説明

通信装置とプログラム

【課題】 ユーザによる無線通信するための設定作業の負担を軽減する。
【解決手段】 無線LANデバイス1の主制御部10は、通信制御部12によってMFP4との接続の初期処理を開始し、無線LAN・AP3に無線LANデバイス1と無線通信するのに必要な設定情報を要求して取得し、その設定情報に基いて自装置に対して設定すべき内容の設定処理を実行し、通信制御部12によって無線LAN・AP3へ、無線LAN・AP3に設定すべき内容の設定情報を無線で送信する。無線LAN・AP3は、通信制御部31によって無線で上記設定情報を受信すると、主制御部30が自装置に対して設定すべき内容の設定処理を実行する。こうして、無線LANデバイス1と無線LAN・AP3との設定が終了した後、無線LANデバイス1の主制御部10は、通信制御部12によって無線LAN・AP3との間で無線通信を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線によってデータ通信をする通信装置と通信装置を制御するコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線ローカル・エリア・ネットワーク(Local Area Network:LAN)とは、複数のコンピュータ機器間を無線通信によってデータ通信可能に接続したネットワーク環境をいう。
無線LANでは、既存の有線LANと接続された無線LANアクセスポイント(Access Point:AP)と、クライアント装置(「クライアント端末装置」とも呼ぶ)に接続した無線通信装置(「無線LANデバイス」という)との間で無線通信接続する。
クライアント装置を無線LANに接続するには、無線通信装置を接続すると共に、無線LANとの接続とセキュリティ等の各種の項目の設定(「無線ネットワーク設定」という)をする必要がある。
【0003】
この無線ネットワーク設定を簡単に実行するための技術として、ワイファイ・プロテクティッド・セットアップ(Wi−Fi Protected Setup:WPS)という規格がある。
このWPSでは、クライアント装置に接続した無線通信装置と無線LANアクセスポイントとのリアルタイムなデータ通信を行って無線ネットワーク設定をしている。
従来、WPSで無線ネットワーク設定をするための無線ネットワーク設定専用アプリケーションをインストールし、その無線ネットワーク設定専用アプリケーションを実行することによって無線ネットワーク設定をするクライアント装置(例えば、特許文献1,2参照)があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のクライアント装置では、ユーザは、クライアント装置に接続した無線通信装置を介して無線LANと接続するために、クライアント装置に無線通信装置毎に独自の無線ネットワーク設定専用アプリケーションをインストールする煩雑な作業が必要であるという問題があった。
また、無線LANに新たにクライアント装置を接続する度に、そのクライアント装置に無線ネットワーク設定専用アプリケーションのインストール作業が必要になるので、ユーザに繁雑な作業を強いるという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みて成されたものであり、ユーザによる無線通信するための設定作業の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記の目的を達成するため、装置に接続し、装置の無線通信を行う通信装置であって、当該通信装置と無線通信網の中継装置とに対して、当該通信装置が中継装置と無線通信するために必要な設定処理を行う設定処理手段を備えた通信装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
この発明による通信装置とプログラムは、ユーザによる無線通信するための設定作業の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】発明の実施形態のネットワークのハードウェア構成例を示す図である。
【図2】図1の無線LANデバイスを無線LANアクセスポイントと無線通信可能に設定する処理について説明するシーケンス図である。
【図3】図1の無線LANデバイスを無線LANアクセスポイントと無線通信可能に設定する他の処理について説明するシーケンス図である。
【図4】発明の実施形態のネットワークの他のハードウェア構成例を示す図である。
【図5】図4の無線LANデバイスを無線LANアクセスポイントと無線通信可能に設定する処理について説明するシーケンス図である。
【図6】MFPを無線LANに接続する場合について従来の設定処理の説明に供するハードウェア構成例を示す図である。
【図7】図6に示す無線LANにおける従来の設定処理を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
無線LANに新たな装置を参加させる場合、その装置の無線通信を司る無線LANデバイスと、無線LANの中継装置である無線LANアクセスポイントとにそれぞれ無線通信するための設定処理が必要になる。
まず、従来の設定処理について説明する。
図6は、MFPを無線LANに接続する場合について従来の設定処理の説明に供するハードウェア構成例を示す図である。
図7は図6に示す無線LANにおける従来の設定処理を説明するシーケンス図である。
【0009】
図6に示すMFP9を無線LANと無線通信で接続する場合、ユーザは、複合機(Multifunction Peripheral:MFP)9に無線通信させるための通信装置である無線LANデバイス6と、その無線LANデバイス6と無線LANの中継装置である無線LANアクセスポイント(図6では「無線LAN・AP」と略記)8とにそれぞれ無線通信させるための設定処理を行う必要がある。
その設定処理を簡単に行うための技術として、無線LANデバイス6と無線LANの中継装置である無線LANアクセスポイント8とでリアルタイムなデータ通信を行って無線ネットワーク設定をするWPSが提供されている。
【0010】
このWPSを利用するためには、情報処理装置であるクライアントPC7に専用のアプリケーションプログラムをインストールして動作させ、クライアントPC7に無線LANデバイス6を接続し、クライアントPC7によって無線LANデバイス6と無線LANアクセスポイント8とに無線通信するために必要な設定を行っていた。
その設定処理の流れは、図7に示すように、ユーザはWPSの設定を行う前にまずクライアントPC7に無線LANデバイス6と無線LANアクセスポイント(図7では「無線LAN・AP」と略記)8とで無線通信するために必要な設定をする設定アプリケーションプログラム(図中「設定アプリ」の略称で示す)をインストールする(図中「a」の処理)。
【0011】
ユーザは、クライアントPC7に無線LANデバイス6を接続した後、設定アプリを起動して設定画面を表示させ、その設定画面に対して無線LANデバイス6と無線LANアクセスポイント8とが無線通信するために必要な設定情報を入力する(図中「b」の処理)。
設定アプリは、設定画面に入力された設定情報に基づいて無線LANデバイス6と無線LANアクセスポイント8にそれぞれ設定処理を施す(図中「c」「d」の処理)。
こうして、無線LANデバイス6と無線LANアクセスポイント8に対して、互いに無線通信するための設定作業を完了する。
【0012】
その後、ユーザは、無線LANデバイス6をクライアントPC7からMFP9に繋ぎ変え、無線LANデバイス6をMFP9に接続する(図中「e」の処理)。
そうすると、無線LANデバイス6はMFP9との接続処理後(図中「f」の処理)、MFP9と無線LANアクセスポイント8と間の無線通信を開始する(図中「g」の処理)。
このようにして、MFP9を無線LANとの無線通信を可能にすることができる。
【0013】
しかし、上述した従来の設定処理では、ユーザがクライアントPC7に無線LANデバイス6の種類に応じた設定アプリをその都度インストールするという煩雑な作業が必要であり、ユーザの作業負担になっていた。
また、無線LANデバイス6の種類が多数ある場合や無線LANデバイス6をアップデートした際には、その都度クライアントPCに設定アプリをインストールして上述した煩雑な設定作業が必要となることも問題になる。
【0014】
そこで、この発明の実施形態では、無線LANに新たな装置を参加させる場合、その装置に接続する無線LANデバイスと、無線LANアクセスポイントとにそれぞれ無線通信するための設定処理について、ユーザの作業負担を軽減するための機能を設けている。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1はこの発明の実施形態であるネットワークのハードウェア構成例を示す図である。
【0015】
このネットワークは、有線LAN5上にクライアントPC2と無線LANアクセスポイント(図1では「無線LAN・AP」と略記する)3と複合機(図1では「MFP」と略記し、以下の説明では「MFP」と略称する)4を含む複数のネットワーク機器が接続されている。この無線LANアクセスポイントを、単に「アクセスポイント」とも呼ぶ。
無線LANデバイス1は、カード(PCMCIA)やボードの形式で提供される無線通信をする通信装置であり、その接続にはUSBなどの形式でクライアントPC2およびMFP4に接続可能である。
このネットワークにおいてMFP4を無線通信可能にする場合の設定処理を説明する。
上記無線LANデバイス1が通信装置に相当し、上記クライアントPC2および上記MFP4は上記無線LANデバイス1が接続する装置に相当し、上記無線LANアクセスポイント3が中継装置に相当する。
【0016】
無線LANデバイス1は、CPU、ROMおよびRAMを含むマイクロコンピュータによって実現される無線通信装置であり、主制御部10、記憶部11、および通信制御部12を備えている。
主制御部10は、オペレーティングシステム(OS)を実行することにより、無線LANデバイス1の全体の制御を司る。
【0017】
記憶部11は、主制御部10が実行するプログラムを記憶している。そのプログラムとして、クライアントPC2のWebアプリケーションの要求に対応するWebサーバとして動作するためのプログラムと、そのWebサーバによってクライアントPC2に提供する設定Webアプリも組み込まれている。
すなわち、記憶部11には、無線LANデバイス1のCPUが実行する、無線LANデバイス1と無線LANアクセスポイント3とに対して、無線LANデバイス1が無線LANアクセスポイント3と無線通信するために必要な設定処理を行う処理の手順を無線LANデバイス1に実行させるためのプログラムが記憶されている。
【0018】
このプログラムは、Webアプリケーションプログラムの手順によって無線LANデバイス1が無線LANアクセスポイント3と無線通信するために必要な設定処理を行う処理を実行させるためのプログラムである。
さらに、上記プログラムは、クライアントPC2の表示部21に表示されたWebブラウザに上記設定処理を行うための設定画面を表示させる手順を含んでいる。
通信制御部12は、無線LANデバイス1がクライアントPC2又はMFP4に接続された場合、それらの通信制御部とデータのやり取りの通信制御を司る。また、無線LANアクセスポイント3を含む他の無線通信装置と無線通信を行う無線通信手段の機能を果たす。
【0019】
上記設定Webアプリが実行されることにより、主制御部10が無線LANデバイス1(「当該通信装置」に相当する)と無線LAN(「無線通信網」に相当する)の無線LANアクセスポイント3(「中継装置」に相当する)とに対して、無線LANデバイス1が無線LANアクセスポイント3と無線通信するために必要な設定処理を行う設定処理手段の機能を果たす。
【0020】
無線LANデバイス1の主制御部10は、当該通信装置が装置に接続されたときの初期処理として、設定処理手段による設定処理を実行する手段の機能を果たす。
また、設定WebアプリをクライアントPC2に提供する場合、主制御部10は、設定処理手段による設定処理を接続された装置において実行させる手段と、装置の表示手段に設定画面を表示させ、装置の入力手段によって設定画面に対して設定情報を入力させる手段と、中継装置から設定情報を取得する手段の機能を果たす。
【0021】
クライアントPC2は、CPU、ROMおよびRAMを含むマイクロコンピュータによって実現される情報処理装置であり、主制御部20、表示部21、入力部22、記憶部23、および通信制御部24の各機能部を備えている。
主制御部20は、オペレーティングシステム(OS)を実行することにより、クライアントPC2の全体の制御を司る。また、表示部21の画面にWebブラウザを表示させる制御も行う。
表示部21は、クライアントPC2のユーザに各種の操作画面を表示するLCD等の表示装置である。この表示部21には、Webブラウザに無線LANデバイス1から提供される設定Webアプリの設定画面も表示される。
【0022】
入力部22は、クライアントPC2のユーザが各種の操作情報を入力するキーボード等の入力装置である。この入力部22からは設定Webアプリ画面に対する設定情報の入力が行われる。
記憶部23は、OSのプログラムを含む各種のデータを記憶するハードディスク装置(HDD)等の記憶装置である。
通信制御部24は、有線LAN5との有線通信と、無線LANデバイス1を接続したときには、無線LANデバイス1との通信制御を司る。
【0023】
無線LANアクセスポイント3は、CPU、ROMおよびRAMを含むマイクロコンピュータによって実現され、無線LANの中継装置である。
その主制御部30は、オペレーティングシステム(OS)を実行することにより、無線LANアクセスポイント3の全体の制御を司る。また、通信制御部31は、有線LAN5との有線通信と、無線LANデバイス1との無線通信制御を司る。
【0024】
MFP4は、CPU、ROMおよびRAMを含むマイクロコンピュータによって実現され、ファクシミリ通信機能、画像読取機能(スキャナ機能)、印刷機能(プリント機能)、および複写機能を含む複数の機能を備えた画像形成装置である。
このMFP4は、主制御部40、操作表示部41、画像形成部42、記憶部43、および通信制御部44を備えている。
主制御部40は、オペレーティングシステム(OS)を実行することにより、MFP4の全体の制御を司る。
【0025】
操作表示部41は、ユーザが各種の操作情報を入力する入力部と、ユーザに各種の操作画面を表示する表示部との機能を果たす。
画像形成部42は、原稿の画像の読み取り、画像データに基づく複写、印刷を行う。
この画像形成部42は公知なので、詳細な説明を省略する。
記憶部43は、画像データを含む各種のデータを記憶するハードディスク装置(HDD)等の記憶装置である。
【0026】
通信制御部44は、有線LAN5との有線通信と、無線LANデバイス1を接続したときには、無線LANデバイス1との通信制御を司る。
このネットワークにおいて、クライアントPC2を通して無線LANデバイス1と無線LANアクセスポイント3が無線通信できるように設定した後、無線LANデバイス1をMFP4に繋ぎかえることにより、MFP4に無線通信の機能を持たせることができる。
したがって、MFP4は、無線LANデバイス1と無線LANアクセスポイント3との無線通信によって無線LANに参加することができる。
なお、図1に示した構成例では、クライアントPC2とMFP4が有線LAN5に接続されている場合を示したが、クライアントPC2又はMFP4は必ずしも有線LAN5に接続されている必要はない。
【0027】
次に、図1と図2に基いて、上記無線LANデバイス1を無線LANアクセスポイント3と無線通信可能に設定する処理について説明する。
図2は、上記無線LANデバイス1を無線LANアクセスポイント(図2では「無線LAN・AP」と略記する)3と無線通信可能に設定する処理について説明するシーケンス図である。
ユーザは、無線LANデバイス1をクライアントPC2に接続し、クライアントPC2で立ち上げたブラウザで無線LANデバイス1へ設定Webアプリ画面を参照する操作をする(図中「a」の処理)。
【0028】
クライアントPC2の主制御部20は、通信制御部24によってブラウザで無線LANデバイス1へ設定Webアプリを参照する要求を送信する(図中「b」の処理)。
一方、無線LANデバイス1は、通信制御部12を介して上記要求を受信すると、主制御部10が、記憶部11のプログラムを実行し、Webサーバによって設定Webアプリを通信制御部12を介してクライアントPC2へ送信し、クライアントPC2の主制御部20は表示部21に設定Webアプリの設定画面を表示する(図中「c」の処理)。
【0029】
こうして、無線LANデバイス1をクライアントPC2に接続することにより、クライアントPC2にWPSの設定をするための設定Webアプリ画面が表示されるので、ユーザは、クライアントPC2に対する煩雑なインストール作業を行わなくても、WPSの設定を開始することができる。
次に、ユーザは、入力部22から設定Webアプリ画面に対して無線LANデバイス1と無線LANアクセスポイント3との間で無線通信するのに必要な設定情報を入力する操作をする(図中「d」の処理)。
【0030】
上記設定情報には、無線LANアクセスポイント3の宛先情報(例えば、IPアドレス)、無線LANにおける無線LANアクセスポイント3の識別子(Service Set Identifier:SSID)、無線LAN通信に必要なセキュリティ(認証や暗号化)に関する設定情報が含まれる。
上記SSIDは、他の無線LANアクセスポイントとの混信を防ぐために無線LANアクセスポイントと無線LANデバイスが対応するか否かを確認するための識別子であり、SSIDが一致する無線LANアクセスポイントと無線LANデバイスとしか通信しないようにすることができる。
【0031】
また、上記設定情報には、無線LANデバイス1に個人暗証番号(Personal Identification Number:PIN)コードが割り当てられている場合、このPINコードも含まれる。
クライアントPC2の主制御部20は、入力部22から入力された設定情報を通信制御部24によって無線LANデバイス1へ送信する(図中「e」の処理)。
【0032】
一方、無線LANデバイス1は、通信制御部12を介して上記設定情報を受信すると、主制御部10が設定情報に基いて自装置に対して設定すべき内容の設定処理を実行し(図中「f」の処理)、上記宛先情報に基づいて通信制御部12によって無線LANアクセスポイント3に無線でアクセスし、無線LANアクセスポイント3に設定すべき内容の設定情報を無線で送信する(図中「g」の処理)。
無線LANアクセスポイント3は、通信制御部31によって無線で上記設定情報を受信すると、主制御部30が自装置に対して設定すべき内容の設定処理を実行する(図中「h」の処理)。
【0033】
このようにして、無線LANデバイス1と無線LANアクセスポイント3との設定が終了した後、ユーザは、無線LANデバイス1をクライアントPC2から取り外し、MFP4に繋ぎ変えて接続する操作をする(図中「i」の処理)。
そうすると、無線LANデバイス1の主制御部10は、通信制御部12によってMFP4との間で接続処理をした後(図中「j」の処理)、通信制御部12によって無線LANアクセスポイント3との間で無線通信を開始する(図中「k」の処理)。
【0034】
次に、他の設定処理例について説明する。
上述の設定処理では、ユーザが無線LANデバイス1と無線LANアクセスポイント3にそれぞれ設定する設定情報を全て手入力する場合を示したが、その設定情報の入力を省略できればユーザの作業負担は更に軽減する。
そこで、設定Webアプリによってユーザによる設定情報の入力を省略した場合の処理を説明する。
【0035】
次に、図1と図3に基いて、上記無線LANデバイス1を無線LANアクセスポイント3と無線通信可能に設定する処理について、設定Webアプリによってユーザによる設定情報の入力を省略した場合の処理を説明する。
図3は、上記無線LANデバイス1を無線LANアクセスポイント(図3では「無線LAN・AP」と略記する)3と無線通信可能に設定する他の処理について説明するシーケンス図である。
ユーザは、無線LANデバイス1をクライアントPC2に接続し、クライアントPC2で立ち上げたブラウザで無線LANデバイス1へ設定Webアプリ画面を参照する操作をする(図中「a」の処理)。
【0036】
クライアントPC2の主制御部20は、通信制御部24によってブラウザで無線LANデバイス1へ設定Webアプリを参照する要求を送信する(図中「b」の処理)。
一方、無線LANデバイス1は、通信制御部12を介して上記要求を受信すると、主制御部10が、記憶部11のプログラムを実行し、Webサーバによって設定Webアプリを通信制御部12を介してクライアントPC2へ送信し、クライアントPC2の主制御部20は表示部21に設定Webアプリの設定画面を表示する(図中「c」の処理)。
【0037】
次に、クライアントPC2における設定Webアプリは、有線LAN5を介して無線LANアクセスポイント3にアクセスし、無線LANアクセスポイント3に無線LANデバイス1と無線通信するのに必要な設定情報(無線LANデバイス1に設定する無線LANアクセスポイント3に関する情報を含む)を要求する(図中「d」の処理)。
無線LANアクセスポイント3は、通信制御部31によって上記要求を受信すると、主制御部30が自装置に関する設定情報をクライアントPC2へ送信する(図中「e」の処理)。
こうして、無線LANデバイス1に設定する無線LANアクセスポイント3の設定情報を自動的に取得することができ、ユーザが手入力する必要がなくなり、ユーザの作業負担を更に軽減する。
【0038】
クライアントPC2の主制御部20は、予め記憶している無線LANデバイス1の設定情報(無線LANアクセスポイント3に設定する無線LANデバイス1に関する情報を含む)と、無線LANアクセスポイント3から取得した設定情報を通信制御部24によって無線LANデバイス1へ送信する(図中「f」の処理)。
このように、無線LANアクセスポイント3に設定する無線LANデバイス1の設定情報を予め記憶しているので、ユーザが無線LANデバイス1に対応する設定情報を手入力する必要がなくなり、ユーザの作業負担を更に軽減することができる。
【0039】
無線LANデバイス1は、通信制御部12を介して上記設定情報を受信すると、主制御部10が設定情報に基いて自装置に対して設定すべき内容の設定処理を実行し(図中「g」の処理)、通信制御部12によって無線LANアクセスポイント3に無線でアクセスし、無線LANアクセスポイント3に設定すべき内容の設定情報を無線で送信する(図中「h」の処理)。
無線LANアクセスポイント3は、通信制御部31によって無線で上記設定情報を受信すると、主制御部30が自装置に対して設定すべき内容の設定処理を実行する(図中「i」の処理)。
このようにして、無線LANデバイス1と無線LANアクセスポイント3との設定が終了した後、ユーザは、無線LANデバイス1をクライアントPC2から取り外し、MFP4に繋ぎ変えて接続する操作をする(図中「j」の処理)。
【0040】
そうすると、無線LANデバイス1の主制御部10は、通信制御部12によってMFP4との間で接続処理をした後(図中「k」の処理)、通信制御部12によって無線LANアクセスポイント3との間で無線通信を開始する(図中「l」の処理)。
このようにして、無線LANデバイス1をクライアントPC2に接続することにより、クライアントPC2にWPSの設定をするための設定Webアプリの動作を行わせ、無線LANデバイス1と無線LANアクセスポイント3に対する設定処理を自動的に行う。
したがって、ユーザは、クライアントPC2に対するインストール作業と設定情報の入力作業の繁雑な作業を行わなくて済み、ユーザの作業負担をより軽減することができる。
【0041】
次に、さらに他の設定処理例について説明する。
上述の設定処理では、クライアントPC2によって無線LANデバイス1と無線LANアクセスポイント3にそれぞれ設定する場合を示したが、MFP4に無線LANデバイス1を接続した状態で無線LANデバイス1と無線LANアクセスポイント3にそれぞれ設定できるようにすれば、ユーザは無線LANデバイス1をつなぎ替える作業が無くなり、ユーザの作業負担は更に軽減する。
そこで、MFP4に無線LANデバイス1を接続した状態で無線LANデバイス1と無線LANアクセスポイント3にそれぞれ設定する場合の処理を説明する。
【0042】
次に、図4と図5に基いて、上記無線LANデバイス1を無線LANアクセスポイント(図4では「無線LAN・AP」と略記する)3と無線通信可能に設定する処理について、MFP4に無線LANデバイス1を接続した状態で実施する場合の処理を説明する。
ユーザは、図4に示すように、MFP4に無線LANデバイス1を接続する。この場合、設定のためのクライアントPCは必要なくなる。
図5は、上記無線LANデバイス1を無線LANアクセスポイント(図4では「無線LAN・AP」と略記する)3と無線通信可能に設定するさらに他の処理について説明するシーケンス図である。
【0043】
ユーザは、無線LANデバイス1をMFP4に接続する操作をする(図中「a」の処理)。
無線LANデバイス1の主制御部10は、通信制御部12によってMFP4との接続の初期処理を開始し(図中「b」の処理)、通信制御部12によって無線LANアクセスポイント3に無線LANデバイス1と無線通信するのに必要な設定情報(無線LANデバイス1に設定する無線LANアクセスポイント3に関する情報を含む)を要求する(図中「c」の処理)。
無線LANアクセスポイント3は、通信制御部31によって上記要求を受信すると、主制御部30が自装置に関する設定情報をクライアントPC2へ送信する(図中「d」の処理)。
【0044】
こうして、無線LANデバイス1に設定する無線LANアクセスポイント3の設定情報を自動的に取得することができ、ユーザが手入力する必要がなくなり、ユーザの作業負担を更に軽減する。
無線LANデバイス1は、通信制御部12を介して上記設定情報を受信すると、主制御部10が設定情報に基いて自装置に対して設定すべき内容の設定処理を実行し(図中「e」の処理)、通信制御部12によって無線LANアクセスポイント3に無線でアクセスし、無線LANアクセスポイント3に設定すべき内容の設定情報(この設定情報は予め記憶部11に記憶している)を無線で送信する(図中「f」の処理)。
【0045】
このように、無線LANアクセスポイント3に設定する無線LANデバイス1の設定情報を予め記憶しているので、ユーザが無線LANデバイス1に対応する設定情報を手入力する必要がなくなり、ユーザの作業負担を更に軽減することができる。
無線LANアクセスポイント3は、通信制御部31によって無線で上記設定情報を受信すると、主制御部30が自装置に対して設定すべき内容の設定処理を実行する(図中「g」の処理)。
こうして、無線LANデバイス1と無線LANアクセスポイント3との設定が終了した後、無線LANデバイス1の主制御部10は、通信制御部12によって無線LANアクセスポイント3との間で無線通信を開始する(図中「h」の処理)。
【0046】
このようにして、無線LANデバイス1をMFP4に接続すれば、無線LANデバイス1が自デバイスと無線LANアクセスポイント3に対する設定処理を自動的に行う。
したがって、ユーザは、クライアントPC2に対するインストール作業と設定情報の入力作業の繁雑な作業を行わなくて済み、ユーザの作業負担をより軽減することができる。
さらに、無線LANデバイス1をつなぎ替える操作も必要ないので、ユーザの作業負担をさらに軽減することができる。
【0047】
この実施形態の無線LANデバイス1によれば次の効果が得られる。
1.無線LANデバイスを設定するクライアントPCのOSに依存することがなくなる。
すなわち、クライアントPCのOSの種類毎に設定アプリを開発者が用意したり、ユーザが設定アプリをインストールする作業が必要なくなる。
2.多数の無線LANデバイスや多種類の無線LANデバイス毎に設定アプリを開発者が用意したり、利用者がインストールする必要がなくなる。
3.ユーザが無線LANに関する設定情報を入力する必要もなく、無線LANデバイスと無線LANアクセスポイントの無線接続の設定を自動的に完結することができる。
【0048】
4.ユーザが無線LANの設定のためにクライアントPCを用意することなく、MFPもしくは無線機能を保有しないPCに無線LANデバイスをつなげるだけで無線接続の設定が完結することができる。
5.WebアプリケーションとしてAjax(Asynchronous JavaScript+XML、Javaは登録商標)の技術も組み合わせると、無線LANアクセスポイントとの接続状況をリアルタイムに把握するような場合、ユーザが逐一状況確認の操作をしなくても良いので、ユーザの入力の手間が省ける。
例えば、無線LANアクセスポイントの状態を無線LANデバイスが定期的に取得(例えば、無線LANアクセスポイントが故障状態を示す情報を取得)することも可能になる。
【0049】
上記Ajaxは、ブラウザ内で非同期通信とインタフェースの構築などを行う技術であり、特に、XMLHttpRequestでの非同期通信(メッセージ交換)を特徴としている。
そのため、Ajaxを用いれば、仮想マシン間での表示制御データを、ブラウザに対して非同期で送受信することができ、表示制御処理では、表示画面を部分的に更新するだけでよい。
その結果、さらなる画面表示の高速化を図ることができる。
【0050】
この実施形態では、無線LANデバイスに、設定アプリをWebアプリケーション化して組み込んでいる。
つまり、無線LANデバイス内にWebサーバおよび設定アプリの機能を実装したWebアプリを格納した仕組みとしている。
これにより、クライアントPCでは、無線LANデバイスから送られたWebブラウザによってWPSによるネットワーク設定が可能となる。
【0051】
したがって、クライアントPCにユーザがWPS専用の設定アプリをインストールする作業が必要なくなる。
また、クライアントPCでは、ブラウザを用いて無線LANデバイスと無線LANアクセスポイントに対するネットワーク設定を行えるので、クライアントPCのOSの種類に依存することなく、多様なOSで実施することができる。
このようにして、ユーザのネットワーク設定に関する作業負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0052】
1、6:無線LANデバイス 2、7:クライアントPC 3、8:無線LANアクセスポイント(無線LAN・AP) 4、9:MFP 5:有線LAN 10、20、30、40:主制御部 11、23、43:記憶部 12、24、31、44:通信制御部 21:表示部 22:入力部 41:操作表示部 42:画像形成部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開2009−89230号公報
【特許文献2】特開2009−260557号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置に接続し、前記装置の無線通信を行う通信装置であって、
当該通信装置と無線通信網の中継装置とに対して、当該通信装置が前記中継装置と無線通信するために必要な設定処理を行う設定処理手段を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記設定処理手段による設定処理を前記接続された装置において実行させる手段を有することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記設定処理手段は、前記装置の表示手段に設定画面を表示させ、前記装置の入力手段によって前記設定画面に対して前記設定情報を入力させる手段を有することを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記設定処理手段は、前記中継装置から前記設定情報を取得する手段を有することを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項5】
当該通信装置が前記装置に接続されたときの初期処理として、前記設定処理手段による設定処理を実行する手段を有することを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項6】
装置に接続し、前記装置の無線通信を行う通信装置を制御するコンピュータに、当該通信装置と無線通信網の中継装置とに対して、当該通信装置が前記中継装置と無線通信するために必要な設定処理を行う処理の手順を当該通信装置に実行させるためのプログラム。
【請求項7】
装置に接続し、前記装置の無線通信を行う通信装置を制御するコンピュータに、Webアプリケーションプログラムの手順によって当該通信装置が前記中継装置と無線通信するために必要な設定処理を行う処理を実行させるための請求項6記載のプログラム。
【請求項8】
装置に接続し、前記装置の無線通信を行う通信装置を制御するコンピュータに、前記装置の表示手段に表示されたWebブラウザに前記設定処理を行うための設定画面を表示させる手順を含む請求項6又は7記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−5001(P2013−5001A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130839(P2011−130839)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】