説明

通信システム、及び路側通信機

【課題】送信しなければならない情報量が多量となる場合においても、適切な情報提供を行うことができる通信システム、及び路側通信機を提供する。
【解決手段】本発明の通信システムは、車載通信機3と、道路側に設置された路側通信機2とを備えている。路側通信機2は、自己の周辺に位置する交差点の交差点状況に関する交差点情報をその交差点情報の有用性を示す付随情報とともに取得する情報取得部23aと、前記交差点情報を車載通信機3へ送信するにあたっての優先度を、その交差点情報の前記付随情報に基づいて設定する優先度設定部23bと、前記優先度に基づいて、車載通信機3に送信すべき交差点情報を決定する送信制御部23cとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、及び路側通信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、道路に設置されたインフラ装置からの情報を受信したり、車両同士で互いの位置や速度等の情報を交換することで車両の安全性を向上させる高度道路交通システムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
この交通システムは、主に、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両等に搭載される無線通信装置である車載通信機(移動通信機)とによって構成される。
【0003】
この場合、各通信主体間で行う通信の組み合わせには、少なくとも、路側通信機と車載通信機とが行う路車(又は車路)間通信と、車載通信機同士が行う車車間通信とが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記交通システムを所定のエリアに適用するにあたっては、まず、主要な箇所、例えば、交通量の多い交差点や、事故が多発する地点等から優先的に路側通信機等のインフラ側の機器を設置して暫定的に運用を開始し、その後、その隣接箇所にも路側通信機を順次設置していくことでシステムにおけるインフラ整備を序々に進めるといったことが考えられる。
ここで、上記のようにインフラ整備の途上で上記交通システムを運用する場合、特定の地点のみに路側通信機がまばらに設置されることとなるので、互いに隣り合う路側通信機間の距離が比較的長くなる。
このため、一の路側通信機が、自己が設置されている地点の交通状況に関する情報以外に、その周辺に位置する複数の交差点等の地点の交通状況に関する情報を、移動通信機に送信しなければならないことが想定される。
【0006】
一般に、上記高度道路交通システムにおいては、限られた通信資源を、路車間通信、及び車車間通信それぞれに対して割り当てることによって、各通信を実現している。その一方、上記のように、一の路側通信機が自己の設置地点における情報以外の他の地点の情報を送信しようとすると、その情報量が増加し、路車間通信に割り当てられる通信資源では、その全てを送信することが困難となり、適切な情報提供が行えないおそれがあった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、移動通信機に送信しなければならない情報量が多量となる場合においても、適切な情報提供を行うことができる通信システム、及び路側通信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、道路上の移動通信機と、道路側に設置され前記移動通信機との間で無線通信を行う路側通信機と、を備えた通信システムであって、前記路側通信機は、自己及び自己の周辺に位置する交差点の交差点状況に関する交差点情報を、その交差点情報の有用性を示す付随情報とともに取得する情報取得部と、前記交差点情報を前記移動通信機へ送信するにあたっての優先度を、その交差点情報の前記付随情報に基づいて設定する優先度設定部と、前記優先度に基づいて、前記移動通信機に送信すべき交差点情報を決定する送信制御部と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
上記構成の通信システムによれば、路側通信機が、取得した交差点情報に対して移動通信機へ送信するにあたっての優先度をその有用性を示す付随情報に基づいて設定する優先度設定部と、その優先度に基づいて移動通信機に送信すべき交差点情報を決定する送信制御部とを備えているので、その優先度に応じて、交差点情報を取捨選択して送信することができる。この結果、たとえ、移動通信機に送信すべき情報量が多量となる場合においても、路側通信機は、その情報の中から有用な交差点情報を選択的に送信するので、移動通信機に対して適切な情報を提供することができる。
【0010】
(2)前記付随情報は、その交差点情報に対応する交差点の交差点状況が当該交差点情報として取得されたときの時刻に関する時刻情報を含むものであることが好ましい。
この場合、優先度設定部は、交差点情報が、交差点の交差点状況に基づいて情報として取得されたときの時刻と、現状の時刻とを比較して、その交差点情報が、どの程度時間的に遅れた過去の情報であるかを把握することができ、その遅れ時間に応じて優先度を設定することができる。
例えば、極端に遅れ時間が大きい過去の情報である場合には、その優先度を低く設定し、遅れ時間が小さい情報である場合には、その優先度を高く設定することで、現状の交差点状況とより一致している可能性が高い有用な交差点情報を優先的に送信させることができる。
【0011】
(3)また、前記付随情報は、その交差点情報の信頼性に関する信頼性情報を含むものであってもよい。
この場合、優先度設定部は、信頼性が低い交差点情報については、その優先度を下げるように設定し、信頼性が高い交差点情報については、その優先度を上げるように設定することで、信頼性が高く有用な交差点情報を優先的に送信させることができる。
【0012】
(4)また、前記付随情報は、自己の位置からその交差点情報に対応する交差点までの距離に関する距離情報を含むものであってもよい。
この場合、優先度設定部は、自己の位置により近い交差点の交差点情報については、優先度を上げることで、自己周辺の移動通信機に対して有用な情報を優先的に送信させることができる。
(5)また、本発明は、道路上の移動通信機と、道路側に設置され前記移動通信機との間で無線通信を行う路側通信機と、前記路側通信機の周辺に位置する交差点の交差点状況を検知しその交差点状況に関する交差点情報を取得する路側センサと、を備えた通信システムであって、前記路側センサは、前記交差点情報の有用性を示す付随情報を取得する付随情報取得部と、前記交差点情報とともに前記付随情報を前記路側通信機に送信するための送信部とを備え、前記路側通信機は、前記路側センサが送信する、前記交差点情報及び前記付随情報を取得する情報取得部と、前記交差点情報を前記移動通信機へ送信するにあたっての優先度を、その交差点情報の前記付随情報に基づいて設定する優先度設定部と、前記優先度に基づいて、前記移動通信機に送信すべき交差点情報を決定する送信制御部と、を備えていることを特徴としている。
【0013】
上記構成の通信システムによれば、路側センサが、交差点情報の有用性を示す付随情報を取得する付随情報取得部を備えており、路側通信機が、交差点情報に対して移動通信機へ送信するにあたっての優先度をその有用性を示す付随情報に基づいて設定する優先度設定部と、その優先度に基づいて移動通信機に送信すべき交差点情報を決定する送信制御部とを備えているので、その優先度に応じて、交差点情報を取捨選択して送信することができる。この結果、たとえ、移動通信機に送信すべき情報量が多量となる場合においても、路側通信機は、その情報の中から有用な交差点情報を選択的に送信するので、移動通信機に対して適切な情報を提供することができる。
【0014】
(6)前記路側センサと、前記路側通信機とは、前記移動通信機と前記路側通信機との間の無線通信とは独立した通信経路によって通信可能に接続されていることが好ましい。
この場合、路側通信機は、移動通信機等との間の通信状況に関係なく交差点情報及び付随情報を取得することができる。
【0015】
(7)また、本発明は、道路側に設置されるとともに、道路上に位置する移動通信機との間で無線通信を行う路側通信機であって、自己の周辺に位置する交差点の交差点状況に関する交差点情報を、その交差点情報の有用性を示す付随情報とともに取得する情報取得部と、前記交差点情報を前記移動通信機へ送信するにあたっての優先度を、その交差点情報の前記付随情報に基づいて設定する優先度設定部と、前記優先度に基づいて、前記移動通信機に送信すべき交差点情報を決定する送信制御部と、を備えていることを特徴としている。
上記構成の路側通信機によれば、上述のように、移動通信機に送信すべき情報量が多量となる場合においても、移動通信機に対して適切な情報を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の通信システム、及び路側通信機によれば、移動通信機に送信しなければならない情報量が多量となる場合においても、適切な情報提供を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】高度道路交通システムの全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】高度道路交通システムの一部を示す平面図である。
【図3】インフラ側の通信経路の概略を示すブロック図である。
【図4】路側通信機、車載通信機、及び路側センサの内部構成を示すブロック図である。
【図5】路車間及び路路間の無線通信において行われる時分割多重方式の態様の一例を示すタイムチャートである。
【図6】赤外線センサを用いた車両感知器によって、通行する車両を検知した検知結果の一例を示す図であり、(a)は、晴天時、(b)は、雨天時の検知結果を示している。
【図7】付随情報から得られるパラメータに対して減点を付与するための基準の一例を示すグラフであり、(a)は「遅れ時間」についてのグラフ、(b)は「信頼性指数」についてのグラフ、(c)は「距離」についてのグラフを示している。
【図8】各交差点における信号現示情報及び交通量情報それぞれについて、各パラメータの減点の合計を求めた結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔システムの全体構成〕
図1は、高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図であり、図2は、その一部を示す道路平面図である。なお、図1及び図2では、例えば、インフラの整備途上で前記交通システムを暫定的に運用している状態を示している。
図1に示すように、高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機2、車載通信機3(図2及び図4参照)、中央装置4、車載通信機(移動通信機)3を搭載した車両(移動体)5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
【0019】
各交通信号機1は、複数の交差点Ciのそれぞれに設置されており、第一通信回線7を介してルータ8に接続されている。このルータ8は交通管制センター内の中央装置4に接続されている。
本実施形態では、上述のように、前記交通システムにおけるインフラの整備途上に有る状態を示しており、路側通信機2は、主要な交差点のみ(図例では、交差点C2、C11)に設置されている場合を示している。
路側通信機2は、交通信号機1と同様に、第一通信回線7、及びルータ8を介して交通管制センター内の中央装置4に接続されている。
中央装置4は、自身が管轄する監視エリアに含まれる各交差点Ciの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。従って、中央装置4は、各交通信号機1及び各路側通信機2との間で双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
【0020】
路側センサ6は、各交差点Ciに流入する車両台数をカウントする等の目的で、管轄エリア内の道路の各所に設置されている。この路側センサ6は、超音波や赤外線によって直下を通行する車両5を感知したり、カメラにより撮影した画像によって所定範囲を通行する車両5を感知する車両感知器よりなり、交差点Ciの交差点状況としての交通量を検知し、交差点Ciの交通量を示すセンサ情報S1として取得する。路側センサ6は、取得したセンサ情報S1である、車両通過時に生じる感知信号よりなる車両感知器の感知情報について、第一通信回線7を介して中央装置4に送信する。
なお、図1及び図2では、図示を簡略化するために、各交差点Ciに信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点Ciには、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
【0021】
〔インフラ側の各装置の通信について〕
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなる制御部を有している。この制御部は、路側通信機2、路側センサ6からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
具体的には、中央装置4の制御部は、自身のネットワークに属する交差点Ciの交通信号機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
【0022】
中央装置4は、第一通信回線7を介してLAN側と接続された通信インタフェースである通信部を有しており、この通信部は、交通信号機1の切り替えタイミングに関する信号制御指令S2を所定時間ごとに交通信号機1に送信する。
また、中央装置4の通信部は、路側通信機2から、その通信機2が車載通信機3から受信した車両5の現在位置等を含む車両情報S3、路側センサ6から受信した車両感知器の感知情報等からなるセンサ情報S1を、ほぼリアルタイム(例えば、0.1〜1.0秒周期)で受信しており、中央装置4の制御部は、これらの各種情報に基づいて前記系統制御や広域制御を実行する。
中央装置4の制御部は、受信した上記車両情報S3や、センサ情報S1等に基づいて道路の渋滞状況を把握することで、渋滞情報や、各交差点の交通状況に関する情報を含んだ交通情報S4を生成する。中央装置4の通信部は、交通信号機1を制御するための信号制御指令S2とともに、交通情報S4を路側通信機2に対して所定時間ごとに送信する(図1及び図2参照)。
信号制御指令S2は、前記系統制御や広域制御を行う場合の信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報S4は、例えば5分ごとに送信される。
【0023】
図3は、図2中の交差点C11に設置された路側通信機2と、他のインフラ側の機器との間の通信経路の概略を示す図である。
路側センサ6は、上述のように、第一通信回線7によって中央装置4に接続される一方、路側通信機2との間においては第一通信回線7とは異なる独立した有線の第二通信回線9によって接続されている。
このため、路側通信機2は、中央装置4や車載通信機3との間の通信状況に関係なく、路側センサ6からセンサ情報S1等を取得することができる。
また、路側センサ6は、当該路側センサ6による交通量の検知対象である交差点を、後述の通信エリアA内に含んでいる路側通信機2に接続されている。
【0024】
路側センサ6は、取得した感知情報等からなるセンサ情報S1を、第一通信回線7を介して中央装置4に逐次送信するとともに、第二通信回線9を介して路側通信機2に対して逐次送信する。またそれと同時に、路側通信機2に対しては、このセンサ情報S1の有用性を示す付随情報S5も送信する。
【0025】
この付随情報S5は、そのセンサ情報S1に対応する交差点の交差点状況がセンサ情報S1として取得されたときの時刻に関する時刻情報S51と、路側センサ6が取得したセンサ情報S1の信頼性に関する信頼性情報S52とを含んでいる。
上記時刻情報S51とは、路側センサ6が、センサ情報S1を取得すべく実際に車両又は交通量を感知したときの時刻等を示す情報である。
上記信頼性情報S52とは、路側センサ6が取得したセンサ情報S1がどの程度確からしいかを示す信頼性に関する情報であり、本実施形態では、0〜100の指数として表される。また、付随情報S5には、そのセンサ情報S1に対応する交差点と、路側通信機2との距離を示す距離情報S53を含んでいてもよく、これも他の情報とともに路側通信機2に送信する場合もある。
【0026】
〔無線通信の方式等〕
図2に戻って、本実施形態の交通システムは、車載通信機3との間で無線通信が可能な路側通信機2と、キャリアセンス方式で他の通信機2、3と無線通信を行う移動無線送受信機の一種である車載通信機3とを備えている。なお、図2では、互いに交差する2つの道路の各々が上りと下りで片側1車線のものとして例示されているが、道路構造はこれに限られるものではない。
【0027】
路側通信機2は、上述したように、主要な交差点としての交差点C2、C11にのみに設置されていて、図1及び図2の例では交通信号機1の支柱に取り付けられている。一方、車載通信機3は、道路を走行する各車両5にそれぞれ搭載されている。
各路側通信機2は、その周囲に広がる所定範囲の通信エリアA(路側通信機2の送信信号が十分に届く範囲)を有し、この通信エリアAを走行する各車両5の車載通信機3と通信可能である。通信エリアAは、路側通信機2が電波を送信している領域であり、車載通信機3が当該電波を受信可能な領域である。本実施形態において、この通信エリアAは、例えば、路側通信機2を中心とする半径約400mの範囲で設定される。
また、各路側通信機2は、通信エリアAが重複する場合、その通信エリアAが重複する他の路側通信機2との間で無線通信を行うこともできる。
【0028】
本実施形態の交通システム(通信システム)では、路側通信機2同士(路路間通信)については無線通信が用いられ、また、路側通信機2と車載通信機3との間(「路」から「車」への路車間通信と「車」から「路」への車路間通信との双方を含む。)と車載通信機3同士(車車間通信)についても、無線通信が用いられている。これらの通信には、同一の通信帯域が使用される。
上述した通り、交通管制センターに設けられた中央装置4は、各路側通信機2と有線での双方向通信が可能であるが、この中央装置4と路側通信機2との間の通信についても無線通信であってもよい。
【0029】
本実施形態の通信システムでは、路側通信機2の送信を車載通信機3の送信よりも優先させるため、路側通信機2が送信するための時間(スロット)が確保されている。この時間内における複数の路側通信機2へのスロット割り当てには、時分割多重(TDMA)方式が用いられる。
路側通信機2が通信するための時間以外の時間は、CSMA方式によって車載通信機3が車車間通信に使用する。すなわち、車載通信機3は、路側通信機2の周囲で、キャリアセンス方式により他の車載通信機3と無線通信を行う。
また、各路側通信機2は、自身の送信タイミングを制御するために他の路側通信機2との時刻同期機能を有している。
【0030】
〔路側通信機の構成〕
図4は、路側通信機2、車載通信機3、及び路側センサ6の内部構成を示すブロック図である。
路側通信機2は、無線通信のためのアンテナ20に接続された無線通信部21と、第一通信回線7を介して中央装置4と通信するための第一有線通信部22と、第二通信回線を介して路側センサ6との間で通信するための第二有線通信部25と、これらの通信制御を行うプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)等よりなる制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24とを備えている。
無線通信部21は、無線通信のために通常用いられる構成とすることができ、発振器、変調器、復調器、アンプ等を備えている。
記憶部24は、制御部23が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信機2,3の通信機ID等を記憶している。
【0031】
路側通信機2の制御部23は、路側センサ6からのセンサ情報S1等を取得するための通信を第二有線通信部25に行わせる。第二有線通信部25は、自己の周辺に位置する交差点に設置された路側センサ6に接続されており、少なくとも自己の通信エリアAの範囲に含まれる交差点の交通量を検知する路側センサ6と接続されている。
また、路側通信機2の制御部23は、時分割多重方式によって路車間及び路路間の無線通信を無線通信部21に行わせる。
図5は、路車間及び路路間の無線通信において行われる時分割多重方式の態様の一例を示すタイムチャートである。図において、第一スロットT1は、原則として、路側通信機2だけが送信する権限を持つ期間であり、車載通信機3による送信(車車間通信)は禁止される。この第一スロットT1では、主に路車間通信が行われるが、路路間通信を行っても良い。また、予め路側通信機2が許可する特定の車両に第一スロットT1を割り当て、当該車両が車車間通信に使用してもよい。
第二スロットT2は、第一スロットT1以外の時間をいい、この時間帯では、複数の車載通信機3が、CSMA/CA方式によって送信機会を獲得して、車車間通信、車路間通信を行う。なお、第二スロットT2において、路側通信機2がCSMA/CA方式によって通信(路車間通信など)を行っても良い。
【0032】
図4に戻って、路側通信機2の制御部23は、情報取得部23a、優先度設定部23b、及び送信制御部23cを有している。
情報取得部23aは、当該路側通信機2が設置されている交通信号機1に対応する交差点を含む、当該路側通信機2の周辺に位置する各交差点の交差点状況に関する交差点情報を取得する。
情報取得部23aが取得する交差点情報は、中央装置4から第一通信回線7を介して送信される信号制御指令S2と、路側センサ6から第二通信回線9を介して送信されるセンサ情報S1とを含んでいる。
情報取得部23aは、路側通信機2の周辺に位置する交差点であって、少なくとも自己の通信エリアAの範囲に位置する各交差点及びそれら交差点に設置されている交通信号機1の信号制御指令S2及びセンサ情報S1について取得する。
【0033】
また、情報取得部23aは、センサ情報S1を取得する際、センサ情報S1と同時に送信される当該センサ情報S1の有用性を示す付随情報S5についても取得する。
なお、この付随情報S5は、上述したように、交差点状況が路側センサ6によりセンサ情報S1として取得されたときの時刻に関する時刻情報S51と、路側センサ6が取得したセンサ情報S1の信頼性に関する信頼性情報S52とを含んでいる。
【0034】
情報取得部23aは、取得した、交通信号機1の切り替えタイミングに関する情報である信号制御指令S2に基づいて、各交差点に設置されている交通信号機1の現状及び将来の表示(灯色)に関する信号現示情報を得る。
また、情報取得部23aは、取得した、路側センサ6から第二通信回線9を介して送信されるセンサ情報S1に基づいて、各交差点の交通量情報を得る。
センサ情報S1は、路側センサ6が取得した各交差点の交通量を示す情報であり、車両通過時に生じる感知信号よりなる車両感知器の感知情報や、単位時間当たりの車両の通過台数等よりなる。情報取得部23aは、このようなセンサ情報S1に基づいて、そのときの対応する交差点の車両流入台数等の交通量を示す交通量情報を得る。なお、上記付随情報S5は、当該付随情報S5に対応するセンサ情報S1に基づいて得られる前記交通量情報に対応付けられる。
【0035】
優先度設定部23bは、情報取得部23aが取得したセンサ情報S1(交通量情報)、及び、信号制御指令S2(信号現示情報)を車載通信機3へ送信するにあたっての優先度を設定する機能を有している。
優先度設定部23bは、各交差点ごとの交通量情報及び信号現示情報の優先度を設定するために、センサ情報S1とともに送信される付随情報S5を参照する。
優先度設定部23bは、付随情報S5に含まれる時刻情報S51で示される時刻と、現状の時刻とを比較して、当該付随情報S5に対応する情報が、どの程度時間的に遅れた過去の情報であるかを示す、「遅れ時間」を求める。
優先度設定部23bは、上記「遅れ時間」、信頼性情報S52から得られる「信頼性指数」(後に詳述)、及び、各情報に対応する交差点と自己としての路側通信機2との間の「距離」に基づいて、優先度としての優先順位を設定する。
【0036】
送信制御部23cは、優先度設定部23bが設定した優先度に基づいて、道路上の車載通信機3に対して送信する必要のある情報を決定する機能を有している。送信制御部23cは、優先順位が高く設定されている情報から順に送信し、優先度の低く設定されている情報については、後回しで送信するか、或いは、送信する必要があるか否かを判定し、送信する必要がないと判定した場合には、当該情報については送信を行わないといった決定も行う。
送信制御部23cは、上述のように、送信すべき情報を決定すると、無線通信部21を介し、路車間通信によって通信エリアA内に位置する車載通信機3に送信する。
【0037】
〔車載通信機の構成〕
車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30に接続された通信部(送受信部)31と、この通信部31に対する通信制御を行うプロセッサ等よりなる制御部32と、この制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備えている。
記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信装置2,3の通信機ID等を記憶している。
【0038】
車載通信機3の制御部32は、車車間通信のためのキャリアセンス方式による無線通信を通信部31に行わせるものであり、路側通信機2との間の時分割多重方式での通信制御機能は有していない。
従って、車載通信機3の通信部31は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行うようになっている。
【0039】
なお、車載通信機3の制御部32は、車両5(車載通信機3)の現時の位置、速度及び方向等を含む車両情報S3を、通信部31を介して外部にブロードキャストで無線送信させている。
また、車載通信機3の制御部32は、他の車両5から直接受信した車両情報S3や、路側通信機2から受信した交通情報S4に含まれる、他の車両5の現時の位置、速度及び方向に基づいて、右直衝突や出合い頭衝突等を回避するための安全運転支援制御を行うことができる。
【0040】
〔路側センサ6の構成〕
路側センサ6は、第一通信回線7を介して中央装置4と通信を行うための第一通信部60と、第二通信回線9を介して路側通信機2と通信を行うための第二通信部61と、自己の検知範囲を通過する車両を検知するためのセンサ部62と、各部の制御を行う制御部63とを備えている。
【0041】
センサ部62は、超音波センサ、赤外線センサ、カメラ等により構成され、当該路側センサ6の検知範囲の交通状況(車両の通過)に応じて変化する出力信号を制御部63に出力する。
制御部63は、センサ部62からの出力信号に対してデータ処理を行うことで、車両の通過の有無等を連続的に判断し、交差点状況としての交通量を示すセンサ情報S1を得る。制御部63は、得られたセンサ情報S1を中央装置4及び路側センサ6に向けて両通信部60、61に送信させる。
なお、このセンサ情報S1は、時系列に並ぶ車両の通過に応じたパルス信号で表される場合もあるし、単位時間当たりの車両の通過台数(流入台数)として演算した演算結果として表される場合もある。
また、センサ部62からの出力信号が画像データである場合、制御部63は、その画像データに基づいて、車両の通過の有無を判断し、車両の通過に応じたパルス信号又は交通量を示すセンサ情報S1を得る。
【0042】
また、制御部63は、上述した、時刻情報S51、及びセンサ情報S1の信頼性に関する信頼性情報S52を取得するための付随情報取得部63aを機能的に有している。
ここで、上記センサ情報S1の信頼性情報S52について、赤外線センサを用いた車両感知器の場合を例示して説明する。赤外線センサを用いた車両感知器は、道路面と、この道路面上を走行する車両等とが発する赤外線量の差に基づいて、車両が通過したか否かを検知するものである。
図6は、赤外線センサを用いた車両感知器によって、通行する車両を検知した検知結果の一例を示す図であり、図6(a)は、晴天時、図6(b)は、雨天時の検知結果を示している。図6において、横軸は時間、縦軸は、赤外線量に応じて増加する入力レベル値を示している。
【0043】
図に示すように、赤外線センサは、入力レベル値の変化によって車両を検知することができるが、晴天時と雨天時とでは、車両が検知されていないバックグラウンドに対する入力レベル値の振幅量に差が生じる。すなわち、雨天では、道路面及び車両表面が共に雨によって濡れているため、両者から発せられる赤外線量の差が小さくなる傾向があり、このため、雨天時では、晴天時と比較して、入力レベル値の振幅量が小さくなる。このような傾向は、降雨量が増えれば増えるほど強く現れる。
【0044】
このように、入力レベル値の振幅量が小さいと、単にバックグラウンドが変動しただけなのか、車両によって入力レベル値が変化したのかの判別が困難となる。つまり、赤外線センサの入力レベル値において、バックグラウンドに対する振幅量が大きければ車両の検知したことに対する信頼性が大きく、振幅量が小さければ信頼性が低いと言える。
従って、上記赤外線センサの場合、上記入力レベル値のバックグラウンドに対する振幅量に基づいて信頼性を量的に把握することができ、この信頼性によって、出力される検知結果がどの程度確からしいかを数値によって示すことができる。
【0045】
なお、赤外線センサの場合は、上述のように、天候によってその信頼性に変動が生じるが、他のセンサ、例えば、画像データに基づいて、車両を検知する場合には、画像上において道路面と、車両との色を特定しその色の変化等を識別することとなるので、視界が悪化する雨天時や、夕方の時間帯等で信頼性が低下する。
本実施形態の付随情報取得部63aにおいても、上述のようにして、センサ情報S1の信頼性を数値(信頼性指数)として求める。付随情報取得部63aは、信頼性指数を、情報として確実な場合には100パーセントとし、信頼性の度合に応じて、100〜0パーセントの範囲で設定する。
【0046】
付随情報取得部63aは、上記のようにして求めた信頼性情報S52に加え、センサ部62及び当該制御部63が、交差点状況をセンサ情報S1として取得したときの時刻を時刻情報S51として取得する。制御部63は、これら信頼性情報S52及び時刻情報S51を、センサ情報S1に付随する付随情報S5として、対応するセンサ情報S1とともに路側通信機2に向け第二通信部61に送信させる。
【0047】
〔路側通信機が優先度を設定する際の具体的な動作について〕
次に、路側通信機2が、各情報について優先度を設定する際の具体的な動作について説明する。
以下では、理解を容易とするため、図2中、交差点C8、C10、C11、及びC14のみに着目して説明する。
【0048】
路側通信機2の制御部23cは、情報取得部23aが取得した、各交差点における交差点情報であるセンサ情報S1(交通量情報)及び信号制御指令S2(信号現示情報)に対して、優先度を設定する。
具体的には、優先度設定部23bは、各交差点における交通量情報及び信号現示情報の付随情報S5から得られる、上記「遅れ時間」、「信頼性指数」、及び自己である路側通信機2と各交差点との間の「距離」に基づいて、車載通信機3に対して送信する際の優先順位を設定する。
【0049】
なお、本実施形態において、路側通信機2と各交差点との間の距離は、図2に示すように、路側通信機2が設置されている交差点C11を基準とし、交差点C11との間の距離で表す。つまり、路側通信機2と、各交差点C8、C10、C14との間の距離は、それぞれ、200m、80m、100mとし、路側通信機2が設置されている交差点C11は、0mとする。
【0050】
ここで、優先度設定部23bは、例えば、付随情報S5から得られるパラメータである、各交差点における交通量情報及び信号現示情報に対応する「遅れ時間」、「信頼性指数」、及び「距離」について、それぞれの値に応じた点数を求め、この点数の合計が少ない情報の順に高い優先順位を設定する。つまり、各パラメータに対して減点を求め、その減点合計が少ないものに高い優先順位を設定する減点法を採用している。
【0051】
図7は、付随情報S5から得られるパラメータに対して減点を求めるための基準の一例を示すグラフであり、(a)は「遅れ時間」についてのグラフ、(b)は「信頼性指数」についてのグラフ、(c)は「距離」についてのグラフを示している。
各グラフそれぞれにおいて、横軸は各パラメータ、縦軸は減点を示しており、優先度設定部23bは、これらグラフに基づいて、各パラメータの値に応じた減点を付与する。
【0052】
例えば、「遅れ時間」の場合、その値が0秒で減点「0」であり、値が50秒で減点「100」が付与される。「遅れ時間」0秒から50秒の間においては、減点は「0」〜「100」の間で線形に増加するように設定されている。このように「遅れ時間」に対して減点を設定することで、「遅れ時間」が大きい過去の情報である場合には、その優先順位が低く設定され、遅れ時間が小さい情報である場合には、その優先度が高く設定されるので、現状の交差点状況とより一致している可能性が高い有用な交差点情報を優先的に送信させることができる。
減点は、最大値が「100」であり、「遅れ時間」が50秒を越えると減点は、一律「100」が付与される。「遅れ時間」が50秒を越える情報、すなわち、現状の時刻よりも50秒前の過去の情報は、もはや車載通信機3にとっての有益性が失われるからである。
【0053】
また、「信頼性指数」の場合、指数100パーセントの場合、減点「0」、指数0パーセントの場合、減点「100」であり、減点は、「信頼性指数」の増加に応じて線形に減少するように設定されている。このように「信頼性指数」に対して減点を設定することで、信頼性が低い交差点情報については、その優先順位が下がるように設定され、信頼性が高い交差点情報については、その優先順位が上がるように設定されるので、信頼性が高く有用な交差点情報を優先的に送信させることができる。
【0054】
また、「距離」の場合、0mから500mの間において、減点は「0」〜「100」の間で線形に増加するように設定されている。このように「距離」に対して減点を設定することで、自己の位置により近い交差点の交差点情報については、優先度を上げることができ、自己周辺の車載通信機3に対して有用な情報を優先的に送信させることができる。
「距離」の値が500mを越えると、減点は一律「100」が付与される。すなわち、路側通信機2との間の距離が500mを越える位置にある交差点は、路側通信機2の通信エリアA外に位置することとなり、この通信エリアA外に位置する交差点(以下、エリア外交差点ともいう)に関する交差点情報を最も必要とする当該エリア外交差点付近の車載通信機3に対して情報が届かなくなる。一方、自己である路側通信機2周辺に位置する車載通信機3にとっては、前記エリア外交差点の交差点情報の有用性が低いからである。
【0055】
なお、路側通信機2と各交差点との間に、電波を減衰させるような地形がある場合や遮蔽物がある場合についても、その状況に応じて減点を付加してもよい。例えば、道路の勾配が大きい場合や、交差点間に大きな建物がある場合である。
【0056】
優先度設定部23bは、情報取得部23aが取得した、各交差点における交通量情報及び信号現示情報それぞれについて、これらに付随する付随情報S5から得られる各パラメータに付与される減点、及び、その合計を求める。
図8は、各交差点における信号現示情報及び交通量情報それぞれについて、各パラメータの減点、及び、その合計を求めた結果の一例を示す図である。
ここで、信号現示情報は、中央装置4から送信される信号制御指令S2に基づいて得ることから、現状及び将来の信号の灯色は確実に把握できるため、いずれの交差点の信号現示情報についても「遅れ時間」は、ほとんどの場合0秒となる。また、信号現示情報の「信頼性指数」についても、「遅れ時間」と同様であり、「信頼性指数」は、ほとんどの場合100パーセントとなる。なお、図8において、信号現示情報の「信頼性指数」が70パーセントの場合が示されているが、これは、例えば、信号現示のサイクルが、交通量の変化に応じて変化させるように制御されている場合を示している。このような場合には、交通量の変化に応じて、信号制御指令S2による信号現示のサイクルが変化することがあり、当該情報の信頼性が若干低下するため、「信頼性指数」が若干小さく設定される。
【0057】
また、各情報における「距離」は、各情報に対応する交差点と路側通信機2との間の距離は予め把握できかつ変わることが無いので、路側センサ6は、距離情報S53を付随情報S5に含めて送信せずとも、路側通信機2が予め各交差点に対応する「距離」及びその減点を記憶しておくことができる。
また、図8において、交差点C11は、自己である路側通信機2が設置されている交差点なので、「距離」は0mと設定されている。
【0058】
なお、本実施形態では、中央装置4は、信号現示情報に付随する付随情報S5を路側通信機2に対して送信しないように構成されている。信号現示情報は、インフラ側が制御しており、信号制御指令S2によって確実に把握でき、「遅れ時間」、「信頼性指数」、及び「距離」についても予め把握できるからである。
【0059】
優先度設定部23bは、自己が設置されている交差点C11、及び、自己の周辺に位置する交差点C8、C10、C14それぞれについて、各パラメータに基づいた減点及びその合計を求め、各情報に対して優先順位を設定する。
なお、ここで、減点の合計が100点を越える場合には、優先度設定部23bは、優先順位を設定せず、車載通信機3に向けて送信しない旨を決定する。従って、例えば、図8中の交差点C14の交通量情報の「信頼性指数」に示すように、交差点C14の路側センサ6が故障していることが予め判っている場合や、当該路側センサ6から自己が故障していることを示す情報等を送信している場合には、優先度設定部23bは、その「信頼性指数」における減点を100に設定する。これによって、その情報についての減点合計は、必ず100以上となり、車載通信機3に向けて送信されない。このため、機器類の故障等によって信頼性の全くない情報が、車載通信機3等に送信されてしまうのを未然に防止することができる。
【0060】
上記のように、優先度設定部23bが各交差点ごとの各情報に優先順位を設定すると、送信制御部23cは、その優先順位に基づいて、道路上の車載通信機3に送信する情報を決定し、無線通信部21を介して、通信エリアA内に位置する車載通信機3に路車間通信によって送信する。
より具体的には、送信制御部23cは、送信する情報をその優先順位に従って、第一スロットT1に格納して送信する。もし、一の第一スロットT1に格納できない情報がある場合には、次のスロットに優先順位に従って格納して送信される。また、例えば、全ての情報について送信する機会を与えることができない場合には、送信制御部23cは、優先順位が下位のものについては、送信を行わないことを決定する。
【0061】
上記のように構成された通信システムによれば、路側センサ6が交差点情報の有用性を示す付随情報S5を取得する付随情報取得部63aを備えており、路側通信機2が、取得した交差点情報(信号現示情報、交通量情報)に対して車載通信機3へ送信するにあたっての優先度である優先順位を、付随情報S5に基づいて設定する優先度設定部23bと、その優先順位に基づいて車載通信機3に送信すべき交差点情報を決定する送信制御部23cとを備えているので、その優先順位に応じて、必要な情報を取捨選択して送信することができる。この結果、たとえ、インフラ整備の途上で運用されることから互いに隣り合う路側通信機2間の距離が比較的長くなり、車載通信機3に送信すべき情報量が多量となる場合においても、路側通信機2は、その情報の中から有用な情報を選択的に送信するので、車載通信機3に対して適切な情報を提供することができる。
【0062】
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、路側センサ6と路側通信機2との間を、有線による第二通信回線9によって接続したが、例えば、無線通信や、赤外線等を用いた光通信によって、センサ情報S1及び付随情報S5の送受信を行うこともできる。ただし、無線通信の場合、路路間及び路車間で用いられる無線とは異なる帯域(例えば、周波数帯域2.4GHz)を用いることで他の通信とは独立した通信経路を確保することが好ましい。同一の周波数帯域を用いると、路路間及び路車間の通信に用いるべき通信資源を消費してしまうことになるからである。
【0063】
また、上記実施形態では、路側センサ6は、付随情報取得部63aが取得した信頼性情報S52を路側通信機2に送信し、路側通信機2側で、交通量情報(センサ情報S1)の優先順位について設定するように構成したが、センサ部62の故障や、路側センサ6周囲の環境に起因してセンサ情報S1の信頼性が極端に低く現れる場合には、路側センサ6の制御部63が、交通量情報として送信する必要が無いと判断し、路側通信機2に送信するのを中止してもよい。この場合、路側通信機2によって行う、設定した優先順位に応じて送信すべき情報であるか否かの判断を、路側センサ6側で行わせることができ、路側通信機2における処理の負担を軽減できる。
【0064】
また、例えば、路側通信機2は、当該路側通信機2に隣接する路側通信機2との間で通信エリアAの範囲が重複することで、通信が可能な場合には、その重複した範囲内の交差点に関する交差点情報について、既に車載通信機3に向けて送信した交差点情報について互いに通知するように構成することが好ましい。
この場合、既に車載通信機3に向けて送信したことにより送信する必要性がない場合には、送信の必要がない交差点情報について優先順位を下げて、他のより有用な情報を優先的に送信することができるからである。
【0065】
本発明に関して、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
1 交通信号機
2 路側通信機
3 車載通信機(移動通信機)
5 車両(移動体)
6 路側センサ
21 無線送受信部
23a 情報取得部
23b 優先度設定部
23c 送信制御部
61 第二通信部
63a 付随情報取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上の移動通信機と、道路側に設置され前記移動通信機との間で無線通信を行う路側通信機と、を備えた通信システムであって、
前記路側通信機は、自己及び自己の周辺に位置する交差点の交差点状況に関する交差点情報を、その交差点情報の有用性を示す付随情報とともに取得する情報取得部と、
前記交差点情報を前記移動通信機へ送信するにあたっての優先度を、その交差点情報の前記付随情報に基づいて設定する優先度設定部と、
前記優先度に基づいて、前記移動通信機に送信すべき交差点情報を決定する送信制御部と、を備えていることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記付随情報は、その交差点情報に対応する交差点の交差点状況が当該交差点情報として取得されたときの時刻に関する時刻情報を含む請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記付随情報は、その交差点情報の信頼性に関する信頼性情報を含む請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記付随情報は、自己の位置からその交差点情報に対応する交差点までの距離に関する距離情報を含む請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
道路上の移動通信機と、道路側に設置され前記移動通信機との間で無線通信を行う路側通信機と、前記路側通信機の周辺に位置する交差点の交差点状況を検知しその交差点状況に関する交差点情報を取得する路側センサと、を備えた通信システムであって、
前記路側センサは、前記交差点情報の有用性を示す付随情報を取得する付随情報取得部と、前記交差点情報とともに前記付随情報を前記路側通信機に送信するための送信部とを備え、
前記路側通信機は、前記路側センサが送信する、前記交差点情報及び前記付随情報を取得する情報取得部と、
前記交差点情報を前記移動通信機へ送信するにあたっての優先度を、その交差点情報の前記付随情報に基づいて設定する優先度設定部と、
前記優先度に基づいて、前記移動通信機に送信すべき交差点情報を決定する送信制御部と、を備えていることを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記路側センサと、前記路側通信機とは、前記移動通信機と前記路側通信機との間の無線通信とは独立した通信経路によって通信可能に接続されている請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
道路側に設置されるとともに、道路上に位置する移動通信機との間で無線通信を行う路側通信機であって、
自己の周辺に位置する交差点の交差点状況に関する交差点情報を、その交差点情報の有用性を示す付随情報とともに取得する情報取得部と、
前記交差点情報を前記移動通信機へ送信するにあたっての優先度を、その交差点情報の前記付随情報に基づいて設定する優先度設定部と、
前記優先度に基づいて、前記移動通信機に送信すべき交差点情報を決定する送信制御部と、を備えていることを特徴とする路側通信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−22713(P2011−22713A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165908(P2009−165908)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】