通信装置および通信方法
【課題】送信手段と受信手段との間の情報データの送受信の同期を特殊符号を用いて取る技術において、受信手段で受信された情報データの途中に特殊符号が存在することに起因した不具合の発生を抑制する技術を提供する。
【解決手段】送信手段は、所定の情報を示す情報データを連続する複数のブロックにまたがって格納するとともに、該複数のブロックの途中にダミー情報データが格納されたダミーブロックを1つ以上挿入し、しかも、少なくとも1つのダミーブロックに対して格納するダミー情報データを特殊符号に置換する置換動作を実行して、送信データを生成し、受信手段は、受信した送信データから全てのダミーブロックを除去して情報データを再構成する。
【解決手段】送信手段は、所定の情報を示す情報データを連続する複数のブロックにまたがって格納するとともに、該複数のブロックの途中にダミー情報データが格納されたダミーブロックを1つ以上挿入し、しかも、少なくとも1つのダミーブロックに対して格納するダミー情報データを特殊符号に置換する置換動作を実行して、送信データを生成し、受信手段は、受信した送信データから全てのダミーブロックを除去して情報データを再構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、送信手段と受信手段との間でシリアル通信を実行する通信装置および通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、送信手段と受信手段との間における送信データの送受信を、シリアル通信により実行する技術が知られている。かかるシリアル通信では、所定長のビット列を一単位として送受信することができる。つまり、この際、送信手段は、所定の情報を示す情報データを所定長のビット列単位でシリアル出力するとともに、受信手段は、所定長のビット列単位で送られてくるデータを順番に受信することで、情報データを受信する。
【0003】
【特許文献1】米国特許第4486739号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、シリアル通信を実行すべく、上述のビット列を連続的に送信した場合、受信手段は、どこからどこまでのビットがビット列に対応するかが判別できない場合がある。これに対して、例えば上記特許文献1では、情報データを表すに際して発生し得ない符号パターンのビット列である特殊符号を用いた技術が記載されている。つまり、同特許文献では、10ビットのビット列を一単位として情報データを送受信するに際して、10ビットの長さを有する特殊符号(special character)を、例えば送受信しようとする情報データの前後に付加する。そして、該特殊符号を基準として、どこからどこまでのビットが情報データを表すビット列に対応するかを判断可能としている。つまり、特殊符号を基準として情報データの送信側と受信側とで同期を取っている。
【0005】
しかしながら、情報データを示すビット列とビット列との間に特殊符号を挿入して、上述の同期を取る場合、次のような問題が発生する場合があった。つまり、送信手段において情報データを示すビット列とビット列との間に特殊符号を挿入して送信データを生成し、該送信データを出力した場合、受信手段において受信されるデータも、情報データを示すビット列とビット列との間に特殊符号が挿入されたデータである。つまり、受信手段において、本来的には、連続しているべき情報データの途中に、特殊符号が存在することとなる。そして、上述の通り、特殊符号は、情報データを表すに際して発生し得ない符号パターンを有する。その結果、このような特殊符号が情報データの途中に存在することに起因して、受信手段が適切に動作しないという不具合が発生する場合があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、送信手段と受信手段との間の情報データの送受信の同期を特殊符号を用いて取る通信装置および通信方法において、受信手段で受信された情報データの途中に特殊符号が存在することに起因した不具合の発生を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる通信装置は、所定長のビット列を格納するブロックを配列したデータ構造を有する送信データをシリアル出力する送信手段と、送信データを受信する受信手段とを備えた通信装置であって、上記目的を達成するために、送信手段は、所定の情報を示す情報データを連続する複数のブロックにまたがって格納するとともに、該複数のブロックの途中にダミー情報データが格納されたダミーブロックを1つ以上挿入し、しかも、少なくとも1つのダミーブロックに対して格納するダミー情報データを特殊符号に置換する置換動作を実行して、送信データを生成し、受信手段は、受信した送信データから全てのダミーブロックを除去して情報データを再構成することを特徴としている。
【0008】
また、この発明にかかる通信方法は、所定長のビット列を格納するブロックを配列したデータ構造を有する送信データをシリアル出力する送信手段と、送信データを受信する受信手段とを備えた通信装置を用いて送信手段と受信手段との間でシリアル通信を実行する通信方法であって、上記目的を達成するために、送信手段において、所定の情報を示す情報データを連続する複数のブロックにまたがって格納するとともに、該複数のブロックの途中にダミー情報データが格納されたダミーブロックを1つ以上挿入し、しかも、少なくとも1つのダミーブロックに対して格納するダミー情報データを特殊符号に置換する置換動作を実行して、送信データを生成し、受信手段において、受信した送信データから全てのダミーブロックを除去して情報データを再構成することを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(通信装置および通信方法)は、送信手段と受信手段との間の送受信をシリアル通信で実行する。つまり、送信手段は、所定長のビット列を格納するブロックを配列したデータ構造を有する送信データをシリアル出力する。
【0010】
そして、送信手段と受信手段との間のシリアル通信の同期を取るために、特殊符号を次のように用いる。つまり、送信手段は、所定の情報を示す情報データを連続する複数のブロックにまたがって格納するとともに、該複数のブロックの途中にダミー情報データが格納されたダミーブロックを1つ以上挿入し、しかも、少なくとも1つのダミーブロックに対して格納するダミー情報データを特殊符号に置換する置換動作を実行して、送信データを生成する。そして、受信手段は、受信した送信データから全てのダミーブロックを除去して情報データを再構成する。
【0011】
つまり、本発明では、送信手段において情報データの途中に特殊符号を挿入して送信データを生成するとともに、受信手段において特殊符号を除去して情報データを再構成する。よって、受信手段で受信された情報データの途中に特殊符号が存在することに起因した不具合の発生を抑制することが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明にかかる通信装置の一実施形態を備えた画像形成装置を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置における画像形成ステーションの配置を示す図である。さらに、図3は図1の画像形成装置の電気的構成を示す図である。この装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCがエンジンコントローラECに制御信号を与え、これに基づき、エンジンコントローラECがエンジン部EGおよびヘッドコントローラHCなど装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどの記録材たるシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0013】
この実施形態にかかる画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラECおよびヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット2、転写ベルトユニット8および給紙ユニット7もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、二次転写ユニット12、定着ユニット13およびシート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット7は、ハウジング本体3に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット7および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0014】
画像形成ユニット2は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。なお、図1においては、画像形成ユニット2の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号を付し、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0015】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kには、それぞれの色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。また、感光体ドラム21の周囲には、その回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作およびトナー現像動作が実行される。カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8に設けた転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成する。また、モノクロモード実行時は、画像形成ステーション2Kのみを動作させてブラック単色画像を形成する。
【0016】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を所定の表面電位に帯電させる。
【0017】
ラインヘッド29は、感光体ドラム21の軸方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に配列された複数の発光素子を備えており、感光体ドラム21に対向配置されている。そして、これらの発光素子から、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に向けて光を照射して該表面に静電潜像を形成する。
【0018】
図4はラインヘッドの構造を示す図である。なお、以下の説明においては、図1の紙面奥から手前側に向かう方向をX方向とする。すなわち、X方向は、感光体ドラム21の回転軸に平行な方向であり、かつ感光体21ドラム表面の移動方向および転写ベルト81の移動方向D81に直交する方向である。ラインヘッド29では、露光光源となる複数のLED(発光ダイオード)素子がX方向に配列されてなるLEDアレイ293が、長尺のハウジング中に保持されている。ベース基板294上のLEDアレイ293は、同じベース基板294上に形成されたドライバIC295により駆動される。ヘッドコントローラHCからビデオ信号が与えられると、該ビデオ信号に基づきドライバIC295が作動してLEDアレイ293に設けられたLED素子が点灯する。屈折率分布型ロッドレンズアレイ296は結像光学系を構成し、LED素子の前面に配置される屈折率分布型ロッドレンズ297を俵積みしている。ハウジングは、ベース基板294の周囲を覆い、感光体ドラム21に面した側は開放する。このようにして、屈折率分布型ロッドレンズ297から感光体ドラム21に光線を射出する。これによって、ビデオ信号に対応して感光体ドラム21に静電潜像が形成される。
【0019】
図1に戻って装置構成の説明を続ける。現像部25は、その表面にトナーを担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動してその表面に形成された静電潜像が顕像化される。
【0020】
現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、後に詳述する転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する一次転写位置TR1において転写ベルト81に一次転写される。
【0021】
また、感光体ドラム21の回転方向D21の一次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラムの表面に当接することで一次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0022】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、図1において駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され駆動ローラ82の回転により図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、カートリッジ装着時において各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の一次転写ローラ85Y、85M、85Cおよび85Kを備えている。これらの一次転写ローラは、それぞれ一次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。
【0023】
カラーモード実行時は、図1および図2に示すように全ての一次転写ローラ85Y、85M、85Cおよび85Kを画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に一次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで一次転写バイアス発生部から一次転写ローラ85Y等に一次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する一次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写する。すなわち、カラーモードにおいては、各色の単色トナー像が転写ベルト81上において互いに重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0024】
いわゆるタンデム方式の画像形成装置では、感光体ドラム21から転写ベルト81にトナー像が一次転写される一次転写位置は、各画像形成ステーションごとに異なった位置となる。この実施形態においては、イエロー用画像形成ステーション2Y、マゼンタ用画像形成ステーション2M、シアン用画像形成ステーション2Cおよびブラック用画像形成ステーション2Kが転写ベルト81の移動方向に沿ってこの順番に配置されている。したがって、イエロー一次転写位置TR1yとマゼンタ一次転写位置TR1mとは距離Lym、マゼンタ一次転写位置TR1mとシアン一次転写位置TR1cとは距離Lmc、シアン一次転写位置TR1cとブラック一次転写位置TR1kとは距離Lckだけ離隔している。
【0025】
一方、モノクロモード実行時は、4個の一次転写ローラのうち、一次転写ローラ85Y、85Mおよび85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Cから離間させるとともにブラック色に対応した一次転写ローラ85Kのみを画像形成ステーション2Kに当接させることで、モノクロ用の画像形成ステーション2Kのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、一次転写ローラ85Kと画像形成ステーション2Kとの間にのみ一次転写位置TR1kが形成される。そして、適当なタイミングで一次転写バイアス発生部から一次転写ローラ85Kに一次転写バイアスを印加することで、画像形成ステーション2Kに設けられた感光体ドラム21の表面上に形成されたブラックトナー像を、一次転写位置TR1kにおいて転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0026】
さらに、転写ベルトユニット8は、ブラック用一次転写ローラ85Kの下流側で且つ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。この下流ガイドローラ86は、一次転写ローラ85Kが画像形成ステーション2Kの感光体ドラム21に当接して形成する一次転写位置TR1での一次転写ローラ85Kとブラック用感光体ドラム21(K)との共通接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0027】
また、下流ガイドローラ86に巻き掛けられた転写ベルト81の表面に対向してパッチセンサ89が設けられている。パッチセンサ89は例えば反射型フォトセンサからなり、転写ベルト81表面の反射率の変化を光学的に検出することにより、必要に応じて転写ベルト81上に形成されるパッチ画像の位置やその濃度などを検出する。
【0028】
給紙ユニット7は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80によって給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って、駆動ローラ82と二次転写ローラ121とが当接する二次転写位置TR2に給紙される。
【0029】
二次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、二次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が二次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラ1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0030】
前記した駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、二次転写ローラ121のバックアップローラとしての機能も兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する二次転写バイアス発生部から二次転写ローラ121を介して供給される二次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、二次転写位置TR2へシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達されることに起因する画質の劣化を防止することができる。
【0031】
また、この装置では、ブレード対向ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラ83に当接することで、二次転写後に転写ベルト81に残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。また、クリーナブレード711及び廃トナーボックス713は、ブレード対向ローラ83と一体的に構成されている。
【0032】
なお、この実施形態においては、各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kの感光体ドラム21、帯電部23、現像部25および感光体クリーナ27を一体的にカートリッジとしてユニット化している。そして、このカートリッジが装置本体に対し着脱可能に構成されている。また、各カートリッジには、該カートリッジに関する情報を記憶するための不揮発性メモリがそれぞれ設けられている。そして、エンジンコントローラECと各カートリッジとの間で無線通信が行われる。こうすることで、各カートリッジに関する情報がエンジンコントローラECに伝達されるとともに、各メモリ内の情報が更新記憶される。これらの情報に基づき各カートリッジの使用履歴や消耗品の寿命が管理される。
【0033】
また、この実施形態では、メインコントローラMC、ヘッドコントローラHCおよび各ラインヘッド29がそれぞれ別ブロックとして構成され、以下に説明するように、それらが互いにシリアル通信線を介して接続されている。ヘッドコントローラHCをメインコントローラMCまたはラインヘッド29と一体に構成することも考えられるが、これらを別体に構成することで、次のような利点が生まれる。
【0034】
まず、ラインヘッド29からヘッドコントローラHCの機能を独立させることにより、ラインヘッド29を大幅に小型化することが可能となり、エンジン部EGおよび装置全体の小型化を図ることができる。また、ラインヘッドの構造に依存する処理機能をメインコントローラMCから切り離し専用ブロック化することにより、メインコントローラMC側ではヘッドの構成を考慮することなく、より汎用性の高い信号処理のみを行うことができるようになる。また、メインコントローラMCとヘッドコントローラHCとの間の通信を規格化しておけば、異なる構成のヘッドを使用する場合にも、メインコントローラについては何ら変更することなく、使用するヘッドに対応するヘッドコントローラのみを用意すればよいこととなる。これにより、共通のメインコントローラMCを異なる構成のヘッドを有する装置に共通して使用することが可能となり、1つのコントローラを用いた多機種展開が容易になる。
【0035】
上記のように構成された装置各部の連携動作について、再び図3を参照しながら説明する。外部装置からメインコントローラMCに画像形成指令が与えられると、メインコントローラMCは、UART(汎用非同期送受信)通信線を介してエンジンコントローラECにエンジン部EGを起動させるための制御信号を送信する。また、メインコントローラMCに設けられた画像処理部100が、画像形成指令に含まれる画像データに対して所定の信号処理を行い、各トナー色ごとのビデオデータを生成する。
【0036】
一方、制御信号を受けたエンジンコントローラECは、エンジン部EG各部の初期化およびウォームアップを開始する。これらが完了して画像形成動作を実行可能な状態になると、エンジンコントローラECは、各ラインヘッド29を制御するヘッドコントローラHCに対し画像形成動作の開始のきっかけとなる同期信号VsyncをUART通信線を介して出力する。
【0037】
ヘッドコントローラHCには、各ラインヘッドを制御するヘッド制御モジュール400と、メインコントローラMCとのデータ通信を司るヘッド側通信モジュール300とが設けられている。一方、メインコントローラMCにもメイン側通信モジュール200が設けられている。本実施形態において、ヘッド側通信モジュール300が本発明にかかる通信装置の「受信手段」に相当するとともに、メイン側通信モジュール200が本発明にかかる通信装置の「送信手段」に相当する。そして、メイン側通信モジュール200およびヘッド側通信モジュール300が、各モジュール間でビデオデータを送受信する「通信装置」として機能する。つまり、ヘッド側通信モジュール300からメイン側通信モジュール200に向けては、1ページ分の画像の先頭を示す垂直リクエスト信号VREQと、該画像を構成するラインのうち1ライン分のビデオデータを要求する水平リクエスト信号HREQとが送信される。一方、メイン側通信モジュール200からヘッド側通信モジュール300に向けては、これらのリクエスト信号に応じてビデオデータが送信される。より詳しくは、画像の先頭を示す垂直リクエスト信号VREQを受信した後、水平リクエスト信号HREQを受信する度に、画像の先頭部分から1ライン分ずつビデオデータを順次出力する。なお、本実施形態において、ビデオデータが本発明における「情報データ」に相当する。
【0038】
図5はメインコントローラとヘッドコントローラとの間の通信を示す図である。1ページの画像は、多数のドットをX方向(ラインヘッド29の発光素子の配列方向)に沿って一列に並べたラインをこれと直交する方向、すなわち転写ベルト81の移動方向D81に少しずつ位置を異ならせながら形成したものである。ヘッドコントローラHCから出力されるリクエスト信号VREQはページ先頭を示すものである。メインコントローラMCではリクエスト信号VREQの受信後に受信したリクエスト信号HREQが有効とされ、このリクエスト信号HREQを受信する度に1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラHCに送信する。
【0039】
この実施形態では、1ラインを構成するドット数は最大6828である。また、解像度は600dpi(dots per inch)であり、ドットピッチもこれに等しい。したがって、1ラインの最大長さはおよそ11.4インチ(289mm)である。この長さは、日本工業規格A3版用紙の短辺寸法に対応している。各ドットの画像データは8ビットで多階調表現されており、1ライン分のビデオデータVDは、予め定められた特定の値(ここでは55h)のヘッドデータと、それに続く8ビット×6828ドットの画像データ列とからなっている。ヘッドデータはデータ列の先頭を示すためのものであり、ビデオデータを受信するヘッドコントローラ側では、値00hが続いた後に受信されたヘッドデータによりデータの先頭であることを認識することができる。言い換えれば、垂直リクエスト信号VREQを受信してから最初に受信された00h以外の値がヘッドデータとして決められているものと異なっていた場合には、通信エラーであると判断することができる。
【0040】
こうして1ライン分のビデオデータを出力した後、続いてリクエスト信号HREQが与えられると、メインコントローラMCは次の1ライン分のデータを出力する。これを繰り返すことにより、1ページ分の画像に対応するビデオデータVDがメインコントローラMCからヘッドコントローラHCに受け渡される。形成すべき次のページの画像がある場合には、先のページのデータ通信の終了後、ヘッドコントローラHCからメインコントローラMCに対し再び垂直リクエスト信号VREQが送信される。
【0041】
この実施形態では、上記した各信号、すなわちヘッドコントローラHCからメインコントローラMCへ送られるリクエスト信号VREQ、HREQおよびメインコントローラMCからヘッドコントローラHCへ送られるビデオデータVDが、YMCK各色に対応して4組存在する。以下では、必要に応じて各信号にハイフンおよび色を表す符号を付すことで色の区別をする。例えば、イエロー用の垂直同期信号、水平同期信号およびビデオデータはそれぞれVREQ−Y、HREQ−YおよびVD−Yと表す。
【0042】
図6は各色ごとの通信タイミングを示す図である。より具体的には、同図は2ページ分のカラー画像を連続して形成する場合におけるメインコントローラとヘッドコントローラとの間の信号のやり取りを示している。図2に示すように、各画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kが転写ベルト81上にトナー像を転写する一次転写位置TR1y、TR1m、TR1c、TR1kは互いに異なっている。したがって、各画像形成ステーションでそれぞれ形成されるトナー像を転写ベルト81上の同一位置で互いに重ね合わせるためには、一次転写位置の違いを吸収すべくビデオデータを一時的に保存するバッファメモリをヘッドコントローラHCに設けるか、または一次転写位置間の距離に応じてビデオデータの送信タイミングをトナー色ごとに異ならせる必要がある。前者の場合には各トナー色ごとに大容量のメモリが必要となり装置コストが大幅に上昇してしまう。
【0043】
この実施形態では、大容量のバッファメモリを必要としない後者の方法を採っている。すなわち、画像形成ステーションの配置に応じてビデオデータの送信タイミングに時間差を設けることにより、転写ベルト81上におけるトナー像の形成位置が各トナー色間で一致するようにしている。より具体的には、ヘッドコントローラHCから出力するリクエスト信号VREQ、HREQを送信するタイミングを、トナー色ごとに異ならせている。例えば、イエロー用垂直リクエスト信号VREQ−Yとマゼンタ用垂直リクエスト信号VREQ−Mとの間の時間差Tymは、転写ベルト81の移動速度をVtbとしたとき、
Tym=Lym/Vtb
となるように、リクエスト信号の出力タイミングが調整される。これにより、イエロー用ビデオ信号VD−Yとマゼンタ用ビデオ信号VD−Mとの間にも同様の時間差が生まれ、結果的に両トナー色のトナー像の形成位置が転写ベルト81上において同じになる。同様に、マゼンタ用ビデオ信号VD−Mとシアン用ビデオ信号VD−Cとの間、シアン用ビデオ信号VD−Cとブラック用ビデオ信号VD−Kとの間にも、それぞれ一次転写位置間の距離に応じた時間差Tmc、Tckが設けられる。
【0044】
このとき、一次転写位置間の距離に応じた時間差を設定しているのはヘッドコントローラHCから出力されるリクエスト信号であり、メインコントローラMCは単に与えられたリクエスト信号によって要求されたタイミングでビデオ信号を出力するのみである。こうすることで、メインコントローラMC側で一次転写位置間の距離を管理しておく必要がなくなり、メインコントローラMCはエンジン部EGの構成に依存しない処理のみを行うことができる。
【0045】
ところで、このような通信方式では、リクエスト信号VREQ、HREQおよびビデオデータVDの少なくとも3本の信号線が1色ごとに必要である。そして、色数が多くなるとそれにつれて信号線の本数も多くなってしまう。また、図6から明らかなように、2色以上の信号が同時に送受信されるタイミングが存在するため、共通バスラインを介したバス通信方式を採用することも難しい。
【0046】
そこで、この実施形態では、次に説明するように、リクエスト信号を符号化している。これによって、各トナー色の垂直および水平リクエスト信号VREQおよびHREQを時分割で多重化し、1組のシリアル信号線で4色分のリクエスト信号を送信できるようにしている。また、ビデオデータVDについても4色分を時分割で1つの信号に多重化することにより、1組のシリアル信号線で送信可能としている。したがって、この実施形態では、メインコントローラMCからヘッドコントローラHCに送信するための信号線と、ヘッドコントローラHCからメインコントローラMCに送信するための信号線とからなる1組の信号線によって、色数に関係なく必要なデータ通信を行うことが可能となっている。
【0047】
このようにデータを多重化した場合、より高速でのデータ伝送が必要となる。この実施形態では、データ送信用のクロックを送信モジュール側で発生させるとともに、該クロック成分をデータに重畳して送信することによって、クロック送信線を省き信号線数をさらに削減しながら、より高速で安定したデータ通信を可能にしている。
【0048】
以下、本実施形態におけるデータ通信方式について詳しく説明する。この実施形態では、ヘッドコントローラHCからメインコントローラMCへ送られる4色分のリクエスト信号、そしてメインコントローラMCからヘッドコントローラHCへ送られる4色分のビデオデータのいずれもが、多重化されてシリアル信号として送受信される。
【0049】
図7は、ヘッドコントローラの構成を示す図である。ヘッドコントローラHCは、ヘッド側通信モジュール300(受信手段)とヘッド制御モジュール400とを備えている。ヘッド制御モジュール400は、画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kのそれぞれに設けられたラインヘッド29を個別に制御するYヘッド制御ブロック410Y、Mヘッド制御ブロック410M、Cヘッド制御ブロック410CおよびKヘッド制御ブロック410Kを備えている。ビデオデータVD−Y,VD−M,VD−C,VD−Kは、それぞれ対応する色のヘッド制御ブロックに入力される。また、各ヘッド制御ブロックからは、それぞれ独立したタイミングで垂直リクエスト信号VREQおよび水平リクエスト信号HREQがヘッド側通信モジュール300に入力されている。
【0050】
ヘッド側通信モジュール300は、メインコントローラMCから多重化されて送信されてくるビデオデータ(情報データ)を受信し各色ごとのビデオデータに復元する受信ブロック320と、リクエスト信号を多重化してメインコントローラMCに送信する送信ブロック310とを備えている。まず、送信ブロック310について説明するとし、受信ブロック320の説明はメインコントローラMCの説明の後に行なう。
【0051】
図8は、シリアライザから出力されるデータの内容を示す図である。図8が示すように、本実施形態では、8ビットを単位とする4セクションから成る32ビットデータが、シリアライザ311から出力される。また、各セクションの各ビットには、それぞれY、M、C、K色の垂直リクエスト信号VREQ、水平リクエスト信号HREQのいずれかが割り当てられている。シリアライザ311に送られるリクエスト信号は、1色につき垂直リクエスト信号VREQ、水平リクエスト信号HREQの2種類、4色分で計8種類である。これら8種類の信号を、1セクションを構成する8ビットのそれぞれに割り当てる。ここでは、上位ビットから順に、リクエスト信号VREQ−Y、HREQ−Y、VREQ−M、HREQ−M、VREQ−C、HREQ−C、VREQ−KおよびHREQ−Kを割り当てるものとする。
【0052】
図9はリクエスト信号の例を示すタイミングチャートである。また、図10は図9のパターンを符号化した結果を示す図である。これらの図を参照しながら、シリアライザ311の動作ついて説明する。なお、図9および図10に示すパターンは説明の便宜のために作成した仮想的なものであって、装置の動作において現実に生じうるパターンとは必ずしも一致しない。また、リクエスト信号を符号化するに際しては、Hレベルを値0で、Lレベルを値1で表すものとする。
【0053】
シリアライザ311は、リクエスト信号を、1ワード分の転送周期の1/4、すなわち1セクション当たりの転送周期に相当するサンプリング周期でサンプリングして符号化する。時刻t=0を始点としたとき、第1サンプリング周期においては8種類のリクエスト信号が全てHレベルであるため、この状態は「00000000d」すなわち「00h」で表すことができる。ここで、符号d、hはそれぞれ2進表記、16進表記であることを表す。この値が第1ワードの第1セクション(ビット31〜24)の値となる。第2サンプリング周期も同様に、「00h」と表すことができ、これが第2セクション(ビット23〜16)の値となる。
【0054】
第3サンプリング周期ではイエロー色に対応する垂直リクエスト信号VREQ−YのみがLレベルとなっているので、この状態を「10000000d」すなわち「80h」で表すことができる。したがって、第3セクション(ビット15〜8)の値は「80h」となる。第4サンプリング周期では再び全ての信号がLレベルであるので、「00h」により表すことができる。以上より、第1ないし第4サンプリング周期のサンプリング結果を1ワード(32ビット長)で「00008000h」と表すことができる。このようにして、この期間の各リクエスト信号を多重化し符号化することができる。こうして符号化されたリクエスト信号が、シリアライザ311から出力される。
【0055】
シリアライザ311から出力されたデータは、8B10Bエンコーダ312に入力される。上述の通り、シリアライザ311から出力されるデータは、4セクションを1ワードとしており、各セクションは8ビットから成る。そして、8B10Bエンコーダ312では、各セクションに対して8B10B変換を実行する。つまり、1セクション中の8ビットデータは、8B10Bエンコーダにより、10ビットデータに変換される。これにより、8B10B変換後の1ワードの長さは、40ビット(=10ビット×4セクション)となる。この8B10B変換は、主にデータのDCバランスを良好にすることを目的とするものであり、具体的には、例えば、米国特許第4486739号明細書に記載の技術を用いることができる。
【0056】
こうして40ビット化されたデータは、バッファ313を経てシリアライザ314に入力され、シリアルデータとして出力される。このとき、シリアライザ314は、PLL333より供給される送信クロックをデータに重畳して、つまり送信クロックを送信データによって変調して、該変調信号を差動シリアル信号としてTX+、TX−端子から出力する。PLL333から供給されるクロックは、後述するリカバリクロックRCCLKと同期した同周期のクロックである。つまり、送信ブロック310のシリアライザ311、エンコーダ312及びバッファ313には、リカバリクロックRCCLKを適当な分周比で分周したクロックが供給されるとともに、シリアライザ314には、分周されたリカバリクロックRCCLKをPLL333で逓倍して分周前の周期に戻したクロック(すなわち、リカバリクロックRCCLKと同周期のクロック)が供給されている。
【0057】
図11はメインコントローラの構成を示す図である。メインコントローラMCは、外部装置から与えられる画像形成指令に含まれる画像データに必要な信号処理を行う画像処理部100と、メイン側通信モジュール200(送信手段)とを備えている。画像処理部100には、RGB画像データを各トナー色に対応したCMYK画像データに展開する色変換処理ブロック101と、画像データを一時的に保存するための画像メモリ102とが設けられている。さらに、画像処理部100には、画像データに対しスクリーン処理、ガンマ補正などの処理を行ってビデオデータVDを生成する画像処理ブロック103Y、103M、103C、103Kがそれぞれのトナー色ごとに設けられている。各画像処理ブロック103Y等は、垂直リクエスト信号VREQ−Y等の入力をきっかけとして1ページ分の画像について信号処理を開始し、生成した1ラインごとのビデオデータを順次メイン側通信モジュール200に出力する。つまり、画像処理部100において、4色のビデオデータVD−Y,VD−M,VD−C,VD−Kが生成される。
【0058】
次に、メイン側通信モジュール200(送信手段)の構成について説明する。メイン側通信モジュール200は、画像処理部100から出力される4色のビデオデータVD−Y、VD−M、VD−C、VD−Kを多重化しヘッドコントローラHCにシリアル送信する送信ブロック210と、多重化されてヘッドコントローラHCから送られてくる各色の垂直および水平リクエスト信号VREQ、HREQを受信しそれぞれ元の信号に復元して出力する受信ブロック220とを備えている。
【0059】
まず、受信ブロック220の構成および動作について説明する。前記したように、ヘッド側通信モジュール300から送られてくる信号は、クロックが埋め込まれた差動信号である。この差動信号はRX+端子、RX−端子間に入力され、受信された40ビットシリアルデータが受信バッファ221に入力される。なお、信号に埋め込まれたクロックはクロック復調部233によって復調され、復調されたクロックに基づきデータが受信される。
【0060】
受信された40ビットシリアルデータは、デシリアライザ222を経て10B8Bデコーダ223に入力される。そして、かかる10B8Bデコーダ223によって32ビットデータに直される。そして、この32ビットデータは、ディストリビュータ225に与えられる。
【0061】
ディストリビュータ225では、32ビットデータの各ビット情報を切り出し、時系列に沿って出力することによって、8種類のリクエスト信号を復元する。つまり、図8〜10を用いて説明したリクエスト信号の多重化の逆を行う。このうち、垂直リクエスト信号VREQ−Y、VREQ−M、VREQ−CおよびVREQ−Kは、画像処理の開始時期を知らせるべく画像処理ブロック103Y、103M、103Cおよび103Kにそれぞれ与えられる。また、水平リクエスト信号HREQ−Y、HREQ−M、HREQ−CおよびHREQ−Kは、各画像処理ブロックから出力されるビデオデータVDを所定のタイミングで多重化させるべく、データラッチのタイミング信号としてFIFOバッファ211に与えられている。
【0062】
送信ブロック210には、各色のビデオデータVDを多重化するタイミングを揃えるためのFIFOバッファ211が設けられている。FIFOバッファ211は、復元された各色の垂直リクエスト信号VREQ−Y、VREQ−M、VREQ−C、VREQ−Kに応じて各色の画像処理ブロックから出力される各8ビットのビデオデータVD−Y、VD−M、VD−C、VD−Kをそれぞれ水平リクエスト信号HREQ−Y、HREQ−M、HREQ−C、HREQ−Kでラッチしながら32ビットデータとして出力する。
【0063】
図12は、FIFOバッファから出力されるビデオデータの内容を示す図である。32ビットデータは8ビットを単位とする4つのセクションから成っており、1つのセクションに1つのトナー色が割り当てられている。各セクションは、形成すべきドットが上寄せか下寄せか等の位置を表す情報(2ビット)、適用されるスクリーンの種類を示す情報(1ビット)および形成すべきドットの階調値を表す情報(5ビット)から構成されている。つまり、本実施形態では、各セクションに、1ドットあたりのビデオデータが格納されている。なお、各セクションのうち、ヘッドコントローラHCからリクエスト信号が出力されていないトナー色に対応するセクションに対しては、ヌルデータまたは所定のダミーデータを挿入しておくものとする。このように、本実施形態では、各色のビデオデータが多重化される。かかる多重化について次に詳述する。
【0064】
図13は、ビデオデータの多重化の様子の説明図である。同図における符号Ye,Me,Ce,KeはそれぞれイエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックKのビデオデータを表すとともに、色を表す大文字アルファベットY,M,C,Kの直後のサフィックスeは、対応するデータが8ビットであることを表す。同図の「多重化前」が示すように、多重化前は、各色において、ビデオデータは、1ドット分の情報を示す8ビットのビット列が連続した状態で表される。なお、図13における各ビット列の内容は、図12における各セクションに格納されている内容に相当する。これに対して、本実施形態では、各色のビデオデータを多重化するために、同一のタイミングに対応する各色のビデオデータを、所定の色順番で時系列に対して直列に配置する。つまり、図13の「多重化後」に示すように、例えば、時刻TM(n-1)に対応する各色のビデオデータKe(n-1)、Ce(n-1)、Me(n-1)、Ye(n-1)をこの順番に配列して1つのワードWt(n-1)を構成し、また、時刻TM(n)に対応する各色のビデオデータKe(n)、Ce(n)、Me(n)、Ye(n)をこの順番に配列して1つのワードWt(n)を構成し、さらに、このようにして構成される複数のワードを、時系列に対して直列に配置する。
【0065】
つまり、本実施形態では、ブラックK,シアンC,マゼンタM,イエローYの順番で、各色のビット列単位のビデオデータをセクション(ブロック)に格納して、各色のビデオデータを多重化したビデオデータ(情報データ)を生成している。これにより、同図の「多重化後」に示すように、複数のブロックにまたがってビデオデータ(情報データ)が格納される。
【0066】
そして、FIFOバッファ211から出力された32ビットデータはシリアライザ212を経て8B10Bエンコーダ213に入力され、40ビットのデータに変換される。なお、8B10Bエンコーダ213の動作は、先述の8B10Bエンコーダ312の動作と同様である。そして、40ビットデータは、特殊符号挿入回路214に入力される。次に、特殊符号挿入回路214の動作について説明する。
【0067】
図14は、メインコントローラにおける特殊符号の挿入動作を示す図である。上述したように、特殊符号挿入回路214には、1ワードの長さが40ビットのデータが入力される。また、1ワードは、4つのセクション(ブロック)から構成され、各セクションは10ビットの長さのビット列を格納できる。つまり、上述したとおり、本実施形態の各ワードは、ブラックK,シアンC,マゼンタM,イエローYの4色に対応して、4個のセクションが同図右からブラックK,シアンC,マゼンタM,イエローYの順番で配置されて成る。そして、同図STEP1に示すように、4色それぞれの1ライン分のビデオデータが、複数のワードにまたがって、各色が対応するセクションに格納される。ここで、同図における符号Yt,Mt,Ct,KtはそれぞれイエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックKのビデオデータを表すとともに、色を表す大文字アルファベットY,M,C,Kの直後のサフィックスtは、対応するデータが10ビットであることを表す。また、同図のSTEP1は、特殊符号挿入回路214に入力されるデータの(n−1)番目及びn番目のワードWt(n-1),Wt(n)を示している。そして、特殊符号挿入回路214は、入力されるデータに対して、同図のSTEP2、STEP3に示す動作を実行する。
【0068】
STEP2では、連続的に配置される複数のワードWtの途中にダミーワードWt(dmy)を挿入する。具体的には、本実施形態では、(n−1)番目のワードWt(n-1)とn番目のワードWt(n)との間にダミーワードWt(dmy)を挿入する。なお、ダミーワードWt(dmy)の4個のセクションのそれぞれには対応する色のダミーデータYt(dmy),Mt(dmy),Ct(dmy),Kt(dmy)が格納されている。また、これらダミーデータYt(dmy),Mt(dmy),Ct(dmy),Kt(dmy)の具体的な値としては、任意のデータを採用することが可能であるが、本実施形態では、ダミーワードWt(dmy)の前に隣接するワードWt(n-1)の各セクションに格納されているビデオデータYt(n-1),Mt(n-1),Ct(n-1),Kt(n-1)と同じ値を採用する。つまり、本実施形態では、ビデオデータが格納された複数のセクション(ブロック)の途中に、ダミーデータ(ダミー情報データ)が格納されたダミーセクション(ダミーブロック)を4個挿入している。
【0069】
そして、STEP3において、ダミーワードWt(dmy)の有する4つのセクションのうち、イエローYのセクションにある10ビットデータYt(dmy)を、同じく10ビットの大きさを有する特殊符号SCに置換して、送信データを生成する。かかる特殊符号SCは、いわゆるKキャラクタまたはKコードと称される符号であるが、以下にその内容について説明する。
【0070】
上述のとおり本実施形態では、8B10B変換を実行して、8ビットデータを10ビットデータに変換する。そして、特殊符号SCは、8B10B変換において8ビットデータに対応する256個の10ビットデータ以外の10ビットデータとして定義される。すなわち、特殊符号SCは、8B10B変換の変換規則に従って8ビットデータを変換した際に発生し得ない10ビットデータである。かかる特殊符号SCは、10ビットデータの同期を確立するために用いられる。つまり、データは10ビットを1セクションとする構造を有するものの、実際には、各セクションは互いに途切れずに連続している。また、これら各セクションは、符号化された0または1の信号を有するのみである。したがって、なんらかの目印が無ければ、どこからどこまでの10ビットが1セクションに対応するかが判別できない。そこで、特殊符号SCを適当にデータに挿入するとともに、かかる特殊符号SCを検知して1セクションを判別することとしている。なお、特殊符号SCを挿入する頻度は、例えば、100ワード毎でも良いし、200ワード毎でもよい。また、定期的である必要も無い。要は、同期を確立するのに必要な頻度で挿入すれば足りる。
【0071】
こうして特殊符号SCが挿入されたデータは、バッファ215を経てシリアライザ216に入力される。また、シリアライザ216には、クロック発生部231で発生するクロックをPLL232により逓倍して生成される送信クロックTMCLKが、入力される。シリアライザ216は、入力された送信データにPLL232から供給される送信クロックTMCLKを重畳して、つまり送信クロックTMCLKを送信データによって変調して、該変調信号を差動シリアル信号としてTX+、TX−端子から出力する。このように、この実施形態では4色分のビデオデータは1つのシリアル信号に多重化されており、また該シリアル信号は送信クロックTMCLKを重畳した差動信号として出力される。すなわち、この実施形態では、4色分のビデオデータが1対の差動信号線によって送信される。
【0072】
図15は、信号線上のビデオデータを模式的に示す図である。この実施形態において、送信クロックTMCLKの周波数は37.5MHzであり、したがって、1ワードデータの送信周期は、約26.7nsecである。データ長は40ビットであるから、データ転送レートは1.5Gbps(bits per second)となっている。なお、送信クロックTMCLKはデータに重畳されており、図示したクロック信号が別途伝送されているわけではない。
【0073】
次に、再び図7を用いて、ヘッドコントローラの受信ブロックの動作について説明する。前記したように、メイン側通信モジュール200から送られてくる信号は、送信クロックTMCLKが重畳された差動信号である。この差動信号はRX+端子、RX−端子間に入力され、受信された40ビットシリアルデータが受信バッファ321に入力される。なお、信号に重畳された送信クロックTMCLKは受信クロック復調部331によってリカバリクロックRCCLKとして復調され、復調されたリカバリクロックRCCLKに基づきデータが受信される。
【0074】
メインコントローラMCから送信された送信データは、受信バッファ321で受信された後、デシリアライザ322を経て特殊符号検知回路323に入力される。かかる特殊符号検知回路323は、入力される送信データ中に挿入された特殊符号SCを検知し、該検知結果に基づいて上述した同期を取る。つまり、特殊符号検知回路323の動作により、送信データを送受信するメインコントローラMCとヘッドコントローラHCとの間の同期が取られている。そして、送信データは、特殊符号検知回路323から特殊符号抜出回路324へと出力される。
【0075】
図16は、特殊符号抜出回路の動作を示す図である。特殊符号抜出回路324には、10ビットの長さのビット列を格納可能な4つのセクションから構成されたワードを、複数配列したデータ構造を有する送信データが入力される(同図STEP1)。そして、特殊符号抜出回路324は、特殊符号SCが存在するワードであるダミーワードWt(dmy)を除去して、送信データからビデオデータを再構成する(STEP2)。つまり、STEP2では、同図のSTEP1に示す送信データから、全てのダミーセクション(ダミーブロック)を除去して、ビデオデータ(情報データ)を再構成する。
【0076】
そして、再構成されたビデオデータは、10B8Bデコーダに入力されて32ビットデータにデコードされた後、ディストリビュータ326に入力される。ディストリビュータ326は、ビデオデータを1セクションごとに分割することで各色8ビットずつのビデオデータを復元しヘッド制御モジュール400に出力する。すなわち、ヘッド側通信モジュール300では、多重化されてメインコントローラMCから送られてくる4色ビデオデータを逆多重化処理し、各色ごとのビデオデータに展開する。
【0077】
上述したように、メインコントローラMCとヘッドコントローラHCとの間では、シリアルデータが送受信される。ここで、かかるシリアルデータの送受信に用いられる信号伝送方式について説明する。
【0078】
図17はメインコントローラとヘッドコントローラとの接続を示す図である。メインコントローラMCには、メイン側通信モジュール200と電気的に接続された7ピンのプラグ201(以下「ホストプラグ」という)が設けられている。また、ヘッドコントローラHCにも、ヘッド側通信モジュール300と電気的に接続された7ピンのプラグ301(以下「デバイスプラグ」という)が設けられている。そして、両プラグ間は、両端にそれぞれホストプラグ201、デバイスプラグ301と嵌合する7ピンのコネクタ701a、701bを備えた通信ケーブル700によって接続されている。
【0079】
信号伝送方式には高速伝送が可能なLVDS(Low Voltage Differential Signaling;低電圧差動伝送)インターフェースが採用されており、メインコントローラMCからヘッドコントローラHCへの送信およびその逆方向の送信にはそれぞれ2本を1組とする差動信号線が使用される。2対の信号線対のうち1対は、メイン側通信モジュール200に設けられた送信用のTX+端子およびTX−端子とヘッド側通信モジュール300に設けられた受信用のRX+端子およびRX−端子とをコネクタを介してそれぞれ電気的に接続する。また、もう1対は、メイン側通信モジュール200に設けられた受信用のRX+端子およびRX−端子とヘッド側通信モジュール300に設けられた送信用のTX+端子およびTX−端子とをそれぞれ電気的に接続する。すなわち、メイン側通信モジュール200とヘッド側通信モジュール300とはポイント・ツー・ポイント接続されている。各信号線対はそれぞれシールドされており、シールド導体およびGND線も、信号線対を挟んでそれぞれコネクタ701a、701bに接続されている。これらのシールド導体およびGND線は両通信モジュール内で接地されている。このように、この実施形態では、メインコントローラMCからヘッドコントローラHCへのデータ送信およびヘッドコントローラHCからメインコントローラMCへのデータ送信が、1組の通信ケーブルによって双方向に行われる。また、TX+端子からRX+端子への配線と、TX−端子からRX−端子への配線とは、通信ケーブル700および基板上の配線パターンを含めて同じ長さとされており、高速でも安定した通信が行えるようになっている。
【0080】
図18はヘッド制御ブロックの構成を示す図である。ここではイエロー用のYヘッド制御ブロック410Yについて説明するが、他の各ブロック410M、410C、410Kもその構造は同じである。Yヘッド制御ブロック410Yは、ヘッド側通信モジュール300から送信されるビデオデータVDに基づいて、ラインヘッド29のドライバICを駆動制御し、LEDアレイ293を適当なタイミングで点灯させる。
【0081】
また、Yヘッド制御ブロック410Yは、リクエスト信号生成部411を有する。リクエスト信号生成部411は、エンジンコントローラECから与えられる同期信号Vsyncに基づいて適切なタイミングでリクエスト信号VREQ−Y、HREQ−Yを発生させる。つまり、リクエスト信号生成部411は、同期信号Vsyncを受信すると内部タイマ412のカウントを開始し、所定の待機時間が経過するとページの先頭を示す垂直リクエスト信号VREQ−Yを出力する。また、内部タイマ412は、ヘッド側通信モジュールからリカバリクロックRCCLKが入力されており、該リカバリクロックRCCLKによりカウントを実行する。つまり、本実施形態では、リカバリクロックRCCLKに基づいてリクエスト信号VREQ−Y、HREQ−Yを生成しており、その結果、これらリクエスト信号VREQ−Y、HREQ−Yは、リカバリクロックRCCLKに同期して出力される。なお、エンジンコントローラECからの同期信号Vsyncは、各色のヘッド制御ブロックに対し同時に与えられるが、上記待機時間はトナー色ごとに個別に設定されている。この待機時間を一次転写位置の違いに応じてそれぞれ設定することによって、図6に示した各色ごとのデータ転送タイミングの違いを創出することができる。
【0082】
上記実施形態では、メイン側通信モジュール200(送信手段)とヘッド側通信モジュール300(受信手段)との間の送受信をシリアル通信で実行する。つまり、メイン側通信モジュール200は、所定長のビット列を格納するセクション(ブロック)を配列したデータ構造を有する送信データをシリアル出力する。
【0083】
そして、メイン側通信モジュール200とヘッド側通信モジュール300との間のシリアル通信の同期を取るために、特殊符号SCを次のように用いる。つまり、メイン側通信モジュール200は、ビデオデータ(情報データ)を連続する複数のセクション(ブロック)にまたがって格納するとともに、該複数のセクションの途中にダミーデータ(ダミー情報データ)が格納されたダミーセクション(ダミーブロック)を4個挿入し、しかも、イエローYに対応するダミーセクションに対して格納するダミーデータYt(dmy)を特殊符号SCに置換する置換動作を実行して、送信データを生成する。そして、ヘッド側通信モジュール300は、受信した送信データから4個全てのダミーセクションを除去してビデオデータ(情報データ)を再構成する。
【0084】
つまり、上記実施形態では、メイン側通信モジュール200においてビデオデータの途中に特殊符号SCを挿入して送信データを生成するとともに、ヘッド側通信モジュール300において特殊符号SCを除去してビデオデータを再構成する。よって、ヘッド側通信モジュール300で受信されたビデオデータの途中に特殊符号SCが存在することに起因した不具合の発生を抑制することが可能となっている。
【0085】
また、上記実施形態は、ダミーワードWt(dmy)の各セクションに格納されるダミーデータYt(dmy),Mt(dmy),Ct(dmy),Kt(dmy)の値として、ダミーワードWt(dmy)の前に隣接するワードWt(n-1)の各セクションに格納されているビデオデータYt(n-1),Mt(n-1),Ct(n-1),Kt(n-1)と同じ値を採用している。したがって、メインコントローラMCにおいてダミーデータを特殊符号SCに置換する動作に誤作動が生じて、ダミーワードWt(dmy)の一つ前のワードWt(n-1)のセクションに格納されているデータが特殊符号SCへ置換された場合であっても、ヘッドコントローラHCにおいて、特殊符号SCが存在するワードWt(n-1)を除去することで、ビデオデータを正しく再構成することが可能であり好適である。この点について、具体例を用いて説明する。
【0086】
図19は、特殊符号への置換動作に誤りがあった場合の動作説明図である。理解の容易のため、本来的には図14に示したように、ダミーワードWt(dmy)のダミーデータYt(dmy)を特殊符号SCに置換すべきところを、図19の「置換動作」に示すように、誤って(n−1)番目のワードWt(n-1)のビデオデータYt(n-1)を特殊符号SCに置換した場合を考える。上述したように、特殊符号抜出回路324は、特殊符号SCが存在するワードを抜き出す。したがって、このように置換動作に誤りがあった場合、同図の「抜出動作」に示すように、(n−1)番目のワードWt(n-1)が特殊符号抜出回路324によって抜き出される。このとき、ダミーワードWt(dmy)を残した形で、ビデオデータが再構成される。しかしながら、上記実施形態では、ダミーワードWt(dmy)と(n−1)番目のワードWt(n-1)のそれぞれのセクションに格納されているデータは、互いに等しい。したがって、図19の「抜出動作」において再構成されたビデオデータと、図16の「STEP2」において再構成されたビデオデータとは、等しい。このように、上記実施形態では、特殊符号SCへの置換動作に誤りがあったとしても、ビデオデータが正しく再構成できるように構成されており好適である。
【0087】
ところで、上記実施形態では、図14のSTEP2で示したように、特殊符号挿入回路214において、ダミーワードWt(dmy)の各セクションに格納されるダミーデータYt(dmy),Mt(dmy),Ct(dmy),Kt(dmy)の値として、ダミーワードWt(dmy)の前に隣接するワードWt(n-1)の各セクションに格納されているビデオデータYt(n-1),Mt(n-1),Ct(n-1),Kt(n-1)と同じ値を採用している。そして、図16のSTEP2に示したように、特殊符号抜出回路324において、ダミーワードWt(dmy)を抜き出している。ここで、かかるダミーワードの抜出・挿入動作を簡便に実現する回路について紹介する。
【0088】
図20は、ダミーワードを挿入する回路を示す図である。図21は、図20の回路の動作を示す図である。同図に示す回路は、カウントアップカウンタ2141、セレクタ2142、シフトレジスタ2143、シフトレジスタ2144およびシフトレジスタ2145を有するとともに、これらはいずれも送信クロックTMCLKに同期して動く。また、カウントアップカウンタ2141の入力端子には、ダミーワードを挿入するタイミングを与える特殊コマンドパルスが入力される。つまり、カウントアップカウンタは、特殊コマンドパルスの入力の度に、カウンタ値を1増加させる。また、カウントアップカウンタ2141のリセット端子には水平リクエスト信号HREQが入力されているため、水平リクエスト信号HREQが入力される度に、カウンタ値は0にリセットされる。そして、カウントアップカウンタ2141の出力、つまりカウンタ値はセレクタ2142のカウント入力端子count[1:0]に入力される。
【0089】
したがって、セレクタ2142は、カウンタ値が0の場合には入力端子in0に入力される信号を出力端子outから出力し、カウンタ値が1の場合には入力端子in1に入力される信号を出力端子outから出力し、カウンタ値が2の場合には入力端子in2に入力される信号を出力端子outから出力し、カウンタ値が3の場合には入力端子in3に入力される信号を出力端子outから出力する。
【0090】
セレクタ2142の入力端子in0には、ビデオデータが入力される。セレクタ2142の入力端子in1には、シフトレジスタ2143により送信クロックTMCLKの1クロック分だけシフトされたビデオデータが入力される。セレクタ2142の入力端子in2には、シフトレジスタ2143及びシフトレジスタ2144により送信クロックTMCLKの2クロック分だけシフトされたビデオデータが入力される。セレクタ2142の入力端子in3には、シフトレジスタ2143、シフトレジスタ2144及びシフトレジスタ2145により送信クロックTMCLKの3クロック分だけシフトされたビデオデータが入力される。
【0091】
ここで理解の容易のため、図21に示すように、水平リクエスト信号HREQをトリガーとして、10ワードのビデオデータが特殊符号挿入回路214に入力された場合を考える。カウンタ値が0の間はセレクタ2142からは入力端子in0に入力されるビデオデータが出力される。つまり、ワードWt(1)〜Wt(4)が出力される。カウンタ値が1の間はセレクタ2142からは入力端子in1に入力されるデータが出力される。つまり、ワードWt(4)〜Wt(7)が出力される。カウンタ値が2の間はセレクタ2142からは入力端子in2に入力されるデータが出力される。つまり、ワードWt(7)〜Wt(10)が出力される。このように、図20に示す回路により、特殊コマンドパルスのタイミングで、ダミーデータとしてワードWt(4)、ワードWt(7)が挿入されている。なお、図21において下線が施されたワードWt(4)、ワードWt(7)がダミーデータに相当する。そして、ダミーデータであるワードWt(4)、ワードWt(7)の所定のセクション(ブロック)に格納されたデータが、特殊符号SCに置換されて、送信データとして特殊符号挿入回路214より出力される。
【0092】
図22は、ダミーワードを抜き出す回路を示す図である。図23は、図22の回路の動作を示す図である。同図に示す回路は、カウントダウンカウンタ3241、セレクタ3242、シフトレジスタ3243、シフトレジスタ3244およびシフトレジスタ3245を有するとともに、これらはいずれもリカバリクロックRCCLKに同期して動く。また、カウントダウンカウンタ3241の入力端子には、ダミーワードを挿入したタイミングを与える特殊コマンドパルスが入力される。つまり、カウントダウンカウンタは、特殊コマンドパルスの入力の度に、カウンタ値を1減少させる。また、カウントダウンカウンタ3241のリセット端子には水平リクエスト信号HREQが入力されているため、水平リクエスト信号HREQが入力される度に、カウンタ値はリセットされて値3をとる。そして、カウントダウンカウンタ3241の出力、つまりカウンタ値はセレクタ3242のカウント入力端子count[1:0]に入力される。
【0093】
したがって、セレクタ3242は、カウンタ値が0の場合には入力端子in0に入力される信号を出力端子outから出力し、カウンタ値が1の場合には入力端子in1に入力される信号を出力端子outから出力し、カウンタ値が2の場合には入力端子in2に入力される信号を出力端子outから出力し、カウンタ値が3の場合には入力端子in3に入力される信号を出力端子outから出力する。
【0094】
セレクタ3242の入力端子in0には、送信データが入力される。セレクタ3242の入力端子in1には、シフトレジスタ3243によりリカバリクロックRCCLKの1クロック分だけシフトされた送信データが入力される。セレクタ3242の入力端子in2には、シフトレジスタ3243及びシフトレジスタ3244によりリカバリクロックRCCLKの2クロック分だけシフトされた送信データが入力される。セレクタ3242の入力端子in3には、シフトレジスタ3243、シフトレジスタ3244及びシフトレジスタ3245によりリカバリクロックRCCLKの3クロック分だけシフトされた送信データが入力される。
【0095】
水平リクエスト信号HREQをトリガーとして、メインコントローラから送信データが入力される。カウンタ値が3の間はセレクタ3242からは入力端子in3に入力されるデータが出力される。つまり、ワードWt(1)〜Wt(4)が出力される。カウンタ値が2の間はセレクタ3242からは入力端子in2に入力されるデータが出力される。つまり、ワードWt(5)〜Wt(7)が出力される。カウンタ値が1の間はセレクタ3242からは入力端子in1に入力されるデータが出力される。つまり、ワードWt(8)〜Wt(10)が出力される。このように、図22に示す回路により、特殊コマンドパルスのタイミングで、ダミーデータとしてのワードWt(4)、ワードWt(7)が抜き出されている。なお、図23において下線が施されたワードWt(4)、ワードWt(7)がダミーデータに相当する。
【0096】
このように、図20のダミーワード挿入回路、および、図22のダミーワードの抜出回路のいずれも、メモリを有することなく安価かつ簡便に構成されており好適である。
【0097】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、特殊符号挿入回路214において、ダミーワードWt(dmy)の各セクションに格納されるダミーデータYt(dmy),Mt(dmy),Ct(dmy),Kt(dmy)の値として、ダミーワードWt(dmy)の前に隣接するワードWt(n-1)の各セクションに格納されているビデオデータYt(n-1),Mt(n-1),Ct(n-1),Kt(n-1)と同じ値を採用している。しかしながら、ダミーワードWt(dmy)の各セクションに格納可能なデータはこれに限られず、次のように構成しても良い。
【0098】
図14を参照しながら説明する。つまり、ダミーワードWt(dmy)に前後に隣接する2個のワードWt(n)、Wt(n-1)に格納されるビデオデータを各色毎に平均してダミーデータを生成するとともに、該ダミーデータをダミーワードの各セクション(ブロック)に格納するように構成しても良い。具体的には、このとき、各色のダミーデータは、
Yt(dmy)=(Yt(n)+Yt(n-1))/2
Mt(dmy)=(Mt(n)+Mt(n-1))/2
Ct(dmy)=(Ct(n)+Ct(n-1))/2
Kt(dmy)=(Kt(n)+Kt(n-1))/2
となる。このように構成した場合、メインコントローラMCにおいてダミーデータを特殊符号SCに置換する動作に誤作動が生じて、ダミーワードWt(dmy)の前後のワードWt(n)、Wt(n-1)いずれかののセクション(ブロック)に格納されているデータが特殊符号SCへ置換された場合であっても、ヘッドコントローラHCにおいて、特殊符号SCが存在するワードを除去することで、元のビデオデータに近似したデータを構成することが可能であり好適である。
【0099】
また、上記実施形態では、ダミーワードWt(dmy)の有する4つのセクションのうち、イエローYのセクションにある10ビットデータYt(dmy)を、同じく10ビットの大きさを有する特殊符号SCに置換している。しかしながら、ダミーワードの有する4つのセクションのうち、特殊符号SCへの置換を行なうセクションは、イエローYのセクションに限られず、シアンCのセクションであっても良い。また、特殊符号SCへの置換を行なうセクションの数も1つに限られるものではなく、2つまたは4つ全てに対して置換を行なっても良い。
【0100】
また、上記実施形態では、特殊符号の挿入・抜出動作を次のように実行している。つまり、メイン側通信モジュール200は、4個のダミーセクション(ダミーブロック)をビデオデータの途中に挿入するとともに、ヘッド側通信モジュール300は、これら4個のダミーセクション(ダミーブロック)を除去してビデオデータを再構成している。しかし挿入・抜出するダミーセクションの数はこれに限られず、1つ以上であれば良い。そこで、挿入・抜出動作の別の例として、1個のダミーセクションを挿入・抜出する場合について次に説明する。
【0101】
図24は、メインコントローラにおける特殊符号の挿入動作の別の例を示す図である。同図のSTEP1が示すように、特殊符号挿入回路には、連続して並べて配置された複数のセクション(ブロック)にまたがって格納されたビデオデータ(情報データ)が入力される。同図に示す特殊符号SCの挿入動作では、これら複数のセクションの途中に、ダミーデータYt(dmy)(ダミー情報データ)が格納されたダミーセクション(ダミーブロック)を1個挿入する(同図STEP2)。そして、かかるダミーデータYt(dmy)を、特殊符号SCに置換して、送信データを生成する(同図STEP3)。このようにして生成された送信データは、ヘッドコントローラHCに向けて送信される。
【0102】
図25は、ヘッドコントローラにおける特殊符号の抜出動作の別の例を示す図である。特殊符号抜出回路324には、10ビットの長さのビット列を格納可能なセクション(ブロック)を複数配列したデータ構造を有する送信データが入力される(同図STEP1)。そして、特殊符号抜出回路324は、特殊符号SCが存在するダミーセクション(ダミーブロック)を除去して、送信データからビデオデータ(情報データ)を再構成する(STEP2)。
【0103】
そして、再構成されたビデオデータは、10B8Bデコーダに入力されて32ビットデータにデコードされた後、ディストリビュータ326に入力される。ディストリビュータ326は、ビデオデータを1セクションごとに分割することで各色8ビットずつのビデオデータを復元しヘッド制御モジュール400に出力する。すなわち、ヘッド側通信モジュール300では、多重化されてメインコントローラMCから送られてくる4色ビデオデータを逆多重化処理し、各色ごとのビデオデータに展開する。
【0104】
このように、図24、25を用いて説明した実施形態においても、メイン側通信モジュール200においてビデオデータの途中に特殊符号SCを挿入して送信データを生成するとともに、ヘッド側通信モジュール300において送信データから特殊符号SCを除去してビデオデータを再構成する。よって、ヘッド側通信モジュール300で受信されたビデオデータの途中に特殊符号SCが存在することに起因した不具合の発生を抑制することが可能となっている。
【0105】
また、本実施形態では、リクエスト信号VREQ,HREQをリカバリクロックRCCLKから生成しているが、例えば、リクエスト信号生成用のクロックを別途も受けて、かかるクロックに基づいてリクエスト信号VREQ,HREQを生成しても良い。ただし、上記実施形態では、メインコントローラMCから出力された信号に重畳された送信クロックTMCLKをリカバリクロックRCCLKとして復元するとともに、ヘッドコントローラHCにおけるビデオデータVDの受信動作および水平リクエスト信号HREQの生成動作のいずれもを、リカバリクロックRCCLKに基づいて行なうことで、これら2つの動作を実行するに際して別途クロック発振源を設ける必要が無く、装置構成の簡素化及び低コスト化が図られている。
【0106】
また、本発明では、メインコントローラMC−ヘッドコントローラHCの間における信号の送受信に際して、ビデオデータとは別にクロック通信線を設けるのではなく、ビデオデータに送信クロックTMCLKを重畳させて送信するので、より高速での通信を安定して行うことができる。そのため、安定して画像を形成することができ、また、さらなる高速化や、データ量の増大につながる高精細化・多色化といった要求にも柔軟に対応することができる。また、クロック通信線を設けないことにより通信線の数を削減することもできる。
【0107】
また、上記実施形態では、リカバリクロックRCCLKを、分周回路332およびPLL333を経てシリアライザ314に供給している。しかしながら、シリアライザ314へのリカバリクロックRCCLKの供給の態様はこれに限られず、リカバリクロックRCCLKを直接シリアライザ314に供給しても良い。
【0108】
また、上記実施形態のメインコントローラMCに設けた画像処理部100では、画像処理前の画像データを画像メモリに保存しておき、ヘッドコントローラHCから要求があったときに、各画像処理ブロックがこれを読み出して必要な処理を加えた上でビデオデータとして出力する。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、外部装置から画像データを受信したときに画像処理を行って該処理後の画像データを画像メモリに保存するようにしておき、ヘッドコントローラHCから要求があったときにこれを順次読み出して送出するようにしてもよい。
【0109】
さらに、上記実施形態では、YMCK4色のトナーを使用したカラー画像形成装置に本発明が適用されているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、色の種類や色数の異なる画像形成装置に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明にかかる通信装置の一実施形態を備えた画像形成装置を示す図。
【図2】図1の画像形成装置における画像形成ステーションの配置を示す図。
【図3】図1の画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図4】ラインヘッドの構造を示す図。
【図5】メインコントローラとヘッドコントローラとの間の通信を示す図。
【図6】各色ごとの通信タイミングを示す図。
【図7】ヘッドコントローラの構成を示す図。
【図8】シリアライザから出力されるデータの内容を示す図。
【図9】リクエスト信号の例を示すタイミングチャート。
【図10】図9のパターンを符号化した結果を示す図。
【図11】メインコントローラの構成を示す図。
【図12】FIFOバッファから出力されるビデオデータの内容を示す図。
【図13】ビデオデータの多重化の様子の説明図。
【図14】メインコントローラにおける特殊符号の挿入動作を示す図。
【図15】信号線上のビデオデータを模式的に示す図。
【図16】特殊符号抜出回路の動作を示す図。
【図17】メインコントローラとヘッドコントローラとの接続を示す図。
【図18】ヘッド制御ブロックの構成を示す図。
【図19】特殊符号への置換動作に誤りがあった場合の動作説明図。
【図20】ダミーワードを挿入する回路を示す図。
【図21】図20の回路の動作を示す図。
【図22】ダミーワードを抜き出す回路を示す図。
【図23】図22の回路の動作を示す図。
【図24】メインコントローラにおける特殊符号の挿入動作の別の例を示す図。
【図25】ヘッドコントローラにおける特殊符号の抜出動作の別の例を示す図。
【符号の説明】
【0111】
100…画像処理部、 21…感光体ドラム、 200…メイン側通信モジュール(送信手段)、 210…送信ブロック、 214…特殊符号挿入回路、 25…現像部、 29…ラインヘッド、 2Y,2M,2C,2K…画像形成ステーション、 300…ヘッド側通信モジュール(受信手段)、 323…特殊符号検知回路、 324…特殊符号抜出回路、 EC…エンジンコントローラ、 HC…ヘッドコントローラ、 MC…メインコントローラ、 VD…ビデオデータ(情報データ)、 SC…特殊符号
【技術分野】
【0001】
この発明は、送信手段と受信手段との間でシリアル通信を実行する通信装置および通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、送信手段と受信手段との間における送信データの送受信を、シリアル通信により実行する技術が知られている。かかるシリアル通信では、所定長のビット列を一単位として送受信することができる。つまり、この際、送信手段は、所定の情報を示す情報データを所定長のビット列単位でシリアル出力するとともに、受信手段は、所定長のビット列単位で送られてくるデータを順番に受信することで、情報データを受信する。
【0003】
【特許文献1】米国特許第4486739号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、シリアル通信を実行すべく、上述のビット列を連続的に送信した場合、受信手段は、どこからどこまでのビットがビット列に対応するかが判別できない場合がある。これに対して、例えば上記特許文献1では、情報データを表すに際して発生し得ない符号パターンのビット列である特殊符号を用いた技術が記載されている。つまり、同特許文献では、10ビットのビット列を一単位として情報データを送受信するに際して、10ビットの長さを有する特殊符号(special character)を、例えば送受信しようとする情報データの前後に付加する。そして、該特殊符号を基準として、どこからどこまでのビットが情報データを表すビット列に対応するかを判断可能としている。つまり、特殊符号を基準として情報データの送信側と受信側とで同期を取っている。
【0005】
しかしながら、情報データを示すビット列とビット列との間に特殊符号を挿入して、上述の同期を取る場合、次のような問題が発生する場合があった。つまり、送信手段において情報データを示すビット列とビット列との間に特殊符号を挿入して送信データを生成し、該送信データを出力した場合、受信手段において受信されるデータも、情報データを示すビット列とビット列との間に特殊符号が挿入されたデータである。つまり、受信手段において、本来的には、連続しているべき情報データの途中に、特殊符号が存在することとなる。そして、上述の通り、特殊符号は、情報データを表すに際して発生し得ない符号パターンを有する。その結果、このような特殊符号が情報データの途中に存在することに起因して、受信手段が適切に動作しないという不具合が発生する場合があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、送信手段と受信手段との間の情報データの送受信の同期を特殊符号を用いて取る通信装置および通信方法において、受信手段で受信された情報データの途中に特殊符号が存在することに起因した不具合の発生を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる通信装置は、所定長のビット列を格納するブロックを配列したデータ構造を有する送信データをシリアル出力する送信手段と、送信データを受信する受信手段とを備えた通信装置であって、上記目的を達成するために、送信手段は、所定の情報を示す情報データを連続する複数のブロックにまたがって格納するとともに、該複数のブロックの途中にダミー情報データが格納されたダミーブロックを1つ以上挿入し、しかも、少なくとも1つのダミーブロックに対して格納するダミー情報データを特殊符号に置換する置換動作を実行して、送信データを生成し、受信手段は、受信した送信データから全てのダミーブロックを除去して情報データを再構成することを特徴としている。
【0008】
また、この発明にかかる通信方法は、所定長のビット列を格納するブロックを配列したデータ構造を有する送信データをシリアル出力する送信手段と、送信データを受信する受信手段とを備えた通信装置を用いて送信手段と受信手段との間でシリアル通信を実行する通信方法であって、上記目的を達成するために、送信手段において、所定の情報を示す情報データを連続する複数のブロックにまたがって格納するとともに、該複数のブロックの途中にダミー情報データが格納されたダミーブロックを1つ以上挿入し、しかも、少なくとも1つのダミーブロックに対して格納するダミー情報データを特殊符号に置換する置換動作を実行して、送信データを生成し、受信手段において、受信した送信データから全てのダミーブロックを除去して情報データを再構成することを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(通信装置および通信方法)は、送信手段と受信手段との間の送受信をシリアル通信で実行する。つまり、送信手段は、所定長のビット列を格納するブロックを配列したデータ構造を有する送信データをシリアル出力する。
【0010】
そして、送信手段と受信手段との間のシリアル通信の同期を取るために、特殊符号を次のように用いる。つまり、送信手段は、所定の情報を示す情報データを連続する複数のブロックにまたがって格納するとともに、該複数のブロックの途中にダミー情報データが格納されたダミーブロックを1つ以上挿入し、しかも、少なくとも1つのダミーブロックに対して格納するダミー情報データを特殊符号に置換する置換動作を実行して、送信データを生成する。そして、受信手段は、受信した送信データから全てのダミーブロックを除去して情報データを再構成する。
【0011】
つまり、本発明では、送信手段において情報データの途中に特殊符号を挿入して送信データを生成するとともに、受信手段において特殊符号を除去して情報データを再構成する。よって、受信手段で受信された情報データの途中に特殊符号が存在することに起因した不具合の発生を抑制することが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本発明にかかる通信装置の一実施形態を備えた画像形成装置を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置における画像形成ステーションの配置を示す図である。さらに、図3は図1の画像形成装置の電気的構成を示す図である。この装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCがエンジンコントローラECに制御信号を与え、これに基づき、エンジンコントローラECがエンジン部EGおよびヘッドコントローラHCなど装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどの記録材たるシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0013】
この実施形態にかかる画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラECおよびヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット2、転写ベルトユニット8および給紙ユニット7もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、二次転写ユニット12、定着ユニット13およびシート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット7は、ハウジング本体3に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット7および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0014】
画像形成ユニット2は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。なお、図1においては、画像形成ユニット2の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号を付し、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0015】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kには、それぞれの色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。また、感光体ドラム21の周囲には、その回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作およびトナー現像動作が実行される。カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8に設けた転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成する。また、モノクロモード実行時は、画像形成ステーション2Kのみを動作させてブラック単色画像を形成する。
【0016】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を所定の表面電位に帯電させる。
【0017】
ラインヘッド29は、感光体ドラム21の軸方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に配列された複数の発光素子を備えており、感光体ドラム21に対向配置されている。そして、これらの発光素子から、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に向けて光を照射して該表面に静電潜像を形成する。
【0018】
図4はラインヘッドの構造を示す図である。なお、以下の説明においては、図1の紙面奥から手前側に向かう方向をX方向とする。すなわち、X方向は、感光体ドラム21の回転軸に平行な方向であり、かつ感光体21ドラム表面の移動方向および転写ベルト81の移動方向D81に直交する方向である。ラインヘッド29では、露光光源となる複数のLED(発光ダイオード)素子がX方向に配列されてなるLEDアレイ293が、長尺のハウジング中に保持されている。ベース基板294上のLEDアレイ293は、同じベース基板294上に形成されたドライバIC295により駆動される。ヘッドコントローラHCからビデオ信号が与えられると、該ビデオ信号に基づきドライバIC295が作動してLEDアレイ293に設けられたLED素子が点灯する。屈折率分布型ロッドレンズアレイ296は結像光学系を構成し、LED素子の前面に配置される屈折率分布型ロッドレンズ297を俵積みしている。ハウジングは、ベース基板294の周囲を覆い、感光体ドラム21に面した側は開放する。このようにして、屈折率分布型ロッドレンズ297から感光体ドラム21に光線を射出する。これによって、ビデオ信号に対応して感光体ドラム21に静電潜像が形成される。
【0019】
図1に戻って装置構成の説明を続ける。現像部25は、その表面にトナーを担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動してその表面に形成された静電潜像が顕像化される。
【0020】
現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、後に詳述する転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する一次転写位置TR1において転写ベルト81に一次転写される。
【0021】
また、感光体ドラム21の回転方向D21の一次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラムの表面に当接することで一次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0022】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、図1において駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され駆動ローラ82の回転により図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、カートリッジ装着時において各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の一次転写ローラ85Y、85M、85Cおよび85Kを備えている。これらの一次転写ローラは、それぞれ一次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。
【0023】
カラーモード実行時は、図1および図2に示すように全ての一次転写ローラ85Y、85M、85Cおよび85Kを画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に一次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで一次転写バイアス発生部から一次転写ローラ85Y等に一次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する一次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写する。すなわち、カラーモードにおいては、各色の単色トナー像が転写ベルト81上において互いに重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0024】
いわゆるタンデム方式の画像形成装置では、感光体ドラム21から転写ベルト81にトナー像が一次転写される一次転写位置は、各画像形成ステーションごとに異なった位置となる。この実施形態においては、イエロー用画像形成ステーション2Y、マゼンタ用画像形成ステーション2M、シアン用画像形成ステーション2Cおよびブラック用画像形成ステーション2Kが転写ベルト81の移動方向に沿ってこの順番に配置されている。したがって、イエロー一次転写位置TR1yとマゼンタ一次転写位置TR1mとは距離Lym、マゼンタ一次転写位置TR1mとシアン一次転写位置TR1cとは距離Lmc、シアン一次転写位置TR1cとブラック一次転写位置TR1kとは距離Lckだけ離隔している。
【0025】
一方、モノクロモード実行時は、4個の一次転写ローラのうち、一次転写ローラ85Y、85Mおよび85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Cから離間させるとともにブラック色に対応した一次転写ローラ85Kのみを画像形成ステーション2Kに当接させることで、モノクロ用の画像形成ステーション2Kのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、一次転写ローラ85Kと画像形成ステーション2Kとの間にのみ一次転写位置TR1kが形成される。そして、適当なタイミングで一次転写バイアス発生部から一次転写ローラ85Kに一次転写バイアスを印加することで、画像形成ステーション2Kに設けられた感光体ドラム21の表面上に形成されたブラックトナー像を、一次転写位置TR1kにおいて転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0026】
さらに、転写ベルトユニット8は、ブラック用一次転写ローラ85Kの下流側で且つ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。この下流ガイドローラ86は、一次転写ローラ85Kが画像形成ステーション2Kの感光体ドラム21に当接して形成する一次転写位置TR1での一次転写ローラ85Kとブラック用感光体ドラム21(K)との共通接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0027】
また、下流ガイドローラ86に巻き掛けられた転写ベルト81の表面に対向してパッチセンサ89が設けられている。パッチセンサ89は例えば反射型フォトセンサからなり、転写ベルト81表面の反射率の変化を光学的に検出することにより、必要に応じて転写ベルト81上に形成されるパッチ画像の位置やその濃度などを検出する。
【0028】
給紙ユニット7は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80によって給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って、駆動ローラ82と二次転写ローラ121とが当接する二次転写位置TR2に給紙される。
【0029】
二次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、二次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が二次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラ1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0030】
前記した駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、二次転写ローラ121のバックアップローラとしての機能も兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する二次転写バイアス発生部から二次転写ローラ121を介して供給される二次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、二次転写位置TR2へシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達されることに起因する画質の劣化を防止することができる。
【0031】
また、この装置では、ブレード対向ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラ83に当接することで、二次転写後に転写ベルト81に残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。また、クリーナブレード711及び廃トナーボックス713は、ブレード対向ローラ83と一体的に構成されている。
【0032】
なお、この実施形態においては、各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kの感光体ドラム21、帯電部23、現像部25および感光体クリーナ27を一体的にカートリッジとしてユニット化している。そして、このカートリッジが装置本体に対し着脱可能に構成されている。また、各カートリッジには、該カートリッジに関する情報を記憶するための不揮発性メモリがそれぞれ設けられている。そして、エンジンコントローラECと各カートリッジとの間で無線通信が行われる。こうすることで、各カートリッジに関する情報がエンジンコントローラECに伝達されるとともに、各メモリ内の情報が更新記憶される。これらの情報に基づき各カートリッジの使用履歴や消耗品の寿命が管理される。
【0033】
また、この実施形態では、メインコントローラMC、ヘッドコントローラHCおよび各ラインヘッド29がそれぞれ別ブロックとして構成され、以下に説明するように、それらが互いにシリアル通信線を介して接続されている。ヘッドコントローラHCをメインコントローラMCまたはラインヘッド29と一体に構成することも考えられるが、これらを別体に構成することで、次のような利点が生まれる。
【0034】
まず、ラインヘッド29からヘッドコントローラHCの機能を独立させることにより、ラインヘッド29を大幅に小型化することが可能となり、エンジン部EGおよび装置全体の小型化を図ることができる。また、ラインヘッドの構造に依存する処理機能をメインコントローラMCから切り離し専用ブロック化することにより、メインコントローラMC側ではヘッドの構成を考慮することなく、より汎用性の高い信号処理のみを行うことができるようになる。また、メインコントローラMCとヘッドコントローラHCとの間の通信を規格化しておけば、異なる構成のヘッドを使用する場合にも、メインコントローラについては何ら変更することなく、使用するヘッドに対応するヘッドコントローラのみを用意すればよいこととなる。これにより、共通のメインコントローラMCを異なる構成のヘッドを有する装置に共通して使用することが可能となり、1つのコントローラを用いた多機種展開が容易になる。
【0035】
上記のように構成された装置各部の連携動作について、再び図3を参照しながら説明する。外部装置からメインコントローラMCに画像形成指令が与えられると、メインコントローラMCは、UART(汎用非同期送受信)通信線を介してエンジンコントローラECにエンジン部EGを起動させるための制御信号を送信する。また、メインコントローラMCに設けられた画像処理部100が、画像形成指令に含まれる画像データに対して所定の信号処理を行い、各トナー色ごとのビデオデータを生成する。
【0036】
一方、制御信号を受けたエンジンコントローラECは、エンジン部EG各部の初期化およびウォームアップを開始する。これらが完了して画像形成動作を実行可能な状態になると、エンジンコントローラECは、各ラインヘッド29を制御するヘッドコントローラHCに対し画像形成動作の開始のきっかけとなる同期信号VsyncをUART通信線を介して出力する。
【0037】
ヘッドコントローラHCには、各ラインヘッドを制御するヘッド制御モジュール400と、メインコントローラMCとのデータ通信を司るヘッド側通信モジュール300とが設けられている。一方、メインコントローラMCにもメイン側通信モジュール200が設けられている。本実施形態において、ヘッド側通信モジュール300が本発明にかかる通信装置の「受信手段」に相当するとともに、メイン側通信モジュール200が本発明にかかる通信装置の「送信手段」に相当する。そして、メイン側通信モジュール200およびヘッド側通信モジュール300が、各モジュール間でビデオデータを送受信する「通信装置」として機能する。つまり、ヘッド側通信モジュール300からメイン側通信モジュール200に向けては、1ページ分の画像の先頭を示す垂直リクエスト信号VREQと、該画像を構成するラインのうち1ライン分のビデオデータを要求する水平リクエスト信号HREQとが送信される。一方、メイン側通信モジュール200からヘッド側通信モジュール300に向けては、これらのリクエスト信号に応じてビデオデータが送信される。より詳しくは、画像の先頭を示す垂直リクエスト信号VREQを受信した後、水平リクエスト信号HREQを受信する度に、画像の先頭部分から1ライン分ずつビデオデータを順次出力する。なお、本実施形態において、ビデオデータが本発明における「情報データ」に相当する。
【0038】
図5はメインコントローラとヘッドコントローラとの間の通信を示す図である。1ページの画像は、多数のドットをX方向(ラインヘッド29の発光素子の配列方向)に沿って一列に並べたラインをこれと直交する方向、すなわち転写ベルト81の移動方向D81に少しずつ位置を異ならせながら形成したものである。ヘッドコントローラHCから出力されるリクエスト信号VREQはページ先頭を示すものである。メインコントローラMCではリクエスト信号VREQの受信後に受信したリクエスト信号HREQが有効とされ、このリクエスト信号HREQを受信する度に1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラHCに送信する。
【0039】
この実施形態では、1ラインを構成するドット数は最大6828である。また、解像度は600dpi(dots per inch)であり、ドットピッチもこれに等しい。したがって、1ラインの最大長さはおよそ11.4インチ(289mm)である。この長さは、日本工業規格A3版用紙の短辺寸法に対応している。各ドットの画像データは8ビットで多階調表現されており、1ライン分のビデオデータVDは、予め定められた特定の値(ここでは55h)のヘッドデータと、それに続く8ビット×6828ドットの画像データ列とからなっている。ヘッドデータはデータ列の先頭を示すためのものであり、ビデオデータを受信するヘッドコントローラ側では、値00hが続いた後に受信されたヘッドデータによりデータの先頭であることを認識することができる。言い換えれば、垂直リクエスト信号VREQを受信してから最初に受信された00h以外の値がヘッドデータとして決められているものと異なっていた場合には、通信エラーであると判断することができる。
【0040】
こうして1ライン分のビデオデータを出力した後、続いてリクエスト信号HREQが与えられると、メインコントローラMCは次の1ライン分のデータを出力する。これを繰り返すことにより、1ページ分の画像に対応するビデオデータVDがメインコントローラMCからヘッドコントローラHCに受け渡される。形成すべき次のページの画像がある場合には、先のページのデータ通信の終了後、ヘッドコントローラHCからメインコントローラMCに対し再び垂直リクエスト信号VREQが送信される。
【0041】
この実施形態では、上記した各信号、すなわちヘッドコントローラHCからメインコントローラMCへ送られるリクエスト信号VREQ、HREQおよびメインコントローラMCからヘッドコントローラHCへ送られるビデオデータVDが、YMCK各色に対応して4組存在する。以下では、必要に応じて各信号にハイフンおよび色を表す符号を付すことで色の区別をする。例えば、イエロー用の垂直同期信号、水平同期信号およびビデオデータはそれぞれVREQ−Y、HREQ−YおよびVD−Yと表す。
【0042】
図6は各色ごとの通信タイミングを示す図である。より具体的には、同図は2ページ分のカラー画像を連続して形成する場合におけるメインコントローラとヘッドコントローラとの間の信号のやり取りを示している。図2に示すように、各画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kが転写ベルト81上にトナー像を転写する一次転写位置TR1y、TR1m、TR1c、TR1kは互いに異なっている。したがって、各画像形成ステーションでそれぞれ形成されるトナー像を転写ベルト81上の同一位置で互いに重ね合わせるためには、一次転写位置の違いを吸収すべくビデオデータを一時的に保存するバッファメモリをヘッドコントローラHCに設けるか、または一次転写位置間の距離に応じてビデオデータの送信タイミングをトナー色ごとに異ならせる必要がある。前者の場合には各トナー色ごとに大容量のメモリが必要となり装置コストが大幅に上昇してしまう。
【0043】
この実施形態では、大容量のバッファメモリを必要としない後者の方法を採っている。すなわち、画像形成ステーションの配置に応じてビデオデータの送信タイミングに時間差を設けることにより、転写ベルト81上におけるトナー像の形成位置が各トナー色間で一致するようにしている。より具体的には、ヘッドコントローラHCから出力するリクエスト信号VREQ、HREQを送信するタイミングを、トナー色ごとに異ならせている。例えば、イエロー用垂直リクエスト信号VREQ−Yとマゼンタ用垂直リクエスト信号VREQ−Mとの間の時間差Tymは、転写ベルト81の移動速度をVtbとしたとき、
Tym=Lym/Vtb
となるように、リクエスト信号の出力タイミングが調整される。これにより、イエロー用ビデオ信号VD−Yとマゼンタ用ビデオ信号VD−Mとの間にも同様の時間差が生まれ、結果的に両トナー色のトナー像の形成位置が転写ベルト81上において同じになる。同様に、マゼンタ用ビデオ信号VD−Mとシアン用ビデオ信号VD−Cとの間、シアン用ビデオ信号VD−Cとブラック用ビデオ信号VD−Kとの間にも、それぞれ一次転写位置間の距離に応じた時間差Tmc、Tckが設けられる。
【0044】
このとき、一次転写位置間の距離に応じた時間差を設定しているのはヘッドコントローラHCから出力されるリクエスト信号であり、メインコントローラMCは単に与えられたリクエスト信号によって要求されたタイミングでビデオ信号を出力するのみである。こうすることで、メインコントローラMC側で一次転写位置間の距離を管理しておく必要がなくなり、メインコントローラMCはエンジン部EGの構成に依存しない処理のみを行うことができる。
【0045】
ところで、このような通信方式では、リクエスト信号VREQ、HREQおよびビデオデータVDの少なくとも3本の信号線が1色ごとに必要である。そして、色数が多くなるとそれにつれて信号線の本数も多くなってしまう。また、図6から明らかなように、2色以上の信号が同時に送受信されるタイミングが存在するため、共通バスラインを介したバス通信方式を採用することも難しい。
【0046】
そこで、この実施形態では、次に説明するように、リクエスト信号を符号化している。これによって、各トナー色の垂直および水平リクエスト信号VREQおよびHREQを時分割で多重化し、1組のシリアル信号線で4色分のリクエスト信号を送信できるようにしている。また、ビデオデータVDについても4色分を時分割で1つの信号に多重化することにより、1組のシリアル信号線で送信可能としている。したがって、この実施形態では、メインコントローラMCからヘッドコントローラHCに送信するための信号線と、ヘッドコントローラHCからメインコントローラMCに送信するための信号線とからなる1組の信号線によって、色数に関係なく必要なデータ通信を行うことが可能となっている。
【0047】
このようにデータを多重化した場合、より高速でのデータ伝送が必要となる。この実施形態では、データ送信用のクロックを送信モジュール側で発生させるとともに、該クロック成分をデータに重畳して送信することによって、クロック送信線を省き信号線数をさらに削減しながら、より高速で安定したデータ通信を可能にしている。
【0048】
以下、本実施形態におけるデータ通信方式について詳しく説明する。この実施形態では、ヘッドコントローラHCからメインコントローラMCへ送られる4色分のリクエスト信号、そしてメインコントローラMCからヘッドコントローラHCへ送られる4色分のビデオデータのいずれもが、多重化されてシリアル信号として送受信される。
【0049】
図7は、ヘッドコントローラの構成を示す図である。ヘッドコントローラHCは、ヘッド側通信モジュール300(受信手段)とヘッド制御モジュール400とを備えている。ヘッド制御モジュール400は、画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kのそれぞれに設けられたラインヘッド29を個別に制御するYヘッド制御ブロック410Y、Mヘッド制御ブロック410M、Cヘッド制御ブロック410CおよびKヘッド制御ブロック410Kを備えている。ビデオデータVD−Y,VD−M,VD−C,VD−Kは、それぞれ対応する色のヘッド制御ブロックに入力される。また、各ヘッド制御ブロックからは、それぞれ独立したタイミングで垂直リクエスト信号VREQおよび水平リクエスト信号HREQがヘッド側通信モジュール300に入力されている。
【0050】
ヘッド側通信モジュール300は、メインコントローラMCから多重化されて送信されてくるビデオデータ(情報データ)を受信し各色ごとのビデオデータに復元する受信ブロック320と、リクエスト信号を多重化してメインコントローラMCに送信する送信ブロック310とを備えている。まず、送信ブロック310について説明するとし、受信ブロック320の説明はメインコントローラMCの説明の後に行なう。
【0051】
図8は、シリアライザから出力されるデータの内容を示す図である。図8が示すように、本実施形態では、8ビットを単位とする4セクションから成る32ビットデータが、シリアライザ311から出力される。また、各セクションの各ビットには、それぞれY、M、C、K色の垂直リクエスト信号VREQ、水平リクエスト信号HREQのいずれかが割り当てられている。シリアライザ311に送られるリクエスト信号は、1色につき垂直リクエスト信号VREQ、水平リクエスト信号HREQの2種類、4色分で計8種類である。これら8種類の信号を、1セクションを構成する8ビットのそれぞれに割り当てる。ここでは、上位ビットから順に、リクエスト信号VREQ−Y、HREQ−Y、VREQ−M、HREQ−M、VREQ−C、HREQ−C、VREQ−KおよびHREQ−Kを割り当てるものとする。
【0052】
図9はリクエスト信号の例を示すタイミングチャートである。また、図10は図9のパターンを符号化した結果を示す図である。これらの図を参照しながら、シリアライザ311の動作ついて説明する。なお、図9および図10に示すパターンは説明の便宜のために作成した仮想的なものであって、装置の動作において現実に生じうるパターンとは必ずしも一致しない。また、リクエスト信号を符号化するに際しては、Hレベルを値0で、Lレベルを値1で表すものとする。
【0053】
シリアライザ311は、リクエスト信号を、1ワード分の転送周期の1/4、すなわち1セクション当たりの転送周期に相当するサンプリング周期でサンプリングして符号化する。時刻t=0を始点としたとき、第1サンプリング周期においては8種類のリクエスト信号が全てHレベルであるため、この状態は「00000000d」すなわち「00h」で表すことができる。ここで、符号d、hはそれぞれ2進表記、16進表記であることを表す。この値が第1ワードの第1セクション(ビット31〜24)の値となる。第2サンプリング周期も同様に、「00h」と表すことができ、これが第2セクション(ビット23〜16)の値となる。
【0054】
第3サンプリング周期ではイエロー色に対応する垂直リクエスト信号VREQ−YのみがLレベルとなっているので、この状態を「10000000d」すなわち「80h」で表すことができる。したがって、第3セクション(ビット15〜8)の値は「80h」となる。第4サンプリング周期では再び全ての信号がLレベルであるので、「00h」により表すことができる。以上より、第1ないし第4サンプリング周期のサンプリング結果を1ワード(32ビット長)で「00008000h」と表すことができる。このようにして、この期間の各リクエスト信号を多重化し符号化することができる。こうして符号化されたリクエスト信号が、シリアライザ311から出力される。
【0055】
シリアライザ311から出力されたデータは、8B10Bエンコーダ312に入力される。上述の通り、シリアライザ311から出力されるデータは、4セクションを1ワードとしており、各セクションは8ビットから成る。そして、8B10Bエンコーダ312では、各セクションに対して8B10B変換を実行する。つまり、1セクション中の8ビットデータは、8B10Bエンコーダにより、10ビットデータに変換される。これにより、8B10B変換後の1ワードの長さは、40ビット(=10ビット×4セクション)となる。この8B10B変換は、主にデータのDCバランスを良好にすることを目的とするものであり、具体的には、例えば、米国特許第4486739号明細書に記載の技術を用いることができる。
【0056】
こうして40ビット化されたデータは、バッファ313を経てシリアライザ314に入力され、シリアルデータとして出力される。このとき、シリアライザ314は、PLL333より供給される送信クロックをデータに重畳して、つまり送信クロックを送信データによって変調して、該変調信号を差動シリアル信号としてTX+、TX−端子から出力する。PLL333から供給されるクロックは、後述するリカバリクロックRCCLKと同期した同周期のクロックである。つまり、送信ブロック310のシリアライザ311、エンコーダ312及びバッファ313には、リカバリクロックRCCLKを適当な分周比で分周したクロックが供給されるとともに、シリアライザ314には、分周されたリカバリクロックRCCLKをPLL333で逓倍して分周前の周期に戻したクロック(すなわち、リカバリクロックRCCLKと同周期のクロック)が供給されている。
【0057】
図11はメインコントローラの構成を示す図である。メインコントローラMCは、外部装置から与えられる画像形成指令に含まれる画像データに必要な信号処理を行う画像処理部100と、メイン側通信モジュール200(送信手段)とを備えている。画像処理部100には、RGB画像データを各トナー色に対応したCMYK画像データに展開する色変換処理ブロック101と、画像データを一時的に保存するための画像メモリ102とが設けられている。さらに、画像処理部100には、画像データに対しスクリーン処理、ガンマ補正などの処理を行ってビデオデータVDを生成する画像処理ブロック103Y、103M、103C、103Kがそれぞれのトナー色ごとに設けられている。各画像処理ブロック103Y等は、垂直リクエスト信号VREQ−Y等の入力をきっかけとして1ページ分の画像について信号処理を開始し、生成した1ラインごとのビデオデータを順次メイン側通信モジュール200に出力する。つまり、画像処理部100において、4色のビデオデータVD−Y,VD−M,VD−C,VD−Kが生成される。
【0058】
次に、メイン側通信モジュール200(送信手段)の構成について説明する。メイン側通信モジュール200は、画像処理部100から出力される4色のビデオデータVD−Y、VD−M、VD−C、VD−Kを多重化しヘッドコントローラHCにシリアル送信する送信ブロック210と、多重化されてヘッドコントローラHCから送られてくる各色の垂直および水平リクエスト信号VREQ、HREQを受信しそれぞれ元の信号に復元して出力する受信ブロック220とを備えている。
【0059】
まず、受信ブロック220の構成および動作について説明する。前記したように、ヘッド側通信モジュール300から送られてくる信号は、クロックが埋め込まれた差動信号である。この差動信号はRX+端子、RX−端子間に入力され、受信された40ビットシリアルデータが受信バッファ221に入力される。なお、信号に埋め込まれたクロックはクロック復調部233によって復調され、復調されたクロックに基づきデータが受信される。
【0060】
受信された40ビットシリアルデータは、デシリアライザ222を経て10B8Bデコーダ223に入力される。そして、かかる10B8Bデコーダ223によって32ビットデータに直される。そして、この32ビットデータは、ディストリビュータ225に与えられる。
【0061】
ディストリビュータ225では、32ビットデータの各ビット情報を切り出し、時系列に沿って出力することによって、8種類のリクエスト信号を復元する。つまり、図8〜10を用いて説明したリクエスト信号の多重化の逆を行う。このうち、垂直リクエスト信号VREQ−Y、VREQ−M、VREQ−CおよびVREQ−Kは、画像処理の開始時期を知らせるべく画像処理ブロック103Y、103M、103Cおよび103Kにそれぞれ与えられる。また、水平リクエスト信号HREQ−Y、HREQ−M、HREQ−CおよびHREQ−Kは、各画像処理ブロックから出力されるビデオデータVDを所定のタイミングで多重化させるべく、データラッチのタイミング信号としてFIFOバッファ211に与えられている。
【0062】
送信ブロック210には、各色のビデオデータVDを多重化するタイミングを揃えるためのFIFOバッファ211が設けられている。FIFOバッファ211は、復元された各色の垂直リクエスト信号VREQ−Y、VREQ−M、VREQ−C、VREQ−Kに応じて各色の画像処理ブロックから出力される各8ビットのビデオデータVD−Y、VD−M、VD−C、VD−Kをそれぞれ水平リクエスト信号HREQ−Y、HREQ−M、HREQ−C、HREQ−Kでラッチしながら32ビットデータとして出力する。
【0063】
図12は、FIFOバッファから出力されるビデオデータの内容を示す図である。32ビットデータは8ビットを単位とする4つのセクションから成っており、1つのセクションに1つのトナー色が割り当てられている。各セクションは、形成すべきドットが上寄せか下寄せか等の位置を表す情報(2ビット)、適用されるスクリーンの種類を示す情報(1ビット)および形成すべきドットの階調値を表す情報(5ビット)から構成されている。つまり、本実施形態では、各セクションに、1ドットあたりのビデオデータが格納されている。なお、各セクションのうち、ヘッドコントローラHCからリクエスト信号が出力されていないトナー色に対応するセクションに対しては、ヌルデータまたは所定のダミーデータを挿入しておくものとする。このように、本実施形態では、各色のビデオデータが多重化される。かかる多重化について次に詳述する。
【0064】
図13は、ビデオデータの多重化の様子の説明図である。同図における符号Ye,Me,Ce,KeはそれぞれイエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックKのビデオデータを表すとともに、色を表す大文字アルファベットY,M,C,Kの直後のサフィックスeは、対応するデータが8ビットであることを表す。同図の「多重化前」が示すように、多重化前は、各色において、ビデオデータは、1ドット分の情報を示す8ビットのビット列が連続した状態で表される。なお、図13における各ビット列の内容は、図12における各セクションに格納されている内容に相当する。これに対して、本実施形態では、各色のビデオデータを多重化するために、同一のタイミングに対応する各色のビデオデータを、所定の色順番で時系列に対して直列に配置する。つまり、図13の「多重化後」に示すように、例えば、時刻TM(n-1)に対応する各色のビデオデータKe(n-1)、Ce(n-1)、Me(n-1)、Ye(n-1)をこの順番に配列して1つのワードWt(n-1)を構成し、また、時刻TM(n)に対応する各色のビデオデータKe(n)、Ce(n)、Me(n)、Ye(n)をこの順番に配列して1つのワードWt(n)を構成し、さらに、このようにして構成される複数のワードを、時系列に対して直列に配置する。
【0065】
つまり、本実施形態では、ブラックK,シアンC,マゼンタM,イエローYの順番で、各色のビット列単位のビデオデータをセクション(ブロック)に格納して、各色のビデオデータを多重化したビデオデータ(情報データ)を生成している。これにより、同図の「多重化後」に示すように、複数のブロックにまたがってビデオデータ(情報データ)が格納される。
【0066】
そして、FIFOバッファ211から出力された32ビットデータはシリアライザ212を経て8B10Bエンコーダ213に入力され、40ビットのデータに変換される。なお、8B10Bエンコーダ213の動作は、先述の8B10Bエンコーダ312の動作と同様である。そして、40ビットデータは、特殊符号挿入回路214に入力される。次に、特殊符号挿入回路214の動作について説明する。
【0067】
図14は、メインコントローラにおける特殊符号の挿入動作を示す図である。上述したように、特殊符号挿入回路214には、1ワードの長さが40ビットのデータが入力される。また、1ワードは、4つのセクション(ブロック)から構成され、各セクションは10ビットの長さのビット列を格納できる。つまり、上述したとおり、本実施形態の各ワードは、ブラックK,シアンC,マゼンタM,イエローYの4色に対応して、4個のセクションが同図右からブラックK,シアンC,マゼンタM,イエローYの順番で配置されて成る。そして、同図STEP1に示すように、4色それぞれの1ライン分のビデオデータが、複数のワードにまたがって、各色が対応するセクションに格納される。ここで、同図における符号Yt,Mt,Ct,KtはそれぞれイエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックKのビデオデータを表すとともに、色を表す大文字アルファベットY,M,C,Kの直後のサフィックスtは、対応するデータが10ビットであることを表す。また、同図のSTEP1は、特殊符号挿入回路214に入力されるデータの(n−1)番目及びn番目のワードWt(n-1),Wt(n)を示している。そして、特殊符号挿入回路214は、入力されるデータに対して、同図のSTEP2、STEP3に示す動作を実行する。
【0068】
STEP2では、連続的に配置される複数のワードWtの途中にダミーワードWt(dmy)を挿入する。具体的には、本実施形態では、(n−1)番目のワードWt(n-1)とn番目のワードWt(n)との間にダミーワードWt(dmy)を挿入する。なお、ダミーワードWt(dmy)の4個のセクションのそれぞれには対応する色のダミーデータYt(dmy),Mt(dmy),Ct(dmy),Kt(dmy)が格納されている。また、これらダミーデータYt(dmy),Mt(dmy),Ct(dmy),Kt(dmy)の具体的な値としては、任意のデータを採用することが可能であるが、本実施形態では、ダミーワードWt(dmy)の前に隣接するワードWt(n-1)の各セクションに格納されているビデオデータYt(n-1),Mt(n-1),Ct(n-1),Kt(n-1)と同じ値を採用する。つまり、本実施形態では、ビデオデータが格納された複数のセクション(ブロック)の途中に、ダミーデータ(ダミー情報データ)が格納されたダミーセクション(ダミーブロック)を4個挿入している。
【0069】
そして、STEP3において、ダミーワードWt(dmy)の有する4つのセクションのうち、イエローYのセクションにある10ビットデータYt(dmy)を、同じく10ビットの大きさを有する特殊符号SCに置換して、送信データを生成する。かかる特殊符号SCは、いわゆるKキャラクタまたはKコードと称される符号であるが、以下にその内容について説明する。
【0070】
上述のとおり本実施形態では、8B10B変換を実行して、8ビットデータを10ビットデータに変換する。そして、特殊符号SCは、8B10B変換において8ビットデータに対応する256個の10ビットデータ以外の10ビットデータとして定義される。すなわち、特殊符号SCは、8B10B変換の変換規則に従って8ビットデータを変換した際に発生し得ない10ビットデータである。かかる特殊符号SCは、10ビットデータの同期を確立するために用いられる。つまり、データは10ビットを1セクションとする構造を有するものの、実際には、各セクションは互いに途切れずに連続している。また、これら各セクションは、符号化された0または1の信号を有するのみである。したがって、なんらかの目印が無ければ、どこからどこまでの10ビットが1セクションに対応するかが判別できない。そこで、特殊符号SCを適当にデータに挿入するとともに、かかる特殊符号SCを検知して1セクションを判別することとしている。なお、特殊符号SCを挿入する頻度は、例えば、100ワード毎でも良いし、200ワード毎でもよい。また、定期的である必要も無い。要は、同期を確立するのに必要な頻度で挿入すれば足りる。
【0071】
こうして特殊符号SCが挿入されたデータは、バッファ215を経てシリアライザ216に入力される。また、シリアライザ216には、クロック発生部231で発生するクロックをPLL232により逓倍して生成される送信クロックTMCLKが、入力される。シリアライザ216は、入力された送信データにPLL232から供給される送信クロックTMCLKを重畳して、つまり送信クロックTMCLKを送信データによって変調して、該変調信号を差動シリアル信号としてTX+、TX−端子から出力する。このように、この実施形態では4色分のビデオデータは1つのシリアル信号に多重化されており、また該シリアル信号は送信クロックTMCLKを重畳した差動信号として出力される。すなわち、この実施形態では、4色分のビデオデータが1対の差動信号線によって送信される。
【0072】
図15は、信号線上のビデオデータを模式的に示す図である。この実施形態において、送信クロックTMCLKの周波数は37.5MHzであり、したがって、1ワードデータの送信周期は、約26.7nsecである。データ長は40ビットであるから、データ転送レートは1.5Gbps(bits per second)となっている。なお、送信クロックTMCLKはデータに重畳されており、図示したクロック信号が別途伝送されているわけではない。
【0073】
次に、再び図7を用いて、ヘッドコントローラの受信ブロックの動作について説明する。前記したように、メイン側通信モジュール200から送られてくる信号は、送信クロックTMCLKが重畳された差動信号である。この差動信号はRX+端子、RX−端子間に入力され、受信された40ビットシリアルデータが受信バッファ321に入力される。なお、信号に重畳された送信クロックTMCLKは受信クロック復調部331によってリカバリクロックRCCLKとして復調され、復調されたリカバリクロックRCCLKに基づきデータが受信される。
【0074】
メインコントローラMCから送信された送信データは、受信バッファ321で受信された後、デシリアライザ322を経て特殊符号検知回路323に入力される。かかる特殊符号検知回路323は、入力される送信データ中に挿入された特殊符号SCを検知し、該検知結果に基づいて上述した同期を取る。つまり、特殊符号検知回路323の動作により、送信データを送受信するメインコントローラMCとヘッドコントローラHCとの間の同期が取られている。そして、送信データは、特殊符号検知回路323から特殊符号抜出回路324へと出力される。
【0075】
図16は、特殊符号抜出回路の動作を示す図である。特殊符号抜出回路324には、10ビットの長さのビット列を格納可能な4つのセクションから構成されたワードを、複数配列したデータ構造を有する送信データが入力される(同図STEP1)。そして、特殊符号抜出回路324は、特殊符号SCが存在するワードであるダミーワードWt(dmy)を除去して、送信データからビデオデータを再構成する(STEP2)。つまり、STEP2では、同図のSTEP1に示す送信データから、全てのダミーセクション(ダミーブロック)を除去して、ビデオデータ(情報データ)を再構成する。
【0076】
そして、再構成されたビデオデータは、10B8Bデコーダに入力されて32ビットデータにデコードされた後、ディストリビュータ326に入力される。ディストリビュータ326は、ビデオデータを1セクションごとに分割することで各色8ビットずつのビデオデータを復元しヘッド制御モジュール400に出力する。すなわち、ヘッド側通信モジュール300では、多重化されてメインコントローラMCから送られてくる4色ビデオデータを逆多重化処理し、各色ごとのビデオデータに展開する。
【0077】
上述したように、メインコントローラMCとヘッドコントローラHCとの間では、シリアルデータが送受信される。ここで、かかるシリアルデータの送受信に用いられる信号伝送方式について説明する。
【0078】
図17はメインコントローラとヘッドコントローラとの接続を示す図である。メインコントローラMCには、メイン側通信モジュール200と電気的に接続された7ピンのプラグ201(以下「ホストプラグ」という)が設けられている。また、ヘッドコントローラHCにも、ヘッド側通信モジュール300と電気的に接続された7ピンのプラグ301(以下「デバイスプラグ」という)が設けられている。そして、両プラグ間は、両端にそれぞれホストプラグ201、デバイスプラグ301と嵌合する7ピンのコネクタ701a、701bを備えた通信ケーブル700によって接続されている。
【0079】
信号伝送方式には高速伝送が可能なLVDS(Low Voltage Differential Signaling;低電圧差動伝送)インターフェースが採用されており、メインコントローラMCからヘッドコントローラHCへの送信およびその逆方向の送信にはそれぞれ2本を1組とする差動信号線が使用される。2対の信号線対のうち1対は、メイン側通信モジュール200に設けられた送信用のTX+端子およびTX−端子とヘッド側通信モジュール300に設けられた受信用のRX+端子およびRX−端子とをコネクタを介してそれぞれ電気的に接続する。また、もう1対は、メイン側通信モジュール200に設けられた受信用のRX+端子およびRX−端子とヘッド側通信モジュール300に設けられた送信用のTX+端子およびTX−端子とをそれぞれ電気的に接続する。すなわち、メイン側通信モジュール200とヘッド側通信モジュール300とはポイント・ツー・ポイント接続されている。各信号線対はそれぞれシールドされており、シールド導体およびGND線も、信号線対を挟んでそれぞれコネクタ701a、701bに接続されている。これらのシールド導体およびGND線は両通信モジュール内で接地されている。このように、この実施形態では、メインコントローラMCからヘッドコントローラHCへのデータ送信およびヘッドコントローラHCからメインコントローラMCへのデータ送信が、1組の通信ケーブルによって双方向に行われる。また、TX+端子からRX+端子への配線と、TX−端子からRX−端子への配線とは、通信ケーブル700および基板上の配線パターンを含めて同じ長さとされており、高速でも安定した通信が行えるようになっている。
【0080】
図18はヘッド制御ブロックの構成を示す図である。ここではイエロー用のYヘッド制御ブロック410Yについて説明するが、他の各ブロック410M、410C、410Kもその構造は同じである。Yヘッド制御ブロック410Yは、ヘッド側通信モジュール300から送信されるビデオデータVDに基づいて、ラインヘッド29のドライバICを駆動制御し、LEDアレイ293を適当なタイミングで点灯させる。
【0081】
また、Yヘッド制御ブロック410Yは、リクエスト信号生成部411を有する。リクエスト信号生成部411は、エンジンコントローラECから与えられる同期信号Vsyncに基づいて適切なタイミングでリクエスト信号VREQ−Y、HREQ−Yを発生させる。つまり、リクエスト信号生成部411は、同期信号Vsyncを受信すると内部タイマ412のカウントを開始し、所定の待機時間が経過するとページの先頭を示す垂直リクエスト信号VREQ−Yを出力する。また、内部タイマ412は、ヘッド側通信モジュールからリカバリクロックRCCLKが入力されており、該リカバリクロックRCCLKによりカウントを実行する。つまり、本実施形態では、リカバリクロックRCCLKに基づいてリクエスト信号VREQ−Y、HREQ−Yを生成しており、その結果、これらリクエスト信号VREQ−Y、HREQ−Yは、リカバリクロックRCCLKに同期して出力される。なお、エンジンコントローラECからの同期信号Vsyncは、各色のヘッド制御ブロックに対し同時に与えられるが、上記待機時間はトナー色ごとに個別に設定されている。この待機時間を一次転写位置の違いに応じてそれぞれ設定することによって、図6に示した各色ごとのデータ転送タイミングの違いを創出することができる。
【0082】
上記実施形態では、メイン側通信モジュール200(送信手段)とヘッド側通信モジュール300(受信手段)との間の送受信をシリアル通信で実行する。つまり、メイン側通信モジュール200は、所定長のビット列を格納するセクション(ブロック)を配列したデータ構造を有する送信データをシリアル出力する。
【0083】
そして、メイン側通信モジュール200とヘッド側通信モジュール300との間のシリアル通信の同期を取るために、特殊符号SCを次のように用いる。つまり、メイン側通信モジュール200は、ビデオデータ(情報データ)を連続する複数のセクション(ブロック)にまたがって格納するとともに、該複数のセクションの途中にダミーデータ(ダミー情報データ)が格納されたダミーセクション(ダミーブロック)を4個挿入し、しかも、イエローYに対応するダミーセクションに対して格納するダミーデータYt(dmy)を特殊符号SCに置換する置換動作を実行して、送信データを生成する。そして、ヘッド側通信モジュール300は、受信した送信データから4個全てのダミーセクションを除去してビデオデータ(情報データ)を再構成する。
【0084】
つまり、上記実施形態では、メイン側通信モジュール200においてビデオデータの途中に特殊符号SCを挿入して送信データを生成するとともに、ヘッド側通信モジュール300において特殊符号SCを除去してビデオデータを再構成する。よって、ヘッド側通信モジュール300で受信されたビデオデータの途中に特殊符号SCが存在することに起因した不具合の発生を抑制することが可能となっている。
【0085】
また、上記実施形態は、ダミーワードWt(dmy)の各セクションに格納されるダミーデータYt(dmy),Mt(dmy),Ct(dmy),Kt(dmy)の値として、ダミーワードWt(dmy)の前に隣接するワードWt(n-1)の各セクションに格納されているビデオデータYt(n-1),Mt(n-1),Ct(n-1),Kt(n-1)と同じ値を採用している。したがって、メインコントローラMCにおいてダミーデータを特殊符号SCに置換する動作に誤作動が生じて、ダミーワードWt(dmy)の一つ前のワードWt(n-1)のセクションに格納されているデータが特殊符号SCへ置換された場合であっても、ヘッドコントローラHCにおいて、特殊符号SCが存在するワードWt(n-1)を除去することで、ビデオデータを正しく再構成することが可能であり好適である。この点について、具体例を用いて説明する。
【0086】
図19は、特殊符号への置換動作に誤りがあった場合の動作説明図である。理解の容易のため、本来的には図14に示したように、ダミーワードWt(dmy)のダミーデータYt(dmy)を特殊符号SCに置換すべきところを、図19の「置換動作」に示すように、誤って(n−1)番目のワードWt(n-1)のビデオデータYt(n-1)を特殊符号SCに置換した場合を考える。上述したように、特殊符号抜出回路324は、特殊符号SCが存在するワードを抜き出す。したがって、このように置換動作に誤りがあった場合、同図の「抜出動作」に示すように、(n−1)番目のワードWt(n-1)が特殊符号抜出回路324によって抜き出される。このとき、ダミーワードWt(dmy)を残した形で、ビデオデータが再構成される。しかしながら、上記実施形態では、ダミーワードWt(dmy)と(n−1)番目のワードWt(n-1)のそれぞれのセクションに格納されているデータは、互いに等しい。したがって、図19の「抜出動作」において再構成されたビデオデータと、図16の「STEP2」において再構成されたビデオデータとは、等しい。このように、上記実施形態では、特殊符号SCへの置換動作に誤りがあったとしても、ビデオデータが正しく再構成できるように構成されており好適である。
【0087】
ところで、上記実施形態では、図14のSTEP2で示したように、特殊符号挿入回路214において、ダミーワードWt(dmy)の各セクションに格納されるダミーデータYt(dmy),Mt(dmy),Ct(dmy),Kt(dmy)の値として、ダミーワードWt(dmy)の前に隣接するワードWt(n-1)の各セクションに格納されているビデオデータYt(n-1),Mt(n-1),Ct(n-1),Kt(n-1)と同じ値を採用している。そして、図16のSTEP2に示したように、特殊符号抜出回路324において、ダミーワードWt(dmy)を抜き出している。ここで、かかるダミーワードの抜出・挿入動作を簡便に実現する回路について紹介する。
【0088】
図20は、ダミーワードを挿入する回路を示す図である。図21は、図20の回路の動作を示す図である。同図に示す回路は、カウントアップカウンタ2141、セレクタ2142、シフトレジスタ2143、シフトレジスタ2144およびシフトレジスタ2145を有するとともに、これらはいずれも送信クロックTMCLKに同期して動く。また、カウントアップカウンタ2141の入力端子には、ダミーワードを挿入するタイミングを与える特殊コマンドパルスが入力される。つまり、カウントアップカウンタは、特殊コマンドパルスの入力の度に、カウンタ値を1増加させる。また、カウントアップカウンタ2141のリセット端子には水平リクエスト信号HREQが入力されているため、水平リクエスト信号HREQが入力される度に、カウンタ値は0にリセットされる。そして、カウントアップカウンタ2141の出力、つまりカウンタ値はセレクタ2142のカウント入力端子count[1:0]に入力される。
【0089】
したがって、セレクタ2142は、カウンタ値が0の場合には入力端子in0に入力される信号を出力端子outから出力し、カウンタ値が1の場合には入力端子in1に入力される信号を出力端子outから出力し、カウンタ値が2の場合には入力端子in2に入力される信号を出力端子outから出力し、カウンタ値が3の場合には入力端子in3に入力される信号を出力端子outから出力する。
【0090】
セレクタ2142の入力端子in0には、ビデオデータが入力される。セレクタ2142の入力端子in1には、シフトレジスタ2143により送信クロックTMCLKの1クロック分だけシフトされたビデオデータが入力される。セレクタ2142の入力端子in2には、シフトレジスタ2143及びシフトレジスタ2144により送信クロックTMCLKの2クロック分だけシフトされたビデオデータが入力される。セレクタ2142の入力端子in3には、シフトレジスタ2143、シフトレジスタ2144及びシフトレジスタ2145により送信クロックTMCLKの3クロック分だけシフトされたビデオデータが入力される。
【0091】
ここで理解の容易のため、図21に示すように、水平リクエスト信号HREQをトリガーとして、10ワードのビデオデータが特殊符号挿入回路214に入力された場合を考える。カウンタ値が0の間はセレクタ2142からは入力端子in0に入力されるビデオデータが出力される。つまり、ワードWt(1)〜Wt(4)が出力される。カウンタ値が1の間はセレクタ2142からは入力端子in1に入力されるデータが出力される。つまり、ワードWt(4)〜Wt(7)が出力される。カウンタ値が2の間はセレクタ2142からは入力端子in2に入力されるデータが出力される。つまり、ワードWt(7)〜Wt(10)が出力される。このように、図20に示す回路により、特殊コマンドパルスのタイミングで、ダミーデータとしてワードWt(4)、ワードWt(7)が挿入されている。なお、図21において下線が施されたワードWt(4)、ワードWt(7)がダミーデータに相当する。そして、ダミーデータであるワードWt(4)、ワードWt(7)の所定のセクション(ブロック)に格納されたデータが、特殊符号SCに置換されて、送信データとして特殊符号挿入回路214より出力される。
【0092】
図22は、ダミーワードを抜き出す回路を示す図である。図23は、図22の回路の動作を示す図である。同図に示す回路は、カウントダウンカウンタ3241、セレクタ3242、シフトレジスタ3243、シフトレジスタ3244およびシフトレジスタ3245を有するとともに、これらはいずれもリカバリクロックRCCLKに同期して動く。また、カウントダウンカウンタ3241の入力端子には、ダミーワードを挿入したタイミングを与える特殊コマンドパルスが入力される。つまり、カウントダウンカウンタは、特殊コマンドパルスの入力の度に、カウンタ値を1減少させる。また、カウントダウンカウンタ3241のリセット端子には水平リクエスト信号HREQが入力されているため、水平リクエスト信号HREQが入力される度に、カウンタ値はリセットされて値3をとる。そして、カウントダウンカウンタ3241の出力、つまりカウンタ値はセレクタ3242のカウント入力端子count[1:0]に入力される。
【0093】
したがって、セレクタ3242は、カウンタ値が0の場合には入力端子in0に入力される信号を出力端子outから出力し、カウンタ値が1の場合には入力端子in1に入力される信号を出力端子outから出力し、カウンタ値が2の場合には入力端子in2に入力される信号を出力端子outから出力し、カウンタ値が3の場合には入力端子in3に入力される信号を出力端子outから出力する。
【0094】
セレクタ3242の入力端子in0には、送信データが入力される。セレクタ3242の入力端子in1には、シフトレジスタ3243によりリカバリクロックRCCLKの1クロック分だけシフトされた送信データが入力される。セレクタ3242の入力端子in2には、シフトレジスタ3243及びシフトレジスタ3244によりリカバリクロックRCCLKの2クロック分だけシフトされた送信データが入力される。セレクタ3242の入力端子in3には、シフトレジスタ3243、シフトレジスタ3244及びシフトレジスタ3245によりリカバリクロックRCCLKの3クロック分だけシフトされた送信データが入力される。
【0095】
水平リクエスト信号HREQをトリガーとして、メインコントローラから送信データが入力される。カウンタ値が3の間はセレクタ3242からは入力端子in3に入力されるデータが出力される。つまり、ワードWt(1)〜Wt(4)が出力される。カウンタ値が2の間はセレクタ3242からは入力端子in2に入力されるデータが出力される。つまり、ワードWt(5)〜Wt(7)が出力される。カウンタ値が1の間はセレクタ3242からは入力端子in1に入力されるデータが出力される。つまり、ワードWt(8)〜Wt(10)が出力される。このように、図22に示す回路により、特殊コマンドパルスのタイミングで、ダミーデータとしてのワードWt(4)、ワードWt(7)が抜き出されている。なお、図23において下線が施されたワードWt(4)、ワードWt(7)がダミーデータに相当する。
【0096】
このように、図20のダミーワード挿入回路、および、図22のダミーワードの抜出回路のいずれも、メモリを有することなく安価かつ簡便に構成されており好適である。
【0097】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、特殊符号挿入回路214において、ダミーワードWt(dmy)の各セクションに格納されるダミーデータYt(dmy),Mt(dmy),Ct(dmy),Kt(dmy)の値として、ダミーワードWt(dmy)の前に隣接するワードWt(n-1)の各セクションに格納されているビデオデータYt(n-1),Mt(n-1),Ct(n-1),Kt(n-1)と同じ値を採用している。しかしながら、ダミーワードWt(dmy)の各セクションに格納可能なデータはこれに限られず、次のように構成しても良い。
【0098】
図14を参照しながら説明する。つまり、ダミーワードWt(dmy)に前後に隣接する2個のワードWt(n)、Wt(n-1)に格納されるビデオデータを各色毎に平均してダミーデータを生成するとともに、該ダミーデータをダミーワードの各セクション(ブロック)に格納するように構成しても良い。具体的には、このとき、各色のダミーデータは、
Yt(dmy)=(Yt(n)+Yt(n-1))/2
Mt(dmy)=(Mt(n)+Mt(n-1))/2
Ct(dmy)=(Ct(n)+Ct(n-1))/2
Kt(dmy)=(Kt(n)+Kt(n-1))/2
となる。このように構成した場合、メインコントローラMCにおいてダミーデータを特殊符号SCに置換する動作に誤作動が生じて、ダミーワードWt(dmy)の前後のワードWt(n)、Wt(n-1)いずれかののセクション(ブロック)に格納されているデータが特殊符号SCへ置換された場合であっても、ヘッドコントローラHCにおいて、特殊符号SCが存在するワードを除去することで、元のビデオデータに近似したデータを構成することが可能であり好適である。
【0099】
また、上記実施形態では、ダミーワードWt(dmy)の有する4つのセクションのうち、イエローYのセクションにある10ビットデータYt(dmy)を、同じく10ビットの大きさを有する特殊符号SCに置換している。しかしながら、ダミーワードの有する4つのセクションのうち、特殊符号SCへの置換を行なうセクションは、イエローYのセクションに限られず、シアンCのセクションであっても良い。また、特殊符号SCへの置換を行なうセクションの数も1つに限られるものではなく、2つまたは4つ全てに対して置換を行なっても良い。
【0100】
また、上記実施形態では、特殊符号の挿入・抜出動作を次のように実行している。つまり、メイン側通信モジュール200は、4個のダミーセクション(ダミーブロック)をビデオデータの途中に挿入するとともに、ヘッド側通信モジュール300は、これら4個のダミーセクション(ダミーブロック)を除去してビデオデータを再構成している。しかし挿入・抜出するダミーセクションの数はこれに限られず、1つ以上であれば良い。そこで、挿入・抜出動作の別の例として、1個のダミーセクションを挿入・抜出する場合について次に説明する。
【0101】
図24は、メインコントローラにおける特殊符号の挿入動作の別の例を示す図である。同図のSTEP1が示すように、特殊符号挿入回路には、連続して並べて配置された複数のセクション(ブロック)にまたがって格納されたビデオデータ(情報データ)が入力される。同図に示す特殊符号SCの挿入動作では、これら複数のセクションの途中に、ダミーデータYt(dmy)(ダミー情報データ)が格納されたダミーセクション(ダミーブロック)を1個挿入する(同図STEP2)。そして、かかるダミーデータYt(dmy)を、特殊符号SCに置換して、送信データを生成する(同図STEP3)。このようにして生成された送信データは、ヘッドコントローラHCに向けて送信される。
【0102】
図25は、ヘッドコントローラにおける特殊符号の抜出動作の別の例を示す図である。特殊符号抜出回路324には、10ビットの長さのビット列を格納可能なセクション(ブロック)を複数配列したデータ構造を有する送信データが入力される(同図STEP1)。そして、特殊符号抜出回路324は、特殊符号SCが存在するダミーセクション(ダミーブロック)を除去して、送信データからビデオデータ(情報データ)を再構成する(STEP2)。
【0103】
そして、再構成されたビデオデータは、10B8Bデコーダに入力されて32ビットデータにデコードされた後、ディストリビュータ326に入力される。ディストリビュータ326は、ビデオデータを1セクションごとに分割することで各色8ビットずつのビデオデータを復元しヘッド制御モジュール400に出力する。すなわち、ヘッド側通信モジュール300では、多重化されてメインコントローラMCから送られてくる4色ビデオデータを逆多重化処理し、各色ごとのビデオデータに展開する。
【0104】
このように、図24、25を用いて説明した実施形態においても、メイン側通信モジュール200においてビデオデータの途中に特殊符号SCを挿入して送信データを生成するとともに、ヘッド側通信モジュール300において送信データから特殊符号SCを除去してビデオデータを再構成する。よって、ヘッド側通信モジュール300で受信されたビデオデータの途中に特殊符号SCが存在することに起因した不具合の発生を抑制することが可能となっている。
【0105】
また、本実施形態では、リクエスト信号VREQ,HREQをリカバリクロックRCCLKから生成しているが、例えば、リクエスト信号生成用のクロックを別途も受けて、かかるクロックに基づいてリクエスト信号VREQ,HREQを生成しても良い。ただし、上記実施形態では、メインコントローラMCから出力された信号に重畳された送信クロックTMCLKをリカバリクロックRCCLKとして復元するとともに、ヘッドコントローラHCにおけるビデオデータVDの受信動作および水平リクエスト信号HREQの生成動作のいずれもを、リカバリクロックRCCLKに基づいて行なうことで、これら2つの動作を実行するに際して別途クロック発振源を設ける必要が無く、装置構成の簡素化及び低コスト化が図られている。
【0106】
また、本発明では、メインコントローラMC−ヘッドコントローラHCの間における信号の送受信に際して、ビデオデータとは別にクロック通信線を設けるのではなく、ビデオデータに送信クロックTMCLKを重畳させて送信するので、より高速での通信を安定して行うことができる。そのため、安定して画像を形成することができ、また、さらなる高速化や、データ量の増大につながる高精細化・多色化といった要求にも柔軟に対応することができる。また、クロック通信線を設けないことにより通信線の数を削減することもできる。
【0107】
また、上記実施形態では、リカバリクロックRCCLKを、分周回路332およびPLL333を経てシリアライザ314に供給している。しかしながら、シリアライザ314へのリカバリクロックRCCLKの供給の態様はこれに限られず、リカバリクロックRCCLKを直接シリアライザ314に供給しても良い。
【0108】
また、上記実施形態のメインコントローラMCに設けた画像処理部100では、画像処理前の画像データを画像メモリに保存しておき、ヘッドコントローラHCから要求があったときに、各画像処理ブロックがこれを読み出して必要な処理を加えた上でビデオデータとして出力する。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、外部装置から画像データを受信したときに画像処理を行って該処理後の画像データを画像メモリに保存するようにしておき、ヘッドコントローラHCから要求があったときにこれを順次読み出して送出するようにしてもよい。
【0109】
さらに、上記実施形態では、YMCK4色のトナーを使用したカラー画像形成装置に本発明が適用されているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、色の種類や色数の異なる画像形成装置に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明にかかる通信装置の一実施形態を備えた画像形成装置を示す図。
【図2】図1の画像形成装置における画像形成ステーションの配置を示す図。
【図3】図1の画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図4】ラインヘッドの構造を示す図。
【図5】メインコントローラとヘッドコントローラとの間の通信を示す図。
【図6】各色ごとの通信タイミングを示す図。
【図7】ヘッドコントローラの構成を示す図。
【図8】シリアライザから出力されるデータの内容を示す図。
【図9】リクエスト信号の例を示すタイミングチャート。
【図10】図9のパターンを符号化した結果を示す図。
【図11】メインコントローラの構成を示す図。
【図12】FIFOバッファから出力されるビデオデータの内容を示す図。
【図13】ビデオデータの多重化の様子の説明図。
【図14】メインコントローラにおける特殊符号の挿入動作を示す図。
【図15】信号線上のビデオデータを模式的に示す図。
【図16】特殊符号抜出回路の動作を示す図。
【図17】メインコントローラとヘッドコントローラとの接続を示す図。
【図18】ヘッド制御ブロックの構成を示す図。
【図19】特殊符号への置換動作に誤りがあった場合の動作説明図。
【図20】ダミーワードを挿入する回路を示す図。
【図21】図20の回路の動作を示す図。
【図22】ダミーワードを抜き出す回路を示す図。
【図23】図22の回路の動作を示す図。
【図24】メインコントローラにおける特殊符号の挿入動作の別の例を示す図。
【図25】ヘッドコントローラにおける特殊符号の抜出動作の別の例を示す図。
【符号の説明】
【0111】
100…画像処理部、 21…感光体ドラム、 200…メイン側通信モジュール(送信手段)、 210…送信ブロック、 214…特殊符号挿入回路、 25…現像部、 29…ラインヘッド、 2Y,2M,2C,2K…画像形成ステーション、 300…ヘッド側通信モジュール(受信手段)、 323…特殊符号検知回路、 324…特殊符号抜出回路、 EC…エンジンコントローラ、 HC…ヘッドコントローラ、 MC…メインコントローラ、 VD…ビデオデータ(情報データ)、 SC…特殊符号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長のビット列を格納するブロックを配列したデータ構造を有する送信データをシリアル出力する送信手段と、前記送信データを受信する受信手段とを備えた通信装置において、
前記送信手段は、所定の情報を示す情報データを連続する複数のブロックにまたがって格納するとともに、該複数のブロックの途中にダミー情報データが格納されたダミーブロックを1つ以上挿入し、しかも、少なくとも1つのダミーブロックに対して格納するダミー情報データを特殊符号に置換する置換動作を実行して、前記送信データを生成し、
前記受信手段は、受信した前記送信データから全ての前記ダミーブロックを除去して情報データを再構成することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
所定長のビット列を格納するブロックを配列したデータ構造を有する送信データをシリアル出力する送信手段と、前記送信データを受信する受信手段とを備えた通信装置を用いて前記送信手段と前記受信手段との間でシリアル通信を実行する通信方法であって、
前記送信手段において、所定の情報を示す情報データを連続する複数のブロックにまたがって格納するとともに、該複数のブロックの途中にダミー情報データが格納されたダミーブロックを1つ以上挿入し、しかも、少なくとも1つのダミーブロックに対して格納するダミー情報データを特殊符号に置換する置換動作を実行して、前記送信データを生成し、
前記受信手段において、受信した前記送信データから全ての前記ダミーブロックを除去して情報データを再構成することを特徴とする通信方法。
【請求項1】
所定長のビット列を格納するブロックを配列したデータ構造を有する送信データをシリアル出力する送信手段と、前記送信データを受信する受信手段とを備えた通信装置において、
前記送信手段は、所定の情報を示す情報データを連続する複数のブロックにまたがって格納するとともに、該複数のブロックの途中にダミー情報データが格納されたダミーブロックを1つ以上挿入し、しかも、少なくとも1つのダミーブロックに対して格納するダミー情報データを特殊符号に置換する置換動作を実行して、前記送信データを生成し、
前記受信手段は、受信した前記送信データから全ての前記ダミーブロックを除去して情報データを再構成することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
所定長のビット列を格納するブロックを配列したデータ構造を有する送信データをシリアル出力する送信手段と、前記送信データを受信する受信手段とを備えた通信装置を用いて前記送信手段と前記受信手段との間でシリアル通信を実行する通信方法であって、
前記送信手段において、所定の情報を示す情報データを連続する複数のブロックにまたがって格納するとともに、該複数のブロックの途中にダミー情報データが格納されたダミーブロックを1つ以上挿入し、しかも、少なくとも1つのダミーブロックに対して格納するダミー情報データを特殊符号に置換する置換動作を実行して、前記送信データを生成し、
前記受信手段において、受信した前記送信データから全ての前記ダミーブロックを除去して情報データを再構成することを特徴とする通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
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【図24】
【図25】
【公開番号】特開2008−141425(P2008−141425A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324880(P2006−324880)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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