説明

逆止弁及びこれを用いた容器体

【目的】吐出される流動体の品質低下を著しく抑制し、吐出時の無駄や煩雑さを排除可能な逆止弁及びこれを用いた容器体を提供する。
【構成】流動体の圧力によって弾性体の弾力に抗し、弁座に臨ませた弁体が開閉する逆止弁であり、
流動体入口側に形成されて第1弁体を臨ませた第1弁座と、流動体出口側に形成されて第2弁体を臨ませた第2弁座とを有し、
前記第2弁体が、前記第1弁体に対して連結杆を介して直接又は間接的に連結されると共に、
前記弾性体が、前記連結杆及び/又は前記第1弁体と一体的に形成されており、
且つ、前記第1弁体、前記第2弁体、前記連結杆及び前記弾性体が合成樹脂製であること、
を特徴とする逆止弁、及び該逆止弁を容器口部に用いた構成であることを特徴とする容器体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は逆止弁及びこれを用いた容器体に関し、詳しくは化粧水、洗顔クリーム・栄養保湿クリーム等の化粧品類や、ソース・ジャム・ペースト等の調味食品類の如き空気との接触によって品質が劣化・低下するもの、建築用及び工業用シーラント材、接着剤・粘着剤の如き空気との接触によって固化するもの等の液体・クリーム状又はゲル状物質の如き流動体を充填する容器体の口頸部に用いて好適な逆止弁及びこれを用いた容器体に関する。
【背景技術】
【0002】
各種流動体を充填する容器体として加圧吐出型の容器体は、種々の化粧品類や調味食品類等の吐出容器として好適である。
【0003】
加圧吐出型の容器体は、該容器体に押圧力を加えて内部に充填された流動体を吐出させた後、その押圧力を解除すると該容器体の弾性復元力により吐出口部から容器体内部に外気が逆流し、充填した流動体の品質を低下させてしまうという問題を有していた。
【0004】
そこで、吐出口部である容器体の口頸部に逆止弁を用いて外気の逆流を防止することにより流動体の品質低下を抑制する技術が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−037456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術は、容器体の口頸部に取り付けられる弁箱と、弁箱内の底面に形成された流動体の通路を開閉する弁と、弁の弾性体の内側に配設される内スリーブノズルと、から構成されており、弁を通過した流動体は直ぐに吐出されるのではなく内スリーブノズルの外側から内側へと通過した後に、この内側の上方の吐出口から吐出される構成である。また、容器体への押圧を解除すると弁が閉塞して容器体の内外が遮断されて内部の流動体の品質低下を防止するものである。
【0007】
しかしこの技術では、弁閉塞後に、弁閉塞した部分から吐出口先端までに残留した流動体は常に外気に接した状態となってしまうため、この残留分の流動体の品質低下(乾燥・固化、雑菌の侵入・繁殖等)を防ぐことはできず、流動体の吐出を再開する度にこの品質低下した流動体残留分が常に最初に吐出されてしまうことになるという問題点を有している。
【0008】
従って、この残留した分の流動体を使用する場合には安全性等の面で不安を抱えることになるため、かかる不安解消のためには吐出開始時には常にこの最初に吐出される残留分を廃棄する必要があり、無駄が生じるだけでなく煩雑であるという問題点を有している。
【0009】
そこで本発明の目的は、吐出される流動体の品質低下を著しく抑制し、吐出時の無駄や煩雑さを排除可能な逆止弁及びこれを用いた容器体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明は、下記構成を有する。
【0011】
1.流動体の圧力によって弾性体の弾力に抗し、逆止弁本体の弁座に臨ませた弁体が開閉する逆止弁であり、
流動体入口側に形成されて第1弁体を臨ませた第1弁座と、流動体出口側に形成されて第2弁体を臨ませた第2弁座とを有し、
前記第2弁体が、前記第1弁体に対して連結杆を介して直接又は間接的に連結されると共に、
前記弾性体が、前記連結杆及び/又は前記第1弁体と一体的に形成されており、
且つ、前記第1弁体、前記第2弁体、前記連結杆及び前記弾性体が合成樹脂製であること、
を特徴とする逆止弁。
【0012】
2.前記弾性体が、弁開閉時の第1弁体及び第2弁体の移動方向と交差する方向に前記連結杆の途中部分から延伸して形成された板状乃至は棒状構成であることを特徴とする上記1に記載の逆止弁。
【0013】
3.前記第1弁体が、前記第1弁座に対して前記第2弁座側から付勢されて弁閉塞すると共に、前記流動体の加圧時に前記第1弁座から離開移動することにより弁開放する構成であり、
且つ、前記第2弁体が、前記第2弁座に対して前記流動体出口側から付勢されて弁閉塞すると共に、前記流動体の加圧時に前記第2弁座から離開移動することにより弁開放する構成であること、
を特徴とする上記1又は2に記載の逆止弁。
【0014】
4.逆止弁本体が、一端を開口部とすると共に他端を閉塞部とした筒状の第1弁本体部と、一端を開口部とすると共に他端を閉塞部とした筒状の第2弁本体部とから成り、各々の開口部を相対向する向きで螺合・嵌合・接着・溶着の如き結合手段で結合することにより両端閉塞状筒状体に構成され、前記両端の閉塞部に前記第1弁座及び第2弁座が各々設けられており、
該逆止弁本体が、流動体を充填する容器体の口頸部に前記第1弁座側を容器体の内部に臨ませた状態で取付可能な構成であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の逆止弁。
【0015】
5.前記第1弁座及び前記第2弁座の閉塞時に前記逆止弁本体内が液密及び/又は気密状態となる構成であることを特徴とする上記4に記載の逆止弁。
【0016】
6.前記第1弁体による第1弁座の開閉と前記第2弁体による第2弁座の開閉が略同時であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の逆止弁。
【0017】
7.前記第1弁体、第2弁体、連結杆及び弾性体が一体成形により形成された構成であることを特徴とする上記6に記載の逆止弁。
【0018】
8.前記連結杆の一部に伸縮遊動部が設けられることにより前記第2弁体が前記第1弁体に対して遊動的に連結され、前記第2弁体による第2弁座の開放が、前記第1弁体による第1弁座の開放に遅延して動作する構成であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の逆止弁。
【0019】
9.前記第2弁体開放時における第2弁座部分の流路に位置する前記連結杆の径を第1弁体側部分の径より細径とする構成であることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の逆止弁。
【0020】
10.前記第2弁体を第2弁本体部の第2弁座に対して第1弁座側から圧入して該第2弁座に閉塞状態で臨ませた後、該第2弁本体部に第1弁本体部を結合して前記第1弁体が前記第1弁座に閉塞状態で臨ませることにより逆止弁本体が1つの弁室を有するユニット構成と成る構成であることを特徴とする上記4〜8のいずれかに記載の逆止弁。
【0021】
11.上記1〜10のいずれかに記載の逆止弁を容器口頸部に用いた構成であることを特徴とする容器体。
【0022】
12.前記容器体が、加圧吐出型容器であることを特徴とする上記11に記載の容器体。
【0023】
13.前記容器体の口頸部であって前記逆止弁の第2弁座より下流部分に吐出管が配設される構成であることを特徴とする上記11又は12に記載の容器体。
【0024】
14.前記容器体の口頸部であって前記逆止弁の第2弁座より下流部分に流動体を溜めて吐出量を計量する計量部が配設される構成であることを特徴とする上記11又は12に記載の容器体。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に示す発明によれば、吐出される流動体の品質低下を著しく抑制し、吐出時の無駄や煩雑さを排除可能な逆止弁及びこれを用いた容器体を提供することができる。
【0026】
特に、1つの弁室内において逆止弁が二重に設けられると共に2つの弁体が連結されているため、弁閉塞時の閉鎖性が極めて高く、流動体を充填した容器体に用いた場合には該流動体の品質の劣化・低下又は固化を抑制することができる。
【0027】
更に、流動体に常に晒される第1弁体、第2弁体、連結杆及び弾性体が合成樹脂製としたことによって、前記流動体が醤油等の塩分を含むものや酸性のものであっても腐食や錆が生じることがないため、流動体への腐食物や錆の混入の問題が無く品質保持性及び安全性が高いと共に弁の開閉機能低下の虞が低いという効果を有する。
【0028】
請求項2に示す発明によれば、簡易な形状の弾性体によって確実な弁開閉が可能である。
【0029】
請求項3に示す発明によれば、流動体に圧力が加わることにより第1弁体及び第2弁体の2つの弁体の両方を円滑に弁開放することができると共に、圧力を解除することにより開放状態にあった2つの弁体を速やかに閉塞することができる。
【0030】
特に、流動体の加圧を第1弁体で受圧し移動させ、この移動を第2弁体に伝えることができるので、第2弁体の受圧面の大きさを考慮する必要がなく、第1弁体側の受圧面の大きさによって第2弁体を移動させる設計とすることが可能である。即ち、第2弁体の大きさを自由にできる利点がある。
【0031】
請求項4に示す発明によれば、容器体の内部に臨む側に第1弁座及び第1弁体を配設し、吐出口側に第2弁座及び第2弁体を配設した構成により、2つの弁開放時には速やかなる流動体の吐出が可能であり、弁閉塞時には二重に弁閉塞されるため、吐出の確実な停止が可能であるだけでなく、吐出口からの液漏れを著しく抑制することができ、更に、容器体内への外気の浸入を二重に防ぐことができる。しかも、容器体の内外を遮断する第1弁座及び第1弁体の外部に残留した流動体については第2弁座及び第2弁体によって外部と遮断されるため外気の浸入が無く品質の劣化・低下又は固化を抑制することができる。
従って、吐出再開時であっても、第1弁座及び第1弁体の外部に残留した流動体、即ち最初に吐出される流動体について廃棄する必要が無い。また、容器内の流動体が、例えば、シーラント材の如き空気接触によって固化するものであっても、流動体を一度に使い切る必要が無く、長期に亘って使用できる。
【0032】
請求項5に示す発明によれば、流動体の外部への漏出を防止することができると共に、外部から外気の侵入を防止することができる。特に、第1弁座と第2弁座との間に残存・滞留した流動体の乾燥・劣化・品質低下又は固化等を抑制することができる効果を有する。
【0033】
請求項5に示す発明によれば、弁の開閉を弾性体による付勢によって行うことにより、極めて簡易な構成で二重の弁構成とすることができる。
【0034】
請求項6に示す発明によれば、2つの弁の開閉を同時に行うことができる。
【0035】
請求項7に示す発明によれば、部品点数を低減することができ、可動部品である2つの弁体、連結杆及び弾性体の計4つの部材を1つの部品とすることができるので容易に組立てが可能となるだけでなく、故障が少なく、メンテナンス性が向上する。
【0036】
請求項8に示す発明によれば、第1弁体の弁開放より第2弁体の弁開放を遅れて作動させることにより、流動体に対して第1弁体のみが移動する程度の圧力が加わった場合であっても第2弁体は未だ弁開放されない構成とすることにより、意図することなく流動体を加圧してしまった場合の誤吐出を抑制することができる。尚、弁閉塞の際には第1弁体及び第2弁体の閉塞により流動体の漏出を効果的に防止することができる。
【0037】
請求項9に示す発明によれば、第2弁体側部分の連結杆の径を第1弁体側より細径とすること構成によって、第2弁座部分における流動体の流路を広くすることができるので、第2弁体開放時の吐出量を多くすることが可能となる。
【0038】
請求項10に示す発明によれば、1つの弁室内に二重の弁を有する逆止弁が1つのユニットとして構成されていることにより、該1つのユニットを容器体に取り付けるだけで該容器体の吐出口を極めて容易に逆止弁構造とすることができる。
【0039】
請求項11に示す発明によれば、本発明の逆止弁を容器体の容器口頸部に取り付けるだけで逆止弁を備えた容器体とすることができる。
【0040】
請求項12に示す発明によれば、加圧型吐出容器の容器口頸部を逆止弁構成とすることができる。特に、加圧型吐出容器としてはチューブ容器が好適である。
【0041】
請求項13に示す発明によれば、吐出する流動体の吐出形状を規定することができる。吐出形状としては、吐出管を太径としたり細径とすることにより吐出する流動体の吐出径を規定したり、直流吐出・拡散吐出・噴射吐出等のように吐出形態を規定すること等を挙げることができる。
【0042】
請求項14に示す発明によれば、所望の量の流動体の吐出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る逆止弁及びこれを用いた容器体の一実施例を示す説明断面図
【図2】図1に示す逆止弁の弁開閉構成を説明する説明断面図
【図3】連結杆の他の実施例を示す2面図(正面図、平面図)
【図4】図3の連結杆を用いた逆止弁の実施例を示す説明断面図
【図5】弾性体の他の実施例を示す2面図(正面図、平面図)
【図6】弾性体の他の実施例を示す2面図(正面図、平面図)
【図7】弾性体の他の実施例を示す2面図(正面図、平面図)
【図8】本発明に係る逆止弁の他の実施例を示す説明断面図
【図9】本発明に係る逆止弁の他の実施例を示す説明断面図
【図10】本発明に係る容器体の他の実施例を示す断面図
【図11】本発明に係る容器体の他の実施例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明に係る逆止弁及びこれを用いた容器体について図面に基づき説明する。尚、図1、図2、図4、図8、図9、図10及び図11において、第1弁体11、第2弁体13及び連結杆18については構成を明瞭化にするために断面図ではなく正面図として示す。
【0045】
本発明は、化粧水、洗顔クリーム・栄養保湿クリーム等の化粧品類や、ジャム・ペースト等の調味食品類の如き空気との接触によって品質が劣化・低下するもの、建築用及び工業用シーラント材、接着剤・粘着剤の如き空気との接触によって固化するもの等の液体・クリーム状又はゲル状物質の如き流動体を充填する容器体の口頸部に用いて好適な逆止弁及びこれを用いた容器体であり、
逆止弁の具体的な実施構成としては、図1及び図2に示すように、
流動体の圧力によって弾性体の弾力に抗し、弁座に臨ませた弁体が開閉する逆止弁1において、
流動体入口側に形成されて第1弁体11を臨ませた第1弁座12と、流動体出口側に形成されて第2弁体13を臨ませた第2弁座14とを有し、
前記第2弁体13が、前記第1弁体11に対して連結杆部18を介して一体的に連結されると共に、
前記弾性体19が、前記連結杆部18及び/又は前記第1弁体11(本実施例では連結杆部18のみ)と一体的に形成されており、
且つ、前記第1弁体11、前記第2弁体13、前記連結杆部18及び前記弾性体19が合成樹脂製であること、を主構成とするものである。
【0046】
また、前記第1弁体11は、前記第1弁座12に対して前記第2弁座14側から付勢されて弁閉塞すると共に、前記流動体の加圧時に前記第1弁座12から離開移動することにより弁開放する構成であり、
且つ、前記第2弁体13が、前記第2弁座14に対して前記流動体出口側から付勢されて弁閉塞すると共に、前記流動体の加圧時に前記第2弁座14から離開移動することにより弁開放する構成である。
【0047】
第1弁体11による第1弁座12の弁開閉と、第2弁体13による第2弁座14の弁開閉との二重の弁開閉は、本実施例では前記第1弁体11と第2弁体13とが連結杆18により直接連結されているので略同時に作動する構成となっている。尚、本実施例では、第1弁体11、第2弁体13、連結杆18及び弾性体19の4つの部材は1つの部品として一体的に形成されることが好ましいが、第1弁体11と第2弁体13とが連結杆18と直接連結されると共に弾性体19が連結杆18及び/又は第1弁体11と一体的に形成された構成になっていれば、2つ以上の部品に分割された構成であってもよい。
【0048】
更に逆止弁1の逆止弁本体17は、一端を開口部とすると共に他端を閉塞部とした筒状の第1弁本体部15と、一端を開口部とすると共に他端を閉塞部とした筒状の第2弁本体部16とから成り、各々の開口部を相対向する向きで螺合・嵌合・接着・溶着の如き結合手段で結合することにより両端閉塞状筒状体に構成され、前記両端の閉塞部に前記第1弁座12及び第2弁座14が各々設けられており、
該逆止弁本体17が、流動体を充填する容器体2(図1(C)参照)の口頸部21に前記第1弁座12側を容器体2の内部に臨ませた状態で取付可能な構成である。尚、取付固定位置は、図1(C)に限らず、公知公用のいずれの構成であってもよい。
【0049】
流動体の圧力を用いて弁開閉を行う構成としては、弁開閉時の第1弁体11及び第2弁体13の移動方向と交差する方向に前記連結杆18の途中部分から延伸して形成された板状乃至は棒状(本実施例では図5に示す板状)構成の弾性体19が前記第1弁体11及び前記第2弁体13を弁閉塞する方向に付勢する構成となっており、第1弁体11(及び第2弁体13)に流動体の圧力がかかることによって前記第1弁体11及び第2弁体13が弁閉塞状態から反付勢方向に移動して弁開放する構成となっている。尚、流動体の圧力を解除によって第1弁体11及び第2弁体13は再び前記弾性体19の付勢力によって弁閉塞する方向に移動して第1弁座12及び第2弁座14に当接して弁閉塞することになる。
【0050】
以上の構成を有する、第1弁体11、第2弁体13、連結杆18及び弾性体19は前述したように一体構成の合成樹脂製であり、この種の合成樹脂製弁体の成形材料として公知公用の合成樹脂を公知公用の成形手段(例えば、射出成形等)により形成される。
【0051】
以上の各構成部材から成る逆止弁1の組立構成について説明する。
【0052】
先ず、第1弁体、連結杆18及び弾性体19と一体構成である第2弁体13を、第2弁本体部16の第2弁座14に対して第1弁座12側(図1(A) において第2弁座14の下方側から上方側へ)から圧入して該第2弁座14に閉塞状態、好ましくは付勢状態で臨ませる。
【0053】
次に、該第2弁本体部16に第1弁本体部15を結合して前記第1弁体11が前記第1弁座12に閉塞状態、好ましくは付勢状態で臨ませることにより逆止弁本体17が1つの弁室を有するユニット構成と成り、逆止弁1の組立てが完了する。
【0054】
逆止弁1が本実施例に示すように逆止弁本体17を有する1つの弁室を有するユニット構成とした場合、前記第1弁座12及び前記第2弁座14の閉塞時に該逆止弁本体17内が液密及び/又は気密状態となる構成であることが好ましい。かかる構成によれば、流動体の外部への漏出をより防止することができると共に、外部から外気の侵入をより防止することができる。特に、第1弁座12と第2弁座14との間に残存・滞留した流動体の乾燥・劣化・品質低下等を著しく抑制することができる効果を有する。
【0055】
次に、上記構成を有する本発明の逆止弁1の弁開閉構成について説明する。
【0056】
図2(A) は、弁閉塞時を示し、第1弁体11は第1弁座12に密接することで該第1弁座12を閉塞し、第2弁体13は第2弁座14に密接することで該第2弁座14を閉塞している。尚、第2弁体13の構成は図示のものに限らず、例えば、特開2004−161336号公報の図4又は図11に示されているような公知公用の構成であってもよい。
【0057】
図2(A)の状態から、容器体2を手指等で押圧する等により該容器体2内の流動体に圧力を付与されると、第1弁体11に対して圧力(符号Xで示す矢符)が加わる。
【0058】
この圧力が加わることで、図2(B)に示すように、第1弁体11が第1弁座12から離開する方向に移動する。このとき、該第1弁体11に連結杆18を介して連結されている第2弁体13も第2弁座14から離開する方向に同時に移動する。尚、第1弁体11の構成についても、図示のものに限らず、例えば、実開平5−66378号公報の図1に示されるような公知公用の構成であってもよい。
【0059】
2つの弁体11・13が離開移動することにより、2つの弁座12・14が開放され、流動体が第1弁座12を通過し、更に第2弁座14を通過することにより、外部への流動体の吐出が可能となる。この弁開放された際の流動体の流れを矢符Yで示す。
【0060】
次に、所望量の流動体の吐出が行われた時点で容器体2等への圧力を解除すると、第1弁体11に対する圧力がなくなるため、該第1弁体11及び第2弁体12は弾性体19の付勢力によって各々第1弁座12及び第2弁座14に臨む位置まで同時に復帰移動して同時に弁閉塞状態(図2(A)の状態)となり、流動体の吐出が終了する。
【0061】
第1弁体11及び第1弁座12、並びに第2弁体13及び第2弁座14による二重の弁閉塞によって、容器体2内に充填されている流動体は外部から二重に遮断されることになる。従って、流動体の品質低下を著しく抑制することができる。
【0062】
また、第1弁体11及び第1弁座12より下流側に残存・滞留した流動体については、従来技術では外気と接触してしまうために品質低下を免れることはなかったが、本発明では更に下流に配設された第2弁体13及び第2弁座14の閉塞によって外部から遮断されることによって、この残存・滞留した流動体についても品質低下を抑制することができる。従って、次に吐出するまでの時間が経過してしまった場合であっても、乾燥固化等の虞が少なく、吐出の際にこの残存・滞留した分の流動体を廃棄することなく速やかに吐出が可能となるため、吐出時の無駄や煩雑さを排除することができる。
【0063】
本発明の逆止弁1が取り付けられる容器体2としては、前記したような各種流動体を充填する加圧吐出型の容器体、即ち、該容器体に押圧力を加えて内部に充填された流動体を吐出させる構成の容器体であり、逆止弁1を口頸部21に取り付けることにより逆止弁機能を備えた吐出容器とすることができる。
【0064】
本発明の逆止弁1が取り付けられる好ましい加圧吐出型の容器体2としては、チューブ式容器が挙げられる。
【0065】
チューブ式容器は、合成樹脂単体又は合成樹脂とアルミ等とを積層した構成を有するものであり、該チューブ式容器に手指等で押し潰す等の圧力を加えることにより口部から内容物である流動体を吐出することができ、付与された圧力を解除することにより該チューブ式容器が持つ弾性復元力により該チューブ式容器内が負圧状態となり弁閉塞させる構成となっている。
【0066】
以上、本発明に係る逆止弁及びこれを用いた容器体について実施例に基づき説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の範囲内において他の態様を採ることができる。
【0067】
例えば、連結杆18としては、上記実施例では同径棒状体形状の構成としていたが、図3に示すように第2弁体13側を第1弁体11側より細径とすることもできる。かかる構成によれば、図4に示すように第2弁座14部分における流動体の流路を広くすることができるので、第2弁体13開放時の吐出量を多くすることが可能となる。
【0068】
また、弾性体19としては、上記実施例では図5に示すように第1弁体11及び第2弁体13の移動方向と交差(直交)する方向に連結杆18の途中部分から延伸して形成された2枚の板状構成としていたが、板状の枚数は2枚に限定されず、図6に示すように連結杆18と交差拡散する4方向に形成された4枚構成としてもよいし、或いは3枚構成や5枚以上の構成であってもよい。尚、いずれの枚数構成の場合であっても逆止弁1内の流動体の通過を妨げるものであってはならないことは勿論である。
【0069】
また、弾性体19は、上記実施例の板状構成に限らず、図7に示すような棒状構成であってもよい。尚、棒状構成である場合についても、図7の4本構成に限らず、2本構成、3本構成、5本以上の構成であってもよい。
【0070】
更に、弾性体19は、上記実施例では連結杆19と一体的に形成された構成であったが、本発明はかかる構成に限定されず、第1弁体11と一体的に形成された構成であってもよいし、連結杆19及び第1弁体11の両方と一体的に形成された構成であってもよい。弾性体19が、連結杆19及び第1弁体11の両方と一体的に形成される構成の場合、該弾性体19は連結杆19及び第1弁体11の両方に連続した形状で形成されていてもよいし、弾性体19の一端等の一部が連結杆19の一部と一体的に形成されると共に弾性体19の他端等の一部が第1弁体11の一部と一体的に形成された跨った状態での一体構成であってもよい。
【0071】
更に、弾性体19は、上記実施例では第2弁本体部16側に両端部近傍を掛止する構成としていたが、本発明はかかる構成に限定されず、弁体の開閉に該弾性体19の弾力が作用する構成であればよく、第1弁本体部15側等の他の部分に掛止・係合等された構成とすることもできる。
【0072】
更に、第1弁体11、第2弁体13、連結杆18及び弾性体19は上記実施例の一体成形により形成された構成に限定されず、(1)弾性体19が連結杆18と一体的に形成された構成、(2)弾性体19が第1弁体11と一体的に形成された構成、(3)弾性体19が連結杆18及び第1弁体11と一体的に形成された構成、のいずれかであればよく、前記(1)構成にあっては第1弁体11と第2弁体13とを別体構成とすることもでき、前記(2)構成にあっては連結杆18と第2弁体13とを別体構成とすることもでき、前記(3)構成にあっては第2弁体13のみを別体構成とすることもできる。
【0073】
更に、第1弁体11と第2弁体13は上記実施例では直接連結されることにより第1弁体11による第1弁座12の開閉と第2弁体13による第2弁座14の開閉が略同時に作動する構成であるが、本発明はかかる構成に限定されず、例えば、図8に示すように、連結杆18として、伸縮遊動部18Aを介して遊動的に連結した2本構成とすることにより前記第2弁体13を前記第1弁体11に対して遊動的に連結した構成とすることもできる。かかる構成によれば、前記第2弁体13による第2弁座14の開放が、前記第1弁体11による第1弁座12の開放に遅延して動作することになり、図8(B)に示すように流動体に対して第1弁体11のみが移動する程度の圧力が加わった場合であっても第2弁体13は未だ弁開放されない構成とすることにより、意図することなく流動体を加圧してしまった場合の誤吐出を抑制することができ、吐出を行うと云う意図をもった加圧に対しては、図8(C)に示すように第1弁体11が更に移動して伸縮遊動部18Aの遊動代が無くなって第2弁体13が移動することにより第2弁座14が弁開放されて流動体の吐出が行われる。弁閉塞の際には第1弁体11及び第2弁体13の閉塞により流動体の漏出を効果的に防止することができる。
【0074】
尚、伸縮遊動部18Aについては、図8の実施例に示す構成に限定されず第1弁体11と第2弁体13とを伸縮遊動可能に連結する構成であればよく、蛇腹状構成としたりリンク機構を設けたり等の他の構成を採ることもできる。尚また、伸縮遊動部18Aを設けた構成とした場合、弾性体19は図8に示す実施例では連結杆18の第1弁体11に近い部分に配設しているが、第2弁体13に近い部分に配設することもできる。
【0075】
更に、図9に示すように、弾性体19は多段構成とすることもできる。尚、図9に示す実施例では弾性体19を2段構成としているが、3段以上とすることもできる。尚また、弾性体19を多段構成とする場合、各弾性体19の構成や連結杆18の構成は、図1〜図8に示した他の構成を採ることもできる。
【0076】
更に、図10に示すように、容器体2の口頸部21であって前記逆止弁1の第2弁座14より下流部分に吐出管3を配設する構成とすることもできる。かかる構成によれば、吐出する流動体の吐出形状を規定することができる。吐出管3の吐出形状としては、該吐出管3を太径としたり細径とすることにより吐出する流動体の吐出径を規定したり、直流吐出・拡散吐出・噴射吐出等のように吐出形態を規定すること等を挙げることができる。
【0077】
更に、図11に示すように、容器体2の口頸部21であって前記逆止弁1の第2弁座14より下流部分に流動体を溜めて吐出量を計量する計量部4を配設する構成とすることもできる。かかる構成によれば、計量部4の計量目盛41を確認しながら流動体を吐出することにより、所望の量の流動体の吐出が可能となる。
【0078】
更に、逆止弁本体17の構成についても上記実施例に限定されず、流動体入口側に第1弁体11を臨ませた第1弁座12が形成され、流動体出口側に第2弁体13を臨ませた第2弁座14が形成された構成であればよく、例えば、円筒体等の下部に第1弁座12が形成された底面板を接合し、該円筒体等の上部に第2弁座14が形成された上面板を接合する構成や、流動体の吐出方向と平行する方向に分割接合線を有する筒状体を逆止弁本体とする構成等を挙げることができる。
【0079】
更に、上記実施例では、流動体の圧力を受ける第1弁体11の直径が第2弁体13の直径より大きい構成であるが、第2弁体13の方が大きい構成であってもよいし、2つの弁体が同等の直径を有していてもよい。尚、ここで「直径」とは受圧面の径を指す。
【0080】
更にまた、流動体の圧力を受ける第1弁体11の表面、第1弁座12の表面、第2弁座14の下面又は表面、第2弁体13の流動体接触面等の流動体が接触する部分に該流動体の流路方向等を規定する突条や凹条等を形成し、流動体の流れを螺旋状としたり、流動体の吐出方向を1方向乃至は複数方向に規定する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0081】
1 逆止弁
11 第1弁体
12 第1弁座
13 第2弁体
14 第2弁座
15 第1弁本体部
16 第2弁本体部
17 逆止弁本体
18 連結杆
18A 伸縮遊動部
19 弾性体
2 容器体
21 口頸部
3 吐出管
4 計量部
41 計量目盛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動体の圧力によって弾性体の弾力に抗し、逆止弁本体の弁座に臨ませた弁体が開閉する逆止弁であり、
流動体入口側に形成されて第1弁体を臨ませた第1弁座と、流動体出口側に形成されて第2弁体を臨ませた第2弁座とを有し、
前記第2弁体が、前記第1弁体に対して連結杆を介して直接又は間接的に連結されると共に、
前記弾性体が、前記連結杆及び/又は前記第1弁体と一体的に形成されており、
且つ、前記第1弁体、前記第2弁体、前記連結杆及び前記弾性体が合成樹脂製であること、
を特徴とする逆止弁。
【請求項2】
前記弾性体が、弁開閉時の第1弁体及び第2弁体の移動方向と交差する方向に前記連結杆の途中部分から延伸して形成された板状乃至は棒状構成であることを特徴とする請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記第1弁体が、前記第1弁座に対して前記第2弁座側から付勢されて弁閉塞すると共に、前記流動体の加圧時に前記第1弁座から離開移動することにより弁開放する構成であり、
且つ、前記第2弁体が、前記第2弁座に対して前記流動体出口側から付勢されて弁閉塞すると共に、前記流動体の加圧時に前記第2弁座から離開移動することにより弁開放する構成であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の逆止弁。
【請求項4】
逆止弁本体が、一端を開口部とすると共に他端を閉塞部とした筒状の第1弁本体部と、一端を開口部とすると共に他端を閉塞部とした筒状の第2弁本体部とから成り、各々の開口部を相対向する向きで螺合・嵌合・接着・溶着の如き結合手段で結合することにより両端閉塞状筒状体に構成され、前記両端の閉塞部に前記第1弁座及び第2弁座が各々設けられており、
該逆止弁本体が、流動体を充填する容器体の口頸部に前記第1弁座側を容器体の内部に臨ませた状態で取付可能な構成であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の逆止弁。
【請求項5】
前記第1弁座及び前記第2弁座の閉塞時に前記逆止弁本体内が液密及び/又は気密状態となる構成であることを特徴とする請求項4に記載の逆止弁。
【請求項6】
前記第1弁体による第1弁座の開閉と前記第2弁体による第2弁座の開閉が略同時であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の逆止弁。
【請求項7】
前記第1弁体、第2弁体、連結杆及び弾性体が一体成形により形成された構成であることを特徴とする請求項6に記載の逆止弁。
【請求項8】
前記連結杆の一部に伸縮遊動部が設けられることにより前記第2弁体が前記第1弁体に対して遊動的に連結され、前記第2弁体による第2弁座の開放が、前記第1弁体による第1弁座の開放に遅延して動作する構成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の逆止弁。
【請求項9】
前記第2弁体開放時における第2弁座部分の流路に位置する前記連結杆の径を第1弁体側部分の径より細径とする構成であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の逆止弁。
【請求項10】
前記第2弁体を第2弁本体部の第2弁座に対して第1弁座側から圧入して該第2弁座に閉塞状態で臨ませた後、該第2弁本体部に第1弁本体部を結合して前記第1弁体が前記第1弁座に閉塞状態で臨ませることにより逆止弁本体が1つの弁室を有するユニット構成と成る構成であることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の逆止弁。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の逆止弁を容器口頸部に用いた構成であることを特徴とする容器体。
【請求項12】
前記容器体が、加圧吐出型容器であることを特徴とする請求項11に記載の容器体。
【請求項13】
前記容器体の口頸部であって前記逆止弁の第2弁座より下流部分に吐出管が配設される構成であることを特徴とする請求項11又は12に記載の容器体。
【請求項14】
前記容器体の口頸部であって前記逆止弁の第2弁座より下流部分に流動体を溜めて吐出量を計量する計量部が配設される構成であることを特徴とする請求項11又は12に記載の容器体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−86855(P2013−86855A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230467(P2011−230467)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(599154652)龍江精工株式会社 (17)
【出願人】(391052781)株式会社ポリマーシステムズ (27)
【Fターム(参考)】