説明

通信端末装置及びプログラム

【課題】特別なセンサや駆動部などを設けなくても、着信時にレシーバ部の位置をユーザが容易に確認できるようにする。
【解決手段】中央制御部11は、無線通信部14によって着信が検出されている場合に、その相手の通話音を出力するレシーバ部8から当該レシーバ部位置への誘導用として誘導音を発生させる。これによって無線通信部14からの着信時には、当該携帯電話機のレシーバ部8の位置を確認してから(ユーザの耳にレシーバ部8を合わせてから)相手の通話音を聞くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通話機能を備える通信端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電話機においては、着信時にレシーバをユーザの耳に密着させる際に、耳の穴にレシーバが位置するようにレシーバを手で調整するようにしているが、その位置が合わないと、相手からの通話音を正常に聞くことが難しく、相手の最初の通話などを聞き逃すことがあった。また、通話中においてもレシーバの位置がずれないように、気を遣いながら通話をしなければならなかった。
そこで、従来では、耳の穴の特徴に基づいて穴の位置情報を感知する感知部を備えることによりレシーバの方向を制御するようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−227987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した先行技術にあっては、耳の穴を感知する特殊なセンサやレシーバの方向(音声信号の出力方向)を調節するための駆動部などを搭載しなければならないという問題があった。
【0004】
この発明の課題は、特別なセンサや駆動部などを設けなくても、着信時にレシーバ部の位置をユーザが容易に確認できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、通話機能を備える通信端末装置であって、前記通話機能への着信を検出する着信検出手段と、この着信検出手段によって着信が検出されている場合に、その相手の通話音を出力するレシーバ部から当該レシーバ部の位置にユーザを誘導させるための誘導音を発生させる誘導音制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【0006】
請求項1に従属する発明として、装置本体を構成する複数の筐体が可動自在に連結されている状態において、前記複数の筐体の位置関係を検出して前記装置本体のスタイルを検出するスタイル検出手段を更に備え、前記誘導音制御手段は、前記スタイル検出手段が複数の筐体の位置関係が所定の関係に変化したことを検出した際に、前記誘導音を発生させる、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0007】
請求項1に従属する発明として、前記誘導音制御手段は、前記レシーバ部からの誘導音の発生又は停止を指示する誘導音操作子が操作された際に、その操作に応じて誘導音の発生又は停止を制御する、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項1に従属する発明として、前記誘導音制御手段は、前記相手との通話開始又は終了を指示する通話操作子が操作された際に、その操作に応じて誘導音の発生又は停止を制御する、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項1に従属する発明として、前記誘導音が発生してからの経過時間を計時する計時手段を更に備え、前記誘導音制御手段は、前記計時手段が所定時間の経過を検出した際に、前記誘導音を停止させる、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項1に従属する発明として、前記相手からの通話音量を検出する音量検出手段を更に備え、前記誘導音制御手段は、前記音量検出手段によって通話音量が所定の音量以上であることが検出された際に、前記誘導音を停止させる、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項6に従属する発明として、前記相手との通話のためのマイクを更に備え、
前記音量検出手段は、前記マイクが収音する音量の変化を用いて前記相手からの通話音量を検出する、ようにしたことを特徴とする請求項7記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1に従属する発明として、前記着信検出手段が着信を検出した際に着信報知音を発生させ、前記誘導音の発生時には前記着信報知音を停止させる着信報知制御手段を更に備える、ようにしたことを特徴とする請求項8記載の発明であってもよい。
【0013】
また、上述した課題を解決するために請求項9記載の発明は、コンピュータに対して、通話機能への着信を検出する機能と、前記着信を検出した場合に、その相手の通話音を出力するレシーバ部から当該レシーバ部の位置にユーザを誘導させるための誘導音を発生する機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、特別なセンサや駆動部などを設けなくても、ユーザにあっては着信時にレシーバ部の位置を容易に確認することができ、ユーザの耳の穴にレシーバ部を正確に合わせてから相手の通話音を聞くことができ、その通話音の聞き逃しを確実に防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態1)
以下、図1〜図4を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
この実施形態は、通信端末装置として携帯電話機に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話機の外観図である。
この携帯電話機は、その装置本体を構成する2つの操作側筐体1、表示側筐体2をヒンジ部3を介して開閉可能に取り付けた折り畳み型で、この操作側筐体1、表示側筐体2の位置関係に応じて装置本体の形態として複数のスタイルに変更可能となっている。図1(a)、(b)は、2つの操作側筐体1、表示側筐体2を折り畳んだ状態のクローズスタイルを示したもので、図1(a)は、クローズスタイルでの正面図、(b)は、クローズスタイルでの側面図を示している。図1(c)、(d)は、2つの操作側筐体1、表示側筐体2の折り畳みを開いた状態のオープンスタイルを示したもので、図1(c)は、オープンスタイルでの正面図、(d)は、オープンスタイルでの側面図を示している。
【0016】
このオープンスタイルにおいて、操作側筐体1の内面には通話操作子としてのオフフック釦4、オンフック釦5などの各種の釦のほか、通話時にユーザの音声を入力する通話用のマイク部6が設けられている。表示側筐体2の内面には表示部7のほか、通話時に相手の通話音を出力する通話用のスピーカ部(レシーバ部)8が設けられている。また、表示側筐体2の外面には、着信報知用スピーカ9が設けられている。また、操作側筐体1の一側面には、誘導音用釦(誘導音操作子)10が設けられている。この誘導音用釦10は、着信時にユーザの耳をレシーバ部8の位置に誘導させるための誘導音(例えば、ピー、ピーなどの断続音)の発生を指示する操作子で、誘導音の発生中にオンフック釦5が操作されると、この誘導音は停止される。
【0017】
図2は、携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。
携帯電話機には、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)、コンテンツ再生機能などが備えられている。そして、携帯電話機は、例えば、最寄りの基地局から無線通信網に接続されると、この無線通信網を介して他の携帯電話機との間で通話可能状態となったり、電子メールの送受信が可能な状態となり、また、無線通信網を介してインターネットに接続されると、Webサイトをアクセスして閲覧可能となったりする。
【0018】
中央制御部11は、二次電池を備えた電源部12からの電力供給によって動作し、記憶部13内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機の全体動作を制御する中央演算処理装置やメモリなどを有している。記憶部13には、後述する図3、図4に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているほか、それに必要な各種の情報が記憶されている。無線通信部14は、無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能の動作時に、最寄りの基地局との間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から通話音を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、音声信号処理部15を介して通話用のレシーバ部8から音声出力させ、また、通話用のマイク部6からの入力音声を音声信号処理部15から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナから発信出力させる。
【0019】
音声信号処理部15は、上述のように音声処理するほか、無線通信部14によって着信が検出されている場合に、ユーザの耳をレシーバ部8の位置に誘導させるための誘導音をレシーバ部8から一定の条件下で発生させたり、それを停止させたりする制御を行う。着信報知用スピーカ9は、着信時にメロディ音などの着信報知音を出力するサウンドスピーカであり、中央制御部11は、着信検出時に着信報知用スピーカ9を駆動して着信報知音を発生させるが、上述の誘導音の発生中にオンフック釦5が操作されると、この着信報知音を停止させる。
【0020】
表示部7は、高精細液晶あるいは有機ELなどを使用し、例えば、文字情報、待受画像など、各種の情報を表示させる。操作部16は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを入力するもので、上述したオンフック釦5、オフフック釦4、誘導音用釦10などが備えられており、中央制御部11は、操作部16から操作入力信号を取り込むと、その操作に応じた処理を実行する。アプリ処理関係部17は、電子メール機能、インターネット接続機能、コンテンツ再生機能などのアプリケーション処理に関する情報を記憶したり、その処理に関する制御を行ったりする。
【0021】
着信報知用バイブレータ18は、振動モータを有する構成で、無線通信部14によって着信が検出された際に、着信報知用スピーカ9を駆動する代わりに駆動されることによって着信報知用バイブレーションを発生させる。スタイル検出部19は、操作側筐体1と表示側筐体2との連結状態(位置関係)に応じて装置本体のスタイル(クローズスタイル、オープンスタイル)を検出するもので、中央制御部11は、無線通信部14によって着信が検出されている場合に、スタイル検出部19によって複数の筐体1、2の位置関係が所定の関係(特定のスタイル)に変化したことが検出された際に、例えば、クローズスタイルからオープンスタイルへの変更が検出された際に、レシーバ部8を駆動して誘導音を発生させる。計時部20は、現在日時を計時する時計部を構成するほか、時間を計測するタイマを構成するもので、中央制御部11は、計時部20から現在日時、計測時間(タイマ時間)を取得する。
【0022】
次に、この第1実施形態における携帯電話機の動作概念を図3及び図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0023】
図3は、電源投入に伴って実行開始される携帯電話機の全体動作の概要を示したフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、電源スイッチのON操作に応答して(ステップA1でYES)、電源部12を駆動させて携帯電話機1の各部位に電力を供給させるほか、所定のメモリなどを初期化する電源オン処理を実行する(ステップA2)。そして、所定の待受画像を読み出して表示させる待ち受け状態において(ステップA3)、無線通信部14によって着信が検出されたかを調べる(ステップA4)。
【0024】
いま、着信を検出したときには(ステップA4でYES)、着信報知用スピーカ9あるいは着信報知用バイブレータ18を駆動して着信報知を行ったのち(ステップA5)、後述する誘導音発生処理に移る(ステップA6)。その後、上述のステップA3に戻って待ち受け状態となる。また、着信待ち状態において何らかのユーザ操作を検出すると(ステップA7でYES)、それは電源オフ操作であるか、あるいはその他の操作であるかを調べ(ステップA8)、電源OFF操作が行われたときには(ステップA8でYES)、電源OFF処理を実行し(ステップA9)、電源オフ操作以外のその他の操作が行われたときには(ステップA8でNO)、その操作に応じて発信処理や音楽再生処理などのアプリケーション処理を実行する(ステップA10)。その後、上述のステップA3に戻って待ち受け状態となる。
【0025】
図4は、誘導音発生処理(図3のステップA6)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、スタイル検出部19をアクセスして所定のスタイルに変更されたか、例えば、着信報知を確認したユーザが通話可能な状態とするためにクローズスタイルからオープンスタイルに変更されたかを調べ(ステップB1)、所定のスタイル(オープンスタイル)に変更されるまで待機状態となる。いま、所定のスタイルに変更されると(ステップB1でYES)、スタイル対応誘導音モードに設定されているかを調べる(ステップB2)。
【0026】
このスタイル対応誘導音モードは、無線通信部14によって着信が検出されている場合に、特定スタイルへの変更に応じて誘導音を自動発生させる動作モードであり、予めユーザ操作によって任意に設定可能となっている。いま、このスタイル対応誘導音モードに設定されていなければ(ステップB2でNO)、誘導音用釦10の操作有無を調べる(ステップB3)。ここで、誘導音用釦10が操作されなければ(ステップB3でNO)、次のステップB6に移り、着信応答操作(オフフック操作)の有無を調べるが、スタイル対応誘導音モードに設定されている場合(ステップB2でYES)、あるいはスタイル対応誘導音モードに設定されていなくても誘導音用釦10が操作された場合には(ステップB3でYES)、レシーバ部8を駆動させて誘導音の発生を開始させる(ステップB4)。そして、着信報知用スピーカ9あるいは着信報知用バイブレータ18の駆動を停止させて着信報知を終了させたのち(ステップB5)、次のステップB6に移り、着信応答操作(オフフック操作)の有無を調べる。
【0027】
ここで、オフフック釦4が操作されるまでの間(ステップB6でNO)、相手側からの回線遮断による着信終了かを調べるが(ステップB12)、オフフック釦4が操作されると(ステップB6でYES)、誘導音の発生中かを調べ(ステップB7)、誘導音の発生中であれば、レシーバ部8の駆動を停止させて誘導音の発生を停止させ(ステップB8)、誘導音の発生中でなければ(ステップB7でNO)、着信報知用スピーカ9あるいは着信報知用バイブレータ18の駆動を停止させて着信報知を終了させたのち(ステップB9)、通話処理を行う(ステップB10)。
【0028】
そして、回線を遮断して通話を終了させるための操作として、オンフック釦5が操作されたかを調べ(ステップB11)、オンフック釦5が操作されるまでステップB10に戻って通話可能状態を維持するが、オンフック釦5が操作されると、図3のステップA3に戻って待ち受け状態となる。また、相手側からの着信終了を検出した場合に(ステップB12でYES)、着信報知中であるかを調べる(ステップB13)。いま、着信終了の検出時に、着信報知中でなければ(ステップB13でNO)、図3のステップA3に戻って待ち受け状態となるが、着信報知中であれば(ステップB13でYES)、着信報知用スピーカ9あるいは着信報知用バイブレータ18の駆動を停止させて着信報知を終了させたのち(ステップB14)、図3のステップA3に戻って待ち受け状態となる。
【0029】
以上のように、この第1実施形態において中央制御部11は、無線通信部14によって着信が検出されている場合に、その相手の通話音を出力するレシーバ部8から当該レシーバ部位置への誘導用として誘導音を発生させるようにしたので、特別なセンサや駆動部などを設けなくても、ユーザにあっては着信時にレシーバの位置を確認してから相手の通話音を聞くことができる。言い換えれば、ユーザの耳の穴にレシーバ部を正確に合わせてから相手の通話音を聞くことができるので、その通話音の聞き逃しを確実に防ぐことが可能となる。
【0030】
無線通信部14によって着信が検出されている場合に、スタイル検出部19によって特定スタイルへの変更が検出された際に、レシーバ部8から誘導音を発生させるようにしたので、着信報知を確認したユーザが通話可能な状態とするためにクローズスタイルからオープンスタイルに変更したタイミングで誘導音を発生させることができる。すなわち、通話が可能なスタイルへの変更時に誘導音を発生させることができるので、ユーザは誘導音を発生させるために特別な操作をする必要がない。
【0031】
無線通信部14によって着信が検出されている場合に、誘導音用釦10が操作された際に、誘導音を開始させるようにしたので、ユーザの意向に応じて誘導音を発生させることができる。この誘導音用釦10は、操作側筐体1の一側面に設けられているので、クローズスタイルでも操作可能であり、オープンスタイルに変更する前から誘導音を発生させることができる。また、誘導音を発生させるための専用の操作子を操作することにより、ユーザは確実に誘導音の発生を指示することができる。
【0032】
誘導音の発生中にオンフック釦5が操作されると、この誘導音を停止するようにしたので、ユーザの耳の穴にレシーバ部を正確に合わせてから相手の通話音を聞くことができ、相手の通話音の聞き逃しを確実に防ぐことが可能となる。また、誘導音を発生させるための専用の操作子を設けることなく、通話のための通話操作子を操作することにより、ユーザは誘導音の停止を指示することができる。
【0033】
誘導音の発生時には着信報知音を停止するようにしたので、ユーザにあっては静音化によって誘導音に集中することができるほか、節電対策上有効なものとなる。この場合、着信報知音を停止しても誘導音により着信を認識することができる。
【0034】
上述した第1実施形態においては、2つの操作側筐体1、表示側筐体2をヒンジ部3を介して開閉可能に取り付けた折り畳み型の携帯電話機を例示したが、これに限らず、例えば、操作側筐体1、表示側筐体2とを折り畳み開閉自在及び回動自在に連結した2軸ヒンジタイプの携帯電話機であってもよい。その他、リバーシブルタイプ、スライドタイプなどの携帯電話機でよく、どのようなタイプの携帯電話機であってもよい。
【0035】
(実施形態2)
以下、この発明の第2実施形態について図5を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、無線通信部14によって着信が検出されている場合に、誘導音の発生タイミングを特定スタイルへの変更検出時と誘導音用釦10の操作時とし、誘導音の停止タイミングをオフフック釦4の操作時としたが、第2実施形態においては、誘導音の発生タイミングをオフフック釦4の操作時とし、また、誘導音の停止タイミングを誘導音発生後の所定時間経過時、受信音量変化検出時、誘導音用釦10の操作時、オンフック釦5の操作時とするようにしたものである。そして、第2実施形態における誘導音用釦10は、誘導音の発生を指示するものではなく、その停止を指示する操作子である。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0036】
図5は、第2実施形態における誘導音発生処理(図3のステップA6)を詳述するためのフローチャートである。なお、図3のフローチャートは、第2実施形態においても同様であるため、その説明は省略するものとする。
先ず、中央制御部11は、無線通信部14によって着信が検出されている状態において、オフフック釦4の操作有無を調べたり(ステップC1)、相手側からの回線遮断による着信終了かを調べたりする(ステップC14)。いま、相手側からの着信終了を検出すると(ステップC14でYES)、着信報知用スピーカ9あるいは着信報知用バイブレータ18の駆動を停止させて着信報知を終了させたのち(ステップC15)、図3のステップA3に戻って待ち受け状態となる。
【0037】
また、オフフック釦4が操作されると(ステップC1でYES)、着信報知用スピーカ9あるいは着信報知用バイブレータ18の駆動を停止させて着信報知を終了させたのち(ステップC2)、レシーバ部8を駆動させて誘導音の発生を開始させる(ステップC3)。そして、誘導音自動オフ設定の有無を調べる(ステップC4)。この“誘導音自動オフ設定”は、誘導音の発生中に一定の条件成立に応じて誘導音を自動的に停止することを示すもので、予めユーザ操作によって任意に設定されたものである。
【0038】
いま、誘導音自動オフが設定されていなければ(ステップC4でNO)、誘導音用釦10が操作されたかを調べるが(ステップC5)、オフフック釦4の操作直後に誘導音用釦10が操作されなければ、通話処理に移る(ステップC10)。また、オフフック釦4の操作直後に誘導音用釦10が操作されて誘導音の停止が指示された場合には(ステップC5でYES)、この誘導音用釦10の操作に応答して誘導音を停止させたのち(ステップC9)、通話処理に移る(ステップC10)。
【0039】
一方、誘導音自動オフが設定されていれば(ステップC4でYES)、誘導音発生後所定時間経過時/受信音量変化検出時に誘導音を自動停止させる処理に移る(ステップC6〜C9)。すなわち、誘導音の発生開始時に計測動作を開始する計時部20からタイマ時間を取得し、このタイマ時間に基づいて誘導音を発生させてから所定時間(例えば、数秒)が経過したかを調べたり(ステップC6)、相手からの通話音量を受信音量として計測し(ステップC7)、その計測値が予め決められている閾値以上(所定音量以上)かを調べたりする(ステップC8)。この場合、相手からの通話信号を受信した際にその音量レベルを検出して通話音量の変化を計測するようにしているが、通話用マイク部6から収音した通話音量の変化を計測するようにしてもよい。
【0040】
ここで、上述の所定時間が経過する前に(ステップC6でNO)、相手の通話音として“もしもし”など検出した場合にその音量の計測値が上述の閾値以上であれば(ステップC8でYES)、誘導音を停止させる(ステップC9)。また、所定時間が経過すると(ステップC6でYES)、誘導音を停止させる(ステップC9)。そして、通話処理を行い(ステップC10)、オンフック釦5が操作されるまで通話可能状態を維持するが(ステップC10、C11)、オンフック釦5が操作されると、誘導音が停止中でないことを条件に(ステップC12でNO)、誘導音を停止させる(ステップC13)。その後、図3のステップA3に戻って待ち受け状態となる。
【0041】
以上のように、この第2実施形態においては、無線通信部14によって着信が検出されている場合に、オフフック釦4が操作された際に誘導音を発生させるようにしたので、通話応答時に誘導音を発生させることができる。また、誘導音を発生させるための専用の操作子を設けることなく、通話のための通話操作子を操作することにより、ユーザは誘導音の停止を指示することができる。
【0042】
誘導音の発生中に誘導音用釦10の操作に応じて誘導音を停止させるようにしたので、ユーザの意向に応じて誘導音を停止させることができる。また、誘導音を発生させるための専用の操作子を操作することにより、ユーザは確実に誘導音の発生を指示することができる。
【0043】
誘導音が発生してから所定時間の経過を検出した際に、誘導音を停止させるようにしたので、誘導音発生から所定の時間がたてば、ユーザが操作することなく、自動的に誘導音を停止させることができる。
【0044】
相手からの通話音量が所定の音量以上であることが検出された際に、誘導音を停止させるようにしたので、ユーザが操作することなく、相手の最初の通話(相手からの第一声)で誘導音を自動停止させることができる。
【0045】
相手からの通話音量を検出(計測)する場合に、通話用マイク部6が収音する音量の変化を用いて相手からの通話音量を検出するようにすれば、通話用マイク部6を音量検出用マイクとして兼用することができ、専用のセンサなどを設けることなく、自動的に誘導音を停止させることができる。
【0046】
なお、上述した各実施形態においては、誘導音を断続音とした場合を例示したが、例えば、徐々に周波数が高くなるような連続音を誘導音としてもよい。
また、上述した各実施形態において誘導音用釦10は、それが操作される毎に誘導音の発生と停止とを交互に切り替える切替操作子であってもよい。
その他、通信端末装置としては携帯電話機に限らず、通話機能を備えるPDA(個人用の携帯情報端末)などのほか、固定電話自体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】通信端末装置として適用した携帯電話機の外観図。
【図2】携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】電源投入に伴って実行開始される携帯電話機の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図4】誘導音発生処理(図3のステップA6)を詳述するためのフローチャート。
【図5】第2実施形態における誘導音発生処理(図3のステップA6)を詳述するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0048】
1 操作側筐体
2 表示側筐体
3 ヒンジ部
4 オフフック釦
5 オンフック釦
6 通話用マイク部
7 表示部
8 レシーバ部
9 着信報知用スピーカ
10 誘導音用釦
11 中央制御部
13 記憶部
14 無線通信部
15 音声信号処理部
16 操作部
18 着信報知用バイブレータ
19 スタイル検出部
20 計時部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話機能を備える通信端末装置であって、
前記通話機能への着信を検出する着信検出手段と、
この着信検出手段によって着信が検出されている場合に、その相手の通話音を出力するレシーバ部から当該レシーバ部の位置にユーザを誘導させるための誘導音を発生させる誘導音制御手段と、
を具備したことを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
装置本体を構成する複数の筐体が可動自在に連結されている状態において、前記複数の筐体の位置関係を検出して前記装置本体のスタイルを検出するスタイル検出手段を更に備え、
前記誘導音制御手段は、前記スタイル検出手段が複数の筐体の位置関係が所定の関係に変化したことを検出した際に、前記誘導音を発生させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記誘導音制御手段は、前記レシーバ部からの誘導音の発生又は停止を指示する誘導音操作子が操作された際に、その操作に応じて誘導音の発生又は停止を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記誘導音制御手段は、前記相手との通話開始又は終了を指示する通話操作子が操作された際に、その操作に応じて誘導音の発生又は停止を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記誘導音が発生してからの経過時間を計時する計時手段を更に備え、
前記誘導音制御手段は、前記計時手段が所定時間の経過を検出した際に、前記誘導音を停止させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。
【請求項6】
前記相手からの通話音量を検出する音量検出手段を更に備え、
前記誘導音制御手段は、前記音量検出手段によって通話音量が所定の音量以上であることが検出された際に、前記誘導音を停止させる、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。
【請求項7】
前記相手との通話のためのマイクを更に備え、
前記音量検出手段は、前記マイクが収音する音量の変化を用いて前記相手からの通話音量を検出する、
ようにしたことを特徴とする請求項6記載の通信端末装置。
【請求項8】
前記着信検出手段が着信を検出した際に着信報知音を発生させ、前記誘導音の発生時には前記着信報知音を停止させる着信報知制御手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。
【請求項9】
コンピュータに対して、
通話機能への着信を検出する機能と、
前記着信が検出されている場合に、その相手の通話音を出力するレシーバ部から当該レシーバ部の位置にユーザを誘導させるための誘導音を発生する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−81174(P2010−81174A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245556(P2008−245556)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】