説明

通信デバイスを組込む経口薬物カプセル構成材

上側カプセル部(62)と下側カップ形カプセル部(64)とを含み、下側カップ形カプセル部(64)が薬剤配合物(66)を収容し、下側カプセル部(64)が胃腸液中で分散する物質で形成され、下側カプセル部(64)が口部を有し、上側カプセル部(62)が、下側カプセル部(64)の口部と係合するように寸法決めされている、経口薬物送達カプセル(60)の改善された上側カプセル部(62)である。改善は、経口薬物送達カプセルが摂取されたことを通信デバイスが通信できるように上側カプセル部(62)上にまたは上側カプセル部(62)と一体化してRFIDタグ(90)等の通信デバイスを配置することである。改善された下側カプセル部の代替の態様もまた開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、内部用量投与計画の順守および得られるデータの後の分析を監視するための方法およびシステムに関する。より詳細には、本発明は、胃腸管のイオン伝導性環境に対して感受性である切替えが引起こされることによって用量形状が摂取、挿入または他には内在化されたことを表示する時点の観測および分析のために外部データ収集デバイスに信号を送達する、摂取または挿入されたカプセル化デバイスの使用に関する。次いで、外部データ収集デバイスにおいて収集されたデータを、患者の治療の管理または臨床研究のために分析できる。
【背景技術】
【0002】
不順守は、患者が規定用量を規定時に規定期間服用しないことを意味し、患者の投薬不足または過剰投薬をもたらす。このような不順守は、医療コストの増大、より高い合併症率、病原体によるより高い度合の薬物耐性、および薬物の損失をもたらす。57の不順守研究の調査において、投薬計画に従わないのは、薬剤、患者集団の特性、送達される薬物または研究手順に関わらず全ての研究対象集団において15から95%の範囲という高さである. (Greeberg,R.N.:Overview of Patient Compliance with Medication Dosing:A Literature Review,Clin.Therap.,6(5):592−599[1984].)。患者が投薬計画に従わない理由は多く、忘れやすさ(30%)、優先される他の事柄(16%)、薬物を服用しないことを選択すること(11%)、情報不足(9%)、および「感情的要素」(7%)が挙げられる(Osterberg,L.,およびBlaschke,T.:Compliance to medication,N.Engl.J.Med.353:5,490[2005].)。
【0003】
任意の臨床試験の間に患者に与えられる指示が順守されるのは、順守を示すために記入するために従来方法(例えば紙の日誌)を用い、比較的短期間で通常50%未満、より長い期間の試験では40%未満である(Vrijens and Goetghebeur,Statist.Med.23,531−544,2004)。慢性疼痛患者に対する臨床試験では、日誌の使用を追跡するために密かに備えられる紙の日誌が患者に与えられた場合には虚偽記入が80%の高さで順守が11%のみであることが報告され(Stoneら,Control Clin.Trials.24,182−199,2003)、研究日のうち32%で紙の日誌が開かれず、更にそれらの日の順守の旨の記入は90%を超えた。全てまたは殆どの薬剤を1度に捨てることによる、医療機関を訪問する前の薬剤の意図的な廃棄の高度な発生もまた臨床試験で起こる(Couttsら,Arch.Dis.Child.67,332−333,1992;Randら,Am.Rev.Respir.Dis.146,1559−1564,1992;Ruddら,Clin.Pharmacol.Therap.46,169−176,1989;Simmonsら,Chest.118,290−295,2000)。よって、不順守の患者の間でのごまかしが臨床試験において頻繁に起こり、そして従来の監視方法ではしばしば発覚しない。解釈困難なデータ、更に悪いことには臨床試験の有効性を信頼できるように予測することに使えないという結果が生じる。時間および実際の薬物の服用をよりよく監視することは、これらの問題の多くを軽減する助けとなる。例えば、1人または複数人の患者が薬剤を服用するように指示された時間に依拠するよりも薬物動態/薬力学をより良く解釈するために、薬物の血中レベルを実際の薬物の服用時間について較正することができる。しかし、臨床試験に利用されている現在の追跡手段の殆どは、薬物を服用する過程の開始を追跡する(すなわち薬物収容物が開いて活性化される時間を追跡することにより)のみである。臨床試験の順守をより正確に監視するために、薬物の服用を監視する、より高度な方法が必要である。
【0004】
治療の設定において、順守を正確に測定および分析することは、多くの重要な利点(例えば、ケアを施す人が、治療投与計画の順守が不十分であることに関連する薬物耐性の感染症を進行させる可能性について患者に警告することができ、そして過剰用量に関連する薬物の副作用を識別することができる)を有する。臨床的な薬物の研究段階で、順守を正確に測定および分析することは、広範囲の利点(臨床研究の統計的な信頼性の改善、臨床研究のより早期の完了、副作用の考えられる識別、および不順守の程度の関数としての不順守の結果の評価等)をもたらすことができる。
【0005】
訓練された者による直接観察による薬物順守の確認は有効であるが、殆どの設定では実施できない。血液または尿の分析による薬物順守の確認もまた、病院の設定を超えると実施できるものではない。
【0006】
直接観察および標本分析が実施できないことを解決するためになされてきた技術的努力がある。これらの技術的努力は用量順守の監視に対して単独で方向付けされてきた。摂取された薬物成分を皮膚経由で検出する、患者の皮膚に取付ける経皮的検出手段が発達してきた。このような手段は、外部位置(例えば、米国特許第6,663,846号明細書および米国出願公開第2005/0031536号明細書に記載されるヘルスケア設備等)の離れた受信装置に信号を伝送できる。患者の呼気中の摂取された薬物成分を検出する電気的センサーシステム(米国出願公開第2004/0081587号明細書に記載されるもの等)もまた発達してきた。米国特許第6,366,206号明細書に記載されるように、ラジオ波方式認識(「RFID」)タグが丸剤中に組込まれ、各タグが薬剤の種類、その用量およびそのロット番号を、対応するラジオ波リーダーによって調べた際にタグによって発生される特異コードによって認識できるようにされてきた。’206特許のRFIDは、例えば、イオン伝導性を検出することによって、胃腸管内の湿度またはpHの変化を検出し、丸剤が溶解してRFIDタグが胃腸系の環境に露出したか否かを評価する、状態を切替えるバイオセンサーを組込むことができる。
【0007】
薬物順守のための統計モデルも発達してきた。例えば、Gerardらは、Statistics in Medicine(17,2313−2333[1998])で、薬物順守データについてマルコフ混合効果モデルを記載する。Vrijensらは、Statistics in Medicine(23,531−544[2004])で、薬物動態的薬力学的集団研究において偏りを低減して正確性を改善するためのデータ処理モデルを記載する。欧州特許出願第0526166号明細書では、薬剤収容物に取付けられたラジオ送信器を用いて薬剤摂取を検出する患者順守監視方法が開示されている。薬剤の摂取に関するデータの患者の記入に基づく患者順守監視方法が、米国出願公開第2002/0143577号明細書に開示されている。
【0008】
バーコードに基づく薬物分配システムおよびデータベースが、米国出願公開第2003/0055531号明細書に開示されている。米国出願公開第2003/0110060号明細書では、患者との相互作用を含む患者順守監視方法が開示されている。薬剤の用量を服用するように患者に警告し、次いで薬剤の服用に関する順守データを集める携帯式薬剤ディスペンサーを患者に与える患者順守監視システムが、米国出願公開第2004/0133305号明細書に記載されている。
【0009】
薬剤動態モデルを採用して規定用量の投与計画が適合するか否かを評価する患者順守監視方法が、米国出願公開第2004/01193446号明細書において与えられている。臨床試験で使用するための患者順守監視方法の使用が米国出願公開第2004/0243620号明細書に開示されている。薬物収容物を追跡するためのシステムおよび方法が米国出願公開第2004/0008123号明細書に開示されている。最後に、患者による摂取に対して応答性を有するRFIDタグを収容するカプセルまたは錠剤を採用する患者順守監視方法が米国出願公開第2005/0131281号明細書に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の特許および公開公報の各々は、用量投与計画の順守を監視することに関する技術状況への寄与を与える。しかし、あまりに多くの領域の技術であるため、内部用量投与計画の監視においては改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要約
本発明は、RFIDタグまたは他の通信デバイスを薬物送達カプセルで組込む改善された手段である。より詳細には、本発明は、上側カプセル部と下側カップ形カプセル部とで構成され、下側カップ形カプセル部が薬剤配合物を収容するためのものであり、下側カプセル部が胃腸液中で分散する物質で形成されており、該下側カプセル部が口部を有しており、該上側カプセル部が、該下側カプセル部の該口部と係合するように寸法決めされ、該改善が:通信デバイスが該上側カプセル部上にまたは該上側カプセル部と一体化して配置されることによって該通信デバイスは経口薬物送達カプセルが摂取されたことを通信できることを含む、経口薬物送達カプセルの改善された上側カプセル部である。
【0012】
関連の態様において、本発明は、上側カプセル部と下側カップ形カプセル部とで構成され、下側カップ形カプセル部が薬剤配合物を収容するためのものであり、下側カプセル部が胃腸液中で分散する物質で形成されており、該下側カプセル部が口部を有しており、該上側カプセル部が、該下側カプセル部の該口部と係合するように寸法決めされ、該改善が:通信デバイスが該下側カプセル部上にまたは該下側カプセル部と一体化して配置されることによって該通信デバイスは経口薬物送達カプセルが摂取されたことを通信できることを含む、経口薬物送達カプセルの改善された下側カプセル部である。
【0013】
図面の簡単な説明
本発明のより完全な理解のために、添付の図面で更に詳細に示され本発明の例によって記載される態様をここで参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、下側カプセル部の口部の中に嵌込まれた上側カプセル部を有し、該上側カプセル部がアクティブRFIDタグを収容している不正開封防止経口薬物送達カプセルの、一部が断面図で一部が全体図である拡大図である。
【図2】図2は、下側カプセル部の口部の外に嵌込まれた上側カプセル部を有し、下側カプセル部を覆いかつこれに接着されたパッシブRFIDタグシステムを備える経口薬物送達カプセルの、一部が断面図で一部が切り欠き図で一部が全体図である拡大図である。
【図3】図3は、下側カプセル部の口部の中に嵌込まれた上側カプセル部を有し、上側カプセル部がマグネットを収容する経口薬物送達カプセルの、一部が断面図で一部が全体図である拡大図である。
【図4】図4は、下側カプセル部の口部の中に嵌込まれた上側カプセル部を有し、上側カプセル部が赤外発光ダイオードを収容している不正開封防止経口薬物送達カプセルの、一部が断面図で一部が全体図である拡大図である。
【図5】図5は、下側カプセル部の口部の外に嵌込まれた上側カプセル部を有し、上側カプセル部がラジオ波送信システムを収容している経口薬物送達カプセルの、一部が断面図で一部が全体図である拡大図である。
【図6】図6は、RFIDタグシステムが接着した経口薬物送達錠剤の、一部が断面図で一部が全体図である拡大図である。
【図7】図7は、下側カプセル部の口部の中に嵌込まれた上側カプセル部を有し、上側カプセル部が蛍光剤を収容している不正開封防止経口薬物送達カプセルの、一部が断面図で一部が全体図である拡大図である。
【図8】図8は、下側カプセル部の口部の内側に嵌込まれた上側カプセル部を有し、上側カプセル部が超音波送受波器を収容している経口薬物送達カプセルの、一部が断面図で一部が全体図である拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
以下の図において、同一参照符号は同一要素を意味するために用いる。以下の説明において、種々の操作パラメータおよび要素を1つの構成態様について説明する。これらの具体的なパラメータおよび要素は例として包含され限定を意味するものではない。
【0016】
ここで図1を参照するに、図1には、ゼラチン12でオーバーモールドした、成形された熱硬化プラスチックコア28で形成された上側カプセル部、およびゼラチンで形成された下側カプセル部14を含む不正開封防止経口薬物送達カプセル10を示す。薬物配合物16は、下側カプセル部14内に配置される。示されるカプセル10はカプセルであるが、用量の他の形状(錠剤および丸剤等)を同様に使用できることを理解すべきである。本明細書で用いる用量形状とは、活性薬物含有成分またはプラセボであってもよいものを包含する一用量分を意味する。
【0017】
RFIDチップ20はコア28内に配置される。限定しない例として、RFIDチップ20は特に薬剤の種類、薬剤の用量ならびに薬剤のロット番号およびシリアル番号を示すようにコード化されていることができる。以下に記載するように、カプセル10は、信号を発して、用量形状10が実際に摂取されたことを、これが胃腸管への露出によって活性化されたスイッチを有することに基づいて示す。信号は種々の手法で発することができ、例えば電磁的(例えば可視光、紫外線および赤外線、またはRFID信号)、磁気的、放射性、化学的(例えば呼気で検出可能なトレーサー)、蛍光物質の、音響的な(例えば、超音波またはガス化キャンディタイプ(candy-type)技術)、ならびに生物学的な(例えば、テトラマー法の展開領域によるバイオマーカーを用いて)ものが挙げられる。
【0018】
RFIDチップ20は幾つかの設計および構成のうちいずれであってもよい。従って、示されるRFIDチップ20は説明の目的のみのためのもので限定を意図しない。RFIDチップ20からの信号は、RFIDチップ20と信号受信デバイスおよび信号読取デバイス(いずれも図示しない)との間に配置された信号増幅器によって増幅することができる。
【0019】
RFIDチップ20は、アンテナ22およびバッテリ18に取付けられている。カプセル10が摂取された時点で、下側カプセル部14は胃液中で分散し、そして電極24および26が胃液に暴露される。電極24および26はその一端でRFIDチップ20に取付けられ、RFIDチップ20内に組込まれている伝導性スイッチを含み、カプセル10が摂取された際にRFIDチップ20がオンになることによって電極24および26が導電性の胃液に暴露される。
【0020】
ここで図2を参照するに、図2中には、ゼラチンで形成された上側カプセル部32およびゼラチンで形成された下側カプセル部34を含む経口薬物送達カプセル30を示す。薬物配合物36は、カプセル部分32および34の中に配置されている。パッシブRFIDチップ40は、下側カプセル部34に覆われ、これに接着しているパッチ44内に配置されている。RFIDチップ40は、薬物の種類、用量、ロット番号等を特定するようにコード化されている。RFIDチップ40はダイポールアンテナ38および42に取付けられている。カプセル30が摂取された時点で、カプセル部32および34は胃液中に分散してRFIDチップ40は体温まで加温される。RFIDチップ40は、カプセル30が摂取された際にRFIDチップ40がオンになってRFIDチップ40が体温まで加温されるための温度スイッチを収容する。
【0021】
ここで図3を参照するに、図3中では、成形熱可塑性物質で形成された上側カプセル部52とゼラチンで形成された下側カプセル部54とを含む経口薬物送達カプセル50を示す。薬物配合物56が下側カプセル部54内に配置されている。マグネット58が上側カプセル部52内に配置されている。カプセル50が摂取された時点で、使用者上に設置または使用者が着用することが可能な物品(例えばネックレス)内に収容された磁力計によってマグネット58の存在が検出される。
【0022】
ここで図4を参照するに、図4中では、成形熱硬化性プラスチックで形成された上側カプセル部62とゼラチンで形成された下側カプセル部64とを含む不正開封防止経口薬物送達カプセル60を示す。薬物配合物66が下側カプセル部64内に配置されている。マイクロプロセッサ70が上側カプセル部62内に配置されている。マイクロプロセッサ70は薬物の種類、用量、ロット番号等を特定するようにコード化されている。マイクロプロセッサ70は赤外ダイオード76およびバッテリ68に取付けられている。カプセル60が摂取された時点で、下側カプセル部64は胃液中に分散して電極72および74が胃液に暴露される。電極72および74はその一端でマイクロプロセッサ70に取付けられ、そしてマイクロプロセッサ70内に組込まれている伝導性スイッチを含み、カプセル40が摂取されることによって電極72および74が導電性の胃液に暴露された際に、調節されたコード化様式で赤外ダイオード76にエネルギーを与える。ダイオード76から発光した赤外線は、腹部回りに着用したポーチ内に収容された赤外検出器によって検出される。
【0023】
ここで図5を参照するに、図5中では、ゼラチンスカート98に取付けられた成形熱硬化性プラスチックコア82で形成された上側カプセル部と、ゼラチンで形成された下側カプセル部84とを含む経口薬物送達カプセル80を示す。薬物配合物86は、下側カプセル部84内に配置されている。ラジオ波発生器90は、コア82内に配置されている。ラジオ波発生器90の具体的な周波数は、薬物の種類、用量、ロット番号等を特定する。ラジオ波発生器90は、アンテナ92およびバッテリ88に取付けられている。カプセル80が摂取された時点で、下側カプセル部84が胃液中に分散して電極94および96が胃液に暴露される。電極94および96は、その一端でラジオ波発生器90に取付けられ、そしてラジオ波発生器90内に組込まれている伝導性スイッチを含み、カプセル80が摂取された際にラジオ波発生器90がオンになることによって電極94および96が導電性の胃液に暴露される。
【0024】
ここで図6を参照するに、図6中では、経口薬物送達錠剤システム100を示す。アクティブRFIDチップ110は、接着剤104の層によって薬物送達錠剤106に結合した成形熱可塑性体102内に配置されている。RFIDチップ110は、薬物の種類、用量、ロット番号等を特定するためにコード化されている。RFIDチップ110は、アンテナ112,112’およびバッテリ108に取付けられている。錠剤100が摂取された時点で、電極114および116は胃液に暴露される。電極114および116は、その一端でRFIDチップ110に取付けられ、そしてRFIDチップ110内に組込まれている伝導性スイッチを含み、錠剤100が摂取された際にRFIDチップ110がオンになることによって電極114および116が導電性の胃液に暴露される。
【0025】
ここで図7を参照するに、図7中では、ゼラチンで形成された下側カプセル部124およびこれもゼラチンで形成された上側カプセル部122を含む不正開封防止経口薬物送達カプセル120を示す。薬物配合物126は、下側カプセル部124内に配置されている。蛍光試薬128は、上側カプセル部122内に配置されている。不正開封防止経口薬物送達カプセル120が摂取された時点で、上側および下側のカプセル部が胃腸系中に分散することによって、蛍光試薬128が血流中に入って皮膚上に配置された蛍光検出器によって検出されるようになることが可能になる。
【0026】
ここで図8を参照し、図8中では、成形熱硬化性プラスチックで形成された上側カプセル部132とゼラチンで形成された下側カプセル部134とを含む経口薬物送達カプセル130を示す。薬物配合物136は、下側カプセル部134内に配置されている。マイクロプロセッサ140は、上側カプセル部132内に配置されている。マイクロプロセッサ140は、薬物の種類、用量、ロット番号等を特定するためにコード化されている。マイクロプロセッサ140は、超音波送受波器138およびバッテリ142の一極に取付けられている。バッテリ142の他の極は第1の電気接点144に接続されている。第2の電気接点146はマイクロプロセッサ140に接続されている。第2の電気接点146は、胃液への暴露時に膨潤する物質で形成されたパッド148上に配置されている。カプセル130が摂取された時点で、パッド148が胃液への暴露時に膨潤することによって第2の電気接点146が第1の電気接点144と接触し、これにより超音波送受波器138が調節されたコード化様式でオンになる。送受波器138からの発生超音波放射は、腹部周りに着用されたポーチ内に収容された超音波検出器によって検出される。
【0027】
本発明の下側カプセル部は、胃腸液中に分散する任意の物質,例えばゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリN,N−9−ジエチルアミノエチルメタクリレートで形成されることができる。上側カプセル部は、任意の好適な物質,例えば成形熱可塑性ポリマー,例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびポリカーボネート、または成形熱硬化性ポリマー,例えばエポキシレジンもしくはウレタンポリマーで形成されることができる。
【0028】
通信デバイスを検出する具体的な手段は本発明において重大ではない。通信デバイスと通信する検出システム(例えば通信デバイスがRFIDタグである場合にはRFIDリーダー)は、好ましくはバッテリ式で、人の上または近傍に(好ましくは腕に着用する時計様デバイス、首の周りに着用するネックレス様デバイス、腹部の上または近傍に着用するデバイス、または皮膚上に着用するパッチで)配置する。検出システムは、好ましくは、例えば更にシステムにリマインダー信号を送って患者に彼/彼女の不順守をリマインドすることができるヘルスケア専門家に後からダウンロードするために、好ましくはワイヤレスダウンロードするために、1種または複数種の薬物の種類およびその投与時間を感知および記録するようにプログラムする。
【0029】
本発明で用いる通信デバイスがRFIDタグである場合には、任意の種類のRFIDタグ,例えばアクティブRFIDタグおよびパッシブRFIDタグ(パッシブRFIDタグが好ましい)を使用できることを理解すべきである。摂取を感知する幾つかの具体的かつ好ましい手段が上記されるが、任意の手段を使用して摂取を感知できることを理解すべきであり、米国整理番号第11/436,917号(2006年5月18日出願,参照により全部を本明細書に組入れる)に記載される手段の全てが挙げられる。
【0030】
図1、4および7は、具体的な不正開封防止カプセルの態様を示すが、任意の不正開封防止カプセル設計,例えば米国特許第4,893,721号明細書(参照により全部を本明細書に組入れる)の設計を本発明において使用可能であることを理解すべきである。加えて、本発明の経口薬物カプセルは、種々のシステム,例えば米国整理番号第11/693,404号(2007年3月29日出願,参照により全部を本明細書に組入れる)に記載されるものとともに使用できる。
【0031】

図1のカプセル10のような経口薬物送達カプセルを組立てる。伝導性スイッチを有する433MHzアクティブRFIDタグを上側カプセル部内に配置し、一方、食品グレードのラクトースからなる疑似薬物配合物を下側カプセル部内に配置する。摂氏37度で撹拌しながら、40リットルのUSP疑似胃液を入れた50リットルのポリエチレンタンクの中心に置かれたプラスチックワイヤスクリーンバスケット内にカプセルを置く。受信ダイポールアンテナをタンク底部に配置する。別の受信ダイポールアンテナをタンク外側に配置する。ゼラチンカプセルは疑似胃液中で分散して伝導性スイッチがRFIDタグをオンにし、次いでこれがその433MHzの信号を発信する。タンク内のアンテナによって受信される信号強度は約5ナノワットである。タンクに対向して保持されるタンク外側のアンテナによって受信される信号強度は約0.1ナノワットである。タンクから70センチメートル離れて保持されるタンク外側のアンテナによって受信される信号強度は約0.01ナノワットである。タンクとアンテナとの間に保持されるアームは、アンテナによって受信される信号強度を若干(2−3dB)低下させる。
【0032】
タンクから更に離れて保持されるタンク外側のアンテナによって受信される最小検出可能信号強度は約0.0001ナノワットと見積もられる。タンク外側のアンテナによって受信される信号強度はRFIDタグのアンテナの位置に若干(ばらつき約1−5dB))左右されるのみである。
【0033】
本発明をその好ましい態様に関し以上で説明してきたが、本開示の精神および範囲の中で改変が可能である。従って本件は本明細書に開示される一般的な原理を用いた本発明の任意の変形、使用または適合を網羅することを意図する。更に、本発明は、本発明が関係しそして特許請求の範囲の限定の範囲内となる当該分野で公知または慣例的な実施の範囲内となるような本開示からの逸脱を網羅することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側カプセル部および薬剤配合物を収容するための下側カップ形カプセル部であって、前記下側カプセル部が胃腸液中で分散する物質で形成されており、前記下側カプセル部が口部を有しており、前記上側カプセル部が、前記下側カプセル部の前記口部と係合するように寸法決めされている、上側カプセル部および下側カプセル部;ならびに
前記上側カプセル部上にまたは前記上側カプセル部と一体化して配置されることによって経口薬物送達カプセルが摂取されたことを通信できる通信デバイス;
を含む経口薬物送達カプセルの、改善された上側カプセル部。
【請求項2】
前記通信デバイスが、RFIDタグ、電磁気信号デバイス、磁気デバイス、赤外線発光デバイスおよび超音波デバイスからなる群から選択される、請求項1に記載の改善された上側カプセル部。
【請求項3】
経口薬物送達カプセルが不正開封防止加工されたものであるように上側カプセル部が成形されている、請求項1に記載の改善された上側カプセル部。
【請求項4】
経口薬物送達カプセルが不正開封防止加工されたものであるように上側カプセル部が成形されている、請求項2に記載の改善された上側カプセル部。
【請求項5】
上側カプセル部の通信デバイスと通信するために人の上または近傍に位置する受信装置を更に含む、請求項1に記載の改善された上側カプセル部。
【請求項6】
上側カプセル部の通信デバイスと通信するために人の上または近傍に位置する受信装置を更に含む、請求項2に記載の改善された上側カプセル部。
【請求項7】
上側カプセル部の通信デバイスと通信するために人の上または近傍に位置する受信装置を更に含む、請求項3に記載の改善された上側カプセル部。
【請求項8】
上側カプセル部および薬剤配合物を収容するための下側カプセル部であって、前記上側カプセル部が胃腸液中で分散する物質で形成されており、前記下側カプセル部が口部を有しており、前記上側カプセル部が、前記下側カプセル部の前記口部と係合するように寸法決めされている、上側カプセル部および下側カプセル部;ならびに
前記下側カプセル部上にまたは前記下側カプセル部と一体化して配置されることによって経口薬物送達カプセルが摂取されたことを通信できる通信デバイス;
を含む経口薬物送達カプセルの、改善された下側カプセル部。
【請求項9】
前記通信デバイスが、RFIDタグ、電磁気信号デバイス、磁気デバイス、赤外線発光デバイスおよび超音波デバイスからなる群から選択される、請求項5に記載の改善された下側カプセル部。
【請求項10】
経口薬物送達カプセルが不正開封防止加工されたものであるように前記上側カプセル部が成形されている、請求項8に記載の改善された下側カプセル部。
【請求項11】
経口薬物送達カプセルが不正開封防止加工されたものであるように前記上側カプセル部が成形されている、請求項9に記載の改善された下側カプセル部。
【請求項12】
前記下側カプセル部の前記通信デバイスと通信するために人の上または近傍に位置する受信装置を更に含む、請求項8に記載の改善された下側カプセル部。
【請求項13】
前記下側カプセル部の前記通信デバイスと通信するために人の上または近傍に位置する受信装置を更に含む、請求項9に記載の改善された下側カプセル部。
【請求項14】
前記下側カプセル部の前記通信デバイスと通信するために人の上または近傍に位置する受信装置を更に含む、請求項10に記載の改善された下側カプセル部。
【請求項15】
改善された経口薬物送達システムであって、経口薬物送達システムが、カプセルおよび錠剤からなる群から選択され、改善が、カプセルまたは錠剤が摂取されたことを通信するようにカプセルまたは錠剤に取付けられた通信デバイスを含む、改善された経口薬物送達システム。
【請求項16】
前記通信デバイスが、RFIDタグ、電磁気信号デバイス、磁気デバイス、赤外線発光デバイスおよび超音波デバイスからなる群から選択される、請求項15に記載の改善された経口送達システム。
【請求項17】
上側カプセル部を更に含み、経口薬物送達カプセルが不正開封防止加工されたものであるように前記上側カプセル部が成形されている、請求項15に記載の改善された経口送達システム。
【請求項18】
下側カプセル部を更に含み、前記下側カプセル部が前記上側カプセル部と対を形成できる、請求項15に記載の改善された経口送達システム。
【請求項19】
前記下側カプセル部の前記通信デバイスと通信するために人の上または近傍に位置する受信装置を更に含む、請求項18に記載の改善された経口送達システム。
【請求項20】
前記通信デバイスが、アンテナを更に含む、請求項15に記載の改善された経口送達システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2010−516303(P2010−516303A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545733(P2009−545733)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/051163
【国際公開番号】WO2008/089232
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】