説明

通信端末、制御方法、コンピュータプログラム

【課題】 センターからのコールバックによるメール回収指示の呼び出しに応じて、センターへ自動的にコールバックし、メールを受信する通信端末装置において、前記コールバックのタイムアウトを極力避けることができるようにする。
【解決手段】 本発明は、所定の発信事象が生成された場合、ハンドセットのオフフックが検出されたとしても、網とハンドセットとを切断した状態に保って発信を拒否する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールを扱うことができる通信端末において、特にセンターからの回収指示呼び出しに応じてセンターへ自動コールバックして電子メールを受信する通信端末およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、音声を伝える電話機能のみでなく電子メールも扱えるようにした携帯端末が爆発的に普及してきている。また、ファクシミリ装置などにおいても、プロバイダが提供するサービスを用いて、電子メールを扱えるようにしたシステムが提供されている。ETSI ES 201 912で提案されたシステムがその一例である。
【0003】
この提案によるシステムでは、次のような手順によって、2つのメッセージ端末装置(以下SM_TE)の間でメールの送受信を行う。まず、送信側SM_TEは一旦メッセージサービスセンター(以下SM_SC)にメールを送って受信側SM_TEへの配信を依頼する。依頼を受けたSM_SCは、受信側SM_TEにメールが届いたことをCaller IDといくつかの付加情報を使ってメールの回収指示を通知する。受信側SM_TEは、Caller ID情報を持った呼び出しを受けたならば、そのCaller IDと予め端末に登録されているSM_SCの電話番号とを比較して、一致しているか否かを判断する。このとき、受信側SM_TEは、呼び出しに対して応答する必要はない。もし一致していて、かつ、前記付加情報がメールの回収を指示するものであるならば、受信側SM_TEは、登録されているSM_SCの電話番号に対して前記付加情報を同様に付加してコールバックして、SM_SCから所望のメールを受信する。なお、受信側SM_TEは、予め定められた時間の間にコールバックできない場合、先に通知されたメールの回収指示を破棄して、再度SM_SCから送られてくる回収要求の通知を待つ。これは、配信側SM_SCと受信側SM_TEとの間で、配信・回収の状態の不整合が起きることを防ぐためと考えられる。
【0004】
ここで、前記受信側SM_TEが極一般的な電話の機能を持っていた場合を考える。ユーザによる電話の発信要求は、先のメールの回収指示とは無関係に発生するものである。すなわち、メールの回収指示が受信側SM_TEにまさに送られてきたとき、ユーザが発信を行おうとする状況を想定することができる。むろん、この場合であっても、SM_TEはセンターによるメールの回収指示を無視してユーザの発信を先に行うことが可能である。
【非特許文献1】ETSI(ヨーロッパ電気通信標準協会) ES 201 912
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、メールの回収指示を無視して発信を先に行った場合、次のような問題が考えられる。
【0006】
ユーザ発信およびそれに続く通話に要する時間は不定であるため、予め定められた時間の間にコールバックできない可能性が高い。すなわち、SM_SCからメールの回収指示を受けたにもかかわらず、その指示を破棄せざるを得ない。さらに、そのメールを受信するためには、改めてSM_SCからメールの回収指示の呼び出しがくるのを待たなければならない。もし、SM_SCにおいてメールの回収指示のretry回数が規定されているとすると、retry回数を越えてしまいメールを受信することができなくなるかもしれない。また、SM_SC側からみると、収容しているSM_TEが多くなればなるほど、SM_TEが頻繁にコールバックのタイムアウトを起してしまうと、回収指示のretryに要するコストが膨れ上がってしまう。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、センターからの回収指示呼び出しに応じてセンターへ自動コールバックし、電子メールを受信する通信端末において、センターからの回収指示があったならば、ユーザによる発信を拒否してセンターへの自動コールバックを優先して行い、コールバックのタイムアウトを極力避けることができる通信端末を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、発信が拒否されているとき、ユーザにその旨を通知することができる通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の通信端末は、網から通知される発信者番号を取得するための発信者番号取得手段と、センターの電話番号を記憶するためのセンター番号記憶手段と、前記発信者番号取得手段によって取得された番号と、前記センター番号記憶手段に記憶された番号とを比較する番号比較手段と、前記番号比較手段によって2つの番号が等しいと判定されたならば、前記発信者番号に付加された情報を抽出して保存する付加情報保存手段と、前記付加情報保存手段に保存された値に応じて、前記センター番号記憶手段に登録された電話番号に対して、前記付加情報保存手段に保存された付加情報を付加して、センターへの発信事象を生成するセンター発信事象生成手段と、前記センター発信事象生成手段によって生成された発信事象があるならば、すみやかにセンターに向けて発信して所定のメールを回収するセンター発信手段と、を有し、センターからの回収指示呼び出しに応じてセンターへ自動コールバックし、電子メールを受信する通信端末において、前記通信端末が収容するハンドセットのフック状態を検出するためのフック状態検出手段と、前記センター発信事象生成手段によって生成された発信事象の有無と、前記フック状態検出手段との組み合わせに応じて、前記生成された発信事象が有るときはたとえ前記フック状態検出手段によってハンドセットのオフフックが検出されたとしても、網とハンドセットとを切断した状態に保って発信を拒否するように、網とハンドセットとを接続または切断するように網接続を制御するための網接続制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センターからの回収指示呼び出しに応じてセンターへ自動コールバックし、電子メールを受信する通信端末において、センターからの回収指示があったならば、ユーザによる発信を拒否してセンターへの自動コールバックを優先して行い、コールバックのタイムアウトを極力避けることができるようになる。
【0011】
さらに、発信が拒否されているとき、ユーザにその旨を通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例である端末の構成を示すブロック図である。
【0013】
端末1000は、回線を介して一般公衆回線網(PSTN)に接続されている。また、センター 1200は総合デジタル通信網(ISDN)に接続されている。PSTNとISDNとは、通信事業者によって網間接続されているが、同図では便宜上2つの網をまとめてPSTN/ISDN 1100と表現する。端末1000とセンター 1200は、PSTN/ISDN 1100を経由して、電子メールのやり取りを行うことができる。また、本実施例のセンター 1100はInternet 1300にも接続されており、Internetに接続された情報端末等と端末1000との間の電子メールのやり取りを仲介することもできる。
【0014】
端末1000は、バス1010でそれぞれ接続された1001から1009までのモジュールから構成させる。
【0015】
CPU 1001は、ROM 1002に格納されているファクシミリ通信やデータ通信、表示や記録などの制御プログラム、および、FLASHRAM 1003に格納されている各種ソフトパラメータに基づいて、DRAM 1004の一部をワークエリアに利用しながら、端末1000全体を制御する。FLASHRAM 1003は、主電源がOFFされても内容を保持し続けることができ、上記パラメータのほかに、電子メールの内容や着信メロディなどの各種データが格納されている。DRAM 1004は、上記ワークエリアのほかに、ファクシミリ画像を格納する領域として使用される。
【0016】
表示部1005は、小型のカラー液晶ディスプレイや、高速描画を実現するためのアクセラレータ等から構成され、DRAM 1004に格納されているファクシミリ画像を表示するほかに、電子メールの内容の表示などを行う。また、音源デバイスなども具備し、着信メロディを再生することもできる。
【0017】
読取部1006は、カラーのコンタクトセンサ、オートドキュメントフィーダ、読み取ったデータを適宜画像処理するためのゲートアレイ等から構成され、カラーの原稿を走査してカラーの画像データを生成する。むろん、モノクロの画像データを生成することもできる。生成されたデータは、一旦DRAM 1002に格納されて後述する通信部1009を介してファクシミリ送信されたり、あるいは、後述する記録部1007に転送されてカラー画像に複製されたりする。
【0018】
記録部1007は、インクジェット方式のカラープリンタや、記録のための画像処理デバイス等から構成され、モノクロのみならずカラーのファクシミリ画像を記録紙に印刷したり、あるいは、電子メールの内容を印刷したりすることができる。
【0019】
操作部1008は、テンキー、カーソルキー、スタートキー、ストップキー等のほかに、端末1000の状態を示すいくつかのLED等から構成される。ユーザは、テンキーを使って任意の相手に電話をかけたり、カーソルキーやスタートキーを使って各種メニューを選択したり、ファクシミリ送信などの動作を指示したりすることができる。
【0020】
通信部1009は、ファクシミリモデムおよびデータモデムや、端末1000をPSTN 1100に接続するためのリレーやトランスなどを具備した網制御ユニット(NCU)、さらに音声メッセージを送出するためのDSP等から構成され、操作部1008を使って入力された番号に対して電話をかけたり、ファクシミリ通信やデータ通信、さらに、ETSI ES 201 912記載のFSKモジュレーションに対応するように電気信号を変調・復調したりする。
【0021】
図2は、本発明の実施例である図1記載の通信部1009において、特にNCUに係る部分を詳しく示したブロック図である。
【0022】
NCU 2000は、2001から2004までの各種リレーと、2005から2008までのモジュールから構成される。
【0023】
同図L1/L2には図1記載のPSTN/ISDN 1100が接続され、T1/T2には図1記載の電話機1400が接続される。
【0024】
CMLリレー2001は、L1/L2と2-4線変換回路2007を介してFAX/DATAモデム2100とを接続する経路と、L!/L2とT1/T2およびCI検知回路2006とを接続する経路を切り替えるためのリレーである。また、Hリレー2002は、L1/L2とT1/T2との接続・切断を制御するためのリレーである。さらに、Sリレー2003およびPリレー2004を制御することによって、CI検知回路2006によって検知される呼び出し信号に基づいてPSTN/ISDN 1100からの呼を捕捉したり、ダイヤルパルスを送出したりする。もし、CIが検知されれば、CI検知回路から出力されるCIポートを介して、図1記載のCPU 1001に通知される。
【0025】
HOOK検知回路2005では、T1/T2に接続された図1記載の電話機のハンドセットの状況を電気的にチェックしている。もし、ハンドセットがHOOK UP/DOWNされれば、それに応じた内容がHOOKポートを介して、図1記載のCPU 1001に通知される。
【0026】
T1/T2には、2-4線変換回路2007を介して、音声メッセージを送出するためのDSP 2200が接続できるように構成されている。
【0027】
図3は、本実施例の端末における着信処理を示すフローチャートである。着信処理は、回線関係を監視・制御するタスクで実行される複数の処理の中のひとつである。
【0028】
まず、ステップS3-001において、図2記載のCI検知回路2006による、図1記載のPSTN/ISDN1100からの呼び出しケーデンスの監視結果を取得し、着信があるか否かを判定する。もし着信があるならばステップS3-002に進む。着信がなかったならば、直ちに着信処理を終了し、回線関係を監視・制御するタスクが着信以外の処理を実行できるようにする。他に何もない状況であれば、一定時間経過した後で再度ステップS3-001を繰り返すように動作する。
【0029】
ステップS3-002では、有効な発信者電話番号情報(Caller ID)が検出されたか否かを判定する。もし、有効な番号が取得されていたならばステップS3-003に進み、そうでなければステップS3-006に進む。
【0030】
ステップS3-003では、予め図1記載のFLASH RAM 1003に格納されているSM_SCの電話番号と通知された発信者電話番号とを比較する。ここで、SM_SCから通知される発信者電話番号を構成を表す図をETSI ES 201 912から抜粋して図6に示す。比較は、通知された発信者電話番号の下2桁を除外して行われる。もし一致したならばステップS3-004に進み、そうでなければステップS3-006に進む。
【0031】
ステップS3-004では、SM_SCから通知されたCaller IDに付加されているCalled SME SubaddressおよびDeliver Mode Identifierの情報を、SM_SCへの発信の一情報として保存し、ステップS3-005に進む。
【0032】
ステップS3-005では、ステップS3-004で保存した付加情報を持ったSM_SCへの発信要求を予約して、着信処理を終了する。
【0033】
ステップS3-006は通常の着信処理である。例えば、端末1000の着信設定がFAX受信専用の設定になっているならば、図2記載のCMLリレー2001を制御して回線を自動的に捕捉した後、ファクシミリ受信を司るタスクにファクシミリ受信処理を依頼して着信処理を終了する。あるいは、端末1000の着信設定が手動の設定になっているならば、図2記載のCMLリレー2001およびHリレー2002を制御して、図1記載のPSTN/ISDN 1100を電話機1400に接続し、電話機1400を鳴動させる。なお、これらは本発明と直接関係ないので、詳細は割愛する。
【0034】
図4は、本実施例の端末におけるSM_SCへの発信処理を示すフローチャートである。SM_SC発信処理は、回線関係を監視・制御するタスクで実行される複数の処理の中のひとつである。
【0035】
まず、ステップS4-001において、図3のステップS3-005においてSM_SCへの発信が予約されているか否か判定する。もし発信が予約されているならばステップS4-002に進む。発信予約がなかったならば、直ちに発信処理を終了し、回線関係を監視・制御するタスクが発信以外の処理を実行できるようにする。他に何もない状況であれば、一定時間経過した後で再度ステップS4-001を繰り返すように見える。
【0036】
ステップS4-002では、ETSI ES 201 912に記載されたプロトコルにしたがって、SM_SCの電話番号に図3のステップS3-004で保存したCalled SME SubaddressおよびDeliver Mode Identifierの情報を付加して、SM_SCに発信する。発信が正常に終了したならばステップS4-003に進む。
【0037】
ステップS4-003では、メール回収を司るタスクにメールの回収処理を依頼してステップS4-004に進む。依頼を受けたタスクは、ETSI ES 201 912に記載されたプロトコルにしたがって、SM_SCから所望のメールを回収する。
【0038】
ステップS4-004では、内部状態を保持しながら回線関係を監視・制御するタスクが発信以外の処理を実行できるようしつつ、メール回収を司るタスクによるメールの回収処理が正常に終了するまで待ち、正常に終了したならばSM_SCへの発信の予約を解除して、SM_SC発信処理を終了する。
【0039】
図5は、本実施例の端末に収容される電話機のHOOK状態を監視し、回線と電話機との接続を制御するHOOK検知処理を示すフローチャートである。HOOK検知処理は、回線関係を監視・制御するタスクで実行される複数の処理の中のひとつである。
【0040】
まず、ステップS5-001において、図2記載のHOOK検知回路2005によって図1記載の電話機1400のHOOK UPが検出されたか否かを判定する。もしHOOK UPが検出されたならばステップS5-002に進む。HOOK UPが検出されなかったならば、直ちにHOOK検知処理を終了し、回線関係を監視・制御するタスクがHOOK検知以外の処理を実行できるようにする。他に何もない状況であれば、一定時間経過した後で再度ステップS5-001を繰り返すように見える。
【0041】
ステップS5-002では、図3のステップS3-005においてSM_SCへの発信が予約されているか否か判定する。もし発信が予約されているならばステップS5-003に進み、そうでなければステップS5-006に進む。
【0042】
ステップS5-003では、図1記載の電話機1400がPSTN/ISDN 1100に接続されていない状態、すなわち、図2記載のL1/L2とT1/T2の間が接続されていない状態を保持するように、図2記載のCMLリレー2001およびHリレー2002等を制御したまま、ステップS5-004に進む。
【0043】
ステップS5-004では、例えば「センターからメールを受信するため、只今電話機を使用することができません」というように、SM_SCへの発信予約で発信待ち状態であるため、あるいは、SM_SCからのメールの回収処理中のため、図1記載の電話機1400のハンドセットをユーザが持ち上げたことによる発信要求が無効であって発信を拒否する旨のメッセージを、図2記載のDSP 2200を制御して図1記載の電話機1400のハンドセットに対して送出する。
【0044】
ステップS5-005では、図2記載のHOOK検知回路2005によって図1記載の電話機1400のHOOK DOWNが検出されたか否かを判定する。もしHOOK DOWNが検出されたならば直ちにHOOK検知処理を終了する。もしHOOK DOWNが検出されなかったならば、内部状態を保持しつつ直ちにHOOK検知処理を終了し、回線関係を監視・制御するタスクがHOOK検知以外の処理を実行できるようにする。他に何もない状況であれば、一定時間経過した後で再度ステップS5-004を繰り返すように見える。
【0045】
一方、ステップS5-002において、図3のステップS3-005でSM_SCへの発信が予約されていないと判断されたならば、ステップS5-006が実行される。ステップS5-006では、図1記載の電話機1400がPSTN/ISDN 1100に接続されるように、すなわち、図2記載のL1/L2とT1/T2の間が接続されるように、図2記載のCMLリレー2001およびHリレー2002等を制御してステップS5-007に進む。
【0046】
ステップS5-007では、図2記載のHOOK検知回路2005によって図1記載の電話機1400のHOOK DOWNが検出されたか否かを判定する。もしHOOK DOWNが検出されたならばステップS5-008に進む。もしHOOK DOWNが検出されなかったならば、内部状態を保持しつつ直ちにHOOK検知処理を終了し、回線関係を監視・制御するタスクがHOOK検知以外の処理を実行できるようにする。他に何もない状況であれば、一定時間経過した後で再度ステップS5-007を繰り返すように見える。
【0047】
ステップS5-008では、図1記載の電話機1400がPSTN/ISDN 1100から切断されるように、すなわち、図2記載のL1/L2とT1/T2の間が切断されるように、図2記載のCMLリレー2001およびHリレー2002等を制御して、HOOK検知処理を終了する。本ステップにおいて、図2記載のL1/L2とT1/T2の間が切断されるように、図2記載のCMLリレー2001およびHリレー2002等を制御してあるので、これ以降に図1記載のPSTN/ISDN 1100から呼び出しケーデンスを受けても、少なくともCaller IDを解析するまで、電話機1400が鳴動しないようにすることができる。
【0048】
(実施例2)
以上で説明した実施形態では、通信端末がファクシミリ通信もできるように構成した。しかしながら、ファクシミリ通信に関わる手段を具備しない、いわゆる電話機であっても、図2記載のNCU 2000と同様な回路構成を実装し、かつ、図3から図5に示すような手順で回路等を制御すれば、本発明の目的であるところのユーザによる発信を拒否してセンターへの自動コールバックを優先して行いコールバックのタイムアウトを極力避けることは可能である。
【0049】
また、以上で説明した実施形態では、図2に示すように音声メッセージの送出専用のDSP 2200を実装し、ユーザによる発信要求が無効であって発信を拒否する旨のメッセージを電話機1400に送出するように構成した。しかしながら、本発明の主目的であるところのコールバックのタイムアウトを極力避けることに主眼をおけば、決して安価でない電気部品のDSP 2200を実装しなくても十分目的を達成することができる。
【0050】
もし、発信が拒否されているときユーザにその旨を通知する点に着目するならば、DSP 2200のかわりにトーン発生回路を実装し、図5のステップS5-004において音声メッセージのかわりにビジートーンのようなトーン信号を電話機1400に送出するように構成することで、DSPを実装する場合に比べてより安価に目的を達成することができる。
【0051】
さらに言えば、上記実施形態では、電話機に音声または有意信号を送出することで発信が拒否されているときユーザにその旨を通知していた。しかしながら、図5のステップS5-004において、音声または有意信号のかわりに、図1記載の表示部1005に「メール受信のため電話機を使用できません」というようなメッセージを表示するように構成すれば、DSPやトーン発生回路のような電気部品を実装することなく、発信が拒否されているときユーザにその旨を通知する目的を達成することも可能である。
【0052】
以上説明したように、本発明の実施例1および2によれば、センターからの回収指示呼び出しに応じてセンターへ自動コールバックし、電子メールを受信する通信端末において、センターからの回収指示があったならば、ユーザによる発信を拒否してセンターへの自動コールバックを優先して行い、コールバックのタイムアウトを極力避けることができる通信端末を提供することが可能になる。
【0053】
さらに、発信が拒否されているとき、ユーザにその旨を通知することができる通信端末を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例である端末の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例である図1記載の通信部1009において、特にNCUに係る部分を詳しく示したブロック図である。
【図3】本実施例の端末における着信処理を示すフローチャートである。
【図4】本実施例の端末におけるSM_SCへの発信処理を示すフローチャートである。
【図5】本実施例の端末に収容される電話機のHOOK状態を監視し、回線と電話機との接続を制御するHOOK検知処理を示すフローチャートである。
【図6】SM_SCから通知される発信者電話番号の構成を表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
網から通知される発信者番号を取得するための発信者番号取得手段と、
センターの電話番号を記憶するためのセンター番号記憶手段と、
前記発信者番号取得手段によって取得された番号と、前記センター番号記憶手段に記憶された番号とを比較する番号比較手段と、
前記番号比較手段によって2つの番号が等しいと判定されたならば、前記発信者番号に付加された情報を抽出して保存する付加情報保存手段と、
前記付加情報保存手段に保存された値に応じて、前記センター番号記憶手段に登録された電話番号に対して、前記付加情報保存手段に保存された付加情報を付加して、センターへの発信事象を生成するセンター発信事象生成手段と、
前記センター発信事象生成手段によって生成された発信事象があるならば、すみやかにセンターに向けて発信して所定のメールを回収するセンター発信手段と、
を有し、センターからの回収指示呼び出しに応じてセンターへ自動コールバックし、電子メールを受信する通信端末において、
前記通信端末が収容するハンドセットのフック状態を検出するためのフック状態検出手段と、
前記センター発信事象生成手段によって生成された発信事象の有無と、前記フック状態検出手段との組み合わせに応じて、前記生成された発信事象が有るときはたとえ前記フック状態検出手段によってハンドセットのオフフックが検出されたとしても、網とハンドセットとを切断した状態に保って発信を拒否するように、網とハンドセットとを接続または切断するように網接続を制御するための網接続制御手段と、
を有することを特徴とする通信端末。
【請求項2】
請求項1記載の手段に加えて、たとえ前記フック状態検出手段でハンドセットのオフフックが検出されたとしても網とハンドセットとを切断した状態に保って発信を拒否するように前記網接続制御手段によって網接続が制御されているとき、切断状態を保持して発信を拒否している旨をハンドセットを操作している利用者に通知するための拒否理由通知手段を有することを特徴とする請求項1記載の通信端末。
【請求項3】
前記拒否理由通知手段は音声合成手段を含み、前記切断状態を保持して発信を拒否している旨を表す音声メッセージをハンドセットに対して送出することを特徴とする請求項2記載の通信端末。
【請求項4】
前記拒否理由通知手段はトーン信号発生手段を含み、前記切断状態を保持して発信を拒否している旨を表す有意トーン信号をハンドセットに対して送出することを特徴とする請求項2記載の通信端末。
【請求項5】
請求項2記載の手段に加えて、LCD等から構成される表示手段を有し、前記拒否理由通知手段は、前記切断状態を保持して発信を拒否している旨を表すメッセージを前記表示手段に表示することを特徴とする請求項2記載の通信端末。
【請求項6】
センターからの回収指示呼び出しに応じてセンターへ自動コールバックし、電子メールを受信する通信端末の発信制御方法において、
網から通知される発信者番号を取得し、
取得された前記発信者番号と、センター番号記憶手段に記憶された電話番号とを比較し、
前記比較によって2つの番号が等しいと判定されたならば、前記発信者番号に付加された情報を抽出して保存し、
前記保存された値に応じて、前記センター番号記憶手段に登録された電話番号に対して、保存された付加情報を付加して、センターへの発信事象を生成し、
前記センターへの発信事象の有無と、前記通信端末に収容させたハンドセットのフック状態の組み合わせに応じて、特に前記センターへの発信事象が有るときはたとえ前記ハンドセットがオフフックであったとしても、網とハンドセットとを切断した状態に保って発信を拒否するように、網とハンドセットとを接続または切断するように網接続を制御する、
というステップからなることを特徴とする通信端末の制御方法。
【請求項7】
センターからの回収指示呼び出しに応じてセンターへ自動コールバックし、電子メールを受信する通信端末の発信制御方法において、
網から通知される発信者番号を取得し、
取得された前記発信者番号と、センター番号記憶手段に記憶された電話番号とを比較し、
前記比較によって2つの番号が等しいと判定されたならば、前記発信者番号に付加された情報を抽出して保存し、
前記保存された値に応じて、前記センター番号記憶手段に登録された電話番号に対して、保存された付加情報を付加して、センターへの発信事象を生成し、
前記センターへの発信事象の有無と、前記通信端末に収容させたハンドセットのフック状態の組み合わせに応じて、特に前記センターへの発信事象が有るときはたとえ前記ハンドセットがオフフックであったとしても、網とハンドセットとを切断した状態に保って発信を拒否するように、網とハンドセットとを接続または切断するように網接続を制御する、
というステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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