説明

通信端末装置および送信方法

【課題】複数の送信をまとめて1回の通信として処理することによる送信の遅れに対応し、送信の優先度を反映した処理ができるようにしたものである。また本発明は通信コストの低減化を反映した処理ができるようにしたものである。
【解決手段】1通信として送信する送信タイミングの到来頻度が異なる複数の送信処理を、送信情報の送信時期優先度に対応して設定し、高い送信時期優先度に対して前記送信タイミングの到来頻度が高い送信処理を設定する送信処理設定手段と、各送信情報の送信時期優先度に対応して、送信処理設定手段に設定した複数の送信処理のいずれかを選択する送信処理選択手段と、優先度対応送信処理選択手段より選択された各送信情報を、選択された送信処理により送信するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回線に接続されて他の通信端末装置との間で通信を行なう通信端末装置等の通信端末装置であって、通信回線による通信に対する課金に対応した通信を行なうものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信回線としてインターネットプロトコルをベースにしたNGNネットワーク(NEXT GENERATION NETWORK)のサービスが開始されており、例えばNTT(日本電信電話株式会社)グループのデータコネクトサービスがスタートしている。
【0003】
このサービスは、音声、映像、または画像のようなリアルタイム指向のデータを公衆回線のネットワークで転送するサービスであり、例えばこれまでイントラネットだけに限定して使用されていたIP−FAXは、この公衆回線のネットワークに接続することでG3−FAXと同様にネットワーク上の他のIP−FAX同士で接続できるようになった。
また、このネットワークサービスにおいては複数の通信速度が用意されており、ユーザはどの通信速度を用いるか任意に選択できる。
【0004】
このようなネットワークサービスの通信に対する課金方法は、通信時間単位の課金であり、所定時間(以下「単位時間」という)の通信に対して所定の金額(以下「単価」という)が課金されるようになっている。この単価は、通信速度によって異なっており、通信速度が高ければ単価が高くなるように設定されている。
【0005】
従来のネットワークサービスの課金方法は、所定の金額に対して通信可能時間が設定されており、送信先までの距離が長くなるほどこの通信可能時間は短くなるように設定されている。
【0006】
したがって、従来においては、課金される金額を低くして通信コストを下げるためには通信速度を上げて通信時間を短くすることが課題とされ、このための技術開発が行なわれてきた。
【0007】
しかしながら、上記のネットワークサービスの課金方法のように単位時間内の通信に対して単価が課されるようになっている場合や、更にどの通信速度を選択するかによっても単価が異なる場合には、通信時間を短くすることだけでは通信コストを下げる解決できない。
【0008】
このような課題に対するものとして、特許文献1には、同一の場所へ複数回の送信がある場合に、通信可能時間を無駄なく利用するために、複数の送信すべきデータを、通話所要時間の解析により、まとめて1回の通信として1回の通信手順で送信することを可能としたファクシミリ装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、複数の送信をまとめて1回の通信として処理することによる送信の遅れが生じるという課題が存在するが、これについては、特許文献1に記載の技術においては考慮されていないものである。
【0010】
また、上記した課金方法のように複数の通信速度が用意されていて課金の単価がこの通信速度によって異なって設定されており、どの通信速度を用いるかによって通信コストが異なることについては、特許文献1に記載の技術においては記載されていないものである。
このように、従来の技術においては送信の遅れについての課題がある。また従来の技術においては通信コストの低減についての課題がある。
【0011】
本発明は、このような送信の遅れに対応し、送信の優先度を反映した処理ができるようにしたものである。また本発明は通信コストの低減化を反映した処理ができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の通信端末装置は、通信回線に接続される通信端末装置であって、該通信端末装置は同一宛先の1または2以上の送信情報を、前記通信回線による通信に対する課金の単位時間内に送信が完了する1送信として送信するものであり、前記1送信として送信する送信タイミングの到来頻度が異なる複数の送信処理を、送信情報の送信時期優先度に対応して設定するものであって、送信処理の設定が、一の送信時期優先度に対して、当該送信時期優先度よりも低い送信時期優先度に対する送信処理よりも送信タイミングの到来頻度が高いかまたは同じ送信処理を設定するものである送信処理設定手段と、
各送信情報の送信時期優先度に対応して、前記送信処理設定手段に設定した複数の送信処理のいずれかを選択する送信処理選択手段と、前記送信処理選択手段より選択された各送信情報を、選択された送信処理により送信する送信処理手段を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の通信端末装置は、通信回線に接続される通信端末装置であって、該通信端末装置は同一宛先の1または2以上の送信情報を、前記通信回線による通信に対する課金の単位時間内に送信が完了する1送信として送信するものであり、前記1送信として送信する送信タイミングの到来頻度と前記1送信として送信する送信情報のデータ量のうち少なくとも1つが異なる複数の送信処理を、送信情報の送信時期優先度または通信コスト優先度に対応して設定するものであって、送信処理の設定が、送信時期優先度については、一の送信時期優先度に対して、当該送信時期優先度よりも低い送信時期優先度に対する送信処理よりも送信タイミングの到来頻度が高いかまたは同じ送信処理を設定するものであり、通信コスト優先度については、一の通信コスト優先度に対して、当該通信コスト優先度よりも低い通信コスト優先度に対する送信処理よりも送信情報のデータ量が多いかまたは同じ送信処理を設定するものである送信処理設定手段と、
各送信情報の送信時期優先度または通信コスト優先度に対応して、前記送信処理設定手段に設定した複数の送信処理のいずれかを選択する送信処理選択手段と、前記送信処理選択手段より選択された各送信情報を、選択された送信処理により送信する送信処理手段を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の通信端末装置は更に、前記1送信として送信する送信タイミングの到来頻度は、前記1送信として送信する送信情報のデータ量により決定されることを特徴とする。
【0015】
本発明の通信端末装置は更に、通信コスト優先度に対しては、前記1送信として送信する送信情報のデータ量に代えて、前記1送信として送信する送信情報のデータ量における単位データ量あたりの課金単価にもとづいて送信処理を設定することを特徴とする。
【0016】
本発明の通信端末装置は更に、前記1送信として送信する送信情報のデータ量は、同一通信速度において複数設定されることを特徴とする。
【0017】
本発明の通信端末装置は更に、複数の通信速度が用いられ、前記1送信として送信する送信情報のデータ量が、前記複数の通信速度のそれぞれごとに設定されることを特徴とする。
【0018】
本発明の通信端末装置は更に、前記1送信として送信する送信情報のデータ量は、用いる通信速度における課金の単位時間あたりの送信可能データ量に対する所定の割合のデータ量であることを特徴とする。
【0019】
本発明の通信端末装置は更に、前記送信処理設定手段により設定した送信処理は、更に送信情報のデータ量に対応したものであって、一の送信情報に対して、当該送信情報より多いデータ量に対する送信処理よりも、各送信処理のうち前記1送信として送信する送信情報のデータ量が少ないかまたは同じデータ量の送信処理が設定され、当該送信情報より少ないデータ量に対する送信処理よりも、各送信処理のうち前記1送信として送信する送信情報のデータ量が多いかまたは同じデータ量の送信処理が設定されたものであることを特徴とする。
【0020】
本発明の通信端末装置は、複数の通信速度が用いられる通信回線に接続される通信端末装置であって、各通信速度における単位時間あたりの送信可能データ量にもとづいて各通信速度の送信限度データ量が設定された送信限度データ量設定手段と、前記複数の送信速度のうち送信情報の優先度に対応していずれかの通信速度を用いる送信処理を設定するものであって、送信処理の設定が、一の送信時期優先度に対して、当該送信時期優先度よりも低い送信時期優先度に対する送信処理よりも前記送信限度データ量が少ないか同じ通信速度を設定し、当該送信時期優先度よりも高い送信時期優先度に対する送信処理よりも前記送信限度データ量が多いか同じ通信速度を設定するものである送信処理設定手段と、各送信情報をその送信情報の優先度に応じて、前記送信処理設定手段に設定した通信速度のいずれかを選択して、その通信速度に振り分ける振り分け手段と、前記振り分け手段により振り分けられた各送信情報を、振り分けられた通信速度に対応付けて蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積された各送信情報のうち、同一通信速度に対応付けられた同一宛先の送信情報の合計データ量が、当該通信速度の前記送信限度データ量に達したときに、前記同一通信速度に対応付けられた同一宛先の送信情報を、当該通信速度により当該宛先に1送信として送信することを決定する送信タイミング決定手段を有することを特徴とする。
【0021】
本発明の通信端末装置は、通信回線に接続される通信端末装置であって、通信回線の通信速度における単位時間あたりの送信可能データ量にもとづいて複数の送信限度データ量が設定された送信限度データ量設定手段と、前記複数の送信限度データ量のうち送信情報の優先度に対応していずれかの送信限度データ量を用いる送信処理を設定するものであって、送信処理の設定が、一の送信時期優先度に対して、当該送信時期優先度よりも低い送信時期優先度に対する送信処理よりも前記送信限度データ量が少ないか同じ通信速度を設定し、当該送信時期優先度よりも高い送信時期優先度に対する送信処理よりも前記送信限度データ量が多いか同じ通信速度を設定するものである送信処理設定手段と、各送信情報をその送信情報の優先度に応じて、前記送信処理設定手段に設定した送信限度データ量のいずれかを選択して、その送信限度データ量に振り分ける振り分け手段と、前記振り分け手段により振り分けられた各送信情報を、振り分けられた送信限度データ量に対応付けて蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積された各送信情報のうち、同一送信限度データ量に対応付けられた同一宛先の送信情報の合計データ量が、当該送信限度データ量に達したときに、当該送信限度データ量に対応付けられた同一宛先の送信情報を、当該宛先に1送信として送信することを決定する送信タイミング決定手段を有することを特徴とする。
【0022】
本発明の通信端末装置は更に、前記蓄積手段に蓄積された送信情報の蓄積限度時間を設定してこの時間の経過を管理する蓄積限度時間管理手段を有し、前記送信タイミング決定手段は、いずれかの送信情報の蓄積時間が前記蓄積限度時間を越えたときに、当該送信情報を送信することを決定することを特徴とする。
【0023】
本発明の通信端末装置は更に、前記蓄積手段に蓄積された送信情報の蓄積限度時間を設定してこの時間の経過を管理する蓄積限度時間管理手段を有し、前記送信タイミング決定手段は、いずれかの送信情報の蓄積時間が前記蓄積限度時間を越えたときに、前記蓄積手段に蓄積されている当該送信情報と同一通信速度に対応付けられた同一宛先の他の送信情報を、当該送信情報とともに当該通信速度により当該宛先に1送信として送信することを決定することを特徴とする。
【0024】
本発明の送信方法は、上記のいずれかに記載の通信端末装置の複数をイントラネットワークに接続し、所定の優先度の送信情報を前記通信端末装置のうちの一の通信端末装置から他の所定の通信端末装置へイントラネットワークを介して送信し、前記所定の優先度の送信情報の宛先への前記通信回線を介した送信処理を前記所定の通信端末装置において行なうようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、同一宛先の1または2以上の送信情報を、通信回線の単位時間の1または複数の時間内に送信が完了する1送信として送信するものであって、異なる送信タイミングの送信処理を設定してこのうちのいずれかを選択して送信することができるので、送信情報の送信タイミング等の優先度をコントロールすることができ、送信情報に優先度を設けそれに対応した送信処理が行なえるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に適用される課金形態の例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】送信処理設定部において設定された送信処理の第1の例を示す図である。
【図5】通信速度に対応する送信限度データ量および蓄積部の蓄積BOXを示す図である。
【図6】送信処理設定部において設定された送信処理の第2の例を示す図である。
【図7】送信情報のデータ量の目安を示す図である。
【図8】送信処理設定部において設定された送信処理の第3の例を示す図である。
【図9】送信処理において送信情報を蓄積する場合の処理を説明する説明図である。
【図10】送信情報を振り分け部により振り分けて記憶部に蓄積するまでについてのフローチャートを示す図である。
【図11】記憶部に蓄積されている送信情報を送信するまでについてのフローチャートを示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る送信処理を広域のイントラネットワークに適用した場合について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
≪課金形態の例≫
図1は実際に商業的に運用されている課金形態の例を示している。
【0028】
以下に示す本発明の実施形態においては、この図1に示す課金形態が適用される場合について説明する。
【0029】
図1に示す課金形態例においては、通信速度として、64Kbps、512Kbpsおよび1Mbpsの3種類が用意されたものであり、ユーザはこの中から、用いる通信速度を通信ごとに任意に選択して用いることができる。
【0030】
これらの通信速度のそれぞれについて、単位時間ごとの通信に対して単価の額が課金される。すなわち、通信時間が単位時間内であれば単価の額が課金され、通信時間が複数の単位時間を要した場合には単価の複数倍の額が課金される。
【0031】
この例では、単位時間は30秒であり、単価は通信速度が64Kbpsについては1.0円、512Kbpsについては1.5円、1Mbpsについては2.0円である。
【0032】
このように、単価は、通信速度によって異なり、通信速度が高ければ単価は高く設定されている。なおこの表には示していないが、単位時間は通信速度が高くなれば長く設定される場合がある。例えば通信速度が2.6Mbpsの場合には単位時間が3分、単価が15円に設定される。
【0033】
図1には、通信速度ごとに、単価、単位時間あたりの送信可能データ量、単位時間あたりのふつう字原稿の送信枚数、およびふつう字原稿1枚あたりの課金額を示している。
ここに示すように、この課金形態においては、送信するデータ量が少ないときに高い通信速度を用いると割り高になり、逆に低い通信速度を用いた場合には割安になる。このように通信速度の選択により通信コストは異なってくる。
【0034】
≪実施形態のハードウェア構成≫
図2は本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0035】
図2に示されているように、本実施形態のファクシミリ装置1は、ファクシミリ装置1全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)11、ファクシミリ装置1の各種プログラムを記憶したROM12(Read Only Memory)、CPU11のワークエリアとして使用されるRAM13(Random Access Memory)、画像情報や各種処理にも用いる設定値等の各種データを記憶するHD(Hard Disk Memory)14を有している。
【0036】
ファクシミリ装置1は更に、スキャナ15、プロッタ16、操作ボタン17、ディスプレイ18、およびネットワークインターフェイス19を有している。20はこれらの構成要素を電気的に接続するためのアドレスバス、データバス等のバスライン、30は通信回線であるネットワークである。
【0037】
スキャナ15は、原稿画像をスキャンして画像情報に変換するものであり、プロッタ16は受信した画像情報等の画像を紙に印刷するものである。
【0038】
操作ボタン17はユーザにより宛先入力、送信条件等のファクシミリ装置1の操作を行なうものであり、ディスプレイ18はファクシミリ装置1の操作の際の状況を表示したり、動作状態を表示するものである。
【0039】
ネットワークインターフェイス19は、ネットワーク30を介して他のファクシミリ装置1との間でデータ伝送等の通信をするためのインターフェイスである。
【0040】
なお、HD14についてはHDに限らず、不揮発性のものであればフラッシュメモリ等の他のメモリを用いてもよい。
【0041】
≪実施形態の機能構成≫
図3は本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示しているようにファクシミリ装置1は、システム制御部41、スキャナ部42、プロッタ部43、操作表示部44、記憶部45、ネットワーク制御部46、符号化復号化部47、送信処理部48を有している。
【0042】
これらの各部は、図2に示されている各構成のいずれかが、ROM12に記憶されているプログラムに従ったCPU11からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
これらの各部について説明する。
【0043】
システム制御部41は、ファクシミリ装置1としての全体の制御を行なう。
【0044】
スキャナ部42およびプロッタ部43は、スキャナ15およびプロッタ16により実行するもので、原稿画像の画像情報への変換および画像情報からの紙への印刷を行なう。
【0045】
操作表示部44は、操作ボタン17およびディスプレイ18により実行するもので、ユーザが行なう送信条件の操作の中には、送信しようとする画像情報についての優先度、例えば送信時期、または通信コストの優先度の入力が含まれる。
【0046】
記憶部45は、送信する送信情報、およびこの画像情報に付随する宛先情報等の書誌情報、送信情報のデータ量の情報、送信処理設定部481により設定された送信処理に関する情報、後述する優先度情報、用いる通信速度情報等を記憶するもので、RAM13およびHD14が用いられる。
【0047】
ネットワーク制御部46は、ネットワークインターフェイス19を介してパケット化した画像情報をネットワーク30へ送信しまたはネットワーク30からパケット化した画像情報を受信する等の、ネットワーク30側とのデータのやり取りを行う。
【0048】
符号化復号化部47は、ITU(International Telecommunication Union)のT.4勧告で規定された方式により、送信する画像情報に対して符号化によりデータ圧縮を行なうとともに、受信した画像情報を復号化して元の画像情報を再生する。
【0049】
送信処理部48は、送信要求があった各送信情報の優先度に対応した送信処理を行なうものであり、具体的には、送信情報の即時送信、または同一宛先の1または2以上の送信情報を、同一通信速度で課金の単位時間の1または複数の時間内に送信が完了する1送信として送信する送信等、送信の優先度に対応した複数の送信処理を行なう。
【0050】
送信処理部48には、送信処理設定部481、振り分け部482、蓄積部483、蓄積データ量管理部484、送信情報データ量検出部485、送信可能データ量設定部486、送信限度データ量設定部487、送信タイミング決定部488、および蓄積限度時間管理部489を有している。
【0051】
送信処理設定部481は、各画像情報の優先度に対応した複数の送信処理を設定するものである。送信処理としては、上記した同一宛先の1または2以上の送信情報を1送信として送信する場合の送信タイミングの到来頻度が異なる複数の送信処理、また1送信として送信する送信情報のデータ量が異なる送信処理を設定する送信処理等がある。
【0052】
振り分け部482は、各送信情報をその送信情報の優先度に対応して送信処理設定部481により設定された送信処理のいずれかの処理を選択し、各送信情報をその送信処理に振り分けるものである。
【0053】
蓄積部483は、記憶部45の一部の機能であり、送信情報を蓄積して送信する場合に送信情報を記憶して蓄積するもので、送信情報の他この送信情報に付随する宛先情報等の書誌情報、優先度情報、用いる通信速度情報等を記憶する。この蓄積部483においては、同一通信速度かつ同一宛先のものをまとめて管理することができる。
【0054】
蓄積データ量管理部484は、蓄積部483において蓄積された同一通信速度かつ同一宛先の送信情報の合計データ量を把握し管理するものである。
【0055】
送信情報データ量検出部485は、送信原稿からの読み取り情報または装置に直接入力された情報をデータ圧縮した後の送信情報のデータ量を検出するものである。
【0056】
送信可能データ量設定部486は、各通信速度における課金の単位時間あたりの送信可能データ量を設定するものである。
【0057】
送信限度データ量設定部487は、各通信速度における課金の単位時間あたりの送信限度データ量を設定するものである。送信限度データ量は「送信可能データ量」に対して一定の割合のデータ量であり、各通信速度においてこの割合が異なるものを複数設けることもできる。
【0058】
送信タイミング決定部488は、所定の条件にもとづき送信情報を送信するタイミングを決定するもので、送信情報を蓄積して送信する場合には、蓄積部483に蓄積された送信情報のうち同一通信速度かつ同一宛先の合計データ量が用いる各通信速度における単位時間あたりの所定データ量例えば送信限度データ量に達したとき送信することを決定する。
【0059】
また、送信タイミング決定部488は、蓄積部483に蓄積された送信情報の蓄積時間が所定時間経過したときすなわちタイムアウトのときに送信することを決定する。
【0060】
蓄積限度時間管理部489はこの所定時間である蓄積限度時間が経過したか管理するものである。
【0061】
送信処理部48における各種設定の情報は、記憶部45に記憶される。
【0062】
≪実施形態の送信処理≫
ここで、送信処理設定部481において設定される送信処理について説明する。
【0063】
送信処理設定部481において設定される複数の送信処理には、大きく分けて、即時送信する処理、および後続の同一宛先の送信要求を待って同一宛先の複数の送信情報をまとめて1送信として送信する処理(以下このようにまとめた送信を「相乗り送信」と云う。)がある。
【0064】
この複数の送信処理は、送信情報ごとに設定された優先度に対応できるものが設定される。優先度はユーザによって操作表示部44において入力され、記憶部45に各送信情報に対応づけて記憶される。
この実施形態においては、優先度として送信時期を優先させる送信時期優先度と、課金額を低くすることを優先させる通信コスト優先度を有している。
図4は、送信処理設定部481において設定された送信処理の例(第1の例)を示している。なお、この情報は記憶部45に記憶されている。
【0065】
図4に示す送信処理には、送信情報の送信時期優先度に対応して、送信情報の蓄積の有無、および用いる通信速度が異なる4つの送信処理が設定されたものが示されている。
【0066】
この送信処理においては、送信時期優先度としては「最高」、「高」、「中」「低」の4種類を有する。
【0067】
図4において、蓄積の有無については、「最高」のみが「蓄積しない」すなわち即時送信であり、他は「蓄積する」と設定されている。
【0068】
また、通信速度は「最高」に対しては高い通信速度の1Mbpsが設定され、優先度「高」に対しては低い通信速度の64Kbpsが設定され、優先度「中」に対しては中の通信速度の512Kbpsが設定され、優先度「低」に対しては、高い通信速度の1Mbpsが設定されている。
【0069】
送信情報を蓄積する送信処理、すなわち相乗り送信の送信処理においては、送信情報は蓄積部483に記憶される。
この場合、各送信情報とともに用いる通信速度の情報および宛先情報が記憶される。
これにより、蓄積部483においては、同一通信速度かつ同一宛先のものをまとめて管理することができ、その合計データ量を把握したり、それらを一括して読み出して送信できるようにしている。
【0070】
なお、本実施形態においては、蓄積部483としてハード的にはひとつの記憶装置により通信速度および宛先を識別可能にして蓄積するようにしているが、記憶装置を通信速度ごとに分けて複数個設けるようにしてもよい。
【0071】
このようにして、送信情報を蓄積する場合には、同一通信速度かつ同一宛先の送信情報をまとめて把握できるようにしており、これを1送信として送信できるようにしている。
【0072】
この同一通信速度かつ同一宛先の1送信の合計データ量を、課金の単位時間あたりの送信可能データ量に合わせて決め、蓄積部483に蓄積した同一通信速度かつ同一宛先の合計データ量が、用いる通信速度における単位時間あたりの送信可能データ量に達したときに、送信をするようにすると、単位時間内の送信時間に空きが生じないようにすることができる。
したがって、このようにすると、課金の単価内で最大限のデータ量を送信することができ無駄が生じることがないため、通信コストを低く抑えることができる。
【0073】
図1に示すように、単位時間あたりの送信可能データ量は、通信速度が低いものでは少なく、通信速度が高いものでは多い。
【0074】
他方、単価は通信速度が遅いものでは安く、通信速度が高いものでは高くなっており、
単位時間内の送信可能データ量からみれば、高い通信速度を用いるようにすれば、送信できるデータ量が多いため通信コストは割安になる。
【0075】
したがって、同一通信速度かつ同一宛先の送信情報をまとめて1送信として送信する場合には、通信コスト面から見れば高い通信速度を用いた方が送信データ量に対する通信コストは安くなる。
【0076】
しかしながら、高い通信速度の場合には、単位時間内の送信可能データ量が、低い通信速度の場合よりも多いため、高い通信速度の場合には蓄積した各送信情報のうち、同一通信速度かつ同一宛先の送信情報の合計データ量が単位時間あたりの送信可能データ量に達するまでの時間が、低い通信速度の場合に比べて長くなる。
【0077】
送信情報の送信は、同一通信速度かつ同一宛先の合計データ量が用いる各通信速度における単位時間あたりの送信可能データ量に達したとき行なわれるので、送信タイミングの到来頻度は、その合計データ量が送信可能データ量に達するまでの時間がどれくらいかかるかによって変わってくる。
【0078】
すなわち、高い通信速度を用いた場合には合計データ量がこの送信可能データ量に達するまでの時間が長くかかるので送信タイミングの到来頻度は低くなり、これに対して低い通信速度を用いた場合には、合計データ量が送信可能データ量に達するまでの時間が短くなるので送信タイミングの到来頻度は高くなる。このように、どの通信速度を用いるかの送信処理の違いにより、送信タイミングの到来頻度が異なってくる。
【0079】
したがって、同一通信速度かつ同一宛先の送信情報をまとめて1通信として送信する場合には、送信時期優先度の面から見れば、低い通信速度を用いた方が送信時期を早くすることができ、送信時期優先度に適合する。
【0080】
このように、通信コストを抑えるためにはすなわち通信コスト優先度を上げるためには高い通信速度を用いた方がよく、送信時期優先度を上げるためには低い通信速度を用いた方がよいことになる。この実施形態においては、両者のうちどちらを優先させるかによって通信速度を選択して設定している。
【0081】
なお、上記の説明は、原理的な説明であって、課金の単位時間当たりの「送信可能データ量」を用いて説明しているが、実施する場合には「送信可能データ量」に対して余裕を持つようにしている。
【0082】
すなわち、「送信可能データ量」そのものではなく、「送信可能データ量」に対して一定の割合例えば80%のデータ量を「送信限度データ量」を用いる。
【0083】
「送信可能データ量」に対する「送信限度データ量」の割合をどの程度にするかは、
単位時間内の送信時間に空きが生じないようにして通信コストを可能な限り低く抑えるという視点、また送信限度データ量に達した時の1送信として送信する同一通信速度かつ同一宛先の合計データ量が、「送信可能データ量」を超えないで単位時間あたりの送信で送信完了し終えるかの視点等を考慮して、実施形態に応じて具体的に決めることになる。
【0084】
もちろんこの場合には「送信限度データ量」を「送信可能データ量」と同じ(すなわち「送信可能データ量」に対して100%)とすることもできる。
【0085】
このようなことから本説明において「送信可能データ量」を、「送信限度データ量」と区別して用いている場合以外には、「送信可能データ量」は「送信限度データ量」を含む意味で用いているものとする。
【0086】
同一通信速度かつ同一宛先の合計データを1通信として送信する方法について説明すると、例えば次のようなやり方がある。
【0087】
1)蓄積した送信情報の同一通信速度かつ同一宛先の送信情報の合計データ量が、用いる各通信速度における単位時間あたりの送信限度データ量に達したときに、蓄積したこれらの送信情報のすべてを送信し、これらの同一通信速度かつ同一宛先の送信情報の蓄積を空にする。
この場合には、最後の送信情報のデータを蓄積した結果、送信対象のデータ量が送信可能データ量をオーバーすることもあり得る。すなわち通信時間が単位時間を越えることになり、通信コストを抑えることができないことがあり得る。
【0088】
これに対処するには、送信限度データ量を余裕を見て設定することが考えられる。
このやり方には、送信処理は蓄積した送信情報を一括して取り扱うので、構成が簡単になるというメリットがある。
【0089】
2)蓄積した送信情報の同一通信速度かつ同一宛先の合計データ量が、用いる各通信速度における単位時間あたりの送信限度データ量または送信可能データ量に達したときに、蓄積したこれらの情報のうち、単位時間あたりの送信可能データ量の範囲に収まる分の送信情報を送信し、残った送信情報は次の送信にまわす。
【0090】
この場合には、送信対象のデータ量が送信可能データ量をオーバーすることはないので、確実に通信コストを抑えることができるが、他方、蓄積した送信情報を一括して通信処理を行なうやり方に比較して、構成が複雑になるデメリットがある。
【0091】
実施する場合には上記の1)または2)のいずれを用いてもよい。
本実施形態においては、このうちの1)のやり方を行なうようにしているが、2)のやり方を用いてもよい。
【0092】
このように、1送信として送信する送信情報のデータ量として、用いる通信速度における課金の単位時間あたりの「送信可能データ量」に対する所定の割合の「送信限度データ量」を用いた場合には「送信可能データ量」に対して余裕を持たせることができ、送信データ量の実情に合わせた取り扱いをすることができる。
図4においては、上記に説明したことを考慮して送信処理を設定している。
【0093】
すなわち、図4に示す送信処理は、送信タイミングの到来頻度および通信コストの面から異なるものを設定しており、送信時期優先度に対しては送信タイミングの到来頻度を短くするようにし、通信コスト優先度に対しては通信単価が低い通信速度を用いるようにすることおよび上記の相乗り送信を行なうようにしている。
【0094】
図4においては、高い送信時期優先度に対する通信速度は、単位時間あたりの送信可能データ量が少ない通信速度を設定している。
単位時間あたりの送信可能データ量が少ない通信速度においては、送信するまでに送信情報を蓄積する送信限度データ量が少なく、送信情報によりこの送信限度データ量を満たす間隔が短くなるので、送信タイミングの到来頻度が高くなる。すなわち送信限度データ量が少ないほど送信までの待機時間が短くなり早期に送信できることになる。
【0095】
本実施形態に適用される課金形態のように、課金のための単位時間が各通信速度において同一の場合には通信速度が低速であればあるほど、送信限度データ量が少なくなるので、送信タイミングの到来頻度が高くなって送信までの待機時間が短くなり早期に送信できることになる。
【0096】
また、図4においては、通信コスト優先度に対して通信単価が低い通信速度を用いるようにしているが、具体的には1送信として送信する送信情報のデータ量が多い場合と、
1送信として送信する送信情報のデータ量における単位データ量あたりの課金単価が低い場合がある。図4に示す送信処理においては図1から明らかなように、一致している。このようにすることにより、通信コスト優先度に適合した送信処理の設定を行なうことができる。
【0097】
図5には、通信速度に対応する送信限度データ量および送信情報を蓄積する蓄積部483の蓄積BOXを示している。この送信限度データ量は送信可能データ量の80%に設定している。図4の送信処理においてはこの送信限度データ量を用いている。
蓄積BOXは、送信情報を蓄積する場合に蓄積部483を概念的に区分して蓄積BOXとして示したものである。これについては後述する。
【0098】
図4の送信処理において、優先度「最高」に対しては高速度の1Mbpsを設定しているが、「最高」は蓄積しないで送信するので、上記した限度データ量は考慮する必要はなく通信速度は任意に選ぶことができる。
【0099】
本実施形態においては、1Mbpsを設定しているが、これにより「最高」の送信情報のデータ量が多い場合にも送信が単位時間内に完了することができ、「最高」の課金金額が高額にならないようにしている。
したがって、「最高」の送信情報のデータ量が少ない場合には、そのデータ量が単位時間あたりの送信可能データ量内に収まる送信速度のうち、最も低い送信速度を設定すれば課金額を下げることができる。
この実施形態においては、優先度として送信時期を優先させる送信時期優先度と、課金額を低くすることを優先させる通信コスト優先度を有しているが、この2つの優先度の関係について説明する。
【0100】
送信時期優先度と通信コスト優先度の関係は、相乗り送信の場合には、一方を決めると他方がそれにより決まる関係にある。
【0101】
なお、送信時期優先度「最高」は蓄積しないで送信する即時通信であり、通信速度は任意に選ぶことができ、選んだ通信速度により通信コストが決まるので、上記の一方を決めると他方がそれにより決まる関係ではない。
【0102】
したがって、相乗り送信の場合には、送信時期と通信コストのどちらの優先度を他方に対して優先させるかによりバランスをとるやり方になる。
例えば、図4に示す優先度においては、優先度として送信時期優先度のみを示しているが、通信コスト優先度は送信時期優先度とは逆になる。すなわち図4の送信時期優先度が「高」に対しては、通信コスト優先度は「低」となり、送信時期優先度が「低」に対しては、通信コスト優先度は「高」となる。
【0103】
送信時期優先度と通信コスト優先度のバランスをとる場合には、送信時期優先度が「中」を選択すれば通信コスト優先度も「中」となるので、これを選択すればよいことになる。
【0104】
この優先度の段階は適宜設けることができるので、送信時期優先度と通信コスト優先度の双方を更に細かく設定することもできる。
このようなことから、ユーザが優先度を選択する場合には、送信時期優先度と通信コスト優先度のいずれかを選択すればよい。
【0105】
上記の送信処理の形態においては、同一宛先の1または2以上の送信情報を、通信回線の単位時間の1または複数の時間内に送信が完了する1送信として送信する場合において、異なる送信タイミングを設定してこのうちのいずれかを選択して送信することができるので、送信情報の送信タイミングをコントロールすることができ、送信情報に優先度を設けそれに対応した送信処理が行なえるものである。
【0106】
また、優先度として、送信時期の優先度と通信コストの優先度を設け、これらの優先度の双方を考慮した送信処理が行なえるものである。
【0107】
通信コスト優先度への対応については、通信可能データ量、単位時間、単価等の課金方法で決められた額に対して適した送信処理を設定できる。
【0108】
図6は送信処理設定部481において設定された送信処理の他の例(第2の例)を示している。
【0109】
図6に示す送信処理では、図4に示した送信時期優先度に加えて、送信情報のデータ量を考慮して送信情報の蓄積の有無および送信速度を設定している。
【0110】
送信情報のデータ量は送信原稿をスキャナ部42で読み取るか、または装置に直接入力された情報を送信するためにデータ圧縮した後のデータ量であり、このデータは送信情報データ量検出部485により検出される。
【0111】
この図6の送信処理の情報は、図4のものと同様に記憶部45に記憶されている。
【0112】
図6において、送信時期優先度としては図4に示したものと同じく「最高」、「高」、「中」「低」の4種類がある。また、送信情報のデータ量としては「小」、「中」、「大」の3種類の区分を設けている。
【0113】
図7はこの「小」、「中」、「大」のデータ量の目安を示しているもので、「小」、「中」、「大」のデータ量をbyte数と、線密度が異なる3種類の原稿の枚数で示している。
【0114】
送信データの線密度は、ふつう字、小さい字、または微細字の種類があり、ユーザの入力により選択されるか、または装置により適する線密度が自動的に選択されたものが用いられる。
【0115】
ここでは、「小」、「中」、「大」のデータ量を、図1に示した各通信速度の単位時間あたりの送信可能データ量に合わせている。
【0116】
すなわち、データ量「小」を通信速度64Kbpsの送信可能データ量である1.9Mbyte未満の範囲とし、データ量「中」を通信速度64Kbpsの送信可能データ量1.9Mbyteを超え通信速度1Mbpsの送信可能データ量30.0Mbyte未満の範囲とし、データ量「大」を通信速度1Mbpsの送信可能データ量30.0Mbyteを超える範囲として設定している。
データ量「中」の範囲には通信速度512Kbpsの送信可能データ量15.4Mbyteが含まれている。
【0117】
図6に示された送信処理について説明する。
【0118】
図6において、送信情報のデータ量が「小」の場合には、通信速度は送信時期優先度が「最高」以外は図4に示したものと同じ通信速度が設定されている。すなわち、「蓄積する」場合の「高」、「中」「低」については図4の場合と同じ取り扱いにしている。
送信情報のデータ量が「小」の場合で送信時期優先度が「最高」の場合には、蓄積せずに即時送信されるが、データ量が1.9Mbyte未満と小さいので、そのデータ量が低速度の64Kbpsの単位時間あたりの送信可能データ量内に収まり単位時間内に送信されるので、64Kbpsに設定されている。
【0119】
また、画像データのデータ量が「中」の場合には、データ量は通信速度64Kbpsの送信可能データ量1.9Mbyte超え通信速度1Mbpsの送信可能データ量30.0Mbyte未満であるので、送信時期優先度が「最高」の場合には通信速度が1Mbpsであれば画像データのデータ量は単位時間あたりの送信可能データ量内に収まり単位時間内に送信される。
したがって、この方が全体的には通信コストが低くなるので優先度が「最高」については単位時間あたりの送信可能データ量に収まる1Mbpsに設定されている。
【0120】
一方、画像データのデータ量が「中」の場合で通信速度が中速度の512Kbpsである場合には、画像データのデータ量は512Kbpsの単位時間あたりの送信可能データ量15.4Mbyteに収まるとは限らず、単位時間を越えて次の単位時間も課金される可能性があるが、逆に送信タイミングは通信速度が1Mbpsの場合よりも早まる。
【0121】
このことは、通信速度が中速度の512Kbpsである場合には、通信速度1Mbpsの場合よりも通信コストがかかるが、送信タイミングは早まることを意味している。
この点を考慮し、画像データのデータ量が「中」の場合には、送信時期優先度が「高」および「中」については通信コストよりも送信時期を優先させての通信速度を512Kbpsに設定されている。
【0122】
逆に送信時期優先度が「低」については通信コストを優先させて単位時間あたりの送信可能データ量に収まりかつ、送信データのコストが安い1Mbpsに設定されている。
【0123】
画像データのデータ量が「大」の場合には、そのデータ量は通信速度1Mbpsの送信可能データ量30.0Mbyteを越えているので、送信時期優先度が「最高」の場合には通信速度が1Mbpsのときが最も通信コストが低くなる。したがって、「最高」については、通信速度が1Mbpsに設定されている。
【0124】
同様に、通信速度が中速度の512Kbpsまたは低速度の64Kbpsである場合には、送信した場合には複数の単位時間にまたがることになり、かつ送信タイミングが早められることもないので、メリットがない。
したがって、画像データのデータ量が「大」の場合には、送信時期優先度にかかわらず通信速度が1Mbpsに設定されている。
【0125】
このように、送信情報の送信時期優先度要求に加えて、送信情報のデータ量を考慮して送信情報の蓄積の有無および送信速度を設定することにより、送信時期優先度および通信コスト優先度に対してより適合した送信を行なうことができる。
図6に示す送信処理における各通信速度についても図4の場合と同様に、図5に設定された送信限度データ量および送信情報を蓄積する蓄積BOXが用いられる。
【0126】
ただし、図6および図7に示す説明は、課金の単位時間あたりの送信可能データ量を用いて説明しており、この通りに実施する場合には、図5において送信限度データ量を送信可能データ量と同じに変更してすなわち送信可能データ量に対して100%に変更して実施する。
【0127】
また、図5の送信限度データ量を用いて実施する場合には、図5では送信限度データ量は送信可能データ量の80%に設定しているので、図7に示す「小」、「中」、「大」のデータ量を示している量の80%に変更して用いる。
【0128】
図8は送信処理設定部481において設定された送信処理の他の例(第3の例)を示している。
【0129】
図4または図6に示す送信処理では、送信情報の送信時期優先度に対応して、送信情報の蓄積の有無および用いる通信速度を優先度ごとに設定したものであるが、図8に示す送信処理では、通信速度が同一の場合に、送信時期優先度に対応して送信限度データ量を異なるようにした送信処理を設定している。
【0130】
すなわち、通信速度に付随せずに送信限度データ量を設定するようにしている。
【0131】
図8において、送信時期優先度としては、図4および図6の場合と同様に、「最高」、「高」、「中」「低」の4種類があるが、通信速度は中速度の512Kbpsが各送信時期優先度に共通して用いられ、送信限度データ量は各送信時期優先度ごとに異なったものが設定されている。
【0132】
この場合の送信限度データ量は、送信可能データ量に対する割合を変えて、異なるものを設定するようにしている。
【0133】
すなわち、送信限度データ量は、優先度「高」に対しては4.6Mbyte(送信可能データ量の30%)が設定され、優先度「中」に対しては9.2Mbyte(送信可能データ量の60%)が設定され、「低」に対しては13.9Mbyte(送信可能データ量の90%)が設定されている。送信時期優先度「最高」に対しては、蓄積をしないので送信限度データ量は設定されない。
【0134】
送信は、同一通信速度かつ同一宛先の合計データ量が、設定された送信限度データ量に達したとき行なわれるので、送信タイミングの到来頻度は、その送信限度データ量が少ない場合には高くなり、送信限度データ量が多い場合には低くなる。
【0135】
したがって、送信時期優先度「高」の場合には送信タイミングの到来頻度が高くなり、送信時期優先度「高」に対応した送信処理が行なわれる。
【0136】
逆に、単位時間内に送信が行なわれる場合には、いずれの送信限度データ量の場合も課金額は単価の額となり同じ額になるが、送信限度データ量が少ない場合には1送信としてのデータ量が少なくなり、割高になるとともに、送信時間として複数の単位時間を要する可能性が増加するので、この場合には単価の複数倍の額となり高くなる。
【0137】
このように、同一の通信速度の場合においても、即時送信から複数の送信限度データ量までを必要に応じて段階的に設定でき、優先度を持たせた通信処理を行なうことができる。
【0138】
図8には、通信速度に対応する送信限度データ量および送信情報を蓄積する蓄積部483の蓄積BOXを示している。この蓄積BOXについて後述する。
【0139】
図8に示す送信処理の例では通信速度が同一の場合についてのものは示しているが、図4または図6に示すように通信速度が複数ある場合にこの処理を適用して、各通信速度について更に複数の送信限度データ量を設定すれば、きめ細かな送信処理を設定することができる。
【0140】
≪実施形態の処理・動作≫
図9は、送信処理において送信情報を蓄積する場合の処理を説明する説明図である。
図9には振り分け部482、蓄積部483、送信タイミング決定部488を示している。
【0141】
蓄積部483には、各送信情報と、それに用いる通信速度の情報および宛先情報が記憶され、同一通信速度かつ同一宛先のものがまとめて管理されている。図9においてはこの説明のために、送信情報を蓄積する場合に蓄積部483を概念的に区分して蓄積BOXとして示している。すなわち、蓄積部483が通信速度等の処理単位ごとにハード的に別のものが用いられてものと擬制した蓄積BOXを示している。
【0142】
この蓄積BOXは、送信処理ごとに設ける。例えば図4または図6に示す送信処理においては通信処理ごとに設けるようにする。図8に示す送信処理においては送信限度データ量ごとに設けるようにする。
【0143】
すなわち、図4または図6の場合には通信速度が64Kbpsに対して蓄積BOX1を、通信速度が512Kbpsに対して蓄積BOX2を、通信速度が1Mbpsに対して蓄積BOX3を設ける。
【0144】
また、図8の場合には蓄積BOXは、送信限度データ量が4.6Mbyte(送信可能データ量の30%)に対して蓄積BOX1を、9.2Mbyte(送信可能データ量の60%)に対して蓄積BOX2を、および3.9Mbyte(送信可能データ量の90%)に対して蓄積BOX3を設ける。
【0145】
各蓄積BOXにおいては、さらに同一宛先の送信情報をまとめて各宛先ごとに宛先リストとして括って管理している。
【0146】
この宛先リストとして、蓄積BOX1には宛先Aのリストと宛先Bのリストが作成され、蓄積BOX2には宛先Aのリストが作成され、蓄積BOX3には、宛先Bのリストが作成されている。
【0147】
蓄積BOX1の宛先Aのリストの送信情報と、蓄積BOX2の宛先Aのリストの送信情報は同じ宛先のものであるが、送信時期優先度が異なるので、異なるタイミングで送信される。
【0148】
各蓄積BOXのリストは新たな宛先の送信情報があった場合にはその宛先リストが新しく作成され、リスト内の送信がすべて完了して空になったらそのリストは削除される。
【0149】
送信処理が開始され、データ圧縮された送信情報が振り分け部482に入力されると、振り分け部482は送信情報に付された送信時期優先度を参照し、図4もしくは図6または図8の送信処理の送信時期優先度に対応した蓄積BOXに送信情報を振り分ける。振り分けられた送信情報は、振り分けられた蓄積BOXに蓄積される。蓄積された送信情報はその蓄積BOX内の宛先リストに括られて管理される。
【0150】
各送信情報は、送信情報データ量検出部485によってデータ圧縮後のデータ量が検出されており、このデータ量は送信情報とともに各蓄積BOXに記憶され、各蓄積BOXの各宛先リスト内の送信情報の合計データ量が蓄積データ量管理部484において管理される。
【0151】
送信タイミング決定手段は、各宛先リスト内の送信情報の合計データ量が当該蓄積BOXの通信速度の送信限度データ量に達した時に送信することを決定し、その宛先リストの内の全データが出力されてネットワーク制御部46により1送信として送信される。
【0152】
次に、フローチャートを参照して、送信処理の実行について説明する。
【0153】
図10は、送信情報を振り分け部482により振り分けて蓄積部483の蓄積BOXに蓄積するまでについてフローチャートを示している。
【0154】
図10のフローチャートは、図4、図6および図8の場合についての処理を示している。
【0155】
まず送信に際して、ユーザからの送信宛先、線密度等の送信条件、および送信時期優先度の入力を、操作表示部44により受け付ける(ステップS1)。この情報は記憶部45に記憶する。
【0156】
次に送信文書をスキャナ部42においてスキャンして送信条件に沿った画像情報に変換し、その画像情報を符号化復号化部47により符号化してデータ圧縮し、圧縮した送信情報を記憶部45記憶する。同時に圧縮した送信情報のデータ量を送信情報データ検出部により検出し、この情報を記憶部453に記憶する(ステップS2)。
【0157】
送信情報は、送信宛先およびデータ量が付された状態で記憶部45に記憶されている。
【0158】
次に、振り分け部482は、ステップS1およびステップS2において入力された送信条件、送信時期優先度、送信情報等から、用いる送信処理を選択する(ステップS3)。
【0159】
このステップS3の処理は図4、図6および図8の各実施形態により異なるので、それぞれについて説明する。
(1)図4の場合には、振り分け部482は、送信処理設定部481により設定された設定された図4の送信処理を参照し、ステップS1において入力された送信時期優先度に対応する送信処理を選択する。
(2)図6の場合には、振り分け部482は、送信処理設定部481により設定された設定された図6の送信処理および図7のデータ量の目安を参照し、ステップS1において入力された送信時期優先度およびステップS2において検出された送信情報のデータ量から、対応する送信処理を選択する。
(3)図8の場合には、振り分け部482は、送信処理設定部481により設定された設定された図8の送信処理を参照し、ステップS1において入力された送信時期優先度に対応する送信処理を選択する。
【0160】
次に、振り分け部482は、選択された送信処理の蓄積の有無を判断する(ステップS4)。
【0161】
ステップS4の蓄積の有無が「蓄積しない」場合(ステップS4のYES)には、ネットワーク制御部46により発呼し、記憶部45に記憶されている送信情報の送信を行なう(ステップS5)。
【0162】
ステップS4の蓄積の有無が「蓄積する」場合(ステップS4のNO)には、振り分け部482は、記憶部45に記憶されている送信情報、送信宛先およびデータ量を、選択した送信処理に対応する蓄積BOXに振り分けて蓄積する(ステップS6)。
【0163】
このステップS6の処理は図4、図6および図8のそれぞれについては次の通りである。
(1)図4および図6の場合には、図5を参照し、ステップS3において選択した送信処理の通信速度に対応した送信処理の蓄積BOXを選択する。
(2)図8の場合には、図8の送信限度データ量から、送信限度データ量に対応する蓄積BOXを選択する。
【0164】
各蓄積BOXにおいては、同一宛先の送信情報がまとめて各宛先ごとに宛先リストとして括られて管理されている。
【0165】
図11は、送信タイミング決定部488により、送信タイミングを決定し、蓄積BOXに蓄積されている送信情報を送信するまでについてのフローチャートを示している。
【0166】
なお、図11は各蓄積BOXそれぞれについてのフローチャートを示しており、処理は各蓄積BOXごとに行なわれる。
【0167】
図11のフローチャートは、図4、図6および図8の場合についての処理を示している。
【0168】
まず送信タイミング決定部488は、当該蓄積BOXについて新規な送信情報が蓄積されたか否かを一定間隔ごとに監視する(ステップS11)。
【0169】
新規な送信情報が蓄積された場合(ステップS11のYES)には、蓄積データ量管理部484により、当該蓄積BOXの各宛先リスト内の送信情報すなわち同一宛先の送信情報の合計データ量の最新の累積値を求める(ステップS12)。
【0170】
具体的には、蓄積データ量管理部484は、当該蓄積BOXにおける同一宛先の送信情報の合計データ量の現在の累積値に、新規な送信情報のデータ量を加算して合計データ量の累積値を更新する。
【0171】
蓄積データ量管理部484は、この合計データ量の累積値を監視しており、この合計データ量が送信限度データ量に達したか否かを確認する(ステップS13)。
【0172】
上記合計データ量が送信限度データ量に達した場合(ステップS13のYES)には、送信タイミング決定部488は、送信することを決定し、当該蓄積BOXに蓄積されている同一宛先の全データを蓄積BOXから出力して、ネットワーク制御部46により発呼し1送信としてその宛先へ送信する。同時に出力した全データを蓄積BOXから削除する(ステップS14)。
【0173】
上記合計データ量が送信限度データ量に達していない場合(ステップS13のNO)には、最初に戻りステップS11の処理を行なう。
【0174】
ステップS11において新規な送信情報の蓄積がない場合(ステップS11のNO)には、送信タイミング決定部488により、当該蓄積BOXに蓄積された送信情報のいずれかの蓄積時間が所定時間経過したか、すなわち蓄積時間がタイムアウトしたか確認する(ステップS15)。
【0175】
蓄積時間がタイムアウトした場合(ステップS15のYES)には、送信タイミング決定部488は、送信することを決定し、ステップS14の処理を行なう。
【0176】
蓄積時間がタイムアウトしていない場合(ステップS15のNO)には、最初に戻りステップS11の処理を行なう。
【0177】
このように、本実施形態においては、送信情報を、同一宛先の1または2以上の送信情報を、通信回線の単位時間の1または複数の時間内に送信が完了する1送信として送信することができるものであり、異なる送信タイミングを設定してこのうちのいずれかを選択して送信することができるので、送信情報の送信タイミングをコントロールすることができる。
【0178】
また、本実施形態においては、通信回線の課金形態に対応して課金単価が低い通信処理を選択することができるので、送信情報の通信コストをコントロールすることができる。
【0179】
また、本実施形態においては、送信処理設定部において種々の送信処理を設定するようにし、その中から用いる送信処理を選択するようにしたので、例えば通信回線の通信速度が1または複数の場合の送信処理、また送信情報のデータ量を反映した送信処理等の種々の送信処理を設定して送信を行なうことができる。
【0180】
また、本実施形態においては、蓄積部に蓄積された送信情報の蓄積時間が蓄積限度時間を経過したときに送信するようにし、この場合蓄積されている同一宛先の全データを出力して、ネットワーク制御部46により発呼し1送信としてその宛先へ送信するようしたので、送信情報が長時間送信されないことを防ぐことができ、しかも通信コストを考量した効率がよい送信を行なうことができる。
【0181】
このように、本実施形態においては、送信情報の優先度に対応して送信処理が選択され、優先度に対応した送信時期また通信コストによる送信を行なうことができる。
【0182】
≪実施形態の送信処理をイントラネットワークに適用した形態≫
図12は、上記の実施形態に係る送信処理を広域のイントラネットワークに適用した場合について示している。
【0183】
図12において、50は会社のイントラネットワークであり、このイントラネットワークには地理的に離れた大阪支店のファクシミリ装置151、東京支店のファクシミリ装置152、および東京の本社の配信サーバ53が接続されている。
【0184】
60は外部ネットワーク例えばNGNネットワーで、異なるネットワークサービス会社のものが接続されてひとつのネットワークを形成している。
【0185】
社内のイントラネットワーク50に接続されたファクシミリ装置151、52および配信53サーバは、外部ネットワーク60にも接続されている。
【0186】
ファクシミリ装置151および52は、上記の実施形態の機能を有するファクシミリ装置1であり、配信サーバは上記の実施形態のファクシミリ装置1の送信処理部48に係わる機能を実行するハードウェア構成および機能構成を有するものである。
【0187】
この構成において、ファクシミリ装置151または52においては、宛先が社外であって送信時期優先度が「最高」の場合すなわち即時送信の場合には、矢印Aで示すようにそれぞれのファクシミリ装置151または52から外部ネットワーク60を介して、送信が行なわれる。
【0188】
送信時期優先度が「最高」以外の場合すなわち送信情報を蓄積する場合には、送信情報は優先度情報と宛先情報とともに矢印Bで示すようにイントラネットワーク50を介して配信サーバ53に送られ、配信サーバ53に蓄積されて上記の実施形態に示した処理が行なわれて、配信サーバ53から外部ネットワーク60を介して送信が行なわれる。
【0189】
このように、配信サーバには53社内のファクシミリ装置151および52から送信情報を蓄積する場合の送信情報が集まることになり扱う送信処理の量が多くなるので、送信タイミングの到来頻度も高くなり、また同一宛先のものをまとめて送信する度合いも高くなるので、送信時期の面および通信コストの面の効果が向上する。
【符号の説明】
【0190】
1 ファクシミリ装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM13
14 HD
15 スキャナ
16 プロッタ
17 操作ボタン
18 ディスプレイ
19 ネットワークインターフェイス
20 バスライン
30 ネットワーク
41 システム制御部
42 スキャナ部
43 プロッタ部
44 操作表示部
45 記憶部
46 ネットワーク制御部
47 符号化復号化部
48 送信処理部
481 送信処理設定部
482 振り分け部
483 蓄積部
484 蓄積データ量管理部
485 送信情報データ量検出部
486 送信可能データ量設定部
487 送信限度データ量設定部
488 送信タイミング決定部
489 蓄積限度時間管理部
50 イントラネットワーク
51、52 ファクシミリ装置
53 配信サーバ
60 外部ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0191】
【特許文献1】特開平5−292292号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線に接続される通信端末装置であって、
該通信端末装置は同一宛先の1または2以上の送信情報を、前記通信回線による通信に対する課金の単位時間内に送信が完了する1送信として送信するものであり、
前記1送信として送信する送信タイミングの到来頻度が異なる複数の送信処理を、送信情報の送信時期優先度に対応して設定するものであって、送信処理の設定が、一の送信時期優先度に対して、当該送信時期優先度よりも低い送信時期優先度に対する送信処理よりも送信タイミングの到来頻度が高いかまたは同じ送信処理を設定するものである送信処理設定手段と、
各送信情報の送信時期優先度に対応して、前記送信処理設定手段に設定した複数の送信処理のいずれかを選択する送信処理選択手段と、
前記送信処理選択手段より選択された各送信情報を、選択された送信処理により送信する送信処理手段を有することを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
通信回線に接続される通信端末装置であって、
該通信端末装置は同一宛先の1または2以上の送信情報を、前記通信回線による通信に対する課金の単位時間内に送信が完了する1送信として送信するものであり、
前記1送信として送信する送信タイミングの到来頻度と前記1送信として送信する送信情報のデータ量のうち少なくとも1つが異なる複数の送信処理を、送信情報の送信時期優先度または通信コスト優先度に対応して設定するものであって、送信処理の設定が、送信時期優先度については、一の送信時期優先度に対して、当該送信時期優先度よりも低い送信時期優先度に対する送信処理よりも送信タイミングの到来頻度が高いかまたは同じ送信処理を設定するものであり、通信コスト優先度については、一の通信コスト優先度に対して、当該通信コスト優先度よりも低い通信コスト優先度に対する送信処理よりも送信情報のデータ量が多いかまたは同じ送信処理を設定するものである送信処理設定手段と、
各送信情報の送信時期優先度または通信コスト優先度に対応して、前記送信処理設定手段に設定した複数の送信処理のいずれかを選択する送信処理選択手段と、
前記送信処理選択手段より選択された各送信情報を、選択された送信処理により送信する送信処理手段を有することを特徴とする通信端末装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の通信端末装置において、
前記1送信として送信する送信タイミングの到来頻度は、前記1送信として送信する送信情報のデータ量により決定されることを特徴とする通信端末装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の通信端末装置において、
通信コスト優先度に対しては、前記1送信として送信する送信情報のデータ量に代えて、前記1送信として送信する送信情報のデータ量における単位データ量あたりの課金単価にもとづいて送信処理を設定することを特徴とする通信端末装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の通信端末装置において、
前記1送信として送信する送信情報のデータ量は、同一通信速度において複数設定されることを特徴とする通信端末装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の通信端末装置において、
複数の通信速度が用いられ、前記1送信として送信する送信情報のデータ量が、前記複数の通信速度のそれぞれごとに設定されることを特徴とする通信端末装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の通信端末装置において、
前記1送信として送信する送信情報のデータ量は、用いる通信速度における課金の単位時間あたりの送信可能データ量に対する所定の割合のデータ量であることを特徴とする通信端末装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の通信端末装置において、
前記送信処理設定手段により設定した送信処理は、更に送信情報のデータ量に対応したものであって、
一の送信情報に対して、当該送信情報より多いデータ量に対する送信処理よりも、各送信処理のうち前記1送信として送信する送信情報のデータ量が少ないかまたは同じデータ量の送信処理が設定され、当該送信情報より少ないデータ量に対する送信処理よりも、各送信処理のうち前記1送信として送信する送信情報のデータ量が多いかまたは同じデータ量の送信処理が設定されたものであることを特徴とする通信端末装置。
【請求項9】
複数の通信速度が用いられる通信回線に接続される通信端末装置であって、
各通信速度における単位時間あたりの送信可能データ量にもとづいて各通信速度の送信限度データ量が設定された送信限度データ量設定手段と、
前記複数の送信速度のうち送信情報の優先度に対応していずれかの通信速度を用いる送信処理を設定するものであって、送信処理の設定が、一の送信時期優先度に対して、当該送信時期優先度よりも低い送信時期優先度に対する送信処理よりも前記送信限度データ量が少ないか同じ通信速度を設定し、当該送信時期優先度よりも高い送信時期優先度に対する送信処理よりも前記送信限度データ量が多いか同じ通信速度を設定するものである送信処理設定手段と、
各送信情報をその送信情報の優先度に応じて、前記送信処理設定手段に設定した通信速度のいずれかを選択して、その通信速度に振り分ける振り分け手段と、
前記振り分け手段により振り分けられた各送信情報を、振り分けられた通信速度に対応付けて蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積された各送信情報のうち、同一通信速度に対応付けられた同一宛先の送信情報の合計データ量が、当該通信速度の前記送信限度データ量に達したときに、前記同一通信速度に対応付けられた同一宛先の送信情報を、当該通信速度により当該宛先に1送信として送信することを決定する送信タイミング決定手段を有することを特徴とする通信端末装置。
【請求項10】
通信回線に接続される通信端末装置であって、
通信回線の通信速度における単位時間あたりの送信可能データ量にもとづいて複数の送信限度データ量が設定された送信限度データ量設定手段と、
前記複数の送信限度データ量のうち送信情報の優先度に対応していずれかの送信限度データ量を用いる送信処理を設定するものであって、送信処理の設定が、一の送信時期優先度に対して、当該送信時期優先度よりも低い送信時期優先度に対する送信処理よりも前記送信限度データ量が少ないか同じ通信速度を設定し、当該送信時期優先度よりも高い送信時期優先度に対する送信処理よりも前記送信限度データ量が多いか同じ通信速度を設定するものである送信処理設定手段と、
各送信情報をその送信情報の優先度に応じて、前記送信処理設定手段に設定した送信限度データ量のいずれかを選択して、その送信限度データ量に振り分ける振り分け手段と、
前記振り分け手段により振り分けられた各送信情報を、振り分けられた送信限度データ量に対応付けて蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積された各送信情報のうち、同一送信限度データ量に対応付けられた同一宛先の送信情報の合計データ量が、当該送信限度データ量に達したときに、当該送信限度データ量に対応付けられた同一宛先の送信情報を、当該宛先に1送信として送信することを決定する送信タイミング決定手段を有することを特徴とする通信端末装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の通信端末装置において、
更に、前記蓄積手段に蓄積された送信情報の蓄積限度時間を設定してこの時間の経過を管理する蓄積限度時間管理手段を有し、
前記送信タイミング決定手段は、いずれかの送信情報の蓄積時間が前記蓄積限度時間を越えたときに、当該送信情報を送信することを決定することを特徴とする通信端末装置。
【請求項12】
請求項9又は請求項11に記載の通信端末装置において、
更に、前記蓄積手段に蓄積された送信情報の蓄積限度時間を設定してこの時間の経過を管理する蓄積限度時間管理手段を有し、
前記送信タイミング決定手段は、いずれかの送信情報の蓄積時間が前記蓄積限度時間を越えたときに、前記蓄積手段に蓄積されている当該送信情報と同一通信速度に対応付けられた同一宛先の他の送信情報を、当該送信情報とともに当該通信速度により当該宛先に1送信として送信することを決定することを特徴とする通信端末装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の通信端末装置の複数をイントラネットワークに接続し、所定の優先度の送信情報を前記通信端末装置のうちの一の通信端末装置から他の所定の通信端末装置へイントラネットワークを介して送信し、前記所定の優先度の送信情報の宛先への前記通信回線を介した送信処理を前記所定の通信端末装置において行なうようにしたことを特徴とする送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−175150(P2012−175150A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32025(P2011−32025)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】