説明

通信制御方法、及び通信システム

【課題】複数の通信装置が連携して周波数帯の二次利用を安全に開始すること。
【解決手段】第1の通信装置から第2の通信装置へ、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用する第2の通信サービスの利用の可否の判定を指示するステップと、前記第2の通信装置から周囲に位置する通信装置へ、通信状況の測定を指示するステップと、前記第2の通信装置の周囲に位置する第3の通信装置から前記第2の通信装置へ、通信状況を測定した測定データを送信するステップと、前記第2の通信装置により、前記測定データに基づいて前記第2の通信サービスの利用の可否を判定するステップと、前記第2の通信装置から前記第1の通信装置へ、前記第2の通信サービスの利用の可否の判定結果を送信するステップと、前記第1の通信装置により、前記第2の通信装置から受信した前記判定結果に応じて前記第2の通信サービスの利用を許可するステップと、を含む通信制御方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御方法、及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一次利用される周波数帯(スペクトラム)の利用状況に応じて、その周波数帯を二次的な通信サービスに利用できるようにするための議論が進められている。例えば、米国のデジタルTV放送の周波数帯に含まれる未使用のチャネル(TVホワイトスペース)を無線通信に開放するための標準規格がIEEE802.22ワーキンググループにおいて検討されている(下記非特許文献1参照)。また、2008年11月のFCC(Federal Communications Commission)からの報告によれば、一定の条件を満たして許可を受けた通信装置を用いてTVホワイトスペースを二次利用することが認められる方向にある(下記非特許文献2参照)。また、EUを中心として、DSA(Dynamic Spectrum Access)を実現するためのCPC(Cognitive Pilot Channel)と呼ばれる専用の制御チャネルを全世界共通で割当てようとする動きもある。さらに、DSAを行う二次利用システムのための技術検討はIEEEのSCC(Standards Coordinating Committee)41においても進められている。また、周波数帯の二次利用の他の例として、ライセンスを受けていない周波数帯を使用する多数派システム(Majority System)のサービスエリアの中で、より簡易な通信プロトコルを用いて二次的な通信システムが構築される場合もある。例えば、ISM(Industry-Science-Medical)帯を使用するWiFi(登録商標)システムが多数派システムである場合に、そのサービスエリアの中で他の簡易な通信プロトコルを用いて二次的な通信システムを構築することなどが考えられる。
【0003】
このような周波数帯の二次利用に際しては、事前に周囲の通信状況を測定し、二次利用に係る通信サービス(以下、第2の通信サービスという)が一次利用に係る通信サービス(以下、第1の通信サービスという)に悪影響を与えないことを確認することが求められる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「IEEE802.22 WG on WRANs」、[online]、[2009年1月5日検索]、インターネット<URL:http://www.ieee802.org/22/>
【非特許文献2】「SECOND REPORT AND ORDER AND MEMORANDUM OPINION AND ORDER」、[online]、[2009年1月5日検索]、インターネット<URL:http://hraunfoss.fcc.gov/edocs_public/attachmatch/FCC-08-260A1.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、二次利用システムを実現する上で、システムに参加する通信装置が有すべき機能を分類し、その分類に基づいて周波数帯の二次利用を安全に開始することのできる具体的な手順を提示した事例は未だ報告されていない。
【0006】
そこで、本発明は、複数の通信装置が連携して周波数帯の二次利用を安全に開始することのできる、新規かつ改良された通信制御方法、及び通信システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある実施形態によれば、第1の通信装置から第2の通信装置へ、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用する第2の通信サービスの利用の可否の判定を指示するステップと、上記第2の通信装置から周囲に位置する通信装置へ、通信状況の測定を指示するステップと、上記第2の通信装置の周囲に位置する第3の通信装置から上記第2の通信装置へ、通信状況を測定した測定データを送信するステップと、上記第2の通信装置により、上記測定データに基づいて上記第2の通信サービスの利用の可否を判定するステップと、上記第2の通信装置から上記第1の通信装置へ、上記第2の通信サービスの利用の可否の判定結果を送信するステップと、上記第1の通信装置により、上記第2の通信装置から受信した上記判定結果に応じて上記第2の通信サービスの利用を許可するステップと、を含む通信制御方法が提供される。
【0008】
また、上記通信制御方法は、上記第3の通信装置により、上記通信状況の測定の指示を受けた後、さらに周囲に位置する通信装置へ通信状況の測定を指示するための測定指示を送信するステップ、をさらに含んでもよい。
【0009】
また、上記通信制御方法は、上記第2の通信装置の周囲に通信状況を測定可能な複数の通信装置が存在する場合に、当該複数の通信装置により測定された測定データを、当該複数の通信装置のうちの1の通信装置である上記第3の通信装置により集約するステップ、をさらに含んでもよい。
【0010】
また、上記通信制御方法は、上記第2の通信サービスの利用の可否を判定可能な複数の通信装置が存在する場合に、上記第1の通信装置により、当該複数の通信装置から上記第2の通信サービスの利用の可否を判定させる装置を選択するステップ、をさらに含んでもよい。
【0011】
また、上記通信制御方法は、上記第2の通信サービスの利用が許可された後、当該第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の要求を受けた場合に、上記第1の通信装置から第4の通信装置へ、上記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否の判定を指示するステップ、をさらに含んでもよい。
【0012】
また、上記通信制御方法は、上記第4の通信装置から上記第2の通信装置へ、上記第2の通信サービスに関連するプロファイルデータの送信を指示するステップと、上記第2の通信装置から上記第4の通信装置へ、上記プロファイルデータを送信するステップと、をさらに含んでもよい。
【0013】
また、上記通信制御方法は、上記第4の通信装置により、上記プロファイルデータに基づいて上記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否を判定するステップ、をさらに含んでもよい。
【0014】
また、上記通信制御方法は、上記4の通信装置から上記第1の通信装置へ、上記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否の判定結果を送信するステップ、をさらに含んでもよい。
【0015】
また、上記通信制御方法は、上記第1の通信装置により、上記第4の通信装置から受信した上記判定結果に応じて上記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張を許可するステップ、をさらに含んでもよい。
【0016】
また、本発明の別の実施形態によれば、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用する第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の要求を受けた場合に、第1の通信装置から第2の通信装置へ、当該ネットワークの拡張の可否の判定を指示するステップと、上記第2の通信装置から上記第2の通信サービスを提供している第3の通信装置へ、上記第2の通信サービスに関連するプロファイルデータの送信を指示するステップと、上記第3の通信装置から上記第2の通信装置へ、上記プロファイルデータを送信するステップと、上記第2の通信装置により、上記プロファイルデータに基づいて上記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否を判定するステップと、上記2の通信装置から上記第1の通信装置へ、上記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否の判定結果を送信するステップと、上記第1の通信装置により、上記第2の通信装置から受信した上記判定結果に応じて上記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張を許可するステップと、を含む通信制御方法が提供される。
【0017】
また、本発明の別の実施形態によれば、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用する第2の通信サービスの利用を許可する権限を有する許可部、を備える第1の通信装置と、上記第2の通信サービスの利用の可否を判定可能な判定部、を備える第2の通信装置と、周囲の通信状況を測定可能な測定部、を備える第3の通信装置と、を含み、上記許可部は、上記第2の通信装置に上記第2の通信サービスの利用の可否の判定を指示し、及び、当該第2の通信装置から受信する上記第2の通信サービスの利用の可否の判定結果に応じて上記第2の通信サービスの利用を許可し、上記判定部は、上記第3の通信装置に周囲の通信状況の測定を指示し、及び、当該第3の通信装置から受信する通信状況を測定した測定データに基づいて上記第2の通信サービスの利用の可否を判定する、通信システムが提供される。
【0018】
また、本発明の別の実施形態によれば、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用する第2の通信サービスに係るネットワークの拡張を許可する権限を有する許可部、を備える第1の通信装置と、上記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否を判定可能な拡張判定部、を備える第2の通信装置と、上記第2の通信サービスの利用の可否を判定可能な判定部、を備える第3の通信装置と、を含み、上記許可部は、上記第2の通信装置に上記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否の判定を指示し、及び、当該第2の通信装置から受信する上記ネットワークの拡張の可否の判定結果に応じて当該ネットワークの拡張を許可し、上記拡張判定部は、上記第3の通信装置に上記第2の通信サービスに関連するプロファイルデータの送信を指示し、及び、当該第3の通信装置から受信する上記プロファイルデータに基づいて上記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否を判定する、通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係る通信制御方法、及び通信システムによれば、複数の通信装置が連携して周波数帯の二次利用を安全に開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】二次通信許可ノードの状態遷移の一例を示す状態遷移図である。
【図2】拡張判定ノードの状態遷移の一例を示す状態遷移図である。
【図3】判定ノードの状態遷移の一例を示す状態遷移図である。
【図4】協調測定ノードの状態遷移の一例を示す状態遷移図である。
【図5】測定ノードの状態遷移の一例を示す状態遷移図である。
【図6】一実施形態に係る通信装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図7】一実施形態に係る通信システムの構成例を示す模式図である。
【図8】図7の通信システムにおける機能配置の一例を示すブロック図である。
【図9】周波数帯の二次利用を開始するための一実施形態に係る通信制御処理の流れを示すシーケンス図である。
【図10】図9のシーケンス図における協調型センシングの流れをより具体的に示すシーケンス図である。
【図11】第2の通信ネットワークを拡張するための一実施形態に係る通信制御処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
また、以下の順序にしたがって当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.周波数帯の二次利用のための機能分類と状態遷移
2.通信装置のハードウェア構成例
3.通信システムの構成例
4.通信制御処理の流れ
5.ノード間で送受信されるデータの例
6.まとめ
【0023】
<1.周波数帯の二次利用のための機能分類と状態遷移>
まず、周波数帯の二次利用を実現するために、システムに参加する通信装置が有すべき主な機能(FC:Function Class)を以下に列挙する。なお、システムに参加する通信装置は、ここに列挙する7つの機能(FC1〜FC7)のうちいずれか1つ又は複数の機能を有するものとする。
・FC1:二次通信許可ノード
・FC2:一次通信中継ノード
・FC3:拡張判定ノード
・FC4:判定ノード
・FC5:協調測定ノード
・FC6:測定ノード
・FC7:通信ノード
【0024】
[1−1.二次通信許可ノード(FC1)]
二次通信許可ノード(FC1)は、後述する拡張判定ノード又は判定ノードにより周波数帯の二次利用が可能であると判定された場合に、周波数利用規定(スペクトラムポリシー)に応じた所定の許可条件に従って第2の通信サービスの開始又は拡張を許可する。二次通信許可ノードは、例えば、過去に周波数の不正利用をした識別子の一覧に、拡張判定ノード又は判定ノードから送信される端末識別子、認証識別子、デバイス識別子、又はセンサ識別子などが含まれているか否かを確認してもよい。そして、例えば、不正利用をした識別子の一覧に上記いずれかの識別子が含まれている場合には、二次通信許可ノードは、第2の通信サービスの開始又は拡張を拒否することができる。また、第1の通信サービスのトラフィックを制御する基地局が二次通信許可ノードである場合には、当該基地局は、ユーザトラフィックの履歴等を参照し、空きチャネルの多い時間帯や場所について二次利用の許可を与えてもよい。それにより、一部の空きチャネルを開放して周波数帯の有効利用を図ることができる。さらに、二次通信許可ノードは、拡張判定ノード又は判定ノードにより二次利用可否の判定に使用される情報を生成若しくは取得し、又は更新して、拡張判定ノード又は判定ノードへ配信してもよい。二次利用可否の判定に使用される情報には、例えば、センシングに使用できる電力レベルなどの地域ごと若しくはサービスエリアごとの周波数利用規制情報(Regulatory情報)並びに隣接セルの基地局が提供するシステム情報(使用している帯域及び帯域幅など)が含まれる。即ち、二次通信許可ノードは、第2の通信サービスの所謂コーディネータとして動作し得る。
【0025】
図1は、二次通信許可ノードの状態遷移の一例を示す状態遷移図である。図1を参照すると、二次通信許可ノードは、状態S100〜状態S118の10個の状態をとり得る。
【0026】
まず、二次通信許可ノードは、スタンバイ状態(S100)から初期化処理中の状態(S102)を経て待機状態(S104)となると、二次利用の開始の要求を待つ。その後、例えばユーザ入力やアプリケーションから発せられる外部信号などにより二次利用の開始要求が検知されると、周囲の判定ノードに二次利用の開始の可否の判定を指示する(S106)。このとき、二次利用許可ノードは、後述する制御データを生成し、判定指示と共に判定ノードへ送信する。そして、二次利用許可ノードは、判定ノードからの応答を待つ状態となる(S108)。その後、判定ノードから二次利用の開始の許可を要求する許可要求を受信すると、二次利用許可ノードは、上述した許可条件に従って、第2の通信サービスの開始を許可するか否かを判断する(S110)。ここでの判断結果は、許可要求を送信した判定ノードへ伝えられ、第2の通信サービスの開始が許可された場合には、当該判定ノードと周囲の通信装置との間で第2の通信サービスが開始される。
【0027】
さらに、二次通信許可ノードは、第2の通信サービスに係るネットワーク(以下、第2の通信ネットワークという)の拡張要求が検知されると、周囲の拡張判定ノードに第2の通信ネットワークの拡張の可否の判定を指示する(S112)。このとき、二次利用許可ノードは、後述する制御データを生成し、拡張判定指示と共に拡張判定ノードへ送信する。そして、二次利用許可ノードは、拡張判定ノードからの応答を待つ状態となる(S114)。その後、拡張判定ノードから第2の通信ネットワークの拡張の許可を要求する拡張許可要求を受信すると、二次利用許可ノードは、所定の拡張許可条件に従って、第2の通信ネットワークの拡張を許可するか否かを判断する(S116)。ここでの判断結果は、拡張許可要求を送信した拡張判定ノードへ伝えられ、第2の通信ネットワークの拡張が許可された場合には、当該ネットワークが拡張される。
【0028】
なお、二次通信許可ノードは、これら処理の間にリセット信号を検知した場合には、リセット処理中の状態(S118)を経て、スタンバイ状態(S100)へ戻ることができる。また、図1には示していないが、二次通信許可ノードにより開始又は拡張された第2の通信サービスを取り消す(停止させる)ことが可能な場合には、当該取消し処理中の状態がさらに含まれていてもよい。
【0029】
また、二次通信許可ノードには、永続的な二次通信許可ノードと一時的な二次通信許可ノードの2種類が含まれ得る。永続的な二次通信許可ノードとは、法令などで定められた一定の基準を満たすことで第2の通信サービスのコーディネートを認められた通信装置をいう。一方、一時的な二次通信許可ノードとは、通信状況等に応じた所定の基準を満たすことで永続的な二次通信許可ノードから権限を与えられた場合に、与えられたその権限の範囲内(例えば、限られた周波数チャネル若しくはリソースブロックの範囲内、又は所定の限度の送信電力の範囲内、など)で一時的に第2の通信サービスをコーディネートする通信装置をいう。通信サービスの“コーディネート”とは、例えば、第2の通信サービスに対するリソースの割り当て(即ちスケジューリング)を含み得る。一時的な二次通信許可ノードは、例えば、永続的な二次通信許可ノードと相互にスケジューリング情報を交換しながら、協調的に第2の通信サービスへのリソースの割り当てを行ってもよい。図1に示した状態遷移は、永続的な二次通信許可ノードと一時的な二次通信許可ノードのいずれにも適用され得る。
【0030】
[1−2.一次通信中継ノード(FC2)]
一次通信中継ノード(FC2)は、一次利用に係る通信ネットワーク(以下、第1の通信ネットワークという)と接続されている場合に、周囲のノードが第1の通信サービスを利用するための擬似的な基地局又はアクセスポイントとして動作する。
【0031】
[1−3.拡張判定ノード(FC3)]
拡張判定ノード(FC3)は、後述する判定ノードから収集した二次通信プロファイルに基づき、周波数利用規定に応じた所定の拡張可能条件に従って第2の通信ネットワークの拡張が可能か否かを判定する。二次通信プロファイルには、典型的には、通信状況を測定した測定データ(測定データから統計的に計算されるリンクデータをも含む)が含まれる。また、二次通信プロファイルには、第2の通信ネットワークのそれぞれにおけるスケジューリング情報が含まれてもよい。また、二次通信プロファイルには、各判定ノードが保持する周波数利用規定の識別子などが含まれてもよい。例えば、拡張判定ノードは、近隣の第2の通信ネットワークとの間で二次利用の開始基準(センシングレベルやデータベース)が一致している場合に、第2の通信ネットワークを拡張可能と判定してもよい。その代わりに、拡張判定ノードは、全てのネットワークが最も厳しいセンシングレベルを満たしている場合に、第2の通信ネットワークを拡張可能と判定してもよい。また、拡張判定ノードは、ネットワーク間で共通のチャネルを利用してデータベースにアクセス可能である場合に、第2の通信ネットワークを拡張可能と判定してもよい。さらに、拡張判定ノードは、近接する2つのネットワーク内に相互に接続したい通信装置が含まれる場合に、当該通信装置間でデータをリレー又はマルチホップさせるという目的に限るという条件付きで、第2の通信ネットワークの拡張可否を判定してもよい。また、拡張判定ノードは、ビームフォーミング又は送信電力制御に基づく干渉制御技術を使用して、第1の通信サービスに悪影響を与えることなく最大送信電力を引き上げることができる場合に、第2の通信ネットワークの拡張が可能であると判定してもよい。拡張判定ノードは、第2の通信ネットワークの拡張が可能であると判定した場合に、第2の通信ネットワークの拡張の許可を二次通信許可ノードへ要求する。また、拡張判定ノードは、典型的には、後述する判定ノードの機能をも有する。なお、拡張判定ノードと二次通信許可ノードとが物理的に同一の装置上に存在する場合には、拡張判定ノードと二次通信許可ノードとの間の通信は、論理的な機能間の通信として行われ得る(又は省略され得る)。一方、拡張判定ノードと二次通信許可ノードとが物理的に異なる装置上に存在する場合には、拡張判定ノードと二次通信許可ノードとの間の通信は、無線リンク及び有線リンクのいずれかを用いて行われ得る。ここでの無線リンクとは、例えば、第1の通信サービスに基づく無線リンクであってもよい。また、有線リンクとは、プライベートネットワーク(例えばコアネットワークなど)又はパブリックネットワーク(例えば、ADSLなど)のいずれであってもよい。
【0032】
図2は、拡張判定ノードの状態遷移の一例を示す状態遷移図である。図2を参照すると、拡張判定ノードは、状態S300〜状態S326の14個の状態をとり得る。
【0033】
まず、拡張判定ノードは、スタンバイ状態(S300)から初期化処理中の状態(S302)を経て待機状態(S304)となる。その後、上述した二次通信許可ノードから第2の通信ネットワークの拡張の可否の判定を指示されると、拡張判定ノードは、第2の通信サービスを提供している周囲の判定ノードに、二次通信プロファイルの準備を指示する(S306)。このとき、拡張判定ノードは、制御データを生成し、二次通信プロファイルの準備指示と共に判定ノードへ送信する。次に、拡張判定ノードは、判定ノードに二次通信プロファイルの送信を指示する(S308)。そして、拡張判定ノードは、判定ノードからの応答を待つ状態となる(S310)。その後、判定ノードから二次通信プロファイルを受信すると、拡張判定ノードは、例えば複数の判定ノードから受信した二次通信プロファイルを1つのプロファイルに集約し(S312)、さらに統計解析する(S314)。そして、拡張判定ノードは、上述した拡張可能条件に従って、第2の通信ネットワークの拡張が可能か否かを判定する(S316)。その後、拡張判定ノードは、第2の通信ネットワークの拡張可否の判定結果を二次通信許可ノードへ報告するための所定の書式に整形する(S318)。そして、拡張判定ノードは、上述した拡張可能条件が満たされていると判定した場合には、第2の通信ネットワークの拡張の許可を二次通信許可ノードへ要求し(S320)、二次通信許可ノードからの許可を待つ状態となる(S322)。なお、拡張判定ノードは、上述した拡張可能条件が満たされていないと判定した場合には、S320において、その判定結果を二次通信許可ノードへ送信する。そして、拡張判定ノードは、二次通信許可ノードから第2の通信ネットワークの拡張を許可されると、二次通信プロファイルを送信した判定ノードと協調して第2の通信サービスのサービスエリアを拡張する(S324)。なお、拡張判定ノードは、これら処理の間にリセット信号を検知した場合には、リセット処理中の状態(S326)を経て、スタンバイ状態(S300)へ戻ることができる。また、図2には示していないが、例えば、拡張判定ノードから二次通信許可ノードへ第2の通信ネットワークの拡張を要求することが可能な場合には、当該要求処理中の状態がさらに含まれていてもよい。
【0034】
[1−4.判定ノード(FC4)]
判定ノード(FC4)は、後述する協調測定ノード又は測定ノードにより測定され又は収集された測定データに基づいて、周波数利用規定に応じた所定の利用可能条件に従って周波数帯の二次利用が可能か否かを判定する。例えば、判定ノードは、二次利用の対象とする周波数帯の電力レベル測定結果が上述した周波数利用規制情報において定められた電力測定レベルを下回っている場合に、周波数帯の二次利用が可能であると判定してもよい。その代わりに、判定ノードは、例えば、後述するデータサーバに問合せた結果、二次利用の対象とする周波数帯について二次利用が許可されていた場合に、周波数帯の二次利用が可能であると判定してもよい。また、判定ノードは、例えば、二次利用の対象とする周波数帯の電力レベル測定結果が上記データサーバから得たデータにより示されている電力測定レベルを下回っている場合に、周波数帯の二次利用が可能であると判定してもよい。なお、二次利用の対象とする周波数帯の電力レベル測定結果とは、例えば、A/Dサンプリング出力値を平均した値であってもよい。判定ノードは、周波数帯の二次利用が可能であると判定した場合に、第2の通信サービスの開始の許可を二次通信許可ノードへ要求する。そして、判定ノードは、二次通信許可ノードから第2の通信サービスの開始を許可されると、例えば周囲の通信装置へビーコンを送信して第2の通信サービスのユーザを募り、第2の通信サービスを開始する。判定ノードから送信されるビーコンは、周囲の通信装置による第2の通信サービスの検出、同期、及びシステム情報の取得などのために用いられ得る。例えば、セルラ通信システムにおける一次同期信号及び二次同期信号、又はPBCH(物理ブロードキャストチャネル)上の信号などは上述したビーコンの一例である。即ち、判定ノードは、第1の通信サービスから第2の通信サービスへの切替えを行うコグニティブ無線のためのエンジンとして動作する。また、判定ノードは、上述した拡張判定ノードからの指示に応じて、二次通信プロファイルを生成して拡張判定ノードへ送信する。なお、拡張判定ノードに関連する上述した説明と同様、判定ノードと二次通信許可ノードとの間の通信もまた、論理的な機能間の通信(同一の装置上の場合。但し、この場合には上述した処理は省略され得る)、又は無線リンク若しくは有線リンクを用いた通信(異なる装置上の場合)として行われ得る。
【0035】
図3は、判定ノードの状態遷移の一例を示す状態遷移図である。図3を参照すると、判定ノードは、状態S400〜状態S432の17個の状態をとり得る。
【0036】
まず、判定ノードは、スタンバイ状態(S400)から初期化処理中の状態(S402)を経て待機状態(S404)となる。その後、上述した二次通信許可ノードから第2の通信サービスの開始の可否の判定を指示されると、判定ノードは、周囲の協調測定ノード及び測定ノードに通信状況の収集及び測定を指示する(S406)。このとき、判定ノードは、後述する制御データを生成し、通信状況の測定の指示と共に各ノードへ送信する。また、判定ノードは、測定指示に対して応答した協調測定ノード及び測定ノードに、測定データの送信を指示する(S408)。そして、判定ノードは、協調測定ノード及び測定ノードからの応答を待つ状態となる(S410)。その後、協調測定ノード及び測定ノードから通信状況の測定データを受信すると、判定ノードは、例えば複数のノードから受信した測定データを1つの測定データに集約し(S412)、さらに統計解析する(S414)。また、判定ノードは、上述したデータベースへの問合せ結果や周波数利用規定など、通信状況に関連する情報を収集して測定データに追加する(S416)。そして、判定ノードは、上述した利用可能条件に従って、第2の通信サービスの開始が可能か否かを判定する(S418)。その後、判定ノードは、第2の通信サービスの開始可否の判定結果を二次通信許可ノードへ報告するための所定の書式に整形する(S420)。そして、判定ノードは、上述した利用可能条件が満たされていると判定した場合には、第2の通信サービスの開始の許可を二次通信許可ノードへ要求し(S422)、二次通信許可ノードからの許可を待つ状態となる(S424)。なお、判定ノードは、上述した利用可能条件が満たされていないと判定した場合には、S422において、その判定結果を二次通信許可ノードへ送信する。そして、判定ノードは、二次通信許可ノードから第2の通信サービスの開始を許可されると、周囲の通信装置との間で第2の通信サービスを開始する(S426)。
【0037】
さらに、判定ノードは、第2の通信サービスが提供されている状態において、拡張判定ノードから二次通信プロファイルの準備指示を受信すると、二次通信プロファイルに係る情報を取得して所定の書式に整形する(S428)。そして、拡張判定ノードからの送信指示に応じて、判定ノードは、整形した二次通信プロファイルを送信する(S430)。
【0038】
なお、判定ノードは、これら処理の間にリセット信号を検知した場合には、リセット処理中の状態(S432)を経て、スタンバイ状態(S400)へ戻ることができる。また、図3には示していないが、例えば、判定ノードにより第2の通信サービスを停止するための停止処理中の状態がさらに含まれていてもよい。
【0039】
[1−5.協調測定ノード(FC5)]
協調測定ノード(FC5)は、自装置の周囲の測定ノード又は協調測定ノードから、各ノードが保持している通信状況に関する測定データを収集する。また、協調測定ノードは、自ら測定した測定データを、収集した測定データに加えてもよい(又は自ら測定した測定データのみを使用してもよい)。即ち、協調測定ノードは、周囲のノードと協調して二次利用の判定に必要となる測定データを収集可能な拡張されたセンサとして動作する。また、協調測定ノードは、他の協調測定ノード又は判定ノードからの指示に応じて、保持している測定データを送信する。
【0040】
図4は、協調測定ノードの状態遷移の一例を示す状態遷移図である。図4を参照すると、協調測定ノードは、状態S500〜状態S520の11個の状態をとり得る。
【0041】
まず、協調測定ノードは、スタンバイ状態(S500)から初期化処理中の状態(S502)を経て待機状態(S504)となる。その後、上述した判定ノードから通信状況の測定及び測定データの収集を指示されると、協調測定ノードは、周囲の測定ノードに通信状況の測定を指示する(S506)。このとき、協調測定ノードは、後述する制御データを生成し、通信状況の測定の指示と共に測定ノードへ送信する。また、協調測定ノードは、測定指示に対して応答した測定ノードに、測定データの送信を指示する(S508)。そして、協調測定ノードは、測定ノードからの応答を待つ状態となる(S510)。このとき、協調測定ノードは、例えば余剰の信号処理リソースが存在する場合に、さらに自ら周囲の通信状況を測定することもできる(S512)。その後、測定ノードから通信状況の測定データを受信すると、協調測定ノードは、例えば複数のノードから受信した測定データと自ら測定した測定データとを1つの測定データに集約する(S514)。その後、協調測定ノードは、測定データを判定ノードへ送信するための所定の書式に整形する(S516)。そして、協調測定ノードは、判定ノードからの送信指示に応じて、測定データを判定ノードへ送信する(S518)。なお、協調測定ノードは、これら処理の間にリセット信号を検知した場合には、リセット処理中の状態(S520)を経て、スタンバイ状態(S500)へ戻ることができる。
【0042】
[1−6.測定ノード(FC6)]
測定ノード(FC6)は、自装置の周囲の通信状況を測定(センシング)し、測定データを生成する。なお、測定データとは、後に詳しく説明するように、典型的には、第1の通信サービスについての周囲の通信状況を表すデータである。例えば、第1の通信サービスの受信信号の電力レベルあるいはエネルギー、又はスケジューリング情報なども、周囲の通信状況を表すデータとして使用され得る。即ち、測定ノードは、二次利用の判定に必要となる測定データを測定するセンサとして動作する。また、測定ノードは、協調測定ノード又は判定ノードからの指示に応じて、生成した測定データを送信する。
【0043】
図5は、測定ノードの状態遷移の一例を示す状態遷移図である。図5を参照すると、測定ノードは、状態S600〜状態S612の7個の状態をとり得る。
【0044】
まず、測定ノードは、スタンバイ状態(S600)から初期化処理中の状態(S602)を経て待機状態(S604)となる。その後、上述した協調測定ノードから通信状況の測定を指示されると、測定ノードは、周囲の通信状況を測定する(S606)。その後、測定ノードは、測定データを協調測定ノードへ送信するための所定の書式に整形する(S608)。そして、測定ノードは、協調測定ノードからの送信指示に応じて、測定データを協調測定ノードへ送信する(S610)。なお、測定ノードは、これら処理の間にリセット信号を検知した場合には、リセット処理中の状態(S612)を経て、スタンバイ状態(S600)へ戻ることができる。
【0045】
[1−7.通信ノード(FC7)]
通信ノード(FC7)は、周波数帯の二次利用が可能である場合に、第2の通信サービスを使用して通信を行う。即ち、通信ノードは、一般的な通信装置として動作する。なお、第2の通信サービスに使用される通信プロトコルは、例えば、IEEE802.11a/b/g/n/s、Zigbee、又はWiMediaなどの任意の通信プロトコルであってよい。
【0046】
ここまで、二次利用システムに参加する通信装置が有すべき主な機能を7つの機能に分類し、そのうち周波数帯の二次利用の開始又は拡張の手順に関与する機能については図1〜図5に各機能の状態遷移の一例を示した。なお、各状態遷移において、ここで説明した一部の状態が省略されてもよく、又は別の状態が追加されてもよい。また、状態遷移の順序が部分的に変更されてもよい。
【0047】
[1−8.二次利用という用語の範囲]
ここで、本明細書において、“二次利用”という用語は、典型的には、上述したように、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用して追加的あるいは代替的な通信サービス(第2の通信サービス)を利用することをいう。そして、“二次利用”という用語の意味において、第1の通信サービスと第2の通信サービスとは、異なる種類の通信サービスであってもよく、又は同一の種類の通信サービスであってもよい。異なる種類の通信サービスとは、例えば、デジタルTV放送サービス、衛星通信サービス、移動体通信サービス、無線LANアクセスサービス、又はP2P(Peer To Peer)接続サービスなどの任意の通信サービスから選択し得る2以上の異なる種類の通信サービスをいう。一方、同一の種類の通信サービスとは、例えば、移動体通信サービスにおける、通信事業者により提供されるマクロセルによるサービスと、ユーザ又はMVNO(Mobile Virtual Network Operator)により運用されるフェムトセルによるサービスとの間の関係を含み得る。また、同一の種類の通信サービスとは、WiMAX、LTE(Long Term Evolution)又はLTE−A(LTE−Advanced)などに準拠した通信サービスにおける、基地局により提供されるサービスと、スペクトラムホールをカバーするために中継局(リレーノード)により提供されるサービスとの間の関係をも含み得る。さらに、第2の通信サービスは、スペクトラムアグリゲーション技術を用いて集約された複数の断片的な周波数帯を利用するものであってもよい。さらに、第2の通信サービスは、基地局により提供されるサービスエリア内に存在する、フェムトセル群、中継局群、基地局よりも小さなサービスエリアを提供する中小基地局群により提供される補助的な通信サービスであってもよい。本明細書において説明する本発明の各実施形態の要旨は、このようなあらゆる種類の二次利用の形態に広く適用可能なものである。
【0048】
<2.通信装置のハードウェア構成例>
次に、前節で列挙したFC1〜FC7のうちいずれか1つ又は複数の機能をそれぞれ有する通信装置のハードウェア構成について、以下に説明する。
【0049】
図6は、上述した通信装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図6に示した一例としての通信装置は、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)24、RAM(Random Access Memory)26、バス30、入出力インタフェース32、入力装置40、出力装置42、記憶装置44、通信インタフェース(I/F)46、及びドライブ50を備える。
【0050】
図6において、CPU22は、汎用コンピュータの動作全般を制御する。ROM24は、CPU22により実行されるプログラムやデータなどを記憶している。RAM26は、CPU22による処理の実行時にプログラムやデータなどを一時的に記憶する。
【0051】
CPU22、ROM24、及びRAM26は、バス30を介して相互に接続される。バス30にはさらに、入出力インタフェース32が接続される。
【0052】
入出力インタフェース32は、CPU22、ROM24、及びRAM26と、入力装置40、出力装置42、記憶装置44、通信インタフェース46、及びドライブ50とを接続する。
【0053】
入力装置40は、例えばボタン、スイッチ、レバー、マウスやキーボード、又はタッチパネルなどを介して、ユーザからの指示や情報入力を受け付ける。出力装置42は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)などの表示装置、ランプなどの発光装置、又はスピーカなどの音声出力装置を介してユーザに情報を出力する。記憶装置44は、例えばハードディスクドライブ又はフラッシュメモリなどにより構成され、プログラムやデータなどを記憶する。通信インタフェース46は、第1の通信サービス又は第2の通信サービスのための通信処理を仲介する。ドライブ50には、必要に応じてリムーバブルメディア52が装着される。
【0054】
ここで、前節で列挙したFC1〜FC7の各機能は、例えば、ソフトウェアとして実現されてもよい。各機能がソフトウェアとして実現される場合には、ソフトウェアを構成するプログラムが、例えば図6に示したROM24又は記憶装置44に格納され、実行時にRAM26に読み込まれた後、CPU22により実行される。即ち、CPU22は、例えば、二次通信許可部(FC1)、一次通信中継部(FC2)、拡張判定部(FC3)、判定部(FC4)、協調測定部(FC5)、測定部(FC6)、又は通信部(FC7)として動作し得る。その代わりに、各機能は、通信装置に追加的に設けられる専用の処理回路を用いてハードウェアとして実現されてもよい。
【0055】
<3.通信システムの構成例>
次に、FC1〜FC7の各機能のうちいずれか1つ又は複数の機能をそれぞれ有する通信装置により構成される、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成例について説明する。
【0056】
図7は、本発明の一実施形態に係る通信システム100の構成を示す模式図である。図7における丸付き数字は、上述した機能(FC)の番号に対応している。また、図8は、図7に示す通信システム100における装置間の機能配置の一例を示すブロック図である。
【0057】
図7を参照すると、通信システム100には、サーバ10、基地局110、拡張判定装置130、判定装置140及び142、協調測定装置150、測定装置160及び162が含まれる。このうち、基地局110は、有線回線網であるネットワーク12を介して、サーバ10と接続されている。また、領域111の内部に位置する通信装置は、基地局110との間で無線通信することができる。
【0058】
サーバ10は、ネットワーク12を介して接続された基地局110を用いて、基地局110の周囲に位置する通信装置に対して第1の通信サービスを提供する。第1の通信サービスは、例えば、デジタルTV放送サービスであってもよく、その他の種類の通信サービスであってもよい。また、サーバ10は、第1の通信サービスの通信状況に関するデータを統合的に保持するデータサーバを兼ねていてもよい。その場合には、例えば、通信領域内の位置ごとの現在使用中の周波数のデータ、当該位置ごとの周波数の利用履歴データ、又は利用履歴データから予測されるトラフィックの状況に関する予測データなどがサーバ10により保持される。
【0059】
図8から理解されるように、基地局110は、上述した二次通信許可ノード(FC1)として動作する。即ち、基地局110は、例えば、判定装置140又は拡張判定装置130から第2の通信サービスの利用(開始又は拡張)の許可についての要求を受けた場合に、上述した許可条件に応じて、第2の通信サービスの利用を許可することができる。
【0060】
拡張判定装置130は、上述した拡張判定ノード(FC3)として動作する。即ち、拡張判定装置130は、まず、基地局110からの指示に応じて、判定装置140及び142に二次通信プロファイルを送信させる。そして、拡張判定装置130は、受信した二次通信プロファイルに基づいて、第2の通信ネットワークの拡張が可能であるか否かを判定する。そして、拡張判定装置130は、第2の通信ネットワークの拡張が可能であると判定した場合には、第2の通信ネットワークの拡張の許可を基地局110に要求する。その後、基地局110により第2の通信ネットワークの拡張が許可されると、拡張判定装置130は、例えば判定装置140の周囲に位置する通信装置と判定装置142の周囲に位置する通信装置に対し、ネットワークの範囲の拡張された第2の通信サービスの提供を開始する。
【0061】
判定装置140は、上述した一次通信中継ノード(FC2)及び判定ノード(FC4)として動作する。即ち、判定装置140は、基地局110からの指示に応じて、自装置の周囲の協調測定装置150及び測定装置160に通信状況を測定させ、及び測定データを収集させる。そして、判定装置140は、協調測定装置150及び測定装置160から受信した測定データに基づいて、第2の通信サービスの開始が可能であるか否かを判定する。そして、判定装置140は、第2の通信サービスの開始が可能であると判定した場合には、第2の通信サービスの開始の許可を基地局110に要求する。その後、基地局110により第2の通信サービスの開始が許可されると、判定装置140は、周囲に位置する通信装置に対し、第2の通信サービスの提供を開始する。また、判定装置140は、拡張判定装置130からの要求に応じて、収集した測定データ、当該測定データから計算されるリンクデータ、又は周波数利用規定などを含む二次通信プロファイルを生成して送信する。
【0062】
また、判定装置140は、一次通信中継ノード、即ち第1の通信サービスのための擬似的な基地局又はアクセスポイントとして動作し、例えば測定装置160から送信される第1の通信サービスに応じた通信パケットを基地局110に中継することができる。
【0063】
判定装置142は、上述した判定ノード(FC4)として動作する。即ち、判定装置142は、判定装置140と同様に、周囲に位置する通信装置に対して通信状況に応じて第2の通信サービスを提供することができる。また、判定装置142は、拡張判定装置130からの要求に応じて二次通信プロファイルを生成して送信することができる。
【0064】
協調測定装置150は、上述した協調測定ノード(FC5)として動作する。即ち、協調測定装置150は、判定装置140からの指示に応じて、自装置の周囲の測定装置162に通信状況の測定を指示し、測定装置162から測定データを収集する。さらに、協調測定装置150は、自ら周囲の通信状況を測定して得た測定データを、収集したデータに追加してもよい。そして、協調測定装置150は、測定データを判定装置140へ送信する。
【0065】
測定装置160及び162は、それぞれ上述した測定ノード(FC6)として動作する。即ち、測定装置160及び162は、判定装置140若しくは142、又は協調測定装置150からの指示に応じて、自装置の周囲の通信状況を測定し、測定データを生成する。そして、測定装置160及び162は、生成した測定データを判定装置140若しくは142、又は協調測定装置150へ送信する。
【0066】
かかる通信システム100の構成により、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯のうち一部又は全部を用いた第2の通信サービスが、例えば周波数利用規定に従って安全に開始され、又はそのサービスエリアが安全に拡張される。このとき、例えば判定装置140は、領域141の内部において収集した測定データの精度が低い場合には、協調測定装置150により領域151の内部からさらに収集される測定データを用いて、より適切に第2の通信サービスの開始可否を判定することができる。
【0067】
なお、通信システム100の構成はかかる例に限定されない。例えば、基地局110が二次通信許可ノードである代わりに、拡張判定装置130、又は判定装置140若しくは142が永続的な又は一時的な二次通信許可ノードであってもよい。また、図7に示した一部の通信装置が省略され、又は別の通信装置がシステムに追加されてもよい。
【0068】
<4.通信制御処理の流れ>
次に、上述した通信システム100において周波数帯の二次利用を開始又は拡張するための通信制御処理について、図9〜図11を用いてより具体的に説明する。
【0069】
図9は、周波数帯の二次利用を開始するための、本発明の一実施形態に係る通信制御処理の流れを示すシーケンス図である。
【0070】
図9において、まず、基地局110は、周波数帯の二次利用の開始要求を検知すると、例えば判定装置140に二次利用の開始の可否の判定を指示する(P102)。そうすると、判定装置140は、基地局110へ確認応答を送信する(P104)。このとき、確認応答には、例えば、判定装置140が判定ノードとしての機能を有することを示すケイパビリティ情報、判定装置140の装置識別子、及び判定装置140の位置データなどの情報が含まれ得る。ここで、例えば、複数の判定装置から確認応答を受信した場合には、基地局110は、当該複数の判定装置のうちいずれか1つの装置を選択して周波数帯の二次利用の開始の可否を判定させてもよい。例えば、基地局110に最も近い場所に位置する判定装置、又は周波数帯の二次利用の開始を要求したユーザに最も近い場所に位置する判定装置などが選択され得る。
【0071】
その後、判定装置140は、周囲に位置する協調測定装置150及び測定装置160へ、通信状況の測定及び測定データの収集を指示する(P110)。そうすると、協調測定装置150は、判定装置140へ確認応答を送信する(P112)。同様に、測定装置160は、判定装置140へ確認応答を送信する(P114)。このとき、確認応答には、例えば、協調測定装置150が協調測定ノード、測定装置160が測定ノードとしての機能をそれぞれ有することを示すケイパビリティ情報、並びに各装置の装置識別子及び位置データなどの情報が含まれ得る。なお、測定データの具体的な内容については、後にさらに説明する。
【0072】
次に、判定装置140からの測定指示を受けた測定装置160は、周囲の通信状況を測定して測定データを生成する(P116)。また、協調測定装置150は、周囲に位置する測定装置162との間で、協調型センシングを実行することができる(P120)。協調測定装置150は、例えば、判定装置140からの測定指示を受信できない場所に測定装置162が位置していることを過去の二次利用の履歴データから知っていた場合に、測定装置162との間で協調型センシングを実行してもよい。その代わりに、協調測定装置150は、例えば、判定装置140からの測定指示を受信した後、無条件で通信状況の測定の指示を自装置の周囲に送信し、当該指示に対する確認応答の内容に応じて、協調型センシングを実行してもよい。
【0073】
図10は、図9のシーケンス図のうち協調型センシングに係る処理(P120)についてより詳細に示すシーケンス図である。
【0074】
図10において、まず、協調測定装置150は、周囲に位置する測定装置162へ通信状況の測定を指示する(P202)。そうすると、各測定装置162は、それぞれ、協調測定装置150へ確認応答を送信する(P204、P206)。このとき、確認応答には、例えば、各測定装置162が測定ノードとしての機能を有することを示すケイパビリティ情報、並びに各装置の装置識別子及び位置データなどの情報が含まれ得る。そして、各測定装置162は、自装置の周囲の通信状況を測定し、測定データを生成する(P208)。次に、協調測定装置150は、各測定装置162へ、通信状況の測定データの送信を指示する(P210)。そうすると、各測定装置162は、協調測定装置150へ確認応答を送信する(P212、P214)。そして、各測定装置162は、それぞれ、測定結果、即ち書式整形した測定データを協調測定装置150へ送信する(P216、P218)。その後、協調測定装置150は、各測定装置162から受信した測定データ(及び必要に応じて自ら測定した測定データ)を集約する(P220)。それにより、協調測定装置150と測定装置162との間の協調型センシングは終了する。なお、例えば、P202の後にいずれの測定装置からも確認応答が受信されなかった場合には、協調測定装置150は、自ら測定した測定データのみを測定の結果としてもよい。
【0075】
図9に戻り、本発明の一実施形態に係る通信制御処理の流れの説明を継続する。
【0076】
次に、判定装置140は、協調測定装置150及び測定装置160へ、測定又は収集した測定データの送信を指示する(P130)。そうすると、協調測定装置150は、判定装置140へ確認応答を送信する(P132)。同様に、測定装置160は、判定装置140へ確認応答を送信する(P134)。このとき、確認応答には、例えば、上述したケイパビリティ情報、並びに各装置の装置識別子及び位置データなどの情報が含まれ得る。その後、協調測定装置150は、判定装置140へ協調型センシングにより収集した測定データを送信する(P136)。また、測定装置160は、判定装置140へ測定した測定データを送信する(P138)。なお、P130において、判定装置140は、例えば、協調測定装置150及び測定装置160から選択したいずれかの装置に、協調測定装置150及び測定装置160により測定又は収集された測定データの集約を指示してもよい。
【0077】
次に、判定装置140は、協調測定装置150及び測定装置160から受信した測定データに基づき、上述した利用可能条件に従って第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用する第2の通信サービスの開始の可否を判定する(P140)。そして、判定装置140は、当該判定の結果を基地局110へ送信する。このとき、例えば第2の通信サービスの開始が可能であると判定した場合には、判定装置140は、第2の通信サービスの開始の許可を基地局110に要求する(P150)。
【0078】
次に、基地局110は、判定装置140から受信した判定結果に基づき、上述した許可条件に従って第2の通信サービスの開始を許可できるか否かを判断する(P152)。そして、基地局110は、判断の結果を判定装置140へ送信する(P154)。ここで、例えば基地局110により第2の通信サービスの開始が許可された場合には、その後判定装置140により周囲に位置する通信装置に対して第2の通信サービスの提供が開始される。
【0079】
かかる通信制御処理により、第1の通信サービスに通信品質の低下などの悪影響を与えることなく、周波数利用規定に従い、第2の通信サービスが安全に開始される。そして、第2の通信サービスが開始された後、第2の通信ネットワークの拡張の要求が検知された場合には、さらに次に説明する通信制御処理により、第2の通信ネットワークを拡張することができる。なお、第2の通信ネットワークの拡張の要求は、例えば、第2の通信ネットワークに現在接続していない装置との間の通信を希望する装置から基地局110又は拡張判定装置130などへ出力され得る。また、図9及び図10の説明においてそれぞれの確認応答に含まれ得るものとして説明したケイパビリティ情報、装置識別子及び位置データなどは、確認応答とは異なるステップにおいて装置間で送受信されてもよい。さらに、これら情報の受信に対して確認応答がなされてもよく、情報の要求又は指示に対して確認応答の代わりに否定応答が送信されてもよい。
【0080】
図11は、第2の通信ネットワークを拡張するための、本発明の一実施形態に係る通信制御処理の流れを示すシーケンス図である。
【0081】
図11において、まず、基地局110は、第2の通信ネットワークの拡張要求を検知すると、例えば拡張判定装置130に第2の通信ネットワークの拡張の可否の判定を指示する(P302)。そうすると、拡張判定装置130は、基地局110へ確認応答を送信する(P304)。このとき、確認応答には、例えば、拡張判定装置130が拡張判定ノードとしての機能を有することを示すケイパビリティ情報、拡張判定装置130の装置識別子、及び拡張判定装置130の位置データなどの情報が含まれ得る。ここで、例えば、複数の拡張判定装置から確認応答を受信した場合には、基地局110は、当該複数の拡張判定装置のうちいずれか1つの装置を選択して第2の通信ネットワークの拡張の可否を判定させてもよい。例えば、基地局110に最も近い場所に位置する拡張判定装置、又は通信を希望された相手の装置に最も近い場所に位置する拡張判定装置などが選択され得る。その代わりに、例えば、複数の拡張判定装置を用いて、第2の通信ネットワークの拡張の可否の判定が協調的に行われてもよい。
【0082】
次に、拡張判定装置130は、周囲に位置する判定装置140及び142へ、上述した二次通信プロファイルの準備を指示する(P310)。そうすると、判定装置140は、拡張判定装置130へ確認応答を送信する(P312)。同様に、判定装置142は、拡張判定装置130へ確認応答を送信する(P314)。
【0083】
次に、拡張判定装置130は、判定装置140及び142へ、二次通信プロファイルの送信を指示する(P316)。そうすると、判定装置140は、拡張判定装置130へ確認応答を送信する(P318)。同様に、判定装置142は、拡張判定装置130へ確認応答を送信する(P320)。その後、判定装置140は、拡張判定装置130へ書式を整形した二次通信プロファイルを送信する(P322)。同様に、判定装置142は、拡張判定装置130へ書式を整形した二次通信プロファイルを送信する(P324)。
【0084】
次に、拡張判定装置130は、判定装置140及び142から受信した二次通信プロファイルに基づき、上述した拡張可能条件に従って第2の通信ネットワークの拡張の可否を判定する(P330)。そして、拡張判定装置130は、当該判定の結果を基地局110へ送信する。このとき、例えば第2の通信ネットワークの拡張が可能であると判定した場合には、拡張判定装置130は、第2の通信ネットワークの拡張の許可を基地局110に要求する(P340)。
【0085】
次に、基地局110は、拡張判定装置130から受信した判定結果に基づき、上述した許可条件に従って第2の通信ネットワークの拡張を許可できるか否かを判断する(P342)。そして、基地局110は、判断の結果を拡張判定装置130へ送信する(P344)。ここで、例えば基地局110により第2の通信ネットワークの拡張が許可された場合には、その後、例えば拡張判定装置130、並びに判定装置140及び142により、周囲に位置する通信装置に対してサービスエリアの拡張された第2の通信サービスの提供が開始される。
【0086】
かかる通信制御処理により、第1の通信サービスに通信品質の低下などの悪影響を与えることなく、周波数利用規定に従い、第2の通信サービスのサービスエリアが安全に拡張される。
【0087】
<5.ノード間で送受信されるデータの例>
ここまでに説明した一実施形態に係る通信制御処理において、ノード間で送受信されるデータには、大きく分けて測定データと制御データの2種類が含まれる。
【0088】
[5−1.測定データ]
測定データとは、上述した測定ノード又は協調測定ノードにより測定された通信状況に関するデータである。測定ノード又は協調測定ノードによる測定の対象となる通信リソースは、第1の通信サービスが使用している可能性のある通信リソースであって、例えば、周波数チャネル、リソースブロック又は符号などの単位で設定され得る。どういった範囲の通信リソースを測定の対象とすべきかは、例えば、第1の通信サービスのダウンリンクの報知チャネル(LTEにおけるPBCH(Physical Broadcast CHannel)など)を観測することにより決定されてよい。測定データには、通信状況を測定した装置の識別子と測定結果の他に、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いて取得された装置の位置データ、測定アルゴリズムの種類、及びタイムスタンプなどが含まれてもよい。また、これら測定データを解析することにより得られる解析結果、及び第1の通信サービスについての周囲の通信状況を表すスケジューリング情報も、広義の測定データに含まれ得る。
【0089】
装置の位置データは、例えば、通信状況の測定を行った装置の測定時の位置を表すデータである。かかる位置データは、例えば、判定ノード(又は拡張判定ノード)による周波数帯の二次利用の可否の判定に用いられる。より具体的には、例えば、判定ノードは、予め外部(例えばサーバ10など)に用意された位置情報データベースを自装置にダウンロードしておく。そのデータベースには、位置データと関連付けて、第1の通信サービスのチャネル割当てやチャネルの使用履歴などが保持されている。そこで、判定ノードは、例えば、位置データをキーとして位置情報データベースからチャネル割当てやチャネルの使用履歴を取得し、二次利用によって第1の通信サービスに悪影響を与える可能性を評価することができる。また、判定ノードは、位置情報データベースを予め自装置にダウンロードしておく代わりに、例えば、二次利用の可否の判定時に位置データをキーとして外部のデータベースに問合せをしてもよい。
【0090】
測定アルゴリズムの種類とは、例えば、無線信号のエネルギー、雑音パワーレベル、雑音比率(例えばSNRやCNR)、エラー率(例えばBERやPER)など、どういった種類の値を測定すべきか(又は測定したか)を表す。
【0091】
測定結果には、上述した測定アルゴリズムの種類に応じた測定結果の値が含まれる。ここで、測定結果の値は、ソフトビット(Soft Bit:軟判定値)で表現されてもよく、又はハードビット(Hard Bit:硬判定値)で表現されてもよい。例えば、判定ノード(又は拡張判定ノード)は、二次通信許可ノードに送信する測定結果をハードビットで表現するのが好適である。その場合、測定値に応じて二次利用の可否等を判定した結果が、“0”、“1”などの論理値で表現される。そうすることにより、ノード間のトラフィックを減少させることができる。一方、測定ノード(又は協調測定ノード)から判定ノード(又は拡張判定ノード)へ送信される測定結果は、典型的には、ソフトビットで表現される。
【0092】
タイムスタンプには、例えば、通信状況の測定が開始された時刻、及び通信状況の測定が終了した時刻などが含まれる。
【0093】
[5−2.制御データ]
制御データとは、二次利用システムを構成する上述した1のノードが他のノードを制御し、又は1のノードが他のノードから制御を受けるために使用されるデータである。制御データには、例えば、測定開始又は停止の指示、測定データ送信の指示、測定アルゴリズムの種類の指定、二次通信プロファイル送信の指示、又は位置情報データベースへのアクセス要求などが含まれ得る。
【0094】
また、拡張判定ノード、判定ノード又は協調測定ノードが複数のノードから収集した測定データを集約した場合には、例えば、平均化や標準偏差など、どのような方法で測定データを集約したかを示す情報が制御データに含められ得る。
【0095】
また、二次通信許可ノード、拡張判定ノード、又は判定ノードは、1のノードで測定又は収集された測定データと他のノードで測定又は収集された測定データとを比較することで、各測定データの信頼性を評価してもよい。例えば、近隣に位置する複数のノードにより測定又は収集された測定結果にばらつきが大きい場合には、その測定データの信頼性は低いと評価され得る。そうした場合には、測定データの信頼性の評価結果が制御データに含められる。また、1のノードで測定又は収集された測定データと他のノードで測定又は収集された測定データとを比較することで、隠れ端末の状態にあるノードを検出してもよい。
【0096】
さらに、協調測定ノードは、他の協調測定ノードとの間で、許容するホップ数及び許容する測定ノード数の上限値、並びに最低限必要とする測定ノード数などの制御データを交換してもよい。それにより、測定データの品質を一定のレベルに維持しながら、協調型センシングのセンシングエリアを拡張することができる。
【0097】
[5−3.通信プロトコルの選択]
なお、測定データ又は制御データの送受信に際して、例えば、FC1〜FC7の機能分類における異なるレベルのノード間では、上位のノードの制御に従った階層管理型の通信プロトコルを用いるのが好適である。階層管理型の通信プロトコルとは、例えばZigbeeなどが挙げられる。例えば、判定装置から協調判定装置へ通信状況の測定の指示を送信する際には、上位のノードである判定装置の制御に従って、Zigbeeなどの階層管理型の通信プロトコルが用いられ得る。階層管理型の通信プロトコルを用いる場合、パケットの送受信に際して、コーディネータ(二次利用のコーディネータ、即ち二次通信許可ノードとは異なる)が管理する予め帯域予約された送受信区間を用いて、送受信装置の間でデータ交換が行われる。例えば、上述したZigbeeでは、コーディネータが管理するビーコンを基準に、無競争期間(Contention Free Period)であるタイムスロットと自由競争期間(Contention Access Period)であるタイムスロットが設けられる。そして、自由競争期間のタイムスロットを用いて通信を行う装置間では、自らの判断で他の装置の送信パケットと競合しないように送信の機会が図られる。その場合、競合しないタイミングを知るためには、各装置は、コーディネータから送信される基準ビーコンを受信する必要があり、結果的に階層管理型の通信プロトコルに従うことになる。
【0098】
一方、例えば協調測定装置間で測定データを送受信する場合には、IEEE802.11sやWiMediaなどの自律分散型の通信プロトコルが使用されてもよい。自律分散型の通信プロトコルでは、パケットの送受信に際してコーディネータが存在しないため、他の装置からの送信パケットと衝突が生じないように各装置の自らの判断で送信機会を図った上で、送受信装置間でのデータ交換が行われる。その代わりに、最初にビーコンを送信した装置の制御に従い、Zigbeeなどの階層管理型の通信プロトコルが使用されてもよい。上述したFC1〜FC7の機能分類における同レベルのノード間で自律分散型の通信プロトコルを使用すれば、協調型センシングを行う装置間のトポロジーを装置の位置に応じて変化させることが容易となる。
【0099】
<6.まとめ>
ここまで、図1〜図11を用いて、本発明の一実施形態に係る通信制御処理について説明した。かかる実施形態によれば、二次利用システムに参加する通信装置が有すべき主な機能が、FC1〜FC7の7つの機能に分類される。例えば、二次通信許可ノードと判定ノードとを分けることで、二次利用を許可する権限を有する装置が二次利用サービスを提供したい領域とは異なる場所に位置する場合には、サービス提供領域に位置する判定ノードに二次利用の可否の判定を委任することができる。また、例えば、判定ノードと協調測定ノードとを分けることで、判定ノードが単独で二次利用の可否の判定に十分な精度又は量の測定データを収集できない場合には、協調測定ノードを活用して測定データをより広い範囲から収集することができる。さらに、例えば、拡張判定ノードと判定ノードとを分けることで、複数の判定ノードにより生成される二次通信プロファイルに基づいて、拡張判定ノードにより第2の通信ネットワークを安全に拡張できるか否かを判定させることができる。
【0100】
本明細書において説明した各実施形態の要旨は、上述したように様々な二次利用の形態に広く適用可能である。例えば、上述したように、第1の通信サービスのスペクトラムホールをカバーするためのリレーノード又はフェムトセルの運用は、周波数帯の二次利用の一形態ということができる。また、互いに共通する周波数帯を使用するマクロセル、RRH(Remote Radio Head)、Hotzone、リレーノード又はフェムトセルなどの相互の関係も、周波数帯の二次利用の一形態(例えば、ヘテロジーニアスネットワークなど)を形成し得る。
【0101】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0102】
100 通信システム
110 基地局
130 拡張判定装置
140、142 判定装置
150 協調測定装置
160、162 測定装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信装置から第2の通信装置へ、第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用する第2の通信サービスの利用の可否の判定を指示するステップと;
前記第2の通信装置から周囲に位置する通信装置へ、通信状況の測定を指示するステップと;
前記第2の通信装置の周囲に位置する第3の通信装置から前記第2の通信装置へ、通信状況を測定した測定データを送信するステップと;
前記第2の通信装置により、前記測定データに基づいて前記第2の通信サービスの利用の可否を判定するステップと;
前記第2の通信装置から前記第1の通信装置へ、前記第2の通信サービスの利用の可否の判定結果を送信するステップと;
前記第1の通信装置により、前記第2の通信装置から受信した前記判定結果に応じて前記第2の通信サービスの利用を許可するステップと;
を含む通信制御方法。
【請求項2】
前記第3の通信装置により、前記通信状況の測定の指示を受けた後、さらに周囲に位置する通信装置へ通信状況の測定を指示するための測定指示を送信するステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項3】
前記第2の通信装置の周囲に通信状況を測定可能な複数の通信装置が存在する場合には、当該複数の通信装置により測定された測定データを、当該複数の通信装置のうちの1の通信装置である前記第3の通信装置により集約するステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項4】
前記第2の通信サービスの利用の可否を判定可能な複数の通信装置が存在する場合には、前記第1の通信装置により、当該複数の通信装置から前記第2の通信サービスの利用の可否を判定させる装置を選択するステップ、
をさらに含む、請求項1に記載の通信制御方法。
【請求項5】
前記第2の通信サービスの利用が許可された後、当該第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の要求を受けた場合に、前記第1の通信装置から第4の通信装置へ、前記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否の判定を指示するステップ、
をさらに含む、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の通信制御方法。
【請求項6】
前記第4の通信装置から前記第2の通信装置へ、前記第2の通信サービスに関連するプロファイルデータの送信を指示するステップと;
前記第2の通信装置から前記第4の通信装置へ、前記プロファイルデータを送信するステップと;
をさらに含む、請求項5に記載の通信制御方法。
【請求項7】
前記第4の通信装置により、前記プロファイルデータに基づいて前記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否を判定するステップ、
をさらに含む、請求項6に記載の通信制御方法。
【請求項8】
前記4の通信装置から前記第1の通信装置へ、前記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否の判定結果を送信するステップ、
をさらに含む、請求項7に記載の通信制御方法。
【請求項9】
前記第1の通信装置により、前記第4の通信装置から受信した前記判定結果に応じて前記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張を許可するステップ、
をさらに含む、請求項8に記載の通信制御方法。
【請求項10】
第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用する第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の要求を受けた場合に、第1の通信装置から第2の通信装置へ、当該ネットワークの拡張の可否の判定を指示するステップと;
前記第2の通信装置から前記第2の通信サービスを提供している第3の通信装置へ、前記第2の通信サービスに関連するプロファイルデータの送信を指示するステップと;
前記第3の通信装置から前記第2の通信装置へ、前記プロファイルデータを送信するステップと;
前記第2の通信装置により、前記プロファイルデータに基づいて前記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否を判定するステップと;
前記2の通信装置から前記第1の通信装置へ、前記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否の判定結果を送信するステップと;
前記第1の通信装置により、前記第2の通信装置から受信した前記判定結果に応じて前記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張を許可するステップと;
を含む、通信制御方法。
【請求項11】
第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用する第2の通信サービスの利用を許可する権限を有する許可部;
を備える第1の通信装置と:
前記第2の通信サービスの利用の可否を判定可能な判定部;
を備える第2の通信装置と:
周囲の通信状況を測定可能な測定部;
を備える第3の通信装置と:
を含み、
前記許可部は、前記第2の通信装置に前記第2の通信サービスの利用の可否の判定を指示し、及び、当該第2の通信装置から受信する前記第2の通信サービスの利用の可否の判定結果に応じて前記第2の通信サービスの利用を許可し、
前記判定部は、前記第3の通信装置に周囲の通信状況の測定を指示し、及び、当該第3の通信装置から受信する通信状況を測定した測定データに基づいて前記第2の通信サービスの利用の可否を判定する、
通信システム。
【請求項12】
第1の通信サービスに割当てられた周波数帯の一部又は全部を使用する第2の通信サービスに係るネットワークの拡張を許可する権限を有する許可部;
を備える第1の通信装置と:
前記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否を判定可能な拡張判定部;
を備える第2の通信装置と:
前記第2の通信サービスの利用の可否を判定可能な判定部;
を備える第3の通信装置と:
を含み、
前記許可部は、前記第2の通信装置に前記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否の判定を指示し、及び、当該第2の通信装置から受信する前記ネットワークの拡張の可否の判定結果に応じて当該ネットワークの拡張を許可し、
前記拡張判定部は、前記第3の通信装置に前記第2の通信サービスに関連するプロファイルデータの送信を指示し、及び、当該第3の通信装置から受信する前記プロファイルデータに基づいて前記第2の通信サービスに係るネットワークの拡張の可否を判定する、
通信システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−206780(P2010−206780A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1914(P2010−1914)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】