説明

通信システムおよび無線通信装置

【課題】無線通信装置同士が通信するシステムを提供する。
【解決手段】
第1無線通信装置と第2無線通信装置とが無線通信するシステムにおいて、第1無線通信装置は、第2無線通信装置の識別情報を受け付ける受付部と、受付部が識別情報を受け付けた場合に、受け付けた識別情報を格納部に登録する制御部110と、第2無線通信装置を呼び出す呼出部118とを備える。呼出部118は、識別情報が格納部に登録された後は、登録された識別情報を用いて、第2無線通信装置を呼び出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関し、とくにマスタとスレーブとの間で無線通信を実現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム機と、ユーザにより操作されるゲーム機用のコントローラはケーブルにより接続されるのが一般的であったが、近年、ゲーム機とコントローラとを無線接続するシステムが提案されるようになった。無線コントローラを採用することにより、ユーザは自由な姿勢でゲームを楽しむことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
提案されているシステムでは、ゲーム機と無線コントローラとが1対1の無線接続を行い、接続相手が一意に決まることを前提としている。そのため、複数のユーザが無線コントローラを使用する場合には、それぞれの無線コントローラに対して割当てられる専用の送受信機をゲーム機に取り付ける必要がある。そのためユーザは、無線コントローラと、ゲーム機に取り付けるための送受信機とを常にセットで用意しなければならず、無線コントローラの使用が手間のかかるものとなっている。
【0004】
本発明の目的は、マスタと、1つ以上のスレーブとの無線接続を実現するための通信技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、第1無線通信装置と第2無線通信装置とが無線通信する通信システムに関する。第1無線通信装置は、第2無線通信装置の識別情報を受け付ける受付部と、受付部が識別情報を受け付けた場合に、受け付けた識別情報を格納部に登録する制御部と、第2無線通信装置を呼び出す呼出部とを備える。呼出部は、電源投入時において、格納部に識別情報が登録されていれば、登録された識別情報を用いて、前記第2無線通信装置を呼び出す。
【0006】
また、本発明の別の態様は、無線通信装置に関する。この無線通信端末装置は、他の無線通信装置の識別情報を受け付ける受付部と、受付部が識別情報を受け付けた場合に、受け付けた識別情報を格納部に登録する制御部と、他の無線通信装置を呼び出す呼出部とを備える。呼出部は、電源投入時において、格納部に識別情報が登録されていれば、登録された識別情報を用いて、前記第2無線通信装置を呼び出す。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接続確立時間を短縮できる通信技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態に係るゲームシステムの全体構成を示す図である。
【図2】ブルートゥース(Bluetooth)の状態遷移図である。
【図3】FHSパケット構成を示す図である。
【図4】Bluetoothアドレス(Bluetooth_ADDR)の構成を示す図である。
【図5】実施の形態に係るゲーム機の構成を示す図である。
【図6】デバイスクラスの一例を示す図である。
【図7】リスト格納部に記録された非接続対象機器のリストを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係るゲームシステム1の全体構成を示す。本実施の形態のゲームシステム1は、ユーザによる入力インタフェースとして、ゲーム機20との間で無線通信を行う無線コントローラ10aおよび10b(以下、総称する場合は、「無線コントローラ10」と呼ぶ)を備える。ゲーム機20は無線通信機能を有して構成される。出力装置30はディスプレイ32やスピーカ34を含んで構成され、ゲーム機20からネットワーク40を介してゲームのAV(Audio Visual)データを受け取り、ディスプレイ32にゲーム映像を表示し、またスピーカ34から音声を出力する。
【0011】
ゲーム機20と出力装置30は、有線により接続されてもよく、また無線により接続されてもよい。ゲーム機20と出力装置30とを接続するネットワーク40は、例えばネットワーク(LAN)ケーブルやワイヤレスLANなどで構築したホームネットワークの形態をとってもよい。ゲーム機20と出力装置30とが無線接続される場合には、ケーブル等で有線接続する場合と比べてゲーム機20と出力装置30を比較的自由に設置することができるため、ユーザがロケーションフリーでゲームを楽しむことができる。
【0012】
無線コントローラ10とゲーム機20は、Bluetooth(ブルートゥース)(登録商標)を用いて無線接続を確立してもよい。ゲーム機20は、複数の無線コントローラ10との無線接続を可能とし、すなわちゲームシステム1においては、ゲーム機20と無線コントローラ10の1対N接続を実現することができる。なお、ゲーム機20は親機すなわちマスタとして機能し、無線コントローラ10はスレーブとして機能する。これにより、無線コントローラ10に専用の送受信機をゲーム機20に取り付けることなく、複数の無線コントローラ10の同時使用が可能となる。以下、無線通信プロトコルとしてBluetoothを採用し、無線コントローラ10がBluetooth端末である場合を例にとる。
【0013】
図2は、Bluetoothの状態遷移図を示す。図示のように、Bluetooth端末の状態は、待ち受けフェーズ、同期確立フェーズ、通信接続フェーズ、低消費電力モードに分けることができる。
【0014】
無線コントローラ10の電源投入直後や通信リンクを切断した場合、無線コントローラ10は「待ち受け」状態に入る。「待ち受け」状態では、データの送受信は行われない。
【0015】
同期確立フェーズにおいては、ゲーム機20が、周辺の無線コントローラ10を含む端末機器に対して接続照会すなわち「問い合わせ」を行う状態と、ゲーム機20が無線コントローラ10を認識して「呼び出し」を行う状態とがある。「問い合わせ」状態では、ゲーム機20が、近くにいる端末機器に対してIQ(問い合わせ)パケットをブロードキャストする。IQパケットを受信した無線コントローラ10は、Bluetoothアドレスとクロック情報を含むFHS(Frequency Hop Synchronization)パケットをゲーム機20に返信する。この時点における送受信では、周波数ホッピングパターンに関する同意がゲーム機20と無線コントローラ10との間で確立していないので、問い合わせ専用に定義された固定ホッピングパターンが用いられる。
【0016】
図3は、FHSパケット構成を示す。パケット中、LAP(Lower Address Part)、UAP(Upper Address Part)、NAP(Non-significant Address Part)が、Bluetooth端末固有のアドレスであるBluetooth_ADDRを構成する。
【0017】
図4は、Bluetoothアドレス(Bluetooth_ADDR)の構成を示す。Bluetoothアドレスが、24ビットのLAP、8ビットのUAPおよび16ビットのNAPにより、計48ビットで構成される状態が示される。
【0018】
図2に戻って、「呼び出し」状態では、ゲーム機20が無線コントローラ10からFHSパケットを受け取り、どのような無線コントローラ10が存在するかを把握した後、特定の無線コントローラ10に対してIDパケットを送信する。特定の無線コントローラ10からIDパケットに対する応答が返ると、ゲーム機20はFHSパケットを無線コントローラ10に送信し、自分のアドレスとクロックを無線コントローラ10に知らせる。これにより、ゲーム機20と無線コントローラ10は、同一のホッピングパターンを共有できるようになる。
【0019】
「呼び出し」を行うと、無線コントローラ10とゲーム機20との間にピコネットが形成され、「接続」状態に入る。ピコネットとは、Bluetooth端末同士を近づけたときに、端末の間で一時的に形成されるネットワークを意味し、最大で8台のBluetooth端末が1つのピコネットに参加することができる。1つのピコネットにおいて、ゲーム機20は親機として機能し、最大7台の無線コントローラ10と接続することが可能である。「接続」状態になると、通信リンク設定のための制御パケットが送受信され、これにより「データ転送」が可能となる。データ転送が完了して通信リンクが切断されると、無線コントローラ10は待ち受け状態に戻る。
【0020】
スレーブである無線コントローラ10は、接続状態から「パークモード」、「ホールドモード」および「スニフモード」の3種類の低消費電力モードに移行することが可能である。またマスタであるゲーム機20は、接続状態から「ホールドモード」に移行することが可能である。
【0021】
「パークモード」の無線コントローラ10は、ピコネットへの同期、つまりホッピングパターンとマスタクロックへの同期を保持している。ただし、ゲーム機20とパケットを交換することはできない。この状態にある無線コントローラ10は、一定時間間隔(ビーコン周期)でゲーム機20からのデータを受信しており、必要があればすぐにピコネットへ参加できる。パークモードでは、ゲーム機20から割り振られたスレーブ識別子、つまり接続中の無線コントローラ10に与えられる3ビットのアドレス(1〜7)をいったんゲーム機20に返却する。したがって、無線コントローラ10がピコネットへの再参加を希望しても、スレーブ識別子に空きがなければ、すぐに加わることができない。逆に、ゲーム機20は、パークモードに入る無線コントローラ10に、8ビットのパークスレーブ識別子を与える。ゲーム機20は、最大255台のパーク中の端末機器を管理することができ、必要な無線コントローラ10だけを随時ピコネットに参加させることが可能である。
【0022】
「ホールドモード」の無線コントローラ10およびゲーム機20は、ピコネットに同期したまま、設定された一定時間(ホールド時間)中は送受信を行わず、ホールド時間後に通信を再開する。
【0023】
「スニフモード」の無線コントローラ10は、一定時間間隔(スニフ間隔)で送受信を行い、そのほかの時間は電力消費を抑えることができる。
【0024】
本実施の形態においては、一度通信が終わった後、待ち受け状態に入った無線コントローラ10が再度通信するときは、問い合わせを飛ばして呼び出し状態に遷移することができる。間い合わせは、ゲーム機20が自分の周りにどのような端末機器が存在しているか分からないときに行われ、ゲーム機20から全スレーブにブロードキャストが発行され、各端末機器がそれに答える。呼び出し状態では、ゲーム機20はすでに無線コントローラ10の存在を知っているため、1台1台のスレーブに対して1対1で話しかけ、ピコネット内同期を確立させる。一度ピコネット内同期が確立してしまえば、通信が終わって無線コントローラ10が待ち受け状態にあっても、通信再開時にブロードキャストを実行する必要がない。ブロードキャストを実行すると、例えば10秒以上かかってしまうことがあるため、本実施の形態では問い合わせを省略し、接続確立にかかる時間を短縮する。なお「ピコネット内同期を確立する」とは、Bluetoothアドレスとクロック情報をゲーム機20と無線コントローラ10間で交換し、ホッピングパターンを同期させるということである。
【0025】
また、本実施の形態では、ゲーム機20が接続確立時に周辺に対して接続照会、すなわち問い合わせを行い、周辺の端末機器が応答して発信した識別情報を記録する。端末機器の識別情報は、接続確立にかかる時間を短縮するべく、次回以降の接続確立時に利用される。
【0026】
図5は、本実施の形態に係るゲーム機20の構成を示す。ゲーム機20は、受信部100、制御部110、リスト格納部112、接続設定部114、照会部116、呼出部118、送信部120、メディアドライブ130、読出部132、データ格納部134、処理部136、グラフィックスエンジン138、DAコンバータ140を備える。受信部100は、応答受付部102、削除指示受付部104および操作指示受付部106を有する。ゲーム機20の各機能は、CPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。プログラムは、ゲーム機20に内蔵されていても、記録媒体に格納された形態で外部から供給されるものであってもよい。したがってこれらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者に理解されるところである。
【0027】
メディアドライブ130には、ゲームデータを記録したメディア50が挿入される。メディア50は、例えばCD−ROMやDVDなどであり、ゲームシーンのAVデータやゲームプログラムなどのゲームデータを記録している。メディア50に記録されたゲームプログラムは、処理部136により直接実行される形態であっても、デコードすることにより処理部136が実行することのできる形態であってもよい。メディアドライブ130は、メディア50を駆動し、読出部132は、メディア50に記録されたゲームデータをデータ格納部134に読み出す。処理部136は、読み出されたゲームデータを実行する。
【0028】
ゲーム機20と無線コントローラ10との間で無線接続が確立している場合、操作指示受付部106は、無線コントローラ10からゲームの操作指示を受け付け、処理部136に送る。処理部136は、ユーザによる操作指示をもとにゲームデータを処理し、グラフィックスエンジン138が、処理部136により処理されたゲームデータをもとに、ゲームのAVデータを生成する。ゲームのAVデータはデジタルデータとして生成され、DAコンバータ140がアナログ信号に変換して、出力装置30に供給する。これにより、ディスプレイ32およびスピーカ34から、ユーザのゲーム操作を反映した映像および音声が出力されることになる。
【0029】
以上は、ゲーム機20と無線コントローラ10との間で無線接続が確立していることを前提としたが、以下では、無線接続を確立するための実施例を示す。
【0030】
<実施例1>
実施例1では、ゲーム機20に対応していない端末機器との接続を効率的に回避し、無線コントローラ10との接続確立にかかる時間を短縮する。Bluetoothの使用環境では、ゲーム機20に対応していない端末機器であっても、Bluetoothに対応していれば、ゲーム機20からの問い合わせに応答することができる。そこで実施例1では、ゲーム機20が、例えば使用を許可されていない無線コントローラ10と接続しないように接続確立を制御する。非対応の無線コントローラ10との接続を避けることにより、正当でないメーカなどから供給される成りすまし機器の使用を防ぐ。
【0031】
まず、ゲーム機20は、図3に示すFHSパケットのデバイスクラス(Class of Device)を用いて異種の端末機器のフィルタリングを行うことができる。Class of Deviceは、端末の種類を示すフィールドである。
【0032】
図6は、デバイスクラス(Class of Device)の一例を示す。このフィールドを用いて、ゲーム機20は、機能グループをフィルタリングすることが可能である。フィールドが所定値以外の値をとる場合には、ゲーム機20は、FHSパケットを返信した端末機器が無線コントローラでないことを認識する。
【0033】
図5に戻って、照会部116が周辺の端末機器に対して問い合わせを行うと、応答受付部102は、端末機器から返信されるFHSパケットを受け取り、制御部110が、そのFHSパケットのClass of Deviceを解析する。制御部110は、FHSパケットを返した端末機器が無線コントローラ10でないことを認識すると、その端末機器の識別情報をリスト格納部112に記録する。記録した識別情報は、いわゆるブラックリストとして利用され、ゲーム機20の呼出部118は、ブラックリストに登録された端末機器には、呼び出しを行わないこととする。
【0034】
図2に戻って、接続状態では、データパケットの送受信は行わず、送受信されるのは、通信リンクを設定するための制御パケット、セキュリティ関連の制御パケット、低消費電力モード関連の制御パケットなどに限定される。接続状態において、ゲーム機20と無線コントローラ10との間で認証を行うアプリケーションを実行することができる。応答受付部102は、周辺の機器から応答を受け付け、制御部110は、認証に失敗した機器の識別情報をブラックリストとしてリスト格納部112に記録してもよい。
【0035】
接続状態において制御パケットを送受信した後、データ転送モードに移行する。データ転送モードでは、データのフォーマットがゲーム機20特有のものに設定されており、このフォーマットにてデータの送受信が行われることになる。
【0036】
データ転送モードにおいて、スレーブが想定外のACKを返した場合、ゲーム機20は、そのスレーブを接続対象機器ではないと判断し、その機器が所有する識別情報をブラックリストに登録するとともに、その機器との接続を切断することとする。具体的には、応答受付部102が、スレーブからのACKを受け取り、制御部110は、ACKが所定のデータフォーマットにしたがっているか否かを判断して、したがっていない場合には、その端末機器の識別情報、ここではアドレスをリスト格納部112に記録する。この判断は、上位のアプリケーション層によって行われる。制御部110は、接続対象機器でない全ての機器のアドレスをリストとして記録し、接続設定部114は、その機器との接続を切断する。
【0037】
図7は、リスト格納部112に記録された非接続対象機器のリストを示す。リストは、48ビットのブルートゥースアドレス(Bluetooth_ADDR)と、デバイスクラスとを対応付けて生成される。このリストには、クラスデバイスが0X080588で示される正規でない無線コントローラのアドレスが記録されているが、実際にはゲーム機20周辺にある異種の端末機器に対しても同様にリスト化される。
【0038】
ゲーム機20に再び電源を投入し、無線コントローラ10との接続を確立する際には、問い合わせによりスレーブから得た情報と、リスト格納部112に記録したブラックリストを参照することで、スレーブをフィルタリングすることが可能となる。すなわち、電源再投入時は、照会部116が送信部120を介して周辺の端末機器に問い合わせを行い、応答受付部102が、周辺の端末機器からFHSパケットを受け付ける。接続設定部114は、FHSパケットに含まれる端末機器の識別情報と、リスト格納部112に記録された非接続対象機器のリストを参照して、接続の可否を判断する。呼出部118は、FHSパケットを返した端末機器が接続対象機器でない場合、その端末機器への呼び出しは行わない。つまり呼出部118は、問い合わせにより周辺の端末機器から得た情報をもとに、リスト格納部112に登録された識別情報を有する端末機器以外の無線コントローラ10を呼び出すこととする。ブラックリストを参照することにより、上位のアプリケーション層におけるデータの解析処理を毎回行う必要がなく、対応しない端末機器を呼び出し候補から容易に除外することができるため、接続確立までにかかる時間を短縮することができる。また、これにより、消費電力を抑えることも可能となる。接続設定部114は、リスト格納部112に登録した識別情報を有する端末機器以外の無線コントローラ10との接続を確立する。
【0039】
なお、問い合わせを行うたびにヒットした非接続対象機器に優先順位を定めても良い。具体的には、ブラックリストに登録されている端末機器が、ブラックリストに偶然登録されたものであるのか、またその環境に常駐している機器であるのかを判別してもよい。これにより、ヒット率が低い非接続対象機器をリストから削除することができ、リストのデータ量を軽くすることができる。したがって、リストの参照時間を短縮することが可能となり、接続確立に要する時間をさらに短縮することができる。なお、ユーザは、リスト格納部112に登録した端末機器の登録削除指示を行うことができる。登録削除指示は、削除指示受付部104において受信され、制御部110は、登録削除指示をもとに、対応する識別情報をリスト格納部112から削除する。これにより上記したように、リストのデータ量を軽くすることができ、リストの参照時間を短縮することが可能となる。
【0040】
上記の例では、ゲーム機20が、デバイスクラスを用いて端末機器のフィルタリングを行うこととしたが、図7に示すブルートゥースアドレスを用いて端末機器のフィルタリングを行ってもよい。このとき、ゲーム機20は、デバイスクラスとブルートゥースアドレスの双方を用いて端末機器のフィルタリングを行ってもよい。いずれの場合であっても、端末機器を特定するための識別情報を利用することにより、接続すべきでない端末機器をリスト化すること、すなわちブラックリストを作成することが可能である。
【0041】
<実施例2>
実施例2では、ゲーム機20に対応している無線コントローラ10との接続を効率的に実現し、無線コントローラ10との接続確立にかかる時間を短縮する。実施例1では、ゲーム機20に対応していない端末機器のアドレスをブラックリストとして保持することとしたが、実施例2では、ゲーム機20に対応している無線コントローラ10のアドレスを予め呼び出し候補リストとして登録しておくこととする。これによりゲーム機20は問い合わせを行うことなく、呼び出しを行い、短時間で接続を確立することができる。
【0042】
実施例2では、ゲーム機20が、予め無線コントローラ10の識別情報、ここではBluetooth端末固有のアドレスであるBluetooth_ADDRを知っておく必要がある。ゲーム機20と無線コントローラ10とがセットで販売される場合には、無線コントローラ10の識別情報をゲーム機20のリスト格納部112にあらかじめ登録しておいてもよい。
【0043】
ゲーム機20への電源投入時、ゲーム機20は、リスト格納部112に登録されているBluetooth_ADDRに対して呼び出しを行う。登録されている無線コントローラ10がゲーム機20の周囲に存在すれば、無線コントローラ10が呼び出しに応答することにより、接続が短時間で確立されることになる。
【0044】
またゲーム機20への電源投入時、ゲーム機20のリスト格納部112に無線コントローラ10の識別情報が登録されていなければ、照会部116が送信部120を介して接続照会、すなわち問い合わせを行い、周囲の端末機器が応答を返信する。実施例1では、想定外のACKを返信した端末機器の識別情報をブラックリストとして記録することとしたが、実施例2では、制御部110が、所定のデータフォーマットにしたがったACKを返信した端末機器の識別情報を、呼び出し候補リストとしてリスト格納部112に記録する。そのため、リスト格納部112には、例えば正規のメーカから販売された無線コントローラ10の識別情報が保持されることになる。
【0045】
制御部110が、リスト格納部112に正規の無線コントローラ10の識別情報を登録すると、次の接続確立の際、例えば次回の電源投入時において、照会部116は、接続照会を行わないこととする。呼出部118が、呼び出し候補リストに登録されている無線コントローラ10に対して直接呼び出しを行うことにより、接続照会、すなわち問い合わせを省略することができ、接続確立に要する時間を短縮することができる。例えば、接続照会を行うタイミングは電源の初回投入時とし、以降の電源投入時には、接続照会を行わず、直接呼び出しを行うように設定されてもよい。例えば、ゲーム機20本体に、照会部116を動作させるためのボタンを設け、ユーザがこのボタンを押すと、照会部116が接続照会すなわち問い合わせを行うように制御されてもよい。
【0046】
また照会部116は、次の接続確立の際、所定の時間だけ接続照会を行って、所定時間を超えると接続照会を中止するようにしてもよい。周辺の無線コントローラ10の探索時間に一定の制限を設定することで、接続照会に長時間を費やす状況を回避することができる。なお所定時間を超えると、接続照会を中止して、呼出部118が、呼び出し候補リストに登録されている無線コントローラ10に対して呼び出しを行う。
【0047】
ユーザは、呼び出し候補リストへの追加、削除等を自由に行うことができる。ユーザが、無線コントローラ10を用いて、リスト格納部112に登録されている無線コントローラの登録削除指示を行うと、登録削除指示は、削除指示受付部104において受信され、制御部110は、登録削除指示をもとに、対応する識別情報をリスト格納部112から削除する。呼び出し候補リストへの無線コントローラ10の追加についても、制御部110が、ユーザによる追加指示をもとに対応する識別情報をリスト格納部112に登録することができる。これにより、照会部116による問い合わせ処理を行うことなく、ユーザが主体的に特定の無線コントローラ10を呼び出し候補リストに追加または削除することができる。このとき、Bluetooth_ADDRに名前などをつけられるようにしておけば、ユーザにとって管理が容易となる。なお、上記したように、ゲーム機20本体に設けられた照会部116を駆動するためのボタンを押すことにより、ゲーム機20による接続照会を任意のタイミングで行わせてもよい。
【0048】
ここで、予め登録されている無線コントローラ10と、新規な無線コントローラ10とを同時にゲーム機20に接続する場合を想定する。ゲーム機20の電源投入時、呼び出し候補リストに登録されている無線コントローラ10には自動的に呼び出しが行われて、接続が確立されることになる。登録された無線コントローラ10との接続確立が完了した後、この無線コントローラ10に対してデータ転送モードに入るが、新規な無線コントローラ10との間では、接続照会と、呼び出しを行う期間を設ける。この期間は、例えばゲーム機20本体がブート完了するまでの時間、すなわちゲームにおけるキー入力を促されるまでの時間や、ゲームが実際にスタートするまでの時間などに対応して設定されてもよい。
【0049】
キー入力を促されるまでの時間は、新規な無線コントローラ10と接続を確立するには十分である。また、ゲームがスタートするまでの時間はさらに十分長い時間であり、例えば新規な無線コントローラ10が数多くある場合を想定して、この程度の時間を確保しておいてもよい。ゲームは通常、開始時にキャラクタ等の設定をユーザに要求するが、この間はゲーム機20と無線コントローラ10との間の通信のレイテンシがさほど厳しくないことを利用している。なお、新規な無線コントローラ10に対して接続を確立すると、制御部110が、この無線コントローラ10の識別情報をリスト格納部112に登録する。これにより、次回以降の接続確立の際に、問い合わせを行うことなく、または所定の短時間の問い合わせを行って、呼び出し候補リストを利用して新規に追加された無線コントローラ10への呼び出しを行うことができ、接続時間を短縮することが可能となる。
【0050】
例えば、上記した実施例では、アプリケーション層にて接続制御を行うこととしているが、変形例としては、下層のリンク管理層にて接続制御を行ってもよい。Bluetoothプロトコルにおいて、セキュリティはリンクキーにより管理される。マスタとスレーブとの間で接続を確立する前提として、各端末機器は、2端末間で設定されるリンクキーに基づいてセキュリティパラメータを登録する。端末機器は、設定されたパラメータに基づいて接続認証の判断を行うことになるが、この接続認証の結果、認証エラーが生じた端末機器については、その識別情報をリンク管理層におけるデータベースのブラックリストに登録してもよい。これにより、上位のアプリケーション層における処理の前に、接続の可否を判定することが可能となる。
【0051】
また、アプリケーション層においてブラックリストを生成する前段階として、ブラックリストに登録する端末機器のリストの候補(以下、「グレーリスト」と呼ぶ)を生成してもよい。このグレーリストは、マスタにおける受信強度等に基づいて生成されてもよい。受信強度が所定の閾値以下となる端末機器をグレーリストに登録しておき、次回からの接続処理において、所定回数同じ状況がカウントされた場合に、その端末機器をブラックリストに登録する。ブラックリストに登録された端末機器に対しては、マスタは、問い合わせ(Inquiry)を行わず、接続を行わないようにする。
【0052】
このとき、一旦グレーリストに登録された場合であっても、ブラックリストに登録される前に、受信強度が所定の閾値を超えた場合には、その端末機器はグレーリストから削除されることが好ましい。受信強度が弱い場合には、通信不良を改善するべく、ユーザが、自発的に受信強度が強くなる位置に移動することが考えられるためである。ブラックリストへの登録に慎重を期すべく、ブラックリストに登録するまでに受信強度を判定する回数は、例えば数十回程度と比較的多い回数に設定してもよい。
【0053】
また、さらなる変形例として、マスタは、ブラックリストを外部からダウンロードして保持することも可能である。このダウンロードは、無線回線によって行ってもよいが、有線回線を通じて行ってもよい。予め、接続すべきでない端末機器が明らかである場合、それらの端末機器を記したリストを外部から取得することにより、マスタ自身でブラックリストを作成する処理を省略することも可能である。この場合、マスタ自身もブラックリストを作成する機能を有し、その補助的な機能として、外部からブラックリストをダウンロードできることが好ましい。
【0054】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0055】
1・・・ゲームシステム、10・・・無線コントローラ、20・・・ゲーム機、30・・・出力装置、32・・・ディスプレイ、34・・・スピーカ、40・・・ネットワーク、50・・・メディア、100・・・受信部、102・・・応答受付部、104・・・削除指示受付部、106・・・操作指示受付部、110・・・制御部、112・・・リスト格納部、114・・・接続設定部、116・・・照会部、118・・・呼出部、120・・・送信部、130・・・メディアドライブ、132・・・読出部、134・・・データ格納部、136・・・処理部、138・・・グラフィックスエンジン、140・・・DAコンバータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無線通信装置と第2無線通信装置とが無線通信する通信システムであって、
前記第1無線通信装置は、
前記第2無線通信装置の識別情報を受け付ける受付部と、
前記受付部が識別情報を受け付けた場合に、受け付けた識別情報を格納部に登録する制御部と、
前記第2無線通信装置を呼び出す呼出部とを備え、
前記呼出部は、電源投入時において、前記格納部に識別情報が登録されていれば、登録された識別情報を用いて、前記第2無線通信装置を呼び出すことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記呼出部は、接続確立の際に、前記格納部に識別情報が登録されていれば、登録された識別情報を用いて、前記第2無線通信装置を呼び出すことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1無線通信装置は、接続確立前に、周辺に接続照会を行う照会部をさらに備え、
前記照会部は、前記格納部に識別情報が登録されていれば、接続照会を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
無線通信装置であって、
他の無線通信装置の識別情報を受け付ける受付部と、
前記受付部が識別情報を受け付けた場合に、受け付けた識別情報を格納部に登録する制御部と、
前記他の無線通信装置を呼び出す呼出部とを備え、
前記呼出部は、電源投入時において、前記格納部に識別情報が登録されていれば、登録された識別情報を用いて、前記他の無線通信装置を呼び出すことを特徴とする無線通信装置。
【請求項5】
コンピュータに、
無線通信装置の識別情報を受け付ける機能と、
識別情報を受け付けた場合に、受け付けた識別情報を格納部に登録する機能と、
無線通信装置を呼び出す機能とを、実行させるためのプログラムであって、
無線通信装置を呼び出す機能は、電源投入時において、識別情報が格納部に登録されていれば、登録された識別情報を用いて、当該無線通信装置を呼び出す機能を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−239624(P2010−239624A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105564(P2010−105564)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【分割の表示】特願2004−120822(P2004−120822)の分割
【原出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】