説明

逆止弁

【課題】 コイルバネが上下方向及び左右方向にズレルことのない逆止弁を提供する。
【解決手段】 弁ケーシング1で入口2と弁室3と出口4を形成し、入口2と弁室3の間に環状弁座5を設け、弁室3内に環状弁座5を開閉する弁体6を配置し、上下方向に一文字に伸びるバネ受け18と弁体6の間に弁体6を環状弁座5へ付勢するコイルバネ19を設け、バネ受け18の上部と下部に弁体6側に突出する上突出部21と下突出部22を設けてコイルバネ19の外周の上部と下部を緩く保持し、弁体6の左部と右部にバネ受け18側に突出してバネ受け18の左側面と右側面を摺動する左突出部23と右突出部24を設けてコイルバネ19の内周の左部と右部を緩く保持する。弁体6の左突出部23と右突出部24によりコイルバネ19が上下方向及び左右方向にズレルことを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体や気体などの流体配管に取り付けて、流体の入口から出口への順方向の流れは許容するが、その逆方向すなわち出口から入口への流れは阻止する逆止弁に関し、特に弁体を環状弁座へ付勢するコイルバネを設けたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の逆止弁は、例えば特許文献1に開示されている。これは、弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、入口と弁室の間に環状弁座を設け、弁室内に環状弁座を開閉する弁体を配置し、上下方向に一文字に伸びるバネ受けと弁体の間に弁体を環状弁座へ付勢するコイルバネを設け、バネ受けの上部と下部に弁体側に突出する上突出部と下突出部を設けてコイルバネの外周の上部と下部を緩く保持したものである。入口の流体圧力が出口の流体圧力及びコイルバネの付勢力よりも大きくなると、弁体がコイルバネを圧縮して環状弁座から離座し、入口の流体が弁体の外周を通って出口に流れる。入口の流体圧力が出口の流体圧力及びコイルバネの付勢力よりも小さくなると、弁体が入口側に変位して環状弁座に着座し、出口から入口への流体の逆流を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−108409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の逆止弁は、流体配管に取り付ける前に不用意に落下させたりして衝撃が与えられると、コイルバネが左方向あるいは右方向にズレルという問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、コイルバネが上下方向及び左右方向にズレルことのない逆止弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の逆止弁は、弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、入口と弁室の間に環状弁座を設け、弁室内に環状弁座を開閉する弁体を配置し、バネ受けと弁体の間に弁体を環状弁座へ付勢するコイルバネを設け、バネ受けの上部と下部に弁体側に突出する上突出部と下突出部を設けてコイルバネの外周の上部と下部を緩く保持したものにおいて、弁体の左部と右部にバネ受け側に突出してバネ受けの左側面と右側面を摺動する左突出部と右突出部を設けてコイルバネの内周の左部と右部を緩く保持したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、弁体の左部と右部にバネ受け側に突出してバネ受けの左側面と右側面を摺動する左突出部と右突出部を設けてコイルバネの内周の左部と右部を緩く保持したものであるので、落下等による衝撃を受けても、弁体の左突出部と右突出部によりコイルバネが上下方向及び左右方向にズレルことを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる逆止弁の閉弁状態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる逆止弁の開弁状態を示す断面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図4を参照して説明する。弁ケーシング1は、図示しない入口側配管フランジと出口側配管フランジの間に配置されボルトとナットからなる締結手段によって挟持されるものである。弁ケーシング1に入口2と、入口2よりも大径の弁室3と、出口4を形成し、入口2と弁室3の間に環状弁座5を設ける。入口2と弁室3と出口4と環状弁座5を同軸上に形成する。
【0010】
環状弁座5の出口4側に環状弁座5を開閉する弁体6を配置する。弁体6は、その入口2側面から突出させて設けた弁棒7を一体に有する。入口2の内壁から弁室3内に突出する2本のリブ9,10を弁ケーシング1に一体に形成する。リブ9,10の内端に、弁棒7の外周が摺動するガイド孔11を有するガイド部材12を一体に形成する。ガイド部材12のガイド孔11は入口2と同軸上に形成する。リブ9,10の内端側とガイド部材12は弁室3内に位置する。弁体6は、その中央を出口4側に湾曲させて、弁室3側に突出するリブ9,10とガイド部材12を閉弁時に収容する窪み部20を形成する。
【0011】
弁室3の内壁に2本のリブ13,14を弁ケーシング1に一体に形成する。リブ13,14に形成した溝15,16に、上下方向に一文字に伸びるバネ受け18の両端を嵌め込み、バネ受け18を弁ケーシング1に取り付ける。弁体6とバネ受け18との間に弁体6を環状弁座5へ付勢するコイルバネ19を設ける。バネ受け18は上部と下部に折り曲げて弁体6側に突出させた上突出部21と下突出部22を有し、上突出部21の上端と下突出部22の下端がリブ13側とリブ14側に曲がった形状である。上突出部21と下突出部22はコイルバネ19の外周の上部と下部を緩く保持する。弁体6の左部と右部にバネ受け18側に突出してバネ受け18の左側面と右側面を摺動する左突出部23と右突出部24を溶接により固定する。左突出部23と右突出部24は入口2と出口4の中心軸と平行に出口4側に伸び、コイルバネ19の内周の左部と右部を緩く保持する。落下等による衝撃を受けても、弁体6の左突出部23と右突出部24によりコイルバネ19が上下方向及び左右方向にズレルことを防止できる。
【0012】
上記の逆止弁の動作は次の通りである。入口2の流体圧力が出口4よりも高くなると、弁体6はコイルばね19の付勢力に抗して出口4側に変位し、入口4の流体がリブ9,10とガイド部材12の周囲から弁体6の周囲を通って出口4に流れる。リブ9,10の内端側とガイド部材12が入口2よりも大径の弁室3内に位置するので、リブ9,10とガイド部材12の周囲の流体通過面積が大きく、流量が多くなる。出口4の流体圧力が入口2よりも高くなると、弁体6は流体圧力とコイルばね19の作用を受けて、入口2側に変位して環状弁座5に機密的に接し、逆流を防止する。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、弁体を環状弁座へ付勢するコイルバネを設け、流体の入口から出口への順方向の流れは許容するが、その逆方向の流れは阻止する逆止弁に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 弁ケーシング
2 入口
3 弁室
4 出口
5 環状弁座
6 弁体
18 バネ受け
19 コイルバネ
21 上突出部
22 下突出部
23 左突出部
24 右突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、入口と弁室の間に環状弁座を設け、弁室内に環状弁座を開閉する弁体を配置し、バネ受けと弁体の間に弁体を環状弁座へ付勢するコイルバネを設け、バネ受けの上部と下部に弁体側に突出する上突出部と下突出部を設けてコイルバネの外周の上部と下部を緩く保持したものにおいて、弁体の左部と右部にバネ受け側に突出してバネ受けの左側面と右側面を摺動する左突出部と右突出部を設けてコイルバネの内周の左部と右部を緩く保持したことを特徴とする逆止弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−286104(P2010−286104A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142655(P2009−142655)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】