説明

透析チューブと輸液チューブ及びこれ等の製造方法

【課題】血液の粘度を低くすることで、血液をスムーズに人工腎臓に循環させる。循環される血液に効果的に遠赤外線を照射できる透析チューブを簡単かつ容易に、しかも安価に多量生産する。
【解決手段】透析チューブは、赤外線を放射する天然石を粉砕してなる天然石粉末3を円筒状にしてなる天然石粉末層2を表面に設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工透析に使用する透析チューブ、及び輸液を人体に注入する輸液チューブとこれ等の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工透析は、腎臓の機能低下した患者に、腎臓に代わって血液組織を正常化するために使用される。人工透析は、人工腎臓に患者の血液を循環させる血液透析が主たるものであるが、人工腎臓に患者の血液を循環させるために透析チューブを使用している。(特許文献1参照)
従来の人工透析は、患者の血管にカテーテルを挿入し、このカテーテルに透析チューブを連結し、透析チューブを介して人工腎臓を患者の血管に連結して血液を循環させる。この人工透析は3〜7時間をかけて患者の血液を人工腎臓に循環して、血液組織を正常化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−168800
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人工透析においては、循環させる血液を流れやすくし、患者の血液を人工腎臓にスムーズに循環させることで血液組織を速やかに正常化できる。しかしながら、患者や血液に影響を与えることなく、血液を流れやすくする技術は開発されておらず、人工透析には、長い時間がかかっているのが現状である。
【0005】
本発明の第1の目的は、血液の粘度を低くすることで、血液をスムーズに人工腎臓に循環できる透析チューブを提供することにある。
【0006】
血液は、遠赤外線が照射されると流れやすくなる性質がある。図1と図2は、人体に遠赤外線を照射して、血液が流れやすくなって流速が速くなり、また、流量が多くなることを示すグラフである。図1と図2は、仰臥する人体の下に、遠赤外線を放射する天然石粉末を塗布しているシートを配置し、30分経過後に人体の頸部の血管に流れる血液の流速と流量を検出したグラフである。図1は血液の流速を示し、図2は流量を示している。図1と図2において、コントロールは遠赤外線を照射しない状態を示し、試験例は、同じ被験者であって30分間遠赤外線を照射した被験者の血液の流速と流量を示している。これ等の図は、遠赤外線を照射することで、血液の流速が32.2%増加し、流量が19.1%増加することを示している。
【0007】
図1と図2は、遠赤外線を照射して、血液を流れやすくできることを示すものであるが、循環される血液に効果的に遠赤外線を照射する透析チューブの製造には手間がかかって製造コストが高くなる。本発明の第2の目的は、この欠点を解決すること、すなわち循環される血液に効果的に遠赤外線を照射できる透析チューブを簡単かつ容易に、しかも安価に多量生産できる透析チューブの製造方法を提供することにある。
【0008】
さらに、透析チューブと同様に、輸液チューブを使用して輸液が患者の静脈に注入される。輸液チューブは、輸液バックに充填している輸液を、脱水症状や低栄養状態にある患者に点滴して注入する。輸液には、リンゲル液、電解質液、ブドウ糖液、果糖液などが使用される。輸液チューブは、これの輸液を充填している輸液バックを、患者に挿通しているカテーテルを介して患者の静脈に連結して、静脈に点滴して輸液を注入する。輸液チューブを流れる輸液も遠赤外線を照射することで流れやすくなって、患者の静脈にスムーズに注入できる。
【0009】
本発明の第3の目的は、患者の静脈にスムーズに輸液を注入できる輸液チューブを提供することにあり、さらに、本発明の第4の目的は、輸液に効果的に遠赤外線を照射できる輸液チューブを簡単かつ容易に、しかも安価に多量生産できる輸液チューブの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1の透析チューブは、赤外線を放射する天然石を粉砕してなる天然石粉末3を円筒状にしてなる天然石粉末層2を表面に設けている。
以上の透析チューブは、血液に遠赤外線を照射して血液を流れやすくしてスムーズに人工腎臓に循環できる特徴がある。とくに、天然石粉末からなる円筒状の天然石粉末層の内側に血液を通過させるので、天然石粉末層から効果的に遠赤外線を照射して血液を流れやすくできる特徴がある。
【0011】
本発明の透析チューブは、可撓性を有するチューブ本体1を備え、このチューブ本体1の外側表面に、天然石粉末3をバインダー9で付着させて天然石粉末層2を設けることができる。
この透析チューブは、簡単に製造して血液に遠赤外線を照射できる。
【0012】
本発明の透析チューブは、可撓性を有するチューブ本体1と、このチューブ本体1の表面に同軸に配置してなる外側チューブ4とを備えて、チューブ本体1と外側チューブ4との間に充填隙間5を設けて、この充填隙間5に天然石粉末3を充填することができる。
この透析チューブは、天然石粉末層の外側を外側チューブで保護して、天然石粉末層の損傷や破損を確実に防止できる特徴がある。
【0013】
本発明の透析チューブは、チューブ本体1を断熱チューブとして、天然石粉末層2の外側に加温器7を設けることができる。
この透析チューブは、血液に与える熱的な影響を阻止しながら、天然石粉末層からは効果的に多量の遠赤外線を血液に照射できる特徴がある。また、加温器が血液を加温しないので、加温器の熱エネルギを有効に利用して天然石粉末層を加温できる特徴も実現する。
【0014】
本発明の請求項5の透析チューブの製造方法は、チューブ本体1の外側表面に外側チューブ4を配置して、チューブ本体1と外側チューブ4との間に天然石粉末3を充填する。透析チューブの製造方法は、チューブ本体1と外側チューブ4との間にスペーサ6を配置して、チューブ本体1と外側チューブ4とを充填隙間5を設けて配置するスペーサ配置工程と、天然石を粉末状に粉砕して天然石粉末3とし、この天然石粉末3に液体を添加してペースト状の充填材料とし、ペースト状の充填材料をチューブ本体1と外側チューブ4との間の充填隙間5に充填する充填工程と、充填工程の後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥してチューブ本体1と外側チューブ4との間に天然石粉末3からなる天然石粉末層2を設ける乾燥工程とで表面を天然石粉末3で被覆してなる透析チューブを製作する。
【0015】
以上の製造方法によると、簡単かつ容易に、しかも能率よく簡単に製造しながら、血液に効率よく遠赤外線を照射できる透析チューブを製造できる。とくに、以上の製造方法は、チューブ本体と外側チューブとの間隔をスペーサで一定に保持し、この状態で天然石粉末に液体を添加してペースト状とした充填材料を充填し、その後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥することで、チューブ本体と外側チューブとの間に天然石粉末からなる天然石粉末層を設けるので、チューブ本体と外側チューブとの間に均一な厚さで簡単に天然石粉末を充填できる。チューブ本体と外側チューブの間に均一に充填された天然石粉末は、重量に対する表面積が極めて大きく、その表面から効率よく遠赤外線を放射して血液に照射する。それは、物体が単位面積に放射するエネルギーは、ステファン・ボルツマンの法則により、物質の絶対温度の4乗とステファン・ボルツマン定数の積に比例して大きくなるからである。重量を同じとする物体の表面積は、小さく粉砕して粒径を小さくして大きくできる。粉砕されて粒径が半分になると、同じ重量では表面積が2倍となり、粒径が1/10になると表面積は10倍も大きくなる。したがって、天然石を粉末状に粉砕して天然石粉末としてチューブ本体と外側チューブとの間に充填する構造は、円筒状の天然石に比較して遠赤外線の放射エネルギーを大きくできる。ただ、天然石粉末は、円筒状の天然石に比較して、チューブ本体の外側に均一に分散して配置するのが難しい。円筒状の天然石は、中心にチューブ本体を挿通してその外側に均一に配置できるのに対し、天然石粉末はチューブ本体と外側チューブとの間に簡単に充填できないからである。とくに、血液に遠赤外線を照射する時間を長くするために、チューブ本体を長くすると、その全周に均一に天然石粉末を充填するのが極めて難しくなる。ところが、本発明の製造方法は、天然石粉末に液体を添加してペースト状の充填材料として充填するので、チューブ本体と外側チューブの間に極めて簡単に充填できる。また、チューブ本体と外側チューブが長くなっても、ペースト状の充填材料はスムーズに流し込んで充填できる。したがって、本発明は、チューブ本体の外側に均一に天然石粉末を配置してなる透析チューブを簡単かつ容易に製造できる。
【0016】
本発明の請求項6の輸液チューブは、赤外線を放射する天然石を粉砕してなる天然石粉末3を円筒状にしてなる天然石粉末層2を表面に設けている。
以上の輸液チューブは、輸液に遠赤外線を照射して輸液を流れやすくして、患者の静脈にスムーズに輸液を注入できる特徴がある。とくに、天然石粉末からなる円筒状の天然石粉末層の内側に輸液を通過させるので、天然石粉末層から効果的に遠赤外線を照射して輸液を流れやすくできる特徴がある。
【0017】
本発明の輸液チューブは、可撓性を有するチューブ本体1を備え、このチューブ本体1の外側表面に、天然石粉末3をバインダー9で付着させて天然石粉末層2を設けることができる。
この輸液チューブは、簡単に製造して輸液に遠赤外線を照射できる。
【0018】
本発明の輸液チューブは、可撓性を有するチューブ本体1と、このチューブ本体1の表面に同軸に配置してなる外側チューブ4とを備えて、チューブ本体1と外側チューブ4との間に充填隙間5を設けて、この充填隙間5に天然石粉末3を充填することができる。
この輸液チューブは、天然石粉末層の外側を外側チューブで保護して、天然石粉末層の損傷や破損を確実に防止できる特徴がある。
【0019】
本発明の輸液チューブは、チューブ本体1を断熱チューブとして、天然石粉末層2の外側に加温器7を設けることができる。
この輸液チューブは、輸液に与える熱的な影響を阻止しながら、天然石粉末層からは効果的に多量の遠赤外線を輸液に照射できる特徴がある。また、加温器が輸液を加温しないので、加温器の熱エネルギを有効に利用して天然石粉末層を加温できる特徴も実現する。
【0020】
本発明の請求項10の輸液チューブの製造方法は、チューブ本体1の外側表面に外側チューブ4を配置して、チューブ本体1と外側チューブ4との間に天然石粉末3が充填する。輸液チューブの製造方法は、チューブ本体1と外側チューブ4との間にスペーサ6を配置して、チューブ本体1と外側チューブ4とを充填隙間5を設けて配置するスペーサ配置工程と、天然石を粉末状に粉砕して天然石粉末3とし、この天然石粉末3に液体を添加してペースト状の充填材料とし、ペースト状の充填材料をチューブ本体1と外側チューブ4との間の充填隙間5に充填する充填工程と、充填工程の後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥してチューブ本体1と外側チューブ4との間に天然石粉末3からなる天然石粉末層2を設ける乾燥工程とで表面を天然石粉末3で被覆してなる輸液チューブを製作する。
以上の製造方法によると、輸液に効果的に遠赤外線を照射できる輸液チューブを、簡単かつ容易に、しかも安価に多量生産できる。とくに、以上の製造方法は、チューブ本体と外側チューブとの間隔をスペーサで一定に保持し、この状態で天然石粉末に液体を添加してペースト状とした充填材料を充填し、その後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥することで、チューブ本体と外側チューブとの間に天然石粉末からなる天然石粉末層を設けるので、チューブ本体と外側チューブとの間に均一な厚さで簡単に天然石粉末を充填できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】遠赤外線が照射された人体の血流速度の変化を示すグラフである。
【図2】遠赤外線が照射された人体の血流量の変化を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施例にかかる透析チューブ及び輸液チューブの拡大断面図である。
【図4】本発明の他の実施例にかかる透析チューブ及び輸液チューブの拡大断面図である。
【図5】図4に示す透析チューブ及び輸液チューブの製造方法のスペーサ配置工程を示す斜視図である。
【図6】本発明の他の実施例にかかる透析チューブ及び輸液チューブの概略斜視図である。
【図7】図6に示す透析チューブ及び輸液チューブの拡大断面図である。
【図8】本発明の他の実施例にかかる透析チューブ及び輸液チューブの概略斜視図である。
【図9】図8に示す透析チューブ及び輸液チューブの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための透析チューブ、輸液チューブ、及びこれ等の製造方法を例示するものであって、本発明は透析チューブ、輸液チューブ、及びこれ等の製造方法を以下に特定するものではない。
【0023】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0024】
透析チューブと輸液チューブとは同じ構造を有し、図3ないし図9に示している。これ等の図に示す透析チューブや輸液チューブは、赤外線を放射する天然石を粉砕している天然石粉末3を円筒状にしている天然石粉末層2を表面に設けている。図3に示す透析チューブや輸液チューブは、可撓性を有するチューブ本体1の外側表面に、天然石粉末3をバインダー9で付着して天然石粉末層2を設けている。図4の透析チューブや輸液チューブは、可撓性を有するチューブ本体1と、このチューブ本体1の表面に同軸に配置している外側チューブ4とを備えており、チューブ本体1と外側チューブ4とこの間に充填隙間5を設けて、この充填隙間5に天然石粉末3を充填して天然石粉末層2を設けている。さらに、図6ないし図9の透析チューブや輸液チューブは、チューブ本体1を断熱チューブとして、天然石粉末層2の外側に加温器7を設けている。
【0025】
チューブ本体1は、可撓性のあるチューブとしてプラスチックチューブを使用する。図3と図4のチューブ本体1は、必ずしも断熱チューブを使用する必要はないが、図6ないし図9に示すチューブ本体1には、加温器7で加温される天然石粉末層2の熱を遮断する断熱チューブを使用する。ただし、図3と図4のチューブ本体1にも断熱チューブを使用することができるのは言うまでもない。断熱チューブには、ゴムチューブやプラスチックチューブを使用する。さらに、断熱チューブは、プラスチックチューブの外側を発泡プラスチックチューブで被覆するチューブを使用して、断熱特性をより向上できる。チューブ本体1に断熱チューブを使用するのは、加温器7で加温される天然石粉末層2の熱が血液や輸液に伝導されるのを防止して、血液や輸液の熱影響を防止し、また加温器7の熱エネルギを有効に天然石粉末層2の加温に利用するためである。
【0026】
加温器7で加温される天然石粉末層2は、絶対温度の4乗に比例して遠赤外線の放射強度が増加するので、温度を高くして遠赤外線の放射強度を強くできる。チューブ本体1は、その内径を10mm〜20mmとして内部に血液や輸液を通過させる。ただ、チューブ本体1は、その内径を大きくして、既存の透析チューブや輸液チューブを挿入して、天然石粉末層2から遠赤外線を血液や輸液に照射することもできる。
【0027】
外側チューブ4は、チューブ本体1と同軸に配設されて、チューブ本体1との間に天然石粉末層2を配置する充填隙間5を設けている。外側チューブ4は、その内径をチューブ本体1の外形よりも大きく、たとえば2mm〜5mm大きくしている。図6ないし図9の透析チューブや輸液チューブは、外側チューブ4の外側に加温器7を配置している。この加温器7は、天然石粉末層2を加温する。したがって、加温器7の熱が外側に放熱されるのを防止するために、加温器7の外側を断熱層8で被覆している。この構造は、断熱層8で加温器7の熱が外側に放熱されるのを防止できるので、外側チューブ4に、チューブ本体1と同じゴムチューブやプラスチックチューブを使用して、加温器7の熱を効率よく天然石粉末層2に伝導できる。
【0028】
チューブ本体1と外側チューブ4の間に天然石粉末3を円筒状に充填するために、チューブ本体1と外側チューブ4との間にはスペーサ6を配置している。スペーサ6は、天然石粉末3を充填されない状態で、チューブ本体1と外側チューブ4とを同軸状に配置する。スペーサ6は、図6に示すように、外形を外側チューブ4の内径とする外側リング6Aと、内側にチューブ本体1を挿通する内側リング6Bとを放射状の連結アーム6Cで連結して、外側リング6Aと内側リング6Bとの間にペースト状の充填材料を通過させる貫通孔6Dを設けている。このスペーサ6は、プラスチックや金属で製作される。
【0029】
天然石粉末3は、遠赤外線を効率よく照射する天然石を粉砕したものである。天然石粉末3には、火成岩の粉末を使用する。火成岩には、以下の組成の石英・長石からなる流紋岩を使用して、遠赤外線を効率よく放射できる。以下の組成の石英・長石からなる流紋岩である火成岩は、黒体に対する赤外線の放射率が89%と高く、しかも放射する遠赤外線の波長が遠赤外線の波長領域にある。
【0030】
酸化珪素(SiO)………………71.3重量%
アルミナ(Al)………………17.1重量%
酸化鉄(Fe)…………………2.3重量%
酸化チタン(TiO)………………0.1重量%
酸化カルシウム(CaO)…………2.3重量%
酸化マグネシウム(MgO)………0.2重量%
酸化カリウム(KO)………………2.6重量%
酸化ナトリウム(NaO)…………3.0重量%
【0031】
天然石粉末3は、チューブ本体1と外側チューブ4との間にスムーズに充填できるように、平均粒径を約5μmとする。ただし、天然石粉末3は、平均粒径を1μm〜100μmとするものも使用できる。天然石粉末3は、平均粒径を小さくして、スムーズに充填しながら表面積を大きくできる。
【0032】
天然石粉末3は、水などの液体を添加してペースト状の充填材料とし、ペースト状の充填材料の状態でスペーサ6で一定の間隔に保持しているチューブ本体1と外側チューブ4との間に充填される。充填された充填材料の液体は、乾燥されて除去される。
【0033】
加温器7は、電気ヒーター7Aや内部に温水を流す熱交換チューブ7Bである。図6ないし図9の透析チューブや輸液チューブは、外側チューブ4の外側に電気ヒーター7Aや熱交換チューブ7Bの加温器7を巻き付けている。この加温器7は、外側チューブ4を介して天然石粉末層2を設定温度に加温する。加温器7が天然石粉末層2を加温する設定温度は、40℃〜60℃に設定される。加温器7は、設定温度を高くして天然石粉末層2が遠赤外線を照射する強度を向上できるので、設定温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上とする。設定温度が高過ぎると、血液や輸液に熱影響を与える確率が高くなるので、好ましくは60℃よりも低く、さらに好ましくは50℃よりも低く設定する。図6に示す加温器7の電気ヒーター7Aは、天然石粉末層2を設定温度に加温するために、温度センサ10と、この温度センサ10で電気ヒーター7Aの通電を制御する制御回路11とを備えている。ただ、電気ヒーターは、PTCのように設定温度になると電気抵抗が急激に増加して通電を制御されるものを使用することもできる。この電気ヒーターは、温度センサや制御回路を使用することなく、天然石粉末層を設定温度に加温できる。熱交換チューブ7Bは、図8に示すように、内部に流す温水を設定温度にコントロールして、天然石粉末層2を設定温度に加温する。熱交換チューブ7Bは、温水を設定温度に加温して循環させる加温機構12に連結されて、天然石粉末層2を設定温度に加温する。
【0034】
図4の透析チューブや輸液チューブは、以下の工程で製造される。
[スペーサ配置工程]
図5に示すように、チューブ本体1と外側チューブ4との間にスペーサ6を配置して、チューブ本体1と外側チューブ4の間隔を所定の間隔に保持する。この工程は、スペーサ6の内側リング6Bにチューブ本体1を挿通した後、スペーサ6に挿入しているチューブ本体1を外側チューブ4に挿入して、スペーサ6でチューブ本体1と外側チューブ4の間隔を一定とする。
【0035】
[充填工程]
チューブ本体1と外側チューブ4の間に天然石粉末3を充填するために、遠赤外線を照射する天然石の天然石を粉末状に粉砕して天然石粉末3とする。粉末状の天然石粉末3は、平均粒径を約5μmとする。粉砕された天然石粉末3に液体を添加してペースト状の充填材料とする。液体に水を使用するが、水以外のアルコールやシンナーなどの揮発しやすい液体を使用して、乾燥時間を短縮することもできる。液体の添加量は、少なすぎると流動性が悪くなり、反対に多すぎると乾燥に時間がかかるので、好ましくは100重量部の天然石粉末3に対して50重量部〜200重量部の液体を添加する。液体を添加し、撹拌してペースト状となった充填材料をチューブ本体1と外側チューブ4との間に流し込んで充填する。
【0036】
[乾燥工程]
充填材料を充填した後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥してチューブ本体1と外側チューブ4との間に天然石粉末3からなる天然石粉末層2を設ける。
【0037】
加温器7を有する透析チューブや輸液チューブは、乾燥工程の後、図6ないし図9に示すように、外側チューブ4の外側に電気ヒーター7Aや熱交換チューブ7Bを巻き付けた後、その表面を断熱層8で被覆する。断熱層8には、ガラス繊維、プラスチック発泡体、不織布などを使用する。
【符号の説明】
【0038】
1…チューブ本体
2…天然石粉末層
3…天然石粉末
4…外側チューブ
5…充填隙間
6…スペーサ 6A…外側リング
6B…内側リング
6C…連結アーム
6D…貫通孔
7…加温器 7A…電気ヒーター
7B…熱交換チューブ
8…断熱層
9…バインダー
10…温度センサ
11…制御回路
12…加温機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線を放射する天然石を粉砕してなる天然石粉末(3)を円筒状にしてなる天然石粉末層(2)を表面に設けてなることを特徴とする透析チューブ。
【請求項2】
可撓性を有するチューブ本体(1)を備え、このチューブ本体(1)の外側表面に、天然石粉末(3)がバインダー(9)で付着されて天然石粉末層(2)を設けてなる請求項1に記載される透析チューブ。
【請求項3】
可撓性を有するチューブ本体(1)と、このチューブ本体(1)の表面に同軸に配置してなる外側チューブ(4)とを備え、チューブ本体(1)と外側チューブ(4)とこの間には充填隙間(5)を設けており、この充填隙間(5)に前記天然石粉末(3)が充填されてなる請求項1に記載される透析チューブ。
【請求項4】
前記チューブ本体(1)が断熱チューブで、前記天然石粉末層(2)の外側に加温器(7)を設けてなる請求項2又は3に記載される透析チューブ。
【請求項5】
チューブ本体(1)の外側表面に外側チューブ(4)を配置して、チューブ本体(1)と外側チューブ(4)との間に天然石粉末(3)が充填されてなる透析チューブの製造方法であって、
前記チューブ本体(1)と外側チューブ(4)との間にスペーサ(6)を配置して、チューブ本体(1)と外側チューブ(4)とを充填隙間(5)を設けて配置するスペーサ配置工程と、
天然石を粉末状に粉砕して天然石粉末(3)とし、この天然石粉末(3)に液体を添加してペースト状の充填材料とし、ペースト状の充填材料を前記チューブ本体(1)と外側チューブ(4)との間の充填隙間(5)に充填する充填工程と、
前記充填工程の後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥してチューブ本体(1)と外側チューブ(4)との間に天然石粉末(3)からなる天然石粉末層(2)を設ける乾燥工程とで表面を天然石粉末(3)で被覆してなる透析チューブを製作することを特徴とする透析チューブの製造方法。
【請求項6】
赤外線を放射する天然石を粉砕してなる天然石粉末(3)を円筒状にしてなる天然石粉末層(2)を表面に設けてなることを特徴とする輸液チューブ。
【請求項7】
可撓性を有するチューブ本体(1)を備え、このチューブ本体(1)の外側表面に、天然石粉末(3)がバインダー(9)で付着されて天然石粉末層(2)を設けてなる請求項6に記載される輸液チューブ。
【請求項8】
可撓性を有するチューブ本体(1)と、このチューブ本体(1)の表面に同軸に配置してなる外側チューブ(4)とを備え、チューブ本体(1)と外側チューブ(4)とこの間には充填隙間(5)を設けており、この充填隙間(5)に前記天然石粉末(3)が充填されてなる請求項6に記載される輸液チューブ。
【請求項9】
前記チューブ本体(1)が断熱チューブで、前記天然石粉末層(2)の外側に加温器(7)を設けてなる請求項7又は8に記載される輸液チューブ。
【請求項10】
チューブ本体(1)の外側表面に外側チューブ(4)を配置して、チューブ本体(1)と外側チューブ(4)との間に天然石粉末(3)が充填されてなる輸液チューブの製造方法であって、
前記チューブ本体(1)と外側チューブ(4)との間にスペーサ(6)を配置して、チューブ本体(1)と外側チューブ(4)とを充填隙間(5)を設けて配置するスペーサ配置工程と、
天然石を粉末状に粉砕して天然石粉末(3)とし、この天然石粉末(3)に液体を添加してペースト状の充填材料とし、ペースト状の充填材料を前記チューブ本体(1)と外側チューブ(4)との間の充填隙間(5)に充填する充填工程と、
前記充填工程の後、ペースト状の充填材料に含まれる液体を乾燥してチューブ本体(1)と外側チューブ(4)との間に天然石粉末(3)からなる天然石粉末層(2)を設ける乾燥工程とで表面を天然石粉末(3)で被覆してなる輸液チューブを製作することを特徴とする輸液チューブの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−15921(P2011−15921A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164312(P2009−164312)
【出願日】平成21年7月11日(2009.7.11)
【出願人】(505299811)オオノ開發株式会社 (6)
【出願人】(599167489)株式会社陶石麻照 (5)
【出願人】(500315688)
【Fターム(参考)】