説明

通信システム及び該通信システムによる通信方法

【課題】ネットワークに負荷をかけずに、基地局から移動端末に気象情報を報知する。
【解決手段】基地局1と移動端末3、4とを備える通信システムであって、基地局1は、基地局1の設置場所の気象を観測する気象観測部1aを備える。移動端末3、4は、表示部3a、4aを備え、気象観測部1aにより観測された気象情報を受信すると当該気象情報を表示部3a、4aに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及び該通信システムによる通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、降雨情報などの気象情報を携帯電話等の移動端末に提供するシステムが用いられている。
例えば、駐車中の車両の所有者は、その駐車位置から離れている場合に駐車位置付近の気象情報を知りたい場合がある。このような場合に、車両の所有者の要求に応じて、駐車位置付近を移動する車両から得た降雨情報を集計し、集計結果から推測される気象を車両の所有者に電子メールで提供するシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、災害情報を移動端末に提供するシステムとして、特定エリアの気象観測結果に基づいて、当該特定エリアのユーザに対して、警戒通報を基地局が直接行うシステムが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−115854号公報
【特許文献2】特開2010−198330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のシステムでは、降雨情報を移動車両から得るのにネットワークを介する必要があるため、ネットワークに負荷がかかってしまうという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載のシステムでは、情報の提供が電子メールであるため、着信を無視してしまう場合もあり、災害情報の認識が困難である場合があった。
さらに、災害情報の警戒通報に限られており、降雨情報が常時提供されるわけでないため、例えば情報を提供する基準となる降雨量が低い場合に、ユーザに警戒通報が通知されると、ユーザに混乱を与える可能性があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、その目的は、ネットワークに負荷をかけずに、基地局から移動端末に気象情報を報知することのできる通信システム及びその通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する第1の観点に係る通信システムの発明は、基地局と移動端末とを備える通信システムであって、前記基地局は、該基地局の設置場所の気象を観測する気象観測部を備え、前記移動端末は、表示部を備え、前記気象観測部により観測された気象情報を受信すると当該気象情報を前記表示部に表示するものである。
【0009】
また、第2の観点に係る通信システムの発明は、基地局と移動端末とを備える通信システムであって、前記基地局は、該基地局の設置場所の気象を観測する気象観測部を備え、前記移動端末は、前記気象観測部により観測された気象情報を受信すると当該気象情報を他の予め設定された所定端末に通知するものである。
【0010】
第3の観点に係る通信システムの発明は、上記第2の観点に係る通信システムにおいて、前記移動端末は、表示部を備え、前記気象情報を受信すると当該気象情報を前記表示部に表示する。
【0011】
さらに、第4の観点に係る通信方法の発明は、基地局と移動端末とを備える通信システムによる通信方法であって、前記基地局が備える気象観測部により、該基地局の設置場所の気象を観測する工程と、前記観測した気象情報を、前記基地局から前記移動端末に送信する工程と、前記気象情報を前記移動端末の表示部に表示する工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、第5の観点に係る通信方法の発明は、基地局と移動端末とを備える通信システムによる通信方法であって、前記基地局が備える気象観測部により、該基地局の設置場所の気象を観測する工程と、前記観測した気象情報を、前記基地局から前記移動端末に送信する工程と、前記移動端末が受信した気象情報を他の予め設定された所定端末に通知する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ネットワークに負荷をかけずに、基地局から移動端末に気象情報を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信システムの要部を示す概略構成図である。
【図2】本発明の通信方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの要部を示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態の通信システムは、無線基地局1、2と、移動端末3、4、5とを備える。
【0016】
無線基地局1は、無線基地局1の通信エリア内の移動端末3、4と無線通信を行うものであり、無線基地局2は、無線基地局2の通信エリア内の移動端末5と無線通信を行うものである。
基地局1は、その内部に気象観測部1aを備える。この気象観測部1aは、基地局1の設置場所での気象を観測するものであり、基地局1は、気象観測部1aが降雨を観測すると、その降雨情報を移動端末3、4に送信する。
【0017】
移動端末3、4は、上述したように、基地局1の通信エリア内に位置し、基地局1からの降雨情報を受信するものであり、表示部3a、3bを備える。特に、移動端末4は、降雨エリアに位置することを示す存在情報をユーザにより予め設定された第三者の所定端末へ電子メールなどで通知するように設定しており、移動端末5は、その通知を受信する第三者の所定端末である。
【0018】
また、移動端末3、4は、基地局1から降雨情報を受信すると、当該降雨情報を当該移動端末のユーザが認識可能であるように該移動端末の表示部3a、4aに表示する。
具体的には、画面情報として、雨マークのアイコンなどの任意の表示を用いることができる。
また、降雨の有無のみならず、降雨量もユーザ認識可能に表示することができ、例えば、降雨量を青色のグラデーションで示すアイコン、降雨量の棒グラフのアイコン、状態表示ランプの色の濃淡や点滅速度などと対応させて表示することができる。
【0019】
以下、図1に示す通信システムを用いて、図2に示すフローチャートにより、本発明に係る通信方法について詳細に説明する。
【0020】
図1、2に示すように、移動端末3、4は、基地局1から降雨情報を受信し(ステップS201)、当該降雨情報をユーザ認識可能な情報として当該移動端末3、4の表示部3a、4aにそれぞれ表示する(ステップS202)。なお、表示部3a、4aへのユーザ認識可能な表示は、上述の通り、雨マークのアイコンなどの任意の表示を用いることができる。
【0021】
次に、移動端末が降雨エリア内に位置することを示す存在情報を第三者へ送信する設定をしているか否かを検出し(ステップS203)、設定している場合には、当該降雨エリア内存在情報を第三者の所定端末へ送信し(ステップS204)、一連の処理を終了する(ステップS205)。
図1に示す例では、移動端末4は、降雨エリア内存在情報を移動端末5へ電子メールで送信する設定をしており、当該降雨エリア内存在情報は、まず基地局1へ送信される。次いで、当該降雨エリア内存在情報を受信した基地局1は、ネットワークを介して移動端末5が位置する基地局2に当該降雨エリア内存在情報を送信し、基地局2は、移動端末5に当該降雨エリア内存在情報を送信する。
【0022】
一方で、降雨エリア内存在情報を第三者へ転送する設定をしていない場合には、そのまま一連の処理を終了する(ステップS205)。
図1に示す例では、移動端末3は、降雨エリア内存在情報を他の端末に通知する設定をしていないため、降雨情報の表示を終えると一連の処理を終了する。
【0023】
本実施形態よれば、まず、基地局1が移動端末3、4に送信する降雨情報を、基地局が装備している気象観測部1aにより入手することができるため、ネットワークに負荷をかけることなく、降雨情報を移動端末に提供することができる。
これにより、特に地下や屋内など外の状況がわからない場所にいるユーザが、事前に屋外の降雨状況を知ることができる。
【0024】
さらに、移動端末3、4は、受信した降雨情報をそれぞれの表示部3a、4aにアイコンなどでユーザ認識可能に表示するため、移動端末3、4が降雨情報を受信すると、当該ユーザは、当該降雨情報について直感的な認識をすることができる。
【0025】
また、降雨エリア内存在情報を他の設定端末に通知することにより、子供や高齢者が降雨エリアにいることを、その保護者や介護者が知ることができる。
【0026】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、降雨情報は、表示部にアイコン等により表示する場合に限らず、表示部として状態表示ランプを設けて、この状態表示ランプを点灯あるいは消滅させることにより、ユーザが認識可能に報知してもよい。加えて、気象情報については、例えば、気温や風速等であってもよい。
また、基地局の通信エリア内の移動端末のうち、基地局から降雨情報を受信する旨の設定をした移動端末のみが降雨情報を受信するようにしてもよい。
【0027】
さらに、本実施形態では、移動端末5が基地局2の通信エリア内に位置する場合を説明したが、本発明は、移動端末5が基地局1の通信エリア内にいる場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1、2 無線基地局
1a 気象観測部
3、4、5 端末
3a、3b 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と移動端末とを備える通信システムであって、
前記基地局は、該基地局の設置場所の気象を観測する気象観測部を備え、
前記移動端末は、表示部を備え、前記気象観測部により観測された気象情報を受信すると当該気象情報を前記表示部に表示することを特徴とする、通信システム。
【請求項2】
基地局と移動端末とを備える通信システムであって、
前記基地局は、該基地局の設置場所の気象を観測する気象観測部を備え、
前記移動端末は、前記気象観測部により観測された気象情報を受信すると当該気象情報を他の予め設定された所定端末に通知することを特徴とする、通信システム。
【請求項3】
前記移動端末は、表示部を備え、前記気象情報を受信すると当該気象情報を前記表示部に表示する、請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
基地局と移動端末とを備える通信システムによる通信方法であって、
前記基地局が備える気象観測部により、該基地局の設置場所の気象を観測する工程と、
前記観測した気象情報を、前記基地局から前記移動端末に送信する工程と、
前記気象情報を前記移動端末の表示部に表示する工程と、
を含む、通信システムによる通信方法。
【請求項5】
基地局と移動端末とを備える通信システムによる通信方法であって、
前記基地局が備える気象観測部により、該基地局の設置場所の気象を観測する工程と、
前記観測した気象情報を、前記基地局から前記移動端末に送信する工程と、
前記移動端末が受信した気象情報を他の予め設定された所定端末に通知する工程と、
を含む、通信システムによる通信方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−62703(P2013−62703A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200253(P2011−200253)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】