説明

透過性発光シート

【課題】光源の有無や暗所にかかわらず、一方の面側からの視認性が高く、かつ他方の面側からの透視性に優れた透過性のシートを提供する。
【解決手段】透明な基材2と、基材2の一方の面側に設けられたドット状、網状またはストライプ状の発光部3と、基材2の他方の面側に設けられたドット状、網状またはストライプ状の光吸収部4とを備え、発光部3は蓄光材料および/または蛍光材料を含有する発光材料を印刷してなるものである透過性発光シート1A。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの一方の面側からは当該シートの向こう側が透視し難く、他方の面側からは当該シートの向こう側が透視し易い、透過性のシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、広告媒体等として商業ビルや自動車の窓等に貼付されている透過性のシートは、表裏それぞれ異なる色彩または絵柄の微細パターンを有し、その異なる色彩または絵柄の微細パターンによって、シートの一方の面側(広告側)からは当該シートの向こう側が透視し難く、シートの他方の面側(裏側)からは当該シートの向こう側が透視し易いように構成されている(特許文献1〜4)。
【特許文献1】特許第2617393号公報
【特許文献2】特開平5−92694号公報
【特許文献3】特開平5−92695号公報
【特許文献4】特開2002−40945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような透過性のシートは、そもそも明所での使用を前提としているが、シートの広告側と裏側での光源の有無や暗所での使用によって、シートの広告側の視認性が異なってくる。例えば、シートの裏側に光源がある場合や、暗所では、広告側の視認性は低くなる。
【0004】
ここで、シートの裏側に光源がある場合や暗所でも広告側の視認性を高めるために、広告側の微細パターンの面積を増やすことが考えられるが、その場合には、いきおい裏側からの背景透視性が低くなってしまう。また、蛍光灯などを用いた内照式表示装置があるが、装置が重厚であり、背景透視性を有しているものはなかった。このように、従来では、光源の有無や暗所にかかわらず、視認性と背景透視性の2つを両立させることは、困難であった。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、光源の有無や暗所にかかわらず、一方の面側からの視認性が高く、かつ他方の面側からの透視性に優れた透過性のシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、透明な基材と、少なくとも前記基材の一方の面側から見えるドット状、網状またはストライプ状の発光部と、少なくとも前記基材の他方の面側から見えるドット状、網状またはストライプ状の光吸収部とを備え、前記発光部は、蓄光材料および/または蛍光材料を含有する発光材料を印刷してなることを特徴とする透過性発光シートを提供する(発明1)。
【0007】
なお、本明細書におけるシートの「透過性」とは、一方の面側からは当該シートの向こう側が透視し難く、他方の面側からは当該シートの向こう側が透視し易い性質をいうものとする。また、本明細書において、「シート」にはフィルムの概念、「フィルム」にはシートの概念が含まれるものとする。
【0008】
上記発明(発明1)においては、主に発光部が見える側から透過性発光シートを見ると、その発光部の視覚に対する作用により、当該透過性発光シートの向こう側(背景)が透視し難い。一方、主に光吸収部が見える側から透過性発光シートを見ると、その光吸収部の視覚に対する作用により、当該透過性発光シートの向こう側(背景)が透視し易い。また、この透過性発光シートにおいては発光部が発光するため、透過性発光シートの主に発光部が見える側では、暗所においても、シートの向こう側(背景)に光源がある場合であっても、視認性が高い。すなわち、上記発明(発明1)に係る透過性発光シートは、光源の有無や暗所にかかわらず、一方の面側からの視認性が高く、かつ他方の面側からの透視性に優れる。
【0009】
上記発明(発明1)において、前記蓄光材料および/または蛍光材料は無機材料であることが好ましい(発明2)。
【0010】
上記発明(発明1,2)において、前記発光部と前記光吸収部とは、平面視において同じ位置に設けられていることが好ましい(発明3)。
【0011】
上記発明(発明3)において、前記光吸収部は、前記基材の他方の面側から前記発光部が見えなくなる大きさおよび形状であることが好ましい(発明4)。
【0012】
上記発明(発明1〜4)において、前記ドット状の発光部は、所定のパターンで設けられていることが好ましい(発明5)。
【0013】
上記発明(発明5)において、前記ドット状の発光部は、等間隔で設けられていることが好ましい(発明6)。
【0014】
上記発明(発明1〜6)においては、さらに透明な粘着剤層を備えていてもよい(発明7)。
【発明の効果】
【0015】
本発明の透過性発光シートは、発光部および光吸収部の視覚に対する作用により、光源の有無や暗所にかかわらず、一方の面側からの視認性が高く、かつ他方の面側からの透視性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る透過性発光シート1Aの断面図であり、図2は、同実施形態に係る透過性発光シート1Aの表面図であり、図3は、同実施形態に係る透過性発光シート1Aの裏面図である。
【0017】
図1〜図3に示すように、本実施形態に係る透過性発光シート1Aは、透明な基材2と、基材2の一方の面(ここでは「表面」とする。)側に設けられた発光部3と、基材2の他方の面(ここでは「裏面」とする。)側に設けられた光吸収部4とを備えている。なお、本実施形態では、図1中、透過性発光シート1Aの上面を透過性発光シート1Aの表面といい、透過性発光シート1Aの下面を透過性発光シート1Aの裏面というものとする。
【0018】
基材2としては、透明であって、かつ、発光部3および光吸収部4を保持することができれば特に限定されることなく、透過性発光シート1Aの使用目的に応じて適宜選択される。かかる基材2としては、ガラスを板状としたガラス板や、合成樹脂をフィルム状または板状とした合成樹脂基材が挙げられる。透過性発光シート1Aが任意の対象物に貼付される場合には、柔軟性を有するフィルム状の合成樹脂基材であることが好ましい。
【0019】
合成樹脂基材としては、透明性を有していれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ABS樹脂、アイオノマー樹脂;ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の成分を含む熱可塑性エラストマーなどの樹脂からなるフィルムが挙げられる。上記の中でも、コストや汎用性の点から、ポリエステル、ポリアミド等が好ましい。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられ、ポリアミドとしては、全芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体等が挙げられる。
【0020】
基材2の厚さとしては、透過性が発揮されれば特に限定されることなく、透過性発光シート1Aの使用目的に応じて適宜決定される。基材2の厚さは、通常は1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。透過性発光シート1Aが任意の対象物に貼付される場合には、50〜500μmが実用的で好ましい。
【0021】
発光部3は、透過性発光シート1Aにおいて発光する部分であり、この発光部3の存在により、透過性発光シート1Aは暗所でも視認性の高いものとなる。
【0022】
発光部3は、図2に示すように、基材2の表面上にドット状に設けられている。図2に示す発光部3のドットの形状は円形であるが、これに限定されるものではなく、例えば、楕円形、三角形、四角形、その他の多角形、星型等であってもよい。
【0023】
発光部3のドットの大きさは、透過性発光シート1Aの大きさや使用目的・使用場所によって異なるが、発光部3が視認されるためには、通常1〜100mmであり、好ましくは2〜50mmである。また、発光部3のドット相互間の間隔(中心間の距離)は、透視性を確保するためには、通常1〜100mmであり、好ましくは5〜50mmである。基材2の表面における発光部3の面積比は、透視性を確保するために、5〜70%であることが好ましく、特に10〜60%であることが好ましい。
【0024】
ドット状の発光部3は、ランダムではなく、所定のパターンで設けられていることが好ましく、例えばマトリックス状に設けられていることが好ましい。配列の具体例としては、並列状、千鳥状、縞状、同心円状等が挙げられる。また、ドット状の発光部3は、等間隔で設けられていることが特に好ましい。発光部3がこのように設けられることにより、透過性が優れたものとなる。
【0025】
なお、発光部3は、ドット状ではなく、網状またはストライプ状に形成されてもよい。網状の場合、網の線幅は、通常1〜100mmであり、好ましくは2〜50mmである。網の空隙部の大きさは、通常1〜10000mmであり、好ましくは4〜2500mmである。ストライプ状の場合、ストライプの線幅は、通常1〜100mmであり、好ましくは2〜50mmである。ストライプの相互間の間隙部の幅は、通常1〜100mmであり、好ましくは2〜50mmである。
【0026】
発光部3は、明色を主体とした色であることが好ましい。これにより、明るい場所では、発光部3において光が散乱し易くなり、透過性発光シート1Aの表面側からは、向こう側が透視し難いものとなる。発光部3の各ドットは、異なる色または発光色で形成されていてもよく、これにより、所定の絵柄や文字、記号等を表示することができる。本実施形態では、図2に示すように、「1」の文字が表示されるように、発光部3のドットが塗り分けられている。
【0027】
この発光部3は、発光材料を印刷したものである。このように、発光材料の印刷により発光部3を構成することによって、微細なドット(または網・ストライプ)を正確に形成することができる。
【0028】
発光材料としては、蓄光材料および/または蛍光材料を含有するものを使用し、必要に応じて蓄光材料および/または蛍光材料に染料や顔料等の色素を添加したものを使用することもできる。蓄光材料および蛍光材料は、発光性に優れ、かつ微細な印刷にも適している。また、色素を添加することにより、発光部3を所望の色で発色させることができ、発光部3のドットの塗り分けを効果的に行うことができる。
【0029】
ここで、蓄光材料は、燐光現象を有する物質を用いた材料であり、太陽光や電灯等の光線を吸収蓄積し、その蓄積した光を徐々に放出し、発光するものである。一方、蛍光材料は、励起状態から基底状態に戻るときに蛍光を発光する物質を用いた材料であり、紫外線等を照射している間、発光するものである。蓄光材料は、暗所でもブラックライト等の装置を必要とせず自ら発光するため、発光部3の材料として好ましい。
【0030】
蓄光材料および蛍光材料としては、一般的に、無機系のもの(無機材料)と有機系のもの(有機材料)とがあるが、透過性発光シート1Aの屋外等での使用を考慮すると、耐久性の高い無機材料を使用することが好ましい。
【0031】
無機系の蓄光材料としては、例えば、アルミナ、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化セリウム等の金属酸化物と、Eu(ユウロピウム)、Dy(ディスプロシウム)、Ru(ルテニウム)、Tb(テルビウム)等の希土類元素とを焼成してなる酸化物系蓄光剤を含有するもの;CaS−Bi、CaSrS−Bi、ZnS−Cu、ZnCdS−Cu等の硫化物系蓄光剤を含有するものなどが挙げられるが、蓄光輝度や蓄光時間などの蓄光性に優れる点で、上記酸化物系蓄光剤を含有するものが好ましい。
【0032】
無機系の蛍光材料としては、例えば、ハロ燐酸カルシウム、クロロ燐酸ストロンチウム、アルミン酸塩類、イットリウム酸塩類、ゲルマン酸塩類、バナジン酸塩類、ケイ酸塩類、タングステン酸塩類等が挙げられる。
【0033】
色素は、発光部3が明所下または暗所下で所望の色を呈するように、公知の材料から適宜選択して用いることができる。色素の添加量は、蓄光材料または蛍光材料に対して、通常、5〜70質量%であり、好ましくは10〜50質量%である。
【0034】
発光部3は、発光材料と、ビヒクルと、必要に応じて色素とを混合して得られたインキまたは塗料を基材2に印刷または塗布することにより容易に形成することができる。ビヒクルとしては、特に限定されないが、透明度(励起光および蓄光発光の透過率)が高いものほど発光色が高輝度になるため好ましい。かかるビヒクルとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、アクリル系共重合体、ポリオレフィン、ポリウレタン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂等が挙げられる。
【0035】
印刷方法としては、特に限定されることなく、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の汎用の印刷方法を用いることができる。
【0036】
なお、発光部3の基材2側には、発光部3(の各ドット)が明所下または暗所下で所望の色を呈するように、着色層を設けてもよい。着色層を構成する材料は特に限定されず、金属材料、樹脂材料、顔料、染料等を用いて設けることができ、また、塗料を塗布することで設けることもできる。
【0037】
光吸収部4は、光を比較的反射・拡散しない材料からなるものであれば特に限定されず、金属材料、樹脂材料、顔料、染料等を用いて設けることができ、また、塗料を塗布することで設けることもできる。光吸収部4の色は、黒、茶、紺、紫、青等の暗色または濃色であることが好ましい。この光吸収部4の存在により、透過性発光シート1Aの裏面側からは、光吸収部4(および発光部3)のドットの隙間を通して向こう側が透視し易いものとなる。
【0038】
本実施形態における光吸収部4は、図1および図3に示すように、基材2の裏面上において、発光部3に対応する位置(平面視において同じ位置)にドット状に設けられている。この光吸収部4は、透過性発光シート1Aの裏面側から発光部3が見えなくなる大きさおよび形状であることが好ましい。光吸収部4がこのように設けられることにより、発光部3が発光する光が透過性発光シート1Aの裏面側に漏れなくなる。また、光吸収部4は、発光部3と同じ大きさおよび形状であることが特に好ましい。これにより、基材2における透明部分(発光部3および光吸収部4が設けられていない部分)の面積が最大限に大きくなり、透過性発光シート1Aの裏面側からの透視性が優れたものとなる。
【0039】
ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、光吸収部4は、発光部3とは異なる位置に設けられてもよいし、大きさおよび/または形状が発光部3と異なっていてもよい。光吸収部4がこのように設けられることにより、透過性発光シート1Aの裏面において、透過性発光シート1Aの表面とは異なる絵柄や文字、記号等を表示することができる。
【0040】
また、光吸収部4は、ドット状ではなく、網状またはストライプ状に形成されてもよい。この場合、網状またはストライプ状の光吸収部4は、透過性発光シート1Aの裏面側から見えなくなる線幅およびピッチであることが好ましい。光吸収部4がこのように設けられることにより、発光部3が発光する光が透過性発光シート1Aの裏面側に漏れなくなる。ただし、光吸収部4は、基材2に透明部分が存在するように設ける必要がある。
【0041】
基材2の裏面における光吸収部4の面積比は、透視性を確保するために、5〜70%であることが好ましく、特に10〜60%であることが好ましい。
【0042】
光吸収部4の各ドットは、異なる色で形成されていてもよく、これにより、透過性発光シート1Aの裏面においても、所定の絵柄や文字、記号等を表示することができる。
【0043】
光吸収部4は、光を吸収し易い色のインキまたは塗料を基材2の裏面に印刷または塗布することにより容易に形成することができる。印刷方法としては、特に限定されることなく、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の汎用の印刷方法を用いることができる。
【0044】
以上説明した透過性発光シート1Aは、透過性発光シート1Aの表面側から見ると、当該透過性発光シート1Aの向こう側が透視し難く、透過性発光シート1Aの裏面側から見ると、当該透過性発光シート1Aの向こう側が透視し易いものとなっている。また、この透過性発光シート1Aにおいては発光部3が発光するため、透過性発光シート1Aの表面側では、暗所においても、また、裏面側に光源がある場合であっても、視認性が高いものとなっている。すなわち、透過性発光シート1Aは、光源の有無や暗所にかかわらず、表面側からの視認性が高く、かつ裏面側からの透視性に優れる。
【0045】
以上説明した透過性発光シート1Aは、例えば、商業ビルや自動車の窓等に貼付される広告媒体等として用いられ、夜間でも広告媒体等として有用である。透過性発光シート1Aは、透明な粘着剤や粘着シートを別途使用して被着体に貼付してもよいし、透過性発光シート1Aが自己接着性を有するものであれば、その自己接着性を利用して被着体に貼付してもよい。
【0046】
ここで、上記実施形態に係る透過性発光シート1Aにおいては、発光部3および光吸収部4は互いに基材2の反対側の面に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図4に示す透過性発光シート1Bおよび図5に示す透過性発光シート1Cのように、発光部3および光吸収部4は基材2の一方の面側にて重ねられて設けられてもよい。図4に示す透過性発光シート1Bにおいては、基材2上に光吸収部4が積層され、その光吸収部4の上に発光部3が積層されている。一方、図5に示す透過性発光シート1Cにおいては、基材2上に発光部3が積層され、その発光部3の上に光吸収部4が積層されている。かかる透過性発光シート1B,1Cにおいても、上記実施形態に係る透過性発光シート1Aと同様の作用効果を発揮する。
【0047】
また、上記実施形態に係る透過性発光シート1Aは、粘着剤層を備えていないが、図6に示す透過性発光シート1Dのように、基材2の表面側に透明な粘着剤層5を設けてもよいし、図7に示す透過性発光シート1Eのように、基材2の裏面側に透明な粘着剤層5を設けてもよい。
【0048】
粘着剤層5を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を使用することができるが、透過性発光シートが1D,1Eが屋外等で使用される場合には、耐候性を有するアクリル系粘着剤を使用することが好ましい。
【0049】
粘着剤層5の厚さは、通常は1〜300μm、好ましくは5〜100μm程度であるが、透過性発光シート1D,1Eの用途に応じて適宜変更することができる。
【0050】
なお、粘着剤層5上には、所望により公知の剥離材が積層されていてもよい。
【0051】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0052】
例えば、透過性発光シート1A〜1Eの片面または両面にはコート層が設けられていてもよい。
【実施例】
【0053】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0054】
〔実施例1〕
主に硫化亜鉛からなる無機系の蓄光材料(根本特殊化学社製,ルミノーバGLL−300)がポリウレタン樹脂(三洋化成社製,サンプレンIB−582)に質量比20%で混合されて得られたインキ、および硫化亜鉛からなる無機系の蓄光材料(根本特殊化学社製,BG−300)がポリウレタン樹脂(三洋化成社製,サンプレンIB−582)に質量比20%で混合されて得られたインキを、基材としてのポリエステルフィルム(三菱化学社ポリエステルフィルム製,ダイアホイルT−100,厚さ100μm,大きさ30cm×30cm)の表面に、スクリーン印刷により図2のようにドット状に印刷して発光部を形成した。ドットの形状は直径2.5mmの円形であり、ドットの中心間の距離は3.15mmであり、基材表面における面積比は50%であり、ドットは全て等間隔のマトリックス状に形成された。
【0055】
一方、基材の裏面において、上記発光部に対応する部分に、黒色インク(藤倉化成社製,ドータイトFEC−198)を、スクリーン印刷により上記発光部と同一の形状・大きさのドット状に印刷して光吸収部を形成し、発光シートを得た。
【0056】
〔実施例2〕
実施例1において、発光部のドットの直径を2.5mmとし、ドットの中心間の距離を4.5mmとし、印刷面積比を25%とする以外、実施例1と同様にして発光シートを作製した。
【0057】
〔実施例3〕
無機系の蛍光顔料(根本特殊化学社製,レインボー No.160)がポリウレタン樹脂(三洋化成社製,サンプレンIB−582)に質量比25%で混合されて得られたインキ、および無機系の蛍光顔料(根本特殊化学社製,レインボー No.140)がポリウレタン樹脂(三洋化成社製,サンプレンIB−582)に質量比25%で混合されて得られたインキを、基材としてポリエステルフィルム(三菱化学社ポリエステルフィルム製,ダイアホイルT−100,厚さ100μm,大きさ30cm×30cm)の表面に、スクリーン印刷により図2のようにドット状に印刷して発光部を形成した。ドットの形状は直径2.5mmの円形であり、ドットの中心間の距離は3.15mmであり、基材表面における面積比は50%であり、ドットは全て等間隔のマトリックス状に形成された。
【0058】
〔試験例〕
(1)透過性の確認
太陽光下、実施例1〜3で得られた発光シートから50cm離れた位置にて、その発光シートを表面側から目視したところ、図2のデザインが確認でき、当該発光シートの向こう側は透視し難くかった。また、同様にして上記発光シートを裏面側から目視したところ、当該発光シートの向こう側は透視し易かった。
【0059】
(2)発光性の確認
実施例1,2で得られた発光シートをガラス板に貼付し、暗室と明室との境界に、発光部を暗室側に向けて設置した。そして、発光シートの表面に対し、白熱電球により100lxの光を5分間照射した。その後、発光シートを目視したところ、表面側からは発光部のデザインの発光が確認でき、裏面側の明室は透視できなかった。一方、裏面側からは発光部のデザインの発光は確認できず、暗室が透視可能であった。なお、発光は60分後でも確認できた。
【0060】
また、実施例3で得られた発光シートをガラス板に貼付し、暗室と明室との境界に、発光部を暗室側に向けて設置した。そして、発光シートの表面をブラックライトにて照射した。その状態で発光シートを目視したところ、表面側からは発光部のデザインの発光が確認でき、裏面側の明室は透視できなかった。一方、裏面側からは発光部のデザインの発光は確認できず、暗室が透視可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の透過性発光シートは、商業ビルや自動車の窓等に貼付される広告媒体等として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係る透過性発光シートの断面図である。
【図2】同実施形態に係る透過性発光シートの表面図である。
【図3】同実施形態に係る透過性発光シートの裏面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る透過性発光シートの断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る透過性発光シートの断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る透過性発光シートの断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る透過性発光シートの断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1A,1B,1C,1D,1E…透過性発光シート
2…基材
3…発光部
4…光吸収部
5…粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な基材と、
少なくとも前記基材の一方の面側から見えるドット状、網状またはストライプ状の発光部と、
少なくとも前記基材の他方の面側から見えるドット状、網状またはストライプ状の光吸収部とを備え、
前記発光部は、蓄光材料および/または蛍光材料を含有する発光材料を印刷してなることを特徴とする透過性発光シート。
【請求項2】
前記蓄光材料および/または蛍光材料は無機材料であることを特徴とする請求項1に記載の透過性発光シート。
【請求項3】
前記発光部と前記光吸収部とは、平面視において同じ位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の透過性発光シート。
【請求項4】
前記光吸収部は、前記基材の他方の面側から前記発光部が見えなくなる大きさおよび形状であることを特徴とする請求項3に記載の透過性発光シート。
【請求項5】
前記ドット状の発光部は、所定のパターンで設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透過性発光シート。
【請求項6】
前記ドット状の発光部は、等間隔で設けられていることを特徴とする請求項5に記載の透過性発光シート。
【請求項7】
さらに透明な粘着剤層を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透過性発光シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−229803(P2009−229803A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75098(P2008−75098)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】