説明

通信システム、中継通信装置、電磁誘導通信装置、情報記憶媒体

【課題】電磁誘導方式で通信する通信システムを低コストで実現できる通信システム、中継通信装置、電磁誘導通信装置、情報記憶媒体を提供し、またリーダライタに対するICカードの位置ずれ許容度を大きくできる通信システムを提供する。
【解決手段】通信システム1は、ICカード40、リーダライタ21、中継通信装置30を備え、リーダライタ21の制御部27は、リーダライタ21のR/Wループアンテナ21aが、中継通信装置30の中継ループアンテナ31との間で電磁誘導方式により通信し、中継通信装置30の中継導電部材32が、ICカード40の導電プレート42Aに静電結合し、中継通信装置30の筐体33が、利用者の人体5に静電結合し、利用者の人体5がICカード40の導電プレート42Bに静電結合することにより、ICカード40のICチップ41との間で通信処理をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導通信装置及び情報記憶媒体間で通信する通信システム、中継通信装置、電磁誘導通信装置、情報記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者が所持するICカードを電磁誘導方式によって読み取る(又は書き込む)通信システムがあった(例えば特許文献1)。このような通信システムのICカードは、少なくとも非接触通信機能を有するICチップとアンテナコイルにより構成されており、ICカード内に具備されたICチップは、リーダライタから送出された信号より駆動電力の供給を受け、リーダライタから送出されるアナログ信号を受信しデジタル変換し、応答信号を返送することによりデータ送受信を実現している。非接触ICカードは、交通システム、電子マネー、社員証システム、物流管理等の各種システムで用いられている。
非接触ICカードを用いた通信方式としては、通信周波数帯域に応じて、電磁結合方式、静電結合方式、電磁誘導方式、電波方式が用いられており、カード形態の非接触IC通信システムでは電磁誘導方式が主流となっている。
しかし、電磁誘導方式の通信システムのループアンテナは、良好な通信性能を得るために、通信周波数やICチップに適合したアンテナ形状を形成する必要がある。このため、ループアンテナは、複雑な形状を有するとともに、複雑な形成を行うために、Cu、Al等の導電性材料がラミネートされた基材のエッチング加工、導電性インキの印刷形成、被覆付き導線を巻きつけ、蒸着形成等の特殊技術を用いて形成する必要がある。また、通信特性を向上させるために、抵抗値の低い導電性材料を用いる必要があるため、高コストであった。
一方、利用者が所持するICカード及びリーダライタにそれぞれ設けたコンデンサプレートを静電結合させ、静電結合方式によって読み取る(又は書き込む)通信システムがあった(例えば特許文献2)。静電結合方式は、構造が比較的シンプルな静電結合用の導電性プレートを用いるので、ループアンテナの製造コストに比べれば、低コストである。
しかし、静電結合方式のICカードのICチップは、電磁誘導方式のICチップとは仕様が異なるため、電磁誘導方式の通信システムを静電結合方式の通信システムに入れ替えるためには、ICチップを新たに開発する必要があり、高コストになってしまう。
また、静電結合方式のICカードは、ICカードに設けられた2つの導電性プレートと、リーダライタに設けられた2つの導電性プレート(導電部材)を向かい合わせて静電結合を行うため、リーダライタに対するICカードの位置ずれが生じた場合には、ICカードの一方の導電性プレートが、リーダライタに設けられた2つの導電性プレート(導電部材)に静電結合してしまうため、通信安定性が低減するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−123121号公報
【特許文献2】特開2009−135632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、電磁誘導方式で通信する通信システムを低コストで実現できる通信システム、中継通信装置、電磁誘導通信装置、情報記憶媒体を提供することである。
また、本発明の課題は、リーダライタに対するICカードの位置ずれ許容度を大きくできる通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
・第1の発明は、情報記憶媒体と電磁誘導通信装置との間に中継通信装置を介在させ、前記情報記憶媒体と前記電磁誘導通信装置との間で通信する通信システムであって、前記情報記憶媒体(40,540B,1040)は、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップ(41)と、前記ICチップに接続され、導電性を有する一対の導電プレート(42A,42B,542A,542B,1042A,1042B)とを備え、前記中継通信装置(30,330,430A,430B,830)は、中継ループアンテナ(31)と、前記中継ループアンテナの一端に接続され、導電性を有する中継導電部材(32,532A,532B,632A〜632C,732,732,732−1,732−2)と、前記中継ループアンテナの他端に接続され、前記情報記憶媒体の利用者の人体の一部が接触可能な中継筐体(33,333,433A,433B,533A,533B,633A〜633C,733,833)とを備え、前記電磁誘導通信装置(21,820)は、前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する通信装置側ループアンテナ(21a)と、通信処理をする制御部(27,827)とを備え、前記制御部は、前記通信装置側ループアンテナが、前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信し、前記中継ループアンテナの一端に接続された前記中継導電部材が、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合し、前記中継ループアンテナの他端に接続された前記中継筐体が、前記利用者の人体に静電結合又は導通し、前記利用者の人体(5)が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、前記情報記憶媒体の前記ICチップとの間で通信処理をすること、を特徴とする通信システムである。
・第2の発明は、情報記憶媒体と電磁誘導通信装置との間に中継通信装置を介在させ、前記情報記憶媒体と前記電磁誘導通信装置との間で通信する通信システムであって、前記情報記憶媒体(40,540B,1040)は、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップ(41)と、前記ICチップに接続され、導電性を有する一対の導電プレート(42A,42B,542A,542B,1042A,1042B)とを備え、前記中継通信装置(230,330,430A,430B,930)は、中継ループアンテナ(31)と、前記中継ループアンテナの一端に接続され、導電性を有する中継導電部材(32,532A,532B,632A〜632C,732,732,732−1,732−2)とを備え、前記中継ループアンテナの他端がアース(GND)に接続され、前記電磁誘導通信装置(21,920)は、前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する通信装置側ループアンテナと、通信処理をする制御部(27,927)とを備え、前記制御部は、前記通信装置側ループアンテナが、前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信し、前記中継ループアンテナの一端に接続された前記中継導電部材が、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合し、前記中継ループアンテナの他端が、前記アースに接続され、利用者の人体が前記アースに接続され、前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、前記情報記憶媒体の前記ICチップとの間で通信処理をすること、を特徴とする通信システムである。
【0007】
・第3の発明は、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップと前記ICチップ(41)に接続され導電性を有する一対の導電プレート(42A,42B,542A,542B,1042A,1042B)とを備える情報記憶媒体(40,540B,1040)と、電磁誘導通信装置(21,820)との間に介在する中継通信装置であって、前記電磁誘導通信装置の通信装置側ループアンテナとの間で、電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する中継ループアンテナ(31)と、前記中継ループアンテナの一端に接続され、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合する中継導電部材(32,532A,532B,632A〜632C,732,732−1,732−2,733,833)と、前記中継ループアンテナの他端に接続され、利用者の人体に静電結合又は導通し、前記情報記憶媒体の前記利用者の人体の一部が接触可能な中継筐体(33,333,433A,433B,533A,533B,633A〜633C)とを備え、前記利用者の人体(5)が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、前記情報記憶媒体及び前記電磁誘導通信装置を接続すること、を特徴とする中継通信装置である。
・第4の発明は、電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップ(41)と前記ICチップに接続され導電性を有する一対の導電プレート(42A,42B,542A,542B,1042A,1042B)とを備える情報記憶媒体(40,540B,1040)と、電磁誘導通信装置との間に介在する中継通信装置であって、前記電磁誘導通信装置の通信装置側ループアンテナとの間で、電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する中継ループアンテナ(31)と、前記中継ループアンテナの一端に接続され、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合する中継導電部材(32,532A,532B,632A〜632C,732,732−1,732−2)と、この中継通信装置のケース部材である中継筐体(233,333,433A,433B,533A,533B,633A〜633C,733,933)とを備え、前記中継ループアンテナの他端がアースに接続され、利用者の人体が前記アースに接続され、前記利用者の人体(5)が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、前記情報記憶媒体及び前記電磁誘導通信装置を接続すること、を特徴とする中継通信装置である。
・第5の発明は、第3又は第4の発明の中継通信装置において、前記中継導電部材(32,532A,532B,632A〜632C,732,732,732−1,732−2)は、前記中継ループアンテナ(31)を介してのみ前記中継筐体(33,233,333,433A,433B,533A,533B,633A〜633C)に対して電気的に接続されていること、を特徴とする中継通信装置である。
・第6の発明は、第3から第5までのいずれかの発明の中継通信装置において、前記中継導電部材(632A〜632C,732,732−1,732−2)は、前記中継筐体(633A〜633C,733)から突出するように設けられていること、を特徴とする中継通信装置である。
・第7の発明は、第3から第6までのいずれかの発明の中継通信装置において、前記中継筐体(333,433A,433B,533A,533B,633A〜633C,733,833,933)に設けられ、前記情報記憶媒体の前記一方の前記導電プレートに対応した領域を挿入可能な凹部(334,834)、スリット(434A,534A,534B,934)又はポケット(434B,634B,634C)を備え、前記中継導電部材(32,532A,532B,632A〜632C,732,732,732−1,732−2)は、前記凹部、前記スリット又は前記ポケットに挿入された前記情報記憶媒体(40,540B,1040)の一方の前記導電プレート(42A,542A,1042A、又は42B,542B)に静電結合すること、を特徴とする中継通信装置である。
・第8の発明は、第7の発明の中継通信装置において、前記凹部(334,834)、前記スリット(434A,534A,534B,934)又は前記ポケット(434B,634B,634C)は、挿入された前記情報記憶媒体(40,540B,1040)を、前記中継導電部材に対して位置決めし、前記凹部、前記スリット又は前記ポケットは、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートと同等以下の奥行を有しており、前記中継導電部材(32,532A,532B,632A〜632C,732,732,732−1,732−2)は、前記凹部、前記スリット又は前記ポケットに挿入された前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに対応した大きさであること、を特徴とする中継通信装置である。
・第9の発明は、第7又は第8の発明の中継通信装置において、前記スリット(434A,534A,534B,934)は、前記情報記憶媒体(434A,534A,534B,934)における前記一方の前記導電プレート(42A,542A,1042A、又は42B,542B)に対応した領域を挿入した状態のまま、スライド可能な大きさであり、前記中継導電部材(32,532A,532B)は、スライドしている前記情報記憶媒体の前記一方の前記導電プレートに静電結合可能な大きさであること、を特徴とする中継通信装置である。
・第10の発明は、第7から第9までのいずれかの発明の中継通信装置において、前記情報記憶媒体(40,540B,1040)は、前記一対の導電プレート(42A,42B,542A,542B)が同等の大きさであり、かつ前記一対の導電プレートが前記情報記憶媒体の中心線(CL)に対して対称に配置されており、前記情報記憶媒体の挿入方向において、前記凹部(334,834)、前記スリット(434A,534A,534B,934)又は前記ポケット(434B,634B,634C)の大きさは、前記情報記憶媒体をいずれの前記導電プレート側から挿入しても、挿入された前記導電プレートに対応した範囲まで挿入する長さであること、を特徴とする中継通信装置である。
・第11の発明は、第7から第9までのいずれかの発明の中継通信装置において、前記情報記憶媒体(1040)は、前記人体(5)に静電結合又は導通する前記他方の導電プレート大きさ(1040B)が、前記中継導電部材に静電結合する前記一方の導電プレート(1040A)よりも小さいこと、を特徴とする中継通信装置である。
・第12の発明は、第3から第11までのいずれかの発明の中継通信装置において、前記情報記憶媒体(40)を挟みこむように配置され、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレート(40A)の両面から同時に静電結合する少なくとも2つの中継導電部材(732−1,732−2)を備えること、を特徴とする中継通信装置である。
【0008】
・第13の発明は、第3から第12までのいずれかの発明の前記電磁誘導通信装置と、第3から第12までのいずれかの発明の前記中継通信装置と、を備える中継通信装置及び電磁誘導通信装置の組み合わせである。
・第14の発明は、第1又は第2の発明の通信システムに使用され、前記通信装置側ループアンテナと、前記制御部とを備えること、を特徴とする電磁誘導通信装置である。
・第15の発明は、第1又は第2の発明の通信システムに使用され、前記ICチップと、前記一対の導電プレートとを備えること、を特徴とする情報記憶媒体である。
【0009】
・第16の発明は、情報記憶媒体と通信装置との間で通信する通信システムであって、前記情報記憶媒体は、静電結合方式で通信可能なICチップと、前記ICチップに接続され、導電性を有する一対の導電プレートとを備え、前記通信装置は、導電性を有する導電部材と、前記情報記憶媒体の利用者の人体の一部が接触可能な筐体と、前記導電部材及び前記筐体に接続され、静電結合方式にて通信処理をする制御部とを備え、前記制御部は、前記導電部材が、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合又は導通し、前記筐体が、前記利用者の人体に静電結合又は導通し、前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合することにより、前記情報記憶媒体の前記ICチップとの間で通信処理をすること、を特徴とする通信システムである。
・第17の発明は、情報記憶媒体と通信装置との間で通信する通信システムであって、前記情報記憶媒体は、静電結合方式で通信可能なICチップと、前記ICチップに接続され、導電性を有する一対の導電プレートとを備え、前記通信装置は、導電性を有する導電部材と、前記導電部材及びアースに接続され、通信処理をする制御部とを備え、前記制御部は、前記導電部材が、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合又は導通し、利用者の人体が前記アースに接続され、前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合することにより、前記情報記憶媒体の前記ICチップとの間で通信処理をすること、を特徴とする通信システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
・第1、第3の発明は、通信装置側ループアンテナが、中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式により通信し、中継ループアンテナの一端の中継導電部材が、情報記憶媒体の一方の導電プレートに静電結合し、中継ループアンテナの他端の中継筐体が、利用者の人体に静電結合又は導通し、利用者の人体が、情報記憶媒体の他方の導電プレートに静電結合又は導通することにより、情報記憶媒体に駆動電力が供給されるとともに、電磁誘導通信装置から発せられる電磁波信号が情報記憶媒体に伝達され、電磁誘導通信装置の制御部が情報記憶媒体のICチップとの間で通信処理できる。
また、本発明は、情報記憶媒体にループアンテナを形成する必要がなく、2つの導電プレートを設ければよいので、従来の複雑なエッチング等のアンテナ形成工程が不要となり、低コストで情報記憶媒体を製造できる。このため、情報記憶媒体の発行量が多くなる程、従来のシステムと比較してコスト面で有利になり、低コストでシステムを構築できる。
さらにまた、情報記憶媒体の一方の導電プレートのみが中継導電部材に静電結合するので、情報記憶媒体が位置ずれした場合であっても、通信安定性を向上できる。例えば、本発明とは異なり、中継通信装置が2つの中継導電部材を備え、情報記憶媒体の2つの導電プレートが2つの中継導電部材にそれぞれ静電結合する場合には、情報記憶媒体が位置ずれしたときに、1つの導電プレートが2つの中継導電部材に重なって配置される可能性がある。この場合には、1つの導電プレートが2つの中継導電部材に静電結合して接続されてしまうため、通信安定性が低減する。これに対して、本発明は、情報記憶媒体の一方の導電プレートのみが中継導電部材に静電結合するので、情報記録媒体の位置ずれが生じた場合には、重なって配置される面積が小さくなるだけであり、位置ずれ許容度を向上できる。
さらに、本発明は、市場で多く流通している電磁誘導方式の電磁誘導通信装置を流用してシステムを構築できるので、低コストで導入できる。すなわち、情報記憶媒体のICチップとして、市場に多く流通している既存の電磁誘導方式の非接触ICカードに用いられるICチップを流用でき、かつ、電磁誘導通信装置として、既存の非接触ICカード用のリーダライタを流用して装置を構成できる。これにより、静電結合方式の特殊なICチップと、リーダライタとを新たに開発する必要なく、システムを構築できる。
加えて、本発明は、情報記憶媒体に一対の導電プレートを設ければよいので、情報記憶媒体にループアンテナを設ける場合と比較すると、情報記憶媒体の外形を小さくできる。これにより、情報記録媒体をさらに低コストで製造できる。
【0011】
・第2、第4の発明は、中継ループアンテナの他端がアースに導通され、利用者の人体がアースに導通され、利用者の人体が情報記憶媒体の他方の導電プレートに静電結合又は導通するので、第1の発明とは異なり人体が中継筐体に接触しなくても、電磁誘導通信装置が中継通信装置を介して情報記憶媒体との間で通信でき、第1の発明と同様な効果を奏することができる。また、中継筐体に接触しなくても通信できるので、操作性を向上できる。
・第5の発明は、中継導電部材が、中継ループアンテを介してのみ中継筐体に対して電気的に接続されているので、中継導電部材及び中継筐体の短絡を抑制でき、通信安定性を向上できる。
【0012】
・第6の発明は、中継導電部材が中継筐体から突出するように設けられているので、中継導電部材の表面には空気が存在するのみとなり、中継導電部材と中継筐体との静電結合を抑制できるため、通信安定性を向上できる。
・第7の発明は、情報記憶媒体の一方の導電プレートに対応した部分を挿入可能な凹部、スリット、又はポケットを備えるので、情報記憶媒体をこれらに挿入することにより、一方の導電プレートと中継導電部材とを静電結合できる。
【0013】
・第8の発明は、凹部、スリット又はポケットが、情報記憶媒体の一方の導電プレートを中継導電部材に対して位置決めし、中継導電部材が一方の導電プレートに対応した大きさであるので、中継導電部材は、一方(挿入側)の導電性薄板のみと静電結合でき、通信安定性を向上できる。
・第9の発明は、情報記憶媒体をスリット部に挿入してスライドさせて、情報記憶媒体の一方の導電プレートに静電結合できるので、スライドさせて使用する操作態様にできるため、必然的にスライドしている時間を設けて、通信可能な時間を確保できる。
【0014】
・第10の発明は、一対の導電プレートが同等の大きさであるので、情報記憶媒体をいずれの導電プレート側から凹部、スリット又はポケットに挿入しても、挿入側の導電プレートのみを中継導電部材に静電結合させることができる。
・第11の発明は、他方の導電プレートが一方の導電プレートよりも小さいので、情報記憶媒体を小さくできるため、より低コストでシステムを構築できる。
・第12の発明は、中継導電部材が、情報記録媒体を挟みこむように配置されているので、中継導電部材と情報記録媒体に具備される導電プレートとの静電結合度を高める事が可能となるため、情報記録媒体の位置づれ、反りが生じた場合や、情報記録媒体の導電プレートを小さくした場合にも、安定通信が可能であるため、より低コストで通信安定性の優れたシステムを構築できる。
・第13の発明は、第3から第12までのいずれかの発明の電磁誘導通信装置と、第3から第12までのいずれかの発明の中継通信装置と、を備える中継通信装置及び電磁誘導通信装置の組み合わせであるので、第3から第12の発明と同様な効果を奏する。
・第14の発明は、第1又は第2の発明の通信システムに使用され、通信装置側ループアンテナと、制御部とを備える電磁誘導通信装置であるので、第1又は第2の発明と同様な効果を奏する。
・第15の発明は、第1又は第2の発明の通信システムに使用され、ICチップと、一対の導電プレートとを備える情報記憶媒体であるので、第1又は第2の発明と同様な効果を奏する。
・第16の発明は、中継通信装置を用いることなく、通信装置に接続される導電部材が、情報記憶媒体の一方の導電プレートに静電結合し、通信装置に接続される筐体が、利用者の人体に静電結合又は導通し、利用者の人体が情報記憶媒体の他方の導電プレートに静電結合又は導通することにより、情報記憶媒体駆動に駆動電力が供給されるとともに、通信装置から発せられる信号が情報記憶媒体に伝達され、通信装置の制御部が情報記憶媒体のICチップとの間で通信処理できるため、より低コストでシステムを構築できる。
また、本発明は、第1の発明と同様に、情報記憶媒体が位置ずれした場合の通信安定性を向上でき、さらに、情報記憶媒体の外形を小さくできる。
・第17の発明は、中継通信装置を用いることなく、通信装置がアースに導通され、利用者の人体がアースに導通され、利用者の人体が情報記憶媒体の他方の導電プレートに静電結合又は導通するので、第16の発明とは異なり人体が筐体に接触しなくても通信できるので、操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の通信システム1の通信方法を説明する図である。
【図2】第1実施形態のICカード40の平面図及び断面図である。
【図3】カード表面を法線方向から見たときの第1実施形態の導電プレート42Aの中継導電部材32に対する位置ずれ、比較例の導電プレート142Aの中継導電部材132Aに対する位置ずれを説明する図である。
【図4】第2実施形態の通信システム201の通信方法を説明する図である。
【図5】第3実施形態の通信システム301の三面図である。
【図6】第4実施形態の通信システム401Aの三面図である。
【図7】第4実施形態の通信システム401Bの三面図である。
【図8】第5実施形態の通信システム501Aの上面図及び正面図である。
【図9】第5実施形態の通信システム501Bの上面図及び正面図である。
【図10】第6実施形態の通信システム601A〜601Cの断面図である。
【図11】第7実施形態の通信システム701の通信方法について説明する概念図である。
【図12】第7実施形態の通信システム701の三面図である。
【図13】第8実施形態のレジスタシステム801のブロック図である。
【図14】第8実施形態の中継レジスタ810の斜視図、中継通信装置830近傍の拡大図である。
【図15】第8実施形態の中継レジスタ810の動作のフローチャートである。
【図16】第9実施形態の施錠システム901のブロック図である。
【図17】第9実施形態の中継施錠装置910の斜視図、中継通信装置930を電磁誘導施錠装置920に装着する状態を説明する拡大図である。
【図18】第9実施形態の中継施錠装置910の三面図である。
【図19】第9実施形態の中継施錠装置910の動作のフローチャートである。
【図20】第10実施形態の通信システム1001の通信方法を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の通信システム1の通信方法を説明する図である。
図1(a)は、通信システム1の通信方法を説明する概念図である。
図1(b)は、リーダライタ21、中継通信装置30、ICカード40の通信方法を説明する斜視図である。
図2は、第1実施形態のICカード40の平面図(カード表面を法線方向から見た図)、及び断面図である。
図2(a)は、ICカード40の平面図である。
図2(b)は、ICカード40の断面図(図2(a)のB−B部矢視断面図)である。
【0017】
通信システム1は、リーダライタ21、中継通信装置30、ICカード40を備える。
リーダライタ21は、本来、電磁誘導方式のICカード4(図13参照)との間で、情報を送受信可能な装置であるが、本実施形態では、中継通信装置30を介して、電磁結合方式のICカード40との間で情報を送受信できる。
リーダライタ21は、制御部27を備え、制御部27によって制御されることにより、ICカード40の情報の読み出し及び更新をする電磁誘導通信装置として機能する。なお、リーダライタ21は、他の電磁誘導通信装置に対して電気ケーブル等によって接続され、その制御部によって制御されてもよい(第9実施形態参照)。
制御部27は、リーダライタ21を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。制御部27は、記憶部(図示せず)に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、本発明に係る各種機能を実現している。
【0018】
リーダライタ21は、R/W(リーダライタ)ループアンテナ21a(電磁誘導通信装置側ループアンテナ)を備える。
R/Wループアンテナ21aは、例えば、3回巻き程度のループアンテナであり、大きさが40mm×40mm程度である。R/Wループアンテナ21aは、例えば、エッチング等の手法により、プリント配線基板上に銅パターンを配線して形成される。R/Wループアンテナ21aの両端の端子は、制御部27に接続される。
【0019】
中継通信装置30は、リーダライタ21及びICカード40間の通信を可能にする装置である。中継通信装置30は、中継ループアンテナ31、中継導電部材32、筐体33(中継筐体)を備える。
中継ループアンテナ31は、R/Wループアンテナ21aとの間で電磁誘導方式により通信(結合)するアンテナである。中継ループアンテナ31は、例えば、3回巻き程度のループアンテナであり、大きさが40mm×40mm程度である。中継ループアンテナ31は、例えば、エッチング等の手法により、プリント配線基板上に銅パターンを配線して形成される。
中継ループアンテナ31の一方の端部31aは、電気ケーブルによって、中継導電部材32に対して電気的に接続されている。また、他方の端部31bは、電気ケーブルによって、筐体33に対して電気的に接続されている。電気ケーブル及び筐体33の接続部31cの接続手段は、例えばねじ止めである。
中継ループアンテナ31は、R/Wループアンテナ21aに対向配置される。
【0020】
中継導電部材32は、銅等の導電性材料を板状に形成した部材である。中継導電部材32は、筐体33に対して電気的に浮いた状態、つまり筐体33に対して電気的に絶縁されている。このため、中継導電部材32は、「端部31a→中継ループアンテナ31→端部31b→接続部31c」というルートのみによって筐体33に電気的に接続される。これにより、中継導電部材32は、筐体33との電気的接続を抑制できる。
【0021】
これとは異なり、中継導電部材32が中継ループアンテナ31を介さずに筐体33に接続されてしまうと、中継ループアンテナ31の両端が筐体33を介して短絡してしまう。この場合には、リーダライタ21と中継通信装置30との電磁誘導若しくは電磁結合による信号伝達が行われづらくなり、ICカード40との通信が不安定になるという問題がある。実施形態では、中継導電部材32は、筐体33との電気的接続を抑制できるので、このような問題が生じることを抑制でき、通信安定性を向上できる。
後述するように、中継導電部材32は、ICカード40の導電プレート42Aにほぼ密着し(例えば、中継導電部材32及び導電プレート42Aの距離L1=2mm程度)、かつ、導電プレート42Aに対向配置されることにより、導電プレート42Aに静電結合(静電容量結合)する。
【0022】
筐体33は、中継通信装置30のケース部材である。筐体33は、外部に露出しているので、利用者が手5bで触れることができる。なお、筐体33は、リーダライタ21の筐体上部に載置されている例を示すが、これに限定されない。筐体33は、外部に露出し、また中継ループアンテナ31がR/Wループアンテナ21aに対向配置される形態であればいずれの形態でもよく、例えば、その内部にリーダライタ21を収容していてもよい。
【0023】
図2に示すように、ICカード40は、外部接触端子を備えない非接触型のカードである。ICカード40は、ICチップ41、一対の導電プレート42A,42B(導電性板部材)、下層43、上層44を備える。
ICチップ41は、電磁誘導方式で通信可能な集積回路であり、従来の電磁誘導方式のICカード4(図13参照)に内蔵されているものと、同種のものである。ICチップ41は、ICカード40の動作に必要なプログラム、情報等を記憶する記憶部と、この記憶部に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することによりICカード40を統括的に制御する制御部を備える。
【0024】
ICチップ41は、厚さが例えば150μm程度である。ICチップ41は、導電プレート42A,42Bを跨ぐように配置されている。
ICチップ41の入出力部(リードフレーム等)は、導電プレート42A,42Bに対して、異方性導電性ペースト、異方性導電性フィルム、導電性接着剤等の接続部材46によって、それぞれ電気的及び機械的に接続されている。なお、ICチップ41が電磁誘導方式のものであるため、この入出力部は、本来、ループアンテナに接続されるものである。
【0025】
導電プレート42A,42Bは、それぞれ厚さ10μm、短辺×長辺が20mm×25mmのアルミ箔である。導電プレート42A,42Bは、長辺方向に並べて配置され、下層43に貼り付けられている。導電プレート42A,42Bとの間隔L2は、例えば0.5mm程度である。導電プレート42A,42Bは、ICカード40の長手方向(導電プレート42A,42Bが配列されている方向)の中心線CLに対して対称に配置されている。
下層43は、ICカード40の基材である。下層43は、例えば、厚さ180μm、短辺×長辺が25.0mm×57.5mmのPET、PET−G、PVC、ポリイミド等の絶縁性フィルム基材である。
上層44は、例えば、厚さ200μmの紙、樹脂等である。上層44は、ICチップ41、導電プレート42A,42Bを覆うように、粘着剤45等によって下層43に貼り付けられている。
【0026】
通信システム1は、以下のように、中継通信装置30を介して、リーダライタ21及びICカード40間が接続され通信を行う。なお、以下の説明において、第1実施形態の通信方式を、人体介在方式という。
(リーダライタ21及び中継通信装置30間の接続)
図1に示すように、R/Wループアンテナ21a及び中継ループアンテナ31の間は、電磁誘導方式により非接触で接続され、情報の送受信をすることができる。電磁誘導方式を用いたICカード40の通信方式は、ISO/IEC14443,ISO/IEC15693,ISO/IEC18092にて規格化されており、13.56MHzの信号周波数が用いられる。R/Wループアンテナ21a及び中継ループアンテナ31の間の通信方式も、これに準ずる。
なお、R/Wループアンテナ21a及び中継ループアンテナ31の巻数は、3巻程度である例を説明したが、これに限定されない。巻数は、両者の間が電磁誘導方式により非接触で接続される巻数であればよく、例えば1巻以上であればよい。
【0027】
利用者のICカード40の利用方法は以下の通りである。
(1)一方の手5a(若しくは他方の手5b)でICカード40の導電プレート42Bに対応した領域を把持する。
(2)導電プレート42Aに対応した領域を中継導電部材32に近付ける(中継導電部材32及び導電プレート42Aの距離L1=2mm程度)。
(3)他方の手5b(若しくは一方の手5a)で筐体33に触れる。
【0028】
これにより、以下のように、中継通信装置30及びICカード40間が接続される。
(中継通信装置30及びICカード40間の接続)
・中継ループアンテナ31の端部31aに接続された中継導電部材32及び導電プレート42Aは、コンデンサプレートとして機能して、両者の間が静電結合方式により非接触で接続される。
・中継ループアンテナ31の端部31bに接続された筐体33及び利用者の人体5は、利用者の手5bが筐体33に触れることにより、接続される。また、人体5及び導電プレート42Bは、利用者が手5a(若しくは他方の手5b)でICカード40の導電プレート42Bに対応した領域を把持することにより、静電結合する。つまり、中継ループアンテナ31の端部31b及び導電プレート42Bは、人体5を介して接続される。
これにより、中継通信装置30及びICカード40間は、静電結合方式(静電容量結合方式)により接続され、情報の送受信をすることができる。
【0029】
以上の動作によって、中継ループアンテナ31がR/Wループアンテナ21aとの電磁誘導(電磁結合)により起電力が生じ、中継導電部材32及び導電プレート42Aが静電結合し、ICチップ41に駆動電力が伝達される。また、リーダライタ21からの送信データをICチップ41に伝達でき、一方、ICチップ41からの返信データを中継通信装置30を介して、リーダライタ21に伝達できる。
【0030】
なお、実施形態では、ICカード40を、導電プレート42Aを中継導電部材32に静電結合し、導電プレート42Bを人体5に静電結合させているが、これとは逆に、導電プレート42Aを人体5に静電結合し、導電プレート42Bを中継導電部材32に静電結合させてもよく、この場合にも、同一に機能し、同一の通信処理がされる。後述する第2から第9実施形態も同様である。
【0031】
次に、ICカード40が位置ずれした場合の通信安定性について説明する。
図3は、カード表面を法線方向から見たときの第1実施形態の導電プレート42Aの中継導電部材32に対する位置ずれ、比較例の導電プレート142Aの中継導電部材132Aに対する位置ずれを説明する図である。
図3(a−1)は、第1実施形態の導電プレート42Aが正位置に配置された状態を示し、図3(a−2)は、導電プレート42Aが位置ずれした状態を示す。
図3(b−1)は、比較例の導電プレート142Aが正位置に配置された状態を示し、図3(b−2)は、導電プレート142Aが位置ずれした状態を示す。
【0032】
なお、図3(b)に示すように、比較例のICカード140は、導電プレート142A,142Bを備え、導電プレート142A,142Bがそれぞれ中継導電部材132A,132Bに静電結合するように構成されたものである。つまり、比較例の導電プレート142A,142Bは、人体5を介さずにそれぞれ中継導電部材132A,132Bに静電結合するように構成されている。
【0033】
図3(a−2)に示すように、実施形態のICカード40が、正位置(図3(a−1)の状態)から図中右上の方向にずれた場合には、導電プレート42A及び中継導電部材32が重複する領域A1の面積は、正位置の場合よりも減少するものの、導電プレート42B及び中継導電部材32が重複することがない。このため、導電プレート42B及び中継導電部材32が静電結合することがなく、電気的に安定し、ICカード40は、リーダライタ21との間で通信処理を行うことができる。
【0034】
一方、図3(b)に示すように、比較例のICカード140が正位置から右上の方向にずれた場合には、導電プレート142A及び中継導電部材132Aが重複する領域A101が減少し、かつ、導電プレート142A及び中継導電部材132Bが新たに重複する領域A102が発生する。このため、導電プレート142Aは、中継導電部材132A,132Bの両方に静電結合してしまう。領域101が減少し、領域A102が増加すると、ICチップ141の両端の電位差が小さくなり、ICチップ141の駆動に必要な供給電圧に満たなくなるため、通信処理ができない。このように、比較例のICカード140は、位置ずれの許容度が小さい。
これに対して、実施形態のICカード40は、前述したように、位置ずれしても電気的に安定し、位置ずれの許容度を大きくできる。
【0035】
以上説明したように、実施形態の通信システム1は、R/Wループアンテナ21aと中継ループアンテナ31とが電磁誘導方式により信号を伝達し、中継導電部材32と導電プレート42Aとを静電結合させることにより信号を伝達できる。また、通信システム1は、ICカード40にループアンテナを形成する必要がなく、2つの導電プレート42A,42Bを設ければよい。
これにより、実施形態の通信システム1は、従来の複雑なエッチング等のアンテナ形成工程が不要となり、低コストでICカード40を製造できる。また、ICカード40の発行枚数が多くなる程、コスト面で有利になり、低コストでシステムを構築できる。
【0036】
また、通信システム1は、市場で多く流通している電磁誘導方式のリーダライタ21及びICチップ41を利用できるので、電磁誘導方式を利用した既存のシステムに対して、中継通信装置30を付加すれば、容易かつ低コストでシステムを構築できる。
さらに、通信システム1は、ICカード40に一対の導電プレート42A,42Bを設ければよいので、ループアンテナを設ける場合と比較すると、ICカード40の外形を小さくできる。これにより、ICカード40をさらに低コストで製造できる。
なお、新たにシステムを導入する場合であっても、電磁誘導方式のICカード40に用いられるICチップ41を流用でき、かつ、既存の非接触IC用のリーダライタ21を流用できる。これにより、静電結合方式の特殊なICチップ41と、リーダライタ21とを開発する必要なく、システムを構築できる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用した第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図4は、第2実施形態の通信システム201の通信方法を説明する図である。
図4(a)は、通信システム201の通信方法を説明する概念図である。
図4(b)は、リーダライタ21、中継通信装置230、ICカード40の通信方法を説明する斜視図である。
【0038】
本実施形態の通信システム201は、中継通信装置230の中継ループアンテナ31の端子31bが、グランドGNDに電気的に接続されている点が、第1実施形態とは異なる。
グランドGNDは、基準電位となる面であり、リーダライタ21、中継通信装置230の設置面等である。
中継ループアンテナ31の端子31bとグランドGNDとの接続は、いずれの構成でもよい。例えば、端子31bと筐体233とを接続部31cで接続して、以下の方法を用いることができる。
・筐体233をグランドGNDに直接設置して、グランドGNDに電気的に接続する。
・筐体233をリーダライタ21の筐体を介して、グランドGNDに電気的に接続する。
・筐体233及びグランドGNDを、電気ケーブルによって接続する。
また、筐体233は、グランドGNDに接続できる形態であれば、第1実施形態の筐体33と同一のものでもよい。
【0039】
通信システム201は、ICカード40の導電プレート42Bと、中継ループアンテナ31の端部31bとの接続方法が、第1実施形態の通信システム1とは異なる。なお、以下の説明において、第2実施形態の通信方式を、人体及びアース介在方式という。
【0040】
利用者のICカード40の利用方法は以下の通りである。
(1)利用者がグランドGNDに位置する(例えば、利用者がグランドGNDである床面等に立つ)。
(2)一方の手5bでICカード40の導電プレート42Bに対応した領域を把持する。
(3)導電プレート42Aに対応した領域を中継導電部材32に近付ける(中継導電部材32及び導電プレート42Aの距離L1=2mm程度)。
すなわち、第2実施形態の人体及びアース介在方式は、第1実施形態の人体介在方式とは異なり、利用者は、筐体233を手5bで触れる必要がない。
【0041】
これにより、以下のように、中継通信装置230及びICカード40間が接続される。
(中継通信装置230及びICカード40間の接続)
・導電部材32及び導電プレート42Aは、第1実施形態と同様に、静電結合する。
・中継ループアンテナ31の端部31bに接続された筐体233は、グランドGNDに接続されている。
人体5及び導電プレート42Bは、利用者がICカード40の導電プレート42Bに対応した領域を把持することにより、静電結合する。利用者は、グランドGNDに位置しているので、導電プレート42Bは、人体5を介してグランドGNDに接続される。このため、導電プレート42Bと中継ループアンテナ31の端部31bとは、人体5、グランドGND、筐体233を介して接続され、「中継ループアンテナ31→中継導電部材32→導電プレート42A→ICチップ41→導電プレート42B→人体5→グランドGND→筐体233→中継ループアンテナ31」のループが形成される。
【0042】
これにより、通信システム201は、第1実施形態と同様に、ICカード40及び中継通信装置230間で通信を行うことができる。
なお、グランドGNDである床面等の設置面は、導電性を有する部材(例えば、金属板、導電性ゴム、導電性絨毯等)が好適である。グランドGNDの安定性を向上できるので、導電プレート2と中継ループアンテナ31の端部31bとの導通性能が向上し、より安定した通信処理ができるからである。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の通信システム201は、利用者が中継通信装置230の筐体233に触れなくても、リーダライタ21及びICカード40間で通信でき、第1実施形態と同様な効果を奏することができ、また操作性を向上できる。
【0044】
(第3実施形態)
次に、本発明を適用した第3実施形態について説明する。
第3実施形態の通信システム301は、中継通信装置330の筐体333を第1実施形態、第2実施形態から変更したものである。なお、通信方法は、第1実施形態の人体介在方式、第2実施形態の人体及びアース介在方式のいずれを用いてもよい。
図5は、第3実施形態の通信システム301の三面図である。
図5(a)は、上面(上側Z2)から見た上面図、図5(b)は、右側面(右側X2)から見た断面図(図5(a)のB−B部矢視断面図)、図5(c)は、正面(手前側Y1)から見た断面図(図5(a)のC−C部矢視断面図)である。
【0045】
中継通信装置330の筐体333は、カード配置凹部334を備える。
カード配置凹部334は、利用者がICカード40を挿入するための窪みである。カード配置凹部334は、筐体333の上面の手前側Y1に設けられ、上側Z2及び手前側Y1が開口している。カード配置凹部334の平面形状は、奥行方向Yの長さL32yが、ICカード40の長辺(導電プレート42A,42Bが配列されている方向の辺)の半分以下であり、また左右方向Xの長さL32xが、ICカードの短辺(導電プレート42A,42Bが配列されている方向に直交する辺)よりも少し大きい程度である。カード配置凹部の深さL32zは、ICカード40の厚みより大きい。
【0046】
なお、中継導電部材32は、カード配置凹部334の底部を形成するように配置されているが、これに限定されない。中継導電部材32は、カード配置凹部334に挿入されたICカード40に対して、静電結合できる形態であればよく、例えば、カード配置凹部334の底部を筐体333とは異なる絶縁材で形成して、この絶縁材よりも内側に中継導電部材32を配置してもよい。
【0047】
通信システム301は、上記構成により、ICカード40は、カード配置凹部334に挿入されることにより、左右の側壁334bによって、左右方向Xにおいて、位置決めされる。また、ICカード40は、奥側Y2の縁部をカード配置凹部334の奥壁に当接されることにより、奥行方向Yにおいて、位置決めされる。そして、ICカード40は、裏面がカード配置凹部334に底部に当接されることにより、鉛直方向Zにおいて、位置決めされる。
これにより、導電プレート42Aは、中継導電部材32に対して位置決めされ、ICカード40を挿入凹部334の奥壁に当接させても、導電プレート42Bは、中継導電部材32に対向しないので、通信システム301は、中継通信装置330及びICカード40間の通信安定性を向上できる。
【0048】
(第4実施形態)
次に、本発明を適用した第4実施形態について説明する。
なお、以下の説明において、リーダライタの構成は、図示及び説明を適宜省略するが、前述した実施形態の構成と同様である。
第4実施形態の通信システム401A,401Bは、中継通信装置430A,430Bの筐体433A,433Bを第3実施形態から変更したものである。
図6は、第4実施形態の通信システム401Aの三面図である。
図6(a)は、上面(上側Z2)から見た上面図、図6(b)は、右側面(右側X2)から見た断面図(図6(a)のB−B部矢視断面図)、図6(c)は、正面(手前側Y1)から見た断面図(図6(a)のC−C部矢視断面図)である。
【0049】
中継通信装置430Aの筐体433Aは、カード挿入スリット434Aを備える。
カード挿入スリット434Aは、利用者がICカード40を挿入するためのスリットである。カード挿入スリット434Aは、筐体433Aの手前側Y1の面に左右方向Xに延在するように設けられ、左右方向Xが開口している。
カード挿入スリット434Aの奥行方向の長さL434yは、ICカード40の長辺の半分以下であり、カード挿入スリット434Aの左右方向Xの長さL434xは、ICカード40の短辺と同程度である。
また、カード挿入スリット434Aの幅(鉛直方向の長さ)L434zは、ICカード40の厚みより少し大きい程度であり、収容しているICカード40の導電プレート42Aと、中継導電部材42との距離L1が、2mm以内を維持できるようになっている。つまり、ICカード40の上面がカード挿入スリット434Aの上側Z2の内壁434aに当接した場合であっても、中継導電部材42の上面と、導電プレート42Aの下面との距離L1が2mm以内を維持できるようになっている。
【0050】
通信システム401Aは、上記構成により、利用者がICカード40をカード挿入スリット434Aに挿入させることにより、導電プレート42Aが中継導電部材32に対向し、ICカード40の奥側Y2の縁部をカードスリット434Aに当接させた場合も、導電プレート42Bは、中継導電部材32に対向せず、鉛直方向Zにおいて、導電プレート42Aと中継導電部材32との間で通信可能な範囲(距離L1が、2mm以内)に位置決めされる。
これにより、中継通信装置430A及びICカード40間の通信安定性を向上できる。
【0051】
図7は、第4実施形態の通信システム401Bの三面図である。
通信システム401Bは、通信システム401Aのカード挿入スリット434Aの左右方向Xを閉じて、カード挿入スリット434Aの代わりに、筐体433Bにカード挿入ポケット434Bを設けたものである。
この場合には、カード挿入ポケット434Bの左右方向Xの長さを、カードの短辺よりも少し大きい程度にすれば、左右方向Xにおいても、導電プレート42Aが中継導電部材32に対して位置決めできるので、中継通信装置430B及びICカード40間の通信安定性を一層向上できる。
【0052】
(第5実施形態)
次に、本発明を適用した第5実施形態について説明する。
第5実施形態の通信システム501A,501Bは、筐体533A,筐体533Bのカード挿入スリット534A,534Bを、第4実施形態のカード挿入スリット434Aよりも左右方向Xに長く形成したものである。
図8は、第5実施形態の通信システム501Aの上面図及び正面図である。
図8(a)は、上面(上側Z2)から見た上面図、図8(b)は、正面(手前側Y1)から見た断面図(図8(a)のB−B部矢視断面図)である。
通信システム501Aの中継導電部材532Aは、カード挿入スリット534Aに対応して左右方向Xに長く形成されている。
これにより、通信システム501Aは、ICカード40をカード挿入スリット534Aに挿入した状態で左右方向Xにスライドさせることにより、ICカード40及び中継通信装置530A間で安定した通信処理をしながら、通信処理をできる。また、ICカード40をスライドさせる操作態様にできるため、必然的にスライドしている間は、通信可能な時間を確保できる。
【0053】
図9は、第5実施形態の通信システム501Bの上面図及び正面図である。
通信システム501Bは、ICカード540Bの導電プレート542A,542Bを、導電プレート542A,542Bの短辺方向に配列したものであり、また、ICカード540Bを短辺方向が、導電プレート542A,542Bの短辺方向になるように形成されている。
また、中継導電部材532Bは、奥行方向Yの長さが導電プレート542Aの短辺に対応した大きさであり、またカード挿入スリット534Bに対応して左右方向Xに長く形成されている。
このため、ICカード540を、導電プレート542A側からカード挿入スリット534Bに挿入し、左右方向Xにスライドすることにより、通信システム501Aと同様に通信できる。
つまり、カード挿入スリット及び中継導電部材の形状は、ICカードの形態に応じて、適宜設定でき、また、ICカードの形態は、カード挿入スリット及び中継導電部材との形状に応じて適宜設定できる。
【0054】
(第6実施形態)
次に、本発明を適用した第6実施形態について説明する。
図10は、第6実施形態の通信システム601A〜601Cの断面図である。
図10(a)に示すように、通信システム601Aの中継導電部材632Aは、筐体633Aから突出するように設けられている。
このため、中継導電部材632Aの上面及び下面の周囲には空気のみが存在し、中継導電部材632A及び筐体633Aの静電結合を抑制できるため、通信安定性を向上できる。
【0055】
図10(b)の通信システム601Bは、筐体633Bにカード挿入ポケット634Bを設け、その奥壁634aから中継導電部材632Bが突出するように配置されている。これにより、第4実施形態と同様に、ICカード40の導電プレート42Aは、中継導電部材632Bに対する位置決めがされ、通信安定性を一層向上できる。
【0056】
図10(c)の通信システム601Cは、通信システム601Bと同様に、筐体633Cにポケット634Cを設け、中継導電部材632Cがその奥壁634aから突出するように配置されている。中継導電部材632Cに下面には、保持部材635が設けられている。保持部材635は、中継導電部材632Cを保持するための十分な剛性を有しており、中継導電部材632Cと同様に、奥壁634aか突出するように配置されている。
これにより、中継導電部材632Cを銅箔のような薄板により形成しても、保持部材635によって中継導電部材632Cを保持できる。
【0057】
(第7実施形態)
次に、本発明を適用した第7実施形態について説明する。
図11は、第7実施形態の通信システム701の通信方法について説明する概念図である。
通信システム701は、中継導電部材732が2つの中継導電部材732−1,732−2から構成される。中継導電部材732−1,732−2は、表面同士が向かい合うように配置された板材である。中継ループアンテナの端部31aは、中継導電部材732−1,732−2の両方に対して、電気ケーブルにより電気的に接続されている。
そして、ICカード40が中継導電部材732−1,732−2間に挿入されることにより、導電プレート42Aが中継導電部材732−1,732−2の両方に対して静電結合するので、静電結合度が増加する。これにより、導電プレート42Aのサイズを小さくできるので、さらに安価なICカード40を提供できる。
また、ICカード40が中継導電部材732−1,732−2間内で厚み方向に移動した場合には、導電プレート42Aは、一方の中継導電部材732−1(又は732−2)との間隔が大きくなり静電結合度が減少するが、一方で、他方の中継導電部材732−2(又は732−1)との間隔が小さくなり静電結合度が増加する。このため、通信システム701は、安定した通信処理を行うことが可能となる。
なお、図11は、人体及びアース介在方式の例であるが、人体介在方式であってもよい。また、中継導電部材732は、3つ以上の中継導電部材から構成してもよく、さらに、導電性を有する部材でれば、材質、形状、厚みは限定されない。また、中継導電部材732−1,732−2は、導電性を有する板を、第6実施形態の保持部材635のような絶縁部材に貼り付けて構成してもよい。
【0058】
図12は、第7実施形態の通信システム701の三面図である。
図12(a)は、上面(上側Z2)から見た上面図、図12(b)は、右側面(右側X2)から見た断面図(図12(a)のB−B部矢視断面図)、図12(c)は、正面図(手前側Y1から見た図)である。
通信システム701は、前述した第5実施形態のカード挿入スリット534Aと同様なカード挿入スリット734を、2つの中継導電部材732−1,732−2により設けた。2つの中継導電部材732−1,732−2は、それぞれ、材質をアルミニウム板、5mm厚、サイズを20mm×70mmとした。
カード挿入スリット734は、左右方向Xの長さ70mm×高さ(鉛直方向Zの開口長さ)3mm×奥行(奥行方向Yの深さ)20mm×とした。
【0059】
中継導電部材732−1,732−2は、間隔L734zが3mmになるよう向かい合うように固定した。
筐体733は、電気ケーブルを介してグランドGNDに接続して、中継ループアンテナ31の端部31bを、グランドGNDに接続してアース処理を施した。
また、2つの中継導電部材732−1,732−2は、第6実施形態と同様に、筐体733から突出するように配置した。
中継ループアンテナ31は、配線材質を銅箔35μm厚とし、サイズを40mm×40mmとした。また、中継ループアンテナ31及びR/Wループアンテナ21aを向かい合うように配置して、両者の間隔L31を5mmとした。
【0060】
ICカード40は、図2に示す形態と同様である。
上記構成の通信システム701を用いて、ICカード40をカード挿入スリット734に挿入して、左右方向Xに手動でスライドして通過させて、ICカード40を正常に認証処理できることを確認した。またこのとき、ICカード40を素手で把持した場合、手袋をはめて把持した場合の両方について、正常に認証処理できた。
さらに、ICカード40をカード挿入スリット734の奥まで挿入した場合、奥から10mm手前まで挿入した場合の両方について、正常に認証処理できた。
【0061】
なお、本実施形態では、ICカード40は、カード挿入スリット734に挿入する例を説明したが、これに限定されない。例えば、ICカード40は、第4実施形態で説明したカード挿入ポケット434Bと同様なポケットに挿入してもよい。
【0062】
(第8実施形態)
次に、本発明を適用した第8実施形態について説明する。
第8実施形態の通信システムは、店舗等で利用される電子マネーに係るレジスタシステム801である。また、以下の説明において、レジスタシステム801は、人体介在方式を利用した例を説明するが、人体及びアース介在方式を利用してもよい。
図13は、第8実施形態のレジスタシステム801のブロック図である。
レジスタシステム801は、サーバ802及び複数の電磁誘導レジスタ803が接続された従来のシステムに、さらに、中継レジスタ810がサーバ802に接続されて構成される。レジスタシステム801で用いられるICカードは、ICチップが内蔵されたICカード4,40である。
【0063】
サーバ802は、サーバ記憶部802a、サーバ制御部802bを備える。
サーバ記憶部802aは、サーバ802の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
サーバ記憶部802aは、例えば、ICカード4,40の情報(残金、利用者の氏名等)を記憶する。サーバ記憶部802aの情報は、ICカード4,40の情報を更新する場合(残金の補充等)に適宜参照される。
サーバ制御部802bは、サーバ802を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。サーバ制御部802bは、サーバ記憶部802aに記憶された各種プログラムを適宜読み出して処理を実行する。
電磁誘導レジスタ803は、従来の電磁誘導方式のリーダライタが設けられたレジスタであり、電磁誘導方式のICカード4との間で、情報の送受信をすることができる。
【0064】
中継レジスタ810は、従来の電磁誘導レジスタ820(電磁誘導通信装置)に対して、中継通信装置830が加えられることにより構成される。中継レジスタ810は、中継通信装置830を介して、電磁誘導レジスタ820とICカード40との間で情報を送受信できる。
なお、レジスタシステム801は、電磁誘導レジスタ803を利用せずに、複数の中継レジスタ810のみから構成してもよい。また中継レジスタ810は、従来の電磁誘導レジスタ820を利用するものではなく、新たに専用に設けた装置でもよい。
【0065】
中継レジスタ810の構成について説明する。
図14は、第8実施形態の中継レジスタ810の斜視図(図14(a))、中継通信装置830近傍の拡大図(図14(b))である。
中継レジスタ810は、従来の電磁誘導レジスタ820と、電磁誘導レジスタ820に載置された中継通信装置830とを備える。
【0066】
電磁誘導レジスタ820は、本来は、電磁誘導方式のICカード4との間で、情報を送受信可能な、電磁誘導レジスタ803と同様な装置である。
電磁誘導レジスタ820は、リーダライタ21、操作部822、表示部823を備える。
リーダライタ21は、電磁誘導レジスタ820の筐体上部に電磁誘導レジスタ820に一体的に組み込まれている。なお、リーダライタ21は、電磁誘導レジスタ820に対して電気ケーブル等によって接続してもよい。
【0067】
操作部822は、店舗の店員等が、価格等の数値を入力するテンキーや、電磁誘導レジスタ820を操作するボタン等を備える入力装置である。
表示部823は、操作画面を出力する液晶表示装置等の表示装置である。
【0068】
中継通信装置830は、リーダライタ21上に載置される。中継通信装置830は、中継ループアンテナ31(図13参照)、中継導電部材32(図13参照)、筐体833を備える。中継ループアンテナ31、中継導電部材32は、第1実施形態と同様である。
【0069】
筐体833は、第3実施形態と同様なカード配置凹部834を備える(図5参照)。
カード配置凹部834は、筐体833の上面の手前側Y1に設けられ、上側Z2及び手前側Y1が開口している。
【0070】
図13を参照して、中継レジスタ810、ICカード40のブロック図について説明する。
電磁誘導レジスタ820は、レジスタ記憶部826、レジスタ制御部827(通信結果判定制御部)を備える。
レジスタ記憶部826は、電磁誘導レジスタ820の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための半導体メモリ素子等の記憶装置である。
レジスタ制御部827は、電磁誘導レジスタ820を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。レジスタ制御部827は、レジスタ記憶部826に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
なお、電磁誘導レジスタ820は、電磁誘導レジスタ803と同様な構成であるので、レジスタ記憶部826、レジスタ制御部827は、電磁誘導レジスタ803に設けられている記憶部、制御部(図示せず)と、基本的な構成が同様である。
【0071】
ICカード40のICチップ41は、ICチップ記憶部41a、ICチップ制御部41b、アナログ回路41cを備える。
ICチップ記憶部41aは、ICカード40の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するための記憶回路である。ICチップ記憶部41aは、例えば、ICカード40の所有者の名前、残金等を記憶する。
ICチップ制御部41bは、ICカード40を統括的に制御するための制御部であり、例えばCPU等から構成される。ICチップ制御部41bは、ICチップ記憶部41aに記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、本発明に係る各種機能を実現している。
アナログ回路部41cは、整流回路、変調回路、復調回路、CLK抽出回路により構成されており、ICチップ入出力端子を介して入力された信号よりAD変換、クロック生成を行い、ICチップ制御部41bへの電圧供給、クロック供給、データ入出力を行う。
【0072】
次に、実施形態の中継レジスタ810の動作について説明する。
図15は、第8実施形態の中継レジスタ810の動作のフローチャートである。
S1において、利用者が買物を終了すると、店舗の店員等が中継レジの操作部822を操作して、料金を算出する。算出した料金は、表示部823に表示される。
S2において、利用者がICカード40の導電プレート42B側を手に持って(把持して)、導電プレート42A側をカード配置凹部834に挿入すると、導電プレート42A及び中継導電部材32が静電結合する。
S3において、レジスタ制御部827は、ICカード40との通信を開始する。なお、レジスタ制御部827は、ポーリングコマンドを継続して送信しており、ICカード40がカード配置凹部834に挿入されることによって、ICカード40の応答を得て、ICカード40との通信処理を開始する。
【0073】
S4において、レジスタ制御部827は、通信処理として、ICチップ41の情報の読み出し、書き込みを開始する。例えば、レジスタ制御部827は、ICチップ41の情報を読み出して残金の確認、精算後の残金の更新を行う。
【0074】
S5において、利用者がICカード40をカード配置凹部834から取り出すと、中継通信装置830及びICカード40間の静電結合が切断され、処理が終了する(S6,S7)。
【0075】
以上説明したように、本実施形態のレジスタシステム801は、従来の通信システムに、中継通信装置830及びICカード40を付加することにより、容易かつ低コストでシステムを構築できる。
【0076】
(第9実施形態)
次に、本発明を適用した第9実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第8実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第9実施形態の通信システムは、室内へ入室する扉6(図17参照)の施錠の開閉を制御する施錠システム901である。また、以下の説明において、施錠システム901は、人体及びアース介在方式を利用した例を説明するが、人体介在方式を利用してもよい。
【0077】
図16は、第9実施形態の施錠システム901のブロック図である。
施錠システム901は、サーバ902及び複数の電磁誘導施錠装置903が接続された従来のシステムに、中継施錠装置910がサーバ902に接続されて構成される。施錠システム901で用いられるICカードは、ICチップが内蔵されたICカード4,40(情報記憶媒体)である。ICカード4,40は、例えば社員証と兼用したものであり、各利用者(従業員等)が携行している。ICカード4,40の記憶部は、各利用者にそれぞれ付与された識別番号を記憶している。
サーバ902は、サーバ記憶部902a、サーバ制御部902bを備える。
サーバ記憶部902aは、全ての利用者の識別番号を記憶している。
サーバ制御部902bは、サーバ902を統括的に制御するための制御部である。
電磁誘導施錠装置903は、従来の電磁誘導方式のリーダライタが設けられた施錠装置であり、電磁誘導方式のICカード4との間で、情報の送受信をすることができる。
【0078】
中継施錠装置910は、従来の電磁誘導施錠装置920(電磁誘導通信装置)に対して、中継通信装置930が加えられることにより構成される。中継施錠装置910は、中継通信装置930を介して、電磁誘導施錠装置920及び静電結合方式(静電容量結合方式)のICカード40との間で情報を送受信できる。
【0079】
図17は、第9実施形態の中継施錠装置910の斜視図、中継通信装置930を電磁誘導施錠装置920に装着する状態を説明する拡大図である。
図18は、第9実施形態の中継施錠装置910の三面図である。
図18(a)は、中継施錠装置910の正面図(手前側Y1から見た図)、図18(b)は、右側面(右側X2)から見た断面図(図18(a)のB−B部矢視断面図)、図18(c)は、下側Z1から見た断面図(図18(a)のC−C部矢視断面図)である。
中継施錠装置910は、従来の電磁誘導施錠装置920、中継通信装置930を備える。
電磁誘導施錠装置920は、リーダライタ21、施錠駆動部922を備える。
リーダライタ21は、制御部を備えずに、R/Wループアンテナ21aが直接、電磁誘導施錠装置920の施錠装置制御部927に接続されている。
施錠駆動部922は、扉6の施錠装置の駆動装置である。施錠駆動部922は、モータ、レバー等を備えており、これらを駆動して、扉6の施錠及びその解除を行う。
【0080】
中継通信装置930は、電磁誘導施錠装置920及びICカード40間の通信を可能にする装置である。中継通信装置930は、中継ループアンテナ31、中継導電部材32、筐体933を備える。
【0081】
筐体933は、開口を有する箱形状であり、電磁誘導施錠装置920のリーダライタ21に覆いかぶされるように配置され、開口縁部が壁部7aに密着するように設置される。
筐体933は、第5実施形態と同様なカード挿入スリット934を備えている。カード挿入スリット934は、筐体933の手前側Y1の面に、鉛直方向Zに延在するように設けられている。利用者は、ICカード40を導電プレート42A側からカード挿入スリット934に挿入した状態で、鉛直方向Zにスライドできるようになっている。
【0082】
次に、実施形態の中継施錠装置910の動作について説明する。
図19は、第9実施形態の中継施錠装置910の動作のフローチャートである。
S101において、利用者が床面7bに位置し、ICカード40の導電プレート42B側を手5bに持って(把持して)、導電プレート42A側をカード挿入スリット934に挿入すると、導電プレート42B及び手5bが静電結合する。
また、壁部7a及び床面7bは、連続しているので、グランドGNDとして機能する。このため、「中継ループアンテナ31→中継導電部材32→導電プレート42A→ICチップ41→導電プレート42B→人体5→壁部7a及び床面7b(グランドGND)→筐体933→中継ループアンテナ31」のループが形成される。
これにより、導電プレート42B及び中継ループアンテナ31の端部31bが人体及びアース介在方式によって接続され、中継通信装置930及びICカード40間が接続される。
【0083】
なお、利用者は、ICカード40の導電プレート42B側を手に持って(把持して)、導電プレート942A側からカード挿入スリット934の上側Z2から下側Z1に向けてスライドする。ICカード40がカード挿入スリット934を通過している間は、導電プレート42A及び中継導電部材32の静電結合が維持されるので、中継通信装置930及びICカード40間の接続が維持される。
そして、ICカード40がカード挿入スリット934を通り抜けることにより、導電プレート42A及び中継導電部材32が静電結合方式による結合が切断される(S109)。
【0084】
S102において、施錠装置制御部927は、ICカード40との通信を開始して、ICチップ41に記憶した利用者の識別番号を読み出す。なお、ICカード40がカード挿入スリット934を通過している間は、中継通信装置930及びICカード40間の接続が維持されるので、施錠装置制御部927は、識別番号を読み出すために必要な通信時間を確保できる。
S103において、施錠装置制御部927は、識別番号をサーバ902に送信する。
S104において、サーバ制御部902bは、施錠装置制御部927から送信された識別番号が、サーバ記憶部902aに存在するかを判定して、S105において、その判定結果を中継施錠装置910に送信する。
【0085】
S106において、施錠装置制御部927は、サーバ902から送信された判定結果が、サーバ記憶部902aに利用者の識別番号が存在するものであった場合には(S106:YES)、S107に進んで、施錠駆動部922を駆動して、扉6を開錠する。この場合、利用者は、扉6を開いて入室できる。
一方、施錠装置制御部927は、サーバ902から送信された判定結果が、サーバ記憶部902aに利用者の識別番号が存在しないものであった場合には(S106:NO)、施錠駆動部922を開駆動することなく、処理を終了し(S108)、扉6の施錠状態を維持する。この場合、利用者は、扉6を開くことができず、入室することはできない。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の施錠システム901は、従来の通信システムに、中継通信装置930及びICカード40を付加することにより、容易かつ低コストでシステムを構築できる。
【0087】
(第10実施形態)
次に、本発明を適用した第10実施形態について説明する。
図20は、第10実施形態の通信システム1001の通信方法を説明する斜視図である。
本実施形態のICカード1040は、人体5に静電結合する導電プレート1042Bの大きさが、中継導電部材32に静電結合する導電プレート1042Aよりも小さい。導電プレート1042Bは、導電プレート1042Aよりも小さくても、手5a(人体5)に静電結合できるためである。これにより、通信システム1001は、ICカード1040をより小さくできるので、より低コストにシステムを構築できる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0089】
(変形形態)
(1)実施形態において、リーダライタ及び中継通信装置は、電磁誘導方式により通信する例を示したが、これに限定されない。例えば、リーダライタ及び中継通信装置は、電磁結合方式によって通信してもよい。この場合には、ICカードに設けるICチップを、電磁結合方式によって通信できるタイプにすればよい。
【0090】
(2)実施形態において、ICカードの導電プレートは、下層43、上層44に挟まれて露出していない例を示したが、これに限定されない。導電プレートが露出していても、利用者の手に導通して接続できるので、ICカードは、例えば上層44を設けずに、導電プレートを下層43に貼り付けた状態としてもよい。
【0091】
(3)実施形態において、リーダライタの筐体と、中継通信装置の筐体とは、別部材である例を説明したが、一体的に設けてもよい。
【0092】
(4)実施形態において、中継筐体は、絶縁体により形成される例を示したが、これに限定されない。中継ケースは、金属等の導電材料により形成されてもよい。
【0093】
(5)実施形態において、中継導電部は、板状である例を示したが、これに限定されない。中継導電部は、導電プレート42等に静電結合できれば、いずれの形状でもよく、例えば、金属等のブロック(塊体)であってもよい。
【0094】
(6)実施形態において、中継通信装置は、中継ループアンテナ、導電プレートが一体で1つの筐体内に組み込まれている例を示したが、これに限定されない。これらが一体として機能するシステムであれば、別々の筐体内に設けられていてもよい。
【0095】
(7)実施形態において、中継通信装置は、レジスタシステム、施錠システムに設けられている例を示したが、これに限定されない。このシステムは、自動改札、物流管理等の各種システム等の様々なシステムに適用できる。この場合であっても、実施形態と同様に、リーダライタに対して通信する中継通信装置を設ければ、容易に従来のシステムの適用できるし、また新たなシステムであっても、低コストで導入できる。
【0096】
(8)実施形態において、通信システムは、中継通信装置を備える例を示したが、これに限定されない。通信システムは、中継通信装置を設けずに、静電結合方式のICチップを備えるICカード(情報記憶媒体)と、静電結合方式のリーダライタ(通信装置)によって構成してもよい。この場合には、一対の導電プレートをICチップに接続して、リーダライタ(通信装置)に、導電性を有する導電部材と、ICカードの利用者が接触可能な筐体と、導電部材及び筐体に接続され、通信処理をする制御部を設ければよい。これにより、制御部は、導電部材が、ICカードの一方の導電プレートに静電結合又は導通し、筐体が、利用者の人体に静電結合又は導通し、利用者の人体がICカードの他方の導電プレートに静電結合することによりICカードのICチップとの間で、第1実施形態と同様に人体介在方式によって通信処理できる。この場合であっても、リーダライタに対するICカードの位置ずれ許容度を向上できる。
また、第2実施形態の人体及びアース介在方式についても、同様に構成を変更して、通信処理できる。
【符号の説明】
【0097】
1,201,301,401A,401B,501A,501B,601A〜601C,701,1001 通信システム
5 人体
21 リーダライタ
21a R/Wループアンテナ
27 制御部
30,230,330,430A,430B,830,930 中継通信装置
31 中継ループアンテナ
32,532A,532B,632A〜632C,732,732,732−1,732−2 中継導電部材
33,233,333,433A,433B,533A,533B,633A〜633C,733,833,933 筐体
40,540B,1040 ICカード
41 ICチップ
42A,42B,542A,542B,1042A,1042B 導電プレート
334,834 カード配置凹部
434A,534A,534B,934 カード挿入スリット
434B,634B カード挿入ポケット
634B,634C ポケット
635 保持部材
801 レジスタシステム
810 中継レジスタ
820 電磁誘導レジスタ
827 レジスタ制御部
901 施錠システム
910 中継施錠装置
920 電磁誘導施錠装置
927 施錠装置制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記憶媒体と電磁誘導通信装置との間に中継通信装置を介在させ、前記情報記憶媒体と前記電磁誘導通信装置との間で通信する通信システムであって、
前記情報記憶媒体は、
電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップと、
前記ICチップに接続され、導電性を有する一対の導電プレートとを備え、
前記中継通信装置は、
中継ループアンテナと、
前記中継ループアンテナの一端に接続され、導電性を有する中継導電部材と、
前記中継ループアンテナの他端に接続され、前記情報記憶媒体の利用者の人体の一部が接触可能な中継筐体とを備え、
前記電磁誘導通信装置は、
前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する通信装置側ループアンテナと、
通信処理をする制御部とを備え、
前記制御部は、
前記通信装置側ループアンテナが、前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信し、
前記中継ループアンテナの一端に接続された前記中継導電部材が、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合し、
前記中継ループアンテナの他端に接続された前記中継筐体が、前記利用者の人体に静電結合又は導通し、
前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、
前記情報記憶媒体の前記ICチップとの間で通信処理をすること、
を特徴とする通信システム。
【請求項2】
情報記憶媒体と電磁誘導通信装置との間に中継通信装置を介在させ、前記情報記憶媒体と前記電磁誘導通信装置との間で通信する通信システムであって、
前記情報記憶媒体は、
電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップと、
前記ICチップに接続され、導電性を有する一対の導電プレートとを備え、
前記中継通信装置は、
中継ループアンテナと、
前記中継ループアンテナの一端に接続され、導電性を有する中継導電部材とを備え、
前記中継ループアンテナの他端がアースに接続され、
前記電磁誘導通信装置は、
前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する通信装置側ループアンテナと、
通信処理をする制御部とを備え、
前記制御部は、
前記通信装置側ループアンテナが、前記中継ループアンテナとの間で電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信し、
前記中継ループアンテナの一端に接続された前記中継導電部材が、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合し、
前記中継ループアンテナの他端が、前記アースに接続され、
利用者の人体が前記アースに接続され、
前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、
前記情報記憶媒体の前記ICチップとの間で通信処理をすること、
を特徴とする通信システム。
【請求項3】
電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップと前記ICチップに接続され導電性を有する一対の導電プレートとを備える情報記憶媒体と、電磁誘導通信装置との間に介在する中継通信装置であって、
前記電磁誘導通信装置の通信装置側ループアンテナとの間で、電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する中継ループアンテナと、
前記中継ループアンテナの一端に接続され、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合する中継導電部材と、
前記中継ループアンテナの他端に接続され、利用者の人体に静電結合又は導通し、前記情報記憶媒体の前記利用者の人体の一部が接触可能な中継筐体とを備え、
前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、前記情報記憶媒体及び前記電磁誘導通信装置を接続すること、
を特徴とする中継通信装置。
【請求項4】
電磁誘導方式又は電磁結合方式で通信可能なICチップと前記ICチップに接続され導電性を有する一対の導電プレートとを備える情報記憶媒体と、電磁誘導通信装置との間に介在する中継通信装置であって、
前記電磁誘導通信装置の通信装置側ループアンテナとの間で、電磁誘導方式又は電磁結合方式により通信する中継ループアンテナと、
前記中継ループアンテナの一端に接続され、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合する中継導電部材と、
この中継通信装置のケース部材である中継筐体とを備え、
前記中継ループアンテナの他端がアースに接続され、利用者の人体が前記アースに接続され、前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合又は導通することにより、前記情報記憶媒体及び前記電磁誘導通信装置を接続すること、
を特徴とする中継通信装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の中継通信装置において、
前記中継導電部材は、前記中継ループアンテナを介してのみ前記中継筐体に対して電気的に接続されていること、
を特徴とする中継通信装置。
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載の中継通信装置において、
前記中継導電部材は、前記中継筐体から突出するように設けられていること、
を特徴とする中継通信装置。
【請求項7】
請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載の中継通信装置において、
前記中継筐体に設けられ、前記情報記憶媒体の前記一方の前記導電プレートに対応した領域を挿入可能な凹部、スリット又はポケットを備え、
前記中継導電部材は、前記凹部、前記スリット又は前記ポケットに挿入された前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合すること、
を特徴とする中継通信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の中継通信装置において、
前記凹部、前記スリット又は前記ポケットは、挿入された前記情報記憶媒体を、前記中継導電部材に対して位置決めし、
前記凹部、前記スリット又は前記ポケットは、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートと同等以下の奥行を有しており、
前記中継導電部材は、前記凹部、前記スリット又は前記ポケットに挿入された前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに対応した大きさであること、
を特徴とする中継通信装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の中継通信装置において、
前記スリットは、前記情報記憶媒体における前記一方の前記導電プレートに対応した領域を挿入した状態のまま、スライド可能な大きさであり、
前記中継導電部材は、スライドしている前記情報記憶媒体の前記一方の前記導電プレートに静電結合可能な大きさであること、
を特徴とする中継通信装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の中継通信装置において、
前記情報記憶媒体は、前記一対の導電プレートが同等の大きさであり、かつ前記一対の導電プレートが前記情報記憶媒体の中心線に対して対称に配置されており、
前記情報記憶媒体の挿入方向において、前記凹部、前記スリット又は前記ポケットの大きさは、前記情報記憶媒体をいずれの前記導電プレート側から挿入しても、挿入された前記導電プレートに対応した範囲まで挿入する長さであること、
を特徴とする中継通信装置。
【請求項11】
請求項7から請求項9までのいずれか1項に記載の中継通信装置において、
前記情報記憶媒体は、前記人体に静電結合又は導通する前記他方の導電プレート大きさが、前記中継導電部材に静電結合する前記一方の導電プレートよりも小さいこと、
を特徴とする中継通信装置。
【請求項12】
請求項3から請求項11までのいずれか1項に記載の中継通信装置において、
前記情報記憶媒体を挟みこむように配置され、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートの両面から同時に静電結合する少なくとも2つの中継導電部材を備えること、
を特徴とする中継通信装置。
【請求項13】
請求項3から請求項12までのいずれか1項に記載の前記電磁誘導通信装置と、
請求項3から請求項12までのいずれか1項に記載の前記中継通信装置と、
を備える中継通信装置及び電磁誘導通信装置の組み合わせ。
【請求項14】
請求項1又は請求項2に記載の通信システムに使用され、
前記通信装置側ループアンテナと、前記制御部とを備えること、
を特徴とする電磁誘導通信装置。
【請求項15】
請求項1又は請求項2に記載の通信システムに使用され、
前記ICチップと、前記一対の導電プレートとを備えること、
を特徴とする情報記憶媒体。
【請求項16】
情報記憶媒体と通信装置との間で通信する通信システムであって、
前記情報記憶媒体は、
静電結合方式で通信可能なICチップと、
前記ICチップに接続され、導電性を有する一対の導電プレートとを備え、
前記通信装置は、
導電性を有する導電部材と、
前記情報記憶媒体の利用者の人体の一部が接触可能な筐体と、
前記導電部材及び前記筐体に接続され、静電結合方式にて通信処理をする制御部とを備え、
前記制御部は、
前記導電部材が、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合又は導通し、
前記筐体が、前記利用者の人体に静電結合又は導通し、
前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合することにより、
前記情報記憶媒体の前記ICチップとの間で通信処理をすること、
を特徴とする通信システム。
【請求項17】
情報記憶媒体と通信装置との間で通信する通信システムであって、
前記情報記憶媒体は、
静電結合方式で通信可能なICチップと、
前記ICチップに接続され、導電性を有する一対の導電プレートとを備え、
前記通信装置は、
導電性を有する導電部材と、
前記導電部材及びアースに接続され、通信処理をする制御部とを備え、
前記制御部は、
前記導電部材が、前記情報記憶媒体の一方の前記導電プレートに静電結合又は導通し、
利用者の人体が前記アースに接続され、
前記利用者の人体が前記情報記憶媒体の他方の前記導電プレートに静電結合することにより、
前記情報記憶媒体の前記ICチップとの間で通信処理をすること、
を特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−61729(P2013−61729A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198573(P2011−198573)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】