説明

透明なポリマー組成物における硫酸バリウム又は炭酸カルシウム粒子の使用、透明なポリマー組成物及びこれらの組成物を製造するための方法

硫酸バリウム又は炭酸カルシウム粒子の透明なポリマー組成物における使用、透明なポリマー組成物及びこれらの組成物を製造するための方法。150nm以下且つ0.5nm以上の粒子サイズを有する硫酸バリウム又は炭酸カルシウムのナノ粒子の、透明なポリマー組成物における充填剤としての使用。得られた組成物は、良好な引掻抵抗、良好な衝撃強度、良好な引張強さ、良好な熱安定性及び良好な可視光及びUV放射安定性を同時に示し、優れた透明性を保持する。該組成物は、自動車セクター及び光学セクターにおけるガラスに代わる材料として用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ポリマー組成物における硫酸バリウム又は炭酸カルシウム粒子の使用に関する。さらに詳細には、透明なポリマー組成物における充填剤としての硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子の使用に関する。
【0002】
透明なポリマー組成物は、特に質量減少を目的とする用途においてガラスに取って代わる材料として用いられている。これは例えば自動車セクターにおける場合であり、車両における透明なポリマー組成物の強い光沢性構造(横窓、サンルーフなど)に代わる使用が数十%の質量増加を許容し、結果として燃料消費及び必然的に伴う全ての関連事項の両方における減少、特に温室効果における減少を伴う。また、これは例えば光学セクター(眼鏡、光学装置など)における場合であり、質量減少は使用者の個人的な快適さを向上させるのに寄与し得る。
【0003】
しかし、透明なポリマー組成物の使用は、ガラスと比較していくつかの残存する不都合:低い引掻抵抗、低い衝撃強度、低い熱安定性及び紫外線(UV)放射安定性により、現在のところはかなり限定されている。充填剤がこれらの欠点を取り除くために用いられる。しかし、機械的、熱的及び光安定的特性を同時に向上させ、同時に該充填ポリマー組成物の高い透明度を維持するのは困難である。
【0004】
本発明の目的は、向上した機械的(引掻抵抗、衝撃強度、引張強度など)、熱的及び光安定的(可視光、紫外光)特性を有する透明なポリマー組成物を提供することである。
続いて、本発明は、150nm以下且つ0.5nm以上の粒子サイズを有する硫酸バリウム又は炭酸カルシウムのナノ粒子の、透明なポリマー組成物における充填剤としての使用に関する。
驚くべきことに、硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子が充填剤として透明なポリマー組成物に加えられると、良好な引掻抵抗、良好な衝撃強度、良好な引張強さ、良好な熱安定性及び高い紫外及びUV放射安定性が同時に得られ、同時に補われたポリマー組成物に優れた透明性を保持することが発見された。
【0005】
硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子が組み込まれた透明なポリマー組成物は、特にガラスの代用材料として自動車セクター及び光学セクターで用いられ得る。
本発明で用いられる硫酸バリウムナノ粒子は、天然又は合成硫酸バリウム粒子でよい。天然硫酸バリウムは天然バライトでよい。サスペンションにおいて予め乾式粉砕又は粉砕され得る。合成硫酸バリウムが好ましい。沈降硫酸バリウムがさらに好ましい。
本発明で用いられる炭酸カルシウムナノ粒子は、天然又は合成炭酸カルシウム粒子でよい。天然炭酸カルシウムは、天然の方解石又は霰石、チョーク又は大理石でよい。サスペンションのおいて予め乾式粉砕又は粉砕され得る。合成炭酸カルシウムが好ましい。沈降炭酸カルシウムがさらに好ましい。
【0006】
該硫酸バリウム又は該炭酸カルシウムナノ粒子は、実質的にアモルファス又は実質的に結晶質な硫酸バリウム又は炭酸カルシウムからなり得る。“実質的にアモルファス又は結晶質”という用語は、50質量%より多い硫酸バリウム又は炭酸カルシウム、好ましくは75質量%より多く、特に好ましくは90質量%より多い硫酸バリウム又は炭酸カルシウムが、X線回折技術又は電子線解説技術によって分析するとアモルファス形態又は結晶質形態であることを意味する。実質的に結晶質な硫酸バリウムが好ましい。実質的にアモルファスな炭酸カルシウムが好ましい。
本発明で用いられる該硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子は、通常は10m2/g以上、しばしば15m2/g以上、頻繁に20m2/g以上、特に40m2/g以上のBET比表面積を有する。70m2/g以上の比表面積が良好な結果を与える。これらの粒子は、通常は300m2/g以下、しばしば250m2/g未満、及び頻繁に150m2/g以下の比表面積を有する。100m2/g以下の比表面積が使用に好適である。該粒子のBET比表面積は、ISO標準9277-1995に従って測定する。
【0007】
硫酸バリウム又は炭酸カルシウムのナノ粒子のサイズは、種々の技術、例えばX線回折(XRD線幅拡大)技術、遠心液体沈殿(標準ISO 13318-2、2001)、小角X線散乱(SAXS)、動的光散乱(標準ISO-DIS 22412、2006)及び通気性(Lea及びNurse方法、標準NFX 11-601、1974)で測定することができる。
X線回折(XRD線幅拡大)技術によって分析すると、該硫酸バリウム又は該炭酸カルシウムのナノ粒子が150nm以下、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは70nm以下、さらに好ましくは40nm以下、特に好ましくは25nm以下、及び特に好ましくは10nm以下の体積質量平均サイズを有する。5nm以下の体積質量平均サイズが、特に良好な結果を与える。この体積質量平均サイズは一般的に0.5nm以上である。
【0008】
遠心液体沈殿方法によって分析すると、該硫酸バリウム又は該炭酸カルシウムのナノ粒子が150nm以下、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは70nm以下、さらに好ましくは40nm以下、特に好ましくは25nm以下及び特に好ましくは10nm以下の体積質量平均サイズを有する。5nm以下の体積質量平均サイズが、特に良好な結果を与える。この体積質量平均サイズは一般的に0.5nm以上である。
動的光散乱技術(DLS)によって分析すると、該硫酸バリウム又は該炭酸カルシウムのナノ粒子が150nm以下、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは70nm以下、さらに好ましくは40nm以下、特に好ましくは25nm以下、及び特に好ましくは10nm以下の平均直径を有する。5nm以下の平均直径が特に良好な結果を与える。この平均直径は一般的に0.5nm以上である。
【0009】
通気性技術によって分析すると、該硫酸バリウム又は該炭酸カルシウムのナノ粒子は150nm以下、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは70nm以下、さらに好ましくは40nm以下、特に好ましくは25nm以下、及び特に好ましくは10nm以下の平均直径を有する。5nm以下の平均直径が特に良好な結果を与える。この平均直径は一般的に0.5nm以上である。
トルエンなどのような溶媒における小角X線散乱(SAXS)技術によって分析すると、該硫酸バリウム又は該炭酸カルシウムのナノ粒子が150nm以下、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは70nm以下、さらに好ましくは40nm以下、特に好ましくは25nm以下、及び特に好ましくは10nm以下の平均等価球状直径(ESD)を有する球の典型的な散乱スペクトルを有する。5nm以下の平均ESDは特に良好な結果を与える。この等価球状直径は一般的に0.5nm以上である。該粒子サイズ分布(PSD)は、90質量%、好ましくは95質量%及び特に好ましくは99質量%の粒子が、SAXSで測定すると該平均ESDの90%以上且つ110%以下のESDを有するようなものである。
【0010】
従って、“ナノ粒子”という用語は、150nm以下且つ0.5nm以上の粒子サイズを有する粒子を意味することが意図され、該粒子サイズは以下の方法の一つ、X線回折(XRD線幅拡大)技術、遠心液体沈殿(標準ISO 13318-2、2001)、小角X線散乱(SAXS)、動的光散乱(標準ISODIS 22412、2006)又は通気性(Lea及びNurse方法、標準NFX 11-601、1974)技術によって測定される。
前述の方法の一つによって得られた粒子のサイズが150nm以下且つ0.5nm以上である場合、該粒子は本発明に従うものと考えられる。
従って、本発明はまた、150nm以下且つ0.5nm以上の粒子サイズを有する硫酸バリウム又は炭酸カルシウムのナノ粒子の、透明なポリマー組成物における充填剤としての使用であって、該粒子サイズが以下の方法の一つ、X線回折(XRD線幅拡大)技術又は遠心液体沈殿(標準ISO 13318-2、2001)又は小角X線散乱(SAXS)又は動的光散乱(標準ISO-DIS 22412、2006)又は通気性(Lea及びNurse方法、標準NFX 11-601、1974)技術によって測定される使用に関する。
【0011】
硫酸バリウム粒子は、クラスター又は凝集物の形態で用いられ得る。該クラスターの少なくとも90%は2μm未満、好ましくは1μm未満のサイズを有する。特に好ましくは、少なくとも90%のクラスターが250nmよりも小さいサイズを有し、非常に好ましくは200nmよりも小さいサイズを有する。さらに好ましくは、少なくとも90%のクラスターが130nmよりも小さいサイズを有し、特に好ましくは100nmよりも小さく、非常に好ましくは80nmよりも小さいサイズを有し、さらに好ましくは90%のクラスターが50nmよりも小さいサイズ、特に好ましくは30nmよりも小さいサイズを有する。部分的に又は実質的に完全に、該硫酸バリウムは凝集していない粒子の形態である。この場合の平均クラスターサイズは、走査型電子顕微鏡で測定されるものである。
【0012】
用いられる炭酸カルシウムナノ粒子は、最大寸法が通常は1nm以上、しばしば20nm以上、頻繁に50nm以上、特に80nm以上、及び特に140nm以上であるクラスター又は凝集物の形態でよい。この最大寸法は、通常は40μm未満、しばしば4μm以下、特に1μm以下、及び特に0.3μm以下である。これらの凝集物は、通常は0.5nm以上、頻繁に10nm以上、しばしば25nm以上、特に40nm以上、及び特に70nm以上の最小寸法を有する。この最小寸法は、通常は10μm未満、特に0.7μm以下、及び特に0.2μm以下である。これらの寸法は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって得られるイメージで観察される個々の粒子の最大及び最小の寸法を用いて得られる。
【0013】
理論的な説明で結論付けられることを望まないが、該クラスター又は凝集物を構成する該ナノ粒子の間の相互作用は弱く、ポリマー組成物におけるそれらの分散を容易にすると考えられる。
一つの変形では、化学的に修飾されていない硫酸バリウム又は炭酸カルシウムが用いられる。
硫酸バリウム又は炭酸カルシウムの粒子は、少なくとも1種の有機化合物を含有し得る。該有機化合物は、アニオン性基を生成することのできる好ましい少なくとも1種の基を含有する。該アニオン性基は、好ましくは硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩及びカルボン酸塩の基から選択される。
【0014】
硫酸バリウム又は炭酸カルシウムのナノ粒子における有機化合物の含有量は、一般的に該粒子の全質量に対して0.01質量%以上、しばしば0.05質量%以上、頻繁に0.1質量%以上、及び特に1質量%以上である。この含有量は、通常は90質量%未満、しばしば50質量%以下、特に25質量%以下、特に10質量%以下、特に5質量%以下である。
該硫酸バリウム粒子では、該有機化合物は結晶化阻害剤、分散剤又はそれらの混合物にすることができる。
好ましい結晶化阻害剤は、少なくとも1種のアニオン性基を有する。該結晶化阻害剤のアニオン性基は、好ましくは少なくとも1種の硫酸塩、少なくとも1種のスルホン酸塩, 少なくとも1種のリン酸塩、少なくとも2つのホスホン酸塩又は少なくとも2つのカルボン酸塩の基を有する。
【0015】
実在する結晶化阻害剤は、例えば、この目的のための用いられることが公知な物質、例えば比較的短い鎖のポリアクリレート、典型的にはナトリウム塩の形態のもの;ポリグリコールエーテルなどのポリエーテル;ラウリルエーテルスルホネートのナトリウム塩形態などのエーテルスルホネート;フタル酸及びその誘導体のエステル;ポリグリセロールのエステル;トリエタノールアミンなどのアミン;及び脂肪酸のエステル、例えばSOLVAY BARIUM STRONTIUM GmbHのWO 01/92157に特定されるようなステアリンエステルでよい。
【0016】
結晶化阻害剤として、炭素鎖R及びn個の置換基[A(O)OH]を有する式(I)の化合物又は塩を用いることもできる。
Rは疎水性及び/又は親水性部分を有する有機基であり、Rは酸素、窒素、リン又は硫黄ヘテロ原子を含有していてもよい低分子量のオリゴマー又はポリマーの任意に分枝及び/又は環状の炭素鎖であり、及び/又は酸素、窒素、リン又は硫黄を介して該基Rと結合している基によって置換されている、及び
AはC、P(OH)、OP(OH)、S(O)又はOS(O)であり、及び
nは1〜10,000である。
【0017】
モノマー化合物又はオリゴマー化合物の場合は、nは好ましくは1〜5である。
この種の有用な結晶化阻害剤は、ヒドロキシ-置換カルボン酸化合物を含む。高度に有用な例は、1〜20個の炭素原子を鎖に有する(COO基の炭素原子を含まずに数える)ヒドロキシ-置換モノカルボン酸及びジカルボン酸、例えばクエン酸、マレイン酸(2-ヒドロキシブタン-1,4-ジオン酸)、ジヒドロキシコハク酸及び2-ヒドロキシオレイン酸を含む。
さらに非常に有用なのは、1〜10個の炭素原子からなる鎖長のアルキル(又はアルキレン)基を有するホスホン酸化合物である。これに関連する有用な化合物は、1個、2個又はそれ以上のホスホン酸基を有するものである。それらはさらにヒドロキシル基で置換されていてもよい。高度に有用な例は、1-ヒドロキシエチレンジホスホン酸、1,1ジホスホノプロパン2,3ジカルボン酸及び2ホスホノブタン1,2,4トリカルボン酸を含む。これらの例は、ホスホン酸基だけでなくカルボン酸基を有する化合物が同じように有用であることを示している。
【0018】
さらに非常に有用なのは、1〜5個又はそれ以上の数の窒素原子、及び1個又はそれ以上、例えば5個以下のカルボン酸又はホスホン酸基を含有し、且つさらにヒドロキシル基によって任意に置換されている化合物である。これらの化合物は、例えばエチレンジアミン又はジエチレントリアミンの骨格及びカルボン酸又はホスホン置換基を有するものを含む。高度に有用な化合物の例は、ジエチレントリアミン五リン酸エステル(メタンホスホン酸)、イミノジコハク酸、ジエチレントリアミン五酢酸及びN-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N,N-三酢酸を含む。
【0019】
さらに非常に有用なのはポリアミノ酸であり、例えばポリアスパラギン酸である。
さらに非常に有用なのは1〜20個の炭素原子(COO基の炭素原子を含まずに数える)且つ1個以上のカルボン酸を有する硫黄置換カルボン酸であり、例えばスルホコハク酸ビス2エチルヘキシルエステル(ジオクチルスルホコハク酸塩)である。
もちろん、該添加剤の混合物を用いることもでき、例えばホスホン酸などのさらなる添加剤との混合物を含む。
非常に好ましいのは、クエン酸及びナトリウムポリアクリレート、例えば結晶化阻害剤としてのDispex(登録商標)N40(CIBAから)である。
該分散剤は、好ましくは該硫酸バリウムの表面と相互作用することのできる1種以上のアニオン性基を有する。好ましい基は、カルボン酸塩基、リン酸塩基、ホスホン酸塩基、ビスホスホン酸塩基、硫酸塩基及びスルホン酸塩である。
【0020】
特に好ましいのは、化学的に修飾された硫酸バリウムであって、該硫酸バリウムの表面と相互作用する1種以上のカルボン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、硫酸塩又はスルホン酸塩の基を有する分散剤を含み、且つさらに疎水性及び/又は親水性の部分構造を含む1種以上の有機基R1をさらに含むものである。R1は、好ましくは低分子量の有機又は高分子炭素鎖ポリマーであり、これは分枝していてもよく、且つ酸素、窒素、リン又は硫黄をヘテロ原子として含んでよく、及び/又はR1は酸素、窒素、リン又は硫黄を介して炭素鎖と結合することのできるアルキル基などの基で置換されており、任意に、該炭素鎖又は該置換基は親水性又は疎水性基で置換することができる。そのような置換基の例はポリエーテル基である。好ましいポリエーテル基は、3〜50個、好ましくは3〜40個及び特に好ましくは3〜30個のアルキレンオキシ基を含む。該アルキレンオキシ基は、好ましくはメチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ及びブチレンオキシ基から選択される。
【0021】
有用な微細硫酸バリウム粒子は、ポリマーとの相互作用に好適な基、例えば化学的に作用するか又は物理的に作用するOH又はNH2基を含む試薬を含んでよい。
該表面に疎水特性を与える分散剤の例は、P(O)基の一つの酸素原子がC3〜C10のアルキル又はアルキレン基で置換されており、且つ該P(O)基の別の酸素原子がポリエーテル基で置換されているリン酸誘導体である。残りの酸の酸素原子は該微細粒子の表面と相互作用することができる。
該分散剤は、例えばC6〜C10アルケニル基及びポリエーテル基を部分構造として有するリン酸ジエステルにすることができる。Disperbyk(登録商標)111(BYK-Chemie)の名称で売買されているようなポリエーテル/ポリエステル基を有するリン酸エステル、Disperbyk(登録商標)102及び106の名称で売買されているようなポリエーテル/アルキル基を有するリン酸エステル塩も好適である。また、解膠剤、例えば顔料変換基を有する高分子コポリマーに基づくもの、例えばDisperbyk(登録商標)190又はDisperplast(登録商標)1140のような長鎖アルコールの極性酸性エステルが、好適な種類の分散剤である。
分散剤の別の非常に好ましい基は、ポリエーテル基上の末端がヒドロキシル基によって置換されているポリエーテルポリカルボキシレートであり、例えば企業名SKW/DEGUSSA(現在はBASF)の商品名Melpers(登録商標)で供給されているものである。
【0022】
該炭酸カルシウム粒子では、該有機化合物は界面活性剤にすることができる。該界面活性剤はカチオン性、非イオン性又はアニオン性タイプでよい。非イオン性及びアニオン性界面活性剤誘導体が好ましい。“非イオン性界面活性剤誘導体”という用語は、その分子が少なくとも1種の非イオン化極性基及び疎水性鎖を含有している化合物を意味することが意図される。好適な非イオン性界面活性剤誘導体は、特に酸化アルキレンとアルコール、ポリアルキレングリコール及び長鎖ケトン、例えばステアロン、ラウロン及びココノン及びエイコサンなどの長鎖炭化水素の酸化によって得られるケトンとの縮合物である。“アニオン性界面活性剤誘導体”という用語は、その分子が少なくとも1種のアニオン性基又はアニオン性基を生成することのできる基、及び疎水性鎖を含む化合物を意味することが意図される。疎水性鎖の例は、特に10〜60個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝のアルキル鎖、モノアルキルベンゼン及びポリアルキルベンゼン基、及びモノアルキルナフタレン及びポリアルキルナフタレン基である。該アニオン性基は、硫酸塩(C-O-SO3-)、スルホン酸塩(C-SO3-)、リン酸塩(-C-OPO3-)、ホスホン酸塩(-C-PO3-)及びカルボン酸塩(COO-)の基から選択され得る。その分子がスルホン酸塩基又はスルホン酸塩基を生成することのできる基を含む誘導体は、例えば、ナトリウムドデシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸及びテトラコシルベンゼンスルホン酸である。その分子が硫酸塩基又は硫酸塩基を生成することのできる基を含む誘導体は、例えばナトリウムドデシルベンゼン硫酸塩である。
【0023】
ポリエーテル基上の末端をヒドロキシル基によって置換されているポリエーテルポリカルボキシレート、例えば企業名SKWの商品名Melpers(登録商標)で供給されているものが、好ましいアニオン性界面活性剤である。
該炭酸カルシウム粒子では、該有機化合物が、有機酸、それらの塩、それらのエステル、アルキル硫酸塩、アルキルスルホサクシネート又はそれらの混合物から選択され得る。
該有機酸は、カルボン酸、スルホン酸及びホスホン酸から選択され得る。カルボン酸は芳香族でも脂肪族でもよく、脂肪族カルボン酸がさらに好ましい。
【0024】
該脂肪族カルボン酸は、任意の直鎖又は分枝又は環状、置換又は非置換、飽和又は不飽和のカルボン酸でよい。該脂肪族カルボン酸は、通常は4個以上、好ましくは8個以上、さらに好ましくは10個以上、及び最も好ましくは14個以上の数の炭素原子を有する。該脂肪族カルボン酸は、一般的に32個以下、好ましくは28個以下、さらに好ましくは24個以下、及び最も好ましくは22個以下の数の炭素原子を有する。
【0025】
本発明の第一の実施態様では、該有機化合物が、置換、非置換、飽和及び不飽和の脂肪酸又はそれらの混合物の群から選択される脂肪族カルボン酸である。さらに好ましくは、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソ-ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、ペトロセライジン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノレイン酸、リノレライジン酸、リノレン酸、リノレネライジン酸、a-エレオスタエリン酸、b-エレオステアリン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ブラシン酸及びイワシ酸、それらの混合物又はそれらから誘導される塩からなる群から選択される。主にパルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸を含有する混合物がさらに好ましい。約30〜40質量%のステアリン酸、約40〜50質量%のパルミチン酸及び約13〜20質量%のオレイン酸からなる"ステアリン"と呼ばれる混合物が特に好ましい。
【0026】
本発明の第二の実施態様では、該有機化合物がロジン酸である。該ロジン酸は、好ましくはレボピマル酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、それらの混合物又はそれらから誘導される塩からなる群から選択される。
第三の実施態様では、該有機化合物がポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩又はそれらの混合物である。
該硫酸バリウム粒子は一般的に沈降によって得られ、バリウムイオン及び硫酸イオンの種々の供給源から出発する。該沈降は、該バリウム及び硫酸イオンの1種以上の前駆体を含有する溶液、サスペンション又はエマルジョンから出発して行われ得る。例えば、硫酸バリウムは、塩化バリウム又は水酸化バリウム溶液をアルカリ金属硫酸塩又は硫酸と反応させることによって沈降させることができる。
【0027】
通常は、硫酸バリウムはその形成の後に、バリウム塩及び硫酸塩又は硫酸を混合した後の沈降によってより大きなクラスターを形成する。該硫酸バリウムは、例えば湿式解凝集方法によって上記のサイズを有するクラスターに粉砕することができる。液体として、水又は有機溶媒、例えばアルコール、炭化水素化合物又はハロ(ヒドロ)カーボン化合物を用いることができる。好ましくは、ポリカーボネートのための溶媒である有機液体、例えば塩化メチレン又はシクロペンタノンを用いることができる。
該粉砕は、例えばボールミル、遊星ボールミル又はミキサーミルで行うことができる。この解凝集は、DE-OS 19832304に記載のように行うことができ、分散剤を用いない。該方法では、解凝集される粒子を、緩い粉砕体と共に固体二酸化炭素又は凍結テトラフルオロエタンのような粉砕助剤の存在下でミルに入れる。ボールミル、遊星ボールミル又はミキサーミルを用いると、20nm未満の二次的な粒子サイズを達成することができる。
【0028】
該硫酸バリウムの沈降は、認識されている結晶化阻害剤の存在下で行うことができる。該阻害剤の少なくとも一部が、例えば該阻害剤を少なくとも一部、又は完全にアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、又はアンモニウム塩として用いることによって脱プロトン化されている場合に有利となり得る。当然に、該酸をもちいること、及び相当量の塩基か又はアルカリ金属水酸化物溶液の形態で加えることもできる。
該分散剤は、実際の沈降中か又は該沈降後の解凝集段階で加えることができる。該分散剤は再凝集を妨げる。
【0029】
該炭酸カルシウム粒子は、種々の方法で得ることができる。天然炭酸カルシウムは、カルシウム質の鉱石を機械的に粉砕及び選別することによって加工し、所望のサイズに調整された粒子を得ることができる。合成炭酸カルシウム粒子は、通常は沈降によって調製される。沈降炭酸カルシウムは、まずは燃料、例えばコーク、石油燃料(例えば重質又は軽質オイル)、天然ガス、石油ガス(LPG)などを燃焼させることによる焼成に石灰岩を付すことによって酸化カルシウム(生石灰)を調製し、続いて該酸化カルシウムを水と反応させて水酸化カルシウムスラリー(乳状石灰)を製造し、及び該水酸化カルシウムスラリーを該酸化カルシウムを石灰岩から得るための焼成炉から排出された二酸化炭素と反応させ、所望の粒子サイズ及び形状の沈降炭酸カルシウムを得る(炭酸化方法)ことによって製造され得る。炭酸カルシウムの沈降はまた、石灰水を始めとしたアルカリ金属炭酸塩を加える(苛性化方法)ことか、又は塩化カルシウムを含有する溶液を始めとしたアルカリ金属炭酸塩の添加による沈降によって行うこともできる。該炭酸化方法から得られた沈降炭酸カルシウムが好ましい。
【0030】
該沈降は、該カルシウム及び炭酸塩イオンの1種以上の前駆体を含有する溶液、サスペンション又はエマルジョンから出発して行われ得る。エマルジョン沈降が好ましい。“エマルジョン”という用語は、別の液体における微滴形態の液体部分を意味することが意図される。エマルジョンは一般的に水性液相及び有機液相を含有する。有機液相における微滴の水相からなるエマルジョンが好ましい。該液滴がμm以下のサイズであるとき、該システムはマイクロエマルジョンとして公知である。“μm以下のサイズ”という用語は、1μm以下、好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.25μm以下、及び特に好ましくは0.1μm以下のサイズを意味することが意図される。マイクロエマルジョン沈降が特に好ましい。
【0031】
理論的な説明で結び付けられることを望まないが、該沈降は水性液相の微滴で行われ、該微滴のサイズが該炭酸カルシウムナノ粒子のサイズを定義すると考えられる。
本発明はまた、150nm以下且つ0.5nm以上の粒子サイズを有する硫酸バリウム又は炭酸カルシウムのナノ粒子が導入された少なくとも1種のポリマーを含む透明なポリマー組成物に関する。
本発明はまた、70nm以下且つ0.5nm以上の小角X線散乱(SAXS)技術によって測定された平均等価球状直径を有する炭酸カルシウムナノ粒子が導入されている少なくとも1種のポリマーを含む透明なポリマー組成物に関する。
“ポリマー組成物”という用語は、少なくとも10質量%の少なくとも1種のポリマーを含む組成物を意味することが意図される。“ポリマー”という用語はその一般的に許容されている意味で用いられ、常にホモポリマー、コポリマー又はホモポリマー及び/又はコポリマーの混合物を意味する。オリゴマーもここではポリマーとして考える。
【0032】
“透明なポリマー組成物”という用語は、4mmの厚みのプレート形態で、少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも90%、及び特に好ましくは少なくとも93%の可視光放射が通過するのを可能にするポリマー組成物を意味することが意図される。該透明性の測定はASTM標準D 1746-03(2003)に従って行われる。
該ポリマーを4mmの厚みのプレートに加工することができないとき、“透明なポリマー組成物”という用語は、100μmの厚みのフィルム形態で、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、及び特に好ましくは少なくとも99%の可視光放射が通過するのを可能にするポリマー組成物を意味することが意図される。該透明性の測定は、ASTM標準D 1746-03(2003)に従って行われる。
【0033】
該ポリマーは結晶質又はアモルファスのポリマーにすることができる。
結晶質ポリマーにより、標準ASTD D 3418-03に従って測定すると15%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは90%以上、及び最も好ましくは95%以上の結晶度を有するポリマーを意味することが意図される。アモルファスポリマーにより、15%未満、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、及び最も好ましくは0.5%以下の結晶度を有するポリマーを意味することが意図される。アモルファスポリマーが好ましい。
【0034】
これらのポリマーは、ポリオレフィン、ビニルポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン、ポルウレタン、ポリアミド、飽和及び不飽和ポリエステル、ポリスルホン、セルロース系ポリマー、アミノ樹脂、ポリカーボネート、α-オレフィン及びビニルモノマーのコポリマー、及びターポリマー、及びそれらの混合物から選択され得る。
これらのポリマーは、好ましくはエポキシ樹脂、ポリアミド、ポリスルホン、セルロース系ポリマー、アミノ樹脂及びポリカーボネートから選択される。
該ポリオレフィンは、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、天然及び合成ゴム、及び環状オレフィンに基づくコポリマーから選択され得る。ポリメチルペンテン、ポリスチレン及び環状オレフィンに基づくコポリマーが好ましい。
該ビニルポリマーは、好ましくは塩素原子を含有しない。これらのビニルポリマーは、好ましくはポリビニルアセテート及びポリメチルメタクリレートから選択される。
【0035】
該シリコーンは修飾シリコーンでもよい。
該飽和ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート又はポリナフタレンテレフタレートでよい。
α-オレフィン及びビニルモノマーのコポリマーは、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、スチレン-アクリロニトリルコポリマー及びスチレン-メチルメタクリレートコポリマーから選択され得る。
該ターポリマーは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマーでよい。
該ポリマーがエポキシ樹脂又はポリカーボネートである透明なポリマー組成物が特に好ましく、ポリカーボネートが最も好ましい。
【0036】
エポキシ樹脂は有機化合物であり、一般的には1分子当たり1個以上のエポキシド基を有するオリゴマーである。これらのオリゴマー化合物は、好適な硬化剤を用いて熱硬化性樹脂に転化することができる。エポキシ樹脂は、例えば注型用樹脂又はラミネート(例えば航空機、車両又は船舶の構造)として用いられる。
エポキシ樹脂を製造するために出発物質と用いられるモノエポキシド化合物は特にエピクロロヒドリンだけでなく、グリシドール、酸化スチレン、酸化シクロヘキセン、及びグリシドールアクリレート及びメタクリレートもある。樹脂は特にビスフェノールAとの反応によって形成される。特異的な樹脂として、他のポリオール、例えば脂肪族グリコールも好適である。液体樹脂はまた、"促進"方法による鎖延長をしてもよい。好適な硬化剤の例は、無水ジカルボン酸又はアミン硬化剤を含む。原理の解明は、例えばUllmanns Enzyklopadie der Technischen Chemie, 4thedition, volume 10, pages 563 - 580 and Kirk-Othmer, Encyclopedia of Cheimcal Technology, 4th edition, volume 9, pages 730 - 755で見出される。
【0037】
高度に好適なエポキシドは、ビスフェノールA及びエピクロロヒドリンに基づくものである。それらは混合物を含んでもよく、例えばビスフェノールF(ビス(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル)エーテル)及びエピクロロヒドリン又はグリシジルエーテルの反応生成物であり、例えば1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルである。非常に有用なエポキシドは、50質量%〜100質量%のビスフェノールA/エピクロロヒドリン、0質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜25質量%のビスフェノールF/エピクロロヒドリン、及び0質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜25質量%の1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテルによるものである。そのような組成を有する一つの市販の生成物は、Epilox M730(登録商標)樹脂(LEUNA-HARZE GmbH)である。
【0038】
高度に好適な硬化剤の例は、ポリオキシアルキレンアミンに基づくものを含む。混合物を用いることもでき、例えばポリオキシアルキレンアミンとシクロヘキサンジアミン又はピペラジニルエチルアミンの混合物である。非常に有用な硬化剤は、例えば、50質量%〜100質量%のポリオキシアルキレンアミン、0質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜25質量%の1,2-シクロヘキサンジアミン(異性体混合物でもよい)、及び0質量%〜50質量%、好ましくは10質量%〜25質量%の2ピペラジン1イルエチルアミンによるものである。そのような組成を有する一つの市販の生成物はEpilox M888(登録商標)(LEUNA-HARZE GmbH)である。
本発明の硬化エポキシ樹脂は、さらなる典型的な成分、例えば硬化促進剤又は顔料などを含んでよい。
該透明なポリマーがエポキシ樹脂の場合、本発明は未硬化及び/又は硬化化合物を用いる。
【0039】
ポリカーボネートは、ジカルボン酸と脂肪族及び芳香族ジヒドロキシ化合物のポリエステルである。芳香族ジヒドロキシ化合物の例は、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、1,1ビス(4ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールC)、2,2ビス(3,5ジブロモ4ヒドロキシフェニル)プロパン(テトラブロモビスフェノールA)及び2,2ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(テトラメチルビスフェノールA)及び1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(BPTMC)及びそれらの混合物である。
ビスフェノールAが好ましいジヒドロキシ化合物である。芳香族ポリエステルブロック、脂肪族ポリエーテルブロック、及びポリシロキサンブロックは、ビスフェノールAで共縮合されていてもよい。
市販のポリカーボネートは、例えばBAYERからのMakrolon(登録商標)ポリカーボネート樹脂である。
【0040】
ポリマー組成物における硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子の含有量は、一般的に全組成物の0.5質量%以上、しばしば1質量%以上、頻繁に5質量%より高く、及び特に10質量%以上である。この含有量は、通常は90質量%以下、通常は75質量%以下、しばしば50質量%以下、頻繁に25質量%以下、及び特に20質量%以下である。
該ポリマー組成物はまた、一般的に当業者に公知の他の成分、例えば熱安定化剤、可塑剤、 耐衝撃性改良剤、潤滑剤、難燃剤、顔料、殺微生物剤、抗酸化剤、光安定化剤及び加工助剤を含有してもよい。
透明なポリマー組成物における充填剤としての硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子の使用は、これらの組成物に向上した特性、例えば衝撃曲げ強度、歪み破断点、ヤング率、曲げ弾性率、引掻抵抗、引張強さ、衝撃抵抗、熱安定性及び可視光及びUV放射安定性を与える。
【0041】
本発明はまた、硫酸バリウム又は炭酸カルシウムのナノ粒子を透明なポリマーに分散させることによって透明なポリマー組成物を製造するための方法に関する。固形物をポリマーに分散させるための任意の公知な方法を用いることができ、例えば溶融混合、溶媒混合、現場重合又はそれらの組み合わせである。
該硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子は、該ポリマーを形成するプロセス、例えば押出、射出成形、吹込成形、回転成形及びカレンダー掛けの間に該ポリマーと混合され得る。この場合の該硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子は、溶媒中の分散系形態又は粉末形態で用いられ得る。
【0042】
該硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子は、このモノマーを重合する前に少なくとも1種のモノマーと混合され得る。この場合の該硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子は、溶媒中の分散系形態又は粉末形態で用いられ得る。
溶融混合及び押出技術は、Plastic, Processing (Gert Burkhardt, Ulrich Husgen, Matthias Kalwa, Gerhard Potsch, Claus Schwenzer, Germany, Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, VCH Publishers, Inc., 1992, Vol. A 20, pp 664-756)に記載されている。
【0043】
透明なポリマー組成物を製造するための方法は以下の工程を含む:
a. 150nm以下且つ0.5nm以上の粒子サイズを有する硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子の粉末又はサスペンションの調製工程、及び
b1. 工程(a)で得られた硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子の粉末又はサスペンションと少なくとも1種のポリマーとの混合工程、又は
b2. 工程(a)で得られた硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子の粉末又はサスペンションと少なくとも1種のモノマーとの混合工程及びこのモノマーの重合工程。
【0044】
第一の特徴では、該ポリマー組成物を調製するための方法が以下の工程を含む:
該ポリマー成分を溶媒に溶解させ、該溶媒における該ポリマー成分の溶液を形成する工程、
該硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子を工程1の溶液に該溶解後又は該溶解中に導入し、第一のサスペンションを製造する工程、
該ポリマー成分の非溶媒を工程2の第一の混合物に注入して該ポリマー成分を沈降させ、該ポリマー成分及び硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子の本質的な混合物の第二のサスペンションを製造する工程、
工程3の本質的な混合物を濾過して固形物を得る工程、及び
工程4で濾過された固形物を乾燥させる工程。
【0045】
該第一の特徴の第一の変形では、該非溶媒が液体形態で導入される。そのような方法はSOLVAY SAの特許出願WO 03/064504に記載されており、その内容を参照としてここに組み込む。該溶媒は好ましくは有機溶媒であり、該非溶媒は好ましくは水である。
該第一の特徴の第二の変形では、該非溶媒は相反転が起こらないような量の液体形態で導入され、さらに少なくとも部分的に蒸気形態で導入される。そのような方法は、SOLVAY SAの特許出願WO 05/014705に記載されており、その内容を参照としてここに組み込む。該溶媒は好ましくは有機溶媒であり、該非溶媒は好ましくは水であり、該蒸気は好ましくはスチームである。
【0046】
第二の特異的な特徴では、透明なポリマー組成物を製造するための方法が以下の工程を含む:
(a)150nm以下且つ0.5nm以上の粒子サイズを有する炭酸カルシウムナノ粒子の調製工程、これは以下の手法による、
i. 有機相における水相のエマルジョンの調製、該エマルジョンは界面活性剤誘導体及びカルシウムイオンの供給源を含有する、
ii. 任意に、有機相における水相エマルジョンの調製、該エマルジョンは界面活性剤誘導体及び炭酸塩イオンの供給源を含有する、
iii. 工程 iで調製されたエマルジョンと二酸化炭素又は工程 iiで調製されたエマルジョンとの混合、
iv. 工程 iiiで得られた混合物を蒸留し、少なくとも軽質なフラクション及び重質なフラクションに分離する(該炭酸カルシウムナノ粒子は該重質フラクションにある)、及び該重質フラクションの回収、
v. 工程 ivからの重質フラクションにおける炭酸カルシウムナノ粒子の沈降、
vi. 工程 vからの沈降炭酸カルシウムナノ粒子を分離及び乾燥して粉末を得る、
vii. 任意に、有機溶媒における該粉末の分散。
(b1)工程(a vi)で得られた炭酸カルシウムナノ粒子の粉末又は工程(a vii)で得られた溶媒における粉末の分散系と少なくとも1種のポリマーとの混合工程、
(b2)工程(a vi)で得られた炭酸カルシウムナノ粒子の粉末又は工程(a vii)で得られた溶媒における粉末の分散系と少なくとも1種のモノマーとの混合、及びこのモノマーの重合工程。
工程(a i)のエマルジョンは、界面活性剤誘導体を含有する有機相における固体カルシウム成分のサスペンションで置き換えることができる。
【0047】
カルシウムイオンの供給源は、酸化カルシウム(生石灰)、水酸化カルシウム(消石灰)、及び塩化カルシウム、及びそれらの混合物から選択され得る。炭酸塩イオンの供給源は、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は重炭酸塩及び二酸化炭素である。二酸化炭素は、純粋又は希釈して気体、液体又は固体で用いることができる。
本発明の方法のこの第二の特徴の第一の実施態様では、酸化又は水酸化カルシウムが工程(a i)で用いられ、アルカリ金属炭酸塩が工程(a ii)で用いられ、工程(a i)で調製されたエマルジョンを工程(a ii)で調製されたエマルジョンと混合する。
本発明の方法のこの第二の特異的な特徴の第二の実施態様では、好ましくは酸化又は水酸化カルシウムが工程(a i)で用いられ、ガス状の二酸化炭素が工程(a iii)で用いられる。
【0048】
該酸化カルシウム(生石灰)は任意の方法で得てもよく、例えば石灰岩の焼成である。該水酸化カルシウムは、酸化カルシウムを水と反応させ、水酸化カルシウムの固形物又は溶液(石灰水)又はサスペンション(乳状石灰、LM)を製造することによって得られ得る。
該二酸化炭素は該生石灰を製造するのに用いられる焼成オーブンから生じ得るか、又は高熱部分又は液体CO2貯蔵所から生じ得る。石灰岩を始めとした生石灰を製造するのに用いられる焼成オーブンから生じる二酸化炭素が好ましい.
【0049】
該有機相は、一般的に150℃より高い沸点を有する芳香族炭化水素及び炭化水素系オイル及び軽質アルコール及び任意に水を含む。
該芳香族炭化水素は例えばトルエンである。
該アルコールは、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル、アルキルアリール又はアラルキル鎖を持つアルコールから選択され得る。アルコールの例は、メタノール及びアルキルフェノールである。
該界面活性剤誘導体は上記されている。
【0050】
工程ivで回収される軽質フラクションは、一般的に150℃以下の沸点を有する化合物を含む。
工程(a iv)で回収された重質フラクションは、一般的に150℃よりも高い沸点を有する化合物及び炭酸カルシウムナノ粒子を含む。
工程ivからの重質フラクションにおける炭酸カルシウムナノ粒子の沈降は、一般的に極性溶媒、例えばケトンを加えることによって行われる。
該炭酸カルシウムナノ粒子の沈降前に、工程(a iv)からの重質フラクションを分離操作、例えば遠心分離に付し、炭酸カルシウムナノ粒子ではない固体粒子を該重質フラクションから除去することができる。
工程(a v)で沈降炭酸カルシウムナノ粒子の分離は任意の方法で行われ、例えば濾過又は遠心分離である。遠心分離が好ましい。
【0051】
該沈降炭酸カルシウムナノ粒子の乾燥は任意の手段で行われる。
固体形態で単離されたナノ粒子は、任意の溶媒に再分散され得る。驚くべきことに、得られた分散液は透明であることが発見された。
該溶媒は、有機及び無機溶媒から選択され得る。有機溶媒が好ましい。
【0052】
従って、本発明はまた、少なくとも1種の有機誘導体を含み且つ150nm以下且つ0.5nm以上の粒子サイズを有する炭酸カルシウムナノ粒子からなる凝集物が0.5質量%より高い割合で導入されている有機溶媒を含む透明な分散剤に関する。
“透明な分散剤”という用語は、ISO標準15715(2003)に従って濁度を有さない分散剤を意味することが意図される。
該有機溶媒は極性でも無極性でもよい。該極性溶媒は、アルコール及びケトンから選択され得る。無極性溶媒は、芳香族及び脂肪族炭化水素から選択され得る。無極性溶媒の例はトルエンである。
【0053】
該溶媒における炭酸カルシウムナノ粒子の含有量は、通常は5質量%より高く、しばしば10質量%以上、頻繁に15質量%以上、及び特に25質量%よりも高い。
これらの組成物では、該炭酸カルシウムナノ粒子は、90質量%、好ましくは95質量%及び特に好ましくは99質量%の該粒子が、平均ESDの90%以上且つ110%以下のSAXSによって測定されるESDを有するような粒子サイズ分布(PSD)を有する。
以下の実施例を用いて本発明を説明するが、特許請求の範囲を限定しない。
【0054】
実施例1(本発明)-本発明で用いられる炭酸カルシウムナノ粒子の調製
該合成は500mLのガラス反応器において室温で行い、磁気バーを用いて磁気攪拌をした。
a)テトラコシルベンゼンスルホン酸(46.5g)を、トルエン(46g)、メタノール(26.6g)及びEXXSOL(登録商標)D80(150g)と混合した。全体を室温で攪拌した。
b)30gの水酸化カルシウム消石灰(Ca(OH)2)を続いてゆっくり加えた。
c)二酸化炭素を該混合物に直接バブリングし、55分間攪拌した。
非常に粘着性な茶色/黒色の液体が得られた。
固体及び上澄み液を遠心分離で分離した。
10mLのこの上澄み液を3mLのヘプタンと混合した。3mLのアセトンを続いて加えた。得られた混合物を1時間2000rpmで遠心分離した。該上澄み液を遠心分離ペレットから分離した。
前述の操作を2度繰り返し、黄色の固体生成物が最終的に単離された。
図1は得られた固形物の走査顕微鏡による写真である。
【0055】
実施例2(本発明)-トルエンにおける炭酸カルシウムナノ粒子の分散
前述の実施例で単離した固体生成物を17質量%の割合でトルエンと混合した。該混合物は目視観察で完全に透明であった。
図2で表されている該トルエンサスペンションのSAXSスペクトルは、5nmの平均等価球状直径(ESD)及び99質量%の該粒子が平均ESDの90%以上且つ110%以下のESDを有するような粒子サイズ分布(PSD)を有する典型的な球形である。
動的光散乱によって測定された平均粒子サイズは7nmである。
【0056】
実施例3及び4(本発明)-硫酸バリウムのナノ粒子の調製
表1に要約されている特性を有する硫酸バリウムナノ粒子が得られた。
硫酸バリウムナノ粒子は、SOLVAY BARIUM STRONTIUM GmbHの特許出願WO 2005/054133の実施例1に従って得られた。
ポリアクリレートはCIBA(BaSO4)からのDispex(登録商標)N40である。リン酸エステルはBYK GmbHからのDisperbyk(登録商標)102である。ポリエーテルカルボキシレートはBASFからのMelpers(登録商標)0030である。
【0057】
実施例5〜7(本発明)-炭酸カルシウムのナノ粒子の調製
表1に要約された特性を有する炭酸カルシウムナノ粒子が得られた。
実施例5の炭酸カルシウムは、炭酸塩化の前に乳状石灰が2%のEDTAを含有すること、及び乾燥した固形物をさらにポリエーテルカルボキシレート(BASFからのMelpers(登録商標)0030)でコーティングしたことを除いてSOLVAY SAの米国特許第6,342,100号明細書の実施例1に従って得られた。
実施例6の炭酸カルシウムは、SOLVAY SAの米国特許第6,342,100号明細書の実施例1に従って得られた。
実施例7の炭酸カルシウムは、SOLVAY SAの米国特許第6,342,100号明細書の実施例1〜3に従って得られた。
【0058】
実施例8〜11(本発明)-硫酸バリウム及び炭酸カルシウムナノ粒子を含有する硬化されたエポキシ樹脂
工程1
実施例3の硫酸バリウムのナノ粒子及び実施例5の炭酸カルシウムのナノ粒子は、分散性添加剤(SKW/DEGUSSAからのポリエーテルカルボキシレートMelpers(登録商標)0030)を用いることによってパールミルでブタノール(40質量%の固体)に機械的に分散させた。低い粘着性を示す該分散系は光学的に非常に透明であり(目視検査)、遠心液体沈殿(Standard ISO 13318-2, 2001)によって測定した粒子サイズ分布の平均粒子直径D50は、硫酸バリウムで68nm及び炭酸カルシウムで51nmであった。
【0059】
工程2
工程1で得られた分散系をAraldite LY 556(HUNTSMANからのビスフェノール-A系エポキシ樹脂)と混合し、溶媒を真空下60℃で除去して50質量%の充填剤が充填されたエポキシ樹脂のマスターバッチを得た。ガラスプレートに堆積した両充填エポキシ樹脂の120μmの厚みの層は、目視検査で透明であった。
工程3
工程2で充填されたエポキシ樹脂(2〜20%)を、Araldite LY 556(100質量部)、Aradur HY 917(HUNTSMANからの無水フタル酸系硬化剤、0.98質量部)及びDY 070(HUNTSMANからのメチルイミダゾール促進剤、0.5質量部)と混合し、2mmの厚みのプレートとして注型し、続いて4時間80℃及び4時間120℃で硬化した。
【0060】
実施例12(本発明によらない)-硫酸バリウムナノ粒子及び炭酸カルシウムナノ粒子を用いない硬化したエポキシ樹脂
硫酸バリウム及び炭酸カルシウムを含有しない硬化エポキシ樹脂を、前述の実施例の工程3に従って調製した。
【0061】
テスト
充填した(実施例8〜11)及び充填していない(実施例12)強化(硬化)材料を、目視検査により透明性、走査型及び透過型電子顕微鏡技術を用いて分散度、及び標準DIN ISO 179-1 Type 1 (2000)を用いて衝撃曲げ強度、標準ISO DIN ISO 527-4 (1997)に従って歪み破断点、ヤング率及び引張強さをテストした。
図3は、2.5質量%の硫酸バリウム(a)及び炭酸カルシウム(b)を含有する硬化エポキシ樹脂の透明性テスト結果を示している。
図4は、2.5質量%の炭酸カルシウムを有する硬化されたエポキシ樹脂のSEM写真を示している。
図5は、2.5質量%の硫酸バリウムを有する硬化されたエポキシ樹脂のSEM写真を示している。
図6は、2.5質量%の炭酸カルシウムを有する硬化されたエポキシ樹脂のTEM写真を示している。
図7は、2.5質量%の硫酸バリウムを有する硬化されたエポキシ樹脂のTEM写真を示している。
表2は機械的テストの結果を要約している。
【0062】
実施例13(本発明)-硫酸バリウムナノ粒子を含有するポリカーボネート
工程1
硫酸バリウムのナノ粒子を含有するポリカーボネートのマスターバッチを、SOLVAY SAのWO 05/014705及びWO 03/064504に記載の手順に従って実施例4のナノ硫酸バリウムをポリカーボネート(Makrolon 2205, BAYER)と混合することによって調製した。
工程2
硫酸バリウムのナノ粒子を含有するポリカーボネートを、そのままのポリカーボネート及び工程1で調製されたマスターバッチの混合物を押出して(CLEXTRAL BC21)小球状にする(SCHEER 50造粒機)ことによって調製した。硫酸バリウムの含有量は6phr(樹脂100部分当たりの部分)である。
【0063】
実施例14(本発明によらない)-BaSO4ナノ粒子を用いないポリカーボネート
硫酸バリウムを工程1で加えないことを除き、実施例13と同一の実験を繰り返した。
テスト
サンプルを調製し、引掻抵抗(標準ISO 1518 (2001)、Sheenからの装置、2000gの荷重)、曲げ弾性率(標準ISO 178、1mm/分の速度、0.05%〜0.25%の曲線の間で採取された部分モジュール)及び衝撃抵抗(標準ISO 899)を試験した。結果を表3に示す。
【0064】
実施例15及び16(本発明)-CaCO3ナノ粒子を含有するポリカーボネート
実施例6及び7の沈降炭酸カルシウムナノ粒子を用いた。
ポリカーボネートポリマー(BAYERからのMakrolon AL 2647、100g)を混合機(BRABENDER GmbH and Co.)に280℃で導入し、該ポリマーの完全な溶融後であって実施例6(実施例15のポリカーボネート)又は実施例7(実施例16のポリカーボネート)の炭酸カルシウム(1g)を導入する前に1分間保持した。得られた混合物を8分間280℃で混合した。熱い混合物を続いてプレスに移してプレスし、数mmの厚みのプレートを得た。
該プレートは標準DIN 6174に従って透明性をテストした。長さ単位に標準化したCielab式から誘導されるLパラメーターを該プレートの透明性の測定値として採取した。結果を表4に要約する。
【0065】
表1

a:X線回折線幅拡大
b:遠心液体沈殿
c:通気性
d:3%のポリアクリレート、15%のリン酸エステル
e:3%のポリアクリレート、8.5%のポリエーテルカルボキシレート
f:2%のEDTA、3%のポリエーテルカルボキシレート
g:2.9%のステアリン酸
【0066】
表2

【0067】
表3

【0068】
表4

【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例1で得られた固形物の走査顕微鏡による写真。
【図2】実施例2のトルエンサスペンションのSAXSスペクトル。
【図3】2.5質量%の硫酸バリウム(a)及び炭酸カルシウム(b)を含有する硬化エポキシ樹脂の透明性テスト結果
【図4】2.5質量%の炭酸カルシウムを有する硬化されたエポキシ樹脂のSEM写真。
【図5】2.5質量%の硫酸バリウムを有する硬化されたエポキシ樹脂のSEM写真。
【図6】2.5質量%の炭酸カルシウムを有する硬化されたエポキシ樹脂のTEM写真。
【図7】2.5質量%の硫酸バリウムを有する硬化されたエポキシ樹脂のTEM写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
150nm以下且つ0.5nm以上の粒子サイズを有する硫酸バリウム又は炭酸カルシウムのナノ粒子の、透明なポリマー組成物における充填剤としての使用。
【請求項2】
該硫酸バリウム又は該炭酸カルシウムが、沈降硫酸バリウム又は沈降炭酸カルシウムである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
用いられる硫酸バリウムのナノ粒子がクラスターの形態であり、該クラスターの少なくとも90%が走査型電子顕微鏡で測定すると2μm未満のサイズを有する、請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
用いられる炭酸カルシウムのナノ粒子がクラスターの形態であり、走査型電子顕微鏡で測定すると、その最大寸法が1nm以上且つ40μm以下であり、且つその最小寸法が0.5nm以上且つ10μm以下である、請求項1又は2記載の使用。
【請求項5】
該粒子が少なくとも1種の有機化合物を含有し、該有機化合物の含有量が該粒子の全質量の0.01%以上且つ90%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
該有機化合物が、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩及びカルボン酸塩の基から選択されるアニオン性の基を生成することのできる少なくとも1種の基を含有する、請求項5記載の使用。
【請求項7】
150nm以下且つ0.5nm以上の粒子サイズを有する硫酸バリウム又は炭酸カルシウムのナノ粒子が導入されている、少なくとも1種のポリマーを含む透明なポリマー組成物。
【請求項8】
該ポリマーが、ポリオレフィン、ビニルポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン、ポルウレタン、ポリアミド、飽和及び不飽和ポリエステル、ポリスルホン、セルロース系ポリマー、アミノ樹脂、ポリカーボネート、α-オレフィン及びビニルモノマーのコポリマー、及びターポリマー、及びそれらの混合物から選択され、且つ該硫酸バリウム又は該炭酸カルシウムのナノ粒子が0.5質量%よりも多い割合で導入されている、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
該ポリオレフィンが、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、天然及び合成ゴム、及び環状オレフィンに基づくコポリマーから選択され、該ビニルポリマーが、塩素原子を含有しないビニルポリマー、好ましくはポリビニルアセテート及びポリメチルメタクリレートから選択され、該シリコーンが修飾シリコーンであり、該飽和ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート及びポリナフタレンテレフタレートから選択され、α-オレフィン及びビニルモノマーのコポリマーが、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、スチレン-アクリロニトリルコポリマー及びスチレン-メチルメタクリレートコポリマーから選択され、及び該ターポリマーがアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマーである、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
以下の工程を含む、透明なポリマー組成物を製造するための方法:
a. 150nm以下且つ0.5nm以上の粒子サイズを有する硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子の粉末又はサスペンションの調製工程、及び
b1. 工程(a)で得られた硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子の粉末又はサスペンションと少なくとも1種のポリマーとの混合工程、又は
b2. 工程(a)で得られた硫酸バリウム又は炭酸カルシウムナノ粒子の粉末又はサスペンションと少なくとも1種のモノマーとの混合工程及びこのモノマーの重合工程。
【請求項11】
工程b1又はb2における混合工程が、押出、射出成形、吹込成形、回転成形及びカレンダー掛けなどの該ポリマーを形成する方法中に行われる、請求項10記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−510248(P2009−510248A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534012(P2008−534012)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067039
【国際公開番号】WO2007/039625
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】