説明

通信システム、無線通信方法及び通信装置

【課題】路車間又は車車間通信用のタイムスロット不足を解消し、安定した無線通信を行うことができる通信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】道路に沿って設置された複数の路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各路側通信装置間、各車載通信装置間、並びに前記路側通信装置及び前記車載通信装置間夫々で時分割多元接続方式による無線通信を行うための複数のタイムスロットを割り当てるようにしてある通信システムにおいて、前記路側通信装置に、車両の交通量及び前記車載通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得する取得手段と、該取得手段にて取得された交通量情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方に応じて、タイムスロットの割り当てを変更する変更手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高度道路交通システム(ITS : Intelligent Transport System)を実現する通信システム、無線通信方法及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高度道路交通システムは、安全運転支援、輸送効率の向上等を目的として構築されたシステムであり、道路に沿って離隔設置された複数の路側通信装置、路上センサ等のインフラ設備、及び道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置から構成されている(例えば、特許文献1,2)。
【0003】
路側通信装置は、車両に搭載された車載通信装置との間(以下、路車間という)で時分割多元接続方式による無線通信を行うことにより、安全運転支援情報をリアルタイムで車両に提供する。安全運転支援情報は、例えば運転者の認知ミスを防止するための情報、死角補助のための情報、路上センサで検出した道路上の障害物、車載通信装置から収集した周辺車両の走行位置、速度等の情報である。該情報を受信した車載通信装置は、車両位置、車間距離、走行速度等から危険ありと判断した場合、運転者に警告を与えることによって、安全運転を支援する。各車載通信装置間(以下、車車間という)においても、車両の速度、走行位置、走行方向等の情報を送受信しており、送受信した該情報を用いて安全運転を支援する。
路側通信装置は、各路側通信装置間(以下、路路間という)で、円滑な交通を実現するための情報、例えば信号灯器の制御結果に関する情報を送受信しており、該情報を用いて信号灯器の灯色切替制御等を行っている。
【0004】
時分割多元接続方式は、同一周波数帯域における一定の通信時間(フレーム)を複数のタイムスロットに時分割し、路側通信装置及び車載通信装置が路路間、路車間、車車間で各タイムスロットを交互に使用する方式であり、帯域を有効利用した同時的な通信を可能にする(図5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3463102号公報
【特許文献2】特開2000−124852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、同一周波数帯域を共用する時分割多元接続方式を採用した従来の通信システムにおいては、車両の交通量が増加した場合、路車間又は車車間通信用のタイムスロットが不足し、充実した安全運転支援を行えない虞がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、路車間又は車車間通信用のタイムスロット不足を解消し、安定した無線通信を行うことができる通信システム、無線通信方法及び通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る通信システムは、道路に沿って設置された複数の路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各路側通信装置間、各車載通信装置間、又は前記路側通信装置及び前記車載通信装置間で時分割多元接続方式による無線通信を行うための複数のタイムスロットの割り当てを変更するようにしてある通信システムであって、前記路側通信装置は、車両の交通量及び前記車載通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得する取得手段と、該取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方に応じて、タイムスロットの割り当てを変更する変更手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る通信システムは、前記変更手段は、前記取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方が増加/減少した場合、各路側通信装置間で無線通信を行うためのタイムスロットの数を減少/増加させる手段を備えることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る通信システムは、前記路側通信装置は、前記車載通信装置の通信状態の良否を示す通信状態情報を取得する手段を備え、前記変更手段は、取得された通信状態情報が示す通信状態が不良/良好な場合、前記路側通信装置及び前記車載通信装置間で無線通信を行うためのタイムスロットの数を増加/減少させる手段を備えることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る通信システムは、前記路側通信装置は、前記車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の優先度と交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方とを対応付けた優先度テーブルと、前記取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方、及び前記優先度テーブルに基づいて、交通量に応じた各情報の優先度を特定する手段と、優先度が高い情報を優先度が低い情報に比してより多数のタイムスロットで送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る無線通信方法は、道路に沿って設置された複数の路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備えた通信システムにおける、各路側通信装置間、各車載通信装置間、又は前記路側通信装置及び前記車載通信装置間で時分割多元接続方式による無線通信を行うための複数のタイムスロットの割り当てを変更する無線通信方法であって、車両の交通量及び前記車載通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得し、取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方に応じて、タイムスロットの割り当てを変更することを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る通信装置は、複数の移動式通信装置間、固定式通信装置又は前記移動式通信装置との間で時分割多元接続方式による無線通信を行うための複数のタイムスロットの割り当てを変更する通信装置であって、前記移動式通信装置の交通量又は前記移動式通信装置の通信トラフィックを示す情報を取得する取得手段と、該取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方に応じて、タイムスロットの割り当てを変更する変更手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第1、第5及び第6発明にあっては、路側通信装置の取得手段が、車両の交通量又は車載通信装置の通信トラフィックを示す情報を取得する。交通量及び通信トラフィックは、タイムスロットの不足量に対応しているため、前記情報を取得することによって、タイムスロット不足を判定することができる。そして、路側通信装置の変更手段は、取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方に応じて、路路間、路車間又は車車間通信用のタイムスロットの割り当てを変更することにより、交通量増加による路車間又は車車間通信用のタイムスロット不足を解消する。
なお、第6発明における移動式通信装置は車載通信装置の上位概念、固定式通信装置及び通信装置は路側通信装置の上位概念である。特に、第6発明に係る通信装置は、道路に設置することによって、路側通信装置として機能する。
また、タイムスロットの割り当てを交通量又は通信トラフィックに応じて変更する構成のみならず、タイムスロットの割り当てを交通量及び通信トラフィックの双方に応じて変更する構成も本発明に含まれる。
【0015】
第2発明にあっては、交通量が増加した場合、路路間通信用のタイムスロット数を減少させることによって、交通量増加による路車間又は車車間通信用のタイムスロット不足を解消する。また、交通量が再び減少した場合、路路間通信装置のタイムスロット数を増加させる。
【0016】
第3発明にあっては、路側通信装置は、車載通信装置の通信状態の良否を示す通信状態情報を取得する。そして、路側通信装置は、通信状態情報が示す通信状態が不良の場合、路車間通信用のタイムスロット数を増加させることにより、安定した路車間通信を可能にする。また、通信状態が再び良好になった場合、路車間通信用のタイムスロット数を減少させる。
【0017】
第4発明にあっては、路側通信装置の特定手段は、優先度テーブルと、交通量情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方とに基づいて、各種情報の優先度を特定する。そして、路側通信装置は、優先度が高い情報を、優先度が低い情報に比してより多数のタイムスロットで送信する。従って、優先度が高い情報の連送回数を増加させ、該情報をより確実に車載通信装置に送信することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車両の交通量又は車載通信装置の通信トラフィックに応じて、タイムスロットの割り当てを変更することにより、通信システムにおける路車間又は車車間通信用のタイムスロット不足を解消することができ、各通信装置は安定した無線通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムを概念的に示す説明図である。
【図2】路側通信装置及び車載通信装置がタイムスロットにて送受信する情報のデータ形式の一例を概念的に示す説明図である。
【図3】通信システムの構成を示すブロック図である。
【図4】優先度テーブルを概念的に示す説明図である。
【図5】タイムスロットの割り当て変更方法を概念的に示す説明図である。
【図6】路側通信装置の無線通信に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】タイムスロットの割り当て変更に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】優先度に応じた送信情報の内容を概念的に示す説明図である。
【図9】交通密度と、最適なタイムスロット間隔との関係を示すグラフである。
【図10】交通量と通信トラフィックとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システムを概念的に示す説明図である。本実施の形態に係る無線通信方法を実施する通信システムは、道路Rの路側、例えば交差点B1,B2に設置された2基の路側通信装置1,1(以下、路側通信装置1)と、道路Rを走行する複数の車両C,C,…(以下、車両C)夫々に搭載された車載通信装置3,3,…(以下車載通信装置3)とを備えており、各路側通信装置1及び車載通信装置3は、時分割多元接続方式の無線通信によって安全運転支援、交通円滑化に関する各種情報を路路間、路車間、車車間で送受信し、安全運転を支援する。
【0021】
時分割多元接続方式は、同一周波数帯における一定の通信時間(フレーム)を複数のタイムスロットに時分割し、複数の路側通信装置1及び車載通信装置3が各タイムスロットを交互に使用することによって、同時的な通信を可能にするものである。時分割多元接続方式によれば、路路間、路車間、車車間で同一周波数帯域、例えばUHF帯域を共用することができ、帯域を有効利用することができる。なお、無線通信を行う周波数帯域はUHFに限定されず、他の帯域を利用しても良い。
【0022】
図2は、路側通信装置1及び車載通信装置3がタイムスロットにて送受信する情報のデータ形式の一例を概念的に示す説明図である。路側通信装置1及び車載通信装置3が送受信する情報は、ヘッダ部、データ部及びフッタ部から構成されている。ヘッダ部には、例えば路側通信装置1から送信されたデータであることを示す識別情報、交差点番号等が格納されている。データ部には、車載通信装置3又は路側通信装置1に送信される安全運転支援、交通円滑化に関する情報等が格納されている。
【0023】
図3は、通信システムの構成を示すブロック図である。路側通信装置1は、アンテナ10を用いて周辺の路側通信装置1及び車載通信装置3との間で時分割多元接続方式の無線通信を行う通信部11と、路路間、路車間及び車車間の無線通信に関するタイムスロットの割り当て管理、安全運転支援情報の提供等の各種通信制御を行う制御部12と、各種通信制御処理に必要な情報が格納された記憶部13とを備えている。
【0024】
図1中左側の交差点B1に設置された路側通信装置1は、実線で示した十字状の無線通信領域A1において、路車間及び車車間の無線通信を集中管理している。無線通信領域A1では、予め用意された異なるタイムスロットを各車載通信装置3に競合しないように割り当てることによって、路側通信装置1及び車載通信装置3は、路車間及び車車間で非競合方式の無線通信を行う。同様に、図1中右側の交差点B2に設置された路側通信装置1は、無線通信領域A2において、路車間及び車車間の無線通信を集中管理している。
【0025】
なお、路車間の通信方法には個別通信方式と、同報通信方式とがあり、本実施の形態では電波帯域を有効利用することができる同報通信方式を採用している。個別通信方式は、車載通信装置3毎に独立して通信コネクションを確立する方式であり、路車間で対話的に無線通信を行うため、秘匿性、通信安定性に優れている。一方、同報通信方式は、路側通信装置1が全車両Cに対して同一の情報を送信し、車載通信装置3側で取捨選択をする通信方式であり、同一内容の情報を各車両C夫々に送信する必要が無いため、電波帯域を有効利用することができる。
【0026】
制御部12は、例えばCPU、インタフェースを備えたマイクロコンピュータであり、制御部12には時分割多元接続方式による無線通信を行うための図示しない時計が接続されている。また、制御部12は、インタフェースを介して図1に示す光ビーコン4、画像センサ5、信号灯器6、交通管制センター2のコンピュータ等に接続されており、安全運転支援、信号制御に関する各種情報を送受信している。なお、作図の便宜上、路側通信装置1と、光ビーコン4、画像センサ5、信号灯器6、交通管制センター2とを接続する通信線は図示されていない。
【0027】
記憶部13は、光ビーコン4、画像センサ5、及び中央官制センター等から送信された各種情報を記憶する。また、記憶部13は、車載通信装置3による重要な情報の受信確率を向上させるための優先度テーブル13aを記憶している。
【0028】
光ビーコン4は、無線通信領域A1,A2の外縁付近の道路Rに設置された支持枠の水平部分に取り付けられたビーコンヘッドと、支持枠の垂直部分に取り付けられたビーコン制御装置とを備えている。ビーコンヘッドは、車載通信装置3の間で近赤外線を用いた光通信を行うための投受光器を内蔵している。なお、図1に示した光ビーコン4の設置位置は一例であり、他の地点に光ビーコン4を設置しても良い。
【0029】
光ビーコン4は、車両Cが走行する道路Rに向けて近赤外線の光信号を投射しており、その投受光領域を通過する車両Cとの間で双方向に光通信を行う。例えば、投受光領域内に進入した車載通信装置3が、非競合方式による無線通信を行うべく、タイムスロットの割り当て要求を光ビーコン4に送信した場合、光ビーコン4は、送信されたタイムスロットの割り当て要求を受信し、受信した割り当て要求を路側通信装置1に送信する。路側通信装置1は、光ビーコン4から送信された割り当て要求を受信し、交通状況、車載通信装置3の通信状態に応じたタイムスロットを車載通信装置3に割り当てる。
【0030】
画像センサ5は、道路Rを走行する車両Cを撮像することができる姿勢で交差点B1,B2に設置されている。画像センサ5は、レンズ、撮像素子、画像処理回路、送信部等から構成されている。画像処理回路は、撮像素子で撮像して得た画像に基づいて道路Rを走行する車両Cの交通量を算出し、送信部は算出して得た交通量を示す交通量情報を路側通信装置1に送信する。
【0031】
なお、交通量情報は交通管制センター2から路側通信装置1に送信するように構成しても良い。つまり、中央管制センターのコンピュータが画像センサ5から画像データを収集し、収集した画像データに基づいて交通量を算出し、算出された交通量を示す交通量情報を路側通信装置1に送信するように構成しても良い。
また、撮像して得た画像に基づいて交通量を計測する例を説明したが、超音波、遠赤外線等を用いて車両Cを感知する車両感知器、光ビーコン等によって道路Rを走行する車両Cの交通量を計測するように構成しても良い。
【0032】
交通管制センター2は、道路Rの路側に設置された図示しない車両感知器、路面状態感知器等から送信される感知器情報、その他各種情報を収集し、蓄積している。交通管制センター2は、蓄積された感知器情報に基づいて車両感知器が設置された道路R及びその周辺の交通状況を把握しており、安全運転支援、交通円滑化を図るための各種情報を路側通信装置1に送信する。例えば、交通管制センター2は、信号灯器6の灯色タイミング、交差点B1,B2の交通情報等を路側通信装置1に提供する。
【0033】
各種情報を収集した路側通信装置1から車載通信装置3に送信される情報には、車両Cの安全運転を支援するための情報として、信号灯器6の表示灯色、該表示灯色の継続時間の予定に関する信号情報、道路Rの交通規制に関する規制情報、車線数、勾配などの道路Rの形状等に関する道路形状情報、道路Rの路面状態に関する路面状態情報、行政庁による交通安全キャンペーン等の行政告知情報等が含まれている(図4参照)。
また、路側通信装置1は、周辺の路側通信装置1との間で、信号灯器6の制御結果に関する信号制御結果情報、上流の交差点B1,B2から下流の交差点B1,B2へ流入する車両Cの予測交通量に関する交通情報、5分間の間に道路Rを走行する車両Cの交通量に関する5分間交通量情報等を送受信することによって、路側通信装置1周辺の交通情報を共有している。
【0034】
図4は、優先度テーブル13aを概念的に示す説明図である。優先度テーブル13aは、路側通信装置1から車載通信装置3に送信する信号情報、規制情報、道路形状情報、路面状態情報、行政告知情報等の情報の項目と、交通量が少ない場合における各項目の送信の優先度と、交通量が多い場合における各項目の送信の優先度とが対応付けられている。なお、優先度の欄に示す数値が小さい程、優先度が高いことを示している。
優先度テーブル13aに示すように、路側通信装置1から車載通信装置3に送信する情報の優先度は、交通量に応じて変化する。例えば、交通量が多い場合、交通の円滑性、快適性、環境性に関する規制情報、信号情報等の優先度が高くなる。交通量が少ない場合、安全運転支援に関するセンサ検知結果情報、路側機器状態情報の優先度が高くなる。
後述するように優先度テーブル13aを用いることによって、交通量に応じた各種情報の優先度の変化に対応した情報送信が可能になる。つまり、優先度が高い情報の連送回数が最適となるように送信情報の内容を決定することによって、車載通信装置3による重要な情報の受信確率を向上させることができる。
なお、優先度は、交通状況又は他の通信手段、例えば光ビーコン4、携帯電話から得られる情報送信要求に基づいて重み付けし、決定しても良い。例えば、車載通信装置3が飲食店情報の送信を要求する情報送信要求を投受光器34から送信している場合、路側通信装置1の制御部12は、光ビーコン4を介して前記情報送信要求を受信し、受信した情報送信要求に応じて飲食店情報の優先度を上昇させるようにしても良い。
【0035】
次に、車載通信装置3の構成を説明する。車載通信装置3は、アンテナ30に接続された通信部31と、通信に関する制御を行う制御部32と、通信処理、安全運転支援処理等の各種処理に必要な情報が格納された記憶部33と、光ビーコン4との間で光通信を行う投受光器34とを備えている。
車載通信装置3の制御部32は、路車間の通信状態、特に受信状態を自己診断する機能を備えており、路側通信装置1からの情報を受信できたか否か、又は該情報の一部のみを受信したことを示す通信状態情報を送信するように構成されている。通信状態情報は、例えば車車間で通信する各種情報のヘッダ部に含ませることができ、路側通信装置1は、車車間で通信される情報をモニタリングすることによって、通信状態情報を取得することができる。
なお、通信状態情報の内容は一例である。路側通信装置1からの情報を前回受信した時刻と、セキュリティーコードとを含む通信状態情報を送信するように構成しても良い。路側通信装置1は、情報の送信時刻を把握しているため、車載通信装置3が送信する通信状態情報を参照することによって、車載通信装置3の受信状態を把握することができる。
【0036】
また、車載通信装置3は、無線通信領域A1,A2に進入する際、投受光器34、光ビーコン4を介してタイムスロットの割り当てを要求し、路側通信装置1から送信されたタイムスロットの割り当て結果を受信し、受信した結果に基づいて非競合方式の無線通信を行うように構成されている。無線通信領域A1,A2外においては、他の車載通信装置3との間で競合方式の無線通信を行う。
【0037】
次に、路側通信装置1によるタイムスロットの管理方法を説明する。
図5は、タイムスロットの割り当て変更方法を概念的に示す説明図である。路側通信装置1は、路車間、路路間及び車車間で時分割多元接続方式の無線通信を行うべく、路車間通信用のタイムスロット、路路間通信用のタイムスロット、車車間通信用のタイムスロットを各路側通信装置1及び車載通信装置3に割り当てる。また、路側通信装置1は、安定した無線通信を行うために、車両Cの交通量及び車載通信装置3の通信状態を常時把握しており、交通量及び通信状態に応じて、タイムスロットの割り当て変更を行う。
【0038】
図5(a)は、非混雑時で、車載通信装置3の通信状態が良好な場合のタイムスロットの割り当て方法の一例を示している。矢印は時間軸を示しており、上下方向に並ぶ矩形状の升目はタイムスロットを示している。図5(a)に示すように、非混雑時で、車載通信装置3の通信状態が良好である場合、1周期に路車間通信用のタイムスロットが2つ、路路間通信用のタイムスロット数が3つ、車車間通信用のタイムスロット数が3つ割り当てられている。
【0039】
図5(b)は、混雑時で、車載通信装置3の通信状態が良好な場合のタイムスロットの割り当て方法の一例を示している。図5(b)に示すように、交通量が多い場合、車車間通信用のタイムスロットが不足するため、路路間通信用のタイムスロット数を3つから2つに減少させ、開放したタイムスロットを車車間通信用のタイムスロットに割り当てる。
一般に、交通量が多くなった場合、周囲の交差点B1,B2における交通状況はあまり変化しなくなる。例えば、路側通信装置1間で送受信する信号制御情報の内容は変化しないことが多い。このため、交通量が多くなった場合、路路間通信用のタイムスロット数を減少させて、通信速度を下げても悪影響が無い。本願発明は、斯かる点に着眼したものであり、交通量が増加した場合、路路間通信用のタイムスロットを開放し、車車間通信用のタイムスロットに割り当てることによって、効果的にタイムスロット不足を解消することができる。
なお、交通量が急激に変化した場合、つまり単位時間当たりの交通量の変化量が所定値以上である場合、路路間通信用タイムスロットの割り当てを変更せず、単位時間当たりの交通量の変化量が所定値未満である場合、路路間通信用タイムスロットの割り当てを変更するように構成しても良い。このように構成した場合、安定した交通量に応じてタイムスロットの割り当てを変更することができるため、路路間、路車間及び車車間の通信をより安定化させることができる。
また、路路間通信用のタイムスロット数を減少させた場合、路路間で通信すべき優先度が高い情報があるとき、路車間通信用のタイムスロットを用いて前記情報を送信するように一の路側通信装置1を構成し、更に他の路側通信装置1が前記路車間通信用のタイムスロットを受信するように構成しても良い。一の路側通信装置1は、優先度が高く緊急性の高い路路間通信用の情報を路車間通信用タイムスロットに割り込ませて送信することができ、結果として路車間通信をモニタしている他の路側通信装置1に前記情報を送信することができる。
更に、路側通信装置1は、路路間通信用のタイムスロット数を減少させた場合、路路間で通信すべき情報を記憶部13に蓄積しておき、交通量が減少して路路間通信用タイムスロット数が増加したとき、記憶部13に蓄積された情報を路路間で通信するように構成しても良い。
【0040】
図5(c)は、混雑時で、車載通信装置3の通信状態が不良な場合のタイムスロットの割り当て方法の一例を示している。図5(c)に示すように混雑時で、通信状態が不良な場合、路路間通信用のタイムスロット数を減少させ、空いたタイムスロットを路車間通信用のタイムスロットに割り当てる。
路側通信装置1は、車載通信装置3が送信する通信状態情報を参照し、路側通信装置1からの情報受信に失敗している車両Cの割合を測定し、受信に失敗している車両Cの割合が多い場合、路車間通信用のタイムスロット数を2つから4つに増加させ、連送頻度を上げることによって、路側通信装置1からの情報受信確率を高めるようにする。路車間通信用のタイムスロット数を増加、つまり情報の連送回数を増加させることによって、車載通信装置3による情報の受信確率が向上し、安定した無線通信を行うことが可能になる。なお、必要に応じて、車車間に割り当てるスロットを間引いても良い。
【0041】
図5(d)は、非混雑時で、車載通信装置3の通信状態が不良な場合のタイムスロットの割り当て方法の一例を示している。図5(d)に示すように通信状態が不良な場合、路車間通信用のタイムスロット数を増加させる。路車間通信用のタイムスロット数を増加させることによって、車載通信装置3による情報の受信確率が向上し、安定した無線通信を行うことが可能になる。
なお、図5に示すように、固定された所定時間長においてタイムスロットを割り当てているが、可変の所定時間長においてタイムスロットを割り当てるように構成しても良い。
【0042】
図6は、路側通信装置1の無線通信に係る制御部12の処理手順を示すフローチャートである。
まず、制御部12は、計時部が所定の情報収集周期、例えば100msecを計時したか否かを判定する(ステップS11)。所定周期を計時したと判定した場合(ステップS11:YES)、制御部12は、交通量情報、通信状態情報、その他各種情報を取得する(ステップS12)。
【0043】
ステップS12の処理を終えた場合、又はステップS11において所定の情報収集周期を計時していないと判定した場合(ステップS11:NO)、制御部12は、車載通信装置3からタイムスロットの割り当て要求があるか否かを判定する(ステップS13)。
【0044】
タイムスロットの割り当て要求があると判定した場合(ステップS13:YES)、制御部12は、タイムスロットの割り当て変更に係るサブルーチンを呼び出し、タイムスロットの割り当てを変更する(ステップS14)。
【0045】
図7は、タイムスロットの割り当て変更に係るサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
制御部12は、タイムスロットが不足しているか否か、例えば、交通量が所定交通量以上で、且つ交通量が増加したか否かを判定する(ステップS31)。タイムスロットが不足していると判定した場合(ステップS31:YES)、制御部12は、路路間通信用のタイムスロット数を減少させる(ステップS32)。
【0046】
ステップS32の処理を終えた場合、又はタイムスロットが不足していないと判定した場合(ステップS31:NO)、制御部12は、タイムスロットが余っているか否か、例えば、交通量が所定交通量未満であるか否かを判定する(ステップS33)。交通量が所定交通量未満であると判定した場合(ステップS33:YES)、制御部12は、路路間通信用のタイムスロット数を標準のタイムスロット数に変更する(ステップS34)。なお、所定交通量、標準のタイムスロット数は、路側通信装置1の記憶部13が記憶している。
【0047】
ステップS34の処理を終えた場合、又はタイムスロット数が所定交通量以上であると判定した場合(ステップS33:NO)、制御部12は、車車間通信をモニタリングして取得した通信状態情報に基づいて、車載通信装置3による通信状態の良否を判定する(ステップS35)。通信状態が不良と判定した場合(ステップS35:YES)、制御部12は、路車間通信用のタイムスロット数を増加させる(ステップS36)。
【0048】
好ましくは、ステップS36において、車載通信装置3が路側通信装置1から送信された情報を受信し易い最適なタイムスロット間隔となるように、タイムスロット数を増加させる。
【0049】
ステップS36の処理を終えた場合、又は通信状態が不良で無いと判定した場合(ステップS35:NO)、制御部12は、車載通信装置3の通信状態が正常化した良好な状態にあるか否かを判定する(ステップS37)。通信状態が良好であると判定した場合(ステップS37:YES)、路車間通信用のタイムスロット数を標準のタイムスロット数に変更する(ステップS38)。
【0050】
ステップS38の処理を終えた場合、又は無線通信状態が良好でないと判定した場合(ステップS37:NO)、制御部12は、タイムスロットの割り当てを決定し、決定されたタイムスロットの割り当て結果を各車載通信装置3及び路側通信装置1に通知し(ステップS39)、タイムスロットの割り当て変更に係るサブルーチンの処理を終える。
【0051】
図6に示すように、ステップS14の処理を終えた場合、又はステップS13においてタイムスロット要求が無いと判定した場合(ステップS13:NO)、制御部12は、交通量情報が示す交通量と優先度テーブル13aとに基づいて、送信する情報の優先度を特定し(ステップS15)、車載通信装置3又は路側通信装置1に送信する送信情報を作成する(ステップS16)。
【0052】
具体的には、優先度が高い情報の連送回数を多く、優先度が低い情報の連送回数が少なくなるように送信情報を作成する。つまり、優先度が高い情報は、多数のタイムスロットで送信し、優先度が低い情報は少数のタイムスロットで送信するようにする。
好ましくは、優先度の高い項目から、最適な連送回数となるようにタイムスロットを割り当てる。優先度の低い情報項目、例えば優先度が6番目以降の情報項目に対しては1サイクル、例えば100msecに1回ずつとするようにタイムスロットを割り当てる。
【0053】
図8は、優先度に応じた送信情報の内容を概念的に示す説明図である。図8(a)は、非混雑時で、車載通信装置3の通信状態が良好な場合の送信情報を示している。図5と同様、矢印は時間軸を示しており、上下方向に並ぶ矩形状の升目はタイムスロットを示している。1周期が150msecで、10msecのタイムスロットを用いて無線通信を行う場合を説明する。交通量が少なく、連送回数が小さくても車載通信装置3の通信状態が良好である場合、例えば、一のタイムスロットで優先度が1〜8の情報を送信し、他のタイムスロットで優先度が9〜17の情報を送信すれば良い。
図8(b)は、混雑時で、車載通信装置3の通信状態が不良な場合の送信情報を示している。交通量が多く、車載通信装置3の通信状態が不良である場合、優先度が高い1〜6の情報を最適なタイムスロット間隔、例えば30msecで送信するようにする。つまり、路車間通信用のすべてのタイムスロット夫々で優先度が1〜6の情報を1周期の間に繰り返し送信する。そして、重要度が低い7〜17の情報については、タイムスロット間隔150msecで送信するようにする。このように、優先度の高い項目から、最適な連送回数となるようにタイムスロットを割り当てることによって、優先度が高い情報の受信確率を向上させることができる。
なお、優先度が低い情報についても送信する場合を例示したが、優先度が低い情報の全部又は一部を送信しないように構成しても良い。
【0054】
最適な連送回数となるタイムスロット間隔は、路側通信装置1が、通信状態情報及び交通量情報を蓄積することによって得られる。
【0055】
図9は、交通密度と、最適なタイムスロット間隔との関係を示すグラフである。横軸は交通密度(台/km)、縦軸は、車載通信装置3による情報の受信確率が略最大になるタイムスロット間隔(msec)である。路側通信装置1は、車載通信装置3から送信される通信状態情報に基づいて、車載通信装置3の受信確率が略最大になるタイムスロット間隔を計測し、受信確率が略最大になるタイムスロット間隔と、交通密度との関係を記憶部に記憶させる。図9によれば、例えば交通密度が90[台/km]の場合、最適なタイムスロット間隔は30msecになる。なお、交通密度は、交通量に基づいて算出又は推定することができる。
【0056】
次いで、制御部12は、計時部の計時結果に基づいて、所定の送信タイミングであるか否かを判定する(ステップS17)。送信タイミングで無いと判定した場合(ステップS17:NO)、制御部12は処理をステップS11に戻す。送信タイミングであると判定した場合(ステップS17:YES)、制御部12は、ステップS16にて作成した情報を車載通信装置3又は路側通信装置1に送信し(ステップS18)、処理をステップS11に戻す。
【0057】
このように構成された通信システムにあっては、交通量が増加した場合、路路間通信用のタイムスロット数を減少させ、開放されたタイムスロットを車車間通信用又は路車間通信用のタイムスロットに割り当てることによって、交通量の増加による車車間又は路車間通信用のタイムスロット不足を解消し、帯域を有効利用した無線通信を行うことができ、交通量が増加した場合であっても安全運転を支援することができる。
【0058】
また、車載通信装置3の通信状態が悪化した場合、路車間通信用のタイムスロット数を増加させることによって、車載通信装置3の通信状態を良好に維持し、安定した無線通信及び安全支援を行うことができる。
【0059】
更に、交通量に応じて変化する送信情報の優先度を特定し、優先度が高い情報を、優先度が低い情報に比してより多数のタイムスロットで送信するように構成することにより、車載通信装置3による重要度が高い情報の受信確率を向上させることができる。
【0060】
なお、実施の形態にあっては、車両の交通量を示す交通量情報に基づいて、タイムスロット不足を判定するように構成されているが、車載通信装置の通信トラフィックを示す情報を取得して、タイムスロット不足を判定するように構成しても良い。各車載通信装置は、送信する情報の情報量を送信、具体的には送信されるべき情報の情報量をヘッダ部に格納して送信しており、路側通信装置は、各車載通信装置が送受信する情報をモニタリングすることによって、道路を走行している複数の車載通信装置の通信トラフィックを示す情報を得ることができる。また、車載通信装置に割り当てたタイムスロット数を交通量情報として記憶した記憶部から、該交通量情報を取得するように構成しても良い。
図10は、交通量と通信トラフィックとの関係を示すグラフである。横軸は車両の交通量(台/5分)を示し、縦軸は通信トラフィック(アーラン)を示している。道路Rを走行する車両Cの10%が車載通信装置3を搭載している場合、交通量と通信トラフィックは図10に示すような相関を有しているため、実施の形態で示した各種通信処理に使用する交通量を通信トラフィックで代替することができる。
具体的には、路側通信装置の記憶部は、図4に示す優先度テーブルと同様、路側通信装置から車載通信装置に送信する各種情報の項目と、通信トラフィックが少ない場合における各項目の送信の優先度と、通信トラフィックが多い場合における各項目の優先度とを対応付けた優先度テーブルを記憶している。優先度の順位は図4と同様である。
そして、路側通信装置の制御部は、図6のステップS12で通信トラフィックを示す情報を取得し、取得した情報が示す通信トラフィックに応じてタイムスロットの割り当てを変更するように構成する。具体的には、路側通信装置の制御部が、通信トラフィックに基づいてステップS31,33でタイムスロットの過不足を判定し、タイムスロット数が減少して不足している場合、路路間通信用のタイムスロット数を減少させ、タイムスロット数が増加し余っている場合、路路間通信用のタイムスロット数を増加させるように構成する。更に、路側通信装置の制御部が、ステップS15,16で、通信トラフィックと上述の優先度テーブルとに基づいて、送信する情報の優先度を特定し、車載通信装置又は路側通信装置に送信する送信情報を作成するように構成する。
なお、タイムスロットの割り当てを交通量又は通信トラフィックに応じて変更する構成を説明したが、タイムスロットの割り当てを交通量及び通信トラフィックに応じて変更するように構成しても良い。
【0061】
更に、道路を走行する車両の交通量のみならず、車種を判別し、車種毎の交通量を取得するように構成しても良い。高車車両は、低車の普通車両に比して無線通信を阻害する可能性が高いため、高車車両の交通量が多い場合、普通車両の交通量が多い場合に比してより多くのタイムスロット数を増減させると良い。この場合、タイムスロット不足をより正確に把握したタイムスロットの割り当て変更を行うことができる。
【0062】
更にまた、路側通信装置から車載通信装置への送信は、電波帯域を有効利用することができる同報通信を採用しているが、必ずしもこれに限定されない。
【0063】
更にまた、路車間の通信方式として同報通信方式を採用した通信システムを説明したが、電波帯域に余裕がある場合、個別通信方式を採用しても良い。
【0064】
更にまた、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0065】
以上の説明に対して更に以下の項を開示する。
(付記1)
道路に沿って設置された複数の路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各路側通信装置間、各車載通信装置間、並びに前記路側通信装置及び前記車載通信装置間夫々で時分割多元接続方式による無線通信を行うための複数のタイムスロットを割り当てるようにしてある通信システムであって、
前記路側通信装置は、
車両の交通量及び前記車載通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得する取得手段と、
該取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方に応じて、タイムスロットの割り当てを変更する変更手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【0066】
(付記2)
前記変更手段は、
前記取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方が増加/減少した場合、各路側通信装置間で無線通信を行うためのタイムスロットの数を減少/増加させる手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【0067】
(付記3)
前記路側通信装置は、
前記車載通信装置の通信状態の良否を示す通信状態情報を取得する手段を備え、
前記変更手段は、
取得された通信状態情報が示す通信状態が不良/良好な場合、前記路側通信装置及び前記車載通信装置間で無線通信を行うためのタイムスロットの数を増加/減少させる手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信システム。
【0068】
(付記4)
前記路側通信装置は、
前記車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の優先度と交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方とを対応付けた優先度テーブルと、
前記取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方、及び前記優先度テーブルに基づいて、交通量に応じた各情報の優先度を特定する手段と、
優先度が高い情報を優先度が低い情報に比してより多数のタイムスロットで送信する手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の通信システム。
【0069】
(付記5)
道路に沿って設置された複数の路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備えた通信システムにおける無線通信方法であって、
各路側通信装置間、各車載通信装置間、並びに前記路側通信装置及び前記車載通信装置間夫々で時分割多元接続方式による無線通信を行うための複数のタイムスロットを、前記路側通信装置及び車載通信装置に割り当て、
車両の交通量及び前記車載通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得し、
取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方に応じて、タイムスロットの割り当てを変更する
ことを特徴とする無線通信方法。
【0070】
(付記6)
複数の移動式通信装置間、及び固定式通信装置又は前記移動式通信装置との間夫々で時分割多元接続方式による無線通信を行うための複数のタイムスロットを前記移動式通信装置及び前記固定式通信装置に割り当てる通信装置であって、
前記移動式通信装置の交通量又は前記移動式通信装置の通信トラフィックを示す情報を取得する取得手段と、
該取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方に応じて、タイムスロットの割り当てを変更する変更手段と
を備えることを特徴とする通信装置。
【符号の説明】
【0071】
1 路側通信装置
2 交通管制センター
3 車載通信装置
4 光ビーコン
5 画像センサ
6 信号灯器
10,30 アンテナ
11,31 通信部
12,32 制御部
13,33 記憶部
13a 優先度テーブル
B1,B2 交差点
C 車両
R 道路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って設置された複数の路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備え、前記路側通信装置は、各路側通信装置間、各車載通信装置間、又は前記路側通信装置及び前記車載通信装置間で時分割多元接続方式による無線通信を行うための複数のタイムスロットの割り当てを変更するようにしてある通信システムであって、
前記路側通信装置は、
車両の交通量及び前記車載通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得する取得手段と、
該取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方に応じて、タイムスロットの割り当てを変更する変更手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記変更手段は、
前記取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方が増加/減少した場合、各路側通信装置間で無線通信を行うためのタイムスロットの数を減少/増加させる手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記路側通信装置は、
前記車載通信装置の通信状態の良否を示す通信状態情報を取得する手段を備え、
前記変更手段は、
取得された通信状態情報が示す通信状態が不良/良好な場合、前記路側通信装置及び前記車載通信装置間で無線通信を行うためのタイムスロットの数を増加/減少させる手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記路側通信装置は、
前記車載通信装置に送信すべき複数種類の情報夫々の優先度と交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方とを対応付けた優先度テーブルと、
前記取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方、及び前記優先度テーブルに基づいて、交通量に応じた各情報の優先度を特定する手段と、
優先度が高い情報を優先度が低い情報に比してより多数のタイムスロットで送信する手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の通信システム。
【請求項5】
道路に沿って設置された複数の路側通信装置と、該道路を走行する複数の車両夫々に搭載された車載通信装置とを備えた通信システムにおける、各路側通信装置間、各車載通信装置間、又は前記路側通信装置及び前記車載通信装置間で時分割多元接続方式による無線通信を行うための複数のタイムスロットの割り当てを変更する無線通信方法であって、
車両の交通量及び前記車載通信装置の通信トラフィックの少なくとも一方を示す情報を取得し、
取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方に応じて、タイムスロットの割り当てを変更する
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項6】
複数の移動式通信装置間、固定式通信装置又は前記移動式通信装置との間で時分割多元接続方式による無線通信を行うための複数のタイムスロットの割り当てを変更する通信装置であって、
前記移動式通信装置の交通量又は前記移動式通信装置の通信トラフィックを示す情報を取得する取得手段と、
該取得手段にて取得された情報が示す交通量及び通信トラフィックの少なくとも一方に応じて、タイムスロットの割り当てを変更する変更手段と
を備えることを特徴とする通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−178184(P2012−178184A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129062(P2012−129062)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【分割の表示】特願2007−295818(P2007−295818)の分割
【原出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】