説明

通信・情報処理用電子機器室等の冷却システム

【課題】通信・情報処理用電子機器室等の冷却を効率良く行い、サーバが高負荷化及び増設されても各種空調機等を大型にしたり、あるいは各種空調機等の設置台数を増加させたりすることなく対応できるようにして省エネルギー、省スペース、低コスト化を図ることができる冷却システムを提供する。
【解決手段】電子機器室内で複数のサーバ同士の空間部に配設される局所冷却ユニット14を、冷媒を供給している冷凍機24に対し互いに直列接続されている1次冷却ユニット部14aと2次冷却ユニット部14bで構成し、上流側の該1次冷却ユニット部14aを電子機器室の下部に配設するとともに下流側の2次冷却ユニット部14bを電子機器室の天井周辺部に配設し、1次冷却ユニット部に吸込口及び吹出口を設け、かつ、2次冷却ユニット部14bに天井周辺部における排熱空気を取り込む上方空気吸込口と該2次冷却ユニット部14bで冷却された空気を空間部27の上方に吹き出す上方空気吹出口を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムに関するものであり、特に、通信・情報処理用の電子機器等、発熱密度の高い電子機器が複数配置されている通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
研究所のコンピュータ室やデータセンター等、通信・情報処理用のコンピュータ(以下、「電子機器」という)を多数設置している施設の電子機器室では、該電子機器から放出される熱で室温が上昇し、該高温に上昇した熱で該電子機器が暴走、あるいは、故障したりすることがある。このため、一般に、電子機器室には部屋全体の温度を一定に維持しておく空調システムが採用されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の電子機器室等の空調システムは、電子機器室の室温の安定を図るために空調装置が設けられている。該空調システムは、空調装置から吹き出されて電子機器室内に供給された空調空気が電子機器に触れて該電子機器を冷却し、逆に電子機器の熱を奪って温められた排熱空気は該電子機器室内から前記空調装置内に戻され、該空調装置内で冷却されて再び電子機器室内に供給される循環方式が取られている。
【0004】
また、多数の電子機器を設置する施設の電子機器室では、年々、電子機器の処理能力が向上し、これに伴って発熱量も局所的に増大している。このような電子機器室では、電子機器室全体の空調を行うアンビエント空調と部分的な空調を行うタスク空調を組み合わせたタスク・アンビエント空調システムが導入されている。
【0005】
図4及び図5にタスク・アンビエント空調システムを用いた従来の冷却システムの一例を示す。同図において、従来の冷却システムは、電子機器室(以下、「サーバ室」という)51内に、複数台の電子機器をラック内に各々搭載して成るサーバ52及びサーバ53を整列させて複数設置し、かつ、該サーバ52と該サーバ53との間の空間67内に、該サーバ52及び該サーバ53と分離、独立させて局所冷却ユニット54を設置している。また、該サーバ室51の内側または外側に、該サーバ室51の部屋全体を冷却する全体空調機55を設けている。
【0006】
前記サーバ室51は、床下及び天井が二重構造を有しており、床板56の下に床下空間57が形成され、天板58の上(天井裏)に天井裏空間59が形成されている。そして、前記サーバ52,53及び前記局所冷却ユニット54は、該床板56の上に設置されている。また、該床板56には、該サーバ52の吸気側(上流側)と、該局所冷却ユニット54と該サーバ53の間(該サーバ53の吸気側)、及び必要に応じた位置に、それぞれ前記床下空間57へ通ずる床面開口60,60…が設けられている。一方、前記天板58には、必要に応じた位置に前記天井裏空間59へ通ずる天面開口61,61…が設けられている。
【0007】
前記床下空間57は全体空調機55の吹出口側に接続され、前記天井裏空間59は該全体空調機55の吸い込み口側に接続されている。該全体空調機55は、天井裏空間59内から吸気し、該吸い込んだ排熱空気を適宜な温度に調節し、該調節した空調空気を床下空間57内へ吹き出す吹き出し式空調装置として構成されている。
【0008】
前記サーバ52は発熱量が大きな高負荷サーバで、前記サーバ53は発熱量が比較的少ない低負荷サーバである。しかし、該サーバ52及び該サーバ53は、負荷が同じ大きさのサーバである場合もある。また、各サーバ52,53には、それぞれ送風機(図示せず)が設けられている。そして、該サーバ52はサーバ室51内の空気を該サーバ52の前側(上流側)から吸い込み、該吸い込んだ空気で内部の電子機器を冷却するとともに、該電子機器から奪った排熱空気を前記空間部67の空間部分67a内に吹き出すことにより冷却処理を行うように構成されている。一方、前記サーバ53は前記空間部67の空間部部分67b内の空調空気を該サーバ53の前側(上流側)から吸い込み、該吸い込んだ空気で内部の電子機器を冷却するとともに、該電子機器から奪った排熱空気をサーバ室51内に吹き出すことにより冷却処理を行うように構成されている。
【0009】
前記局所冷却ユニット54は、複数個(本例では3個)の冷却コイル62,62,62と該冷却コイル62,62,62の後側に各々設置されている送風機63,63,63を備えている。該冷却コイル62,62,62は、該冷却コイル62,62,62に冷水を供給するサーバ室51の外部に設置されている冷凍機64とパイプ65で接続されている。また、該冷凍機64から該局所冷却ユニット54内の各冷却コイル62,62,62に流れる冷水の量は、該パイプ65の途中に設けられている流量調整弁66で調整される。
【0010】
そして、該局所冷却ユニット54では、前記冷凍機64により通常7℃まで冷却された水が冷却コイル62,62,62内に流され、該局所冷却ユニット54内を流れる30℃前後のサーバ52の排熱空気を該冷却コイル62,62,62の後側(上流側)に設けられている空気吸込口(図示せず)を通して吸い込む。また、この吸い込んだ空気を冷却コイル62,62,62に触れさせて20℃前後まで冷却し、その後、送風機63,63,63の前側(下流側)に設けられている空気吹出口(図示せず)を通して該局所冷却ユニット54と前記サーバ53の間の空間部分67b内に吹き出す。一方、前記冷却処理によって、冷却コイル62,62,62内で12℃程度に昇温された冷水は冷凍機64へ戻され、再び7℃まで冷却されるように構成されている。
【0011】
このよう構成された従来における冷却システムの作用を、以下に説明する。なお、以下の説明の中で記述する温度はあくまでも目安であり、当然、これ以外の温度である場合もある。
【0012】
前記全体空調機55が作動すると、該全体空調機55で約18℃に温度調整された空調空気が床下空間57に吹き出され、該空調空気が床面開口60,60…を通って前記サーバ室51内に吹き出される。該サーバ室51内に吹き出された調整空気は該サーバ室51内の空気と混合されて約20℃に上昇する。
【0013】
前記サーバ室51内に吹き出された空気は、サーバ52の箇所では該サーバ52内の冷却処理を行うことによって約30℃に昇温され、この30℃に昇温された排熱空気が空間部67の空間部分67a内に吹き出される。また、該空間部分67aに吹き出された排熱空気は局所冷却ユニット54に吸い込まれ、該局所冷却ユニット54内に吸い込まれなかった残りの排熱空気の1部は空間部分67aの上方に設けられている天面開口61を通って天井裏空間59へ向かう。
【0014】
一方、該局所冷却ユニット54内に吸い込まれた排熱空気は、該局所冷却ユニット54内で再び約20℃まで冷却処理され、この空調空気が空間部67の空間部分67b内に吹き出される。該局所冷却ユニット54から該空間部分67b内に吹き出された空調空気は、床面開口60,60…を通ってサーバ室51内に送り込まれて来る全体空調機55からの空調空気と混合されて約20℃以下の温度でサーバ53に吸い込まれる。また、該サーバ53内で、該サーバ53を冷却処理した排熱空気は約26℃に昇温され、この排熱空気がサーバ53からサーバ室51内に吹き出される。
【0015】
そして、サーバ52から吹き出された約30℃に昇温された前記排熱空気の一部、及び、サーバ53から吹き出された約26℃に昇温された排熱空気は、それぞれ天板58の天面開口61,61…を通って天井裏空間59内に吸い込まれ、これらの戻り排熱空気が該天井裏空間59内で混合されて約28℃になる。この約28℃に変化された排熱空気は全体空調機55に吸込口から吸い込まれ、該全体空調機55内で約18℃に温度調整されて再び床下空間57に吹き出され、これがサーバ室51内に送り込まれて来る。以下、この動作を繰り返してサーバ室51内とサーバ52及びサーバ53の冷却処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2003−56882号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述した従来の冷却システムでは、サーバ室における天井周辺部分に熱溜まりが発生しやすく、しかもサーバからの排熱空気を冷却処理することなく高温のまま全体空調機へ戻すようにしている。このため、全体空調機に対する負荷が大きく、全体空調機がサーバ室内全体を十分に冷却することができない問題や、冷却効率が悪くてエネルギー消費量が大きいと言うような問題があった。また、年々、サーバの発熱量は増大して行く傾向にあるが、この発熱量の増加に対してサーバ及びサーバ室内の冷却を如何にして効率良く行うかが課題になっている。
【0018】
そこで、従来ではサーバの発熱量が増加するのに伴って、局所冷却ユニットを増大する、あるいは局所冷却ユニットに冷水を供給している冷水ポンプ及び冷凍機を大型にし、かつ、冷水のパイプ径を大きくして冷水供給流量を増大させる、または全体空調機を増設あるいは大型にする等の対策が取られていた。
【0019】
しかし、サーバの発熱量の増加に伴って局所冷却ユニットの設置台数を増加、または全体空調機の設置台数の増加、あるいは全体空調機及び局所冷却ユニットを大型にするようにした対策では、空調工事費の増加やエネルギー消費量の増加が発生してコストも増大すると言う問題があった。また、サーバ室内で局所冷却ユニット等が占める比率が大きくなり、サーバを設置するスペースが減少する等の問題点もあった。
【0020】
一方、冷水を局所冷却ユニットに供給する冷水ポンプを大型にし、かつ、冷水のパイプ径を大きくして冷水供給流量を増大させるようにした対策では、空調工事費の増加に加えて、冷水のパイプを設置するスペースが大きくなり、全体空調機からの空調空気が流される床下空間内における気流スペースが減少して冷却効率を低下させる等の問題点があった。
【0021】
そこで、通信・情報処理用電子機器室等の冷却を効率良く行い、サーバが高負荷化及び増設されても各種空調機等を大型にしたり、あるいは各種空調機等の設置台数を増加させたりすることなく対応できるようにして省エネルギー、省スペース、低コスト化を図ることができる冷却システムを提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、電子機器室と、該電子機器室内に配設されている複数のサーバと、該サーバ間に設けられている局所冷却ユニットと、前記電子機器室内を空調する全体空調機と、前記局所冷却ユニットに冷媒を供給する冷凍機とを備え、前記全体空調機は前記電子機器室の天井側に設けられている天面開口を通して該電子機器室内の排熱空気を回収して冷却処理するとともに、該処理した空調空気を前記電子機器室の床面側に設けられている床面開口を通して前記電子機器室内へ供給するように構成し、前記局所冷却ユニットは前記サーバから排出される排熱空気を吸い込んで冷却処理するとともに、該処理した空調空気を周囲のサーバに向けて供給するように構成してなる通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムにおいて、前記局所冷却ユニットを、前記冷凍機に対して直列に接続されている1次冷却ユニット部と2次冷却ユニット部で構成し、上流側の該1次冷却ユニット部を前記電子機器室の下部に配設するとともに下流側の前記2次冷却ユニット部を該電気機器室の天井周辺に配設し、該2次冷却ユニット部に該電子機器室内の前記天井周辺における排熱空気を取り込む上方空気吸込口と該2次冷却ユニット部で冷却処理された調整空気を前記天面開口側に向けて吹き出す上方空気吹出口を設けてなる通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムを提供する。
【0023】
この構成によれば、局所冷却ユニットの上部スペースを利用して電子機器室内の天井周辺部分に2次冷却ユニット部が設置される。該2次冷却ユニット部は、1次冷却ユニット部が電子機器を冷却処理した後の冷媒熱を利用して電子機器室内における天井周辺部の排熱空気を冷却し、その後、天面開口及び天井裏空間を通して全体空調機に戻すことができる。したがって、電子機器室から全体空調機に戻される排熱空気は2次冷却ユニット部で冷却処理されて温度が下がり、この温度が下がった排熱空気が全体空調機に戻ることになるので、全体空調機における熱処理負荷が低減する。また、該全体空調機の熱処理負荷が低減することにより、該全体空調機から床下空間及び床面開口を通って電子機器室内へ送られる空調空気の温度も安定し、全体空調機だけでなく局所冷却ユニットの熱処理負荷も低減させることができて電子機器室全体の空調効率が上がる。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、上記局所冷却ユニットは、上記1次冷却ユニット部と上記2次冷却ユニット部に上記冷凍機から冷水を流す冷却コイルを各々設けてなる水冷式の冷却ユニットで、また、前記1次冷却ユニット部の上記冷却コイルと上記2次冷却ユニット部の上記冷却コイルの間に三方弁を備え、該三方弁は前記冷凍機からの冷水を、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルと上記2次冷却ユニット部側の冷却コイルの両方へ同時に流す第1系路形態と、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルだけに流す第2系路形態と、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルと該2次冷却ユニット部側の冷却コイルの何れにも流さない第3系路形態の、いずれか一方の系路形態に切り替え可能に構成されている通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムを提供する。
【0025】
この構成によれば、電子機器室内等の温度及び湿度等の状況に応じて三方弁を制御することより、1次冷却ユニット部側の冷却コイルと上記2次冷却ユニット部側の冷却コイルの両方に冷水を同時に流す第1系路形態と、1次冷却ユニット部側の冷却コイルだけに冷水を流す第2系路形態と、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルと上記2次冷却ユニット部側の冷却コイルの何れにも冷水を流さない第3系路形態の、3つの系路形態に切り換え、各局所冷却ユニット部間における冷水温度差が大きくなるのを防止し、かつ、過冷却及び過除湿になるのを制御することができる。
【0026】
請求項3記載の発明は、電子機器室と、該電子機器室内に配設されている複数のサーバと、前記電子機器内に冷水を流す冷却コイルを有して前記サーバ内に配設されている水冷式局所冷却ユニットと、電子機器室内を空調する全体空調機と、前記局所冷却ユニットに冷水を供給する冷凍機とを備え、前記全体空調機は前記電子機器室の天井側に設けられている天面開口を通して該電子機器室内の排熱空気を回収して冷却処理するとともに、該処理した空調空気を前記電子機器室の床面側に設けられている床面開口を通して前記電子機器室内へ供給するように構成してなる通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムにおいて、前記水冷式局所冷却ユニットは、前記冷凍機に直列接続されて設けられている冷却コイルを各々有する1次冷却ユニット部と2次冷却ユニット部を備え、かつ、上流側の該1次冷却ユニット部を前記サーバ内に配設するとともに下流側の前記2次冷却ユニット部を前記天井周辺に配設し、また該2次冷却ユニット部に前記電子機器室内の前記天井周辺における排熱空気を取り込む上方空気吸込口と該2次冷却ユニット部で冷却処理された調整空気を前記天面開口側に吹き出す上方空気吹出口を設けてなる通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムを提供する。
【0027】
この構成によれば、局所冷却ユニットの上部スペースを利用して電子機器室内の天井周辺部分に2次冷却ユニット部が設置される。該2次冷却ユニット部は、1次冷却ユニット部が電子機器を冷却処理した後の冷媒熱を利用して電子機器室内における天井周辺部の排熱空気を冷却し、その後、天面開口及び天井裏空間を通して全体空調機に戻すことができる。したがって、電子機器室から全体空調機に戻される排熱空気は2次冷却ユニット部で冷却処理されて温度が下がり、この温度が下がった排熱空気が全体空調機に戻ることになるので、全体空調機における熱処理負荷が低減する。また、該全体空調機の熱処理負荷が低減することにより、該全体空調機から床下空間及び床面開口を通って電子機器室内へ送られる空調空気の温度も安定し、全体空調機だけでなく局所冷却ユニットの熱処理負荷も低減させることができて電子機器室全体の空調効率が上がる。
【0028】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の構成において、上記2次冷却ユニット部の上記方空気吹出口を、上記天面開口と対向させて設けている通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムを提供する。
【0029】
この構成によれば、電子機器室の天井面付近の排熱空気を2次冷却ユニット部で冷却処理した後、天面開口を通して天井裏空間内にスムーズに送り込んで全体空調機側へ戻すことができる。
【0030】
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の構成において、上記水冷式局所冷却ユニットは、上記1次冷却ユニット部の上記冷却コイルと上記2次冷却ユニット部の上記冷却コイルの間に設けた三方弁を備え、該三方弁は前記冷凍機からの冷水を、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルと上記2次冷却ユニット部側の冷却コイルの両方へ同時に流す第1系路形態と、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルだけに流す第2系路形態と、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルと該2次冷却ユニット部側の冷却コイルの何れにも流さない第3系路形態の、いずれか一方の系路形態に切り替え可能に構成されている通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムを提供する。
【0031】
この構成によれば、電子機器室内等の温度及び湿度等の状況に応じて三方弁を制御することより、1次冷却ユニット部側の冷却コイルと上記2次冷却ユニット部側の冷却コイルの両方に冷水を同時に流す第1系路形態と、1次冷却ユニット部側の冷却コイルだけに冷水を流す第2系路形態と、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルと上記2次冷却ユニット部側の冷却コイルの何れにも冷水を流さない第3系路形態の、3つの系路形態に切り換え、各局所冷却ユニット部間における温度差が大きくなるのを防止し、かつ、過冷却及び過除湿になるのを制御することができる。
【発明の効果】
【0032】
請求項1記載の発明は、全体空調機による熱処理負荷を低減させることができる。また、該全体空調機の熱処理負荷が低減されることによって、該全体空調機から床下空間及び床面開口を通って電子機器室へ送られる空調空気の温度も安定するので、全体空調機だけでなく局所冷却ユニットの熱処理負荷も低減させることができ、電子機器室全体の空調効率が上がる。これにより、例え、サーバが高負荷に成ったり、あるいは増設されたとしても、全体空調機や局所冷却ユニットを大型化にしたり、あるいは設置台数を増加させたりしなくても済む。この結果、省スペース化が図れ、かつ、省エネルギー、低コスト化も可能になる。
【0033】
請求項2記載の発明は、三方弁を使用して冷水が流れる系路形態を切り換えることにより、各局所冷却ユニット間での冷水温度差が大きくなるのを防止できるとともに、過冷却及び過除湿になるのを防止できる。これにより、請求項1記載の発明の効果に加えて、各局所冷却ユニット間の冷却性能を安定させることができる。
【0034】
請求項3記載の発明は、全体空調機による熱処理負荷を低減させることができる。また、該全体空調機の熱処理負荷が低減されることによって、該全体空調機から床下空間及び床面開口を通って電子機器室へ送られる空調空気の温度も安定するので、全体空調機だけでなく局所冷却ユニットの熱処理負荷も低減させることができ、電子機器室全体の空調効率が上がる。これにより、例え、サーバが高負荷に成ったり、あるいは増設されたとしても、全体空調機や局所冷却ユニットを大型化にしたり、あるいは設置台数を増加させたりしなくても済む。この結果、省スペース化が図れ、かつ、省エネルギー、低コスト化も可能になる。
【0035】
請求項4記載の発明は、電子機器室の天井付近の排熱空気を2次冷却ユニット部で冷却処理した後、天面開口を通して天井裏空間内にスムーズに送り込んで全体空調機側へ戻すことができるので、請求項3記載の発明の効果に加えて、排熱の回収と冷却処理が向上する効果が期待できる。
【0036】
請求項5記載の発明は、三方弁を使用して冷水が流れる系路形態を切り換えることにより、各局所冷却ユニット間での温度差が大きくなるのを防止できるとともに、過冷却及び過除湿になるのを防止できる。これにより、請求項3または4記載の発明の効果に加えて、各局所冷却ユニット間の冷却性能を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る冷却システムの第1実施例を適用した電子機器室の概略を示す側面図。
【図2】図1のA−A線矢視図。
【図3】本発明に係る冷却システムの第2実施例を適用した電子機器室の概略を示す側面図。
【図4】従来の冷却システムにおける電子機器室の概略を示す側面図。
【図5】図4のB−B線矢視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明は、通信・情報処理用電子機器室等の冷却を効率良く行い、サーバが高負荷化及び増設されても各種空調機等を大型にしたり、あるいは各種空調機等の設置台数を増加させたりすることなく対応できるようにして省エネルギー、省スペース、低コスト化を図ることができる冷却システムを提供するという目的を達成するために、電子機器室と、該電子機器室内に配設されている複数のサーバと、該サーバ間に設けられている局所冷却ユニットと、前記電子機器室内を空調する全体空調機と、前記局所冷却ユニットに冷媒を供給する冷凍機とを備え、前記全体空調機は前記電子機器室の天井側に設けられている天面開口を通して該電子機器室内の排熱空気を回収して冷却処理するとともに、該処理した空調空気を前記電子機器室の床面側に設けられている床面開口を通して前記電子機器室内へ供給するように構成し、前記局所冷却ユニットは前記サーバから排出される排熱空気を吸い込んで冷却処理するとともに、該処理した空調空気を周囲のサーバに向けて供給するように構成してなる通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムにおいて、前記局所冷却ユニットを、前記冷凍機に対して直列に接続されている1次冷却ユニット部と2次冷却ユニット部で構成し、上流側の該1次冷却ユニット部を前記電子機器室の下部に配設するとともに下流側の前記2次冷却ユニット部を該電気機器室の天井周辺に配設し、該2次冷却ユニット部に該電子機器室内の前記天井周辺における排熱空気を取り込む上方空気吸込口と該2次冷却ユニット部で冷却処理された調整空気を前記天面開口側に向けて吹き出す上方空気吹出口を設けたことにより実現した。
【実施例】
【0039】
以下、本発明に係る通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムの第1実施例を図1及び図2に示す具体例に基づいて詳細に説明する。同図において、第1実施例の冷却システムは、電子機器室(以下、「サーバ室」という)11内に、複数台の電子機器をラック内に各々搭載して成るサーバ12及びサーバ13を複数整列させて設置し、かつ、該サーバ12と該サーバ13との間の空間27内に局所冷却ユニット14を該サーバ12及び該サーバ13と分離、独立させて設置している。また、該サーバ室11の内側または外側には、該サーバ室11の部屋全体を冷却する全体空調機15が設置されている。
【0040】
前記サーバ室11は、床下及び天井が二重構造を有しており、床板16の下に床下空間17が形成され、天板18の上(天井裏)に天井裏空間19が形成されている。そして、前記サーバ12,13及び前記局所冷却ユニット14は該床板16の上に整列された状態で設置されている。また、該床板16には、該サーバ12の吸気側(上流側)と、該局所冷却ユニット14と該サーバ13の間(該サーバ13の吸気側)、及び必要に応じた位置に、それぞれ前記床下空間17へ通ずる床面開口20,20…が設けられている。一方、前記天板18には、必要に応じた位置に前記天井裏空間19へ通ずる天面開口21,21…が設けられている。
【0041】
前記床下空間17は全体空調機15の吹出口側に接続され、前記天井裏空間19は該全体空調機15の吸い込み口側に接続されている。該全体空調機15は、サーバ室11内の排熱空気を天井裏空間19及び天面海溝21,21…を通して吸気し、適宜な温度に調節した空調空気を床下空間17内へ吹き出し、かつ、床下空間17及び床面開口20,20…を通してサーバ室11内に送る吹き出し式空調装置として構成されている。
【0042】
前記サーバ12は発熱量が大きな高負荷サーバで、前記サーバ13は発熱量が比較的少ない低負荷サーバである。しかし、該サーバ12及び該サーバ13は、負荷が同じ大きさのサーバである場合もある。また、各サーバ12,13には、それぞれ送風機(図示せず)が設けられている。
【0043】
そして、該サーバ12は、前記送風機の駆動によりサーバ室11内の空調空気を該サーバ12の前側(上流側)の吸気口(図示せず)から強制的に吸い込み、該吸い込んだ空調空気で内部の電子機器を冷却するとともに、該電子機器から奪った排熱空気を後側(下流側)の排気口(図示せず)から前記空間部27の空間部分27a内へ強制的に吹き出すことにより冷却処理を行うように構成されている。一方、前記サーバ13は、前記送風機の駆動により前記空間部27の空間部分27b内の空調空気を該サーバ13の前側(上流側)から強制的に吸い込み、該吸い込んだ空気で内部の電子機器を冷却するとともに、該電子機器から奪った排熱空気をサーバ室11内に吹き出すことにより冷却処理を行うように構成されている。
【0044】
前記局所冷却ユニット14は、1次冷却ユニット部14aと2次冷却ユニット部14bとで構成されている。
【0045】
前記1次冷却ユニット部14aは、水冷式の冷却装置であり、冷凍機24からパイプ25a,25bを通して循環式に供給されて来る冷水(冷媒)を通す3個の冷却コイル28,28,28と、該冷却コイル28,28,28の前側(下流側)に該冷却コイル28,28,28と各々対向して配置されている3台の送風機29,29,29)とを備えている。そして、該1次冷却ユニット部14aは、前記サーバ12とサーバ13の間の前記空間部27内に配置され、送風機29,29,29の駆動によりサーバ12と該第1冷却ユニット部14aの間の空間部分27a内に該サーバ12から排出された排熱空気を該第1冷却ユニット部14aの後側(上流側)の吸気口(図示せず)から強制的に吸い込み、該吸い込んだ排熱空気を冷却コイル28,28,28で冷却処理し、該冷却処理された空調空気を前側(下流側)の排気口(図示せず)から該第1冷却ユニット部14aと前記サーバ13の間の空間部分27b内へ強制的に吹き出すように構成されている。
【0046】
前記2次冷却ユニット部14bは、前記1次冷却ユニット部14aと同様に水冷式の冷却装置であり、1次冷却ユニット部14aの前記冷却コイル28,28,28の下流側で、該冷却コイル28,28,28に直列接続されている冷却コイル30と、該コイル30の後側(上流側)に配置されている送風機31,31とを備えている。したがって、該冷凍機23と該冷却コイル28,28,28と該冷却コイル30は互いに直列接続され、該冷凍機23からパイプ25aを通って供給される冷水は、冷却コイル28,28,28、冷却コイル30、パイプ25bを順に通って冷凍機23へ再び戻るように構成されている。
【0047】
また、前記2次冷却ユニット部14bは、前記1次冷却ユニット部14aの上方で天板18に吊り下げられて天井周辺部に配置されている。該2次冷却ユニット部14bは、該2次冷却ユニット部14b内の送風機31,31が駆動されると天井周辺部の排熱空気を該第2冷却ユニット部14bの後側(上流側)の吸気口(図示せず)から強制的に吸い込み、該吸い込んだ空気を冷却コイル30で冷却処理し、該冷却処理した空調空気を前側(下流側)の排気口(図示せず)から天面開口21側へ向けて強制的に吹き出すように構成されている。
【0048】
また、該冷凍機23から該局所冷却ユニット14内の各冷却コイル28,28,28と冷却コイル30に流れる冷水は、各パイプ25a,26aの途中に設けられている流量調整弁33で調整でき、該冷却コイル28,28,28と該冷却コイル30の間には系路切換弁としての三方弁32が設けられている。
【0049】
前記三方弁32は、冷凍機23からの冷水を1次冷却コイル部14a側の冷却コイル28,28,28と2次冷却コイル部14b側の冷却コイル30の両方に同時に流す第1冷却系路形態と、該1次冷却コイル部14a側の冷却コイル28,28,28だけに冷水を流す第2冷却系路形態と、該1次冷却コイル部14a側と上記2次冷却コイル部14b側のいずれのコイルにも冷水を流さない第3冷却系路形態の、いずれか一方の形態に切り替える弁である。該三方弁32による系路形態の切り換えは制御部(図示せず)の指示により行われ、この切り換えで1次冷却ユニット部14aと2次冷却ユニット部14bの間における温度差が大きくなるのを防止するとともに、過冷却及び過除湿になるのを制御することができる。
【0050】
このよう構成された冷却システムの作用を、以下に説明する。なお、以下の説明の中で記述する温度はあくまでも目安であり、当然、これ以外の温度である場合もある。
【0051】
前記全体空調機15が作動すると、該全体空調機15で約18℃に温度調整された空調空気が床下空間17に吹き出され、該空調空気が床面開口20,20…を通って前記サーバ室11内に吹き出される。該サーバ室11内に吹き出された調整空気は該サーバ室11内の空気と混合されて約20℃に上昇する。
【0052】
前記サーバ室11内に吹き出された空気は、サーバ12の箇所では該サーバ12内の冷却処理を行うことによって約30℃に昇温され、この30℃に昇温された排熱空気が空間部27の空間部分27a内に吹き出される。また、該空間部分27aに吹き出された排熱空気は局所冷却ユニット14の1次冷却ユニット部14a内に吸い込まれ、1部は空間部分27aの上方である天板18に取り付けられている2次冷却ユニット部14b内に吸い込まれる。
【0053】
局所冷却ユニット14の1次冷却ユニット部14a内に吸い込まれた排熱空気は、該1次冷却ユニット部14a内で再び約20℃まで冷却処理され、この空調空気が空間部27の空間部分27b内に吹き出される。該1次冷却ユニット部14aから該空間部分27b内に吹き出された空調空気は、床面開口20,20…を通って来る全体空調機15からの空調空気と混合されて約20℃以下の温度でサーバ13に吸い込まれる。また、該サーバ13内で、該サーバ13を冷却処理した排熱空気は約26℃に昇温され、この排熱空気がサーバ13からサーバ室11内に吹き出される。
【0054】
一方、空間部27の上方で天井面付近の排熱空気を吸い込んだ2次冷却ユニット部14bは、該排熱空気を約20℃まで冷却処理し、この空調空気を天板18の天面開口21側に向けて吹き出す。そして、サーバ13から吹き出された約26℃に昇温された前記排熱空気の一部と混合され、かつ、天板18の天面開口21,21を通って天井裏空間19内に吸い込まれ、これらの戻り排熱空気が該天井裏空間19内で混合されて約26℃以下になる。この約26℃以下に変化された排熱空気は全体空調機15に吸込口から吸い込まれ、該全体空調機15内で約18℃に温度調整されて再び床下空間17に吹き出されてサーバ室11内に送り込まれる。以下、この動作を繰り返してサーバ室11内とサーバ12及びサーバ13の冷却処理を行う。
【0055】
したがって、第1実施例の冷却システムでは、天井周辺部の上部スペースを利用して2次冷却ユニット部14bを設置し、1次冷却ユニット部14aがサーバ12を冷却処理した後の冷媒熱を利用してサーバ室11の天井周辺部の排熱空気を2次冷却ユニット部14bで冷却し、その後、天面開口21及び天井裏空間19を通して全体空調機15に戻すようにしているので、サーバ室11から全体空調機15に戻される排熱空気は、2次冷却ユニット部14bで冷却されて温度が下がり、温度の低い排熱空気になって戻ることになり、全体空調機15による熱処理負荷が低減する。また、該全体空調機15の熱処理負荷が低減することにより、該全体空調機15から床下空間17及び床面開口20を通ってサーバ室11内へ再び戻される空調空気の温度も安定し、全体空調機15だけでなく局所冷却ユニット14の熱処理負荷も低減させることができ、サーバ室11全体の空調効率が上がることになる。
【0056】
次に、本発明の第2実施例における冷却システムについて、図3を参照して説明する。この第2実施例における冷却システムは、サーバ室11内の床板16上に互いに対向させて配設されたサーバ35,35にそれぞれ局所冷却ユニット36の1次冷却ユニット部36aを内蔵させた構造にしたものであり、他の構成は図1及び図2と同一であるから、同一の構成部分は同一符号を付して重複説明を省略する。
【0057】
この第2実施例では、サーバ35,35と天板18との間の上方空間に局所冷却ユニット36の2次冷却ユニット部36bを設けている。前記1次冷却ユニット部36aと該2次冷却ユニット部36bは、冷却コイル37,38をそれぞれ備え、各サーバ35,35には送風機(図示せず)が設けられている。また、前記1次冷却ユニット部36aの冷却コイル37と該2次冷却ユニット部36bの冷却コイル38は、該冷凍コイル38を下流側にして、冷凍機24に対し直列に接続されている。
【0058】
さらに、床板16の床面開口20はサーバ35とサーバ35の間に位置して設けられている。
【0059】
前記2次冷却ユニット部36bは、天板18から吊り下げられた状態で該天板18に取り付けられている。該2次冷却ユニット部36bには、空気吸込口39がサーバ室11の側面に向けて設けられているとともに、空気吹出口40が天板18の天面開口21と対向して設けられている。また、該空気吹出口40には、送風機41,41,41が設けられている。
【0060】
この第2実施例の冷却システムでは、全体空調機15が作動すると、該全体空調機15で約18℃に温度調整された空調空気が床下空間17に吹き出され、該空調空気が床面開口20を通ってサーバ35とサーバ35の間から前記サーバ室11内に吹き出される。該サーバ室11内に吹き出された調整空気は該サーバ室11内の空気と混合されて約20℃に上昇する。
【0061】
前記サーバ室11内に吹き出された空気は、サーバ35内を通り、該サーバ35内での冷却処理により約33℃に昇温され、この33℃に昇温された排熱空気がサーバ室11内に吹き出される。また、サーバ室11に吹き出された排熱空気は空気吸込口39から2次冷却ユニット部36b内に吸い込まれる。
【0062】
2次冷却ユニット部36b内に吸い込まれた排熱空気は、該2次冷却ユニット部36b内で約28℃以下まで冷却処理され、この空調空気が空気吹出口40及び天板18の天面開口21を通って吹き出される。また、この空調空気が全体空調機15に送られ、該全体空調機15内で約18℃に温度調整されて再び床下空間17に吹き出されてサーバ室11内に送り込まれる。以下、この動作を繰り返してサーバ室11内とサーバ12及びサーバ13の冷却処理を行う。
【0063】
したがって、第2実施例の冷却システムでも、天井付近の上部スペースを利用して2次冷却ユニット部36bを設置し、1次冷却ユニット部36aがサーバ35,35を冷却処理した後の冷媒熱を利用してサーバ室11の天井周辺部の排熱空気を2次冷却ユニット部36bで冷却し、その後、天井裏空間19を通して全体空調機15に戻すようにしているので、サーバ室11から全体空調機15に戻される排熱空気は、2次冷却ユニット部36bで冷却されて温度が下がり、温度の低い排熱空気になって戻ることになる。この結果、全体空調機15による熱処理負荷が低減することになる。また、該全体空調機15の熱処理負荷が低減することにより、該全体空調機15から床下空間17及び床面開口20を通ってサーバ室11内へ再び戻される空調空気の温度も安定し、全体空調機15だけでなく局所冷却ユニット14の熱処理負荷も低減させることができ、サーバ室11全体の空調効率が上がることになる。
【0064】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明は1次冷却ユニット部で余った冷却熱を2次冷却ユニット部へ送って天井周辺部を冷却するというカスケード冷却をする構成としているので、水冷式の冷却に限らずに一般的な冷却システムにも応用できる。
【符号の説明】
【0066】
11 サーバ室(サーバ室)
12 サーバ(高負荷サーバ)
13 サーバ(低負荷サーバ)
14 局所冷却ユニット
14a 1次冷却ユニット部
14b 2次冷却ユニット部
15 全体空調機
16 床板
17 床下空間
18 天板
19 天井裏空間
20 床面開口
21 天面開口
22 冷却コイル
23 送風機
24 冷凍機
25 パイプ
26 流量調整弁
27 空間部
27a 空間部
27b 空間部
28 冷却コイル
29 送風機
30 冷却コイル
31 送風機
32 三方弁
35 サーバ
36a 1次冷却ユニット部
36b 2次冷却ユニット部
37 冷却コイル
38 冷却コイル
39 空気吸込口
40 空気吹出口
41 送風機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器室と、該電子機器室内に配設されている複数のサーバと、該サーバ間に設けられている局所冷却ユニットと、前記電子機器室内を空調する全体空調機と、前記局所冷却ユニットに冷媒を供給する冷凍機とを備え、前記全体空調機は前記電子機器室の天井側に設けられている天面開口を通して該電子機器室内の排熱空気を回収して冷却処理するとともに、該処理した空調空気を前記電子機器室の床面側に設けられている床面開口を通して前記電子機器室内へ供給するように構成し、前記局所冷却ユニットは前記サーバから排出される排熱空気を吸い込んで冷却処理するとともに、該処理した空調空気を周囲のサーバに向けて供給するように構成してなる通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムにおいて、
前記局所冷却ユニットを、前記冷凍機に対して直列に接続されている1次冷却ユニット部と2次冷却ユニット部で構成し、上流側の該1次冷却ユニット部を前記電子機器室の下部に配設するとともに下流側の前記2次冷却ユニット部を該電気機器室の天井周辺に配設し、該2次冷却ユニット部に該電子機器室内の前記天井周辺における排熱空気を取り込む上方空気吸込口と該2次冷却ユニット部で冷却処理された調整空気を前記天面開口側に向けて吹き出す上方空気吹出口を設けてなることを特徴とする通信・情報処理用電子機器室等の冷却システム。
【請求項2】
上記局所冷却ユニットは、上記1次冷却ユニット部と上記2次冷却ユニット部に上記冷凍機から冷却水を流す冷却コイルを各々設けてなる水冷式の冷却ユニットで、また、前記1次冷却ユニット部の上記冷却コイルと上記2次冷却ユニット部の上記冷却コイルの間に三方弁を備え、該三方弁は前記冷凍機からの冷却水を、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルと上記2次冷却ユニット部側の冷却コイルの両方へ同時に流す第1系路形態と、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルだけに流す第2系路形態と、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルと該2次冷却ユニット部側の冷却コイルの何れにも流さない第3系路形態の、いずれか一方の系路形態に切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項2記載の通信・情報処理用電子機器室等の冷却システム。
【請求項3】
電子機器室と、該電子機器室内に配設されている複数のサーバと、前記電子機器内に冷却水を流す冷却コイルを有して前記サーバ内に配設されている水冷式局所冷却ユニットと、電子機器室内を空調する全体空調機と、前記局所冷却ユニットに冷却水を供給する冷凍機とを備え、前記全体空調機は前記電子機器室の天井側に設けられている天面開口を通して該電子機器室内の排熱空気を回収して冷却処理するとともに、該処理した空調空気を前記電子機器室の床面側に設けられている床面開口を通して前記電子機器室内へ供給するように構成してなる通信・情報処理用電子機器室等の冷却システムにおいて、
前記水冷式局所冷却ユニットは、前記冷凍機に直列接続されて設けられている冷却コイルを各々有する1次冷却ユニット部と2次冷却ユニット部を備え、かつ、上流側の該1次冷却ユニット部を前記サーバ内に配設するとともに下流側の前記2次冷却ユニット部を前記天井周辺に配設し、また該2次冷却ユニット部に前記電子機器室内の前記天井周辺における排熱空気を取り込む上方空気吸込口と該2次冷却ユニット部で冷却処理された調整空気を前記天面開口側に吹き出す上方空気吹出口を設けてなることを特徴とする通信・情報処理用電子機器室等の冷却システム。
【請求項4】
上記2次冷却ユニット部の上記上方空気吹出口を、上記天面開口と対向させて設けていることを特徴とする請求項3記載の通信・情報処理用電子機器室等の冷却システム。
【請求項5】
上記水冷式局所冷却ユニットは、上記1次冷却ユニット部の上記冷却コイルと上記2次冷却ユニット部の上記冷却コイルの間に設けた三方弁を備え、該三方弁は前記冷凍機からの冷却水を、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルと上記2次冷却ユニット部側の冷却コイルの両方へ同時に流す第1系路形態と、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルだけに流す第2系路形態と、該1次冷却ユニット部側の冷却コイルと該2次冷却ユニット部側の冷却コイルの何れにも流さない第3系路形態の、いずれか一方の系路形態に切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項3または4記載の通信・情報処理用電子機器室等の冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−257431(P2010−257431A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110113(P2009−110113)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(592031318)富士古河E&C株式会社 (7)
【Fターム(参考)】