説明

通信装置、通信システム、通信方法、及び通信プログラム

【課題】親機検出処理の期間における消費電流を小さくすることが可能な通信装置等を提供する。
【解決手段】本通信装置は、子機として動作する通信装置であって、他の通信装置との間で信号を通信する無線部210と、無線部210により受信された信号中に含まれるUWパターンを少なくとも用いて、親機10を検出するための親機検出処理を行う親機検出部220と、親機検出部220による親機検出処理の結果に基づいて、UWパターンの前に存在するプリアンブルパターンのうち、UWパターンとともに親機検出処理に用いるプリアンブルパターンのビット数を制御する制御部230と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システム、通信方法、及び無線通信プログラム、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な通信方式を使用した通信が行われている。1つの通信方式として、複数の通信装置が同一の周波数を短時間ずつ交代で通信を行うTDMA(Time Division Multiple Access)方式が知られている。
【0003】
TDMA方式では、同じ周波数帯の電波を時間軸で分割し、分割された各時間(スロット)を複数の通信装置に割り当て、多重化する。各スロット間には、送信タイミングのずれなどにより各通信装置からの送信が重なることを防ぐため、ガードタイムと呼ばれる隙間が設けられる。TDMA方式を採用する通信装置は、スロットとガードタイムとが所定数含まれるフレームを1つの単位として、他の通信装置との間で通信を行う。
【0004】
TDMA方式では、複数の通信装置間で同一の時間を認識する必要があるので、各通信装置間で同期をとる必要がある。従来、複数の通信装置間で同期をとるための技術として、1スロット中の、同期データとは異なる他のデータを送信するための区間に、送信対象のデータがないとき、通常この期間に送信され得るデータの中には存在しないパターンの同期データを送信する送信装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、バーストの変調方式を示す受信変調方式情報又はこの一部をその前に位置する同期ワードの一部として利用するフレーム同期回路が知られている(例えば、特許文献2参照)。時分割送受信通信方式を用いた無線通信装置において、同期確立時のチャンネルコントロールデータを連続して送らずダミーデータと交互に送る誤同期防止アルゴリズムが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−23203号公報
【特許文献2】特開平9−307541号公報
【特許文献3】特開2003−78471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
TDMA方式の通信を行う通信装置の1つに、家庭内で主に使用されるコードレス電話装置がある。コードレス電話装置のシステムでは、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunication)と呼ばれるデジタルコードレス電話規格(ETSI:European Telecommunications Standards Institute)により、親機及び子機間で通信を行う。
【0007】
また、親機及び子機間で通信を開始する前に、親機及び子機はあらかじめ登録処理を行う。登録処理では、親機及び子機間で相互に識別IDを交換し、その識別IDを保持しておく。また、親機及び子機間で通信を開始する際に、子機は、親機が通信回線上に送信する制御データが伝送される周波数を検索(サーチ)する。この周波数は複数存在するので、子機は、例えば周波数が低い順に(例えば周波数F0→F1→F2→F3→F4の順に)、その周波数に親機の制御データが存在しないか検出する(親機検出処理)。そして、子機は、親機検出処理により検出された親機の識別IDを参照して、登録処理が行われた親機を認識することができる。親機の識別IDが異なる場合には、再度親機検出処理を行う。
【0008】
親機検出処理が完了するまでの時間(同期開始するまでの時間に相当)が短縮されると、親機及び子機間での消費電流が小さく済むが、以下のような状況により、消費電流が制御データ大きくなってしまう場合がある。
【0009】
図16は、子機による親機検出処理の第1例を示す図である。図16に示す例では、子機Sと親機Mとの間で登録処理が行われており、親機Mが送信する制御データが伝送される周波数(制御CH)が周波数F2の場合を示している。図16において、子機Sはまず周波数F0から親機検出処理のためのサーチを開始し、周波数F0の次の周波数F1において、親機Mの制御データに近い信号(例えばノイズ)が偶発的に検出される。子機Sはこれが正規の親機Mの制御データであるか否かを見極める誤り検出処理を行い、このデータが正当な親機の制御データではないと判断し、周波数F1において再度親機検出処理を開始する。この場合、誤りと判断する処理の間はサーチを中断するので、正規の親機M1を検出できるまでの時間が延び、このため消費電流が大きくなってしまう。
【0010】
図17は、子機による親機検出処理の第2例を示す図である。図17に示す例では、子機Sは親機M1との間で登録処理が行われており、親機M1は周波数F2において制御データを送信する場合を示している。図17の例でも、子機Sはまず周波数F0から親機検出処理のためのサーチを開始する。周波数F0の次の周波数F1において、登録処理が行われた親機M1とは別の親機M2の制御データが偶発的に検出される。子機Sは受信した制御データの識別IDのチェックを行い、このデータが自身の親である親機M1の制御データでは無いと判断される。誤りと判断した後は周波数F1において再度親機検出処理を開始する。この場合も誤りと判断できるまでの処理の間はサーチを中断し、誤りと判断されると周波数F1において再度親機検出処理を開始する。このため、正規の親機M1を検出できるまでの時間が延び、消費電流が大きくなってしまう。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、親機検出処理の期間における消費電流を小さくすることが可能な通信装置、通信システム、通信方法、および通信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の通信装置は、子機として動作する通信装置であって、他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する通信部と、前記通信部により受信された信号に含まれる同期パターンを少なくとも用いて、親機として動作する通信装置を検出するための親機検出処理を行う親機検出部と、前記親機検出部による前記親機検出処理の結果に基づいて、親機から受信した信号中の前記同期パターンの前に存在する信号パターンのうち、前記同期パターンとともに前記親機検出処理に用いる前記信号パターンのビット数を制御する制御部と、を備える。
【0013】
この構成によれば、親機検出処理の結果を上記信号パターンのビット数に反映することで、親機検出処理の期間における消費電流を小さくすることが可能である。
【0014】
本発明の通信装置は、前記制御部が、前記親機検出部により前記親機として動作する通信装置を誤検出した頻度に基づいて、前記親機検出処理に用いる前記信号パターンのビット数を制御する。
【0015】
この構成によれば、親機検出の精度を維持しつつ、親機検出処理の期間を短縮して消費電流を小さくすることが可能である。
【0016】
本発明の通信装置は、前記制御部が、前記誤検出の頻度が第1の所定頻度以上であった場合、前記親機検出処理に用いる前記信号パターンのビット数を増加させる。
【0017】
この構成によれば、親機検出処理で参照するパターンのビット数が増加し、ノイズパターン等と親機パターンとが一致する確率が減少するので、誤検出の頻度を低減させることができ、そのために消費電流を低減させることができる。
【0018】
本発明の通信装置は、前記制御部が、前記誤検出の頻度が第1の所定頻度よりも小さい第2の所定頻度未満であった場合、前記親機検出処理に用いる前記信号パターンのビット数を減少させる。
【0019】
この構成によれば、親機検出処理で参照するパターンのビット数を減少させ、電波強度が微弱の時等に検出対象の親機まで検出できなくなる可能性を低減させることができる。
【0020】
本発明の通信装置は、前記制御部が、前記通信部により受信されたフレーム数が所定フレーム数以上の場合、前記親機検出処理に用いる信号パターンのビット数を制御する。
【0021】
この構成によれば、サンプル数が十分になったときのみビット数の制御を行うので、制御結果の信頼性が向上する。
【0022】
本発明の通信装置は、前記制御部が、前記信号パターンのビットのうち、前記同期パターンの直前のビットのビット数を制御する。
【0023】
この構成によれば、プリアンブルパターンは、1スロットで受信した信号中の最前のパターンであるためにビット情報の安定性が低い場合があるが、プリアンブルパターンの後部分のビットを親機検出処理に用いることで、親機検出処理の検出結果の信頼性が向上する。
【0024】
本発明の通信装置は、子機として動作する通信装置であって、他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する通信部と、親機として動作する通信装置を検出するための親機検出処理を行う親機検出部と、前記親機検出部による前記親機検出処理を行う周波数の優先順位として、他の子機が親機検出処理を行う周波数の優先順位とは異なる優先順位を記憶する記憶部を有し、前記親機検出部による前記親機検出処理を制御する制御部と、を備え、前記親機検出部が、前記記憶部に記憶された優先順位に基づく周波数で前記親機検出処理を行う。
【0025】
この構成によれば、親機検出処理時の周波数として他の通信装置と異なる優先順位を記憶することで、当該子機が登録された親機を検出するまでの時間を短縮でき、消費電流を低減させることができる。
【0026】
本発明の通信装置は、前記制御部が、前記親機として動作する通信装置に当該子機として動作する通信装置を登録するための前記通信部を介した登録処理と、前記親機検出部により検出された親機が前記登録処理が行われた親機であるかを認識するための認識処理と、を行い、前記通信部が、前記制御部により前記登録処理が行われた親機としての通信装置が認識されるまでに、前記登録処理が行われていない親機としての通信装置が認識された回数が、所定回数以上である場合、前記親機検出処理に用いる信号が通信される周波数の変更を要求するための周波数変更要求信号を送信する。
【0027】
この構成によれば、別システムの親機が検出される可能性を低減させることができ、そのために消費電流を低減させることができる。
【0028】
本発明の通信装置は、前記制御部が、前記親機として動作する通信装置に当該子機として動作する通信装置を登録するための前記通信部を介した登録処理と、前記親機検出部により検出された親機が前記登録処理が行われた親機であるかを認識するための認識処理と、を行い、前記制御部が、前記制御部により前記登録処理が行われた親機としての通信装置が認識されるまでに、前記登録処理が行われていない親機としての通信装置が認識された回数が、第3の所定回数以上である場合、前記記憶部に記憶された優先順位に基づいて、前記親機検出処理を行う周波数を変更する。
【0029】
この構成によれば、親機に合わせて子機も親機検出処理を行う周波数を変更して、親機検出までの時間を短縮でき、そのために消費電流を低減させることができる。
【0030】
本発明の通信装置は、所定の情報を検知するセンサ部と、前記通信部、前記親機検出部、および前記制御部の電源を制御する電源制御部と、を備え、前記電源制御部が、前記センサ部により前記所定の情報が検知されたとき、前記通信部、前記親機検出部、および前記制御部の電源をオンとするよう制御し、前記通信部により前記親機としての通信装置との間で通信が完了したとき、前記親機検出部、前記通信部、および前記制御部の電源をオフとするよう制御する。
【0031】
この構成によれば、パワーダウンモード時の消費電流の低減とあわせて、毎回の親機検出処理における消費電流を低減するとともに、通信時以外の消費電流を最小限に留めることができる。
【0032】
本発明の通信装置は、親機として動作する通信装置であって、他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する通信部と、前記通信部により第1の子機として動作する通信装置との間で制御データが通信される周波数の優先順位として、第2の子機との間で制御データが通信される周波数の優先順位とは異なる優先順位を記憶する記憶部と、前記記憶部により記憶された優先順位に基づいて、前記通信部により前記第1の子機として動作する通信装置との間で前記制御データが通信される周波数を制御する制御部と、を備える。
【0033】
この構成によれば、制御データ通信時の周波数として他の通信装置と異なる優先順位を記憶することで、子機による親機検出処理の時間を短縮でき、消費電流を低減させることができる。
【0034】
本発明の通信装置は、前記制御部が、前記通信部により前記第1の子機として動作する通信装置との間で前記制御データが通信される周波数の変更を要求するための周波数変更要求信号を受信したとき、前記記憶部に記憶された優先順位に基づいて、前記通信部により前記第1の子機として動作する通信装置との間で前記制御データが通信される周波数を変更する。
【0035】
この構成によれば、他の通信装置が少ない周波数を利用して信号を通信できるので、子機による親機検出処理の期間を短縮でき、消費電流を低減させることができる。
【0036】
また、本発明の通信システムは、第1の子機として動作する第1の通信装置と、第2の子機として動作する第2の通信装置と、親機として動作する第3の通信装置と、を有する通信システムであって、前記第1の通信装置は、他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する第1の通信部と、前記第1の通信部により受信された信号に含まれる同期パターンを少なくとも用いて、前記第3の通信装置を検出するための親機検出処理を行う第1の親機検出部と、前記第1の親機検出部による前記親機検出処理の結果に基づいて、親機から受信した信号中の前記同期パターンの前に存在する信号パターンのうち、前記同期パターンとともに前記親機検出処理に用いる前記信号パターンのビット数を制御する第1の制御部と、を備え、前記第2の通信装置は、他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する第2の通信部と、前記第2の通信部により受信された信号に含まれる同期パターンを用いて、前記第3の通信装置を検出するための親機検出処理を行う第2の親機検出部と、を備える。
【0037】
この構成によれば、信号パターンのビット数を制御する第1の子機と当該ビット数を制御しない第2の子機とが混在する場合であっても、第1の子機が親機検出処理を高精度に行うことができ、そのために消費電流を小さくすることが可能である。
【0038】
また、本発明の通信システムは、第1の子機として動作する第1の通信装置と、第2の子機として動作する第2の通信装置と、親機として動作する第3の通信装置と、を有する通信システムであって、前記第3の通信装置は、他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する第3の通信部と、前記通信部により前記第1の通信装置との間で制御データが通信される周波数の優先順位を記憶する記憶部と、前記第1の通信装置と通信を行う場合には、前記記憶部により記憶された優先順位に基づいて、前記通信部により制御データが通信される周波数を設定し、前記第2の通信装置と通信を行う場合には、前記第2の通信装置との間の通信回線の状態に基づいて、前記通信部により制御データが通信される周波数を設定する第3の制御部と、備える。
【0039】
この構成によれば、親機が第1の子機との通信と第2の子機との通信とで異なる周波数を設定することができるので、親機検出処理に要する時間が短縮でき、消費電流の低減を図ることができる。
【0040】
また、本発明の通信システムは、前記制御部により前記制御データが通信される周波数が変更するとき、前記第1の通信装置との間で通信を行う場合と前記第2の通信装置との間で通信を行う場合とで、前記制御データが通信される周波数の優先順位が異なる。
【0041】
この構成によれば、親機検出処理に要する時間が短縮でき、消費電流の低減を図ることができる。
【0042】
また、本発明の通信システムは、前記第3の制御部が、前記第1の通信装置との間で制御データが通信される周波数の優先順位を第1の順とし、前記第2の通信装置との間で制御データが通信される周波数の優先順位を前記第1の順と逆の第2の順とし、前記第1の通信装置が、前記第3の通信装置を検出するための親機検出処理を行う周波数の優先順位を前記第1の順とする第1の制御部を備え、前記第2の通信装置が、前記第3の通信装置を検出するための親機検出処理を行う周波数の優先順位を前記第2の順とする第2の制御部を備える。
【0043】
この構成によれば、第1の子機が親機検出処理に用いる周波数と第2の子機が親機検出処理に用いる周波数とが重複せず、そのために消費電流を低減させることができる。
【0044】
また、本発明の通信システムは、前記第3の制御部が、前記第3の通信部により制御データが通信される周波数の変更を要求するための周波数変更要求信号を前記第1の通信装置から受信したとき、前記記憶部により記憶された優先順位に基づいて、前記通信部により制御データが通信される周波数を変更し、前記周波数変更要求信号を前記第2の通信装置から受信したとき、前記第2の通信装置との間の通信回線の状態に基づいて、前記通信部により制御データが通信される周波数を変更する。
【0045】
この構成によれば、親機が第1の子機との通信と第2の子機との通信とで異なる周波数に変更することができるので、親機検出処理に要する時間が短縮でき、消費電流の低減を図ることができる。
【0046】
また、本発明の第1の通信方法は、子機として動作する通信装置における通信方法であって、他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信するステップと、受信された信号に含まれる同期パターンを少なくとも用いて、親機として動作する通信装置を検出するための親機検出処理を行うステップと、前記親機検出処理の結果に基づいて、親機から受信した信号中の前記同期パターンの前に存在する信号パターンのうち、前記同期パターンとともに前記親機検出処理に用いる前記信号パターンのビット数を制御するステップと、を有する。
【0047】
この方法によれば、親機検出処理の結果を上記信号パターンのビット数に反映することで、親機検出処理の期間における消費電流を小さくすることが可能である。
【0048】
また、本発明の第2の通信方法は、子機として動作する通信装置における通信方法であって、他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する通信ステップと、親機として動作する通信装置を検出するための親機検出処理を行う検出ステップと、前記親機検出処理を制御する制御ステップと、を有し、前記検出ステップにおいて、前記親機検出処理を行う周波数の優先順位として、他の子機が親機検出処理を行う周波数の優先順位とは異なる優先順位を記憶する記憶部、に記憶された優先順位に基づく周波数で、前記親機検出処理を行う。
【0049】
この方法によれば、親機検出処理時の周波数として他の通信装置と異なる優先順位を記憶することで、当該子機が登録された親機を検出するまでの時間を短縮でき、消費電流を低減させることができる。
【0050】
また、本発明の第3の通信方法は、親機として動作する通信装置における通信方法であって、他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信するステップと、前記通信部により第1の子機として動作する通信装置との間で制御データが通信される周波数の優先順位として、第2の子機との間で制御データが通信される周波数の優先順位とは異なる優先順位を記憶する記憶部、により記憶された優先順位に基づいて、前記第1の子機として動作する通信装置との間で前記制御データが通信される周波数を制御するステップと、を有する。
【0051】
この方法によれば、制御データ通信時の周波数として他の通信装置と異なる優先順位を記憶することで、子機による親機検出処理の時間を短縮でき、消費電流を低減させることができる。
【0052】
また、本発明の第1の通信プログラムは、上記第1の通信方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0053】
このプログラムによれば、親機検出処理の結果を上記信号パターンのビット数に反映することで、親機検出処理の期間における消費電流を小さくすることが可能である。
【0054】
また、本発明の第2の通信プログラムは、上記第2の通信方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0055】
このプログラムによれば、親機検出処理時の周波数として他の通信装置と異なる優先順位を記憶することで、当該子機が登録された親機を検出するまでの時間を短縮でき、消費電流を低減させることができる。
【0056】
また、本発明の第3の通信プログラムは、上記第3の通信方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0057】
このプログラムによれば、制御データ通信時の周波数として他の通信装置と異なる優先順位を記憶することで、子機による親機検出処理の時間を短縮でき、消費電流を低減させることができる。
【発明の効果】
【0058】
本発明によれば、親機検出処理の期間における消費電流を小さくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施形態における通信システムの構成例を示す図
【図2】本発明の第1の実施形態における子機(第1の子機)の構成例を示す図
【図3】本発明の第1の実施形態における子機(第2の子機)の構成例を示す図
【図4】本発明の第1の実施形態における親機の構成例を示す図
【図5】本発明の第1の実施形態における子機(第1の子機)が親機と通信を行うときの消費電流のイメージ図
【図6】本発明の第1の実施形態における親機と子機(第1の子機)との通信で用いるフレームの構成例を示す図
【図7】本発明の第1の実施形態における親機と子機(第1の子機)との通信で用いるフレームの構成例を示す図
【図8】本発明の第1の実施形態における各通信システムにおける周波数の優先順位の第1例を表すイメージ図
【図9】本発明の第1の実施形態における各通信システムにおける制御CH移動の例を表すイメージ図
【図10】本発明の第1の実施形態における各通信システムにおける通信時の周波数の優先順位の第2例を表すイメージ図
【図11】本発明の第1の実施形態における各通信システムにおける周波数の変更例を示すイメージ図
【図12】本発明の第1の実施形態における子機(第1の子機)の動作例を示すフローチャート
【図13】本発明の第1の実施形態における子機(第1の子機)の動作例を示すフローチャート(図12の続き)
【図14】本発明の第2の実施形態における子機の構成例を示す図
【図15】本発明の第2の実施形態における子機が親機と通信を行うときの消費電流のイメージ図
【図16】従来の子機による親機検出処理の第1例を示す図
【図17】従来の子機による親機検出処理の第2例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0061】
(第1の実施形態)
本実施形態の通信システムとしては、コードレス電話システム、各種センサを用いたセンサシステム、これらを連携させたシステムなどがある。センサシステムとしては、例えばドア開閉検知システムが考えられる。
【0062】
図1は、本発明の実施形態における通信システムの構成例を示す図である。図1に示す通信システム1は、親機として動作する通信装置10(以降、単に「親機10」と称する)と、ドア開閉を検知するセンサを備えた子機として動作する通信装置20(以降、単に「子機20」と称する)と、が無線回線30を介して接続されている。また、通信システム1の近傍には、通信システム1以外の通信システムの親機や子機が存在することもある。また、子機20は複数であってもよい。また、図1に示すように、通信システム1は、子機20(第1の子機)の他に、センサ機能を持たず通常の電話機能を備えた子機20X(第2の子機)を有して構成されてもよい。図1の例は、親機10に、センサ260を備えた子機20と、通常の電話機能を備えた子機20Xが登録された状態である。
【0063】
図2は、センサ等を備えた子機20の構成例を示す図である。
子機20は、図2に示すように、無線部210、親機検出部220、および制御部230を有する。また、子機20は、ドア開閉を検知するセンサ260を有する。センサ260の詳細は、後述する第2の実施形態のセンサ260と同様である。
【0064】
無線部210は、アンテナANTを介して他の通信装置との間で、複数のスロットから成るフレームを単位としてTDMA方式の通信を行ない、受信部211および送信部212を備える。受信部211は、無線回線30からの1フレームの半分のスロットを使ってを信号を受信する。送信部212は、無線回線30へ1フレームの他の半分のスロットを使って無線回線30へ信号を送信する。
【0065】
親機検出部220は、MPU(Micro Processing Unit)により構成され、親機10を検出するための親機検出処理を行う。また、親機検出部220は、シフトレジスタ221、222、比較器223、224、比較ビット数設定レジスタ225、および親機パターン検出回路226を備える。
【0066】
シフトレジスタ221は、受信部211によりスロット毎に受信されたデータ(信号)を入力し、所定のタイミングで1ビットずつシフトさせ、情報を保持する。ここでは1スロット中のデータ構造に含まれるユニークワードパターン(UWパターン)の情報が保持される。UWパターンは、同期パターンの1つである。なお、UWパターンが16ビットである場合を想定しているが、これ以外のビット数であってもよい。
【0067】
シフトレジスタ222は、受信部211によりスロット毎に受信されたデータを入力し、所定のタイミングで1ビットずつシフトさせ、情報を保持する。ここでは1スロット中のデータ構造に含まれるプリアンブルパターンの情報が保持される。プリアンブルパターンは、同期パターンの前に存在する信号パターンの1つである。なお、プリアンブルパターンが16ビットである場合を想定しているが、これ以外のビット数であってもよい。
【0068】
比較器223は、シフトレジスタ221により保持されたUWワードパターンと、あらかじめ親機検出部220が保持するUWパターンと、を比較する。比較の結果、両者が一致している場合には、両者が一致している旨の所定信号を出力する。
【0069】
比較器224は、シフトレジスタ222により保持されたプリアンブルパターンと、あらかじめ親機検出部220が保持するプリアンブルパターンと、を比較する。比較の結果、両者が一致している場合には、両者が一致している旨の所定信号を出力する。
【0070】
比較ビット数設定レジスタ225は、比較器224によって、プリアンブルパターンを比較するビット数を保持する。このビット数は、制御部230により決定される。UWパターンとともに親機検出処理に用いるプリアンブルパターンの中の何ビットを使うかは制御部230により指示され、このビット数に相当する数が比較ビット数設定レジスタ225に保持される。
【0071】
親機パターン検出回路226は、比較器223および比較器224の双方が共に所定の結果である場合に、親機パターンが検出された旨の所定信号を出力する。
【0072】
つまり、親機検出部220は、無線部210により受信された信号に含まれるユニークワードパターン(UWパターン)を少なくとも用いて親機検出処理を行ない、それに加えて無線部210により受信された信号に含まれるUWパターンおよび比較対象のプリアンブルパターンの例えば後半の所定数のビットが、親機検出部220が保持するプリアンブルパターンおよび比較対象のプリアンブルパターンのビットと一致した場合、親機が検出されたと判定する。ここでの親機とは、登録処理が行われた親機および登録処理が行われていない親機の双方を含む。
【0073】
制御部230は、MPU(Micro Processing Unit)により構成され、各種制御を行う。例えば、親機検出部220による親機検出処理を制御する。また、無線部210を介して子機20との間で登録処理を行う。この登録処理では、予め決められた親機IDまたは子機IDを相互に交換し、メモリに保持する。また、無線部210により受信された信号の誤り検出を行い、受信された信号が正当な信号であるか否かを判定する。誤り検出符号としては、例えばCRC符号を用いる。また、無線部210により受信された信号に含まれる親機IDを抽出し、抽出された親機IDが正規の親機ID(登録処理時に親機から送られたID)と一致するか否かを判定する。この親機IDの一致判定は、親機検出処理により検出された親機が正規の親機であるか否かを認識するための認識処理の1つである。
【0074】
また、制御部230は、誤検出カウンタ231、別親機カウンタ232、フレーム数カウンタ233、周波数優先順位レジスタ234、および送受信データバッファ235を備える。
【0075】
誤検出カウンタ231は、親機検出部240による親機検出処理の結果、親機パターンを検出したが、誤り検出により誤検出であると判定された回数をカウントする。別親機カウンタ232は、親機検出部240による親機検出処理の結果、親機パターンを検出したが、登録処理が行われていない別の親機であると判定された回数をカウントする。フレーム数カウンタ233は、親機検出部240による親機検出処理が行われたフレームの数をカウントする。
【0076】
周波数優先順位レジスタ234は、親機検出部240による親機検出処理を行う周波数の優先順位の情報を保持する。送受信データバッファ235は、受信部211により受信された信号の情報および送信部212により送信される信号の情報を一時的に保持する。
【0077】
また、制御部230は、MPUが、ROM等に格納された通信プログラムを実行することにより、本実施形態で説明する各機能を実現する。
【0078】
図3は、センサ機能を有さず通常の電話機能のみを備えた子機20Xの構成例を示す図である。
子機20Xは、図3に示すように、無線部210、親機検出部220X、および制御部230Xを有して構成される。無線部210の構成は子機20と同様であるので、説明を省略する。
【0079】
親機検出部220Xは、親機検出処理を行い、シフトレジスタ221および比較器223を備える。親機検出部220Xは、親機検出部220と異なり、プリアンブルパターンを用いずに、UWパターンのみ用いて親機検出処理を行う。
【0080】
制御部230Xは、MPUにより構成され、各種制御を行う。また、制御部230Xは、送受信データバッファ235を備える。符号270は音声通話機能を司る通話部である。
【0081】
図4は、親機10の構成例を示す図である。
親機10は、図4に示すように、無線部110および制御部120を有して構成される。
【0082】
無線部110は、アンテナANTを介して他の通信装置との間で複数のスロットから成るフレームを単位としてTDMA方式の通信を行ない、受信部111および送信部112を備える。受信部111は、無線回線30から1フレームの半分のスロットを使って信号を受信する。送信部112は、無線回線30へ1フレームの半分のスロットを使って信号を送信する。
【0083】
制御部120は、MPU(Micro Processing Unit)により構成され、各種制御を行う。また、制御部120は、周波数優先順位レジスタ121および送受信データバッファ122を備える。符号130は外部電話回線との接続機能、および音声信号の送受信を司る回線制御部である。
【0084】
周波数優先順位レジスタ121は、通信部110により子機20との間で制御データが通信される周波数の優先順位の情報を保持する。送受信データバッファ122は、受信部111によりスロット毎に受信されたデータ、および送信部112によりスロット毎に送信されるデータを一時的に保持する。
【0085】
また、制御部120は、内部のMPUが、ROM等に格納された通信プログラムを実行することにより、本実施形態で説明する各機能を実現する。
【0086】
次に、子機の消費電流について説明する。
図5は、通常の電話機能のみを備えた子機(子機20X)が親機10と通信を行うときの消費電流のイメージ図である。
【0087】
図5に示すように、子機20Xが親機10と通信を開始するに当たっては、子機20Xは、まず親機サーチモードでの処理を行う。子機20Xの電源がオンされると、初期化処理P1、連続受信による親機検出処理P2、および親機10との送受信処理P3を行う。初期化処理P1では、子機20Xは、制御部230のROMの内容をリードして必要な情報を読み込んだり、RAMの初期化をしたりする。親機10との送受信処理P3では、子機20Xは登録をした正規の親機であることを認識した場合に、その親機10との間でTDMAにより信号の送受信を行う。
【0088】
親機サーチモードでは、親機10からの信号を連続的に送受信するため、MPUのクロック数を高く保つ(MPUを高速にする)必要があり、制御部230のMPUによるソフト処理による消費電流は大きくなる。また、親機サーチモードにおいては、初期化処理P1の消費電流が最も小さく、送受信処理P3の消費電流が最も大きい。この送受信処理の消費電流は、例えば、信号送受信時の平均電流に相当する。
【0089】
親機10との送受信で通信に必要な情報をやりとりし、親機10−子機20X間で同期が確立すると、子機20Xは親機サーチモードから定期的に親機10からの制御データを受信する間欠受信モードに移行する。間欠受信モードでは、子機20Xは、親機10が制御データを送信するタイミングに合わせて受信動作をする間欠受信処理P4を行う。子機20Xは、あらかじめ間欠受信のタイミング情報を保持しておいたり、送受信処理P3時にそのタイミング情報を親機10から取得したりすることで、間欠受信のタイミングを認識することができる。
【0090】
間欠受信モードでは、親機10と子機20Xとは同期して動作しているので、制御部230は、同期受信が可能な程度にMPUのクロック数を低下させ(MPUを低速にする)、これにより、制御部230のMPUによるソフト処理による消費電流は小さくなる。また、間欠受信処理P4においても受信動作中の消費電流は、親機サーチモードにおける親機検出処理P2に要する時間あたりの消費電流と同様である。ただし間欠受信処理P4では子機20Xは親機10の送信タイミングを認識しているので、受信動作は親機10の送信タイミングに合わせた必要最小時間に抑えることができ、親機検出処理P2よりも消費電流が小さくなる。
【0091】
次に、親機10と子機(子機20または子機20X)との通信で用いるTDMA方式のフレームの構成について説明する。図6および図7は、親機10と子機との通信で用いるフレーム構成およびデータ構造の例を示す図である。
【0092】
本実施形態では、図6に示すように、1つのフレームは24個のスロット(SL0〜SL23)から構成されており、このフレームの時間区間は例えば10msである。また、無線回線30上でスロット毎に信号が伝送される周波数(周波数チャネル:F0〜F4)は、例えば5個存在する。また、同一フレームに、双方向の通信を多重化する。例えば1つのフレームのSL0〜SL11が親機10から子機への通信のために使用され、SL12〜SL23が親機10から子機への通信のために使用される。したがって、本実施形態ではTDMA/TDD(Time Division Duplex)方式を想定している。
【0093】
また、図6では図示が省略されているが、図7に示すように、各スロット間にはガードスペースGが挿入されている。ガードスペースGは、各スロット間の衝突を回避するための保護時間であり、同期制御の正確性に応じて、その長さが決定される。また、図7に示すように、1つのスロットのデータ構造は、同期フィールドSyncFとデータフィールドDFとで構成される。
【0094】
同期フィールドSyncFは、プリアンブルパターン(Preamble)およびUWパターン(UW)を含む。プリアンブルパターンは、例えば16ビットで構成され、親機10も子機も同一のパターンである。UWパターンは、親機10と子機とで異なるパターンであり、例えば、親機10のUWパターンは“0xE98A”、子機のUWパターンは“0x1675”である。なお、親機検出部220による親機検出処理では、UWパターンを少なくとも用いて親機10が検出される。
【0095】
データフィールドDFは、制御情報が格納されるAフィールドと、ユーザデータが格納されるBフィールドと、で構成される。制御情報には、例えば、子機が使用すべきスロット番号や周波数の情報、子機の種別(間欠受信処理を行う子機であるか否か等)の情報が含まれる。また、制御情報には、誤り検出を行うための情報(例えばCRC情報)も含まれている。CRC情報は例えば16ビットで構成される。ユーザデータには、通話部270による通話音声のデータ、センサ260により検知されたデータ、等のデータ本体が含まれる。
【0096】
また、図5で説明した親機検出処理や間欠受信処理では、常時間欠受信処理を行う子機(通常の音声通話機能を備えた子機20Xなど)は、親機10が制御データとして送信する同期フィールドSyncFとAフィールドとで構成されるデータを間欠的に受信する。また、通話が開始された場合などの送受信処理では、ユーザデータとして、同期フィールドSyncFとデータフィールドDFとで構成されるデータが無線回線30上を伝送される。
【0097】
また、図6および図7で示したスロット数、ビット数等は一例であり、これに限られない。
【0098】
次に、通信システム1の動作について説明する。
通信システム1は、以下の第1動作〜第4動作のうち少なくとも1つの動作を行う。
【0099】
<第1動作>
ドア開閉を検知するセンサ260を備えた子機20の制御部230は、親機検出部220による親機検出処理を、UWパターンのみでなく、プリアンブルパターンも含めて行う。そして、制御部230は、親機検出処理に用いるプリアンブルパターンのビット数を制御する。例えば、UWパターンを用いて親機10が検出されたにも関わらず、CRC計算により1スロット中で受信したデータに誤りが検出された場合には、この親機10は誤検出されたものとなる。このように誤検出された場合には、制御部230は、親機検出処理に用いるプリアンブルパターンのビット数を増大させる。
【0100】
例えば図7の構成のフレームフォーマットの通信において、親機検出処理に用いるビット数を16ビットとした場合、つまりUWパターンの16ビットのみを用いる場合には、誤検出の発生する確率は一つの周波数(例えば周波数F0)あたり15%以上になる。一方、親機検出処理に用いるビット数を22ビットとした場合、つまりUWパターン16ビットにプリアンブルパターン6ビットを加えて親機検出処理を行なう場合には、UWパターンのみの時と比較して誤検知確率は1/64に減り、一つの周波数(例えば周波数F0)あたり0.5%未満になる。このように、親機検出処理に用いるプリアンブルパターンのビット数を増大させることで、誤検出の確率を低減させることができる。
【0101】
本実施形態における子機20の制御部230は、親機検出処理において、UWパターンに加え、図7の区間aが示すようにプリアンブルパターン後部のUWパターンに連続する部分のデータも使用する。そして前述のビット数の制御においてビット数を増大させる場合には、図7の区間bが示すようにプリアンブルパターンの親機検出処理に使用する桁を前方向に増やし、より上位の桁から親機検出処理に使用するように動作を切り替える。ただし、プリアンブルパターンの前半部分のデータを親機検出処理に使用するのは好ましくない。これは、プリアンブルパターンは1スロットデータ構造の中の最前のパターンであるため、ビット情報の安定性が低いからである。したがって親機検出処理に用いるビット数を増やすためにはプリアンブルパターン後部のUWパターンに連続する部分のデータを用い、プリアンブルパターンの後部分のビットを親機検出処理に用いることにより、検出結果の信頼性が向上する。
【0102】
<第2動作>
図8は、親機10を中心とする通信システム1と、他の親機(図8の親機Aまたは親機B)を中心とする他の通信システムと、が隣接している場合、親機10が制御データの送信に使う周波数の優先順位の第1例を表すイメージ図である。子機20が親機10に登録された場合、例えば図8に示すように親機10の制御部120は子機20が親機10を短時間で検出できるように、制御データを送信する周波数(制御CH)を決める優先順位を変え、センサ260を備えていない子機20Xのみが登録されている場合に対して逆にする。図8の例では、親機10の制御部120は周波数優先順位レジスタ121に、子機20Xのみが登録されている場合の優先順位として例えばF0→F1→F2→F3→F4の情報を保持し、子機20が登録されている場合の優先順位として例えばF4→F3→F2→F1→F0の情報を保持している。そして、親機10の制御部120は、子機20Xのみが登録されている状態から子機20の登録が加えられると、制御データを送信する周波数(制御CH)の優先順位をF4→F3→F2→F1→F0に変更して切り替え動作を行なう。
【0103】
図9は親機10の制御CHの移動を具体的に示すイメージ図である。図9ではセンサを備えていない子機20Xのみが登録された親機は周波数F0を最優先順位として制御CHを決定する場合である。図9の例は、ある時、親機Aおよび、親機C(親機10)が制御CHとして周波数F0を使用し、親機Bが制御CHとして周波数F1を使用しているものとする。親機Cに子機20Xのみが登録されている状態では親機Cは周波数F0を使用しているが、この親機Cに子機20が登録されると、親機Cは通常とは優先順位を変えて制御CHを移動する。すなわち通常の優先順位であれば周波数F1に移動するが、子機20が登録されたことにより前述のように逆の優先順に変り、制御CHを周波数F4に移動する。
【0104】
また、子機20の制御部230は、親機10が保持する優先順位の情報に合わせて、親機検出処理を行う周波数の優先順位を子機20Xが親機検出処理を行う周波数の優先順位と逆にする。例えば、子機20Xが制御部230Xに親機検出処理を行う周波数の優先順位の情報としてF0→F1→F2→F3→F4の情報を保持しているものとすると、子機20の制御部230は、子機20Xが保持する周波数の優先順位をあらかじめ把握しており、周波数優先順位レジスタ234に、親機検出処理を行う周波数の優先順位の情報として子機20Xとは異なるF4→F3→F2→F1→F0の情報を保持している。
【0105】
以上のように子機20Xと子機20の両方が登録された親機10(親機C)は周波数F4を最優先順位として制御CHを決定し、図9に示す例では親機10(親機C)がF4を使用する。したがって、図9の例で親機Cに登録された子機が親機検出処理を行なう際、子機20XはF0→F1→F2→F3→F4の順で親機Cの制御データをサーチし、子機20F4→F3→F2→F1→F0は順で親機Cの制御データをサーチする。
【0106】
このように、子機20が登録された親機10が制御データ送信に使う周波数を決める優先順位と、子機20Xのみが登録された親機A、Bが制御データ送信に使う周波数を決める優先順位とを異ならせることにより、親機10が制御データを送信する制御CHを他の親機A、Bの制御CHから離すことができる。したがって、子機20が親機10の制御データをサーチする際に、親機10が制御データの送信に使うはずの周波数チャンネルを優先的にサーチするので、他の親機A、Bが制御データを送信している周波数チャンネルを避け易くなる。これにより、子機20が他の親機A、Bからの制御データを誤検知する頻度が大幅に小さくなり、この誤検知が無い分、親機検出処理に要する時間を短縮でき、そのために消費電流を低減させることができる。
【0107】
また、子機20と子機20Xとで優先順位を逆にする代わりに、子機20の優先順位をあらかじめ保持しておいてもよい。この優先順位の情報は、例えば親機10と子機20との登録処理を行うときに、相互に同じ優先順位を保持しておく。つまり、親機10は、周波数優先順位レジスタ121に優先順位の情報をあらかじめ保持しておき、子機20は周波数優先順位レジスタ234に優先順位の情報をあらかじめ保持しておく。
【0108】
例えば、親機10の制御部120は、子機20Xと通信を行う場合の優先順位として、周波数F0→F1→F2→F3→F4の情報を保持している場合には、親機10の周波数優先順位レジスタ121に、子機20と通信を行う場合の優先順位として、周波数F4→F0→F3→F2→F1の情報を保持しておく。この場合、子機20は、周波数優先順位レジスタ234に周波数F4→F0→F3→F2→F1の情報を保持しておく。
【0109】
実際に親機10が制御データを送信する周波数(制御CH)を設定する際には、親機10の制御部120は、子機20との通信を行う周波数を周波数優先順位レジスタ121に保持された優先順位に基づいて設定する。また、親機10の制御部120は、子機20Xとの通信を行う周波数を、親機10と子機20Xとの間の無線環境に応じて設定する。例えば、予め干渉の度合いを周波数毎に測定し、周波数優先順位レジスタ121には最も良好な状態が安定して継続している周波数を優先順位1位として記録する。つまり、その周波数において検出される他の信号源(隣接するコードレス電話機など)の信号レベルが所定の許容レベルを超えない程度に低く、その状態が安定している周波数(比較的状態の良い周波数)を、優先順位1位として記録する。通常、親機10の制御部120は、この周波数優先順位レジスタ121に保持された優先順位1位の周波数を制御データ送信用として設定する。親機10に登録されている子機が子機20Xのみであるならば、通常の優先順位に従って制御データ送信の周波数を決める。
【0110】
図10は、親機10(親機C)を中心とする通信システム1と、他の親機(親機Aまたは親機B)を中心とする他の通信システムが隣接する場合に、制御データ送信に使う周波数を決める優先順位の第2例を表すイメージ図である。図10に示す例では、子機20Xのみが登録された親機Aおよび親機Bは、周波数F0を最優先順位として周波数を決定する。すなわち図10の例では、親機Aが周波数F0、親機Bが周波数F1を利用している。一方、子機20Xと子機20の両方が登録された親機10は、周波数F4を最優先順位として周波数を決定する。図10の例では親機10は周波数F4を利用している。
【0111】
この場合、親機10の制御部120は周波数優先順位レジスタ121を備えている。この親機10の周波数優先順位レジスタ121は、子機20が登録された状態で制御データ送信に使用する周波数の優先順位として、子機20Xのみが登録された状態で制御データ送信に使用する周波数の優先順位とは異なる優先順位を記憶している。親機10の制御部120はこの優先順位に基づいて、制御データの送信に使う周波数チャンネルを制御する。一方、子機20は、親機検出処理を行う周波数の優先順位を記憶する記憶部としての周波数優先順位レジスタ234を備えており、この子機20の周波数優先順位レジスタ234には、子機20Xが親機検出処理を行う周波数の優先順位とは異なる優先順位を記憶している。子機20の親機検出部220はこの優先順位に基づいて親機検出処理を行う。
【0112】
したがって、この場合も、子機20が登録された親機10が制御データの送信に使う周波数(制御CH)は、子機20Xのみが登録された他の親機A、Bとは異なる優先順位で決められることになり、親機10が送信する周波数を他の親機A、Bが送信する周波数から離すことができる。そして子機20は、親機10からの制御データをサーチする際には周波数優先順位レジスタ234に格納された優先順位に従って、親機10が制御データの送信に使うはずの周波数を優先的にサーチするので、他の親機A、Bが制御データを送信している周波数を避け易く、誤検知を少なくして親機検出処理に要する時間が短縮でき、消費電流の低減を図ることができる。
【0113】
<第3動作>
子機20の制御部230は、親機検出処理のためのサーチを行う際、他の親機(別通信システムの親機A,B)が所定数以上存在するか否かを判定する。制御部230により上記親機が所定数以上存在すると判定された場合、無線部210は、親機20が通信に使用する周波数を変更するように、親機10に対して周波数変更要求信号を送信する。
【0114】
親機10の通信部110が子機20からの周波数変更要求信号を受信すると、制御部120が、上記の第2動作で説明した周波数優先順位レジスタ121に保持された優先順位の情報に基づいて他の周波数の状態を調査し、最も他の親機が少ない周波数を制御データ送信に使用する周波数(制御CH)として変更する。これにより、別システムの親機が少ない周波数を利用して制御データを送信できるので、子機20が正規の親機を検出できるまでの時間を短縮でき、消費電流を低減させることができる。
【0115】
また、親機10が制御データ送信に使用する周波数(制御CH)を変更することに合わせて、子機20の制御部230は上記の第2動作で説明した周波数優先順位レジスタ234に保持された優先順位の情報に基づいて、親機検出処理を行う周波数を変更する。
【0116】
また、子機20Xの通信部220も、親機10に周波数変更要求信号を送信するようにしてもよい。この場合、親機10の通信部110が子機20Xからの周波数変更要求信号を受信すると、制御部120は、上記の第2動作で説明した優先順位、および親機10及び子機20X間の無線回線30の状態に基づいて、制御データを送信する周波数(制御CH)を変更する。これにより、子機20との通信における周波数変更に対しても子機20Xとの通信における周波数変更に対しても対応可能である。
【0117】
<第4動作>
図11は、子機20が登録された親機10の制御CHと同じ周波数チャネルで他の親機(別通信システムの親機A,B)からの制御データを検出する頻度が増えてきた場合における制御CHの移動を具体的に示すイメージ図である。図11に示す例では、最初は子機20と子機20Xの両方を登録した親機C(親機10)が周波数F4を制御CHとしている場合において、途中で子機20Xが登録された親機A、親機Bが同じ周波数F4を制御CHとして制御データを送信するようになってきた場合を示す。
【0118】
例えば、親機10の制御部120は、3つ以上の通信システムで同一の周波数を使っている場合に周波数を移行するよう、上記所定数(上記の<第3動作>参照)として「3」の情報を保持しておく。この場合、親機10(図11の親機C)は周波数優先順位レジスタ121を参照して、制御データを送信する周波数(制御CH)を周波数F4から周波数F3へ変更する。また子機20は、周波数優先順位レジスタ234を参照して、親機検出処理を行う周波数をF4から周波数F3に変更する。
【0119】
このように、同一周波数チャネルで制御データを送信する親機が増えてくると、子機20が登録された親機10は、制御データを送信する周波数(制御CH)を周波数F4から周波数F3へ変更する。もし親機に登録された子機が子機20Xのみであれば制御CHを周波数F4から周波数F0へ変更するが、子機20が登録されたことにより、制御CHの変更の順位が逆になる。従来、周波数優先順位レジスタ234の親機が多数存在する場合には、子機が親機を認識するための処理に要する時間が長くなり、これに応じて親機検出処理に要する時間も長くなるが、本実施形態のように制御データを送信する周波数(制御CH)を他の周波数に変更し、子機20がその周波数を優先的にサーチすることにより、親機検出処理に要する時間を短縮できるので、消費電流の低減を図ることができる。
【0120】
次に、子機20の動作の詳細について説明する。図12および図13は子機20の動作例を示すフローチャートである。図12および図13では、親機検出処理時、プリアンブルのビット数制御時、および親機検出処理を行う周波数の変更要求時、の子機20の動作を示しており、上記の第1動作、第3動作、及び第4動作の内容が含まれている。図12および図13の処理は、定期的に実行される。
【0121】
まず、制御部230は、図示しないタイマにより計測される時間が図6に示す1フレーム分の時間が終了したか否かを判定する(ステップS101)。1フレーム分の時間(例えば10ms)が終了している場合には、制御部230は、サーチ完了フレーム数を扱う変数「F_num」に1を加算し(ステップS102)、別の親機検知回数を扱う変数「OP_num」を0にリセットし(クリアし)、親機検出処理を行う周波数を次の周波数へ移行させる。そして、ステップS101に戻る。
【0122】
1フレーム分の時間が終了していない場合には、制御部230は、親機検出部220により親機が送出する制御データ、換言すると、制御データが通信される周波数(制御CH)が検出されたか否かを判定する(ステップS105)。親機が送出する制御データが検出されなかった場合には、ステップS101に戻る。
【0123】
親機が送出する制御データが検出された場合には、制御部230は、制御データにデータエラーが存在しないか否かを判定する(ステップS106)。ここでは、データエラーが存在しなかどうかを誤り検出により判定する。例えば、CRC計算により誤りが検出されなかった場合には、データエラーなしとなる。データエラーが存在した場合には、制御部230は、誤検出回数を扱う変数「E_num」に1を加算し(ステップS107)、ステップS101に戻る。
【0124】
データエラーが存在しなかった場合には、制御部230は、制御データを送出した親機が、当該子機20の正規の親機10であるか否かを判定する(ステップS108)。ここでは、子機20が登録処理の際に保持している親機IDと、無線部210により受信された信号のAフィールドに含まれる親機IDが一致するか否かを判定する。登録した正規の親機10でない場合、制御部230は、別の親機検知回数を扱う変数「OP_num」に1を加算する(ステップS109)。
【0125】
正規の親機10である場合には、子機20は、親機10の検出に成功する(ステップS110)。
【0126】
親機10が検出された後、図13に進み、制御部230は、サーチ完了フレーム数を扱う変数「F_num」がエラー判定を行うフレーム規定数を扱う変数「F_max」以上であるか否かを判定する(ステップS111)。フレーム規定数は、例えば「300」である。サーチ完了フレーム数がフレーム規定数未満である場合には、ステップS117に進む。
【0127】
サーチ完了フレーム数がフレーム規定数以上である場合には、制御部230は、1フレームあたりのエラー数(誤検出数)「Er_num/F_num」が誤検出数の上限値「Er_Limit_H」未満であるか否かを判定する(ステップS112)。誤検出数の上限値は、例えば「6」である。1フレームあたりのエラー数が誤検出数の上限値以上である場合には、制御部230は、親機検出処理時に参照するプリアンブルパターンのビット数を扱う変数「Pre_num」に1を加算し(ステップS113)、ステップS117に進む。
【0128】
1フレームあたりのエラー数が誤検出数の上限値未満である場合には、制御部230は、1フレームあたりのエラー数「Er_num/F_num」が誤検出数の下限値「Er_Limit_L」以上であるか否かを判定する(ステップS114)。誤検出数の下限値は、例えば「1」である。1フレームあたりのエラー数が誤検出数の下限値未満である場合には、制御部230は、上記のプリアンブルパターンのビット数を扱う変数「Pre_num」から1を減算し(ステップS115)、ステップS117に進む。
【0129】
1フレームあたりのエラー数が誤検出数の下限値以上である場合には、制御部230は、変数「F_num」と変数「Er_num」を0にして(クリアして)、ステップS117(ステップS116)に進む。
【0130】
制御部230は、別の親機検出回数を扱う変数「OP_num」が別親機検出の上限値「OP_Limit」未満であるか否かを判定する(ステップS117)。別の親機検出回数が別親機検出の上限値以上である場合には、制御部230は、親機10に制御データが通信される周波数を移動するよう要求する(ステップS118)。つまり、親機10に周波数変更要求信号を送信する。
【0131】
別の親機検出回数が別親機検出の上限値未満である場合に、または、親機10に周波数移動を要求した後に、別の親機検出回数を扱う変数「OP_num」を0にする(クリアする)(ステップS119)。
【0132】
このように、親機10を誤検出した頻度に基づいて、親機検出処理に用いるプリアンブルパターンのビット数を制御してもよい。
【0133】
そして、制御部230は、誤検出の頻度が第1の所定閾値以上である場合には、親機検出処理に用いるプリアンブルパターンのビット数を増加させてもよい。ここでの誤検出の頻度には、誤検出数、受信信号のフレーム数に対する誤検出数の比率、などがある。これにより、親機検出処理で参照するパターンのビット数が増加し、ノイズパターン等と親機パターンとが一致する確率が減少するので、誤検出の頻度を低減させることができ、そのために消費電流を低減させることができる。
【0134】
また、制御部230は、誤検出の頻度が第1の所定閾値よりも小さい第2の所定閾値未満であった場合、親機検出処理に用いるプリアンブルパターンのビット数を減少させてもよい。これにより、親機検出処理で参照するパターンのビット数が多すぎる場合に、参照するパターンのビット数を減少させ、検出対象の親機の親機パターンまで誤検出として処理される可能性を低減させることができる。
【0135】
また、制御部230は、無線部210により受信された信号のフレーム数が所定フレーム数以上の場合に、親機検出処理に用いるプリアンブルパターンのビット数を制御してもよい。これにより、サンプル数が十分になったときのみビット数の制御を行うので、制御結果の信頼性が向上する。
【0136】
また、無線部210は、登録処理が行われた親機10が認識されるまでに、登録処理が行われていない別システムの親機が認識された回数が、第3の所定回数以上であった場合、制御データが通信される周波数の変更を要求するための周波数変更要求信号を送信してもよい。これにより、別システムの親機が検出される可能性を低減させることができ、そのために消費電流を低減させることができる。
【0137】
また、上記の認識回数であった場合、制御部230は、周波数優先順位レジスタ234を参照して、親機検出処理を行う周波数を変更してもよい。これにより、親機10に合わせて子機20も親機検出処理を行う周波数を変更して、親機検出までの時間を短縮でき、そのために消費電流を低減させることができる。
【0138】
(第2の実施形態)
本実施形態では、子機として動作する通信装置20B(以降、単に「子機20B」と称する)が、第1の実施形態の子機20と異なっている。親機10の構成は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0139】
図14は、子機20Bの構成例を示す図である。
子機20Bは、図14に示すように、無線部210、親機検出部220、制御部230、センサ260、検知部250、および電源制御部240を有して構成される。なお、無線部210、親機検出部220、制御部230は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0140】
センサ260は、機械的性質、電磁気的性質、熱的性質、音響的性質、化学的性質などを応用して、各種情報を電気信号に置換する。検知部250は、センサ260により各種情報を検知する。センサ260および検知部250は、所定の情報を検知するセンサ部としての機能を有する。また、センサ260が検知する情報としては、ドアの開閉状態の情報などがある。
【0141】
電源制御部240は、電源制御ICなどで構成され、無線部210、親機検出部220、および制御部230の電源を制御する。具体的には、電源制御部240は、検知部250によりセンサ260が所定情報を検知したときに、無線部210、親機検出部220、および制御部230の電源をオンとするよう制御し、通信部240により親機10との間で通信が完了したときに、無線部210、親機検出部220、および制御部230の電源をオフとするよう制御する。
【0142】
また、図14に示すように、電源制御部240は、各部の電源をオンとするよう制御するときには、電源制御信号(PWRON)を各部へ送信する。また、各部の電源をオフとするよう制御するときには、電源制御信号(PWROFF)を各部へ送信する(不図示)。
【0143】
次に、子機20Bの消費電流について説明する。
図15は、子機20Bが親機10と通信を行うときの消費電流のイメージ図である。
【0144】
図15に示すように、子機20Bが親機10と通信を開始するに当たっては、子機20Bは、子機20と同様に親機サーチモードでの処理を行う。つまり、初期化処理P1、親機検出処理P2、および送受信処理P3を行う。
【0145】
親機10との送受信処理P3が完了すると、子機20Bは、親機サーチモードから、必要最低限以外の部位の電源をオフとするパワーダウンモードに移行する。このパワーダウンモードでは、子機20Bの電源制御部240は、無線部210と、親機検出部220および制御部230の電源をオフとする。一方、センサ260、検知部250および電源制御部240の電源はオンとされたままであるが、消費電流は非常に小さい。センサ260等が電源オフとなっていないので、パワーダウンモードにおいてもセンサ検知は可能である。また、パワーダウンモードにおいては、前述の間欠受信モードにおける間欠受信処理P4のような親機10との間の通信を行わないので、間欠受信モードに比べ更に消費電流を低減できる。
【0146】
パワーダウンモード中に、検知部250がセンサ260により情報を検知したときには、パワーダウンモードから親機サーチモードに移行する。親機サーチモードへの移行時には、子機20Bの電源制御部240は、オフとなっている無線部210、親機検出部220、および制御部230の電源をオンとする。これにより、子機20Bは、初期化処理P1、親機検出処理P2、および送受信処理P3を行うことが可能となる。そして、再度送受信処理P3が終了すると、子機20Bは、親機サーチモードからパワーダウンモードに移行する。
【0147】
したがって、子機20Bは、センサ260による情報検知がある度に、親機サーチモードとパワーダウンモードとを繰り返すことになる。親機サーチモードでは、子機20Bは、必ず親機検出処理を行う。したがって、子機20Bは、第1の実施形態で説明した第1動作〜第4動作の少なくとも1つを行うことで、パワーダウンモード時の消費電流の低減とあわせて、毎回の親機サーチモードにおける親機検出処理における消費電流も低減できる。
【0148】
また、センサ260は常時電力供給される状態にあることを前提としておらず、高い小電力性が求められる。特に高機能センサの場合にはセンサ260に係る部分の消費電流が大きくなってしまう。本実施形態の通信システムによれば、親機検出処理における消費電流を低減させることができるので、センサ260の電池交換頻度を少なくして、センサ260を安定動作させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は、親機検出処理の期間における消費電流を小さくすることが可能な通信装置、通信システム、及び通信プログラム等に有用である。
【符号の説明】
【0150】
1 通信システム
10 親機(通信装置)
20、20B、20X 子機(通信装置)
30 無線回線
110 無線部
111 受信部
112 送信部
120 制御部
121 周波数優先順位レジスタ
122 送受信データバッファ
130 回線制御部
210 無線部
211 受信部
212 送信部
220、220X 親機検出部
221、222 シフトレジスタ
223、224 比較器
225 比較ビット数設定レジスタ
226 親機パターン検出回路
230、230X 制御部
231 誤検出カウンタ
232 別親機カウンタ
233 フレーム数カウンタ
234 周波数優先順位レジスタ
235 送受信データバッファ
240 電源制御部
250 検知部
260 センサ
270 通話部
ANT アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
子機として動作する通信装置であって、
他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する通信部と、
前記通信部により受信された信号に含まれる同期パターンを少なくとも用いて、親機として動作する通信装置を検出するための親機検出処理を行う親機検出部と、
前記親機検出部による前記親機検出処理の結果に基づいて、親機から受信した信号中の前記同期パターンの前に存在する信号パターンのうち、前記同期パターンとともに前記親機検出処理に用いる前記信号パターンのビット数を制御する制御部と、
を備える通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置であって、
前記制御部は、前記親機検出部により前記親機として動作する通信装置を誤検出した頻度に基づいて、前記親機検出処理に用いる前記信号パターンのビット数を制御する通信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信装置であって、
前記制御部は、前記誤検出の頻度が第1の所定頻度以上であった場合、前記親機検出処理に用いる前記信号パターンのビット数を増加させる通信装置。
【請求項4】
請求項2に記載の通信装置であって、
前記制御部は、前記誤検出の頻度が第1の所定頻度よりも小さい第2の所定頻度未満であった場合、前記親機検出処理に用いる前記信号パターンのビット数を減少させる通信装置。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか1項に記載の通信装置であって、
前記制御部は、前記通信部により受信されたフレーム数が所定フレーム数以上の場合、前記親機検出処理に用いる信号パターンのビット数を制御する通信装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれか1項に記載の通信装置であって、
前記制御部は、前記信号パターンのビットのうち、前記同期パターンの直前のビットのビット数を制御する通信装置。
【請求項7】
子機として動作する通信装置であって、
他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する通信部と、
親機として動作する通信装置を検出するための親機検出処理を行う親機検出部と、
前記親機検出部による前記親機検出処理を行う周波数の優先順位として、他の子機が親機検出処理を行う周波数の優先順位とは異なる優先順位を記憶する記憶部を有し、前記親機検出部による前記親機検出処理を制御する制御部と、
を備え、
前記親機検出部は、前記記憶部に記憶された優先順位に基づく周波数で前記親機検出処理を行う通信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の通信装置であって、
前記制御部は、前記親機として動作する通信装置に当該子機として動作する通信装置を登録するための前記通信部を介した登録処理と、前記親機検出部により検出された親機が前記登録処理が行われた親機であるかを認識するための認識処理と、を行い、
前記通信部は、前記制御部により前記登録処理が行われた親機としての通信装置が認識されるまでに、前記登録処理が行われていない親機としての通信装置が認識された回数が、第3の所定回数以上である場合、前記親機検出処理に用いる信号が通信される周波数の変更を要求するための周波数変更要求信号を送信する通信装置。
【請求項9】
請求項7に記載の通信装置であって、
前記制御部は、前記親機として動作する通信装置に当該子機として動作する通信装置を登録するための前記通信部を介した登録処理と、前記親機検出部により検出された親機が前記登録処理が行われた親機であるかを認識するための認識処理と、を行い、
前記通信部は、前記制御部により前記登録処理が行われた親機としての通信装置が認識されるまでに、前記登録処理が行われていない親機としての通信装置が認識された回数が、第3の所定回数以上である場合、前記記憶部に記憶された優先順位に基づいて、前記親機検出処理を行う周波数を変更する通信装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の通信装置であって、更に、
所定の情報を検知するセンサ部と、
前記通信部、前記親機検出部、および前記制御部の電源を制御する電源制御部と、
を備え、
前記電源制御部は、前記センサ部により前記所定の情報が検知されたとき、前記通信部、前記親機検出部、および前記制御部の電源をオンとするよう制御し、前記通信部により前記親機としての通信装置との間で通信が完了したとき、前記親機検出部、前記通信部、および前記制御部の電源をオフとするよう制御する通信装置。
【請求項11】
親機として動作する通信装置であって、
他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する通信部と、
前記通信部により第1の子機として動作する通信装置との間で制御データが通信される周波数の優先順位として、第2の子機との間で制御データが通信される周波数の優先順位とは異なる優先順位を記憶する記憶部と、
前記記憶部により記憶された優先順位に基づいて、前記通信部により前記第1の子機として動作する通信装置との間で前記制御データが通信される周波数を制御する制御部と、
を備える通信装置。
【請求項12】
請求項11に記載の通信装置であって、
前記制御部は、前記通信部により前記第1の子機として動作する通信装置との間で前記制御データが通信される周波数の変更を要求するための周波数変更要求信号を受信したとき、前記記憶部に記憶された優先順位に基づいて、前記通信部により前記第1の子機として動作する通信装置との間で前記制御データが通信される周波数を変更する通信装置。
【請求項13】
第1の子機として動作する第1の通信装置と、第2の子機として動作する第2の通信装置と、親機として動作する第3の通信装置と、を有する通信システムであって、
前記第1の通信装置は、
他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する第1の通信部と、
前記第1の通信部により受信された信号に含まれる同期パターンを少なくとも用いて、前記第3の通信装置を検出するための親機検出処理を行う第1の親機検出部と、
前記第1の親機検出部による前記親機検出処理の結果に基づいて、親機から受信した信号中の前記同期パターンの前に存在する信号パターンのうち、前記同期パターンとともに前記親機検出処理に用いる前記信号パターンのビット数を制御する第1の制御部と、
を備え、
前記第2の通信装置は、
他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する第2の通信部と、
前記第2の通信部により受信された信号に含まれる同期パターンを用いて、前記第3の通信装置を検出するための親機検出処理を行う第2の親機検出部と、
を備える通信システム。
【請求項14】
第1の子機として動作する第1の通信装置と、第2の子機として動作する第2の通信装置と、親機として動作する第3の通信装置と、を有する通信システムであって、
前記第3の通信装置は、
他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する第3の通信部と、
前記通信部により前記第1の通信装置との間で制御データが通信される周波数の優先順位を記憶する記憶部と、
前記第1の通信装置と通信を行う場合には、前記記憶部により記憶された優先順位に基づいて、前記通信部により制御データが通信される周波数を設定し、前記第2の通信装置と通信を行う場合には、前記第2の通信装置との間の通信回線の状態に基づいて、前記通信部により制御データが通信される周波数を設定する第3の制御部と、
備える通信システム。
【請求項15】
請求項14に記載の通信システムであって、
前記制御部により前記制御データが通信される周波数が変更するとき、前記第1の通信装置との間で通信を行う場合と前記第2の通信装置との間で通信を行う場合とで、前記制御データが通信される周波数の優先順位が異なる通信システム。
【請求項16】
請求項15に記載の通信システムであって、
前記第3の制御部は、前記第1の通信装置との間で制御データが通信される周波数の優先順位を第1の順とし、前記第2の通信装置との間で制御データが通信される周波数の優先順位を前記第1の順と逆の第2の順とし、
前記第1の通信装置は、前記第3の通信装置を検出するための親機検出処理を行う周波数の優先順位を前記第1の順とする第1の制御部を備え、
前記第2の通信装置は、前記第3の通信装置を検出するための親機検出処理を行う周波数の優先順位を前記第2の順とする第2の制御部を備える通信システム。
【請求項17】
請求項14に記載の通信システムであって、
前記第3の制御部は、前記第3の通信部により制御データが通信される周波数の変更を要求するための周波数変更要求信号を前記第1の通信装置から受信したとき、前記記憶部により記憶された優先順位に基づいて、前記通信部により制御データが通信される周波数を変更し、前記周波数変更要求信号を前記第2の通信装置から受信したとき、前記第2の通信装置との間の通信回線の状態に基づいて、前記通信部により制御データが通信される周波数を変更する通信システム。
【請求項18】
子機として動作する通信装置における通信方法であって、
他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信するステップと、
受信された信号に含まれる同期パターンを少なくとも用いて、親機として動作する通信装置を検出するための親機検出処理を行うステップと、
前記親機検出処理の結果に基づいて、親機から受信した信号中の前記同期パターンの前に存在する信号パターンのうち、前記同期パターンとともに前記親機検出処理に用いる前記信号パターンのビット数を制御するステップと、
を有する通信方法。
【請求項19】
子機として動作する通信装置における通信方法であって、
他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信する通信ステップと、
親機として動作する通信装置を検出するための親機検出処理を行う検出ステップと、
前記親機検出処理を制御する制御ステップと、
を有し、
前記検出ステップにおいて、前記親機検出処理を行う周波数の優先順位として、他の子機が親機検出処理を行う周波数の優先順位とは異なる優先順位を記憶する記憶部、に記憶された優先順位に基づく周波数で、前記親機検出処理を行う通信方法。
【請求項20】
親機として動作する通信装置における通信方法であって、
他の通信装置との間でTDMA(Time Division Multiple Access)により信号を通信するステップと、
前記通信部により第1の子機として動作する通信装置との間で制御データが通信される周波数の優先順位として、第2の子機との間で制御データが通信される周波数の優先順位とは異なる優先順位を記憶する記憶部、により記憶された優先順位に基づいて、前記第1の子機として動作する通信装置との間で前記制御データが通信される周波数を制御するステップと、
を有する通信方法。
【請求項21】
請求項18に記載の通信方法の各ステップをコンピュータに実行させるための通信プログラム。
【請求項22】
請求項19に記載の通信方法の各ステップをコンピュータに実行させるための通信プログラム。
【請求項23】
請求項20に記載の通信方法の各ステップをコンピュータに実行させるための通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−30849(P2013−30849A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163703(P2011−163703)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】