説明

通信装置、サーバ装置、プログラム、及び通信方法

【課題】通信装置において、リアルタイムで他の通信装置における使用周波数等の設定状態を把握することができるようにする。
【解決手段】無線電波で受信を行う受信手段、及び所定のサーバ装置との間で双方向通信を行う通信手段を備えた通信装置において、前記受信を行うための設定状態に関する状態情報を、前記通信手段を介してサーバ装置に送信する情報送信手段(S22、S26、S31)と、サーバ装置が他の通信装置から受信した前記状態情報に基づいて配信する所定の配信情報を前記通信手段を介して受信する情報受信手段(S23、S27、S28、S32、S35、S39)と、情報受信手段により受信した配信情報に基づく表示を行う表示手段(S24、S29、S33、S36、40)とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電波で受信を行う受信手段、及びサーバ装置との間で双方向通信を行う通信手段を備えた通信装置、該サーバ装置、該通信装置及びサーバ装置における各手段としてコンピュータを機能させるプログラム、並びに該通信装置及びサーバ装置における通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アマチュア無線の世界では、アマチュア局が少ない地域、島、国などのアマチュア局が珍しい局とされ、かかるアマチュア局との交信を、多くのアマチュア局が望んでいる。そこで、インターネットを利用したウェブクラスタや無線パケット通信を用いたパケットクラスタなどの珍しい局の情報共有システムが運用されている。かかる情報共システムは、無線局の周波数、電波形式などの運用情報の共有に特化されており、珍しい局との交信が成功したアマチュア局から任意に提供される運用情報の共有を可能にしている。かかる情報共有システムにより運用情報を閲覧し、希望する珍しい局の情報があれば、その情報に基づいて無線機にその局の周波数、電波形式などを設定し、交信を開始するための準備を行うことができる。
【0003】
図7はパケットクラスタの一例を示す。このパケットクラスタは、親局71及び子局72a〜72d間を無線パケット通信網73により接続し、情報交換ネットワークとして構成される。この構成において、たとえば、子局72dが珍しい相手局74との交信を成功させ、その後、交信時の周波数や電波形式などの運用情報を親局71に送信したとすると、親局71はその運用情報を、すべての子局72a〜72dに対して配信する。このようにして、各子局72a〜72dにより任意に提供される珍しい局の運用情報を、親局71を介し、各子局72a〜72d間で共有することができる。
【0004】
一方、珍しい局との交信を行うための最も原始的な方法として、誰よりも早くそのような珍しい局を発見するために、無線機の受信周波数を上下させ、時間を掛けてそのような珍しい局を探し続ける方法もある。
【0005】
そのほか、業界紙やウェブサイトへの掲載によりアナウンスされる無線運用予定を利用する方法もある。
【0006】
なお、無線パケット通信を行う技術に関しては、たとえば、特許文献1に記載されたものが知られている。この技術においては、設定されたパケットパスにより指定された各中継局を介してパケット通信を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−148251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のパケットクラスタ等により珍しい局の情報を共有する場合、ひとたび珍しい局が送信を開始し、その情報が共有化されると、世界中のアマチュア局が次第にその珍しい局の周波数に集中し、その珍しい局と交信するために何度も各自のコールサインを送信し、交信する権利の奪い合いが始まる。このように、珍しい局に群がっている状況をパイルアップ(Pile Up:幾重にも重なる)という。パイルアップが生じてから交信に参加しようとしても、なかなかその珍しい局にコールサインを聞き取ってもらえず、交信を行うことができるようになるまでに長時間を要する場合や、交信ができない場合がある。
【0009】
また、このような従来の情報共有システムによれば、珍しい局との交信が成功したアマチュア局が、その後、任意にその情報の提供を行うことを前提としているため、情報の正確さが低く、また、情報の提供に遅延が発生する。また、リアルタイムで他の無線局における通信周波数等の設定を知ることはできない。さらに、交信が成功した局はどの周波数で送信を行ったのかということをリアルタイムで知ることはできない。
【0010】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、通信装置において、リアルタイムで他の通信装置における使用周波数等の設定状態を把握することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、第1の発明に係る通信装置は、無線電波で受信を行う受信手段、及び所定のサーバ装置との間で双方向通信を行う通信手段を備えた通信装置であって、前記受信を行うための設定状態に関する状態情報を、前記通信手段を介して前記サーバ装置に送信する情報送信手段と、前記サーバ装置が他の通信装置から受信した前記状態情報に基づいて配信する所定の配信情報を前記通信手段を介して受信する情報受信手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
第2の発明に係る通信装置は、第1発明において、前記情報送信手段は、前記サーバへのログインを行うログイン手段を備え、ログイン時にその時点での前記状態情報を前記サーバ装置に送信するとともに、その後のログアウト前に、前記状態情報に変更が生じたときに、変更後の前記状態情報を前記サーバ装置に送信するものであることを特徴とする。
【0013】
第3の発明に係る通信装置は、第1又は第2発明において、前記配信情報は、所定の時間間隔で常時配信される基本情報と、通信装置からの要求に応じ、該要求において指示された内容のものとして配信される個別情報とを含み、前記通信装置は、ユーザの指示に応じ、前記個別情報の配信の要求を前記サーバ装置に対して送信する要求送信手段を有することを特徴とする。
【0014】
第4の発明に係る通信装置は、第1〜第3のいずれかの発明において、無線電波で送信を行う送信手段を備え、前記状態情報は、前記受信手段及び送信手段における送受信を行うための設定状態に関する情報であることを特徴とする。
【0015】
第5の発明に係る通信装置は、第1〜第4のいずれかの発明において、前記情報受信手段により受信した前記配信情報に基づく表示を行う表示手段を有することを特徴とする。
【0016】
第6の発明に係る通信装置は、第1〜第5のいずれかの発明において、前記表示手段により表示された内容中に、使用する無線電波を選択するための設定状態に関する電波選択情報が存在する場合、いずれかの電波選択情報がユーザにより指示さたとき、通信装置の設定状態を、該電波選択情報に対応する設定状態とする設定手段を有することを特徴とする。
【0017】
第7の発明に係るサーバ装置は、無線電波で受信を行う複数の通信装置との間で双方向通信を行う通信手段を備えたサーバ装置であって、各通信装置から、前記受信を行うための設定状態に関する状態情報を受信する情報受信手段と、各通信装置から受信した前記状態情報に基づく所定の配信情報を各通信装置に配信する配信手段とを具備することを特徴とする。
【0018】
第8の発明に係るサーバ装置は、第7発明において、前記通信装置は第2発明の通信装置であり、前記サーバ装置は前記通信装置からのログイン要求を受け入れるログイン受入れ手段を備え、前記配信情報は、ログイン中の各通信装置についての最新の前記状態情報に基づいて所定の間隔で常に配信される基本情報と、各通信装置からの要求に応じ、該要求において指示された内容のものとして配信される個別情報とを含むことを特徴とする。
【0019】
第9の発明に係る装置は、第1〜第8のいずれかの発明において、前記状態情報は、前記無線電波を選択するための設定状態に関する電波選択情報であることを特徴とする。
【0020】
第10の発明に係るプログラムは、第1〜第9のいずれかの発明に係る装置における各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0021】
第11の発明に係る通信方法は、無線電波で受信を行う受信手段、及び所定のサーバとの間で双方向通信を行う通信手段を備えた通信装置における通信方法であって、前記受信手段における前記受信を行うための設定状態に関する状態情報を、前記通信手段を介して前記サーバに送信する情報送信工程と、前記サーバが他の通信装置から受信した前記状態情報に基づいて配信する所定の配信情報を前記通信手段を介して受信する情報受信工程とを具備することを特徴とする。
【0022】
第12の発明に係る通信方法は、無線電波で受信を行う複数の通信装置との間で双方向通信を行う通信手段を備えたサーバ装置における通信方法であって、各通信装置から、前記受信を行うための設定状態に関する状態情報を受信する情報受信工程と、各通信装置から受信した前記状態情報に基づく所定の配信情報を各通信装置に配信する配信工程とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、通信装置において、リアルタイムで他の通信装置における使用周波数等の設定状態を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
【図2】図1のシステムにおける2つの無線機とサーバとの間で行われる通信の一例を示す図である。
【図3】図1のシステムの無線機における個別情報に基づく表示例を示す図である。
【図4】図1のシステムの無線機において表示される待機無線局リストの一例を示す図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係るシステムを示す図である。
【図6】図5のシステムの各クライアント装置及びサーバにより行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】従来のパケットクラスタの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステムの構成を示す。同図に示すように、このシステムは、複数の無線機11と、インタネット上の所定のサーバ12とをインターネット網13を介して接続することにより構成される。各無線機11とサーバ12との間では、インターネット網13を介して双方向リアルタイム通信を行うことができるようになっている。
【0026】
各無線機11は、サーバ12との間で双方向通信を行うための情報通信手段、各無線機11相互間において無線通信を行うための無線通信手段、該無線通信を行うための設定状態に関する通信状態情報を前記情報通信手段によりインターネット網13を介してサーバ12に送信する情報送信手段、インターネット網13を介してサーバ12から配信される所定の配信情報を前記情報通信手段により受信する情報受信手段、受信した配信情報に基づいて表示を行う情報表示手段、ユーザ操作を受け入れる操作手段、サーバ12へのログインを行うためのログイン手段などを備える。情報通信手段は、インターネット網13に対し、近傍の無線アクセスポイントを介して接続することができるようになっている。ユーザ操作にはボタン操作やマウス操作が含まれる。各無線機11はまた、これらの各手段として、無線機11を構成するコンピュータを機能させるプログラムを記憶している。
【0027】
通信状態情報としては、たとえば、電波出力の設定状態に関する情報や、通信に使用する電波を選択するための設定状態に関する電波選択情報が該当する。電波選択情報としては、たとえば、通信に使用する電波の周波数や電波形式などの設定状態に関する情報が該当する。通信状態情報には、それを送信した無線機11の無線局のコールサインが含まれる。各無線機11は、サーバ12へのログイン時、及び通信状態情報に変化が生じたときに、その時点での通信状態情報をサーバ12に送信する。配信情報とは、各無線機11からの通信状態情報に基づいてサーバ12が各無線機11に配信する情報である。配信情報としては、常時サーバ12から各無線機11に配信される基本情報、及び各無線機11からの個別の要求に応じて配信される個別情報が該当する。
【0028】
基本情報としては、たとえば、サーバ12にログイン中の各無線機11についてのコールサイン、通信に使用している周波数、通信に使用している電波形式、及び通信に際しての電波出力をリストアップした無線局リストが該当する。個別情報としては、各無線機11からの通信状態情報に基づいて得られる種々の情報が該当する。ログイン中の各無線機11に関する情報に限らず、蓄積してある過去の通信状態情報に基づいて得られる情報であってもよい。たとえば、所定の各インターバル時点においてログイン中の所定受信周波数の無線機11について、その数の所定期間内における推移を示す情報であってもよい。各無線機11はこの情報の配信を受けて、該推移を示すグラフを表示することができる。
【0029】
サーバ12は、各無線機11からの通信状態情報を受信する情報受信手段、受信した通信状態情報に基づいて基本情報を作成する手段、作成した基本情報をログイン中の各無線機11に配信する基本情報配信手段、各無線機11からの要求に応じ、要求された個別情報を、受信した通信状態情報に基づいて作成する手段、作成した個別情報を、その要求を行った無線機11に配信する個別情報配信手段、各無線機11からのユーザ登録を受け入れる手段、各無線機11からのログイン要求を受け入れる手段などを有する。ユーザ登録された無線機11は、サーバ12にログインし、サーバ12との間でリアルタイム双方向通信を行い、通信状態情報の提供を行ったり、配信情報の提供を受けたりすることができる。サーバ12はまた、これらの各手段として、サーバ12を構成するコンピュータを機能させるプログラムを記憶している。
【0030】
この構成において、各無線機11は、電源が投入されると、インターネット網13を介して、サーバ12にログインし、接続を確立した状態となる。ログインに際しては、必要に応じ、ユーザ登録時に設定されたユーザID及びパスワードがユーザにより入力され、サーバ12に送信される。各無線機11はこのログインを行った状態で運用される。ログインに際し、各無線機11は、通信状態情報をサーバ12に送信する。また、ログインの後、ログアウトするまでの間に、通信状態情報に変更が生じた場合にも、変更後の通信状態情報をサーバ12に送信する。サーバ12は、所定の時間間隔で到来する各時点において、ログイン中の各無線機11からのログイン時や変更発生時に送信された通信状態情報に基づき、ログイン中の各無線機11に対し、無線局リスト等の基本情報を、常時リアルタイムで配信する。また、ユーザの指示に基づいて各無線機11から個別情報の送信要求があれば、要求された個別情報を、ログイン中の各無線機11から送信された通信状態情報や、それまでに蓄積された通信状態情報に基づいて作成し、該要求を発した無線機11に配信する。
【0031】
各無線機11は、サーバ12から配信される基本情報や個別情報に基づき、その内容を表示部において表示することができる。その際、基本情報や個別情報のうち、ユーザが要求した情報について、指示された形態で、テキスト表示やグラフィック表示を行うことができる。たとえば、無線局リストの表示に際し、ユーザの指示に応じ、コールサインの項目によりソートした形で表示したり、表示される無線局リストの範囲を周波数や電波形式で限定した形で表示したりすることができる。無線機11の表示部に表示された無線局リスト中の任意の周波数が、ボタン操作やマウス操作により指示された場合、無線機11は通信周波数の設定を、指示された周波数に直ちに変更することができる。
【0032】
図2は、無線機11のうちの2つの無線機11a(A局)及び無線機11b(B局)とサーバ12との間で行われる通信の一例を示す。ユーザの指示に応じて無線機11aがサーバ12に対し、ログイン要求を送信するとともに(S21)、自身の通信状態情報を送信すると(S22)、これに応じ、サーバ12は無線機11aに対し、基本情報としての無線局リストの配信を開始する(S23)。無線局リストは、その配信時点においてサーバ11にログイン中の各無線機11から送られた通信状態情報に基づいて作成されるものであり、無線局リストには、ログイン中の各無線機11についてのコールサインや、使用周波数等の情報が含まれる。無線機11aは、配信される無線局リストに基づき、その表示部において、ユーザの指示に応じた情報を表示することができる(S24)。
【0033】
無線機11bも、同様にユーザ指示に基づいてログイン要求を行い(S25)、自身の通信状態情報を送信することにより(S26)、無線局リストの配信を受けることができる(S27)。無線機11bがその通信状態情報を送信したとき(S26)、その情報が無線機11aに配信される無線局リストにも反映され(S28)、無線機11aの表示部における表示にも反映される(S29)。これにより受信機11aのユーザは、無線機11bがログインしたことや、無線機11bの使用周波数などを知ることができる。
【0034】
その後、無線機11bにおいて使用周波数が変更されると(S30)、無線機11bはこの変更を反映した通信状態情報をサーバ12に送信する(S31)。これに基づいて、サーバ12は無線局リストを更新する。したがって、その後にサーバ12から送られる(S32)無線局リストを受信した無線機11aが、該無線局リストに基づく表示を行うと(S33)、無線機11aのユーザは、無線機11bが使用周波数を変更したこと知ることができる。
【0035】
無線機11aがサーバ12に対し、個別情報として、周波数分布情報を要求すると(S34)、これに応じてサーバ12は、該周波数分布情報を無線機11aに配信する(S35)。周波数分布情報とは、ログイン中の無線機11についての使用周波数毎の局数(無線機11の数)に関する情報である。無線機11aは配信された周波数分布情報に基づいて、図3に示すようなヒストグラムを表示することができる(S36)。図中の横軸は周波数、縦軸は局数である。
【0036】
無線機11bがサーバ12にログオフ要求を送信すると(S37)、サーバ12は無線機11bのログオフを受け入れ(S38)、無線機11b及びサーバ12間の接続は解除される。この後に送信される(S39)無線局リストからは無線機11bに関する情報が削除されるので、その無線局リストの配信を受けた無線機11aが、該無線局リストに基づいて表示を行ったとき(S40)、無線機11aのユーザは、無線機11bがログオフしたことを知ることができる。
【0037】
図4は無線機11の表示部において表示される特定周波数における待機無線局リストの一例を示す。この待機無線局リストは、表示部において表示されている図3のヒストグラムにおける14.195[MHz]の周波数についての柱状図形31が、キー操作やマウス操作により指示された場合に表示される。すなわち、このリストにおいては、ログイン中の無線機11のうちの使用周波数が14.195[MHz]である無線機11の一覧が示されている。
【0038】
図4中の「CALL」欄は各無線機11のコールサインを表示する欄、「FREQ」欄は使用している周波数を表示する欄、「MODE」欄は使用している電波形式を表示する欄、そして「Power」欄は電波出力を表示する欄である。ユーザは、このような各欄の内容により構成される各無線機11のレコードのうち、所望のコールサインのレコードを指示することにより、使用周波数の設定をそのレコードの周波数に変更させることができる。
【0039】
本実施形態によれば、各無線機11をサーバ12へのログイン状態で運用し、ログイン中の各無線機11における通信状態情報をサーバ12に集積し、これに基づいて、サーバ12から各無線機11に対してリアルタイムで基本情報や個別情報を配信するようにしたため、ログイン中の各無線機11のユーザは、交信したい無線局(無線機11)が現在存在するのかどうかを知ることができる。また、そのような相手局の待機周波数を知ることができる。また、自局が交信を望まれる珍しい局の側になった場合、自局の待機周波数などの運用状況を他の無線局に知らせることができる。また、図3のようなヒストグラムを表示させることにより、どの周波数において活発に各局が運用されているのかをリアルタイムで知ることができる。また、交信を望む相手局の存否や周波数などを容易に知ることができるので、不要な電波の送信を減らし、周波数利用における効率性の向上や、エネルギーの削減にも貢献することができる。
【0040】
図5は本発明の別の実施形態に係るシステムを示す。このシステムにおいては、通信装置として、無線機ではなく、テレビ等を用いている。すなわちこのシステムは、各種のテレビ51やハードディスクレコーダ52(以下、「クライアント装置」という。)と、インターネット上の所定のサーバ53とをインターネット網54を介して接続することにより構成される。各クライアントとインターネット網54との間は、無線又は有線により接続される。各クライアント装置と、サーバ53との間では、インターネット網13を介して双方向リアルタイム通信を行うことができるようになっている。
【0041】
各クライアント装置は、地上デジタルテレビ放送やBSデジタルテレビ放送を受信する手段、該受信を行うための設定状態に関する受信状態情報を、インターネット網54を介してサーバ53に送信する情報送信手段、サーバ53との間で双方向通信を行う情報通信手段、サーバ53から配信される所定の配信情報を、前記情報通信手段を介して受信する情報受信手段、受信した配信情報に基づいて表示を行う情報表示手段、ユーザ操作を受け入れる操作手段、サーバ53へのログインを行うためのログイン手段などを備える。ユーザ操作にはボタン操作やマウス操作が含まれる。
【0042】
受信状態情報としては、たとえば、受信中のチャンネルや、受信中の放送の放送種別(地上デジタル、BSデジタル等)に関する情報が該当する。各クライアント装置は、サーバ53へのログイン時や、受信状態情報に変化が生じた場合に、受信状態情報をサーバ53に送信する。配信情報とは、各クライアント装置からの受信状態情報に基づいて取得され、各クライアント装置に配信される情報である。配信情報としては、常時サーバ53から各クライアント装置に配信される基本情報、及び各クライアント装置からの個別の要求に応じて配信される個別情報が存在する。
【0043】
基本情報としては、たとえば、サーバ53にログイン中の各クライアント装置が受信しているチャンネル及び放送種別毎のクライアント装置の数が該当する。個別情報としては各クライアント装置からの受信状態情報に基づいて得られる種々の情報が該当する。ログイン中のクライアント装置に関する情報に限らず、蓄積してある過去の受信状態情報に基づいて得られる情報であってもよい。たとえば所定期間における所定チャンネルを受信しているクライアント装置の数の推移といった情報であってもよい。各クライアント装置はこの情報の配信を受けて、該推移を示すグラフを表示することができる。また、現在放送中ではない特定の番組の視聴率や、視聴中の番組の前回の視聴率であってもよい。
【0044】
サーバ53は、各クライアント装置からの受信状態情報を受信する手段、受信した受信状態情報に基づいて基本情報を作成する手段、作成した基本情報をログイン中の各クライアント装置に配信する手段、各クライアント装置からの要求に応じ、要求された個別情報を、受信した受信状態情報に基づいて作成する手段、作成した個別情報を、その要求を行ったクライアント装置に配信する手段、各クライアント装置からのユーザ登録を受け入れる手段、各クライアント装置からのログイン要求を受け入れる手段などを有する。ユーザ登録されたクライアント装置は、サーバ53にログインし、サーバ53との間でリアルタイム双方向通信を行い、受信状態情報の提供を行ったり、配信情報の提供を受けたりすることができる。
【0045】
図6(a)は各クライアント装置により行われる処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、放送の受信を開始した場合に、クライアント装置の制御部により、所定のプログラムに従って行われる。処理を開始すると、制御部は、まず、ステップ61において、サーバ53にログインし、サーバ53との通信を確立する。次に、ステップ62において、受信状態情報をサーバ53に送信する。受信状態情報には、受信中のチャンネル等の情報のほか、その情報を送信するクライアント装置の識別情報も含まれる。次に、ステップ63において、サーバ53からの基本情報の受信を開始する。この後、各時点での基本情報が、所定の間隔で継続的にサーバ53から送られてくることになる。基本情報には、各放送チャンネル毎の各時点での視聴者数(ログインしているクライアント装置の数)や視聴率に関する情報が含まれる。
【0046】
次に、ステップ70において放送の受信が終了したと判定されるまで、ステップ64、66、及び68において、受信状態情報における変動の有無、基本情報における所定の変動の有無、及び個別情報の要求の有無を監視する。
【0047】
この間、ステップ64において、受信チャンネルの変更等により受信状態情報に変動があったと判定した場合には、ステップ65において、変動後の受信状態情報をサーバ53に送信する。また、ステップ66において、基本情報に所定の変動あったと判定した場合には、ステップ67において、基本情報に基づく表示内容を更新する。所定の変動としてはたとえば、視聴率が1[%]変動したことや、視聴者数が10人増減した場合が該当する。ステップ68において個別情報の要求があったと判定した場合には、ステップ69において、要求された個別情報をサーバ53から取得し、その内容を表示する。ステップ70において放送の受信が終了したと判定した場合には、ステップ71においてサーバ53からログオフし、図6(a)の処理を終了する。
【0048】
図6(b)はサーバ53における処理の一例を示すフローチャートである。この処理は所定のプログラムに従い、サーバ53のCPUによって行われる。処理を開始すると、サーバ53のCPUは、ステップ91において処理を終了すると判定するまで、ステップ81、83、85、87、及び89において、ログインの有無、ログオフの有無、受信状態情報の受信の有無、個別情報の要求の有無、及び基本情報の送信タイミングの到来の有無を監視する。
【0049】
この間、ステップ81においてログインがあったと判定した場合には、ログインしたクライアント装置から送られてくる受信状態情報に基づき、基本情報を更新する。たとえば受信状態情報に含まれる視聴中のチャンネルに基づき、基本情報における該チャンネルの視聴者数をインクリメントしたり、視聴率を更新したりする。ステップ83においてログオフがあったと判定した場合には、ステップ84において基本情報を更新する。すなわちログオフしたクライアントが視聴中であった放送の視聴者数をデクリメントしたり、その放送の視聴率を計算し直したりする。
【0050】
ステップ85において受信状態情報の受信があったと判定した場合には、ステップ86において、基本情報の更新を行う。すなわち、該受信状態情報に基づき、基本情報において、該受信状態情報を送信したクライアント装置が受信していたチャンネルの視聴者数をデクリメントし、そのクライアント装置が新たに受信を開始したチャンネルの視聴者数をインクリメントする等の処理を行う。なお、ステップ85において受信の有無の判定対象となる受信状態情報は、図6(a)のステップ65において送信されるものである。ステップ87において個別情報の要求があったと判定した場合には、要求された個別情報を、要求を送信したクライアント装置に配信する。ステップ89において基本情報を送信するタイミングであると判定した場合には、ステップ90において、現状の基本情報を、ログイン中の各クライアント装置に配信する。ステップ91において処理を終了すると判定した場合には図6(b)の処理を終了する。
【0051】
本実施形態によれば、視聴中のチャンネルに関する情報等を含む受信状態情報を各クライアント装置からサーバ53に集積し、集積した受信状態情報に基づいて得られる基本情報や、要求された個別情報をリアルタイムで各クライアント装置に配信し、各クライアント装置において表示するようにしたため、ユーザは視聴中の番組や他の番組の視聴者数や視聴率に基づいて人気の程度などを把握し、視聴番組の選択等に役立てることができる。また、従来はビデオリサーチ社の統計発表がなければ知ることができない視聴率等の情報を容易に、かつリアルタイムで取得することができる。
【0052】
なお、本発明は上述実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においては、本発明を、無線機による通信や、テレビによる受信を行う場合に適用する例について説明したが、この代わりに、ラジオ受信機によりラジオ放送を受信する場合に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0053】
11:無線機、12,53:サーバ、13,54:インターネット網、31:柱状図形、51:テレビ、52:ハードディスクレコーダ、71:親局、72:子局、73:無線パケット通信網、74相手局。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電波で受信を行う受信手段、及び所定のサーバ装置との間で双方向通信を行う通信手段を備えた通信装置であって、
前記受信を行うための設定状態に関する状態情報を、前記通信手段を介して前記サーバ装置に送信する情報送信手段と、
前記サーバ装置が他の通信装置から受信した前記状態情報に基づいて配信する所定の配信情報を前記通信手段を介して受信する情報受信手段とを具備することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記情報送信手段は、前記サーバへのログインを行うログイン手段を備え、ログイン時にその時点での前記状態情報を前記サーバ装置に送信するとともに、その後、ログアウト前に、前記状態情報に変更が生じたときに、変更後の前記状態情報を前記サーバ装置に送信するものであることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記配信情報は、所定の時間間隔で常時配信される基本情報と、通信装置からの要求に応じ、該要求において指示された内容のものとして配信される個別情報とを含み、
前記通信装置は、ユーザの指示に応じ、前記個別情報の配信の要求を前記サーバ装置に対して送信する要求送信手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
無線電波で送信を行う送信手段を備え、
前記状態情報は、前記受信手段及び送信手段における送受信を行うための設定状態に関する情報であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記情報受信手段により受信した前記配信情報に基づく表示を行う表示手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記表示手段により表示された内容中に、使用する無線電波を選択するための設定状態に関する電波選択情報が存在する場合において、いずれかの電波選択情報がユーザにより指示さたとき、通信装置の設定状態を、該電波選択情報に対応する設定状態とする設定手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
無線電波で受信を行う複数の通信装置との間で双方向通信を行う通信手段を備えたサーバ装置であって、
各通信装置から、前記受信を行うための設定状態に関する状態情報を受信する情報受信手段と、
各通信装置から受信した前記状態情報に基づく所定の配信情報を各通信装置に配信する配信手段とを具備することを特徴とするサーバ装置。
【請求項8】
前記通信装置は請求項2の通信装置であり、
前記サーバ装置は前記通信装置からのログイン要求を受け入れるログイン受入れ手段を備え、
前記配信情報は、ログイン中の各通信装置についての最新の前記状態情報に基づいて所定の間隔で常に配信される基本情報と、各通信装置からの要求に応じ、該要求において指示された内容のものとして配信される個別情報とを含むことを特徴とする請求項7に記載のサーバ装置。
【請求項9】
前記状態情報は、前記無線電波を選択するための設定状態に関する電波選択情報であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかの装置における各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
無線電波で受信を行う受信手段、及び所定のサーバとの間で双方向通信を行う通信手段を備えた通信装置における通信方法であって、
前記受信手段における前記受信を行うための設定状態に関する状態情報を、前記通信手段を介して前記サーバに送信する情報送信工程と、
前記サーバが他の通信装置から受信した前記状態情報に基づいて配信する所定の配信情報を前記通信手段を介して受信する情報受信工程とを具備することを特徴とする通信方法。
【請求項12】
無線電波で受信を行う複数の通信装置との間で双方向通信を行う通信手段を備えたサーバ装置における通信方法であって、
各通信装置から、前記受信を行うための設定状態に関する状態情報を受信する情報受信工程と、
各通信装置から受信した前記状態情報に基づく所定の配信情報を各通信装置に配信する配信工程とを具備することを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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