説明

通信装置および通信装置の制御方法

【課題】近接無線通信を用いたデータ通信を簡易に行う。
【解決手段】近接無線通信機能を備えたデジタルカメラにおいて、デジタルカメラを外部機器に接近させると近接無線通信による接続が確立され、機器情報が交換される。機器情報に基づき、外部機器が画像データの受信が可能と判定したら、送信する画像データの設定が完了しているか否かが判定される。完了していると判定されたら、設定が完了しているデータの送信が開始される。一方、完了していないと判定されたら、送信データを設定するための設定画面が表示される。設定画面に従い送信データが設定された時点で、近接無線通信の通信が切断状態になっていたら、デジタルカメラを外部機器に接近させることを促すメッセージが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近接無線通信により外部装置に対してデータ送信を行う通信装置および通信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータはもとより、デジタルスチルカメラなどの情報機器においては、無線通信により互いにデータの送受信を行うものがある。情報機器間の無線通信には、ICタグなどに代表されるNFC(Near Field Communication)技術を用いた近接無線通信などがある。近接無線通信は、対応する情報機器同士を近付けるだけで通信が確立し送受信が開始される。そのため、近接無線通信を用いることで、直感的な操作でデータ通信を行うことが可能となるという利点がある。特許文献1には、近接無線通信を行う情報機器が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−31531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術による、携帯可能な情報機器間において静止画像や動画像などのデータの送受信を近接無線通信を用いて行う場合の操作は、例えば次のようにして行われていた。すなわち、ユーザは、情報機器に対するユーザ操作により送信データを選択するための選択画面を起動させ、選択画面に従いデータを選択してから情報機器を送信先の機器に接近させて、データ送信を開始させる。
【0005】
このように、従来では、情報機器間において静止画像や動画像などのデータの送受信を近接無線通信を用いて行う場合、送信するデータを選択するための選択画面を、ユーザ操作によって一々起動させる必要があった。そのため、上述したような、近付けるだけで通信が確立し送受信が開始されるという近接無線通信特有の直感性を半減させてしまっていた。このように、近接無線通信によりデータ通信を行うための従来の操作方法は、ユーザにとって必ずしも使い勝手のよいものとはいえないという問題点があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、近接無線通信を用いたデータ通信を簡易に行うことができる通信装置および通信装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するために、近接無線通信による外部機器との接続が確立されているかを検出する検出手段と、近接無線通信により接続が確立されている外部機器との間で通信を行う通信手段と、情報を表示する表示手段と、通信手段および表示手段を制御する制御手段とを有し、制御手段は、検出手段で外部機器との接続が確立されていることが検出されたら、外部機器にデータ送信するための設定が完了しているか否かを判定する第1の判定を行い、第1の判定により設定が完了していないと判定されたら、表示手段を制御して、通信手段により外部機器に対してデータ送信するための設定をユーザに行わせるための設定画面を表示させることを特徴とする通信装置である。
【0008】
また、本発明は、近接無線通信による外部機器との接続が確立されているかを検出する検出手段と、近接無線通信により接続が確立されている外部機器との間で通信を行う通信手段と、情報を表示する表示手段と、通信手段および表示手段を制御する制御手段とを備えた通信装置の制御方法であって、検出手段で外部機器との接続が確立されているかを検出する検出ステップと、検出ステップで外部機器との接続が確立されていることが検出されたら外部機器にデータ送信するための設定が完了しているか否かを制御手段が判定する判定ステップと、判定ステップにより設定が完了していないと判定されたら、制御手段により表示手段を制御して、通信手段により外部機器に対してデータ送信するための設定をユーザに行わせるための設定画面を表示させるステップとを有することを特徴とする制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、近接無線通信を用いたデータ通信を簡易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、発明の最も望ましい形態を示すものであり、発明の範囲を限定するものではない。
【0011】
なお、本明細書において、「近接無線通信」とは、通信距離が1m未満、特には数10cm未満であることを想定して規定された通信プロトコルに基づく無線通信を意味するものとする。このような通信プロトコルとしては、通信距離が約70cm以下の「近傍型」、同約10cm以下の「近接型」非接触通信プロトコルが知られている。具体的には、ISO/IEC15693、ISO/IEC14434、ECMA−340(ISO/IEC18092)などの規格が存在する。
【0012】
以下では、近接無線通信により外部装置に対してデータを送信するデータ送信装置と、データ送信装置から近接無線通信により送信されたデータを受信するデータ受信装置とがそれぞれデジタルスチルカメラである場合を例示して説明する。コンテンツデータ送信装置から送信されるデータは、静止画像データ、動画像データ、音声データ、テキストデータなど、様々な種類のデータを含むことができる。以下では、データ送信装置から送信するデータとして、静止画像による画像データを例にとって説明する。なお、以下、デジタルスチルカメラをデジタルカメラと略称する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に適用可能なデジタルカメラ100の一例の構成を示す。バス113に対して、撮像部101、信号処理部102、表示制御部103、操作制御部105および通信I/F114が接続される。バス113に対して、さらに、制御部107、システムメモリ108、メモリ109、通信部110および記録再生部111が接続される。バス113に接続される各部は、バス113を介して互いにデータのやりとりが可能とされている。
【0014】
撮像部101は、CCDやCMOSセンサといった撮像素子と、撮像素子から出力された撮像信号に対してゲイン調整やノイズ除去などの所定の信号処理を施す撮像信号処理部とを有し、被写体を撮影して画像データを出力する。信号処理部102は、記録時には、撮像部101から出力された画像データに対して、ガンマ補正やホワイトバランス調整など所定の画像処理を施す。そして、信号処理部102は、画像処理が施された画像データをJPEGなどの公知の圧縮符号化方式に従って圧縮符号化してそのデータ量を圧縮する。また、信号処理部102は、再生時においては、例えば後述する記録媒体112から再生された圧縮画像データを伸張処理して出力する。
【0015】
表示制御部103は、液晶パネルなどによる表示部104に対し、プレビュー画像や再生画像、あるいは、各種のメニュー画面などを表示する。表示制御部103および表示部104で表示手段が構成される。操作部106は、ボタンやキーなど、ユーザ操作を受け付ける各種の操作子が設けられ、ユーザの操作子に対する操作に応じた信号を出力する。操作部106には、例えば電源ボタンやシャッタボタン、十字キーなどの各種の操作子が設けられる。操作子をタッチパネルで構成することも可能である。操作制御部105は、ユーザ操作に応じて操作部106から出力された信号に基づきユーザ操作による指示を解釈し、出力する。
【0016】
制御手段としての制御部107は、例えばCPUを有し、プログラムに従いデジタルカメラ100の全体を制御する。より具体的には、制御部107は、ROMであるシステムメモリ108に予め記憶されたプログラムデータを読み出してRAMであるメモリ109の作業領域に展開し、その展開したプログラムデータとの協働により、デジタルカメラ100全体の動作を制御する。システムメモリ108は、制御部107の動作用の定数、変数、プログラムデータなどを予め記憶する。メモリ109は、制御部107の作業領域として用いられる他に、撮影された静止画像データや再生されたデータ、後述する通信部110を介してネットワーク先のサーバやパーソナルコンピュータからダウンロードして取得したデータなどが格納される。
【0017】
通信手段としての通信部110は、上述した近接無線通信による通信を行う。より具体的には、通信部110は、近接無線通信を行うためのアンテナと、近接無線通信によるデータの送受信を行う送受信回路を含む。通信部110は、近接無線通信による通信の接続および切断状態、すなわち、当該通信が確立されているか否かを検出することができるようにされ、検出結果が制御部107に通知される。他機器から近接無線通信により送信されたデータは、通信部110により受信され、例えば制御部107に供給される。制御部107は、通信部110から供給されたこのデータを、例えばメモリ109に一時的に格納する。
【0018】
通信I/F114は、RS232C、USB、IEEE1394、LAN、無線通信などにより、外部機器との間でシリアル/パラレル通信によるデータの送受信を有線/無線で行う。無線通信を行う場合、通信部110には、アンテナが含まれる。また、通信部110は、複数の通信方式を、同時に、或いは切り替えて有効にすることが可能である。
【0019】
記録再生部111は、所定のファイルシステムに従って、記憶手段としての記録媒体112に対する各種のデータの書き込み、読み出しを行う。記録媒体112は、デジタルカメラ100への着脱が可能な不揮発性の半導体メモリや、ハードディスクドライブなどである。本実施形態では、記録媒体112をデジタルカメラ100に着脱可能なものとして説明するが、記録媒体112は、デジタルカメラ100に内蔵されるものであってもよい。
【0020】
次に、上述のような構成のデジタルカメラ100における撮影動作と再生動作について、概略的に説明する。先ず、撮影時の動作について説明する。操作部106に対するユーザ操作により電源が投入され、撮影モードが設定されると、制御部107は撮像部101を制御して撮影動作を開始する。撮像部101は、撮影モードにおいて、被写体の画像を撮影し、動画データ(プレビュー画像)として表示制御部103に供給する。表示制御部103は、制御部107からの指示により、撮像部101からの動画像データに係る動画像を表示部104に表示する。
【0021】
この状態で操作部106に対するユーザ操作により撮影が指示されると、制御部107は、撮像部101に対して撮影を指示する。撮像部101は、撮影指示に応じた1画面の静止画像データを生成する。この静止画像データは、撮像部101から出力され、メモリ109に一時的に記憶される。メモリ109に記憶されたこの画像データは、信号処理部102により所定の信号処理を施した後に圧縮符号化され、記録再生部111に供給される。
【0022】
記録再生部111は、制御部107からの指示に従い、信号処理部102から供給された圧縮静止画像データをファイルに格納して記録媒体112に記録する。
【0023】
再生時の動作について説明する。操作部106に対するユーザ操作により、記録媒体112に記録された圧縮静止画像データから所望のデータが選択され、選択されたデータの再生が指示される。制御部107は、この再生指示に応じて記録再生部111を制御し、記録媒体112より再生が指示された圧縮静止画像データが格納されるファイルを読み出す。読み出されたファイルは、メモリ109に一時的に格納される。信号処理部102は、メモリ109に格納されたファイルから圧縮静止画像データを読み出し、圧縮符号を伸張して表示制御部103に供給する。表示制御部103は、信号処理部102から供給された静止画像データのサイズを表示部104に表示するのに適した大きさに変更し、表示部104に表示する。
【0024】
次に、本発明の実施形態に適用可能な近接無線通信の概念について、図2を用いて説明する。図2の例では、デジタルカメラ100aおよび100bに対して、通信部110のアンテナに対応する送受信部301が設けられる。なお、デジタルカメラ100aおよび100bは、それぞれ上述したデジタルカメラ100と同様の構成を有するものとする。
【0025】
送受信部301は、外部機器とNFC技術を用いた近接無線通信を行う。図2(a)に例示するように、2台のデジタルカメラ100aおよび100b同士で、互いの送受信部301が通信可能範囲302にあれば近接無線通信による通信を開始して通信接続される。また、図2(b)に例示されるように、互いの送受信部301が通信可能範囲302の外にあれば、近接無線通信による通信は開始されない。また、互いの送受信部301が通信可能範囲302にあって、2台のデジタルカメラ100同士が通信接続されているときに、互いの送受信部301が通信可能範囲302から出てしまった場合は、近接無線通信による通信接続が解除される。
【0026】
デジタルカメラ100a(または100b)が近接無線通信の接続および切断状態を判断する方法の例について説明する。一例として、デジタルカメラ100aの通信部110は、接続先の機器と一定間隔で通信を行い、接続先機器からのレスポンスが一定時間内に無かった場合、通信が切断状態になったと判断することができる。通信の接続も同様に、例えば、通信部110は、接続が確立されていない状態で通信を試み、接続先機器からのレスポンスがあったら、通信が接続状態になったと判断することができる。
【0027】
これに限らず、例えば電磁誘導により接続先機器に電力を供給するタイプの近接無線通信では、通信部110が電力供給側の場合、接続先機器が通信部110に接近して電力が供給されることで通信が開始される。そして、当該機器が通信部110から離れることで電力の供給が停止し、通信が中断される。
【0028】
<近接無線通信によるデータ送信の基本的な流れ>
ここで、本発明の実施形態の説明に先んじて、近接無線通信によるデータ送信の基本的な動作について説明する。なお、以下では、説明のため、上述のデジタルカメラ100aを、近接無線通信により最終的に画像データを送信する側のデータ送信装置として説明する。また、上述のデジタルカメラ100bを、近接無線通信により最終的に画像ファイルを受信する側のデータ受信装置として説明する。また、デジタルカメラ100aおよび100bで共通である場合は、デジタルカメラ100として説明する。
【0029】
基本的な動作においては、ユーザが予め送信すべきデータを指定する準備を済ませておく。その上で、操作部106に設けられた送信ボタンを押すなどしてデジタルカメラ100を外部機器との接続待ち状態にしておく。そして、外部機器にデジタルカメラ100を接近させて近接無線通信の通信接続を確立させて、指定したデータを送信する。
【0030】
図3は、近接無線通信を用いたデータ送信処理の基本的な動作を示す一例のフローチャートである。この図3のフローチャートにおける各ステップの処理は、データの送信側であるデジタルカメラ100aの制御部107により、プログラムに従い制御される。
【0031】
ステップS301において、制御部107は、デジタルカメラ100の動作モードが近接無線通信によって外部機器にデータの送信を行う送信モードに設定されるのを待機する。例えば操作部106に対するユーザ操作により、動作モードが送信モードに設定されたと判定されたら、処理はステップS302に移行される。
【0032】
なお、デジタルカメラ100aの制御部107は、デジタルカメラ100aが備える、種々の動作モードを開始するためのメニュー画面を表示部104に表示することが可能とされている。例えば、制御部107は、プログラムに従い、メニュー画面などを表示させる表示制御信号を生成し、表示制御部103に供給する。表示制御部103は、供給された表示制御信号に基づきメニュー画面などを表示部104に表示させるための画像信号を生成し、表示部104に供給する。ステップS301では、ユーザが表示部104に表示されたメニュー画面に従い所定のボタンを押下するなどして、近接無線通信によって外部機器にデータの送信を行う送信モードの開始を選択したものとする。
【0033】
ステップS302で、制御部107は、送信すべきデータを選択するためのデータ選択画面を表示部104に表示させる。例えば、制御部107が記録媒体112に記憶されているデータの情報を読み出し、データの名前とサムネイル画像を表示部104に表示する。サムネイル画像は、対象の静止画像データを縮小した画像データである。サムネイル画像は、静止画像データの記録時に予め生成して当該静止画像データと関連付けて記録媒体112に記録しておいてもよいし、静止画像データを記録媒体112から読み出す際に生成してもよい。
【0034】
図4は、デジタルカメラ100の表示部104に対して、送信すべきデータの選択画面200が表示された例を示す。図4の例では、選択画面200に対して、記録媒体112に記録されている静止画像データのサムネイル画像201、201、…が一覧表示される。
【0035】
次のステップS303では、制御部107は、操作部106に対するユーザ操作を受け付け、送信するデータの選択が完了したか否かが判定される。データの選択が完了したと判定したら、処理はステップS304に移行される。
【0036】
一例として、操作部106に対する所定の操作によりカーソルを移動させ、送信したいサムネイル画像201にカーソルを合わせて選択指示を行う。すると、当該サムネイル画像201の左上のチェックボックスがチェックされ、当該サムネイル画像201に対応する静止画像データが選択されたことが示される。送信する静止画像データは、複数を選択することができる。制御部107は、操作部106に対して、例えば完了ボタン202を押下するユーザ操作がなされると、送信データの選択が完了したと判定する。
【0037】
ステップS304で、制御部107は、データ送信先の外部機器であるデジタルカメラ100bとの近接無線通信による通信接続の確立を促す通知処理を行う。具体的な例として、通知処理では、デジタルカメラ100aの表示部104に対して、外部機器に近付けることを促すメッセージが表示される。
【0038】
図5は、この表示部104に表示される通信接続の確立を促すメッセージ表示の一例を示す。図5の例では、「近付けてください」とメッセージ203が表示部104に表示され、デジタルカメラ100aを送信先のデジタルカメラ100bに近付けて通信接続の確立を行うように促される。なお、図5ではメッセージ203が文字情報として表示されているが、アイコンやアニメーションを用いてメッセージ203の表示を行ってもよい。また、図示されない音声出力手段としての音声出力部からの音声出力を用いて、通信接続の確立を促すメッセージを通知してもよい。さらに、音声と表示を共に用いてメッセージを通知してもよい。
【0039】
次のステップS305で、制御部107は、デジタルカメラ100bとの近接無線通信の確立が検出されるのを待機する。図2を用いて説明したように、近接無線通信では、デジタルカメラ100aの送受信部301と、デジタルカメラ100bの送受信部301とが通信可能範囲302以内に近付けば、ユーザが特に操作を行うことなく自動的に通信が確立される。
【0040】
なお、ステップS305の処理は、外部機器との近接無線通信の確立が検出されるまで繰り返してわれる。これに限らず、ステップS305の処理は、一定時間が経過しても外部機器との近接無線通信の確立が検出されない場合、送信処理を終了させてもよい。このとき、通信できない旨を通知する警告メッセージを表示部104に表示させると好ましい。
【0041】
ステップS305で、外部機器との近接無線通信による通信接続が確立された場合、すなわち、デジタルカメラ100aとデジタルカメラ100bとが近付いて近接無線通信が確立された場合、処理はステップS306に移行される。
【0042】
ステップS306では、接続が確立されたデジタルカメラ100aとデジタルカメラ100bとの間で、機器情報が交換される。すなわち、制御部107の制御により、データ送信先のデジタルカメラ100bに対して、デジタルカメラ100a自身の機器情報を近接無線通信により送信する。同様にして、デジタルカメラ100bからデジタルカメラ100b自身の機器情報が送信される。このデジタルカメラ100bから送信された機器情報が、制御部107の制御により受信される。
【0043】
受信されたデジタルカメラ100bの機器情報は、メモリ109に記憶される。受信した機器情報を記録媒体112に記録してもよい。なお、近接無線通信による通信を過去に行っている場合は、メモリ109や記録媒体112に、前回の通信相手の機器情報を保持しておいてもよい。
【0044】
デジタルカメラ100aとデジタルカメラ100bとの間で交換される機器情報は、少なくとも、当該機器が近接無線通信による画像データの送信機能および受信機能を有しているか否かを示す情報を含むものとする。また、機器情報は、機器を一意に識別する識別情報である機器IDを含むことができる。なお、これは一例であって、機器情報は、機器の特徴を示すさらに他の情報が含まれていてもよい。
【0045】
図6は、デジタルカメラ100aとデジタルカメラ100bとの間で交換される機器情報の一例を示す。図6(a)は、例えばデジタルカメラ100aからデジタルカメラ100bに送信される、デジタルカメラ100a自身の機器情報の例を示す。この機器情報によれば、デジタルカメラ100aの機器IDは「ABC」であり、デジタルカメラ100aは、画像データの送信機能と受信機能とを備えていることを示している。
【0046】
図6(b)は、例えばデジタルカメラ100bからデジタルカメラ100aに送信される、デジタルカメラ100b自身の機器情報の例である。この機器情報によれば、デジタルカメラ100bの機器IDは「XYZ」であり、デジタルカメラ100bは、画像データの送信機能と受信機能とを備えていることを示している。
【0047】
次のステップS307で、デジタルカメラ100aの制御部107は、ステップS306で取得した機器情報に基づき、近接無線通信の通信接続を確立した外部機器が画像データの受信処理を行う機能を備えているか否かを判定する。
【0048】
若し、受信処理を行う機能を備えていないと判定されたら、処理はステップS308に移行され、データ送信処理が不可である旨が例えば表示部104に対するメッセージ表示によりユーザに対して通知され、一連の処理が終了される。図7は、データの送信処理が不可である旨を示すメッセージ204の表示部104に対する表示例を示す。メッセージ204は、例えば所定時間、表示が維持される。
【0049】
なお、図7ではメッセージ204が文字情報として表示されているが、アイコンやアニメーションを用いてメッセージ204の表示を行ってもよい。また、図示されない音声出力部からの音声出力をさらに用いて、通信接続の確立を促すメッセージを通知してもよい。
【0050】
一方、ステップS307で受信処理を行う機能を備えていると判定されたら、処理はステップS309に移行される。上述した図6の例では、機器情報に基づき、デジタルカメラ100bは、近接無線通信によるデータの受信機能を有しているとされているので、処理がステップS309に移行されることになる。
【0051】
ステップS309では、制御部107の制御により、画像データの送信を開始させる動作が行われる。より具体的には、ステップS309では、制御部107の制御により、上述のステップS303においてユーザ操作により選択された静止画像データが、近接無線通信によりデジタルカメラ100aからデジタルカメラ100bに対して送信される。このとき、図8に例示されるように、送信中であることを示すメッセージ205を表示部104に表示させると好ましい。
【0052】
ステップS309におけるデータの送信が完了したことを検出すると、制御部107は、処理をステップS310に移行させ、通信接続の解除を促すメッセージを表示部104に表示させる通知処理を行う。図9は、通信接続の解除を促すメッセージ206の表示部104に対する表示例を示す。すなわち、このステップS310での通知処理により、指定されたデータを送信した後に、デジタルカメラ100aを操作するユーザに対して近接無線通信による通信接続の解除を促すことができる。
【0053】
なお、図9ではメッセージ206が文字情報として表示されているが、アイコンやアニメーションを用いてメッセージ206の表示を行ってもよい。また、図示されない音声出力部からの音声出力を用いて、通信接続の解除を促すメッセージを通知してもよい。音声と表示とを共に用いてメッセージの通知を行ってもよい。
【0054】
このように、図3を用いて説明した処理により、データ送信装置であるデジタルカメラ100aは、近接無線通信によって外部機器にデータを送信することが可能である。
【0055】
<本発明の実施形態によるデータ送信動作>
次に、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、ユーザが先ず、データ送信元であるデジタルカメラ100aを、データ送信先の外部機器に近付けるなどして近接無線の通信接続を確立させる。その際に、デジタルカメラ100aの表示部104に対して、動作設定画面を自動的に表示させる。ユーザは、この動作設定画面に従い、操作部106を操作してデータ送信のための設定準備を行って、デジタルカメラ100aを外部機器との接続待ち状態にしておく。その後、再度、デジタルカメラ100aと外部機器との近接無線通信を確立させて、指定したデータを送信するようにしている。
【0056】
図10は、本実施形態による通信処理を示す一例のフローチャートである。この図10のフローチャートにおける各ステップの処理は、データの送信側であるデジタルカメラ100aの制御部107により、プログラムに従い制御される。
【0057】
ステップS1001において、制御部107は、デジタルカメラ100bとの近接無線通信の確立が検出されるのを待機する。近接無線通信の確立が検出されたら、処理はステップS1002に移行され、デジタルカメラ100aとデジタルカメラ100bとの間で、機器情報の交換が行われる。ステップS1001およびステップS1002における処理は、上述したステップS305およびステップS306とそれぞれ同様であるので、ここでの説明を省略する。ステップS1002では、図6を用いて説明した機器情報が交換されるものとする。
【0058】
なお、本実施形態では、機器情報は、少なくとも、機器を一意に識別する識別情報である機器IDと、機器が近接無線通信による送信機能および受信機能を有しているか否かを示す情報とを含むものとする。
【0059】
ステップS1002で機器情報が交換されると、処理はステップS1003に移行される。ステップS1003では、デジタルカメラ100aの制御部107は、近接無線通信の通信接続を確立した外部機器が画像データの受信処理を行う機能を備えているか否かを、ステップS1002において取得した機器情報を用いて判定する。このステップS1003における処理は、上述したステップS307と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0060】
若し、ステップS1003で、制御部107により、近接無線通信の通信接続を確立した外部機器が画像データの受信処理を行う機能を備えていないと判定されたら、処理はステップS1005に移行される。そして、データ送信処理が不可である旨が、例えば図7を用いて説明したようにして表示部104に対するメッセージ表示によりユーザに対して通知され、一連の処理が終了される。
【0061】
一方、ステップS1003で、制御部107により近接無線通信の通信接続を確立した外部機器が画像データの受信処理を行う機能を備えていると判定されたら、処理はステップS1004に移行される。ステップS1004以降では、制御部107は、画像データの送信を開始させる動作として、ステップS1004の時点でのデジタルカメラ100aの動作設定状態に応じた処理を行う。
【0062】
ステップS1004において、制御部107は、その時点でのデジタルカメラ100aの動作状態の判定を行う(第1の判定)。具体的には、ステップS1004では、デジタルカメラ100aが、近接無線通信によって外部機器にデータ送信を行う送信モードに設定されており、送信すべきデータの指定が完了済みで、且つ、外部機器との接続待ち状態にあるか否かが判定される。すなわち、ステップS1004では、図3で説明したステップS301からステップS307までの処理と同様の処理を経過して、処理がステップS1004に至っているか否かを判定する。
【0063】
例えば、ユーザがデジタルカメラ100aのメニュー画面に従い操作部106を操作することで、近接無線通信によって外部機器にデータの送信を行う送信モードの開始を選択した場合を考える。その上で、送信するデータを選択するデータ選択画面200(図4参照)に従い操作部106を操作して送信すべきデータの選択を完了する。そして、デジタルカメラ100aを外部機器との近接無線通信による接続待ち状態にしている場合は、ステップS1004の判定条件を満たしている。
【0064】
この場合、処理はステップS1006に移行され、制御部107の制御により、指定されたデータが近接無線通信を介して外部機器であるデジタルカメラ100bに送信される。送信終了後、例えば図3のステップS310と同様に、制御部107は、通信接続の解除を促すメッセージを表示部104に表示させる通知処理を行う。
【0065】
一方、ステップS1004で、デジタルカメラ100aの動作状態が、動作モードが送信モードに設定されていないか、送信データの指定が完了していないか、あるいは、外部機器との接続待ち状態でないと判定されたら、処理はステップS1007に移行される。すなわち、これらの何れかの状態が判定された場合、制御部107は、デジタルカメラ100aが直ちにデータ送信を開始できる状態ではないと判断する。これは、操作部106を介してユーザから何らかの指示を受け付ける必要があることを意味する。
【0066】
ステップS1007では、制御部107により、その時点でのデジタルカメラ100aの動作状態が、メモリ109または記録媒体112に記憶または記録された画像データの再生動作を行っている動作状態であるか否かが判定される(第2の判定)。すなわち、制御部107は、メモリ109または記録媒体112に記憶または記録された静止画像ファイルや動画像ファイルから特定のファイルを読み出して再生し、表示部104に対して表示を行っている動作状態であるか否かを判定する。例えば、ユーザがデジタルカメラ100aの操作部106に対して所定の操作を行い、所望の静止画像データや動画像データを表示させている場合は、ステップS1007の判定条件を満たしている。
【0067】
若し、ステップS1007で、デジタルカメラ100aが特定のファイルを表示、再生の処理を行っている動作状態であると判定されたら、処理はステップS1008に移行される。ステップS1008では、制御部107により、ファイルの送信を行うか否か、また、ファイルの送信を行う場合にどのファイルを送信するかを選択するための選択画面が表示部104に対して表示される。
【0068】
より具体的には、ステップS1008では、以下の3種類の処理から1を選択する選択画面を表示する。
(1)表示部104に現在表示、再生されているファイルを近接無線通信によってデジタルカメラ100bに送信する。
(2)送信すべきファイルを選択して、選択したデータを、近接無線通信によって外部機器であるデジタルカメラ100bに送信する。
(3)近接無線通信によって外部機器であるデジタルカメラ100bにデータを送信する処理自体を行わずに終了する。
【0069】
図11は、ステップS1008で表示部104に表示される設定画面(第1の設定画面)としての選択画面207の一例を示す。図11の例では、選択画面207は、現在表示、再生されている画像に対してオーバーラップして表示され、選択項目として「表示中の画像を送信する」、「画像を選択して送信する」および「何もしない」の3項目が表示されている。ユーザは、操作部106に対する操作により、選択画面207に表示される3項目から所望の項目を選択する。
【0070】
なお、デジタルカメラ100bとの近接無線通信による通信接続を切断してもよい旨のメッセージを、選択画面207と共に表示することができる。これにより、ユーザは、操作部106に対する操作の際に、デジタルカメラ100aをデジタルカメラ100bに近付けておく必要が無いことを認識できる。そのため、ユーザにとって楽な姿勢で操作をすることが可能になる。
【0071】
ステップS1008において選択画面を表示した後、処理はステップS1009に移行され、選択画面207に表示された選択項目のうち何れの項目が選択されたかが判定される。若し、現在表示、再生されているファイルを近接無線通信によってデジタルカメラ100bに送信する旨を示す項目が選択されたら、現在表示、再生されているファイルを送信すべきファイルとして指定し、処理はステップS1010に移行される。
【0072】
ステップS1010では、制御部107により、デジタルカメラ100bとの近接無線通信による通信接続が確立しているか否かが判定される。例えば、ステップS1008で近接無線通信による通信接続の切断を許可するメッセージが表示されたにも関わらず、ユーザがデジタルカメラ100aとデジタルカメラ100bを遠ざけることなく操作を進めた場合に、この条件に該当する。
【0073】
若し、ステップS1010で、制御部107により、デジタルカメラ100bとの近接無線通信による通信接続が確立していると判定されたら、処理はステップS1006に移行される。そして、送信すべきファイルとして指定されたファイルが近接無線通信によってデジタルカメラ100bに送信される。
【0074】
一方、ステップS1010で、制御部107によりデジタルカメラ100bとの近接無線通信による通信接続が確立していないと判定されたら、処理はステップS1011に移行される。例えば、ステップS1008で近接無線通信による通信接続の切断を許可するメッセージが表示され、ユーザがこの表示に従いデジタルカメラ100aをデジタルカメラ100bから遠ざけて通信接続を切断し、以降の操作を進めた場合に該当する。
【0075】
ステップS1011で、制御部107により、デジタルカメラ100aとデジタルカメラ100bとの近接無線による通信接続を再開させるため、図12に例示されるように、互いの接近を促すメッセージ208が表示部104に対して表示される。
【0076】
次のステップS1012で、制御部107により、デジタルカメラ100bとの近接無線通信が再び確立されるのが待機される。このステップS1012における処理では、先ず、図3のステップS305の処理と同様に外部機器との近接無線通信による通信接続の確立が待機される。通信接続の確立が待機されると、図3のステップS306の処理と同様に、通信先の機器と機器情報の交換を行う。そして、制御部107により、取得した機器情報に含まれる機器IDが、ステップS1002において取得したデジタルカメラ100bの機器IDと同一であるか否かが判定される。
【0077】
このステップS1012の処理は、ステップS1002で機器IDを取得したデジタルカメラ100bとの近接無線通信が再び確立されたことが検出されるまで繰り返される。このとき、一定時間が経過してもデジタルカメラ100bとの近接無線通信の確立が検出されない場合は、ステップS1011で表示したメッセージ表示を消去すると共に、近接無線通信による送信処理は終了してもよい。
【0078】
ステップS1012において、デジタルカメラ100bとの近接無線通信が再び確立されたことが検出された場合は、処理がステップS1006に移行される。そして、送信すべきファイルとして指定されたファイルが近接無線通信によってデジタルカメラ100bに送信される。
【0079】
説明はステップS1009に戻り、選択画面207に表示された選択項目のうち、現在表示、再生されているファイルを近接無線通信によってデジタルカメラ100bに送信する旨を示す項目が選択されなかったら、処理はステップS1014に移行される。
【0080】
ステップS1014では、制御部107により、選択画面207に表示された選択項目のうち、送信すべきファイルを選択して近接無線通信によって外部機器であるデジタルカメラ100bに送信する旨を示す項目が選択されたか否かが判定される。若し、当該項目が選択されなかったと判定された場合は、さらに、近接無線通信によって外部機器であるデジタルカメラ100bにデータを送信する処理自体を行わずに終了する項目が選択されたか否かが判定される(図示しない)。若し、データ送信処理自体を行わずに終了する項目が選択されたと判定されたら、ファイルの送信が行われず、近接無線通信による送信処理を終了する。一方、データ送信処理自体を行わずに終了する項目が選択されなかった場合、ステップS1014への移行がステップS1008を介して行われた場合はステップS1008に、ステップS1013を介して行われた場合はステップS1013に、処理が戻される。
【0081】
なお、ステップS1014において、操作部106に対するユーザ操作による選択指示が一定時間検出されなかった場合に、近接無線通信による送信処理を終了することも可能である。
【0082】
若し、ステップS1014で、送信すべきファイルを選択して近接無線通信によって外部機器であるデジタルカメラ100bに送信する旨を示す項目が選択されたと判定されたら、処理はステップS1015に移行される。ステップS1015では、図3のステップS302と同様にして、制御部107により、送信すべきデータを選択するためのデータ選択画面200(図4参照)が表示部104に表示される。
【0083】
ステップS1016では、制御部107は、図3のステップS303と同様にして操作部106に対するユーザ操作を受け付け、送信するデータの選択が完了したか否かが判定される。データの選択が完了したと判定したら、処理はステップS1010に移行され、デジタルカメラ100bとの近接無線通信による通信接続が確立しているか否かが判定される。
【0084】
説明はステップS1007に戻り、制御部107により、デジタルカメラ100aが特定のファイルを表示、再生の処理を行っている動作状態ではないと判定されたら、処理はステップS1013に移行される。ステップS1013では、制御部107により、ファイルを選択して送信するか、ファイルの送信処理を行わないかを選択するための選択画面が表示部104に対して表示される。
【0085】
より具体的には、ステップS1013では、以下の2つの処理の何れかを選択する選択画面を表示する。
(1)送信すべきファイルを選択して、選択したデータを近接無線通信によって外部機器であるデジタルカメラ100bに送信する。
(2)近接無線通信によって外部機器であるデジタルカメラ100bにデータを送信する処理自体を行わずに終了する。
【0086】
図13は、ステップS1013で表示部104に表示される設定画面(第2の設定画面)としての選択画面209の一例を示す。図13の例では、選択項目として「画像を選択して送信する」および「何もしない」の2項目が表示されている。ユーザは、操作部106に対する操作により、選択画面209に表示される2項目から所望の項目を選択する。
【0087】
なお、デジタルカメラ100bとの近接無線通信による通信接続を切断してもよい旨のメッセージを、選択画面209と共に表示することができる。これにより、ユーザは、操作部106に対する操作の際に、デジタルカメラ100aをデジタルカメラ100bに近付けておく必要が無いことを認識できる。そのため、ユーザにとって楽な姿勢で操作をすることが可能になる。
【0088】
ステップS1013において選択画面を表示した後、処理は上述したステップS1014に移行される。そして、選択画面207に表示された選択項目のうち、送信すべきファイルを選択して近接無線通信によって外部機器であるデジタルカメラ100bに送信する旨を示す項目が選択されたか否かが判定される。
【0089】
なお、ステップS1014で、送信すべきファイルを選択して近接無線通信によって外部機器に送信する旨を示す項目が選択されたと判定した場合、当該外部機器に対してデータ送信を示すメッセージを送信することができる。例えば、制御部107は、ステップS1014で当該判定がなされた場合、データ送信先のデジタルカメラ100bに対して、近接無線通信によりデジタルカメラ100bに対してデータを送信することを決定した旨のメッセージを送信する。このメッセージは、通信部110から近接無線通信により送信される。
【0090】
このメッセージを受信したデジタルカメラ100bは、デジタルカメラ100bにおけるデータの送信処理を終了することも可能である。このとき、デジタルカメラ100bは、デジタルカメラ100bの表示部104にステップS1008やステップS1013で説明した選択画面と同様の選択画面を表示していた場合は、その選択画面の表示を消去する。
【0091】
すなわち、ユーザの意向として、デジタルカメラ100aからデジタルカメラ100bにデータを送信したいが、デジタルカメラ100bからデジタルカメラ100aへのデータの送信を行いたくない場合が考えられる。このような場合に、上述のようにしてデータ送信元のデジタルカメラ100aからデータ送信先のデジタルカメラ100bにメッセージを送信することで、デジタルカメラ100bにおける余計な操作や混乱を防ぐことができる。
【0092】
なお、上述では、データ送信装置からデータ受信装置に送信されるデータが画像データであるものとして説明したが、これは一例であって、この例に限定されるものではない。すなわち、データ送信装置からデータ受信装置に送信されるデータは、静止画像データ、動画像データ、音声データ、テキストデータなど様々な種類のコンテンツデータに拡張することができる。
【0093】
このように、本発明の実施形態では、図10を用いて説明した処理により、データ送信装置であるデジタルカメラ100aは、近接無線通信によって外部機器にデータを送信することが可能である。
【0094】
このとき、本実施形態では、近接無線通信による接続の確立後において送信すべきコンテンツデータの選択が完了していない場合に、コンテンツデータを選択する選択画面が自動的に表示される。そのため、ユーザは、一々メニュー画面を表示させて、メニュー画面からさらに選択画面を起動させるといった煩わしい操作を行うことなく、送信データの選択を行うことができる。
【0095】
また、本実施形態では、データ送信装置側の状況に応じて適切なメッセージや選択画面を表示するようにしているため、ユーザは、簡易な操作で近接無線通信によるデータ通信を行うことができる。
【0096】
なお、図6などを用いて説明したように、データ送信装置側のデジタルカメラ100aは、受信機能も備えるものとしている。ここで、デジタルカメラ100aは、外部機器から近接無線通信によってデータの受信を行う場合は、ユーザによるデジタルカメラ100aに対する特別の設定が不要である。そのため、デジタルカメラ100aは、近接無線通信によるデータの送信機能を備え、且つ、送信準備を完了した状態の外部機器と近接無線通信による通信接続を確立した場合、外部機器から送信されるデータを受信可能である。これは、図3および図10で示した全ての処理に適用できる。
【0097】
また、上述では、外部機器であるデジタルカメラ100bはデータ受信装置として説明したが、図10を用いて説明した処理フローは、デジタルカメラ100bにも同様に適用できる。デジタルカメラ100aにおける処理フローと、デジタルカメラ100bにおける処理フローは、独立して進めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施形態に適用可能なデジタルカメラの一例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に適用可能な近接無線通信の概念を説明するための図である。
【図3】近接無線通信を用いたデータ送信処理の基本的な動作を示す一例のフローチャートである。
【図4】デジタルカメラの表示部に対して送信すべきデータの選択画面が表示された例を示す図である。
【図5】表示部に表示される通信接続の確立を促すメッセージ表示の一例を示す図である。
【図6】送信側機器と受信側機器との間で交換される機器情報の一例を示す図である。
【図7】データの送信処理が不可である旨を示すメッセージの表示部に対する表示例を示す図である。
【図8】送信中であることを示すメッセージを表示部に表示させる例を示す図である。
【図9】通信接続の解除を促すメッセージの表示部に対する表示例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態による通信処理を示す一例のフローチャートである。
【図11】表示部に表示される選択画面の一例を示す図である。
【図12】送信側機器と受信側機器との接近を促すメッセージの表示部に対する表示例を示す図である。
【図13】表示部に表示される選択画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
100 デジタルカメラ
104 表示部
106 操作部
107 制御部
109 メモリ
110 通信部
112 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接無線通信による外部機器との接続が確立されているかを検出する検出手段と、
前記近接無線通信により前記接続が確立されている前記外部機器との間で通信を行う通信手段と、
情報を表示する表示手段と、
前記通信手段および前記表示手段を制御する制御手段と
を有し、
前記制御手段は、
前記検出手段で前記外部機器との接続が確立されていることが検出されたら、前記外部機器にデータ送信するための設定が完了しているか否かを判定する第1の判定を行い、
前記第1の判定により前記設定が完了していないと判定されたら、前記表示手段を制御して、前記通信手段により前記外部機器に対してデータ送信するための設定をユーザに行わせるための設定画面を表示させる
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記設定が前記データ送信で送信するデータの選択であり、
前記制御手段は、
前記第1の判定により前記設定が完了していないと判定されたら、前記表示手段を制御して、送信するデータをユーザに選択させるための設定画面を表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記表示手段に対して所定のデータが表示されているか否かを判定する第2の判定を行い、
前記第2の判定により前記所定のデータが表示されていると判定されたら、前記表示手段を制御して、該所定のデータを前記送信するデータとして選択するか、前記送信するデータとして記憶手段に記憶されたデータからユーザ操作により選択されたデータを前記送信するデータとして選択するか、データの送信を行わないかの何れかを選択するための第1の設定画面を表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記表示手段に対して所定のデータが表示されているか否かを判定する第2の判定を行い、
前記第2の判定により前記所定のデータが表示されていないと判定されたら、前記表示手段を制御して、前記送信するデータとして記憶手段に記憶されたデータからユーザ操作により選択されたデータを前記送信するデータとして選択するか、データの送信を行わないかの何れかを選択するための第2の設定画面を表示させる
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
ユーザ操作により前記設定画面でコンテンツデータを前記外部機器に送信することが設定された際に、前記検出手段により前記近接無線通信による接続が確立されていないことが検出されたら、該近接無線通信による接続を確立させるために、前記表示手段を制御して当該通信装置を該外部機器に接近させることを促すメッセージを表示させる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記第1の判定により前記設定が完了していると判定されたら、該設定が完了しているデータの送信を開始するように前記通信手段を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
近接無線通信による外部機器との接続が確立されているかを検出する検出手段と、前記近接無線通信により前記接続が確立されている前記外部機器との間で通信を行う通信手段と、情報を表示する表示手段と、前記通信手段および前記表示手段を制御する制御手段とを備えた通信装置の制御方法であって、
前記検出手段で前記外部機器との接続が確立されているかを検出する検出ステップと、
前記検出ステップで前記外部機器との接続が確立されていることが検出されたら前記外部機器にデータ送信するための設定が完了しているか否かを前記制御手段が判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記設定が完了していないと判定されたら、前記制御手段により前記表示手段を制御して、前記通信手段により前記外部機器に対してデータ送信するための設定をユーザに行わせるための設定画面を表示させるステップと
を有する
ことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−157922(P2010−157922A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335225(P2008−335225)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】