説明

逆止弁およびこれに使用される逆止弁用弁体

【課題】管体のメータ側端部に設けられ、管体内を流れる流体の逆流を防止する逆止弁において、流体の圧力損失を抑える。
【解決手段】弁孔11の周囲に形成される弁座12に接離する弁体13は、上流側に向かって突出する椀状の誘導面を有する膨出部20を備え、膨出部20の中央にその誘導面よりも上流側に向かう球状突起22が形成される。この球状突起22は、弁孔11内を通過する流体を膨出部20の誘導面に沿う方向に誘導し、かつ膨出部20に当たる流体に発生する渦による流れの乱れを整える機能を有する。弁孔11内を通り、球状突起22に当る流体は、球状突起22の表面から膨出部20の誘導面に沿う方向に誘導され、その方向へのスムーズな流れが形成される。この流れにより、流体の流れが急激に変化することによる渦の発生が抑えられて、渦による流れの乱れが整えられ、圧力損失を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビル、集合住宅、戸建てなどの建物の水道配管や給水管などの管体に取り付けるメータや止水栓等と組み合わせて使用され、その管体内の水が逆流するのを防止する逆止弁とこれに使用される逆止弁用弁体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビル、集合住宅、戸建てなどの建物の水道配管や給水管などの管体に取り付けるメータや止水栓等と組み合わせて、その管体内の水がメータや止水栓等へ逆流することを防止する逆止弁が利用されている(特許文献1参照)。
【0003】
この逆止弁40は、例えば、図7(a)に示すように、メータ50の下流側に接続される管体P内に設けられている。メータ50の上流側には、通常、止水栓(図示省略)が接続され、メータ50の交換時での止水に使用される。
【0004】
管体Pのメータ50側の開口端には、図7(b)に示すように、フランジを有する円環状の弁座シート41が嵌め合わされている。この弁座シート41を備えた弁座に弁体42が接離可能に設けられており、弁体42は、弁座シート41の弁座周縁部に嵌め合わせた円筒状のケージ43によって接離方向に移動可能に保持されている。
【0005】
上記ケージ43内の弁体42は、弁座シート41の弁座に接離する頭部44と、この頭部44から下流側に延びる弁軸45を有する。そのケージ43は、その側面に長さ方向のスリットを複数有し、そのスリットを水が通過するようになっている。
【0006】
ケージ43の底面から弁座に向かって立ち上がるように形成した円筒状のガイド部46に弁軸45を通し、そのガイド部46の外側に弁体42を閉弁方向に付勢するコイルばね47が取り付けられる。この弁体42はケージ43内で接離方向に移動可能に保持され、コイルばね47の付勢力により、閉弁方向に付勢されている。
【0007】
逆止弁40は、上記止水栓を開くと、水圧により弁体42がコイルばね47の付勢力に抗して下流方向に移動し、開弁状態となり、水がケージ43のスリットを通過して管体P内を流れる(図7(b)矢印参照)。
【0008】
一方、止水栓を閉じると、弁体42がコイルばね47の付勢力で、弁座シート41の弁座に押し付けられて閉弁状態となり、管体P内の水の逆流を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−72442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の逆止弁を設けた管体Pは、通常、その中央部分を流れる水の流速が最大となり、その最大流速で流れる水が、逆止弁の開弁状態において、弁体の頭部中央部分に当り、頭部の表面に沿って弁座と頭部との間を流れる。この状態では、水は弁体の頭部に勢い良く当ることにより流れる方向が急激に変わり、渦が発生する。渦の発生によって、水流が乱れて、圧力損失が大きくなる場合があった。
【0011】
このような管体Pに設けられる逆止弁においては、一般に、呼び径や定格流量で許容される圧力損失が規格されており、この規格に応じて弁座や弁体の寸法が制約されることとなる。このため、逆止弁を通過する水の圧力損失を低減する目的で、弁座や弁体の寸法を変更する余地が少なく、前記の圧力損失を抑えることが難しい。
【0012】
そこで、この発明の課題は、流体の圧力損失を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、この発明の逆止弁としては、弁孔周囲に形成された弁座と、その弁座に接離可能な弁体と、その弁体を上流側に向かって付勢する弾性部材を備え、前記弁体は、流体圧によって下流側に移動することにより前記弁座から離れて前記弁孔を開放し、前記弾性部材の付勢力によって上流側に移動することにより前記弁座に接して前記弁孔を閉塞する逆止弁において、前記弁体は、上流側に向かって突出する椀状の誘導面を有する膨出部と、その膨出部の外周に前記弁座の下流側に設けられたシール部材に接触可能な当接部とを備え、前記膨出部の中央に、その膨出部の誘導面よりも上流側に向かう球状突起を有し、この球状突起は、前記弁孔内を通過する流体を前記膨出部の誘導面に沿う方向に誘導し、その流体に発生する渦による流れの乱れを整える機能を有する構成を採用したのである。
【0014】
前記の構成によると、弁孔の開放状態では、弁孔内を通過する流体のうち、球状突起に当るものは、その表面から膨出部の誘導面に沿う方向に誘導され、球状突起の表面から膨出部の誘導面に沿う方向へのスムーズな流れを形成する。
【0015】
また、弁孔内を通過する流体のうち、膨出部の誘導面に当るものは、前記の膨出部の誘導面へ誘導された流れによって、膨出部の誘導面の外周へ向かって誘導される。その結果、弁孔内を通過する流体は、その流れる方向が急激に変わることなく、膨出部の誘導面に沿ってスムーズに流れるので、従来のように、流体の流れが急激に変化することによる渦の発生が抑えられる。このため、渦による流れの乱れが整えられ、圧力損失を低減させることが可能となる。
【0016】
前記球状突起においては、その表面が最も上流側に位置する頂部から、前記膨出部に設けられる部分である裾部に至り、その裾部が前記球状突起の表面と前記膨出部の誘導面とを滑らかに結ぶ曲面に形成されている構成を採用することができる。
【0017】
裾部が曲面に形成されると、流体は、球状突起の表面から膨出部の誘導面へと円滑に導かれ、裾部の表面に沿って流れる際に渦を生じ難くなり、その流れが乱れることなく安定するので、圧力損失の低減を図ることが可能となる。
【0018】
また、前記球状突起の頂部の表面が、上流側に向かう椀状の面に形成される構成を採用することができる。球状突起の頂部の表面が椀状の面であると、弁孔内を通過する流体が、球状突起の頂部の表面である椀状の面から裾部の表面へと誘導されるので、流体の膨出部の誘導面への誘導がより効果的になされる。
【0019】
ここで、膨出部および球状突起の頂部における「椀状の面」とは、周縁部から中央部に向かうに従って徐々に突出高さが増大する突出面のことをいい、完全な球面からなる突出面だけでなく、曲率が途中で変化する突出面も含む。曲率が途中で不連続に変化する点や、折れ点があることを排除しないが、それらの不連続に変化する点や折れ点は、ないことが望ましい。
【0020】
球状突起の頂部の表面が椀状の面に形成されることにより、頂部に当たる流体が円滑に球状突起の下流寄りの表面へ導かれるので、球状突起の表面に沿って渦が生じ難くなり、その流れが乱れずに安定する。
【0021】
この発明の実施形態の逆止弁に使用する弁体としては、上流側に向かって突出する椀状の誘導面を有する膨出部と、その膨出部の外周に前記弁座の下流側に設けられたシール部材に接することができる当接部とを備え、前記膨出部の中央に、その膨出部の外面よりも上流側に向かう球状突起が形成され、この球状突起は、前記弁孔内を通過する流体を前記膨出部の外面に沿う方向へ誘導し、その流体に発生する渦による流れの乱れを整える機能を有する構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明は、以上のように、流体が弁体の膨出部の球状突起により、膨出部の外面に誘導され、流体の渦の発生が抑えられるので、流体の流れの乱れが整えられ、流体の乱れにより生じる圧力損失を抑えることができる。また、圧力損失の抑制によって、低い水圧の箇所への給水を円滑に行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1の逆止弁を示す断面図
【図2】(a)同上の逆止弁の閉弁状態を示す断面図、(b)同上の逆止弁の開弁状態を示す断面図
【図3】(a)同上の逆止弁の上流側を示す一部切り欠き断面図、(b)同上の逆止弁の弁座とケージとの係合を示す拡大断面図、(c)図3(a)のX−X線における断面図
【図4】同上の逆止弁を上流側から見た斜視図
【図5】同上の逆止弁を下流側から見た斜視図
【図6】同上の逆止弁の流量特性を示すグラフ
【図7】従来の逆止弁の断面正面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明に係る逆止弁の実施例1を図1〜図6に示す。
【実施例1】
【0025】
この実施例1での逆止弁10は、図1に示すように、メータ1の下流側に給水管や配管等の管体Pが接続され、その管体Pのメータ1側の開口端内部に取り付けられている。
【0026】
この逆止弁10は、弁孔11の周囲に形成された円環状の弁座12と、その弁座12に接離可能な弁体13と、弁体13を前記接離方向に移動可能に保持するケージ14と、弁体13を上流側に向かって付勢する弾性部材としてのコイルばね15を備えている。
【0027】
弁座12は、図2(a)に示すように、上流側端部に径方向外向きのフランジ16が全周にわたって形成され、下流側端部に弁体13が接離する弾性を有するシールリング17を備えている。弁座12のフランジ16側の外周部に係合凹部12aが全周に形成されている(図3(a)から(c)参照)。
【0028】
ケージ14に保持される弁体13は、弁座12のシールリング17に接離する頭部18と、頭部18から下流側に向かって延びる弁軸19とを備えている。頭部18は、上流側に向かう膨出部20の外周に、シールリング17に接離する当接部21が形成されたものである。
【0029】
膨出部20は上流側を向く椀状の面を有しており、その中央に椀状の面よりも上流側に向く突起22(球状突起)が形成されている。膨出部20の下流側を向く面には弁軸19が一体に形成され、弁軸19は下流側に向かって延びる一対2本の軸状体から形成される。
【0030】
膨出部20の突起22は、その表面が最も上流側に位置する頂部23から、膨出部20に設けられる部分である裾部24へと至り、裾部24が突起22の表面と膨出部20の外面とを滑らかに結ぶ曲面で形成されている。このため、開弁状態で弁孔11内を通過する流体は、突起22の表面から膨出部20の椀状の面(誘導面)に沿う方向に円滑に誘導される。したがって、突起22は、弁孔11内を通過する流体を膨出部20の誘導面に沿う方向に誘導する機能を有するものとなる。
【0031】
また、流体が膨出部20の誘導面に円滑に誘導されることで、従来のように、弁体の頭部に当る流体の流れる方向が急激に変わることが防止され、弁体13の頭部18の膨出部20に当る流体による渦の発生が抑えられる。このため、突起22は、膨出部20の誘導面に誘導される流体に発生する渦による流れの乱れを整える機能を有するものとなる。
【0032】
この突起22の突出高さおよび下流側端の外径等の寸法は、呼び径や、定格流量に応じて設定される。なお、弁体13の頭部18は、ゴムパッキン30(ガスケット)から飛び出さない高さとすることが好ましい。
【0033】
突起22の頂部23は、その表面が上流側に向かう椀状の面に形成することができる。この場合、弁孔11を通過する流体が、球状突起22の頂部23の表面である椀状の面から裾部24の表面へと円滑に誘導されるので、流体の膨出部20の誘導面への誘導がより効果的になされる。
【0034】
弁体13は弁座12の下流側に固定されたケージ14により保持されている。ケージ14は、合成樹脂製であり、図4、図5に示すように、弁座12の外側に嵌め合わされる環状部25と、この環状部25から下流側に向かって延びる3本の柱部26と、各柱部26の下流端部の内側に設けられた円環状のボス部27とからなる。ケージ14は射出成形により形成することが可能である。
【0035】
ケージ14の環状部25には、図3(a)から(c)に示すように、その内周部の上流側に係合リブ25aが周方向の3箇所に間隔をおいて形成されている。各係合リブ25aは、弁座12の係合凹部12aに係合可能であり、周方向中央の位置が柱部26の周方向中央と一致している。このため、係合リブ25aが弁座12の係合凹部12aに係合し、弁座12をケージ14の内周部に容易に嵌め合わせることができる。なお、係合リブ25aは、逆止弁10の規格に基づく弁座12の係合凹部12aの仕様に応じて、設置箇所や、周方向長さを適宜変更することができる。
【0036】
この係合構造によれば、逆止弁10が閉弁し、下流側が逆圧状態となった場合、流体により弁体13が押し付けられる弁座12を、ケージ14の係合リブ25aで受けることができる。このため、弁座12とそのフランジ16との境界部分における応力集中が発生しにくくなり、その境界部分の変形、破損を防止することが可能となる。
【0037】
また、ケージ14に保持された弁体13を弁座12に取り付けて、コイルばね15の弾性により弁体13が弁座12に押し付けられた場合でも、その弁座12をケージ14の係合リブ25aで受けることができる。その結果、後述するガスケット30は、弁座12のフランジ16と、ケージ14の係合部29との間にすき間が生じることなく、その見映えが悪くなることを防止できる。
【0038】
ケージ14の環状部25の内周部の下流側(柱部26側)には、径方向内向きに段部25bが形成され、この段部25bと弁座12の下流側端部との間でシールリング17が保持されている(図3(b)参照)。さらに、環状部25の上流側端部に、径方向外向きのフランジ状の係合部29が全周にわたって形成されている。
【0039】
係合部29は、図4に示すように、弁座12のフランジ16の下流側面に沿って配置され、弁座12のフランジ16とともに円環状のゴムパッキンに覆われてガスケット30が形成される。ケージ14の係合部29は弁座12のフランジ16と一体化されるため、ケージ14の脱落を防止することができる。
【0040】
各柱部26は、環状部25の下流側端の周方向に等配され、環状部25とボス部27とが離間するように、その下流側端部の内側にボス部27が固定される(図5参照)。この構造により、環状部25とボス部27との間において、隣り合う柱部26の間に流体を通過させることができる。
【0041】
ボス部27は、中央の孔の周縁から上流側に突き出す円筒状のガイド体28が形成されている。このガイド体28により、弁体13の弁軸19が弁座12のシールリング17に対して接離方向に移動可能に案内される。
【0042】
ボス部27のガイド体28の外側にコイルばね15が装着され、ボス部27と弁体13の頭部18との間で保持される。コイルばね15により、弁体13は、上流側に移動するように付勢され、その頭部18の当接部21が弁座12のシールリング17に接して弁孔11を閉塞する(図2(a)参照)。また、流体の圧力(流体圧)により、コイルばね15の付勢力に抗して、弁体13が下流側に移動し、弁座12から離れて弁孔11を開放する(図2(b)参照)。
【0043】
以上のように構成された逆止弁10は、図1に示すように、ガスケット30がメータ1の下流側開口端と、管体Pの一端側端とに挟まれた状態で、袋ナット2の締め付けにより固定される。また、袋ナット2の締め付けにより、ガスケット30のゴムパッキンが弾性変形しメータ1と管体Pとの間を密封する。
【0044】
メータ1の上流側に接続された図示しない止水栓が開弁されると、水などの流体がその流体圧によって、弁体13の頭部18を下流側に押し付け、弁体13が弁座12から離れ、弁孔11が開放される。弁孔11の開放状態において、弁孔11に集まる流体のうち、突起22に当るもの(図2(b)中の矢印a参照)は、突起22の表面から膨出部20の誘導面に沿う方向に円滑に誘導される。
【0045】
突起22の表面と膨出部20の誘導面とは裾部24である曲面により滑らかに結ばれているので、この誘導面へ誘導された流体は、突起22の表面から膨出部20の誘導面に沿う方向へのスムーズな流れを形成する。
【0046】
また、弁孔11に集まる流体のうち、膨出部20の誘導面に当るもの(図2(b)中の矢印b参照)は、前記の膨出部20の誘導面へ誘導された流体により形成された流れによって、膨出部20の誘導面の外周へ向かって誘導される。その結果、流体の流れる方向が急激に変わることが防止され、従来のように、流体の流れが急激に変化することによる渦の発生が抑えられる。これにより、渦による流れの乱れが整えられ、圧力損失を低減させることが可能となる。
【0047】
また、突起22の頂部23は、その表面が椀状の面に形成されているので、頂部23に当たる流体が突起22の下流寄りの表面へ誘導され、突起22の表面に沿って渦が生じ難くなり、その流れが乱れずに安定する。
【0048】
この発明の効果を確認するために、本発明者が行った試験について説明する。この試験は、管体に上記の実施例1の逆止弁を取り付け、下記の条件で流体を流した場合での流動特性を検証したものである。
【0049】
(試験条件)
管体の呼び径:20mm
流量:10、20、30、38、50L/min(定格流量:38L/min)
(試験体)
実施例:弁体の頭部の膨出部に半球状突起を有するもの
比較例:弁体の頭部の膨出部に突起を有していないもの
【0050】
試験体において、実施例と比較例とは、弁体の形状以外は同じ構成のものを使用しており、試験条件に示すように、流量を変化させて、各流量における実施例および比較例の圧力損失を流量特性図(圧力損失−流量の関係図)にプロットした(図6参照)。
【0051】
試験結果としては、実施例は流量が定格流量である場合(38L/min)において、比較例と比べて圧力損失の値が小さいものとなった。また、流量が定格流量である場合のみならず、他の流量においても、比較例と比べて圧力損失の値が小さいものとなった。これにより、実施例における、弁体13の頭部18の膨出部20に形成された半球状突起22により圧力損失が低減することが確認された。
【符号の説明】
【0052】
1 メータ
2 袋ナット
10 逆止弁
11 弁孔
12 弁座
12a 係合凹部
13 弁体
14 ケージ
15 コイルばね
16 フランジ
17 シールリング
18 頭部
19 弁軸
20 膨出部
21 当接部
22 突起(球状突起)
23 頂部
24 裾部
25 環状部
25a 係合リブ
25b 段部
26 柱部
27 ボス部
28 ガイド体
29 係合部
30 ガスケット(ゴムパッキン)
40 逆止弁
41 弁座シート
42 弁体
43 ケージ
44 頭部
45 弁軸
46 ガイド部
47 コイルばね
50 メータ
P 管体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁孔周囲に形成された弁座と、その弁座に接離可能な弁体と、その弁体を上流側に向かって付勢する弾性部材を備え、前記弁体は、流体圧によって下流側に移動することにより前記弁座から離れて前記弁孔を開放し、前記弾性部材の付勢力によって上流側に移動することにより前記弁座に接して前記弁孔を閉塞する逆止弁において、
前記弁体は、上流側に向かって突出する椀状の誘導面を有する膨出部と、その膨出部の外周に前記弁座の下流側に設けられたシール部材に接触可能な当接部とを備え、前記膨出部の中央に、その膨出部の誘導面よりも上流側に向かう球状突起を有し、この球状突起は、前記弁孔内を通過する流体を前記膨出部の誘導面に沿う方向に誘導し、その流体に発生する渦による流れの乱れを整える機能を有することを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
前記球状突起は、その表面が最も上流側に位置する頂部から、前記膨出部に設けられる部分である裾部に至り、その裾部が前記球状突起の表面と前記膨出部の誘導面とを滑らかに結ぶ曲面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記球状突起の頂部の表面が、上流側に向かう椀状の面に形成されることを特徴とする請求項2に記載の逆止弁。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の逆止弁に使用する弁体であって、上流側に向かって突出する椀状の誘導面を有する膨出部と、その膨出部の外周に前記弁座に接することができる当接部とを備え、前記膨出部の中央に、その膨出部の外面よりも上流側に向かう球状突起が形成され、この球状突起は、前記弁孔内を通過する流体を前記膨出部の外面に沿う方向へ誘導し、その流体に発生する渦による流れの乱れを整える機能を有することを特徴とする逆止弁用弁体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−276036(P2010−276036A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126281(P2009−126281)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000164896)栗本商事株式会社 (16)
【出願人】(595122187)ブリヂストンケービージー株式会社 (36)
【Fターム(参考)】