通信システム
【課題】マルチパス環境においても、受信信号強度に基づいて無線装置間の距離を正確に判定可能な通信システムを提供する。
【解決手段】基地局1〜16は、マルチパス環境において予め実測された受信信号強度の各距離における分布を示す距離識別関数を参照して、距離の識別時に検出した受信信号強度に対応する基地局1〜16と無線装置21〜30との間の距離の確からしさ(=確率)を求め、最大の確からしさ(=確率)が得られる距離識別関数に対応する距離を基地局1〜16と無線装置21〜30との間の識別距離として検出する。
【解決手段】基地局1〜16は、マルチパス環境において予め実測された受信信号強度の各距離における分布を示す距離識別関数を参照して、距離の識別時に検出した受信信号強度に対応する基地局1〜16と無線装置21〜30との間の距離の確からしさ(=確率)を求め、最大の確からしさ(=確率)が得られる距離識別関数に対応する距離を基地局1〜16と無線装置21〜30との間の識別距離として検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信システムに関し、特に、各無線装置の位置を判定可能な通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ある1つの無線モジュールに近接する無線モジュールを検出可能な通信システムが知られている(特許文献1)。
【0003】
この通信システムにおいては、各無線モジュールは、他の無線モジュールから電波を受信したときの受信信号強度を検出し、その検出した受信信号強度に基づいて、自己と他の無線モジュールとの間の距離を演算する。
【0004】
そして、各無線モジュールは、その演算した距離が基準値(=3m)以下であれば、他の無線モジュールを近接無線モジュールとして検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−352518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の通信システムにおいては、各無線モジュールは、他の無線モジュールから電波を受信したときの受信信号強度に基づいて他の無線モジュールとの間の距離を演算しているため、他の無線モジュールとの間の距離を正確に演算するのが困難であるという問題がある。
【0007】
即ち、電波がマルチパスを経由して伝搬する場合、受信信号強度は、広い範囲に分布するため、2つの無線モジュール間の1つの距離に対して複数の受信信号強度が存在する場合があり、2つの無線モジュール間の距離を正確に演算するのが困難である。
【0008】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、マルチパス環境においても、受信信号強度に基づいて無線装置間の距離を正確に判定可能な通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によれば、通信システムは、複数の第1の無線装置と、複数の第2の無線装置とを備える。複数の第1の無線装置は、任意の建物の1つの部屋内において各々が無線通信によって電波を送信する。複数の第2の無線装置は、1つの部屋内において各々が複数の第1の無線装置から送信された電波を受信する。そして、複数の第2の無線装置の各々は、1つの部屋内において1つの第1の無線装置との間の距離が1つの距離に設定されたときに1つの第1の無線装置から送信された電波を受信したときの受信信号強度と受信信号強度の分布の度合いとの関係を示す距離識別関数を1つの第1の無線装置との間の複数の距離に対応付けて予め保持しており、複数の第1の無線装置のいずれかの第1の無線装置から電波を受信すると、電波を受信したときの受信信号強度を検出し、複数の距離に対応付けて保持された複数の距離識別関数を参照して、検出した受信信号強度に対応する分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第1の最大分布度合いを検出し、その検出した第1の最大分布度合いが得られた距離識別関数に対応する距離を自己と第1の無線装置との間の識別距離として検出する処理を複数の第1の無線装置について実行する。
【0010】
好ましくは、複数の第2の無線装置の各々は、一定時間内にいずれかの第1の無線装置からQ(Qは正の整数)個の電波を受信し、Q個の電波を受信したときのQ個の受信信号強度の平均を受信信号強度として検出する。
【0011】
好ましくは、複数の第2の無線装置の各々は、更に、複数の距離識別関数を予め決められた第1の規則に従って重み付けして合成した結果を第2の無線装置を識別する第1の識別関数として算出する。
【0012】
好ましくは、複数の第2の無線装置の各々は、第2の無線装置を識別する識別関数を定期的に算出し、H(Hは2以上の整数)個の連続するタイミングで算出したH個の識別関数の和を第1の識別関数として算出する。
【0013】
好ましくは、通信システムは、通信装置を更に備える。通信装置は、検出された受信信号強度、複数の識別距離、および複数の第1の識別関数を1つの部屋内に配置された複数の第2の無線装置から受信し、その受信した複数の第1の識別関数を予め決められた第2の規則に従って重み付けして合成した結果を建物内の部屋を識別する第2の識別関数として算出する処理を複数の部屋内に配置された第2の無線装置から受信した複数の第1の識別関数について実行し、算出した複数の第2の識別関数に基づいて、複数の部屋内に配置された第2の無線装置から受信した受信信号強度に対応する複数の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第2の最大分布度合いを検出し、その検出した第2の最大分布度合いが得られた第2の識別関数に対応する部屋を複数の第1の無線装置が滞在する部屋として判定し、その判定した部屋内に配置された複数の第2の無線装置から受信した受信信号強度、複数の識別距離および複数の第1の識別関数に基づいて、1つの第1の無線装置から送信された電波を複数の第2の無線装置によって受信したときの複数の受信信号強度に対応する複数の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第3の最大分布度合いを検出し、その検出した第3の最大分布度合いが得られた第1の識別関数を送信した第2の無線装置を1つの第1の無線装置が最も近い第2の無線装置として判定し、最も近い第2の無線装置から受信した識別距離に基づいて1つの第1の無線装置の位置を判定する処理を複数の第1の無線装置について実行する。
【0014】
好ましくは、通信装置は、更に、最も近い第2の無線装置に対する信頼度である第1の信頼度を演算する処理を複数の第1の無線装置の全てについて実行し、演算した第1の信頼度が大きいほど、大きさが大きくなる図形を用いて、演算した複数の信頼度を複数の第1の無線装置の位置とともに視覚情報として表示する。
【0015】
好ましくは、複数の第2の無線装置は、病院内の1つ病室内の複数のベッドに対応して1つの病室内に配置されている。複数の第1の無線装置は、病院内における医師および看護師に装着されている。
【0016】
好ましくは、通信装置は、第1の信頼度が第1のしきい値以上であるとき、最も近い第2の無線装置に対応するベッドの患者を看護記録の対象とする患者として選択する。
【0017】
好ましくは、通信装置は、第1の信頼度が第1のしきい値よりも低いとき、最も近い第2の無線装置が配置された部屋の全患者から看護記録の対象とする患者を選択する。
【0018】
好ましくは、通信装置は、更に、複数の第1の無線装置が滞在する部屋に対する信頼度である第2の信頼度を演算する処理を複数の第1の無線装置の全てについて実行し、第1の信頼度が第1のしきい値よりも低く、かつ、第2の信頼度が第2のしきい値よりも低いとき、最も近い第2の無線装置が配置された部屋および部屋に隣接する部屋の両方の部屋の全患者から看護記録の対象とする患者を選択する。
【0019】
好ましくは、通信装置は、更に、判定した複数の第1の無線装置の位置を病院内に設置された情報通信システムへ送信する。
【発明の効果】
【0020】
この発明よる通信システムにおいては、第2の無線装置は、マルチパス環境において予め実測された受信信号強度の各距離における分布を示す距離識別関数を参照して、距離の識別時に検出した受信信号強度に対応する第2の無線装置と第1の無線装置との間の距離の確からしさ(=確率)を求め、最大の確からしさ(=確率)が得られる距離識別関数に対応する距離を第2の無線装置と第1の無線装置との間の識別距離として検出する。
【0021】
その結果、識別距離の識別時に検出された受信信号強度と、予め実測された受信信号強度の分布の度合いが最大になる受信信号強度とのずれの程度が大きくなるに従って、距離識別関数に対応する距離に対する確からしさは、小さくなる。一方、識別距離の識別時に検出された受信信号強度と、予め実測された受信信号強度の分布の度合いが最大になる受信信号強度とのずれの程度が小さくなるに従って、距離識別関数に対応する距離に対する確からしさは、大きくなる。
【0022】
従って、マルチパス環境下において検出された受信信号強度を用いて第2の無線装置と第1の無線装置との間の距離を検出しても、受信信号強度の揺らぎによる影響を除去して第2の無線装置と第1の無線装置との間の距離を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の実施の形態による通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す基地局の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】図1に示すサーバの構成を示す概略ブロック図である。
【図4】距離識別関数を求める方法を説明するための図である。
【図5】受信信号強度の実測結果を示す図である。
【図6】ガウス分布の概念図である。
【図7】各種の分布の概念図である。
【図8】応答信号(=FHSパケット)の受信タイミングを示す図である。
【図9】各基地局と各無線装置との距離を識別する方法を説明するための図である。
【図10】基地局識別関数を求めるときの重みの例を示す図である。
【図11】基地局識別関数の概念図である。
【図12】受信バッファの構成図である。
【図13】図12に示す受信バッファにおけるデータの記憶形態を示す図である。
【図14】基地局における動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】図14に示すステップS6の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】サーバの受信処理を説明するためのフローチャートである。
【図17】サーバの位置検出処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】図17に示すステップS28の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【図19】基地局識別関数を求めるときの重みの他の例を示す図である。
【図20】基地局識別関数を求めるときの重みの更に他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0025】
図1は、この発明の実施の形態による通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による通信システム100は、基地局1〜16と、無線装置21〜30と、サーバ40とを備える。通信システム100は、例えば、病院等の医療機関に設置される。
【0026】
基地局1〜4は、病院の部屋R1内に設置される。基地局5〜8は、病院の部屋R2内に設置される。基地局9〜12は、病院の部屋R3内に設置される。基地局13〜16は、病院の部屋R4内に設置される。
【0027】
より具体的には、基地局1〜4は、それぞれ、部屋R1内に設置されたベッドBD1〜BD4に近接して設置される。また、基地局5〜8は、それぞれ、部屋R2内に設置されたベッドBD5〜BD8に近接して設置される。更に、基地局9〜12は、それぞれ、部屋R3内に設置されたベッドBD9〜BD12に近接して設置される。更に、基地局13〜16は、それぞれ、部屋R4内に設置されたベッドBD13〜BD16に近接して設置される。
【0028】
病院の医師、看護師および技師(例えば、レントゲン写真を撮る技師)等の医療機関で働く人は、無線装置21〜30を持ち歩く。従って、無線装置21〜30は、医師、看護師および技師が病院内を移動することに伴って病院内を移動する。図1に示す場合、無線装置21〜23は、部屋R1内に位置し、無線装置24〜26は、部屋R2内に位置し、無線装置27,28は、部屋R3内に位置し、無線装置29,30は、部屋R4内に位置する。
【0029】
サーバ40は、ナースステーションNSに設置される。そして、サーバ40は、基地局1〜16と有線ケーブル(図示せず)によって接続されている。
【0030】
なお、部屋R1,R2は、それぞれ、廊下CRD1を挟んで部屋R3,R4の向かい側に配置されている。また、ナースステーションNSは、廊下CRD2を挟んで部屋R1の向かい側に配置されている。
【0031】
また、部屋R1は、壁WL1を挟んで部屋R2に隣接しており、部屋R3は、壁WL2を挟んで部屋R4に隣接している。
【0032】
基地局1〜16は、Bluetooth規格によって無線装置21〜30と相互に無線通信を行なう。
【0033】
より具体的には、基地局1〜16は、Bluetooth規格の問い合わせ(Inquiry)状態を利用して問い合わせ信号を周囲へ送信(ブロードキャスト)するとともに、問い合わせ信号に対する応答信号を無線装置21〜30から受信する。そして、基地局1〜16は、その受信した応答信号の受信信号強度を検出し、その検出した受信信号強度に基づいて、後述する方法によって、無線装置21〜30との間の距離を識別し、その識別した識別距離を検出する。
【0034】
また、基地局1〜16は、各無線装置21〜30に最も近い基地局(基地局1〜16のいずれか)を識別する識別関数を後述する方法によって算出する。
【0035】
そして、基地局1〜16は、無線装置21〜30の識別子、無線装置21〜30から受信した応答信号の受信信号強度、無線装置21〜30との識別距離、および識別関数を有線ケーブル(図示せず)を介してサーバ40へ送信する。
【0036】
無線装置21〜30は、Bluetooth規格に従って基地局1〜16との間で無線通信を行なう。
【0037】
より具体的には、無線装置21〜30は、Bluetooth規格の問い合わせ信号を基地局(基地局1〜16のいずれか)から受信すると、その受信した問い合わせ信号に対する応答信号を生成し、その生成した応答信号を基地局(基地局1〜16のいずれか)へ送信する。
【0038】
サーバ40は、無線装置21〜30の識別子、無線装置21〜30から受信した応答信号の受信信号強度、基地局1〜16と無線装置21〜30との間の識別距離、および識別関数を有線ケーブル(図示せず)を介して基地局1〜16の各々から受信する。
【0039】
そして、サーバ40は、その受信した無線装置21〜30の識別子、無線装置21〜30から受信した応答信号の受信信号強度、基地局1〜16と無線装置21〜30との間の識別距離、および識別関数に基づいて、後述する方法によって、各無線装置21〜30がどの部屋のどの位置に存在するかを判定する。
【0040】
図2は、図1に示す基地局1の構成を示す概略ブロック図である。図2を参照して、基地局1は、無線モジュール110と、組込CPU120とを含む。
【0041】
無線モジュール110は、プロトコル管理ユニット111と、送信処理ユニット112と、無線ユニット113と、受信処理ユニット114とを含む。
【0042】
プロトコル管理ユニット111は、組込CPU120のマイクロコンピュータ121からの制御に従って、問い合わせ発信指令(Inquiry発信指令)および問い合わせ応答指令(Inquiry Scan指令)を生成して送信処理ユニット112へ出力する。
【0043】
また、プロトコル管理ユニット111は、後述するFHSパケットとFHSパケットの受信信号強度RSSIとを受信処理ユニット114から受ける。そして、プロトコル管理ユニット111は、その受けたFHSパケットから、FHSパケットを送信した無線装置(無線装置21〜30のいずれか)のアドレスを検出し、その検出したアドレスと、受信処理ユニット114から受けた受信信号強度RSSIとをマイクロコンピュータ121へ送信する。
【0044】
送信処理ユニット112は、プロトコル管理ユニット111からの問い合わせ発信指令に応じて、基地局1の周囲に無線装置が存在するか否かを問い合わせるための問い合わせ信号(=IQパケット)を定期的に生成し、その定期的に生成したIQパケットを無線ユニット113へ出力する。
【0045】
また、送信処理ユニット112は、プロトコル管理ユニット111からの問い合わせ応答指令に応じて、無線装置から受信した問い合わせ信号(=IQパケット)に対応する応答信号(=FHSパケット)を生成して無線ユニット113へ出力する。
【0046】
無線ユニット113は、スペクトル拡散によりパケットを送受信する。より具体的には、無線ユニット113は、1600回/秒の速さの周波数ホッピング方式を採用し、情報変調信号(1MHz)を2402〜2481.5MHzの帯域内で79チャネル(1MHz/チャネル)にホッピングさせ、79MHz帯域に拡散変調する。そして、無線ユニット113は、その拡散変調したパケットを送受信する。
【0047】
無線ユニット113は、送信処理ユニット112からIQパケットを受けると、その受けたIQパケットを問い合わせホッピングシーケンスに従って周波数ホッピングして送信する。より具体的には、無線ユニット113は、IQパケットを2402〜2481.5MHzの帯域内で32チャネルまたは16チャネルに周波数ホッピングして送信する。
【0048】
また、無線ユニット113は、送信処理ユニット112からFHSパケットを受けると、その受けたFHSパケットを応答シーケンスに従って周波数ホッピングして送信する。より具体的には、無線ユニット113は、FHSパケットを2402〜2481.5MHzの帯域内で32チャネルまたは16チャネルに周波数ホッピングして送信する。
【0049】
更に、無線ユニット113は、無線装置からIQパケットを受信し、その受信したIQパケットを受信処理ユニット114へ出力する。
【0050】
受信処理ユニット114は、無線ユニット113からIQパケットを受けると、その受けたIQパケットの受信信号強度RSSIを検出する。そして、受信処理ユニット114は、IQパケットをスペクトル逆拡散し、そのスペクトル逆拡散後のIQパケットと、検出した受信信号強度RSSIとをプロトコル管理ユニット111へ出力する。
【0051】
組込CPU120は、マイクロコンピュータ121と、記憶装置122とを含む。マイクロコンピュータ121は、問い合わせ発信の開始または中断を行なうように無線モジュール110のプロトコル管理ユニット111を制御するとともに、問い合わせ応答の開始または中断を行なうようにプロトコル管理ユニット111を制御する。
【0052】
また、マイクロコンピュータ121は、プロトコル管理ユニット111からアドレスおよび受信信号強度RSSIを受信する。そして、マイクロコンピュータ121は、その受信したアドレスおよび受信信号強度RSSIを相互に対応付けて記憶装置122に格納する。
【0053】
この場合、マイクロコンピュータ121は、プロトコル管理ユニット111からアドレスおよび受信信号強度RSSIを受信すれば、その受信したアドレスが既に受信したアドレスと同じであっても、その受信したアドレスおよび受信信号強度RSSIを記憶装置122へ順次記憶する。
【0054】
更に、マイクロコンピュータ121は、基地局1と1つの無線装置(無線装置21〜30のいずれか)との間の距離が既知の距離に設定されたときに、1つの無線装置から応答信号(=FHSパケット)を受信したときの受信信号強度RSSIと受信信号強度RSSIの分布の度合いとの関係を示す距離識別関数を記憶装置122から読み出すとともに、各無線装置21〜30のアドレスに対応付けられた受信信号強度RSSIを記憶装置122から読み出す。
【0055】
そして、マイクロコンピュータ121は、その読み出した距離識別関数および受信信号強度RSSIに基づいて、後述する方法によって、基地局1と無線装置(無線装置21〜30のいずれか)との間の距離を識別し、その識別した識別距離を検出する。
【0056】
更に、マイクロコンピュータ121は、基地局1と無線装置(無線装置21〜30のいずれか)との間の各距離に対応付けられた距離識別関数に基づいて、後述する方法によって、無線装置(無線装置21〜30のいずれか)が基地局1に近い度合いを識別する基地局識別関数を演算する。
【0057】
そして、マイクロコンピュータ121は、無線装置(無線装置21〜30のいずれか)のアドレス、無線装置(無線装置21〜30のいずれか)から応答信号(FHSパケット)を受信したときの受信信号強度RSSI、基地局1と無線装置(無線装置21〜30のいずれか)との間の識別距離および基地局識別関数を有線ケーブル(図示せず)を介してサーバ40へ送信する。
【0058】
記憶装置122は、各無線装置21〜30のアドレスと、受信信号強度RSSIとを対応付けて記憶する。
【0059】
また、記憶装置122は、基地局1と無線装置(無線装置21〜30のいずれか)との間の各距離に対応付けて距離識別関数を記憶する。
【0060】
なお、図1に示す基地局2〜16および無線装置21〜30の各々は、図2に示す基地局1と同じ構成からなる。
【0061】
図3は、図1に示すサーバ40の構成を示す概略ブロック図である。図3を参照して、サーバ40は、受信ユニット41と、記憶装置42と、処理ユニット43と、表示ユニット44とを含む。
【0062】
受信ユニット41は、無線装置のアドレス、受信信号強度、識別距離および基地局識別関数からなるデータと、各基地局1〜16のアドレスとを含むパケットPKT=[Addm/無線装置のアドレス/受信信号強度/識別距離/基地局識別関数](m=1〜16)を有線ケーブル(図示せず)を介して受信する。
【0063】
そして、受信ユニット41は、パケットPKTからアドレスAddmと、無線装置のアドレス、受信信号強度、識別距離および基地局識別関数とを取り出し、その取り出したアドレスAddm、無線装置のアドレス、受信信号強度、識別距離および基地局識別関数を相互に対応付けて記憶装置42に記憶する。
【0064】
記憶装置42は、アドレスAddm、無線装置のアドレス、受信信号強度、識別距離および基地局識別関数を相互に対応付けて記憶する。
【0065】
また、記憶装置42は、病院の部屋R1と基地局1〜4のアドレスAdd1〜Add4とを相互に対応付けて記憶し、病院の部屋R2と基地局5〜8のアドレスAdd5〜Add8とを相互に対応付けて記憶し、病院の部屋R3と基地局9〜12のアドレスAdd9〜Add12とを相互に対応付けて記憶し、病院の部屋R4と基地局13〜16のアドレスAdd13〜Add16とを相互に対応付けて記憶する。
【0066】
更に、記憶装置42は、処理ユニット43による処理結果を記憶する。
【0067】
処理ユニット43は、アドレスAddm、無線装置のアドレス、受信信号強度、識別距離および基地局識別関数を記憶装置42から読み出し、その読み出したアドレスAddm、無線装置のアドレス、受信信号強度、識別距離および基地局識別関数に基づいて、後述する方法によって、各無線装置21〜30が病院のどの部屋のどの位置に存在するかを定期的に判定する。そして、処理ユニット43は、その判定結果を表示ユニット44へ出力する。
【0068】
表示ユニット44は、処理ユニット43による処理結果を表示する。
【0069】
図4は、距離識別関数を求める方法を説明するための図である。図4を参照して、基地局1は、例えば、部屋R1内に設置される。そして、1つの無線装置(無線装置21〜30のいずれか)が位置P11に配置される。位置P11は、基地局1から1mだけ離れた位置である。
【0070】
位置P11に設置された無線装置は、無指向性アンテナを用いて基地局1へ複数のFHSパケットを順次送信する。そして、基地局1は、複数のFHSパケットを順次受信したときの複数の受信信号強度RSSIを順次検出する。その後、基地局1は、その検出した複数の受信信号強度RSSIの分布をガウス分布として検出する。
【0071】
引き続いて、無線装置は、位置P21に設置される。位置P21は、基地局1から3mだけ離れた位置である。
【0072】
位置P21に設置された無線装置は、同様にして、無指向性アンテナを用いて基地局1へ複数のFHSパケットを順次送信する。そして、基地局1は、複数のFHSパケットを順次受信したときの複数の受信信号強度RSSIを順次検出する。その後、基地局1は、その検出した複数の受信信号強度RSSIの分布をガウス分布として検出する。
【0073】
引き続いて、無線装置は、位置P31に設置される。位置P31は、基地局1から6mだけ離れた位置である。位置P31に設置された無線装置は、同様にして、無指向性アンテナを用いて基地局1へ複数のFHSパケットを順次送信する。そして、基地局1は、複数のFHSパケットを順次受信したときの複数の受信信号強度RSSIを順次検出する。その後、基地局1は、その検出した複数の受信信号強度RSSIの分布をガウス分布として検出する。
【0074】
このように、基地局1の正面方向において基地局1から1m、3mおよび6mだけ離れた位置P11,P21,P31に無線装置を設置し、無線装置から基地局1へ複数のFHSパケットを送信したときのFHSパケットの複数の受信信号強度RSSIを検出し、その検出した複数の受信信号強度RSSIの分布を検出する。
【0075】
図5は、受信信号強度の実測結果を示す図である。また、図6は、ガウス分布の概念図である。図5を参照して、基地局1と無線装置との距離が1mである場合、受信信号強度RSSIは、約−70dBm〜−57dBmの範囲に分布する。そして、実測された受信信号強度RSSIの個数は、227個である。
【0076】
また、基地局1と無線装置との距離が3mである場合、受信信号強度RSSIは、約−75dBm〜−62dBmの範囲に分布する。そして、実測された受信信号強度RSSIの個数は、219個である。
【0077】
更に、基地局1と無線装置との距離が6mである場合、受信信号強度RSSIは、約−90dBm〜−65dBmの範囲に分布する。そして、実測された受信信号強度RSSIの個数は、246個である。
【0078】
その結果、基地局1と無線装置との距離が1mである場合、受信信号強度RSSIの分布DB1が得られ、基地局1と無線装置との距離が3mである場合、受信信号強度RSSIの分布DB2が得られ、基地局1と無線装置との距離が6mである場合、受信信号強度RSSIの分布DB3が得られる。
【0079】
そして、各分布DB1〜DB3において、平均μおよび分散σ2を演算し、基地局1と無線装置との距離1m,3m,6mに対してガウス分布を演算する。
【0080】
その結果、ガウス分布GD1〜GD3がそれぞれ分布DB1〜DB3から得られる。ガウス分布GD1〜GD3は、それぞれ、平均μ1〜μ3を有する。
【0081】
そして、ガウス分布GD1は、各受信信号強度RSSIに対応する基地局1と無線装置との距離が1mである確からしさ(=確率)を表す。同様に、ガウス分布GD2は、各受信信号強度RSSIに対応する基地局1と無線装置との距離が3mである確からしさ(=確率)を表し、ガウス分布GD3は、各受信信号強度RSSIに対応する基地局1と無線装置との距離が6mである確からしさ(=確率)を表す。
【0082】
従って、ガウス分布GD1〜GD3は、基地局1と無線装置との距離を識別する距離識別関数である。
【0083】
上述した方法によって、ガウス分布GD1〜GD3が予め演算され、その演算されたガウス分布GD1〜GD3からなる距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)は、それぞれ、1m,3m,6mの距離に対応付けられて基地局1の記憶装置122に予め格納されている。ここで、xは、確率変数である。
【0084】
距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)は、それぞれ、式(1)〜(3)によって表される。
【0085】
【数1】
【0086】
【数2】
【0087】
【数3】
【0088】
再び、図4を参照して、上記においては、基地局1の正面方向における位置P11,P21,P31に無線装置を設置して基地局1における受信信号強度RSSIの分布を検出すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、位置P11〜P15,P21〜P25,P31〜P35に無線装置を設置して基地局1における受信信号強度RSSIの分布を検出し、その検出した受信信号強度RSSIの分布に基づいて距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)を上述した方法によって算出するようにしてもよい。
【0089】
図7は、各種の分布の概念図である。また、上記においては、受信信号強度RSSIの分布をガウス分布として検出すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、受信信号強度RSSIの分布を三角分布(図7の(a)参照)、一様分布(図7の(b)参照)、多項分布(図7の(c)参照)および多峰分布(図7の(d)参照)のいずれかとして検出してもよく、一般的には、確率分布としての条件を満たす関数f(x)であれば、どのような分布を用いてもよい。ここで、確率分布としての条件は、f(x)≧0であり、かつ、f(x)をx=−∞〜+∞の範囲で積分したとき、その積分値が“1”になることである。
【0090】
なお、基地局1を部屋R1の1つの壁の略中央部に設置して各距離に対して距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)を演算すると説明したが、実際には、基地局1を図1に示す部屋R1内における基地局1の設置位置に設置して各距離に対して距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)を演算する。基地局2〜16についても同様である。
【0091】
従って、基地局1〜16の記憶装置122に記憶された距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)は、相互に異なる。
【0092】
各基地局1〜16と各無線装置21〜30との距離を識別する方法について説明する。図8は、応答信号(=FHSパケット)の受信タイミングを示す図である。なお、図8においては、基地局m(m=1〜16)の期間t(m)に無線装置s(s=21〜30)からq(qは正の整数)番目に受信したFHSパケットの受信信号強度RSSIをxt(m),q(s)とする。
【0093】
また、Inquery Intervalは、例えば、5120msに設定され、Inquery Lengthは、例えば、2560msに設定される。
【0094】
図8を参照して、基地局1は、期間1(1)のInquery Lengthにおいて、1番目の問い合わせ信号(IQパケット)をブロードキャストする。そして、基地局1は、無線装置21から1番目のFHSパケットを受信し、1番目の受信信号強度x1(1),1(21)を検出するとともに、無線装置22から1番目のFHSパケットを受信し、1番目の受信信号強度x1(1),1(22)を検出する。
【0095】
その後、基地局1は、期間1(1)のInquery Lengthにおいて、2番目の問い合わせ信号(IQパケット)をブロードキャストする。そして、基地局1は、無線装置21から2番目のFHSパケットを受信し、2番目の受信信号強度x1(1),2(21)を検出し、無線装置23から1番目のFHSパケットを受信し、1番目の受信信号強度x1(1),1(23)を検出し、無線装置22から2番目のFHSパケットを受信し、2番目の受信信号強度x1(1),2(22)を検出する。
【0096】
更に、その後、基地局1は、期間2(1)のInquery Lengthにおいて、同様にして、無線装置21〜23から受信信号強度x2(1),1(21),x2(1),1(22),x2(1),2(21),x2(1),1(23),x2(1),2(22)を検出する(図8の(a)参照)。
【0097】
また、基地局2も、基地局1と同様にして、期間1(2)のInquery Lengthにおいて、受信信号強度x1(2),1(21),x1(2),1(22),x1(2),2(21),x1(2),1(23),x1(2),2(22)を検出し、期間2(2)のInquery Lengthにおいて、受信信号強度x2(2),1(21),x2(2),1(22),x2(2),2(21),x2(2),1(23),x2(2),2(22)を検出する(図8の(b)参照)。
【0098】
そうすると、基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間1(1)のInquery Lengthにおいて、受信信号強度x1(1),1(21),x1(1),1(22),x1(1),2(21),x1(1),1(23),x1(1),2(22)を期間1(1)に対応付けて記憶装置122に記憶する。また、基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間2(1)のInquery Lengthにおいて、受信信号強度x1(2),1(21),x1(2),1(22),x1(2),2(21),x1(2),1(23),x1(2),2(22)を期間2(1)に対応付けて記憶装置122に記憶する。
【0099】
更に、基地局2のマイクロコンピュータ121は、期間1(2)のInquery Lengthにおいて、受信信号強度x1(2),1(21),x1(2),1(22),x1(2),2(21),x1(2),1(23),x1(2),2(22)を期間1(2)に対応付けて記憶装置122に記憶する。更に、基地局2のマイクロコンピュータ121は、期間2(2)のInquery Lengthにおいて、受信信号強度x2(2),1(21),x2(2),1(22),x2(2),2(21),x2(2),1(23),x2(2),2(22)を期間2(2)に対応付けて記憶装置122に記憶する。
【0100】
なお、基地局1における期間1(1),2(1),・・・は、基地局1における期間1(2),2(2),・・・と非同期である。
【0101】
図9は、各基地局1〜16と各無線装置21〜30との距離を識別する方法を説明するための図である。
【0102】
基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間1(1)のInquery Lengthの後の期間において、無線装置21との間の距離を識別する場合、1m:距離識別関数P1(x|μ,σ2)、3m:距離識別関数P2(x|μ,σ2)、6m:P3(x|μ,σ2)および1(1):x1(1),1(21),x1(1),2(21)を記憶装置122から読み出す。
【0103】
基地局mが1つの期間t(m)において無線装置sから受信したFHSパケットに基づいて検出したQ(s)個の受信信号強度xt(m),1(s),xt(m),2(s),・・・,xt(m),Q(s),の平均値(s)xt(m)は、次式によって表される。
【0104】
【数4】
【0105】
基地局1のマイクロコンピュータ121は、受信信号強度x1(1),1(21),x1(1),2(21)を読み出すと、受信信号強度x1(1),1(21),x1(1),2(21)の平均値(21)x1(1)を式(4)によって演算する。
【0106】
そうすると、基地局1のマイクロコンピュータ121は、平均値(21)x1(1)を距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)の確率変数として用いる。そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、距離識別関数P1(x|μ,σ2)(=GD1)を参照して、平均値(21)x1(1)に対応する確率値P1_(21)を算出する。より具体的には、基地局1のマイクロコンピュータ121は、平均値(21)x1(1)を式(1)のxに代入して確率値P1_(21)を算出する。
【0107】
また、基地局1のマイクロコンピュータ121は、距離識別関数P2(x|μ,σ2)(=GD2)を参照して、同じ方法によって、平均値(21)x1(1)に対応する確率値P2_(21)を算出する。
【0108】
更に、基地局1のマイクロコンピュータ121は、距離識別関数P3(x|μ,σ2)(=GD3)を参照して、同じ方法によって、平均値(21)x1(1)に対応する確率値P3_(21)=0を算出する。
【0109】
そして、確率値P1_(21)は、確率値P2_(21),P3_(21)よりも大きいので、基地局1のマイクロコンピュータ121は、確率値P1_(21)〜P3_(21)のうち、最大の確率値P1_(21)を検出する。
【0110】
そうすると、基地局1のマイクロコンピュータ121は、最大の確率値P1_(21)が得られた距離識別関数P1(x|μ,σ2)に対応する距離(=1m)を基地局1と無線装置21との間の距離として識別する。そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、1mの距離を基地局1と無線装置21との間の識別距離として検出する。
【0111】
なお、確率値P1_(21)〜P3_(21)の各々は、受信信号強度(21)x1(1)の分布の度合いを表すので、基地局1のマイクロコンピュータ121が上述した方法によって識別距離を検出することは、基地局1のマイクロコンピュータ121が複数の距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)を参照して、検出された受信信号強度(21)x1(1)に対応する受信信号強度の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第1の最大分布度合い(=P1_(21))を検出し、その検出した第1の最大分布度合い(=P1_(21))が得られた距離識別関数P1(x|μ,σ2)に対応する距離(=1m)を基地局1と無線装置21との間の識別距離として検出することに相当する。
【0112】
基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間1(1)のInquery Lengthの後の期間において、1(1):受信信号強度x1(1),1(22),x1(1),2(22),x1(1),1(23)を記憶手段122から読み出し、その読み出した受信信号強度x1(1),1(22),x1(1),2(22),x1(1),1(23)に基づいて、上述した方法によって、基地局1と無線装置22,23との間の識別距離を検出する。
【0113】
この場合、無線装置23から受信したFHSパケットの受信信号強度は、1個の受信信号強度x1(1),1(23)であるので、基地局1のマイクロコンピュータ121は、この1個の受信信号強度x1(1),1(23)を式(1)〜(3)のxに代入して確率値P1_(23)〜P3_(23)を演算する。
【0114】
更に、基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間2(1)のInquery Lengthの後の期間においても、同様にして、基地局1と無線装置21〜23との識別距離を検出する。
【0115】
更に、基地局2のマイクロコンピュータ121は、期間1(2),2(2)のInquery Lengthの後の期間において、基地局1のマイクロコンピュータ121と同じ方法によって、基地局2と無線装置21〜23との識別距離を検出する。
【0116】
更に、基地局3,4の各々において、マイクロコンピュータ121は、基地局1のマイクロコンピュータ121と同じ方法によって、基地局3,4と無線装置21〜23との識別距離を定期的に検出する。
【0117】
更に、基地局5〜8のマイクロコンピュータ121は、基地局1のマイクロコンピュータ121と同じ方法によって、基地局5〜8と無線装置24〜26との識別距離を定期的に検出する。
【0118】
更に、基地局9〜12のマイクロコンピュータ121は、基地局1のマイクロコンピュータ121と同じ方法によって、基地局9〜12と無線装置27,28との識別距離を定期的に検出する。
【0119】
更に、基地局13〜16のマイクロコンピュータ121は、基地局1のマイクロコンピュータ121と同じ方法によって、基地局13〜16と無線装置29,30との識別距離を定期的に検出する。
【0120】
即ち、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、次式によって識別距離D(x,λ)を演算する。
【0121】
【数5】
【0122】
このように、この発明の実施の形態においては、各基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、マルチパス環境において予め実測されたFHSパケットの受信信号強度RSSIの各距離における分布をガウス分布として検出し、その検出したガウス分布からなる距離識別関数を参照して、距離の識別時に検出した受信信号強度に対応する基地局と無線装置との間の距離の確からしさ(=確率)を求め、最大の確からしさ(=確率)が得られる距離識別関数に対応する距離を基地局と無線装置との間の識別距離として検出する。
【0123】
その結果、識別距離の識別時に検出された受信信号強度と、予め実測された受信信号強度の分布の度合いが最大になる受信信号強度とのずれの程度が大きくなるに従って、ガウス分布(=距離識別関数)に対応する距離に対する確からしさは、小さくなる。一方、識別距離の識別時に検出された受信信号強度と、予め実測された受信信号強度の分布の度合いが最大になる受信信号強度とのずれの程度が小さくなるに従って、ガウス分布(=距離識別関数)に対応する距離に対する確からしさは、大きくなる。
【0124】
従って、マルチパス環境下において検出された受信信号強度RSSIを用いて各基地局1〜16と各無線装置21〜30との間の距離を検出しても、受信信号強度の揺らぎによる影響を除去して基地局と無線装置との間の距離を正確に検出できる。
【0125】
各基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、無線装置21〜30との間の識別距離を検出すると、次の方法によって、基地局1〜16を識別する基地局識別関数を演算する。
【0126】
図10は、基地局識別関数を求めるときの重みの例を示す図である。また、図11は、基地局識別関数の概念図である。
【0127】
図10を参照して、重みwiは、例えば、ガウス分布GD3からガウス分布GD1に向かうに従って直線的に大きくなるように決定される。即ち、重みwiは、基地局と無線装置との間の距離が6m、3mおよび1mと近づくに従って直線的に大きくなる。
【0128】
重みwiが図10に示すように決定されるのは、次の理由による。マルチパスの激しい環境下では、特に、近距離においても、受信信号強度RSSIは、複数回の反射で小さくなる。その場合、受信信号強度RSSIの小さい領域における重みを小さくすることによって、マルチパス成分によって生じる距離の識別の誤差を小さくできるからである。
【0129】
そして、基地局識別関数P(x|λ)は、次式によって演算される。
【0130】
【数6】
【0131】
なお、式(6)において、λは、予め異なる距離毎に推定しておいた受信信号強度RSSIのガウス分布のパラメータ(平均μiおよび分散σi2)と重みwiの集合{μi,σi2,wi}である。i=1〜Nであり、Nは、距離識別関数の個数である。
【0132】
図10に示す重みwiを用いて基地局識別関数P(x|λ)を演算すると、図11に示すようになる。
【0133】
各基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、記憶装置122から読み出した距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)を式(6)に代入して期間t(m)において無線装置sに対する基地局識別関数P((s)xt(m)|λ)を演算する。
【0134】
その後、各基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、期間t(m)−1〜期間t(m)−H+1(Hは正の整数)において演算した基地局識別関数P((s)xt(m)−1|λ)〜P((s)xt(m)−H+1|λ)を記憶装置122から読み出し、基地局識別関数P((s)xt(m)|λ)〜P((s)xt(m)−H+1|λ)を次式に代入して基地局識別関数/P((s)xt(m)|λ)を演算する。
【0135】
【数7】
【0136】
なお、式(7)におけるHは、無線装置21〜30の各部屋R1〜R4における滞在を確認したい時間間隔を考慮して決定される。そして、Hは、例えば、無線装置21〜30の各部屋R1〜R4における滞在を確認したい時間間隔を30sとした場合、30000÷5120≒6に設定される。
【0137】
基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、識別距離D((s)xt(m),λ)を検出し、基地局識別関数/P((s)xt(m)|λ)を演算すると、期間t(m)、無線装置sのアドレスAdds、受信信号強度(s)xt(m)、識別距離D((s)xt(m),λ)および基地局識別関数/P((s)xt(m)|λ)mからなるデータと、基地局mのアドレスAddmとを含むパケットPKT=[Addm|t(m)|Adds|(s)xt(m)|D((s)xt(m),λ)|/P((s)xt(m)|λ)m]を生成する。そして、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、パケットPKT=[Addm|t(m)|Adds|(s)xt(m)|D((s)xt(m),λ)|/P((s)xt(m)|λ)m]を有線ケーブル(図示せず)を介してサーバ40へ送信する。
【0138】
図12は、受信バッファの構成図である。図12を参照して、受信バッファRBFは、記憶装置42に設けられ、受信バッファRBF1〜RBF4からなる。受信バッファRBF1は、部屋R1に属する基地局1〜4の受信バッファであり、受信バッファRBF2は、部屋R2に属する基地局5〜8の受信バッファであり、受信バッファRBF3は、部屋R3に属する基地局9〜12の受信バッファであり、受信バッファRBF4は、部屋R4に属する基地局13〜16の受信バッファである。
【0139】
受信バッファRBF1は、基地局1〜4から受信したデータを記憶し、受信バッファRBF2は、基地局5〜8から受信したデータを記憶し、受信バッファRBF3は、基地局9〜12から受信したデータを記憶し、受信バッファRBF4は、基地局13〜16から受信したデータを記憶する。
【0140】
図13は、図12に示す受信バッファにおけるデータの記憶形態を示す図である。図13を参照して、受信バッファRBF1は、データ(=t(1)|Adds|(s)xt(1)|D((s)xt(1),λ)|/P((s)xt(1)|λ)1)を基地局1のアドレスAdd1に対応付けて記憶し、データ(=t(2)|Adds|(s)xt(2)|D((s)xt(2),λ)|/P((s)xt(2)|λ)2)を基地局2のアドレスAdd2に対応付けて記憶し、データ(=t(3)|Adds|(s)xt(3)|D((s)xt(3),λ)|/P((s)xt(3)|λ)3)を基地局3のアドレスAdd3に対応付けて記憶し、データ(=t(4)|Adds|(s)xt(4)|D((s)xt(4),λ)|/P((s)xt(4)|λ)4)を基地局4のアドレスAdd4に対応付けて記憶する。
【0141】
受信バッファRBF2は、基地局5〜8から送信されたデータを受信バッファRBF1と同じ形態で記憶する。また、受信バッファRBF3は、基地局9〜12から送信されたデータを受信バッファRBF1と同じ形態で記憶する。更に、受信バッファRBF4は、基地局13〜16から送信されたデータを受信バッファRBF1と同じ形態で記憶する。
【0142】
サーバ40の受信ユニット41は、パケットPKT=[Add1|t(1)|Adds|(s)xt(1)|D((s)xt(1),λ)|/P((s)xt(1)|λ)1]を基地局1から受信し、その受信したパケットPKT=[Add1|t(1)|Adds|(s)xt(1)|D((s)xt(1),λ)|/P((s)xt(1)|λ)1]からAdd1|t(1)|Adds|(s)xt(1)|D((s)xt(1),λ)|/P((s)xt(1)|λ)1を検出する。そして、サーバ40の受信ユニット41は、アドレスAdd1にt(1)|Adds|(s)xt(1)|D((s)xt(1),λ)|/P((s)xt(1)|λ)1を対応付けて記憶装置42の受信バッファRBF1に格納する。
【0143】
サーバ40の受信ユニット41は、他の基地局2〜16からデータを受信し、その受信したデータを受信バッファRFB1〜RBF4のいずれかに格納する。
【0144】
サーバ40の処理ユニット43は、基地局1〜16と部屋R1〜R4との対応関係を記憶装置42から読み出し、基地局1〜4、基地局5〜8、基地局9〜12、および基地局13〜16がそれぞれ部屋R1〜R4内に設置されていることを検出する。
【0145】
各無線装置21〜30がどの部屋に滞在しているかを識別する確率を決定する部屋識別関数P(x|λ,v)は、次式によって決定される。
【0146】
【数8】
【0147】
なお、式(8)において、vmは、各基地局mに対する重みであり、nは、各部屋R1〜R4内に設置された基地局の個数である。
【0148】
ここで、重みvmは、次のように設定される。部屋の識別に大きなノイズを与える要因となる基地局に対する重みvmを下げる。例えば、廊下を介して電波が届く恐れのある廊下近くの基地局の重み、周辺から電波ノイズが発生する付近に設置された基地局の重み、および隣の部屋の影響が無視できない基地局の重みは、小さく設定され、それ以外の基地局の重みを大きく設定される。
【0149】
サーバ40の処理ユニット43は、部屋R1内に設置された基地局1〜4の基地局識別関数/P((s)xt(1)|λ)1〜/P((s)xt(4)|λ)を部屋R1に所属する基地局1〜4の受信バッファRBF1から読み出す。そして、サーバ40の処理ユニット43は、その読み出した基地局識別関数/P((s)xt(1)|λ)1〜/P((s)xt(4)|λ)を式(8)に代入して部屋識別関数P(x|λ,v)R1を演算する。
【0150】
また、サーバ40の処理ユニット43は、部屋R2内に設置された基地局5〜8の基地局識別関数/P((s)xt(5)|λ)1〜/P((s)xt(8)|λ)を部屋R2に所属する基地局5〜8の受信バッファRBF2から読み出す。そして、サーバ40の処理ユニット43は、その読み出した基地局識別関数/P((s)xt(5)|λ)1〜/P((s)xt(8)|λ)を式(8)に代入して部屋識別関数P(x|λ,v)R2を演算する。
【0151】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、部屋R3内に設置された基地局9〜12の基地局識別関数/P((s)xt(9)|λ)1〜/P((s)xt(12)|λ)を部屋R3に所属する基地局9〜12の受信バッファRBF3から読み出す。そして、サーバ40の処理ユニット43は、その読み出した基地局識別関数/P((s)xt(9)|λ)1〜/P((s)xt(12)|λ)を式(8)に代入して部屋識別関数P(x|λ,v)R3を演算する。
【0152】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、部屋R4内に設置された基地局13〜16の基地局識別関数/P((s)xt(13)|λ)1〜/P((s)xt(16)|λ)を部屋R4に所属する基地局13〜16の受信バッファRBF4から読み出す。そして、サーバ40の処理ユニット43は、その読み出した基地局識別関数/P((s)xt(13)|λ)1〜/P((s)xt(16)|λ)を式(8)に代入して部屋識別関数P(x|λ,v)R4を演算する。
【0153】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、部屋R1内に設置された基地局1〜4のアドレスAdd1〜Add4に対応付けられたデータDATA1〜4中に存在する無線装置21〜23のデータ(受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4),(22)xt(1)〜(22)xt(4),(23)xt(1)〜(23)xt(4))を検出する。
【0154】
そうすると、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)を部屋識別関数P(x|λ,v)R1に代入して部屋識別確率P(x|λ,v)R1_(21)を演算する。
【0155】
また、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)を部屋識別関数P(x|λ,v)R2に代入して部屋識別確率P(x|λ,v)R2_(21)を演算する。
【0156】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)を部屋識別関数P(x|λ,v)R3に代入して部屋識別確率P(x|λ,v)R3_(21)を演算する。
【0157】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)を部屋識別関数P(x|λ,v)R4に代入して部屋識別確率P(x|λ,v)R4_(21)を演算する。
【0158】
そうすると、サーバ40の処理ユニット43は、部屋識別確率P(x|λ,v)R1_(21)〜P(x|λ,v)R4_(21)から最大の部屋識別確率P(x|λ,v)R1_(21)を検出する。そして、サーバ40の処理ユニット43は、最大の部屋識別確率P(x|λ,v)R1_(21)が部屋R1における滞在確率を示す部屋識別関数P(x|λ,v)R1から得られたので、無線装置21が部屋R1に存在することを検出する。
【0159】
なお、サーバ40の処理ユニット43が複数の部屋識別確率P(x|λ,v)R1_(21)〜P(x|λ,v)R4_(21)から最大の部屋識別確率P(x|λ,v)R1_(21)を検出することは、サーバ40が基地局1〜16から受信した受信信号強度に対応する複数の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第2の最大分布度合いを検出することに相当する。
【0160】
1つの受信信号強度(s)xt(m)を複数の部屋識別関数P(x|λ,v)R1〜P(x|λ,v)R4に代入して演算した複数の確率は、1つの受信信号強度(s)xt(m)に対応する複数の部屋識別関数P(x|λ,v)R1〜P(x|λ,v)R4における受信信号強度(s)xt(m)の複数の分布の度合いであるからである。
【0161】
また、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度(22)xt(1)〜(22)xt(4)および部屋識別関数P(x|λ,v)R1〜P(x|λ,v)R4に基づいて、上述した方法によって、無線装置22が部屋R1に存在することを検出する。
【0162】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度(23)xt(1)〜(23)xt(4)および部屋識別関数P(x|λ,v)R1〜P(x|λ,v)R4に基づいて、上述した方法によって、無線装置23が部屋R1に存在することを検出する。
【0163】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、基地局5〜8が部屋R2内に存在することを検出し、基地局9〜12が部屋R3内に存在することを検出し、基地局13〜16が部屋R4内に存在することを検出する。
【0164】
サーバ40の処理ユニット43は、基地局1〜4が部屋R1内に存在することを検出すると、部屋R1内に設置された基地局1〜4に対応付けられたデータDATA1〜4=[Add1:t(1)|Adds|(s)xt(1)|D((s)xt(1),λ)|/P((s)xt(1)|λ)1,Add2:t(2)|Adds|(s)xt(2)|D((s)xt(2),λ)|/P((s)xt(2)|λ)2,Add3:t(3)|Adds|(s)xt(3)|D((s)xt(3),λ)|/P((s)xt(3)|λ)3,Add4:t(4)|Adds|(s)xt(4)|D((s)xt(4),λ)|/P((s)xt(4)|λ)4]を受信バッファRBF1から読み出す。
【0165】
そして、サーバ40の処理ユニット41は、その読み出したデータDATA1〜4中に無線装置21〜23のデータ(受信信号強度)が存在するか否かを判定する。
【0166】
無線装置21のデータ(受信信号強度)がデータDATA1〜4中に存在する場合、サーバ40の処理ユニット43は、Add1:t(1)|Add21|(21)xt(1)|D((21)xt(1),λ)|/P((21)xt(1)|λ)1,Add2:t(2)|Add21|(21)xt(2)|D((21)xt(2),λ)|/P((21)xt(2)|λ)2,Add3:t(3)|Add21|(21)xt(3)|D((21)xt(3),λ)|/P((21)xt(3)|λ)3,Add4:t(4)|Add21|(21)xt(4)|D((21)xt(4),λ)|/P((21)xt(4)|λ)4をデータDATA1〜4から検出する。
【0167】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、基地局1において検出された受信信号強度(21)xt(1)を基地局識別関数/P((21)xt(1)|λ)1の確率変数(s)xt(m)に代入して基地局1の基地局識別確率/P1_(21)を演算する。
【0168】
また、サーバ40の処理ユニット43は、基地局2において検出された受信信号強度(21)xt(2)と、基地局2の基地局識別関数/P((21)xt(2)|λ)2とに基づいて、同様にして、基地局2の基地局識別確率/P2_(21)を演算する。
【0169】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、基地局3において検出された受信信号強度(21)xt(3)と、基地局3の基地局識別関数/P((21)xt(3)|λ)3とに基づいて、同様にして、基地局3の基地局識別確率/P3_(21)を演算する。
【0170】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、基地局4において検出された受信信号強度(21)xt(4)と、基地局4の基地局識別関数/P((21)xt(4)|λ)4とに基づいて、同様にして、基地局4の基地局識別確率/P4_(21)を演算する。
【0171】
そうすると、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別確率/P1_(21)〜/P4_(21)のうち、最大の基地局識別確率を検出する。例えば、基地局識別確率P2_(21)が最大である場合、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別確率/P1_(21)〜/P4_(21)から最大の基地局識別確率P2_(21)を検出する。
【0172】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、最大の基地局識別確率P2_(21)が得られた基地局識別関数/P((21)xt(2)|λ)2を演算した基地局2を無線装置21が最も近い基地局として検出する。
【0173】
なお、サーバ40の処理ユニット43が複数の基地局識別確率/P1_(21)〜/P4_(21)から最大の基地局識別確率P2_(21)を検出することは、1つの無線装置(例えば、無線装置21)から送信された電波(=応答信号)を複数の基地局1〜4によって受信したときの複数の受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)に対応する複数の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第3の最大分布度合いを検出することに相当する。
【0174】
複数の受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)をそれぞれ複数の基地局識別関数/P((21)xt(1)|λ)1〜/P((21)xt(4)|λ)4に代入して演算した複数の確率の各々は、1つの受信信号強度(=受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)のいずれか)に対応する1つの基地局識別関数(=基地局識別関数/P((21)xt(1)|λ)1〜/P((21)xt(4)|λ)4のいずれか)における1つの受信信号強度の分布の度合いであるからである。
【0175】
サーバ40の処理ユニット43は、他の無線装置22,23についても、上述した方法によって、無線装置22,23が最も近い基地局を検出する。
【0176】
引き続いて、サーバ40の処理ユニット43は、部屋R2内に設置された基地局5〜8に対応付けられたデータDATA5〜8を受信バッファRBF2から読み出し、その読み出したデータDATA5〜8中に無線装置24〜26のデータ(受信信号強度)が存在することを検出する。
【0177】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置24のデータ(受信信号強度)を含むAdd5:t(5)|Add24|(24)xt(5)|D((24)xt(5),λ)|/P((24)xt(5)|λ)5,Add6:t(6)|Add24|(24)xt(6)|D((24)xt(6),λ)|/P((24)xt(6)|λ)6,Add7:t(7)|Add24|(24)xt(7)|D((24)xt(7),λ)|/P((24)xt(7)|λ)7,Add8:t(8)|Add24|(24)xt(8)|D((24)xt(8),λ)|/P((24)xt(8)|λ)8をデータDATA5〜8中から検出する。
【0178】
その後、サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、無線装置24が最も近い基地局5を検出する。
【0179】
また、サーバ40の処理ユニット43は、同様にして、無線装置25,26が最も近い基地局6,7を検出する。
【0180】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、同様にして、部屋R3内に配置された基地局9〜12、および部屋R4内に配置された基地局13〜16に対応付けられたデータに基づいて、無線装置27,28に最も近い基地局9,12を検出し、無線装置29,30に最も近い基地局14,15を検出する。
【0181】
即ち、サーバ40の処理ユニット43は、次式によって各無線装置21〜30が最も近い基地局B(x,λ)を検出する。
【0182】
【数9】
【0183】
なお、式(9)において、nは、部屋ごとの基地局の個数である。
【0184】
サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、期間tにおいて、無線装置21が部屋R1内に滞在すること、無線装置21が最も近い基地局が基地局1であること、および無線装置21が基地局1から識別距離D((21)xt(1),λ)の位置に存在することを検出する。
【0185】
また、サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、期間tにおいて、無線装置22が部屋R1内に滞在すること、無線装置22が最も近い基地局が基地局2であること、および無線装置22が基地局2から識別距離D((22)xt(2),λ)の位置に存在することを検出する。
【0186】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、期間tにおいて、無線装置23が部屋R1内に滞在すること、無線装置23が最も近い基地局が基地局4であること、および無線装置23が基地局4から識別距離D((23)xt(4),λ)の位置に存在することを検出する。
【0187】
サーバ40の処理ユニット43は、同様にして、期間tにおける無線装置24〜30の滞在位置を検出する。
【0188】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、期間tにおける無線装置21〜30の滞在位置を検出すると、その検出した無線装置21〜30の滞在位置を期間tに対応付けて表示ユニット44へ出力する。
【0189】
そして、サーバ40の表示ユニット44は、無線装置21〜30の滞在位置を期間tに対応付けて表示する。
【0190】
サーバ40の処理ユニット43は、無線装置21〜30の滞在位置を上述した方法によって定期的に検出し、その検出した無線装置21〜30の滞在位置を各期間に対応付けて表示ユニット44へ出力し、表示ユニット44は、無線装置21〜30の滞在位置を各期間に対応付けて表示する。
【0191】
図14は、基地局における動作を説明するためのフローチャートである。なお、図14においては、基地局1を例として基地局の動作を説明する。
【0192】
図14を参照して、一連の動作が開始されると、基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間tをt=1に設定する(ステップS1)。
【0193】
そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間tにおいて、Inqueryの実行を開始する(ステップS2)。これによって、基地局1は、問い合わせ信号(=IQパケット)をブロードキャストするとともに、応答信号(=FHSパケット)を無線装置sから受信する。
【0194】
その後、基地局1のマイクロコンピュータ121は、無線装置sからの受信信号強度RSSIを受信したか否かを判定する(ステップS3)。
【0195】
ステップS3において、無線装置sからの受信信号強度RSSIを受信したと判定されたとき、基地局1のマイクロコンピュータ121は、無線装置sのアドレスと、受信信号強度RSSIとを対応付けて記憶装置122に記憶する(ステップS4)。
【0196】
ステップS3において、無線装置sからの受信信号強度RSSIを受信しなかったと判定されたとき、またはステップS4の後、基地局1のマイクロコンピュータ121は、Inqueryが終了したか否かを判定する(ステップS5)。より具体的には、基地局1のマイクロコンピュータ121は、Inqueryの開始から2560msが経過したか否かを判定することによって、Inqueryが終了したか否かを判定する。
【0197】
ステップS5において、Inqueryが終了していないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS3へ戻り、上述したステップS3〜ステップS5が繰返し実行される。
【0198】
一方、ステップS5において、Inqueryが終了したと判定されたとき、基地局1のマイクロコンピュータ121は、識別距離を検出するとともに、基地局識別関数を演算する(ステップS6)。
【0199】
そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、基地局1の電源がオフされたか否かを判定することによって、一連の動作を終了するか否かを判定する(ステップS7)。
【0200】
ステップS7において、一連の動作を終了しないと判定されたとき、基地局1のマイクロコンピュータ121は、t=t+1を設定する(ステップS8)。その後、一連の動作は、ステップS2へ戻り、上述したステップS2〜ステップS8が繰返し実行される。
【0201】
一方、ステップS7において、一連の動作を終了すると判定されたとき、一連の動作は、終了する。
【0202】
図15は、図14に示すステップS6の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図15を参照して、基地局1のマイクロコンピュータ121は、図14に示すステップS5において、Inqueryが終了したと判定された後、s=21を設定する(ステップS61)。
【0203】
そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、無線装置sのデータ(RSSI)が記憶装置122に存在するか否かを判定する(ステップS62)。
【0204】
ステップS62において、無線装置sのデータ(RSSI)が記憶装置122に存在すると判定されたとき、基地局1のマイクロコンピュータ121は、無線装置sの受信信号強度xt(m),qを記憶装置122から読み出し、その読み出した受信信号強度xt(m),qを式(4)に代入して受信信号強度RSSIの平均を算出する(ステップS63)。
【0205】
そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、式(1)〜式(3)に示す複数の距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)を記憶装置122から読み出し、その読み出した複数の距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)にステップS63において演算した平均を代入して距離識別確率を演算する。即ち、基地局1のマイクロコンピュータ121は、距離識別確率を距離ごとに演算する(ステップS64)。
【0206】
その後、基地局1のマイクロコンピュータ121は、演算した複数の距離識別確率のうち最大の距離識別確率が得られた距離識別関数に対応する距離を識別距離として検出する(ステップS65)。
【0207】
そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、複数の距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)に基づいて、上述した方法によって、基地局識別関数を演算する(ステップS66)。
【0208】
そうすると、基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間t、無線装置sのアドレスAdds、識別距離および基地局識別関数をサーバ40へ送信する(ステップS67)。
【0209】
ステップS62において、無線装置sのデータ(RSSI)が記憶装置122に存在しないと判定されたとき、またはステップS67の後、基地局1のマイクロコンピュータ121は、バッファ(記憶装置122)が空であるか否か、または無線装置sの個数が最大数Sであるか否かを判定する(ステップS68)。
【0210】
ステップS68において、バッファ(記憶装置122)が空でないと判定されたとき、または無線装置sの個数が最大数Sでないと判定されたとき、またはバッファ(記憶装置122)が空でなく、かつ、無線装置sの個数が最大数Sでないと判定されたとき、基地局1のマイクロコンピュータ121は、s=s+1を設定する(ステップS69)。
【0211】
その後、一連の動作は、ステップS62へ戻り、上述したステップS62〜ステップS69が繰返し実行される。
【0212】
一方、ステップS68において、バッファ(記憶装置122)が空であると判定されたとき、または無線装置sの個数が最大数Sであると判定されたとき、一連の動作は、図14に示すステップS7へ移行する。
【0213】
図16は、サーバ40の受信処理を説明するためのフローチャートである。図16を参照して、一連の動作が開始されると、サーバ40の受信ユニット41は、基地局mからのデータの受信が有るか否かを判定する(ステップS11)。
【0214】
ステップS11において、基地局mからのデータの受信が有るかと判定されたとき、サーバ40の受信ユニット41は、受信データをバッファに格納する(ステップS12)。
【0215】
なお、受信データは、基地局mのアドレスAddm、期間t(m)、無線装置sのアドレスAdds、受信信号強度、識別距離、および基地局識別関数からなる。
【0216】
そして、ステップS11において、基地局mからのデータの受信が無いと判定されたとき、またはステップS12の後、サーバ40の受信ユニット41は、サーバ40の電源がオフであるか否かを判定することによって、一連の動作が終了したか否かを判定する(ステップS13)。
【0217】
ステップS13において、一連の動作が終了していないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS11へ戻り、ステップS11〜S13が繰返し実行される。
【0218】
一方、ステップS13において、一連の動作が終了したと判定されたとき、一連の動作は、終了する。
【0219】
図17は、サーバ40の位置検出処理を説明するためのフローチャートである。図17を参照して、一連の動作が開始されると、サーバ40の処理ユニット43は、r=1を設定する(ステップS21)。なお、rは、部屋R1〜R4のいずれかを表す指数である。
【0220】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、部屋rに所属する基地局mの受信バッファに無線装置sのデータが有るか否かを判定する(ステップS22)。
【0221】
ステップS22において、部屋rに所属する基地局mの受信バッファに無線装置sのデータが有ると判定されたとき、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置sのデータ(=基地局mのアドレスAddm、期間t(m)、無線装置sのアドレスAdds、受信信号強度、識別距離、および基地局識別関数)を記憶装置42から読み出す。
【0222】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度を基地局識別関数に代入して基地局識別確率を演算し、その演算した基地局識別確率のうちの最大の基地局識別確率が得られる基地局を基地局識別結果として演算する(ステップS23)。
【0223】
その後、サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、部屋識別関数を演算する(ステップS24)。
【0224】
そうすると、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別結果および部屋識別関数を記憶装置42に格納する(ステップS25)。
【0225】
そして、ステップS22において、部屋rに所属する基地局mの受信バッファに無線装置sのデータが無いと判定されたとき、またはステップS25の後、サーバ40の処理ユニット43は、部屋数rが最大数Rであるか否かを判定する(ステップS26)。
【0226】
ステップS26において、部屋数rが最大数Rでないと判定されたとき、サーバ40の処理ユニット43は、r=r+1を設定する(ステップS27)。その後、一連の動作は、ステップS22へ戻り、ステップS22〜ステップS27が繰返し実行される。
【0227】
そして、ステップS26において、部屋数rが最大数Rであると判定されたとき、サーバ40の処理ユニット43は、各無線装置sの位置を検出する(ステップS28)。
【0228】
その後、サーバ40の処理ユニット43は、サーバ40の電源がオフであるか否かを判定することによって、一連の動作が終了したか否かを判定する(ステップS29)。
【0229】
ステップS29において、一連の動作が終了していないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS21へ戻り、ステップS21〜S29が繰返し実行される。
【0230】
一方、ステップS29において、一連の動作が終了したと判定されたとき、一連の動作は、終了する。
【0231】
図18は、図17に示すステップS28の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0232】
図18を参照して、図17に示すステップS26において、部屋数rが最大数Rであると判定されると、サーバ40の処理ユニット43は、s=1を設定し(ステップS281)、部屋識別関数のバッファに無線装置sのデータが有るか否かを判定する(ステップS282)。
【0233】
ステップS282において、部屋識別関数のバッファに無線装置sのデータが有ると判定されたとき、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置sの受信信号強度および部屋識別関数を記憶装置42から読み出す。
【0234】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置sの受信信号強度および部屋識別関数に基づいて、部屋識別結果を演算する(ステップS283)。つまり、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置sが滞在する部屋を検出する。
【0235】
その後、サーバ40の処理ユニット43は、部屋識別結果によって識別された部屋に所属する基地局mの基地局識別結果を受信バッファから取り出す(ステップS284)。
【0236】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別結果からその基地局の距離識別結果(=識別距離)を受信バッファから取り出す(ステップS285)。
【0237】
そうすると、サーバ40の処理ユニット43は、部屋識別結果、基地局識別結果および距離識別結果(=識別距離)を表示ユニット44へ出力し、表示ユニット44は、部屋識別結果、基地局識別結果および距離識別結果(=識別距離)を表示する(ステップS286)。
【0238】
そして、ステップS282において、部屋識別関数のバッファに無線装置sのデータが無いと判定されたとき、またはステップS286の後、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置の個数が最大数Sであるか否かを判定する(ステップS287)。
【0239】
ステップS287において、無線装置の個数が最大数Sでないと判定されたとき、サーバ40の処理ユニット43は、s=s+1を設定する(ステップS288)。
【0240】
その後、一連の動作は、ステップS282へ戻り、ステップS282〜ステップS288が繰返し実行される。
【0241】
一方、ステップS287において、無線装置の個数が最大数Sであると判定されたとき、一連の動作は、図17のステップS29へ移行する。
【0242】
このように、この発明の実施の形態によれば、サーバ40は、各無線装置21〜30が滞在する部屋を検出し、その後、各無線装置21〜30が最も近い基地局を検出し、更に、その後、各無線装置21〜30と最も近い基地局との距離を検出することを特徴とする(図18のステップS283〜S285参照)。
【0243】
なお、この発明の実施の形態においては、上述した図17に示すステップS23を図18に示すステップS284へ移動させ、部屋識別結果を演算した後に、ステップS284において、部屋識別結果によって識別された部屋に所属する基地局の基地局識別結果を演算するようにしてもよい。
【0244】
この場合、サーバ40の処理ユニット43は、図17に示すステップS25において、部屋識別関数のみをバッファを格納する。
【0245】
サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、無線装置21〜30の位置を定期的に検出する。そして、サーバ40の処理ユニット43は、その検出した無線装置21〜30の位置を無線装置21〜30の履歴情報として記憶装置42に格納する。
【0246】
サーバ40の処理ユニット43は、無線装置21〜30のアドレスAdd21〜Add30と、病院に勤務する医師、看護師および技師の名前との対応関係を記憶装置42から読み出すとともに、無線装置21〜30の履歴情報を記憶装置42から読み出す。
【0247】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、その読み出した対応関係および履歴情報に基づいて、医師、看護師および技師の各々の行動履歴を検出する。例えば、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置21が部屋R1の基地局1の近くに一定期間滞在した場合、無線装置21を装着した看護師が基地局1の近くのベッドBD1の患者を看護したことを検出する。
【0248】
上記においては、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、距離識別確率を演算し、その演算した距離識別確率に基づいて、基地局1〜16と無線装置21〜30との距離を識別すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、距離信頼度P(d|x)を演算し、その演算した距離信頼度P(d|x)に基づいて、基地局1〜16と無線装置21〜30との距離を識別してもよい。
【0249】
この場合、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、次式によって距離信頼度P(d|x)を演算する。
【0250】
【数10】
【0251】
なお、式(10)において、dは、d=1m,3m,6m・・・等の距離である。
【0252】
基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、識別距離を検出すると、その識別距離が得られたときの最大の距離識別確率P(x|μd,σd2)と、全ての距離識別関数を用いて演算された全ての距離識別確率P(x|μi,σi2)とを式(10)に代入して距離信頼度P(d|x)を演算する。
【0253】
距離信頼度P(d|x)が用いられる場合、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、図15に示すステップS64において、距離信頼度P(d|x)を各距離ごとに演算し、ステップS65において、その演算した距離信頼度P(d|x)に基づいて識別距離を検出する。
【0254】
そして、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、その演算した距離信頼度P(d|x)をステップS67において、サーバ40へ送信する。
【0255】
従って、サーバ40は、基地局1〜16から受信した距離信頼度P(d|x)を受信バッファRBF1〜RBF4によって記憶する。そして、サーバ40は、図18に示すステップS286において、距離信頼度P(d|x)を表示する。
【0256】
また、この発明の実施の形態においては、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別確率に加えて基地局信頼度P(b|x)を演算し、その演算した基地局信頼度P(b|x)を用いて、各無線装置21〜30が最も近い基地局を識別してもよい。
【0257】
この場合、サーバ40の処理ユニット43は、次式によって基地局信頼度P(b|x)を演算する。
【0258】
【数11】
【0259】
なお、式(11)において、bは、基地局1〜16を表す。
【0260】
サーバ40の処理ユニット43は、1つの無線装置から送信された応答信号(=FHSパケット)を受信した全ての基地局における全ての基地局識別確率P(xm|λ)と、全ての基地局識別確率P(xm|λ)から検出された最大の基地局識別確率P(xb|λ)とを式(11)に代入して、1つの無線装置が最も近い基地局に対する信頼度である基地局信頼度P(b|x)を演算する。
【0261】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、各部屋(部屋R1〜R4のいずれか)に滞在する全ての無線装置に対して基地局信頼度P(b|x)を演算する。
【0262】
基地局信頼度P(b|x)が用いられる場合、サーバ40の処理ユニット43は、図17に示すステップS22とステップS23との間で基地局信頼度P(b|x)を演算し、ステップS23において、基地局識別関数から演算した基地局識別確率に加えて基地局信頼度P(b|x)を用いて基地局識別結果を演算する。
【0263】
この場合、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別確率が最大であり、かつ、基地局信頼度が最大である基地局を基地局識別結果として演算する。
【0264】
また、サーバ40の処理ユニット43は、ステップS25において、その演算した基地局信頼度P(b|x)を記憶装置42に格納する。
【0265】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、図18に示すステップS286において、基地局信頼度P(b|x)を表示ユニット44によって表示する。
【0266】
更に、この発明の実施の形態においては、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別確率に代えて基地局信頼度P(b|x)を演算し、その演算した基地局信頼度P(b|x)を用いて、各無線装置21〜30が最も近い基地局を識別してもよい。
【0267】
更に、この発明の実施の形態においては、サーバ40の処理ユニット43は、部屋識別確率に加えて部屋信頼度P(r|Λ)を演算し、その演算した部屋信頼度P(r|Λ)を用いて、各無線装置21〜30が滞在する部屋を識別してもよい。
【0268】
この場合、サーバ40の処理ユニット43は、次式によって部屋信頼度P(r|Λ)を演算する。
【0269】
【数12】
【0270】
なお、式(12)において、rは、部屋R1〜R4を表す。
【0271】
サーバ40の処理ユニット43は、部屋R1〜R4の全てにおける全ての部屋識別確率P(xk|λ,vk)と、全ての部屋識別確率P(xk|λ,vk)から検出された最大の部屋識別確率P(xr|λ,vr)とを式(12)に代入して、1つの無線装置が滞在する部屋に対する信頼度である部屋信頼度P(r|Λ)を演算する。
【0272】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、各部屋(部屋R1〜R4のいずれか)に滞在する全ての無線装置に対して部屋信頼度P(r|Λ)を演算する。
【0273】
部屋信頼度P(r|Λ)が用いられる場合、サーバ40の処理ユニット43は、図18に示すステップS283において、部屋信頼度P(r|Λ)を演算し、その演算した部屋信頼度P(r|Λ)と、部屋識別関数から演算した部屋識別確率とを用いて部屋識別結果を演算する。
【0274】
この場合、サーバ40の処理ユニット43は、部屋識別確率が最大であり、かつ、部屋信頼度が最大である部屋を部屋識別結果として演算する。
【0275】
また、サーバ40の処理ユニット43は、図18に示すステップS286において、部屋信頼度P(r|Λ)を表示ユニット44によって表示する。
【0276】
更に、この発明の実施の形態においては、サーバ40の処理ユニット43は、部屋識別確率に代えて部屋信頼度P(r|Λ)を演算し、その演算した部屋信頼度P(r|Λ)を用いて、各無線装置21〜30が滞在する部屋を識別してもよい。
【0277】
更に、この発明の実施の形態においては、サーバ40の処理ユニット43は、基地局信頼度P(b|x)および部屋信頼度P(r|Λ)を用いて次の方法によって各無線装置21〜30の位置を表示してもよい。
【0278】
サーバ40の処理ユニット43は、基地局信頼度P(b|x)が大きい程、大きさが大きくなる図形(三角形、四角形および五角形等の多角形および円)を用いて、基地局信頼度P(b|x)を各無線装置21〜30の位置とともに表示ユニット44によって表示する。
【0279】
また、サーバ40の処理ユニット43は、基地局信頼度P(b|x)がしきい値th1以上であるとき、看護師に装着された無線装置が最も近い基地局に対応するベッドの患者を看護記録の対象として決定する。
【0280】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、基地局信頼度P(b|x)がしきい値th1よりも低いとき、看護師に装着された無線装置が最も近い基地局を設置した部屋の全ての患者から看護記録の対象とする患者を選択する。
【0281】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、基地局信頼度P(b|x)がしきい値th1よりも低く、かつ、部屋信頼度P(r|Λ)がしきい値th2よりも低いとき、看護師に装着された無線装置が最も近い基地局を設置した部屋と、その部屋に隣接する部屋との両方の部屋の全患者から看護記録の対象とする患者を選択する。
【0282】
更に、通信システム100を博物館の自動展示説明に応用する場合、基地局信頼度P(b|x)がしきい値th1以上であるとき、対象展示物の展示説明のみを再生し、基地局信頼度P(b|x)がしきい値th1よりも低いとき、対象展示物および対象展示物の近辺の展示物の展示説明を再生するようにする。この場合、更に、部屋信頼度P(r|Λ)としきい値th2との比較を行ない、その比較結果に応じて、再生する展示説明を切換えるようにしてもよい。
【0283】
上述した図10に示す重みwiは、一般的には、基地局の近距離にいることの判断に重きを置くアプリケーションに利用される。そして、このアプリケーションとしては、上述した医療機関における看護師等の位置の検出以外に、博物館等でPDA(Personal Digital Assistant)等を用いて自動展示説明を提供するときの見学者の位置の検出が想定される。
【0284】
図19は、基地局識別関数を求めるときの重みの他の例を示す図である。図19を参照して、重みwiは、ガウス分布GD1からガウス分布GD3に向かうに従って直線的に大きくなるように決定される。即ち、重みwiは、基地局と無線装置との間の距離が1m、3mおよび6mと遠ざかるに従って直線的に大きくなる。
【0285】
図19に示す重みwiが用いられる応用としては、工場でのロボットの動作範囲の規制において、対象(人間)がある進入禁止区域(ロボットの動作範囲)に入る場合に、その進入を精度良く識別する場合が想定される。
【0286】
図20は、基地局識別関数を求めるときの重みの更に他の例を示す図である。図20を参照して、重みwiは、ガウス分布GD2において小さくなり、ガウス分布GD2からガウス分布GD1に向かうに従って、またはガウス分布GD2からガウス分布GD3に向かうに従って、直線的に大きくなるように決定される。即ち、重みwiは、基地局と無線装置との間の距離が中程度である場合、小さくなり、近距離または遠方で直線的に大きくなる。
【0287】
図20に示す重みwiは、対象の無線装置が基地局から一定の距離に存在することの検出を重視する場合に用いられる。より具体的には、図20に示す重みwiは、イベントおよび展示において、展示物の極近には来場者を寄せたくないが、ある一定範囲に来場者を確保したいときに、その近接状態を観測してゲストの誘導を行なう場合に用いられる。
【0288】
なお、上記においては、基地局1〜16が問い合わせ信号をブロードキャストするとともに、応答信号を受信し、無線装置21〜30が応答信号を送信すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、無線装置21〜30が問い合わせ信号をブロードキャストするとともに、応答信号を受信し、基地局1〜16が応答信号を送信するようにしてもよい。
【0289】
この場合、各基地局1〜16は、上述した無線装置21〜30の動作を行い、各無線装置21〜30は、上述した基地局1〜16の動作を行なう。そして、各無線装置21〜30は、基地局識別関数に代えて無線装置識別関数を演算する。
【0290】
従って、この発明の実施の形態においては、基地局1〜16および無線装置21〜30のいずれか一方が応答信号(電波)を送信し、基地局1〜16および無線装置21〜30のいずれか他方が応答信号(電波)を受信して識別距離を検出するとともに、基地局識別関数または無線装置識別関数を演算する。
【0291】
また、上記においては、通信システム100は、基地局1〜16と、無線装置21〜30と、サーバ40とを備えると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、この発明の実施の形態による通信システムは、基地局1〜16と、無線装置21〜30とを備えていればよい。
【0292】
基地局1〜16と、無線装置21〜30とを備えていれば、各基地局1〜16は、マルチパス環境においても、受信信号強度に基づいて基地局1〜16と無線装置21〜30との間の距離を正確に判定できるからである。
【0293】
更に、この発明の実施の形態においては、サーバ40は、上述した方法によって検出した無線装置21〜30の位置を病院内に設置された情報通信システムへ無線通信によって送信してもよい。この情報通信システムは、病院に勤務する看護師、医師および技師の労務を管理する労務管理システム、または医師が各看護師の滞在場所を確認するシステムからなる。そして、この情報通信システムは、サーバ40から受信した無線装置21〜30の位置を用いて看護師、医師および技師の労務を管理し、またはサーバ40から受信した無線装置21〜30の位置を用いて看護師の位置を医師が使用する端末装置(パーソナルコンピュータ等)へ送信する。
【0294】
更に、この発明の実施の形態においては、サーバ40が識別距離の検出、基地局識別関数の演算、基地局識別確率の演算、部屋識別関数の演算および部屋識別確率の演算を行なうようにしてもよい。
【0295】
更に、この発明の実施形態においては、基地局1〜16は、各期間における識別距離、受信信号強度、および基地局識別関数を無線通信によってサーバ40へ送信するようにしてもよい。
【0296】
更に、この発明の実施の形態においては、無線装置21〜30は、「複数の第1の無線装置」を構成し、基地局1〜16は、「複数の第2の無線装置」を構成し、サーバ40は、「通信装置」を構成する。
【0297】
更に、この発明の実施の形態においては、基地局識別関数は、「第1の識別関数」を構成し、部屋識別関数は、「第2の識別関数」を構成する。
【0298】
更に、この発明の実施の形態においては、上述した方法によって重みwiを用いてガウス分布GD1〜GD3を合成することは、第1の規則に従って重み付けしてガウス分布GD1〜GD3を合成することに相当する。
【0299】
更に、この発明の実施の形態においては、上述した方法によって重みvmを用いて基地局識別関数を合成することは、第2の規則に従って重み付けして基地局識別関数を合成することに相当する。
【0300】
更に、この発明の実施の形態においては、最大の距離識別確率は、「第1の最大分布度合い」を構成し、最大の部屋識別確率は、「第2の最大分布度合い」を構成し、最大の基地局識別確率は、「第3の最大分布度合い」を構成する。
【0301】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0302】
この発明は、マルチパス環境においても、受信信号強度に基づいて無線装置間の距離を正確に判定可能な通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0303】
1〜16 基地局、21〜30 無線装置、40 サーバ、41 受信ユニット、42,122 記憶装置、43 処理ユニット、44 表示ユニット、100 通信システム、110 無線モジュール、111 プロトコル管理ユニット、112 送信処理ユニット、113 無線ユニット、114 受信処理ユニット、120 組込CPU、121 マイクロコンピュータ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信システムに関し、特に、各無線装置の位置を判定可能な通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ある1つの無線モジュールに近接する無線モジュールを検出可能な通信システムが知られている(特許文献1)。
【0003】
この通信システムにおいては、各無線モジュールは、他の無線モジュールから電波を受信したときの受信信号強度を検出し、その検出した受信信号強度に基づいて、自己と他の無線モジュールとの間の距離を演算する。
【0004】
そして、各無線モジュールは、その演算した距離が基準値(=3m)以下であれば、他の無線モジュールを近接無線モジュールとして検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−352518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の通信システムにおいては、各無線モジュールは、他の無線モジュールから電波を受信したときの受信信号強度に基づいて他の無線モジュールとの間の距離を演算しているため、他の無線モジュールとの間の距離を正確に演算するのが困難であるという問題がある。
【0007】
即ち、電波がマルチパスを経由して伝搬する場合、受信信号強度は、広い範囲に分布するため、2つの無線モジュール間の1つの距離に対して複数の受信信号強度が存在する場合があり、2つの無線モジュール間の距離を正確に演算するのが困難である。
【0008】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、マルチパス環境においても、受信信号強度に基づいて無線装置間の距離を正確に判定可能な通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明によれば、通信システムは、複数の第1の無線装置と、複数の第2の無線装置とを備える。複数の第1の無線装置は、任意の建物の1つの部屋内において各々が無線通信によって電波を送信する。複数の第2の無線装置は、1つの部屋内において各々が複数の第1の無線装置から送信された電波を受信する。そして、複数の第2の無線装置の各々は、1つの部屋内において1つの第1の無線装置との間の距離が1つの距離に設定されたときに1つの第1の無線装置から送信された電波を受信したときの受信信号強度と受信信号強度の分布の度合いとの関係を示す距離識別関数を1つの第1の無線装置との間の複数の距離に対応付けて予め保持しており、複数の第1の無線装置のいずれかの第1の無線装置から電波を受信すると、電波を受信したときの受信信号強度を検出し、複数の距離に対応付けて保持された複数の距離識別関数を参照して、検出した受信信号強度に対応する分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第1の最大分布度合いを検出し、その検出した第1の最大分布度合いが得られた距離識別関数に対応する距離を自己と第1の無線装置との間の識別距離として検出する処理を複数の第1の無線装置について実行する。
【0010】
好ましくは、複数の第2の無線装置の各々は、一定時間内にいずれかの第1の無線装置からQ(Qは正の整数)個の電波を受信し、Q個の電波を受信したときのQ個の受信信号強度の平均を受信信号強度として検出する。
【0011】
好ましくは、複数の第2の無線装置の各々は、更に、複数の距離識別関数を予め決められた第1の規則に従って重み付けして合成した結果を第2の無線装置を識別する第1の識別関数として算出する。
【0012】
好ましくは、複数の第2の無線装置の各々は、第2の無線装置を識別する識別関数を定期的に算出し、H(Hは2以上の整数)個の連続するタイミングで算出したH個の識別関数の和を第1の識別関数として算出する。
【0013】
好ましくは、通信システムは、通信装置を更に備える。通信装置は、検出された受信信号強度、複数の識別距離、および複数の第1の識別関数を1つの部屋内に配置された複数の第2の無線装置から受信し、その受信した複数の第1の識別関数を予め決められた第2の規則に従って重み付けして合成した結果を建物内の部屋を識別する第2の識別関数として算出する処理を複数の部屋内に配置された第2の無線装置から受信した複数の第1の識別関数について実行し、算出した複数の第2の識別関数に基づいて、複数の部屋内に配置された第2の無線装置から受信した受信信号強度に対応する複数の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第2の最大分布度合いを検出し、その検出した第2の最大分布度合いが得られた第2の識別関数に対応する部屋を複数の第1の無線装置が滞在する部屋として判定し、その判定した部屋内に配置された複数の第2の無線装置から受信した受信信号強度、複数の識別距離および複数の第1の識別関数に基づいて、1つの第1の無線装置から送信された電波を複数の第2の無線装置によって受信したときの複数の受信信号強度に対応する複数の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第3の最大分布度合いを検出し、その検出した第3の最大分布度合いが得られた第1の識別関数を送信した第2の無線装置を1つの第1の無線装置が最も近い第2の無線装置として判定し、最も近い第2の無線装置から受信した識別距離に基づいて1つの第1の無線装置の位置を判定する処理を複数の第1の無線装置について実行する。
【0014】
好ましくは、通信装置は、更に、最も近い第2の無線装置に対する信頼度である第1の信頼度を演算する処理を複数の第1の無線装置の全てについて実行し、演算した第1の信頼度が大きいほど、大きさが大きくなる図形を用いて、演算した複数の信頼度を複数の第1の無線装置の位置とともに視覚情報として表示する。
【0015】
好ましくは、複数の第2の無線装置は、病院内の1つ病室内の複数のベッドに対応して1つの病室内に配置されている。複数の第1の無線装置は、病院内における医師および看護師に装着されている。
【0016】
好ましくは、通信装置は、第1の信頼度が第1のしきい値以上であるとき、最も近い第2の無線装置に対応するベッドの患者を看護記録の対象とする患者として選択する。
【0017】
好ましくは、通信装置は、第1の信頼度が第1のしきい値よりも低いとき、最も近い第2の無線装置が配置された部屋の全患者から看護記録の対象とする患者を選択する。
【0018】
好ましくは、通信装置は、更に、複数の第1の無線装置が滞在する部屋に対する信頼度である第2の信頼度を演算する処理を複数の第1の無線装置の全てについて実行し、第1の信頼度が第1のしきい値よりも低く、かつ、第2の信頼度が第2のしきい値よりも低いとき、最も近い第2の無線装置が配置された部屋および部屋に隣接する部屋の両方の部屋の全患者から看護記録の対象とする患者を選択する。
【0019】
好ましくは、通信装置は、更に、判定した複数の第1の無線装置の位置を病院内に設置された情報通信システムへ送信する。
【発明の効果】
【0020】
この発明よる通信システムにおいては、第2の無線装置は、マルチパス環境において予め実測された受信信号強度の各距離における分布を示す距離識別関数を参照して、距離の識別時に検出した受信信号強度に対応する第2の無線装置と第1の無線装置との間の距離の確からしさ(=確率)を求め、最大の確からしさ(=確率)が得られる距離識別関数に対応する距離を第2の無線装置と第1の無線装置との間の識別距離として検出する。
【0021】
その結果、識別距離の識別時に検出された受信信号強度と、予め実測された受信信号強度の分布の度合いが最大になる受信信号強度とのずれの程度が大きくなるに従って、距離識別関数に対応する距離に対する確からしさは、小さくなる。一方、識別距離の識別時に検出された受信信号強度と、予め実測された受信信号強度の分布の度合いが最大になる受信信号強度とのずれの程度が小さくなるに従って、距離識別関数に対応する距離に対する確からしさは、大きくなる。
【0022】
従って、マルチパス環境下において検出された受信信号強度を用いて第2の無線装置と第1の無線装置との間の距離を検出しても、受信信号強度の揺らぎによる影響を除去して第2の無線装置と第1の無線装置との間の距離を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の実施の形態による通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す基地局の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】図1に示すサーバの構成を示す概略ブロック図である。
【図4】距離識別関数を求める方法を説明するための図である。
【図5】受信信号強度の実測結果を示す図である。
【図6】ガウス分布の概念図である。
【図7】各種の分布の概念図である。
【図8】応答信号(=FHSパケット)の受信タイミングを示す図である。
【図9】各基地局と各無線装置との距離を識別する方法を説明するための図である。
【図10】基地局識別関数を求めるときの重みの例を示す図である。
【図11】基地局識別関数の概念図である。
【図12】受信バッファの構成図である。
【図13】図12に示す受信バッファにおけるデータの記憶形態を示す図である。
【図14】基地局における動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】図14に示すステップS6の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】サーバの受信処理を説明するためのフローチャートである。
【図17】サーバの位置検出処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】図17に示すステップS28の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【図19】基地局識別関数を求めるときの重みの他の例を示す図である。
【図20】基地局識別関数を求めるときの重みの更に他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0025】
図1は、この発明の実施の形態による通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による通信システム100は、基地局1〜16と、無線装置21〜30と、サーバ40とを備える。通信システム100は、例えば、病院等の医療機関に設置される。
【0026】
基地局1〜4は、病院の部屋R1内に設置される。基地局5〜8は、病院の部屋R2内に設置される。基地局9〜12は、病院の部屋R3内に設置される。基地局13〜16は、病院の部屋R4内に設置される。
【0027】
より具体的には、基地局1〜4は、それぞれ、部屋R1内に設置されたベッドBD1〜BD4に近接して設置される。また、基地局5〜8は、それぞれ、部屋R2内に設置されたベッドBD5〜BD8に近接して設置される。更に、基地局9〜12は、それぞれ、部屋R3内に設置されたベッドBD9〜BD12に近接して設置される。更に、基地局13〜16は、それぞれ、部屋R4内に設置されたベッドBD13〜BD16に近接して設置される。
【0028】
病院の医師、看護師および技師(例えば、レントゲン写真を撮る技師)等の医療機関で働く人は、無線装置21〜30を持ち歩く。従って、無線装置21〜30は、医師、看護師および技師が病院内を移動することに伴って病院内を移動する。図1に示す場合、無線装置21〜23は、部屋R1内に位置し、無線装置24〜26は、部屋R2内に位置し、無線装置27,28は、部屋R3内に位置し、無線装置29,30は、部屋R4内に位置する。
【0029】
サーバ40は、ナースステーションNSに設置される。そして、サーバ40は、基地局1〜16と有線ケーブル(図示せず)によって接続されている。
【0030】
なお、部屋R1,R2は、それぞれ、廊下CRD1を挟んで部屋R3,R4の向かい側に配置されている。また、ナースステーションNSは、廊下CRD2を挟んで部屋R1の向かい側に配置されている。
【0031】
また、部屋R1は、壁WL1を挟んで部屋R2に隣接しており、部屋R3は、壁WL2を挟んで部屋R4に隣接している。
【0032】
基地局1〜16は、Bluetooth規格によって無線装置21〜30と相互に無線通信を行なう。
【0033】
より具体的には、基地局1〜16は、Bluetooth規格の問い合わせ(Inquiry)状態を利用して問い合わせ信号を周囲へ送信(ブロードキャスト)するとともに、問い合わせ信号に対する応答信号を無線装置21〜30から受信する。そして、基地局1〜16は、その受信した応答信号の受信信号強度を検出し、その検出した受信信号強度に基づいて、後述する方法によって、無線装置21〜30との間の距離を識別し、その識別した識別距離を検出する。
【0034】
また、基地局1〜16は、各無線装置21〜30に最も近い基地局(基地局1〜16のいずれか)を識別する識別関数を後述する方法によって算出する。
【0035】
そして、基地局1〜16は、無線装置21〜30の識別子、無線装置21〜30から受信した応答信号の受信信号強度、無線装置21〜30との識別距離、および識別関数を有線ケーブル(図示せず)を介してサーバ40へ送信する。
【0036】
無線装置21〜30は、Bluetooth規格に従って基地局1〜16との間で無線通信を行なう。
【0037】
より具体的には、無線装置21〜30は、Bluetooth規格の問い合わせ信号を基地局(基地局1〜16のいずれか)から受信すると、その受信した問い合わせ信号に対する応答信号を生成し、その生成した応答信号を基地局(基地局1〜16のいずれか)へ送信する。
【0038】
サーバ40は、無線装置21〜30の識別子、無線装置21〜30から受信した応答信号の受信信号強度、基地局1〜16と無線装置21〜30との間の識別距離、および識別関数を有線ケーブル(図示せず)を介して基地局1〜16の各々から受信する。
【0039】
そして、サーバ40は、その受信した無線装置21〜30の識別子、無線装置21〜30から受信した応答信号の受信信号強度、基地局1〜16と無線装置21〜30との間の識別距離、および識別関数に基づいて、後述する方法によって、各無線装置21〜30がどの部屋のどの位置に存在するかを判定する。
【0040】
図2は、図1に示す基地局1の構成を示す概略ブロック図である。図2を参照して、基地局1は、無線モジュール110と、組込CPU120とを含む。
【0041】
無線モジュール110は、プロトコル管理ユニット111と、送信処理ユニット112と、無線ユニット113と、受信処理ユニット114とを含む。
【0042】
プロトコル管理ユニット111は、組込CPU120のマイクロコンピュータ121からの制御に従って、問い合わせ発信指令(Inquiry発信指令)および問い合わせ応答指令(Inquiry Scan指令)を生成して送信処理ユニット112へ出力する。
【0043】
また、プロトコル管理ユニット111は、後述するFHSパケットとFHSパケットの受信信号強度RSSIとを受信処理ユニット114から受ける。そして、プロトコル管理ユニット111は、その受けたFHSパケットから、FHSパケットを送信した無線装置(無線装置21〜30のいずれか)のアドレスを検出し、その検出したアドレスと、受信処理ユニット114から受けた受信信号強度RSSIとをマイクロコンピュータ121へ送信する。
【0044】
送信処理ユニット112は、プロトコル管理ユニット111からの問い合わせ発信指令に応じて、基地局1の周囲に無線装置が存在するか否かを問い合わせるための問い合わせ信号(=IQパケット)を定期的に生成し、その定期的に生成したIQパケットを無線ユニット113へ出力する。
【0045】
また、送信処理ユニット112は、プロトコル管理ユニット111からの問い合わせ応答指令に応じて、無線装置から受信した問い合わせ信号(=IQパケット)に対応する応答信号(=FHSパケット)を生成して無線ユニット113へ出力する。
【0046】
無線ユニット113は、スペクトル拡散によりパケットを送受信する。より具体的には、無線ユニット113は、1600回/秒の速さの周波数ホッピング方式を採用し、情報変調信号(1MHz)を2402〜2481.5MHzの帯域内で79チャネル(1MHz/チャネル)にホッピングさせ、79MHz帯域に拡散変調する。そして、無線ユニット113は、その拡散変調したパケットを送受信する。
【0047】
無線ユニット113は、送信処理ユニット112からIQパケットを受けると、その受けたIQパケットを問い合わせホッピングシーケンスに従って周波数ホッピングして送信する。より具体的には、無線ユニット113は、IQパケットを2402〜2481.5MHzの帯域内で32チャネルまたは16チャネルに周波数ホッピングして送信する。
【0048】
また、無線ユニット113は、送信処理ユニット112からFHSパケットを受けると、その受けたFHSパケットを応答シーケンスに従って周波数ホッピングして送信する。より具体的には、無線ユニット113は、FHSパケットを2402〜2481.5MHzの帯域内で32チャネルまたは16チャネルに周波数ホッピングして送信する。
【0049】
更に、無線ユニット113は、無線装置からIQパケットを受信し、その受信したIQパケットを受信処理ユニット114へ出力する。
【0050】
受信処理ユニット114は、無線ユニット113からIQパケットを受けると、その受けたIQパケットの受信信号強度RSSIを検出する。そして、受信処理ユニット114は、IQパケットをスペクトル逆拡散し、そのスペクトル逆拡散後のIQパケットと、検出した受信信号強度RSSIとをプロトコル管理ユニット111へ出力する。
【0051】
組込CPU120は、マイクロコンピュータ121と、記憶装置122とを含む。マイクロコンピュータ121は、問い合わせ発信の開始または中断を行なうように無線モジュール110のプロトコル管理ユニット111を制御するとともに、問い合わせ応答の開始または中断を行なうようにプロトコル管理ユニット111を制御する。
【0052】
また、マイクロコンピュータ121は、プロトコル管理ユニット111からアドレスおよび受信信号強度RSSIを受信する。そして、マイクロコンピュータ121は、その受信したアドレスおよび受信信号強度RSSIを相互に対応付けて記憶装置122に格納する。
【0053】
この場合、マイクロコンピュータ121は、プロトコル管理ユニット111からアドレスおよび受信信号強度RSSIを受信すれば、その受信したアドレスが既に受信したアドレスと同じであっても、その受信したアドレスおよび受信信号強度RSSIを記憶装置122へ順次記憶する。
【0054】
更に、マイクロコンピュータ121は、基地局1と1つの無線装置(無線装置21〜30のいずれか)との間の距離が既知の距離に設定されたときに、1つの無線装置から応答信号(=FHSパケット)を受信したときの受信信号強度RSSIと受信信号強度RSSIの分布の度合いとの関係を示す距離識別関数を記憶装置122から読み出すとともに、各無線装置21〜30のアドレスに対応付けられた受信信号強度RSSIを記憶装置122から読み出す。
【0055】
そして、マイクロコンピュータ121は、その読み出した距離識別関数および受信信号強度RSSIに基づいて、後述する方法によって、基地局1と無線装置(無線装置21〜30のいずれか)との間の距離を識別し、その識別した識別距離を検出する。
【0056】
更に、マイクロコンピュータ121は、基地局1と無線装置(無線装置21〜30のいずれか)との間の各距離に対応付けられた距離識別関数に基づいて、後述する方法によって、無線装置(無線装置21〜30のいずれか)が基地局1に近い度合いを識別する基地局識別関数を演算する。
【0057】
そして、マイクロコンピュータ121は、無線装置(無線装置21〜30のいずれか)のアドレス、無線装置(無線装置21〜30のいずれか)から応答信号(FHSパケット)を受信したときの受信信号強度RSSI、基地局1と無線装置(無線装置21〜30のいずれか)との間の識別距離および基地局識別関数を有線ケーブル(図示せず)を介してサーバ40へ送信する。
【0058】
記憶装置122は、各無線装置21〜30のアドレスと、受信信号強度RSSIとを対応付けて記憶する。
【0059】
また、記憶装置122は、基地局1と無線装置(無線装置21〜30のいずれか)との間の各距離に対応付けて距離識別関数を記憶する。
【0060】
なお、図1に示す基地局2〜16および無線装置21〜30の各々は、図2に示す基地局1と同じ構成からなる。
【0061】
図3は、図1に示すサーバ40の構成を示す概略ブロック図である。図3を参照して、サーバ40は、受信ユニット41と、記憶装置42と、処理ユニット43と、表示ユニット44とを含む。
【0062】
受信ユニット41は、無線装置のアドレス、受信信号強度、識別距離および基地局識別関数からなるデータと、各基地局1〜16のアドレスとを含むパケットPKT=[Addm/無線装置のアドレス/受信信号強度/識別距離/基地局識別関数](m=1〜16)を有線ケーブル(図示せず)を介して受信する。
【0063】
そして、受信ユニット41は、パケットPKTからアドレスAddmと、無線装置のアドレス、受信信号強度、識別距離および基地局識別関数とを取り出し、その取り出したアドレスAddm、無線装置のアドレス、受信信号強度、識別距離および基地局識別関数を相互に対応付けて記憶装置42に記憶する。
【0064】
記憶装置42は、アドレスAddm、無線装置のアドレス、受信信号強度、識別距離および基地局識別関数を相互に対応付けて記憶する。
【0065】
また、記憶装置42は、病院の部屋R1と基地局1〜4のアドレスAdd1〜Add4とを相互に対応付けて記憶し、病院の部屋R2と基地局5〜8のアドレスAdd5〜Add8とを相互に対応付けて記憶し、病院の部屋R3と基地局9〜12のアドレスAdd9〜Add12とを相互に対応付けて記憶し、病院の部屋R4と基地局13〜16のアドレスAdd13〜Add16とを相互に対応付けて記憶する。
【0066】
更に、記憶装置42は、処理ユニット43による処理結果を記憶する。
【0067】
処理ユニット43は、アドレスAddm、無線装置のアドレス、受信信号強度、識別距離および基地局識別関数を記憶装置42から読み出し、その読み出したアドレスAddm、無線装置のアドレス、受信信号強度、識別距離および基地局識別関数に基づいて、後述する方法によって、各無線装置21〜30が病院のどの部屋のどの位置に存在するかを定期的に判定する。そして、処理ユニット43は、その判定結果を表示ユニット44へ出力する。
【0068】
表示ユニット44は、処理ユニット43による処理結果を表示する。
【0069】
図4は、距離識別関数を求める方法を説明するための図である。図4を参照して、基地局1は、例えば、部屋R1内に設置される。そして、1つの無線装置(無線装置21〜30のいずれか)が位置P11に配置される。位置P11は、基地局1から1mだけ離れた位置である。
【0070】
位置P11に設置された無線装置は、無指向性アンテナを用いて基地局1へ複数のFHSパケットを順次送信する。そして、基地局1は、複数のFHSパケットを順次受信したときの複数の受信信号強度RSSIを順次検出する。その後、基地局1は、その検出した複数の受信信号強度RSSIの分布をガウス分布として検出する。
【0071】
引き続いて、無線装置は、位置P21に設置される。位置P21は、基地局1から3mだけ離れた位置である。
【0072】
位置P21に設置された無線装置は、同様にして、無指向性アンテナを用いて基地局1へ複数のFHSパケットを順次送信する。そして、基地局1は、複数のFHSパケットを順次受信したときの複数の受信信号強度RSSIを順次検出する。その後、基地局1は、その検出した複数の受信信号強度RSSIの分布をガウス分布として検出する。
【0073】
引き続いて、無線装置は、位置P31に設置される。位置P31は、基地局1から6mだけ離れた位置である。位置P31に設置された無線装置は、同様にして、無指向性アンテナを用いて基地局1へ複数のFHSパケットを順次送信する。そして、基地局1は、複数のFHSパケットを順次受信したときの複数の受信信号強度RSSIを順次検出する。その後、基地局1は、その検出した複数の受信信号強度RSSIの分布をガウス分布として検出する。
【0074】
このように、基地局1の正面方向において基地局1から1m、3mおよび6mだけ離れた位置P11,P21,P31に無線装置を設置し、無線装置から基地局1へ複数のFHSパケットを送信したときのFHSパケットの複数の受信信号強度RSSIを検出し、その検出した複数の受信信号強度RSSIの分布を検出する。
【0075】
図5は、受信信号強度の実測結果を示す図である。また、図6は、ガウス分布の概念図である。図5を参照して、基地局1と無線装置との距離が1mである場合、受信信号強度RSSIは、約−70dBm〜−57dBmの範囲に分布する。そして、実測された受信信号強度RSSIの個数は、227個である。
【0076】
また、基地局1と無線装置との距離が3mである場合、受信信号強度RSSIは、約−75dBm〜−62dBmの範囲に分布する。そして、実測された受信信号強度RSSIの個数は、219個である。
【0077】
更に、基地局1と無線装置との距離が6mである場合、受信信号強度RSSIは、約−90dBm〜−65dBmの範囲に分布する。そして、実測された受信信号強度RSSIの個数は、246個である。
【0078】
その結果、基地局1と無線装置との距離が1mである場合、受信信号強度RSSIの分布DB1が得られ、基地局1と無線装置との距離が3mである場合、受信信号強度RSSIの分布DB2が得られ、基地局1と無線装置との距離が6mである場合、受信信号強度RSSIの分布DB3が得られる。
【0079】
そして、各分布DB1〜DB3において、平均μおよび分散σ2を演算し、基地局1と無線装置との距離1m,3m,6mに対してガウス分布を演算する。
【0080】
その結果、ガウス分布GD1〜GD3がそれぞれ分布DB1〜DB3から得られる。ガウス分布GD1〜GD3は、それぞれ、平均μ1〜μ3を有する。
【0081】
そして、ガウス分布GD1は、各受信信号強度RSSIに対応する基地局1と無線装置との距離が1mである確からしさ(=確率)を表す。同様に、ガウス分布GD2は、各受信信号強度RSSIに対応する基地局1と無線装置との距離が3mである確からしさ(=確率)を表し、ガウス分布GD3は、各受信信号強度RSSIに対応する基地局1と無線装置との距離が6mである確からしさ(=確率)を表す。
【0082】
従って、ガウス分布GD1〜GD3は、基地局1と無線装置との距離を識別する距離識別関数である。
【0083】
上述した方法によって、ガウス分布GD1〜GD3が予め演算され、その演算されたガウス分布GD1〜GD3からなる距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)は、それぞれ、1m,3m,6mの距離に対応付けられて基地局1の記憶装置122に予め格納されている。ここで、xは、確率変数である。
【0084】
距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)は、それぞれ、式(1)〜(3)によって表される。
【0085】
【数1】
【0086】
【数2】
【0087】
【数3】
【0088】
再び、図4を参照して、上記においては、基地局1の正面方向における位置P11,P21,P31に無線装置を設置して基地局1における受信信号強度RSSIの分布を検出すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、位置P11〜P15,P21〜P25,P31〜P35に無線装置を設置して基地局1における受信信号強度RSSIの分布を検出し、その検出した受信信号強度RSSIの分布に基づいて距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)を上述した方法によって算出するようにしてもよい。
【0089】
図7は、各種の分布の概念図である。また、上記においては、受信信号強度RSSIの分布をガウス分布として検出すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、受信信号強度RSSIの分布を三角分布(図7の(a)参照)、一様分布(図7の(b)参照)、多項分布(図7の(c)参照)および多峰分布(図7の(d)参照)のいずれかとして検出してもよく、一般的には、確率分布としての条件を満たす関数f(x)であれば、どのような分布を用いてもよい。ここで、確率分布としての条件は、f(x)≧0であり、かつ、f(x)をx=−∞〜+∞の範囲で積分したとき、その積分値が“1”になることである。
【0090】
なお、基地局1を部屋R1の1つの壁の略中央部に設置して各距離に対して距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)を演算すると説明したが、実際には、基地局1を図1に示す部屋R1内における基地局1の設置位置に設置して各距離に対して距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)を演算する。基地局2〜16についても同様である。
【0091】
従って、基地局1〜16の記憶装置122に記憶された距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)は、相互に異なる。
【0092】
各基地局1〜16と各無線装置21〜30との距離を識別する方法について説明する。図8は、応答信号(=FHSパケット)の受信タイミングを示す図である。なお、図8においては、基地局m(m=1〜16)の期間t(m)に無線装置s(s=21〜30)からq(qは正の整数)番目に受信したFHSパケットの受信信号強度RSSIをxt(m),q(s)とする。
【0093】
また、Inquery Intervalは、例えば、5120msに設定され、Inquery Lengthは、例えば、2560msに設定される。
【0094】
図8を参照して、基地局1は、期間1(1)のInquery Lengthにおいて、1番目の問い合わせ信号(IQパケット)をブロードキャストする。そして、基地局1は、無線装置21から1番目のFHSパケットを受信し、1番目の受信信号強度x1(1),1(21)を検出するとともに、無線装置22から1番目のFHSパケットを受信し、1番目の受信信号強度x1(1),1(22)を検出する。
【0095】
その後、基地局1は、期間1(1)のInquery Lengthにおいて、2番目の問い合わせ信号(IQパケット)をブロードキャストする。そして、基地局1は、無線装置21から2番目のFHSパケットを受信し、2番目の受信信号強度x1(1),2(21)を検出し、無線装置23から1番目のFHSパケットを受信し、1番目の受信信号強度x1(1),1(23)を検出し、無線装置22から2番目のFHSパケットを受信し、2番目の受信信号強度x1(1),2(22)を検出する。
【0096】
更に、その後、基地局1は、期間2(1)のInquery Lengthにおいて、同様にして、無線装置21〜23から受信信号強度x2(1),1(21),x2(1),1(22),x2(1),2(21),x2(1),1(23),x2(1),2(22)を検出する(図8の(a)参照)。
【0097】
また、基地局2も、基地局1と同様にして、期間1(2)のInquery Lengthにおいて、受信信号強度x1(2),1(21),x1(2),1(22),x1(2),2(21),x1(2),1(23),x1(2),2(22)を検出し、期間2(2)のInquery Lengthにおいて、受信信号強度x2(2),1(21),x2(2),1(22),x2(2),2(21),x2(2),1(23),x2(2),2(22)を検出する(図8の(b)参照)。
【0098】
そうすると、基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間1(1)のInquery Lengthにおいて、受信信号強度x1(1),1(21),x1(1),1(22),x1(1),2(21),x1(1),1(23),x1(1),2(22)を期間1(1)に対応付けて記憶装置122に記憶する。また、基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間2(1)のInquery Lengthにおいて、受信信号強度x1(2),1(21),x1(2),1(22),x1(2),2(21),x1(2),1(23),x1(2),2(22)を期間2(1)に対応付けて記憶装置122に記憶する。
【0099】
更に、基地局2のマイクロコンピュータ121は、期間1(2)のInquery Lengthにおいて、受信信号強度x1(2),1(21),x1(2),1(22),x1(2),2(21),x1(2),1(23),x1(2),2(22)を期間1(2)に対応付けて記憶装置122に記憶する。更に、基地局2のマイクロコンピュータ121は、期間2(2)のInquery Lengthにおいて、受信信号強度x2(2),1(21),x2(2),1(22),x2(2),2(21),x2(2),1(23),x2(2),2(22)を期間2(2)に対応付けて記憶装置122に記憶する。
【0100】
なお、基地局1における期間1(1),2(1),・・・は、基地局1における期間1(2),2(2),・・・と非同期である。
【0101】
図9は、各基地局1〜16と各無線装置21〜30との距離を識別する方法を説明するための図である。
【0102】
基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間1(1)のInquery Lengthの後の期間において、無線装置21との間の距離を識別する場合、1m:距離識別関数P1(x|μ,σ2)、3m:距離識別関数P2(x|μ,σ2)、6m:P3(x|μ,σ2)および1(1):x1(1),1(21),x1(1),2(21)を記憶装置122から読み出す。
【0103】
基地局mが1つの期間t(m)において無線装置sから受信したFHSパケットに基づいて検出したQ(s)個の受信信号強度xt(m),1(s),xt(m),2(s),・・・,xt(m),Q(s),の平均値(s)xt(m)は、次式によって表される。
【0104】
【数4】
【0105】
基地局1のマイクロコンピュータ121は、受信信号強度x1(1),1(21),x1(1),2(21)を読み出すと、受信信号強度x1(1),1(21),x1(1),2(21)の平均値(21)x1(1)を式(4)によって演算する。
【0106】
そうすると、基地局1のマイクロコンピュータ121は、平均値(21)x1(1)を距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)の確率変数として用いる。そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、距離識別関数P1(x|μ,σ2)(=GD1)を参照して、平均値(21)x1(1)に対応する確率値P1_(21)を算出する。より具体的には、基地局1のマイクロコンピュータ121は、平均値(21)x1(1)を式(1)のxに代入して確率値P1_(21)を算出する。
【0107】
また、基地局1のマイクロコンピュータ121は、距離識別関数P2(x|μ,σ2)(=GD2)を参照して、同じ方法によって、平均値(21)x1(1)に対応する確率値P2_(21)を算出する。
【0108】
更に、基地局1のマイクロコンピュータ121は、距離識別関数P3(x|μ,σ2)(=GD3)を参照して、同じ方法によって、平均値(21)x1(1)に対応する確率値P3_(21)=0を算出する。
【0109】
そして、確率値P1_(21)は、確率値P2_(21),P3_(21)よりも大きいので、基地局1のマイクロコンピュータ121は、確率値P1_(21)〜P3_(21)のうち、最大の確率値P1_(21)を検出する。
【0110】
そうすると、基地局1のマイクロコンピュータ121は、最大の確率値P1_(21)が得られた距離識別関数P1(x|μ,σ2)に対応する距離(=1m)を基地局1と無線装置21との間の距離として識別する。そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、1mの距離を基地局1と無線装置21との間の識別距離として検出する。
【0111】
なお、確率値P1_(21)〜P3_(21)の各々は、受信信号強度(21)x1(1)の分布の度合いを表すので、基地局1のマイクロコンピュータ121が上述した方法によって識別距離を検出することは、基地局1のマイクロコンピュータ121が複数の距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)を参照して、検出された受信信号強度(21)x1(1)に対応する受信信号強度の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第1の最大分布度合い(=P1_(21))を検出し、その検出した第1の最大分布度合い(=P1_(21))が得られた距離識別関数P1(x|μ,σ2)に対応する距離(=1m)を基地局1と無線装置21との間の識別距離として検出することに相当する。
【0112】
基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間1(1)のInquery Lengthの後の期間において、1(1):受信信号強度x1(1),1(22),x1(1),2(22),x1(1),1(23)を記憶手段122から読み出し、その読み出した受信信号強度x1(1),1(22),x1(1),2(22),x1(1),1(23)に基づいて、上述した方法によって、基地局1と無線装置22,23との間の識別距離を検出する。
【0113】
この場合、無線装置23から受信したFHSパケットの受信信号強度は、1個の受信信号強度x1(1),1(23)であるので、基地局1のマイクロコンピュータ121は、この1個の受信信号強度x1(1),1(23)を式(1)〜(3)のxに代入して確率値P1_(23)〜P3_(23)を演算する。
【0114】
更に、基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間2(1)のInquery Lengthの後の期間においても、同様にして、基地局1と無線装置21〜23との識別距離を検出する。
【0115】
更に、基地局2のマイクロコンピュータ121は、期間1(2),2(2)のInquery Lengthの後の期間において、基地局1のマイクロコンピュータ121と同じ方法によって、基地局2と無線装置21〜23との識別距離を検出する。
【0116】
更に、基地局3,4の各々において、マイクロコンピュータ121は、基地局1のマイクロコンピュータ121と同じ方法によって、基地局3,4と無線装置21〜23との識別距離を定期的に検出する。
【0117】
更に、基地局5〜8のマイクロコンピュータ121は、基地局1のマイクロコンピュータ121と同じ方法によって、基地局5〜8と無線装置24〜26との識別距離を定期的に検出する。
【0118】
更に、基地局9〜12のマイクロコンピュータ121は、基地局1のマイクロコンピュータ121と同じ方法によって、基地局9〜12と無線装置27,28との識別距離を定期的に検出する。
【0119】
更に、基地局13〜16のマイクロコンピュータ121は、基地局1のマイクロコンピュータ121と同じ方法によって、基地局13〜16と無線装置29,30との識別距離を定期的に検出する。
【0120】
即ち、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、次式によって識別距離D(x,λ)を演算する。
【0121】
【数5】
【0122】
このように、この発明の実施の形態においては、各基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、マルチパス環境において予め実測されたFHSパケットの受信信号強度RSSIの各距離における分布をガウス分布として検出し、その検出したガウス分布からなる距離識別関数を参照して、距離の識別時に検出した受信信号強度に対応する基地局と無線装置との間の距離の確からしさ(=確率)を求め、最大の確からしさ(=確率)が得られる距離識別関数に対応する距離を基地局と無線装置との間の識別距離として検出する。
【0123】
その結果、識別距離の識別時に検出された受信信号強度と、予め実測された受信信号強度の分布の度合いが最大になる受信信号強度とのずれの程度が大きくなるに従って、ガウス分布(=距離識別関数)に対応する距離に対する確からしさは、小さくなる。一方、識別距離の識別時に検出された受信信号強度と、予め実測された受信信号強度の分布の度合いが最大になる受信信号強度とのずれの程度が小さくなるに従って、ガウス分布(=距離識別関数)に対応する距離に対する確からしさは、大きくなる。
【0124】
従って、マルチパス環境下において検出された受信信号強度RSSIを用いて各基地局1〜16と各無線装置21〜30との間の距離を検出しても、受信信号強度の揺らぎによる影響を除去して基地局と無線装置との間の距離を正確に検出できる。
【0125】
各基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、無線装置21〜30との間の識別距離を検出すると、次の方法によって、基地局1〜16を識別する基地局識別関数を演算する。
【0126】
図10は、基地局識別関数を求めるときの重みの例を示す図である。また、図11は、基地局識別関数の概念図である。
【0127】
図10を参照して、重みwiは、例えば、ガウス分布GD3からガウス分布GD1に向かうに従って直線的に大きくなるように決定される。即ち、重みwiは、基地局と無線装置との間の距離が6m、3mおよび1mと近づくに従って直線的に大きくなる。
【0128】
重みwiが図10に示すように決定されるのは、次の理由による。マルチパスの激しい環境下では、特に、近距離においても、受信信号強度RSSIは、複数回の反射で小さくなる。その場合、受信信号強度RSSIの小さい領域における重みを小さくすることによって、マルチパス成分によって生じる距離の識別の誤差を小さくできるからである。
【0129】
そして、基地局識別関数P(x|λ)は、次式によって演算される。
【0130】
【数6】
【0131】
なお、式(6)において、λは、予め異なる距離毎に推定しておいた受信信号強度RSSIのガウス分布のパラメータ(平均μiおよび分散σi2)と重みwiの集合{μi,σi2,wi}である。i=1〜Nであり、Nは、距離識別関数の個数である。
【0132】
図10に示す重みwiを用いて基地局識別関数P(x|λ)を演算すると、図11に示すようになる。
【0133】
各基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、記憶装置122から読み出した距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)を式(6)に代入して期間t(m)において無線装置sに対する基地局識別関数P((s)xt(m)|λ)を演算する。
【0134】
その後、各基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、期間t(m)−1〜期間t(m)−H+1(Hは正の整数)において演算した基地局識別関数P((s)xt(m)−1|λ)〜P((s)xt(m)−H+1|λ)を記憶装置122から読み出し、基地局識別関数P((s)xt(m)|λ)〜P((s)xt(m)−H+1|λ)を次式に代入して基地局識別関数/P((s)xt(m)|λ)を演算する。
【0135】
【数7】
【0136】
なお、式(7)におけるHは、無線装置21〜30の各部屋R1〜R4における滞在を確認したい時間間隔を考慮して決定される。そして、Hは、例えば、無線装置21〜30の各部屋R1〜R4における滞在を確認したい時間間隔を30sとした場合、30000÷5120≒6に設定される。
【0137】
基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、識別距離D((s)xt(m),λ)を検出し、基地局識別関数/P((s)xt(m)|λ)を演算すると、期間t(m)、無線装置sのアドレスAdds、受信信号強度(s)xt(m)、識別距離D((s)xt(m),λ)および基地局識別関数/P((s)xt(m)|λ)mからなるデータと、基地局mのアドレスAddmとを含むパケットPKT=[Addm|t(m)|Adds|(s)xt(m)|D((s)xt(m),λ)|/P((s)xt(m)|λ)m]を生成する。そして、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、パケットPKT=[Addm|t(m)|Adds|(s)xt(m)|D((s)xt(m),λ)|/P((s)xt(m)|λ)m]を有線ケーブル(図示せず)を介してサーバ40へ送信する。
【0138】
図12は、受信バッファの構成図である。図12を参照して、受信バッファRBFは、記憶装置42に設けられ、受信バッファRBF1〜RBF4からなる。受信バッファRBF1は、部屋R1に属する基地局1〜4の受信バッファであり、受信バッファRBF2は、部屋R2に属する基地局5〜8の受信バッファであり、受信バッファRBF3は、部屋R3に属する基地局9〜12の受信バッファであり、受信バッファRBF4は、部屋R4に属する基地局13〜16の受信バッファである。
【0139】
受信バッファRBF1は、基地局1〜4から受信したデータを記憶し、受信バッファRBF2は、基地局5〜8から受信したデータを記憶し、受信バッファRBF3は、基地局9〜12から受信したデータを記憶し、受信バッファRBF4は、基地局13〜16から受信したデータを記憶する。
【0140】
図13は、図12に示す受信バッファにおけるデータの記憶形態を示す図である。図13を参照して、受信バッファRBF1は、データ(=t(1)|Adds|(s)xt(1)|D((s)xt(1),λ)|/P((s)xt(1)|λ)1)を基地局1のアドレスAdd1に対応付けて記憶し、データ(=t(2)|Adds|(s)xt(2)|D((s)xt(2),λ)|/P((s)xt(2)|λ)2)を基地局2のアドレスAdd2に対応付けて記憶し、データ(=t(3)|Adds|(s)xt(3)|D((s)xt(3),λ)|/P((s)xt(3)|λ)3)を基地局3のアドレスAdd3に対応付けて記憶し、データ(=t(4)|Adds|(s)xt(4)|D((s)xt(4),λ)|/P((s)xt(4)|λ)4)を基地局4のアドレスAdd4に対応付けて記憶する。
【0141】
受信バッファRBF2は、基地局5〜8から送信されたデータを受信バッファRBF1と同じ形態で記憶する。また、受信バッファRBF3は、基地局9〜12から送信されたデータを受信バッファRBF1と同じ形態で記憶する。更に、受信バッファRBF4は、基地局13〜16から送信されたデータを受信バッファRBF1と同じ形態で記憶する。
【0142】
サーバ40の受信ユニット41は、パケットPKT=[Add1|t(1)|Adds|(s)xt(1)|D((s)xt(1),λ)|/P((s)xt(1)|λ)1]を基地局1から受信し、その受信したパケットPKT=[Add1|t(1)|Adds|(s)xt(1)|D((s)xt(1),λ)|/P((s)xt(1)|λ)1]からAdd1|t(1)|Adds|(s)xt(1)|D((s)xt(1),λ)|/P((s)xt(1)|λ)1を検出する。そして、サーバ40の受信ユニット41は、アドレスAdd1にt(1)|Adds|(s)xt(1)|D((s)xt(1),λ)|/P((s)xt(1)|λ)1を対応付けて記憶装置42の受信バッファRBF1に格納する。
【0143】
サーバ40の受信ユニット41は、他の基地局2〜16からデータを受信し、その受信したデータを受信バッファRFB1〜RBF4のいずれかに格納する。
【0144】
サーバ40の処理ユニット43は、基地局1〜16と部屋R1〜R4との対応関係を記憶装置42から読み出し、基地局1〜4、基地局5〜8、基地局9〜12、および基地局13〜16がそれぞれ部屋R1〜R4内に設置されていることを検出する。
【0145】
各無線装置21〜30がどの部屋に滞在しているかを識別する確率を決定する部屋識別関数P(x|λ,v)は、次式によって決定される。
【0146】
【数8】
【0147】
なお、式(8)において、vmは、各基地局mに対する重みであり、nは、各部屋R1〜R4内に設置された基地局の個数である。
【0148】
ここで、重みvmは、次のように設定される。部屋の識別に大きなノイズを与える要因となる基地局に対する重みvmを下げる。例えば、廊下を介して電波が届く恐れのある廊下近くの基地局の重み、周辺から電波ノイズが発生する付近に設置された基地局の重み、および隣の部屋の影響が無視できない基地局の重みは、小さく設定され、それ以外の基地局の重みを大きく設定される。
【0149】
サーバ40の処理ユニット43は、部屋R1内に設置された基地局1〜4の基地局識別関数/P((s)xt(1)|λ)1〜/P((s)xt(4)|λ)を部屋R1に所属する基地局1〜4の受信バッファRBF1から読み出す。そして、サーバ40の処理ユニット43は、その読み出した基地局識別関数/P((s)xt(1)|λ)1〜/P((s)xt(4)|λ)を式(8)に代入して部屋識別関数P(x|λ,v)R1を演算する。
【0150】
また、サーバ40の処理ユニット43は、部屋R2内に設置された基地局5〜8の基地局識別関数/P((s)xt(5)|λ)1〜/P((s)xt(8)|λ)を部屋R2に所属する基地局5〜8の受信バッファRBF2から読み出す。そして、サーバ40の処理ユニット43は、その読み出した基地局識別関数/P((s)xt(5)|λ)1〜/P((s)xt(8)|λ)を式(8)に代入して部屋識別関数P(x|λ,v)R2を演算する。
【0151】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、部屋R3内に設置された基地局9〜12の基地局識別関数/P((s)xt(9)|λ)1〜/P((s)xt(12)|λ)を部屋R3に所属する基地局9〜12の受信バッファRBF3から読み出す。そして、サーバ40の処理ユニット43は、その読み出した基地局識別関数/P((s)xt(9)|λ)1〜/P((s)xt(12)|λ)を式(8)に代入して部屋識別関数P(x|λ,v)R3を演算する。
【0152】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、部屋R4内に設置された基地局13〜16の基地局識別関数/P((s)xt(13)|λ)1〜/P((s)xt(16)|λ)を部屋R4に所属する基地局13〜16の受信バッファRBF4から読み出す。そして、サーバ40の処理ユニット43は、その読み出した基地局識別関数/P((s)xt(13)|λ)1〜/P((s)xt(16)|λ)を式(8)に代入して部屋識別関数P(x|λ,v)R4を演算する。
【0153】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、部屋R1内に設置された基地局1〜4のアドレスAdd1〜Add4に対応付けられたデータDATA1〜4中に存在する無線装置21〜23のデータ(受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4),(22)xt(1)〜(22)xt(4),(23)xt(1)〜(23)xt(4))を検出する。
【0154】
そうすると、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)を部屋識別関数P(x|λ,v)R1に代入して部屋識別確率P(x|λ,v)R1_(21)を演算する。
【0155】
また、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)を部屋識別関数P(x|λ,v)R2に代入して部屋識別確率P(x|λ,v)R2_(21)を演算する。
【0156】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)を部屋識別関数P(x|λ,v)R3に代入して部屋識別確率P(x|λ,v)R3_(21)を演算する。
【0157】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)を部屋識別関数P(x|λ,v)R4に代入して部屋識別確率P(x|λ,v)R4_(21)を演算する。
【0158】
そうすると、サーバ40の処理ユニット43は、部屋識別確率P(x|λ,v)R1_(21)〜P(x|λ,v)R4_(21)から最大の部屋識別確率P(x|λ,v)R1_(21)を検出する。そして、サーバ40の処理ユニット43は、最大の部屋識別確率P(x|λ,v)R1_(21)が部屋R1における滞在確率を示す部屋識別関数P(x|λ,v)R1から得られたので、無線装置21が部屋R1に存在することを検出する。
【0159】
なお、サーバ40の処理ユニット43が複数の部屋識別確率P(x|λ,v)R1_(21)〜P(x|λ,v)R4_(21)から最大の部屋識別確率P(x|λ,v)R1_(21)を検出することは、サーバ40が基地局1〜16から受信した受信信号強度に対応する複数の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第2の最大分布度合いを検出することに相当する。
【0160】
1つの受信信号強度(s)xt(m)を複数の部屋識別関数P(x|λ,v)R1〜P(x|λ,v)R4に代入して演算した複数の確率は、1つの受信信号強度(s)xt(m)に対応する複数の部屋識別関数P(x|λ,v)R1〜P(x|λ,v)R4における受信信号強度(s)xt(m)の複数の分布の度合いであるからである。
【0161】
また、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度(22)xt(1)〜(22)xt(4)および部屋識別関数P(x|λ,v)R1〜P(x|λ,v)R4に基づいて、上述した方法によって、無線装置22が部屋R1に存在することを検出する。
【0162】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度(23)xt(1)〜(23)xt(4)および部屋識別関数P(x|λ,v)R1〜P(x|λ,v)R4に基づいて、上述した方法によって、無線装置23が部屋R1に存在することを検出する。
【0163】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、基地局5〜8が部屋R2内に存在することを検出し、基地局9〜12が部屋R3内に存在することを検出し、基地局13〜16が部屋R4内に存在することを検出する。
【0164】
サーバ40の処理ユニット43は、基地局1〜4が部屋R1内に存在することを検出すると、部屋R1内に設置された基地局1〜4に対応付けられたデータDATA1〜4=[Add1:t(1)|Adds|(s)xt(1)|D((s)xt(1),λ)|/P((s)xt(1)|λ)1,Add2:t(2)|Adds|(s)xt(2)|D((s)xt(2),λ)|/P((s)xt(2)|λ)2,Add3:t(3)|Adds|(s)xt(3)|D((s)xt(3),λ)|/P((s)xt(3)|λ)3,Add4:t(4)|Adds|(s)xt(4)|D((s)xt(4),λ)|/P((s)xt(4)|λ)4]を受信バッファRBF1から読み出す。
【0165】
そして、サーバ40の処理ユニット41は、その読み出したデータDATA1〜4中に無線装置21〜23のデータ(受信信号強度)が存在するか否かを判定する。
【0166】
無線装置21のデータ(受信信号強度)がデータDATA1〜4中に存在する場合、サーバ40の処理ユニット43は、Add1:t(1)|Add21|(21)xt(1)|D((21)xt(1),λ)|/P((21)xt(1)|λ)1,Add2:t(2)|Add21|(21)xt(2)|D((21)xt(2),λ)|/P((21)xt(2)|λ)2,Add3:t(3)|Add21|(21)xt(3)|D((21)xt(3),λ)|/P((21)xt(3)|λ)3,Add4:t(4)|Add21|(21)xt(4)|D((21)xt(4),λ)|/P((21)xt(4)|λ)4をデータDATA1〜4から検出する。
【0167】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、基地局1において検出された受信信号強度(21)xt(1)を基地局識別関数/P((21)xt(1)|λ)1の確率変数(s)xt(m)に代入して基地局1の基地局識別確率/P1_(21)を演算する。
【0168】
また、サーバ40の処理ユニット43は、基地局2において検出された受信信号強度(21)xt(2)と、基地局2の基地局識別関数/P((21)xt(2)|λ)2とに基づいて、同様にして、基地局2の基地局識別確率/P2_(21)を演算する。
【0169】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、基地局3において検出された受信信号強度(21)xt(3)と、基地局3の基地局識別関数/P((21)xt(3)|λ)3とに基づいて、同様にして、基地局3の基地局識別確率/P3_(21)を演算する。
【0170】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、基地局4において検出された受信信号強度(21)xt(4)と、基地局4の基地局識別関数/P((21)xt(4)|λ)4とに基づいて、同様にして、基地局4の基地局識別確率/P4_(21)を演算する。
【0171】
そうすると、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別確率/P1_(21)〜/P4_(21)のうち、最大の基地局識別確率を検出する。例えば、基地局識別確率P2_(21)が最大である場合、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別確率/P1_(21)〜/P4_(21)から最大の基地局識別確率P2_(21)を検出する。
【0172】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、最大の基地局識別確率P2_(21)が得られた基地局識別関数/P((21)xt(2)|λ)2を演算した基地局2を無線装置21が最も近い基地局として検出する。
【0173】
なお、サーバ40の処理ユニット43が複数の基地局識別確率/P1_(21)〜/P4_(21)から最大の基地局識別確率P2_(21)を検出することは、1つの無線装置(例えば、無線装置21)から送信された電波(=応答信号)を複数の基地局1〜4によって受信したときの複数の受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)に対応する複数の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第3の最大分布度合いを検出することに相当する。
【0174】
複数の受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)をそれぞれ複数の基地局識別関数/P((21)xt(1)|λ)1〜/P((21)xt(4)|λ)4に代入して演算した複数の確率の各々は、1つの受信信号強度(=受信信号強度(21)xt(1)〜(21)xt(4)のいずれか)に対応する1つの基地局識別関数(=基地局識別関数/P((21)xt(1)|λ)1〜/P((21)xt(4)|λ)4のいずれか)における1つの受信信号強度の分布の度合いであるからである。
【0175】
サーバ40の処理ユニット43は、他の無線装置22,23についても、上述した方法によって、無線装置22,23が最も近い基地局を検出する。
【0176】
引き続いて、サーバ40の処理ユニット43は、部屋R2内に設置された基地局5〜8に対応付けられたデータDATA5〜8を受信バッファRBF2から読み出し、その読み出したデータDATA5〜8中に無線装置24〜26のデータ(受信信号強度)が存在することを検出する。
【0177】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置24のデータ(受信信号強度)を含むAdd5:t(5)|Add24|(24)xt(5)|D((24)xt(5),λ)|/P((24)xt(5)|λ)5,Add6:t(6)|Add24|(24)xt(6)|D((24)xt(6),λ)|/P((24)xt(6)|λ)6,Add7:t(7)|Add24|(24)xt(7)|D((24)xt(7),λ)|/P((24)xt(7)|λ)7,Add8:t(8)|Add24|(24)xt(8)|D((24)xt(8),λ)|/P((24)xt(8)|λ)8をデータDATA5〜8中から検出する。
【0178】
その後、サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、無線装置24が最も近い基地局5を検出する。
【0179】
また、サーバ40の処理ユニット43は、同様にして、無線装置25,26が最も近い基地局6,7を検出する。
【0180】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、同様にして、部屋R3内に配置された基地局9〜12、および部屋R4内に配置された基地局13〜16に対応付けられたデータに基づいて、無線装置27,28に最も近い基地局9,12を検出し、無線装置29,30に最も近い基地局14,15を検出する。
【0181】
即ち、サーバ40の処理ユニット43は、次式によって各無線装置21〜30が最も近い基地局B(x,λ)を検出する。
【0182】
【数9】
【0183】
なお、式(9)において、nは、部屋ごとの基地局の個数である。
【0184】
サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、期間tにおいて、無線装置21が部屋R1内に滞在すること、無線装置21が最も近い基地局が基地局1であること、および無線装置21が基地局1から識別距離D((21)xt(1),λ)の位置に存在することを検出する。
【0185】
また、サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、期間tにおいて、無線装置22が部屋R1内に滞在すること、無線装置22が最も近い基地局が基地局2であること、および無線装置22が基地局2から識別距離D((22)xt(2),λ)の位置に存在することを検出する。
【0186】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、期間tにおいて、無線装置23が部屋R1内に滞在すること、無線装置23が最も近い基地局が基地局4であること、および無線装置23が基地局4から識別距離D((23)xt(4),λ)の位置に存在することを検出する。
【0187】
サーバ40の処理ユニット43は、同様にして、期間tにおける無線装置24〜30の滞在位置を検出する。
【0188】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、期間tにおける無線装置21〜30の滞在位置を検出すると、その検出した無線装置21〜30の滞在位置を期間tに対応付けて表示ユニット44へ出力する。
【0189】
そして、サーバ40の表示ユニット44は、無線装置21〜30の滞在位置を期間tに対応付けて表示する。
【0190】
サーバ40の処理ユニット43は、無線装置21〜30の滞在位置を上述した方法によって定期的に検出し、その検出した無線装置21〜30の滞在位置を各期間に対応付けて表示ユニット44へ出力し、表示ユニット44は、無線装置21〜30の滞在位置を各期間に対応付けて表示する。
【0191】
図14は、基地局における動作を説明するためのフローチャートである。なお、図14においては、基地局1を例として基地局の動作を説明する。
【0192】
図14を参照して、一連の動作が開始されると、基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間tをt=1に設定する(ステップS1)。
【0193】
そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間tにおいて、Inqueryの実行を開始する(ステップS2)。これによって、基地局1は、問い合わせ信号(=IQパケット)をブロードキャストするとともに、応答信号(=FHSパケット)を無線装置sから受信する。
【0194】
その後、基地局1のマイクロコンピュータ121は、無線装置sからの受信信号強度RSSIを受信したか否かを判定する(ステップS3)。
【0195】
ステップS3において、無線装置sからの受信信号強度RSSIを受信したと判定されたとき、基地局1のマイクロコンピュータ121は、無線装置sのアドレスと、受信信号強度RSSIとを対応付けて記憶装置122に記憶する(ステップS4)。
【0196】
ステップS3において、無線装置sからの受信信号強度RSSIを受信しなかったと判定されたとき、またはステップS4の後、基地局1のマイクロコンピュータ121は、Inqueryが終了したか否かを判定する(ステップS5)。より具体的には、基地局1のマイクロコンピュータ121は、Inqueryの開始から2560msが経過したか否かを判定することによって、Inqueryが終了したか否かを判定する。
【0197】
ステップS5において、Inqueryが終了していないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS3へ戻り、上述したステップS3〜ステップS5が繰返し実行される。
【0198】
一方、ステップS5において、Inqueryが終了したと判定されたとき、基地局1のマイクロコンピュータ121は、識別距離を検出するとともに、基地局識別関数を演算する(ステップS6)。
【0199】
そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、基地局1の電源がオフされたか否かを判定することによって、一連の動作を終了するか否かを判定する(ステップS7)。
【0200】
ステップS7において、一連の動作を終了しないと判定されたとき、基地局1のマイクロコンピュータ121は、t=t+1を設定する(ステップS8)。その後、一連の動作は、ステップS2へ戻り、上述したステップS2〜ステップS8が繰返し実行される。
【0201】
一方、ステップS7において、一連の動作を終了すると判定されたとき、一連の動作は、終了する。
【0202】
図15は、図14に示すステップS6の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図15を参照して、基地局1のマイクロコンピュータ121は、図14に示すステップS5において、Inqueryが終了したと判定された後、s=21を設定する(ステップS61)。
【0203】
そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、無線装置sのデータ(RSSI)が記憶装置122に存在するか否かを判定する(ステップS62)。
【0204】
ステップS62において、無線装置sのデータ(RSSI)が記憶装置122に存在すると判定されたとき、基地局1のマイクロコンピュータ121は、無線装置sの受信信号強度xt(m),qを記憶装置122から読み出し、その読み出した受信信号強度xt(m),qを式(4)に代入して受信信号強度RSSIの平均を算出する(ステップS63)。
【0205】
そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、式(1)〜式(3)に示す複数の距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)を記憶装置122から読み出し、その読み出した複数の距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)にステップS63において演算した平均を代入して距離識別確率を演算する。即ち、基地局1のマイクロコンピュータ121は、距離識別確率を距離ごとに演算する(ステップS64)。
【0206】
その後、基地局1のマイクロコンピュータ121は、演算した複数の距離識別確率のうち最大の距離識別確率が得られた距離識別関数に対応する距離を識別距離として検出する(ステップS65)。
【0207】
そして、基地局1のマイクロコンピュータ121は、複数の距離識別関数P1(x|μ,σ2)〜P3(x|μ,σ2)に基づいて、上述した方法によって、基地局識別関数を演算する(ステップS66)。
【0208】
そうすると、基地局1のマイクロコンピュータ121は、期間t、無線装置sのアドレスAdds、識別距離および基地局識別関数をサーバ40へ送信する(ステップS67)。
【0209】
ステップS62において、無線装置sのデータ(RSSI)が記憶装置122に存在しないと判定されたとき、またはステップS67の後、基地局1のマイクロコンピュータ121は、バッファ(記憶装置122)が空であるか否か、または無線装置sの個数が最大数Sであるか否かを判定する(ステップS68)。
【0210】
ステップS68において、バッファ(記憶装置122)が空でないと判定されたとき、または無線装置sの個数が最大数Sでないと判定されたとき、またはバッファ(記憶装置122)が空でなく、かつ、無線装置sの個数が最大数Sでないと判定されたとき、基地局1のマイクロコンピュータ121は、s=s+1を設定する(ステップS69)。
【0211】
その後、一連の動作は、ステップS62へ戻り、上述したステップS62〜ステップS69が繰返し実行される。
【0212】
一方、ステップS68において、バッファ(記憶装置122)が空であると判定されたとき、または無線装置sの個数が最大数Sであると判定されたとき、一連の動作は、図14に示すステップS7へ移行する。
【0213】
図16は、サーバ40の受信処理を説明するためのフローチャートである。図16を参照して、一連の動作が開始されると、サーバ40の受信ユニット41は、基地局mからのデータの受信が有るか否かを判定する(ステップS11)。
【0214】
ステップS11において、基地局mからのデータの受信が有るかと判定されたとき、サーバ40の受信ユニット41は、受信データをバッファに格納する(ステップS12)。
【0215】
なお、受信データは、基地局mのアドレスAddm、期間t(m)、無線装置sのアドレスAdds、受信信号強度、識別距離、および基地局識別関数からなる。
【0216】
そして、ステップS11において、基地局mからのデータの受信が無いと判定されたとき、またはステップS12の後、サーバ40の受信ユニット41は、サーバ40の電源がオフであるか否かを判定することによって、一連の動作が終了したか否かを判定する(ステップS13)。
【0217】
ステップS13において、一連の動作が終了していないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS11へ戻り、ステップS11〜S13が繰返し実行される。
【0218】
一方、ステップS13において、一連の動作が終了したと判定されたとき、一連の動作は、終了する。
【0219】
図17は、サーバ40の位置検出処理を説明するためのフローチャートである。図17を参照して、一連の動作が開始されると、サーバ40の処理ユニット43は、r=1を設定する(ステップS21)。なお、rは、部屋R1〜R4のいずれかを表す指数である。
【0220】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、部屋rに所属する基地局mの受信バッファに無線装置sのデータが有るか否かを判定する(ステップS22)。
【0221】
ステップS22において、部屋rに所属する基地局mの受信バッファに無線装置sのデータが有ると判定されたとき、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置sのデータ(=基地局mのアドレスAddm、期間t(m)、無線装置sのアドレスAdds、受信信号強度、識別距離、および基地局識別関数)を記憶装置42から読み出す。
【0222】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、受信信号強度を基地局識別関数に代入して基地局識別確率を演算し、その演算した基地局識別確率のうちの最大の基地局識別確率が得られる基地局を基地局識別結果として演算する(ステップS23)。
【0223】
その後、サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、部屋識別関数を演算する(ステップS24)。
【0224】
そうすると、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別結果および部屋識別関数を記憶装置42に格納する(ステップS25)。
【0225】
そして、ステップS22において、部屋rに所属する基地局mの受信バッファに無線装置sのデータが無いと判定されたとき、またはステップS25の後、サーバ40の処理ユニット43は、部屋数rが最大数Rであるか否かを判定する(ステップS26)。
【0226】
ステップS26において、部屋数rが最大数Rでないと判定されたとき、サーバ40の処理ユニット43は、r=r+1を設定する(ステップS27)。その後、一連の動作は、ステップS22へ戻り、ステップS22〜ステップS27が繰返し実行される。
【0227】
そして、ステップS26において、部屋数rが最大数Rであると判定されたとき、サーバ40の処理ユニット43は、各無線装置sの位置を検出する(ステップS28)。
【0228】
その後、サーバ40の処理ユニット43は、サーバ40の電源がオフであるか否かを判定することによって、一連の動作が終了したか否かを判定する(ステップS29)。
【0229】
ステップS29において、一連の動作が終了していないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS21へ戻り、ステップS21〜S29が繰返し実行される。
【0230】
一方、ステップS29において、一連の動作が終了したと判定されたとき、一連の動作は、終了する。
【0231】
図18は、図17に示すステップS28の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0232】
図18を参照して、図17に示すステップS26において、部屋数rが最大数Rであると判定されると、サーバ40の処理ユニット43は、s=1を設定し(ステップS281)、部屋識別関数のバッファに無線装置sのデータが有るか否かを判定する(ステップS282)。
【0233】
ステップS282において、部屋識別関数のバッファに無線装置sのデータが有ると判定されたとき、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置sの受信信号強度および部屋識別関数を記憶装置42から読み出す。
【0234】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置sの受信信号強度および部屋識別関数に基づいて、部屋識別結果を演算する(ステップS283)。つまり、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置sが滞在する部屋を検出する。
【0235】
その後、サーバ40の処理ユニット43は、部屋識別結果によって識別された部屋に所属する基地局mの基地局識別結果を受信バッファから取り出す(ステップS284)。
【0236】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別結果からその基地局の距離識別結果(=識別距離)を受信バッファから取り出す(ステップS285)。
【0237】
そうすると、サーバ40の処理ユニット43は、部屋識別結果、基地局識別結果および距離識別結果(=識別距離)を表示ユニット44へ出力し、表示ユニット44は、部屋識別結果、基地局識別結果および距離識別結果(=識別距離)を表示する(ステップS286)。
【0238】
そして、ステップS282において、部屋識別関数のバッファに無線装置sのデータが無いと判定されたとき、またはステップS286の後、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置の個数が最大数Sであるか否かを判定する(ステップS287)。
【0239】
ステップS287において、無線装置の個数が最大数Sでないと判定されたとき、サーバ40の処理ユニット43は、s=s+1を設定する(ステップS288)。
【0240】
その後、一連の動作は、ステップS282へ戻り、ステップS282〜ステップS288が繰返し実行される。
【0241】
一方、ステップS287において、無線装置の個数が最大数Sであると判定されたとき、一連の動作は、図17のステップS29へ移行する。
【0242】
このように、この発明の実施の形態によれば、サーバ40は、各無線装置21〜30が滞在する部屋を検出し、その後、各無線装置21〜30が最も近い基地局を検出し、更に、その後、各無線装置21〜30と最も近い基地局との距離を検出することを特徴とする(図18のステップS283〜S285参照)。
【0243】
なお、この発明の実施の形態においては、上述した図17に示すステップS23を図18に示すステップS284へ移動させ、部屋識別結果を演算した後に、ステップS284において、部屋識別結果によって識別された部屋に所属する基地局の基地局識別結果を演算するようにしてもよい。
【0244】
この場合、サーバ40の処理ユニット43は、図17に示すステップS25において、部屋識別関数のみをバッファを格納する。
【0245】
サーバ40の処理ユニット43は、上述した方法によって、無線装置21〜30の位置を定期的に検出する。そして、サーバ40の処理ユニット43は、その検出した無線装置21〜30の位置を無線装置21〜30の履歴情報として記憶装置42に格納する。
【0246】
サーバ40の処理ユニット43は、無線装置21〜30のアドレスAdd21〜Add30と、病院に勤務する医師、看護師および技師の名前との対応関係を記憶装置42から読み出すとともに、無線装置21〜30の履歴情報を記憶装置42から読み出す。
【0247】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、その読み出した対応関係および履歴情報に基づいて、医師、看護師および技師の各々の行動履歴を検出する。例えば、サーバ40の処理ユニット43は、無線装置21が部屋R1の基地局1の近くに一定期間滞在した場合、無線装置21を装着した看護師が基地局1の近くのベッドBD1の患者を看護したことを検出する。
【0248】
上記においては、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、距離識別確率を演算し、その演算した距離識別確率に基づいて、基地局1〜16と無線装置21〜30との距離を識別すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、距離信頼度P(d|x)を演算し、その演算した距離信頼度P(d|x)に基づいて、基地局1〜16と無線装置21〜30との距離を識別してもよい。
【0249】
この場合、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、次式によって距離信頼度P(d|x)を演算する。
【0250】
【数10】
【0251】
なお、式(10)において、dは、d=1m,3m,6m・・・等の距離である。
【0252】
基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、識別距離を検出すると、その識別距離が得られたときの最大の距離識別確率P(x|μd,σd2)と、全ての距離識別関数を用いて演算された全ての距離識別確率P(x|μi,σi2)とを式(10)に代入して距離信頼度P(d|x)を演算する。
【0253】
距離信頼度P(d|x)が用いられる場合、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、図15に示すステップS64において、距離信頼度P(d|x)を各距離ごとに演算し、ステップS65において、その演算した距離信頼度P(d|x)に基づいて識別距離を検出する。
【0254】
そして、基地局1〜16のマイクロコンピュータ121は、その演算した距離信頼度P(d|x)をステップS67において、サーバ40へ送信する。
【0255】
従って、サーバ40は、基地局1〜16から受信した距離信頼度P(d|x)を受信バッファRBF1〜RBF4によって記憶する。そして、サーバ40は、図18に示すステップS286において、距離信頼度P(d|x)を表示する。
【0256】
また、この発明の実施の形態においては、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別確率に加えて基地局信頼度P(b|x)を演算し、その演算した基地局信頼度P(b|x)を用いて、各無線装置21〜30が最も近い基地局を識別してもよい。
【0257】
この場合、サーバ40の処理ユニット43は、次式によって基地局信頼度P(b|x)を演算する。
【0258】
【数11】
【0259】
なお、式(11)において、bは、基地局1〜16を表す。
【0260】
サーバ40の処理ユニット43は、1つの無線装置から送信された応答信号(=FHSパケット)を受信した全ての基地局における全ての基地局識別確率P(xm|λ)と、全ての基地局識別確率P(xm|λ)から検出された最大の基地局識別確率P(xb|λ)とを式(11)に代入して、1つの無線装置が最も近い基地局に対する信頼度である基地局信頼度P(b|x)を演算する。
【0261】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、各部屋(部屋R1〜R4のいずれか)に滞在する全ての無線装置に対して基地局信頼度P(b|x)を演算する。
【0262】
基地局信頼度P(b|x)が用いられる場合、サーバ40の処理ユニット43は、図17に示すステップS22とステップS23との間で基地局信頼度P(b|x)を演算し、ステップS23において、基地局識別関数から演算した基地局識別確率に加えて基地局信頼度P(b|x)を用いて基地局識別結果を演算する。
【0263】
この場合、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別確率が最大であり、かつ、基地局信頼度が最大である基地局を基地局識別結果として演算する。
【0264】
また、サーバ40の処理ユニット43は、ステップS25において、その演算した基地局信頼度P(b|x)を記憶装置42に格納する。
【0265】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、図18に示すステップS286において、基地局信頼度P(b|x)を表示ユニット44によって表示する。
【0266】
更に、この発明の実施の形態においては、サーバ40の処理ユニット43は、基地局識別確率に代えて基地局信頼度P(b|x)を演算し、その演算した基地局信頼度P(b|x)を用いて、各無線装置21〜30が最も近い基地局を識別してもよい。
【0267】
更に、この発明の実施の形態においては、サーバ40の処理ユニット43は、部屋識別確率に加えて部屋信頼度P(r|Λ)を演算し、その演算した部屋信頼度P(r|Λ)を用いて、各無線装置21〜30が滞在する部屋を識別してもよい。
【0268】
この場合、サーバ40の処理ユニット43は、次式によって部屋信頼度P(r|Λ)を演算する。
【0269】
【数12】
【0270】
なお、式(12)において、rは、部屋R1〜R4を表す。
【0271】
サーバ40の処理ユニット43は、部屋R1〜R4の全てにおける全ての部屋識別確率P(xk|λ,vk)と、全ての部屋識別確率P(xk|λ,vk)から検出された最大の部屋識別確率P(xr|λ,vr)とを式(12)に代入して、1つの無線装置が滞在する部屋に対する信頼度である部屋信頼度P(r|Λ)を演算する。
【0272】
そして、サーバ40の処理ユニット43は、各部屋(部屋R1〜R4のいずれか)に滞在する全ての無線装置に対して部屋信頼度P(r|Λ)を演算する。
【0273】
部屋信頼度P(r|Λ)が用いられる場合、サーバ40の処理ユニット43は、図18に示すステップS283において、部屋信頼度P(r|Λ)を演算し、その演算した部屋信頼度P(r|Λ)と、部屋識別関数から演算した部屋識別確率とを用いて部屋識別結果を演算する。
【0274】
この場合、サーバ40の処理ユニット43は、部屋識別確率が最大であり、かつ、部屋信頼度が最大である部屋を部屋識別結果として演算する。
【0275】
また、サーバ40の処理ユニット43は、図18に示すステップS286において、部屋信頼度P(r|Λ)を表示ユニット44によって表示する。
【0276】
更に、この発明の実施の形態においては、サーバ40の処理ユニット43は、部屋識別確率に代えて部屋信頼度P(r|Λ)を演算し、その演算した部屋信頼度P(r|Λ)を用いて、各無線装置21〜30が滞在する部屋を識別してもよい。
【0277】
更に、この発明の実施の形態においては、サーバ40の処理ユニット43は、基地局信頼度P(b|x)および部屋信頼度P(r|Λ)を用いて次の方法によって各無線装置21〜30の位置を表示してもよい。
【0278】
サーバ40の処理ユニット43は、基地局信頼度P(b|x)が大きい程、大きさが大きくなる図形(三角形、四角形および五角形等の多角形および円)を用いて、基地局信頼度P(b|x)を各無線装置21〜30の位置とともに表示ユニット44によって表示する。
【0279】
また、サーバ40の処理ユニット43は、基地局信頼度P(b|x)がしきい値th1以上であるとき、看護師に装着された無線装置が最も近い基地局に対応するベッドの患者を看護記録の対象として決定する。
【0280】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、基地局信頼度P(b|x)がしきい値th1よりも低いとき、看護師に装着された無線装置が最も近い基地局を設置した部屋の全ての患者から看護記録の対象とする患者を選択する。
【0281】
更に、サーバ40の処理ユニット43は、基地局信頼度P(b|x)がしきい値th1よりも低く、かつ、部屋信頼度P(r|Λ)がしきい値th2よりも低いとき、看護師に装着された無線装置が最も近い基地局を設置した部屋と、その部屋に隣接する部屋との両方の部屋の全患者から看護記録の対象とする患者を選択する。
【0282】
更に、通信システム100を博物館の自動展示説明に応用する場合、基地局信頼度P(b|x)がしきい値th1以上であるとき、対象展示物の展示説明のみを再生し、基地局信頼度P(b|x)がしきい値th1よりも低いとき、対象展示物および対象展示物の近辺の展示物の展示説明を再生するようにする。この場合、更に、部屋信頼度P(r|Λ)としきい値th2との比較を行ない、その比較結果に応じて、再生する展示説明を切換えるようにしてもよい。
【0283】
上述した図10に示す重みwiは、一般的には、基地局の近距離にいることの判断に重きを置くアプリケーションに利用される。そして、このアプリケーションとしては、上述した医療機関における看護師等の位置の検出以外に、博物館等でPDA(Personal Digital Assistant)等を用いて自動展示説明を提供するときの見学者の位置の検出が想定される。
【0284】
図19は、基地局識別関数を求めるときの重みの他の例を示す図である。図19を参照して、重みwiは、ガウス分布GD1からガウス分布GD3に向かうに従って直線的に大きくなるように決定される。即ち、重みwiは、基地局と無線装置との間の距離が1m、3mおよび6mと遠ざかるに従って直線的に大きくなる。
【0285】
図19に示す重みwiが用いられる応用としては、工場でのロボットの動作範囲の規制において、対象(人間)がある進入禁止区域(ロボットの動作範囲)に入る場合に、その進入を精度良く識別する場合が想定される。
【0286】
図20は、基地局識別関数を求めるときの重みの更に他の例を示す図である。図20を参照して、重みwiは、ガウス分布GD2において小さくなり、ガウス分布GD2からガウス分布GD1に向かうに従って、またはガウス分布GD2からガウス分布GD3に向かうに従って、直線的に大きくなるように決定される。即ち、重みwiは、基地局と無線装置との間の距離が中程度である場合、小さくなり、近距離または遠方で直線的に大きくなる。
【0287】
図20に示す重みwiは、対象の無線装置が基地局から一定の距離に存在することの検出を重視する場合に用いられる。より具体的には、図20に示す重みwiは、イベントおよび展示において、展示物の極近には来場者を寄せたくないが、ある一定範囲に来場者を確保したいときに、その近接状態を観測してゲストの誘導を行なう場合に用いられる。
【0288】
なお、上記においては、基地局1〜16が問い合わせ信号をブロードキャストするとともに、応答信号を受信し、無線装置21〜30が応答信号を送信すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、無線装置21〜30が問い合わせ信号をブロードキャストするとともに、応答信号を受信し、基地局1〜16が応答信号を送信するようにしてもよい。
【0289】
この場合、各基地局1〜16は、上述した無線装置21〜30の動作を行い、各無線装置21〜30は、上述した基地局1〜16の動作を行なう。そして、各無線装置21〜30は、基地局識別関数に代えて無線装置識別関数を演算する。
【0290】
従って、この発明の実施の形態においては、基地局1〜16および無線装置21〜30のいずれか一方が応答信号(電波)を送信し、基地局1〜16および無線装置21〜30のいずれか他方が応答信号(電波)を受信して識別距離を検出するとともに、基地局識別関数または無線装置識別関数を演算する。
【0291】
また、上記においては、通信システム100は、基地局1〜16と、無線装置21〜30と、サーバ40とを備えると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、この発明の実施の形態による通信システムは、基地局1〜16と、無線装置21〜30とを備えていればよい。
【0292】
基地局1〜16と、無線装置21〜30とを備えていれば、各基地局1〜16は、マルチパス環境においても、受信信号強度に基づいて基地局1〜16と無線装置21〜30との間の距離を正確に判定できるからである。
【0293】
更に、この発明の実施の形態においては、サーバ40は、上述した方法によって検出した無線装置21〜30の位置を病院内に設置された情報通信システムへ無線通信によって送信してもよい。この情報通信システムは、病院に勤務する看護師、医師および技師の労務を管理する労務管理システム、または医師が各看護師の滞在場所を確認するシステムからなる。そして、この情報通信システムは、サーバ40から受信した無線装置21〜30の位置を用いて看護師、医師および技師の労務を管理し、またはサーバ40から受信した無線装置21〜30の位置を用いて看護師の位置を医師が使用する端末装置(パーソナルコンピュータ等)へ送信する。
【0294】
更に、この発明の実施の形態においては、サーバ40が識別距離の検出、基地局識別関数の演算、基地局識別確率の演算、部屋識別関数の演算および部屋識別確率の演算を行なうようにしてもよい。
【0295】
更に、この発明の実施形態においては、基地局1〜16は、各期間における識別距離、受信信号強度、および基地局識別関数を無線通信によってサーバ40へ送信するようにしてもよい。
【0296】
更に、この発明の実施の形態においては、無線装置21〜30は、「複数の第1の無線装置」を構成し、基地局1〜16は、「複数の第2の無線装置」を構成し、サーバ40は、「通信装置」を構成する。
【0297】
更に、この発明の実施の形態においては、基地局識別関数は、「第1の識別関数」を構成し、部屋識別関数は、「第2の識別関数」を構成する。
【0298】
更に、この発明の実施の形態においては、上述した方法によって重みwiを用いてガウス分布GD1〜GD3を合成することは、第1の規則に従って重み付けしてガウス分布GD1〜GD3を合成することに相当する。
【0299】
更に、この発明の実施の形態においては、上述した方法によって重みvmを用いて基地局識別関数を合成することは、第2の規則に従って重み付けして基地局識別関数を合成することに相当する。
【0300】
更に、この発明の実施の形態においては、最大の距離識別確率は、「第1の最大分布度合い」を構成し、最大の部屋識別確率は、「第2の最大分布度合い」を構成し、最大の基地局識別確率は、「第3の最大分布度合い」を構成する。
【0301】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0302】
この発明は、マルチパス環境においても、受信信号強度に基づいて無線装置間の距離を正確に判定可能な通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0303】
1〜16 基地局、21〜30 無線装置、40 サーバ、41 受信ユニット、42,122 記憶装置、43 処理ユニット、44 表示ユニット、100 通信システム、110 無線モジュール、111 プロトコル管理ユニット、112 送信処理ユニット、113 無線ユニット、114 受信処理ユニット、120 組込CPU、121 マイクロコンピュータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の建物の1つの部屋内において各々が無線通信によって電波を送信する複数の第1の無線装置と、
前記1つの部屋内において各々が前記複数の第1の無線装置から送信された電波を受信する複数の第2の無線装置とを備え、
前記複数の第2の無線装置の各々は、前記1つの部屋内において1つの前記第1の無線装置との間の距離が1つの距離に設定されたときに前記1つの第1の無線装置から送信された電波を受信したときの受信信号強度と前記受信信号強度の分布の度合いとの関係を示す距離識別関数を前記1つの第1の無線装置との間の複数の距離に対応付けて予め保持しており、前記複数の第1の無線装置のいずれかの第1の無線装置から電波を受信すると、前記電波を受信したときの受信信号強度を検出し、前記複数の距離に対応付けて保持された複数の距離識別関数を参照して、前記検出した受信信号強度に対応する前記分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第1の最大分布度合いを検出し、その検出した第1の最大分布度合いが得られた距離識別関数に対応する距離を自己と前記第1の無線装置との間の識別距離として検出する処理を前記複数の第1の無線装置について実行する、通信システム。
【請求項2】
前記複数の第2の無線装置の各々は、一定時間内に前記いずれかの第1の無線装置からQ(Qは正の整数)個の電波を受信し、前記Q個の電波を受信したときのQ個の受信信号強度の平均を前記受信信号強度として検出する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記複数の第2の無線装置の各々は、更に、前記複数の距離識別関数を予め決められた第1の規則に従って重み付けして合成した結果を前記第2の無線装置を識別する第1の識別関数として算出する、請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記複数の第2の無線装置の各々は、前記第2の無線装置を識別する識別関数を定期的に算出し、H(Hは2以上の整数)個の連続するタイミングで算出したH個の識別関数の和を前記第1の識別関数として算出する、請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記検出された受信信号強度、複数の前記識別距離、および複数の前記第1の識別関数を前記1つの部屋内に配置された前記複数の第2の無線装置から受信し、その受信した複数の第1の識別関数を予め決められた第2の規則に従って重み付けして合成した結果を前記建物内の部屋を識別する第2の識別関数として算出する処理を複数の部屋内に配置された前記第2の無線装置から受信した複数の第1の識別関数について実行し、前記算出した複数の第2の識別関数に基づいて、前記複数の部屋内に配置された前記第2の無線装置から受信した受信信号強度に対応する複数の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第2の最大分布度合いを検出し、その検出した第2の最大分布度合いが得られた第2の識別関数に対応する部屋を前記複数の第1の無線装置が滞在する部屋として判定し、その判定した部屋内に配置された前記複数の第2の無線装置から受信した前記受信信号強度、前記複数の識別距離および前記複数の第1の識別関数に基づいて、1つの前記第1の無線装置から送信された電波を前記複数の第2の無線装置によって受信したときの複数の受信信号強度に対応する複数の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第3の最大分布度合いを検出し、その検出した第3の最大分布度合いが得られた前記第1の識別関数を送信した第2の無線装置を前記1つの第1の無線装置が最も近い第2の無線装置として判定し、前記最も近い第2の無線装置から受信した識別距離に基づいて前記1つの第1の無線装置の位置を判定する処理を前記複数の第1の無線装置について実行する通信装置を更に備える、請求項3または請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記通信装置は、更に、前記最も近い第2の無線装置に対する信頼度である第1の信頼度を演算する処理を前記複数の第1の無線装置の全てについて実行し、前記演算した第1の信頼度が大きいほど、大きさが大きくなる図形を用いて、前記演算した複数の信頼度を前記複数の第1の無線装置の位置とともに視覚情報として表示する、請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記複数の第2の無線装置は、病院内の1つ病室内の複数のベッドに対応して前記1つの病室内に配置されており、
前記複数の第1の無線装置は、前記病院内における医師および看護師に装着されている、請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記通信装置は、前記第1の信頼度が第1のしきい値以上であるとき、前記最も近い第2の無線装置に対応するベッドの患者を看護記録の対象とする患者として選択する、請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記通信装置は、前記第1の信頼度が第1のしきい値よりも低いとき、前記最も近い第2の無線装置が配置された部屋の全患者から看護記録の対象とする患者を選択する、請求項7に記載の通信システム。
【請求項10】
前記通信装置は、更に、前記複数の第1の無線装置が滞在する部屋に対する信頼度である第2の信頼度を演算する処理を前記複数の第1の無線装置の全てについて実行し、前記第1の信頼度が第1のしきい値よりも低く、かつ、前記第2の信頼度が第2のしきい値よりも低いとき、前記最も近い第2の無線装置が配置された部屋および前記部屋に隣接する部屋の両方の部屋の全患者から看護記録の対象とする患者を選択する、請求項7に記載の通信システム。
【請求項11】
前記通信装置は、更に、前記判定した前記複数の第1の無線装置の位置を前記病院内に設置された情報通信システムへ送信する、請求項7に記載の通信システム。
【請求項1】
任意の建物の1つの部屋内において各々が無線通信によって電波を送信する複数の第1の無線装置と、
前記1つの部屋内において各々が前記複数の第1の無線装置から送信された電波を受信する複数の第2の無線装置とを備え、
前記複数の第2の無線装置の各々は、前記1つの部屋内において1つの前記第1の無線装置との間の距離が1つの距離に設定されたときに前記1つの第1の無線装置から送信された電波を受信したときの受信信号強度と前記受信信号強度の分布の度合いとの関係を示す距離識別関数を前記1つの第1の無線装置との間の複数の距離に対応付けて予め保持しており、前記複数の第1の無線装置のいずれかの第1の無線装置から電波を受信すると、前記電波を受信したときの受信信号強度を検出し、前記複数の距離に対応付けて保持された複数の距離識別関数を参照して、前記検出した受信信号強度に対応する前記分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第1の最大分布度合いを検出し、その検出した第1の最大分布度合いが得られた距離識別関数に対応する距離を自己と前記第1の無線装置との間の識別距離として検出する処理を前記複数の第1の無線装置について実行する、通信システム。
【請求項2】
前記複数の第2の無線装置の各々は、一定時間内に前記いずれかの第1の無線装置からQ(Qは正の整数)個の電波を受信し、前記Q個の電波を受信したときのQ個の受信信号強度の平均を前記受信信号強度として検出する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記複数の第2の無線装置の各々は、更に、前記複数の距離識別関数を予め決められた第1の規則に従って重み付けして合成した結果を前記第2の無線装置を識別する第1の識別関数として算出する、請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記複数の第2の無線装置の各々は、前記第2の無線装置を識別する識別関数を定期的に算出し、H(Hは2以上の整数)個の連続するタイミングで算出したH個の識別関数の和を前記第1の識別関数として算出する、請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記検出された受信信号強度、複数の前記識別距離、および複数の前記第1の識別関数を前記1つの部屋内に配置された前記複数の第2の無線装置から受信し、その受信した複数の第1の識別関数を予め決められた第2の規則に従って重み付けして合成した結果を前記建物内の部屋を識別する第2の識別関数として算出する処理を複数の部屋内に配置された前記第2の無線装置から受信した複数の第1の識別関数について実行し、前記算出した複数の第2の識別関数に基づいて、前記複数の部屋内に配置された前記第2の無線装置から受信した受信信号強度に対応する複数の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第2の最大分布度合いを検出し、その検出した第2の最大分布度合いが得られた第2の識別関数に対応する部屋を前記複数の第1の無線装置が滞在する部屋として判定し、その判定した部屋内に配置された前記複数の第2の無線装置から受信した前記受信信号強度、前記複数の識別距離および前記複数の第1の識別関数に基づいて、1つの前記第1の無線装置から送信された電波を前記複数の第2の無線装置によって受信したときの複数の受信信号強度に対応する複数の分布の度合いのうち最大の分布の度合いである第3の最大分布度合いを検出し、その検出した第3の最大分布度合いが得られた前記第1の識別関数を送信した第2の無線装置を前記1つの第1の無線装置が最も近い第2の無線装置として判定し、前記最も近い第2の無線装置から受信した識別距離に基づいて前記1つの第1の無線装置の位置を判定する処理を前記複数の第1の無線装置について実行する通信装置を更に備える、請求項3または請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記通信装置は、更に、前記最も近い第2の無線装置に対する信頼度である第1の信頼度を演算する処理を前記複数の第1の無線装置の全てについて実行し、前記演算した第1の信頼度が大きいほど、大きさが大きくなる図形を用いて、前記演算した複数の信頼度を前記複数の第1の無線装置の位置とともに視覚情報として表示する、請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記複数の第2の無線装置は、病院内の1つ病室内の複数のベッドに対応して前記1つの病室内に配置されており、
前記複数の第1の無線装置は、前記病院内における医師および看護師に装着されている、請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記通信装置は、前記第1の信頼度が第1のしきい値以上であるとき、前記最も近い第2の無線装置に対応するベッドの患者を看護記録の対象とする患者として選択する、請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記通信装置は、前記第1の信頼度が第1のしきい値よりも低いとき、前記最も近い第2の無線装置が配置された部屋の全患者から看護記録の対象とする患者を選択する、請求項7に記載の通信システム。
【請求項10】
前記通信装置は、更に、前記複数の第1の無線装置が滞在する部屋に対する信頼度である第2の信頼度を演算する処理を前記複数の第1の無線装置の全てについて実行し、前記第1の信頼度が第1のしきい値よりも低く、かつ、前記第2の信頼度が第2のしきい値よりも低いとき、前記最も近い第2の無線装置が配置された部屋および前記部屋に隣接する部屋の両方の部屋の全患者から看護記録の対象とする患者を選択する、請求項7に記載の通信システム。
【請求項11】
前記通信装置は、更に、前記判定した前記複数の第1の無線装置の位置を前記病院内に設置された情報通信システムへ送信する、請求項7に記載の通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−78015(P2011−78015A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229831(P2009−229831)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】
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