説明

透明電磁波シールドシートおよび透明電磁波シールド板の製造方法

【課題】透明性の高い電磁波シールドシートを効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】次の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする透明電磁波シールドシートの製造方法。
(1)基材樹脂フィルムの表面に2液性エポキシ樹脂からなる接着剤を塗工し、厚さ3〜10μmの接着剤層を形成する工程
(2)前記基材樹脂フィルム表面に形成した接着剤層に、次式(a)、(b)を満足するように導電性メッシュを接合する工程
導電性メッシュの埋没割合(%)=(L2/L1)×100≦50 (a)
10μm≦D≦80μm (b)
(但し、L1は接着剤層の厚み、L2は接着剤層への導電メッシュの埋没深さを表し、また、Dは導電メッシュの線径を表す。)
(3)前記基材樹脂フィルムの裏面に粘着剤層を形成する工程
(4)前記基材樹脂フィルムに形成した粘着剤層に離型フィルムを貼合する工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明電磁波シールドシートおよび透明電磁波シールド板の製造方法に関する。更に詳しくは、電子機器や計測機器等から発生する電磁波を遮蔽するための透明な電磁波シールドシートおよび電磁波シールド板の製造方法およびそれらの製造方法により得られる透明電磁波シールドシートおよび透明電磁波シールド板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CRT(陰極線管)やPDP(プラズマディスプレイパネル)等の映像表示部前面や、電磁波を遮蔽する必要のある窓材等には、透明性を有する電磁波シールド板が取り付けられている。図7は、電磁波シールド板1の概念図を示したものであり、基材樹脂フィルム2、接着剤層3、導電性メッシュ4、粘着剤層5および透明樹脂板6から構成された積層体である。導電性メッシュを使用することにより、電磁波を遮蔽する機能を付与することができる。以下本明細書においては、この種の基材樹脂フィルム2、接着剤層3および導電性メッシュ4からなる形成体をシールドフィルムと呼称する。また、このシールドフィルムにおいて、基材樹脂フィルム2の裏面(接着剤層、導電性メッシュ層を形成する側と反対側の面)に粘着剤層および離型フィルムを形成したものを電磁波シールドシートと呼称する。
【0003】
従来、この種における電磁波シールドシートの製法としては、次のようなものが知られている。
(1)透明性を有するシート面に、粘着材層を介し、あるいは埋め込む等の方法によって導電性メッシュを一体化したもの。
(2)透明性を有するシート面に金属や導電性の化合物を蒸着等によってメッキし薄膜を形成させ、レジストを使用しエッチングにより導電性メッシュを形成したもの。
(3)透明性を有するシート面に導電性のインキによりメッシュ状の印刷を施したもの。
なお、本発明はこれら種類のうち、主として次の(1)の範疇に関するものであるので、以下従来例としてこれに基づき説明する。
【0004】
すなわち前記(1)の例として、特許文献1には、熱可塑性樹脂フィルムと導電性メッシュとを加熱、加圧してフィルム層内に埋め込み、その際埋め込み深さを調節することによって生産性の向上を図るため、メッシュフィルムを粘着材によって合成樹脂板やガラス板等の基板に貼り合せる電磁波シールド板が提案されている。
また、特許文献2には、メッシュを有するガラスや透明高分子材料等の基材と、近赤外線吸収フィルムとを、粘着材を介し流体加圧して貼り合せることにより、光学的性能改善を合わせもった電磁波遮蔽用フィルタが提案されている。
【0005】
更に、特許文献3には、透明性を有する接着剤を薄層状に塗着した透明性を有する耐熱性フィルムを積層した導電メッシュ面を層状に重ね合わせ接合した導電メッシュが目崩れをおこすことなく、透明性の高い電磁波シールドシートの製造方法が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−059084号公報
【特許文献2】特開2003−168887号公報
【特許文献3】特開2005−260194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたメッシュフィルムは、樹脂層に対して熱ロールで導電性メッシュ層を埋め込むことにより樹脂層表面に凸凹を生じやすくなることや、その裏面の粘着材層に異物が付着しやすくなることから透明性が減少し、透過した光線の判別が困難となる。
【0008】
また、熱可塑性樹脂フィルムに導電性メッシュを貼り合せる際、本来このような用途に用いられる導電性メッシュの性状がきわめて柔軟であることから、導電性メッシュロールより熱ロールに到るまでの間で微かな外力が加わっても網目構造が変形し目崩れを起こしやすい。その結果、電磁波シールドの効果が均等にならず、例えばCRT画面の映像が不自然になったりする欠点がある。
【0009】
前記特許文献2に記載された電磁波遮蔽用フィルタは、導電性メッシュと基材とを重ねて流体加圧によって貼り合せるもので、内部歪みや反り、気泡と異物の残存を少なくすることができるので、透明性等一応の光学的効果を発揮できると考えられるものの、バッチ処理によって製造するしかないことから生産性が低く、量産化が難しいという問題がある。
【0010】
また、前記特許文献3に記載された電磁波シールドシートは、熱可塑性樹脂を含む接着剤を薄膜上に塗装した耐熱性合成樹脂フィルムの表面に、剥離性フィルムを積層した導電性メッシュ面を層状に重ね合わせ、該各層を連続的に加熱、加圧処理するものである。 接着剤として熱可塑性樹脂を使用するため、メッシュ貼付時に熱や圧をかける必要があり、やはり生産性に問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記した問題点を解決すべくなされたもので、電磁波シールド性を損なうことなく、透明性の高い電磁波シールドシートおよび電磁波シールド板を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【0012】
すなわち、本発明は次の態様に係る透明電磁波シールドシートおよび電磁波シールド板の製造方法ならびにこれらの方法により製造された透明電磁波シールドシートおよび電磁波シールド板に係るものである。
[1] 次の(1)〜(4)の工程を含む透明電磁波シールドシートの製造方法。
(1)基材樹脂フィルムの表面に2液性エポキシ樹脂からなる接着剤を塗工し、厚さ3〜10μmの接着剤層を形成する工程
(2)前記基材樹脂フィルム表面に形成した接着剤層に、次式(a)、(b)を満足するように導電性メッシュを接合する工程
導電性メッシュの埋没割合(%)=(L2/L1)×100 ≦ 50 (a)
10μm ≦ D ≦ 80μm (b)
(但し、L1は接着剤層の厚み、L2は接着剤層への導電メッシュの埋没深さを表し、また、Dは導電メッシュの線径を表す。)
(3)前記基材樹脂フィルムの裏面に粘着剤層を形成する工程
(4)前記基材樹脂フィルムに形成した粘着剤層に離型フィルムを貼合する工程
[2] 前記[1]に記載の製造方法で得られた透明電磁波シールドシート。
[3] 次の 1)〜 4)の工程を含む透明電磁波シールド板の製造方法。
1)基材樹脂フィルムの表面に2液性エポキシ樹脂からなる接着剤を塗工し、厚さ3〜10μmの接着剤層を形成する工程
2)前記基材樹脂フィルム表面に形成した接着剤層に、次式(a)、(b)を満足するように導電性メッシュを接合する工程
導電性メッシュの埋没割合(%)=(L2/L1)×100 ≦ 50 (a)
10μm ≦ D ≦ 80μm (b)
(但し、L1は接着剤層の厚み、L2は接着剤層への導電メッシュの埋没深さを表し、また、Dは導電メッシュの線径を表す。)
3)前記基材樹脂フィルムの裏面に粘着剤層を形成する工程
4)前記基材樹脂フィルムに形成した粘着剤層に透明樹脂板を貼合する工程
[4] 次の 1)〜 6)の工程を含む透明電磁波シールド板の製造方法。
1)基材樹脂フィルムの表面に2液性エポキシ樹脂からなる接着剤を塗工し、厚さ3〜10μmの接着剤層を形成する工程
2)前記基材樹脂フィルム表面に形成した接着剤層に、次式(a)、(b)を満足するように導電性メッシュを接合する工程
導電性メッシュの埋没割合(%)=(L2/L1)×100 ≦ 50 (a)
10μm ≦ D ≦ 80μm (b)
(但し、L1は接着剤層の厚み、L2は接着剤層への導電メッシュの埋没深さを表し、また、Dは導電メッシュの線径を表す。)
3)前記基材樹脂フィルムの裏面に粘着剤層を形成する工程
4)前記基材樹脂フィルムに形成した粘着剤層に離型フィルムを貼合する工程
5)前記基材樹脂フィルムに貼合した離型フィルムを剥離し、粘着剤層を表出する工程
6)前記表出した基材樹脂フィルム上の粘着剤層に透明樹脂板を貼合する工程
[5] 前記[3]または[4]に記載の製造方法で得られた透明電磁波シールド板。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、電磁波シールド性を損なうことなく、透明性の高い電磁波シールドシートおよび電磁波シールド板、ならびにそれらを効率よく製造する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明につき詳しく説明する。なお、本発明における電磁波シールドシートは、透視性を必要とする映像表示部や窓材に適用することができ、またシールドシートを構成する基材樹脂フィルムに透明樹脂板を貼合することによって、特に強度を必要とする場合の用途に適用することができる。
【0015】
先ず本発明の第1の好ましい態様は、次の(1)〜(4)の工程を含む透明電磁波シールドシートの製造方法に係るものである。
(1)基材樹脂フィルムの表面に2液性エポキシ樹脂からなる接着剤を塗工し、厚さ3〜10μmの接着剤層を形成する工程
(2)前記基材樹脂フィルム表面に形成した接着剤層に、次式(a)、(b)を満足するように導電性メッシュを接合する工程
導電性メッシュの埋没割合(%)=(L2/L1)×100 ≦ 50 (a)
10μm ≦ D ≦ 80μm (b)
(但し、L1は接着剤層の厚み、L2は接着剤層への導電メッシュの埋没深さを表し、また、Dは導電メッシュの線径を表す。)
(3)前記基材樹脂フィルムの裏面に粘着剤層を形成する工程
(4)前記基材樹脂フィルムに形成した粘着剤層に離型フィルムを貼合する工程
【0016】
第(1)工程は、基材樹脂フィルムの表面に接着剤層を形成する工程であり、接着剤として2液性エポキシ樹脂からなる接着剤を使用し、基材樹脂フィルムの裏面に接着剤を塗工し、3〜10μmの接着剤層を構成する。
【0017】
本発明において、基材樹脂フィルムとは、耐熱性および透明性を有する樹脂フィルムであり、具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ナイロン樹脂(NY)等が挙げられ、これらから選択した材料をフィルム状にしたものを使用する。このフィルムの性状としては、厚さ10〜100μm程度、溶融温度120℃以上のものが用いられ、中でもPET、PC、PMMA等は好適に用いることができる。しかし、これらの要求される条件を満たす樹脂であれば前記の材料に限定するものではない。
【0018】
次に、本発明において、接着剤層とは、前記基材樹脂フィルム上に塗工された接着剤の層である。本発明で使用される接着剤は、2液性エポキシ樹脂であり、例えばビスフェノールAやクレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンを縮合反応させたエポキシ樹脂プレポリマーに、アミン等の硬化剤を加えグラフト反応により三次元高分子として硬化、接着するタイプのものである。2液性エポキシ樹脂は、プリキュアでの初期接着性が高いこともあり、本発明の接着剤層として好適に使用される。
本発明で使用される2液性エポキシ樹脂は、最終的な基材樹脂と導電性メッシュとの接着力が0.10N/mm以上であり、また、仮接着時のボールタック試験で2以上、好ましくは3以上であることが求められる。また、本発明の目的から樹脂自体に透明性があることが求められる。かかる2液性エポキシ樹脂としては、具体的には、HBAD066(荒川化学工業株式会社製:商品名)が挙げられる。
【0019】
本発明の2液性エポキシ樹脂からなる接着剤層は、層の厚さが3〜10μm 、好ましくは5〜10μmのものが使用される。厚さが3μm未満であると後述する導電性メッシュとの接合が不十分となり、一方、10μmを超えると導電メッシュの間に接着剤が入り込む割合(導電メッシュの埋没量)が多くなり、製品である電磁波シールドシートや電磁波シールド板の透明性が保持できない。
【0020】
基材樹脂フィルムの表面への接着剤の塗工は、例えば、塗工機を使用し、接着剤の2液性エポキシ樹脂を特定の厚さに連続的に塗工することにより行われる。その後、接着剤層が付与された基材樹脂フィルムは、乾燥炉を通過する間に加熱・乾燥され、溶媒が蒸発し、半硬化状態の接着剤層となる。
加熱・乾燥は、使用する2液性エポキシ樹脂にもよるが、温度80〜110℃、好ましくは90〜100℃で行われる。加熱・乾燥は、好ましくは2段階以上で行われ、例えば2段の場合には、前段の温度を80〜95℃、後段の温度を95〜110℃で行う。加熱・乾燥温度が80℃未満では、2液性エポキシ樹脂中の溶媒除去が不十分なため膜厚変動の原因となり、一方、110℃を超えると2液性エポキシ樹脂が硬化しすぎて第2工程での導電性メッシュの接合が不十分となる。
【0021】
第(2)工程は、前記第(1)工程で得られた接着剤層に導電性メッシュを接合する工程である。本発明の特徴の一つはこの工程にあり、導電性メッシュの接着剤層への埋没割合を50%以下となるように接合することが求められる。
【0022】
ここで、本発明において使用される導電性メッシュは、材質がステンレス、銅、真鍮等の金属、ポリエステル等の合成樹脂に金属メッキをしたものが好ましく、線径(単線の断面の直径)は10〜80μm、好ましくは30〜50μmであり、目開きは100〜300μm、好ましくは160〜250μmの格子状のものが好適に使用される。
一般には、メッシュサイズは、画面の見易さの点から60〜250メッシュ程度の範囲であり、好ましくは100〜132メッシュである。
【0023】
導電性メッシュは、前記基材樹脂フィルム上に塗工された接着剤層に埋没する形で接合される。本発明でいう接着剤層への導電メッシュの埋没割合について、図面に基づき説明する。図1は、本発明の電磁波シールドシートを構成するシールドフィルムの断面を模式的に示した図であり、図2はその拡大図である。図中、基材樹脂2の片面に接着剤層3が形成されており、導電性メッシュ4が接着剤層に埋没する形で接合されている。また図中、4aは、線径、即ち単線断面の直径Dを有する導電性メッシュの単線の断面図である。一方、接着剤層3は、L1の層厚を有し、L2分導電メッシュが埋没していることを示している。ここに導電メッシュの接着剤層への埋没割合は、次のように表される。
導電性メッシュの埋没割合(%)=(L2/L1)×100 ≦ 50 (a)
好ましくは、20 ≦(L2/L1)×100 ≦ 40
10μm ≦ D ≦ 80μm (b)
好ましくは、30μm ≦ D ≦ 50μm
(但し、L1は接着剤層の厚み、L2は接着剤層への導電メッシュの埋没深さを表し、また、Dは導電メッシュの線径を表す。)
即ち、本発明の導電メッシュの埋没割合は、導電メッシュの単線断面の接着剤層への埋没割合で、50%以下であることが求められる。好ましくは、埋没割合は、20〜40%である。埋没割合が50%を超えると、メッシュ部分に埋没した接着剤が、凹凸面を生じやすく透明性が悪くなる。即ち、本発明では、接着剤層を出来るだけ薄くし、メッシュの埋没割合を小さくすることにより、導電メッシュ接合層の透明性を保持するものである。
【0024】
基材樹脂フィルム上に塗工された接着剤層への導電性メッシュの接合は、ラミロール等を使用し連続的に行うことが出来る。通常ラミロールは70〜90℃に制御される。
この段階では、導電性メッシュは接着剤層の接着剤と半硬化状態で仮接着され、引き続き、接着剤である2液性エポキシ樹脂を完全に硬化させるために70〜90℃で加熱される。加熱は、上記接合に引き続き連続的に行っても良く、オフラインで別途加熱炉を使用して行っても良い。加熱は、通常30分以上、好ましくは4時間以上、より好ましくは6時間以上行われる。
なお、導電性メッシュは、メッシュの変形(目崩れ)を防止する為に、予めメッシュを剥離フィルムに貼り合わせたものを用いることもできる。
【0025】
上記第(1)工程と第(2)工程により、基材樹脂フィルム、接着剤層および導電メッシュからなる積層フィルム(シールドフィルム)が得られる。この積層フィルムは、透視性を必要とする映像表示部や窓材に適用することができ、またシールドシートを構成する基材樹脂フィルムに透明樹脂板を貼合することによって、特に強度を必要とする場合の用途に適用することができる。
【0026】
第(3)工程は、基材樹脂フィルムの裏面(接着剤層、導電性メッシュ層を形成する側と反対側の面、以下本明細書において裏面と称する)に粘着剤層を形成する工程である。
【0027】
本発明において、粘着剤層とは、基材樹脂フィルムの裏面に粘着性を持たせるために形成される層であり、粘着剤層は、基材樹脂フィルム自体に粘着剤を塗工して構成してもよく、あるいは両面粘着テープを貼合したものであってもよい。かかる粘着剤としては、粘着性と耐候性の観点から市販のアクリル樹脂系粘着剤を好適に使用することができる。
本発明に用いる粘着剤、および両面粘着テープとしては、透明性を有することは当然であるが、カットする際のカット面において透明樹脂板と剥離することを防止するため、適度のボールタック性(ぺタ付き感)を有することが好ましい。このボールタック性を高める為には、アクリル樹脂に可塑剤としてアクリル樹脂オリゴマー(以下、オリゴマー)を配合した粘着剤を用いることが特に有用である。
これらに適した物性を有するアクリル樹脂としては、例えばSKダイン2094(綜研化学株式会社製:商品名)が挙げられ、またオリゴマーとしては、例えばUD1021(東亜合成株式会社製:商品名)等が挙げられる。その配合割合は、アクリル樹脂に対して10〜25%、好ましくは15〜20%混合したものが好適に使用される。それ以上の配合割合では耐熱性が低下し、それ以下配合割合ではカット性が低下するおそれがある。
【0028】
粘着剤として、アクリル系樹脂粘着剤を使用する場合は、第(1)工程と同様に、例えば塗工機を使用し、粘着剤を特定の厚さに連続的に塗工することにより行われる。その後、粘着剤が付与された基材樹脂フィルムは、乾燥機を通過する間に加熱され、また溶媒を蒸発されるために乾燥され粘着剤層となる。粘着剤層の厚さは、通常10〜30μm、好ましくは20〜25μmである。10μm未満では、粘着力が低く、30μmを超えると、所謂「モアレ」が発生し、視認性が悪くなる。
加熱・乾燥は、使用するアクリル系樹脂粘着剤にもよるが、温度80〜110℃、好ましくは90〜100℃で行われる。加熱・乾燥は、好ましくは2段階以上で行われ、例えば、2段階の場合には、前段の温度を80〜95℃、後段の温度を95〜110℃で行う。加熱・乾燥温度が80℃未満では、アクリル系樹脂粘着剤を溶解した溶媒除去が不十分となり充分な接着性を有さず、一方、110℃を超えるとアクリル系樹脂粘着剤が変質して視認性に影響する。
【0029】
一方、両面テープを使用する場合は、後述のように加熱・乾燥は必要ではなく、送り出しロールから送りだされた両面テープがラミネータロールにて常温で基材樹脂に貼合される。
【0030】
次に、第(4)工程は、前記粘着剤層に離型フィルムを貼合する工程である。
離型フィルムは、上記粘着剤層の粘着性を保護するためのフィルムであり、離型フィルムとしては、可撓性を有する軟質の合成樹脂フィルムや通常用いられるような離型紙等が使用される。例えば、延伸ポリプロピレン樹脂(OPP)やポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)をシリコン処理、フッ素処理した樹脂フィルムが好ましく使用され、厚さは、通常5〜50μm程度のものが好適である。
【0031】
前記粘着剤層に離型フィルムを貼合は、前記第(2)工程と同じく、基材樹脂フィルム上に塗工された粘着剤層への離型フィルムの貼合は、ラミロール等を使用し連続的に行うことが出来る。ラミロールは加温することなく室温で運転される。
【0032】
上記第(1)工程から第(4)工程を経て製造された本発明の透明電磁波シールドシートは、導電性メッシュ、接着剤層、基材樹脂フィルム、粘着剤層および離型フィルムから構成され、そのまま上市されるほか、透明電磁波シールド板へ更に加工される。
【0033】
本発明の第2の好ましい態様は、次の 1)〜 4)の工程を含む透明電磁波シールド板の製造方法に係るものである。
1)基材樹脂フィルムの表面に2液性エポキシ樹脂からなる接着剤を塗工し、3〜10μmの接着剤層を形成する工程
2)前記基材樹脂フィルム表面に形成した接着剤層に、次式(a)、(b)を満足するように導電性メッシュを接合する工程
導電性メッシュの埋没割合(%)=(L2/L1)×100 ≦ 50 (a)
10μm ≦ D ≦ 80μm (b)
(但し、L1は接着剤層の厚み、L2は接着剤層への導電メッシュの埋没深さを表し、また、Dは導電メッシュの線径を表す。)
3)基材樹脂フィルムの裏面に粘着剤層を形成する工程
4)前記粘着剤層に透明樹脂板を貼合する工程
【0034】
本発明の透明電磁波シールド板の製造方法において、第 1)工程から第 3)工程までは、前記透明電磁波シールドシートの第(1)工程から第(3)工程に同じであり、透明電磁波シールド板の製造方法においては、前記透明電磁波シールドシートの第(4)工程で用いる離型フィルムの代わりに、第4)工程で透明樹脂板を粘着剤層に貼合する。
【0035】
透明樹脂板としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアクリル酸メチル樹脂(PMA)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ナイロン樹脂(NY)等が挙げられ、これらから選択した材料を板状にしたものを使用する。この透明樹脂板としては、厚さ0.5〜10mm程度、溶融温度80℃以上のものを用い、これらから特にPET、PC、PMMA等は好適に用いることができる。しかし、これらの要求される条件を満たす樹脂であれば前記の材料に限定するものではない。
【0036】
透明樹脂板の粘着剤層への貼合は、前記透明電磁波シールドシートの第(4)工程と同様に行われる。即ち、基材樹脂フィルム上に塗工された粘着剤層への透明樹脂板の貼合は、ラミロール等を使用し連続的に行うことが出来る。ラミロールは通常加温することなく室温で運転される。
【0037】
上記第 1)工程から第 4)工程を経て製造された本件発明の透明電磁波シールド板は、導電性メッシュ、接着剤層、基材樹脂フィルム、粘着剤層および透明樹脂板から構成され、特に強度を必要とする場合の用途に適用することができる。
【0038】
さらに、本発明の第3の好ましい態様としての透明電磁波シールド板は、上記透明電磁波シールドシートを基に、次の2工程を経ても製造することができる。
即ち、上記第(1)工程から第(4)工程を経て製造された、導電メッシュ、接着剤層、基材樹脂フィルム、粘着剤層および離型フィルムから構成される透明電磁波シールドシートに、更に次の第5)、第 6)工程を加えることにより透明電磁波シールド板を得ることができる。
【0039】
第5)工程は、前記粘着剤層に貼合した離型フィルムを剥離し、粘着剤層を表出する工程であり、第6)工程は、表出粘着剤層に新たに透明樹脂板を接合する工程である。これらの工程は、通常オフラインで行われるが、連続法であってもよい。
【0040】
以下、本発明における具体的態様につき、図を参照しながら詳細に説明する。
【0041】
図1は、本発明にかかる電磁波シールドシートおよび電磁波シールド板を構成するシールドフィルム10を概念的に示したものである。導電メッシュ4(導電メッシュの断面4a)が接着剤層3から表出しており導電性も高く、かつ接着剤層3への導電メッシュ4の埋没量が殆どなく透明性を保持している。
図3は、熱可塑性樹脂を接着剤として使用した従来の電磁波シールド板を構成するシールドフィルム10を概念的に示したものである。導電メッシュ4(導電メッシュの断面4a)が、基材樹脂フィルム2上に塗工された接着剤層3に完全に埋没しており、シールドフィルム10(ひいては、電磁波シールド板1)の透明性は良いが、導電性が無いか、導電性が悪いという問題がある。
図4は、本発明の比較例にかかる電磁波シールド板を構成するシールドフィルム10を概念的に示したものである。導電メッシュ4(導電メッシュの断面4a)が接着剤層3から表出しており導電性は良いが、接着剤層3への導電メッシュ4の埋没割合が大きいためシールドフィルム10は視認性が悪い。
【0042】
図5は、本発明の透明電磁波シールドシートおよびシールド板を製造するための塗工装置の概念図である。図中101は基材樹脂フィルムを送り出しロール、102は塗工機のバックロール、103はコンマヘッド、104は乾燥炉、105,106,107は案内ロール、108はラミネータロール、109は巻き取ロール、110は導電性メッシュの送り出しロールである。本装置により、シールドフィルムを製造する。
図6は、同様な塗工装置であり、送り出しロール101からシールドフィルムを送り出し、また、送り出しロール110から離型フィルムを送り出し、シールドフィルムから本発明の透明電導性シールドシートを製造する。
【0043】
電磁波シールドシートは、オフラインで離型フィルムが剥離され、別途用意した透明樹脂板を表出した粘着剤層に貼合することにより電磁波シールド板を製造することができる。
なお、本発明の透明電磁波シールドシートおよび透明電磁波シールド板の製造方法の具体的態様は次の実施例の中で詳述する。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、透明電磁波シールドシート等の物性評価は次の方法によった。
【0045】
(1)全光線透過率(単位:%)
JIS −K −7361 に準拠し、「タッチパネル式ヘーズコンピュータ(スガ試験機株式会社)」を使用し、次の条件で測定した。
試験片サイズ:50mm×50mm
試験環境温度:23℃±2℃
試験環境湿度:50%±5%
光源 :ハロゲンランプ 12V 20W
(2)接着力(単位:N/mm)
JIS Z0237に準拠し、「オートグラフ AGS−100D」を使用して、次の条件で導電メッシュと基材樹脂(PET)の接着力を測定した。
180°引き剥がし試験片(PET+粘着剤):25×150(mm) n=3
被着体:アクリル樹脂板(3mm) 引っ張り速度:300mm/min
(3)ボールタック
JIS Z0237に準拠し、次の条件で測定した。
試験片(PET+粘着剤):15×300(mm) n=3
スチールボール:No3〜No31
(4)粘着力(単位:N/mm)
JIS Z0237に準拠し、「オートグラフ AGS−100D」を使用して、次の条件で透明樹脂板と基材樹脂(PET)の粘着力を測定した。
180°引き剥がし試験片(PET+粘着剤):25×150(mm) n=3
被着体:アクリル樹脂板(3mm) 引っ張り速度:300mm/min
(5)保持力(単位:min)
次の方法により、粘着剤の保持力を測定した。なお、本試験方法は、本出願人によって定めた試験規格である。
a.試験治具となる長さ50mm、幅25mm、厚さ1.0mmのアクリル樹脂板に、試験に用いる長さ45mm、幅25mmシールドシートの粘着面を、前記試験治具の幅方向全体に、長方1端部より25mm外してシールドシートの貼合長さが25mm、非貼合部分が20mmとなるよう貼合した。
b.前記試験治具とシールドシートとの貼合部分(25mm×25mm)の表面に、荷重2kgのローラを押当てて往復させた後、23℃(室温)で30分間静置し養生した。
c.前記シールドシートを貼着した試験治具の長方1端部を上にして垂直に吊下げるとともに、シールドシートの非貼合端部(25mm×20mm)にクリップを取り付け、クリップの下方に1kgの荷重をかけて40℃に維持した。
d.シールドシートが試験治具より剥離し落下した時間をタイマーによって測定した。24時間内に落下しなかった場合は、試験治具とシールドシートとのズレを測定した。
(6)視認性
シールドフィルムとアクリル樹脂板(3mm)をラミ装置にて貼り合わせ、目視にて、画面の歪みや曇りが無いかを確認した。
【0046】
また、実施例および比較例で使用した基材樹脂、接着剤、粘着剤等は次のものである。
【0047】
(1)基材樹脂
ルミラー(PETフィルム:東レ株式会社製、製品名):厚さ75μm
(2)接着剤
(A1)HBAD066(2液性エポキシ樹脂;荒川化学工業株式会社製、商品名):固形分15.3%
(A2)AS315(1液性エポキシ樹脂;東亜合成株式会社製、商品名):固形分30%
(A3)ダイヤコート BR−64(アクリル樹脂;三菱レイヨン株式会社製、商品名):固形分40%、ガラス転移点(Tg)55℃
(A4)PES360AS30(ポリエステル樹脂;東亜合成株式会社製、商品名):固形分30%、ガラス転移点(Tg)65℃
(A5)コンポセランE−102(2液性エポキシ樹脂;荒川化学工業株式会社製、商品名):固形分50.7%
(3)導電性メッシュ
#132(セーレン株式会社 型番Su−4G−13227)
#100(セーレン株式会社 型番Su−4G−10005)
(4)粘着樹脂(組成物)
(B1)SKダイン 2094(アクリル系樹脂接着剤;綜研化学株式会社製、商品名):固形分25%、粘度3750mPa・s
(B2)SKダイン 2094とUD1021(アクリル系オリゴマー樹脂;東亜合成株式会社製、商品名)の粘着剤組成物(UD1021:15%):粘度3510mPa・s
(B3)SKダイン 2094とUD1021(アクリル系オリゴマー樹脂;東亜合成株式会社製、商品名)の粘着剤組成物(UD1021:20%):粘度3500mPa・s
(5)離型フィルム
フィルムバイナ(PET、:藤森工業株式会社製;商品名):厚さ25μm
(6)両面テープ
HJ−3160W(アクリル系樹脂ベース;日東電工株式会社;商品名):基材樹脂PET;厚さ25μm
(7)透明樹脂板
アクリプレン(PMMA樹脂:三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、商品名):厚さ3mm
【0048】
実施例1
(1)接着剤塗工液の調整
エポキシ樹脂よりなる主剤100重量部に対して、アミン系硬化剤0.19重量部を添加した混合粘稠液に、有機溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)20重量部を加えて粘度調整し、300rpmで5分間撹拌した。そしてこの溶液を真空脱泡(減圧脱泡)し接着剤として調整した。
(2)粘着剤塗工液の調整
アクリル樹脂よりなる主剤100重量部(固形物換算25重量部)に対して、イソシアネート系硬化剤E−AX(綜研株式会社製、商品名)0.5重量部を添加し、可塑剤としてアクリル樹脂系オリゴマーを7.5部添加した混合粘稠液に、有機溶剤として酢酸エチル15重量部を加えて粘度調整し、300rpmで5分間撹拌した。そしてこの溶液を真空脱泡(減圧脱泡)し粘着剤として調整した。
【0049】
(3)塗工処理
次に、図5を参照しながら塗工方法について説明する。
塗工装置(株式会社ヒラノテクシード製、コンマダイレクトコーター;型番TM-MC)を使用して、先ず、シールドフィルムを作製した。
回巻した基材樹脂フィルムとしてルミラー(PETフィルム、75μm)を送り出しロール101から塗工機のバックロール102に送り、その上に接着剤層用の塗工液を乗せ、PETフィルム上とコンマヘッド103との間隙を100μmに調整し均一に塗工した。そして乾燥炉104に送り、温度90℃、通過時間30秒間、温度100℃、通過時間30秒間の2段階で揮発分を蒸発させ、接着剤を有する塗工シートとした。塗工シートは案内ロール106,107を経て、ラミネータロール108により80℃で、別途送り出しロール110から送り出した導電性メッシュ(#132;線径30μm)と接合され、その後巻き取ロール109に巻き取った。
この基材樹脂層上に接着剤層および導電性メッシュ層が形成された積層シートは、さらに巻き取ったロールごと乾燥機内(図示せず。)に収容し、温度80℃、6時間の条件下で基材樹脂フィルム上の接着剤を完全に硬化させてシールドフィルムを得た。このときのシールドフィルムの膜厚は約140μmであった。
シールドフィルムの基材樹脂と導電性メッシュとの接着に使用した接着剤の物性を、各試験に必要な所定長さに裁断したシールドフィルムを用いて評価した。
【0050】
比較例1〜4
実施例1のシールドフィルムの作製において、接着剤および塗工条件を表1に示すように変えた以外は、同様に行い各シールドフィルムを得た。なお、熱硬化性エポキシ系樹脂接着剤を使用した場合は、基材樹脂と導電性メッシュを加熱接合(熱ラミ)後、80℃で6時間以上の硬化を行った。
【0051】
前記実施例1および比較例1〜4に基づく試験結果を表1に示す。
接着剤を選定するための評価は、ボールタック力、PETよりなる基材樹脂フィルムと導電性メッシュとの接着力、および光透過性の観点から行った。その結果、表1に示すとおり、熱可塑性のアクリル樹脂系、1液性エポキシ樹脂系の場合は接着力、光透過性ともに十分な性能がなく、ポリエステル系の接着剤の場合は光透過性が良好であっても接着力に十分な性能が得られなかった。これに対して2液性エポキシ樹脂系の場合は光透過性に優れ、また接着塗工液の調整と塗工処理を最適に調整することにより、本発明を実現するに十分な接着力[0.1N/mm]を具備していることが判明した。
【0052】
次に、シールドフィルムィルムから本発明の透明電磁波シールドシートの製造方法につき図6を参照しながら説明する。
巻取ロールに巻き取られたシールドフィルムを、再び前記送り出しロール101の位置に戻し、シールドフィルムの基材樹脂フィルム(PETフィルム)の裏面上に粘着剤層用の塗工液を乗せ、PETフィルム上とコンマヘッド103との間隙を170μmに調整し、均一に塗工した。そして乾燥炉104に送り、温度90℃、通過時間30秒間、温度100℃、通過時間30秒間の2段階で揮発分を蒸発させた。この粘着剤層の被膜上に、離型フィルム(PET、25μm)を送り出しロール110からラミネータロール108に供給し、離型フィルムを粘着剤層に貼合しつつ巻取ロール109に巻き取り本実施例の透明電磁波シールドシートを得た。
【0053】
オフラインで透明電磁波シールドシートの離型フィルムを剥離し、透明樹脂板としてアクリプレン(PMMA樹脂、厚さ3mm)を貼合し透明電磁波シールド板を得た。
基材樹脂と透明樹脂板との貼合用に使用した粘着剤の物性を、各試験に必要な所定長さに裁断したシールド板を用いて評価した。試験結果を表2に示した。
【0054】
実施例2〜4
実施例1のシールドシートの作製において、粘着剤および塗工条件を表2に示すように変えた以外は、同様に行い各シールド板を得た。試験結果を表2に示す。
【0055】
実施例5
実施例1のシールドシートの作製において、粘着剤として両面テープ(HJ−3160(日東電工株式会社)を使用した以外は、同様に行いシールドシートを得た。基材樹脂層と離型フィルムとの粘着力は、0.565[N/mm]、保持力は12時間以上であり、シールドシートの透過性も良好であった。
【0056】
実施例6、7および比較例5、6
シールドフィルムの導電性と光透過性を、表3に示すように接着剤層の厚みと導電性メッシュの単線断面の接着剤層への埋没割合を変化させることにより検討した。検討結果を併せて表3に示した。
なお、表面抵抗値は、シールドフィルムのメッシュ面に25mm間抵抗測定冶具を乗せて測定した。また、光透過性は全光線透過率(単位%)および目視により判断した。○は光透過性良好、△は光透過性を有するが、若干のモアレが観察される、×は白濁し完全に光透過性が損なわれていることを示す。導電性メッシュの単線断面の接着剤層への埋没割合は、シールドフィルムの断面をマイクロスコープに観察し、測定した。
【0057】
【表1】




【0058】
【表2】




【0059】
【表3】




【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の方法により製造した電磁波シールドシートは、電磁波を遮蔽する必要のある電子機器や計測機器等、広範囲の機器に装着し利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の電磁波シールドシートを構成するシールドフィルムの断面を模式的に示した図である。
【図2】本発明の接着剤層への導電性メッシュの埋没を示す概念図である。
【図3】従来の電磁波シールドシートを構成するシールドフィルムの断面を模式的に示した図である。
【図4】本発明の比較例に係る電磁波シールドシートを構成するシールドフィルムの断面を模式的に示した図である。
【図5】本発明の電磁波シールドシートを構成するシールドフィルムの製造装置の概念図である。
【図6】本発明の電磁波シールドシートの製造装置の概念図である。
【図7】一般的な電磁波シールド板の概念図(断面)である。
【符号の説明】
【0062】
1 透明導電性シールド板
2 基材樹脂フィルム
3 接着剤層
4 導電性メッシュ
4a 導電性メッシュ(単線断面)
5 粘着剤層
6 透明樹脂板
10 シールドフィルム
101 送り出しロール
102 バックロール
103 コンマヘッド
104 乾燥炉
105 案内ロール
106 案内ロール
107 案内ロール
108 ラミネータロール
109 巻取ロール
110 送り出しロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする透明電磁波シールドシートの製造方法。
(1)基材樹脂フィルムの表面に2液性エポキシ樹脂からなる接着剤を塗工し、厚さ3〜10μmの接着剤層を形成する工程
(2)前記基材樹脂フィルム表面に形成した接着剤層に、次式(a)、(b)を満足するように導電性メッシュを接合する工程
導電性メッシュの埋没割合(%)=(L2/L1)×100 ≦ 50 (a)
10μm ≦ D ≦ 80μm (b)
(但し、L1は接着剤層の厚み、L2は接着剤層への導電メッシュの埋没深さを表し、また、Dは導電メッシュの線径を表す。)
(3)前記基材樹脂フィルムの裏面に粘着剤層を形成する工程
(4)前記基材樹脂フィルムに形成した粘着剤層に離型フィルムを貼合する工程
【請求項2】
前記2液性エポキシ樹脂からなる接着剤の接着力が、0.1N/mm以上である請求項1に記載の透明電磁波シールドシートの製造方法。
【請求項3】
前記導電性メッシュの埋没割合が2〜40%となる請求項1または2に記載の透明電磁波シールドシートの製造方法。
【請求項4】
前記粘着剤層が、粘着剤を塗工したものである請求項1から3のいずれかに記載の透明電磁波シールドシートの製造方法。
【請求項5】
前記請求項1から4のいずれかに記載の製造方法で得られた透明電磁波シールシート。
【請求項6】
次の 1)〜 4)の工程を含むことを特徴とする透明電磁波シールド板の製造方法。
1)基材樹脂フィルムの表面に2液性エポキシ樹脂からなる接着剤を塗工し、厚さ3〜10μmの接着剤層を形成する工程
2)前記基材樹脂フィルム表面に形成した接着剤層に、次式(a)、(b)を満足するように導電性メッシュを接合する工程
導電性メッシュの埋没割合(%)=(L2/L1)×100 ≦ 50 (a)
10μm ≦ D ≦ 80μm (b)
(但し、L1は接着剤層の厚み、L2は接着剤層への導電メッシュの埋没深さを表し、また、Dは導電メッシュの線径を表す。)
3)前記基材樹脂フィルムの裏面に粘着剤層を形成する工程
4)前記基材樹脂フィルムに形成した粘着剤層に透明樹脂板を貼合する工程
【請求項7】
次の 1)〜 6)の工程を含むことを特徴とする透明電磁波シールド板の製造方法。
1)基材樹脂フィルムの表面に2液性エポキシ樹脂からなる接着剤を塗工し、厚さ3〜10μmの接着剤層を形成する工程
2)前記基材樹脂フィルム表面に形成した接着剤層に、次式(a)、(b)を満足するように導電性メッシュを接合する工程
導電性メッシュの埋没割合(%)=(L2/L1)×100 ≦ 50 (a)
10μm ≦ D ≦ 80μm (b)
(但し、L1は接着剤層の厚み、L2は接着剤層への導電メッシュの埋没深さを表し、また、Dは導電メッシュの線径を表す。)
3)基材樹脂フィルムの裏面に粘着剤層を形成する工程
4)前記基材樹脂フィルムに形成した粘着剤層に離型フィルムを貼合する工程
5)前記基材樹脂フィルムに貼合した離型フィルムを剥離し、粘着剤層を表出する工程
6)前記表出した基材樹脂フィルム上の粘着剤層に透明樹脂板を貼合する工程
【請求項8】
前記2液性エポキシ樹脂からなる接着剤の接着力が、0.1N/mm以上である請求項6または7に記載の透明電磁波シールド板の製造方法。
【請求項9】
前記導電性メッシュの埋没割合が2〜40%となる請求項6から8のいずれかに記載の透明電磁波シールド板の製造方法。
【請求項10】
前記粘着剤層が、粘着剤を塗工したものである請求項6から9のいずれかに記載の透明電磁波シールド板の製造方法。
【請求項11】
前記請求項6から10のいずれかに記載の製造方法で得られた透明電磁波シールド板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−153548(P2010−153548A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329440(P2008−329440)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(391020078)日本ジッパーチュービング株式会社 (13)
【Fターム(参考)】