説明

通信端末

【課題】外部表示デバイスの画面上の位置を指定する機能を利用している場合に、利用者に通知すべき事象が発生したとき、誤操作のないようにできる通信端末を提供する。
【解決手段】タッチパネル106は、マウス操作領域121と受話操作領域122を有し接触位置を示す位置情報を出力し、検知部112は、事象の発生を検知して通知信号を出力し、制御部103は、位置情報が第2操作領域内を示し、かつ、前記通知信号を受け取った場合に、前記通知信号に対応する処理を実行するよう制御し、音声処理部104、メール処理部113又はアラーム処理部111は、通知信号に対応する音声処理、メール処理部113又はアラーム処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部表示デバイスの画面上の位置を指定する機能を有する通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、電話機能以外に様々な機能を有する。例えば、電子メールを送受信する電子メール機能、ゲームプログラムに従ってゲームを実行するゲーム機能、デジタルカメラ機能、テレビジョン放送を受信して表示するテレビ機能である。また、操作性を向上させるため、液晶ディスプレイなどの表示デバイスと、当該表示デバイスの表示面に取り付けられ、利用者の接触操作を受け付けるタッチパッドとを主たる操作手段とする携帯電話機も普及している。
【0003】
特許文献1は、テレビ受像機等の外部表示デバイスに通信可能に接続され、携帯電話機からの所定の表示情報を当該外部表示デバイスに拡大表示することができると共に、マウス等の入力デバイスとして使用することができる携帯電話機について開示している。この携帯電話機は、光源、レンズ及びイメージセンサを備えており、机などの作業面上で任意の方向に動かされる。光源は、携帯電話機の筐体内部から、作業面に向かって、光を発し、レンズは、作業面によって反射された光を集光し、イメージセンサは、集光した光を検出する。イメージセンサによる検出結果により、携帯電話機は、当該携帯電話機の移動方向及び移動距離を求め、外部表示デバイスへ出力する。
【0004】
また、特許文献2は、ワイヤレスマウス機能を備えた携帯電話機について開示している。この携帯電話機は、内蔵するカメラ部により撮像される複数のフレーム画像間における変位量に基づいて、携帯電話機の移動方向及び移動距離を算出し、移動方向及び移動距離を、近距離無線通信ユニットを介して、パーソナルコンピュータへ送信する。パーソナルコンピュータは、この携帯電話機から受信された移動方向及び移動距離に基づいて、モニタ装置上に表示しているポインタを移動表示制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−165289号公報
【特許文献2】特開2007−123962号公報
【特許文献3】特開2007−151014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、携帯電話機は、電話機能以外の様々な機能を有するので、例えば、特許文献3によると、ゲーム実行中に、電話の着信があった場合には、電話に出るか否かを示すYES表示及びNO表示を、ゲーム画像が表示されている表示領域に重ねて、ポップアップ表示する。利用者がNO表示を選択すると、ゲームを再開する。一方、YES表示を選択すると、ゲームを中断し、電話に出ることができる。
【0007】
しかし、表示デバイスと、利用者の接触操作を受け付けるタッチパッドとを主たる操作手段とし、外部表示デバイスの画面上の位置を指定する機能、言い換えると、マウス操作機能を有する携帯電話機において、利用者によるマウス操作中に、特許文献3により開示されているように、電話の着信があった場合に、電話に出るか否かを示すYES表示及びNO表示をポップアップ表示するならば、その利用者は、通常、外部表示デバイスの画面を注視しているので、携帯電話機において表示されたポップアップに気づかない可能性が高い。このため、利用者は、マウス操作を行っているつもりであるが、携帯電話機は、例えば、ポップアップのYES表示に対する応答操作を受け付けることとなる。そうすると、マウス操作が中断され、利用者の意図に反する動作をするという問題点がある。
【0008】
上記問題点を解決するために、本発明は、外部表示デバイスの画面上の位置を指定する機能を利用している場合に、他の機能の発揮により利用者に通知すべき事象が発生したときであっても、誤操作のないようにすることができる通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、外部表示デバイスの画面上の位置を指定する機能を有する通信端末であって、位置指定の操作を受け付けるための第1操作領域と、位置指定の操作中において、他の機能の発揮に伴って発生する事象に応答する操作を受け付けるための第2操作領域とを有し、利用者による接触操作を受け付け、接触位置を示す位置情報を出力するタッチパネルと、前記事象の発生を検知して通知信号を出力する検知手段と、前記位置情報が前記第1操作領域内を示すか又は第2操作領域内を示すかを判断し、前記位置情報が前記第1操作領域内を示す場合に、受け取った位置情報を出力し、前記位置情報が前記第2操作領域内を示し、かつ、前記通知信号を受け取った場合、前記通知信号に対応する処理を実行するよう制御する制御手段と、前記位置情報を受け取り、受け取った前記位置情報を前記外部表示デバイスへ送信する送信手段と、前記制御手段の制御により、前記通知信号に対応する処理を実行する処理手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によると、タッチパネルから出力される位置情報が、位置指定の操作を受け付けるための第1操作領域ではなく、発生した事象に応答するための操作を受け付ける第2操作領域内を示す場合に、事象の発生が検知されたとき、前記通知信号に対応する動作をするよう制御するので、誤操作のないようにすることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る一の実施の形態としての携帯電話機100が外部表示デバイス200と接続され、ポインティグデバイスとして使用されるシステムの概要を示す模式図である。
【図2】携帯電話機100の構成を示すブロック図である。
【図3】携帯電話機100のマウス操作領域121及び受話操作領域122の一例を示す。
【図4】携帯電話機100の制御の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態)
本発明に係る一の実施の形態としての携帯電話機100について説明する。
通信端末としての携帯電話機100は、図示していない基地局及び携帯電話網を介して、他の携帯電話機との間で、通話又は電子メールの送受信が可能となるように構成され、また、基地局、携帯電話網及びインターネットを介して、他の携帯電話機やパーソナルコンピュータとの間で、電子メールやデータの送受信が可能となるように構成されている。
【0013】
また、携帯電話機100は、図1に示すように、近距離無線により、外部表示デバイス200と接続され、外部表示デバイス200に対し、ポインティングデバイスであるマウスとして使用される。
利用者は、携帯電話機100が有するタッチパネル106に設けられたマウス操作領域121に指先等を接触させながら、接触させた指先等をマウス操作領域121上を滑らすように移動させることにより、外部表示デバイス200の画面上の表示されたアイコン(矢印形状を有するカーソル)201を、位置202へ移動させることができる。アイコン201の移動方向及び移動距離は、マウス操作領域121上を接触して移動する指先等の移動方向及び移動距離に応じて決定される。
【0014】
1.携帯電話機100の構成
携帯電話機100は、図2に示すように、通信回路101、近距離無線回路102、制御部103、音声処理部104、スピーカ105、操作部107、タッチパネル106、アンテナ108、アンテナ109、マイク110、アラーム処理部111、検知部112及びメール処理部113から構成されている。
【0015】
(1)タッチパネル106
タッチパネル106は、一例として、液晶ディスプレイなどの表示パネル部106aと、表示パネル部106aの表示面に取り付けられたタッチパッド部106bとから構成される。また、タッチパネル106は、携帯電話機100がポインティングデバイスであるマウスとして使用される場合に、一例として、図3(a)に示すように、マウス操作領域121と受話操作領域122とを備える。
【0016】
マウス操作領域121は、携帯電話機100がマウスとして使用される場合に、位置指定の操作を受け付けるための領域であり、受話操作領域122は、位置指定の操作中において、他の機能の発揮に伴って発生する利用者に通知すべき事象に応答する操作を受け付けるための領域である。
なお、マウス操作領域121と受話操作領域122との間には、マウス操作領域121と受話操作領域122との境界を識別するための境界線123が表示されているとしてもよい。また、マウス操作領域121と受話操作領域122との識別を容易にするために、マウス操作領域121と受話操作領域122とは、異なる色又は異なる階調により表示されているとしてもよい。
【0017】
利用者が、タッチパッド部106bに指先等を接触させると、タッチパッド部106bは、所定の時間間隔毎に、例えば、50m秒毎に、その接触位置を検出し、接触位置を示す位置情報(x座標値及びy座標値)を生成し、生成した位置情報を制御部103へ出力する。利用者がタッチパッド部106bに指先等を接触させながら、接触させた指先等をタッチパッド部106b上を滑らすように移動させると、タッチパッド部106bは、連続的に指先等の接触位置を検出し、接触位置を示す位置情報(x座標値及びy座標値)を連続的に生成して制御部103へ出力する。
【0018】
表示パネル部106aは、制御部103からメッセージ及び表示位置を示す位置データを受け取り、受け取った位置データにより示される位置において、受け取ったメッセージを表示する。
表示パネル部106aは、一例として、制御部103から、マウス操作領域121を示す位置データと、メッセージ「着信がありました」とを受け取り、受け取った位置データにより示されるマウス操作領域121に、メッセージ「着信がありました」を表示する。図3(b)には、マウス操作領域121において、メッセージ「着信がありました」を表示する例121aを示している。その他のメッセージの例として、「受信がありまし
た。」、「設定時刻が到来しました」などがある。ここで、メッセージ「着信がありました」は、通話の着信があったことを示し、メッセージ「受信がありました」は、電子メールの受信があったことを示し、メッセージ「設定時刻が到来しました」は、利用者により設定された時刻が到来したことを示す。なお、メッセージ「着信がありました」は、通話の相手の電話番号の表示を伴うとしてもよいし、メッセージ「受信がありました」は、電子メールの送信者のアドレスを伴うとしてもよい。メッセージ「設定時刻が到来しました」は、設定時刻を伴うとしてもよい。
【0019】
また、表示パネル部106aは、一例として、制御部103から、受話操作領域122を示す位置データと、受話アイコンを表す表示データとを受け取り、受け取った位置データにより示される受話操作領域122に、受話アイコンを表す表示データを表示する。図3(b)には、受話操作領域122において、受話アイコンを表す表示データを表示する例122bを示している。なお、受話操作領域122に表示されるアイコンは、受話アイコンには限定されない。その他のアイコン、例えば、電子メールの受信を表すアイコン、設定時刻の到来を表すアイコンが表示されるとしてもよい。
【0020】
また、タッチパネル106は、メール処理部113から、制御部103を介して、電子メールの内容を受け取り、受け取った電子メールの内容を表示する。
(2)アンテナ108及び通信回路101
アンテナ108は、図示していない基地局との間で無線回線を介して無線信号を送受信する。
【0021】
通信回路101は、アンテナ108により送受信される無線信号の周波数選択や周波数変換等を行う。また、通話の着信があった場合に、着信を示す着信信号を検知部112へ出力する。電子メールの受信があった場合に、電子メールの受信を示す受信信号を検知部112へ出力する。
(3)アラーム処理部111
アラーム処理部111は、利用者の操作により、アラーム設定時刻を設定し、設定したアラーム設定時刻の到来を監視する。
【0022】
通常の場合、つまり、携帯電話機100がポインティングデバイスであるマウスとして使用される状態に設定されていない場合、設定したアラーム設定時刻が到来すると、アラーム処理部111は、アラーム音を発する。
一方、携帯電話機100がポインティングデバイスであるマウスとして使用される状態に設定されている場合、アラーム処理部111は、設定したアラーム設定時刻の到来を監視し、設定したアラーム設定時刻が到来すると、アラーム信号を検知部112へ出力する。また、アラーム処理部111は、利用者が受話アイコンに応答した場合に、制御部103の制御により、アラーム音を発する。
【0023】
(4)検知部112
検知部112は、通話機能、電子メール送受信機能、アラーム機能などにおいて、利用者に通知すべき事象の発生を検知する。ここで、事象の具体例は、通話の着信、電子メッセージの受信、アラーム設定時刻の到来である。具体的には、検知部112は、通信回路101から通話の着信を示す着信信号又は電子メールの受信を示す受信信号を受け取り、又は、アラーム処理部111から設定時刻の到来を示すアラーム信号を受け取ることにより、前記事象の発生を検知する。着信信号、受信信号又はアラーム信号を受け取ると、これらの信号を受け取ったことを示す通知信号を制御部103へ出力する。ここで、通知信号は、事象の発生の原因が、通話の着信であるか、電子メールの受信であるか、又はアラーム設定時刻の到来であるかをも示す。
【0024】
(5)制御部103
(設定の受付け、位置情報及び通知信号の受取り)
制御部103は、利用者の操作により、携帯電話機100がポインティングデバイスであるマウスとして使用される状態への設定を受け付け、また、マウスとして使用される状態の終了の設定を受け付ける。
【0025】
また、制御部103は、利用者の指先等がタッチパッド部106bに接触している時間帯において、所定の時間間隔毎に、例えば、50m秒毎に、タッチパネル106から指先等の接触位置を示す位置情報(x座標値及びy座標値)を受け取る。また、制御部103は、検知部112から通知信号を受け取る。
(マウスとして使用される場合)
制御部103は、利用者の操作により、携帯電話機100がポインティングデバイスであるマウスとして使用される状態に設定されている場合において、タッチパネル106から位置情報(x座標値及びy座標値)を受け取ると、受け取った位置情報がマウス操作領域121と受話操作領域122とのいずれを示すかを判断する。具体的には、マウス操作領域121と受話操作領域122とは、それぞれ、矩形の領域であり、制御部103は、マウス操作領域121の左上点の座標及び右下点の座標と、受話操作領域122の左上点の座標及び右下点の座標とを記憶しており、これらの領域の位置を示す座標を用いて、タッチパネル106から受け取った位置情報により示される位置が、これらのいずれの領域内に存在するかを判断する。
【0026】
タッチパネル106から受け取った位置情報がマウス操作領域121内を示す場合には、制御部103は、受け取った位置情報を近距離無線回路102及びアンテナ109を介して、外部表示デバイス200へ出力する。
一方、タッチパネル106から受け取った位置情報がマウス操作領域121の外を示す場合には、言い換えると、受け取った位置情報が受話操作領域122を示す場合には、制御部103は、受け取った位置情報を近距離無線回路102へ出力することなく、受け取った位置情報を無効にする。
【0027】
(マウスとして使用される場合に通知信号を受け取ったとき)
携帯電話機100がマウスとして使用される状態に設定されている場合において、検知部112から通知信号を受け取ると、制御部103は、受け取った通知信号の発生の原因となった事象の発生を表すメッセージと、マウス操作領域121を示す位置データとをタッチパネル106へ出力し、位置データにより示される領域に、メッセージを表示するように、タッチパネル106を制御する。ここで、メッセージの内容は、通話の着信があった場合には、「着信がありました」であり、電子メールの受信があった場合には、「受信がありました」であり、アラーム設定時刻が到来した場合には、「設定時刻が到来しました」である。
【0028】
また、携帯電話機100がマウスとして使用される状態に設定されている場合において、検知部112から通知信号を受信すると、制御部103は、受話操作領域122を示す位置データと、受話アイコンを表す表示データとをタッチパネル106へ出力し、位置データにより示される領域に、表示データを表示するように、タッチパネル106を制御する。
【0029】
ここで、通知信号の発生の原因となった事象が、通話の着信、電子メールの受信又はアラーム設定時刻の到来のいずれであっても、制御部103は、統一的に、受話アイコンを表す表示データを出力して、表示するように、タッチパネル106を制御する。なお、制御部103は、割込信号の発生の原因となった事象に応じて、異なるアイコンを表示するように、タッチパネル106を制御してもよい。
【0030】
(受話アイコンが受話操作領域122に表示されている場合)
受話アイコンが受話操作領域122に表示されている状態において、制御部103は、タッチパネル106から位置情報(x座標値及びy座標値)を受け取ると、上記に説明したようにして、受け取った位置情報がマウス操作領域121と受話操作領域122とのいずれを示すかを判断する。
【0031】
タッチパネル106から受け取った位置情報がマウス操作領域121内を示す場合には、制御部103は、上記に説明したようにして、受け取った位置情報を近距離無線回路102及びアンテナ109を介して、外部表示デバイス200へ出力する。
一方、タッチパネル106から受け取った位置情報が受話操作領域122内を示す場合には、制御部103は、利用者が通話の着信、電子メールの受信又はアラーム設定時刻の到来に応答するものとし、通知信号に応じて、音声処理部104、メール処理部113又はアラーム処理部111に対して、それぞれの処理を実行するように、制御する。
【0032】
(その他の制御)
制御部103は、その他の制御を行う。
(6)音声処理部104及びメール処理部113
音声処理部104は、通常の場合、つまり、携帯電話機100がポインティングデバイスであるマウスとして使用される状態に設定されていない場合において、通信回路101により受信された音声信号を復調してスピーカ105に対して音響信号として出力すると共に、マイク110より入力された音響信号に対応して電気信号に変換された音声信号を変調し、通信回路101により送信させる。
【0033】
一方、携帯電話機100がポインティングデバイスであるマウスとして使用される状態に設定されている場合において、利用者が受話アイコンに応答したときに、制御部103の制御により、音声処理部104は、通信回路101により受信された音声信号を復調してスピーカ105に対して音響信号として出力すると共に、マイク110より入力された音響信号に対応して電気信号に変換された音声信号を変調し、通信回路101により送信させる。
【0034】
メール処理部113は、通常の場合、つまり、携帯電話機100がポインティングデバイスであるマウスとして使用される状態に設定されていない場合において、利用者により電子メールの内容及び宛て先としてのメールアドレスの入力を受け付け、受け付けたメールアドレスを宛て先として、受け付けた電子メールを送信するように制御する。また、通信回路101から電子メールを受け取り、受け取った電子メールを表示するように、制御部103を介して、タッチパネル106に対して電子メールの内容を出力する。
【0035】
メール処理部113は、携帯電話機100がポインティングデバイスであるマウスとして使用される状態に設定されている場合において、利用者が受話アイコンに応答したときに、制御部103の制御により、通信回路101から電子メールを受け取り、受け取った電子メールを表示するように、制御部103を介して、タッチパネル106に対して電子メールの内容を出力する。
【0036】
(7)アンテナ109及び近距離無線回路102
アンテナ109は、外部表示デバイス200との間で、一例として、2.4GHzの周波数帯域を用いて電波による無線回線を介して無線信号を送受信する。近距離無線回路102は、アンテナ109により送受信される無線信号の周波数選択や周波数変換等を行う。アンテナ109及び近距離無線回路102は、制御部103から位置情報を受け取り、受け取った位置情報を外部表示デバイス200へ無線により送信する。
【0037】
なお、アンテナ109及び近距離無線回路102は、無線通信距離が数十cmのRFID(Radio Frequency IDentification)を用いるとしてもよい。
また、携帯電話機100は、アンテナ109及び近距離無線回路102に代えて、赤外線通信を行う赤外線通信部を備えるとしてもよい。赤外線通信部は、例えば、赤外線を利用した近距離データ通信のためIrDA (Infrared Data Association)規格を用いる。赤外線通信部は、制御部103から位置情報を受け取り、受け取った位置情報を外部表示デバイス200へ無線により送信する。
【0038】
(8)スピーカ105、マイク110及び操作部107
スピーカ105は、音声等の音響を出力する。マイク110は、音声等の音響を入力する。操作部107は、携帯電話機100をON又はOFFとするための電源キー、スピーカ105の音量を変化させるためのキーなどを含む。
2.携帯電話機100の動作
携帯電話機100の動作について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0039】
以下においては、制御部103の動作を中心として説明する。
制御部103は、携帯電話機100がポインティングデバイスであるマウスとして使用される状態に設定されているか否かを判断する(ステップS101)。
マウスとして使用される状態に設定されていない場合に(ステップS101でNo)、ステップS101へ戻って判断を繰り返す。
【0040】
マウスとして使用される状態に設定されている場合に(ステップS101でYes)、制御部103は、タッチパネル106から利用者の指先等の接触位置を示す位置情報(x座標値及びy座標値)を受け取る(ステップS102)。
次に、制御部103は、受け取った位置情報がマウス操作領域121と受話操作領域122とのいずれを示すかを判断する(ステップS103)。
【0041】
タッチパネル106から受け取った位置情報がマウス操作領域121内を示す場合には(ステップS103で「マウス操作領域内」)、制御部103は、受け取った位置情報を近距離無線回路102及びアンテナ109を介して、外部表示デバイス200へ出力する(ステップS104)。一方、タッチパネル106から受け取った位置情報がマウス操作領域121の外を示す場合には(ステップS103で「他」)、制御部103は、受け取った位置情報を近距離無線回路102へ出力することなく、受け取った位置情報を無効にする。
【0042】
検知部112から通知信号を受け取ると(ステップS105でYes)、制御部103は、受け取った通知信号の発生の原因となった事象の発生を表すメッセージと、受話アイコンとを表示するように、タッチパネル106を制御する(ステップS106)。次に、制御部103は、タッチパネル106から受け取った位置情報がマウス操作領域121と受話操作領域122とのいずれを示すかを判断し(ステップS107)、位置情報が受話操作領域122内を示す場合には(ステップS107でYes)、利用者が通話の着信、電子メールの受信又はアラーム設定時刻の到来に応答するものとし、通知信号に応じて、音声処理部104、メール処理部113又はアラーム処理部111に対して、それぞれの処理を実行するように、制御する(ステップS108)。
【0043】
次に、制御部103は、マウスとして使用される状態の設定が終了していない場合に(ステップS109でNo)、ステップS102へ戻って処理を繰り返す。マウスとして使用される状態の設定が終了している場合に(ステップS109でYes)、制御部103は、待ち受け状態に戻るように制御する。
ステップS105において、制御部103が、検知部112から通知信号を受け取っていない場合(ステップS105でNo)、制御部103は、ステップS102へ戻って処理を繰り返す。
【0044】
ステップS107において、位置情報が受話操作領域122外を示す場合には(ステップS107でNo)、制御部103は、利用者が通話の着信、電子メールの受信又はアラーム設定時刻の到来に応答しないものとして、ステップS102へ戻って処理を繰り返す。
次に、タッチパネル106の動作について説明する。
【0045】
タッチパネル106は、利用者が、タッチパッド部106bに指先等を接触させると、その接触位置を検出し、接触位置を示す位置情報(x座標値及びy座標値)を生成し(ステップS111)、生成した位置情報を制御部103へ出力する(ステップS112)。次に、ステップS111へ戻って処理を繰り返す。
なお、タッチパネル106によるステップS111〜S112の動作は、制御部103の動作とは、独立して行われる。
【0046】
(その他の変形例)
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)外部表示デバイス200は、パーソナルコンピュータに代表される情報処理装置であるとしてもよい。パーソナルコンピュータは、本体部とディスプレイ部とから構成される。携帯電話機100は、パーソナルコンピュータの本体部に対して位置情報を送信する。本体部は、位置情報を受け取り、受け取った位置情報に基づいて、ディスプレイ部に表示すべき画像内に、位置を示すアイコン(矢印形状を有するカーソル)を合成し、アイコンが合成された画像をディスプレイ部へ出力する。ディスプレイ部は、画像を表示する。
【0047】
また、外部表示デバイス200は、テレビ受像機であるとしてもよい。携帯電話機100は、テレビ受像機に対して位置情報を送信する。テレビ受像機は、位置情報を受け取り、受け取った位置情報に基づいて、表示すべき画像内に、位置を示すアイコン(矢印形状を有するカーソル)を合成し、アイコンが合成された画像を表示する。
また、外部表示デバイス200は、DVDに記録された映像等を再生するDVDプレーヤであるとしてもよい。DVDプレーヤには、テレビ受像機が接続されている。携帯電話機100は、DVDプレーヤに対して位置情報を送信する。DVDプレーヤは、位置情報を受け取り、受け取った位置情報に基づいて、テレビ受像機に表示すべき画像内に、位置を示すアイコン(矢印形状を有するカーソル)を合成し、アイコンが合成された画像をテレビ受像機へ出力する。テレビ受像機は、画像を表示する。
【0048】
(2)携帯電話機100は、アンテナ109及び近距離無線回路102に代えて、外部表示デバイス200との間でケーブルにより有線で接続され、位置情報をケーブルを介して、外部表示デバイス200へ送信するとしてもよい。
(3)上記の実施の形態では、検知部112から通知信号を受け取っていない状態において、タッチパネル106から受け取った位置情報が受話操作領域122を示す場合には、制御部103は、受け取った位置情報を近距離無線回路102へ出力することなく、受け取った位置情報を無効にしているが、これに限定されない。
【0049】
検知部112から通知信号を受け取っていない状態において、タッチパネル106から受け取った位置情報が受話操作領域122を示す場合には、制御部103は、受け取った位置情報を近距離無線回路102へ出力するとしてもよい。言い換えると、検知部112から通知信号を受け取っていない状態において、受話操作領域122における接触操作は、マウスの操作であるとみなし、位置情報を外部表示デバイス200へ送信するとしてもよい。
【0050】
(4)タッチパネル106は、マウス操作領域121にテンキーを表示し、タッチパッド部106bへの利用者の接触操作により、接触位置に表示されているキー表示に対応するキー情報を制御部103へ出力してもよい。
(5)携帯電話機100は、アラーム処理部111を備えていないとしてもよい。
(6)本発明の一態様は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよい。ここで、コンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0051】
また、本発明の一態様は、前記コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD―ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなど、に記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記コンピュータプログラムであるとしてもよい。
【0052】
また、本発明の一態様は、前記コンピュータプログラムを、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、上記の各装置は、マイクロプロセッサとメモリとを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
【0053】
また、前記プログラムを前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記プログラムを前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(7)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明にかかる通信端末は、タッチパネルから出力される位置情報が発生した事象に応答するための操作を受け付ける第2操作領域内を示す場合に、事象の発生が検知されたとき、前記通知信号に対応する動作をするよう制御するので、誤操作のないようにすることができ、外部表示デバイスの画面上の位置を指定する機能を有する通信端末として有用である。
【符号の説明】
【0055】
100 携帯電話機
101 通信回路
102 近距離無線回路
103 制御部
104 音声処理部
105 スピーカ
106 タッチパネル
107 操作部
108 アンテナ
109 アンテナ
110 マイク
111 アラーム処理部
112 検知部
113 メール処理部
200 外部表示デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部表示デバイスの画面上の位置を指定する機能を有する通信端末であって、
位置指定の操作を受け付けるための第1操作領域と、位置指定の操作中において、他の機能の発揮に伴って発生する事象に応答する操作を受け付けるための第2操作領域とを有し、利用者による接触操作を受け付け、接触位置を示す位置情報を出力するタッチパネルと、
前記事象の発生を検知して通知信号を出力する検知手段と、
前記位置情報が前記第1操作領域内を示すか又は第2操作領域内を示すかを判断し、前記位置情報が前記第1操作領域内を示す場合に、受け取った位置情報を出力し、前記位置情報が前記第2操作領域内を示し、かつ、前記通知信号を受け取った場合、前記通知信号に対応する処理を実行するよう制御する制御手段と、
前記位置情報を受け取り、受け取った前記位置情報を前記外部表示デバイスへ送信する送信手段と、
前記制御手段の制御により、前記通知信号に対応する処理を実行する処理手段と
を備えることを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記制御手段は、前記位置情報が前記第2操作領域内を示し、前記通知信号を受け取らなかった場合、前記位置情報を無効にする
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記事象は、通話の着信、電子メールの受信又は所定時刻の到来であり、
前記通知信号は、通話の着信を示す着信信号、電子メールの受信を示す受信信号又は所定時刻の到来を示すアラーム信号であり、
前記処理手段は、前記着信信号、前記受信信号又は前記アラーム信号に対応して、それぞれ、通話処理、電子メール処理又はアラーム処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項4】
前記制御手段は、受け取った前記位置情報が前記第2操作領域内を示し、前記通知信号を受け取った場合に、さらに、事象の発生を示すメッセージを出力し、
前記タッチパネルは、前記第1操作領域において、前記メッセージを表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項5】
外部表示デバイスの画面上の位置を指定する機能を有する通信端末で用いられる制御方法であって、
前記通信端末は、位置指定の操作を受け付けるための第1操作領域と、位置指定の操作中において、他の機能の発揮に伴って発生する事象に応答する操作を受け付けるための第2操作領域とを有し、利用者による接触操作を受け付け、接触位置を示す位置情報を出力するタッチパネルを備え、
前記制御方法は、
前記事象の発生を検知して通知信号を出力する検知ステップと、
前記位置情報が前記第1操作領域内を示すか又は第2操作領域内を示すかを判断し、前記位置情報が前記第1操作領域内を示す場合に、受け取った位置情報を出力し、前記位置情報が前記第2操作領域内を示し、かつ、前記通知信号を受け取った場合、前記通知信号に対応する処理を実行するよう制御する制御ステップと、
前記位置情報を受け取り、受け取った前記位置情報を前記外部表示デバイスへ送信する送信ステップと、
前記制御ステップの制御により、前記通知信号に対応する処理を実行する処理ステップと
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項6】
外部表示デバイスの画面上の位置を指定する機能を有する通信端末で用いられるコンピュータプログラムであって、
前記通信端末は、位置指定の操作を受け付けるための第1操作領域と、位置指定の操作中において、他の機能の発揮に伴って発生する事象に応答する操作を受け付けるための第2操作領域とを有し、利用者による接触操作を受け付け、接触位置を示す位置情報を出力するタッチパネルを備え、
前記コンピュータプログラムは、
コンピュータである前記通信端末に、
前記事象の発生を検知して通知信号を出力する検知ステップと、
前記位置情報が前記第1操作領域内を示すか又は第2操作領域内を示すかを判断し、前記位置情報が前記第1操作領域内を示す場合に、受け取った位置情報を出力し、前記位置情報が前記第2操作領域内を示し、かつ、前記通知信号を受け取った場合、前記通知信号に対応する処理を実行するよう制御する制御ステップと、
前記位置情報を受け取り、受け取った前記位置情報を前記外部表示デバイスへ送信する送信ステップと、
前記制御ステップの制御により、前記通知信号に対応する処理を実行する処理ステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−257156(P2012−257156A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130154(P2011−130154)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】