説明

透明なポリアミドエラストマー

一般式(I)の透明なポリアミドエラストマーの記載が好ましい用途と共に提供される。ここで、R1はポリアミドセグメントであり、(a)10〜100mol%のアルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンおよび/またはビス(アミノシクロヘキシル)プロパンと、0〜90mol%の別の脂環式C6〜C36ジアミンおよび/または脂肪族C2〜C36ジアミンおよび/または芳香族C6〜C36ジアミンと(濃度計算はポリアミドセグメント内のジアミンの総量に基づいている)、(b)脂肪族C4〜C36ジカルボン酸および/または脂環式C8〜C36ジカルボン酸および/または芳香族C8〜C36ジカルボン酸と、(c)場合によってはラクタムおよび/またはアミノカルボン酸C6〜C12とから構成され、R2は、以下の2価残基の群:数平均モル質量が200〜3000g/molの範囲内の直鎖または分枝状のC2〜C5ポリオキシアルキレン、ポリオレフィン、ポリシロキサン、直鎖または分枝状の置換または非置換のC2〜C36アルキレン、C6〜C36シクロアルキレン、C6〜C20アリール、ポリカプロラクトン、脂肪族または脂環式のジカルボン酸およびジオールをベースとするポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、ならびにこれらの要素のコポリマーおよび混合物から選択され、X1およびX2は、互いに独立に、アミド(CONH)結合またはエステル(COO)結合である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミドセグメントと、別のセグメント、特に好ましくはエーテルセグメント、エステルセグメント、ポリエステルセグメント、および/またはポリエーテルエステルセグメントとして形成されたさらなるセグメントとを備えた透明なポリアミドエラストマー、ならびにその適用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドと、例えばジオール、ポリエステル、エーテルなどの形の別のセグメントとから成るコポリマーは、特にポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、またはポリエーテルアミドの形で、産業において幅広く使用されている。
【0003】
このような系のいくつかを特許文献に基づき例示的に紹介する。
【0004】
欧州特許出願公開第0163902号は、酸化アンチモンを使用したポリエーテルエステルアミドの製造方法について記載している。ポリアミドセグメントとしては、PA12またはPA66などのような部分結晶性脂肪族PA系と共に、PACM6およびPACM12も挙げられている。
【0005】
ドイツ特許第10195908号では、高分子量熱可塑性樹脂(ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート)を、ポリマー間の交換反応を促進する特殊な添加剤と、押出機内で混合する。その目的は、非常に異なる熱可塑性樹脂同士を相容性にする機能を担うべきブロックコポリマーを、低くない濃度で生成することであり、これによりリサイクルの課題をある程度果たすことができる。ポリアミドエラストマーを狙い通りに製造することについては記載されていない。
【0006】
欧州特許出願公開第1783157号は、ポリエーテルエステルアミドの製造方法について記載しており、この方法では、ポリエーテルジオールおよびポリアミドジカルボン酸のほかにトリオールを用いなければならない。ブロックコポリマーの透明度に関しては述べられていない。
【0007】
これに関し多くの適用分野では、作用物質が可視域光に対して高い透明度を有することが必要とされている。
【0008】
これに関連して、例えば欧州特許出願公開第0303489号は、ポリエーテルエステルアミドをベースとし、高い透明度および低いヘイズを有する抗静電性成形材料について記載している。エステル部分またはポリエステル部分として、ポリエーテルジオールおよび特殊な芳香族ジオールを一緒に使用する。例ではPA6だけがポリアミド部分を構成している。
【0009】
欧州特許出願公開第0221188号は、PA6ポリマーとテトラメチレングリコールおよびネオペンチルグリコールから成るコポリマーとをベースとし、高い透明度を有するとされるポリエーテルエステルアミドについて記載している。透過値は提示されておらず、1mm厚の被検体で測定されたヘイズは75%未満である。このかなり高い値と、結晶化しやすいポリアミドセグメントが使用されたという事実が、この成形材料によって達成可能な成形部材の透明度が低いことを示している。
【0010】
欧州特許出願公開第0313861号は、様々なポリアミドセグメントおよびポリオキシアルキレンジアミンをベースとし、実質的にエステル結合を含んでおらず、かつ透明であるとされるポリエーテルアミドを記載している。ただし透明度に関して客観的に評価できる提示はなされていない。例では以下のPA系、すなわちPACMI、BACI、6Iが挙げられている。
【0011】
ドイツ特許第2405646号は、MXD6セグメントおよびポリエーテルセグメントから構成されるポリエーテルポリアミドブロックコポリマーについて記載している。このブロックコポリマーは、とりわけ高い透明度を有するとされている。
【0012】
さらに米国特許出願公開第2005/0165210号は、結晶化を妨げ、したがって成形部材の透明度を上昇させるとされるモノマーをPAハードブロック内に含むポリエーテルアミドブロックコポリマーについて記載している。このモノマーは、例えばPACMもしくはIPDのような脂環式ジアミンまたはラクタムなどであることができる。ポリアミドセグメント内の結晶性部分は、ポリアミドを構成するモノマーに対して少なくとも55%、好ましくは少なくとも70%である。寸法100×100×2mmの板について560nmで測定した透過値が提示されており、その値は77%および78%である。対応するヘイズ値は12%および13%である。
【0013】
欧州特許出願公開第1314750号は、アミノカルボン酸および/またはラクタムをベースとする部分結晶性ポリアミドセグメントと、特殊なポリエーテルジアミン(ABA型トリブロックポリエーテルジアミン)とから製造されたポリエーテルアミドに関する。1mm厚の板で測定されたヘイズに関し、11〜46%の値が提示されている。透過値は開示されていない。
【0014】
最後に米国特許第5,280,087号は、ポリエーテルエステルアミドを製造するための2段階式プロセスについて記載しており、この場合、まずラクタムおよびポリオキシアルキレングリコールを相互に反応させ、その後で初めてジカルボン酸を加えて縮合させる。生成物は透明とされているが、量的な提示はなされていない。
【0015】
WO2007/074086からは、架橋可能な熱可塑性ポリアミド成形材料が知られている。このポリアミドは、非晶質または微結晶性のポリアミドと、非晶質または微結晶性のポリアミドのコポリアミドおよびそのブレンドと、部分結晶性ポリアミドを含むそのようなポリアミドからのブレンドと、から成る群から選択される。その際、この発明によるポリアミド成形材料は、架橋添加剤を含み、この架橋添加剤は、高エネルギーの照射により、このポリアミド成形材料から成形され架橋されたTg値が140℃超で、かつ180℃未満の温度で耐変形性が少なくとも90%の成形部材が生成されることを特徴とする。これらのポリアミドは基本的に直鎖構造を有しており、そのモノマーは、オレフィンのC=C二重結合を有していない。さらにこれに対応して、ポリアミド成形材料から製造された架橋ポリアミド成形部材、ならびにこの架橋されたポリアミド成形部材を製造するためのこのポリアミド成形材料の使用が開示されている。同様に、全般的に同じタイプの多かれ少なかれ透明なポリアミドが、米国特許出願公開第2004/013862号、欧州特許第1369447号、欧州特許第1712581号、ならびに欧州特許第1788025号に記載されている。ポリアミドハードセグメントと共に別のセグメントを含み得るエラストマーは、これらの文献では挙げられておらず、容易に思いつくものでもない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって本発明の課題はとりわけ、改良されたポリアミドコポリマーまたはポリアミドエラストマーを提供することである。その際特に、高い透明度を特色とすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は、ポリアミドセグメント内に、ジアミンとしてアルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンを最低10mol%の割合で有するポリアミドエラストマーによって解決することができた。
具体的には、下記の一般構造のエラストマーから成る、または少なくとも本質的な部分として下記の一般構造のエラストマーを含むポリアミドエラストマーまたはより一般的にはポリアミド成形材料が、
【0018】
【化1】

下記の場合に思いがけず優れた透明度を有することが分かった。すなわち、
1が、ポリアミドセグメントであり、
(a)10〜100mol%のアルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンおよび/またはビス(アミノシクロヘキシル)プロパンと、
0〜90mol%の別の脂環式C6〜C36ジアミンおよび/または脂肪族C2〜C36ジアミンおよび/または芳香族C6〜C36ジアミンと、
(この場合、濃度はそれぞれポリアミドセグメント内のジアミンの総量に対しての提示である)
(b)脂肪族C4〜C36ジカルボン酸および/または脂環式C8〜C36ジカルボン酸および/または芳香族C8〜C36ジカルボン酸と、
(c)場合によってはラクタムおよび/またはアミノカルボン酸C6〜C12と
から構成され、
2が、ソフトセグメント単位であり、以下の2価残基の群から、すなわち数平均モル質量が200〜3000g/mol(好ましくは300〜2500g/mol)の範囲内のC2〜C5(好ましくはC2〜C4)ポリオキシアルキレン、ポリオレフィン、ポリシロキサン、直鎖または分枝状の置換または非置換のC2〜C36アルキレン、C6〜C36シクロアルキレン、C6〜C20アリール、ポリカプロラクトン、脂肪族または脂環式のジカルボン酸およびジオールをベースとするポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、ならびにこれらの要素のコポリマーおよび混合物から選択され、
その際に、X1およびX2は、互いに独立に、アミド(CONH)結合またはエステル(COO)結合である。
【0019】
一般的にはX1とX2は同じであるが、原理的には、例えばカルボキシル末端を持つポリアミド単位を、アミン末端を持つポリエーテル単位およびヒドロキシル末端を持つポリエステル単位またはエステル単位と同時に組み合わせる場合のように両方の要素が異なることもあり得る。エラストマーは、ポリエステルアミド、ポリエーテルアミド、またはポリエーテルエステルアミドであることが好ましい。
【0020】
構造式(1)の解釈に関し、左側に示されたポリアミドセグメントR1は、R1がポリアミドセグメントと呼ばれる場合には原理的にその左右の両方に配置されたカルボニル基も含んでいることを強調しておかなければならない。さらに通常は非晶質のソフトセグメントとして形成されるカッコ内の右の部分の解釈に関しては、X1およびX2が(COO)であり、かつR2がC2〜C36アルキレンまたはポリエステルとして提示される場合、別の言い方でソフトセグメントは、C2〜C36アルキレンジオールまたはポリエステルジオール、例えば本明細書の後段で提示されるPripol2033またはPriplast3197によって構成されると理解しなければならない(この場合、系全体がポリエステルアミドである)。同様に、X1およびX2が(CONH)であり、かつ例えばR2がC2〜C4ポリオキシアルキレンとして提示される場合には、別の言い方でソフトセグメントは、C2〜C4ポリオキシアルキレンジアミン、例えば本明細書の後段で提示されるElastamin RP−409によって与えることができると言える(この場合、系全体がポリエーテルアミドである)。
【0021】
その際、本発明の本質的な点の1つは、提案したエラストマー構造によって、厳密な仕様の光学的適用例のための透明な作用物質と、真の(つまり高い)柔軟性および非常に優れた靱性(衝撃靱性、ノッチ付衝撃靱性)との、思いがけず高価値の組合せを提供することである。その際、本発明における高い柔軟性とは、通常は50〜1500MPaの範囲内、好ましくは100〜1000MPaの範囲内、特に好ましくは100〜500MPaの範囲内の引張弾性率と理解されるべきである(測定方法は下記参照)。本発明における非常に優れた靱性とは、通常は少なくとも25kJ/m2、それどころか破損なしの、室温および−30℃での衝撃靱性、および/または少なくとも15kJ/m2、少なくとも25kJ/m2、それどころか破損なしの、室温および−30℃でのノッチ付衝撃靱性と理解されるべきである(測定方法は下記参照)。
【0022】
本発明によるポリアミドエラストマーは、ポリアミド単位と、ポリエーテル単位および/またはポリエステル単位などのソフトセグメント単位とを含んでおり、反応性末端基を持つ単位の重縮合によって形成される。その際、ポリアミド単位は、カルボキシル末端ならびにアミン末端を持つことができる。ソフトセグメントは、構造に応じてアミン末端、カルボキシル末端、またはヒドロキシル末端を持つ。好ましいソフトセグメント単位は、エステル単位またはポリエステル単位およびポリエーテル単位である。エステル単位またはポリエステル単位は、カルボキシル末端またはヒドロキシル末端を持ち、一方、ポリエーテル単位はカルボキシル末端基またはアミノ末端基を担持する。したがって好ましいソフトセグメント単位に関して以下の組合せの可能性が明らかである。すなわち
(1)ポリアミド単位がカルボキシル末端を持ち、かつエステル単位またはポリエステル単位がヒドロキシル末端を持つ。この場合、形成されるコポリマーはポリエステルアミドである。
(2)ポリアミド単位がカルボキシル末端を持ち、かつポリエーテル単位がアミン末端を持つ。この場合、形成されるコポリマーはポリエーテルアミドである。
(3)ポリアミド単位がアミン末端を持ち、かつポリエーテル単位がカルボキシル末端を持つ。この場合、形成されるコポリマーはポリエーテルアミドである。
(4)ポリアミド単位がカルボキシル末端を持ち、かつポリエーテル単位がヒドロキシル末端を持つ。この場合、形成されるコポリマーはポリエーテルエステルアミドである。
(5)ポリアミド単位がカルボキシル末端を持ち、かつポリエーテル単位がアミノ末端を持ち、かつポリエステル単位またはエステル単位がヒドロキシル末端を持つ。形成されるコポリマーはポリエーテルエステルアミドである。
(6)ポリアミド単位がアミン末端を持ち、かつポリエーテル単位およびポリエステル単位がカルボキシル末端を持つ。形成されるコポリマーはポリエーテルエステルアミドである。
【0023】
その際、X1およびX2が共に(COO)である場合、残基R2は、直鎖または分枝状の置換または非置換のC2〜C36アルキレン、C6〜C36シクロアルキレン、C6〜C20アリール、ポリカプロラクトン、脂肪族または脂環式のジカルボン酸およびジオールをベースとするポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、C2〜C4ポリオキシアルキレン、ならびにこれらの要素のコポリマーおよび混合物として与えられることが好ましい。
【0024】
その際、同様に、X1およびX2が共に(CONH)である場合、残基R2は、数平均モル質量が200〜3000g/mol(好ましくは300〜2500g/mol)の範囲内のC2〜C4ポリオキシアルキレン、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ならびにこれらの要素のコポリマーおよび混合物として与えられることが好ましい。
【0025】
好ましい一実施形態によれば、ポリアミドセグメントは、少なくとも20mol%、好ましくは少なくとも30mol%、特に好ましくは少なくとも40mol%がアルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンおよび/またはアルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)プロパンに基づき、つまりポリアミドセグメントはコポリアミドであり、あるいはそれどころか完全に、アルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンまたはビス(アミノシクロヘキシル)プロパンに基づく(ホモポリアミドまたはコポリアミド)。アルキル置換基としては、直鎖および/または分枝状のC1〜C6、好ましくはC1〜C4アルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、またはブチル基が好ましく、特に好ましいのはメチル基である。特に好ましい一実施形態では、アルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンとして、MACM(ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン)が用いられる。
【0026】
ポリアミドセグメントの数平均モル質量は、例えばジカルボン酸またはジアミンを過剰にすることによって、500〜5000g/mol、好ましくは700〜4000g/mol、特に好ましくは750〜3000g/molに調整することが好ましい。モル質量の調節には、ポリアミドセグメントを構成するためにも使用されるジカルボン酸またはジアミンを用いることが好ましい。ただし、後でさらに詳しく説明するような別の構造のジカルボン酸またはジアミンを用いてもよい。
【0027】
モル質量、相対粘度もしくは流動性、またはMVRを調節するために、ポリアミドセグメントの出発原料および/またはポリアミドエラストマーの出発原料には、前述のジカルボン酸またはジアミンに加えて、モノカルボン酸またはモノアミンの形の単官能性調節剤を添加することができる。調節剤として適切な脂肪族、脂環式、または芳香族のモノカルボン酸またはモノアミンは、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、安息香酸、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、3−(シクロヘキシルアミノ)−プロピルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミンなどである。調節剤は単独で使用してもよく、または組み合わせて使用してもよい。調節剤として、無水物、イソシアナート、酸ハロゲン化物、またはエステルのような、アミノ基または酸基と反応することができる別の単官能性化合物を用いることもできる。調節剤の通常の使用量は、ポリマー1kgにつき10〜200mmolである。
【0028】
さらなる一実施形態によれば、ポリアミドエラストマーは少なくとも、好ましくはエーテル部分および/またはエステル部分などのようなソフトセグメント単位に起因する非晶質相を備えている。好ましい一実施形態によれば、この非晶質相のガラス転移温度またはガラス転移点は高くとも20℃である。透明なポリエステルアミドの非晶質相は、0℃未満、好ましくは−20℃未満のガラス転移点を有することが望ましい。ソフトセグメントのガラス転移点は、好ましくは−70℃以上、特に好ましくは−60℃以上である。
【0029】
本文書において使用する透明なポリアミドエラストマーまたは透明な成形材料という概念は、ポリアミドエラストマーまたは成形材料(純粋な形での、つまり上で提示したさらなる成分を含まない本発明による成形材料)が、2mm厚の薄い小板の形で存在する場合に、その光透過率が少なくとも70%であるポリアミドエラストマーまたはそれから成る成形材料を表している。その際、光透過率の測定は、Perkin Elmer社のUV/VIS分光計で、200〜800nmの範囲において、円板70×2mmに対して行う。透過値は500〜700nmの波長領域に関して提示する。このために円板70×2mmを、例えばArburg射出成形機で、研磨された金型内で製造し、その際、シリンダ温度は200〜340℃であり、金型温度は20〜140℃である。
【0030】
つまり、ポリアミドエラストマーおよび/または成形材料の透過率は、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは85%超であることが好ましい。
【0031】
光学的にあまり厳密な仕様でない部品、または反射挙動だけが重要な部品(例えば装飾品)に関しては、より低い透明度でもよく、それどころか少し曇っていてもよい。
【0032】
さらにポリアミドエラストマーおよび/または成形材料のヘイズは、高くとも20%、好ましくは高くとも15%、特に好ましくは高くとも10%である場合が好ましい(ASTM1003、層厚2mm)。
【0033】
ポリアミドエラストマーは、第1の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種の、あるいは1種しか存在しないポリエステルアミド、ポリエーテルアミド、またはポリエーテルエステルアミドが、40〜95質量%を占めるポリアミド部分(R1)および5〜60質量%を占めるポリエステル部分および/またはポリエーテル部分(R2)から構成されることを特徴とする。その際、ポリアミド単位およびポリエステル単位および/またはポリエーテル単位は、ポリアミドエラストマーにおける繰り返し単位として、統計学的に交互にまたはブロックごとに配置されたものでよい。第2の好ましい実施形態ではポリアミドエラストマーが、50〜85質量%のR1および15〜50質量%のR2から構成される。上で提示した構造(1)に基づき、かつ上で提示した一般的な組成に基づくポリアミドエラストマーは、R2部分を20〜45質量%の範囲内で有することが望ましい。
【0034】
しかし特に好ましいのは、非晶質または微結晶性のポリアミドハードセグメントを含むポリアミドエラストマーである。本発明によるポリエステルアミド、ポリエーテルアミド、またはポリエーテルエステルアミドの非晶質または微結晶性のポリアミドハードセグメントは、500〜5000g/molの範囲内、好ましくは700〜4000g/molの範囲内、特に好ましくは750〜3000g/molの範囲内の数平均モル質量を有する。
【0035】
微結晶性のポリアミドハードセグメントまたはコポリアミドハードセグメントを使用する場合、この微結晶性のポリアミドハードセグメントおよび/またはコポリアミドハードセグメントが、4〜40J/gの範囲内、特に4〜25J/gの範囲内の融解エンタルピーを有することが好ましい(示差走査熱量測定、DSCで測定される)。好ましくは、微結晶性ポリアミド/コポリアミドハードセグメントの組成は、高分子量の形で、かつさらなる成分なしで処理されて、透明な成形部材を生じさせるポリアミド系である。つまり晶子の寸法が可視光波長より小さい。好ましくは、微結晶性のポリアミドハードセグメントは、少なくとも50℃超、好ましくは80℃超、特に好ましくは100℃超のガラス転移温度を有しており、ならびに少なくとも120℃、好ましくは少なくとも135℃、特に少なくとも150℃の融点を有している。これらの値の上限に関しては、融点が最大240℃の値を超えないことが好ましく、好ましくはポリアミドハードセグメントの融点は最大220℃、特に高くとも200℃であるべきであろう。ポリアミドハードセグメントのガラス転移温度に対する上限は最大180℃であることが好ましく、好ましくは高くとも150℃、特に高くとも140℃であるべきであろう。
【0036】
微結晶性ポリアミドおよび/またはコポリアミドハードセグメントは、アルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンまたはビス(アミノシクロヘキシル)プロパン、ならびに場合によっては別の脂環式ジアミン(例えばPACM、IPD、BAC)および/または脂肪族C4〜C18ジアミンおよび/または芳香族核を有するジアミン(例えばMXDAまたはPXDA)をベースとする。
【0037】
その際、ハードセグメントが、MACMと10〜36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸とをベースとして構成されることが好ましく、その際、別の脂環式ジアミンは、追加の置換基を含むまたは含まないPACMおよび/またはIPD(イソホロンジアミン)であることが好ましく、特に好ましいのは、それぞれ10〜36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸を含むMACM/PACM型のコポリアミド、例えばMACM12/PACM12である。この場合、PACM濃度は40mol%超、特に55mol%超であることが好ましい。
【0038】
MACMは全般的にISO名のビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタンを表しており、3,3’−ジメチル−4−4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンという商品名で、Laromin C260型(CAS No.6864−37−5)として市販されている。概念MACMの後の数字はそれぞれ、ジアミンMACMと重合される脂肪族直鎖ジカルボン酸を表している(C12、例えばDDS、ドデカン二酸)。
【0039】
PACMはISO名のビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタンを表しており、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンという商品名で、Dicykan型(CAS No.1761−71−3)として市販されている。
【0040】
その代わりにまたはそれに加えて、既に説明したように、ポリアミドハードセグメントは非晶質ポリアミドおよび/またはコポリアミドであることができ、その際、融解エンタルピーが4J/g未満であることが好ましい(示差走査熱量測定、DSCで測定される)。
【0041】
好ましい一実施形態によれば、非晶質ポリアミドハードセグメントのガラス転移温度は、少なくとも50℃超、好ましくは80℃超、特に好ましくは100℃超である。
【0042】
さらなる好ましい一実施形態は、MACM、脂肪族および/または別の脂環式のジアミンをベースとする非晶質ポリアミドおよび/またはコポリアミドハードセグメントであることを特徴とし、好ましくはMACMI、MACMI/MACMT、MACMI/MACMT/12、MACMI/12、MACMT/12型の非晶質ポリアミドであり、この場合のラウロラクタムの含有率は、好ましくは50mol%未満、特に35mol%未満である。なおIはイソフタル酸を表している。
【0043】
さらなる一実施形態では、ポリアミドハードセグメントが、10〜18個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸または6〜36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸に基づき、またはそのようなホモポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物であり、好ましくはラクタムおよび/またはアミノカルボン酸をベースとしており、その際、芳香族ジカルボン酸は、例えばTPS(テレフタル酸)および/またはIPS(イソフタル酸)である。ホモポリアミドハードセグメントおよび/またはコポリアミドハードセグメントは、有利には、以下の群から、すなわち6I/MACMI/MACMT、6I/6T/MACMI、MACMI/MACM36、ラクタム含有ポリアミド、例えば12/MACMI、12/MACMT、12/MACM6〜18、またはその混合物から選択されたポリアミドであり得る。その他の可能な系は、MACM6〜18、MACM6〜18/PACM6〜18、またはこれらから構成された混合物である。
【0044】
ポリアミドの表記は、ISO1874−1に従って行う。この場合Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸をそれぞれ表している。
【0045】
さらにコポリアミドハードセグメントが、少なくとも1種のジカルボン酸およびアルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンおよび芳香族核を有するジアミンをベースとするポリアミドであることが有利であり、かつ可能であり、好ましくはMACMおよびMXD(メタ−キシリレンジアミン)をベースとしており、その際、ジカルボン酸は、芳香族および/または脂肪族であることができ、例えば好ましくはMACMI/MXDI、MACMI/MXD6、またはMACMI/6I/MXDI、MACMI/6I/MXD6である。
【0046】
さらなる好ましい一実施形態は、ポリアミドエラストマーが、0.5質量%m−クレゾール溶液として20℃の温度で測定して、1.3〜3.0、特に好ましくは1.4〜2.5の溶液粘度(ηrel)を有することを特徴とする。さらにポリアミドエラストマーが、1500MPa未満、好ましくは1000MPa未満、特に好ましくは500MPa未満の引張弾性率を有する場合が好ましい。
【0047】
ポリアミドエラストマーに関しては、以下の構造用供給材料、すなわち少なくとも1種のポリアミドをベースとし、かつ少なくとも1種のポリエステル部分および/またはエステル部分および/またはポリエーテル部分をベースとする透明なポリエステルアミド、ポリエーテルアミド、またはポリエーテルエステルアミドが好ましく、その際、ポリアミドは、ジカルボン酸およびアルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンおよび場合によってはさらなるジアミンおよび/またはラクタムおよび/またはアミノカルボン酸をベースとして形成することができ、かつポリエステル部分および/またはエステル部分は、ジオールおよびジカルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸をベースとして形成することができ、かつポリエーテル部分はポリエーテルジアミンをベースとして形成することができる。
【0048】
ジカルボン酸(ポリアミド部分用にも、R2部分、つまり例えばポリエステル部分用にも)
少なくとも1種のジカルボン酸は以下の群から、すなわち脂肪族C4〜C44二酸、脂環式C8〜C36二酸、芳香族二酸(望ましくはTPS、IPS、NDS)、ならびにその混合物または組合せから選択することができる。好ましくは、少なくとも1種のジカルボン酸は以下の群から、すなわちアジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、およびその混合物から選択される。したがって特に、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、日本酸、シクロヘキサンジカルボン酸、特にcisおよび/またはtrans−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸および/またはcisおよび/またはtrans−シクロヘキサン(Cyolohexan)−1,3−ジカルボン酸(CHDA)、36個または44個の炭素原子を有するダイマー脂肪酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸から選択される。
【0049】
ジアミン(ポリアミド部分用):
ジアミンは以下の群から、すなわち分枝または非分枝状の脂肪族C4〜C18ジアミン、脂環式C8〜C20ジアミン、芳香族核を有するジアミン、ならびにその混合物または組合せから選択される。直鎖または分枝状の脂肪族ジアミンの例は、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(MPMD)、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、(OMDA)、1,9−ノナンジアミン(NMDA)、2−メチル−1,8−オクタンジアミン(MODA)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMD)、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMD)、5−メチル−1,9−ノナンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、および1,18−オクタデカンジアミンである。脂環式ジアミンとしては、例えばシクロヘキサンジアミン、1,3−ビス−(アミノメチル)−シクロヘキサン(BAC)、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン(Norbonandiamin)、ノルボルナンジメチルアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン(norbonan)、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、2,2−(4,4’−ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(PACP)、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(MACM)を使用することができる。芳香脂肪族ジアミンとしては、m−キシリレンジアミン(MXDA)およびp−キシリレンジアミン(PXDA)を挙げておく。MACM以外のさらなるジアミンとして好ましいのは、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、メチルオクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ドデカンジアミン、m−および/またはp−キシリレンジアミン、PACM、ノルボルナンジアミン、および1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである。
【0050】
ラクタムまたはアミノカルボン酸(成分(c)):
ラクタムまたはアミノカルボン酸は以下の群から、すなわちカプロラクタム、ラウロラクタム、アミノカプロン酸、アミノラウリン酸、アミノウンデカン酸から選択される。
【0051】
特に好ましいラクタムは、4個、6個、7個、8個、11個、または12個の炭素原子を有するラクタムまたはα,ω−アミノ酸である。これは、ラクタム:ピロリジン−2−オン(炭素原子数:4)、ε−カプロラクタム(炭素原子数:6)、エナントラクタム(炭素原子数:7)、カプリルラクタム(炭素原子数:8)、ラウロラクタム(炭素原子数:12)、またはα、ω−アミノ酸:1,4−アミノブタン酸、1,6−アミノヘキサン酸、1,7−アミノヘプタン酸、1,8−アミノオクタン酸、1,11−アミノウンデカン酸、および1,12−アミノドデカン酸である。
【0052】
ジオール(R2を提供):
ジオールは以下の群から、すなわち脂肪族C2〜C36ジオール、脂環式C6〜C36ジオール、芳香族核を有するC8〜C36ジオール、エーテル基を含有するジオール、ポリカプロラクトンジオール、またはその組合せから選択される。好ましくはジオールは以下の群から、すなわちエタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、C36ダイマー脂肪ジオール、ポリオキシアルキレンジオール(直鎖または分枝状のC2〜C5アルキレン)(特にモル質量は200〜2000g/molの範囲内)、ポリカプロラクトンジオール(モル質量は500〜3000g/mol(特に好ましくは750〜2000g/mol)の範囲内)、ならびにその組合せから選択される。
【0053】
ポリエーテルセグメント(アミノ末端またはカルボキシル末端を持つ、R2を提供)
数平均モル質量が200〜2500g/molの範囲内のポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシエチレンジカルボン酸、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレンジカルボン酸、ポリオキシテトラメチレンジアミン、ポリオキシテトラメチレンジカルボン酸、これらのコポリマーまたは混合物、ならびに上で挙げたジオールとのコポリマー。
【0054】
透明なポリアミドエラストマーは、既に述べたように、ポリエーテルアミドまたはポリエーテルエステルアミドまたはポリエステルアミドであることが好ましい。これは、特に好ましくは以下の群から、すなわちMACM12、MACM18、MACM12/PACM12、MACM18/PACM18、6T単位、9T単位、10T単位、および/または12T単位を有するコポリアミド、あるいはその混合物および/または組合せから選択されるポリアミド系をベースとする。
【0055】
好ましいポリエステル部分および/またはエステル部分:
透明なポリアミドエラストマーは、C36ジオールおよび/またはアジピン酸および/またはセバシン酸および/またはC36ダイマー脂肪酸および/またはテレフタル酸から誘導されるポリエステルを有するポリエステル部分および/またはエステル部分をベースとするポリエステルアミドまたはポリエーテルエステルであることが好ましい。
【0056】
ポリアミドエラストマーの製造は、1段階式または2段階式の重縮合方法で行われる。1段階式の方法では、ポリアミドを構成する成分を、エステル成分もしくはポリエステル成分および/またはポリエーテル成分と、個々の成分の末端基をできるだけ等モル比で混合し、180〜300℃の範囲内の温度で所望の粘度が達成されるまで重縮合する。特にポリアミド単位に関して狙い通りのブロックごとの構成を得ようと努める場合、または原料としてラクタムを一緒に使用する場合、2段階式の方法を用いることが有利である。この場合、まず第1の段階で、180〜320℃の温度および0〜20barの圧力で、成分a)、成分b)、および成分c)から成り、カルボキシ末端基またはアミノ末端基を持つポリアミド単位を形成し、その後このポリアミド単位をソフトセグメント単位と、大気圧またはより減圧(真空)下で、180〜280℃の範囲内の温度で重縮合に、高分子量コポリマーにする。ヒドロキシル末端基を持つソフトセグメント単位を用いる場合、反応を促進するためにエステル化触媒、例えば有機チタネートまたはジルコネートを用いることが有利である。
【0057】
さらに本発明は、このようなポリアミドエラストマーから形成される物体、または少なくとも本質的な成分としてこのようなポリアミドエラストマーを含む成形材料から成る物体、ならびに対応する例えば粒状物などの半製品に関する。したがって本発明は例えば、上で述べたようなポリアミドエラストマーから形成される少なくとも1つの領域または層を有する透明な(上で提示した定義において透明な)、好ましくは曇りのない物体にも関する。
【0058】
言い換えればそのような物体は、好ましくは、ポリアミドエラストマーから形成される2mm厚の層の場合に、500〜700nmの波長領域において70%超、好ましくは85%超の透過率を有し、かつ/または高くとも20%、好ましくは高くとも15%、特に好ましくは高くとも10%のヘイズを有する。
【0059】
この物体は、様々な実施形態に基づき、フィルム、プロフィル、管、中空体、または光学的に可変のフィルタ、または光学レンズであることができ、好ましくは眼科用レンズであり、特に好ましくは、追加的にフォトクロミック色素などの色素が存在する場合の、スペクトルフィルタ作用を備えた要素、例えばメガネのレンズ、太陽レンズ、補正レンズ、光学フィルタ、および光学的信号処理用のスイッチングユニット、スキー用ゴーグル、バイザー、保護メガネ、光記録システム、ディスプレイ、光学式データメモリ、建築物および車両の窓であり、または装飾要素もしくは構造要素、例えばメガネフレーム、玩具、カバー、特に携帯電話のハウジング、電子機器の部品、コーティング、特にパッケージ、装飾品、運動機器、グラッディング、好ましくは自動車領域における化粧張りのコーティングである。
【0060】
これに加え本発明は、そのような物体の製造方法に関する。この方法は、好ましくは上で述べたようなポリアミドエラストマーが、押出成形方法、射出成形方法、またはインモールドコーティング方法で物体へと成形されることを特徴とする。
【0061】
さらなる好ましい実施形態は従属請求項に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下に本発明を複数の実施例に基づき説明する。これらの例は、ポリアミドエラストマーまたはそれから形成された成形材料がどのように製造され、例えば成形品へと加工され得るかを明示的に示すために用いたものであり、これらの例は添付の特許請求の範囲で定義されている保護対象の解釈を制限するために提示されるのではない。
【0063】
本発明に基づく6つの例(B1〜B6と称する)ならびにアルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンおよび/またはビス(アミノシクロヘキシル)プロパンの部分のないポリエーテルアミドの形の比較例(VB1と称する)を合成し、次いでその材料特性を測定し、相互に比較した。さらに現況技術とのより良い比較のために、純粋なMACM12およびPACM12の形の比較例(VB2およびVB3)をこの分析に加え、測定した。これにより特に認識できることは、これらの材料が、本発明に基づく多くの適用例のためには、かなり不十分な柔軟性および不十分な靱性しか有していないことである。
【0064】
組成ならびに結果として生じる材料特性を下の表にまとめる。
【表1】

【0065】

o.B.=破損なし;n.m.=測定不能;k.WS=ソフトセグメントなし
【0066】
この場合、以下の材料が用いられる。すなわち
DDS ドデカン二酸
MACM ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタン
PACM ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン
Pripol2033 C36ジオール(CAS−No.147853−32−5)であり、Uniqemaから購入可能である。
Priplast3197 ダイマージオールダイメレート(Dimerdioldimerat)(CAS−No.177591−08−1)であり、例えばPripol2033のようなダイマージオールおよびC36ダイマー脂肪酸から製造され、Uniqemaから購入可能である。
Tyzor NPZ テトラ−(n−プロピル)−ジルコネート、Dupontから購入可能である。
Elastamine RP−409 分子量が約440g/molのポリオキシプロピレンジアミンであり、Huntsmanから購入可能である。
Elastamine RP−2009 分子量が約1980g/molのポリオキシプロピレンジアミンであり、Huntsmanから購入可能である。
【0067】
出発材料は、上で提示した材料を準備したうえで、攪拌釜内で以下のように製造した。
【0068】
第1のステップでは、まずポリアミドハードセグメントを重縮合する。このために、ポリアミドを構成するモノマー(MACM、ドデカン二酸など)および消泡剤を反応器内に入れ、次いで窒素で不活化する。続いて反応器を270℃に加熱し、次いで反応混合物を窒素ガスシール(減圧脱気)下で、260℃の生成物温度で4時間攪拌する。
【0069】
例B1〜例B3の場合、第2のステップで、カルボキシル末端を持つポリアミドハードセグメントを、ジオールおよび/またはヒドロキシル末端を持つポリエステルと反応させる。このために、ジオール、ポリエステル、およびエステル化触媒から成る混合物を、ポリアミドハードセグメント融解物(生成物温度:230〜260℃)に添加する。
【0070】
例B4〜例B6の場合、第2のステップで、カルボキシル末端を持つ(caboxylterminierte)ポリアミドハードセグメントを、ポリエーテルジアミンと反応させる。このために、150℃に予め加熱したポリエーテルジアミンを、場合によっては安定剤および縮合促進剤と共に、230〜260℃の生成物温度を有するポリアミドハードセグメント融解物に添加する。
【0071】
その後、反応器内の圧力を60分以内で200mbarに下げる。反応混合物をこの圧力で30分間攪拌した後、圧力を60分以内で20mbar未満の最終圧力まで下げる。所望のトルクが達成されるとすぐに真空を解除し、ポリマー融解物に5barの窒素を通し、ノズルを通して水槽内に放出する。ひも状の放出物を粒状にし、次いでこの粒状物を80℃で24時間乾燥させる。表に挙げた特性は乾燥状態で求めた。
【0072】
ポリアミドセグメントの数平均モル質量を以下の方程式に基づいて決定した。
【数1】

R=調節剤の量、単位g
m=ポリアミドを構成するモノマーの量、単位g
H2O=生じる水の量、単位g
R=調節剤のモル質量、単位g/mol
n=理論上のブロック長、単位g/mol
【0073】
相対粘度(ηrel)は、DIN EN ISO307に従って0.5質量%のm−クレゾール溶液中で20℃の温度で決定した。
【0074】
ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)、および融解熱(Hm)は、ISO11357−1/2に従って決定した。示差走査熱量測定(DSC)は、20K/minの加速度で実施した。
【0075】
ヘイズおよび透過率は、23℃で、Byk−Gardener社のHaze−Gard Plusを用い、ASTM D−1003(光の種類C)に従って70×2mmの円板で決定した。
【0076】
引張弾性率はISO527に従い1mm/minの引張速度で、引裂強度および引裂伸度はISO527に従い50mm/minの引張速度で、規格:ISO/CD3167、タイプA1、170×20/10×4mmのISO引張棒に対して23℃で決定した。
【0077】
シャルピーの衝撃靱性およびノッチ付衝撃靱性は、ISO179に従い規格:ISO/CD3167、タイプB1、80×10×4mmのISO実験棒に対して23℃で測定した。
【0078】
アミノ末端基およびカルボキシル末端基の濃度は電位差滴定法によって決定する。このために、アミノ末端基に関しては、50mlのm−クレゾールと25mlのイソプロパノールから成る混合液中に、0.2〜1.0gのポリアミドまたはポリアミドオリゴマーを50〜90℃で溶解し、アミノカプロン酸を添加した後、0.05モルの過塩素酸溶液で滴定する。COOH末端基を決定するには、0.2〜1.0gの決定すべき試料を、可溶性に応じてベンジルアルコールまたはo−クレゾールおよびベンジルアルコールから成る混合液中に100℃で溶解し、安息香酸を添加した後、0.1モルの水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム溶液で滴定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造の透明なポリアミドエラストマー。
【化1】

[式中、R1は、ポリアミドセグメントであり、
(a)10〜100mol%のアルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンおよび/またはビス(アミノシクロヘキシル)プロパンと、
0〜90mol%の別の脂環式C6〜C36ジアミンおよび/または脂肪族C2〜C36ジアミンおよび/または芳香族C6〜C36ジアミンと、
(この場合、濃度はポリアミドセグメント内のジアミンの総量に基づいている)
(b)脂肪族C4〜C36ジカルボン酸および/または脂環式C8〜C36ジカルボン酸および/または芳香族C8〜C36ジカルボン酸と
から構成され、
(c)または上記(a)および(b)と、ラクタムおよび/またはアミノカルボン酸C6〜C12と
から構成されてもよく、
2は、以下の2価残基の群:数平均モル質量が200〜3000g/molの範囲内の直鎖または分枝状のC2〜C5ポリオキシアルキレン、ポリオレフィン、ポリシロキサン、直鎖または分枝状の置換または非置換のC2〜C36アルキレン、C6〜C36シクロアルキレン、C6〜C20アリール、ポリカプロラクトン、脂肪族または脂環式のジカルボン酸およびジオールをベースとするポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、ならびにこれらの要素のコポリマーおよび混合物から選択され、
1およびX2は、互いに独立に、アミド(CONH)結合またはエステル(COO)結合である]
【請求項2】
1が40〜95質量%の範囲内であり、かつR2が5〜60質量%の範囲内であり、その際、R1が50〜85質量%で、かつR2が15〜50質量%で存在する場合が好ましい、請求項1に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項3】
ポリアミドセグメントR1は、少なくとも20mol%、好ましくは少なくとも30mol%、特に好ましくは少なくとも40mol%が、アルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンに基づく、請求項1または2に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項4】
ポリアミドセグメントR1が、完全に、アルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンに基づく、請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項5】
アルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンが、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタン(MACM)である、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項6】
ポリアミドセグメントR1の数平均モル質量が、500〜5000g/molの範囲内、好ましくは700〜4000g/molの範囲内、特に好ましくは750〜3000g/molの範囲内である、請求項1から5までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項7】
1=X2=(COO)であり、かつ残基R2が、直鎖または分枝状の置換または非置換のC2〜C36アルキレン、C6〜C36シクロアルキレン、C6〜C20アリール、ポリカプロラクトン、脂肪族または脂環式のジカルボン酸およびジオールをベースとするポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、C2〜C4ポリオキシアルキレン、ならびにこれらの要素のコポリマーおよび混合物として定義されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項8】
1=X2=(CONH)であり、かつ残基R2が、数平均モル質量が200〜3000g/mol(好ましくは300〜2500g/mol)の範囲内のC2〜C4ポリオキシアルキレン、ポリオレフィン、ポリシロキサン、ならびにこれらの要素のコポリマーおよび混合物として定義されることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項9】
好ましくは要素R2を含むセグメントに起因する非晶質相を有しており、前記非晶質相のガラス転移温度が高くとも20℃、好ましくは0℃未満、特に好ましくは−20℃未満であることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項10】
透過率が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは85%超であることを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項11】
ヘイズが高くとも20%、好ましくは高くとも15%、特に好ましくは高くとも10%であることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項12】
ポリアミドセグメントR1および要素R2を含むセグメントが、統計学的に、交互にまたはブロックごとに配置されることを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項13】
ポリアミドセグメントR1が、微結晶のポリアミドハードセグメントまたはコポリアミドハードセグメントであり、前記セグメントが好ましくは、4〜40J/gの範囲内、好ましくは4〜25J/gの範囲内の融解エンタルピーを有し、かつ/または前記セグメントが好ましくは、少なくとも50℃超、好ましくは80℃超、および特に好ましくは100℃超のガラス転移温度を有し、かつ/または前記セグメントが好ましくは、少なくとも120℃、好ましくは少なくとも135℃、特に少なくとも150℃の融点を有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項14】
1が、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタン(MACM)および少なくとも1種の10〜36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸から構成されており、その際に好ましくは、追加的に存在する別の脂環式ジアミンが、置換されたまたはされないビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン(PACM)および/またはイソホロンジアミン(IPD)であることを特徴とする請求項1から13までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項15】
1が、10〜36個の炭素原子、好ましくは12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と組み合わされた、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタン(MACM)およびビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン(PACM)から構成されており、その際に特に好ましくは、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン(PACM)の濃度が40mol%超であり、特に好ましくは55mol%超であることを特徴とする請求項1から14までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項16】
ポリアミドセグメントR1が、非晶質のポリアミドハードセグメントまたはコポリアミドハードセグメントであり、前記セグメントが4J/g未満の範囲内の融解エンタルピーを有し、かつ/または前記セグメントが少なくとも50℃、好ましくは80℃超、特に好ましくは100℃超のガラス転移温度を有することを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項17】
ポリアミドセグメントR1が、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタン(MACM)およびイソフタル酸および/またはテレフタル酸および/または脂肪族C4〜C36、好ましくはC12のジカルボン酸および/または脂環式C8〜C36ジカルボン酸をベースとすることを特徴とする請求項16に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項18】
ポリアミドセグメントR1が、MACMI、MACMI/MACMT、MACMI/MACMT/12、MACMI/12、MACMT/12であり、その際、ラウロラクタムの含有率が好ましくは50mol%未満、特に好ましくは35mol%未満であることを特徴とする請求項16または17に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項19】
ポリアミドセグメントR1が、10〜18個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸および/または6〜36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸をベースとするポリアミドハードセグメント、またはそのようなホモポリアミドおよび/またはコポリアミドの混合物であり、その際、好ましくはポリアミドが以下の群:6I/MACMI/MACMT、6I/6T/MACMI、MACMI/MACM36、MACM6〜18、MACM6〜18/PACM6〜18、ラクタム含有ポリアミド、例えば12/MACMI、12/MACMT、12/MACM6〜18、またはその混合物から選択されることを特徴とする請求項1から18までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項20】
ポリアミドセグメントR1が、少なくとも1種のジカルボン酸およびアルキル置換されたビス(アミノシクロヘキシル)メタンおよび芳香族核を有するジアミンをベースとするコポリアミドハードセグメントであり、好ましくはMACMおよびMXDをベースとし、その際、ジカルボン酸は芳香族および/または脂肪族であることができ、好ましくはMACMI/MXDI、MACMI/MXD6、またはMACMI/6I/MXDI、MACMI/6I/MXD6であることを特徴とする請求項1から19までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項21】
0.5質量%m−クレゾール溶液として20℃の温度で測定した溶液粘度(ηrel)が1.3〜3.0、特に好ましくは1.4〜2.5であり、および/または引張弾性率が1500MPa未満、好ましくは1000MPa未満、特に好ましくは500MPa未満であることを特徴とする請求項1から20までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項22】
ポリアミドセグメントR1および/またはR2のジカルボン酸が、以下の群:脂肪族C4〜C44二酸、脂環式C8〜C36二酸、芳香族二酸、望ましくはTPS、IPS、NDS、ならびにその混合物または組合せから選択され、前記ジカルボン酸が好ましくは以下の群:アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、およびその混合物、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、日本酸、シクロヘキサンジカルボン酸、36または44個の炭素原子を有するダイマー脂肪酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸から選択されることを特徴とする請求項1から21までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項23】
ポリアミドセグメントの別のジアミンが、以下の群:分枝または非分枝状の脂肪族C4〜C18ジアミン、脂環式C8〜C20ジアミン、芳香族核を有するジアミン、好ましくはMXDA、PXDA、メチルペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、メチルオクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ドデカンジアミン、PACM、ノルボルナンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ならびにその混合物または組合せから選択されることを特徴とする請求項1から22までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項24】
成分(c)が、以下の群:カプロラクタム、ラウロラクタム、アミノカプロン酸、アミノラウリン酸、アミノウンデカン酸、4個、6個、7個、8個、11個、または12個の炭素原子を有するα,ω−アミノ酸、例えばピロリジン−2−オン、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウロラクタム、α、ω−アミノ酸、1,4−アミノブタン酸、1,6−アミノヘキサン酸、1,7−アミノヘプタン酸、1,8−アミノオクタン酸、1,11−アミノウンデカン酸、および1,12−アミノドデカン酸から選択されることを特徴とする請求項1から23までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項25】
2が以下の群:脂肪族C2〜C36ジオール、脂環式C6〜C36ジオール、芳香族核を有するC8〜C36ジオール、エーテル基を含有するジオール、ポリカプロラクトンジオール、またはその組合せから選択され、特に好ましくは以下の群:エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、C36ダイマー脂肪ジオール、特に200〜2000g/molの範囲内のモル質量のC2〜C4ポリオキシアルキレンジオール、500〜3000g/mol、特に好ましくは750〜2000g/molの範囲内のモル質量のポリカプロラクトンジオール、ならびにその組合せから選択されるジオールをベースとして提供されることを特徴とする請求項1から24までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項26】
2が以下の群:数平均モル質量が200〜2500g/molの範囲内のポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシエチレンジカルボン酸、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレンジカルボン酸、ポリオキシテトラメチレンジアミン、ポリオキシテトラメチレンジカルボン酸、これらのコポリマーまたは混合物、ならびにネオペンチルグリコールとのコポリマーから選択されるポリエーテルセグメントをベースとして提供されることを特徴とする請求項1から25までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項27】
以下の群:MACM12、MACM18、MACM12/PACM12、MACM18/PACM18、6T単位、9T単位、10T単位、および/または12T単位を有するコポリアミド、あるいはその混合物および/または組合せから選択されるポリアミド系をベースとするポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、またはポリエーテルエステルアミドであることを特徴とする請求項1から26までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項28】
C36ジオールおよび/またはアジピン酸および/またはセバシン酸および/またはC36ダイマー脂肪酸および/またはテレフタル酸から誘導されるポリエステル部分および/またはエステル部分を有するポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、またはポリエーテルエステルアミドであることを特徴とする請求項1から27までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項29】
追加的に色素および/または添加剤を含んでおり、前記色素が、UVまたは短波VISによって可逆的に励起可能なフォトクロミック色素であることができ、好ましくはスピロオキサジン(Spirooxaazin)をベースとする色素であり、かつ/または前記添加剤が、安定剤、例えばUV安定剤、熱安定剤、ラジカル捕捉剤、および/または加工助剤、軟化剤、さらなるポリマー、および/または好ましくは光学的な特性、特に屈折率に作用する官能性添加剤、またはその組合せもしくは混合物であることを特徴とする請求項1から28までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー。
【請求項30】
請求項1から29までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマーから形成される少なくとも1つの領域または1つの層を備えた透明な、好ましくは曇りのない物体。
【請求項31】
ポリアミドエラストマーから形成される2mm厚の層の場合に、500〜700nmの波長領域において70%超、好ましくは85%超の透過率を有し、かつ/または高くとも20%、好ましくは高くとも15%、特に好ましくは高くとも10%のヘイズを有することを特徴とする厳密な仕様の光学的適用のための請求項30に記載の物体。
【請求項32】
フィルム、プロフィル、管、中空体、または光学的に可変のフィルタ、または光学レンズであり、好ましくは眼科用レンズであり、特に好ましくはスペクトルフィルタ作用を備えた要素、例えばメガネのレンズ、太陽レンズ、補正レンズ、または光学フィルタの形態をとるもの、または光学式信号処理用のスイッチングユニット、スキー用ゴーグル、バイザー、保護メガネ、光記録システム、ディスプレイ、光学式データメモリ、建築物または車両の窓の形態をとることができるもの、または装飾要素もしくは構造要素であることができるもの、例えばメガネフレーム、玩具、またはカバーの形態のもの、特に携帯電話のハウジング、電子機器の部品、コーティング、特にパッケージ、装飾品、運動機器、またはグラッディング、好ましくは自動車領域における化粧張りのコーティングの形態であることを特徴とする請求項30または31に記載の物体。
【請求項33】
請求項1から29までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマーが、押出成形方法、射出成形方法、またはインモールドコーティング方法で物体へと成形されることを特徴とする請求項30から32までのいずれか1項に記載の物体の製造方法。
【請求項34】
1段階式の方法では、ポリアミドを構成する成分を、エステル成分もしくはポリエステル成分および/またはポリエーテル成分と、個々の成分の末端基を好ましくは等モル比にして混合し、好ましくは180〜300℃の範囲内の温度で所望の粘度が達成されるまで重縮合することを特徴とする請求項1から29までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマーの製造方法。
【請求項35】
特に、とりわけポリアミド単位に関して狙い通りのブロックごとの構成にするために、または原料としてラクタムを使用する場合、2段階式の方法において、まず第1の段階で、好ましくは180〜320℃の温度および好ましくは0〜20barの圧力で、成分a)、成分b)、および成分c)から、カルボキシ末端基またはアミノ末端基を持つポリアミド単位を形成し、次いで前記ポリアミド単位を第2の段階でソフトセグメント単位と、大気圧またはより減圧下、特に真空下で、好ましくは180〜280℃の範囲内の温度で重縮合して、高分子量コポリマーにすることを特徴とする請求項1から29までのいずれか1項に記載のポリアミドエラストマーの製造方法。

【公表番号】特表2010−534256(P2010−534256A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517247(P2010−517247)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/CH2008/000318
【国際公開番号】WO2009/012607
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510022808)エーエムエス−パテント アクチェンゲゼルシャフト (12)
【Fターム(参考)】