説明

逆止弁

【課題】シンプルな構造で、安価に製造することが可能な逆止弁を提供する。
【解決手段】外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の間に、内側第1フィルム3とそれより幅の小さい内側第2フィルム4を積層してなり、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の対向する2辺に沿うシール部5,6を設けることにより、一端7にガスが入る入口を有し、他端8にガスが抜ける出口を有するとともに、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4の間にガスが通る隙間を有する構成とし、さらに、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の前記両シール部5,6間に内側第1フィルム3と内側第2フィルム4を横切るシール部10を設けて、内側第2フィルム4の両辺の外側にはみ出した内側第1フィルム3の両辺を外側第2フィルム2に接着させ、さらに、外側第1フィルム1を内側第1フィルム3に接着させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部にガスが充満する可能性がある食品等の包装体に設けられる逆止弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コーヒー豆、味噌、漬物等の食品を包装したプラスチックフィルム製の包装体は、食品より発せされるガスが内部に充満し、破裂するおそれがある。そのため、例えば特許文献1に記載のように、逆止弁を、その一端が内部に位置し、他端が外部に露出するように設けた包装袋が存在する。
【0003】
この包装袋における逆止弁は、長寸法のプラスチックフィルム1と短寸法のプラスチックフィルム3、プラスチックフィルム4等からなり、プラスチックフィルム3の上半部に逆止片3aとその作動用のポケット部9を備え、外気の流入圧により、逆止片3aがプラスチックフィルム1側に押圧付勢され、開口部を閉塞するようにしたものであり、外気を包装袋内に流入することが防止されるようになっているが、構造がやや複雑であった。
【0004】
そのため、よりシンプルな構造で、安価に製造することが可能な逆止弁が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2691881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、シンプルな構造で、安価に製造することが可能な逆止弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、この発明は次のような技術的手段を講じている。
【0008】
この発明の逆止弁は、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の間に、内側第1フィルム3とそれより幅の小さい内側第2フィルム4を積層してなり、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の対向する2辺に沿うシール部5,6を設けることにより、一端7にガスが入る入口を有し、他端8にガスが抜ける出口を有するとともに、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4の間にガスが通る隙間9を有する構成とし、さらに、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の前記両シール部5,6間に内側第1フィルム3と内側第2フィルム4を横切るシール部10を設けて、内側第2フィルム4の両辺の外側にはみ出した内側第1フィルム3の両辺3a,3bを外側第2フィルム2に接着させ、さらに、外側第1フィルム1を内側第1フィルム3に接着させている。
【0009】
外側第1フィルム1と外側第2フィルム2は、互いの対向面がヒートシール性を有し、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4は、互いの対向面がヒートシール性を有しないものとし、ヒートシールにより外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の対向する2辺に沿うシール部5、並びに内側第1フィルム3と内側第2フィルム4を横切るシール部10が形成されたものとすることができる。
【0010】
また、前記逆止弁を、その一端7が内部に位置し、他端8が外部に露出するように設けた逆止弁付き包装体を構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明の逆止弁は、上述のような構成を有しており、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4の4枚を積層し、シールしてなるものであり、シンプルな構造で、安価に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施形態の逆止弁の斜視図である。
【図2】この発明の実施形態の逆止弁の分解斜視図である。
【図3】この発明の実施形態の逆止弁のA−A線断面図である。
【図4】この発明の実施形態の逆止弁のB−B線断面図である。
【図5】内側第1フィルムと内側第2フィルムを同一幅とした比較例の断面図である。
【図6】この発明の実施形態の逆止弁付き包装体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
この逆止弁は、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の間に、内側第1フィルム3とそれより幅の小さい内側第2フィルム4を積層してなり、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の対向する2辺に沿うシール部5,6を設けることにより、一端7にガスが入る入口を有し、他端8にガスが抜ける出口を有するとともに、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4の間にガスが通る隙間9を有する構成とし、さらに、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の前記両シール部5,6間に内側第1フィルム3と内側第2フィルム4を横切るシール部10を設けて、内側第2フィルム4の両辺の外側にはみ出した内側第1フィルム3の両辺3a,3bを外側第2フィルム2に接着させ、さらに、外側第1フィルム1を内側第1フィルム3に接着させたものである。
【0015】
各フィルムは、ポリプロピレンを原料とした二軸延伸フィルム等とすることができる。この実施形態では、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2は、互いの対向面がヒートシール性を有し、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4は、互いの対向面がヒートシール性を有しないものとしている。
【0016】
外側第1フィルム1と外側第2フィルム2は、同じ大きさの長方形状とし、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2は互いに幅の異なる長方形状としているが、長さはいずれも外側第1フィルム1及び外側第2フィルム2と同一としている。外側第1フィルム1と外側第2フィルム2は番手25で幅20mm×長さ50mm、内側第1フィルム3は番手20で幅10mm×長さ50mm、内側第2フィルム4は番手20で幅6mm×長さ50mmとすることができるが、特にこの大きさに限定されない。
【0017】
各フィルムは、図示したように積層され、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の対向する2辺(長辺)がヒートシールされてシール部5,6が形成され、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2が、両端間にわたって、図3に示したように、前記対向する2辺に沿う数mm幅の縁部で互いに接着している。
【0018】
また、一端7(入口)付近において、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の前記両シール部5,6間が、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4を横切るようにヒートシールされてシール部10が形成され、図4に示したように、内側第2フィルム4の両辺の外側にはみ出した内側第1フィルム3の両辺3a,3bが外側第2フィルム2に接着し、さらに、その上方の外側第1フィルム1が内側第1フィルム3に接着している。
【0019】
この一端7(入口)付近のシール部10が設けられた箇所を除き、上下に重なる外側第1フィルム1と内側第1フィルム3、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4、内側第2フィルム4と外側第2フィルム2は、それぞれ接着しておらず、図3に示したように、外側第1フィルム1と外側第2フィルム2の間において、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4との隙間9が比較的大きくなった状態となっている。
【0020】
一端7(入口)付近のシール部10が設けられた箇所においては、前記ヒートシールにより、上下に重なる外側第1フィルム1と内側第1フィルム3が接着しており、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4との間の隙間9を除き密閉された状態となっている。また、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4との間の隙間9は、内側第2フィルム4の両辺の外側にはみ出した内側第1フィルム3の両辺3a,3bが外側第2フィルム2に接着しているため、上下方向に比較的小さくなっている。
【0021】
この一端7(入口)付近のシール部10が設けられた箇所における内側第1フィルム3と内側第2フィルム4との隙間9は、両端が同じガス圧であれば、ガスが出入りしない、あるいは包装体の内容物の賞味期限ないし消費期限に影響を及ぼさない程度のガスの出入りにとどまり、一端7側が他端8側よりガス圧が高い場合は、内部にガスが充満した包装体のフィルムが破裂しないようにガスが一端7側から他端8側に流れるようにその大きさが設定されている。
【0022】
なお、参考までに、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4の幅を同一とすると、図5に示したように、内側第1フィルム3と内側第2フィルム4の両側に大きな隙間が生じるため、逆止弁としての機能が損なわれることになる。
【0023】
内側第1フィルム3と内側第2フィルム4を横切るシール部10を設ける箇所は、特に限定されないが、図示したように一端7(入口)から数mm程度の位置に設ければ、一端7における内側第1フィルム3と内側第2フィルム4が互いに少し離反するようにして若干開き気味にすることにより、入口からガスが流入し易くすることができる。
【0024】
以上のように、この発明の逆止弁は、4枚のプラスチックフィルムで、極めてシンプルに構成されており、安価に製造することが可能である。この逆止弁を大量に製造するには、外側第2フィルム2となる縦横各数cm〜数十cm程度の長方形のプラスチックフィルムの上に、内側第2フィルム4となる細長いプラスチックフィルムを一定間隔ごとに複数行配置し、その上に、内側第1フィルム3となる細長いプラスチックフィルムを配置し、そして、その上に、外側第1フィルム1となる長方形のプラスチックフィルムを、前記外側第2フィルム2となる長方形のプラスチックフィルムを配置し、複数行、複数列に逆止弁が構成されるようにヒートシールを行い、切断するようにすればよい。
【0025】
この逆止弁は、図6に示したように、コーヒー豆等を収容したプラスチックフィルムからなる包装体11において、その一端7が内部に位置し、他端8が外部に露出するように設けることができる。この実施形態では、包装体11の上端部の前後のフィルムの間に逆止弁を挟み、前後のフィルム11a,11bをヒートシールすることにより、逆止弁が固定されるようにしている。
【0026】
なお、逆止弁を設ける位置は、図示した箇所に限定されず、また、包装体11の内容物についても各種のものとすることができる。
【0027】
以上がこの発明の好適な実施形態であるが、この発明は上述の実施形態の構成に限定されるものではなく、素材、形状、寸法等を適宜変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 外側第1フィルム
2 外側第2フィルム
3 内側第1フィルム
4 内側第2フィルム
5,6 シール部
7 一端
8 他端
9 隙間
10 シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側第1フィルム(1)と外側第2フィルム(2)の間に、内側第1フィルム(3)とそれより幅の小さい内側第2フィルム(4)を積層してなり、外側第1フィルム(1)と外側第2フィルム(2)の対向する2辺に沿うシール部(5)(6)を設けることにより、一端(7)にガスが入る入口を有し、他端(8)にガスが抜ける出口を有するとともに、内側第1フィルム(3)と内側第2フィルム(4)の間にガスが通る隙間(9)を有する構成とし、さらに、外側第1フィルム(1)と外側第2フィルム(2)の前記両シール部(5)(6)間に内側第1フィルム(3)と内側第2フィルム(4)を横切るシール部(10)を設けて、内側第2フィルム(4)の両辺の外側にはみ出した内側第1フィルム(3)の両辺(3a)(3b)を外側第2フィルム(2)に接着させ、さらに、外側第1フィルム(1)を内側第1フィルム(3)に接着させていることを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
外側第1フィルム(1)と外側第2フィルム(2)は、互いの対向面がヒートシール性を有し、内側第1フィルム(3)と内側第2フィルム(4)は、互いの対向面がヒートシール性を有しないものとし、ヒートシールにより外側第1フィルム(1)と外側第2フィルム(2)の対向する2辺に沿うシール部(5)、並びに内側第1フィルム(3)と内側第2フィルム(4)を横切るシール部(10)が形成されている請求項1記載の逆止弁。
【請求項3】
請求項1又は2記載の逆止弁を、その一端(7)が内部に位置し、他端(8)が外部に露出するように設けたことを特徴とする逆止弁付き包装体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−58512(P2011−58512A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205863(P2009−205863)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(591016080)株式会社スズパック (15)
【Fターム(参考)】