部分の長さをL3とした場合において、この長さL3及び上述の防振部材20がハブ10を径方向両側から挟んでいる部分の長さL1は、長さL2の1/4倍以上の長さを有している。
【0029】
(2)本実施形態の送風機の羽根車のボス構造及びそれを備えた送風機の羽根車の特徴
本実施形態のボス構造1(このボス構造1を備えた送風機の羽根車100についても同様)には、以下のような特徴がある。
【0030】
(A)
本実施形態のボス構造1では、ハブ10の筒状部12の径方向両側が防振部材20に接しており、かつ、防振部材20が第1ボス31及び第2ボス32によって径方向両側から挟まれるため、例えば、従来のハブが防振部材を介してボスの外周部に固着されただけのボス構造と比べて、外力に対する防振部材20の径方向の変位量が約半分となり、これにより、外力に対する防振部材20の径方向への変形を小さくすることができるため、羽根車100としての強度を向上させることができるようになっている。
【0031】
また、防振部材20がハブ10を径方向両側から挟んでいる部分の長さL1、及び、ボス30のうち防振部材20がハブ10を径方向両側から挟んでいる部分に対応する部分の長さL3が、ボス30の回転軸方向の長さL2の1/4倍以上の長さを有しているため、ハブ10と防振部材20とボス30とが互いに接する面積を十分に確保することができるようになり、外力に対する防振部材20の径方向への変形を小さくする効果を確実に得ることができるようになっている。
【0032】
さらに、ハブ10(ここでは、環状部11の一部)が、防振部材20(ここでは、延出部23)介して、ボス30の回転軸方向他方側(ここでは、第2ボス32の筒状部32bの反モータ105側)の端部に固着されているため、防振部材20の回転軸方向(ここでは、モータ105側)への変形を小さくすることができるようになっている。
【0033】
(B)
本実施形態のボス構造1では、第1ボス31と第2ボス32とが一体成形されているため、ボス構造を構成する部品点数を減らすことができるようになっている。
【0034】
(C)
本実施形態のボス構造1では、ボス30(すなわち、第1ボス31及び第2ボス32)が防振部材20を収容する空間S1を形成しているため、以下のようにして、防振部材20をボス30(すなわち、第1ボス31及び第2ボス32)及びハブ10と一体成形することができるようになっている。
【0035】
まず、図3に示されるように、ハブ10の筒状部12を空間S1の所定位置に(すなわち、ハブ10の環状部11と第2ボス32の筒状部32bの反モータ105側端との回転軸方向間に環状の隙間S2を空け、かつ、ハブ10の筒状部12を第1ボス31の外周面や第2ボス32の筒状部32bの内周面に接しないように)配置した状態にする。そして、例えば、ゴム材料で防振部材20を構成する場合には、このゴム材料を空間S1及び隙間S2に注入又は充填して、加硫成形することができる。また、例えば、弾性を有する樹脂材料で防振部材20を構成する場合には、この樹脂材料を空間S1及び隙間S2に注入又は充填して、インサート成形することができる。このように、ボス構造1では、ボス30(すなわち、第1ボス31及び第2ボス32)が形成する空間S1及び隙間S2に防振部材20を構成する材料を注入又は充填して、防振部材20を第1ボス31、第2ボス32及びハブ10と一体成形することができるため、製造が容易である。
【0036】
(D)
本実施形態のボス構造1では、ボス30の回転軸方向他方側(ここでは、反モータ105側)の端部(ここでは、第1ボス31の反モータ105側の端部と第2ボス32の筒状部32bの反モータ105側の端部との径方向間の部分)に環状の開口30aが形成されており、ハブ10の筒状部12を空間S1の所定位置に配置することを容易にするとともに、防振部材20を収容する空間S1と外部とを連通している。このように、このボス構造1では、防振部材20を収容する空間S1と外部とを連通する開口30aが形成されているため、上述のように、防振部材20を第1ボス31、第2ボス32及びハブ10と一体成形を行う際に、防振部材20を構成する材料を、開口30aを通じて、回転軸方向他方側(ここでは、反モータ105側)から空間S1に注入又は充填することができるため、製造がさらに容易になる。
【0037】
また、防振部材20を構成する材料を回転軸方向一方側(ここでは、モータ105側)から注入又は充填できるようにするために、開口30aとは別に、例えば、ボス30の第2ボス32の環状部32aに開口30bを形成してもよい。これにより、開口30aを使用せずに、防振部材20を構成する材料を、開口30bを通じて、回転軸方向一方側(ここでは、モータ105側)から空間S1に注入又は充填したり、開口30aと併用して空間S1に注入又は充填することができるようになる。
【0038】
(3)変形例1
上述の実施形態では、ボス30に回転軸方向他方側(ここでは、反モータ105側)に開口した空間S1が形成されており、ハブ10の筒状部12がボス30の反モータ105側から空間S1に挿入された構造を有しているが、ボス30に回転軸方向一方側(ここでは、モータ105側)に開口した空間S1が形成されており、ハブ10の筒状部12がボス30のモータ105側から空間S1に挿入された構造を有していてもよい。
【0039】
以下、本変形例のボス構造1について、図4及び図5を用いて説明する。
【0040】
ボス構造1は、ハブ10が防振部材20を介してボス30に固着されることによって構成されている。
【0041】
ハブ10は、本変形例において、板金製の部材であり、主として、環状部11と、筒状部12とを有している。環状部11は、本変形例において、その外周端が羽根車本体101のエンドプレート102の内周部に固定された環状の部分である。筒状部12は、回転軸方向に延びる筒状の部分であり、本変形例において、環状部11の内周端から回転軸方向一方側(ここでは、反モータ105側)に向かって延びている。
【0042】
防振部材20は、本変形例において、ゴム材料や弾性を有する樹脂材料からなり、筒状部12の少なくとも一部を径方向両側から挟むように配置されている。防振部材20は、本変形例において、内筒部21と、外筒部22と、延出部23とを有している。内筒部21は、筒状部12の内周面に接する筒状の部分であり、筒状部12の回転軸方向環状部側(ここでは、モータ105側)の近傍から筒状部12の回転軸方向反環状部側(ここでは、反モータ105側)まで延びている。外筒部22は、筒状部12の外周面に接する筒状の部分であり、内筒部21の回転軸方向反環状部11側端から筒状部12の回転軸方向環状部11側に折り返して、筒状部12の回転軸方向環状部11側端まで延びている。延出部23は、環状部11の回転軸方向一方側(ここでは、反モータ105側)の面に接する環状の部分であり、外筒部22の回転軸方向環状部11側端から環状部11がエンドプレート102に固定された位置よりも内周側の位置まで延びている。ここで、内筒部21と外筒部22とが筒状部12を径方向両側から挟んでいる部分の長さを長さL1とする。
【0043】
ボス30は、本変形例において、金属製の部材であり、主として、第1ボス31と、第2ボス32とを有している。第1ボス31は、防振部材20のうち筒状部12の径方向一方側(ここでは、径方向内周側)に接する部分(ここでは、内筒部21)を支持しており、回転軸106が軸着される貫通孔31aが形成された円柱状の部分である。ここで、第1ボス31の回転軸方向の長さを長さL2とする。第2ボス32は、防振部材20のうち筒状部12の径方向他方側(ここでは、径方向外周側)に接する部分(ここでは、外筒部22)を支持しており、第1ボス31と一体回転する部分である。本変形例において、第2ボス32は、環状部32aと、筒状部32bとを有しており、第1ボス31と一体成形されている。環状部32aは、防振部材20の内筒部21の回転軸方向反環状部11側端及び外筒部22の回転軸方向反環状部11側端に接する環状の部分であり、第1ボス31の回転軸方向反環状部11側端から径方向外周側に向かって延びている。筒状部32bは、防振部材20の外筒部22の外周面に接する筒状の部分であり、環状部32aの径方向外周側端から延出部23の回転軸方向一方側(ここでは、反モータ105側)の面に接する位置まで延びている。そして、ボス30(すなわち、第1ボス31及び第2ボス32)は、第1ボス31の外周面と、第2ボス32の環状部32aの回転軸方向他方側(ここでは、モータ105側)の面と、第2ボス32の筒状部32bの内周面とによって、囲まれる環状の空間S1を形成しており、この空間S1にハブ10の筒状部12を径方向両側から挟んだ状態の防振部材20が収容されている。ここで、ボス30(すなわち、第1ボス31及び第2ボス32)のうち、防振部材20(ここでは、内筒部21及び外筒部22)がハブ10(ここでは、筒状部12)を径方向両側から挟んでいる部分に対応する部分の長さをL3とした場合において、この長さL3及び上述の防振部材20がハブ10を径方向両側から挟んでいる部分の長さL1は、長さL2の1/4倍以上の長さを有している。
【0044】
また、本変形例のボス構造1においても、図5に示されるように、ハブ10の筒状部12を空間S1の所定位置に(すなわち、ハブ10の環状部11と第2ボス32の筒状部32bのモータ105側端との回転軸方向間に環状の隙間S2を空け、かつ、ハブ10の筒状部12を第1ボス31の外周面や第2ボス32の筒状部32bの内周面に接しないように)配置した状態にして、ボス30(すなわち、第1ボス31及び第2ボス32)が形成する空間S1及び隙間S2に防振部材20を構成する材料を注入又は充填して、防振部材20を第1ボス31、第2ボス32及びハブ10と一体成形することができるようになっている。しかも、ボス30の回転軸方向他方側(ここでは、モータ105側)の端部(ここでは、第1ボス31のモータ105側の端部と第2ボス32の筒状部32bのモータ105側の端部との径方向間の部分)に形成された環状の開口30aやボス30の第2ボス32の環状部32aに形成された開口30bを通じて、防振部材20を構成する材料を回転軸方向側から注入又は充填することができるようになっている。
【0045】
このような構成を有する本変形例のボス構造1においても、上述の実施形態と同様、羽根車100としての強度を向上させることができ、防振部材20をボス30(すなわち、第1ボス31及び第2ボス32)及びハブ10と一体成形することができる。
【0046】
(4)変形例2
上述の実施形態及び変形例1では、第1ボス31と第2ボス32とが一体成形されたボス30となっているが、図6及び図7に示されるように、第1ボス31と第2ボス32とが別部材であってもよい。
【0047】
このような構成を有する本変形例のボス構造1においても、ボス構造を構成する部品点数は増える点を除いては、上述の実施形態及び変形例1と同様、羽根車100としての強度を向上させることができ、防振部材20を第1ボス31、第2ボス32及びハブ10と一体成形することができる。
【0048】
(5)他の実施形態
以上、本発明の実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0049】
例えば、上述の実施形態及びその変形例においては、本発明のボス構造を両吸込タイプの多翼送風機の羽根車に適用したが、本発明のボス構造は、片吸込タイプの多翼送風機、ラジアルファン、ターボファン、プロペラファンなど各種送風機の羽根車に対して適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明を利用すれば、羽根車の強度を向上させることが可能な送風機の羽根車のボス構造及びそれを備えた送風機の羽根車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態にかかるボス構造を備えた送風機の羽根車の径方向断面図である。
【図2】図1のボス構造のみを拡大した図である。
【図3】防振部材を第1ボス、第2ボス及びハブと一体成形する様子を説明する図である。
【図4】変形例1にかかるボス構造を示す図であって、図2に対応する図である。
【図5】変形例1にかかる防振部材を第1ボス、第2ボス及びハブと一体成形する様子を説明する図である。
【図6】変形例2にかかるボス構造を示す図であって、図2に対応する図である。
【図7】変形例2にかかるボス構造を示す図であって、図4に対応する図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ボス構造
10 ハブ
12 筒状部
20 防振部材
30a、30b 開口
31 第1ボス
32 第2ボス
100 羽根車
101 羽根車本体
105 モータ
106 回転軸
S1 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機の羽根車(100)を回転駆動させるモータ(105)の回転軸(106)が軸着されるボス構造であって、
前記回転軸方向に延びる筒状部(12)を有するハブ(10)と、
前記筒状部を径方向両側から挟む防振部材(20)と、
前記防振部材のうち前記筒状部の径方向一方側に接する部分を支持しており、前記回転軸が軸着される第1ボス(31)と、
前記防振部材のうち前記筒状部の径方向他方側に接する部分を支持しており、前記第1ボスと一体回転する第2ボス(32)と、
を備えたボス構造(1)。
【請求項2】
前記第2ボス(32)は、前記第1ボス(31)と一体成形されている、請求項1に記載のボス構造(1)。
【請求項3】
前記第1ボス(31)及び前記第2ボス(32)は、前記防振部材(20)を収容する空間(S1)を形成している、請求項1又は2に記載のボス構造(1)。
【請求項4】
前記第1ボス(31)及び/又は前記第2ボス(32)には、前記空間(S1)と外部とを連通させる開口(30a、30b)が形成されている、請求項3に記載のボス構造(1)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のボス構造(1)と、
前記ハブ(10)と一体の又は前記ハブに固定された羽根車本体(101)と、
を備えた送風機の羽根車(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−121610(P2008−121610A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308291(P2006−308291)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【特許番号】特許第4063308号(P4063308)
【特許公報発行日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】