説明

逆ゾルゲル法によるモノリスの製造方法

以下の工程:a)熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物を分散させて水性又は水含有分散液を形成させる工程、b)金属アルコキシド及び/又は半金属アルコキシドをこの分散液に添加し、場合によりこれを添加前に水により加水分解する工程、c)これらの成分を混合して均質なコロイドゾルを形成させる工程、d)このコロイドゾルから粗い含有物を除去する工程、e)このコロイドゾルを型中でゲル化させる工程、f)このエアロゲル中に含まれる水を有機溶剤で置換する工程、g)このエアロゲルを乾燥させる工程、h)この乾燥エアロゲルを加熱処理する工程を含む、逆ゾルゲル法によるガラスのモノリスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「逆ゾルゲル」法によるモノリス、特にガラスのモノリスの製造方法に関する。
【0002】
熱分解法により製造されたシリカ、水及び酸から2.2未満のpHを有するペーストを製造し、アルコキシシランをこのペースト中で混合し、塩基を添加してpHを2.8〜3.6に調整し、このゾルからゲルを形成し、このゲルを超臨界条件下で乾燥させ、この乾燥ゲルを最初に950〜1200℃の温度で塩素ガス雰囲気中で加熱し、次いで塩素不含雰囲気中で加熱してこの乾燥ゲルから塩素を遊離させ、次いでこのゲルを、このゲルを二酸化ケイ素ガラスに変換させるのに十分な温度に加熱することにより合成ガラスを製造することは公知である(WO02/074704)。
【0003】
更に、二酸化ケイ素の水性懸濁液とケイ素アルコキシド溶液とを混合し、この混合物を加水分解してゾルを形成させ、ゾルをゲル化して湿潤ゲルを形成させ、この湿潤ゲルを乾燥させて乾燥ゲルを形成させ、そしてこの乾燥ゲルを焼結してガラス物品を形成させることにより、合成二酸化ケイ素ガラスから物品を製造することは公知である(WO01/53225)。
【0004】
本発明は、以下の工程:
a)熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物を分散させて水性又は水含有分散液を形成させる工程、
b)金属アルコキシド及び/又は半金属アルコキシドをこの分散液に添加し、場合によりこれを添加前に水により加水分解する工程、
c)これらの成分を混合して均質なコロイドゾルを形成させる工程、
d)このコロイドゾルから粗い含有物を除去する工程、
e)このコロイドゾルを型中でゲル化させる工程、
f)このエアロゲル中に含まれる水を有機溶剤で置換する工程、
g)このエアロゲルを乾燥させる工程、
h)この乾燥エアロゲルを熱処理する工程
を含む、逆ゾルゲル法によるモノリスの製造方法に関する。
【0005】
逆ゾルゲル法は、加水分解の段階及びヒュームドシリカ分散の段階が、慣用のゾルゲル法について逆であるゾルゲル法である(EP705797;US6567210;US5948535;EP586013;US5236483;US4801318を参照のこと)。
【0006】
個々の段階を以下に説明する。
【0007】
a)熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物を分散させて水性又は水含有分散液を形成させる工程
熱分解的経路により製造された全ての公知の金属及び/又は半金属の酸化物を、熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物として添加することができる。
【0008】
金属及び/又は半金属の酸化物を製造するための熱分解法は、Ullmann's Enzyklopaedie der technischen Chemie, 4版, 21巻, 462〜475頁(1982)から公知である。この金属及び/又は半金属の酸化物の熱分解法による製造において、蒸発性化合物、例えば塩化物を、燃焼ガス、例えば水素及び酸素含有ガス、例えば空気と混合することができ、次いでこの成分を一緒に火炎中で反応させることができる。
【0009】
この熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物は、粉末、顆粒、ペースト及び/又は分散液として利用することができる。
【0010】
このペースト及び/又は分散液の製造は、熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の粉末酸化物を分散媒、例えば水中に導入し、そしてこの混合物を好適な装置を用いて機械的に処理することによる公知の経路により実施することができる。
【0011】
好適な装置は、Ultra−Turrax、湿式ジェットミル、ナノマイザー等であってよい。
【0012】
この分散液/ペーストの固体含有率は、5〜80質量%であってよい。
【0013】
この分散液及び/又はペーストは、塩基、例えばNH4OH又は有機アミン又は第4級アンモニウム化合物を含有してよい。
【0014】
熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物は、加水分解物に顆粒形で添加することができる。特に、DE19601415A1による二酸化ケイ素をベースとする顆粒を使用することができる。これらの顆粒は、以下の特性データを有する:
平均粒径:25〜120μm
BET表面積:40〜400m2/g
細孔容積:0.5〜2.5ml/g
細孔分布:<5nmの細孔を示さない
pH:3.6〜8.5
突き固め密度:220〜700g/l
【0015】
これらは、熱分解法により製造された二酸化ケイ素を水中に分散させ、そしてこの分散液を噴霧乾燥することにより製造される。
【0016】
この顆粒の使用は、処理がより容易であることの他に、空気がほとんど含まれず、ひいては空気泡がゾル中にほとんど導入されず、従ってゲル中にもほとんど導入されないという利点を有する。
【0017】
より大きい二酸化ケイ素濃度は、顆粒の使用により更に達成することができる。結果として収縮率はより低く、かつより大きいガラス成分を同じ装置を用いて製造することができる。
【0018】
この加水分解物と一緒に導入される、熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物の量は、20〜40質量%であってよい。
【0019】
このガラスの製造の間の収縮率は、熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物の、本発明により製造されるべきゾル中での含有率により調節することができる。
【0020】
本発明によれば、0.45〜0.55の収縮率が有利に確保される。
【0021】
第1表による酸化物を、熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物として利用することができる。
【0022】
第1表:Aerosilの物理化学データ
【表1】

【0023】
1)DIN66131による
2)DIN ISO 787/XI、JIS K 5101/18による(篩別されていない)
3)DIN ISO 787/XI、ASTM D 1208、JIS K 5101/23による
4)DIN55921、ASTM D 1208、JIS K 5101/23による
5)DIN ISO 787/IX、ASTM D 1208、JIS K 5101/24による
6)DIN ISO 787/XVIII、JIS K 5101/20
7)2時間にわたって105℃で乾燥された物質をベースとする
8)2時間にわたって1000℃で燃焼された物質をベースとする
9)特定の防水保護包装
10)HCl含有率は、燃焼についての損失成分である。
【0024】
本発明の好ましい形態においては、第1表中に更に列記されている熱分解法により製造された二酸化ケイ素Aerosil OX50を利用することができる。特に、熱分解法により製造された二酸化ケイ素Aerosil OX50は、高いUV透過性が必要でない場合に利用することができる。
【0025】
EP1182168A1により公知の以下の物理化学的特性を有する、熱分解法により製造された二酸化ケイ素を、熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物として更に利用することができる:
1.D50≧150nmを上回る平均粒度(D50値)(動的光散乱法、30質量%)
2.粘度(5rpm、30質量%) η≦100m.Pas
3.Ti
【数1】

のチキソトロピー≦2
4.BET表面積30〜60m2/g
5.突き固め密度TD=100〜160g/l
6.もとのpH≦4.5
【0026】
これらの物理化学的特性は、以下の測定法により決定される:
粒度
測定法:光子相関分光法(PCS)は、粒子を約5nm〜5μmの範囲内で検出できる動的光散乱法である。平均粒径の他に、測定結果として粒度分布を算出することもできる。
光源:650nmダイオードレーザー
ジオメトリー 180゜ ホモダイン型散乱
試料量:2ml
ミー理論による分布の算出
手順:2mlの分散液(30mol%)を、測定セル中に導入し、温度プローブを挿入し、そして測定を開始する。この測定は、室温で行う。
【0027】
粘度
測定法:複雑な流れ特性を分析するための標準回転スピンドルを備えたプログラム可能レオメータを利用することができる。
剪断速度:5〜100rpm
測定温度:室温(23℃)
分散液濃度:30mol%。
【0028】
手順:500mlの分散液を、600mlのガラスビーカ中に導入し、そして室温(測定プローブによる統計的な温度記録)で種々の剪断速度で分析する。
【0029】
BET:DIN66131による
突き固め密度:DIN ISO 787/XI、K5101/18(篩別されていない)による
pH:DIN ISO 787/IX、ASTM D 1280、JIS K5101/24による。
【0030】
本発明により利用することができる熱分解法により製造された二酸化ケイ素は、揮発性ケイ素化合物、例えば四塩化ケイ素又はトリクロロメチルシランと、酸素含有ガス及び水素とを混合し、そしてこのガス混合物を火炎中で燃焼させることにより製造することができる。
【0031】
本発明により利用することができる熱分解法により製造された二酸化ケイ素は、有利には、本発明によるゾルゲル法において水性及び/又は非水性溶剤中の分散液の形で利用することができる。これは、有利には、高いUV透過性を有するガラスを製造すべき場合に利用することができる。
【0032】
ガラスの特に高い純度が必要とされる場合には、9ppm未満の金属含有量を特徴とする、高純度の熱分解法により製造された二酸化ケイ素を更に金属及び/又は半金属の酸化物として利用することができる。このことは、特許出願DE10342828.3(030103FH)に記載されている。
【0033】
本発明の好ましい態様においては、熱分解法により製造された高純度の二酸化ケイ素は、以下の金属の含有量を特徴とする。

【0034】
この場合、全金属含有量は3252ppb(〜3.2ppm)以下であってよい。
【0035】
本発明の更に好ましい態様においては、熱分解法により製造された高純度の二酸化ケイ素は、以下の金属の含有量を特徴とする。

【0036】
この場合、全金属含有量は1033ppb(〜1,03ppm)以下であってよい。
【0037】
本発明により利用することができる熱分解法により製造された高純度の二酸化ケイ素の製造は、四塩化ケイ素を火炎中での高温加水分解により公知のように二酸化ケイ素に変換させ、かつこの場合、30ppb未満の金属含有量を有する四塩化ケイ素を使用することにより実施することができる。
【0038】
本発明の好ましい態様においては、四塩化ケイ素の他に、以下の金属含有量を有する四塩化ケイ素を利用することができる:

【0039】
この低い金属含有量を有する四塩化ケイ素は、DE10030251又はDE10030252により製造することができる。
【0040】
四塩化ケイ素から出発して、これを水素と酸素との混合物中で反応させる熱分解法二酸化ケイ素の製造のための主要な方法は、 Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie, 4版, 21巻, 464頁以下参照. (1982)から公知である。
【0041】
本発明による二酸化ケイ素の金属含有量は、ppm以下の範囲(ppb範囲)内である。
【0042】
本発明により利用することができる熱分解法により製造された二酸化ケイ素は、有利には、顕著な光学特性を有する特定のガラスの製造に好適である。本発明による二酸化ケイ素により製造されたガラスは、特に低いUV領域において低い吸収性を有する。
【0043】
本発明により利用することができる熱分解法により製造された高純度の二酸化ケイ素は、例えば、500kg/hの第1表による組成を有するSiCl4を約90℃で蒸発させ、そしてそれを公知の構造のバーナの中心管内に移動させることにより製造することができる。190Nm3/hの水素及び35容量%の酸素含有率を有する326Nm3/hの空気を、この管内に付加的に導入する。このガス混合物を燃焼し、そしてこれは水冷バーナの火炎管内で燃える。15Nm3/hの水素を、中心ノズルを包囲するジャケットノズル内に付加的に添加して、ケーキングを防ぐ。通常の組成の250Nm3/hの空気をなおも付加的にこの火炎管内に導入する。この反応ガスが冷めた後に、熱分解法二酸化ケイ素粉末と塩酸含有ガスとをフィルタ及び/又はサイクロンを用いて分離する。この熱分解法二酸化ケイ素粉末を脱酸装置内で水蒸気及び空気で処理して、これを付着する塩酸を遊離させる。
【0044】
金属含有量を、第2表に再現する。
【0045】
第1表:SiCl4の組成
【表2】

【0046】
第2表:二酸化ケイ素の金属含有率
【表3】

【0047】
WO2004/054929から公知の熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末は、以下、
− BET表面積30〜90m2/g、
− DBP数80未満、
− 平均アグリゲート面積25000nm2未満、
− 平均アグリゲート周囲長1000nm未満を有し、その際、このアグリゲートの少なくとも70%が1300nm未満の周囲長を有し、該粉末は本発明により、熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物として更に使用することができる。
【0048】
好ましい態様においては、BET表面積は、35〜75m2/gであってよい。特に好ましくは、40〜60m2/gの値であってよい。このBET表面積は、DIN66131により測定する。
【0049】
好ましい態様においては、DBP数は、60〜80であってよい。DBP吸収の間に、DBP測定機器中の回転パドルの力の吸収又はトルク(Nm)を規定量のDBPが添加される間に測定する、つまり滴定に相当する。この場合、本発明により利用することができる二酸化ケイ素については、特定のDBP添加量で引き続いての降下を伴う鋭く定義された最大値がもたらされる。
【0050】
更なる好ましい態様においては、本発明により利用することができる二酸化ケイ素粉末は、多くとも20000nmの平均アグリゲート面積を有する。15000〜20000nmの平均アグリゲート面積が有利なことがある。このアグリゲート面積は、例えばTEM画像の画像解析によって測定することができる。本発明の範囲内においては、アグリゲートは類似の構造及びサイズの互いに連晶した一次粒子からなり、その表面積は個々の独立した一次粒子の合計未満であると解されるべきである。一次粒子は、最初に反応で形成され、そして一緒に成長して、反応が更に進むにつれてアグリゲートを形成しうる粒子であると解される。
【0051】
更なる好ましい態様においては、本発明により利用することができる二酸化ケイ素粉末は、1000nm未満の平均アグリゲート周囲長を有する。特に好ましくは、平均アグリゲート周囲長は600〜1000nmであってよい。このアグリゲート周囲長は、同様に、TEM画像の画像解析により測定することができる。
【0052】
アグリゲートの少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも90%が、1300nm未満の周囲長を有する実施態様が有利なことがある。
【0053】
好ましい実施態様においては、本発明により利用することができる二酸化ケイ素粉末は、水性分散液中では、90質量%までの充填度を示してよい。20〜40質量%の範囲が有利なことがある。
【0054】
水性分散液中の最大充填度の測定は、他の添加剤を添加することなく溶解機を用いて粉末を少しずつ水中に導入することによって実施する。この最大充填度は、撹拌出力を高めたにもかかわらず粉末が分散液中にもはや取り込まれない、すなわち粉末が分散液の表面上に乾燥状態で残留する際か、又は分散液が固化する際か、もしくは分散液が塊を形成し始めた際に達成される。
【0055】
本発明により利用することができる二酸化ケイ素粉末は更に、30質量%の水性分散液に対して5回転/分の剪断速度で100mPas未満の粘度を有してよい。特に好ましい実施態様においては、この粘度は50mPas未満であってよい。
【0056】
本発明による二酸化ケイ素粉末のpHは、4%の水性分散液中で測定して3.8〜5であってよい。
【0057】
本発明により利用することができる二酸化ケイ素粉末は、水性分散液の形で利用することができる。
【0058】
本発明により利用することができる水性分散液は、5〜80質量%の二酸化ケイ素粉末の含有率を有してよい。20〜40の二酸化ケイ素粉末の含有率を有する分散液が特に有利なことがある。これらの分散液は、比較的低いストラクチャーで高い安定性を有する。約30質量%の分散液が殊に有利なことがある。
【0059】
好ましい実施態様においては、本発明により利用することができる30質量%の二酸化ケイ素粉末を有する水性分散液は、50rpmの剪断速度で150mPas未満の粘度を有してよい。特に好ましくは、80mPas未満の範囲であってよい。
【0060】
本発明により利用することができる水性分散液は、好ましくは、200nm未満の二酸化ケイ素粉末のアグリゲートの平均粒度を有してよい。特定の使用のために、150nm未満の値が特に有利なことがある。
【0061】
本発明により利用することができる分散液は、塩基もしくはカチオン性ポリマーもしくはアルミニウム塩又はカチオン性ポリマーとアルミニウム塩又は酸との混合物の添加により安定化させることができる。
【0062】
利用することができる塩基は、アンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、第1級、第2級又は第3級の有機アミンである。
【0063】
b)金属アルコキシド及び/又は半金属アルコキシドのこの分散液への添加
任意の所望の金属アルコキシドをこのアルコキシドとして利用することができる。特に、TEOS(テトラエトキシシラン)を利用することができる。
【0064】
更に、アルコキシドは:Dynasil 40であってよい。
【0065】
場合により、エトキシシランを希酸で処理することにより加水分解を開始させることができ、その際加水分解物が形成される。
【0066】
アルコキシド又はDynasil40の加水分解は、好ましくは、21〜25℃の範囲内で、かつpH1.5〜3で行うが、これらの範囲は、加水分解反応が30l付近の容量につき4時間未満で達せられ、かつ10ミクロンメッシュを詰まらせるのに十分な大きさのオリゴマーSiO2アグロメレートをもたらす重縮合の副反応が生じない条件まで拡張されてよい。TEOS/水モル比は、TEOSの場合には完全な加水分解反応を有するか又はDynasil40の場合には(ポリ)ケイ酸の最終的な形成を完了させるのに十分であることが望ましい。
【0067】
加水分解を引き起こすために幾つかの酸を使用することができる:
無機酸、例えば:当該分野において公知のHCl、HNO3、H2SO4、HFである。通常、強酸についてはpHは2である。
【0068】
有機酸、例えば:クエン酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸(最後の酸についての加水分解反応は、進行のために超音波の使用を要する)。また酒石酸は、滴定後に製造された塩がそれほど可溶性でなく、かつゲル中に結晶が存在する場合を除き、使用される。更なる処理は、この困難性が克服されることがあることを示した。他の有機酸の使用は、除かれるべきではない。かかる酸を使用することの利点は、得られるゲルがステンレス鋼型から容易に外れることである。
【0069】
この加水分解物は、フィルタに導通させてよい。
【0070】
このフィルタは、1〜12μm、好ましくは9〜11μmの孔径を有してよい。この加水分解後に、形成されたアルコールを、減圧条件下で水溶液(加水分解物)から除去してよい。
【0071】
c)均質なコロイドゾルを形成するための成分の混合
アルコキシド又は場合によりその加水分解物と、熱分解法経路により製造された金属及び/又は半金属の酸化物との混合は、最初にこの酸化物懸濁液又は分散液を混合容器中に導入し、そしてこのアルコキシド又は加水分解物とを良好に混合しつつ添加して、均質に分散した液体の、かつ多すぎるアグロメレートをもたらすことなく、好ましくは全くアグロメレートをもたらすことなく後続の工程に進むことができる安定なコロイド懸濁液を得ることにより実施することができる。
【0072】
アルコキシドの酸化物への添加が実施される温度は、30℃、好ましくは10〜25℃の範囲内であってよい。
【0073】
混合装置は、好ましくはUltra−Turrax型の装置であってよく、これにより結果としてゲル中での破壊が有利に減少する。
【0074】
コロイドゾルは、この加水分解物と、熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物とを混合することにより得ることができる。この加水分解物と熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物との混合は、好ましくは、均質な分散液又は均質なゾルが得られるように実施することが望ましい。
【0075】
d)コロイドゾルからの粗い含有物の任意の除去
場合により遠心分離を実施して:
− より均質なゲル化工程、及び次の段階にとってより良好な特性を有するゲルをもたらすことがある、より均質なゾルを得る、
− ゲル中に不純物をもたらす、ゾルの中に存在する粒子を分離する、
− 温度又はシリカ濃度の特定の条件又は種々の工程段階の間に生ずる他の理由、例えば物理的又は化学的変動(緩やかな重縮合)により引き起こされた局所的なゲル化により生成されたアグリゲートを除去する。
【0076】
遠心分離の時間及び遠心分離の力場の条件は、材料の多くとも15質量%、好ましくは多くとも5質量%が引き抜かれるような条件であることが望ましい。
【0077】
このコロイドゾルは、ガラス体の不均質性をもたらすことがある不所望な粗い粒子を含有することがある。この不均質性により、特にガラスが導光ファイバーの製造に使用されるべき場合には障害がもたらされる。
【0078】
コロイドゾルからの粗い含有物の除去は、コロイドゾルを遠心分離することにより実施することができる。より大きいか又は高密度を有する粒子が、この遠心分離により分離される。この遠心分離段階は、コロイドゾルから光学繊維の製造用の半加工品が製造されるべき場合に有利なことがある。
【0079】
アルコキシドの加水分解後及び/又は熱分解経路により製造された酸化物の添加後に、このアルコキシドの加水分解の間に形成されたアルコール、例えばエタノールをこの溶液又は混合物から蒸発させることができる。
【0080】
このエタノールの蒸発は、残りの工程、例えばより迅速な溶剤交換にとって所望の特性をゲルをもたらすゲル化条件を達成するために行う。この蒸発は、この間に重縮合反応の促進が生じないように行う。回転蒸発器内で行う場合には、この真空は、蒸発器がもはや作用することができない領域内に液体をもたらすことがある沸騰をもたらすほど高くないこと、及び蒸発の目的にとって実用的でないほど小さくないことが望ましい。第1の指標として、この蒸発は、この溶液中のアルコール(エタノール)濃度が10質量%を下回るまで、但しこの溶液中のシリカ濃度は蒸発下で溶液中に目詰り物又はアグリゲートが自然に形成されないほど十分に低いままであるように行うことができる。更なる蒸発を行うことができるが、但し目詰り物又はフレークの形のアグリゲートが形成する場合には、これらを濾過又は遠心分離により除去することができる。
【0081】
e)得られるコロイドゾルの型中でのゲル化
ゲル化の開始は、温度を増大させることによっても、pHを増大させることによっても行うことができる。達成されるべき温度及びpHは、振動レオメータを用いて測定されたゾルゲルの粘弾性応答関数の実部を、少なくとも10-2Pa未満から500Paを上回る値、好ましくは10000Paを上回る値に数分ないし長くとも20時間の時間内に変化させ、そこでは得られる試料がゲルとみなすことができるように選択する。
【0082】
このコロイドゾルのゲル化は、pHのシフトにより開始させることができる。この場合、このpHは、塩基の添加によりシフトさせることができる。
【0083】
本発明の好ましい態様においては、アンモニア水溶液をこのコロイドゾルに添加することができる。この添加は、滴加により実施することができる。この添加は、pHが4±0.3に達した際に完了させてよい。
【0084】
この塩基は一定に撹拌しつつ添加してよく、その際、このコロイドゾル中の塩基の分布の局所的な不均質性が回避される。塩基の分布の不均質性は、激しすぎるゲル化の効果を局所的に有することがあり、ひいてはこのゾル又はゲルの均質性の欠陥を有することがある。従ってこのことは、塩基添加時の酸の局所濃度が、局所的なゲル化を生じさせるほど十分に長く継続しない場合に有利なことがある。
【0085】
本発明の好ましい態様においては、ウロトロピン(ヘキサメチレンテトラミン)を塩基として利用することができる。25±1℃の温度を、塩基の添加の間にコロイドゾル中で維持してよい。塩基の添加のパラメータを維持する場合には、数時間のゲル化相を確保することができる。このゲル化相は、型の外側でゾルの早期の縮合を防止することが必要なことがある。
【0086】
塩基により誘発されるこのゲル化相の間に、コロイドゾルをモノリスの最終形状を決定する型中に導入することができる。
【0087】
25±2℃の温度をこの型の充填の間に維持してよい。更に、この充填は泡が形成されないように行うことが望ましい。
【0088】
この型それ自体は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート又は塩化ポリビニルから製造することができる。キセロゲルへの乾燥が望まれる場合には、グラファイト、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タングステン及びこれらの混合物からなる群から選択された多孔性材料を使用することができる。更なる材料は:種々のプラスチック、ガラス、金属、繊維ガラス、被覆金属、セラミック及び木材であってよい。
【0089】
プラスチックは:ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、フッ素含有プラスチック、例えばTEFLON(R)及びシリコーンゴムであってよい。
【0090】
この型の表面は平滑であることが望ましい。この型をガラスから製造する場合には、このガラス表面を処理剤、例えばアルコール又は長鎖有機酸で処理することが賢明である。
【0091】
長鎖有機酸としては、例えばウンデカン酸を利用することができる。
【0092】
これらの処理剤は、アセトン、エタノール又は他の証明された薬剤との混合物中で希釈してよい。
【0093】
f)得られるアクアゲル中に含まれる水の有機溶剤での任意の置換
ゲル化されたゾル中の水の置換が必要である。それというのも、水は高すぎる臨界点を有するからである。乾燥相の温度では、水は、防錆鋼及びゾルのSiO2構造の両方に対して攻撃性を示すことがある。
【0094】
水を溶剤で置換する間、この溶剤は交換法により添加することができ、その際、この交換法は、ゾル/ゲル内部の水が乾燥相中にゲルに損傷を与えない水準まで完全に減少した際に完了させる。
【0095】
使用することができる溶剤は、ケトン、アルコール、アセテート及びアルカンである。水と混和可能な溶剤を使用する場合に有利なことがある。特に好ましくは、アセトンを使用してよい。
【0096】
エアロゲル中に含まれる水の有機溶剤での置換を、約4のpHで実施する場合に有利なことがある。これにより、依然として完全に縮合されていないSiO2オリゴマーの洗浄及び激しすぎる収縮が防止される。
【0097】
本発明の一実施態様は、低濃度のアセトンを水とアセトンとの混合物中で用いて開始することができる。
【0098】
アセトン含有率は、30%を上回らないことが望ましい。
【0099】
水とアセトンとの混合物の含水率は、この置換工程の間に急激にゼロに向かう傾向でないことが望ましい。しかしながら、流出するアセトン/水混合物の含水率が約2%未満になると、この置換は無水アセトンで継続させることができる。
【0100】
この水のアセトンでの置換工程は、個々の容器内で実施することができる。幾つかの容器を連続して配列させて配置させ、かつ水とアセトンとの混合物を連続的にこの接続された容器に導通させることも可能である。
【0101】
この手順の他の態様においては、最初の水流を、ゲル化を開始させるために使用されるpH及び温度と同じpH及び温度でゲル中に使用することが好ましい。次いで、この洗浄水のpHを緩やかに7にする。この任意の手順はゲル中に埋め込まれた水から塩を取り出すために行い、この塩を除去しなければ、この塩は圧密化の間に、結晶化及び必然的な材料の不均質性又は最終ガラス中の不純物の源を生じさせることがある他の化合物を生じさせる核生成中心をもたらすことがある。
【0102】
流れの工程は、水を、アセトン濃度が時間に伴う増大が保たれるアセトン/水溶液で交換することにより開始する。この溶剤交換を行う様式は、2つの系統に分類することができる。これらの手順は水の規定の濃度が達せられた際に停止し、これは残りの時間後に実質的に変化しない。
【0103】
行うことができる幾つかの交換の手順、すなわち連続流又は充填−取出法(fill-empty-procedure)が存在する。
【0104】
A.連続流
溶剤の連続流は、ゲルを洗浄する。この流速は、形状及びサイズの関数である。この流れの中のアセトン濃度は、時間に伴い増大する。通常、多くの試料を連続して接続させる。この流れの値は、試料のサイズ及び形の関数において選択される。この基準は、流れが、この手順を非実用的にする極めて長い時間にわたって継続させるほど小さくないが、多くの溶剤を消費するほど速くないことが望ましいことである。実際、流れは、流れに1種以上の試料を洗浄させた後に出口側での水濃度が増大する場合、数ml/hから開始させ、そして数十又は数百ml/分まで増大させることができる。
【0105】
温度は、溶剤中での、及び特に細孔中への過剰なガス形成を誘発するほど高すぎないこと、及び溶剤輸送工程を減速させるほど低くないことが望ましい。実際に、温度範囲は、室温で始まり、かつ水濃度の変化速度が1桁以上だけ減少した際に温度増大により最適化された方法により選択する。このことは、水濃度が少なくとも50容量%未満になる工程の後期の段階において生ずる。
【0106】
B.充填−取出液
試料が収容される容器を溶剤で所与のアセトン濃度で充填し、そこで放置させ、次いで飽和雰囲気下で取り出す。次いで、この容器を他の溶液で、より高いアセトン濃度で再充填する。この手順を、数回繰り返す。交換の頻度を選択する基準は、頻繁な交換をほとんど行わないことが便利であるが、新たな槽及び現行の槽のアセトンの濃度測定値の濃度差は可能な限り大きくなければならないという事実により与えられる。このことは、大きすぎる差が、ゲルを損傷しうる張力を誘発することがあるという事実と適合しなければならない。実際、20%の差が好適であるが、40%でも維持することができる。温度操作を選択するための基準は、上述の節に記載された基準と同様である。
【0107】
C.停止シグナル−含水率
通常以下の手順は、ゲルの亀裂を防止するために、乾燥段階に進む前のゲル中に残留する水の濃度は0.5%に近接していることが望ましいことを予見する。しかしながら、幾つかの大きい試料(直径160mmのゲル管)は、2〜4%の水濃度範囲についても亀裂を生じないことが観察された。この知見についての系統的かつ統計的に有意な実験が、依然としてなされるべきである。溶剤交換時間の約1/3が、水濃度の数%から設定値の0.5%までの低下に費やされることが言及されるべきである。
【0108】
更に、ゲル内部の水濃度の分布が完全に不均質になることがあることが観察された(試料サイズ及び特定の手順に応じて、ゲル体の表面部及び内部において測定された濃度の約1桁の差)。この知見は、より均質な分布を有することが水の低い水準を有することと同様に重要でありえることを示している。実際、十分な時間にわたって放置することにより水濃度を均質化することができる場合には、ゲル中で4%以上という高い水濃度を有する試料は、乾燥段階に進むのに好適であってよい。これを達成するために、流動は必要でないことがある。温度操作を選択するための基準は、上述の節に記載された基準と同様である。
【0109】
本発明の好ましい態様においては、個々の容器間で精製段階を実施して、水とアセトンとの混合物中に存在するいかなるゲル/ゾル粒子をも取り出す。この精製段階は、フィルタにより実施してよい。
【0110】
g)アクアゲルの乾燥
得られたアクアゲルの乾燥は、オートクレーブ内で実施することができる。この乾燥条件、例えば圧力及び温度は、超臨界値に調節してもよいし、臨界値未満に調節してもよい。
【0111】
この手順の目的は、この段階又は後続の段階において乾燥ゲル又はガラス中に亀裂又は破壊の発端を生じさせることがある張力をゲル中に導入/増大させることなくゲルを乾燥させることである。
【0112】
試料は、圧力及び/又は温度に耐えることができる閉じられた容器、通常はオートクレーブ内に導入する。最後に、ゲルの細孔中に存在する溶剤と同じ性質の溶剤の所与の量をこの容器内に添加する。この量は、操作の最大温度が達せられた際にこの閉じられた容器内部で所望の圧力を得ることができるように選択する。
【0113】
この圧力は、最初に化学的に不活性なガスを導入することにより増大させる。経済的理由から、窒素を使用する。達せられるべき圧力は、所望の最大全圧力の関数であり、これはゲル中の溶剤の臨界圧を上回るか又は下回ってよい。これは、工程の終盤に亀裂を有さない完全なゲルを得るために極めて十分で高くなければならない。この値は通常、数バールないし数十バールであるように採用され、かつ任意の場合にはゲル中の溶剤の臨界圧を下回る。
【0114】
この圧力を増大させると、温度が、この容器内に存在する圧力についてのゲル中に埋め込まれた溶剤の沸点を上回る値にまで高まる。ゲル中の溶剤の臨界温度の範囲内の温度を達成することが推奨されるが、もとの湿潤ゲルの条件:
− 水濃度の均質性
− ゲル中の残留水の濃度
− この湿潤ゲル中の低い張力
− この湿潤ゲルのシリカネットワークの力
が好適である場合には達せられるべき温度は、臨界温度と比べて数度kだけ低くてよく、かつ依然として得られる乾燥ゲルは割れていないことが示される。
【0115】
次いでこの試料を数分にわたって熱力学的条件で放置し、次いで圧力を開放する。開放速度は、全体の工程時間を減らすのに十分な速さに選択するが、乾燥ゲル(エアロゲル)内部の強すぎる圧力勾配によりゲルに亀裂を生じさせるほど速くならないように選択する。
【0116】
目下使用される条件を、以下に概略的に示す。

【0117】
湿潤ゲル中の溶剤は、オートクレーブ内で、乾燥ゲル内部にも残留しうる高分子量の有機成分(黒色/褐色のタール)を生成する化学反応を受けることが認められた。かかる成分の量を最小化して、行われるべきか焼の量、及びかかる反応によりこのオーブン内部で遊離されるエネルギーの量並びにか焼の間の後続の熱処理中に生成されるガス(CO、CO2、H2O)の量を減らすことが便利である。250℃未満に達した最大温度を数℃だけ下げると、かかる成分を実質的に減らすことができることが観察された。
【0118】
この圧力を大気圧に減少された後に、真空を適用して吸収された有機ガス(前のサイクルの間にオートクレーブ内で形成された残留溶剤及び場合により反応生成物)を可能な限り多く引き抜き、引き続いて窒素により洗浄する。この洗浄手順を、数回繰り返す。20℃/hの過剰の加熱速度及び14時間の全時間を有するより迅速な手順を適用したが、収量を結論づける十分な統計ではなかった。この乾燥ゲルはエアロゲルと称される。
【0119】
h)乾燥エアロゲルの熱処理
この工程は通常、3段階に分けられる。
【0120】
1.酸素含有雰囲気内でのか焼の段階試料をオーブン内に入れる。真空を適用し、引き続いて酸素雰囲気を適用する。温度を、ゲル/エアロゲル、ひいてはエアロゲル内部に圧力をもたらすことがある燃焼生成物による過剰なガスの発生を防止するのに十分緩やかな速度で800℃に高める。真空/酸素の数サイクルを適用する。
【0121】
2.脱水/精製の段階塩素含有雰囲気内で800℃で行う(HCl及び/又はSOCl2、キャリアガスとしてHeを使用、濃度He:HClは約10:1)。このサイクルを、最大80mmのガラス管について数日にわたって継続させる。
【0122】
3.圧密化の段階1300℃を上回り、かつ1450℃を下回るHe並びに最後にわずかな量の酸素中で行う。
【0123】
この工程は、特許出願NO2001A000006に記載されている熱処理の間に真空を使用して行い、ガラス体中での泡の形成、特に光学繊維の引張の間の高温の泡の形成を防止する(減らす)。
【0124】
この工程については更に以下のことを行ってよい:
試料を入れたオーブン内に真空を生じさせる。次いで、室温で混合雰囲気O2/HClを導入する。この比率は、有機物のか焼を開始させるのに十分に最初に酸素リッチであるように選択するが、しかし同時に、開始以降HClをエアロゲル細孔中に導入させるように選択する。次いで、この温度を数段階にわたって800℃未満の温度に上げて、その際、この中間温度で真空を適用し、次いでHCl濃度の増大を伴う混合雰囲気O2/HClの導入を行う。最終的に、この温度は800℃付近に達し、この雰囲気は純粋なHClである。
【0125】
この点までのサイクルの全体の時間は、2〜3時間ないし数時間であり、これは試料のサイズ及びオーブンの加熱速度に依存する。エアロゲルが熱処理されるオーブン室が、H2Oが存在する冷却帯域か又は他の帯域を有する場合には、低温で凝縮しないガスを生成する水と反応する物質、例えばSOCl2を導入する。この最後の場合においては、温度を600℃未満、好ましくは450℃未満に下げて不所望な反応の発生を防止する。このオーブン室は真空で再度洗浄し、次いでHe雰囲気並びに場合により酸素中で温度を1300℃を上回るまで高めてエアロゲルをガラスに硬化させる。
【0126】
このサイクルの全体の時間は、21〜28時間であり、これは試料のサイズ(より大きい、より長い)及びオーブンの特性に依存する。オーブンの特性、例えば冷却/加熱時間を改善し、かつ水が凝縮しうる冷却帯域を減らすことにより、この全体の時間を更に減らすことができる。
【0127】
この事前の手順を更に改変してガラス特性の幾つかの特性的変形を達成することができる。圧密化を達成するために加熱前に800℃で酸素を使用すること及び/又は圧密化の間にHe/O2雰囲気を使用することは、材料特性、例えば:
より高い粘度
より低い屈折率
引き抜きの間のより良好な挙動
に変化が観察された。
【0128】
この結果は、SOCl2を塩素化剤として800℃で使用することは、光分散をほとんど示さないガラス材料をもたらしうることを示している。
【0129】
この乾燥エアロゲルの熱処理は、焼結ガラス体を多孔性エアロゲル物から製造するために実施する。この熱処理は、以下の4工程を含んでよい:
A.エアロゲルに付着する残留溶剤含有物をか焼により除去する工程、
B.このエアロゲルの精製工程、
C.このエアロゲルを圧密化してガラス体を得る工程、
D.このガラス体を冷却する工程。
【0130】
この熱処理は別個のガス雰囲気下で実施することができ、その際、このガス雰囲気はこの熱処理の工程の特定の目的を支持することが可能である。
【0131】
段階A)によるか焼は、有機溶剤を除去するために役立つことが意図されており、酸素雰囲気下で550〜800℃の温度で実施することができる。このか焼工程は、CO又はCO2の発生がもはや検出されなくなった際に完了させてよい。
【0132】
工程B)によるエアロゲルの精製は、塩素化剤を使用して行うことができる。例えばHCl、Cl2、SOCl2及び他のものを塩素化剤として使用することができる。
【0133】
所望により、希ガス、例えばヘリウムを付加的にキャリアガスとして使用することができる。
【0134】
所望により、製造されるべきガラス体がIR透過性を有するべきである場合、エアロゲルの完全な脱水を、無水雰囲気内で精製を実施することにより達成することができる。
【0135】
本発明の好ましい態様においては、この精製は、SOCl2を用いて200〜600℃の温度で実施することができる。熱分解法により製造された二酸化ケイ素Aerosil(R)VP EG−50を出発物質として使用すると、このガラスのより顕著な純度及び特にUV領域におけるより高い透過性を得ることができる。
【0136】
ガラス体を得るための工程C)によるエアロゲルの圧密化は、例えば、ヘリウムを酸素との混合物中で用いた希ガス雰囲気下で実施することができ、その際、この酸素濃度は2〜5%であることが可能である。この圧密化は、600〜1400℃の温度で実施することができる。
【0137】
加熱相の間、真空を適用してエアロゲル中に含まれるいかなる泡をも除去することができる。この加熱相は、600〜800℃の温度範囲内で特に好適である。
【0138】
実際の圧密化相は、600〜800℃から1300〜1400℃の温度に加熱することにより開始することができ、その際、この温度範囲を十分な時間にわたって維持することが可能である。
【0139】
工程D)による得られたガラス体の冷却は、5℃/分までの、好ましくは4〜1℃/分の速度で、1400℃から900℃までの範囲内で実施することができる。
【実施例】
【0140】
実施例1
0.01NのHCl14.3lに、高温での酸化により四塩化ケイ素から製造された3.81kgのコロイドシリカ粉末(AerosilOX50(Degussa AG社))をUltra−Turraxミキサを使用して激しく撹拌しつつ添加する。この分散液を、激しく撹拌しつつ7.12lのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)が添加された反応器に移す。
【0141】
約60分後に、この分散液に0.1Nの水酸化アンモニウム溶液を撹拌しつつ、pHが約5に達するまで滴加する。
【0142】
このコロイド溶液を、直径8cmの種々のガラスの円筒容器内に注ぎ、50cmの高さまで充填し、次いで閉じる。
【0143】
約12時間後に、水中での洗浄を開始する。数回の洗浄後、得られたゲルを約10質量%アセトンの水中の混合物で洗浄する。次いで、洗浄するために使用される以下の混合物中のアセトン濃度は、無水アセトンが最終的な洗浄のために使用されるまで次第に高まる。
【0144】
次いでこの試料をオートクレーブ内で250℃の温度及び59バールで乾燥させる。次いでこのオートクレーブを窒素を用いて室温で50バールの圧力まで加圧する。このオートクレーブの加熱を、250℃の温度に達するまで開始する。温度値が増大するにつれて、このオートクレーブ内部の圧力は60バールまで増大し、かつかかる圧力値はベント弁を作用させることにより一定に保たれる。このベント弁を作用させることによりこの温度を依然として250℃で一定に保つと、次いでオートクレーブ内部の圧力は4バール/時間の速度で室圧に減少する。こうして、このオートクレーブ内部に含まれる溶剤を除去する。最後の微量のかかる溶剤を、このオートクレーブを緩やかな窒素流で約15分にわたって洗浄するか、かつ/又は真空を使用して洗浄することにより除去する。
【0145】
エアロゲルと称される乾燥ゲルが得られ、これを800℃の温度で酸化的雰囲気内でか焼する。
【0146】
加熱の間、この処理からオートクレーブ内に生ずる残留有機生成物を燃焼させる。
【0147】
か焼後に、シリカエアロゲルのディスクを、2%の塩素を含有するヘリウム流に800℃の温度で30分の時間にわたって供し、そして存在するシラノール基を除去する:
このエアロゲルディスクを最終的に、ヘリウム雰囲気内で、シリカが完全な高密度化に達するように1時間の時間にわたって1400℃の温度に加熱する。冷却後に、このディスクは所望の最終寸法(直径2.5cm及び高さ1.0cm)に達し、その際、最初の型により定められた最初のエアロゲルの形との相似比は維持されている。
【0148】
この密度が高められた材料は、シリカガラスの物理化学的特性を有する。
【0149】
実施例2
0.01NのHCl10.9lに、水中の30質量%の10.62lのコロイドシリカ分散液及び7.12lのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を反応器内で激しく撹拌しつつ添加する。
【0150】
約60分後に、この分散液を十分な容量の回転蒸発器内に導入する。この蒸発は、約9.82lの水とエタノールとの混合物がこの溶液から引き抜かれるまで継続する。
【0151】
この分散液に、0.1Nの水酸化アンモニウム溶液を撹拌しつつ、pHが約4に達するまで滴加する。
【0152】
このコロイド溶液を、直径16cmの種々のガラスの円筒容器中に注ぎ、100cmの高さまで充填し、次いで閉じる。
【0153】
この洗浄乾燥手順を、実施例1と同様に行う。次いでエアロゲルが得られる。
【0154】
実施例3
0.01NのHCl27lに、高温での酸化により四塩化ケイ素から製造された5.19kgのコロイドシリカ粉末(AerosilOX50(Degussa AG社))をUltra−Turraxミキサを使用して激しく撹拌しつつ添加する。この分散液に、9.71lのテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を激しく撹拌しつつ添加する。
【0155】
約60分後に、この分散液を十分な容量の回転蒸発器内に導入する。この蒸発は、約12.77lの水とエタノールとの混合物がこの溶液から引き抜かれるまで継続する。
【0156】
この分散液に、0.1Nの水酸化アンモニウム溶液を撹拌しつつ、pHが約4に達するまで滴加する。
【0157】
このコロイド溶液を、16cmの直径及び100cmの高さを有する種々のガラスの円筒容器中に注ぎ、次いで閉じる。
【0158】
約12時間後に、アセトン水溶液での洗浄を開始する。最初にアセトン:水(1:10(質量))溶液を10ml/分で試料に導通させる。このアセトン濃度は、更に水を引き抜くことが必要になるまで次第に増大する。このアセトン溶液の流れは、流れのない時間と交互に生じさせる。この処理を、試料からの流れの中の水濃度が0.3質量%未満で一定になった際に停止する。
【0159】
次いでこの試料を、少なくとも60バールの圧力に耐えることができ、かつ少なくとも260℃の温度にかけることができる閉じられた容器、すなわちオートクレーブ内に導入する。次いでこのオートクレーブを窒素を用いて室温で50バールの圧力まで加圧する。このオートクレーブの加熱を開始し、260℃の温度に達するまで行う。温度値が増大するにつれて、このオートクレーブ内部の圧力は60バールまで増大し、かつかかる圧力値はベント弁を作用させることにより一定に保たれる。このベント弁を作用させることによりこの温度を依然として260℃で一定に保つと、次いでオートクレーブ内部の圧力は室圧に15バール/時間の速度で減少する。こうして、このオートクレーブ内部に含まれる溶剤を除去する。最後の微量のかかる溶剤は、このオートクレーブを緩やかな窒素流で約5分にわたって洗浄し、かつ数回にわたって窒素洗浄と交互に真空を用いて洗浄することにより除去する。
【0160】
次いでエアロゲルが得られる。
【0161】
実施例4
実施例2に記載された得られたエアロゲルを、空気中で徐々に400℃の温度に2℃/分の加熱速度で加熱し、そしてこの400℃の温度を数時間にわたって維持する。次いで真空を適用し、次いで純粋な酸素を導入する。このオーブンを更に800℃に加熱する。かかる温度で、真空を適用し、次いで酸素の供給を行う。この最後の手順を、数回繰り返す。
【0162】
10:1容量比のHe:HClをこの炉内に流す一方で、温度を800℃に保つ。数時間後に、この流れを停止させ、次いで真空を適用する。最後の手順を数回適用した後、He流を適用し、そして温度を2℃/分で1380℃に高める。
【0163】
かかる加熱処理は、エアロゲルの焼結を生じさせ、そして2.2g/cm3の密度及び融解石英と同様の特性を有する透明なガラス様体をもたらす。
【0164】
実施例5
実施例3に記載された得られたエアロゲルを、閉じられたオーブン内で徐々に300℃の温度に2℃/分の加熱速度で加熱する一方で、O2とHClとの混合物をこのオーブン内に流す。次いで真空を適用する。この温度を数段階にわたって再度800℃まで高めて、それぞれの段階では真空を適用し、そしてHCl濃度を、試料が純粋なHCl雰囲中に存在するまで増大させる。このオーブンを放置して、温度を400℃付近まで下げる。かかる温度の真空では、SOCl2を運搬するHe流を適用する。200gの桁の量のSOCl2を、このようにオーブン内に導入する。この温度を、He雰囲気内で800℃まで再び高めて、そこでは真空に続いて再びオーブンをHeで充填し、かつ少なくとも1回O2で充填するサイクルを数回繰り返す。次いでHe流を適用し、温度を2℃/分で1390℃に高める。
【0165】
この試料を1390℃で10分にわたって放置し、次いでこのオーブンの温度を最初に2℃の速度で降下させ、そしてそれより速い速度で1300℃未満に降下させる。
【0166】
かかる加熱処理は、エアロゲルの焼結を生じさせ、そして2.2g/cm3の密度及び融解石英の特性を有する透明なガラス様体をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a)熱分解法により製造された金属及び/又は半金属の酸化物を分散させて水性又は水含有分散液を形成させる工程、
b)金属アルコキシド及び/又は半金属アルコキシドをこの分散液に添加し、場合によりこれを添加前に水により加水分解する工程、
c)これらの成分を混合して均質なコロイドゾルを形成させる工程、
d)このコロイドゾルから粗い含有物を除去する工程、
e)このコロイドゾルを型中でゲル化させる工程、
f)このエアロゲル中に含まれる水を有機溶剤で置換する工程、
g)このエアロゲルを乾燥させる工程、
h)この乾燥エアロゲルを加熱処理する工程
を含む、逆ゾルゲル法による特にガラスのモノリスの製造方法。

【公表番号】特表2008−532899(P2008−532899A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500148(P2008−500148)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050908
【国際公開番号】WO2006/094874
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(501094502)デグサ ノヴァラ テクノロジー ソチエタ ペル アツィオーニ (15)
【氏名又は名称原語表記】Degussa Novara Technology S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Pisacane 7/B, I−20016 Pero (MI), Italy
【Fターム(参考)】