説明

通信システム及び移動端末

【課題】地域放送の視聴に応じて提供される電子貨幣を、リーダ/ライタを用いてクローズドメモリ領域に書き込むための通信システム及び移動端末を提供する。
【解決手段】本発明に係る通信システムでは、所定の条件を満たした場合に生成される充足情報Eを、非接触型ICチップ100のオープンメモリ領域102に格納する。リーダ/ライタ20は、非接触型ICチップ100との間で電子貨幣を用いた取引の決済を行う際に、充足情報Eに基づく電子貨幣を、非接触型ICチップ100のクローズドメモリ領域104に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末と無線通信をするリーダ/ライタを備える通信システム及び移動端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルテレビジョン放送を受信する機能を備える移動端末(例えば、携帯電話やPDAなど)が広く普及しつつある。
【0003】
また、このような移動端末が特定の店舗、イベント会場、商店街、地下街などの地域に位置する場合において、当該地域に特有の情報をデジタルテレビジョン放送(以下、「地域放送」という。)する技術が提案されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0004】
通常、地域放送の周波数は地域毎に異なるため、移動端末を用いて地域放送を視聴するには、地域放送の周波数を示す情報を取得する必要がある。
【非特許文献1】「ワンセグ連結再送信装置の開発」〈URL:http://www.nhk.or.jp/strl/publica/giken_dayori/jp2/rd-0702-2.html〉[平成19年7月1日検索]
【非特許文献2】「世界初、微弱電波によるワンセグコンテンツ配信システム“スポットキャスト”を開発」〈URL:http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/03/5.html〉[平成19年7月1日検索]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動端末に地域放送の周波数を示す情報を取得させる手法としては、移動端末に内蔵されたICチップが電子決済システムを構成するリーダ/ライタと通信を行う際に、地域放送の周波数を示す周波数情報をICチップに送信することが考えられる。
【0006】
また、ユーザに地域放送に対する関心を持たせる手法としては、地域放送の視聴に応じた電子マネーや電子クーポンなど(以下、「電子貨幣」という。)をユーザに提供することが考えられる。このような電子貨幣は、移動端末に内蔵されるICチップのメモリ領域に格納されることにより利用可能となる。
【0007】
ここで、ICチップのメモリ領域は、ユーザが自由に情報を書き込めるオープンメモリ領域と、ユーザが情報を書き込めないクローズドメモリ領域とから構成される。電子貨幣は、改ざんされることを防ぐためにクローズドメモリ領域に書き込まれる。クローズドメモリ領域への電子貨幣の書き込みは、電子貨幣サービスを提供する専用サーバによってインターネット等を介して行うか、上記のリーダ/ライタによって行うことができる。
【0008】
このように、ユーザは、地域放送の視聴に応じて提供される電子貨幣を取得するための条件を満たしても、自らクローズドメモリ領域に電子貨幣を書き込むことはできない。従って、地域放送の視聴に応じて提供される電子貨幣を、リーダ/ライタを用いてクローズドメモリ領域に書き込むための通信システムが望まれる。
【0009】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、地域放送の視聴に応じて提供される電子貨幣を、リーダ/ライタを用いてクローズドメモリ領域に書き込むための通信システム及び移動端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した問題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、ICチップ(非接触型ICチップ100)を内蔵する移動端末(移動端末1)と、電子貨幣を用いた取引の決済をICチップとの間で行うリーダ/ライタ(リーダ/ライタ20)とを備える通信システムであって、ICチップは、認証を行うことなく情報を格納する第1メモリ領域(オープンメモリ領域102)と、認証を行った後に情報を格納する第2メモリ領域(クローズドメモリ領域104)とを有し、第1メモリ領域には、移動端末が位置する特定の地域内でのみ放送され、特定の地域に特有の情報を含む地域放送が送信される周波数を示す周波数情報(選局情報Aに含まれる)と、地域放送の受信に応じて提供される電子貨幣の種類及び値を示す電子貨幣情報(電子貨幣情報C)と、電子貨幣の提供を受けるための所定の条件を示す条件情報(条件情報D)とが、リーダ/ライタとの間で電子貨幣を用いた取引の決済を行う際にリーダ/ライタによって格納され、移動端末は、地域放送を受信する受信部(受信部150)と、周波数情報及び前記条件情報を格納する格納部(格納部120)と、周波数情報を用いて地域放送を受信したことにより所定の条件が充たされた場合に、所定の条件が充たされた旨を示す充足情報(充足情報E)を生成し、第1メモリ領域に充足情報を転送する制御部(制御部110)とを備え、第1メモリ領域は、制御部から転送される充足情報を格納し、リーダ/ライタは、ICチップとの間で電子貨幣を用いた取引の決済を行う際に、第1メモリ領域から電子貨幣情報及び充足情報を取得する充足情報取得部(取得部24)と、取得した充足情報に基づいて、移動端末に提供すべき電子貨幣を第2メモリ領域に送信する送信部(送信部26)とを備えることを要旨とする。
【0011】
このように、リーダ/ライタは、移動端末がオープンメモリ領域に一旦格納した充足情報を取得し、地域放送の受信に応じて提供される電子貨幣の種類及び値をクローズドメモリ領域に格納することができる。
【0012】
本発明の第1の特徴において、所定の条件は、周波数情報を取得したときから所定の期間内において、所定の時間以上、地域放送を受信することであるのが好ましい。
【0013】
本発明の第2の特徴は、リーダ/ライタ(リーダ/ライタ20)との間で電子貨幣を用いた取引の決済を行う移動端末(移動端末1)であって、移動端末が位置する特定の地域内でのみ放送され、特定の地域に特有の情報を含む地域放送を受信する受信部(受信部150)と、地域放送が送信される周波数を示す周波数情報(選局情報Aに含まれる)と、地域放送の受信に応じて提供される電子貨幣の種類及び値を示す電子貨幣情報(電子貨幣情報C)と、電子貨幣の提供を受けるための所定の条件を示す条件情報(条件情報D)とが、リーダ/ライタとの間で電子貨幣を用いた取引の決済を行う際にリーダ/ライタによって格納されるICチップと、周波数情報、電子貨幣情報及び条件情報とを格納する格納部(格納部120)と、周波数情報を用いて地域放送を受信したことにより所定の条件が充たされた場合に、所定の条件が充たされた旨を示す充足情報(充足情報E)を生成し、ICチップに充足情報を転送する制御部(制御部110)とを備え、ICチップは、認証を行うことなく情報を格納する第1メモリ領域(オープンメモリ領域102)と、認証を行った後に情報を格納する第2メモリ領域(クローズドメモリ領域104)とを有しており、周波数情報と、電子貨幣情報と、条件情報とは、リーダ/ライタによって第1メモリ領域に格納され、充足情報は、第1メモリ領域に格納されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の特徴によれば、地域放送の視聴に応じて提供される電子貨幣を、リーダ/ライタを用いてクローズドメモリ領域に書き込むための通信システム及び移動端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。
【0016】
(1)通信システムの概略
まず、実施形態に係る通信システムの概略について説明する。図1は、本実施形態に係る通信システムの構成図である。
【0017】
同図に示すように、本実施形態に係る通信システムは、移動端末1と、放送送信局10と、放送管理サーバ11と、リーダ/ライタ20と、IC管理サーバ21とを備える。
【0018】
移動端末1は、いわゆるワンセグ(商標)放送に対応した放送アプリケーションを利用できる移動端末である。ここで、ワンセグ放送とは、地上デジタルテレビジョン放送の1チャンネルあたりの帯域(6MHz)を13のセグメントに分け、そのうちの1セグメントを利用して提供される移動端末向けの放送である。このような、移動端末1としては、携帯電話やPDAなどを用いることができる。
【0019】
また、移動端末1は、後述するように、電子マネー、電子クーポン、又は、特定の地域において利用可能なポイントなど(以下、「電子貨幣」という。)を用いた電子決済システムを利用することができる。ここで、決済とは、電子貨幣を用いて商品の購入やサービスの提供を受けること、及び電子貨幣を補充することなどを意味する。
【0020】
放送送信局10は、店舗、地下鉄構内、イベント会場、商店街、地下街などの特定の地域において、当該特定の地域に特有な情報の放送(以下、「地域放送」という。)を行う。本実施形態において、地域放送の放送形式は、ワンセグ放送の放送形式に則っている。従って、移動端末1は、ワンセグ放送を受信するための放送アプリケーションを利用して地域放送を受信できる。放送送信局10は、地域放送に限らず、地上デジタルテレビジョン放送の周波数を変更して再送信していてもよい。放送送信局10は地域放送を微弱な電波によって送信するため、放送送信局10のカバーエリアPは上記特定の地域に対応する狭小な範囲に限られる。放送送信局10は、放送管理サーバ11と接続される。放送管理サーバ11は、地域放送を提供する放送事業者(例えば、特定地域における店舗の事業主)によって設置される。放送管理サーバ11は、地域放送に関する放送情報XをIC管理サーバ21に送信する。
【0021】
リーダ/ライタ20は、IC管理サーバ21と接続される。リーダ/ライタ20及びIC管理サーバ21は、電子貨幣を用いた電子決済システムを運営する事業者によって設置される。移動端末1は、リーダ/ライタ20との通信により電子決済を行うことができる。IC管理サーバ21は、放送管理サーバ11から地域放送に関する放送情報Xを受信する。IC管理サーバ21は、リーダ/ライタ20に放送情報Xを転送する。
【0022】
(2)放送情報X
放送情報Xは、選局情報A、番組情報B、電子貨幣情報C及び条件情報Dを含む。
【0023】
選局情報Aは、地域放送を選局するための情報、例えば、放送方式、放送ネットワークID、周波数などを示す情報を含む。
【0024】
番組情報Bは、地域放送される番組の内容、例えば、番組のタイトル,番組内容の要約,視聴時間などを示す情報を含む。
【0025】
電子貨幣情報Cは、地域放送の受信に応じて提供される電子貨幣の種類及び値、例えば、電子マネーの金額,電子クーポン(商品券)の枚数、特定地域の各種サービスに利用可能なポイントの値などを示す。
【0026】
条件情報Dは、地域放送の受信に応じて電子貨幣の提供を受けるための所定の条件を示す。所定の条件としては、例えば、BML(Broadcast Markup Language)上で所定のボタンを押下する等が適用できる。本実施形態における所定の条件は、放送情報Xを取得したときから所定の期間内において、所定の時間以上、地域放送を受信することである。
【0027】
なお、放送情報Xは、地域放送を提供する放送事業者(例えば、特定地域における店舗の事業主)によって設定される。
【0028】
(3)移動端末1の構成
次に、移動端末1の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、移動端末1の構成を示すブロック図である。
【0029】
同図に示すように、移動端末1は、非接触型ICチップ100、制御部110、格納部120、映像出力部130、音声出力部135、操作部140、受信部150を備える。
【0030】
非接触型ICチップ100は、リーダ/ライタ20との間で電子貨幣を用いた取引の決済を行う。図3に示すように、非接触型ICチップ100は、オープンメモリ領域102とクローズドメモリ領域104とを備える。
【0031】
オープンメモリ領域102は、認証を行うことなく情報を格納することができる、いわゆるフリー領域である。移動端末1がリーダ/ライタ20との間で電子貨幣を用いた取引の決済を行う場合、オープンメモリ領域102には、リーダ/ライタ20によって放送情報Xが格納される。オープンメモリ領域102は、後述する放送情報処理部112によって放送情報Xを取得された後も、放送情報Xに含まれる電子貨幣情報Cを保持する。オープンメモリ領域102は、充足情報生成部116から転送される充足情報Eを格納する。
【0032】
クローズドメモリ領域104は、認証を行った後に情報を格納することができる、いわゆる共通領域である。クローズドメモリ領域104の安全性が確保されているため、クローズドメモリ領域104は、電子貨幣の種類及びその値を示す情報を格納する。
【0033】
制御部110は、放送情報処理部112、条件判定部114及び充足情報生成部116を備える。
【0034】
放送情報処理部112は、例えば、移動端末1の放送アプリケーションソフトウェアである。放送情報処理部112は、オープンメモリ領域102から取得する放送情報Xに含まれる各情報の種別に応じて、放送情報Xを処理する。
【0035】
放送情報処理部112は、選局情報Aに含まれる放送方式等に基づいて、地域放送を放送アプリケーションソフトウェアによって受信できるか否か判定する。放送情報処理部112は、地域放送を受信できると判定した場合、放送情報Xを格納部120に転送する。
【0036】
放送情報処理部112は、映像出力部130に番組情報B、電子貨幣情報C及び条件情報Dを転送する。放送情報処理部112は、条件判定部114に条件情報Dを転送する。放送情報処理部112は、選局情報Aに含まれる周波数を示す情報を受信部150に転送する。
【0037】
条件判定部114は、放送情報処理部112から条件情報Dを取得する。条件判定部114は、オープンメモリ領域102に放送情報Xが格納されたときからの経過時間と、受信部150が地域放送を連続受信した受信時間とを計測する。条件判定部114は、計測した経過時間と受信時間とに基づいて、条件情報Dに含まれる所定の条件が充たされたか否かを判定する。条件判定部114は、所定の条件が充たされたと判定した場合、その旨を充足情報生成部116に通知する。
【0038】
充足情報生成部116は、条件判定部114からの通知に基づいて、地域放送の受信に応じて提供される電子貨幣を取得できることを示す充足情報Eを生成する。充足情報生成部116は、生成した充足情報Eをオープンメモリ領域102に転送するとともに、その旨を示すフラグ情報を格納部120に格納された電子貨幣情報Cに付加する。充足情報生成部116は、充足情報Eをオープンメモリ領域102に格納した旨を放送情報処理部112に通知する。放送情報処理部112は、充足情報Eがオープンメモリ領域102に格納された旨の通知を受けると、映像出力部130又は音声出力部135を介して、その旨をユーザに知らせる。
【0039】
格納部120は、放送情報処理部112から転送された放送情報X、即ち、選局情報A、番組情報B、電子貨幣情報C及び条件情報Dを格納する。格納部120は、複数の地域情報に係る放送情報Xを区別して格納することができる。
【0040】
映像出力部130は、例えば、移動端末1のディスプレイである。映像出力部130は、放送情報処理部112から転送された番組情報B、電子貨幣情報C及び条件情報Dを表示する。映像出力部130は、地域放送の受信中は、地域放送に含まれる画像信号又は映像信号を出力する。
【0041】
音声出力部135は、例えば、移動端末1のスピーカである。音声出力部135は、放送情報処理部112から転送された番組情報B、電子貨幣情報C及び条件情報Dを音声出力することができる。音声出力部135は、映像出力部130が番組情報B、電子貨幣情報C及び条件情報Dを表示する場合、表示に合わせてアラーム音などを出力することができる。音声出力部135は、地域放送の受信中は、地域放送に含まれる音声信号を出力する。
【0042】
操作部140は、例えば、移動端末1の表面に配設された操作キーである。操作部140は、映像出力部130が番組情報B、電子貨幣情報C及び条件情報Dを表示した場合に、ユーザから地域放送の受信指示を受付ける。操作部140は、ユーザから受信指示を受付けた場合、その旨を放送情報処理部112に通知する。放送情報処理部112は、操作部140から通知された受信指示に応じて、選局情報Aに含まれる周波数を示す情報を受信部150に転送する。
【0043】
受信部150は、デジタル放送(ワンセグ放送)を、所定のチャンネル(周波数)にチューニングして受信する。また、受信部150は、放送情報処理部112から転送される周波数を示す情報に基づいて、地域放送の周波数にチューニングを行う。これにより、受信部150は、地域放送を受信する。受信部150は、地域放送の放送信号を映像信号と音声信号とに分離し、それぞれを映像出力部130と音声出力部135とに転送する。受信部150は、地域放送の受信中は、随時、条件判定部114に受信を継続している旨を通知する。
【0044】
(4)リーダ/ライタ20の構成
次に、リーダ/ライタ20の構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、リーダ/ライタ20の構成と併せて非接触型ICチップ100の構成を示すブロック図である。
【0045】
リーダ/ライタ20は、電子貨幣を用いた取引の決済を移動端末1の非接触型ICチップ100との間で行う。図3に示すように、リーダ/ライタ20は、制御部22、取得部24及び送信部26を備える。
【0046】
制御部22は、非接触型ICチップ100との間で電子決済を行う際、取得部24及び送信部26を制御して、オープンメモリ領域102とクローズドメモリ領域104とに格納された情報の読み込み又は書き込みを行う。制御部22は、非接触型ICチップ100との間で認証処理を行う。
【0047】
取得部24は、オープンメモリ領域102に格納された情報を読み込む。具体的に、取得部24は、オープンメモリ領域102に充足情報Eが格納されている場合、充足情報Eを取得する。取得部24は、クローズドメモリ領域104に格納された電子貨幣に関する情報を書き込む。具体的に、取得部24は、ユーザが商品を購入した場合、クローズドメモリ領域104に格納されている電子マネーの残高から商品代金を差し引いた値を書き込む。
【0048】
送信部26は、IC管理サーバ21から取得する放送情報Xをオープンメモリ領域102に格納する。送信部26は、充足情報Eに示される電子貨幣の種類及び値に従って、クローズドメモリ領域104に電子貨幣を格納する。送信部26は、例えば、充足情報Eに示される電子貨幣の種類と同種の電子貨幣がクローズドメモリ領域104に格納されている場合、充足情報Eに示される値を加えた値を書き込む。
【0049】
(5)地域放送の受信処理
次に、移動端末1において地域放送を受信するまでの動作について、図4を参照しながら説明する。図4は、移動端末1における地域放送の受信処理を説明するためのフローチャートである。
【0050】
ステップS101において、放送情報処理部112は、リーダ/ライタ20によってオープンメモリ領域102に格納された放送情報Xを取得する。
【0051】
ステップS102において、放送情報処理部112は、選局情報Aに含まれる地域放送の放送方式等を示す情報に基づいて、移動端末1の放送アプリケーションソフトウェアを用いて地域放送を受信可能であるか否かを判定する。地域放送を受信できる場合、放送情報処理部112は、放送情報Xを格納部120に転送する。一方、放送方式等が相違することにより地域放送を受信できない場合、処理は終了する。
【0052】
ステップS103において、格納部120は、放送情報処理部112から転送される放送情報Xを格納する。
【0053】
ステップS104において、放送情報処理部112は、映像出力部130に番組情報B、電子貨幣情報C及び条件情報Dを転送するとともに、条件判定部114に条件情報Dを転送する。
【0054】
ステップS105において、映像出力部130又は音声出力部135は、放送情報処理部112から転送された番組情報B、電子貨幣情報C及び条件情報Dを出力する。
【0055】
ステップS106において、操作部140は、ユーザによる地域放送の受信指示の有無を確認する。ユーザからの受信指示が有った場合、処理はステップS107に進む。一方、ユーザからの受信指示が無かった場合、処理は終了する。
【0056】
ステップS107において、放送情報処理部112は、選局情報Aに含まれる周波数を示す情報を受信部150に転送する。
【0057】
ステップS108において、受信部150は、放送情報処理部112から転送される周波数を示す情報に基づいて、地域放送の周波数にチューニングを行う。これにより、地域放送の受信が開始される。
【0058】
(6)充足情報Eの格納処理
続いて、移動端末1において充足情報Eを格納するまでの動作について、図5を参照しながら説明する。図5は、移動端末1における充足情報Eの格納処理を説明するためのフローチャートである。
【0059】
ステップS201において、条件判定部114は、オープンメモリ領域102に放送情報Xが格納されたときからの経過時間と、受信部150が地域放送を連続受信した受信時間とに基づいて、条件情報Dに含まれる所定の条件が充たされたか否かを判定する。条件判定部114は、所定の条件が充たされたと判定した場合、その旨を充足情報生成部116に通知し、処理はステップS202に進む。一方、条件判定部114が所定の条件は充たされなかったと判定した場合、処理は終了する。
【0060】
ステップS202において、充足情報生成部116は、所定の条件が充たされた旨の通知に基づいて、地域放送の受信に応じて提供される電子貨幣を取得できることを示す充足情報Eを生成する。充足情報生成部116は、非接触型ICチップ100のオープンメモリ領域102に充足情報Eを格納する。
【0061】
ステップS203において、充足情報生成部116は、格納部120に格納された電子貨幣情報Cに、充足情報Eがオープンメモリ領域102に格納されたことを示すフラグ情報を付加する。
【0062】
(7)電子貨幣の格納処理
続いて、リーダ/ライタ20による電子貨幣の格納処理について、図6を参照しながら説明する。図6は、リーダ/ライタ20による電子貨幣の格納処理を説明するためのシーケンス図である。
【0063】
ステップS301において、オープンメモリ領域102には、充足情報生成部116から転送された充足情報Eが格納される。
【0064】
ステップS302において、ユーザが電子決済を行うために移動端末1をリーダ/ライタ20に近づけると、リーダ/ライタ20は、移動端末1(非接触型ICチップ100)の存在を検出する。
【0065】
ステップS303において、リーダ/ライタ20は、クローズドメモリ領域104との間で認証を行う。
【0066】
ステップS304において、リーダ/ライタ20は、クローズドメモリ領域104との間で電子決済を行う。即ち、リーダ/ライタ20は、クローズドメモリ領域104に格納されている電子貨幣の残高を更新する。
【0067】
ステップS305において、リーダ/ライタ20は、オープンメモリ領域102に格納された充足情報Eを取得する。
【0068】
ステップS306において、リーダ/ライタ20は、充足情報Eに基づいて、移動端末1に提供すべき電子貨幣の種類及びその値を検出する。
【0069】
ステップS307において、リーダ/ライタ20は、充足情報Eから検出された電子貨幣の種類及び値をクローズドメモリ領域104に格納する。
【0070】
(8)特定の放送情報Xの選択処理
次に、格納部120に格納された複数の放送情報の中から特定の放送情報Xを選択する動作について、図7を参照しながら説明する。図7は、移動端末1における動作を示すフローチャートである。
【0071】
ステップS401において、操作部140は、格納部120に格納された全ての放送情報の呼び出し指示をユーザから受付ける。
【0072】
ステップS402において、放送情報処理部112は、格納部120に格納されている全ての放送情報について、映像出力部130又は音声出力部135を介してユーザに知らせる。
【0073】
ステップS403において、操作部140は、ユーザによる地域放送の受信指示の有無を確認する。ユーザからの受信指示が有った場合、処理はステップS404に進む。一方、ユーザからの受信指示が無かった場合、処理は終了する。
【0074】
ステップS404において、放送情報処理部112は、ユーザが選択した放送情報Xの選局情報Aに含まれる周波数を示す情報を受信部150に転送する。
【0075】
ステップS405において、受信部150は、放送情報処理部112から転送される周波数を示す情報に基づいて、地域放送の周波数にチューニングを行い、地域放送の受信を開始する。ただし、移動端末1が当該地域放送のカバーエリアP外に位置する場合には、映像出力部130又は音声出力部135を介して、その旨をユーザに知らせて処理は終了する。
【0076】
ステップS406において、放送情報処理部112は、放送情報Xの電子貨幣情報Cに、充足情報Eがオープンメモリ領域102に格納されたことを示すフラグ情報が付加されているか否か確認する。電子貨幣情報Cにフラグ情報が付加されていない場合、処理は上記ステップS201に進む。一方、電子貨幣情報Cにフラグ情報が付加されている場合、放送情報処理部112は、条件判定部114に条件情報Dを転送しない。従って、条件情報Dに示される所定の条件が充たされたか否かの判定は行われず、充足情報Eが再び生成されることはない。
【0077】
(9)作用及び効果
本実施形態に係る通信システムによれば、移動端末1は、所定の条件を満たした場合に生成される充足情報Eを、非接触型ICチップ100のオープンメモリ領域102に格納する。リーダ/ライタ20は、非接触型ICチップ100との間で電子貨幣を用いた取引の決済を行う際に、充足情報Eに基づく電子貨幣を、非接触型ICチップ100のクローズドメモリ領域104に送信する。
【0078】
このように、リーダ/ライタ20は、移動端末1がオープンメモリ領域102に一旦格納した充足情報Eを取得し、地域放送の受信に応じて提供される電子貨幣の種類及び値をクローズドメモリ領域104に格納することができる。
【0079】
また、本実施形態では、リーダ/ライタ20によるオープンメモリ領域102への放送情報Xの格納や、リーダ/ライタ20によるクローズドメモリ領域104への電子貨幣の格納は、リーダ/ライタ20と非接触型ICチップ100との間で電子決済が行われる際になされる。
【0080】
従って、移動端末1のユーザは、放送情報を取得するために、又は、地域放送の受信に応じて提供される電子貨幣を取得するために、特別な手続きを行う必要がない。
【0081】
ここで、地域放送を提供する放送事業者(例えば、特定地域における店舗の事業主)は、地域放送のカバーエリアは狭小であるため、ユーザが当該カバーエリア内に位置する短期間の間に地域放送をユーザに視聴させたい。
【0082】
本実施形態において、条件判定部114は、放送情報X(周波数を示す情報を含む)を取得したときから所定の期間内において、所定の時間以上地域放送を受信した場合に、所定の条件が充たされたと判定する。また、番組情報B、電子貨幣情報C及び条件情報Dは、映像出力部130又は音声出力部135を介してユーザに通知される。
【0083】
従って、番組情報B及び電子貨幣情報Cをユーザに通知することにより地域放送に対するユーザの関心を高めるだけでなく、ユーザが特定の地域に位置する短期間の間に地域放送を視聴するように誘導することができる。
【0084】
また、本実施形態では、リーダ/ライタ20によってオープンメモリ領域102に格納された放送情報Xを、映像出力部130又は音声出力部135を介してユーザに知らせた後に、ユーザからの受信指示に応じて放送情報処理部112が受信部150を起動する。従って、放送情報Xの取得から地域放送の受信までを一連の動作として処理することができる。
【0085】
(10)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0086】
例えば、上記実施形態では、ワンセグ放送の放送方式を用いて地域放送を行うこととして説明したが、他の放送方式によって地域放送を行ってもよい。本発明は、地域放送の放送方式を限定するものではなく、移動端末1の放送アプリケーションによって受信できる放送方式を用いていればよい。
【0087】
また、上記実施形態では、条件判定部114は、受信部150が地域放送を連続受信した受信時間を計測することとしたが、断続的に受信した時間の合計を算出してもよい。なお、条件判定部114は、条件情報Dが示す条件に応じて条件が充たされたか否かを判定するため、判定手法は時間の計測に限らない。
【0088】
また、上記実施形態では、移動端末1は非接触型ICチップ100を内蔵することとしたが、接触型ICチップであってもよい。また、非接触型ICチップ100は、移動端末1に抜き差し可能なカードタイプなどであってもよい。
【0089】
また、上記実施形態において、リーダ/ライタ20の取得部24がオープンメモリ領域102から充足情報Eを取得する動作は、移動端末1からリーダ/ライタ20に送信されるコマンドに基づいて行われてもよい。例えば、充足情報生成部116が充足情報Eを生成する際に、オープンメモリ領域102に格納された充足情報Eの取得要求コマンドを併せて生成することができる。取得部24は、このようなコマンドに基づいて充足情報Eをオープンメモリ領域102から取得する。
【0090】
また、充足情報Eの格納場所は、非接触ICチップ200のオープンメモリ領域220に限らず、例えば、格納部120であってもよい。
【0091】
また、上記実施形態において、地域放送の受信状態が悪化したことによって受信が途絶えた後、受信部150が地域放送を受信し直した場合には、条件判定部114は新たに受信時間の計測を開始することが好ましい。
【0092】
また、上記実施形態において、選局情報Aは、地域放送が放送される期間を示す期間情報を含んでいてもよい。この場合、放送情報処理部112は、期間情報に基づいて地域放送が放送されていないと判定した場合には、格納部120に放送情報Xを転送する前に処理を終了する。
【0093】
また、オープンメモリ領域102に格納された放送情報Xが既に格納部120に格納されている場合には、放送情報処理部112は、格納部120に放送情報Xを転送する前に処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る移動端末1の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る非接触型ICチップ100及びリーダ/ライタ20の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る移動端末1における地域放送の受信処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る移動端末1における充足情報Eの格納処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るリーダ/ライタ20による電子貨幣の格納処理を説明するためのシーケンス図である。
【図7】本発明の実施形態に係る移動端末1における動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
A…選局情報
B…番組情報
C…電子貨幣情報
D…条件情報
E…充足情報
P…カバーエリア
X…放送情報
1…移動端末
10…放送送信局
11…放送管理サーバ
20…リーダ/ライタ
21…IC管理サーバ
22…制御部
24…取得部
26…送信部
100…非接触型ICチップ
102…オープンメモリ領域
104…クローズドメモリ領域
110…制御部
112…放送情報処理部
114…条件判定部
116…充足情報生成部
120…格納部
130…映像出力部
135…音声出力部
140…操作部
150…受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップを内蔵する移動端末と、電子貨幣を用いた取引の決済を前記ICチップとの間で行うリーダ/ライタとを備える通信システムであって、
前記ICチップは、
認証を行うことなく情報を格納する第1メモリ領域と、
認証を行った後に情報を格納する第2メモリ領域とを有し、
前記第1メモリ領域には、
前記移動端末が位置する特定の地域内でのみ放送され、前記特定の地域に特有の情報を含む地域放送が送信される周波数を示す周波数情報と、前記地域放送の受信に応じて提供される電子貨幣の種類及び値を示す電子貨幣情報と、前記電子貨幣の提供を受けるための所定の条件を示す条件情報とが、前記リーダ/ライタとの間で電子貨幣を用いた取引の決済を行う際に前記リーダ/ライタによって格納され、
前記移動端末は、
前記地域放送を受信する受信部と、
前記周波数情報及び前記条件情報を格納する格納部と、
前記周波数情報を用いて前記地域放送を受信したことにより前記所定の条件が充たされた場合に、前記所定の条件が充たされた旨を示す充足情報を生成し、前記第1メモリ領域に前記充足情報を転送する制御部とを備え、
前記第1メモリ領域は、前記制御部から転送される前記充足情報を格納し、
前記リーダ/ライタは、
前記ICチップとの間で前記電子貨幣を用いた取引の決済を行う際に、前記第1メモリ領域から前記電子貨幣情報及び前記充足情報を取得する充足情報取得部と、
取得した前記充足情報に基づいて、前記移動端末に提供すべき電子貨幣を前記第2メモリ領域に送信する送信部とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記周波数情報を取得したときから所定の期間内において、所定の時間以上、前記地域放送を受信することであることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
リーダ/ライタとの間で電子貨幣を用いた取引の決済を行う移動端末であって、
前記移動端末が位置する特定の地域内でのみ放送され、前記特定の地域に特有の情報を含む地域放送を受信する受信部と、
前記地域放送が送信される周波数を示す周波数情報と、前記地域放送の受信に応じて提供される電子貨幣の種類及び値を示す電子貨幣情報と、前記電子貨幣の提供を受けるための所定の条件を示す条件情報とが、前記リーダ/ライタとの間で電子貨幣を用いた取引の決済を行う際に前記リーダ/ライタから受信するICチップと、
前記周波数情報、前記電子貨幣情報及び前記条件情報とを格納する格納部と、
前記周波数情報を用いて前記地域放送を受信したことにより前記所定の条件が充たされた場合に、前記所定の条件が充たされた旨を示す充足情報を生成し、前記ICチップに前記充足情報を転送する制御部とを備え、
前記ICチップは、
認証を行うことなく情報を格納する第1メモリ領域と、
認証を行った後に情報を格納する第2メモリ領域とを有しており、
前記周波数情報と、前記電子貨幣情報と、前記条件情報とは、前記リーダ/ライタによって前記第1メモリ領域に格納され、
前記充足情報は、前記第1メモリ領域に格納される
ことを特徴とする移動端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−81587(P2009−81587A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248269(P2007−248269)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】