説明

通信装置、通信方法、通信システム、および基地局

【課題】プリアンブルの送信によりデータ伝送を実現するための通信装置、通信方法、通信システム、および基地局を提供する。
【解決手段】複数のシグネチャから1のシグネチャを選択するシグネチャ選択部と、前記シグネチャ選択部により選択されたシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成するプリアンブル生成部と、を備え、前記シグネチャ選択部は、送信データの値に対応するシグネチャを選択する、通信装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、通信方法、通信システム、および基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(Third Generation Partnership Project)において、次世代の通信方式であるLTE(Long Term Evolution)方式、および、LTE方式をさらに高度化したLTE−Advanced(LTE−A)の標準化作業が進められている。LTEやLTE−Aでは、WCDMA方式のような3G方式よりも最大通信速度やセルエッジでの品質を向上するための数々の改良が検討されている。これにより、新たなモバイル高速データ通信環境が提供されるようになると考えられる。例えば、ユーザは、Webや動画などの情報量の大きいコンテンツをスマートフォンなどで快適にダウンロードすることが可能となる。
【0003】
一方、3GPPでは、MTC(Machine Type Communications)に関する議論も進められている。MTCは、一般的にM2M(Machine to Machine)と同義であり、機械と機械の間の人間が直接利用しない通信を意味する。このMTCは、主として、サーバと、人間が直接利用しないMTC端末との間で行われる。
【0004】
上記のMTC端末を含むUEは、一般的に、eNodeBなどの基地局とランダムアクセスと呼ばれる手順を実行することにより基地局10と接続され、基地局10との接続後に基地局とデータ通信を行うことが可能となる。なお、ランダムアクセス手順については例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−071706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のランダムアクセス、およびランダムアクセス後のデータ伝送を行うと、相応の電力が消費される。特に、MTC端末は低消費電力が求められるので、データ伝送のための消費電力の削減が強く望まれる。
【0007】
そこで、本開示ではプリアンブルの送信によりデータ伝送を実現するための、新規かつ改良された通信装置、通信方法、通信システム、および基地局を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、複数のシグネチャから1のシグネチャを選択するシグネチャ選択部と、前記シグネチャ選択部により選択されたシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成するプリアンブル生成部と、を備え、前記シグネチャ選択部は、送信データの値に対応するシグネチャを選択する、通信装置が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、複数のシグネチャから1のシグネチャを選択することと、選択されたシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成することと、を含み、前記シグネチャを選択することは、送信データの値に対応するシグネチャを選択することを含む、通信方法が提供される。
【0010】
また、本開示によれば、複数のシグネチャから1のシグネチャを選択するシグネチャ選択部、および、前記シグネチャ選択部により選択されたシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成するプリアンブル生成部、を有し、前記シグネチャ選択部は、送信データの値に対応するシグネチャを選択する、通信装置と、前記通信装置から受信されるプリアンブルのシグネチャに基づいて前記送信データを判定する基地局と、を備える、通信システムが提供される。
【0011】
また、本開示によれば、送信データの値に対応するシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成する通信装置から前記プリアンブルを受信する受信部と、前記プリアンブルのシグネチャに基づいて前記送信データを判定するデータ判定部と、を備える、基地局が提供される。
【0012】
また、本開示によれば、送信データの値に対応するシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成する通信装置から前記プリアンブルを受信することと、前記プリアンブルのシグネチャに基づいて前記送信データを判定することと、を含む通信方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本開示によれば、プリアンブルの送信によりデータ伝送を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の実施形態による通信システムの構成を示した説明図である。
【図2】フレームフォーマットを示した説明図である。
【図3】LTEによるランダムアクセスの手順を示す図面である。
【図4】UEによって生成されるプリアンブルの周波数領域での概念を示す説明図である。
【図5】各PRACHコンフィギュレション・インデックス値により規定されるランダムアクセスリソースを示した説明図である。
【図6】WCDMA方式によるランダムアクセス手順を示したシーケンス図である。
【図7】本開示の第1の実施形態によるUEの構成を示した機能ブロック図である。
【図8】送信データの具体例を示した説明図である。
【図9】データとシグネチャの対応関係を示すマッピング情報の具体例を示した説明図である。
【図10】プリアンブル生成部の構成を示した説明図である。
【図11】本開示の第1の実施形態による基地局の構成を示した機能ブロック図である。
【図12】本開示の第1の実施形態による動作を整理したシーケンス図である。
【図13】マッピング情報の変更動作を示した説明図である。
【図14】本開示の第2の実施形態によるUEの構成を示した機能ブロック図である。
【図15】データとランダムアクセスリソースの対応関係を示すマッピング情報の具体例を示した説明図である。
【図16】サブフレーム、無線フレーム、およびスーパーシステムフレームの関係を示した説明図である。
【図17】本開示の第2の実施形態による基地局の構成を示した機能ブロック図である。
【図18】本開示の第2の実施形態による動作を整理したシーケンス図である。
【図19】本開示の第3の実施形態によるUEの構成を示した機能ブロック図である。
【図20】送信データを分割して得られるシグネチャの選択用データおよびランダムアクセスリソースの選択用データを示した説明図である。
【図21】本開示の第3の実施形態による基地局の構成を示した機能ブロック図である。
【図22】本開示の第3の実施形態による動作を整理したシーケンス図である。
【図23】暗号化データの分割を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じてUE20A、20Bおよび20Cのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、UE20A、20Bおよび20Cを特に区別する必要が無い場合には、単にUE20と称する。
【0017】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.無線通信システムの概略
1−1.無線通信システムの構成
1−2.フレーム構成
1−3.ランダムアクセス
1−4.背景
2.第1の実施形態
2−1.第1の実施形態によるUEの構成
2−2.第1の実施形態による基地局の構成
2−3.第1の実施形態の動作
3.第2の実施形態
3−1.第2の実施形態によるUEの構成
3−2.第2の実施形態による基地局の構成
3−3.第2の実施形態の動作
4.第3の実施形態
4−1.第3の実施形態によるUEの構成
4−2.第3の実施形態による基地局の構成
4−3.第3の実施形態の動作
4−4.変形例
5.むすび
【0018】
<<1.無線通信システムの概略>>
本開示による技術は、一例として「2.第1の実施形態」〜「4.第3の実施形態」において詳細に説明するように、多様な形態で実施され得る。また、各実施形態によるUE(通信装置)および基地局は、プリアンブルの送信によりデータ伝送を実現することが可能である。以下では、まず、このような各実施形態において共通する無線通信システムの概略を説明する。
【0019】
<1−1.無線通信システムの構成>
図1は、本開示の実施形態による通信システム1の構成を示した説明図である。図1に示したように、本開示の実施形態による通信システム1は、基地局10と、コアネットワーク12と、UE(User Equipment)20A〜20Cと、を備える。
【0020】
UE20は、基地局10により割り当てられたダウンリンク用のリソースブロックにおいて受信処理を行い、アップリンク用のリソースブロックにおいて送信処理を行う通信装置である。
【0021】
このUE20は、例えば、スマートフォン、PC(Personal Computer)、家庭用映像処理装置(DVDレコーダ、ビデオデッキなど)、PDA(Personal Digital Assistants)、家庭用ゲーム機器、家電機器などの情報処理装置であってもよい。また、UE20は、携帯電話、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、携帯用ゲーム機器などの移動通信装置であってもよい。
【0022】
さらに、UE20は、MTC端末であってもよい。MTC端末は、3GPPで議論されている、機械と機械の間の人間が直接利用しない通信であるMTCに特化した無線端末である。例えば、医療系のMTCアプリケーションとして、MTC端末が、人間の心電図情報を収集し、あるトリガ条件が満たされた場合に心電図情報をアップリンクで送信することが考えられる。他のMTCアプリケーションとして、自動販売機をMTC端末として機能させ、MTC端末が、自動販売機の在庫や売上をアップリンクで送信することも考えられる。
【0023】
このようなMTC端末は、一例として一般的には以下の特徴を有するが、各MTC端末が以下の全ての特徴を有する必要はなく、いずれの特徴を有するかはアプリケーションに依存する。
・移動がほとんどない(Low Mobility)
・小容量のデータ転送(Online Small Data Transmission)
・超低消費電力(Extra Low Power Consumption)
・各MTCをグルーピングしてハンドリング(Group based MTC Features)
【0024】
基地局10は、カバレッジに含まれるUE20と通信する無線基地局である。なお、基地局10は、eNodeB、リレーノード、フェムトセル基地局、ピコセル基地局、リモートラジオヘッド(RRH)などであってもよい。なお、図1においてはコアネットワーク12に1つの基地局10のみが接続される例を示しているが、実際には多数の基地局10がコアネットワーク12に接続される。
【0025】
コアネットワーク12は、MME(Mobility Management Entity)やサービングGW(Gateway)などの管理ノードを含む事業者側のネットワークである。MMEは、データ通信用のセッションの設定、開放やハンドオーバーの制御を行う装置である。このMMEは、eNodeB10とS1と呼ばれるインタフェースを介して接続される。S−GWは、ユーザデータのルーティング、転送などを行う装置である。
【0026】
<1−2.フレーム構成>
続いて、上述した基地局10とUE20との間で共有されるフレームの構成について説明する。
【0027】
図2は、フレームフォーマットを示した説明図である。図2に示したように、10msの無線フレームは、10個の1msのサブフレーム#0〜#9から構成されている。各サブフレームは、14OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルからなる。1つのリソースブロックは、このサブフレーム長の12本のOFDMサブキャリアと、このサブフレームからなり、スケジューリングの割り当てはこのリソースブロック単位で行われる。なお、1OFDMシンボルは、OFDM変調方式の通信方式で用いられる単位であり、1回のFFT(Fast Fourier Transform)で処理されたデータを出力する単位である。
【0028】
また、各サブフレームは制御領域およびデータ領域からなる。制御領域は、先頭の1〜3OFDMシンボルからなり、PDCCH(Phy DownLink Control Channel)と呼ばれる制御信号の送信のために用いられる。また、制御領域に続くデータ領域は、PDSCH(Phy DownLink Shared Channel)と呼ばれるユーザデータなどの送信のために用いられる。
【0029】
<1−3.ランダムアクセス>
ところで、UE20は、ランダムアクセスと呼ばれる一連の動作を基地局10との間で行う。このランダムアクセスは、例えば、UE20がアイドルモードから基地局10に初期アクセスする場合、ハンドオーバーを開始する場合、基地局10からの要求があった場合、送信系の同期が外れているときにダウンリンクデータを受信する場合などに行われる。本開示による技術は、このランダムアクセスと深く関連するので、ランダムアクセスについて以下詳細に説明する。
【0030】
(ランダムアクセスの一般論)
ランダムアクセスは、一般に、コンテンション型とノン・コンテンション型とに大別される。コンテンション型は、ランダムアクセスの初期に送信されるプリアンブルが他の端末との競合を許容する方法である。また、ノン・コンテンション型は、プリアンブルの競合が起こらないように事前に所定のシグネチャを報知する方法である。なお、シグニチャとは、プリアンブルが担っている特定の情報を指す。
【0031】
なお、本開示では、ハンドオーバーなどのために用いられるノン・コンテンション型ではなく、主にコンテンション型のランダムアクセスを主に想定して説明を進めるが、ノン・コンテンション型に対しても本開示による技術を適用可能である。
【0032】
また、大小様々なセルサイズに対応できるように、FDD(周波数多重)システムにおいては、プリアンブル長が異なる0〜3までの4種類のプリアンブルフォーマットが定義されている。フォーマット0のプリアンブル長は1ms、フォーマット1および2のプリアンブル長は2ms、フォーマット3のプリアンブル長は3msである。なお、本開示では、プリアンブルがFDDシステムにおけるフォーマット0を有する例を主に説明するが、プリアンブルは、他のフォーマットを有してもよいし、本開示による技術はTDD(時間多重)システムなどの他のシステムにも適用可能である。
【0033】
以下、このようなランダムアクセスの具体的な手順について、LTEによるランダムアクセスの手順を示す図3を参照して説明する。なお、以下で説明する手順はある観点によるランダムアクセスの手順であり、本開示による実施形態では、詳細については「2.第1の実施形態」以降で説明するように、ランダムアクセスを他の方法、用途で行うことも可能である。
【0034】
(システム情報の取得)
図3に示したように、UE20は、まず基地局10からシステム情報を受信する(S81)。このシステム情報は、物理層ランダムアクセスチャネル(PRACH)の時間的な配置場所を示すPRACHコンフィギュレション・インデックス値、PRACHのシステム帯域内での周波数的な位置、PRACHの周波数上の幅、論理ルートシーケンス値、およびサイクリックシフト設定値などを含む。論理ルートシーケンス値は、プリアンブルのシグネチャの生成に用いられ、サイクリックシフト設定値は、シグネチャ間の距離を指定する。
【0035】
(プリアンブルの生成)
続いて、UE20は、ランダムアクセスの要求が発生すると、論理ルートシーケンス値およびサイクリックシフト設定値から生成される64個のシグネチャ候補から1つのシグネチャを選択し、選択したシグネチャを有するプリアンブルを生成する(S82)。
【0036】
より詳細に説明すると、論理ルートシーケンス値は0〜837の間の値を有し、UE20は、この論理ルートシーケンス値から、所定のマッピング表を用いて物理ルートシーケンス数を決定する。なお、マッピング表は、論理ルートシーケンス値と物理ルートシーケンス数の一対一の対応関係を示す表である。
【0037】
そして、UE20は、上記の物理ルートシーケンス数、およびサイクリックシフト設定値から、例えばZadoff Chuシーケンス生成アルゴリズムに従って、839個の複素数のシーケンスであるZadoff Chuシーケンスを生成する。Zadoff Chuシーケンスは、自己相関および相互相関特性が優れている。また、Zadoff Chuシーケンスによる送信信号の包絡線は一定の振幅になるので、パワーアンプでの送信ひずみを小さくすることができる。続いて、UE20は、異なる物理ルートシーケンス数とサイクリックシフト設定値から求められる64この異なるZadoff Chuシーケンスから1つのZadoff Chuシーケンスを選択する。そして、UE20は、Zadoff Chuシーケンスをシグネチャとして用いてプリアンブルを生成する。
【0038】
図4は、UE20によって生成されるプリアンブルの周波数領域での概念を示す説明図である。なお、図4においては、フォーマット0のプリアンブルを示している。図4に示したように、プリアンブルは、Zadoff Chuシーケンスから生成されたプリアンブルシンボルに、サイクリックサイクリックプリフィックスが付加される。
【0039】
また、プリアンブルシンボルのシンボル長は0.8msであり、サイクリックプリフィックス長が約0.1msである。このため、図4に示したように、プリアンブルシンボルの終端から次のリソースブロックの始端との間に、約0.1msのガードタイムが確保されている。ガードタイムは、UE20によるプリアンブルの送信から基地局10へのプリアンブルの到着までに要する時間のUE20ごとの相違を考慮して設けられた時間である。なお、ガードタイムはタイミングアドバンス値(TA)を用いていないプリアンブル送信時に必要であるが、UE20は、その他の信号の送信時、ランダムアクセスレスポンスから得られるTA値を用いて、基地局による受信信号のタイムアライメントが実現されるように信号を送信する。
【0040】
また、FDDのフォーマット0では、プリアンブルの信号サブキャリア間隔が1.25kHzであるので、図4に示したように、6つのリソースブロックに相当する1.08MHz幅の帯域がプリアンブル送信のために占有される。
【0041】
(プリアンブルの送信)
その後、UE20は、PRACHコンフィギュレション・インデックス値で規定される通信リソース(タイムスロット)のうち、次に到来するリソースを用いてプリアンブルを送信する(S83)。
【0042】
より詳細に説明すると、PRACHコンフィギュレション・インデックス値は、0〜63の間の値を有する。このうち、フォーマット0に対応するPRACHコンフィギュレション・インデックス値は0〜15である。以下、図5を参照し、各PRACHコンフィギュレション・インデックス値により規定されるランダムアクセスのためのリソースをより具体的に説明する。
【0043】
図5は、各PRACHコンフィギュレション・インデックス値により規定されるランダムアクセスリソースを示した説明図である。図5において、SFN(System Frame Number)は無線フレームの通し番号であり、SFNには0〜1023が定義されている。
【0044】
図5に示したように、各PRACHコンフィギュレション・インデックス値により規定されるランダムアクセスリソースは、周期およびオフセットなどの周期的パターンが異なる。例えば、インデックス値「0」、「1」、「2」、「15」は、SFNが偶数である各無線フレームに含まれる1つのサブフレームのリソースを規定する。一方、インデックス値「3」〜「5」は、全ての無線フレームの各々に含まれる1つのサブフレームのリソースを規定する。以下同様に、大きなインデックス値ほどより多くのリソースを規定する。基地局10は、システム帯域や、収容ユーザ数などの条件に基づき、ランダムアクセスリソースが適切に確保されるようにこのインデックス値を事前に決定し、セル内の各UE20にインデックス値を含むシステムインフォメーションを報知する。
【0045】
(ランダムアクセスリスポンス)
基地局10は、プリアンブルをUE20から受信すると、受信したプリアンブルのシグネチャ(Zadoff Chuシーケンス)と、64種類のシグネチャとの相関値を取得し、この相関値から、受信したプリアンブルのシグネチャを特定することができる。その後、基地局10は、ランダムアクセスリスポンスと呼ばれるメッセージをPDCCHによりUE20に送信する(S84)。
【0046】
より詳細に説明すると、ランダムアクセスリスポンスは、特定したプリアンブルのシグネチャのID、UE20および基地局10間の距離に比例する伝送遅延を補正するためのタイミングアドバンス値(TA)、UE20の識別子であるセル無線ネットワークテンポラリID(C−RNTI)、および20ビットの送信許可データなどを含む。UE20は、ランダムアクセスリスポンスに含まれるシグネチャのIDが正しければ、プリアンブル送信が成功したと認識する。一方、UE20は、シグネチャのIDが正しくなければ、所定の再送手続きを行う。
【0047】
(L2/L3メッセージ)
UE20は、正しいシグネチャのIDを含むランダムアクセスリスポンスを受信すると、L2/L3メッセージを基地局10に送信する(S85)。L2/L3メッセージは、レイヤー2情報、レイヤー3情報と呼ばれる、RRC接続要求、トラッキングエリア更新要求、およびスケジューリング要求などの制御メッセージを含むが、ユーザデータを含まない。
【0048】
(コンテンション・リゾリューション・メッセージ)
そして、基地局10が、UE20からL2/L3メッセージを受信して、UE20にコンテンション・リゾリューション・メッセージを送信すると(S86)、基地局10とUE20との接続が確立される。その後、UE20は、基地局10と任意のユーザデータを通信することが可能となる。
【0049】
<1−4.背景>
以上、無線通信システム1の概要を説明した。続いて、本開示の各実施形態の詳細な説明に先立ち、本開示の各実施形態に至る背景を説明する。
【0050】
将来、MTC端末のように、小容量のデータを極めて低い頻度で通信する端末が普及すると考えられる。このような端末は、電池の交換を最小限に抑えるために、低消費電力であることが望まれる。したがって、従来のLTE方式で実現しようとしている広帯域、高速化とは大幅に異なる技術仕様が求められる。
【0051】
上記の小容量データ通信を実現するための通信技術として、IEEE802.11で規定されるWLAN(Wireless Local Area Network)、および、セルラー方式が挙げられる。
【0052】
WLANでは、データ送信の必要な時に、最小パケット数で通信を行うことが可能である。これにより、低消費電力、かつ、低ビットレートでの通信を実現することができる。しかし、WLANは、通常100m程度の比較的狭いエリアを対象とした通信方式であるので、広域に渡る通信が求められる用途に適用する困難性が高い。
【0053】
一方、セルラー方式は、1つのセルによってキロメートルオーダーの広域なエリアをカバーできる点でWLANよりも優れる。例えば、広域に渡ってセンサ機能を有するMTC端末を配置し、MTC端末がセンサデータを基地局に無線伝送するシステムには、セルラー方式を用いた小容量のデータ通信が適切な手段であると考えられる。
【0054】
具体的には、セルラー方式の一例であるWCDMA方式(第三世代セルラーシステム)によれば、ランダムアクセスチャネルを用いて小容量のデータ通信を行うことが可能である。WCDMA方式によるランダムアクセス手順は、上述したLTEによるランダムアクセス手順と概略同じであるが、ユーザメッセージ送信に関して若干異なる点があるので、図6を参照し、WCDMA方式によるランダムアクセス手順を説明する。
【0055】
(WCDMA方式によるランダムアクセス)
図6は、WCDMA方式によるランダムアクセス手順を示したシーケンス図である。まず、UEは、基地局からランダムアクセスに用いる基本的なシステム情報の報知を受けた後(S91)、基地局に対してプリアンブルを送信する(S92)。
【0056】
その後、基地局は、AICHチャネルを用いてUEにPRACHレスポンス(ACK/NACK)を送信する(S93)。そして、UEは、AICHでACKを確認すると、基地局に対してPUSCHによりUEメッセージを送信する(S94)。ここで、WCDMAでは、UEは、数百ビット程度のユーザデータを送信することが可能である。なお、UEは、NACKを受信した場合、プリアンブルの送信を再度試みる。
【0057】
(WCDMA方式の課題)
上記のように、WCDMA方式では、ランダムアクセス手順により小容量のデータ通信を実現できる。しかし、セルラー方式は、WLANよりも複雑なプロトコルや信号処理を用いること、および、より大きな送信電力レベルを有する送信回路を用いることなどから、WCDMA方式での上記データ通信のための消費電力はWLANの消費電力よりも大きい。このため、WCDMA方式のランダムアクセス手順を用いたデータ通信では、WLANと同程度のバッテリ駆動時間を得ることは難しいと考えられる。
【0058】
また、別の観点からのWCDMA方式の課題として、LTE方式へのシステム移行が挙げられる。WCDMA方式は、LTE方式に対して古い世代の通信方式であるので、今後新たに展開されるセルラーシステムの多くには、高速性、システム容量に優れるLTE方式が採用されると考えられる。また、現在運用されているWCDMA方式を用いるセルラーシステムも、順次にLTE方式に移行すると考えられる。
【0059】
このように、WCDMA方式は、消費電力が大きく、かつ、ネットワークとしての世代を考慮すると、小容量データ通信を低消費電力で実現するためにWCDMA方式を用いることは最適解でないと考えられる。
【0060】
(LTE方式の検討)
また、図3を参照して説明したLTE方式による一般的なランダムアクセス手順では、プリアンブルに続いてL2/L3メッセージの送信が許容されているが(S85)、ユーザデータの送信が許容されていない。このため、LTE方式による一般的なランダムアクセス手順では、WCDMA方式のように小容量データ通信を実現することが困難である。
【0061】
この点について、LTE方式においても、L2/L3メッセージの送信と共にユーザデータの送信を許容するアイデアも考えられる。この場合、LTE方式においてもWCDMA方式のように小容量データ通信を実現することが可能となる。しかし、L2/L3メッセージの送信と共にユーザデータの送信が許容されても、WCDMA方式と同程度の消費電力が想定されるので、WCDMA方式と同様に、十分なバッテリ駆動時間を確保することが困難である。
【0062】
また、上記のようなバッテリ駆動時間に加え、RAN(Radio Network)のオーバーロードが懸念される。すなわち、極めて多数のUEが存在するセルラーシステムで多数のUEが一斉にランダムアクセスを開始する場合、基地局とUE間の無線区間が混雑し、著しい性能低下を起こすことが知られている。将来のセルラーシステムでは、MTC端末がセル内に極めて多数存在することが想定されることから、RANオーバーロードの発生は極めて重要になる。このようなRANのオーバーロードに対する懸念は、L2/L3メッセージにユーザデータを付加する方法では十分に解決されない。
【0063】
(本開示の意義)
本開示の各実施形態は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、本開示の各実施形態によれば、プリアンブルの送信によりデータ伝送を実現することが可能である。これにより、低消費電力を実現すると共に、RANオーバーロードの発生を抑制することが可能となる。以下、このような本開示の各実施形態について順次詳細に説明する。
【0064】
<<2.第1の実施形態>>
本開示の第1の実施形態によるUE20−1は、プリアンブルのシグネチャを送信データの値に応じて選択する。これにより、プリアンブルを受信した基地局10−1は、プリアンブルのシグネチャから送信データを判定することが可能となる。
【0065】
<2−1.第1の実施形態によるUEの構成>
図7は、本開示の第1の実施形態によるUE20−1の構成を示した機能ブロック図である。図7に示したように、本開示の第1の実施形態によるUE20−1は、アンテナ群204と、無線処理部210と、ダウンリンク信号検出部230と、アップリンク信号検出部240と、送信データ生成部250と、マッピング記憶部260と、マッピング管理部264と、シグネチャ選択部268と、プリアンブル生成部270と、を備える。
【0066】
アンテナ群204は、基地局10−1から無線信号を受信して電気的な高周波信号を取得し、高周波信号を無線処理部210へ供給する。また、アンテナ群204は、無線処理部210から供給される高周波信号に基づいて無線信号を基地局10−1に送信する。UE20−1は、このように複数のアンテナからなるアンテナ群204を備えるため、MIMO通信やダイバーシティ通信を行うことが可能である。
【0067】
無線処理部210は、増幅、フィルタリング、およびダウンコンバージョンなどのアナログ処理を行うことにより、アンテナ群204から供給される高周波信号をベースバンド信号(ダウンリンク信号)に変換する。また、無線処理部210は、アップリンク信号生成部240などから供給されるベースバンド信号(アップリンク信号)を高周波信号に変換する。このように、無線処理部210は、アンテナ群204と共に、送信部および受信部として機能する。なお、無線処理部210は、アップリンク信号をDA変換する機能、および、ダウンリンク信号をAD変換する機能を有してもよい。
【0068】
ダウンリンク信号検出部230は、無線処理部210から供給されるダウンリンク信号から、PDCCHのような制御信号や、PDSCHのようなユーザデータを検出する。なお、送信データの値とシグネチャの対応関係を示すマッピング情報を基地局10−1が決定/管理する場合、当該マッピング情報はPDCCHまたはPDSCHに配置されてもよい。
【0069】
アップリンク信号生成部240は、基地局10−1に送信するためのアップリンク信号を生成する。具体的には、アップリンク信号生成部240は、PUCCHのような制御信号や、PUSCHのようなユーザデータ信号を生成する。なお、マッピング情報をUE20−1が決定/管理する場合、アップリンク信号生成部240は、当該マッピング情報をPUCCHまたはPUSCHに配置してもよい。
【0070】
送信データ生成部250は、基地局10−1に伝送する送信データを生成する。この送信データは、アプリケーションデータ、および、UE20−1の識別データを含む。以下、図8を参照し、この送信データについてより具体的に説明する。
【0071】
図8は、送信データの具体例を示した説明図である。図8に示したように、送信データは例えばビットb1〜ビットb6の6ビットからなり、ビットb1およびb2にアプリケーションデータが割り当てられ、ビットb3〜b6に識別データが割り当てられる。
【0072】
アプリケーションデータは、UE20−1の有するアプリケーションや、UE20−1が担う役割に応じたデータである。例えば、UE20−1が自動販売機に設けられ、自動販売機の状況、売上を報告する役割を担う場合、アプリケーションデータは、自動販売機の売り上げや在庫量を示すデータであってもよい。具体的には、自動販売機の一日の売り上げが所定値を上回っていた場合にビットb1に「1」が設定されてもよいし、自動販売機への商品の補充が必要になった場合にビットb2に「1」が設定されもよい。その他、本実施形態は多様なアプリケーションに適用可能であるので、多様なデータがアプリケーションデータとして想定される。
【0073】
識別データは、UE20−1を識別するためのデータである。この識別データは、UE20−1にユニークなIDであってもよいが、ユニークなIDを表現するために十分なビットが割り当てられていない場合、識別データは、セル内でユニークなローカルIDであってもよい。この場合、基地局10−1が各UE20−1のローカルIDとユニークIDとの対応関係を保持していれば、この識別データに基づいてUE20−1を特定することが可能である。または、識別データは、UE20−1が属するグループを示すデータであってもよい。例えば、自動販売機の個々の売り上げでなく、自動販売機の地区ごとの売り上げを事業者が知りたい場合、同一地区の自動販売機に設けられたUE20−1のグループが同一の識別データを用いることにより上記目的を達成することが可能である。
【0074】
また、図7に示したマッピング記憶部260は、データとシグネチャの対応関係を示すマッピング情報(第1のマッピング情報)を記憶する。このマッピング情報は、基地局10−1とUE20−1との間で共有される。例えば、基地局10−1がマッピング情報を決定/管理する場合、基地局10−1がマッピング情報をUE20−1に送信することにより、マッピング情報が共有される。なお、同一セル内に存在する複数のUE20−1は同一のマッピング情報を有してもよいし、異なるマッピング情報を有してもよい。以下、図9を参照し、このようなマッピング情報について具体的に説明する。
【0075】
図9は、データとシグネチャの対応関係を示すマッピング情報の具体例を示した説明図である。図9に示したように、マッピング情報は、6ビットの「000000」〜「111111」の各データと、シグネチャ0〜シグネチャ63のうちのいずれかのシグネチャとの対応関係を規定する。例えば、データ「000010」にはシグネチャ2が対応付けられている。なお、シグネチャ0〜シグネチャ63は、基地局10−1から報知される論理ルートシーケンス値およびサイクリックシフト設定値から算出される64個のシグネチャである。
【0076】
マッピング管理部264は、このようなマッピング情報を管理する。例えば、マッピング管理部264は、マッピング情報を決定してもよいし、マッピング情報を必要に応じて変更してもよい。マッピング情報を例えば定期的に変更することにより、データの秘匿性を向上することが可能である。
【0077】
シグネチャ選択部268は、送信データ生成部250により生成された送信データに対応するシグネチャを、マッピング記憶部260に記憶されているマッピング情報に基づいて選択する。例えば、送信データが「000010」である場合、シグネチャ選択部268は、論理ルートシーケンス値およびサイクリックシフト設定値から算出される64個のシグネチャから、「000010」に対応付けられているシグネチャ2を選択する。
【0078】
プリアンブル生成部270は、シグネチャ選択部268により選択されたシグネチャを用いてプリアンブルを生成する。以下、図10を参照し、プリアンブル生成部270の詳細な構成を説明する。
【0079】
図10は、プリアンブル生成部270の構成を示した説明図である。図10に示したように、プリアンブル生成部270は、FFT(fast Fourier transform)272と、サブキャリアマッピング部274と、IFFT276と、CP挿入部278と、を備える。
【0080】
FFT272は、シグネチャ選択部268により選択されたシグネチャ(Zadoff Chuシーケンス)が供給され、当該シグネチャを高速フーリエ変換する。サブキャリアマッピング部274は、FFT272により得られた周波数ドメインデータを送信すべき周波数に配置する。IFFT276は、周波数上に配置されたデータを時間軸データに変換する。そして、CP挿入部278が、時間軸データにサイクリックプリフィックスを付加することにより、プリアンブルが生成される。
【0081】
上記のように、本開示の第1の実施形態によるUE20−1は、送信データに対応するシグネチャを有するプリアンブルを生成し、このプリアンブルを無線処理部210およびアンテナ群204を介して基地局10−1に送信する。なお、UE20−1は、PRACHコンフィギュレション・インデックス値により規定される複数のランダムアクセスリソースのうちの例えば次に到来するランダムアクセスリソースにおいてプリアンブルを送信してもよい。
【0082】
<2−2.第1の実施形態による基地局の構成>
以上、本開示の第1の実施形態によるUE20−1の構成を説明した。続いて、図11を参照し、本開示の第1の実施形態による基地局10−1の構成を説明する。
【0083】
図11は、本開示の第1の実施形態による基地局10−1の構成を示した機能ブロック図である。図11に示したように、第1の実施形態による基地局10−1は、アンテナ群104と、無線処理部110と、ダウンリンク信号生成部130と、アップリンク信号検出部140と、マッピング記憶部150と、マッピング管理部154と、シグネチャ判定部158と、送信データ判定部160と、識別データ記憶部170と、UE判定部174と、を備える。
【0084】
アンテナ群104は、UE20−1から無線信号を受信して電気的な高周波信号を取得し、高周波信号を無線処理部110へ供給する。また、アンテナ群104は、無線処理部110から供給される高周波信号に基づいて無線信号をUE20−1に送信する。基地局10−1は、このように複数のアンテナからなるアンテナ群104を備えるため、MIMO通信やダイバーシティ通信を行うことが可能である。
【0085】
無線処理部110は、増幅、フィルタリング、およびダウンコンバージョンなどのアナログ処理を行うことにより、アンテナ群104から供給される高周波信号をベースバンド信号(アップリンク信号)に変換する。また、無線処理部110は、ダウンリンク信号生成部130などから供給されるベースバンド信号(ダウンリンク信号)を高周波信号に変換する。なお、無線処理部110は、ダウンリンク信号をDA変換する機能、および、アップリンク信号をAD変換する機能を有してもよい。
【0086】
ダウンリンク信号生成部130は、基地局10−1から送信するためのダウンリンク信号を生成する。具体的には、ダウンリンク信号生成部130は、スケジューリング情報に従い、PDCCHおよびPDSCHなどを生成する。なお、マッピング情報を基地局10−1が決定/管理する場合、ダウンリンク信号生成部130は、当該マッピング情報をPDCCHまたはPDSCHに配置してもよい。
【0087】
アップリンク信号検出部140は、無線処理部110から供給されるアップリンク信号から、PUCCHのような制御信号や、PUSCHのようなユーザデータを検出する。
【0088】
マッピング記憶部150は、UE20−1のマッピング記憶部260と同様に、データとシグネチャの対応関係を示すマッピング情報を記憶する。このマッピング情報については図9を参照して説明した通りであるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0089】
マッピング管理部154は、マッピング情報を管理する。例えば、マッピング管理部154は、マッピング情報を決定してもよいし、マッピング情報を必要に応じて変更してもよい。マッピング情報を例えば定期的に変更することにより、データの秘匿性を向上することが可能である。
【0090】
シグネチャ判定部158は、無線処理部110により受信されたプリアンブルのシグネチャを相関出力値から判定する。
【0091】
送信データ判定部160は、シグネチャ判定部158によって判定されたシグネチャに対応する送信データを、マッピング記憶部150に記憶されているマッピング情報に基づいて判定する。例えば、シグネチャ判定部158によって判定されたシグネチャがシグネチャ2であった場合、送信データ判定部160は、例えば図9に示したマッピング情報に基づいて送信データが「000010」であると判定する。
【0092】
識別データ記憶部170は、各UE20−1のローカルIDとユニークIDとの対応関係を記憶する。なお、識別データ記憶部170は、一度アクティブモードに遷移したUE20−1の識別データは、当該UE20−1がアイドルモードに遷移した後も継続的に保持してもよい。
【0093】
UE判定部174は、送信データ判定部160により判定された送信データに含まれる識別データから、識別データ記憶部170を参照して、プリアンブルを送信したUE20−1を判定する。そして、判定されたUE20−1のユニークIDおよび送信データに含まれるアプリケーションデータはコアネットワーク12へ送信される。
【0094】
<2−3.第1の実施形態の動作>
以上、本開示の第1の実施形態による基地局10−1およびUE20−1の構成を説明した。続いて、図12を参照して本開示の第1の実施形態による動作を整理する。
【0095】
図12は、本開示の第1の実施形態による動作を整理したシーケンス図である。図12に示したように、まず、基地局10−1のマッピング管理部154がマッピング情報を決定すると(S304)、基地局10−1が決定されたマッピング情報をUE20−1にシグナリングする(S308)。そして、基地局10−1およびUE20−1が各々マッピング情報をマッピング記憶部150およびマッピング記憶部160に記憶する(S312)。
【0096】
そして、基地局10−1がシステム情報を報知した後(S316)、UE20−1の送信データ生成部250が送信データを生成すると(S320)、シグネチャ選択部268が、送信データに対応するシグネチャを選択する(S324)。続いて、プリアンブル生成部270が、シグネチャ選択部268により選択されたシグネチャを有するプリアンブルを生成する(S328)。さらに、無線処理部210およびアンテナ群204が、プリアンブル生成部270により生成されたプリアンブルを基地局10−1に送信する(S332)。
【0097】
一方、基地局10−1は、UE20−1からプリアンブルを受信すると、プリアンブルのシグネチャを判定する(S336)。そして、基地局10−1の送信データ判定部160は、判定されたプリアンブルのシグネチャに対応する送信データをマッピング情報に基づいて判定する(S340)。その後、判定された送信データはコアネットワーク12を介して例えば所定の事業者に送信される。
【0098】
なお、基地局10−1は、プリアンブルの受信に成功した場合、通常のランダムアクセス手順と同様にランダムアクセスリスポンスを送信してもよい。この場合、UE20−1は、基地局10−1からのランダムアクセスリスポンスの受信により、送信データが正常に基地局10−1に伝送されたことを認識することができる。一方、UE20−1は、ランダムアクセスリスポンスを受信した後、L2/L3メッセージの送信を含むランダムアクセス手順を継続しなくてもよい。かかる構成によれば、UE20−1は、プリアンブルの送信のみで基地局10−1にデータを伝送できるので、消費電力、およびRANオーバーロードの発生を抑制することが可能である。
【0099】
また、マッピング情報は適宜変更することが可能である。以下、この点について図13を参照して具体的に説明する。
【0100】
図13は、マッピング情報の変更動作を示した説明図である。図13に示したように、基地局10−1のマッピング管理部154は、前回のマッピング情報の決定から所定時間が経過した場合(S354)、新たなマッピング情報を決定する(S358)。そして、基地局10−1は、新たなマッピング情報をUE20−1にシグナリングし(S362)、基地局10−1およびUE20−1は各々マッピング情報をマッピング記憶部150およびマッピング記憶部160に記憶する(S366)。
【0101】
なお、図13には所定時間の経過によりマッピング情報を変更する例を示したが、マッピング管理部154は、例えばUE20−1からの要求によってマッピング情報を変更してもよい。また、図13にはマッピング情報の変更を基地局10−1が行う例を示したが、UE20−1がマッピング情報を変更してもよい。
【0102】
<<3.第2の実施形態>>
以上、本開示の第1の実施形態を説明した。続いて、本開示の第2の実施形態を説明する。本開示の第2の実施形態によるUE20−2は、プリアンブルを送信するランダムアクセスリソースを送信データの値に応じて選択する。これにより、プリアンブルを受信した基地局10−1は、プリアンブルを受信したランダムアクセスリソースから送信データを判定することが可能となる。
【0103】
<3−1.第2の実施形態によるUEの構成>
図14は、本開示の第2の実施形態によるUE20−2の構成を示した機能ブロック図である。図14に示したように、本開示の第2の実施形態によるUE20−2は、アンテナ群204と、無線処理部210と、ダウンリンク信号検出部230と、アップリンク信号検出部240と、送信データ生成部250と、マッピング記憶部261と、マッピング管理部264と、プリアンブル生成部270と、通信リソース選択部280と、を備える。アンテナ群204、無線処理部210、ダウンリンク信号検出部230、アップリンク信号検出部240、および送信データ生成部250などについては第1の実施形態で説明した通りであるので、ここでの詳細に説明を省略する。
【0104】
第2の実施形態によるマッピング記憶部261は、データとランダムアクセスリソースの対応関係を示すマッピング情報(第2のマッピング情報)を記憶する。このマッピング情報は、第1の実施形態と同様に基地局10−2とUE20−2との間で共有される。また、同一セル内に存在する複数のUE20−1は同一のマッピング情報を有してもよいし、異なるマッピング情報を有してもよい。以下、図15を参照し、このようなマッピング情報について具体的に説明する。
【0105】
図15は、データとランダムアクセスリソースの対応関係を示すマッピング情報の具体例を示した説明図である。図15に示したように、マッピング情報は、10ビットの「0000000000」〜「1111111111」の各データと、SFN0〜1023のうちのいずれかのSFNとの対応関係を規定する。例えば、データ「0000000010」にはSFN2が対応付けられている。なお、SFNは、図5を参照して説明したように、10ms無線フレームの各々に付される通し番号である。
【0106】
通信リソース選択部280は、送信データ生成部250により生成された送信データに対応するランダムアクセスリソースを、マッピング記憶部261に記憶されているマッピング情報に基づいて選択する。例えば、通信リソース選択部280は、送信データが「0000000010」である場合、「0000000010」に対応付けられているSFN2を選択する。
【0107】
無線処理部210は、プリアンブル生成部270により生成されたプリアンブルを、通信リソース選択部280により選択されたSFN中の規定のサブフレームにおいて送信する。これにより、プリアンブルを受信した基地局10−2が、プリアンブルを受信したSFNに基づいて送信データを判定することが可能となる。
【0108】
(補足)
なお、UE20−2に割り当てられたPRACHコンフィギュレション・インデックス値に応じ、UE20−2がランダムアクセスリソースの選択により表現できる送信データのビット数は異なる。例えば、図5に示したように、PRACHコンフィギュレション・インデックス値「0」、「1」、「2」、および「15」は、偶数のSFNのみをランダムアクセスリソースとして規定する。このため、「0」、「1」、「2」、または「15」が割り当てられたUE20−2は、0〜511までの9ビットをランダムアクセスリソースの選択により表現することができる。なお、「0」、「1」、「2」、または「15」が割り当てられたUE20−2のマッピング情報は、0〜511までの9ビットのデータと、偶数のSFNのいずれかとの対応関係を規定してもよい。
【0109】
一方、図5に示したように、PRACHコンフィギュレション・インデックス値「3」〜「5」は、全てのSFNをランダムアクセスリソースとして規定する。このため、「3」〜「5」のいずれかが割り当てられたUE20−2は、0〜1023までの10ビットをランダムアクセスリソースの選択により表現することができる。なお、「3」〜「5」のいずれかが割り当てられたUE20−2のマッピング情報は、0〜1023まで10ビットのデータと、SFN0〜1023のうちのいずれかのSFNとの対応関係を規定してもよい。
【0110】
また、図5に示したように、PRACHコンフィギュレション・インデックス値「6」〜「14」は、全てのSFN中の、複数のサブフレームをランダムアクセスリソースとして規定する。このため、「6」〜「14」のいずれかが割り当てられたUE20−2は、10ビットの整数倍のデータをランダムアクセスリソースの選択により表現することができる。なお、「6」〜「14」のいずれかが割り当てられたUE20−2のマッピング情報は、11ビット以上のデータの各々と、いずれかのSFNおよびサブフレームとの対応関係を規定してもよい。
【0111】
さらに、同一の時間帯で周波数上に複数のランダムアクセスリソースが配置される場合、周波数方向の自由度によりさらに高ビットを表現することが可能となる。例えば、「14」が割り当てられたUE20−2は、SFNの選択により10ビット、SFN内のサブフレームの選択により3〜4ビットを表現できるので、周波数方向の自由度を加味すると、合計で20ビット近いデータを表現することが可能である。
【0112】
(応用例)
上記では、SFN内のサブフレーム選択の自由度や、周波数選択の自由度などにより送信データの拡大を図る例を説明したが、他の方法によっても送信データの拡大を図ることが可能である。他の方法の一つとして、所定数の10ms無線フレームごとにスーパーシステムフレームを定義する方法が挙げられる。以下、この方法について図16を参照してより具体的に説明する。
【0113】
図16は、サブフレーム、無線フレーム、およびスーパーシステムフレームの関係を示した説明図である。図16に示した例では、1スーパーシステムフレームが1023無線フレームから構成され、スーパーシステムフレーム番号の1周期は0〜63である。この場合、UE20−2は、スーパーシステムフレームの選択の自由度により、さらに6ビットのデータを伝達することが可能となる。
【0114】
また、このようにランダムアクセスリソースを送信データに応じて選択することは、プリアンブル送信タイミングのランダム化にもつながる。このため、第2の実施形態は、MTC端末が普及した場合に、MTC端末のPRACHオーバーロードの解消にも有用であると考えられる。
【0115】
例えば、図16に示したようにスーパーシステムフレームを定義した場合、1スーパーシステムフレームは10.24秒であるので、スーパーシステムフレームの1周期は約655秒、すなわち約11分である。したがって、図16に示したスーパーシステムフレームを定義した場合、プリアンブルの送信タイミングを約11分の間に分散させることが可能である。
【0116】
<3−2.第2の実施形態による基地局の構成>
以上、本開示の第2の実施形態によるUE20−2の構成を説明した。続いて、図17を参照し、本開示の第2の実施形態による基地局10−2の構成を説明する。
【0117】
図17は、本開示の第2の実施形態による基地局10−2の構成を示した機能ブロック図である。図17に示したように、第2の実施形態による基地局10−2は、アンテナ群104と、無線処理部110と、ダウンリンク信号生成部130と、アップリンク信号検出部140と、マッピング記憶部151と、マッピング管理部154と、送信データ判定部161と、識別データ記憶部170と、UE判定部174と、通信リソース判定部180と、を備える。アンテナ群104、無線処理部110、ダウンリンク信号生成部130、およびアップリンク信号検出部140などについては第1の実施形態で説明した通りであるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0118】
マッピング記憶部151は、UE20−2のマッピング記憶部261と同様に、データとランダムアクセスリソースの対応関係を示すマッピング情報を記憶する。
【0119】
通信リソース判定部180は、無線処理部110によりプリアンブルが受信されたランダムアクセスリソースを判定する。例えば、通信リソース判定部180は、プリアンブルが受信されたスーパーシステムフレーム番号、SFNおよびサブフレーム番号を判定する。
【0120】
送信データ判定部161は、通信リソース判定部180により判定されたランダムアクセスリソースに対応する送信データを、マッピング記憶部151に記憶されているマッピング情報に基づいて判定する。例えば、通信リソース判定部180により判定されたランダムアクセスリソースがSFN2であった場合、送信データ判定部161は、例えば図15に示したマッピング情報に基づいて送信データが「0000000010」であると判定する。
【0121】
<3−3.第2の実施形態の動作>
以上、本開示の第2の実施形態による基地局10−2およびUE20−2の構成を説明した。続いて、図18を参照して本開示の第2の実施形態による動作を整理する。
【0122】
図18は、本開示の第2の実施形態による動作を整理したシーケンス図である。図18に示したように、まず、基地局10−2のマッピング管理部154がマッピング情報を決定すると(S404)、基地局10−2が決定されたマッピング情報をUE20−2にシグナリングする(S408)。そして、基地局10−2およびUE20−2が各々マッピング情報をマッピング記憶部151およびマッピング記憶部161に記憶する(S412)。
【0123】
そして、基地局10−2がシステム情報を報知した後(S416)、UE20−2の送信データ生成部250が送信データを生成すると(S420)、通信リソース選択部280が、送信データに対応するランダムアクセスリソースを選択する(S424)。続いて、プリアンブル生成部270が、64個のシグネチャから任意のシグネチャを選択し、選択したシグネチャを用いてプリアンブルを生成する(S428)。さらに、無線処理部210およびアンテナ群204が、選択されたランダムアクセスリソースでプリアンブルを基地局10−1に送信する(S432)。
【0124】
一方、基地局10−2は、UE20−2からプリアンブルを受信すると、プリアンブルを受信したランダムアクセスリソースを判定する(S436)。そして、基地局10−1の送信データ判定部161は、判定されたランダムアクセスリソースに対応する送信データをマッピング情報に基づいて判定する(S440)。その後、判定された送信データはコアネットワーク12を介して例えば所定の事業者に送信される。
【0125】
なお、基地局10−2は、プリアンブルの受信に成功した場合、通常のランダムアクセス手順と同様にランダムアクセスリスポンスを送信してもよい。この場合、UE20−2は、基地局10−2からのランダムアクセスリスポンスの受信により、送信データが正常に基地局10−2に伝送されたことを認識することができる。一方、UE20−2は、ランダムアクセスリスポンスを受信した後、L2/L3メッセージの送信を含むランダムアクセス手順を継続しなくてもよい。かかる構成によれば、UE20−2は、プリアンブルの送信のみで基地局10−1にデータを伝送できるので、消費電力、およびRANオーバーロードの発生を抑制することが可能である。
【0126】
<<4.第3の実施形態>>
以上、本開示の第2の実施形態を説明した。続いて、本開示の第3の実施形態を説明する。本開示の第3の実施形態では、第1の実施形態によるシグネチャの選択と、第2の実施形態によるランダムアクセスリソースの選択との組み合わせにより、プリアンブルを用いたより高容量のデータ通信を実現することが可能となる。
【0127】
<4−1.第3の実施形態によるUEの構成>
図19は、本開示の第3の実施形態によるUE20−3の構成を示した機能ブロック図である。図19に示したように、本開示の第3の実施形態によるUE20−3は、アンテナ群204と、無線処理部210と、ダウンリンク信号検出部230と、アップリンク信号検出部240と、送信データ生成部250と、マッピング記憶部262と、マッピング管理部264と、シグネチャ選択部268と、プリアンブル生成部270と、通信リソース選択部280と、を備える。アンテナ群204、無線処理部210、ダウンリンク信号検出部230、アップリンク信号検出部240、および送信データ生成部250などについては第1の実施形態で説明した通りであるので、ここでの詳細に説明を省略する。
【0128】
第3の実施形態によるマッピング記憶部262は、第1の実施形態で説明したデータとシグネチャの対応関係を示すマッピング情報、および、第2の実施形態で説明したデータとランダムアクセスリソースの対応関係を示すマッピング情報を記憶する。さらに、第3の実施形態によるマッピング記憶部262は、送信データ中でシグネチャの選択のために用いるビット位置、および、送信データ中でランダムアクセスリソースの選択のために用いるビット位置を示す第3のマッピング情報を記憶する。この第3のマッピング情報も、他のマッピング情報と同様に、UE20−3と基地局10−3との間で共有され、マッピング記憶部262は、第1〜第3の記憶部として機能する。以下、図20を参照して、当該第3のマッピング情報について具体的に説明する。
【0129】
図20は、送信データを分割して得られるシグネチャの選択用データおよびランダムアクセスリソースの選択用データを示した説明図である。図20に示したように、送信データがビットb1〜b20の20ビットで構成される場合、第3のマッピング情報は、20ビットのうちで、シグネチャ選択に用いる6ビット、および、ランダムアクセスリソース選択に用いる14ビットを規定する。図20に示した例では、ビットb1、b6、b18、b12、b9、b2がシグネチャ選択用データとして規定され、ビットb5、b19、b16・・・b7、b11がランダムアクセスリソース選択用データとして規定される。
【0130】
このように、第1の実施形態によるシグネチャの選択と、第2の実施形態によるランダムアクセスリソースの選択とを組み合わせる場合に、送信データをシグネチャ選択用データとランダムアクセスリソース選択用データに不規則に分割することにより、送信データの秘匿性を高めることが可能である。なお、UE20−3または基地局10−3は、この第3のマッピング情報を適宜変更することにより、すなわち、各用途に用いるビット位置またはビット順序を変更することにより、送信データの秘匿性をさらに高めることが可能である。
【0131】
シグネチャ選択部268は、送信データ生成部250により生成された送信データから、マッピング記憶部262に記憶されている第3のマッピング情報を参照し、シグネチャ選択用データを特定する。そして、シグネチャ選択部268は、特定したシグネチャ選択用データに対応するシグネチャを、マッピング記憶部262に記憶されているデータとシグネチャの対応関係を示すマッピング情報に基づいて選択する。プリアンブル生成部270は、シグネチャ選択部268により選択されたシグネチャを用いてプリアンブルを生成する。
【0132】
通信リソース選択部280は、送信データ生成部250により生成された送信データから、マッピング記憶部262に記憶されている第3のマッピング情報を参照し、ランダムアクセスリソース選択用データを特定する。そして、通信リソース選択部280は、特定したランダムアクセスリソース選択用データに対応するランダムアクセスリソースを、マッピング記憶部262に記憶されているデータとランダムアクセスリソースとの対応関係を示すマッピング情報に基づいて選択する。
【0133】
無線処理部210は、プリアンブル生成部270により生成されたプリアンブルを、通信リソース選択部280により選択されたランダムアクセスリソースで送信する。これにより、基地局10−3において、プリアンブルのシグネチャ、およびプリアンブルを受信したランダムアクセスリソースに基づいて送信データを判定することが可能となる。
【0134】
<4−2.第3の実施形態による基地局の構成>
続いて、図21を参照し、本開示の第3の実施形態による基地局10−3の構成を説明する。
【0135】
図21は、本開示の第3の実施形態による基地局10−3の構成を示した機能ブロック図である。図21に示したように、第3の実施形態による基地局10−3は、アンテナ群104と、無線処理部110と、ダウンリンク信号生成部130と、アップリンク信号検出部140と、マッピング記憶部152と、マッピング管理部154と、シグネチャ判定部158と、送信データ判定部162と、識別データ記憶部170と、UE判定部174と、通信リソース判定部180と、を備える。アンテナ群104、無線処理部110、ダウンリンク信号生成部130、およびアップリンク信号検出部140などについては第1の実施形態で説明した通りであるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0136】
マッピング記憶部152は、第1の実施形態で説明したデータとシグネチャの対応関係を示すマッピング情報、および、第2の実施形態で説明したデータとランダムアクセスリソースの対応関係を示すマッピング情報を記憶する。さらに、マッピング記憶部152は、送信データ中でシグネチャの選択のために用いられるビット位置、および、送信データ中でランダムアクセスリソースの選択のために用いられるビット位置を示す第3のマッピング情報を記憶する。このようなマッピング記憶部152は、第1〜第3の記憶部として機能する。
【0137】
シグネチャ選択部158は、無線処理部110により受信されたプリアンブルのシグネチャを相関出力値から判定する。
【0138】
通信リソース判定部180は、無線処理部110によりプリアンブルが受信されたランダムアクセスリソースを判定する。例えば、通信リソース判定部180は、プリアンブルが受信されたスーパーシステムフレーム番号、SFNおよびサブフレーム番号を判定する。
【0139】
送信データ判定部162は、シグネチャ判定部158によって判定されたシグネチャに対応するデータを、マッピング記憶部152に記憶されているデータとシグネチャの対応関係を示すマッピング情報に基づいて判定する。また、送信データ判定部162は、通信リソース判定部180により判定されたランダムアクセスリソースに対応するデータを、マッピング記憶部152に記憶されているデータとランダムアクセスリソースとの対応関係を示すマッピング情報に基づいて判定する。
【0140】
さらに、送信データ判定部162は、マッピング記憶部153に記憶されている第3のマッピング情報に基づき、シグネチャ判定部158によって判定されたデータと、通信リソース判定部180により判定されたデータとを結合することにより、送信データを判定する。
【0141】
<4−3.第3の実施形態の動作>
以上、本開示の第3の実施形態による基地局10−3およびUE20−3の構成を説明した。続いて、図22を参照して本開示の第3の実施形態による動作を整理する。
【0142】
図22は、本開示の第3の実施形態による動作を整理したシーケンス図である。図22に示したように、まず、基地局10−3のマッピング管理部154が3種のマッピング情報を決定すると(S504)、基地局10−3が決定された3種のマッピング情報をUE20−3にシグナリングする(S508)。そして、基地局10−3およびUE20−3が各々3種のマッピング情報をマッピング記憶部152およびマッピング記憶部162に記憶する(S512)。
【0143】
そして、基地局10−3がシステム情報を報知した後(S516)、UE20−3の送信データ生成部250が送信データを生成すると(S520)、通信リソース選択部280が、送信データに対応するランダムアクセスリソースを選択する(S524)。また、シグネチャ選択部268が、送信データに対応するシグネチャを選択する(S528)。そして、プリアンブル生成部270が、シグネチャ選択部268により選択されたシグネチャを用いてプリアンブルを生成する(S532)。さらに、無線処理部210およびアンテナ群204が、プリアンブル生成部270により生成されたプリアンブルを、通信リソース選択部280により選択されたランダムアクセスリソースで送信する(S536)。
【0144】
一方、基地局10−3は、UE20−3からプリアンブルを受信すると、プリアンブルを受信したランダムアクセスリソースを判定する(S540)。また、基地局10−3のシグネチャ判定部158は、プリアンブルのシグネチャを判定する(S544)。そして、基地局10−3の送信データ判定部162は、判定されたシグネチャに対応するデータ、および、判定されたランダムアクセスリソースに対応するデータを判定し、これらのデータを結合することにより送信データを判定する(S548)。その後、判定された送信データはコアネットワーク12を介して例えば所定の事業者に送信される。
【0145】
以上説明したように、本開示の第3の実施形態によれば、第1の実施形態によるシグネチャの選択と、第2の実施形態によるランダムアクセスリソースの選択との組み合わせにより、プリアンブルを用いたより高容量のデータ通信を実現することが可能となる。
【0146】
<4−4.変形例>
続いて、以上説明した実施形態のいくつかの変形例を説明する。
【0147】
(第1の変形例)
一般に、送信データには、受信側にデータが正しく伝達されたか否かを判定する巡回冗長検査(CRC)のための符号ビットが付加される。また、データの秘匿性の観点から、データは暗号化して送信されることが多い。
【0148】
LTEによるデータの暗号化は、3Gと同様に、端末のUSIMとネットワークの認証センターとで共有される秘密鍵Kを用いてキーストリームと呼ばれる乱数を生成し、データとキーストリームの排他的論理和(XOR)を演算することで行われる。キーストリームは使い捨てであり、秘密鍵Kは必要に応じて変更される。
【0149】
より具体的には、LTEでは、Snow 3G、およびAESと呼ばれる2種類の暗号化アルゴリズムを標準化している。Snow 3Gは32ビット単位、AESは128ビット単位で行われる。
【0150】
このため、仮に1回のプリアンブルの送信により伝達できるビット長が20ビットである場合、上記のような暗号化アルゴリズムを用いて暗号化した暗号化データを1回のプリアンブル送信により伝達することは困難である。そこで、第1の変形例として、暗号化データを複数の送信データに分割し、複数回にわたってプリアンブルを送信する手法を提案する。以下、図23を参照してより具体的に説明する。
【0151】
図23は、暗号化データの分割を示した説明図である。送信データ生成部250は、図23に示したように、E1〜E32からなる32ビットの暗号化データを生成した場合、暗号化データを、E1〜E16を含む第1の送信データと、E17〜E32を含む第2の送信データに分割してもよい。また、第1の送信データおよび第2の送信データは、第1の送信データと第2の送信データの紐付けを示す関連付けデータC1〜C4を含んでもよい。かかる構成により、基地局10−3において第1の送信データと第2の送信データを結合して、E1〜E32からなる暗号化データを得ることが可能となる。
【0152】
なお、AES128ビットが用いられる場合、送信データ生成部250は、データを128ビットに達するまでバッファし、データが128ビットに達した後にブロック暗号化し、128ビットの暗号化データを8つの送信データに分割してもよい。これら暗号化のために用いられる暗号キーは、セキュアな下り通信路により事前に配送される。
【0153】
(第2の変形例)
第3の実施形態においては、シグネチャの選択、およびランダムアクセスリソースの選択により送信データを表現する例を説明したが、シグネチャの選択、またはランダムアクセスリソースの選択のいずれかにより送信データを表現してもよい。この場合、送信データ生成部250は、シグネチャまたはランダムアクセスリソースのいずれが送信データに対応しているかを示すフラグを送信データに付加してもよい。かかる構成により、基地局10−3においてシグネチャまたはランダムアクセスリソースのいずれに基づいて送信データを判定すべきかを判断することが可能となる。
【0154】
(第3の変形例)
基地局10−3は、プリアンブルの送信による送信データの伝送を認める時間帯をシステム情報で指定してもよい。例えば、基地局10−3は、30分間隔または1時間間隔のように所定間隔で上記伝送を認めてもよいし、月末や特定の時間帯で上記伝送を認めてもよい。この場合、UE20−3は、基地局10−3から指定された時間帯においてのみ上記伝送を行う。
【0155】
<<5.むすび>>
以上説明したように、本開示の第1の実施形態によるUE20−1は、プリアンブルのシグネチャを送信データの値に応じて選択する。これにより、プリアンブルを受信した基地局10−1は、プリアンブルのシグネチャから送信データを判定することが可能となる。
【0156】
また、本開示の第2の実施形態によるUE20−2は、プリアンブルを送信するランダムアクセスリソースを送信データの値に応じて選択する。これにより、プリアンブルを受信した基地局10−1は、プリアンブルを受信したランダムアクセスリソースから送信データを判定することが可能となる。
【0157】
さらに、本開示の第3の実施形態によるUE20−3は、第1の実施形態によるシグネチャの選択と、第2の実施形態によるランダムアクセスリソースの選択との組み合わせにより、プリアンブルを用いたより高容量のデータ通信を実現することが可能である。
【0158】
このように、本開示の各実施形態によれば、プリアンブルの送信によりデータ伝送を実現できるので、UE20の消費電力を大幅に削減すると共に、RANオーバーロードの発生を抑制することが可能である。
【0159】
なお、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0160】
例えば、本明細書の基地局10およびUE20の処理における各ステップは、必ずしもシーケンス図として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、基地局10およびUE20の処理における各ステップは、シーケンス図として記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0161】
また、基地局10およびUE20に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した基地局10およびUE20の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【0162】
また、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
複数のシグネチャから1のシグネチャを選択するシグネチャ選択部と、
前記シグネチャ選択部により選択されたシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成するプリアンブル生成部と、
を備え、
前記シグネチャ選択部は、送信データの値に対応するシグネチャを選択する、通信装置。
(2)
前記送信データの値に対応する通信リソースを前記プリアンブルの送信のために選択するリソース選択部をさらに備える、前記(1)に記載の通信装置。
(3)
前記リソース選択部による通信リソースの選択と、前記シグネチャ選択部によるシグネチャの選択との組み合わせにより、前記送信データの値を表現する、前記(2)に記載の通信装置。
(4)
前記通信装置は、前記複数のシグネチャとデータとの対応関係を示す第1のマッピング情報を記憶する第1の記憶部をさらに備え、
前記シグネチャ選択部は、前記第1のマッピング情報を参照して前記送信データの値に対応するシグネチャを選択する、前記(2)または(3)に記載の通信装置。
(5)
前記通信装置は、複数の通信リソースとデータとの対応関係を示す第2のマッピング情報を記憶する第2の記憶部をさらに備え、
前記リソース選択部は、前記第2のマッピング情報を参照して前記送信データの値に対応する通信リソースを選択する、前記(2)〜(4)のいずれか一項に記載の通信装置。
(6)
前記通信装置は、前記送信データ中で、シグネチャ選択のために用いるビットと、通信リソース選択のために用いるビットの位置を示す第3のマッピング情報を記憶する第3の記憶部をさらに備える、前記(2)〜(5)のいずれか一項に記載の通信装置。
(7)
前記第1のマッピング情報〜前記第3のマッピング情報は、前記プリアンブルの送信先である基地局との間で共有される、前記(6)に記載の通信装置。
(8)
前記通信装置は、前記第1のマッピング情報〜前記第3のマッピング情報の少なくともいずれかを前記基地局に送信する送信部を備える、前記(7)に記載の通信装置。
(9)
前記通信装置は、前記第1のマッピング情報〜前記第3のマッピング情報の少なくともいずれかを前記基地局から受信する受信部を備える、前記(7)に記載の通信装置。
(10)
前記通信装置は、前記第1のマッピング情報〜前記第3のマッピング情報の少なくともいずれかを変更するマッピング変更部を備える、前記(6)に記載の通信装置。
(11)
前記シグネチャ選択部または前記リソース選択部は、指定された時間帯において前記送信データの値に対応するシグネチャまたは通信リソースを選択する、前記(2)〜(10)のいずれか一項に記載の通信装置。
(12)
対象データを複数の分割データに分割して複数の前記送信データを生成する送信データ生成部を備え、
前記送信データは、前記分割データ、および前記対象データから生成された他の送信データとの関連を示す関連付けデータを含む、前記(1)〜(11)のいずれか一項に記載の通信装置。
(13)
LTEにおいて規定される所定数の無線フレームからスーパーシステムフレームが構成され、
前記リソース選択部は、複数の前記スーパーシステムフレームの範囲内から前記送信データの値に対応する通信リソースを選択する、前記(2)〜(12)のいずれか一項に記載の通信装置。
(14)
前記送信データは、前記通信装置の識別データを含む、前記(1)〜(13)のいずれか一項に記載の通信装置。
(15)
前記送信データは、暗号化データを含む、前記(1)〜(14)のいずれか一項に記載の通信装置。
(16)
複数のシグネチャから1のシグネチャを選択することと、
選択されたシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成することと、
を含み、
前記シグネチャを選択することは、送信データの値に対応するシグネチャを選択することを含む、通信方法。
(17)
複数のシグネチャから1のシグネチャを選択するシグネチャ選択部、および、
前記シグネチャ選択部により選択されたシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成するプリアンブル生成部、を有し、
前記シグネチャ選択部は、送信データの値に対応するシグネチャを選択する、通信装置と;
前記通信装置から受信されるプリアンブルのシグネチャに基づいて前記送信データを判定する基地局と;
を備える、通信システム。
(18)
送信データの値に対応するシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成する通信装置から前記プリアンブルを受信する受信部と、
前記プリアンブルのシグネチャに基づいて前記送信データを判定するデータ判定部と、
を備える、基地局。
(19)
送信データの値に対応するシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成する通信装置から前記プリアンブルを受信することと、
前記プリアンブルのシグネチャに基づいて前記送信データを判定することと、
を含む、通信方法。
【符号の説明】
【0163】
10 基地局
12 コアネットワーク
20 UE
150、151、152、160、161、162 マッピング記憶部
154、264 マッピング管理部
158 シグネチャ判定部
160、161、162 送信データ判定部
180 通信リソース判定部
250 送信データ生成部
268 シグネチャ選択部
270 プリアンブル生成部
280 通信リソース選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシグネチャから1のシグネチャを選択するシグネチャ選択部と、
前記シグネチャ選択部により選択されたシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成するプリアンブル生成部と、
を備え、
前記シグネチャ選択部は、送信データの値に対応するシグネチャを選択する、通信装置。
【請求項2】
前記送信データの値に対応する通信リソースを前記プリアンブルの送信のために選択するリソース選択部をさらに備える、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記リソース選択部による通信リソースの選択と、前記シグネチャ選択部によるシグネチャの選択との組み合わせにより、前記送信データの値を表現する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置は、前記複数のシグネチャとデータとの対応関係を示す第1のマッピング情報を記憶する第1の記憶部をさらに備え、
前記シグネチャ選択部は、前記第1のマッピング情報を参照して前記送信データの値に対応するシグネチャを選択する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信装置は、複数の通信リソースとデータとの対応関係を示す第2のマッピング情報を記憶する第2の記憶部をさらに備え、
前記リソース選択部は、前記第2のマッピング情報を参照して前記送信データの値に対応する通信リソースを選択する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信装置は、前記送信データ中で、シグネチャ選択のために用いるビットと、通信リソース選択のために用いるビットの位置を示す第3のマッピング情報を記憶する第3の記憶部をさらに備える、請求項2に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1のマッピング情報〜前記第3のマッピング情報は、前記プリアンブルの送信先である基地局との間で共有される、請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記通信装置は、前記第1のマッピング情報〜前記第3のマッピング情報の少なくともいずれかを前記基地局に送信する送信部を備える、請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信装置は、前記第1のマッピング情報〜前記第3のマッピング情報の少なくともいずれかを前記基地局から受信する受信部を備える、請求項7に記載の通信装置。
【請求項10】
前記通信装置は、前記第1のマッピング情報〜前記第3のマッピング情報の少なくともいずれかを変更するマッピング変更部を備える、請求項6に記載の通信装置。
【請求項11】
前記シグネチャ選択部または前記リソース選択部は、指定された時間帯において前記送信データの値に対応するシグネチャまたは通信リソースを選択する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項12】
対象データを複数の分割データに分割して複数の前記送信データを生成する送信データ生成部を備え、
前記送信データは、前記分割データ、および前記対象データから生成された他の送信データとの関連を示す関連付けデータを含む、請求項1に記載の通信装置。
【請求項13】
LTEにおいて規定される所定数の無線フレームからスーパーシステムフレームが構成され、
前記リソース選択部は、複数の前記スーパーシステムフレームの範囲内から前記送信データの値に対応する通信リソースを選択する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項14】
前記送信データは、前記通信装置の識別データを含む、請求項1に記載の通信装置。
【請求項15】
前記送信データは、暗号化データを含む、請求項1に記載の通信装置。
【請求項16】
複数のシグネチャから1のシグネチャを選択することと、
選択されたシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成することと、
を含み、
前記シグネチャを選択することは、送信データの値に対応するシグネチャを選択することを含む、通信方法。
【請求項17】
複数のシグネチャから1のシグネチャを選択するシグネチャ選択部、および、
前記シグネチャ選択部により選択されたシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成するプリアンブル生成部、を有し、
前記シグネチャ選択部は、送信データの値に対応するシグネチャを選択する、通信装置と;
前記通信装置から受信されるプリアンブルのシグネチャに基づいて前記送信データを判定する基地局と;
を備える、通信システム。
【請求項18】
送信データの値に対応するシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成する通信装置から前記プリアンブルを受信する受信部と、
前記プリアンブルのシグネチャに基づいて前記送信データを判定するデータ判定部と、
を備える、基地局。
【請求項19】
送信データの値に対応するシグネチャを用いてランダムアクセスにおけるプリアンブルを生成する通信装置から前記プリアンブルを受信することと、
前記プリアンブルのシグネチャに基づいて前記送信データを判定することと、
を含む、通信方法。






【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2013−55460(P2013−55460A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191572(P2011−191572)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】