説明

通信端末装置および通信方法

【課題】通話が保留状態である場合に、保留の解除を待ち続けなくても、必要なメッセージを相手端末に伝達可能にすると共に、公衆電話回線などを使用する通話にも適用でき、更に相手端末の能力の制約を受けることなくメッセージを伝達可能な通信端末装置を提供することを目的とする。
【解決手段】通信端末装置10は、公衆通信回線20を介して他の通信端末装置30と通信を行う。この通信端末装置10は、入力部と、通信端末装置30との通話が中断された保留状態および保留状態の解除を検出する保留解除検出部14と、保留状態が検出されたときに、入力部による入力に基づいてメッセージ情報を記録する録音部12と、保留状態の解除が検出されたときに、録音部12に記録されたメッセージ情報を通信回線20に送出する再生部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機等の他局の端末との間で通話等の通信を行う通信端末装置および通信方法に関し、特に通話の保留時の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ユーザU1とユーザU2とが2台の電話機T1、T2を介して通話する場合には一般的に次のような状況になる。
【0003】
ユーザU1が電話機T1を用いてユーザU2の電話機T2を呼び出し、ユーザU2が電話機T2の受話器を取る(オフフック状態にする)と電話機T1と電話機T2との間で電話回線が繋がり、ユーザU1とユーザU2との間で通話が可能になる。しかし、例えば通話の途中でユーザU2に急な用事ができると、ユーザU2は通話を一時的に中断し、用事が済んだ後で通話を再開することになる。あるいは、ユーザU1がユーザU3との通話を希望する場合に、取り次ぎをするためにユーザU2は通話を一時的に中断し、ユーザU2により呼び出されたユーザU3が電話機T2又は他の電話機を使用してユーザU1との通話を開始する。
【0004】
このような通話の中断に対応するために、市販されている多くの電話機には、保留機能が搭載されている。すなわち、通話を中断する場合には、「保留」ボタンを押下することにより、音声信号の送信を一時的に遮断したり、電話回線が保留状態であることを示したりするために、比較的単純なメロディなどの信号(保留音)を相手側の電話機に送信する。保留を解除することにより通話を再開することができる。
【0005】
しかし、例えばユーザU2が電話機T2を保留状態にした場合、ユーザU1はユーザU2が保留を解除して通話を再開するまで待たなければならず、その待ち時間中、保留が解除されたかどうかをユーザU1は耳をすまして常に注意深く確認する必要がある。あるいは、保留が解除されてもそれに気づかないことがあり、その場合には円滑に通話ができない。
【0006】
そこで、相手端末における保留解除を自端末が検出したときに、トーン信号を自端末のスピーカから出力することが知られている(例えば、特許文献1参照)。これにより、自端末のユーザは保留の解除を容易に認識できる。
【0007】
しかし、特許文献1の技術を採用する場合であっても、相手ユーザU2が電話機T2を保留状態にした場合には、ユーザU1は電話機T2の保留が解除されてユーザU2が通話可能な状態になるまでの間、待ち続けなければユーザU2にメッセージを伝えることができないので、ユーザU1がユーザU2に伝えたいメッセージを有している場合には、ユーザU1は電話回線を切断したり電話機から離れたりすることができなかった。
【0008】
そこで、複数の内線電話機同士の間でユーザが通話する場合に、内線電話システムに接続されたメッセージ記憶回路を設けておき、保留状態であっても必要なメッセージを相手に伝達できる装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、接続相手の内線電話機が保留状態になっている時に、自端末(内線電話機)のユーザのメッセージを自端末からメッセージ記憶回路に登録(録音)し、伝言情報を残したことを接続相手の内線電話機に知らせる。接続相手の内線電話機においては、保留が解除された時に相手ユーザの伝言情報があるかどうかを調べ、伝言情報がある場合にはメッセージ記憶回路と接続して保存されているメッセージを再生する。
【0009】
特許文献2の技術を採用する場合には、通話相手の端末(T2)が保留状態になった場合に、メッセージを伝えたい側のユーザが必要に応じて内線電話システム上のメッセージ記憶回路にメッセージを保存して、保留が解除されたときに相手ユーザにメッセージを伝えることができるので、自端末(T1)のユーザは、相手の保留状態が解除されるまで待つことなく、必要なメッセージを伝達するための操作を行うことができる。
【0010】
また、保留の操作が行われる電話機(T2)側に、相手の電話機(T1)からのメッセージを録音するための録音部を設けておき、伝言を電話機(T2)に残すことが提案されている(例えば、特許文献3参照)。具体的には、電話機(T2)を保留状態に切り替えた時に、所定の案内メッセージを電話機(T2)から送出する。電話機(T1)のユーザが案内メッセージに従ってダイヤル操作を行うと、これによって電話機(T1)から送出されるPB信号が電話機(T2)で検出され、電話機(T2)は自端末内の録音部を起動し、相手(T1)からのメッセージ音声を録音する。
【0011】
特許文献3の技術を採用する場合には、通話相手の端末(T2)が保留状態になった場合に、相手側から送出される案内メッセージに従って、メッセージを伝えたい側のユーザが通話相手の端末(T2)にメッセージ音声を送れば、このメッセージ音声を通話相手の端末(T2)上に保存され、保留が解除されたときに相手ユーザにメッセージを伝えることができるので、自端末(T1)のユーザは、相手の保留状態が解除されるまで待つことなく、必要なメッセージを伝達するための操作を行うことができる。
【0012】
【特許文献1】特開平2−79649号公報
【特許文献2】特開平6−37894号公報
【特許文献3】特開平9−233277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献2の技術は内線電話システムを前提としており、公衆電話回線を介して接続される電話機同士で通話する場合には、回線上に特別なメッセージ記憶回路を接続したり、特別な制御を行ったりすることはできないので、特許文献2の技術を利用できない。
【0014】
また、特許文献3の技術では、保留状態に切り替える保留者としての相手ユーザの端末上にメッセージ音声が記録されるので、保留者端末としての相手端末が特別な機能を有する端末を使用している必要がある。例えば、相手端末が保留状態に切り替わったときに、もしもメッセージを伝えたい被保留者としての自端末のユーザが高機能の電話機を使用している場合であったとしても、保留者端末としての相手端末が使用している電話機が黒電話のように低機能の端末であれば、メッセージの録音は不可能である。つまり、保留者端末として相手ユーザが高機能の端末を使用していない限り、メッセージを伝えたい被保留者としての自端末のユーザは、保留者端末において保留状態が解除されるまで待たなければ相手にメッセージを伝えることができない。また、保留者としての相手ユーザが高機能の端末を使用している場合であっても、保留者としての相手ユーザの端末が主体となってメッセージ記録のための制御を行うので、メッセージを伝えたい被保留者としての自端末のユーザの希望を満たすような録音操作ができるとは限らない。例えば、被保留者としての自端末のユーザの操作が遅れたり、メッセージ音声の送出が遅れたりすると、メッセージの録音に失敗する可能性もあり得る。また、保留者端末内に録音したメッセージを再生前に取り消したいと被保留者としての自端末のユーザが考える場合もあるが、被保留者端末側からは取り消しができない可能性もある。
【0015】
本発明は、通話が保留状態である場合に、保留の解除を待ち続けなくても、必要なメッセージを相手端末に伝達可能にすると共に、公衆電話回線などを使用する通話にも適用でき、更に相手端末の能力の制約を受けることなくメッセージを伝達可能な通信端末装置および通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の通信端末装置は、所定の公衆通信回線を介して他の通信端末装置と通信を行う通信端末装置であって、所定入力を行う入力部と、他の通信端末装置との通話が中断された保留状態および前記保留状態の解除を検出する保留状態検出部と、前記保留状態が検出されたときに、前記入力部による入力に基づいてメッセージ情報を記録するメッセージ記録部と、前記保留状態の解除が検出されたときに、前記メッセージ記録部に記録されたメッセージ情報を前記公衆通信回線に送出するメッセージ再生部とを備える。
【0017】
この通信端末装置によれば、公衆通信回線を経由して接続された自局端末(自局の通信端末装置)と他局端末(相手の通信端末装置)との間でユーザ同士が通話している状態から通話保留状態に切り替わった場合に、自局端末のユーザは通話保留が解除されるのを待ち続けなくても必要なメッセージを相手に伝えることができる。すなわち、ユーザは伝えるべきメッセージの音声等をメッセージ情報として保持することができ、保留状態の解除を検出した場合には、保持したメッセージ情報を再生し、他局端末に向けてメッセージ情報を通信回線に送出する。従って、ユーザはメッセージ情報の記録が終了した時点で自局端末の操作や通話を終了して自局端末から離れることができ、後は自局端末自身の制御により記録されたメッセージを相手に自動的に伝えることができる。しかも、伝えるべきメッセージは自局端末上に記録され、メッセージの送出も自局端末の制御により実施されるので、他局端末の機種や能力の制約を受けることなくメッセージを伝達できる。
【0018】
また、本発明の通信端末装置は、前記入力部が、複数の前記メッセージ情報の再生順を示す優先度を入力し、前記メッセージ記録部が、複数の前記メッセージ情報を、前記メッセージ情報の再生順を表す優先度とともに記録し、前記メッセージ再生部が、前記優先度に応じて、前記複数のメッセージ情報を順次送出する。
【0019】
この通信端末装置によれば、自局端末のユーザが1つのメッセージ情報の記録を終了した後で、他に言い忘れた事項があることに気づいたような場合に、言い忘れた事項に関するメッセージを更なるメッセージ情報として追加記録することができ、記録された各メッセージを再生する順番(相手に伝える順番)も変更することができる。
【0020】
また、本発明の通信端末装置は、前記入力部が、前記メッセージ情報の送出の中止を指示する指示入力を行い、前記メッセージ再生部が、前記指示入力に基づいて、前記メッセージ情報の送出を中止する。
【0021】
この通信端末装置によれば、例えば、メッセージを記録した後に当該メッセージが不要であることが判明した場合であっても、他局端末のユーザにメッセージを通知することを防止することができる。
【0022】
また、本発明の通信端末装置は、前記メッセージ記録部が、複数のメッセージ情報を記録し、前記入力部が、前記メッセージ情報の差し替えを指示する指示入力を行い、前記メッセージ再生部が、前記指示入力に基づいて、送出対象のメッセージ情報を他のメッセージ情報に差し替えて送出する。
【0023】
この通信端末装置によれば、送出すべきメッセージ情報に変更の必要が生じた場合であっても変更後のメッセージ情報を他局端末へ送出可能である。
【0024】
また、本発明の通信端末装置は、当該通信端末装置の前記公衆通信回線への接続および切断を行う回線制御部と、前記メッセージ情報の送出が完了する前に、前記公衆通信回線への接続を切断した場合、前記メッセージの送出が完了していないことを通知する通知部と、を備える。
【0025】
この通信端末装置によれば、自局端末のユーザによって記録されたメッセージが相手ユーザに伝わらなかった場合であっても、自局端末のユーザは不達通知によってその旨知ることができ、該当するメッセージを相手ユーザに伝えるために再び電話をかけるなどの操作によりメッセージの伝達を完了することが可能になる。例えば、相手端末のユーザが通話保留状態を解除する前に誤って電話回線を切断する場合や、通話保留状態の継続による待ち時間が長くなりすぎて自局端末が電話回線を切断する場合に、記録されたメッセージが相手ユーザに伝わる前に自局端末の制御が終了することになるが、その場合に不達通知を行う。
【0026】
また、本発明の通信端末装置は、当該通信端末装置の前記公衆通信回線への接続および切断を行う回線制御部を備え、前記回線制御部が、前記保留状態検出部により検出された保留状態の継続時間が所定時間よりも長い場合、前記公衆通信回線への接続を切断する。
【0027】
この通信端末装置によれば、メッセージ情報を再生するまでの待ち時間が長すぎるような場合に、自局端末が通信回線を自動的に切断するので、長時間の通信回線の確保によって生じる高額な課金を回避することが可能になる。すなわち、一般的な携帯電話や固定電話の通信回線を使用して通話する場合には、通話していない保留状態であっても通信回線を接続している時間の長さに応じて従量課金される場合があり、メッセージ情報を再生するまでの保留状態の継続時間が長くなると高額な課金が生じる可能性があるが、これを避けることができる。
【0028】
また、本発明の通信端末装置は、当該通信端末装置の前記公衆通信回線への接続および切断を行う回線制御部を備え、前記回線制御部が、前記保留状態検出部によって前記保留状態が検出されたとき、当該保留状態が検出された第1の通信端末装置へ接続される第1の公衆通信回線を、前記メッセージ情報を送出する回線として選択するとともに、前記第1の通信端末装置とは異なる第2の通信端末装置へ接続される第2の公衆通信回線を、通話回線として選択する。
【0029】
この通信端末装置によれば、自局端末と第1の他局端末との間で通話している状態でこの回線が保留状態に切り替わった場合には、自局端末のユーザはメッセージを記録した後、接続先の回線を切り替えて第2の他局端末との間で通話を開始することができる。自局端末と第2の他局端末との間で通話を行っている状態であっても、第1の他局端末の回線が保留状態解除に切り替われば、自局端末からメッセージが第1の他局端末あてに送出されるので、第1の他局端末のユーザに対して必要なメッセージを伝えることができる。
【0030】
また、本発明の通信端末装置は、前記メッセージ記録部が、前記メッセージ情報として、音声情報、静止画像情報、動画像情報、文字列情報のうち少なくとも1つを含む情報を記録する。
【0031】
この通信端末装置によれば、自局端末及び他局端末のそれぞれがテレビ電話の通信機能を有している場合には、音声のメッセージだけでなく、静止画像、動画像、文字列等を記録し、例えばこれらの情報をTV電話の映像を通して他局端末へ送信することで、自局端末のユーザから他局端末のユーザへの情報の伝達が容易になる。さらに、あらかじめ複数固定のメッセージ(「○○分ほどお待ちください」、「後ほど掛けなおします」、「後ほど掛けなおしてください」、「音楽を聴いてお待ちください」、など)を記録して保有し、いずれのメッセージを再生させたいかを記録しておき、自端末が保留した際に、相手端末に対して、「音楽、動画、写真等を視聴してお待ちください」等のメッセージおよびコンテンツ(音楽、動画、写真等)を再生させるようにしてもよい。
【0032】
また、本発明の通信端末装置は、前記保留状態検出部により保留状態が検出されたとき、前記保留状態の解除が検出されるまで、無音データで構成される無音情報または代替画像を前記公衆通信回線に送出する。
【0033】
この通信端末装置によれば、自局端末でメッセージの記録作業を行っている途中で、ノイズなどの不要な音声や相手に知られたくない情報などが他局端末側に流れるのを防止することができる。
【0034】
また、本発明の通信方法は、所定の公衆通信回線を介して他の通信端末装置と通信を行う通信端末装置における通信方法であって、所定入力を行う入力ステップと、他の通信端末装置との通話が中断された保留状態および前記保留状態の解除を検出するステップと、前記保留状態が検出されたときに、前記入力ステップにおける入力に基づいてメッセージ情報を記録する記録ステップと、前記保留状態の解除が検出されたときに、前記記録ステップにおいて記録されたメッセージ情報を前記公衆通信回線に送出するステップとを備える。
【0035】
この通信方法によれば、通話が保留状態である場合に、保留の解除を待ち続けなくても、必要なメッセージを相手端末に伝達可能にすると共に、公衆電話回線などを使用する通話にも適用でき、更に相手端末の能力の制約を受けることなくメッセージを伝達可能である。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、通話が保留状態である場合に、保留の解除を待ち続けなくても、必要なメッセージを相手端末に伝達可能にすると共に、公衆電話回線などを使用する通話にも適用でき、更に相手端末の能力の制約を受けることなくメッセージを伝達可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の実施形態における通信端末装置および通信方法について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0038】
図1は本発明の実施形態における通信端末装置を含む通信システムの構成例を示すブロック図である。図1に示す通信システムにおいては、一人のユーザ(U1:被保留者)が使用する通信端末装置(自局端末)10と、もう一人のユーザ(U2:保留者)が使用する通信端末装置(他局端末)30とを公衆通信回線である通話路を経由して接続し、通信端末装置10と通信端末装置30を用いてユーザU1とU2とが通話を行う場合を想定している。なお、通話路の途中には回線交換機(又は中継サーバ)21が配置されているので、各ユーザは任意の端末と回線を接続することができる。図1に示す例では、通信端末装置10に接続される通信回線20と通信端末装置30に接続される通信回線22とを回線交換機21が接続している。
【0039】
なお、通信端末装置10及び通信端末装置30は、例えば固定電話端末であっても移動電話端末であっても良い。また、図1に示す例では、通信端末装置30に保留機能が搭載されている場合を想定しているが、通信端末装置30が保留機能を搭載していない黒電話のような電話機の場合であっても、後述する通信端末装置10の機能を有効に利用できる。
【0040】
図1に示すように、通信端末装置10は、通話回路11、録音部12、再生部13、保留解除検出部14及び制御部15を備えている。一方、通信端末装置30は、一般的な電話機の機能を備えており、例えば通話や保留等の制御を行う制御部、通話処理を行う通話回路等を備えている。
【0041】
通話回路11は、一般的な電話機や携帯電話と同様に、音声通話を含む通信に必要な機能を搭載している。具体的には、音声入力部(マイクなど)、音声出力部(スピーカなど)、音声信号処理回路、発信/着信制御部、回線選択回路などが通話回路11に備わっている。
【0042】
録音部12は、音声入力部(マイクなど)などから入力されるユーザU1の音声信号を符号化するメッセージ情報生成部と、生成された複数のメッセージ情報をそれぞれ保存するための記憶回路を搭載している。
【0043】
再生部13は、録音部12に記憶されたメッセージ情報を再生して音声信号を生成し、この音声信号を通話回路11を経由して通信回線20に送り出す機能を有している。
【0044】
保留解除検出部14は、通信回線20に接続された通話相手である通信端末装置30側が接続中の回線を「保留状態」にしたかどうか、並びに「保留状態」を解除したかどうかを検出する機能を有している。
【0045】
通信端末装置30の「保留状態」については、ユーザU2が通信端末装置30上に備わっている「保留」ボタンを操作することにより明示的に保留モードに切り替える場合と、電話回線を繋いだまま単にユーザU2が長時間(所定時間以上)にわたって通話を中断する(受話器を放置する)状態とが考えられる。
【0046】
通信端末装置30が保留モードに切り替えた場合には、通信端末装置は音声出力を停止し、特定周波数の保留音又は単純なメロディを音声の代わりに送出する。また、ユーザU2が受話器を放置している場合には、長時間にわたって通信端末装置30からの音声出力が無音状態になる。
【0047】
そこで、保留解除検出部14は、保留音などの特定の音が通信端末装置10に通信回線20を経由して入力されたかどうか、または、長時間にわたって通信回線20を経由して入力される音声信号が無音状態になったかどうかを識別することにより、通信端末装置30が「保留状態」に遷移したかどうかを検出する。また、「保留状態」において、通信回線20に入力される音声信号を監視し、話者が通話の最初に発声する可能性の高い「もしもし」のような特定の音声が検出された場合、あるいは保留音のメロディの入力が所定時間以上途絶えた場合には、「保留状態の解除」を検出する。また、「もしもし」の音声を検出する場合には、通信端末装置30側における各話者の音声の特徴を区別し、話者の切り替わりの有無を識別する。
【0048】
制御部15は、マイクロコンピュータなどにより構成された制御回路であり、通信端末装置10上に搭載された操作部(テンキー等)に対するユーザ(U1)の入力操作によって生じる各種指示や、通信回線20の発着信に伴って生じる各種信号に応じて、通話回路11、録音部12、再生部13、保留解除検出部14を制御する。また、通信回線への接続および切断を制御する回線制御も行う。
【0049】
図1に示した通信端末装置10の通話に関する制御動作の概要が図2に示されている。図2は図1に示した通信端末装置の通話に関する制御動作の概要を示すフローチャートである。図3は図2に示すステップS14の詳細な動作を示すフローチャートである。図4は図2に示すステップS18の詳細な動作を示すフローチャートである。図5は図2に示すステップS20の詳細な動作を示すフローチャートである。
【0050】
まず、図2を参照しながら通信端末装置10の動作の概要について説明する。
【0051】
通信端末装置10又は通信端末装置30の発呼により回線交換機21が通信端末装置10の通信回線20と通信端末装置30の通信回線22とを接続することにより、通信端末装置10と通信端末装置30との間で通話が可能になり、図2に示す処理が実施される。
【0052】
ステップS11では、制御部15が、通話に必要な処理を実施する。すなわち、通信回線20から入力される相手ユーザ(U2)の音声信号を再生して受話器のスピーカ等から出力すると共に、通信端末装置10のユーザ(U1)が受話器のマイクから入力した音声を通話用の音声信号に変換して通信回線20に送出する。
【0053】
ステップS12では、保留解除検出部14が、通信回線20の状態を監視し、通信端末装置30側で回線が所定の保留状態になっているか否かを検出し、その検出結果を制御部15が利用して制御を行う。通話の保留状態であればステップS12からステップS13に進み、保留状態でなければステップS18に進む。
【0054】
ステップS13では、制御部15の指示により、通話回路11が、通信端末装置10上のマイクから入力される音声の通信回線20への送出を遮断し、代わりに無音データ(音声がないことを表す情報)を通信回線20へ送出するように制御してもよい。なお、通信端末装置10及び通信端末装置30がテレビ電話の通信機能を搭載している場合には、無音データの代わりにあるいは無音データと共に、予め用意しておいた特定の画像データを代替画像として送出するように制御しても良い。
【0055】
ステップS14では、録音部12が、通信端末装置10のユーザ(U1)が相手ユーザに伝えたいメッセージの音声を録音するための処理をユーザ(U1)の入力操作に従って実施する。なお、ここでは、ユーザのメッセージとして音声を記録する場合を想定しているが、通信端末装置10及び通信端末装置30がテレビ電話の通信機能を搭載している場合には、音声以外に、静止画像、動画像、文字列情報などを記録し、これらの情報をTV電話の映像を通して送信するようにしてもよい。
【0056】
ステップS15では、保留解除検出部14が、通信回線20の状態を監視し、相手ユーザ側の通話保留状態が解除されたかどうかを検出するための処理を行う。また、通話保留状態が解除された場合には、例えば音声の特徴を区別することにより、相手ユーザが他の人に切り替わったかどうかを保留解除検出部14が識別する。
【0057】
ステップS16では、制御部15が、メッセージの再生動作が必要かどうかを識別する。具体的には、ステップS14の処理により記録された1つ以上のメッセージが録音部12に存在し、且つステップS15で保留解除検出部14が保留の解除を検出し、且つ相手ユーザが他の人に切り替わっていない場合にステップS17に進む。この条件を満たさない場合はステップS17は実行せず、ステップS19に進む。
【0058】
ステップS17では、制御部15の指示に従って、再生部13が録音部12に保存されている1つ以上のメッセージを読み取り、このメッセージを再生して得られる音声信号を通信回線20に送出し通信端末装置30に送る。また、実際にはユーザによって記録されたメッセージを送出する前に、例えば「伝言がありますのでこれから再生します」のような定型メッセージの音声を送出してもよい。
【0059】
なお、メッセージを送出するまでに、入力部によりメッセージの送出の中止を指示する指示入力があった場合には、メッセージの送出を中止してもよい。また、保留解除後の話者が保留開始前の話者と異なる場合にも、メッセージの送出を中止してもよい。
【0060】
ステップS18では、制御部15が、通信端末装置10と通信端末装置30との間で保留状態で接続されている通話用の回線を自動的に切断する必要があるかどうかを識別する。すなわち、保留状態の待ち時間が長くなると、実際には通話していないにもかかわらず回線の接続により高額の課金が生じる可能性があるので、待ち時間が長くなった場合には自動的に回線を切断するためにこの処理を行う。
【0061】
ステップS19では、制御部15が、通話回路11を介して通信回線20の状態を監視し、接続中の回線が相手側ユーザの操作等によって切断されたかどうかを識別する。また、ステップS18の処理の中で後述する「自動切断フラグ」がセットされた場合にもステップS19では回線が切断されたものとみなす。回線が切断されていなければステップS11に戻って上記の処理を繰り返し、回線が切断された場合にはステップS20に進む。
【0062】
ステップS20では、制御部15が、通話回路11を制御して通信回線を切断する。また、録音部12に記録されたメッセージの送出に成功したかどうかを識別する。詳細については後述する。
【0063】
次に、図2に示すステップS14の「メッセージ録音処理」の詳細について、図3を参照しながら説明する。
【0064】
ステップS31では、制御部15が、操作部(図示せず:テンキーなど)の状態を監視して、操作部に対するユーザの入力操作を検出する。入力操作を検出した場合には、ステップS32に進み、検出された入力操作の種類に応じて予め割り当てられた処理を実行する。この例では、様々な入力操作に対して「録音開始指示」、「録音終了指示」、「メッセージ削除指示」、「メッセージ差し替え指示」、「再生順変更指示」のそれぞれに対応する処理が割り当てられている。
【0065】
ステップS32では、制御部15が、検出された入力操作の種類が「録音開始指示」かどうかを識別し、「録音開始指示」であればステップS37に進み、そうでなければステップS33に進む。
【0066】
ステップS33では、制御部15が、検出された入力操作の種類が「録音終了指示」かどうかを識別し、「録音終了指示」であればステップS38に進み、そうでなければステップS34に進む。
【0067】
ステップS34では、制御部15が、検出された入力操作の種類が「メッセージ削除指示」かどうかを識別し、「メッセージ削除指示」であればステップS41に進み、そうでなければステップS35に進む。
【0068】
ステップS35では、制御部15が、検出された入力操作の種類が「メッセージ差し替え指示」かどうかを識別し、「メッセージ差し替え指示」であればステップS42に進み、そうでなければステップS36に進む。
【0069】
ステップS36では、制御部15が、検出された入力操作の種類が「再生順変更指示」かどうかを識別し、「再生順変更指示」であればステップS43に進み、そうでなければこの処理を終了する。
【0070】
ステップS37では、制御部15が、録音部12を制御してメッセージの録音処理を開始する。具体的には、受話器のマイクによりユーザの音声を電気信号に変換し、この音声信号をデジタル化し符号化処理して所定のメモリ上に時系列のメッセージ情報として順次に蓄積する。
【0071】
ステップS38では、制御部15が、録音部12を制御してステップS37で開始したメッセージの録音処理を終了する。つまり、ステップS37で処理を開始してからステップS38で処理を終了するまでの間にユーザから入力された音声が1つのメッセージ情報になる。
【0072】
続いて、ステップS39では、制御部15が、ステップS38で生成された1つのメッセージ情報に対して、それを区別するための識別情報や再生順序に相当する優先順位の情報を付与する。優先順位の情報は、例えば入力部の入力に基づいて設定される。
【0073】
続いて、ステップS40では、制御部15の指示に従って、識別情報及び優先順位が付加されたメッセージ情報を録音部12内のメモリに保存する。
【0074】
ステップS41、S42、S43については、録音部12内のメモリ上に1つ又は複数のメッセージ情報が既に登録されている場合に、それを編集するための動作である。なお、録音部12内のメモリ上には複数のメッセージ情報を同時に保存可能な十分な記憶領域が備わっており、録音処理を複数回繰り返すことにより複数のメッセージ情報を登録することができる。
【0075】
ステップS41では、ユーザの入力操作に従って、制御部15が、録音部12を制御し、録音部12上のメモリに保存されている1つ又は複数のメッセージ情報の中から指定されたメッセージ情報を削除する。
【0076】
ステップS42では、ユーザの入力操作に従って、制御部15が、録音部12を制御し、録音部12上のメモリに保存されている複数のメッセージ情報の中で指定されたメッセージ情報を他のメッセージ情報と差し替える(前のメッセージを指定されたメッセージ情報で上書きする)。
【0077】
ステップS43では、ユーザの入力操作に従って、制御部15が、録音部12を制御し、録音部12上のメモリに保存されている複数のメッセージ情報の中で指定されたメッセージ情報の優先順位を変更し、他のメッセージ情報との間で再生順を入れ替える。
【0078】
つまり、図3に示す処理を実行するので、ユーザが所定の操作を行うことにより必要に応じて複数のメッセージ情報を記録することができ、更に記録した一部分のメッセージ情報を削除したり、一部分のメッセージ情報を入れ替えたり、複数のメッセージ情報の再生順を変更することができる。
【0079】
図2のステップS17においては、録音部12上のメモリに保存されている1つ又は複数のメッセージ情報をそれに付加されている優先順位の情報に従って順番に読み出し、順次にこれらを再生することができる。
【0080】
なお、図3に示す処理においては、音声だけをメッセージ情報に含める場合を想定しているが、テレビ電話の通信機能を搭載している端末の場合には、静止画像や動画像や文字列などを記録しておき、これらの情報をTV電話の映像を通して送信することも想定される。その場合には、音声と各映像とを同期させて適切な状態で再生するために、再生順序だけでなく、相対的な再生タイミングをユーザが指定できるのが望ましい。そこで、再生タイミングの情報も各メッセージ情報に付加してメモリ上に保存することが想定される。
【0081】
次に、図2に示すステップS18の「自動切断識別処理」の詳細について、図4を参照しながら説明する。
【0082】
ステップS51では、制御部15が、接続中の回線が通信端末装置30側で保留状態に切り替わって(通信端末装置10の保留解除検出部14が保留状態を検出して)から経過した時間の長さを保留接続時間Tcとして計数する。
【0083】
ステップS52では、制御部15が、現在の保留接続時間Tcを予め定めた閾値Tthと比較する。この閾値Tthについては、保留中の課金に対してユーザが許容可能な上限の料金に対応するように決定される。従って、回線の種類毎に、あるいは接続先の端末毎に接続時間と料金との関係が変わる場合には、例えば閾値Tthの候補として複数の定数をテーブル上に保持しておき、接続している回線の種類や、接続先の端末の電話番号に応じて適切な定数をテーブルから読み出し、閾値Tthとして使用する。
【0084】
ステップS52で「Tc>Tth」の条件を満たす場合(保留の待ち時間が長すぎる場合)にはステップS53に進み、そうでない場合はステップS54に進む。
【0085】
なお、IP電話の回線を使用する場合や、定額制の通話料金が適用される場合のように、接続時間に応じて課金される料金に変化が生じない場合には、自動的に回線を切断する必要はないので、ステップS52の処理を省略し、ステップS51の次にステップS54に進むように変更しても良い。
【0086】
ステップS53では、制御部15が、保留状態で接続中の回線を通信端末装置10側で切断処理するために「自動切断フラグ」をセットする。この「自動切断フラグ」はステップS19の中で参照される。
【0087】
ステップS54では、制御部15が、録音部12によって記録されたユーザのメッセージ情報が録音部12のメモリ上に1つ以上存在するか否かを識別する。メッセージ情報が存在する場合はステップS55に進み、存在しない場合はステップS56に進む。
【0088】
ステップS55では、制御部15が、録音部12のメモリ上に存在する全てのメッセージ情報についてステップS17で再生が完了したか否かを識別する。再生が完了していればステップS53に進み、再生が完了していない場合はステップS56に進む。
【0089】
ステップS56では、通信端末装置10が、複数の通話回線を選択的に使用できる場合に、回線を選択するための処理を行う。この処理の詳細については後述する。
【0090】
つまり、図4に示す処理を実行することにより、保留状態の待ち時間が長すぎる場合、並びにユーザによって記録された全てのメッセージ情報の再生及び送出が完了した場合に、通信端末装置10側で回線を自動的に切断することができる。
【0091】
次に、図2に示すステップS20の「通話切断処理」の詳細について、図5を参照しながら説明する。
【0092】
ステップS61では、制御部15が、通話回路11を制御することにより、通信端末装置10に対応する通信回線20を切断する。また、上記「自動切断フラグ」がセットされている場合には、これをリセット(クリア)する。
【0093】
ステップS62では、制御部15が、録音部12のメモリ上にユーザによって記録(登録)された1つ以上のメッセージ情報が存在するか否かを識別する。メッセージ情報が存在する場合にはステップS63に進み、存在しない場合はこの処理を終了する。
【0094】
ステップS63では、制御部15が、録音部12のメモリ上に保持されている全てのメッセージ情報の再生(再生した音声の回線への送出も含む)が完了しているか否かを識別する。完了していない場合はステップS64に進み、完了している場合はこの処理を終了する。
【0095】
ステップS64では、制御部15の指示により、ユーザの記録したメッセージが相手側ユーザに届いていない(不達)ことを通信端末装置10のユーザに知らせるために、例えば「記録したメッセージは相手に届いていません」などの文字列を表示したり、特定の表示ランプを点灯あるいは点滅表示したりする。
【0096】
例えば、保留状態の待ち時間が長くなると、図2のステップS17でメッセージを再生する前に、ステップS18の中で「自動切断フラグ」がセットされ、図5のステップS61で回線が切断されるので、ユーザが用意したメッセージは相手に届かない状態で処理が終了することになる。しかし、メッセージが相手に届かなかった場合にはステップS64で不達の表示を行うので、この表示により通信端末装置10のユーザはメッセージが送信されなかったことを知ることができ、ユーザはメッセージを相手に伝えるために再び電話をかけるなどの操作を行うことができる。
【0097】
次に、図4に示すステップS56の「通話回線切り替え処理」の詳細について、図6を参照しながら説明する。図6は図4に示すステップS56の詳細な動作を示すフローチャートである。
【0098】
ステップS71では、制御部15が、通話回路11の状態を調べることにより、通信端末装置10が使用可能な通信回線が複数存在するか否かを識別する。使用可能な通信回線が複数存在する場合はステップS72に進み、通信回線が1つだけの場合はこの処理を終了する。
【0099】
ステップS72では、制御部15が、保留解除検出部14の出力を参照し、通信たんまつ装置30と接続中の回線が保留状態か否かを識別する。保留状態であればステップS73に進み、保留状態でなければこの処理を終了する。
【0100】
ステップS73では、制御部15が、録音部12のメモリ上にユーザのメッセージ情報が1つ以上登録されているか否かを識別し、登録されている場合はステップS74に進み、登録されていなければこの処理を終了する。
【0101】
ステップS74では、制御部15が、通話回路11の状態を監視し、通信端末装置30と接続中の回線(通信回線22)とは別の回線で他の通信端末装置からの着信があるか否かを識別する。着信がある場合にはステップS76に進み、着信がない場合はステップS75に進む。
【0102】
ステップS75では、制御部15が、通信端末装置10の操作部に対するユーザの入力操作を監視し、通信回線22以外の回線を選択するためのユーザからの指示を検出したか否かを識別する。別回線への切り替え指示を検出した場合はステップS76に進み、検出しない場合はこの処理を終了する。
【0103】
ステップS76では、制御部15が、再生部13が再生するメッセージ音声の出力先として、通信端末装置10が使用可能な複数の回線のうち、通信端末装置30と接続するための通信回線22を選択する。一方、制御部15が、通信端末装置10の受話器のマイク及びスピーカに対して入出力されるユーザの音声信号の接続先として、ステップS74で着信を検出した別の回線、又はステップS75でユーザから切り替え指示された別の回線を選択する。
【0104】
従って、通信端末装置10が複数の回線を選択的に使用できる場合には、通信端末装置10のユーザは、接続中の通信端末装置30の回線が保留状態になった場合に、メッセージ情報を登録した後は、別の回線を選択して通信端末装置30以外の端末からの着信を受けたり、通信端末装置30以外の端末に対して電話をかけたりすることができ、その場合でも、通信端末装置30の回線の保留状態が解除されれば、登録したメッセージ情報の音声等により通信端末装置30のユーザに対して自動的に伝言が伝達される。
【0105】
図1に示した通信システムの通信端末装置10と通信端末装置30との間における通信シーケンスの具体例が図7に示されている。図7は図1に示した通信システムを使用する場合の保留時の動作例を示すシーケンス図である。図7に示す動作について以下に説明する。
【0106】
通信端末装置10と通信端末装置30との間で通話する場合には、通信端末装置10と通信端末装置30のいずれか一方が発呼し、回線交換機21を介して相手を呼び出し回線を接続する。これにより通話が可能な状態になる。
【0107】
図7に示す例では、通話が可能な状態になった後で、通信端末装置30側が通話の保留状態に切り替わっている。すなわち、通信端末装置30側のユーザが「保留」ボタンを押下したり、あるいは通信端末装置30の受話器を放置したりすることにより保留状態になる。
【0108】
相手端末である通信端末装置30が保留状態になると、通信端末装置10のユーザは相手と通話できないので、通常であれば保留が解除されるのを待つことになる。しかし、保留が解除されるのを待っている間に、通信端末装置10のユーザに急な用事が発生すると、長時間待ち続けることができない。しかし、通信端末装置10のユーザに、どうしても相手ユーザに伝えたい事項があり、直ちに回線を切断して通話を終了できない場合もある。
【0109】
そこで、通信端末装置10のユーザは回線が保留状態になっているときに、伝えたいメッセージの音声を通信端末装置10上に録音して保存する。この操作が終了すると、通信端末装置10のユーザは通信端末装置10から離れることができる。
【0110】
メッセージが登録された通信端末装置10は通信回線の接続を維持したまま、通信端末装置30の保留が解除されるまで待機する。但し、保留の時間が長くなった場合には、高額の課金が発生するのを避けるために、メッセージが未送信の状態であっても通信端末装置10が自動的に回線を切断してもよい。
【0111】
一方、通信端末装置30側が保留状態を解除すると、通信端末装置10がこれを検出し、ユーザが記録したメッセージ情報を読み出して再生し、このメッセージを通信端末装置30に向けて送出する。従って、通信端末装置30のユーザは保留状態を解除した後で、通信端末装置10から自動的に送出される相手ユーザの伝言を音声で聞くことができる。
【0112】
通信端末装置10は、メッセージの送出が完了すると回線を自動的に切断し通話を終了する。
【0113】
このように、本発明の実施形態における通信端末装置10は、例えば固定電話機、携帯電話端末などのように他局の端末との間で通話等の通信が可能であり、相手の端末が保留状態になった場合に、ユーザが長時間待たなくても相手に必要な伝言を伝えることができる。しかも、相手の端末が特別な機能を搭載していなくても、伝言を確実に伝えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、通話が保留状態である場合に、保留の解除を待ち続けなくても、必要なメッセージを相手端末に伝達可能にすると共に、公衆電話回線などを使用する通話にも適用でき、更に相手端末の能力の制約を受けることなくメッセージを伝達可能な通信端末装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施形態における通信端末装置を含む通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における通信端末装置の通話に関する制御動作の概要を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態におけるメッセージ録音処理の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態における自動切断識別処理の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態における通話切断処理の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態における通話回線切り替え処理の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態における通信システムを使用する場合の保留時の動作例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0116】
10、30 通信端末装置
11 通話回路
12 録音部
13 再生部
14 保留解除検出部
15 制御部
20、22 通信回線
21 回線交換機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の公衆通信回線を介して他の通信端末装置と通信を行う通信端末装置であって、
所定入力を行う入力部と、
他の通信端末装置との通話が中断された保留状態および前記保留状態の解除を検出する保留状態検出部と、
前記保留状態が検出されたときに、前記入力部による入力に基づいてメッセージ情報を記録するメッセージ記録部と、
前記保留状態の解除が検出されたときに、前記メッセージ記録部に記録されたメッセージ情報を前記公衆通信回線に送出するメッセージ再生部と
を備える通信端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信端末装置であって、
前記入力部は、複数の前記メッセージ情報の再生順を示す優先度を入力し、
前記メッセージ記録部は、複数の前記メッセージ情報を、前記メッセージ情報の再生順を表す優先度とともに記録し、
前記メッセージ再生部は、前記優先度に応じて、前記複数のメッセージ情報を順次送出する
通信端末装置。
【請求項3】
請求項1に記載の通信端末装置であって、
前記入力部は、前記メッセージ情報の送出の中止を指示する指示入力を行い、
前記メッセージ再生部は、前記指示入力に基づいて、前記メッセージ情報の送出を中止する
通信端末装置。
【請求項4】
請求項1に記載の通信端末装置であって、
前記メッセージ記録部は、複数のメッセージ情報を記録し、
前記入力部は、前記メッセージ情報の差し替えを指示する指示入力を行い、
前記メッセージ再生部は、前記指示入力に基づいて、送出対象のメッセージ情報を他のメッセージ情報に差し替えて送出する
通信端末装置。
【請求項5】
請求項1に記載の通信端末装置であって、更に、
当該通信端末装置の前記公衆通信回線への接続および切断を行う回線制御部と、
前記メッセージ情報の送出が完了する前に、前記公衆通信回線への接続を切断した場合、前記メッセージの送出が完了していないことを通知する通知部と、
を備える通信端末装置。
【請求項6】
請求項1に記載の通信端末装置であって、更に、
当該通信端末装置の前記公衆通信回線への接続および切断を行う回線制御部を備え、
前記回線制御部は、前記保留状態検出部により検出された保留状態の継続時間が所定時間よりも長い場合、前記公衆通信回線への接続を切断する
通信端末装置。
【請求項7】
請求項1に記載の通信端末装置であって、更に、
当該通信端末装置の前記公衆通信回線への接続および切断を行う回線制御部を備え、
前記回線制御部は、前記保留状態検出部によって前記保留状態が検出されたとき、当該保留状態が検出された第1の通信端末装置へ接続される第1の公衆通信回線を、前記メッセージ情報を送出する回線として選択するとともに、前記第1の通信端末装置とは異なる第2の通信端末装置へ接続される第2の公衆通信回線を、通話回線として選択する
通信端末装置。
【請求項8】
請求項1に記載の通信端末装置であって、
前記メッセージ記録部は、前記メッセージ情報として、音声情報、静止画像情報、動画像情報、文字列情報のうち少なくとも1つを含む情報を記録する
通信端末装置。
【請求項9】
請求項1に記載の通信端末装置であって、更に、
前記保留状態検出部により保留状態が検出されたとき、前記保留状態の解除が検出されるまで、無音データで構成される無音情報または代替画像を前記公衆通信回線に送出する
通信端末装置。
【請求項10】
所定の公衆通信回線を介して他の通信端末装置と通信を行う通信端末装置における通信方法であって、
所定入力を行う入力ステップと、
他の通信端末装置との通話が中断された保留状態および前記保留状態の解除を検出するステップと、
前記保留状態が検出されたときに、前記入力ステップにおける入力に基づいてメッセージ情報を記録する記録ステップと、
前記保留状態の解除が検出されたときに、前記記録ステップにおいて記録されたメッセージ情報を前記公衆通信回線に送出するステップと
を備える通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−81352(P2010−81352A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248229(P2008−248229)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】