説明

通信システムにおけるデータ伝送方法

通信ネットワークを介して第1の端末から第2の端末に第1の信号を送信する方法が提供される。この方法は、第2の端末から第2の信号を第1の端末において受信するステップと、第1の端末に関する出力部から第2の信号を出力するステップと、第2の信号の特性に関する情報を決定するステップと、第2の信号を送信するのに使用される第2の端末の処理リソースを、第2の信号の特性に関連する情報に基づいて推定するステップと、推定された、第2の信号を送信するのに使用される第2の端末の処理リソースに基づいて第1の信号の特性を調整するステップと、第2の端末に第1の信号を送信するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム等の情報処理システムに関する。特に、本発明は、通信システムにおいて情報を受信及び送信するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムにおいては、2つの通信端末間を接続する通信ネットワークが提供され、それにより端末は通話やその他の通信イベントにおいて互いに情報を送信することができる。情報は、音声、テキスト、イメージ、ビデオを含んでいてもよい。
【0003】
現代の通信システムは、デジタル信号の伝送に基づいている。音声のようなアナログ情報は、一方の端末の送信部においてA/D変換部(アナログからデジタルへ変換する部位)に入力され、デジタル信号に変換される。デジタル信号は符号化され、伝送路上において他方の端末の受信部へ伝送するためのデータパケットに格納される。
【0004】
各データパケットは、ヘッダー部とペイロード部とを含む。データパケットのヘッダー部は、データパケットを伝送及び処理するためのデータを含む。この情報は、パケット、及び処理エラーや送信アドレスを認識するヘッダーチェックサムを一意的に識別する識別番号と、ソースアドレスと、処理エラーを検出するために使用されるヘッダーチェックサムと、送信先アドレスとを含んでもよい。データパケットのペイロード部は、伝送用デジタル信号の情報を含む。この情報は、ビデオフレームのような符号化フレームとしてペイロード中に含まれてもよく、この各フレームは、ビデオ信号の一部を表す。
【0005】
データパケット伝送に適した通信ネットワークの一つはインターネットである。IPネットワーク(インターネット・プロトコル・ネットワーク)上で音声信号を伝送するのに利用されるプロトコルは、一般にVoice over IP(VoIP)と呼ばれる。VoIPは、インターネット上において、あるいはIPベースのネットワークを介する音声会話のルーティング(経路制御)である。
【0006】
通信端末のリソース利用性等の通信システムに関する状態は、データを処理する端末の能力に影響を与える。例えば、CPU(central prosessing unit)リソースは、送信及び受信端末がいかに効率的に情報を処理することができるかに影響を与える。
【0007】
したがって、端末によって情報が処理され、伝送される方法を、通信システムに関連する状態に従って最適化する必要がある。
【0008】
公知の解決方法として、受信端末は、送信端末に、送信端末から受信した情報を処理することが可能な受信端末のCPUリソースを報告してもよい。そのとき、送信端末は、受信端末の利用可能CPUリソースに基づいて、データを受信端末に伝送するレートを調整してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、各端末がビデオデータを送受信するビデオ通話のような双方向の通信イベントの間、各端末のユーザは、通話中異なる質のサービスを経験していることに気付くかもしれない。例えば、一方の端末が高品質の信号を受信している間、他方の端末は低品質の信号を受信しているかもしれない。これは、もし通話の一方の参加端末だけでも質の悪い通話品質を経験している場合には通話が終了する可能性があり、通話への参加端末の両方にとって不都合なことである
【0010】
したがって、本発明は、通信イベントの参加端末の両者間においてバランスのとれたサービス品質を達成し、上記問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様においては、通信ネットワークを介して第1の端末から第2の端末に第1の信号を送信する方法が提供される。
この方法は、
第2の端末から第2の信号を第1の端末において受信するステップと、
第1の端末に関する出力部から第2の信号を出力するステップと、
第2の信号の特性に関する情報を決定するステップと、
第2の信号を送信するのに使用される第2の端末の処理リソースを、第2の信号の特性に関する情報に基づいて推定するステップと、
推定された、第2の信号を送信するのに使用される第2の端末の処理リソースに基づいて第1の信号の特性を調整するステップと、
第2の端末に第1の信号を送信するステップとを含む。
【0012】
本発明の他の態様においては、通信ネットワークを介して第1の端末から複数の第2の端末のそれぞれに第1の信号を送信する方法が提供される。
この方法は、
上記各第2の端末から第2の信号を第1の端末において受信するステップと、
上記各第2の信号の特性に関する情報を決定するステップと、
各第2の信号を送信するのに使用される各第2の端末の処理リソースを、上記各第2の信号の特性に関する情報に基づいて推定するステップと、
推定された、各第2の信号を送信するのに使用される各第2の端末の処理リソースに基づいて各第2の端末に送信される第1の信号の特性を調整するステップと、
各第2の端末に各第1の信号を送信するステップとを含む。
【0013】
また、本発明の他の態様においては、通信ネットワークを介して第2の端末に第1の信号を送信する第1の端末が提供される。
上記第1の端末は、
上記第2の端末から第2の信号を受信する受信回路と、
第2の信号を出力する出力部と、
上記第2の信号の特性に関する情報を決定し、第2の信号を送信するのに使用される第2の端末の処理リソースを第2の信号の特性に関する情報に基づいて推定し、推定された、第2の信号を送信するのに使用される第2の端末の処理リソースに基づいて第1の信号の特性を調整するリソース管理部と、
第1の信号を第2の端末に送信する送信回路とを備える。
【0014】
また、本発明の他の態様においては、通信ネットワークを介して第1の信号を複数の第2の端末のそれぞれに送信する第1の端末が提供され、
上記第2の端末のそれぞれから第2の信号を受信する受信回路と、
上記各第2の信号の特性に関する情報を決定し、各第2の信号を送信するのに使用される各第2の端末の処理リソースを上記各第2の信号の特性に関する情報に基づいて推定し、推定された、各第2の信号を送信するのに使用される各第2の端末の処理リソースに基づいて各第2の端末に送信される第1の信号の特性を調整するリソース管理部と、
各第1の信号を各第2の端末に送信する送信回路とを備える。
【0015】
上記発明はまた、上記定義された方法を実行するためのコンピュータプログラム製品を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施の形態は、特性に関連する情報が一箇所に集められることを可能にする。これにより、信号伝送特性に関する決定は全ての参加端末に関してなされ、ホストがその信号伝送特性を調整することを許容しないこととなる。すなわち、ホストは、参加端末に送信すべき信号を指示することができる。すなわち、信号特性に関する情報が一箇所に集められれば、会議中に起きていることについてより良い概観を持つことができ、かつ全ての参加端末にとって必要となる信号伝送特性についてより良い決定を行うことができる。特性に関する情報は多量のデータを構成しないので、伝送オーバーヘッドを大きく付加しない。この概念は、会議電話中だけでなく、一対一の通話中においても利用できる。例えば、コーラー(caller)AがコーラーBとの通話に関与している場合、コーラーBは、コーラーAに送る予定の信号について決定することができる。同時に、コーラーAにどのような信号を送ってほしいのかについて決定する。コーラーBがコーラーAに送ってほしい信号のタイプに関する要求はコーラーAに送信され、そのときコーラーAは、コーラーBによって送信された要求により定義された信号特性を利用して送信を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明のより良い理解のため、また如何にして本発明による効果が奏されるかを示すため、本発明の実施の形態を以下の図面を参照して説明する。
【図1】通信ネットワークを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の第1の端末を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の第1、第2の端末を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の方法を示すフロチャートである。
【図5】本発明の他の実施の形態の方法を示すフロチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、図1を参照して説明する。図1は、通信ネットワーク104に接続された第1端末100及び第2端末112を示す。これらの端末は、通信ネットワーク104を介して、オーディオデータやビデオデータを含むメディア信号等のデータを互いに送信する。本発明の一実施形態では、通信ネットワークは、インターネットによって提供されるVoIPネットワークである。本明細書で更に詳細に示されあるいは記載される例示の通信システムでは、VoIPネットワークの専門用語を利用するが、本発明の実施の形態は、データの伝送を促進する他のいかなる適切な通信システムにおいて利用され得ると理解されるべきである。
【0019】
端末100、122は、例えば、パーソナルコンピュータ、ゲームデバイス、及びPDA(personal digital assistant)や、適切に使用可能な携帯電話及びテレビや、ネットワーク104に接続可能なその他の装置であってもよい。端末は、Ethernet(登録商標),WiFi,WiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access),3G(third generation)等、特定のアクセス技術を採用した有線または無線接続を介してネットワークに接続されてもよい。
【0020】
図1に示されるように、第1の端末100は第2の端末112に信号200を送信する。第2の端末は、第1の端末100に信号300を送信する。第2の端末から第1の端末に送信された信号300は、以下、上記2つの信号を明確に区別するために応答信号300と呼ぶ。したがって、応答信号300という用語は、信号が送信される方向を示すためだけに利用され、信号200と同じ通信イベント内であるいは同時に発生することに制限されないと理解されるべきである。
【0021】
図2を参照して説明する。図2は、第1の端末100を詳細に示す。第1の端末100は、ネットワーク104を介して送信されたデータを受信するための受信回路1と、ネットワーク104を介してデータを送信するための送信回路2とを含む。なお、第2の端末112は、類似の送信及び受信回路を含むものであってもよいと理解されるべきである。
【0022】
端末100の送信回路は、マイクロホン26やウェブカメラ28等の入力装置から入力されたデータを受信し、ネットワーク104を介してデータを第2の端末112に信号200により送信する。送信回路は、アナログ入力装置から入力されたアナログデータをデジタル情報へ変換するA/Dコンバータ30と、そのデジタル情報を、符号化されたデータフレームに符号化する符号化部32と、データの送信の前に、符号化されたデータフレームをパケットに格納するパケット化部42とを含む。
【0023】
受信回路は、第2の端末112から応答信号300において受信したデータをラウドスピーカ16やディスプレースクリーン18等の様々な出力装置に出力する。受信回路は、ネットワークから受信したデータをバッファリングするためのジッターバッファ10と、データパケットで受信したデータを復号するための復号部12と、ビデオデータをディスプレースクリーン18に出力されるように処理するためのレンダ部36と、アナログ出力装置にアナログデータを出力するためのデジタルからアナログへのコンバータ14(D/Aコンバータ)とを含む。
【0024】
端末100は、経路推定部20と、リソース管理ブロック22をも含む。
【0025】
経路推定部20は受信回路から入力を受信する。経路推定部20は、ネットワーク104を介して受信したデータの特性を決定する。第2の端末112が応答信号300を第1の端末100に送信したとき、経路推定部は応答信号300の特性を決定する。本発明の実施の形態によれば、経路推定部は応答信号300の特性を決定し、その応答信号300の特性から第2の端末のCPUリソースの利用可能性が推定される。
【0026】
経路制御部によって決定された応答信号の特性は、例えば信号のフレームレートやビットレートを含んでもよい。応答信号300の特性はそのときリソース管理ブロック22に入力される。
【0027】
本発明の実施の形態においては、端末100のリソース管理ブロック22は、応答信号300の特性に基づいて応答信号を送信するのに利用される第2の端末のCPUリソースを推定し、それに応じて第2の端末に送信する信号200の特性を調整する。例えば、リソース管理部は、応答信号のフレームレートが閾値よりも小さい場合、第2の端末のCPUリソースが低いと決定してもよい。第2の端末112のCPUリソースが低いと決定された場合、第1の端末から第2の端末に送信する信号200のデータレートは、信号200が第2の端末のリソースを過負荷にさせないことを確保するために、閾値以下に減少される。さらに、これは、第2の端末が第1の端末100への応答信号の送信に割り当てるCPUリソースを増加させることを可能にする。
【0028】
しかしながら、もし第2の端末のCPUリソースが高いと決定された場合は、信号200のフレームレートは閾値よりも大きく増加されてもよい。これは、第2の端末が受信した信号200の処理のためのより大きなCPUリソースを割り当てることを強制する。また、これは、第1の端末への応答信号300の送信のために利用可能なCPUリソースを減少させるかもしれない。
【0029】
本発明の実施の形態によって決定され、調整された、応答信号300及び信号200の特性は、信号のフレームレート、信号のビットレートや、信号における各フレームの解像度に限定されない。発明の実施の形態は、信号のフレームレートを調整することを記載しているが、本発明の実施の形態に準じてCPUの信号処理の要求に影響する如何なる特性が調整されてもよいと理解されるべきである。
【0030】
本発明の他の実施の形態においては、第2の端末から送信される応答信号300の特性は、第2の端末112によって報告されてもよい。その際、第1の端末は、受信した応答信号300の特性を推定する必要はない。この場合、第2の端末112は、第1の端末100に送信した応答信号300のフレームレートを報告してもよい。これについて図3を参照して説明する。
【0031】
図3は、第1の端末100及び第2の端末112の詳細について示す。
【0032】
図3に示されるように、第2の端末は特性報告部41′を含む。特性報告部41′は、応答信号300の特性を第1の端末に報告する。本発明の一実施の形態では、特性報告部41′は、フレームが第2の端末の符号化部32′から出力される際のレートを決定し、値A′としてそのフレームレートを報告する。フレームレートの値A′は、パケット化部42′によってデータパケットに挿入されて第1の端末100にデータパケットにより送信される前に、応答信号により送信されるデータとともに符号化される。また、値A′は、個々の論理制御チャネルにおいて報告されてもよい。
【0033】
データパケットは、第1の端末100の受信回路によって受信及び復号される。復号されたフレームレートの値A′は、リソース管理部22に入力される。リソース管理部は、フレームレート値A′を利用して第2の端末のCPUリソースを推定し、推定されたCPUリソースにしたがって第2の端末に送信する信号200のフレームレートを制御する。
【0034】
同様に第1の端末は、信号200の特性を第2の端末122に報告する特性報告部41を含んでもよい。本発明の一実施形態では、特性報告部41は、フレームが符号化部32から出力される際のレートを報告するようにしてもよい。信号200のフレームレートの値Aが、第2の端末112のリソース管理部22′に報告されてもよい。その場合、第2の端末のリソース管理部22′は、フレームレート値Aを利用して第1の端末のCPUリソースを推定し、推定したCPUリソースに従って第1の端末に送信する信号のフレームレートを制御し得る。図3を再度参照して説明する。
【0035】
本発明の他の実施の形態では、第2の端末112の受信回路1′が第1の端末100から送信された信号200を処理することができるレートに関する情報は、信号200の特性を調整するために第2の端末から送信される応答信号300の特性とともに利用してもよい。
【0036】
図3に示されるように、第2の端末112は、処理遅延タイマ43′を含んでもよい。処理遅延タイマ43′は、第1の端末から受信した信号200のパケットが受信回路1′によって処理されるのにかかる時間を決定する。処理遅延タイマ43′は、信号200のパケットがジッターバッファ10′に到着したときと、パケットからのフレームがレンダ部36′から出力されたときとの間の時間を測定してもよい。その場合、処理遅延タイマは、受信回路が1秒当り何フレーム処理することができるかを決定してもよい。
【0037】
受信回路1′が処理することができる1秒当りのフレームの数は、第1の端末に値B′として報告される。1秒当りのフレーム数B′は、符号化され、第2の端末112から第1の端末に応答信号300によって送信され得る。
【0038】
第2の端末の受信回路1′が処理することができる1秒当りのフレームの数を示す値B′は、第1の端末100のリソ−ス管理部22に入力される。
【0039】
本発明の実施の形態においては、第1の端末100のリソース管理部22は、信号200のデータレートが調整されるべきかを決定するために、第2の端末の受信回路1′が処理することができる1秒当りのフレームの数を示す値B′を、応答信号300のフレームレートを示す値A′とを比較する。これについて図4を参照して説明する。
【0040】
図4に示されるように、ステップS1で、値A′が値B′よりも所定量xを超えて大きいかが決定される。
【0041】
値A′が値B′よりも所定量xを超えて大きい場合は、本方法はステップS2に移る。
【0042】
ステップS2では、第1の端末のリソース管理部22は、第2の端末へ送信する信号200のフレームレートを符号化部32に増加させるように指示し、これにより、信号200の処理をするためのより大きなCPUリソースを割り当て、かつ第2の端末112のリソ−ス管理部22′に、応答信号300を送信するためのCPUリソースを減少させることを強制する。
【0043】
値A′が値B′よりも所定量xを超えて大きくない場合は、本方法はステップS3に移る。
【0044】
ステップS3では、値B′が値A′よりも所定量yを超えて大きいかが決定される。
【0045】
値B′が値A′よりも所定量yを超えて大きい場合は、本方法はステップS4に移る。
【0046】
ステップS4では、第1の端末のリソース管理部22は、第2の端末に送信される信号200のフレームレートを減少させるように符号化部32に指示し、これにより、信号200を処理するのに必要なCPUリソースを減少させ、かつ第2の端末のリソース管理部が応答信号300を送信するためのより大きなCPUリソースを割り当てることを可能にする。
【0047】
値A′が値B′よりも所定量yを下回って小さい場合は、本方法はステップS5に移る。
【0048】
ステップS5では、第1の端末のリソース管理部22は、信号200の現在のフレームレートを維持する。
【0049】
処理遅延タイマ43は、第1の端末100において同様に提供されてもよい。第1の端末の処理遅延タイマ43は、受信回路1が処理することができる1秒当りのフレームの数を報告してもよい。その場合、第2の端末のリソース管理部22′は、図4に示された方法にしたがって応答信号300のフレームレートを調整するようにしてもよい。
【0050】
第2の端末112の利用可能CPUリソースについての情報は、本発明の他の実施の形態に準じて、信号200のフレームレートを調整するため、応答信号300の特性とともに利用されてもよい。これについて再度図3を参照して説明する。
【0051】
第2の端末112のリソース管理部22′は、利用可能なCPUリソースを第1の端末に報告してもよい。第2の端末の利用可能CPUリソースが閾値以上である場合、第2の端末のリソース管理部22′は、第1の端末に、利用可能CPUリソースが高いと報告する。反対に、第2の端末の利用可能CPUリソースが閾値よりも小さい場合、第2の端末のリソース管理部22′は、第1の端末に利用可能CPUリソースが低いと報告する。
【0052】
第2の端末の利用可能CPUリソースが高いか低いかを報告する値C′は、符号化され、応答信号300とともに第1の端末に送信される。
【0053】
第1の端末においては、第2の端末の利用可能CPUリソースを報告する値C′は、第1の端末のリソース管理部22に入力される。
【0054】
本発明の実施の形態によれば、第1の端末100のリソース管理部22は、第2の端末の受信回路1′が処理可能な1秒当りのフレームの数を示す値B′、応答信号300のフレームレートを示す値A′、及び第2の端末における利用可能CPUリソースを示す値C′に応じて信号200のデータレートを調整する。これについて図5を参照して説明する。
【0055】
図5に示されるように、ステップS10では、値A′が値B′よりも所定量xを超えて大きいかを決定する。
【0056】
値A′が値B′よりも所定量xを超えて大きい場合は、本方法はステップS20に移る。
【0057】
ステップS20では、第2の端末の利用可能CPUリソースを示す値C′が高いかを決定する。第2の端末の利用可能CPUリソースが高いと決定された場合は、本方法はステップS30に移る。
【0058】
ステップS30では、第1の端末のリソース管理部22は、第2の端末に送信する信号200のフレームレートを増加させるように符号化部32に指示し、これにより第2の端末112のリソース管理部22′に信号200を処理するためにより大きなCPUリソースの割り当てを強制する。
【0059】
ステップS20で第2の端末の利用可能CPUリソースが低いと決定された場合、本方法はステップS70に移る。
【0060】
ステップS10で値A′が値B′よりも所定量xを超えて大きくないことが決定された場合は、本方法はステップS40に移る。
【0061】
ステップS40で値B′が値A′よりも所定量yを超えて大きいかどうかが決定される。
【0062】
値B′が値A′よりも所定量yを超えて大きくない場合は、本方法はステップS70に移る。
【0063】
値B′が値A′よりも所定量yを超えて大きい場合は、本方法はステップS50に移る。
【0064】
ステップS50では、第2の端末の利用可能CPUリソースを示す値C′が低いかが決定される。第2の端末の利用可能CPUリソースが低いことが決定された場合は、本方法はステップS60に移る。
【0065】
ステップS60では、第1の端末のリソース管理部22は、第2の端末に送信する信号200のフレームレートを減少させるように符号化部32に指示し、これにより、信号200を処理するのに必要なCPUリソースを減少させ、かつ第2の端末のリソース管理部が応答信号300を送信するためのより大きなCPUリソースを割り当てることを可能にする。
【0066】
ステップS50で第2の端末の利用可能CPUリソースが高いと決定された場合、本方法はステップS70に移る。
【0067】
ステップS70で第1の端末のリソース管理部22は、信号200の現在のフレームレートを維持する。
【0068】
同様に第1の端末100のリソース管理部22は、第1の端末の利用可能CPUリソースを第2の端末に報告してもよい。その場合、第2の端末のリソース管理部22′は、応答信号300のフレームレートを図5を参照して記載される方法にしたがって調整するようにしてもよい。
【0069】
本発明の更なる他の実施の形態においては、信号200を表示するのに利用されるディスプレースクリーン18に関する情報は、信号200のフレームレートを調整するため、応答信号300の特性とともに利用される。
【0070】
図3を再度参照し、第2の端末112のレンダ部36′は、第2の端末のディスプレースクリーンに関する情報を第1の端末に報告してもよい。例えば、レンダ部はビデオデータを表示するのに利用される解像度を信号200により報告してもよい。また、レンダ部はディスプレースクリーンの解像度が閾値よりも大きいか小さいかを報告してもよい。
【0071】
第2の端末のディスプレースクリーンの解像度を示す値D′は、符号化され、第1の端末に応答信号300とともに送信されてもよい。
【0072】
第1の端末において、第2の端末のディスプレースクリーンの解像度を示す値D′は、第1の端末のリソース管理部22に入力される。
【0073】
本発明の実施の形態によれば、第1の端末100のリソース管理部22は、第2の端末112のディスプレースクリーンの解像度に応じて信号200のデータレートを調整する。例えば、ディスプレースクリーンの解像度が高い場合は、第1の端末のリソース管理部22は、第1の端末の符号化部32にビデオデータを高解像度で符号化するように指示してもよい。これは、例えば、符号化部32において利用可能なフレームレートを減少させることによりあるいはビットレートを増加させることにより達成され得る。
【0074】
第1の端末のリソース管理部22は、信号200の特性を調整するために、値D′によって示される第2の端末のディスプレースクリーンの解像度を、上記識別された如何なる値と組み合わせて利用してもよい。
【0075】
特に、固定ビットレートが符号化部32で利用可能な場合において、第2の端末のディスプレースクリーンの解像度が閾値より大きいことが報告されたときは、値A′,B′,C′がフレームレートが増加されるべきことを示している場合でも、各フレームの解像度を保持するために、リソース管理部は信号200のフレームレートが増加するのを抑制するようにしてもよい。しかし、第2の端末のディスプレースクリーンの解像度が閾値より小さいことが報告されたときは、リソース管理部は信号200のフレームレートが増加することを可能にするようにしてもよい。
【0076】
本発明の一実施形態においては、信号200及び応答信号300は、第1の端末のユーザと第2の端末のユーザとの間のビデオ通話等、同じ通信イベントにおいて生じる。
【0077】
本発明の実施の形態の変形例においては、信号200及び応答信号300は、異なる通信イベントに関してもよい。例えば、信号200は、通話中に送信されるビデオ信号を含んでもよいし、応答信号300はファイル転送を含んでもよい。
【0078】
本発明の更に他の実施の形態においては、2以上の端末は互いに信号を送受信してもよい。例えば、これは、図6に示されるようにビデオ会議通話中に生じてもよい。
【0079】
図6において、5つの端末101,102,103,104,105は、ビデオ会議通話において通信する。端末101は会議通話のホスト端末として機能する。会議通話に参加する他の端末は、ビデオ信号V1,V2,V3,及びV4をホスト端末101に送信する。ホスト端末は、ビデオ信号を結合し、かつ結合したビデオ信号Vcを他の各端末に送信する。
【0080】
本発明の実施の形態によれば、ホスト端末は、各端末から受信したビデオ信号の特性を利用して各端末のCPUリソースを推定する。各ビデオ信号の特性は、ホスト端末101において推定され、あるいは会議通話に参加する他の各端末によって報告されてもよい。
【0081】
その場合、ホスト端末は、各端末に関して推定されたCPUリソースにしたがって、各端末に送信した結合されたビデオ信号Vcの特性を調整してもよい。結合されたビデオ信号の特性の調整は、上述したような処理遅延時間やスクリーン解像度等、端末から報告される他の状態に基づいてもよい。
【0082】
その場合、ホストは、会議への各参加端末にコマンドを送信することができ、結合されたビデオストリームを送信する自身の品質特性を調整する。そして、ホストは、他の参加端末について必ずしも知ることなく自身についての決定をしなければならない各参加端末とは対照的に、各参加端末に期待する送信の品質を、各参加端末に提示する。特性データは、決定を一箇所で行うことが可能なように一箇所に集められてもよい。これにより、ビデオの種類及び送信品質についての要求が各参加端末に対して生成され得る。
【0083】
特性データは、ビデオデータそれ自身のように同一経路にそって経路制御される必要はないと理解されるだろう。なお、一般にはそのように経路制御される。しかしながら、「皆が皆に送信する」という状況に関し、ビデオデータは互いに直接送信されてもよい。これは、特性データを中央に集めることなく、1対1の最適化をもたらす。これを発展させるため、特性データは、全ての参加端末に関する特性データを決定する1つの「主」パーティに送られてもよい。
【0084】
本発明の実施の形態においては、必要とされる処理は、ハードウェアによって、あるいはプロセッサ上で実行可能な適切に適応されたソフトウェアによって実行されてもよい。本発明を実行するためのソフトウェアは、移動可能なディスク、カード、テープ等の移動媒体手段に記録され、供給されてもよい。ソフトウエアは、データネットワークを介してダウンロードすることも可能である。これは実行上の問題である。
【0085】
本発明の実施の形態は、異なる他の会議構造においても適用可能である。
【0086】
この発明は、特に、好ましい実施の形態に関して示され、記載されているが、形式及び詳細における様々な変更が、特許請求の範囲によって定義された発明の目的から逸脱することなくなされ得ることは当業者により理解される。
【符号の説明】
【0087】
100 第1の端末
104 ネットワーク
112 第2の端末
200 信号
300 応答信号
22 リソース管理部
30 A/Dコンバータ
32 符号化部
1 受信回路
2 送信回路
18 ディスプレースクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して第1の端末から第2の端末に第1の信号を送信する方法であって、
第2の端末から第2の信号を第1の端末において受信するステップと、
第1の端末に関する出力部から第2の信号を出力するステップと、
第2の信号の特性に関する情報を決定するステップと、
第2の信号を送信するのに使用される第2の端末の処理リソースを、第2の信号の特性に関する情報に基づいて推定するステップと、
推定された、第2の信号を送信するのに使用される第2の端末の処理リソースに基づいて第1の信号の特性を調整するステップと、
第2の端末に第1の信号を送信するステップとを含むことを特徴とする送信方法。
【請求項2】
請求項1に記載の送信方法において、
第2の信号の特性に関する情報を決定するステップは、第1の端末において第2の信号の特性を推定するステップを含むことを特徴とする送信方法。
【請求項3】
請求項1に記載の送信方法において、
第2の信号の特性に関する情報を決定するステップは、第2の信号の特性に関して第2の端末から報告された情報を受信するステップを含むことを特徴とする送信方法。
【請求項4】
請求項1に記載の送信方法において、
第2の信号を送信するのに使用される第2の端末の処理リソースを、第2の信号の特性に関する情報に基づいて推定するステップは、
第2の信号の特性に関する情報と第1の信号を受信するのに利用される第2の端末の処理リソースに関する情報とを比較するステップを含むことを特徴とする送信方法。
【請求項5】
請求項4に記載の送信方法において、
第1の信号を処理するのに利用される第2の端末の処理リソースに関する情報は、第2の端末によって第1の端末に報告されることを特徴とする送信方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の送信方法において、
第2の信号の特性に関する情報は、信号のフレームレートであることを特徴とする送信方法。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の送信方法において、
第1の信号を受信するのに利用される第2の端末の処理リソースに関する情報は、第2の端末によって処理される第1の信号のフレームレートであることを特徴とする送信方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の送信方法において、
第2の信号の特性に関する情報は、第2の信号の解像度であることを特徴とする送信方法。
【請求項9】
請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の送信方法において、
第1の信号を処理するのに利用される第2の端末の処理リソースに関する情報は、
第2の端末によって処理される第1の信号の解像度であることを特徴とする送信方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の送信方法において、
第2の端末は、第1の信号を表示するのに利用されるディスプレー・スクリーンの解像度を報告することを特徴とする送信方法。
【請求項11】
請求項10に記載の送信方法において、
第1の信号を表示するのに利用されるディスプレー・スクリーンの解像度が第1の閾値よりも大きい場合、第1の信号の解像度は第2の閾値よりも小さく調整されないことを特徴とする送信方法。
【請求項12】
通信ネットワークを介して第1の端末から複数の第2の端末のそれぞれに第1の信号を送信する方法であって、
上記各第2の端末から第2の信号を第1の端末において受信するステップと、
上記各第2の信号の特性に関する情報を決定するステップと、
各第2の信号を送信するのに使用される各第2の端末の処理リソースを、上記各第2の信号の特性に関する情報に基づいて推定するステップと、
推定された、各第2の信号を送信するのに使用される各第2の端末の処理リソースに基づいて各第2の端末に送信される第1の信号の特性を調整するステップと、
各第2の端末に各第1の信号を送信するステップとを含むことを特徴とする送信方法。
【請求項13】
請求項12に記載の送信方法において、
第1の信号は、少なくとも第2の信号の1つを含むことを特徴とする送信方法。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の送信方法において、
第1の端末は、会議通話のホスト端末であることを特徴とする送信方法。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の送信方法において、
第1の端末は、前記または各第2の信号の伝送に使用される特性を定義する要求を前記または各第2の端末に送信することを特徴とする送信方法。
【請求項16】
通信ネットワークを介して第2の端末に第1の信号を送信する第1の端末であって、
上記第1の端末は、
上記第2の端末から第2の信号を受信する受信回路と、
第2の信号を出力する出力部と、
上記第2の信号の特性に関する情報を決定し、第2の信号を送信するのに使用される第2の端末の処理リソースを第2の信号の特性に関する情報に基づいて推定し、推定された、第2の信号を送信するのに使用される第2の端末の処理リソースに基づいて第1の信号の特性を調整するリソース管理部と、
第1の信号を第2の端末に送信する送信回路とを備えることを特徴とする第1の端末。
【請求項17】
通信ネットワークを介して第1の信号を複数の第2の端末のそれぞれに送信する第1の端末であって、
上記第2の端末のそれぞれから第2の信号を受信する受信回路と、
上記各第2の信号の特性に関する情報を決定し、各第2の信号を送信するのに使用される各第2の端末の処理リソースを上記各第2の信号の特性に関する情報に基づいて推定し、推定された、各第2の信号を送信するのに使用される各第2の端末の処理リソースに基づいて各第2の端末に送信される第1の信号の特性を調整するリソース管理部と、
各第1の信号を各第2の端末に送信する送信回路とを備えることを特徴とする第1の端末。
【請求項18】
コンピュータによって実行される際に請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法に係るステップを実行するプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2010−521856(P2010−521856A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553236(P2009−553236)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【国際出願番号】PCT/IB2008/001353
【国際公開番号】WO2008/110930
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(506016691)スカイプ・リミテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】SKYPE LIMITED
【Fターム(参考)】