説明

透光性材料製のキートップへのマーキング方法、これによりマーキングしたキートップ、キーユニット、及びキーユニットの製造方法

透光性材料製のキートップにマーキングすべき文字・記号等を他の工程から制約を受けない時期に設定でき、前記文字・記号等を十分な耐摩耗性を備えるマーキング方法を提供し、及び仕向地の決定により極短時間で完成できる照光式キーユニットの製造方法を提供するために、波長が1064nm以下の近赤外光域、可視光域又は近紫外光域に属するレーザ光を、透明なプラスチック製キートップの内部に合焦させつつ間歇照射して、多数の微細な炭化黒点の集合、微細なクラック又は発泡による白化点の集合を形成して文字・記号等を表し、また仕向地未定のまま実行可能な工程を終了した状態で、製造を一旦中断又は終了し、仕向地に関連する文字・記号等が確定され次第、キートップの天面へレーザ光を照射してマーキングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、例えば携帯電話機、携帯情報端末装置(PDA)等のモバイル機器用や一般機器の表示兼制御部用に有用な照光式キーユニット、及びその中の各キーに文字・記号等を描く工程を含むキーユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
キーユニットはモバイル機器を構成する部品の一種であって、多数のスイッチ操作用キー(押釦)を一枚のシート面に集合・配列したものである。各キーは、柔軟なゴム又は熱可塑性エラストマー製のキーパッドと、該キーパッドの表面に取り付けられた硬質材料からなるキートップとによって構成される。キーパッドの裏面にはスイッチ押圧突起(いわゆる「押し子」)が形成されている。横並びの複数個のキーとキーの間はキーパッドにより連結される。各キーはキーパッドの下方に設けた光源により照光される(「照光式キー、」と呼ばれる)ので、キートップとキーパッドには透光性の材料が用いられる。このように構成されるキーユニットの下面に、例えば、各キーのスイッチ押圧突起に対応する位置にスイッチ要素を備えた光源付回路基板を密着させれば、照光式キースイッチが形成される。
照光式キーユニットを製造するには、キートップとキーパッドを別々に作成し、両者を接着剤で接合して組み立てるか、又は、先にキートップを作成し、これを射出成形金型中に挿入してキーパッドを挿入成形しても良い。キートップにはそれぞれのキーの機能を表す文字・記号等を描く必要があり、この工程を「マーキング」と呼ぶ。一般にマーキングは、キートップの上面(「天面」ともいう)又は下面(底面)、あるいはキートップ内部等に行う。このうち天面に行う場合は、マーキングされた文字・記号等の耐摩耗性を図らなければならないが、その反面、キートップが不透明であっても良く、キートップとキーパッドの接合後も行うことができる。底面へのマーキングの場合は、キートップが透明であることを要し、キートップをキーパッドに接合する前にマーキングが終わっている必要がある。そのためには、接合前に、マーキングすべき文字・記号等の内容が確定していなければならない。
携帯電話機等のモバイル機器は、異なる言語を用いる世界各地向けに出荷されるが、仕向地の決定から出荷までの日数は、通常極めて限られている。モバイル機器を構成する多くの部品中、キーユニット以外の部品で使用言語に無関係のものは、仕向地未定のまま予め組み付けておくことができる。しかし、キーユニットに関しては、使用言語に無関係な一部の数字等は予めマーキングしておくことができるにしても、使用言語が決まらないためマーキングすべき文字・記号等の内容に一部でも未確定部分がある状態では、最終的マーキングを行って、キーユニットの製造を終える訳には行かない。さりとて、仕向け地が決まってからキーユニットの製造を開始するのでは、納期に間に合わないし、予め多種類の言語でキーユニットを見込み生産しておくのでは、在庫が過大になってしまうという問題がある。
上記の問題は、一般に受注組立生産システムに見られる問題の一例であるが、類似する問題の解決に向けられた幾つかの先行技術が存在する。例えば下記特許文献1はリードタイムの低減、特許文献2は短日数別の納期情報提供、特許文献3は機種毎の製品構成表の活用に関するものである。
特許文献1: 特開2002−202805号公報
特許文献2: 特開2002−244711号公報
特許文献3: 特開2003−015722号公報
本願発明が解決しようとする第一の課題は、キートップに描くべき文字・記号等の内容を、キーユニットの組立における他の工程から制約を受けない自由な時期に設定でき、しかも、キートップに描かれた文字・記号等が十分な耐摩耗性を備えるような態様でマーキングされたキートップ及びそのようなマーキング方法を提供することである。
本願発明が解決しようとする第二の課題は、照光式キーユニットのキートップ天面にマーキングを行う場合に、マーキングされた文字・記号等が充分な耐摩耗性を備えるような、キートップの形成材料及びマーキング方法を見出すことである。
本願発明が解決しようとする第三の課題は、一旦仕向地が決まったならば、極力短時間で当該キーユニットを完成できるような照光式キーユニットの製造方法を見出すことである。
【発明の開示】
上記第一の課題の中のマーキング法に関しては、レーザー、ブラスト、又は含浸印刷法による方法がある。レーザー方法によれば、第1図及び第2図に示す手法により解決することができる。すなわち、波長が1064nm以下の近赤外光域、可視広域、又は近紫外光域に属するレーザ光を、プラスチック・キー内部の所望の位置に合焦させつつ間歇照射して、透明プラスチック媒質中に多数の微細な炭化黒点の集合、又は微細なクラックなどによる白化点の集合、を成形することにより文字・記号等を表すことを特徴とするマーキング方法である。この方法によるマーキングでは、文字・記号の内容を、キーユニットの組立における他の工程から制約を受けない自由な時期に設定できる。
上記レーザ光によるマーキング法において、波長が1064nm以下であるレーザ光を採用する主な理由は次の2つである。第1には、レーザ光のエネルギーは振幅同一ならば短波長ほど相対的に高いこと。第2には、短波長の近赤外光〜可視光〜近紫外光はレンズ集光により30nm以下のスポット径を容易に得られるので、微細な炭化黒点、微細なクラックによる白化点の生成、又は発泡(樹脂側鎖の分離発泡)による白化点の生成に適することである。
しかし、マーキング方法として、炭酸ガスレーザが発する赤外線(波長10.6μm)を用いる場合は、スポット径を充分絞れないため微細な炭化黒点等を生成できなかったり、無理に注入パワーを大きくすると温度上昇のためプラスチック・キーが溶けたりして、満足なマーキング加工ができない。
ブラストによるマーキング方法は、透光性のエラストマー製キーパッドの上に、ガラス製又はプラスチック製のキートップを接合してなる照光式キーユニットにおいて、ガラス製又はプラスチック製のキートップの天面へ、研磨剤の微粒子を高速で吹き付けてマーキングする工法である。本発明の課題を達成する上で、このブラスト工法は、マスクを用いるマスク式、又はマスクを用いないマスクレス式のいずれでも良い。
含浸印刷法によるマーキング方法は、キートップの天面に、又は樹脂フィルムによってラミネートされたキートップの天面に、含浸印刷によってマーキングする工法である。
上記第二の課題を達成するために、本発明に係る照光式キーユニットは、レーザ光照射により印字可能な多層フィルムをもって表面を被覆したキートップを、透光性のゴム又は熱可塑性エラストマー製キーパッド(以下、「透光性キーパッド」という)上に接合してなる。そして、該キートップの天面へレーザ光を照射して、所要の文字・記号等のマーキングを行うものである。このようにして、上記多層フィルムの内部にマーキングされた文字・記号等は、摩擦等により剥落、消失することがないので、優れた耐摩耗性が実現される。
なお、本発明において用いる用語「透光性」は、「完全遮光性」の対比語として用い、有色、無色又は乳濁等の半透明を含むものと定義する。
上記の、レーザ光照射により印字可能な多層フィルムについては、例えば国際公開第02/30677号パンフレット(WO0230677)に開示されているものを利用することができる。当該パンフレットには、透明なプラスチックフィルムの下面に金属蒸着膜を設け、さらにその下に若干の距離を隔てて着色層を設けてなる多層構造のフィルムが開示されている。当該多層フィルムにレーザ光を照射して、金属蒸着膜を所望の形状に除去することにより、着色層からの反射光、又は着色層を下から透過する光を、金属蒸着膜中の当該形状を透して、多層フィルムの上部から視認できるようになる(第17図参照)。
上記第三の課題を達成するために、当該キーユニットの製造工程中、仕向地未定のまま実行可能な、組立を含む全ての工程を終了した状態で、一旦その製造を中断し、半製品とする。すなわち、多層フィルムをもって表面を被覆したキートップと透光性キーパッドを接合し、組立済みとする。この半製品の状態で残されている工程は、キートップ天面へのマーキングだけである。仕向地に関連する文字・記号等が確定され次第、キートップの天面にレーザ光を照射して、当該仕向地関連文字・記号等を含めて最後のマーキングを行うことにすれば、これが仕向地決定後最短時間でキーユニットを完成する製造方法である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、マーキングのために利用しうる非線型結晶を用いた2倍波YAGレーザ(緑色0.53μmの出力)の構成を示す概念図である。
第2図は、本願発明の第1実施形態を説明する概念図である。第2図(A)はキートップ1の中層に、同(B)はキートップ1の最上層に、同(C)はキートップ1の最下層に、同(D)はキートップ1裏面の印刷層に、レーザビームLを利用してそれぞれマーキングMを形成した例を示す。
第3図は、本発明の各実施形態における文字形成手法の相違を超えて共通する製造工程の流れを一般化して表したブロック図である。
第4図は、第3図に示す製造工程中の「基本文字形成」ブロックS3において作成されるキーユニットを例示した平面図である。
第5図は、第5実施形態における、キートップ天面への含浸印刷法によるマーキング工程のステップを説明する概念図である。第5図(A)は組立済みのキーユニットKの上に離型紙16が接近している状態、同(B)は離型紙16がキートップ2に熱圧着されている状態、同(C)は含浸印刷が終了した状態を示している。
第6図は、第5図に示す1個のキートップの天面に含浸印刷法によるマーキングが行われた状態を拡大して示す断面図である。
第7図は、第3図に示す工程中の「言語依存文字形成」ブロックS6において、キートップの天面に形成された特定言語(アラビア語)の文字・記号の例を示す図である。
第8図は、キートップ天面への含浸印刷法によるマーキング工程のステップを説明する概念図である。
第9図は、1個のキートップの天面に含浸印刷法によるマーキングが行われた状態を拡大して示す断面図である。
第10図は、第8実施形態の方法による製造工程の流れを表したブロック図である。
第11図は、製造工程中の「組立」ブロックS4において作成されるキーユニットの平面図である。
第12図は、第10図におけるキートップ天面へのレーザー光照射によるマーキングS6を説明する手段の概念図である。
第13図は、1個のキートップの天面にレーザー光照射によるマーキングが行われた状態を拡大して示す断面図である。
第14図は、キートップの天面に形成された、使用言語に無関係な数字等と、特定言語(アラビア語)の文字・記号の例である。
第15図は、第9実施形態による製造工程中の「組立」ブロックS4(第10図参照)において作成されるキーユニットの平面図である。
第16図は、レーザー光照射により印字可能な多層フィルムをもって覆われた1個のキートップの天面にレーザー光照射によるマーキングが行われた状態を拡大して示す断面図である。
第17図は、レーザー光照射により印字可能な、多層フィルムの構成を示す概念図である。
第18図は、第10実施形態の方法による製造工程の流れを表したブロック図である。
第19図は、第18図に示す製造工程中の「組立」ブロックS3において作成されるキーユニットの平面図である。
第20図は、ガラス製キートップ天面へのブラスト工法によるマーキング工程を説明する概念図である。
第21図は、1個のガラス製キートップの天面にブラスト工法によるマーキングが行われた状態を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
(第1実施形態)
マーキング手段としてレーザーを用い、キートップ材料として透明プラスチックを用いる実施形態を示す。
レーザービームLの1例は、第1図に示すグリーンレーザである。第2図において先ず、マーキングMを形成すべきキートップ2内の領域(上層、中層、下層又は印刷層)の最下段にレーザビームLの焦点を置き、グリーンレーザのスポット径を10〜30μmに絞り、描くべき文字・記号等の平面形状に沿って走査しつつ照射した。第1段の平面に沿った照射が完了したならば、一つ上の段の平面に移動し、その段の平面に沿って照射を行った。かくして所定の段数分の照射を繰り返して、目的とする文字・記号等を表現する微細炭化黒点や、クラック又は発泡による白化点の、立体的集合を形成した。なお、印刷層へのレーザ照射の場合は、炭化黒点や白化点を生じさせるのではなく、遮蔽層に穴を明けてその下の彩色層の色を露呈させるのである。
マーキングに際して、レーザ光は透明プラスチック媒質中の文字・記号等をマーキングすべき所望の位置に合焦される。レーザ光の焦点へ光エネルギーがパルス状に送り込まれると、急激な温度変化によりプラスチックの炭化、クラック又は発泡の生成が起こり、微細な黒点又は白化点となる。レーザ光の焦点は、コンピュータ制御された反射鏡システム(ガルバノスキャナー)により・文字・記号等のデザインに従って平面的又は立体的に動かされ、その軌跡に当該文字・記号透を表現する微細な炭化黒点又は白化点の集合が形成される。
上記課題中の耐摩耗性を有するプラスチック・キーとしては、文字・記号等がキートップ内部のプラスチック媒質中に浮かんだ状態でマーキングされているプラスチックキーが挙げられる。
上記プラスチック・キーでは、文字・記号等が外部からの接触や磨耗から遮断されているから、完全な耐磨耗性が得られる。また、これらの文字・記号等は多数の微細な炭化黒点又は白化点の集合として透明プラスチック媒質中に浮かんだ状態でレンズ効果を伴って視られるから、斬新な視覚効果が得られる。
上記プラスチック・キーが、例えば透明なポリカーボネート樹脂からなる場合は、文字・記号等を多数の微細な炭化黒点の集合として、透明プラスチック媒質中に浮かんだ状態で表すことができる。
第2図を参照して説明する。図において参照符号1はシリコーンゴム製のキーパッド、2は透明なポリカーボネート樹脂製のキートップ、3はドームスイッチ、Sはキートップ、キーパッド間の透光製接着剤、Lはレーザービーム、Mはキートップ2内に形成されたマーキングを表す。第2図(A)はキートップ2の中層に、同(B)はキートップ2の最上層に、同(C)はキートップ2の最下層に、また同(D)はキートップ2裏面の印刷層に、それぞれマーキングMを行った例である。マーキングMはキートップの厚さ方向に数段に渡って立体的に形成される。
(第2実施形態)
上記プラスチックのキートップ2が、例えば透明なポリアクリル酸メチル(アクリル樹脂)からなる場合は、文字・記号等を多数の微細なクラックによる白化点の集合として、透明プラスチック媒質中に浮かんだ状態で表すことができる。
(第3実施形態)
上記レーザ光として、Nd:YAGレーザ(ネオジウムイオンをドープしたイットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶レーザ)が発する基本波である波長1064ナノメートルの光、第2高調波である波長532ナノメートルの光、又は第3高調波である波長355ナノメートルの光の、いずれかを利用するというものである。Nd:YAGレーザの第2高調波を取り出す装置は「2倍波YAGレーザ」と称され、発生する波長532ナノメートルのレーザ光が緑色を呈するので「グリーンレーザ」と呼ばれる。図1は、2倍波YAGレーザの構成を示す概念図である(小林春洋著「レーザのはなし」1992/1 日刊工業新聞社刊より引用)。また、第3高調波を取り出す「3倍波YAGレーザ」の構成も図1に示すものとほぼ同様である。
(第4実施形態)
レーザ装置はYAGレーザに限定されない。ガラスレーザやYVOレーザ等、Ndイオンをドープした他の固体レーザ装置や、エキシマレーザ装置などであっても良い。また、高調波も第2、第3高調波に限られず、能率上許容されるならば第4高調波以上を用いても良い。
(第5実施形態)
マーキング手段として含浸印刷法を使用し、キートップ材料として透明樹脂を使用する実施形態を第3図〜第7図に例示する。
キートップ天面へのマーキングは耐摩耗性が要求されるから、その要求を満足するマーキング方法を用いなければならない。本発明の場合は含浸印刷法がそれである。硬質樹脂製キートップ表面へ含浸印刷を行うと、印刷インクが表面から一定の深さにまで浸透して、スクリーン印刷など通常の印刷法によるマーキングと比べて優れた耐摩耗性が実現され、マーキングした文字等を磨耗から保護する保護層の形成も不要になるからである。ただし、樹脂の種類によって含浸印刷法への適・不適があり、照光式キーとしての適性もあるので、それらを勘案して材料を選択しなければならない。
多くの樹脂材料中でポリブチレンチレフタレート(PBT)樹脂は含浸印刷に適するとされ、しかも耐摩耗性、耐薬品性、成形安定性などの諸特性が良好で、キートップの材質として優れる。しかしながら、この樹脂の成型品は乳白色を呈するので、キートップ裏面に印刷した文字等を天面から透視するデザインには不向きなど、一定の制約があり、樹脂なら何でも良いという訳にはいかない。
本発明の第5の実施形態として、キートップの材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂又はポリアセタール(POM)樹脂のいずれかを選択する場合を挙げる。どちらの材料も良好な含浸印刷適性を有するとともに、透明又は半透明の樹脂であり、表面硬度も十分で、照光式キーにおけるキートップの用途に適する。
これらの樹脂から成型された樹脂製キートップへ含浸印刷を行うには2通りの方法が可能であり、一つは熱転写法、他は直接法である。熱転写法では、印刷すべき文字・記号等を、昇華性染料を練り込んだ特殊インキで描いたプラスチック製の特殊離型紙を、キートップの天面に載せて、所定温度で所定時間圧着する。そうすると、インキの中の塗料成分が昇華して気化し、表面から30〜50μmの深さまで樹脂内部に浸透して文字・記号等がキートップの表層に固定される。
これに対して直接法では、上記のものと同じ特殊インキを用いて、キートップの天面へ直接パッド印刷やスクリーン印刷を行って文字・記号等を印刷後、所定の条件で熱処理を行う。そうすると上記熱転写法と同様に、インキの中の塗料成分が昇華して気化し、樹脂内部に浸透して文字・記号等がキートップの表層に固定される。
第3図において、S1はキーパッドを形成する工程。S2はキートップを形成する工程。S3はキートップの表面へ基本文字等を書き込む工程であるが、必要がなければ迂回することができる。S4はキートップをキーパッドの上面へ接合してキーユニットを組立てる工程。S5は仕向地すなわち使用言語の決定。S6は言語依存文字等をキートップの天面へ書き込む工程を表している。
第4図において、参照符号Kはキーユニット、1,1aはシリコンゴム又は熱可塑性エラストマー製のキーパッド、2はキートップ、4は基本文字、5は言語依存文字である。第3図は前述のように、本発明である組立後のマーキングによる照光式キーユニットKの製造工程を表すブロック図であり、第4図は、第3図中の「基本文字形成」ブロックにおいて作成されるキーユニットKの平面図である。
この実施形態に係る製造工程は、第3図に示すように、キートップ2及びキーパッド1を別々に射出成形によって形成し(S1、S2)、キートップ2に使用言語に無関係な数字等(基本文字)4を形成(S3、ただし迂回可)した後、キートップ2をキーパッド3に接着剤等で接合して組立てる(S4)。第4図に示す楕円形又は小判形は透明な硬質樹脂からなる各キートップ2であり、その底面に数字や記号からなる基本文字4が形成されている。これらの基本文字4は使用言語に無関係なものとして上記ブロック図における「仕向地決定」(S5)より前に形成され、この状態でキーユニット1の製造工程が一旦中断又は終了される。第4図では基本文字4がキートップ2を透して見えている。
仕向地が決定され、使用言語に関連する文字・記号部分が確定されると、キーユニットKの製造工程が再開又は開始され、仕向け地での使用言語に依存した文字・記号等(言語依存文字)5がキートップ2の天面に含浸印刷法によりマーキングされる(S6)。このキートップ2天面への最終的マーキングが済むと全製造工程が終了する。完成品となったキーユニットKは所定のモバイル機器に組み込まれて、当該仕向地に向けて出荷される。
第5図は、キートップ2天面への含浸印刷法によるマーキング工程を説明する概念図である。含浸印刷法の一つである熱転写法においては、予めプラスチックフィルム上に昇華性インクで文字や記号等が印刷された特殊離型紙16が用いられる。(A)は組立済みのキーユニットKの上に離型紙16が接近している状態、(B)は離型紙16がキートップ2に熱圧着されている状態、(C)は天面への文字・記号等5の含浸印刷が終了した状態を示している。第6図は1個のキートップ2の天面に含浸印刷法によるマーキングが行われた状態を拡大表示する断面図であり、キートップ2上部の数本の点線により印刷インキの浸透範囲(言語依存文字等5が形成される)を、キートップ下部の太線によりキートップの底面に形成された印刷層(基本文字等4が形成される)を示す。
第7図は、仕向地決定後のマーキングにより、キートップ2の天面に形成された特定言語(図の場合はアラビア語)の文字・記号5の一例である(キートップ2の底面に形成された基本文字4が一緒に見えている)。
(第6実施形態)
前記第5実施形態の代案として、キートップの材料としてポリカーボネート(PC)樹脂を選択する場合を示す。PC樹脂はモバイル機器用キーユニットのキートップとして多く用いられており、いわば使い慣れた材料であるが、その弱点は非結晶性樹脂であるため表面硬度がやや不足することである。そのため、PC樹脂製キートップの表面に直接含浸印刷を施すと、樹脂表面の摩滅により含浸インキがはげ落ちることがある。
そこで、PC樹脂の場合は、キートップの表面を高い耐摩耗性を有する保護コート層で予め覆っておき、その上から含浸印刷を施すことにする。保護コート層の材料としては、例えば耐摩耗性のあるポリウレタン−アクリレート系の紫外線硬化樹脂(UVコート剤)を用いれば良い。勿論、含浸印刷後に保護コート層を設けるやり方も考えられるが、上記のように、仕向地未定のまま予め保護コート層を設けるやり方の方が本発明の目的には適する。
(第7実施形態)
前記第5実施形態及び第6実施形態の代案を第8図及び第9図に示す。キートップの材料として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂のフィルム、又はPBT樹脂とポリカーボネート(PC)樹脂との混合物のフィルムをキートップの3次元形状に成型し、その裏面凹部に他の透明樹脂を充填してキートップを形成し、この樹脂フィルムによってラミネートされたキートップの、樹脂フィルムの面に文字・記号等の含浸印刷を施すことを内容とするキーユニットの製造方法である。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂は多くの樹脂材料中でも含浸印刷適性が高いものの一つとされるが、この樹脂の成型品は乳白色を呈するので、キートップの裏面に印刷した文字等を天面から透視するデザインには向かないなど一定の制約がある。しかし、PBT樹脂は、薄いフィルムにした場合にも耐摩耗性に優れ、成形性が良く、絞り加工によって3次元形状に成型した場合に安定してその3次元形状を維持することができるという、キートップ用のフィルムとして好ましい特性を有する。
そこで本実施形態は、PBT樹脂を薄いフイルム(厚さ20〜300μm)にするか、又はPBT樹脂をPS樹脂で希釈した上で薄いフィルムにすることで、PBT樹脂の固有色である乳白色を薄めつつ、その含浸印刷適性と耐摩耗性、成形安定性などを有効に活用しょうとするものである。なお、キートップ本体部分を形成する透明樹脂としては、PC樹脂、又はPC樹脂とポリスチレン(PS)樹脂の混合物を挙げることができる。
上記の樹脂フィルムによってラミネートされたキートップに含浸印刷を行うには2通りの方法が可能であり、一つは熱転写法、他は直接法である。熱転写法では、印刷すべき文字・記号等を、昇華性染料を練り込んだ特殊インキで描いたプラスチック製の特殊離型紙を、キートップの天面に載せて、所定温度で所定時間圧着する。そうすると、インキの中の塗料成分が昇華して気化し、表面から30〜50μmの深さまで樹脂フイルム内部に浸透して文字・記号等がキートップの表層に固定される。
これに対して直接法では、上記のものと同じ特殊インキを用いて、キートップの天面へ直接パッド印刷やスクリーン印刷を行って文字・記号等を印刷後、所定の条件で熱処理を行う。そうすると、上記熱転写法と同様に、インキの中の塗料成分が昇華して気化し、樹脂内部に浸透して文字・記号等がキートップの表層に固定される。
この実施形態の工程そのものは第3図に示した工程図と同じになる。なお、第8図において、参照符号Kはキーユニット、12はキートップ、12aはキートップ12外周の樹脂フィルム層、13はキーパッド、4は基本文字、5は言語依存文字である。第3図は前述のように、本発明である組立後のマーキングによる照光式キーユニットKの製造工程を表したブロック図であり、第4図は、第3図中の「基本文字形成」ブロックにおいて作成されるキーユニットKの平面図である。
この製造工程は、第3図に示すように、キートップ12及びキーパッド13を別々に射出成形によって形成し(S1、S2)、キートップ12に使用言語に無関係な数字等(基本文字)4を形成(S3、ただし迂回可)した後、キートップ12をキーパッド13に接着剤等で接合して組立てる(S4)。第4図に示す楕円形又は小判形は各キーの樹脂フィルムによってラミネートされたキートップ12であり、その底面に数字や記号からなる基本文字4が形成されている。これらの基本文字4は使用言語に無関係なものとして上記ブロック図における「仕向地決定」(S5)より前に形成され、この状態でキーユニットKの製造工程が一旦中断又は終了される。第2図では基本文字M(4)がキートップ12を透して見えている。
仕向地が決定され、使用言語に関連する文字・記号部分が確定されると、キーユニット1の製造工程が再開又は開始され、仕向け地での使用言語に依存した文字・記号等(言語依存文字)5がキートップ2の天面(樹脂フイルム層2a上)に含浸印刷法によりマーキングされる(S6)。このキートップ2天面への最終的マーキングが済むと全製造工程が終了する。完成品となったキーユニットKは所定のモバイル機器に組み込まれて、当該仕向地に向けて出荷される。
第8図は、キートップ12天面への含浸印刷法によるマーキング工程を説明する概念図である。含浸印刷法の一つである熱転写法においては、予めプラスチックフィルム上に昇華性インクで文字や記号等が印刷された特殊離型紙16が用いられる。第8図(A)は組立済みのキートップ12の上に離型紙16が接近している状態、第8図(B)は離型紙16がキートップ12に熱圧着(例えば150℃で5分間程度)されている状態、第8図(C)は含浸印刷が終了した状態を示している。第9図は1個のキートップ12の天面に含浸印刷によるマーキングが行われた状態を拡大表示する断面図であり、樹脂フィルム12a上部の線分により樹脂フィルム12aへの印刷インキの浸透範囲(言語依存文字等5が形成される)を、キートップ下部の太線によりキートップの底面に形成された印刷層(基本文字等4が形成される)を示す。
第7図は、仕向地決定後のマーキングにより、キートップの天面に形成された特定言語(図の場合はアラビア語)の文字・記号5の一例である(キートップ2の底面に形成された基本文字4が一緒に見えている)。
(第8実施形態)
マーキング方法としてレーザを用いることは第1〜第4の実施形態と同じであるが、レーザ光によってキートップに文字・記号等が生成される仕組みが異なる第8実施形態について、第10図〜第14図を参照して説明する。第10図は、本発明に係る組立後のマーキングによる照光式キーユニット21の製造工程を表したブロック図である。また、図11以下の各図において、参照符号21はキーユニット、22はキートップ、23はシリコーンゴム又は熱可塑性エラストマー製のキーパッド、24は基本文字、25は言語依存文字、26はレーザ光照射装置である。
本実施形態においては、第10図の工程図に示すように、第11図に示すキートップ22を、例えばポリカーボネート(PC)樹脂に吸収剤として適量のケチェンブラックを配合した樹脂組成から射出成形により形成し(S1)、キーパッド23を、シリコーンゴムの射出成形により形成(S2)した後、キートップ22をキーパッド23に接着剤で接合して組立てる(S4)。キーパッド23の上面には、もし必要なら、遮光膜を形成してもよい。キートップ22は灰色ないし黒色を呈する半透明ないし不透明な成型物であるから、キートップの底面に文字・記号等を配置して、上面から透視する構成には適さない。したがって、キートップの底面には文字等をマーキングせずに組立工程(S4)を実施し、そこでキーユニット21の製造工程を一旦中断する。第11図は組立工程(S4)を終了した状態のキーユニット21を示す平面図である。全体を黒く表しているのは、キーパッド23の上面が遮光されており、楕円形又は小判形に見えているキートップ22も、ケチェンブラック配合のため灰色ないし黒色に見えるからである。
仕向地が決定され、使用言語に関連する文字・記号等が確定されると、キーユニット21の製造工程が再開され、第14図に示すように使用言語に無関係な数字等(基本文字)4及び仕向け地での使用言語に依存した文字・記号等(言語依存文字)5が組み合わされて、キートップ22の天面へ、レーザ光照射によりマーキングされる(S6)。このキートップ22の天面への最終的マーキングが済むと全製造工程が終了する。完成品となったキーユニット21は所定のモバイル機器に組み込まれて、当該仕向地に向けて出荷される。
なお、上記のPC樹脂以外に、耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性等の観点からキートップの形成材料に適する樹脂材料として、POM(ポリアセタール)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、ABS−PBTアロイ(混合)樹脂、ABS−PCアロイ樹脂等を挙げることができる。
また、これらの樹脂に、上記のケチェンブラック以外の、適宜な顔料や添加剤等を配合することにより、マーキングされる文字・記号等の色を、黄、緑、青、橙、ピンク等に発色させることも可能である。この場合、各キーの機能に従って、各キートップの文字色を変えることも可能になる。
第12図は、キートップ22の天面へのレーザ光照射によるマーキング工程を説明する概念図である。先ず、キートップ22の天面へマーキングされるべき、使用言語に無関係な数字等(基本文字)24及び言語依存文字・記号等25を組み合わせた各キー別のマーキングパターンMがデザインされる。このデザインは、対象のキーユニットに含まれる全てのキーについて一括して行われる。次に、当該デザインに係るキー群のマーキングパターンが、レーザ光照射装置26に入力され、デジタルデータとして記憶される。レーザ光照射装置26は、記憶されたデジタルデータに基づいて、レーザービーム・スポットの立体的位置(X、Y、Z座標)と、レーザ光照射オン−オフのタイミングを関連させて制御し、キートップ2天面への所定のマーキングを全自動で実行する。
レーザ光照射装置26に用いられるレーザー発振手段は、マーキングに必要なパワーが得られるならば、特に限定されない。例えば広く普及している炭酸ガスレーザーや、代表的な固体レーザーであるYAGレーザー等を用いることができる。また、発振形式も連続式か間歇(パルス)式かを問わない。
第13図は、1個のキートップ22の天面に、レーザ光照射によるマーキングが施された状態を拡大して示す側断面図である。破線により、キートップ22天面の直下に形成された白化点の立体的集合としての文字・記号M等を表している。
第14図は、仕向地決定後のマーキングを終了した状態のキーユニット21を示す平面図である。キートップ21の天面に形成された、基本文字24と、これと組み合わされた特定言語の文字・記号25(図の場合はアラビア語)が示されている。
(第9実施形態)
マーキングされた文字・記号等が十分な耐摩耗性を備え、一端、仕向地が決まったならば、極力短時間で当該キーユニットを完成できるような照光式キーユニットを製造するために、レーザー光照射により印字可能な多層フィルムをもって表面が被覆されたキートップを採用する第9実施形態を、第15図〜第17図を参照して説明する。
この第9実施形態に係る照光式キーユニットは、レーザー光照射により印字可能な多層フィルムをもって表面を被覆したキートップを、透光性のゴム又は熱可塑性エラストマー製キーパッド(以下、「透光性キーパッド」という)上に接合してなる。そして、該キートップの天面へレーザー光を照射して、所要の文字・記号等のマーキングを行うものである。このようにして、上記多層フィルムの内部にマーキングされた文字・記号等は、摩擦等により剥落、消失することがないので、優れた耐摩耗性が実現される。
レーザー光照射により印字可能な多層フィルムについては、前述のとおり、例えば国際公開第02/30677号パンフレット(WO0230677)に開示されているものを利用することができる。当該パンフレットには、透明なプラスチックフィルムの下面に金属蒸着膜を設け、さらにその下に若干の距離を隔てて着色層を設けてなる多層構造のフィルムが開示されている。
当該キーユニットの製造工程中、仕向地未定のまま実行可能な、組立を含む全ての工程を終った状態で、一旦その製造を中断又は終了し半製品とする。すなわち、多層フィルムをもって表面を被覆したキートップと透光性キーパッドを接合し、組立済みとする。この半製品の状態で残されている工程は、キートップ天面へのマーキングだけである。仕向地に関連する文字・記号等が確定され次第、キートップの天面にレーザー光を照射して、当該仕向地関連文字・記号等を含めて最後のマーキングを行うことにすれば、これが、仕向地決定後最短時間でキーユニットを完成することができる。
照光式キーユニットの製造工程を表したブロック図は、第8実施態様の第10図と同じである。第17図は多層フィルム2aの構成を示す概念図である。第17図において参照符号37は多層フィルム2a中のプラスチックフィルム、38は金属蒸着膜、39は着色層である。
第17図により、レーザー光照射により印字可能な多層フィルム2aについて説明する。プラスチックフィルム37として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを用い、その下に厚さ10μmの保護層兼彩色層(外装色を与える)40を介して、厚さ100nmのアルミニウム蒸着膜38を形成した。この蒸着膜38の下に、さらに透明若しくは有色透明である厚さ10μmの保護層兼彩色層41、厚さ200μmの粘着層42、厚さ10μmの着色層39(文字を与える)、及び厚さ50μmのPET樹脂フィルム37aを重ねて形成した。
この多層フィルム2aを型押成型して、第4図に示すようなキートップ2の外形を形成し、その裏面凹部にポリカーボネート(PC)樹脂又はPET樹脂等、透明な硬質樹脂10を注入して、キートップ2を作成した。
この実施形態の工程図は、図10に示す工程図と同じになる。キートップ2と、キーパッド1を別々に作成し(工程S1、S2)、両者を接着剤等で接合して組立てる(工程S4)。キーパッド1の上面には、もし必要なら遮光膜を形成しても良い。キートップ2の表面は、天面からのレーザー光照射により印字した部分以外は不透明な多層フィルム2aにより覆われているから、キートップ底面に文字・記号等を配置して、上面から透視する構成には適さない。したがって、キートップ2の底面には文字等をマーキングせずに、組立工程(S4)を実施し、その状態でキーユニットKの製造工程を一旦中断し半製品とする。
マーキング手段が同じならば、複数種のキートップが混在した場合でも、マーキング手段で動作を制御することにより対応可能(同一工程内でマーキング手段の動作を細かく制御することによって)。例えば、マーキング手段がブラスト加工である場合、樹脂製のキートップとガラス製のキートップが混在していても可能である。マーキング手段がレーザー加工である場合、フィルムキートップ、黒化又は白化によってマーキングするキー、多色発色によってマーキングするキーが混在していても対応可能である。
第15図は組立工程(S4)を終了した状態のキーユニット1を示す平面図である。その中に見えている楕円形又は小判形の部分は、無印のままのキートップ2である。
仕向地が決定され、使用言語に関連する文字・記号等が確定されると、キーユニットKの製造工程が再開され、第7図に示すように使用言語に無関係な数字等(基本文字)4及び仕向け地での使用言語に依存した文字・記号等(言語依存文字)5が組み合わされて、キートップ2の天面へレーザー光を照射してマーキングされる(工程S6)。このキートップ2の天面への最終的マーキングが済むと、全製造工程が終了する。完成品となったキーユニットKは所定のモバイル機器に組み込まれて、当該仕向地に向けて出荷される。
キートップ2の天面へのレーザー光照射よるマーキング工程図は第12図に示す工程図と同じになる。先ず、キートップ2の天面へマーキングされるべき、使用言語に無関係な数字等(基本文字)4及び言語依存文字・記号等5を組み合わせた各キー別のマーキングパターンがデザインされる。このデザインは、対象のキーユニットに含まれる全てのキーについて一括して行われてもよい。次に、当該デザインに係るキー群のマーキングパターンが、図12のレーザー光照射装置26に入力され、デジタルデータとして記憶される。レーザー光照射装置26は、記憶されたデジタルデータに基づいて、レーザービーム・スポットの立体的位置(X、Y、Z座標)と、レーザー光照射オン−オフのタイミングを関連させて制御し、キートップ22の天面への所定のマーキングを全自動で実行する。
レーザー光照射装置26に用いられるレーザー発振手段は、マーキングに必要なパワーが得られるならば、特に限定されない。例えば広く普及している炭酸ガスレーザーや、代表的な固体レーザーであるYAGレーザー等を用いることができる。また、発振形式も連続式か間歇(パルス)式かを問わない。
第16図は、1個のキートップ2の天面に、レーザー光照射によるマーキングが施された状態を拡大して示す側断面図である。キートップ2を覆う多層フィルム2a中の二重線は、基本文字4と特定言語の文字・記号5を組み合わせた(4+5)マーキングの位置を表している。
仕向地決定後のマーキングを終了した状態のキーユニットKは、第7図に示した状態と同じである。キートップ2の天面に形成された、基本文字4と、これと組み合わされた言語依存文字5(第7図の例示はアラビア語)が示されている。
(第10実施形態)
第10実施形態を第18図〜第21図に例示するが、該実施形態におけるキーユニットは透光性のシリコーンゴム又は熱可塑性エラストマー製のキーパッドの上に、ガラス製のキートップを接合してなる照光式キーユニットである。マーキング方法として、当該ガラス製キートップの天面へ、研磨剤の微粒子を高速で吹き付けるブラスト工法による実施形態を示す。なお、課題を達成する上で、このブラスト工法は、マスクを用いるマスク式、又はマスクを用いないマスクレス式のいずれでも良い。
ガラスは優れた透明性と表面硬度並びに耐摩耗性を有する。ブラスト工法によれば、ガラス表面へ自在に彫刻等を施すことができる。ガラス製キートップの表面へブラスト工法でマーキングを行うと、文字・記号等が微細な凹凸点の集合(シボ)のパターンとして表現され、これが光を乱反射して意匠性に富む外観を与える。このシボ・パターンは、ガラス製キートップの表面に彫り込まれるので、剥落や消失から無縁であり、優れた耐摩耗性を発揮する。
当該キーユニットの製造工程中、仕向地未定のまま実行可能な、組立を含む全ての工程を終了した状態で、一旦その製造を中断又は終了する。すなわち、使用言語に無関係な数字等はマーキングを済ませ、ガラス製キートップと透光性キーパッドも接合し、組立済みとする。この状態において残されている工程は、キートップ天面へのマーキングだけである。そして、仕向地に関連する文字・記号部分が確定され次第、ブラスト工法により最後のマーキングを行うことにする。
しかしこの場合、加工対象であるガラス製キートップの表面において、マーキングすべき文字・記号等以外の部分をマスクで保護するマスク式ブラスト工法では、マスクの形成に時間が掛かり、本発明の目的を十分に達成できない。よって、マスクを用いないマスクレス式のブラスト工法を採用することが望ましい。これにより、仕向地決定後、最短時間でキーユニットを完成させる製造方法が実現され、かつ、課題も同時に充足される。
図18は本発明に係る照光式キーユニットの製造工程の流れを表すブロック図である。また、第19図は、上記第18図中の「基本文字形成」ブロックにおいて作成されるキーユニット1の平面図である。第19図〜第20図において、参照符号1はキーユニット、2はガラス製キートップ、3は透光性キーパッド、4は基本文字、5は言語依存文字、46は自動マーキング装置、47はブラスト装置である。
第18図に示す工程において、第19図に示すガラス製キートップ2及び透光性キーパッド1を別々に作成し(S1、S2)、使用言語に無関係な数字等(基本文字)4を、ガラス製キートップ2の、例えば底面に、印刷、彫刻、ブラスト加工等によって形成(S3)した後、ガラス製キートップ2を、透光性キーパッド1に接着剤等で接合して組み立てる(S4)。第19図に示す楕円形又は小判形は、各キーのガラス製キートップ2であり、その底面に数字や記号からなる基本文字4が形成されている。これらの基本文字4は、使用言語に無関係なものとして、上記ブロック図における「仕向地決定」(S5)より前に形成され、この状態でキーユニットKの製造工程が一旦中断される。
第19図では、基本文字4が各キーのガラス製キートップ2を透して見えている。なお、基本文字4と言語依存文字5とを一緒にして、仕向地決定後に、ガラス製キートップ2の天面にマーキングすることもできる。この場合は、工程S3を迂回して、ガラス製キートップ2を無印としたまま、組立工程S4へ進むことになる。
仕向地が決定され、使用言語に関連する文字・記号部分が確定されると、キーユニットKの製造工程が再開され、仕向地での使用言語に依存した文字・記号等(言語依存文字)5が、ガラス製キートップ2の天面にブラスト工法によりマーキングされる(S6)。この、ガラス製キートップ2の天面への最終的マーキングが済むと、全製造工程が終了する。完成品となったキーユニットKは所定のモバイル機器に組み込まれて、当該仕向地に向けて出荷される。
第20図は、ガラス製キートップ2の天面への、マスクレスのブラスト工法によるマーキング工程を説明する概念図である。先ず、ガラス製キートップ2の天面へマーキングされるべき言語依存文字・記号等5が、CAD装置等を用いてデザインされる。このデザインは、対象のキーユニットに含まれる全てのキーについて一括して行われる。次に、当該デザインに係る各ガラス製キートップ2へのマーキング・パターンが、自動マーキング装置46に入力され、デジタルデータとして記憶される。自動マーキング装置46は、記憶されたデジタルデータに基づいて、ブラスト装置47のノズル平面位置(ノズル先端のX,Y座標)と研磨剤噴射オン・オフのタイミングを関連させて制御し、ガラス製キートップ2の天面への所定のマーキングを全自動で実行する。
上記のブラスト装置47に関しては、例えば特開2000−94332号公報に開示されている「粉体噴射装置」を応用することができる。また、ガラス製キートップ2は、一例として軟化点約500℃の低融点ガラスを型成形して作成し、これに、例えば球状のスチールビーズを研磨剤としてブラスト加工する。
仕向地決定後のブラスト工法によるマーキングにより、ガラス製キートップ2の天面に形成された特定言語(図の場合はアラビア語)の文字・記号5の配置例(基本文字4が一緒に見えている)は、第7図に示したものと同じである。
(第11実施形態)
第11実施形態においては、キーユニットの形成材料として硬質樹脂を選択する。すなわち、透光性の柔軟なゴム又は熱可塑性エラストマー製キーパッド(以下、「透光性キーパッド」という)と、硬質樹脂製のキートップを有する照光式キーユニットを開示する。マーキング方法として、当該硬質樹脂製キートップの天面へ、研磨剤の微粒子を高速で吹き付ける、ブラスト工法を選択する。なお、課題を達成する上で、このブラスト工法は、マスクを用いるマスク式、又はマスクを用いないマスクレス式のいずれでも良い。
(共通事項)
キートップ形成用の硬質樹脂材料としては、成形物が透明で大きい表面硬度を示すものが好適である。そのような材料として、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリアクリレート(PMMA、PAA)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)樹脂、スチレン−アクリロニトリル(SAN)共重合体樹脂等を挙げることができるが、これらに限られない。一方、ブラスト工法によれば、硬質樹脂成型品の表面へ自在に彫刻等を施すことができる。硬質樹脂製キートップの表面へブラスト工法でマーキングを行うと、文字・記号等が微細な凹凸点の集合(シボ)のパターンとして表現され、これが光を乱反射して意匠性に富む外観を与える。このシボ・パターンは、硬質樹脂製キートップの表面に彫り込まれるので、剥落や消失から無縁であり、優れた耐摩耗性を発揮する。
本発明の課題を達成するために、当該キーユニットの製造工程中、仕向地未定のまま実行可能な、組立を含む全ての工程を終った状態で、一旦その製造を中断又は終了する。すなわち、使用言語に無関係な数字等はマーキングを済ませ、硬質樹脂製キートップと透光性キーパッドも接合し、組立済みとする。この状態で残されている工程は、キートップ天面へのマーキングだけである。そして、仕向地に関連する文字・記号部分が確定され次第、ブラスト工法により最後のマーキングを行うことにする。
しかしこの場合、加工対象である硬質樹脂製キートップの表面において、マーキングすべき文字・記号等以外の部分をマスクで保護するマスク式ブラスト工法では、マスクの形成に時間が掛かり、本発明の目的を十分に達成できない。よって、マスクを用いないマスクレス式のブラスト工法を採用することが望ましい。これにより、仕向地決定後、最短時間でキーユニットを完成させる製造方法が実現され、かつ、本発明の課題も同時に充足される。
この実施形態に係る照光式キーユニットの製造工程の流れを表すブロック図は第18図と同じである。また、上記第18図中の「基本文字形成」ブロックにおいて作成されるキーユニットKの平面図は第19図と同じである。参照符号Kはキーユニット、2は硬質樹脂製キートップ、1は透光性キーパッド、4は基本文字、5は言語依存文字、46は自動マーキング装置、47はブラスト装置である。
第18図において、硬質樹脂製キートップ2及び透光性キーパッド1を別々に作成し(S1、S2)、使用言語に無関係な数字等(基本文字)4を、硬質樹脂製キートップ2の、例えば底面に印刷(S3)した後、硬質樹脂製キートップ2を、透光性キーパッド1に接着剤等で接合して組立てる(S4)。第19図に示す楕円形又は小判形は、各キーの硬質樹脂製キートップ2であり、その底面に数字や記号からなる基本文字4が形成されている。
これらの基本文字4は、使用言語に無関係なものとして、上記ブロック図における「仕向地決定」(S5)より前に形成され、この状態でキーユニット1の製造工程が一旦中断される。第19図では、基本文字4がキートップ2を透して見えている。なお、基本文字4と言語依存文字5とを一緒にして、仕向地決定後に硬質樹脂製キートップ2の天面にマーキングすることもできる。この場合は、工程S3を迂回して、硬質樹脂製キートップ2を無印としたまま、組立工程S4へ進むことになる。
仕向地が決定され、使用言語に関連する文字・記号部分が確定されると、キーユニットKの製造工程が再開され、仕向地での使用言語に依存した文字・記号等(言語依存文字)5が、硬質樹脂製キートップ2の天面にブラスト工法によりマーキングされる(S6)。この、硬質樹脂製キートップ2天面への最終的マーキングが済むと、全製造工程が終了する。完成品となったキーユニット1は所定のモバイル機器に組み込まれて、当該仕向地に向けて出荷される。
第20図は、硬質樹脂製キートップ2の天面へのマスクレスのブラスト工法によるマーキング工程を説明する概念図である。先ず、硬質樹脂製キートップ2天面へマーキングされるべき言語依存文字5が、CAD装置等を用いてデザインされる。このデザインは、対象のキーユニットに含まれる全てのキーについて一括して行われる。次に、当該デザインに係る各硬質樹脂製キートップ2へのマーキング・パターンが、自動マーキング装置46に入力され、デジタルデータとして記憶される。自動マーキング装置46は、記憶されたデジタルデータに基づいて、ブラスト装置47のノズル平面位置(ノズル先端のX,Y座標)と研磨剤噴射オン・オフのタイミングを関連させて制御し、硬質樹脂製キートップ2の天面への所定のマーキングを全自動で実行する。
上記のブラスト装置47に関しては、例えば特開2000−94332号公報に開示されている「粉体噴射装置」を応用することができる。また、硬質樹脂製キートップ2は、一例としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を射出成形して作成し、これを、一例として球状のガラスビーズを研磨剤としてブラスト加工する。
第21図は、1個の硬質樹脂製キートップ2の天面に、ブラスト工法によるマーキングMが施された状態を拡大して示す断面図である。「xxx」により、硬質樹脂製キートップ2の天面に彫り込まれた文字・記号等を表している。
仕向地決定後のブラスト工法によるマーキングにより、硬質樹脂製キートップ2の天面に形成された特定言語(図の場合はアラビア語)の文字・記号5の配置例は、第7図に示すものと同じである(基本文字4と言語依存文字5とが一緒に見えている)。
【産業上の利用可能性】
第1〜第4実施形態(第1図〜第2図参照)の発明に係るマーキング方法によれば、携帯電話機等に用いるプラスチック・キーの内部媒質中に文字・記号等のレーザ・マーキングを行う際に、ビームスポット径を絞り込んで照射点における光エネルギーの密度を上げることができるから、照射点以外の部分の温度を許容温度以下に保ちながら、速やかにマーキングを行うことができる。
本発明に係るプラスチック・キーでは、文字・記号等が外部からの接触や摩擦から遮断されているから完全な耐摩耗性が得られる。しかも、これらの文字・記号等は透明なプラスチック媒質中に浮んだ状態でレンズ効果を伴って視られるから、斬新な視覚効果が得られる。
さらに、本発明によれば、無印に仕上げられた透明プラスチック・キーの内部に、事後的に必要な文字・記号等を単一工程でマーキングできるので、これを利用して請求項6に記載した新たなキーユニットの製造方法を構築することができる。この新たな製造方法により、仕向地等の決定から製品出荷までの時間を大幅に短縮して、ユーザーサービスを向上することができる。
第5実施形態(第3図〜第7図参照)の発明によれば、仕向地未定のまま実行可能な全ての工程を終了しておき、仕向地に関連する文字・記号部分が確定され次第、キートップ天面への含浸印刷により当該仕向地関連文字・記号等のマーキングを行って全工程を終了するので、仕向地決定後最も短時間でキーユニットを完成させることができると共に、見込み生産による在庫の無駄も排除することができる。
固有色が乳白色であるPBT樹脂を用いなくても、ガラスクリヤーな汎用樹脂であるPET樹脂又はPOM樹脂を用いて含浸印刷を行うことができる。さらに、PET樹脂又はPOM樹脂は耐摩耗性に全く問題が無いので、キートップ表面のUVコート等の保護層が不要となる。
第6実施形態(第3図〜第7図参照)によれば、他材と組み合わせることによりPC樹脂のやや不足気味の耐摩耗性を補いつつ含浸印刷を行って、本発明を効果的に実施することができる。
第7実施形態(第8図〜第9図参照)の発明によれば、仕向地未定のまま実行可能な全ての工程を終了しておき、仕向地に関連する文字・記号部分が確定され次第、キートップ天面への含浸印刷により当該仕向地関連文字・記号等のマーキングを行って全工程を終了するので、仕向地決定後、最短時間でキーユニットを完成させることができる。
又、PBT樹脂を薄いフィルムにするか、又はPBT樹脂をPS樹脂で希釈した上で薄いフィルムにすることで、PBT樹脂の固有色である乳白色を薄めつつ、その含浸印刷適性、耐摩耗性等を有効利用して、請求項1の発明を効果的に実施することができる。この場合、PBT樹脂のフィルム、又はPBT樹脂とPC樹脂との混合物からなるフィルムは耐摩耗性に関しては全く問題が無いので、キートップ表面のUVコート等の保護層が不要となる。
第8実施形態(第10図〜第14図参照)の発明によれば、キートップ天面へのレーザー光照射により、レーザー光照射により発色する樹脂組成物からなるキートップの内部に、所要の文字・記号等がマーキングされるので、摩擦等により剥落、消失することがなく、優れた耐摩耗性が実現される。
又、仕向地未定のまま実行可能な全ての工程を終了しておき、仕向地に関連する文字・記号等が確定され次第、キートップ天面へのレーザー光照射により、使用言語に無関係な数字等と一緒に、仕向け地での使用言語に依存した文字・記号等のマーキングを行って全工程を終了するので、仕向地決定後に、最短時間でキーユニットを完成させることができる。
第9実施形態(第15図〜第17図参照)の発明のキーユニットの構成によれば、キートップ天面へのレーザー光照射により、キートップを覆う多層フィルムの内部に所要の文字・記号等がマーキングされるので、摩擦等により剥落、消失することがなく、優れた耐摩耗性が実現される。
本発明の製造方法によれば、仕向地未定のまま実行可能な範囲の工程を終了して半製品としておき、仕向地に関連する文字・記号部分が確定され次第、キートップ天面へのレーザー光照射により、所要の文字・記号等のマーキングを行って全工程を終了するので、仕向地決定後、最短時間でキーユニットを完成させることができる。
第10実施形態(第18図〜第21図参照)の発明によれば、優れた透明性と表面硬度並びに耐摩耗性を有するガラス製キートップの天面へ、ブラスト工法により、文字・記号等が微細な凹凸点の集合(シボ)のパターンとして彫り込まれ、意匠性に富む外観を与えるとともに、このシボ・パターンは、剥落や消失から無縁であるから、優れた耐摩耗性を発揮する。
この発明によれば、仕向地未定のまま実行可能な全ての工程を終了しておき、仕向地に関連する文字・記号部分が確定され次第、ガラス製キートップ天面へマスクレス式のブラスト工法により、当該仕向地関連文字・記号等のマーキングを行って全工程を終了するので、仕向地決定後、最短時間でキーユニットを完成させることができる。
第11実施形態(第18図〜第21図参照)の発明によれば、優れた透明性と表面硬度並びに耐摩耗性を有する硬質樹脂製キートップの天面へ、ブラスト工法により、文字・記号等が微細な凹凸点の集合(シボ)のパターンとして彫り込まれ、意匠性に富む外観を与えるとともに、このシボ・パターンは、剥落や消失から無縁であるから、優れた耐摩耗性を発揮する。
この発明によれば、仕向地未定のまま実行可能な全ての工程を終了しておき、仕向地に関連する文字・記号部分が確定され次第、硬質樹脂製キートップ天面へマスクレス式のブラスト工法により、当該仕向地関連文字・記号等のマーキングを行って全工程を終了するので、仕向地決定後、最短時間でキーユニットを完成させることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料製のキートップにレーザ光を照射して、その内部に文字・記号等をマーキングする方法において、波長が1064nm以下の近赤外光域、可視光域又は近紫外光域に属するレーザ光を、キートップ内部の所望の位置に合焦させつつ間歇照射して、透光性材料中に多数の微細な炭化黒点の集合を形成し、又は多数の微細なクラック若しくは発泡による白化点の集合を成形し、これにより文字・記号等を表すことを特徴とするマーキング方法。
【請求項2】
前記レーザー光として、Nd:YAGレーザの基本波である波長が1064nmの光、第2高調波である波長が532nmの光、又は第3高調波である波長が355nmの光の、いずれかを用いることを特徴とする請求の範囲1記載のマーキング方法。
【請求項3】
透光性プラスチック製キートップであって、波長が1064nm以下の近赤外光域、可視光域又は近紫外光域に属するレーザ光を、キートップ内部の所望の位置に合焦させつつ間歇照射することにより、文字・記号等が前記キートップの材料中に多数の微細な炭化黒点又はクラック若しくは発泡による白化点の集合として浮かんだ状態でマーキングされていることを特徴とするキートップ。
【請求項4】
マーキング実施前の透光性材料製キートップをキーユニットに組み込み、当該キーユニットへのマーキング以外の工程を終了した状態で一旦その製造を中断又は終了し、当該キーユニットに必要な文字・記号等の内容が確定するのを待って、キートップへの当該文字・記号等のマーキングを行ってキーユニットを完成させることを特徴とする、キーユニットの製造方法。
【請求項5】
照光式キーユニットの製造方法であって、樹脂製キートップに対して仕向地未定のまま実行可能な組立を含む工程を終了した状態で、一旦キーユニットの製造を中断又は終了し、仕向地に関連する文字・記号部分が確定され次第、キートップ天面へ含浸印刷法により当該仕向地関連文字・記号等をマーキングしてキーユニットを完成させることを特徴とするキーユニットの製造方法。
【請求項6】
前記樹脂がポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂又はポリアセタール(POM)樹脂のいずれかであり、前記樹脂製キートップの天面に直接含浸印刷を施すことを特徴とする請求の範囲5記載のキーユニットの製造方法。
【請求項7】
前記樹脂がポリカーボネート(PC)樹脂であり、前記樹脂製キートップの表面に予め保護コート層を形成した後に含浸印刷を施すことを特徴とする請求の範囲5記載のキーユニットの製造方法。
【請求項8】
樹脂製のキートップが樹脂フィルムによってラミネートされたキートップであることを特徴とする請求の範囲5記載のキーユニットの製造方法。
【請求項9】
前記樹脂フィルムによってラミネートされたキートップが、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂からなるフイルム、又はPBT樹脂とポリカーボネート(PC)樹脂の混合物からなるフィルムを、キートップの3次元形状に成型したものの裏面凹部に他の透明樹脂を充填してなり、当該キートップの樹脂フィルムの面に含浸印刷を施すことを特徴とする請求の範囲8記載のキーユニットの製造方法。
【請求項10】
ゴム又はエラストマー製のキーパッドにキートップを配置してなるキーユニットであって、該キートップが、レーザー光の照射により発色する樹脂組成物をもって形成され、その天面にレーザー光を照射して、所要の文字、記号等をマーキングしたものであるキーユニット。
【請求項11】
ゴム又はエラストマー製のキーパッドにキートップを配置してなるキーユニットの該キートップが、レーザー光の照射により発色する樹脂組成物をもって形成され、その天面にレーザー光を照射して、所要の文字、記号等をマーキングしたものであるキーユニットの製造方法であって、仕向地未定のまま実行可能な、組立を含む工程を終った状態で、一旦キーユニットの製造を中断又は終了し、仕向地に関連する文字・記号等が確定され次第、キートップの天面にレーザー光を照射して、当該仕向地関連文字・記号等を含むマーキングを行うことにより、キーユニットを完成させることを特徴とするキーユニットの製造方法。
【請求項12】
透光性のゴム又はエラストマー製のキーパッドと透光性のキートップとを有する照光式キーユニットであって、該キートップが、レーザー光照射により印字可能な多層フイルムをもって表面を被覆され、その天面にレーザー光を照射して、所要の文字、記号等をマーキングしたものであるキーユニット。
【請求項13】
透光性のゴム又はエラストマー製のキーパッドと透光性のキートップとを有する照光式キーユニットの該キートップが、レーザー光照射により印字可能な多層フイルムをもって表面を被覆され、その天面にレーザー光を照射して、所要の文字、記号等をマーキングしたものであるキーユニットを製造する方法であって、仕向地未定のまま実行可能な、組立を含む全ての工程を終了した状態で、キーユニットの製造を一旦中断又は終了し、仕向地に関連する文字・記号等が確定され次第、キートップの天面にレーザー光を照射して、当該仕向地関連文字・記号等を含むマーキングを行うことによりキーユニットを完成させることを特徴とするキーユニットの製造方法。
【請求項14】
透光性のゴム又はエラストマー製のキーパッドと透光性のガラス製キートップとを有する照光式キーユニットであって、該ガラス製キートップが、その天面に、研磨剤の微粒子を高速で吹き付けるブラスト工法により、所要の文字、記号等をマーキングしたものであるキーユニット。
【請求項15】
透光性のゴム又はエラストマー製のキーパッドと透光性のガラス製キートップとを有する照光式キーユニットの該ガラス製キートップが、その天面に、研磨剤の微粒子を高速で吹き付けるブラスト工法により、所要の文字、記号等をマーキングしたものであるキーユニットを製造する方法であって、仕向地未定のまま実行可能な、組立を含む工程を終った状態で、一旦キーユニットの製造を中断又は終了し、仕向地に関連する文字・記号部分が確定され次第、前記ガラス製キートップの天面に直接、研磨剤の微粒子を高速で吹き付ける、マスクレス式のブラスト工法により、当該文字・記号等をマーキングして、キーユニットを完成することを特徴とするキーユニットの製造方法。
【請求項16】
透光性のゴム又はエラストマー製のキーパッドと透光性の硬質樹脂製キートップとを有する照光式キーユニットであって、該硬質樹脂製キートップが、その天面に、研磨剤の微粒子を高速で吹き付けるブラスト工法により、所要の文字、記号等をマーキングしたものであるキーユニット。
【請求項17】
透光性のゴム又はエラストマー製のキーパッドと透光性の硬質樹脂製キートップとを有する照光式キーユニットの該硬質樹脂製キートップが、その天面に、研磨剤の微粒子を高速で吹き付けるブラスト工法により、所要の文字、記号等をマーキングしたものであるキーユニットを製造する方法であって、仕向地未定のまま実行可能な、組立を含む工程を終了した状態で、一旦キーユニットの製造を中断又は終了し、仕向地に関連する文字・記号部分が確定され次第、前記硬質樹脂製キートップの天面に直接、研磨剤の微粒子を高速で吹き付ける、マスクレス式のブラスト工法により、当該文字・記号等をマーキングして、キーユニットを完成することを特徴とするキーユニットの製造方法。

【国際公開番号】WO2004/068519
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【発行日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567571(P2004−567571)
【国際出願番号】PCT/JP2003/016770
【国際出願日】平成15年12月25日(2003.12.25)
【出願人】(390001487)サンアロー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】